JP4219482B2 - 履帯ゴムシュー - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設機械や土木作業用又は農作業用機械の走行部に取り付けられる履帯ゴムシュー(弾性パッド)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建設機械や土木作業機械等の走行部には、従来より鉄シューが取り付けられていたが、近年これに代って履帯ゴムシューが取り付けられるケースが多くなってきた。この履帯ゴムシューは、振動発生の低減と走行路面を傷付けない等の利点があり、帯状の芯金の少なくとも外表面側にゴム材を加硫接着して当該芯金をゴム材で被覆したシューを備えたものであって、この芯金を走行部側のリンクにボルト止め等によって装着されてなるものである。
【0003】
図12および図13(A)(B)は、特開平8−91256号公報で開示されている履帯ゴムパッド(従来例の1)と特開平9−249161号公報で開示されている履帯ゴムシュー(従来例の2)を示しており、鍛造法、鋳造法、プレス打板法等によって形成された帯板状の芯金1の外表面側にゴム材料を加硫接着することによって芯金1の全体又は帯長手方向の両端部を当該ゴム材料よりなるシュー2で被覆したもので、芯金1の左右中央部にはトラックリンク3がボルト止めされている。
【0004】
また、図13(B)においては、芯金1の帯長手方向の両端部に外表面側に隆起するリブ4を形成するとともに、芯金1に貫通孔5を形成してこの孔5にシュー2におけるゴム材料を埋入している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図13(A)で示すように、履帯ゴムシュー(履帯ゴムパッド)6に、外力Fが作用すると、芯金1は帯板で薄いことから、芯金端部1Aにおいて、シュー2にゴム亀裂が発生し、これが芯金界面1Bに沿って剥離が進行し中央へ破壊が進み短命となる。
一方、図13(B)で示すゴムシュー6にあっては、芯金端部1Aにリブ4を形成していることから、外力Fに対して図12(A)で示すゴムシュー6よりも剥離は抑制されるもののリブ4が外表面側(接地面側)に隆起しているためシュー2のゴム厚が薄くなることから、これが要因となって亀裂・剥離が進行し易いものであった。
【0006】
また、貫通孔5にゴム材料を埋入してリベット作用によって剥離を防止しようとしているけれども、内周面のゴム材厚み2Aが薄いことから、この部分の亀裂が貫通孔5のゴム材に波及してリベット作用が早期に喪失され、保持力低下による剥離が発生し易いものであった。
そこで本発明は、芯金の帯長手方向における両端部の形状に工夫をすることによって外力に起因するゴム材料よりなるシューの亀裂および波及を防止して芯金とシューとの剥離を阻止し、併せて、芯金に形成したリベット孔としての貫通孔にゴム材料を独立したリベット孔として埋入することによって、該リベット孔に対する亀裂波及をなくすことができる履帯ゴムシューを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、帯板状の芯金11および前記芯金11の外表面側を被覆しゴム材料で形成されたシュー12を備えた履帯ゴムシュー10であって、前記芯金11は、内方側に曲げられた縁取部11Jがその外周縁に形成されており、前記縁取部11Jにおける前記芯金11の帯長手方向に直交する方向の両側にそれぞれ切欠き形成による排土部11Lが設けられていることを特徴とするものである。
このような構成を採用したことにより、履帯ゴムシュー10に外力Fが作用したとき、縁取部11Jによってこの側方外力に対して側方面積のアップ(面圧低下)と外力の拡散につながり、応力緩和が図れることから、シュー12の剥離、亀裂発生が防止できるのであり、縁取部11Jが内方側に隆起して構成されたことによって、シュー12の設置面側の厚みは薄くなることはないのである。
【0008】
好ましくは、前記シュー12における前記帯長手方向の両端に、凸部12Cによる応力緩和部12Dが形成されている。
このように応力緩和部12Dが形成されていることによって、一層の応力緩和が期待できるのである。
前記芯金11の少なくとも前記帯長手方向の両端部には、前記芯金11と前記シュー12との接合を確実にするために前記ゴム材料が埋入された複数の孔11Mが貫設されているのが好ましい。
【0009】
このように構成したことにより、芯金11の反接地面側をゴム材料で被覆したものでは、該ゴム材料が剥離又は亀裂すると、孔11Mに波及してシュー12が芯金11より外れたりするのが、孔11Mを独立させていることによって阻止できるのである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して履帯ゴムシューの実施の形態について説明する。
図1(A)は履帯ゴムシュー10の全体平面図を示しており、図1(B)は図1(A)のB−B断面図である。
図1(A)(B)において、履帯ゴムシュー10は、芯金11と、この外表面側に加硫接着されて該芯金11を被覆したゴム材料よりなるシュー12と、を備えて形成されている。
【0011】
前記芯金11は金属製又は硬質樹脂製で、帯板状に形成されており、当該芯金11の帯長手方向の両端部に、当該芯金11の帯長手方向中央部に対して内方側に隆起した外力受圧部11Aが形成され、該外力受圧部11Aの全体がシュー12のゴム材料を加硫接着することによって被覆した被覆部12Aとされている。
より具体的に説明すると、図1(B)で示すように帯長手方向の両端部を幅Lで高さHとしてプレス加工、折曲げ加工等によって内方側に隆起させ、角度θを有するテーパー傾斜面11Bを有する折曲部11Cによって、外力受圧部11Aとされている。
【0012】
図1(A)において、芯金11の帯長手方向中央部には取付孔11Dが形成されており、該取付孔11Dを介してリンク13が取付けられ、該リンク13を履帯の回走方向に接続可能としてここに鉄シュークローラが履帯ゴムシュー10によるゴムクローラに履き換え自在とされているのである。
図2および図3は図1(B)と対応する履帯ゴムシュー10の形態であり、図2においては、テーパー傾斜面11Bを有する外力受圧部11Aが高さHの増肉部11E(鍛造,鋳造等による作成)によって構成されたものであり、図3においては外側端に垂直面11Fを有する折曲げ部11Gによって外力受圧部11Aとされたものであり、垂直面11Fは高さHであって、外力受圧部11Aは芯金厚みtと同じ厚みt1とされているとともに、垂直面11Fの外表面のみをシュー12と同じゴム材料によって加硫接着した被覆部12Aとしたものである。
【0013】
なお、図1(B)および図2においては、外力受圧部11Aの全体をゴム材料で被覆しているが、図1(B)および図2においても、図3で示すように少なくとも外表面のみについて被覆したものであっても構わない。
図4および図5は他の履帯ゴムシュー10の形態であり、いずれにおいても、芯金11の帯長手方向両端部に高さHの外力受圧部11Aを構成するのに外表面側に弯曲面11Hによる弯曲部11Iによって形成したものであり、当該外力受圧部11Aに相対して被覆部12Aには図4においては半円形状の凹部12Bを、図5においては半円形状の凸部12Cを形成することによって応力緩和部12Dとしたものである。
【0014】
なお、応力緩和部12Dについては、前述した履帯ゴムシュー10の実施の形態においても採用できるし、該応力緩和部12Dを凸部12Cで構成したときは、その断面形状は半円形状に限定されることなく、断面三角形、台形等とすることもできる。
更に、凹凸部12B,12Cについては、シュー12の前後方向に延伸したものでも、シュー12の前後方向で間隔をもって形成した所謂独立形の凹凸部12B,12Cとすることも可能である。
【0015】
いずれの履帯ゴムシュー10の形態においても履帯ゴムシュー10で構成されたゴムクローラ走行装置により、建機等の走行機体を支持して走行するとき、当該ゴムシュー10に側方外力Fが作用したとしても外力受圧部11Aによる広い面積で外力を担持することとなり、これは面圧が低いことから被覆部12Aの亀裂、剥離は少なく、これらが中央部に波及しようとするのを確実に防止するのであり、特に、図3で示すように垂直面11Fを有する折曲部11Gを2段のように構成すると、増々面圧が低くできて有利となるのである。
【0016】
また、図1(B)、図2のようにテーパー傾斜面11Bを形成したゴムシュー10又は図4・5のように弯曲面11Hを形成したゴムシュー10においては接地外力F1が作用したとき、テーパー傾斜面11B、弯曲面11Hに沿って力が伝播されることから、被覆部12Aの応力は確実に緩和されて亀裂、剥離等を確実に防止できるのである。
図6は他の履帯ゴムシュー10の形態であり、図1(A)における断面C−Cにおいて、芯金11の帯長手方向両側縁(ゴムシューの前後に相当)に、折曲げ部による外力受圧部11Aを形成し、更に、シュー12の前後には凹部による応力緩和部12Dを形成したものであり、このように構成することによって前後方向からの外力F2についてもシュー12の剥離等が防止できるのである。なお、応力緩和部12Dはこれを凸部とすることも可能であり、凹凸部は帯長手方向の全長又は中途に亘る凹溝、凸条であっても良く、また、凹凸部は帯長手方向で独立したものでも良い。
【0017】
図7および図8は履帯ゴムシュー10の実施の形態であり、前述した履帯ゴムシュー10の形態と共通する形態であり、前述した履帯ゴムシュー10の形態と共通する部分は共通符号を付し、以下、専ら相違点について説明する。
芯金11は細長円皿状、すなわち、芯金11の外周縁を取り囲む縁取部11Jによって外力受圧部11Aを構成したものである。
また、芯金11を細長皿状と形成したことにより、芯金11の剛性は向上する。
【0018】
図7および図8に示される履帯ゴムシュー10は、芯金11の反接地面(内方側)11Kに土、砂利等の異物が乗った場合、該異物を排出するために、縁取部11Jに切欠形成による複数の排土部11Lが形成されている。
更に、芯金11の両端部には、円弧配列のリベット孔11Mが独立して貫通形成してあり、このリベット孔11Mにシュー12のゴム材料が埋入されて栓部11Nによって板止めされているのである。
すなわち、芯金11とシュー12はこれらが加硫接着されているのに加えてリベット孔11Mにゴム材料の埋入及び栓部11Nによる物理的(機械的)な接合とされることによって芯金11とシュー12の接合をより確実にしたものである。
【0019】
また、リベット孔11Mはこれがそれぞれ独立されており、栓部11Nが被覆部12Aと連続されていないことから、被覆部12Aの剥離等が栓部11Nに波及・伝播されることがないのである。
図9および図10は履帯ゴムーシュー10の他の形態を示しており、前述した履帯ゴムシュー10の形態と共通する部分は共通符号を付し、以下、専ら相違点について説明する。
芯金11の帯長手方向両側縁部(シューの前後に相当)には外方側に折曲したシュー12の抱込み部11Pが形成され、これによって前後方向の外力に対するプロテクターとされている。更に、抱込み部11Pにはこれを貫通した孔12Eにゴム材料を埋入して芯金11とシュー12を抱込み部11Pによって物理的に結合して両者の接合力を大きくしている。
【0020】
図11は履帯ゴムシュー10の他の形態を示し、外力受圧部11Aにおけるテーパー傾斜面11Bの角度θ1とゴムシュー12の被覆部12Aにおけるテーパー傾斜面12Fの角度θ2をθ1>θ2とすることによって、旋回性能を向上するとともに、外力受圧部11Aにも独立したリベット孔11Mを開設し、被覆部12Aのゴム材料を当該孔11Mに埋入し、栓部11Nで抜止めしたのであり、芯金11に形成したリベット孔11Mとも独立されているのである。
なお、本発明においては前述した種々の履帯ゴムシュー10の形態を組み合せた構成とすることもできるし、シュー12にあっては、その両端部にテーパー傾斜面12Fを形成することによって旋回性を良好にすることが望ましい。
【0021】
特に、テーパー傾斜面11Bと12Fとは前者の角度を大(垂直方向)とし、後者の角度を小にすることによって、旋回性能を大幅に向上できて有利である。
【0022】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係る履帯ゴムシューは、外力が作用しても芯金とシューとの剥離等を抑制して耐久性を大幅に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 履帯ゴムシューの形態を示し、(A)は平面図、(B)は図1(A)のB−B断面図である。
【図2】 他の履帯ゴムシューの形態を示す左半分(右半分は同一)の断面図である。
【図3】 他の履帯ゴムシューの形態を示す左半分(右半分は同一)の断面図である。
【図4】 他の履帯ゴムシューの形態を示す左半分(右半分は同一)の断面図である。
【図5】 他の履帯ゴムシューの形態を示す左半分(右半分は同一)の断面図である。
【図6】 図1(A)のC−C断面における他の履帯ゴムシューの形態を示す断面図である。
【図7】 本発明に係る履帯ゴムシューの形態を示す図8のE−E断面図である。
【図8】 本発明に係る履帯ゴムシューの形態を示す平面図である。
【図9】 他の履帯ゴムシューの形態を示す断面図である。
【図10】 図9のD−D断面図である。
【図11】 他の履帯ゴムシューの形態を示す断面図である。
【図12】 従来例の平面図である。
【図13】 図12のX−X断面図であり、(A)は従来例の1、(B)は従来例の2である。
【符号の説明】
10 履帯ゴムシュー
11 芯金
11A 外力受圧部
11J 縁取部
11P 抱込み部
11L 排土部
11M 孔(リベット孔
12 シュー
12C 凸部
12D 応力緩和部

Claims (3)

  1. 帯板状の芯金(11)および前記芯金(11)の外表面側を被覆しゴム材料で形成されたシュー(12)を備えた履帯ゴムシュー(10)であって、
    前記芯金(11)は、内方側に曲げられた縁取部(11J)がその外周縁に形成されており、
    前記縁取部(11J)における前記芯金(11)の帯長手方向に直交する方向の両側にそれぞれ切欠き形成による排土部(11L)が設けられている
    ことを特徴とする履帯ゴムシュー。
  2. 前記シュー(12)における前記帯長手方向の両端に、凸部(12C)による応力緩和部(12D)が形成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の履帯ゴムシュー。
  3. 前記芯金(11)の少なくとも前記帯長手方向の両端部には、前記芯金(11)と前記シュー(12)との接合を確実にするために前記ゴム材料が埋入された複数の孔(11M)が貫設されている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の履帯ゴムシュー。
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