JP4209482B2 - 安定化油脂の製造方法、得られた油脂並びにその油脂を含有する食品 - Google Patents

安定化油脂の製造方法、得られた油脂並びにその油脂を含有する食品 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、安定化油脂の製造方法、得られた安定化油脂並びに安定化油脂を含有する食品に関する。本発明は不安定な高度不飽和脂肪酸を多く含む油脂、例えば精製魚油のモノグリセライドによる安定化方法、得られた安定化油脂並びに安定化油脂を含有する食品に関する。
本発明において、「安定化」は、「酸化安定化」の意味で使用している。
【0002】
【従来の技術】
近年、特に不飽和脂肪酸を含有する油脂類に生理的作用があることが知られるようになり、特に健康指向からこれらの油脂類は食品や飼料への添加用等としても広く利用されるようになっている。しかし、食品、飼料等へ添加する際、食品、飼料等の系においては油脂との安定性が確保されたとしても、その製造過程においてはわずかな酸化によっても臭いが発生するなどのため、例えば、工場で精製魚油を使用した後で窒素ガスを封入してからそれが入った缶を閉める必要がある等、油脂の取り扱いには種々の配慮が必要であり、その使用には自ずと制限があった。
【0003】
不飽和脂肪酸を含有する油脂類に需要は高まる一方であり、その取り扱い上の安定性の問題は厳密な意味で解決することが強く望まれている。
これらの油脂の安定化の一つの態様として粉末化がある。安定な油脂粉末を得るために油脂をマイクロカプセル中に封入して粉末化したり、サイクロデキストリンによって油脂を包装して粉末化する方法などが採用されている。しかし、製造作業が煩雑で生産性が悪く、また保存中等にカプセルの破壊事故が発生したり、食品、飼料等として使用し得るカプセルの種類が限られる等の問題がある。
【0004】
また、従来から、油脂を安定化するために抗酸化剤を添加することがよく行われている。その場合、複数の抗酸化剤を組み合わせたり、リン酸、クエン酸アスコルビン酸のようなシネルギストを添加することで抗酸化性が向上することも知られている。ところが、魚油のように非常に安定性の悪い油脂の場合では、一般に考えられる抗酸化剤、シネルギストの組み合わせだけでは安定性の向上に限界がある。
【0005】
乳化剤はその乳化機能を主目的とする他に種々の効果を有するため広範囲の食品に用いられている。この乳化剤のうち、ポリアルコールの脂肪酸エステル(モノグリセライド、シュガーエステル、プロピレングリコール系、ソルビタン系乳化剤)は豚脂の酸化防止に僅かではあるが有効であるとの報告がある〔青山ら、油科学、34、470(1985)〕。しかしながら、その効果は僅かと表現されているように大きくなく、代表的な抗酸化剤であるトコフェロールとの相乗効果も確認されるものの大きくない、かつパーム油では効果が発揮されないといったように抗酸化効果が十分でなかったり、また、対象となる油脂が限られているため、油脂の安定化といった目的で使用されている例は少ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、保存安定性が格段に向上した安定化油脂の製造方法、得られた油脂並びにその安定化油脂を含有する食品の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、油脂(高度不飽和酸を多く含む油脂又は水産動物油)を安定化するために種々検討を重ねた結果、ポリアルコール系の乳化剤の中でも、特にモノグリセライドを添加することにより、油脂の酸化安定性を格段に向上することができることを見いだした。また添加対照となる油脂が特に抗酸化剤としてポリフェノール類を含有している油脂において、このモノグリセライドの添加効果は高くなることを見出した。また、その安定化油脂を含有する食品は、今までの油脂の酸化により生じていた戻り臭の発生等種々の問題を生じないことを見いだした。
【0008】
本発明で対象にする油脂は高度不飽和脂肪酸を多く含む油脂又は水産動物油である。高度不飽和脂肪酸とは不飽和度3以上の脂肪酸を意味する。不飽和度3以上の高度不飽和脂肪酸としては、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸などを挙げることができる。また、高度不飽和脂肪酸類は、それら脂肪酸のメチルエステル、エチルエステル、トリグリセライド、ジグリセライド、モノグリセライド等のエステル型誘導体、アミド、メチルアミド等のカルボン酸型誘導体、脂肪族アルコール等を含む。
【0009】
エイコサペンタエン酸は、炭素数20で二重結合5個をもつ不飽和脂肪酸の総称であるが、天然物としては二重結合の位置が5,8,11,14,17で、すべてシス形の直鎖5価不飽和ω3系脂肪酸を指す。ドコサヘキサエン酸は、4,7,10,13,16,19位にシス二重結合をもつ炭素数22の直鎖ヘキサエン酸である。これらの天然物由来のEPA、DHAは、天然油脂、特にサバ、イワシ、タラ等の水産物油脂中にそれ自体として、あるいはそのグリセライド等の誘導体として含まれている。
【0010】
本発明は、上記不飽和度3以上の高度不飽和脂肪酸を含む原料であれば何でも使用できる。高度不飽和脂肪酸を含む原料とは、イワシ、サバ、サンマ、マグロ等の海産魚、オキアミ、エビ等の甲殻類そのもの、未精製の魚油、動植物油、微生物由来の脂質等、精製のあらゆる段階のものを原料とすることができるが、好ましくは添加したモノグリセライドの残存の点から脱酸処理を施した原料である。本発明で使用する魚油としてまぐろ魚油をウインタリングする際に発生する、遠心分離あるいは濾過残油のまぐろ結晶油を挙げることができる。
【0011】
魚原料より搾油された油を常法に従い脱酸・脱色した後、ウインタリング工程により高度不飽和脂肪酸を含む油脂成分を濃縮することができる。上記脱酸・脱色油は例えば以下のようにしてつくられる。
魚原料を熱水中で均質化して脂溶性成分を抽出し、遠心分離により固形物、水、油の3相に分離し、魚油を得る。この油を原油とする。原油を75℃に加熱し、リン酸および苛性ソーダを添加して原油中の酸化物やガム質、水分などの夾雑物を取り除く。水層との分離には遠心分離を用いる。さらに80℃の熱水によって原油を洗った後、乾燥して水分を除去し、次いで原油中の色相成分を取り除いて、上記脱酸・脱色油が得られる。
上記ウインタリング工程は、油脂を冷却することによって不飽和度の低い油脂を結晶化し、分離する工程である。この結晶は濾過、遠心分離などの分離方法により容易に分別することができる。しかしながら分別された結晶油中には母液が残存しているため、結晶油はウインタリング処理前の魚油の50〜80重量%の高度不飽和脂肪酸を含む。高度不飽和脂肪酸を多く含む魚油を原料として使用した場合、ウインタリング時に発生する結晶油中にも多くの不飽和脂肪酸が含まれることになる。例えば1容量の脱酸脱色油に対し5容量の有機溶剤を混合し、−40〜50℃に高度冷却する。このことにより、脱酸脱色油中に含まれる飽和脂肪酸などの高凝固点油脂が凝固する。これを遠心分離または濾過により分離して高度不飽和脂肪酸の濃度を高めることができる。
【0012】
天然まぐろ油中には不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸が共存しており、まぐろ結晶油中には不飽和脂肪酸が残存している。ウインタリングの1例を示せば、ウインター油中にEPAは8重量%、DHA28重量%含まれるのに対して、結晶油中にはEPA15重量%、DHA7重量%含まれる。このまぐろ結晶油を精製し異味異臭を除いた後使用する。この結晶油は融点が高いため、ネギトロなどの水産物ミンチ製品に添加すると口融け感を与え、食感向上によい影響を及ぼす。
【0013】
油脂の酸化はその風味、色沢を劣変し、栄養価値を低下するので、その酸化を防止することが食用油脂では重要である。食用油脂の酸敗にはその加水分解によるものと、自動酸化によるものとがある。自動酸化に伴う風味の劣変は酸化によって生じたヒドロペルオキシドの分解生成物によるもので、たとえば大豆油の自動酸化からプロピオンアルデヒド、2−ペンテナール、カプロンアルデヒド、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒドなどが得られている。
【0014】
魚油が不快臭を有するのはその中の高度不飽和脂肪酸の酸化によるもので、酸化によって特有ななまぐさいにおいを発する。自動酸化による劣変は魚油のような高度不飽和脂肪酸を含有する油脂を含む食品に著しいが、飽和グリセライドの場合でも加水分解により脂肪酸が生成し味を損ねる。
【0015】
リノレン酸、テトラエン酸などを含有する魚油、大豆油、アマニ油、ナタネ油などの精製油においては、酸化のごく初期においても不快臭を生じたり、色を劣化することがある。この現象をモドリとよんでいる。脱色植物精製油の色相のモドリはビタミンEの酸化生成物、クロマン−5,6−キノンによるものといわれる。油脂の酸化に影響する因子としては脂肪酸組成、温度、光線の照射、金属あるいは金属セッケンなどの酸化促進物質などがあげられる。一般に植物油にはビタミンE、ゴッシポールのような天然の抗酸化剤が含まれているので、動物油に比べて変敗が生じにくい。
【0016】
油脂の酸化を防止する化学薬品、酸化防止剤のうち、食品に供することが許可されているものはBHT(2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール)、2(3)−第3ブチル−4−ヒドロキシアニソール(BHA)、プロトカテチュ酸エチル、没食子酸イソアミル、没食子酸プロピル、ノルジヒドログアイアレチン酸、グアヤク脂である。
【0017】
抗酸化剤は油脂の自動酸化の誘導期を延長するもので、油脂の過酸化物価の上昇を抑制し、AOM(active oxygen method)の安定性を改良する点で有効であるが、風味のモドリにはほとんど防止効果がなく、これにはリン酸、ビタミンC、クエン酸のようなシネルギストの使用が有効である。
【0018】
モノグリ製剤によっては安定化能がなくあまり有効でないものもある。これは、残存脂肪酸塩の影響であるかもしれない。本発明の安定化剤として使用するモノグリセライドは安定化能を有するものであればいかなる製造方法(グリセリンと脂肪酸のエステル交換、グリセリンと油脂のエステル交換)、精製段階(自己乳化型、未蒸留モノグリセライド、蒸留モノグリセライド)のものでもかまわない。
本発明の安定化剤として使用する安定化能の高い最も好ましいモノグリセライドは脂肪酸塩の少ない非自己乳化型、未蒸留モノグリセライドである。この理由として脂肪酸塩の多い自己乳化型モノグリセライドはその塩により着色、酸化が進むということがあげられる。安定化能は未蒸留モノグリセライドが蒸留モノグリセライドより高い。モノグリセライド含量が低い未蒸留モノグリセライドが蒸留モノグリセライドよりも安定化能が高い理由は明確ではないが、グリセリン、ジグリセライドとの相乗効果(油脂界面状態の変化)によるものと推測される。
【0019】
モノグリセライドを構成する脂肪酸の種類も限定されないが、その安定化能は脂肪酸鎖長が短いほど安定であり、且つ不飽和度が低いほうがより安定である。しかしながら炭素数12未満の脂肪酸を含むモノグリセライドは風味が悪い、炭素数の多い飽和脂肪酸では添加した油脂の粘度が上昇する、または油脂に溶解し辛いといった理由のため、好ましくは炭素数12以上、最も好ましくは炭素数14から18の飽和、または2重結合を1つ所有する脂肪酸が好ましい。
このモノグリセライドを添加することにより安定化した油脂は単独でも使用できるが、他の安定性に優れた油脂(植物油脂等)と混合しても全くかまわない。
【0020】
このモノグリセライドを添加することにより安定化した油脂を食品に用いた場合、油脂由来のモドリ臭の発生、風味の劣化、退色といった品質劣化を抑制することができる。例えば、生鮮魚肉をミンチ状態にして油脂(特に魚油)を添加した食品は保存時間の経過と共にその肉色が退色してしまう。特にマグロ肉を原料とした俗に言うネギトロは油脂の酸化とミオグロビンのメト化が相乗的に進行することにより、鮪由来の鮮やかな赤色が消失してしまい大きな問題となっている。
【0021】
これを解決するために、水溶性抗酸化剤の添加や、より安定な植物油を添加するといった方法がとられているが、いずれも味に問題があったり、ω−3系高度不飽和脂肪酸量が低下してしまったりと根本的な解決にはなっていないのが実状である。しかしながら、このモノグリセライドを添加することにより安定化した油脂をネギトロ用油脂として用いた場合、保存による高度不飽和脂肪酸の酸化を抑制することによりマグロ肉の退色が有意に抑制される。ネギトロへの添加については安定化効果だけではなく、物性向上効果もあることが本発明者によりはじめて確認されたため、別の出願をした。
【0022】
また、近年、ω−3系高度不飽和脂肪酸をO/Wエマルションの形にして飲料に添加することにより、より摂取しやすくした食品が提案されている。しかしながらこの場合も、保存期間中の高度不飽和脂肪酸の酸化による味の変化、臭いの劣化等が問題となり、その添加量が制限されてしまう。しかしながら、このモノグリセライドを添加することにより安定化した油脂をO/Wエマルションとして飲料に添加した場合、保存による高度不飽和脂肪酸の酸化を抑制することにより、飲料の風味の劣化を抑制することができる。
【0023】
【実施例】
以下に実施例を持って本発明を詳細に説明する。本願発明はこれら実施例によってなんら制限されない。
【0024】
実施例1
精製魚油(EPA5重量%、DHA20重量%、トコフェロール0.5重量%、茶抽出物0.005重量%添加)に以下のモノグリセライド製剤を添加し、安定化油脂を調整した。
使用モノグリセライド製剤
1.蒸留モノグリセライド
サンソフトNO.8070〔(株)太陽化学製〕(オレイン酸主体)
2.未蒸留モノグリセライド
サンソフトNO.O−30〔(株)太陽化学製〕(オレイン酸主体)
サンソフトNO.2500〔(株)太陽化学製〕(ステアリン酸主体)
この安定化油脂を褐色のびんにいれ60℃、開放にて保存を行い、過酸化物(POV)の定量を行った。
また、調製した安定化油脂10gを125ml容のガラス管(φ300mm)にいれセプタムにて密栓後、60℃にて保存を行い、ヘッドスペースの酸素濃度をガスクロマトグラフィーにて測定した。
図1にPOVの変化を、図2にヘッドスペース酸素量を記した。
これらのデータから、魚油にモノグリセライドを添加することにより過酸化物の生成が抑制され、ヘッドスペース酸素量が高いことから酸素の吸収量も抑制されており、安定化されていることがわかる。また、図2の蒸留モノグリセライド(オレイン酸主体)の結果から、モノグリセライドの添加量が増加するにつれ安定化能が向上することがわかる。
【0025】
実施例2
精製魚油(EPA7重量%、DHA24重量%、トコフェロール0.5重量%、茶抽出物0.005重量%添加)に以下のモノグリセライド製剤を添加し、安定化油脂を調整した。
使用モノグリセライド製剤
未蒸留モノグリセライド
サンソフトNO.O−30
サンソフトNO.1330〔(株)太陽化学製〕(ステアリン酸主体)
この安定化油脂を実施例1と同様に保存試験に供した。
図3にPOVの変化を、図4にヘッドスペース酸素量を記した。
これらの結果から、モノグリセライドを添加することにより油脂が安定化することがわかる。
【0026】
比較例1
モノグリセライドの代わりに以下に記した乳化剤を2重量%添加した他は全て実施例1と同様に処理を行い、保存試験を行った。
図5にPOVの変化を、図6にヘッドスペース酸素量を記した。
使用乳化剤
シュガーエステル
リョートーシュガーエステルO−170,S−170〔三菱化学フーズ(株)製〕
ポリグリセリン
サンソフトQ−1710S,サンソフトQ−1810S〔(株)太陽化学製〕
有機酸モノグリセライド
サンソフトNO.623M〔(株)太陽化学製〕
これらの結果から、POV,酸素吸収量の面で共に油脂安定化効果を示したものはオレイン酸シュガーエステルのみであった。また、その効果は添加量が同じであればモノグリセライドに比較して高くはなかった。
【0027】
実施例3
クロマグロ赤身肉90重量%を包丁で3〜5mm角に細切し、実施例1で得た未蒸留モノグリセライド(サンソフトNO.O−30)を2重量%添加したまぐろ結晶油10重量%を加え、ケンウッドミキサーにて1分間攪拌混合した。その肉を5℃1日保存し、その色調をミノルタ色彩色差計CR−200を用いてa値、b値として表1に示した。
【0028】
【表1】
Figure 0004209482
【0029】
モノグリセライド添加油脂はa値が高いことから赤色が多く残存し、かつb値が低いことから黄色を帯びていない。この結果はすなわち、モノグリセライド添加油脂は対象である無添加の油脂と比較して鮪肉の退色を防いでいるということである。
【0030】
実施例4
以下の組成と条件で乳化物を調製し、85℃15分間の熱処理を加え、室温にて保存した。モノグリセライド添加油脂として精製魚油に未蒸留モノグリセライド(サンソフトNO.O―30)を2重量%添加した油脂を用いた。比較としてモノグリセライド無添加の精製魚油を用いた。
Figure 0004209482
乳化条件
TKホモミキサー(東京精機製)6000rpm5分
→高圧ホモジナイザー(APV−GAULIN社製)300kgf/cm2 室温保存後の乳化物の官能評価を表2に記した。表2から明らかなとおり、モノグリセライド添加油脂は乳化物の状態でも安定であることがわかる。
【0031】
【表2】
Figure 0004209482
【0032】
実施例5
精製魚油▲1▼(EPA7重量%、DHA24重量%、トコフェロール0.5重量%、茶抽出物0.005重量%添加)と精製魚油▲2▼(EPA7重量%、DHA24重量%、トコフェロール0.5重量%)にモノグリセライド製剤〔サンソフトNO.O−30、(株)太陽化学製〕を添加し、モノグリセライド添加油脂を調整した。このモノグリセライド添加油脂を褐色びんにいれ37℃、開放にて保存を行い、過酸化物(POV)の定量を行った。図7にPOVの変化を記した。
【0033】
図7より、モノグリセライドの抗酸化効果は、精製魚油にポリフェノールである茶抽出物製剤を添加した油脂の方が顕著であることが判る。
【0034】
【発明の効果】
不飽和脂肪酸より成る油脂の酸化安定性を大幅に向上させることができる。また、そのような安定化油脂を提供できる。例えば、精製魚油を食品、飼料などに添加する際に精製魚油を普通に取り扱うことのできる安定した形で取得することができる。また、そのような安定化精製魚油を提供できる。合成の抗酸化剤を添加する必要がない安定化油脂を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種油脂のPOVの変化を示した説明図である。
【図2】各種油脂のヘッドスペースの酸素量を示した説明図である。
【図3】実施例2の油脂のPOVの変化を示した説明図である。
【図4】実施例2の油脂のヘッドスペースの酸素量を示した説明図である。
【図5】比較例1の油脂のPOVの変化を示した説明図である。
【図6】比較例1の油脂のヘッドスペースの酸素量を示した説明図である。
【図7】実施例5の精製魚油に対するモノグリセライドの効果を示した説明図である。

Claims (3)

  1. 抗酸化剤を含有している精製魚油に、安定化剤として、構成する脂肪酸の90重量%以上が炭素数12以上18以下の飽和又は二重結合を1つ所有する脂肪酸であるオレイン酸又はステアリン酸を主体とする未蒸留モノグリセライドを1.0%以上添加することを特徴とする安定化油脂の製造方法。
  2. 抗酸化剤がトコフェロールおよび/またはポリフェノール類である請求項1の安定化油脂の製造方法。
  3. 抗酸化剤を含有している精製魚油が抗酸化剤としてトコフェロールとポリフェノール類を含有した精製魚油である請求項1または2の安定化油脂の製造方法。
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