以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る補強方法(第1補強方法という)により補強された電柱およびその内部と主な補強部材を示す図であり、図2は、本発明の第2の実施の形態に係る補強方法(第2補強方法という)により補強された電柱およびその内部と主な補強部材を示す図である。両補強方法には共通工程が多いので、これらを並行して説明する。先ず、図1および図2を参照して、第1補強方法および第2補強方法(本補強方法と総称する)の概略を説明する。
電柱1は中空のコンクリート製の電柱であり、その全長は16mほどである。なお、図2に示すように、電柱1には一部が肉厚になっているものもあるが、一般的には、その内部が上方で狭くなっている共架柱といわれるものであり、下端から2.6m程度の部分を地中などに埋設され立設している。よって、地上には残りの13.4mほどの部分が現れている。本補強方法では、電柱1の頂部13での作業は、例えば、吊り上げ装置付き高所作業車などによって頂部13近傍に配置された作業者により行われる。なお、本発明は内部が上方で狭くなっている電柱に限定されないものであるから、内部が同じ広さの単独柱にも適用可能である。
本補強方法では、先ず電柱1の側面の、地表に近い箇所に側面開口部11を形成し、側面開口部11より下の範囲を内部から補強する(下部補強工程)。この下部補強工程では、先ず、2.8mほどの複数本のアラミド製のロッド21を側面開口部11から挿入する。ロッド21や後述する他のロッドの下端には重棒2aを取り付けて安定化が図られている。つぎに、側面開口部11から補強剤として砕石3(または豆砂利など)を投入し、側面開口部11から補強剤4aを充填する。
次に、側面開口部11より上の範囲を内部から補強する(上部補強工程)。この上部補強工程では、先ず、側面開口部11から、それぞれが8.5mほどの、複数本のロッド22を挿入し、アラミド紐22aで吊り下げる(ロッド挿入工程)。次に、図1に示すような複数の貫通部72と1つの雄ねじ部74を備えたロッド配置補助具7(例えば、フレーム71の径により3種類用意される)、または、図2に示すような複数の貫通部511を有するロッド配置機構51を備えたロッド配置治具5を側面開口部11から2個順次に挿入し、最初のロッド配置補助具7をアラミド紐7aで、最初のロッド配置治具5をアラミド紐5aで、それぞれ頂部13から吊り下げ、2番目のロッド配置補助具7も同様のアラミド紐7aで、2番目のロッド配置治具5も同様のアラミド紐5aで、それぞれ頂部13からから吊り下げる(用具挿入工程)。そして、最後のロッド配置補助具7を側面開口部11から挿入する。
また、複数本のロッド22を適宜、複数の貫通部72または貫通部511に分散して貫通させる(ロッド貫通工程)。そして、側面開口部11を塞ぎ、電柱1の頂部開口部12から補強剤4cを投入する(補強剤投入工程)。次に、5.1mほどのロッド23を頂部開口部12から補強剤4cの中に埋め込む。このとき、ロッド23の3箇所に設けられた紐ガイド231にアラミド紐5aが通されて、ロッド23は最初のロッド配置補助具7、最初のロッド配置治具5へと案内される。
最後に、予め取り外しておいた末口蓋などの蓋Lを頂部13に取り付けるとともに側面開口部11を塞いだ部分をアラミド繊維シート6で補強することで本補強方法が終了する。
このように、側面開口部11より上の範囲が内部から補強されるので、コンクリート製の電柱の全体を確実かつ効率的に補強することができる。
次に、本補強方法を詳細に説明する。
図3乃至図7は、第1補強方法の各課程における電柱1およびその内部を示す図であり、図8乃至図12は、第2補強方法の各課程における電柱1およびその内部を示す図である。図13は、本補強方法のフローチャートである。なお、図3、図8では頂部13における蓋Lの取り外し並びに振れ止めガイドGの取り付けの図示を省略し、図3乃至図6、図8乃至図11では、蓋Lと振れ止めガイドGのない状態を示している。
先ず、詳しくは後述するロッド21,22,23、ロッド配置治具5などの各種部材を揃えるなどの準備を行った後(図13のS11)、頂部13に振れ止めガイドGを取り付ける(図13のS13)。
この振れ止めガイドGは、ロッド23などの長尺部材を頂部開口部12から挿入する場合に、長尺部材の上端が振れないようにするためのものであるとともに、後述する落下防止ネットNを取り付けるために使用されるものである。また、振れ止めガイドGにアラミド紐22aを結びつけることで、ロッド22を吊り下げることができる。
振れ止めガイドGは、詳しくは図14(a)に示すように、上端部に環状部G1を有し、この環状部G1から間隔をあけてほぼ並行に切り欠き部G3を有するC字形の円弧部G2が2個配設され、環状部G1と2個の円弧部G2は、4本の連結棒G4で固定的に連結されている。なお、図14(a)、(b)では、電柱1の頂部13に蓋Lが図示されていないが、同図に示すように振れ止めガイドGを取り付ける段階においては、蓋Lが取りつけられている。
このように構成される振れ止めガイドGは、その下端部が図14(b)に示すように電柱1の頂部13に例えば金属製またはナイロン製のテープG5で固定的に取り付けられる。
振れ止めガイドGを電柱1の頂部13に取り付けた後、図14(a)に示すように、この振れ止めガイドGを利用して、電柱1の頂部13に落下防止ネットNを取り付け、これにより電柱1の蓋Lを取り外す場合に、破損したコンクリートの破片などが下方に落下するのを防止する。
落下防止ネットNは、図15(b)に示すように、長方形のネット部N1、このネット部N1の上辺に取り付けられている湾曲可能な例えば金属からなる横棒N2、この横棒N2から下方に垂直にネット部N1の半分程度まで延出している5本の縦棒N4、この縦棒N4と横棒N2との交点に取り付けられている紐N3、および5本の縦棒N4のうちの左端に位置する縦棒N4に取り付けられている紐N5から構成されている。
そして、このように構成される落下防止ネットNを図15(a)に示すように振れ止めガイドGの取り付けられた電柱1の頂部13に取り付けるには、先ず横棒N2を丸く曲げながら、ネット部N1で振れ止めガイドGの下方部および電柱1の頂部13を囲むように円筒形を形成し、この円筒形の状態で左端の縦棒N4に取り付けられている紐N5を他の縦棒N4に結びつけて円筒形を完成する。
それから、この円筒形の上端部の横棒N2に取り付けられた紐N3を振れ止めガイドGの円弧部G2に適当な間隔で結びつけて円筒形を固定する。そして、この円筒形の下端部に位置するネット部N1を電柱1の周囲に絞るように巻き付けて、円筒形を円錐形にし、この電柱1の周囲に巻き付けたネット部N1の下端部を紐N6で縛り付けて固定すると、図15(a)に示すように電柱1の頂部13の周囲に落下防止ネットNが取り付けられる。
振れ止めガイドGおよび落下防止ネットNを電柱1の頂部13に取り付けた後、図16に示すように、電柱1の頂部13の蓋Lをバール101および金槌103などを用いて取り外す(図13のS15)。
なお、蓋Lは、電柱1の頂部13にボルト13aなどを用い、その上をコンクリートで覆うように固定されているものであるため、このボルト部分はバール101および金槌103を使用してはつるようにして蓋Lを取り外すことになる。このように蓋Lを取り外した後は、落下防止ネットNは不要となるので、ここで落下防止ネットNを電柱1の頂部13から取り外す。
電柱1の蓋Lを取り外して電柱1の頂部開口部12が露呈すると、次に、この頂部開口部12から電柱1の内部状態を確認する(図13のS17)。
図17(a)に示すように、電柱1の頂部13に、例えば棒状または板状の支持部材C3を取り付け、この支持部材C3の先端を電柱1の頂部開口部12の断面のほぼ中央まで延出し、この中央に延出した支持部材C3の先端に滑車などのような外周面に溝の形成された回転部材C4を取り付ける。この回転部材C4の溝にワイヤC5をかけ、このワイヤC5の下端部に、図17(b)に拡大して図示するようなスナップ付きサルカンC6を介して重りC7を取り付ける。
一方、ワイヤC5の上端部は、支持部材C3の端部に取り付けられた、例えば釣りのリールのような巻取器C8に巻回し、この巻取器C8をハンドルC9で回転することによりワイヤC5を巻き取ったり、巻き戻すことによりワイヤC5の下端部の重りC7を電柱1の内部内に垂れ下ろしたり、引き上げることができるように構成している。
このように巻取器C8で巻き取ったり巻き戻すことができるワイヤC5の下端部寄りの部分に対して、図17(a)に示すように円筒状のカメラC1を例えばビニールテープなどの取付部材C10で縛るように取り付けて固定するとともに、またカメラC1から上方に延出しているカメラコードC11も同様に例えばビニールテープなどの取付部材C12でワイヤC5に縛るように固定的に取り付けられている。
そして、このようにワイヤC5の下端部寄りに縛り付けられたカメラC1のカメラコードC11は、ワイヤC5に沿って内部を上方にのばされ、頂部開口部12から外部に出てモニタC2に接続され、これによりカメラC1で撮影した内部内の映像をモニタC2で観察し、内部内が正常であるかを確認することができる。
詳しくは、ワイヤC5の下端部の重りC7を電柱1の頂部開口部12から内部に挿入するとともに、ワイヤC5の下端部寄りに取り付けられたカメラC1も頂部開口部12から内部に挿入してから、巻取器C8のハンドルC9を操作して、重りC7の重量によって引っ張られるようにワイヤC5を下方に向けて徐々に降ろすと、このワイヤC5に縛り付けられているカメラC1も内部を徐々に下方に降りることができるので、この降りる途中でカメラC1により内部の状態を逐次撮像し、この逐次撮像した映像をモニタC2で観察して内部が正常であるか否かを確認する。
このようにしてカメラC1が内部の最下端部の底に到達した場合には、この底の状態をカメラC1で撮像し、この撮像した画像をモニタC2で確認する。電柱1の内部の底には、例えばヘドロなどを含む土砂C13が少し盛り上がって存在し、この土砂C13の上に溜水C14が存在している。また、電柱1の最下端部近傍の外周部はコンクリートが内側に膨出してノロC15が形成され、その一部には電柱1の外周部をコンクリートとともに構成している針金C16が露出していることがあるので、これらの状態をカメラC1で撮像してモニタC2で確認する。
そして、電柱1の底部に溜水C14や土砂C13などがある場合には、例えば排気ポンプやバキュームなどを用いて外部に排出する。
更に、電柱1の内部内には、地中に埋設された部分で下端が接地され、上端が上方に延出しているアース線C17が内壁に沿って設けられているので、このようなアース線C17はロッド21,22などの配置に支障がないように処理する。なお、図17において、電柱1の頂部13には図の簡単化のため振れ止めガイドGが取り付けていないが、実際にはこの段階では振れ止めガイドGは取りつけられている。
以上のようにして、内部にロッドやロッド配置治具5などが円滑に挿入し得るか否かを確認するテスト用ロッド配置治具Tを用いた円滑挿入確認動作およびカメラC1とモニタC2を用いて内部内を撮影して映像で確認する映像確認動作が終了すると、次に下部補強工程を行う。
図3と図8に示すように、下部補強工程では、先ず電柱1側面の地表に近い箇所、例えば、地表から1m〜1.6mの箇所に、電動ドリルなどの削孔機L101で側面開口部11を形成する(図3のS101、図8のS201)。この側面開口部11の形状は、水平方向の径が50mm程度、鉛直方向の径が40cm程度の略長方形または略楕円形である。
ところで、電柱1の外周部をなすコンクリートには、所定の間隔で鉄筋が配筋されており、長手方向(立設時の略鉛直方向)を指向する鉄筋の配筋間隔は、外周の水平方向に沿って90度ごとに配筋間隔が他の箇所よりも若干大きい箇所がある。このような箇所には、アース孔や足場ボルト装着用の溝部が設けられていることが多い。側面開口部11を設ける位置は、鉄筋がない箇所でなければならない。
次に、ロッド21を側面開口部11から挿入するのだが、ロッド21は、図18に示すように、アラミド繊維で形成される棒状のアラミドロッド210と、このアラミドロッド210の下端部に例えば異型鉄筋などを介して取り付けられた重棒2aとを有し、上端部には綿製やステンレス製のワイヤ21aが取り付けられてなるものである。なお、アラミドロッド210の長さは、例えば2.8mほどであり、重棒2aの長さは、例えば80cmである。
このような複数本のロッド21を、図3と図8に示すように側面開口部11から1本づつ挿入するとともに、側面開口部11の外部で各ワイヤ21aを保持する(図3のS102、図8のS202)。
次に、図19に示すように、円環状の金属のフレーム71より外側にU字状の金属の貫通部72を周方向に均等に複数設けたロッド配置補助具7に対し紐73を接続する。なお、図19のロッド配置補助具7は、10本のロッド21を用いるときのものである。以降の説明では、10本のロッド21を用いた場合を説明するが、本発明はこの本数に限定されないものである。また、図19では、雄ねじ部74を省略しているが、雄ねじ部74のないロッド配置補助具7を用いてもよい。
さて、次には、各ワイヤ21aを複数の貫通部72に分散させて通させる。次に、5本のワイヤ21aを、図20に示す懸吊治具81の懸吊部811、通し穴部812、813、814に順次に通す。また、残りの5本のワイヤ21aを、図21に示す懸吊治具82の懸吊部821、通し穴部822、823、824に順次に通す。
ここで、懸吊治具81、82を詳しく説明する。
図20に示す懸吊治具81は異型鉄筋製であり、ロッド21に締結されるワイヤ21aを懸吊、支持してロッド21の位置を固定する円弧型の補強材固定部815と、この補強材固定部815を支持する支持部816とを備える。
補強材固定部815は、ロッド21の上端に締結されるワイヤ21aを懸吊して支持するための開口面(通し穴)を有し、電柱1の外部から加える張力によってワイヤ21aが緊張したときに、各ロッド21の位置を固定するための複数の懸吊部811が、隣接する懸吊部間の距離が等しくなるように溶接等によって設けられている。なお、図20において、懸吊部811の開口面は円形を成しているが、これもあくまで一例に過ぎず、その他の形状、例えば楕円形あるいは方形等であってもかまわない。さらに、懸吊部811の内側面に超硬合金を焼きバメ等によって被覆することにより、懸吊部811自体の強度を増加させることも可能である。
支持部816は、懸吊部811から外部へ露出するワイヤ21aを通して外部からの張力を加えやすくするための通し穴部812、懸吊治具81を操作自在にして挿入を容易にする機能を有する治具操作部817、ロッド21を懸吊したときに、後述する懸吊治具82を上部に載置するための載置部818および819を備えている。なお、載置部の数は二個である必要はなく、その上部に載せて支持する治具の重量や支持部816の長さ等に応じて三個、四個、五個、・・・と複数個設けることも可能である。
ここで、支持部816をなす鉄筋の径および通し穴部812の厚み(補強材固定部815の円弧が通過する平面と垂直な方向の長さ)は側面開口部11から挿入できるように設定される。具体的には、側面開口部11の短手方向(水平方向)の径が40〜50mm程度の場合、支持部816の鉄筋の径に、通し穴部812の厚みを加えた全体の厚みが28mmを超えなければ、既存のあらゆるタイプの電柱に適用可能である。
図21に示す懸吊治具82も異型鉄筋製であり、懸吊治具81と同様に、ワイヤ21aを懸吊、支持してロッド21を固定する補強材固定部825と、この補強材固定部825を支持する支持部826とを備える。
円弧型の補強材固定部825に対して、ワイヤ21aを通す開口面を有する複数の懸吊部821が設けられている。この懸吊部821の数が必ずしも図21に示す3個である必要がない点や開口面の形状が円形に限られるものではない点、および懸吊部821の側面開口部内側面に超硬合金を用いて強度を向上させることができる点は、懸吊治具81の場合と同様である。
通し穴部812および822には、それぞれ懸吊部811および821の個数分の穴、すなわちここでは3つずつの通し穴が設けられており、各ワイヤ21aが、異なる通し穴をそれぞれ貫通することによって、電柱1の外部に延出するワイヤ21a同士が絡み合うのを防止することができる。
通し穴部822および治具操作部827は、上述した懸吊治具81の対応部位(下1桁が同じ)とそれぞれ同じ機能を有していることはいうまでもない。ちなみに、支持部826は、電柱1内部で懸吊治具81の載置部818、819に載置されることになるため、懸吊治具82自身は載置部を具備していない。
なお、補強材固定部815および825を構成する鉄筋の径は16mm程度である。また、上述した全長を有する電柱1(全長16m程度)に適用する場合には、補強材固定部815および825の円弧の弦の長さは230mm程度であれば好ましい。
ところで、懸吊治具81および82において、電柱1内部に挿入される部分を支持部816および826からそれぞれ着脱自在な構成にすることも可能である。
さて、5本のワイヤ21aを、懸吊治具81の懸吊部811、通し穴部812、813、814に順次に通し、残りのワイヤ21aを懸吊治具82の懸吊部821、通し穴部822、823、824に順次に通した後は、紐73を送り出すようにして、ロッド配置補助具7を側面開口部11から挿入する。
次に、懸吊治具81および82の側面開口部11から内部へ挿入する。
最初に、懸吊治具81を挿入するが、その際には、補強材固定部815のなす円弧を含む面(円弧面)を鉛直面に平行になるようにし、その円弧のうち支持部816を境に弧の長さの長い方を下にする。この段階では、支持部816の軸心方向は、水平方向よりも若干傾斜した方向を指向している。その後、下にした方の円弧部分、すなわち支持部816を境にして弧の長さの長い方の円弧部分を先ず挿入した後、支持部816の軸心が水平方向を指向するように回転し、残りの部分(弧の長さの短い円弧部分)を挿入する。通し穴部812まで挿入した後、支持部816の指向方向(水平方向)を固定して当該方向を回転軸として円弧面を90度回転させる(その際には治具操作部817をレバーとして利用)。この結果、円弧面は水平方向と平行になる。この状態で支持部816を電柱1の外部へ引くと、補強材固定部815が電柱1の内壁面に当接する。後は、懸吊治具81をそのまま鉛直下向きに側面開口部11の下端に当接するまで下降させることによって位置決めを行う。
この後、懸吊治具82を電柱1内部へ挿入する。この場合にも、補強材固定部825のなす円弧を含む平面(円弧面)を鉛直面に平行になるようにし、懸吊治具81の場合と同様に、先ず支持部826を境として弧の長さの長い方の円弧部分を挿入し、支持部816の軸心が水平方向を指向するように回転させながら、残りの円弧部分を内部に挿入し、通し穴部822を内部に挿入した後、支持部826が指向する方向を回転軸として円弧面を90度回転させる。ここでも、治具操作部827を適宜利用することはいうまでもない。この状態で支持部826を内部に押し出すと、補強材固定部825が側面開口部11と対向する内壁面に当接する。そして、補強材固定部825を内壁面に当接させたまま鉛直下向きに下降させていき、懸吊治具81の載置部818および819に支持部826を載置する。
図22は、懸吊治具81および82を用いてロッド21を電柱1内部で懸吊したときの側面開口部11付近の状態を示す図である。なお、ここでは、ロッド配置補助具7と紐73を図示省略している。
同図に示すように、懸吊治具81の懸吊部811をそれぞれ貫通した5本のワイヤ21aは、通し穴部812、813、814を通過する。そして、支持部816に適宜設けられる突起部等に金具を用いてワイヤ21aを固着することにより、そのワイヤ21aの緊張状態を保つ。懸吊治具82を介してロッド21を懸吊するワイヤ21aも同様にして通し穴部822、823を通過させ、適宜、支持部826に対して固定する。
懸吊治具81および82同士についても、両支持部816および826を連結する連結部材を用いて互いに固定しておけばさらに好ましい。この一例としては、適当な固定用金具を用いて治具操作部817および827を互いに固定することが想定されるが、これに限られるわけでないことは勿論である。加えて、二つの懸吊治具81,82を電柱1に対して適宜固定しておけば、ロッド21を懸吊時の安定性が一段と向上されることになる。 さて、図22のように配置して、さらに紐73を送り出すと、各ワイヤ21aに案内されてロッド配置補助具7が各ロッド21に達し、図23に示すように、その複数本のロッド21が複数の貫通部72に分散して貫通する。そして、さらに紐73を送り出すと、ロッド配置補助具7が自重で重棒2aの上まで降下する。
図3と図8に戻り、次には、側面開口部11から補強剤として砕石3(または豆砂利など)を投入する。ここでは、バケツL102に砕石3を入れ、そのバケツL102から、重棒2aが埋めるまで砕石3を投入する(図3のS103、図8のS203)。
次に、先ず紐73を引いてロッド配置補助具7を側面開口部11の下まで上昇させ、側面開口部11に補強剤4a(無収縮モルタルなど)を入れた漏斗状部材L103を取り付け、バケツL102から漏斗状部材L103を介して補強剤4aを、ロッド21の中ほどまで投入する(図3のS104、図8のS204)。
そして、例えば補強剤4aとした無収縮モルタルがある程度固化した時点で、懸吊治具81および82を電柱1の外部へ抜き出す。この際には、懸吊治具81および82を挿入してワイヤ21aを固定するときの操作と逆の手順の操作をそれぞれ行う。抜き出した後、電柱1の外部へ露出しているワイヤ21aを切断し、余った部分は電柱1の内部へ収納するなどしておく。なお、無収縮モルタルがある程度の粘性を有するので、懸吊治具81および83を無収縮モルタルの投入中に引き出すことも可能である。
次に、上部補強工程を行うが、この上部補強工程は、図13のロッド配置(S19)、内部確認(S21)、補強剤投入(S23)から構成される。
ロッド配置では、図17における巻取器と同様の巻取器を使用する。以下、図17に示すものと同様のものには同一符号を付す。
先ず、図17の巻取器C8と同様の巻取器C8を設けた支持部材C3の先端を頂部開口部12の上方に位置させる。巻取器C8には、先端に重りC7とスナップ付きサルカンC6が取り付けられているワイヤC5が巻き付けられており、巻取器C8からワイヤC5を送り出すことで重りC7とスナップ付きサルカンC6が電柱1の内部を降下する。
次に、ロッド22を内部に挿入するが、図24に示すように、ロッド22は、アラミド繊維で形成される棒状のアラミドロッド220と、このアラミドロッド220の下端部に例えば異型鉄筋などを介して取り付けられた重棒2aとを有し、上端部にはアラミド紐22aが取り付けられてなるものである。なお、アラミドロッド220の長さは、例えば8.5mほどであり、重棒2aの長さは、例えば80cmである。
ここでは、電柱1内部を降下してきた重りC7とスナップ付きサルカンC6を側面開口部11から引き出し、スナップ付きサルカンC6にアラミド紐22aを接続し、巻取器C8でワイヤC5を巻き取ることで、アラミド紐22aとロッド22が内部を上昇する(図3のS105)。そして、アラミド紐22aが頂部13に達したところで、スナップ付きサルカンC6からアラミド紐22aを外し、そのアラミド紐22aを振れ止めガイドGの連結棒G4に結びつけることで、ロッド22を吊り下げる(図4のS106、図8のS205)。このような作業を繰り返すことで、複数本(図3、図9では4本)のロッド22を内部に吊り下げる(図3のS105、図4のS107、図9のS206)。なお、以降の説明では、4本のロッド22を用いた場合を説明するが、本発明はこの本数に限定されないものである。また、ロッド22の下端を側面開口部11より上に位置させることで、ロッド配置補助具7やロッド配置治具5の挿入が容易になる。また、各連結棒G4を、電柱1の周方向で均等な位置に配置することで、各アラミド紐22aひいては各ロッド22を周方向で均等に配置可能となる。
次に、第1補強方法ではロッド配置補助具7を内部に挿入し、第2補強方法ではロッド配置治具5を内部に挿入する。
ここで挿入するロッド配置補助具7は、図25(a)に示すように、ロッド配置補助具7の貫通部72を4つにし、更にフレーム71より外側に雄ねじ部74を設けたものである。
また、ロッド配置補助具7は、例えば、フレーム71の径をそれぞれ150mm、180mm、200mmとした3種類のものを用意することで、電柱1内部の広さやロッド配置補助具7の最終的な取り付け位置の高さなどに応じて適宜選択可能となる。
一方、ロッド配置治具5は、図25(b)に示すように、棒状部512にロッド配置機構51を1個備えたものである。ロッド配置機構51は、貫通部511が取り付けられている上腕部513と下腕部514からなる4個の腕部515を有し、この腕部515は、棒状部512から放射状にかつ周方向で均等に設けられている。また、貫通部511は上腕部513および下腕部514の中程に形成された孔部516に挿入可能な連結部517を有し、この連結部517を上腕部513または下腕部514のいずれかの孔部516に挿入することにより取り付けられている。
なお、上腕部513と下腕部514を互いに可動自在に連結している肘部には、ロッド配置機構51を電柱1の内部に挿入した時に、内部の内壁面に当ることによりロッド配置機構51の水平方向への展開を容易にする平座金(プレーンワッシャ)518が可動自在に取り付けられている。
更に詳しくは、貫通部511は、連結部517により腕部515に取り付けられる場合、隣接する腕部515同士において貫通部511が上腕部513および下腕部514の同じ側にならず、交互になるように変更して取り付けられている。換言すると、ある腕部515において貫通部511が上腕部513に取り付けられる場合には、その腕部515に両隣で隣接する腕部515では貫通部511は下腕部514に取り付けられるようになっている。
また、複数の下腕部514の各下端部は、固定連結部519により棒状部512に固定的に取り付けられ、また各上腕部513は、可動連結部5110により棒状部512に対して可動可能に取り付けられ、この可動連結部5110を固定連結部519に対して上方に移動させた場合には、ロッド配置機構51は、上腕部513および下腕部514からなる腕部515が閉じて全体的に細くなり(窄まり)、これにより電柱1の側面開口部11から電柱1の内部に容易に挿入し得るようになっている。また、貫通部72の位置が可変であるので、電柱1内部の広さなどに応じて貫通部72の位置を決定できる。
なお、図25(b)に示すように、各下腕部514の下端部が取り付けられている固定連結部519の位置よりも少し上方の位置には、ストッパ5111が棒状部512に固定的に取り付けられ、これにより各上腕部513の上端部を棒状部512に対して摺動可能に取り付けている可動連結部5110は、このストッパ5111よりも下方に移動しないようになっている。
また、各貫通部511は、同じ径を有する2個の半円環型部材5112および5113の端部同士を互いに可動自在に取り付けられている。そして、一方の半円環型部材5112の中程に連結部517が取り付けられ、この連結部517により腕部515の孔部516に取り付けられている。
また、棒状部512の両端にはリング512aを有し、このリング512aにアラミド紐5aを結ぶことができるようになっている。
第1補強方法では、最初に挿入するロッド配置補助具7のフレーム71に6本の紐を接続し、その内の3本に図4のS107に示すようなリング75を接続し、このリング75にアラミド紐7aを結びつける。また、残りの3本にも同様のリング75を接続し、このリング75にはアラミド紐7bを掛け渡す(図4のS107)。なお、ロッド配置補助具7に紐を接続し、紐にリング75を接続する作業、また以下に説明する同様の接続作業は、図14のS11の準備段階で行ってもよい。
またここでは、図26に示す挿入棒700とロッド配置補助具7とを接続する。図26に示すように、挿入棒700は棒状であり、その先端に雌ねじ部700aを備え、さらには操作部700bを備えたものである。ここではロッド配置補助具7の雄ねじ部74と挿入棒700の雌ねじ部700aを螺合させる。
第2補強方法では、最初に挿入するロッド配置治具5の一方のリング512aにアラミド紐5aを結びつける。また、他のリング512aには別のアラミド紐5bを掛け渡す(図9のS206)。
次に、巻取器C8を設けた支持部材C3の先端を頂部開口部12の上方に位置させる。そして、巻取器C8からワイヤC5を送り出すことで重りC7とスナップ付きサルカンC6を電柱1の内部で降下させる。重りC7とスナップ付きサルカンC6を側面開口部11から引き出し、スナップ付きサルカンC6にアラミド紐7a、5aを接続する。
次に、第1補強方法では、挿入棒700を操作して、その先端のロッド配置補助具7を側面開口部11から内部に挿入する(図4のS108)。一方、第2補強方法では、ロッド配置治具5を窄めて、側面開口部11から内部に挿入し、これを内部で広げる(図9のS206、S207)。このときアラミド紐7b、5bの両端を電柱1の外部に残しておく。
そして、スナップ付きサルカンC6が電柱1の頂部13に到達するまで巻取器C8でワイヤC5を巻きとり、スナップ付きサルカンC6からアラミド紐7a、5aを外し、ロッド配置補助具7、ロッド配置治具5をロッド22の下に位置に吊り下げた状態で、その外したアラミド紐7a、5aを振れ止めガイドGの連結棒G4に結びつける(図4のS108、図9のS207)。
次に、アラミド紐22aを1本ずつ振れ止めガイドGの連結棒G4から外し、外したアラミド紐22aを頂部開口部12から内部へ送り込むようにして、そのアラミド紐22aに接続されたロッド22を、ロッド配置補助具7の貫通部72、ロッド配置治具5の貫通部511に貫通させる(図4のS109、図9のS208、図27(a)、(b))。このとき、後述する作業用具701と同様の用具を側面開口部11から差し入れ、この用具でロッド22を貫通部72、511に案内するのが好ましい。次に、ロッド22の下端が補強剤4bに到達したところで、アラミド紐22aを振れ止めガイドGの連結棒G4に結びつける。図4のS110、図9のS209は、全てのロッド22が分散して貫通部72、貫通部511を貫通した状態を示している。
次に、第1補強方法では、ロッド配置補助具7から挿入棒700を外す。
そして、振れ止めガイドGの連結棒G4からアラミド紐7a、5aを外し、これらを更に引き出すことで、ロッド配置補助具7、ロッド配置治具5を、例えば地表から8.6mの高さまで上昇させる(図5のS111、図9のS210)。このとき、側面開口部11から挿入した、図5のS111や図9のS210に示すような作業用具701により、アラミド紐7b、5bの張力を高めた状態とすることで、ロッド配置補助具7、ロッド配置治具5が真っ直ぐ上昇するので、これらが内壁へ干渉するのを防止できる。そして、ロッド配置補助具7、ロッド配置治具5の位置が決定したら、アラミド紐7b、5bを側面開口部11からから引き抜く。
次に、振れ止めガイドGの連結棒G4から全てのアラミド紐22aを外し、これらのアラミド紐22aを更に引き出すことで、ロッド22をその下端が側面開口部11より上に位置するまで上昇させ、この状態でアラミド紐22aを振れ止めガイドGの連結棒G4に結びつける(図5のS112、図10のS211)。
次に、第1補強方法では、2番目に挿入するロッド配置補助具7のフレーム71に6本の紐を接続し、その内の3本に図4のS107に示すようなリング75を接続し、このリング75にアラミド紐7aを結びつける。また、残りの3本にも同様のリング75を接続し、このリング75にはアラミド紐7bを掛け渡す(図5のS112)。また、図26に示す挿入棒700とロッド配置補助具7とを接続する。
第2補強方法では、2番目に挿入するロッド配置治具5の一方のリング512aにアラミド紐5aを結びつける。また、他のリング512aには別のアラミド紐5bを掛け渡す(図10のS211)。
次に、巻取器C8からワイヤC5を送り出すことで重りC7とスナップ付きサルカンC6を電柱1の内部で降下させる。重りC7とスナップ付きサルカンC6を側面開口部11から引き出し、スナップ付きサルカンC6にアラミド紐7a、5aを接続する。
次に、第1補強方法では、挿入棒700を操作して、その先端のロッド配置補助具7を側面開口部11から内部に挿入する(図5のS112)。一方、第2補強方法では、ロッド配置治具5を窄めて、側面開口部11から内部に挿入し、これを内部で広げる(図10のS212)。このときアラミド紐7b、5bの両端を電柱1の外部に残しておく。
そして、スナップ付きサルカンC6が電柱1の頂部13に到達するまで巻取器C8でワイヤC5を巻きとり、スナップ付きサルカンC6からアラミド紐7a、5aを外し、ロッド配置補助具7、ロッド配置治具5をロッド22の下に位置に吊り下げた状態で、その外したアラミド紐7a、5aを振れ止めガイドGの連結棒G4に結びつける(図5のS112、図10のS212)。
次に、アラミド紐22aを1本ずつ振れ止めガイドGの連結棒G4から外し、外したアラミド紐22aを頂部開口部12から内部へ送り込むようにして、そのアラミド紐22aに接続されたロッド22を、2番目のロッド配置補助具7の貫通部72、2番目のロッド配置治具5の貫通部511に貫通させる(図5のS113、図10のS213、図27(a)、(b))。このとき、作業用具701と同様の用具でロッド22を貫通部72、511に案内するのが好ましい。側面開口部11から差し入れて貫通を助けるのが好ましい。次に、ロッド22の下端が補強剤4bに到達したところで、アラミド紐22aを振れ止めガイドGの連結棒G4に結びつける。図5のS114、図10のS214は、全てのロッド22が分散して貫通部72、貫通部511を貫通した状態を示している。
次に、特に第1補強方法では、2番目のロッド配置補助具7から挿入棒700を外した上で、2番目のロッド配置補助具7、ロッド配置治具5に接続されたアラミド紐7a、5aを頂部開口部12から引き出していくことで、2番目のロッド配置補助具7、2番目のロッド配置治具5を、最初のロッド配置補助具7、最初のロッド配置治具5より下の位置まで、例えば地表から4.4mの高さまで上昇させる(図5のS115、図10のS215)。このとき、側面開口部11から挿入した作業用具701によりアラミド紐7b、5bの張力を高めた状態とすることで、これらが内壁へ干渉するのを防止する。
次に、振れ止めガイドGの連結棒G4から全てのアラミド紐22aを外し、これらのアラミド紐22aを更に引き出すことで、ロッド22をその下端が側面開口部11より上に位置するまで上昇させ、この状態でアラミド紐22aを振れ止めガイドGの連結棒G4に結びつける(図6のS116、図11のS216)。
次に、第1補強方法では、2番目のロッド配置補助具7から外した挿入棒700を、3番目に挿入するロッド配置補助具7に接続する。一方、第2補強方法では、2番目のロッド配置治具5の次に挿入するためのロッド配置補助具7に挿入棒700を接続する。 そして、挿入棒700を操作して、ロッド配置補助具7を側面開口部11から内部に挿入する(図6のS116、図11のS216)。
次に、アラミド紐22aを1本ずつ振れ止めガイドGの連結棒G4から外し、外したアラミド紐22aを頂部開口部12から内部へ送り込むようにして、そのアラミド紐22aに接続されたロッド22を、3番目のロッド配置補助具7の貫通部72、2番目のロッド配置治具5の次に挿入されたロッド配置補助具7の貫通部72に貫通させる(図6のS117、図11のS217)。このとき、作業用具701と同様の用具でロッド22を貫通部72、511に案内するのが好ましい。次に、ロッド22の下端が補強剤4bに到達したところで、アラミド紐22aを振れ止めガイドGの連結棒G4に結びつける。図6のS118、図11のS218は、全てのロッド22が分散して貫通部72を貫通した状態を示している。
次に、作業用具701を、図6のS119、図11のS219に示す支持具7001で電柱1に固定し、側面開口部11に補強剤4b(無収縮モルタルなど)を入れた漏斗状部材L103を取り付け、バケツL102から漏斗状部材L103を介して補強剤4bを、ロッド21の上端付近まで投入する(図6のS119、図11のS219)。
次に、電柱1の内部の配置状況を確認する(図13のS21)。ここでは、図28に示すように、カメラC1、モニタC2などを用いて行う。
先ず、ワイヤC5の下端部の重りC7を電柱1の頂部開口部12から挿入するとともに、ワイヤC5の下端部寄りに取り付けられたカメラC1も頂部開口部12から挿入してから、巻取器C8のハンドルC9を操作して、重りC7の重量によって引っ張られるようにワイヤC5を下方に向けて徐々に降ろすと、このワイヤC5に縛り付けられているカメラC1も縁部に沿って徐々に下方に降りることができるので、この降りる途中でカメラC1によりロッド22、ロッド配置治具5a,5b、ロッド配置機構51の配置状態を逐次撮像し、この逐次撮像した映像をモニタC2で観察して、ロッド22、ロッド配置補助具7、ロッド配置治具5、ロッド配置機構51が適正に配置されているか否かを確認する。
配置状況を確認後、振れ止めガイドGを外し、側面開口部11を止水モルタル、止水セメントなどの止水剤を充填して塞ぐ(図6のS120、図11のS220)。また、アラミド紐22a、7a、5aを振れ止めガイドGの連結棒G4から外し、頂部13にガムテープGTなどで固定する(図7のS121、図12のS221)。
そして、電柱1の頂部開口部12に漏斗状部材L103を取り付け、バケツL102から漏斗状部材L103を介して電柱1の内部に補強材(無収縮モルタルなど)4cを垂れ流すように投入し、ロッド22、ロッド配置補助具7、ロッド配置治具5の間の隙間を補強剤4cで充填する。このとき、補強剤4cが頂部開口部12に達する前に投入を止めることで、頂部13に凹部131を形成する。
そして、振れ止めガイドGを再び取り付け、1本のロッド23を補強剤4cの中に押し込む(図7のS122、S123、図12のS222、S223)。電柱1は、上方で狭くなっているので、ロッド22の本数より少ない本数のロッド23を用いるようにしている。
このロッド23は、図30に示すように、アラミド繊維で形成される棒状のアラミドロッド230と、このアラミドロッド230の下端部に例えば異型鉄筋などを介して取り付けられた重棒2aとを有する。アラミドロッド230の長さは、例えば5mほどであり、重棒2aの長さは、例えば30cmである。また、アラミドロッド230には例えば3箇所に紐ガイド231が取り付けられている。ロッド23を補強剤4cに押し込む際には、最初のロッド配置補助具7、ロッド配置治具5に接続されたアラミド紐7a、5aを振れ止めガイドGの連結棒G4から外し、紐ガイド231をこの外したアラミド紐7a、5aに通すことで、ロッド23を最初のロッド配置補助具7、ロッド配置治具5に案内することができ、よって、ロッド23でロッド配置補助具7、ロッド配置治具5より上の範囲を補強することができる。
なお、紐ガイド231にアラミド紐7a、5aを通さない場合でも、電柱1の内部が上方に行く程狭くなっており、浮きの原理が働くので、ロッド23を電柱1内部の中心に配置することができる。
ロッド23を補強剤4cに押し込んだ後は、アラミド紐7a、5aを引っ張った状態で頂部13にガムテープGTなどで固定する(図7のS123、図12のS223)。そして、電柱1から振れ止めガイドGを外す。さらに、凹部131にバケツL102からロッド23を先端が隠れるまで補強剤4d(無収縮モルタルなど)cを投入する(図7のS124、図12のS224、図13のS23)。なお、ロッド23が浮いてきたときは、ロッド23を先端が隠れるまで補強剤4dへ押し戻す。また、補強剤4dの上に、例えば十字の形にガムテープを渡し、このガムテープの端を頂部13に貼り付けることでロッド23の浮きを防止できる。
そして、ガムテープGTを外して、アラミド紐22a、7a、5aを頂部開口部12に集め、この頂部開口部12に蓋Lを取り付ける(図7のS125、図12のS225、図13のS25)。そして、最後に、側面開口部11を塞いだ部分をアラミド繊維シート6で補強する(図13のS26)ことで、電柱1が復旧する(図13のS27)。
ここで、アラミド繊維シート6の貼付方法の一例を挙げる。最初に、側面開口部11付近に、幅30cm程度で120tf/m(1176kN/m)の耐力を有するアラミド繊維シートを、その耐力が略鉛直方向の耐力となるように2度にわたって貼付する(2層を形成)。その後、幅10cm程度で90tf/m(882kN/m)の耐力を有するアラミド繊維シートを、その耐力が略水平方向の耐力となるように側面開口部11付近を螺旋状に巻回する。
なお、以上の説明においては、電柱1内部に挿入するロッド21、22を、それぞれ10本、4本とし、ロッド配置補助具7の貫通部72、ロッド配置治具5の貫通部511を、ロッドの本数分設けた例を説明したが、ロッドの本数や貫通部の数は、電柱1内部の広さやその他のさまざまな条件に応じて適宜変更することが可能である。
また、電柱1の頂部13から吊り下げるロッド配置補助具7やロッド配置治具5の数は2でなく、1または3以上であってもよい。