JP2561976Y2

JP2561976Y2 - 表示機能付殺虫又は防虫材

Info

Publication number: JP2561976Y2
Application number: JP1990077507U
Authority: JP
Inventors: 隆良岡野
Original assignee: Osaka Pharmaceutical Co Ltd
Current assignee: Osaka Pharmaceutical Co Ltd
Priority date: 1990-07-20
Filing date: 1990-07-20
Publication date: 1998-02-04
Anticipated expiration: 2005-07-20
Also published as: JPH0435778U

Description

【考案の詳細な説明】［産業上の利用分野］本考案は、それ自体殺虫機能又は防虫機能を発揮する
と共に、その機能の終了時点を表示する殺虫又は防虫材
の改良構成に関する。

［従来の技術］旧来のナフタリン、パラジクロールベンゼン等の昇華
性薬剤をそのまま定形化した殺虫又は防虫材に代って、
常温揮散性の液状の殺虫剤又は防虫剤を合成樹脂材中に
含有保持させてこれを一定状に成形したものが考案され
るに至っている。また、上記した形態の殺虫又は防虫材
に於いては、常にその外形が定形に維持される反面、前
記旧来のものとは異なって、殺虫又は防虫機能の終了時
点が含有薬剤の無臭性と相俟って不明確である。

この点を改良すべく、表示機能を備えた殺虫又は防虫
材も現在考案されるに至っている。この従来の殺虫又は
防虫材の例は、紙、不織布等の油液透過性の基材シート
と、この基材シート面上に油液透過性で光に対し低屈折
率の材料を積層した表層と、及び基材シート中に含有せ
しめられた常温揮散性で液状の殺虫剤又は防虫剤とから
なり、当初、基材シートからこの薬剤が浸透することに
よって前記表層が透明化し、また薬剤が揮散消失した後
に於いては前記表層が不透明化することによってその表
示機能が発揮される。

［考案が解決しようとする課題］上記した従来例に於いて、基材シートは薬剤を収容す
る受器として機能し、その含有する薬剤は有効期間中絶
えず表層に移行される。これによって、薬剤が存在する
表層は、透明状態に維持され表示機能が有効に発揮され
る。しかし、基材シートは油液透過性からなるため、そ
の厚がシート状と呼ばれる一定以上のものとなる場合に
は、基材シートから表層への薬剤の移行が不十分とな
り、表示機能部での終了表示と実質的な終了時とにくい
違いが生じることになる。このため、従来例に於いては
含有し得る薬剤の量が極く少量に限定され、長時間に亘
って使用可能なものは得られなかった。

そこで、本考案では、殺虫機能又は防虫機能とその有
効表示機能とを長期間に亘って安定した状態で併有せし
め得る表示機能付殺虫又は防虫材の提供を目的とした。

［課題を解決するための手段］上記した目的を達成するため、本考案は表示機能付殺
虫又は防虫材につき、次の構成とした。

即ち、油液透過性の基材シートの一片面上に油液透過
性で光に対し低屈折率の表層を積層した表示機能部が、
この表示機能部の前記基材シートの他片面を合成樹脂材
中に常温揮散性で液状の殺虫剤又は防虫剤を含有保持さ
せた薬剤含有プレートの面上に融着することにより積層
されてなることを特徴とする。

上記した本考案の構成特徴に於いて、基材シートと薬
剤含有プレートとの積層固着は、融着法によることがで
きる。また基材シートの材料としては、紙、板紙、合成
繊維混抄紙、不織布フェルト状織物、無機繊維等の油液
透過性材が適用されるが、上記した融着法による場合、
この基材シートの形成材料に薬剤含有プレートの形成材
料と相互に融着可能なものが含まれていることが好適条
件であるが、基材シート面が熔融化された合成樹脂プレ
ート上に部分的に侵入した状態で固定される構成であっ
てもよい。

また、常温揮散性の液状の殺虫剤としては、アレスリ
ン、テトラメスリン、フェニトロチオン、ダイアジノン
などを適用できる。また常温揮散性の液状の防虫剤とし
ては、０−（2,2−ジクロロビニル）−0,0−ジメチルホ
スフェート、４−メチル−４−ヘプテン−１−イン−３
−イルｄ−シス，トランスクリサンテマート、2,3,4,5,
6−ペンタフルオロベンジル2,2−ジメチル−３−（2,2
−ジクロロエテニル）−シクロプロパン−１−カルボキ
シレートなどを適用できる。

この殺虫剤又は防虫剤は、成形段階に於いて予め混入
しておくことによって、若しくは成形後に於いて含浸さ
せることによって合成樹脂プレート中に含有される。な
お、含浸法による場合、基材シートが積層固着後になさ
れてもよい。従って、プレートを形成する合成樹脂材と
しては、液状の殺虫剤又は防虫剤を予め混練し得るか若
しくは含浸含有し得る材料、例えば、ポリ塩化ビニル、
ナイロン等を適用することができる。

また、表層の形成は従来方法に従って無定形シリカ、
カリオン、炭酸カルシウム、パルプ粉末等の有機物など
の着色料を酢酸ビニル、EVA、NBR、SBN又は、アクリル
系その他のラテックスの混合下に塗布することによるこ
とができる。なお、この塗布は印刷法によってもよい。
またこの表層は、前記基材シート面上の全面に渡って積
層されていてもよいが、任意の模様乃至記号の平面形態
で積層されていてもよい。また上記結合剤の含有割合は
油液透過性に影響するが、着色料１に対して結合剤0.1
〜3.0重量部の混合割合であることが好適条件である。
また油液剤の含有時に十分な透過性機能を得るため、４
〜150g/m²（dry）の塗布厚であることが好適条件であ
る。また不透明下の表層色は基材シート面の着色に対し
目立つ色彩であることが好ましい。このため、基材シー
トの面上には予め顔料、染料等の着色料によって下地着
色しておくことができる。この場合も、前記同様に着色
料１に対し結合剤0.1〜0.3重量部の割合で混合すること
ができる。

また、薬剤含有プレートの裏面にも前記した表示機能
部を同様に設けることができ、又は油液透過性のシート
材若しくは油液不透過性のカバーシート材（例えば、ア
ルミ箔材等）を設けることもできる。さらに、上記のカ
バーシート材面には必要に応じて粘着層を設けることも
できる。

［作用］本考案に於いて、薬剤含有プレート中からその表面上
に露出状の殺虫剤又は防虫剤の薬剤は基材シート中にま
で透過しさらに表層にまで及んでその表層部を透明化す
る。表層部ではその光に対する低屈折率性に応じて基材
シート面を透視させる。なお、下地着色を有する場合に
はその下地着色が透視される。その基材シート乃至は表
層にまで及んだ薬剤はその常温揮散性によって外部周囲
に揮散放出され、薬剤の殺虫又は防虫作用が発揮され
る。

この薬剤はその揮散性能に応じて絶えず薬剤含有プレ
ート面上の露出状となって上記した機能が継続される。
この際、基材シートは上記した薬剤の露出作用を妨げ
ず、却ってその毛細管現象によってその作用を促進す
る。また表層では新たな薬剤の移行がなく、しかも存在
する薬剤が揮散消失した時点で不透明化状態となる。こ
の時点に於いて外部からは表層の着色乃至は形状が確認
され、その終了時が明示されることになる。これによっ
て表示機能が発揮される。

［実施例］本考案に係る実施例での表示機能付防虫材Ａを第１図
に、及びその使用態様にて第５図に示した。この防虫材
Ａは、薬剤含有プレート１と、このプレート１の一片面
上に融着積層せしめた表示機能部３とからなる。薬剤含
有プレート１は、ポリ塩化ビニル樹脂材の成形過程に於
いて防虫剤である４−メチル−４−ヘプテン−１−イン
−３−イルｄ−シス，トランスクリサンテマートを0.5g
予め混合し、これを寸法4cm×3cm×2.0mm大のプレート
として成形したものである。２は薬剤であり、上記した
防虫剤を示す。また表示機能部３は、0.5mm厚の不織布
シートからなる基材シート４と、この基材シート４面上
に無定形シリカの白色着色料を50μ厚で塗布することに
よって形成した表層５とからなる。なお、上記の着色料
に対しては結合剤としてアクリル樹脂を2.0重量％の割
合で混合し、またその塗布は印刷法によった。また表層
５は第５図に図示する文字の形態で部分的に形成した。

この防虫材Ａに於いて、薬剤２は表示機能部３の融着
加工後、プレート１の表面上に露出状となって速やかに
基材シート４及び表層５中に浸透した。この浸透により
外表面にまで及んだ薬剤２は、第２図に示すように、周
囲に揮散状態となる。この薬剤２の揮散はプレート１の
裏面からも同様に生じる。このときの揮散ガス2a…によ
って、周囲の一定領域に於いて防虫作用が発揮されるこ
とになる。

なお、使用途中の防虫材Ａ′では第３図に示すよう
に、表層５について入射光６は基材シート４面上にまで
透過して及び、その反射光７のみが確認され、従って、
表層５が隠蔽状態となる。また表層５に於いて薬剤２が
揮散消失した第４図に示す防虫材Ａ″では、表層５が不
透明化して入射光６はその表面で反射光７′を生じさ
せ、今度は表層５での着色乃至は文字が確認されること
になる。

冬季から初夏にかけて、この防虫材Ａを500l容積のタ
ンス内に第５図に示すようにフック11で吊るした形態で
使用した場合の有効期間特性を第６図に特性Ｐで示し
た。なお、フック部11はその下至端に備える固定部12の
凹部13で防虫材Ａの上縁中央部を挟持固定することによ
って配設されている。14はタンス内に渡された支持軸で
ある。

特性Ｐ上のe₁点は終了表示が現れた時点であり、約６
ヶ月の期間に於いて防虫作用が発揮されたことを示す。
この防虫作用の有効性は同時に通常の態様でタンス内に
収納した衣服について確認した。なお、特性Ｑは対照で
あり、前記した表示機能部３のみで構成された防虫材を
同様に使用した場合の特性であって、e₂点は終了表示が
現れた時点である。またこの対照の薬剤含有量は基材シ
ート中に0.3gであった。

次に、本考案の他の実施例を説明する。

先ず、第７図に示す表示機能付防虫材Ｂは、防虫材Ａ
について、プレート１の裏面上にさらに油液透過性のカ
バー材８を融着積層せしめたものである。このカバー材
８は薬剤が衣服に付着するのを防止すると共に、薬剤の
揮散も有効に生じさせ得る。

また、第８図に示す表示機能付防虫材Ｃは、薬剤含有
プレート１の両面上に表示機能部３が夫々形成されてな
るものである。この防虫材Ｃでは、その両面にて表示機
能が発揮され、より正確な表示を得ることが可能とな
る。

また、第９図に示す表示機能付防虫材Ｄは、防虫材Ａ
につきその裏面上にアルミ箔材である油液不透過性のカ
バー材９を固着し、さらにこのカバー材９面上に粘着層
10を設けたものである。この防虫材Ｄでは第10図にＤ′
で示すように、壁面15等上に固定して利用することが可
能となる。

また、第11図に示す表示機能付防虫材Ｅに於いては、
薬剤含有プレート１の一片面上に表示機能部３′を融着
積層せしめたものであり、この表示機能部３′は基材シ
ート４面上に下地着色層4aを設け、この下地着色層4a面
上の全面に渡って表層５′が形成されている。この表層
５′に於いて薬液２の存在下、入射光６は透過して下地
着色層4a面での反射光７″が確認され、また表層５′か
ら薬液２が揮散消失した防虫材Ｅ′では、第12図のよう
に、様相５′面上での反射光７′が確認されることにな
る。このような表示機能部３′面での顕色に違いを生じ
させることによってその表示機能は発揮されることにな
る。

また、上記した各実施例は夫々防虫材に関するもので
あったが、薬剤を前記したような常温揮散性の液状の殺
虫剤に置換することによって全く同様に表示機能付殺虫
材として構成できる。

［考案の効果］本考案は上記したような構成を特徴とするから、次の
ような効果を奏する。

先ず、薬剤は薬剤含有プレート中に比較的に多量に保
持させることができるから、長期間に亘って殺虫又は防
虫作用を発揮させる継続使用が可能となる。この結果、
約６ヶ月後の季節の変り目に取り換えれば良いという用
法が可能となる。

また、薬剤は合成樹脂プレート中に含有状態にあるか
らその保持状態は極めて安定であり、使用中漏出するこ
とがなく、また必要以上の薬剤の揮散を生じさせない。
従って、経済的な利用を図ることができる。

また、表示機能部により、効力の終了時点が確認でき
るほか、その基材シートが融着積層される構成によって
薬液含有プレート中から薬液の露出が促進されるから、
終了時に至るまで有効な殺虫又は防虫作用が発揮され
る。

【図面の簡単な説明】

第１図…本考案に係る表示機能付防虫材の縦断面図、第
２図…同縦断面図、第３図…同縦断面図、第４図…同縦
断面図、第５図…同使用時の斜視図、第６図…同有効期
間特性図、第７図…同縦断面図、第８図…同縦断面図、
第９図…同縦断面図、第10図…同縦断面図、第11図…同
縦断面図、第12図…同縦断面図。図面符号の説明Ａ〜Ｅ…表示機能付防虫材、１…薬液含有プレート、２
…薬剤、3,3′…表示機能部、４…基材シート、5,5′…
表層。

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】油液透過性の基材シートの一片面上に油液
透過性で光に対し低屈折率の表層を積層した表示機能部
が、この表示機能部の前記基材シートの他片面を合成樹
脂材中に常温揮散性で液状の殺虫剤又は防虫剤を含有保
持させた薬剤含有プレートの面上に融着することにより
積層されてなることを特徴とする表示機能付き殺虫又は
防虫材。
【請求項２】表層が、任意の模様乃至記号の平面形態で
基材シートの面上に部分的に積層されてなることを特徴
とする請求項１の表示機能付き殺虫又は防虫材。