JP4211355B2 - インクパッケージの包装体およびインクパッケージの包装体の製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、インクパッケージの包装体およびインクパッケージの包装体の製造方法に関し、特に、インクの脱気度の劣化を抑制することができるインクパッケージの包装体およびインクパッケージの包装体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開平11‐129489号公報に開示されているように、インクジェット記録装置に用いられるインクを密閉して構成されるインク袋が知られている。このインク袋の開口周縁には筒状部材が固着されており、その筒状部材内には、インク袋体の外部と内部との連通を遮断する弾性シール材が嵌挿されている。このインク袋は、筒状部材をカートリッジケースの側面から露出するように固定しつつ、カートリッジケースの内部に収納された状態でインクジェット記録装置に装着される。カートリッジケースが装着されると、インクジェット記録装置側のインク供給針によって、筒状部材に嵌挿されている弾性シール材が突き破られる。こうしてインク袋に密封されたインクは、インク供給針に連設するチューブを介して、インクを被記録媒体に吐出する記録ヘッドに供給される。
【0003】
ここで、このインクジェット記録装置に用いられるインクは、原材料を溶解する工程と濾過工程とによって製造されるが、製造したインクをそのままインク袋に充填して使用すると、インク中に溶存している窒素、酸素、炭酸ガス等の各種のガスが記録ヘッド内に浸入して気泡を発生させ、記録ヘッドからインク滴を吐出できなくり、印字不良を引き起こす。そのため、インク袋にインクを充填する前にインク中の溶存ガスを減らす脱気処理を行っている。この脱気処理の方法としては、インクを圧力容器中で減圧しながら攪拌する方法や、気体分離膜を用いた脱気装置により脱気する方法などが採用されている。
【0004】
しかし、脱気処理をした脱気インクをインク袋内に密封し、そのインク袋を輸送する場合や、未使用のまま長期間保存する場合には、その間に空気中の酸素等が再びインク中に溶解することになる。そこで、特公平3−61592号公報には、空気中の酸素等が再びインク中に溶解するのを防止するために、脱気インクを充填した袋体をインク容器内に収納し、更に、そのインク容器を真空チャンバー内にて、プラスチックまたはゴム容器あるいは缶状の金属容器等の密閉容器に収納して密閉することにより、インク容器を大気圧より低い減圧状態下で輸送、保存等する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−129489号公報(図1等)
【特許文献2】
特公平3−61592号公報(第4列第4行目〜7行目等、図1等)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した通り、インクジェット記録装置に用いられるインクは、印字不良を防止するために、高い脱気度を維持しておく必要がある。一方、特公平3−61592号公報に記載された技術によっても、高いインクの脱気度を維持することはできるものの、例えば、キャリッジ上に複数個搭載される小型のインク容器の場合には、プラスチックで成形したとしても筐体を構成する各面が比較的小さいために、該インク容器を密閉容器に収納して減圧状態にしたとき、その減圧によって筐体がわずか潰れるが、実用上支障がでるほどではない。しかし、インク容器の容量を大きくしたり、筐体を扁平形状にしたりすると、筐体を構成する面が大きくなって、減圧によって変形してしまい、記録装置本体への装着ができなくなったり、インク容器からインクが漏れるという問題点があった。
【0007】
本発明は、この問題を解消すべくなされたものであって、特に、インクの脱気度の劣化を抑制することができると共に、インクパッケージの変形や破損を防止することができるインクパッケージの包装体およびインクパッケージの包装体の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために請求項1記載のインクパッケージの包装体は、内部にインクを密封する遮気性のインクパッケージと、該インクパッケージを内包する包袋とを含む遮気性を有するものであって、前記インクパッケージは、柔軟性を有する袋体と、その袋体の開口周縁部の内面に外周面を固着され前記袋体の内部と外部とを連通する連通路を有するスパウトとを備え、前記袋体の内部には、インクが消費される前の状態において前記連通路に達しない位置までインクが充填されているとともに、前記連通路とインクとの間の空間に希ガスを充填し、且つ、その希ガスの圧力と同一圧力の希ガスを前記包袋の内部に充填した。
【0009】
【0010】
請求項2に記載のインクパッケージの包装体は、請求項1に記載のインクパッケージの包装体において、前記遮気性のインクパッケージは、アルミニウム合金層を備えている。
【0011】
請求項3に記載のインクパッケージの包装体は、請求項1又は2に記載のインクパッケージの包装体において、前記希ガスは、ヘリウムである。
【0012】
【0013】
請求項4に記載のインクパッケージの包装体の製造方法は、柔軟性を有する遮気性の袋体と、その袋体の開口周縁部の内面に外周面を固着され前記袋体の内部と外部とを連通する連通路を有するスパウトとを備え内部にインクを密封する遮気性のインクパッケージと、該インクパッケージを内包する遮気性の包袋とを含むインクパッケージの包装体に関し、スパウトの連通路まで達しない位置まで袋体の内部にインクを充填する工程と、連通路にキャップを圧入する前であって、包袋を封止しないまま、インクパッケージを内包した包袋をチャンバーに入れて、スパウトの連通路及び包装の内部を減圧する工程と、前記チャンバー内に希ガスを充填して、スパウトの連通路および包袋の内部に希ガスを充填する工程と、連通路にキャップを圧入するとともに、包袋を封止する工程とを備えている。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1(a)は、インクパッケージの包装体1の斜視図であり、(b)は、そのインクパッケージの包装体1に関する(a)におけるI−I断面図である。図2は、インクパッケージの袋体と収納ケースとを示す斜視図である。図3(a)は、インクパッケージの袋体の正面図であり、(b)は、(a)におけるIII−III断面図である。
【0018】
インクパッケージの包装体1は、上述したように脱気処理した脱気インクを密封するインクパッケージ2と、そのインクパッケージ2を内包する包袋4とによって構成され、その包袋4の内部はヘリウムガスで充填されている。
【0019】
インクパッケージ2は、インクを収納する袋体5と、収納ケース12とからなり、袋体5は、図3に示すように、複数枚のフィルムシートを積層して構成される積層構造を有する2枚のシート材料を、一部に開口部を残すように周縁部同士を溶着して袋状に形成され、その内部に脱気インクを充填する。その袋体5の開口部5aには、袋体5の内部と外部とを連通させる連通路6を有するスパウト7が、その外周面を開口部5aの内面に溶着して固着され、また、スパウト7の連通路6には、袋体5の内部と外部とを遮断するキャップ8が圧入されている。
【0020】
袋体5を構成するシート材料は、例えば、アルミニウム合金層を中心に、一側に接着層及びナイロン層(外面層)を、他側に接着層,ポリエチレンテレフタラート層、接着層及びポリプロピレン層(内面層)を順に積層して構成されている。このような積層構造を有するシート材料を用いることによって耐久性に優れ、特に、内面層にポリプロピレン層を配置することによって、袋体5の内部に充填されるインクに対する耐インク性に優れ、また、中間層としてアルミニウム合金層を配置することによって、新たなガスが袋体5を透過するのを遮断して、インクの脱気度が劣化するのを防止することができる。
【0021】
袋体5の開口部5aに溶着されるスパウト7は筒状に形成され、耐インク性に優れるポリプロピレンを主成分とする材料によって構成されている。即ち、袋体5の内面層を構成するポリプロピレン層と、その主成分を同一とするため、スパウト7の外周面に形成した複数のリブ7aを袋体5の内面に強固に溶着することができる。よって、新たなガスが袋体5とスパウト7との溶着部から侵入するのを抑制して、インクの脱気度が劣化するのを防止することができる。スパウト7を貫通する連通路6の両端からそれぞれ所定距離をおいた中間部には、連通路6の両端部の連通路18、19よりも内径を大きく形成され、キャップ8を収納する収納部21が形成されている。
【0022】
キャップ8は、例えばブチルゴムまたはそれに近い材料で構成され、後述するインク抽出針17の抜き刺しによってもインクを密閉する弾性復元力を有している。このキャップ8は、連通路6に形成された収納部21に圧入される。よって、このキャップ8にインク抽出針17を突き刺した場合であっても、連通路6の一端である連通路18によってキャップ8が、袋体5の内側に移動するのを防止できる。逆に、キャップ8からインク抽出針17を引き抜く場合には、連通路6の一端である連通路19によってキャップ8が、袋体5の外側に移動するのを防止できる。
【0023】
このように構成された袋体5を収納する収納ケース12は、図2に示すように、箱状に形成された一対のケース体を、袋体5の幅広面の両側から重ね合わせ、その内部に袋体5を収納できるように構成されている。一対のケース体は互いに略同様に構成されており、袋体5の幅広面を支持する底壁9と、その底壁9の縁部から立設された側壁10と、その側壁10の縁部によって形成される開口部11とによって構成されている。
【0024】
底壁9は、袋体5の幅広面と略同様な大きさに構成されている。側壁10の一部には、スパウト7を固定するための切り欠き部10aが備えられている。スパウト7は、この切り欠き部10aに嵌り込み、スパウト7の連通路6に圧入されたキャップ8は、収納ケース12の側壁10から露出している状態になる。この収納ケース12は、袋体5を収納した状態で包袋4の内部に内包される。
【0025】
インクパッケージ2を収納する包袋4は、袋体5と同様の空気を透過しない積層構造のシート材料を2枚重ね、その周縁部どうしを熱溶着することによって構成されている。よって、新たな空気が包袋4を透過して包袋4の内部に侵入し、更に、袋体5を透過して、インクに溶解し、インクの脱気度を劣化させるのを抑制することができる。
【0026】
インクパッケージ2を内包する包袋4の内部には、ヘリウムガスが充填されている。収納ケース12内にも、該収納ケースを構成する一対のケース体間の隙間からそのヘリウムガスが充満することになる。よって、たとえインクパッケージ2をヘリウムガスが透過しても、ヘリウムガスはインクに対する溶解度が空気よりも小さいので、インクパッケージ2に密閉されたインクに溶解するヘリウムの量は空気よりも減少し、インクの脱気度の劣化を抑制することができる。また、ヘリウムガスを充填した包袋4内は、減圧状態、正圧状態あるいは大気圧と同程度の状態のいずれでも可能である。減圧状態とした場合、包袋4外の大気圧によって包袋4が収納ケース12に密着するが収納ケース12が変形しない程度の圧力(たとえば−20kPaから−600kPa以上、好ましくは−40kPa以上)とする。正圧状態の場合、包袋4はヘリウムガスによって膨らんだ状態となる。正圧あるいは大気圧と同程度の状態の場合、インクパッケージの包装体1を輸送するときに落下させたり、インクパッケージの包装体1に圧力が加わっても、その衝撃力は包袋4の内部に充填されたヘリウムよって吸収され、収納ケース12が破損するのを防止することができる。
【0027】
尚、包袋4の内部に充填するガスとしては、ヘリウムガスに限定されるものでなく、インクに対する溶解度が空気よりも小さい不活性ガスであれば、ネオンガス等の希ガスを用いることもできる。
【0028】
次に、図4を参照して、上述したインクパッケージの包装体1の製造方法を説明する。図4は、インクパッケージの包装体1の製造方法を説明するための図である。まず、収納ケース12に収納した袋体5の内部にスパウト7の連通路6を介して、インクが充填される。この際、インクは、スパウト7の連通路6まで達しない位置まで袋体5の内部に充填される。よって、スパウト7の連通路6にインクが付着して、キャップ8を圧入した際に、連通路6に付着したインクによってキャップ8と連通路6との密着性が劣化するのを防止することができる。一方、インクがスパウト7の連通路6まで達しない位置までしか袋体5の内部に充填されないため、袋体5の内部には空間22が形成されることになる。
【0029】
次に、上述のようにインクが充填されたインクパッケージ2は、キャップ8がスパウト7の連通路6に圧入される前に、包袋4の内部に収納される。そして、インクパッケージ2を収納した包袋4は、封止されないまま真空チャンバー21の内に入れられ、袋体5内部に形成された空間22と、包袋4の内部とを減圧した状態にする。
【0030】
このように、袋体5内部に形成された空間22と、包袋4の内部とを減圧した状態にした後に、真空チャンバー21内をヘリウムガスで充填して、袋体5内部に形成された空間22と、包袋4の内部とを、ヘリウムガスで充填する。このときのヘリウムガスの量で包袋4内の圧力状態を決めることができる。その後、真空チャンバー21内において、キャップ8をスパウト7の連通路6に圧入すると共に、包袋4の開口部を熱溶着によりを封止して、インクパッケージの包装体1を製造する。
【0031】
こうして、製造されたインクパッケージの包装体1によれば、たとえ、包袋4の内部に充填されたヘリウムガスが、袋体5やスパウト7を透過しても、ヘリウムガスはインクに対する溶解度が空気よりも小さいので、袋体5に密閉されているインクに溶解するヘリウムガスの量は空気よりも減少し、インクの脱気度の劣化を抑制することができる。更に、スパウト7の連通路6に達しない位置までしかインクを充填しない場合であっても、袋体5の内部の空間は、ヘリウムガスで充填されているので、袋体5に密封されているインクに溶解するヘリウムガスの量は空気よりも減少し、一層、インクの脱気度の劣化を抑制することができる。
【0032】
また、上記の製造方法においては、袋体5の内部に形成された空間22を、包袋4の内部と同様にヘリウムガスで充填する場合について説明したが、真空チャンバー21内にヘリウムガスを充填する前に、スパウト7の連通路6にキャップ8を圧入すれば、包袋4の内部はヘリウムガスで充填され、袋体5の内部に形成された空間22は、大気圧より低い真空になる。このようにインクパッケージの包装体1を構成しても上述したのと同様に、たとえ、包袋4の内部に充填されたヘリウムガスが、包袋5やスパウト7を透過しても、インクの脱気度の劣化を抑制することができる。更に、スパウト7の連通路6に達しない位置までしかインクを充填しない場合であっても、袋体5の内部に形成された空間22は、大気圧より低い減圧状態にあるので、袋体5に密閉されたインクに溶解する空気は減少し、一層、インクの脱気度の劣化を抑制することができる。
【0033】
上述のように構成されたインクパッケージの包装体1をインクジェット記録装置に装着する場合には、包袋4を開封してインクパッケージ2を取り出し、図5に示すように、収納ケース12をインクジェット記録装置に設けたガイド面(図示せず)に沿わせて挿入し、キャップ8にインク抽出針17を突き刺し、チューブ等の供給路16を経てインクジェットヘッドにインクを供給する。
【0034】
図6,7は、インクパッケージ2の他の実施例を示す。本実施例において、収納ケース12の内部であって、袋体5の外面と収納ケース12の内面との間には、補強部材23が介在している。補強部材23は、収納ケース12を内包した包袋4の内部を、大気圧より低い減圧状態にした場合に、収納ケース12の外面に包袋4を介して作用する大気圧を吸収し、収納ケースが変形するのを防止するためのものである。
【0035】
この補強部材23は、袋体5の一方の幅広面側を包み込む凹部を有する第1井桁部材23a(図3における下方)と、他方の幅広面側を包み込む凹部を有する第2井桁部材23b(図3における上方)とによって構成されている。第1井桁部材23aと第2井桁部材23bとは同様に構成されているため、第2井桁部材23bについての詳細な説明は省略する。
【0036】
第1井桁部材23aは、袋体5の一方の幅広面側を包み込むための空間を形成する支持体24と、その支持体24の収納ケース12の内面に対峙する面に固着された井桁体25とによって構成されている。
【0037】
支持板24は、薄板形状をなし、インクを充填した状態の袋体5の一方の広幅面に対応した凹面形状に湾曲された凹部24cを有し、その両側に平坦な周辺部24a、およびスパウト7側の端部に立ち上がる壁部24bを備えている。凹部24cは、後述するように2つの井桁部材を対向させたとき、図7に示すようにスパウト7が位置する側へ拡大する空間を形成するように、スパウト7が位置する側が深く、他端に向けて漸次浅くなるように湾曲形成されている。支持板24は、袋体5とほぼ同じかそれよりもやや大きい平面形に形成されている。
【0038】
井桁体25は、袋体5と反対側の支持板4の面から直角に立ち上がった板状の複数枚の板状部材を縦方向と横方向とに井桁状に組み合わせて構成されている。袋体5と反対側の井桁体25の面は、収納ケース12(底壁9)の内面と略平行になるように形成されている。支持板4と井桁体25は樹脂材料により一体に成形することができるが、本井桁体25を紙製の材料(段ボール)で構成しても良い。
【0039】
上述のように構成された第1井桁部材23aと第2井桁部材23bとは、袋体5を挟むように重合される。支持板24は、袋体5の周縁部の大きさと同様に構成されているので、袋体5の周縁部は、両部材23a,23bの周縁部24aに挟まれた状態となる。また、スパウト7の連通孔6を有する筒状部分は、両部材23a,23bの壁部24bによって囲まれている状態になる。一方、袋体5の外面と収納ケース12の内面との間には、第1井桁部材23aと第2井桁部材23bの井桁体25が介在する。
【0040】
このように、補強部材23を用いることにより、前者の実施例のものよりも、収納ケース12を、より大きい平面をもつ扁平な形状に、あるいは壁が薄い構成にすることができる。
【0041】
以上説明したように、本インクパッケージの包装体1によって、インクパッケージ2を輸送する場合や、未使用のまま長期間保存する場合にも、インクの脱気度の劣化を抑制することができ、インク中に発生する気泡によって印字不良を引き起こすことを抑制でき、好適な印字状態を維持することができる。また、包袋4内を減圧状態とした場合には、ヘリウムガスは空気よりもインクに対する溶解度が小さいため、大気圧によって収納ケース12が変形しない程度の減圧状態でも、インクの脱気度が劣化することがなく、インクパッケージの容量を大きくしたり扁平にしたときに、従来のように高い減圧のためにケースが変形することがない。さらに、包袋4内を正圧あるいは大気圧と同程度の状態とした場合、インクパッケージの包装体1に衝撃が加わっても、その衝撃力を包袋4の内部に充填されたヘリウムガスよって吸収でき、収納ケース12が破損するのを防止することができる。
【0042】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0043】
例えば、上記実施例では、インクパッケージ2を、インクを収納する袋体5とそれを内包する収納ケース12とで構成したが、収納ケース12内に直接インクを収納するようにしても良いし、収納ケース12を排除して袋体5を包袋4に直接収納するようにすることをできる。
【0044】
【発明の効果】
請求項1に記載のインクパッケージの包装体によれば、袋体の内部には、インクが消費される前の状態において連通路に達しない位置までインクが充填されているので、連通路にインクを付着させることなく、連通路を封止することができる。例えば、連通路に弾性を有するキャップを圧入して連通路を封止する場合に、連通路にインクが付着していて、キャップと連通路との密着性が劣化するのを抑制することができる。また、インクパッケージとインクパッケージの包装体とは遮気性を有する上、連通路とインクとの間の空間と、包袋内には希ガスが充填されているので、インクパッケージ内のインクに外部から空気が進入し、インクに空気が溶解するのが抑制され、インクに気泡が発生するのを抑制でき、記録ヘッドから安定してインクを吐出させることができる。更に、連通路とインクとの間の空間と、包袋内とには同じ希ガスが充填されるので、両空間に希ガスを充填する工程を同時に行うことができ、製造効率を向上させることができる。また、連通路とインクとの間に充填されている希ガスの圧力と同一圧力の希ガスが包袋の内部に充填されているので、インクパッケージが変形したり破損したりするのを防止することができる。
【0045】
請求項2に記載のインクパッケージの包装体によれば、請求項1記載のインクパッケージの包装体の奏する効果に加え、前記遮気性のインクパッケージは、アルミニウム合金層を備えているので、新たなガスが袋体を透過するのを遮断して、インクの脱気度が劣化するのを防止することができる。
【0046】
請求項3に記載のインクパッケージの包装体によれば、請求項1又は2に記載のインクパッケージの包装体の奏する効果に加え、希ガスはヘリウムで構成されているので、材料コストを削減でき、製造コストの増加を抑制することができる。
【0047】
【0048】
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、インクパッケージの包装体を示す斜視図であり、(b)は、その(a)におけるI−I断面図である。
【図2】インクパッケージの分解斜視図である。
【図3】(a)は、袋体の正面図であり、(b)は、その(a)におけるIII−III断面図である。
【図4】インクパッケージの包装体の製造方法を説明するための図である。
【図5】インクパッケージとインク抽出針とを示す拡大図である。
【図6】インクパッケージの他の実施例の分解斜視図である。
【図7】図6の縦断面図である。
【符号の説明】
1 インクパッケージの包装体
2 インクパッケージ
4 包袋
5 袋体
6 連通路
7 スパウト
8 キャップ
12 収納ケース
17 インク抽出針(インク抽出部材)
Claims (4)
- 内部にインクを密封する遮気性のインクパッケージと、該インクパッケージを内包する包袋とを含む遮気性のインクパッケージの包装体であって、
前記インクパッケージは、柔軟性を有する袋体と、その袋体の開口周縁部の内面に外周面を固着され前記袋体の内部と外部とを連通する連通路を有するスパウトとを備え、
前記袋体の内部には、インクが消費される前の状態において前記連通路に達しない位置までインクが充填されているとともに、前記連通路とインクとの間の空間に希ガスを充填し、且つ、その希ガスの圧力と同一圧力の希ガスを前記包袋の内部に充填したことを特徴とするインクパッケージの包装体。 - 前記遮気性のインクパッケージは、アルミニウム合金層を備えていることを特徴とする請求項1に記載のインクパッケージの包装体。
- 前記希ガスは、ヘリウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクパッケージの包装体。
- 柔軟性を有する遮気性の袋体と、その袋体の開口周縁部の内面に外周面を固着され前記袋体の内部と外部とを連通する連通路を有するスパウトとを備え内部にインクを密封する遮気性のインクパッケージと、該インクパッケージを内包する遮気性の包袋とを含むインクパッケージの包装体の製造方法であって、
スパウトの連通路まで達しない位置まで袋体の内部にインクを充填する工程と、
連通路にキャップを圧入する前であって、包袋を封止しないまま、インクパッケージを内包した包袋をチャンバーに入れて、スパウトの連通路及び包装の内部を減圧する工程と、
前記チャンバー内に希ガスを充填して、スパウトの連通路および包袋の内部に希ガスを充填する工程と、
連通路にキャップを圧入するとともに、包袋を封止する工程とを備えていることを特徴とするインクパッケージの包装体の製造方法。
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