JP4212823B2 - 期間インジケーター - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、含有液体の揮散によって表示が発現する期間インジケーター用表示基板およびそれを用いた期間インジケーターに関する。詳しくは液体不透過性部によって区切られ複数の表示部域が形成されてなる表示基板およびその表示基板中に常温揮散性又は加温揮散性の液体が含有されてなる途中表示および終了表示機能を有する期間インジケーターに関する。
【0002】
【従来の技術】
期間インジケーターには種々の形式があるが、含有液体量に応じて表示が発現するもの、逆に消失するものが一般的に使用されている。これらは、構成が比較的単純であり、製造が容易という利点がある一方で、期間終了のみを示すものであって、含有液体が揮散している途中の段階を明らかにできないという問題があった。
【0003】
本発明者らは、特許第3045651号に示したように期間の初期ないし有効期間中の表示と期間終期における表示機能を有する期間インジケーターや特願2002−14416号に示すように初期表示と終期における表示機能を有するもの、さらに中間表示機能を付加したものを種々開発しているが、構成が複雑になるとともに中間表示の明敏さを求めると製造時の表示部形成材の調製が難しくなるという問題があった。
【0004】
最近、液体状の防虫剤を用いた防虫効果の消滅時点を表示する機能を有する徐放性防虫剤についても、ライフスタイルや住環境の変化を反映したのかまたは使用者の手間を省く目的であるのか、衣替えに合わせた有効期間半年のものに加えて、有効期間が1年に伸びたものが店頭でかなり見られるようになってきている。この1年型の場合、有効期間の途中に衣替えの時も含め衣類の出し入れが行われ、使用者が防虫効果の表示に注目する機会が多くなるため、防虫効果が継続していて残存する防虫薬液が揮散している途中の段階を明瞭に表示できる表示基板への要望が非常に強くなってきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、期間終了時に加えて、含有液体が揮散している途中の段階における有効期間中の表示も、期間終了時と同様の明瞭な表示が可能となる表示基板を提供するとともにそれを用いた期間インジケーターを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、本発明者等は、基板材面上に部分的に積層された液体透過性で液体含有時に光に対し低屈折率を呈する形成材からなる表示部が設けられた表示基板に常温揮散性または加温揮散性の液体を含有後放置すると、揮散終期に表示が明瞭に発現することおよび含有液体の量によって期間終了の表示が明瞭に発現するまでの期間が異なることに着目し、これらの現象を1つの表示基板上で同時進行させることができるよう種々検討し本発明を完成した。
【0007】
本発明の期間インジケーターは、含有液体の揮散によって表示が発現する期間インジケーターにおいて、液体透過性を呈する基板材と、前記基板材の一部に液体不透過性を付与して形成され、前記基板材を少なくとも第1表示部域及び第2表示部域に区画して前記第1表示部域と前記第2表示部域との間での液体の移動を生じさせない液体不透過性部と、前記第1表示部域上に部分的に積層され液体透過性で液体含有時に光に対し低屈折率を呈する形成材からなる第1表示部と、前記第2表示部域上に部分的に積層され、液体透過性で液体含有時に光に対し低屈折率を呈する形成材からなる第2表示部と、前記第1表示部域及び第2表示部域のうち一方の表面近傍に形成された撥油性又は撥水撥油性の空隙からなる第3表示部と、前記第1表示部域及び第2表示部域のそれぞれに添加される液体とを備え、前記第1表示部域と前記第2表示部域とは、表面積、前記液体の添加量、及び、前記液体の種類のうち少なくとも1つにおいて相違することを特徴とする。
【0009】
本発明の期間インジケーターにおいては、前記基板材の液体不透過性部は、フッ素系の撥油剤または撥水撥油剤によって不透過性を付与されていることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の期間インジケーターは、前記液体は、常温揮散性又は加温揮散性の液体であり、前記第1表示部が前記第2表示部よりも早く発現するように、前記第1表示部域と第2表示部域とは、前記表面積、前記液体の添加量、及び、前記液体の種類のうち少なくとも1つにおいて相違することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の期間インジケーターは、前記第1表示部域への前記液体の添加量は、第2表示部域への前記液体への添加量よりも少なく、前記第3表示部は前記第2表示部域に形成されていることを特徴とする。
【0013】
上記のように、基板材面上に部分的に積層された液体透過性で液体含有時に光に対し低屈折率を呈する形成材からなる表示部を設けた表示基材に揮散性の液体を含有させた期間インジケーターは、従来から期間の終了を明敏に表示する機能を有するとして広く使用されており、本発明においても表示部の構成として最適なものとして選択した。
【0014】
かかる構成の表示部は、液体を含有させた後放置した場合、液体の揮散当初は表示部内部まで液体が浸透し光に対し低屈折率により透明化ないし基板材面の呈色と同化し表示されず、ある程度揮散が進み基板材中の液体が減少しても、基板材より高密度に構成されている表示部形成材中に液体が常に移行するため透明化ないし同化状態が継続する。さらに揮散が進み、表示部形成材中に存在する液体量が減少傾向になると次第に不透明化傾向になって、ほぼ消失するに至って不透明化状態になり視覚で認識できるため高感度な表示を呈するのである。
【0015】
従って、表示が出現するのは表示部形成材中に存在する液体量が減少傾向を示すとき以降になるため、当初、表示基板全体に含有される液体量が多いほど表示が出現するまでの期間が長くなるので、表示部が透明化ないし同化状態を示す液体量以上であれば所望の期間を設定することが可能になり、含有液体の種類を選択することにより期間の設定の自由度をさらに高めることも可能になる。
【0016】
かかる特徴を有する表示部を1つの基板材面上に複数設け、各表示部に同種の液体を異なる量または異種の液体を同量含有させるなどして、揮散させ、複数の異なる期間について終了表示させることにより、途中(中間)表示および終了表示可能な期間インジケーターを作製するためには、同種または異種の液体のどちらを使用する場合でも複数の表示部の間を区切り、表示部間でこれら液体が移行するのを防がなければならない。2枚の表示基板を間隔を開けて並べることによって液体の移行を防止するのも1つの実施態様といえるが、期間インジケーター製造工程上は1つの表示基板で構成されていることが好ましい。
【0017】
本発明の表示基材の基板材は液体透過性であるため、複数の表示部の間を区切る基板材の所望の部分に不透過性を付与して液体の不透過性部を設けることが必要である。不透過性を付与する物質としては、期間インジケーターとして含有される液体が1つの表示部域から他の表示部域へ移行するのを防止できるものであれば特に限定されない。化学的に不活性であれば特に好ましいが、液体によりやや膨潤されるものであっても必要な期間は液体の移行を防止できる堰き止め効果を有するものも使用できる。
【0018】
不透過性を付与する物質としては、フッ素系の撥油剤または撥水撥油剤、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、アクリル酸エステル共重合体、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、天然ゴムラテックス、カルナバワックス、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アルギン酸ソーダ等の高分子物質を基板材に含有される油性系ないしは水性系液体に応じて1種ないしは組み合わせて使用することができる。フッ素系撥水撥油剤は含有液体の種類を問わず最も高い不透過性を基板材に付与し、優れた液体不透過性部を形成することができるので好ましい。期間インジケーターとして設定される期間が非常に長期になる場合は、フッ素系撥水撥油剤の中でも溶剤形で皮膜形成性の高いものは非常に優れた液体不透過性が得られるのでより好ましい。フッ素系樹脂以外の高分子物質を用いて液体不透過性を得るには、基板材中の空隙を埋めることによって達成されるため皮膜形成性の高いものが好ましい。
【0019】
液体不透過性を基板材に付与する方法としては、印刷、各種塗工法により基板材に塗布、浸透させ繊維等の基板材構成材料表面を処理ないし空隙を埋めることによって液体の不透過性部を設けることができる。液体不透過性部が2つの表示部域を区切って形成されたとき一方の表示部域との境界点から液体不透過性部を通り他方の表示部域との境界点までの最短距離を不透過性部の幅と定義し、それと直交する方を長さと定義すると、その幅は、2mm〜10mmが好ましく3mm〜7mmがより好ましい。2mmより狭いと液体不透過性に問題が生じるおそれがあり、10mmより広ければ広いほど液体不透過性は担保できるが実用的ではない。長さは表示基板の幅ないしは表示部域の配置によっては表示部域の周囲に等しくなる。
【0020】
液体の不透過性部は基板材の所望の箇所に表面から裏面まで確実に形成されていなければならず、上記物質を印刷、各種塗工法により基板材に塗布する際は、十分浸透させるため可能な限り粘度を低くすることが好ましい。有機溶剤系塗布液を用いると粘度を低くでき好ましい方法の1つといえる。
【0021】
本発明の表示基板の液体の不透過性部基板材が部分的に欠損した形状を呈していると含有液体が移動しにくくなるため液体不透過性をより高めることができ好ましい。いわゆる通り道を狭くする効果であるが、不透過性部基板材を部分的に欠損させるには、設けられた不透過性部の端部から内側に向かって部分的に切り取るなどして、表示部域より不透過性部をくびれさせることによって実現できる。
【0022】
同様な効果は液体不透過性部の端部ではなく内側部分を1ヶ所以上切り抜いて欠損させることによっても達成することができる。欠損箇所が増えるほど通り道が狭くなり含有液体が移動しにくくなる。
【0023】
あらかじめくびれた形状としたり切り抜いたりして欠損させた基板材に、上記不透過性を付与する工程を実施しても、基板材に不透過性を付与した後、打ち抜きなどによりくびれさせたり切り抜いたりして表示基板を作製しても構わず、その順序は適宜選択できる。
【0024】
基板材が湿式抄紙されて繊維配向性を有する場合は、繊維の配向方向と液体不透過性部の長さ方向が一致すると液体が移動しにくくなり好ましい。
【0025】
なお、液体不透過性部の密度を高くすることによっても液体不透過性を高めることができる。基板材に不透過性を付与する物質が熱可塑性を有し、基板材に空隙が残っているような場合、液体不透過性部だけを熱圧加工するのは、液体不透過性を高める有効な手段といえる。
【0026】
上記手段を適宜組み合わせて基板材に液体不透過性部を設けることにより、本発明の表示基板は、1つの基板材上に複数の表示部域を設けることが可能になる。表示部域の数は2つに限定されるものではなく、基板材の大きさ、表示部の大きさ、表示の多様性を考慮して決定される。また、表示部域の大きさや形も同じである必要はなく種々の大きさ、形を採用し組み合わせることが可能である。表示部域の大きさ(表面積)、含有液体量を変化させて組み合わせるだけで種々の表示期間を設定することが可能となる。また含有液体の種類が違えば揮散速度も大きく異なるので表示期間の設定範囲はさらに大きくとることが可能となり商品設計上の自由度が増すことになる。例えば、2つの表示部域の面積比が2:1の場合、同じ液体を同量含有させれば、一般的に揮散量は表面積に比例するので半分の面積の表示部域のほぼ半分の期間で大きな面積の表示部域が表示されることになる。
【0027】
本発明において、液体透過性を有する基板材としては、板紙、濾紙、合成繊維混抄紙等の紙材、不織布、フェルト状織物、無機繊維シート、セラミック系またはプラスチック系多孔質材など一般に多孔性構造材と称され、液体保持能力があると共に、液体の揮散状態に応じて順次残存する含有液体を表示部へ移行させることができ、含有液体に対して化学的に不活性なものであれば特に限定されない。シート状が好ましいもののブロック状、円柱状なども含め特に限定されない。なお、基板材は表示をより明瞭にさせるため、基板材全体または表示部の形成される表面が着色されていることが好ましい。着色される色相については、液体の含有時に濃色化されたときの明度が低くなるほど好ましい。液体の保持、揮散、移行について本発明の目的に反しない限り、基板材の表面に着色層が形成される場合も本発明の基板材に含まれる。
【0028】
本発明において、液体透過性を有する基板材の表面に設けられる表示部は、液体含有時に光に対し低屈折率を呈する無定形シリカ、カオリン、炭酸カルシウム等の白色無機顔料、プラスチックピグメント等の有機顔料の微粉粒体に、バインダーを混合した形成材を用いて形成される。バインダーとしては、酢酸ビニル、EVA、NBR、SBR、アクリル系その他のラテックス等を用いることができる。着色剤を加えることもできるが、液体を含有している時に表示されないよう基板材表面の呈色と同系色あるいは視覚的に認識できない色でなければならない。表示部から液体の揮散が終了し不透明化して表示が発現したときは基材とのコントラストが大きいことが望ましいため、表示部は白色ないし薄い色が好ましい。
【0029】
表示部を形成する液体含有時に光に対し低屈折率を呈する微粉粒体としては、無定形シリカが好ましく使用される。混合されるバインダーは微粉粒体を十分に固定でき、かつ液体透過性が得られる量であることが必要で、塗工方式の場合、一般に微粉粒体100質量部に対してバインダー10〜30質量部、印刷方式、特にスクリーン印刷では微粉粒体100質量部に対してバインダー50質量部程度が好ましい。なお、粘度調整剤として高分子物質を添加することもできる。
【0030】
各表示部域内の表示部は、文字、数字、記号、図形またはそれらの組合せとして形成できる。また、表示部は、基板材の表面に積層され上記形成材からなる平面形の表示部内に、文字、数字、記号、図形またはそれらの組合せた形に基板材面が露出させてなる部分が含まれるように形成されてもよい。この部分は、含有液体の揮散が終了し液体が含有されていないとき、不透明化した表示部形成層に囲まれ、露出された基板材面の色の文字、数字、記号、図形またはそれらの組合せた形がコントラストの強い、明瞭な表示として認識される。
【0031】
表示部の形成方法は、種々の塗布方法を適宜選択できるが、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷などの印刷法が好ましく用いられる。また、表示部が設けられた表示基板には、その基板材のもう一方の表面にポリプロピレン、ポリエステル等の合成樹脂材、ガラス材等の液体不透過性のプレート状ないしフィルム状のカバー材を積層し、さらにこのカバー材面上に接着剤ないし粘着材の層を形成したものも含めることができる。また、基板材の表裏両面に各表示部が設けられたものも同様である。
【0032】
本発明の表示基板には、複数の表示部域の少なくとも1つの表示部域内に液体をはじく性質を有する表示部を設けることができる。基板材面に液体をはじく性質を付与する物質、たとえばフッ素系撥水撥油剤を塗布して表面から一部浸透させて基板材の表面近傍に液体の侵入できない空隙が形成されるように構成する。この表示部は、液体が含有されたとき、その液体が表示部内に浸透することができないためその部分に空隙が形成され濃色化されないため淡色のまま残り、液体が浸透して濃色化された他の基板材面に比べはっきりと認識される。また、空隙であるため表示部下部の基板材中でも含有液体の揮散が可能で揮散したガスが表示部を通って放散され表示部下部に液体が滞留することがなく、そのため液体の揮散がすすみ基板材表面の含有液体量が減少し表示部周辺にも空隙が生じるようになると表示が認識できなくなる特徴がある。いわゆる期間インジケーターとして、最初は表示しているが揮散が進むにつれ表示が消える初期表示に適している。初期表示部は複数の表示部域のうち1つないしすべての表示部域に設けることができる。
【0033】
液体をはじく性質を付与する物質としてフッ素系撥水撥油剤は含有液体の種類を問わず、少量でも機能を発揮でき、ほぼ無色透明で基板材の風合いを損なわないため、表示基板から液体が揮散した後はほとんど認識できないという特徴があり好ましい。逆に塗付量が多すぎ、基板材の空隙を埋めてしまったり、基板材の表面に層状の樹脂皮膜を形成したりすると揮散終了後も表示が消えなくなり好ましくない。
【0034】
基板材表面にフッ素系樹脂を用いて撥油性または撥水撥油性を有する表示部を形成する際、液体の含有時にフッ素系樹脂が塗布された箇所が文字、記号ないしはその組み合わせとし表示基板の表面に表示されてもよく、逆に、文字、記号ないしはその組み合わせになるようフッ素系樹脂の塗布されてない箇所を設定し、その周囲の部分にフッ素系樹脂を塗布して表示されるようにしてもよい。いずれにしても液体含有時にそのフッ素系樹脂塗布部分には液体が浸透しないため濃色化しないで淡色を呈し、フッ素系樹脂の塗布されてない部分は液体が浸透して濃色化して、そのコントラストによって文字、記号ないしはその組み合わせとして視覚的に認識できる表示となる。
【0035】
表示部を形成するためフッ素系樹脂の塗布量としては、基板材の材料、表面形状等により適宜調整されるが、基板材の表面近傍に撥油性または撥水撥油性の空隙を形成するのに必要な量であれば足りる。スクリーン印刷の場合、固形分15質量%のフッ素系樹脂を用いてスクリーンメッシュ200〜60が適切な範囲である。塗布量としては溶剤型フッ素系樹脂の場合、3.0〜15.0g/m(固形分換算0.45〜2.25g/m)の範囲、より好ましくは5.0〜10.0g/m(固形分換算0.75〜1.5g/m)であり、水溶性樹脂タイプの場合、0.2〜10.0g/m(固形分換算0.03〜1.5g/m)の範囲、より好ましくは1.5〜6.0g/m(固形分換算0.225〜0.9g/m)である。
【0036】
本発明の期間インジケーターは、本発明の上記複数の表示部域を有する表示基板に液体を含有させて作製する。使用する含有液体については、当該表示基板に対して浸透性を有すると共に、化学的に不活性な常温揮散性または加温揮散性の液体を、表示したい期間、使用目的に応じて、添加量、液体の組合せを適宜選択できる。例えば、短期間表示には、水、エタノール等のアルコール、酢酸イソアミル等、長期間表示には、グリセリン、プロピレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール、リナロール、ゲラニオール等の芳香剤、更に1ヶ月以上にわたる長期間表示には、ラウリルアルコール、フタル酸ジメチル、安息香酸ベンジル、ミリスチン酸イソプロピル、シリコンオイル等、またはこれらの混合液を用いることができる。
【0037】
また、この含有液体については、常温揮散性または加温揮散性であって、それ自体あるいはその蒸気が一定の機能、例えば殺虫作用、防虫作用等を有効に発揮する液体であってもよい。例えば、O−(2,2−ジクロロビニル)−O,O−ジメチルホスフェイト、4−メチル−4−ヘプテン−1−イン−3−イル−d−シス,トランス−クリサンテマート、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル、2,2−ジメチル−3−(2,2−ジクロロエテニル)−シクロプロパン−1−カルボキシレートなどの油液状剤を挙げることができる。この液体には、ほぼ均一に混合できる揮発調整剤などの多機能成分を当該液体の機能に影響しない範囲で適宜配合することができる。
【0038】
液体を基材中に含有させる方法としては、浸漬法、注入法、滴下含浸法等既知の手法により行うことができ、液体の含浸量、種類は、目的とする表示期間に従って適宜調整される。
【0039】
本発明の期間インジケーターの表示機構は次のように説明できる。本発明の各表示部域の液体透過性で液体含有時に光に対し低屈折率を呈する形成材からなる表示部は、揮散が進むにつれ各表示部域内の液体は徐々に表示形成部に移行し、さらに揮散が進み終了時に近づくとその表示形成部にも液体が供給されなくなり表示形成部に空隙が生じ不透明化が進むと表示が発現するので、表示発現時の各表示部域の単位面積当たりの残存液体量は表示形成部がほぼ同じであれば各表示部域の大きさが異なってもほぼ同じとなる。一定の厚さを有するシートを基板材として用いた場合、本発明の表示基板の各表示部域は液体不透過性部で互いに区切られているので、各表示部域を含有液体の容器とみなすと、この容器の深さは同じで表面積が容器の大きさを決定するものとなる。同じ液体を含有させたとき、どれかの表示部域表面に特に液体不透過性層を設けない限りどの表示部域の揮散速度も単位面積あたりほぼ同じとみなせることから、各表示部域の単位面積あたりの含有液体量が表示される期間を決定する。従って、単位面積あたりの含有液体量の種々異なる各表示部域がそれぞれ設定された終了表示を次々に示すことにより、期間インジケーターとして中間表示、終了表示機能を示すことになるのである。
【0040】
本発明の各表示部域の液体透過性で液体含有時に光に対し低屈折率を呈する形成材からなる表示部は、表示部域に含有される液体の種類が異なっても表示部発現の機構は同じなので、表示部への供給が途絶えるような問題が生じない限り、表示発現時の各表示部域の残存液体量は表示形成部がほぼ同じであれば各表示部域の大きさが異なってもほぼ同じとみなすことができるので、各表示部域に含有される液体の種類、揮散速度が異なる場合、単位面積あたりの含有液体量とその液体の揮散速度の組み合わせが各表示部域の表示期間を決定する。揮散速度は液体により大きく異なるので期間の設定範囲を非常に大きく取ることができ、好ましい実施の態様の1つといえる。
【0041】
複数の表示部域の1つまたは全ての表示部域内にフッ素系の撥水撥油剤などを用いて液体をはじく性質を有する表示部を設けた表示基板に常温揮散性または加温揮散性の液体を含有させた期間インジケーターにおいては、フッ素系の撥水撥油剤の塗布部に液体が浸透できないので含有液体の揮散初期は淡色の表示部が発現し、いわゆる初期表示機能、中間表示機能、終了表示機能を示すインジケーターとなり、上記のように単位面積あたりの含有液体量ないしは単位面積あたりの含有液体量とその液体の揮散速度の組み合わせを変数として種々の期間インジケーターを作製することができる。
【0042】
このように、本発明の期間インジケーターは、表示基板の各表示部域への液体添加量、液体の種類、または表示部域の表面積を変えたものを組み合わせるだけで、表示の発現時期を自在に調節可能となり、更に表示も明瞭であるため、利用者に終点のみでなく、途中経過を分かり易く示すことができる期間インジケーターを提供することができる。さらに初期表示を加えることもできるのでデザイン性の高い期間インジケーターを提供することもできる。
【0043】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。表示部域についても、中間表示が現れる表示部域を左側表示部域、終了表示あるいは初期表示と終了表示が現れる表示部域を右側表示部域としたが、実施例の説明の関係上、便宜的に決めたに過ぎない。
【0044】
実施例1
図1に示すように中央の液体不透過性部fで区切られ、同じ表面積の2つの表示部域A1、A2を有する表示基板Aを作製した。基板材とした青色湿式不織布(150g/m、20mm×54mm×400μm)の片面に、無定形シリカ+アクリル系バインダー(固形分比1/0.5)に分散剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム)、粘度調整剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム)を添加して調製した塗液を用いてスクリーン印刷により塗布量25g/mで塗工して図1に示す表示部a1の矢印表示「→→」および表示部a2の矢印および文字表示「→取替え」を設けた。次に、溶剤型フッ素系撥水撥油剤(ダイキン工業(株)製ユニダインTG−652、15質量%濃度)を基板材の表裏からノズルで注入塗布して、図1に示すように中央に幅3mmの液体の不透過性部fを形成し、2つの表示部域A1、A2を有する本発明の表示基板Aを作製した。形成された不透過性部fは、液体が含有されているときと同様基板材表面は濃色化されており、空隙がフッ素系撥水撥油剤でほぼ埋められているのが認められた。
【0045】
不透過性評価用試料1の作製
実施例1の表示基板を作製する際に、基板材とした青色湿式不織布に表示部の印刷を行わず液体の不透過性部だけを実施例1と同様に設けた後、不透過性部で区切られた青色の基板材の一方の側の表面の全面に、無定形シリカ+アクリル系バインダー(固形分比1/0.3)に分散剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム)、粘度調整剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム)を添加して調製した塗液を用いて塗布量15g/mでスクリーン印刷し、不透過性評価用試料1を作製した。
【0046】
実施例2
図2に示すように、中央の液体不透過性部fで区切られ、実施例1とほぼ同じ表面積の2つの表示部域B1、B2を有し、中央の液体不透過性部がくびれた形状の表示基板Bを作製した。基板材とした青色湿式不織布(150g/m、400μm)の片面に、無定形シリカ+アクリル系バインダー(固形分比1/0.5)に分散剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム)、粘度調整剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム)を添加して調製した塗液を用いてスクリーン印刷により塗布量25g/mで塗工して図1に示す表示部b1の矢印表示「→→」と表示部b2の矢印および文字表示「→取り替え」を設けた。次に、エマルション型フッ素系撥水撥油剤(旭硝子(株)製アサヒガードAG−970、18質量%濃度)を基板材の表裏から塗布、乾燥、150℃でキュアして、図2に示すように中央に幅5mmの液体不透過性部fを形成した後、中央の液体不透過性部fに部分的欠損部hが形成されたくびれ形状に打ち抜いて実施例1とほぼ同じ表面積の2つの表示部域B1、B2を有する本発明の表示基板Bを作製した。形成された不透過性部fは、液体が含有されているときと同様基板材表面は濃色化されており、空隙がフッ素系撥水撥油剤でほぼ埋められているのが認められた。
【0047】
不透過性評価用試料2の作製
実施例2の表示基板を作製する際に、表示部の印刷をしないで液体の不透過性部だけを実施例2と同様に設けた後、不透過性部で区切られた青色基板材の一方の側の表面の全面に無定形シリカ+アクリル系バインダー(固形分比1/0.3)に分散剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム)、粘度調整剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム)を添加して調製した塗液を用いて塗布量15g/mでスクリーン印刷し、実施例2と同様に打ち抜きを行って不透過性評価用試料2を作製した。
【0048】
実施例3
図3に示すように、液体の不透過性部fで区切られ、表面積の異なる2つの表示部域C1、C2を有し、液体の不透過性部fが端部より内側で部分的に切り抜かれた形状の表示基板Cを作製した。基板材とした青色湿式不織布(150g/m、400μm)の片面に、無定形シリカ+アクリル系バインダー(固形分比1/0.5)に分散剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム)、粘度調整剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム)を添加して調製した塗液を用いてスクリーン印刷により塗布量25g/mで塗工して図3に示す表示部c1の文字および矢印表示「A→」と表示部c2の矢印および文字表示「→Z」を設けた。次に、溶剤型フッ素系撥水撥油剤(ダイキン工業(株)製ユニダインTG−652、15質量%濃度)を基板材の表裏からノズルで注入塗布して、図3に示すように2つの表示部域C1、C2の表面積の比が2:1になる位置に幅5mmの液体不透過性部fを形成した後、液体不透過性部fに部分的欠損部hを2つ形成した形状に打ち抜いて、表面積の異なる2つの表示部域C1、C2を有する本発明の表示基板Cを作製した。形成された不透過性部fは、液体が含有されているときと同様基板材表面は濃色化されており、空隙がフッ素系撥水撥油剤でほぼ埋められているのが認められた。
【0049】
不透過性評価用試料3の作製
実施例3の表示基板を作製する際に、表示部の印刷をしないで液体の不透過性部だけを実施例3と同様に設けた後、不透過性部で区切られた青色基板材の表面積の大きい側の表面の全面に、無定形シリカ+アクリル系バインダー(固形分比1/0.3)に分散剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム)、粘度調整剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム)を添加して調製した塗液を用いて塗布量15g/mでスクリーン印刷し、実施例3と同様に打ち抜きを行って不透過性評価用試料3を作製した。
【0050】
不透過性評価用の比較試料の作製
不透過性評価用試料1、2、3のベースに用いた青色湿式不織布に、表示部の印刷や液体の不透過性部を設けないまま、不透過性評価用試料と同様、不織布シートの同一側半分の表面に、無定形シリカ+アクリル系バインダー(固形分比1/0.3)に分散剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム)、粘度調整剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム)を添加して調製した塗液を用いて塗布量15g/mで評価用試料1、2、3と同様スクリーン印刷によってベタ印刷し、不透過性評価用の比較試料を作製した。
【0051】
液体不透過性部の不透過性評価
実施例1、2、3で別途作製した不透過性評価用試料1、2、3と上記比較試料について、含有液体にフタル酸ジメチルを用いて液体不透過性部の堰き止め効果を評価した。
不透過性評価テスト:評価用試料1、2、3と比較試料の無定形シリカを含む塗液で覆われていない側の青色湿式不織布表面の中央1ヶ所に、シリンジを用いてフタル酸ジメチル50mgを注ぎ含有させた後、室温25℃で透明容器内に放置し、試料内にフタル酸ジメチルが浸透し拡がる状況を観察した。無定形シリカを含む塗液の被覆層境界部から被覆層がフタル酸ジメチルの浸透により透明化して湿式不織布の青色表面が透視できた先端までの長さを浸透長さ(mm)として表し、結果を以下に示した。
【0052】
Figure 0004212823
液体の不透過性部を設けなかった比較試料は、放置2日後で被覆層の約90%は含有液体が浸透して透明化しており、3日後には完全に透明化した。溶剤型フッ素系撥水撥油剤で液体不透過性部が形成された評価用試料は、不透過性部の表面が、液体含有時と同様に表面が濃色化されており、空隙がフッ素系撥水撥油剤でほぼ埋められているのが認められたことから予想された通り、いずれも浸透する兆候は3ヶ月後でも見られず、さらに期間を延長できると確信でき、不透過性部が充分に機能していることが判明した。少なくとも3ヶ月用のインジケーターの表示基板としての適性を有することが確認できた。従って、同様に液体不透過性部を形成した実施例1、2、3の表示基板の液体不透過性も極めて高いと判断される。
【0053】
実施例4
図4に示すように、中央の液体不透過性部fで区切られた右側の表示部域D2内に初期表示部d3として、液体をはじく性質を有する表示部が追加して設けられた以外は実施例1と同じ構成を有する表示基板Dを作製した。基板材とした青色湿式不織布(150g/m、20mm×54mm×400μm)の片面に溶剤型フッ素系撥水撥油剤(ダイキン工業(株)製ユニダインTG−652、15質量%濃度)を用いて、135メッシュスクリーン印刷により塗布量5.5g/m(固形分換算0.825g/m)で表示部d3の文字表示「開始」を設けた以外は、実施例1と全く同様にして、2つの表示部域D1、D2を有する本発明の表示基板Dを作製した。表示基板Dの液体不透過性部fは、液体が含有されているときと同様基板材表面は濃色化されており、空隙がフッ素系撥水撥油剤でほぼ埋められているのが認められたが、同じ溶剤型フッ素系撥水撥油剤を用いたにもかかわらず、かなり低塗布量であるスクリーン印刷により形成された表示部d3の文字表示「開始」は、基板材の空隙はほぼ塗布前と同様に保たれ、液体が含有されていない表示基板上の「開始」の文字は肉眼でほとんど識別できなかった。
【0054】
実施例5
実施例1の表示基板Aに、含有液体としてフタル酸ジメチルを使用して2つの表示部域を有する期間インジケーターAIとした。図1の左側の表示部域A1内の3ヶ所にシリンジでフタル酸ジメチル16mgを分注し、右側の表示部域A2内の3ヶ所にシリンジでフタル酸ジメチル34mgを分注した。フタル酸ジメチルが揮散しないようポリエチレン製袋の中に分注後の表示基板を1日間静置して2つの表示部域内に均等に拡散させ、期間インジケーターAIを準備した。この期間インジケーターAIを幅50cm×奥行き50cm×深さ14cmの上蓋式のプラスチック製容器の底中央に置き、容器の上蓋は1日1回1分間だけ開放させる方式で、含有液体のフタル酸ジメチルを揮散させ本発明の期間インジケーターAIの表示の変化を観察した。なお、表示基板への分注、拡散、揮散は温度20℃の条件下で実施し、プラスチック製容器は特に密閉性の高いものではなく、容器内には期間インジケーターAI以外には何も入れず空の状態で揮散させた。
【0055】
表示基板Aにフタル酸ジメチル(図示せず)を分注してから期間インジケーターAIの揮散が終了するまでに各表示部が示した変化の状況を図に従って説明する。実施例1の同じ面積の2つの表示部域A1、A2を有する表示基板Aにフタル酸ジメチルを分注後静置して、表示基板A内に浸透拡散させる間については、分注量の多い右側表示部域A2は表示部が透明化して見えなくなるのも表示部域全体が均一になるのも早く、濃色化の程度も分注量の少ない左側表示部域A1に比べ濃く呈色した。揮散中の左側表示部域A1は徐々に淡色化し、揮散開始から11日目に表示の発現が始まり、やや薄青の矢印表示「→→」が認められた。図5に示したように、翌日の12日目には白色の矢印表示「→→」がはっきりと認められ、揮散が終了したものと判断された。右側表示部域A2も徐々に表面の淡色化は進んだが、左側表示部域の揮散が終了したときでも揮散開始当初の左側表示部域の表面と同程度の呈色であった。右側表示部域A2の表面の淡色化はさらに進み揮散が継続しているのが認められ、左側表示部域の揮散の終了から11日目、即ち揮散開始から22日目に右側表示部域の表示の発現が始まり、やや薄青の矢印および文字表示「→取替え」が認められた。翌日の23日目には白色の表示「→取替え」がはっきりと認められ、揮散が終了したものと判断された。本発明の期間インジケーターAIは、左側表示部域A1と右側表示部域A2の表示期間の差は約2倍で中間点と終点を明瞭に示すインジケーターであることが確認された。また、含有液体として防虫用油液を用いた場合の有効期間表示として適しているとの確信が得られた。
【0056】
比較例1
基板材の中央に液体不透過性部を設けなかった以外は、実施例1と同様に作製した表示基板を用いて、含有液体としてフタル酸ジメチルを50mg使用して実施例5と同様に作製した従来の期間インジケーターについて比較したところ、揮散当初の表面の呈色は実施例1の左側表示部域と右側表示部域のほぼ中間で、表示部の発現は揮散開始から19日目に始まり、やや薄青の矢印および文字表示「→→→取替え」が認められた。翌日の20日目には液体含有前と同じ白色の表示となってはっきりと認められ、この従来の期間インジケーターに比べ、実施例5の本発明の期間インジケーターの表示期間はやや長いことが判明した。
【0056】
実施例6
実施例4の表示基板Dを用いた以外は、実施例5と同様にして本発明の期間インジケーターDIを作製し、揮散条件も実施例5と同様に行った。表示基板Dにフタル酸ジメチルを分注してから期間インジケーターDIの揮散が終了するまでに各表示部が示した変化の状況を図に従って説明する。実施例4の同じ面積の2つの表示部域D1、D2を有する表示基板Dにフタル酸ジメチルを分注後静置して、表示基板D内に浸透拡散させたとき、初期表示部として設けられ表示部d3は、フタル酸ジメチル(図示せず)の拡散にともなって右側表示部域D2の表示部d2が透明化して見えなくなると同時に、淡青色の文字表示「開始」として発現した。その後、左側表示部域D1の表示部d1も透明化して見えなくなり、表示部d3だけが淡青色の文字表示「開始」として発現している状態を図6に示した。表示部d3以外は、実施例5と同様に、分注量の多い右側表示部域D2は表示部d2が透明化して見えなくなるのも表示部域全体が均一になるのも早く、濃色化の程度も分注量の少ない左側表示部域D1に比べ濃く呈色した。なお、初期表示部d3を分注量の多い右側表示部域に設けたのは、当初、分注量の少ない左側表示部域としたが液体含有時における左側表示部域表面の呈色がやや淡いため、淡色の表示部d3とのコントラストが小さく表示として認識され難く、初期表示として不適当と判断されたためである。
【0057】
期間インジケーターDIが容器内で揮散を開始すると、初期表示部として設けられた表示部d3は、早くも揮散開始から2日目と3日目の間でぼやけ始め、3日目の半ばには肉眼で確認ができなくなり、図7に示したように全ての表示部d1、d2、d3が認識できない状態のまま揮散が進み、左側表示部域D1の表示部d1の発現が始まるまで続いた。その後は、若干の差はみられたものの、初期表示部d3の追加が表示部d1、d2の発現日を変えるほどの影響は見られず、実施例5とほとんど同じ経過を示した。本発明の期間インジケーターDIは、初期表示を示すとともに、左側表示部域と右側表示部域の表示期間の差は約2倍で中間点と終点を明瞭に示すインジケーターであることが確認されたと同時に、含有液体として防虫用油液を用いた場合の有効期間表示として適しているとの確信も得られた。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、期間終了時に加えて、含有液体が揮散している途中の段階における有効期間中の表示も、期間終了時と同様の明瞭な表示が可能となる表示基板を提供するとともにそれを用いた期間インジケーターを提供することができる。
【0059】
さらに、1つの基板材上に複数の表示部域を設けられることから、表示部域の大きさ、形状、含有液体の種類、含有量を種々組み合わせることによって表示期間の設定範囲を広くとることが可能で商品設計上の自由度の高い表示基板を提供するとともにそれを用いた期間インジケーターを提供することができる。
【0060】
また、含有する液体が防虫機能等を発揮する場合には、期間表示、有効期間表示とともにそれらの作用を併用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の表示基板Aの模式平面図
【図2】実施例2の表示基板Bの模式平面図
【図3】実施例3の表示基板Cの模式平面図
【図4】実施例4の表示基板Dの模式平面図
【図5】実施例5の期間インジケーターAIの左側表示部域A1に設けられた表示部a1のみ現れている模式平面図
【図6】実施例6の期間インジケーターDIの揮散開始前に右側表示部域D2に設けられた初期表示部d3のみ現れている模式平面図
【図7】実施例6の期間インジケーターDIの揮散中に表示部d1、d2、d3の全てが消えている模式平面図
【符号の説明】
AI,DI・・・・・期間インジケーター
A,B,C,D・・・・・表示基板
A1,B1,C1,D1・・・・・左側表示部域
A2,B2,C2,D2・・・・・右側表示部域
a1,b1,c1,d1・・・・・中間(途中)表示部
a2,b2,c2,d2・・・・・終了表示部
d3・・・・・初期表示部
f・・・・・液体不透過性部
h・・・・・液体不透過性部の欠損部

Claims (4)

  1. 含有液体の揮散によって表示が発現する期間インジケーターにおいて、
    液体透過性を呈する基板材と、
    前記基板材の一部に液体不透過性を付与して形成され、前記基板材を少なくとも第1表示部域及び第2表示部域に区画して前記第1表示部域と前記第2表示部域との間での液体の移動を生じさせない液体不透過性部と、
    前記第1表示部域上に部分的に積層され液体透過性で液体含有時に光に対し低屈折率を呈する形成材からなる第1表示部と
    前記第2表示部域上に部分的に積層され、液体透過性で液体含有時に光に対し低屈折率を呈する形成材からなる第2表示部と、
    前記第1表示部域及び第2表示部域のうち一方の表面近傍に形成された撥油性又は撥水撥油性の空隙からなる第3表示部と、
    前記第1表示部域及び第2表示部域のそれぞれに添加される液体と
    を備え、
    前記第1表示部域と前記第2表示部域とは、表面積、前記液体の添加量、及び、前記液体の種類のうち少なくとも1つにおいて相違する
    ことを特徴とする期間インジケーター
  2. 前記基板材の液体不透過性部は、フッ素系の撥油剤または撥水撥油剤によって不透過性を付与されていることを特徴とする請求項1記載の期間インジケーター。
  3. 前記液体は、常温揮散性又は加温揮散性の液体であり、前記第1表示部が前記第2表示部よりも早く発現するように、前記第1表示部域と第2表示部域とは、前記表面積、前記液体の添加量、及び、前記液体の種類のうち少なくとも1つにおいて相違することを特徴とする請求項1又は2記載の期間インジケーター。
  4. 前記第1表示部域への前記液体の添加量は、第2表示部域への前記液体への添加量よりも少なく、前記第3表示部は前記第2表示部域に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の期間インジケーター。
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