しかしながら、上述の記録ヘッドは流通先によっては空輸されることとなり、製造時よりも減圧環境にさらされることとなる。記録ヘッドを梱包するシート体の内部が減圧状態となると、記録ヘッドの密閉された内部空間の内圧が、記録ヘッドの外部の気圧よりも高くなる。そして、この圧力差が所定以上になると、ノズルプロテクタ内の空間(ノズルプロテクタとノズル形成面とによって仕切られる空間)の空気が外部に漏出する。この空気漏れに伴って、記録ヘッド内に貯留されてる液体が、ノズルを通じてノズルプロテクタ内の空間に流出し、さらには、ノズルプロテクタ内の空間から外部に漏出してしまうという問題点があった。
減圧環境下においても記録ヘッド内から液体を漏出させないように、インク吐出口にノズルプロテクタを強く圧接すれば、液体の漏出を回避し得るが、かかる場合にはノズル形成面に過剰な負荷がかかってしまう。ノズルプロテクタにて、ノズル形成面を強くまた持続的に押圧すると、ノズル形成面が初期状態(設計値)よりも奥方(インク吐出口とは反対方向)に押入されてしまう。その結果、記録ヘッドをインクジェット記録装置に装着した場合に、記録ヘッドのノズル形成面と被記録媒体との距離が設計値よりも遠くなり、記録ヘッドから吐出されるインクの着弾性能を低下させてしまうという問題点があった。
また、金属やガラス、セラミックなどの剛性材料にて形成された密閉容器(ジュラルミンケースやデシケータ等)を用いて記録ヘッドを収納(梱包)すれば、減圧環境下であっても密閉容器内の圧力を維持できるため、記録ヘッドからの流体の漏出を解消できるが、多大なコストがかかってしまうという問題点があった。
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、減圧環境下においても封入容器に封入された流体の漏出を抑制することができ、且つ低コストで製造することができる封入容器の梱包パッケージおよびその梱包パッケージの梱包具による封入容器の梱包方法を提供することを目的としている。
この目的を達成するために請求項1記載の封入容器の梱包パッケージは、流体が気体と共に封入された封入容器を梱包する梱包具を備えており、前記梱包具は、柔軟性を備えたシート材により形成され前記封入容器を内包して密封される第1袋体と、その第1袋体を収納して被包すると共に、前記第1袋体よりも高い剛性を有し、前記第1袋体の外側の外圧が前記第1袋体の内側の内圧よりも低い減圧環境となった場合に、収納した前記第1袋体の膨張を規制するケース体と、前記第1袋体の内側であって前記封入容器の外周側に配設され、且つ、前記ケース体に前記第1袋体が収納された状態で、前記第1袋体を前記ケース体の内側面に当接または離間する位置に保持して、前記第1袋体の外形形状を前記ケース体の内側形状に近似した形状に補正する袋体補正部材とを備え、その袋体補正部材による補正と前記ケース体による規制とにより、減圧前後の前記第1袋体の体積変化を抑止して、前記減圧環境下における前記第1袋体の内圧変化を抑制する。
請求項2記載の封入容器の梱包パッケージは、請求項1記載の封入容器の梱包パッケージにおいて、前記袋体補正部材は、前記ケース体に前記第1袋体が収納された状態で、前記ケース体の内側面から隙間を介して離間する位置に前記第1袋体を保持するものであり、前記梱包具は、柔軟性を備えたシート材により形成されその内側に気体が密封されると共に前記ケース体と前記第1袋体との隙間に配設される第2袋体を備えており、前記第2袋体の外側の外圧が前記第2袋体の内側の内圧よりも低い減圧環境となった場合に、前記第2袋体の前記ケース体方向への膨張を前記ケース体により規制する一方、前記第2袋体の膨張力によって前記第1袋体を押圧し、前記減圧環境下における前記第1袋体の膨張を抑制するように構成されている。
請求項3記載の封入容器の梱包パッケージは、請求項1または2に記載の封入容器の梱包パッケージにおいて、前記ケース体は、底面部と、その底面部から立設された側面部と、その側面部の前記底面部側とは反対側の端部を覆う上面部とを備え、略直方体に形成された箱体であり、前記袋体補正部材は、前記ケース体の底面部、側面部、上面部の内、前記封入容器を挟んで互いに対向する少なくとも2の面の縁部近傍に配設され、各面の少なくとも1対の対辺に沿ってそれぞれ延設された延設部を備えており、前記各延設部に前記第1袋体を架設することにより前記第1袋体の外形形状を前記ケース体の内側形状に近似した形状に補正する。
請求項4記載の封入容器の梱包パッケージは、請求項1または2に記載の封入容器の梱包パッケージにおいて、前記ケース体は、底面部と、その底面部から立設された側面部と、その側面部の前記底面部側とは反対側の端部を覆う上面部とを備え、略直方体に形成された箱体であり、前記袋体補正部材は、前記ケース体の底面部、側面部、上面部の内、前記封入容器を挟んで互いに対向する前記ケース体の少なくとも2の面にそれぞれ対峙して配設されると共に、対峙する前記ケース体の面と同じまたはそれ以下の大きさに形成された板状体である。
請求項5記載の封入容器の梱包パッケージは、請求項1または2に記載の封入容器の梱包パッケージにおいて、前記ケース体と前記袋体補正部材とは、共に、底面部と、その底面部から立設された側面部と、その側面部の前記底面部側とは反対側の端部を覆う上面部とを備え、略直方体に形成された箱体であり、前記袋体補正部材を形成する箱体は、前記ケース体の箱体に収納可能に形成されている。
請求項6記載の封入容器の梱包パッケージは、請求項1または2に記載の封入容器の梱包パッケージにおいて、前記ケース体は、底面部と、その底面部から立設された側面部と、その側面部の前記底面部側とは反対側の端部を覆う上面部とを備え、略直方体に形成された箱体であり、前記袋体補正部材は、少なくとも底面部とその底面部に連続する4つの側面部とを備え、これら5つの面が前記ケース体の底面部及び側面部と近似した大きさを有し、4つの前記側面部を底面部に対して略垂直に立ち上げた場合に上面が開口した略直方体の箱状となる部材であって、該箱状となった状態でその内部に前記封入容器を収納しつつ前記第1袋体の内部に配設されると共に、4つの前記側面部は底面側の端部を基部として個別に揺動可能に形成されている。
請求項7記載の封入容器の梱包パッケージは、請求項6記載の封入容器の梱包パッケージにおいて、前記第1袋体は、内部を膨らませた場合に上面が開口した略直方体となるガゼット袋である。
請求項8記載の封入容器の梱包パッケージは、請求項1から7のいずれかに記載の封入容器の梱包パッケージにおいて、前記袋体補正部材は、前記ケース体の内側の形状と、前記封入容器の外形形状との形状差によって生じる空間に充填される充填材を備えている。
請求項9記載の封入容器の梱包パッケージは、請求項1から8のいずれか記載の封入容器の梱包パッケージにおいて、前記袋体補正部材は、前記封入容器を被覆して、前記ケース体と前記封入容器との形状差を軽減する可撓性を有するフィルム体を備えている。
請求項10記載の封入容器の梱包パッケージは、請求項1から9のいずれかに記載の封入容器の梱包パッケージにおいて、前記袋体補正部材は、多孔質材料で形成されている。
請求項11記載の封入容器の梱包パッケージは、流体が気体と共に封入された封入容器を梱包する梱包具を備えており、前記梱包具は、柔軟性を備えたシート材により形成され前記封入容器を内包して密封された第1袋体と、その第1袋体を収納して前記第1袋体を被包すると共に、前記第1袋体を収納した状態で前記第1袋体に占有されない内部空間を前記第1袋体の外周側に有する形状に形成されたケース体と、柔軟性を備えたシート体により形成され気体が密封されると共に、前記ケース体の内部空間に配設され、前記ケース体の内側と前記第1袋体の外側とに挟まれる第2袋体とを備えており、前記第2袋体の外側の外圧が前記第2袋体の内側の内圧よりも低い減圧環境となった場合に、前記第2袋体の前記ケース体方向への膨張を前記ケース体の剛性により抑制する一方、前記第2袋体の膨張力によって前記第1袋体を押圧し、減圧環境下における前記第1袋体の膨張を抑制するように構成されている。
請求項12記載の封入容器の梱包方法は、請求項1から11のいずれかに記載の封入容器の梱包パッケージの梱包具により前記封入容器を梱包するものであり、開口した前記第1袋体内に前記封入容器または前記封入容器および前記袋体補正部材を挿入して収納する封入容器収納工程と、その封入容器収納工程の後に、前記封入容器または前記封入容器および前記袋体補正部材が収納された部分と外部とを連通する連通通路を形成した状態で前記第1袋体を封着する通路形成封着工程と、前記封入容器収納工程の前または後で、一部が開放された前記ケース体に前記第1袋体を収納する第1袋体収納工程と、その第1袋体収納工程の後に、前記ケース体に前記第1袋体を収納した状態で、前記通路形成封着工程により形成された前記連通通路から前記第1袋体内の気体を押し出しつつ、前記第1袋体の余剰の部分を折り畳む折畳工程と、その折畳工程の後に、前記連通通路を封着して前記第1袋体を密封してから、前記ケース体の開放部分を閉塞する密封閉塞工程とを備えている。
請求項13記載の封入容器の梱包方法は、請求項12記載の封入容器の梱包方法において、前記第1袋体は、前記封入容器または前記袋体補正部材の外形よりも大きく形成され、且つ、前記封入容器または前記封入容器および前記袋体補正部材が収納された状態で、前記封入容器または前記袋体補正部材に占有されない余剰部分を前記開口側に有するものであり、前記通路形成封着工程は、前記第1袋体内に収納された前記封入容器または前記袋体補正部材の近傍において、前記第1袋体の幅方向の一部を残して前記第1袋体の幅方向を封着すると共に、その未封着の部分が前記開口まで延出するように前記第1袋体の余剰部分を幅方向に交差する方向に沿って封着して前記連通通路を形成する。
請求項14記載の封入容器の梱包方法は、請求項1から11のいずれかに記載の封入容器の梱包パッケージの梱包具により前記封入容器を梱包するものであり、開口した前記第1袋体内に前記封入容器または前記封入容器および前記袋体補正部材を挿入して収納する封入容器収納工程と、その封入容器収納工程の後に、一部が開放された前記ケース体に前記第1袋体を収納する第1袋体収納工程と、その第1袋体収納工程の後に、前記第1袋体を封着して密封してから前記ケース体の開放部分を閉塞する密封閉塞工程とを備えている。
請求項1記載の封入容器の梱包パッケージによれば、封入容器は、柔軟性を備えたシート材により形成された第1袋体に内包されて密封される。封入容器を内包する第1袋体は、ケース体に収納される。ここで、第1袋体の内側であって封入容器の外周側には、袋体補正部材が配設されており、この袋体補正部材により、第1袋体は、ケース体の内側面に当接または離間する位置に保持され、外形形状がケース体の内側形状に近似した形状に補正される。このため、袋体補正部材による補正とケース体による規制とにより、減圧前後の第1袋体の体積変化が抑止され、減圧環境下における第1袋体の内圧変化を抑制することができる。よって、減圧環境下であっても、第1袋体内において封入容器に加わる圧力である気圧は、減圧前の環境(製造当初の環境)と大きく変化することがない。言い換えれば、減圧環境下であっても、第1袋体内においては、封入容器の内外の圧力均衡を常圧環境下と略同じ状態に維持できるという効果がある。
封入容器を内包する第1袋体が減圧環境下において膨張した場合には、膨張量に反比例して第1袋体内の気圧が低下する。即ち、封入容器に外部から加えられる圧力である気圧が低下する。ここで、ケース体の内側で膨張する第1袋体の膨張は、ケース体の剛性により規制されるため、その膨張限界を、ケース体の内容積、即ち、第1袋体の各部がケース体の内側に当接するまでとすることができる。また、袋体補正部材により、第1袋体の外形形状をケース体の内側形状に近似した形状に補正することにより、第1袋体を、僅かな体積変化(膨張)で膨張限界に到達させることができるため、(かかる膨張による)第1袋体内の大きな気圧低下を回避できるのである。
第1袋体内において、大きな気圧低下が発生すると、相対的に封入容器内の気体の圧力が高くなり、封入容器内の内圧が流体を押し出す方向に作用してしまう。封入容器に流体を導出入する口が設けられている場合や、シール不良が発生している場合には、この封入容器内の気体の圧力により流体が封入容器外に漏出する。しかし、減圧環境下においても、第1袋体内の気圧を維持でき、封入容器内外の圧力均衡を常圧環境下と略同じ状態に維持できるので、封入容器から流体が漏出することがない。
また、梱包具は、第1袋体の膨張を抑制するための構成を有していればよいので、第1袋体には、例えば、汎用性の樹脂材料であるポリオレフィン系樹脂や、ポリエステル系樹脂、更には、ビニル系樹脂や、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂などの安価な汎用品をを用いることができる。更に、ケース体は、第1袋体の膨張を規制する程度の剛性を有していればよく、例えば、肉厚の樹脂容器や段ボール製の紙容器を用いることができる。従って、高価な金属ケースや、デシケータなどを用いて封入容器を梱包する場合に比べて、安価な材料で梱包具を構成することができ、製造コストを低減することができるという効果がある。
請求項2記載の封入容器の梱包パッケージによれば、請求項1記載の封入容器の梱包パッケージの奏する効果に加え、ケース体に第1袋体が収納された状態で、袋体補正部材により、第1袋体は、ケース体の内側面から隙間を介して離間する位置に保持される。また、柔軟性を備えたシート材により形成されその内側に気体が密封される第2袋体が、ケース体と第1袋体との隙間に配設される。第2袋体の外側の外圧が第2袋体の内側の内圧よりも低い減圧環境となった場合には、第2袋体のケース体方向への膨張は、ケース体により規制される一方、第2袋体の膨張力によって第1袋体は押圧され、減圧環境下における第1袋体の膨張が抑制される。よって、第1袋体とケース体との間に隙間があっても(両者が直接接触せずとも)、第1袋体の膨張を、ケース体により第2袋体を介して間接的に規制することができるという効果がある。
また、袋体補正部材を、ケース体の内側面から隙間を介して離間する位置に第1袋体を保持する構成とすることにより、第1袋体をケース体の内側面に当接した状態で保持する構成とする場合に比べ、袋体補正部材に要求される寸法精度を緩和することができるという効果がある。
第1袋体をケース体の内側面に密着させる、即ち、袋体補正部材により第1袋体の外側面全体をケース体の内側面に当接する位置に保持すれば、第1袋体の外形形状を最もケース体の内側形状に近似させることができ、第1袋体の膨張を最も抑制することができる。ところが、袋体補正部材により第1袋体の外側面全体をケース体の内側面に当接する位置に保持するには、ケース体の内側寸法を基準に設定された設計値どおりに厳しい寸法精度で袋体補正部材を加工(製造)する必要が生じる。袋体補正部材の寸法が、設計値に足りなければ第1袋体をケース体の内側面に当接させることができず、逆に、設計値を越えているとケース体内に収納不能となるからである。
しかし、袋体補正部材を、ケース体の内側面から隙間を介して離間する位置に第1袋体を保持する構成とし、且つ、生じる隙間に第2袋体を配設することにより、袋体補正部材を確実にケース体内に収納できる上、その寸法のばらつきを第2袋体にて吸収することができる。従って、袋体補正部材に対し厳格な寸法管理を不要として製造を容易とできる上、粗い精度で製造された袋体補正部材を使用しても、十分に、第1袋体の膨張を抑制することができる。
請求項3記載の封入容器の梱包パッケージによれば、請求項1または2に記載の封入容器の梱包パッケージの奏する効果に加え、ケース体は略直方体に形成された箱体であり、袋体補正部材は、ケース体の底面部、側面部、上面部の内、封入容器を挟んで互いに対向する少なくとも2の面の縁部近傍に配設され、各面の少なくとも1対の対辺に沿ってそれぞれ延設された延設部を備えている。そして、各延設部に第1袋体を架設することにより第1袋体の外形形状をケース体の内側形状に近似した形状に補正する。
よって、簡便且つ容易に、第1袋体の外形形状をケース体の内側形状に近似した形状に補正することができるという効果がある。第1袋体を、ケース体の4つの側面部と、底面部と、上面部とに沿わせることにより、第1袋体の形状を直方体とすることができる。つまり、8つの頂点を形成するように第1袋体を保持すればよいので、単純には、袋体補正部材を、ケース体の直方体の四隅に(ケース体の底面部、側面部、上面部の内、封入容器を挟んで互いに対向する少なくとも2の面の縁部近傍で、各面の1対の対辺に沿って)配設される延設部で構成し得る。かかる延設部としては、例えば、円柱や角柱などの単純な形状の柱状体を用いることができ、かかる柱状体を4本、直方体の四隅に配置して延設部(袋体補正部材)を形成することができる。このため、袋体補正部材を製造容易な簡素な構成とすることができる。
更には、かかる簡素な構成の袋体補正部材を用いれば、袋体補正部材が第1袋体内にて占有する体積を小さくすることができる。袋体補正部材が第1袋体内にて占有する体積を小さくすれば、第1袋体内に空間を多く確保でき、減圧前に第1袋体内に密封される気体の量を多くしておくことができる。その結果、第1袋体が気体透過性を有するものであっても、減圧環境下における第1袋体の内圧の低下速度を緩慢にすることができるという効果がある。
尚、延設部を各面の2対の対辺に沿って配設する構成とすれば、延設部を有する袋体補正部材を2つの枠体とすることができる。これによれば、4つの柱状体にて第1袋体を保持する場合に比べて、保持面積を増大させて第1袋体を良好に支持することができる。
請求項4記載の封入容器の梱包パッケージによれば、請求項1または2に記載の封入容器の梱包パッケージの奏する効果に加え、ケース体は略直方体に形成された箱体であり、袋体補正部材は、ケース体の底面部、側面部、上面部の内、封入容器を挟んで互いに対向するケース体の少なくとも2の面にそれぞれ対峙して配設されると共に、対峙するケース体の面と同じまたはそれ以下の大きさに形成された板状体である。よって、第1袋体を2の面で保持することができ、柱状体や枠体で第1袋体を保持する場合に比べて、広範囲に第1袋体を支持することができるという効果がある。
ここで、第1袋体は柔軟性を有するシート体で形成されているため、ケース体の内側形状に一致するものを必ずしも用いる必要はなく、ケース体の内側形状に比して大きなものを、ケース体内に収納して使用することができる。第1袋体が固有サイズに限られないと低コストで且つ簡便に梱包具を構成できる一方で、第1袋体の袋体補正部材に当接しない部分には、弛みが生じやすい。ケース体の内側に向かって凸となるように弛みが生じると、減圧環境下における第1袋体の膨張量を大きくしてしまうこととなり好ましくない。
そこで、袋体補正部材を板状体として第1袋体を広範囲に支持することにより、内側に凸となる第1袋体の弛みの発生を減少させることができ、低コストを実現しつつ、減圧環境下における第1袋体の膨張量を抑制することができるという効果がある。
請求項5記載の封入容器の梱包パッケージによれば、請求項1または2に記載の封入容器の梱包パッケージの奏する効果に加え、ケース体と袋体補正部材とは、共に、略直方体に形成された箱体であり、袋体補正部材を形成する箱体は、ケース体の箱体に収納可能に形成されている。よって、袋体補正部材による補正により第1袋体の外形形状と、ケース体の内側形状との形状差を僅差とすることができ、柱状体や枠体、板状体の袋体補正部材(非同一の袋体補正部材、局部にて第1袋体を支持するもの)に比べて、第1袋体を最もケース体の内側形状に近似することができるという効果がある。このため、袋体補正部材の形状とケース体の内側形状とが非同一である場合に比べて、より一層、減圧前後の第1袋体の体積変化を抑止して減圧環境下における第1袋体の内圧変化を抑制することができるという効果がある。
請求項6記載の封入容器の梱包パッケージによれば、請求項1または2に記載の封入容器の梱包パッケージの奏する効果に加え、ケース体は、底面部と、その底面部から立設された側面部と、その側面部の底面部側とは反対側の端部を覆う上面部とを備え、略直方体に形成された箱体である。また、袋体補正部材は、少なくとも底面部とその底面部に連続する4つの側面部とを備え、これら5つの面がケース体の底面部及び側面部と近似した大きさを有し、4つの側面部を底面部に対して略垂直に立ち上げた場合に上面が開口した略直方体の箱状となる部材である。封入容器は、この袋対補正部材が箱状となった状態でその内部に収納されつつ第1袋体の内部に配設される。ここで、袋体補正部材は、その4つの側面部が底面側の端部を基部として個別に揺動され得る。
よって、袋体補正部材の側面部をケース体の箱体に近接する方向に拡張し得る、つまり、ケース体の内側形状と袋体補正部材の外形形状との差によって生じる隙間を、袋体補正部材の形状をケース体の内側形状に応じて適宜補正することによって減少させることができるという効果がある。これによれば、袋体補正部材およびケース体に対して厳格な寸法管理が要求されない。両者の寸法差を袋体補正部材の自由度によって吸収することができるからである。従って、これら袋体補正部材およびケース体の製造を容易とすることができるという効果がある。
請求項7記載の封入容器の梱包パッケージによれば、請求項6記載の封入容器の梱包パッケージの奏する効果に加え、第1袋体は、内部を膨らませた場合に上面が開口した略直方体となるガゼット袋であるので、袋体補正部材を収納してその内部を膨らませると、第1袋体を略直方体とすることができる。ここで、第1袋体の外形形状をケース体の内側形状に近似した形状に補正する場合に、元々の第1袋体の形状がケース体の内側形状と異なると、補正後の第1袋体の外形形状は、大略的にはケース体の内側形状に近似されるが、(ケース体の内側形状に応じた変形により)微視的には、弛みや撓みが生じた形状となる。かかる弛みや撓みは、その部分のシート体(第1袋体)の自由度を大きくし、第1袋体を膨張させる要因となる。
しかし、第1袋体がガゼット袋で構成されているので、第1袋体の外形形状を、袋体補正部材による補正の無い状態でケース体の内側形状に近似しておくことができ、その結果、袋体補正部材による補正を行っても、第1袋体の外形形状は大きく変形されることはない。よって、袋体補正部材による補正後の第1袋体の外形形状に、弛みや撓みが発生することを抑制でき、第1袋体の膨張を厳格に規制することができるという効果がある。
請求項8記載の封入容器の梱包パッケージによれば、請求項1から7のいずれかに記載の封入容器の梱包パッケージの奏する効果に加え、袋体補正部材は、ケース体の内側の形状と、封入容器の外形形状との形状差によって生じる空間に充填される充填材を備えている。よって、充填材によって第1袋体をその内側からケース体の内側形状に応じた形状に押し広げて、第1袋体の外形形状をケース体の内側形状に近似することができる。その結果、減圧前後の第1袋体の体積変化を抑止して減圧環境下における第1袋体の内圧変化を抑制することができるという効果がある。また、一般的に、充填材は、空間形状に応じて充填形態を可変させ空間を埋めることができる。従って、ケース体および封入容器の形状に無関係に使用することができ、ケース体の内側形状と封入容器の外形形状とに応じた様々な袋体補正部材をいちいち用意する必要がない。言い換えれば、袋体補正部材をケース体および封入容器の形状に関わらず、同じ規格の袋体補正部材部材を使用することができ、部材の管理を容易とする上、、低コスト化を実現することができるという効果がある。
請求項9記載の封入容器の梱包パッケージによれば、請求項1から8のいずれか記載の封入容器の梱包パッケージの奏する効果に加え、袋体補正部材は、封入容器を被覆して、ケース体と封入容器との形状差を軽減する可撓性を有するフィルム体を備えているので、フィルム体に被覆された封入容器により、第1袋体をその内側からケース体の内側形状に応じた形状に押し広げて、第1袋体の外形形状をケース体の内側形状に近似することができる。その結果、減圧前後の第1袋体の体積変化を抑止して減圧環境下における第1袋体の内圧変化を抑制することができるという効果がある。
請求項10記載の封入容器の梱包パッケージによれば、請求項1から9のいずれかに記載の封入容器の梱包パッケージの奏する効果に加え、袋体補正部材は、多孔質材料で形成されている。よって、同じ形状、同じ体積の袋体補正部材であっても、非多孔質材料で形成されたものに比べて第1袋体内により多くの気体を密封することができる。その結果、第1袋体が気体透過性を有するものであっても、減圧環境下における第1袋体の内圧の低下速度を緩慢にすることができるという効果がある。
請求項11記載の封入容器の梱包パッケージによれば、封入容器は、柔軟性を備えたシート材により形成された第1袋体に内包されて密封される。この第1袋体はケース体に収納され、そのケース体内であって第1袋体の外周側のの第1袋体に占有されない内部空間には、気体が密封された第2袋体が配設される。第2袋体の外側の外圧が第2袋体の内側の内圧よりも低い減圧環境となった場合には、第2袋体のケース体方向への膨張は、ケース体の剛性により抑制され、また、第2袋体の膨張力によって第1袋体は押圧され、減圧環境下における第1袋体の膨張が抑制される。よって、減圧環境下であっても、第1袋体内において封入容器に加わる圧力である気圧は、減圧前の環境(製造当初の環境)と大きく変化することがない。言い換えれば、減圧環境下であっても、第1袋体内においては、封入容器の内外の圧力均衡を常圧環境下と略同じ状態に維持できるという効果がある。
封入容器を内包する第1袋体が減圧環境下において膨張した場合には、膨張量に反比例して第1袋体内の気圧が低下する。即ち、封入容器に外部から加えられる圧力である気圧が低下する。ここで、ケース体の内側で膨張する第1袋体の膨張ケース体の剛性と第2袋体の膨張力により規制できるので、簡便な構成で、減圧環境下においても第1袋体内の大きな気圧低下を回避できるのである。
第1袋体内において、大きな気圧低下が発生すると、相対的に封入容器内の気体の圧力が高くなり、封入容器内の内圧が流体を押し出す方向に作用してしまう。封入容器に流体を導出入する口が設けられている場合や、シール不良が発生している場合には、この封入容器内の気体の圧力により流体が封入容器外に漏出する。しかし、減圧環境下においても、第1袋体内の気圧を維持でき、封入容器内外の圧力均衡を常圧環境下と略同じ状態に維持できるので、封入容器から流体が漏出することがない。
また、梱包具は、第1袋体の膨張を抑制するための構成を有していればよいので、第1袋体には、例えば、汎用性の樹脂材料であるポリオレフィン系樹脂や、ポリエステル系樹脂、更には、ビニル系樹脂や、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂などの安価な汎用品をを用いることができる。更に、ケース体は、第1袋体の膨張を規制する程度の剛性を有していればよく、例えば、肉厚の樹脂容器や段ボール製の紙容器を用いることができる。従って、高価な金属ケースや、デシケータなどを用いて封入容器を梱包する場合に比べて、安価な材料で梱包具を構成することができ、製造コストを低減することができるという効果がある。
請求項12記載の封入容器の梱包方法によれば、請求項1から11のいずれかに記載の封入容器の梱包パッケージの梱包具が封入容器の梱包に用いられ、封入容器収納工程により、開口した第1袋体内に封入容器または封入容器および袋体補正部材が挿入されて収納される。そして、その封入容器収納工程の後に、封入容器または封入容器および袋体補正部材が収納された部分と外部とを連通する連通通路を形成した状態で、第1袋体は、通路形成封着工程により封着される。また、その封入容器収納工程の前または後で、第1袋体収納工程により、第1袋体は、一部が開放されたケース体に収納される。そして、第1袋体収納工程の後に、連通通路から第1袋体内の気体を押し出しつつ、第1袋体の余剰の部分が、折畳工程により折り畳まれる。その後、密封閉塞工程により、連通通路を封着して第1袋体が密封され、また、ケース体の開放部分が閉塞される。よって、密封後の第1袋体内に、ケース体の内容積に比して過剰の気体が残留することがなく、第1袋体の体積がケース体の内容積を上回ることがない。従って、第1袋体がケース体に収納不能となるといった事態を回避でき、第1袋体をケース体に良好に収納することができるという効果がある。
請求項13記載の封入容器の梱包方法によれば、請求項12記載の封入容器の梱包方法の奏する効果に加え、第1袋体は、封入容器または袋体補正部材の外形よりも大きく形成され、且つ、封入容器または封入容器および袋体補正部材が収納された状態で、封入容器または袋体補正部材に占有されない余剰部分を開口側に有するものであり、通路形成封着工程によって、第1袋体内に収納された封入容器または袋体補正部材の近傍において第1袋体の幅方向の一部を残して第1袋体の幅方向が封着され、その未封着の部分が開口まで延出するように第1袋体の余剰部分が、幅方向に交差する方向に沿って封着されて連通通路が形成される。
よって、気体を連通通路を通過させて第1袋体の外部に押し出す(排出する)ことができ、適正容量の気体の排出をスムーズに行うことができるという効果がある。更に、第1袋体を密封するための封着は、連通通路上にてなされればよい。即ち、連通通路上であればその封着位置に関係なく連通通路を遮断することができるので、封着ミスを軽減できるという効果がある。
請求項14記載の封入容器の梱包方法によれば、請求項1から11のいずれかに記載の封入容器の梱包パッケージの梱包具が封入容器の梱包に用いられ、封入容器収納工程により、封入容器または封入容器および袋体補正部材は、開口した第1袋体内に挿入されて収納される。その封入容器収納工程の後に、第1袋体収納工程によって、第1袋体は、一部が開放されたケース体に収納される。その後、密封閉塞工程により、第1袋体は封着されて密封され、また、ケース体の開放部分は閉塞される。
よって、第1袋体のケース体への収納により、ケース体内容積に比して(ケース体内容積と第1袋内の収納物との体積との差分の空間体積に比して)過剰分の気体を、第1袋体の開口から排出することができる。このため、第1袋体を密封してからケース体にその密封された袋体を収納する場合に比べて、第1袋体がケース体に収納不能となるといった事態を確実に回避でき、第1袋体をケース体に良好に収納することができるという効果がある。
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における梱包パッケージにて梱包される記録ヘッド1と記録ヘッド1を密閉する密封パッケージ7とを示した斜視図である。
記録ヘッド1は、その内部に備えた圧電アクチュエータ(非図示)の動作にて、記録ヘッド内に導入されたインクを吐出して被記録媒体に記録を行う装置であり、インクジェット記録装置に搭載されるものである。また、記録ヘッド1は、インクジェット記録装置に備えられたインクを貯留するインクカートリッジとチューブによって接続され、かかるチューブを介してインクカートリッジからインクの供給を受けるものである。
この記録ヘッド1は、インクカートリッジから供給されたインクを貯留するインク貯留部2を備えており、インク貯留部2は、供給されるインクの種類、即ち、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのそれぞれに対応する4つのインク貯留室(2a〜2d)を備えている。
各インク貯留室2a〜2dの上方には、インクの充填されない空間(空気層)が設けられており、この空気層を介して、各インク貯留室2a〜2d内にインクは導入されるようになっている。
記録ヘッド1は、被記録媒体の幅方向(主走査方向)に移動可能なキャリッジに搭載されて、インクジェット記録装置に装着される。記録を行う場合、記録ヘッド1は、インクを吐出しつつ、キャリッジにより被記録媒体の幅方向(主走査方向)に往復動する。かかる場合には、記録ヘッド1に接続される上記のチューブが、キャリッジ動作に連動して動き、チューブ内のインクが揺動する。チューブ内のインクの揺動(動圧)が記録ヘッド1内に貯留されたインクに伝動すると、インクの吐出性能に影響が生じ、印字品質を低下させてしまう。そこで、インク貯留部2(インク貯留室2a〜2d)に空気層を設け、チューブ内のインクとインク貯留部2内のインクとを、この空気層によって間断することにより、チューブ内のインクにて発生した動圧が、インク貯留部2内のインクに伝動されることを回避しているのである。
また、記録ヘッド1の最下面、即ち、被記録媒体に対向する面には、複数のノズルが千鳥格子状に配置されたノズル形成面3が配設されている。ノズル形成面3に配置された各ノズルは、各色のインク(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)のそれぞれに対応して設けられ、インク貯留部2の対応するインク貯留室2a〜2dにそれぞれ連通している。ノズル内には、インク貯留部2から各色のインクがそれぞれ導入されている。また、ノズル内に導入されたインクは、ノズルの先端(被記録媒体側)から吐出される。インクを吐出するノズルの先端は、インク吐出口となっており、ノズル内に充填されたインク液面により、ノズルの内壁から中央部に向かってすり鉢状(凹面状)のメニスカスが形成されている。
記録ヘッド1の上方左側の部位には、インクカートリッジからインク貯留部2にインクを供給するためのインク供給部4が、外方(紙面左側)に向かって凸設されている。インク供給部4には、インクの種類に対応して各1ずつ合計4つのインク供給口4a〜4dが凹設されており、各インク供給口4a〜4dのそれぞれは、4つのインク貯留室2a〜2dのそれぞれに連通している。このインク供給口4a〜4dには、各色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)のインクカートリッジのそれぞれから送出されるチューブが接続されるようになっており、かかるチューブによって、インクカートリッジから各色のインクが、それぞれ対応するインク貯留部2(インク貯留室2a〜2d)に導入される。
インク供給部4の上面には、各インク供給口4a〜4dを閉塞する供給口シール具5が設けられている。供給口シール具5の下面には、各インク供給口4a〜4dのそれぞれに嵌入される凸部が凸設されている(図示を省略)。供給口シール具5は、かかる凸部をインク供給口4a〜4dに嵌入してインク供給口4a〜4dを密栓する。
密封パッケージ7は、記録ヘッド1を被包するものであり、記録ヘッド1が載置される本体8と、本体8に覆設される蓋体9とを備えている。本体8は、記録ヘッド1の外形形状に応じた内形形状を有するポリオキシメチレン樹脂の成形体である。この本体8は、底面8cと底面8cの周縁から立設された壁面8dとを有し、上面視略長方形に形成されると共に、その上方は記録ヘッド1を載置するために開放されている。
底面8cは、上面からの深さが異なる2の面を有し、上方側の一方の面(第1底面8c1)と下方側の他方の面(第2底面8c2)とが、深さ(高さ)方向に所定の間隔を隔てて連設された段状に形成されている。第1底面8c1は、記録ヘッド1のインク供給部4を保持するためのものであり、載置される記録ヘッド1のインク供給部4の下面に当接する。第2底面8c2は、記録ヘッド1のノズル形成面3側を支持するものであり、載置された記録ヘッド1を本体8内に固定するための固定部材8bが第2底面8c2から上方に向かって立設されている。固定部材8bは、記録ヘッド1の側面の外周の凹凸に応じて(載置された記録ヘッド1にて占有される位置を避けて)配設されており、壁面8cの内壁と固定部材8bとによって、載置された記録ヘッド1を可動不能に所定位置に固定する。尚、本実施の形態においては、図示した固定部材8b以外に複数の固定部材が、側壁8dの内壁に沿って配設されている(図示省略)。また、上記した記録ヘッド1の側面とは、ノズル形成面3を下面とし、その下面の反対側を上面とした場合に、側面となる面を示している。
かかる固定部材8bにて固定された状態で、記録ヘッド1のノズル形成面3に対向する位置には、ノズル形成面3の保存キャップであるゴムパッキン6が配設されている。ゴムパッキン6は、耐インク性を有する合成ゴムにて構成され、ノズル形成面3を覆う大きさに形成されている。
また、ゴムパッキン6は、ノズル形成面3のノズルが形成された領域に対応する凹部6aを有しており、ノズル形成面3に密着されたときに、封止された内部空間が形成されるようになっている。
側壁8dの外周において、長手方向に沿った側面の略中央部には、それぞれ、蓋体9に係合する第1係合部8aが外方に向かって凸設されている。第1係合部8aは、紙面手前側の側面及び該側面に対向する紙面奥方の側面とに、それぞれ各1ずつ設けられている。本体8は、蓋体9を組み付けた場合に、蓋体9の内側に挿入され、第1係合部8aにより蓋体9に係合する。
蓋体9は、ポリオキシメチレン樹脂の成形体であり、上面9cと、上面9cの周縁から下方に向かって立設された側壁9dとを有し、上面視略長方形に形成されると共に、その下方は本体8を挿入するべく開放形成されている。
また、側壁9dの外周において、長手方向に沿った側面の略中央部には、本体8の2の第1係合部8aにそれぞれ係合する2の第2係合部9aが、それぞれ形成されている。第2係合部9aは、側壁9dの一部に切り欠きを設けて形成したものであり、側壁9dの立設方向に沿った平板状の平板9a1と、その平板部9a1の先端において、側壁9dの内側に向かって屈曲したL字部9a2を備えている。L字部9a2の下面には、その下方側の突端から蓋体9の内側に向かう傾斜が付与されている。
本体8と蓋体9とを合致させ、蓋体9に対し本体8を挿入すると、本体8に凸設された第1係合部8aが、蓋体9の第2係合部9aの下方側の突端に当接し、L字部9a2の傾斜部分を摺動して、蓋体9の内側へ進入する。一方、蓋体9の第2係合部9aは、第1係合部8aが挿入方向に進入すると第1係合部8aによって押圧され、徐々に外方へと弾性変形する。第1係合部8aがL字部9a2の先端を通過すると、第2係合部9aは、弾性的に復元して、第1係合部8aと第2係合部9aとが係合し、蓋体9が本体8に係止される。
かかる係止状態において、密封パッケージ7内に被包された記録ヘッド1の下面(ノズル形成面3)は本体8の底面8cに、記録ヘッド1の上面は蓋体9の上面9cにそれぞれ当接し、所定圧力が負荷された状態で保持される。このため記録ヘッド1のノズル形成面3にゴムパッキン6が密着し、ノズルの先端(インク吐出口)が封止されて記録ヘッド内にインクが密封された状態となる。このとき、ノズルの先端はゴムパッキン6の凹部6aによって形成された封止された空間内に位置することとなる。即ち、密封パッケージ7にて記録ヘッド1を被包することにより、記録ヘッド1は、流体であるインクが空気と共に封入された封入容器となる。
図2は、記録ヘッド1が被包された密封パッケージ7を梱包具20にて梱包した本実施の形態の梱包パッケージ10を説明する図である。図2(a)は、本梱包パッケージ10の分解斜視図であり、図2(b)は、図2(a)のA方向から見た梱包パッケージ10の断面図である。
図2(a)、図2(b)に示すように、梱包具20は、密封パッケージ7を内包する内箱11と、内箱11を密封する袋体12と、袋体12を収納するケース体13とを備えている。尚、図示を省略しているが、密封パッケージ7は、空気を封入した凸状部が一面に形成されたポリエチレン気泡緩衝材シートに被包された状態で、内箱11内に内包されている。
ケース体13は、略直方体形状に形成された段ボール製の箱体であり、その内部に、袋体12に密封された内箱11を収納するものである。ケース体13は、略長方形に形成された底面と、底面周縁から立設された4つの側面と、4つの側面の上方側(反底面側)の端部にて形成される開口を閉塞する上面とを備えている。上面は、4つの側面にそれぞれ連設された4つの蓋部材にて形成されている。各蓋部材のそれぞれは、連接する各側面との境界を軸としてそれぞれ回動可能に構成され、内側に回動した場合にケース体13の上方側の開口を閉塞して上面を形成し、外側へ回動した場合にはケース体13の上方側の開口を開放する。
尚、ケース体13を構成する材料は、段ボールに限られるものでなく、減圧環境下で袋体12の膨張を抑制し得、袋体12よりも高い剛性を有し、且つ、安価である材料を適宜選択することができる。かかる材料としては、例えば、板紙、ベニヤ板等の薄板、ガラス繊維強化エポキシ樹脂基板、更には、汎用性の樹脂材料であるポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂などや、かかる樹脂にフィラーを充填したもの等が例示される。
袋体12は、熱融着可能な樹脂製の柔軟性を有するフィルム体にて形成されており、密封パッケージ7を内包する内箱11を密封するためのものである。この袋体12は、2枚の長方形のフィルム体から形成されており、内箱11の挿入前においては、3方がシールされると共に一方が開放されて開口12a(図3参照)が形成された態様となっている。かかる開口12aは、内箱11が開口12aから挿入された後に、ヒートシールによって熱融着される。
袋体12は、内箱11により、ケース体13の内側形状に近似した形状に補正されてケース体13に収納される。このため、ケース体13の内側形状に沿って配設(当接)可能とするために、袋体12は、ケース体13の内側の表面積以上の表面積を具有する。また、袋体12の容積は、内箱11の体積よりも大きく、袋体12内に、挿入された内箱11にて占有されない空間を有し、挿入された内箱の上方のフィルム体(開口側)を余らせた状態で内箱11を収納する。
袋体12を構成する樹脂材料としては、汎用性の樹脂材料であるポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂などや、かかる樹脂に金属蒸着層や金属ラミネート層をサンドイッチしたラミネートフィルムなどが適宜用いられる。尚、本実施形態においては、袋体12は、内層と外層とが水分遮断性の良いポリエチレン樹脂からなり、内層と外層とに挟まれた中間層がガス透過性の低いエチレンビニルアルコール共重合体又はナイロン樹脂からなる三層構造で、厚み80μmのものが用いられている。
袋体12のガス透過性が大きいほど、減圧環境下において、袋体12内部の空気が袋体12の外部に放出されてしまい、袋体12内の気圧の低下速度が大きくなる。このため、袋体12は、ガス透過性の低い中間層を備えて構成されている。
内箱11は、直方体形状に形成され、密封パッケージ7を内包するための紙製の箱体である。内箱11は、袋体12の内側に配設され、袋体12の形状を、ケース体13の内側形状(形態および大きさ)に近似させる補正を行うための補正部材である。内箱11は、その外形形状が、ケース体13の内側形状と近似した形態(好適には相似関係)となるように形成されている。尚、本実施の形態においては、内箱11は、ケース体13の内側の各面に対向する各面を具有し、ケース体13の内側形状に相似する外形形状となっている。特に、製造の容易さを鑑みて、内箱11とケース体13とには、略直方体形状の箱体が用いられている。この内箱11が袋体12に内包されると、袋体12は内箱11の外形面にて規制され内箱11よりも内方へは入り込めない。従って、袋体12の形状を、内箱11の外形形状に対応した略直方体の態様、即ち、ケース体13の内側形状に近似する補正を行うことができるのである。
かかる内箱11の外形寸法は、長手方向の長さ(X1)、長手方向に交差する方向の長さ(幅、Y1)、高さ(Z1)のそれぞれが、ケース体13の内側の長手方向の長さ(X2)、幅(Y2)、高さ(Z2)のそれぞれよりも小さく設計されると共に、内箱11とケース体13との対向面間に、袋体12を挿入する分の隙間を確保できる大きさに設計されている。
具体的には、内箱11の外形寸法(X1)は、ケース体13の長手方向の内側寸法(X2)から(ケース体13内に収納する)袋体12の厚み(t)分を差し引いた長さ(X2−2t)を最大とし、かかる最大長さ以下とされている。本実施の形態では、内箱11の外形寸法(X1)は、ケース体13の長手方向の内側寸法(X2)より、略0.1〜3mm小さく形成されている。このため、内箱11の長手方向に交差する2の側面は、ケース体13の対向する内側面から略0.1〜3mm隔てて(僅かの隙間を隔てて)配設される。
また、内箱11の外形寸法(Y1)は、ケース体13の幅方向の内側寸法(Y2)から、(ケース体13内に収納する)袋体12の厚み(t)分を差し引いた長さ(Y2−2t)を最大とし、かかる最大長さ以下とされている。本実施の形態では、内箱11の外形寸法(Y1)は、ケース体13の長手方向の内側寸法(Y2)より、略0.1〜3mm小さく形成されている。このため、内箱11の長手方向に沿った2の側面は、ケース体13の対向する内側面から略0.1〜3mm隔てて(僅かの隙間を隔てて)配設される。これにより、ケース体13の側面の内側面において、対向する袋体12の大部分は、ケース体13の内側面に当接する。
更に、内箱11の外形高さ(Z1)は、ケース体13内側の高さ(Z2)から、ケース体13の底面に回り込む袋体12の厚み(t)と、内箱11の上面にて袋体12を折り畳んだ場合の折り畳み厚とを差し引いた高さを最大とし、かかる最大高さ以下とされている。本実施の形態では、内箱11の外形高さ(Z1)は、ケース体13の内側高さ(Z2)より、略0.1〜3mm小さく形成されている。内箱11の底面は、袋体12を挟んでケース体13の対向する内側面(底面)に載置される。内箱11の上面は、ケース体13の対向する内側面(上面)から略0.1〜3mm隔てて配設されると共に、内箱11の上面とケース体13の上面との対向面間に、折り畳まれた袋体12が充填される。
このようにケース体13の内側形状に近似する形状を有する内箱11にて、袋体12を保持することにより、袋体12の大部分をケース体13の内側面に当接(密着)または近接する位置に配設することができ、その形状をケース体13の内側形状に近似させることができる。袋体12の膨張分の体積が小さいほど、袋体12内部の圧力低下は小さいので、本実施の形態においては、減圧環境下における袋体12の形状変化をより小さくするために、ケース体13の内側形状と袋体12との形状差を無くすべく、袋体12の形状を補正し、ケース体13の内側形状に近似させているのである。
ここで、内箱11にて、袋体12の外形を、ケース体13の内側形状に近似させるため、袋体12のサイズをケース体13の内側形状に一致するサイズ(形状)とする必要がない。従って、専用の袋体12をわざわざ用意せずとも、既存のサイズで製造された汎用の袋体12をそのまま流用することができる。
尚、本実施の形態においては、内箱11(袋体12)の外形面とケース体13の内側面とにより形成される隙間、即ち、内箱11とケース体13との対向面間距離は、袋体12の膨張により内部圧力の低下が引き起こされても、その低下後の圧力が、インクを漏出させてしまう圧力に到達しないように設計されている。
かかる梱包具20、即ち、内箱11、袋体12、ケース体13を用い、上記の順に、密封パッケージ7(記録ヘッド1を密封した密封パッケージ7)を梱包することにより本実施形態の梱包パッケージ10は形成される。梱包具20にて記録ヘッド1を梱包した梱包パッケージ10は、工場から出荷されて市場へ供給される。流通経路が空輸である場合、記録ヘッド1は、製造時よりも気圧の低い減圧環境下で輸送される。ここで、かかる構成の梱包パッケージ10の減圧環境下における作用について、図4を参照して説明する。
図4は、梱包パッケージ10の減圧環境下における作用を模式的に説明する図であって、図4(a)、図4(b)には、梱包パッケージ10の常圧環境下および減圧環境下の状態をそれぞれ示し、図4(a’)、図4(b’)には、比較例を示している。尚、図示を簡単にするため、密封パッケージ7については、ゴムパッキン6のみを図示し、他の部分は省略している。また、本実施の形態においては、常圧環境は、略1atmとし、減圧環境は、空輸時の上空における平均的な気圧である略0.7atmとする。
図4(a)には、常圧環境下での梱包パッケージ10の状態を示しており、記録ヘッド1がインクが封入された状態で、内箱11に収納され、更に、袋体12にて密封されて、ケース体13に被包されている。常圧環境下においては、梱包パッケージ内外(袋体12の内外)は、略1atmの大気圧となっている。
記録ヘッド1のノズル形成面3には、所定の押圧力にてゴムパッキン6が密着されている。この所定の押圧力は、上述した蓋体9を本体8に係止する機構によって決定されるものであり、ノズル形成面3の初期状態(設計値)からの後退がインク吐出性能の許容範囲に収まる程度の圧力とされている。
一方、インク貯留部2においてインク液面の上方には、常圧環境下で空気が封入されている。かかる空気層がインク貯留部2内のインク液面を押圧する圧力P1は、常圧環境下においては略1atmの圧力となる。また、ゴムパッキン6の内部空間(ゴムパッキン6の凹部6aによって形成され、ゴムパッキン6をノズル形成面3に密着させることによって封止される空間)に封入された空気の圧力P2も、常圧環境下においては略1atmの圧力となる。従って、圧力P1と圧力P2とが均衡しているので、インク吐出口にはメニスカスが形成され、インク貯留部2内のインクがゴムパッキン6内の空間に漏出したり、更にゴムパッキン6内から外に漏出することはない。
図4(a’)には、常圧環境下での比較例の梱包パッケージ10’の状態を示している。記録ヘッド1は、インクが封入された状態で、ケース体13との寸法差が大きな収納容器11’内に載置され、収納容器11’と共に袋体12に密封されてケース体13に被包されている。このように、比較例では、袋体12の形状をケース体13の内側形状に近似する補正部材である内箱11が備えられておらず、梱包具は、収納容器11’と袋体12とケース体13とで構成されている。
比較例の梱包パッケージ10’においても、ノズル形成面3には所定の押圧力にてゴムパッキン6が密着されている。また、常圧環境下においては、本実施形態と同様に、インク貯留部2に封入された空気の圧力P1とゴムパッキン6の内部空間に封入された空気の圧力P2とが均衡するので、インクが漏出することはない。
図4(b)には、減圧環境下での梱包パッケージ10の状態を示しており、図4(a)と同様に、記録ヘッド1は、インクが封入された状態で内箱11に収納され、更に、袋体12にて密封されて、ケース体13に被包されている。梱包パッケージ10が減圧環境下におかれた場合、袋体12の内側は常圧状態にあるため、袋体12の内外の圧力差により袋体12が膨張する。袋体12が膨張した場合には、膨張量に反比例して袋体12内の気圧(内圧)が低下する。
ここで、本実施形態の梱包パッケージ10においては、袋体12には、内箱11が内包され、該内箱11の各外形面が、ケース体13の内側面から僅かの距離を隔てた位置に配設されている(袋体12の形状(形態および大きさ)がケース体13の内側形状に近似されている)。従って、袋体12は僅かに膨張しただけで、直ちにケース体13に当接してその膨張が規制され、減圧環境下においても袋体12の膨張変化は小さく抑制される。
尚、本実施の形態では、内箱11の上面には、側面に比べて大きな隙間が形成されている(内箱11とケース体13との対向面間隔が大きい)が、かかる内箱11の上面には袋体12が折り畳まれて隙間空間を埋めているので、袋体12は、僅かに膨張しただけで、袋体12の折り畳まれた部分を介してケース体13に当接し、その膨張は規制される。
このため、袋体12内の気圧低下は微小となり、ゴムパッキン6の内部空間内の圧力P2との圧力差も僅かなものとなるため、ゴムパッキン6の内部空間の空気が、ゴムパッキン6の外部に漏出することはない。故に、常圧環境下にて形成されたインク吐出口(ノズル形成面3)における圧力均衡、即ち圧力P1と圧力P2との圧力均衡は、減圧環境下においても維持され、ゴムパッキン6にて封止したインク吐出口から、インクが漏出することはない。
図4(b’)には、減圧環境下での比較例の梱包パッケージ10’の状態を示している。比較例の梱包パッケージ10’では、本実施形態の梱包パッケージ10に比べて、袋体12の膨張変化量が大きい。従って、袋体12内の気圧が大きく低下する。その結果、ゴムパッキン6の内部空間内の圧力P2との圧力差が大きくなり、ゴムパッキン6のノズル面との接触部が外側に変形し、ゴムパッキン6の内部空間の空気が外部に漏出する。これにより、ゴムパッキン6の内部空間内の圧力P2はインク貯留部2に封入された空気の圧力P1よりも低下し、インク貯留部2内のインクはゴムパッキン6の内部空間内に漏出する。そして、ゴムパッキン6内外の圧力差が相当に大きい場合には、ゴムパッキン6の内部空間内に漏出したインクはゴムパッキン6の外まで流出する。
また、減圧環境下では、ガス透過性により、袋体12内の空気は、微量ずつ放出される。ここで、本実施の形態においては、袋体12の形状を補正する補正部材として、箱体である内箱11を用いている。内箱11は、その内部は空洞であるため、袋体12内に多量の空気を保有させることができる。これにより、袋体12内に残存する空気量に比して放出される空気量を少量とすることができるので、袋体12内の気圧の低下速度を緩慢にすることができる。尚、ガス透過による袋体12内の気圧低下を抑制するために、上記した金属蒸着層や金属ラミネート層をサンドイッチしたラミネートフィルムなどにて袋体12を形成しても良い。
次に、図3を参照して、上記した梱包具20により、密封パッケージ7を梱包する梱包方法について説明する。図3は、本実施の形態の梱包具20による梱包方法の1の実施形態を示した図である。
まず、記録ヘッド1を被包した密封パッケージ7を、内箱11に収納して、内箱11に内包する。次に、内箱11を、開口12aから袋体12に挿入する(封入容器収納工程)。その後、開口12aを開放したまま、袋体12をケース体13の開放された上面からケース体13の底面方向へと挿入し、袋体12を介して内箱11をケース体13の底面に当接させる(第1袋体収納工程)。尚、ケース体13の底面の外側には、その長手方向に沿うと共に、底面の長手方向の両端部に隣接する側面に掛け渡されて、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタール系樹脂)を基材とする粘着テープTが貼着され、ケース体13の剛性が補強されている。
ケース体13に袋体12が挿入されると、ケース体13と内箱11とにて袋体12が擦られ、袋体12と内箱11との間の空気が押し出されて開口12aから排出される。袋体12の挿入が完了すると、袋体12をヒートシールして、表裏2面のフィルム体を熱融着し、開口12aの大部分を封着すると共に、開口12aの一部によって形成された空気排出口12a1を有する幅の狭い空気排出通路12bを形成する(通路形成封着工程)。
空気排出口12a1は、ヒートシールにて袋体12にL字シール部12cを形成して作製される。詳細には、まず、袋体12を幅方向(内箱11の長手方向に沿った方向)に直線状に(所定のシール幅にて)ヒートシールして第1方向シール部12c1を形成する。第1方向シール部12c1の形成位置は、内箱11の上方であって、且つ内箱11の上面近傍である。また、第1方向シール部12c1のシール長は、袋体12の幅方向よりも短く、第1方向シール部12c1の先端は、袋体12の幅方向の端部から所定長さ手前とされる。つまり袋体12の幅方向の一端部にヒートシールが未実行である部分が残存し、袋体12の開放状態が維持される。そして、第1方向シール部12c1の先端から袋体12の幅方向に交差する方向に、開口12aに到達するまでを直線状にヒートシールして第2方向シール部12c2を形成する。これにより、袋体12はL字状にシールされ、第1方向シール部12c1の先端を起点とし、開口12aまで延出された空気排出口12a1が形成される。このため、袋体12の開口12aの大部分は封着される一方、袋体12の内外は、空気排出口12a1にて連通する(図3(a)参照)。
次に、空気排出口12a1から袋体12内の空気を押し出しつつ、内箱11の上方の袋体12の余剰の部分を、空気排出口12a1の開口が表面に露出する状態に折り畳む(折畳工程、図3(b)参照)。続いて、空気排出口12a1を開口近傍にて、その幅の一端から他端までヒートシールして最終シール部12dを形成する。これにより、空気排出口12a1は遮断され、袋体12が密封される。袋体12の密封後は、開放状態にあるケース体13の4つの蓋部材を内側に折り畳んでケース体13の上面を閉塞する(密封閉塞工程、図3(c)参照)。その後、ケース体13の上面の長手方向の端部に隣接する1側面から、該1側面に対向する側面まで、粘着テープTを掛け渡して貼着し、ケース体13の上面の開放を禁止する。更に、ケース体13の上面の長手方向に交差する方向に粘着テープTを周回させて貼着し、ケース体13を封印する。記録ヘッド1を被包する密封パッケージ7は、このような各工程を順次実施して梱包され、密封パッケージ7(記録ヘッド1)を梱包する梱包パッケージ10は完成に至る。
内箱11の外形形状はケース体13の内側形状に近似しており、両者の対向面間隔は僅かな距離である。一方で、袋体12は、内箱11を十分に収納するものであり、内箱11の体積およびケース体13の内容積に比べて大きな容積を有している。従って、ケース体13に収納する前に、袋体12を密封してしまうと、袋体12内に存在する空気を、内箱11とケース体13との間の隙間にて吸収できず、袋体12をケース体13内に収納不能としかねない。しかし、本実施形態に示すように、ケース体13に収納した後に、袋体12を密封するので、袋体12がケース体13内に収納不能となることがない。また、空気排出口12a1から空気を排出しつつ袋体12を折り畳んだ後に、最終的なヒートシールを行うので、袋体12の余剰部分の収納スペースをケース体13内に確保してから袋体12を密封できる。従って、袋体12の余剰部分の収納スペースを確保できないが故に、袋体12の収納が不能になるという事態を回避できる。
尚、袋体12をケース体13に挿入する上記の封入容器収納工程は、袋体12内に内箱11を収納する前の工程としても良く、通路形成封着工程の後の工程としても良い。
また、図5に示されるように、通路形成封着工程の後に、袋体12の第1方向シール部12c1と第2方向シール部12c2とに囲まれた部分を除去し、その後に、折畳工程を行わせるようにしても良い。この場合、密封閉鎖工程は、空気排出通路12bをケース体13の外に露出した状態で、ケース体13の4つの蓋部材のうち長尺な2つの蓋部材を含む3つの蓋部材を折り畳んでケース体13の上面を閉鎖し(図5(c)参照)、その後、ケース体13の上面の上に空気排出通路12bを載置してから残りの1つの蓋部材を折り畳むことで行われる。これによれば、袋体12の余剰部分(第1方向シール部12c1と第2方向シール部12c2とに囲まれた除去される部分)をケース体13内に収容する必要がないので、袋体12の収納が不能となる事態を更に確実に回避できる。
次に、図6を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。図6は、第2の実施形態の梱包パッケージ100の内部構造を正面視にて模式的に示した図である。尚、上記した第1の実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
第2の実施形態の梱包パッケージ100は、第1の実施形態と同様に密封パッケージ7に被包された記録ヘッド1を梱包する梱包具20として、袋体12、ケース体13を備えており、内箱11に代えて、袋体12の形状を補正する補正部材として2の板状部材14を備えている。
板状部材14は、ケース体13の上面と底面とにそれぞれ対向して配設され、対向するケース体13の内側面に近似した形状に形成されている。具体的には、板状部材14は長方形形状を有し、その長手方向は、内箱11の外形寸法(X1)と同じ長さであって、ケース体13の長手方向の内側寸法(X2)から(ケース体13内に収納する)袋体12の厚み(t)分を差し引いた長さ(X2−2t)を最大とし、かかる最大長さ以下とされている。また、板状部材14の幅は、内箱11の外形寸法(Y1)と同じ長さであって、ケース体13の幅方向の内側寸法(Y2)から、(ケース体13内に収納する)袋体12の厚み(t)分を差し引いた長さ(Y2−2t)を最大とし、かかる最大長さ以下とされている(内箱11およびケース体13の寸法については図2参照)。
一方の板状部材14は、袋体12を挟んでケース体13の底面内側に当接するように配置され、かかる板状部材14の上に密封パッケージ7が載置され、更に密封パッケージ7の上方に他方の板状部材14が配置された状態で、各板状部材14および密封パッケージ7は、袋体12に内包されている。上方側の板状部材14は、その板状部材14とケース体13の対向する内側面(上面)との間に余剰の袋体12を収納する隙間分、ケース体13の上面内側から下方に配置される。
板状部材14は、製造容易な簡便な形状であるので、補正部材の製造を容易とし、また、製造コストを削減できる。尚、板状部材14は、ケース体13の上面側と底面側とに配置されるものに限られるものでなく、対向する2の側面に対してそれぞれ配置されるものであっても良い。また、板状部材14は、対向する2面だけでなく、密封パッケージ7を囲む4面に配置されてもよい。
袋体12をケース体13の内側形状である直方体形状に近似するには、直方体を形成する8つの頂点を支持できればよい。従って、補正部材は、ケース体13の底面、側面、上面の内、密封パッケージ7を挟んで互いに対向する少なくとも2の面の縁部近傍に配設され、各面の少なくとも1対の対辺に沿ってそれぞれ延設された延設部を備えていれば良い。かかる延設部を備えた補正部材としては、板状部材14のみならず、外周形状を板状部材14と同一とする長方形形状に形成されると共に周縁部より内側が空洞の枠体を補正部材が例示される。また、四隅に沿って配置される4つの柱状体が例示される。
梱包具は、開梱後は不要となり、廃棄または再利用することとなる。かかる場合に、4つの柱状体や少なくとも2の枠体または板状部材14で補正部材を構成すれば、取り扱いが容易であるため、廃棄または再利用のための処理を行う開梱者の労力を軽減することができる。尚、柱状体、枠体、板状部材14は、樹脂、金属、セラミックス、紙などの各種材料を適宜用いて構成され、更に、かかる補正部材は多孔質体(多孔質材料)にて形成しても良い。
次に、図7を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。図7は、第3の実施形態の梱包パッケージ110の内部構造を正面視にて模式的に示した図である。尚、上記した第1の実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
第3の実施形態の梱包パッケージ110は、第1の実施形態と同様に密封パッケージ7に被包された記録ヘッド1を梱包する梱包具20として、袋体12、ケース体13を備えており、内箱11に代えて、袋体12の形状を補正する補正部材として、硬質ウレタンフォームの粒状物15を備えている。硬質ウレタンフォームは多孔質体(多孔質材料)であるため、空気を多く含む。従って、袋体12内に多量に充填しても、袋体12内に多くの気体を密封することができる。その結果、袋体12が気体透過性を有するものであっても、減圧環境下における袋体12内の気圧の低下速度を緩慢にすることができる。
硬質ウレタンフォームの粒状物15は、各々が不定形状に形成された塊状物であり、ケース体13と密封パッケージ7との形状差にて生じる隙間に入り込める大きさに成形されている。この硬質ウレタンフォームの粒状物15は全体として無定型であるので、袋体12内で流動して、密封パッケージ7とケース体13との形状差にて生じる隙間を充填する。その結果、袋体12が外方に押し広げられ、その形状がケース体13の内側形状に沿って補正される。このため、密封パッケージ7の外側形状が複雑な形状で、ケース体13の内側形状との形状差が大きい場合であっても、その形状に適応して袋体12の形状を補正することができる。
尚、充填材は、硬質ウレタンフォームの粒状物15に限られるものでなく、軟質ウレタンフォームや発泡スチロールなど各種樹脂の粒状物、更には、紙、パルプ、木材などの各種素材のチップを用いても良い。
次に、図8を参照して、本発明の第4の実施形態について説明する。図8は、第4の実施形態の梱包パッケージ120の内部構造を正面視にて模式的に示した図である。尚、上記した第1の実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
第4の実施形態の梱包パッケージ120は、第1の実施形態と同様に密封パッケージ7に被包された記録ヘッド1を梱包する梱包具20として、袋体12、ケース体13を備えており、内箱11に代えて、袋体12の形状を補正する補正部材として、空気を封入した凸状のエアパッキング部16aが一面に形成された柔軟なシート包装体16を備えている。
密封パッケージ7は、シート包装体16にて包装されて袋体12内に密封される。シート包装体16は、柔軟性(可とう性)を有しているので、折り畳んで形状を変更することができる。そして、部分的に折り畳み回数を変更し、一部を厚くまたは薄くして密封パッケージ7を包装することにより、密封パッケージ7の外側形状とケース体13の内側形状との形状差を補正する、即ち、シート包装体16の外側に配設される袋体12の形状を補正してケース体13の内側形状に近似させることができる。
シート包装体16は、同じシート包装体16であっても、包装形態を変更すれば、各種のケース体13の形状に応じて袋体12の形状を補正することができ、補正部材としての自由度が大きい。従って、設計変更することなく、同じ規格のシート包装体16で各種のケース体に対応できる(適応範囲が広い)。更に、第3の実施形態にて説明した硬質ウレタンフォームの粒状物15に比べ、シート包装体16は大きく、取り扱いが容易である。梱包具20は、開梱後には、廃棄または再利用する必要があるが、こぼれたり舞い上がったりする粒状物に比べてシート包装体16は取り扱い性が良好であり、開梱持の作業性が良い。
次に、図9と図10とを参照して、本発明の第5の実施形態について説明する。図9は、第5の実施形態の梱包パッケージ130の構成を示す斜視図である。第1の実施形態では、内箱11にて補正した袋体12の外側には、ケース体13の内側面が当接するか、または僅かな隙間が形成されるように構成された。これに代えて、第5の実施形態においては、ケース体13と袋体12との間に空気が封入された袋体が配設されるように構成されている。尚、上記した第1の実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
第5の実施形態の梱包パッケージ130は、第1の実施形態と同様に密封パッケージ7に被包された記録ヘッド1を梱包する梱包具20として、内箱11、袋体12、ケース体13を備えている。梱包パッケージ130内において、記録ヘッド1が被包された密封パッケージ7は内箱11に収納され、更にその内箱11は、袋体12にて密封した状態でケース体13に収納されている。尚、図9は、ケース体13から袋体12を取り出した状態にて梱包パッケージ130を示している。
袋体12には、ヒートシールによってシール部12e(第1ヒートシール部12e1と第2ヒートシール部12e2)が形成されており、表裏の2面のフィルム体が(所定のシール幅分)熱融着され、袋体12は密封されている。
第1ヒートシール部12e1は、内箱11の上方であって、且つ内箱11の上面近傍において、袋体12の幅方向の一端部から他端部まで直線状に形成されている。また、第2ヒートシール部12e2は、内箱11の上方であって、且つ袋体12の開口12aの近傍にて、袋体12の幅方向の一端部から他端部まで形成されている。
かかる第1ヒートシール部12e1と第2ヒートシール部12e2とにより、袋体12内は上下に2の室12g,12fに区画されている。下方側の収納室12gは、第1ヒートシール部12e1により密封された密閉空間であり、内箱11を収納するためのものである。上方側の空気室12fは、第1ヒートシール部12e1と第2ヒートシール部12e2とにより区画された密閉空間であり、空気を封入して密封されている(第2の袋体12f)。言い換えれば、この空気室12f(第2の袋体)は、内箱11を収納して余った部分を利用して、袋体12の一部に一体に形成されている。第5の実施形態においては、この空気室12f(第2の袋体)が、内箱11の上面とケース体13の上面の内側面との対向面間に配設されている。
図10は、第5の実施形態の梱包パッケージ130を図9のB方向から見た内部構造を示す断面図であり、減圧環境下における梱包パッケージ130の作用を説明する図である。図10(a)は、常圧環境下(略1atm)における梱包パッケージ130の状態を示している。
図10(a)に示すように、梱包パッケージ130のケース体13内には、内箱11を密封した袋体12が収納されている。第1の実施形態と同様に、内箱11内には、記録ヘッド1を被包した密封パッケージ7が内包されている。そして、内箱11の底面および側面により、袋体12の収納室12gは、ケース体13の底面および側面の内側面に沿った形状に補正され、かかるケース体13の底面および側面の内側面に対向する袋体12の大部分は、ケース体13の内側面に当接している。内箱11の上面は、ケース体13の上面の内側面から所定距離隔てて(下方に)配置されている。かかる内箱11の上面により、収納室12gの上方側は、ケース体13の上面の内側面に沿った形状に補正されると共に、ケース体13の上面の内側面から所定距離隔てて(下方に)配置される。
また、袋体12は、第1シール部12e1にて折り曲げられ、空気室12fが、内箱11の上面において収納室12gに重ねられている。空気室12fの上面とケース体13の対向する内側面には、隙間が形成されている。
図10(b)は、図10(a)に示した梱包パッケージ130の減圧環境下(略0.7atm)における状態を示している。減圧環境下においては、袋体12内の気圧が袋体12外の気圧よりも相対的に高くなるため、袋体12が膨張する。ここで、空気室12fが膨張した場合、空気室12fの上方側はケース体13の上面の内側に当接する一方、下方側は、収納室12gに当接する。従って、収納室12gがケース体13の内側面に当接せずとも、ケース体13により、空気室12f(第2の袋体)を介して収納室12gの膨張を規制することができるのである。
袋体12をケース体の内側面に密着させる、即ち、袋体12の外側面全体をケース体13の内側面に当接する位置に保持すれば、袋体12の外形形状を最もケース体13の内側形状に近似させることができ、袋体12の膨張を最も抑制することができる。ところが、袋体12の外側面全体をケース体13の内側面に当接する位置に保持するには、ケース体13の内側寸法を基準に、厳しい寸法精度で内箱11を加工(製造)する必要が生じる。
しかし、第5の実施形態によれば、ケース体13の内側面と袋体12との隙間を埋める空気室12f(第2の袋体)を介して、収納室12gの膨張を規制するので、内箱11およびケース体13に厳格な寸法精度を不要とし、かかる梱包具の製造を容易とすることができる。
尚、第2の袋体12fの配設位置は、内箱11の上面に限られるものでなく、側面又は下面であっても良い。また、第5の実施形態では、空気室12f(第2の袋体)は、袋体12の一部として一体に形成された。これに変えて、空気室12f(第2の袋体)を、袋体12とは別体で形成し、かかる第2の袋体を袋体12とケース体13との対向面間に挿入するように構成しても良い。
また、第5の実施形態において、内箱11(補正部材)は必ずしも必要ではなく、密封パッケージ7を密封する袋体12(収納室12g)と、空気を封入した第2の袋体12fと、ケース体13とにより、梱包具を構成しても良い。これによれば、部品点数を削減でき、低コストで、減圧環境下においても袋体12内の気圧を維持できる梱包具を形成することができる。
次に、図11を参照して、本発明の第6の実施形態について説明する。図11は、第6の実施形態の梱包パッケージ140の構成を示す分解斜視図である。第1の実施形態の梱包パッケージ100の梱包具20には、密封パッケージ7を(内包する内箱11を)密封する袋体として、2枚の長方形のフィルム体を3方シールして形成された袋体12が用いられた。また、袋体12の形状を補正する補正部材として、上面、側面、底面を備えた6面体の内箱11が用いられた。これに代えて、第6の実施形態においては、密封パッケージ7を密封する袋体として、内部を膨らませた場合に略直方体となるいわゆるガゼット袋18を用い、袋体の形状を補正する補正部材として、底面および側面の5面を有する展開体17を用いて、梱包具20を形成している。尚、上記した第1の実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
第6の実施形態の梱包パッケージ140は、梱包具20として、第1の実施形態と同様のケース体13を備えると共に、上記した展開体17とガゼット袋18とを備え、更に、シート包装体16を備えている。尚、シート包装体16は、第4の実施形態に示したシート包装体16と同様のものである。第6の実施形態においては、かかるシート包装体16は省略しても良い。第6の実施形態では、密封パッケージ7は、シート包装体16に包装された状態で、展開体17内に収納される。
展開体17は、上記したように、その内部に密封パッケージ7を収納すると共に、密封パッケージ7を密封する袋体の形状を補正する補正部材である。具体的には、内箱11と同様に紙製の部材であり、略長方形の底面とその底面の各辺のそれぞれに連設された略長方形の4つの側面17a,17cを備えている。各側面17a,17cは、底面との接続(共有)辺を基点として、底面に対して立設することができるようになっている。そして、底面に対して各側面17a,17cを立設することにより、上面が開口された箱状の態様の略直方体を形成するように構成されている。
正面視において左右となる側の側面17aの前面側の端部および裏面側の端部のそれぞれには、その縁に沿って所定幅のとじしろ17bが連設されている。とじしろ17bは、側面17aの両側の端部からそれぞれ外方に延出されて設けられると共に、展開体17の内側に向かって折り込まれている。側面17a,17cを底面に対して垂直に立設すると、かかるとじしろ17bは、側面17cの裏面に重なる。展開体17の各面(側面17a,17cおよび底面)の寸法構成については、第1の実施形態の内箱11(図2参照)の対応する面(側面および底面)と同様である。
図11に示すように、展開体17の各側面17a,17cは、互いに接着されておらず底面側の辺を基部として揺動可能に立設されており、展開体17は、側面17a,17cが非接着の状態で使用される。このため、側面17a,17cの立設角度を調整して展開体17の内側の内容積を変更することができる。これによれば、収納する密封パッケージ7(シート包装体16等で包装したもの)の寸法のバラツキを、展開体17の形状を調整して吸収することができる。このため、密封パッケージ7(シート包装体16で包装したもの)に対して厳格な寸法管理を行わずとも、密封パッケージ7(シート包装体16で包装したもの)を展開体17内へ容易に収納することができる。また、展開体17の形状を適宜調整することにより、その外形形状をケース体13の内側形状に適応させることができる。従って、ガゼット袋18の形状をケース体13の内側形状に近似する補正を行う補正部材として展開体17を用いれば、ケース体13と展開体17との形状に対する厳格な寸法管理なしに、ガゼット袋18をケース体13の内側形状に容易に近似させることができる。
ガゼット袋18は、内部を膨らませた場合に自立的に略直方体となる袋体であり、初期状態において上面が開口した状態となっている。また、ガゼット袋18の長手方向(底面18cから開口18aに向かう方向)の長さは、ケース体13の高さ(Z2)の略2倍とされ、密封パッケージ7等を内部に収納した状態でガゼット袋18の4つの側面18bの開口側を重ね合わせて開口18aを閉塞することができるように形成されている。尚、ガゼット袋18の長手方向の長さは、密封パッケージ7等を内部に収納した状態でガゼット袋18の4つの側面18bの開口側を重ね合わせることができる長さであれば良く、ケース体13の高さ(Z2)の略2倍に限られるものではない。
このガゼット袋18は、初期状態(密封パッケージ7等の挿入前)において、正面視左右側の側面18b1が、折り込み線18dを頂点として中心側に略「くの字」状に折り畳まれている(対向する1対の側面18b1は折畳部となっている)。また、底面18cは、幅方向(長手方向に交差する方向)の一端から他端までをヒートシールすることにより形成されたシール部18c1を境界として、一方は正面視前面側の側面18b2に、他方は正面視後方側の側面18b2に、それぞれ面一になっている。
かかる初期状態から、このガゼット袋18に展開体17等が挿入されると、展開体17等の厚みにより、側面18b1は初期状態から押し広げられて伸張される、即ち内部が膨らまされる。側面18b1が伸展されると、2の側面18b1の底面18c側の端部は、折り込み線18dとシール部18c1とが交会する点を頂点として切妻屋根状に折り畳まれ、底面18cの一部に折り重ねられる。これにより、側面18b1は、側面視略長方形の面の態様となる。また、底面18cは、側面18b1の端部が切妻屋根状に折り畳まれると、シール部18c1を中心として前後方向に展開され、略長方形の面形状に形成される。その結果、ガゼット袋18は、図11に示すように、側面視略長方形の側面18b1と、略長方形の底面18cとを備え、上面が開口された略直方体の態様となる。
また、ガゼット袋18は、袋体12と同様に熱融着可能な樹脂製の柔軟性を有するフィルム体にて形成されている。このため、ヒートシールによる熱融着により、ガゼット袋18の内部に密封パッケージ7などを密封することができる。
次に、第6の実施形態の梱包具20により、密封パッケージ7を梱包する梱包方法について説明する。まず、記録ヘッド1を被包した密封パッケージ7を、シート包装体16にて包装し、シール止めする。ガゼット袋18は、筒状のシート体の内側面を合わせて長方形の2のシート体が積層された態様とし、更に、長手方向に沿った両側(非開口側)の縁部を折り込み線18dとしてそれぞれ内側に折り込んだ状態で、1方の開口を幅方向に一端から他端まで直線状にヒートシールして形成される。これにより底面18c側のシール部18c1が形成されると共に、ヒートシールされなかった側が開口18aとなる。そして、展開体17の一部分(底面側から所定高さまで)を、ガゼット袋18内に、開口18aから挿入する(図11に示した状態)。
かかる状態において、展開体17の内側に、シート包装体16に包装された密封パッケージ7をセットする。上記したように、側面17a,17cは接着されていないので、挿入される密封パッケージ7に対して展開体17の上面を大きく開放することができ、展開体17の内側に、(シート包装体16に包装された)密封パケージ7を容易にセットすることができる。
続いて、ガゼット袋18を底面18c側からケース体13に挿入した後、密封パッケージ7を展開体17ごとガゼット袋18の奥方に挿入し、ケース体13の底面に、ガゼット袋18を介して、密封パッケージ7を収納した展開体17を載置する。そして、載置された展開体17の上方側において折り込み線18dを折り込んで、開口18aからガゼット袋18内の空気を押し出しつつ、4つの側面18bを重ね合わせて開口18a側を閉じ、ヒートシールにより熱融着してガゼット袋18を封止する。その後、ケース体13の上面から外方にはみ出ているガゼット袋18の余剰部分を折り畳んでケース体13内に押し込み、開放状態にあるケース体13の4つの蓋部材を内側に折り畳んでケース体13の上面を閉塞する。
このように、密封パッケージ7を密封する袋体に、自立的に略直方体となるガゼット袋18を用いるので、展開体17による補正がなされる前の元々の袋体の外形形状を略直方体とすること、つまり、元々の袋体の外形形状とケース体13の内側形状とを予め近似された形状とすることができる。元々の袋体の外形形状とケース体13の内側形状とが近い場合には、補正部材による補正前後において袋体の形状差を小さくすることができる。補正前後の形状差が大きいほど、補正後の袋体の弛みや撓みが大きくなる。この弛みや撓みは、袋体の膨張の要因となる。第6の実施形態では、ガゼット袋18を袋体に用いるので、補正部材による補正後の袋体に発生する弛みや撓みを抑制することができ、従って、他の袋体を用いる場合に比べて、より一層、減圧環境下での袋体の膨張を厳格に規制することができる。尚、展開体17は、底面と底面に連設された4つの側面17a,17cとにより形成されたが、更に底面に対向する上面を設けても良い。かかる上面は、展開体17とは別体で、着脱可能に構成されてものであっても良く、また、展開体の1の側面17a,17cの開口側の一端に連設されたものであってもよい。
以上説明したように、梱包パッケージ10,100,110,120,130,140によれば、記録ヘッド1を減圧環境下にて輸送する場合であっても、記録ヘッド1を包含する密閉空間(袋体12内)の気圧を常圧環境下と同等の気圧に維持することができる。よって、記録ヘッド1内に封入されたインクが漏出することがない。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記各実施の形態では、記録ヘッド1に封入される流体はインクとしたが、封入される流体はインクに限られるものでなく、保存液などの他の液体であってもよい。また、上記各実施の形態では、梱包される封入容器を記録ヘッド1としたが、本発明の梱包パッケージは、記録ヘッド1以外の流体を封入する各種容器の梱包に適用する事ができ、例えば、記録ヘッド1に供給するインクが充填されたインクカートリッジに適用しても良い。尚、流体とは液体に限られるものでなく、封入容器内にて流動あるいは、流出するものであり、液体以外に、気体や固体をも含む概念である。流体としての固体とは、例えば、トナーなど、微粒子で構成される粉体などが例示される。