JP4209371B2 - 画像形成方法および画像形成装置 - Google Patents
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また、画像中には、光沢性を有する物体(画像の構成体)も存在すれば、全く光沢性を有さない物体も存在する。従って、画像の質感を、より向上した、より高品位な画像を形成するためには、絵柄に応じて、領域毎に異なる光沢性を付与するのが好ましい。
しかしながら、これらの特許文献に開示される方法では、光沢性の選択自由度が低く、画像に応じた好適な光沢性を付与することができない場合も多い。しかも、これらの特許文献に開示される方法は、画像の全面に均一な光沢性しか付与できず、画像内の領域で異なる、絵柄に応じた光沢性を付与することはできない。また、絵柄に応じて画像表面の光沢性を制御する際には、種々の記録媒体に対応して所望の光沢性を得るために、目的とする光沢に応じた条件で処理を行う必要があるが、従来の技術では、このような光沢性の制御も行うことができない。
また、前記積層工程を実施した後に、前記処理工程を実施するのが好ましく、また、前記画像をインクジェットによって記録するのが好ましい。
さらに、前記画像記録部は、インクジェット記録ヘッドを有し、このインクジェット記録ヘッドによって前記画像を記録することが好ましい。
図1に示す画像形成装置10は、画像記録媒体12(以下、記録媒体12とする)の表面(画像記録層)にインクジェットによって画像を記録した後、画像記録面にコート膜14を積層し、次いで、コート膜14の表面処理を行うもので、基本的に、媒体供給部16と、カッタ18と、画像記録部20と、コート膜積層部22と、表面処理部24と、制御部26とを有して構成される。なお、図1では省略するが、画像形成装置10は、これ以外にも、記録媒体12やコート膜14の搬送手段や搬送ガイドや位置決め手段、各種のセンサ等、シート状物を用いた画像形成装置や、シート状物のラミネート工程が存在する装置が有する構成要素を、各種、有してもよい。
図示例においては、記録媒体12は、長尺な状態で巻回された媒体ロール28として、供給部16に装填され、供給ローラ対30が媒体ロール28から記録媒体12を引き出して、下流に搬送する。
また、記録媒体12の厚さにも、特に限定はなく、記録媒体12に応じた通常の範囲でよいが、好ましくは、50〜150μmである。
カッタ18は、公知のシート状物の切断手段である。供給ローラ対30および走査搬送ローラ対32による記録媒体12の搬送は、カッタ18の下流に至った記録媒体12の長さが形成画像(ハードコピー)のサイズとなった時点で、一旦、停止する。次いで、カッタ18が作動して記録媒体12を切断して、形成画像サイズのカットシートとし、その後、走査搬送ローラ対32が搬送を再開して、下流の記録位置に搬送する。
記録ヘッド36は、公知のインクジェット記録ヘッドであって、例えば、サーマルインクジェット記録ヘッドでも、ピエゾタイプのインクジェット記録ヘッドでも、静電タイプのインクジェット記録ヘッドでもよい。
記録部20においては、走査搬送ローラ対32および34によって記録媒体12を幅方向と直交する方向に走査搬送しつつ、後述する制御部26から供給された画像データに応じて、各ノズルから液滴を吐出させる液滴吐出手段を変調駆動して、記録ヘッド36のインク液滴を吐出することにより、記録媒体12の表面に画像データに応じた4色のフルカラー画像を記録する。
積層手段38は、位置合わせ手段や押圧ロール等を有する、公知のシート状物の積層/貼着手段で、さらに、コート膜14の引き出し手段、搬送手段、カッタ等を有する。
積層手段38は、引き出しローラ対によってコート膜ロール39からコート膜14を引き出し、カッタによって記録媒体と同サイズに切断したのち、両者を位置合わせして(必要に応じて接着剤等を塗布して)積層し、圧着して(必要に応じて、加熱しても可)、記録媒体12の表面にコート膜14を積層した積層体とする。
なお、各コート膜14は、互いに、形成材料、厚さ、表面粗度等が異なるものであり、後述するように、これらの要素が1つでも異なれば、表現できる光沢度が異なる。従って、本発明においては、同材料でも、厚さの異なるコート膜14や表面粗度の異なるコート膜14や屈折率の異なるコート膜14は、異なる種類のコート膜14として取り扱う。また、コート膜14の種類は、1つでもよいが、2以上の任意の数であるのが好ましい。さらに、積層部22に装填可能なコート膜ロール39も、1つでもよく、オペレータ等が、適宜、交換するように構成してもよい。
一例として、特開平10−34909号公報に開示されるポリウレタン系樹脂、特開平10−309846号公報に開示されるシリコーン樹脂、特開2000−108454号公報に開示されるポリエチレン系熱可塑性樹脂等が例示される。
また、その厚さにも、特に限定はなく、使用する材料に応じて、適宜、決定すればよいが、通常、10〜100μmが好ましい。
さらに、必要に応じて、表面処理に先立って、このように塗料を用いて形成したコート膜に、粗面化処理を施してもよい。
表面処理部24は、サーマルヘッド46と、プラテンローラ48とを有して構成される。
ここで、本発明においては、表面処理を行うサーマルヘッド46(表面処理手段)は、それほど高い解像度は不要であり、例えば、目視して違和感の無い50dpi程度の解像度であればよく、コストを低減できる。また、記録ヘッド36(記録手段)の解像度を、サーマルヘッド46の解像度の整数倍とすることにより、表面処理の制御を簡略化することができる。
この際において、加熱部(押圧部)が或る表面粗さ(面性状)を有するサーマルヘッド46を用いることにより、加熱/押圧によってサーマルヘッド46の加熱部の表面粗さをコート膜14の表面に転写することができる。ここで、加熱温度が低いと、サーマルヘッド46の加熱部の表面粗さが十分に転写されず、なまった状態でコート膜14の表面に転写される(すなわち、加熱部の表面粗さに対して、小さい表面粗さがコート膜14の表面に転写される)。
従って、サーマルヘッド46による加熱を局所的に制御することにより、コート膜14の表面を各領域で異なる加熱条件で加熱/加圧処理して、目的とする表面粗さをコート膜14の表面に形成(転写)できる。図示例の画像形成装置10においては、画像の各領域の表面粗さを後述する光沢度データに応じたものとし、画像の各領域に、画像中(記録部20における記録画像)に存在する物体等の絵柄に応じた光沢を付与する。
また、画像データを記録ヘッド36に供給する。さらに、後述する処理条件テーブルを用いて、サーマルヘッド46の駆動条件等の表面処理条件を設定して、サーマルヘッド46等に供給する。
他方、光沢度データは、光沢度データと共に制御部26に供給される前記画像データを再生した画像中の各領域に対応する、二次元的な光沢度のデータである。例えば、記録画像(画像データの再生画像)が図2に示されるような、テーブル60が存在する画像であれば、テーブル60の領域は光沢度25%、それ以外の背景領域は光沢度10%というようなデータである。また、図2において、テーブル60の上に(CD)ケースが載置され、その上にCDが載置されたような画像であれば、テーブル60の領域は光沢度25%、ケースの領域は光沢度30%、CDの領域は光沢度40%、それ以外の背景領域は光沢度10%というようなデータである。
例えば、金属は光沢度40%、木材は光沢度25%、布は光沢度10%、紙は光沢度15%のように、物体の素材等に応じて、予め、それぞれの光沢度を決定して制御部26に設定しておき、この領域はどの素材であるということを光沢度データとして供給し、それに応じて、制御部26が各領域の光沢度を知見するようにしてもよい。
本発明においては、図4に示すように、まず、画像の各領域において、前記テーブル60や背景等の絵柄に応じた所望の光沢度を表現するために、コート膜14(材料、厚さ、表面粗さ等)を設定(材料設定工程;ステップS1)し、さらに、コート膜14の表面を目的の表面粗さとするための表面処理条件を設定して(条件設定工程;ステップS2)、コート膜14のに表面処理を行う(処理工程;ステップS3)。
制御部26には、各コート膜14毎に、図5(A)に示すような表面粗さRa[μm]と、光沢度[%]との関係を示す材料設定テーブルが設定されている。制御部26は、光沢度データが供給されたら、この画像(ハードコピー)において表現すべき光沢度の範囲を知見し、材料設定テーブルを用いて、複数種のコート膜14から、目的とする光沢度が表現可能なコート膜14を選択する。
なお、例えば、目的とする光沢度に応じて、後述する表面処理条件の設定工程で条件が求められるコート膜14が複数ある場合、すなわち、複数のコート膜14が利用可能である場合には、適宜、選択すればよい。
すなわち、図2に示す例であれば、テーブル60領域は光沢度25%とし、それ以外の背景領域は光沢度10%とする光沢度データが供給されているので、制御部26は、これに対応して、図5(A)の材料設定テーブルを用いて、光沢度25%であるテーブル領域の表面粗さRaを7μmとし、光沢度10%である背景領域の表面粗さRaを20μmとを設定する。
制御部26は、各コート膜14毎に、図5(B)に示すような、コート膜14の表面粗さRaと、これを実現するためのサーマルヘッド46による表面処理の加熱温度T[℃]との関係を示す条件設定テーブルを有している。図示例においては、加熱部の表面粗さが40μmのサーマルヘッド46を用いるとして、この条件設定テーブルを用いて、表面粗さRa20μm(光沢度10%)とした領域は、これを実現する加熱温度80℃を設定し、表面粗さRa7μm(光沢度25%)とした領域は、これを実現する加熱温度52℃を設定する。
次いで、制御部46は、各画像領域毎に設定した加熱温度の情報を表面処理部24に供給する。
次いで、記録部20において、走査搬送ローラ対32および34が記録媒体12を走査搬送しつつ、記録ヘッド36が供給された画像データに応じて記録媒体12の表面にインクジェットによるフルカラー画像の記録を行う。
次いで、搬送ローラ対42が記録媒体12とコート膜14との積層体40を表面処理部24に搬送し、サーマルヘッド46(加熱部)とプラテンローラ48とで挟持搬送しつつ、表面処理部24においてサーマルヘッド46(各発熱素子)を供給された加熱温度(表面処理条件)に応じて駆動して、コート膜14の表面処理を行う(図4のステップS3)。これにより、サーマルヘッド46の加熱部の表面粗さを、加熱温度に応じてコート膜14の表面を転写し、コート膜14の表面を目的とする光沢度に応じた表面粗さとする。
しかしながら、本発明において、サーマルヘッド46による表面処理の制御は、これに限定はされず、例えば、加熱時間、押圧時間、押圧力、加熱部の表面粗さ等、各種の処理条件を制御することにより、コート膜14の表面粗さを光沢度データに応じて制御してもよい。
例えば、サーマルヘッド46の押圧力を段階的に設定しておき、また、押圧力とコート膜14との組み合わせに応じて条件設定テーブルを設定しておき、目的とする光沢度(表面粗さRa)に応じてサーマルヘッド46の押圧力を設定(選択)し、この押圧力の下で前記加熱温度等の表面処理条件を設定してもよい。あるいは、前述のように、加熱部の表面粗さが異なる複数のサーマルヘッド46を用意しておき、また、各サーマルヘッドとコート膜14との組み合わせに応じて条件設定テーブルを設定しておき、目的とする光沢度(表面粗さRa)応じて使用するサーマルヘッド46を選択して、条件設定テーブルを用いて各領域毎の加熱温度等の表面処理条件を設定してもよい。
この態様においても、コート膜の選択、および、表面処理条件の設定によって、従来に比して遥かに高い自由度で、絵柄等に応じた好適な光沢性を付与することができ、すなわち、より高品位な画像を形成することができる。
さらに、コート膜表面の粗面化も、前述のサーマルヘッドを用いる方法に限定はされず、IBM社による情報記録技術である「ミリピード(Millipede) 」等を利用して、加熱した針によって凹部を形成することにより、コート膜を粗面化する方法が例示される。
12 (画像)記録媒体
14 コート膜
16 (媒体)供給部
18 カッタ
20 (画像)記録部
22 (コート膜)積層部
24 表面処理部
26 制御部
28 媒体ロール
30 供給ローラ対
32,34 走査搬送ローラ対
36 (インクジェット)記録ヘッド
38 積層手段
39 コート膜ロール
40 積層体
42 搬送ローラ対
44 排出ローラ対
46 サーマルヘッド
48 プラテンローラ
60 テーブル
Claims (12)
- 画像データに応じて画像記録媒体の画像記録層に画像を記録する記録工程と、
前記画像データの再生画像の光沢度を示す光沢度データに応じて、前記画像記録層の上に積層されるコート膜を、複数のコート膜の中から選択する材料選択工程と、
前記画像を記録した画像記録媒体の表面に、前記選択したコート膜を積層するコート膜積層工程と、
前記選択したコート膜、および、前記光沢度データに応じて、前記コート膜の表面処理条件を設定する条件設定工程と、
前記設定した表面処理条件に応じて、前記コート膜の表面処理を行う処理工程とを有し、
前記表面処理は、前記コート膜の表面を加熱する加熱手段および前記コート膜の表面に押圧部材を押圧する押圧手段を用いるものであり、前記加熱手段が表面粗度の異なる複数のサーマルヘッドを用いて、このサーマルヘッドによる加熱を局所的に制御することにより、前記コート膜の表面を各領域で異なる加熱条件での加熱処理を行って、前記コート膜の表面に、目的とする表面粗さを形成する
ことを特徴とする画像形成方法。 - 前記光沢度データは、再生画像の各領域における光沢度を示すものである請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記材料選択工程は、前記光沢度データおよび前記コート膜の厚さをパラメータとするテーブルを用いて、前記複数のコート膜の中から、前記コート膜の選択を行う請求項1または2に記載の画像形成方法。
- 前記条件設定工程は、前記光沢度データおよび前記コート膜の厚さに加え、前記加熱手段による加熱温度、加熱処理時間、前記押圧手段による押圧力、前記押圧部材の表面粗さ、および前記押圧手段による押圧時間の少なくとも1つをパラメータとするテーブルを用いて、前記表面処理条件の設定を行う請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記画像記録の解像度が、前記表面処理の解像度の整数倍である請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記コート膜積層工程を実施した後に、前記処理工程を実施する請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記画像をインクジェットによって記録する請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成方法。
- 画像記録媒体を供給する媒体供給部と、
画像データに応じて前記画像記録媒体の画像記録層に画像を記録する画像記録部と、
前記画像データの再生画像の光沢度を示す光沢度データに応じて、前記画像記録層の上に積層されるコート膜を、複数のコート膜の中から選択し、かつ、前記選択したコート膜および前記光沢度データに応じて、前記コート膜の表面処理条件を設定する制御部と、
前記制御部によって選択された前記コート膜を、前記画像記録媒体の前記画像が記録された面に積層するコート膜積層部と、
前記制御部によって設定された前記コート膜の表面処理条件に応じて、前記コート膜の表面処理を行う表面処理部とを有し、
前記表面処理は、前記コート膜の表面を加熱する加熱手段および前記コート膜の表面に押圧部材を押圧する押圧手段を用いるものであり、前記加熱手段が表面粗度の異なる複数のサーマルヘッドを用いて、このサーマルヘッドによる加熱を局所的に制御することにより、前記コート膜の表面を各領域で異なる加熱条件での加熱処理を行って、前記コート膜の表面に、目的とする表面粗さを形成する
ことを特徴とする画像形成装置。 - 前記制御部は、前記光沢度データおよび前記コート膜の厚さをパラメータとするテーブルを有し、このテーブルを用いて、前記複数のコート膜の中から、前記コート膜の選択を行う請求項8に記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、前記光沢度データおよび前記コート膜の厚さに加え、前記加熱手段による加熱温度、加熱処理時間、前記押圧手段による押圧力、前記押圧部材の表面粗さ、および前記押圧手段による押圧時間の少なくとも1つをパラメータとするテーブルを用いて、前記表面処理条件の設定を行う請求項8または9に記載の画像形成装置。
- 前記画像記録の解像度が、前記表面処理の解像度の整数倍である請求項8〜10のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記画像記録部は、インクジェット記録ヘッドを有し、このインクジェット記録ヘッドによって前記画像を記録する請求項8〜11のいずれかに記載の画像形成装置。
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