JP2004188694A - 画像印画装置用のインクシート並びにラミネートシート、及び画像印画装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インク及びラミネートフィルムを印刷媒体に転写して画像を印画する装置において、転写されるラミネートフィルムの厚さ以上の高さ変化(深さ)を有する凹凸が表面に形成され、且つ表面の光沢度が均一な印画物を得ることを可能にする。
【解決手段】印刷媒体に転写されるインクが塗布された領域と、該インクの塗布により形成された画像を保護するために前記印刷媒体に転写されるラミネート層が塗布された領域とを基材上に有するインクシートは、離型材25が塗布された余白領域を基材上に更に有する。該離型材内には、インク及びラミネート層の転写された印刷媒体とインクシートとが圧接されたときに転写されたラミネート層に食い込んで凹部を形成するように粒子26が混入されている。
【選択図】 図3
【解決手段】印刷媒体に転写されるインクが塗布された領域と、該インクの塗布により形成された画像を保護するために前記印刷媒体に転写されるラミネート層が塗布された領域とを基材上に有するインクシートは、離型材25が塗布された余白領域を基材上に更に有する。該離型材内には、インク及びラミネート層の転写された印刷媒体とインクシートとが圧接されたときに転写されたラミネート層に食い込んで凹部を形成するように粒子26が混入されている。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、インクシートを使用して印画紙に画像を印画する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクシートをサーマルヘッドにより画像情報に応じて加熱し、インクを印刷媒体に転写して画像を印画する画像印画装置は従来から広く使用されている。また、印刷媒体に印画された画像の保護等のため、画像の印画後、印刷媒体に透明な樹脂等をラミネートフィルムとして積層するようにした画像印画装置も知られている。また、ラミネートフィルムに凹凸パターン(絹目パターンやランダムパターン)を形成することによりマット処理(つや消し)等の視覚的効果を得るため、メモリにパターンデータを格納しておき、印画時、メモリからこのパターンデータを読み出し、所定のアルゴリズムにより一印画面分の凹凸パターンを形成するものも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
再表WO97/39898号公報(第6−21頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載の装置では、サーマルヘッドの発熱量を増減することによりインクシートから印画紙に転写されるラミネートフィルムの量、即ち厚さを変化させ、それによりラミネートフィルムに一定の凹凸パターンを形成している。そのため、インクシートに配されたラミネートフィルムの厚さ以上の深さの凹凸を形成することはできない。また、ラミネートフィルムは加熱量に応じてその収縮率が変化するので、ラミネートフィルムに凹凸を形成すると同時に光沢度の変化も発生し、これらを独立に制御することはできない。従って、例えば、銀塩写真で一般にマット仕上げと称されるような表面に凹凸を有し、且つ光沢度が全面に亘って一定である印画物は得られない。このように従来の装置では、インクシートからのラミネートフィルムの剥離厚さを変えて凹凸を形成するので(即ちインクシートからの剥離面と剥離状態を変えて凹凸を形成するので)、転写されたラミネートフィルムの表面状態や光沢度が均一ではないという問題があった。
【0005】
この発明は、上述の問題を解消するためになされたものであり、その目的は、インク及びラミネートフィルムを転写して画像を印画する際に、転写されるラミネートフィルムの厚さ以上の高さ変化(深さ)を有する凹凸が表面に形成された印画物を得られるようにすることである。
【0006】
本発明の他の目的は、表面に凹凸を有し、且つ表面の光沢度が均一な印画物を得られるようにすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、印刷媒体に転写されるインクが塗布された領域と、該インクの塗布により形成された画像を保護するために前記印刷媒体に転写されるラミネート層が塗布された領域とを基材上に有する本発明のインクシートは、離型材が塗布された余白領域を前記基材上に更に有し、該離型材内には、前記インク及びラミネート層の転写された印刷媒体と前記インクシートとが圧接されたときに転写されたラミネート層に食い込んで凹部を形成するように粒子が混入されていることを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成すべく、インクシートからのインクの転写により印刷媒体に形成された画像を保護するために前記印刷媒体に転写されるラミネート層が塗布された領域を基材上に有する本発明のラミネートシートは、離型材が塗布された余白領域を前記基材上に更に有し、該離型材内には前記インク及びラミネート層の転写された印刷媒体と前記ラミネートシートとが圧接されたときに、転写されたラミネート層に食い込んで凹部を形成するように粒子が混入されていることを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成すべく、インクシートからインクを印刷媒体に熱転写するサーマルヘッドを備える本発明の画像印画装置は、該画像印画装置の所定の形状及び面積の印画面の全体に渡って加熱すべき箇所と加熱量とを規定するパターンデータを記憶するメモリを備え、前記サーマルヘッドは、前記余白領域をインク及びラミネート層の転写された印刷媒体に圧接し、前記メモリから読み出したパターンデータに基づいて前記印刷媒体を選択的に加熱し、それにより転写されたラミネート層に一定のパターンの凹部を形成することを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成すべく、インクシートからインクを印刷媒体に熱転写する印画用サーマルヘッド及びラミネートシートからラミネート層を前記印刷媒体に熱転写するラミネート用サーマルヘッドを備える本発明の画像印画装置は、該画像印画装置の所定の形状及び面積の印画面の全体に渡って加熱すべき箇所と加熱量とを規定するパターンデータを記憶するメモリを備え、前記ラミネート用サーマルヘッドは、前記余白領域をインク及びラミネート層の転写された印刷媒体に圧接し、前記メモリから読み出したパターンデータに基づいて前記印刷媒体を選択的に加熱し、それにより転写されたラミネート層に一定のパターンの凹部を形成することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る画像印画装置の要部構成を示すものである。同図に示すように、この画像印画装置は、画像印画装置のフレーム(図示せず)に設けられたシャフト1、シャフト1に回動可能に支持されたヘッドアーム2、ヘッドアーム2に取り付けられた押圧ばね3、押圧ばね3を介してヘッドアーム2に取り付けられたサーマルヘッド4、ヘッドアーム2の上方のフレーム(図示せず)に取り付けられたヘッドアーム上下動機構5、フレーム(図示せず)に回転可能に支持された供給ボビン6、フレーム(図示せず)に回転可能に支持された巻き取りボビン7、巻き取りボビン7を駆動する巻き取りボビン駆動機構8、供給ボビン6から繰り出され、巻き取りボビン7に巻き取られるインクシート9、サーマルヘッド4と供給ボビン6との間に配置されインクシート9を接触案内する供給側ガイドローラ10、サーマルヘッド4と巻き取りボビン7との間に配置されインクシート9を接触案内する巻き取り側ガイドローラ11、サーマルヘッド4と巻き取り側ガイドローラ11との間でインクシート9と対向するように配置されたマーク検知センサ12、サーマルヘッド4の下方に位置し、フレーム(図示せず)に回転可能に支持されたプラテン13、プラテン13に案内される受像紙14、プラテン13の近傍のフレーム(図示せず)に回転可能に支持された搬送ローラ15、搬送ローラ15を駆動する搬送ローラ駆動機構16、搬送ローラ15に当接し、フレーム(図示せず)に回転可能に支持されたピンチローラ17とを含む。受像紙14は搬送ローラ15とピンチローラ17とに挟まれて搬送される。
【0012】
図2にインクシート9の構成を示す。同図に示すように、インクシート9はその片面に、イエロー染料の塗布された領域18、マゼンタ染料の塗布された領域19、シアン染料の塗布された領域20、ラミネート層の塗布された領域21に加え、離型材の塗布された余白領域22を有する。余白領域22の面積はイエロー染料領域18、マゼンタ染料領域19、シアン染料領域20、ラミネート層領域21の面積と同じもしくはそれ以上であり、これらの領域は一定の順序で周期的に配列されている。
【0013】
インクシート9の所定の位置には、イエロー染料領域18に対応するイエロー頭出しマーク23Y、マゼンタ染料領域19に対応するマゼンタ頭出しマーク23M、シアン染料領域20に対応するシアン頭出しマーク23C、ラミネート層領域21に対応するラミネート層頭出しマーク23L、余白領域22に対応する余白領域頭出しマーク23Nが形成されている。本実施の形態の画像印画装置により印画される画像の範囲(即ち印画面の大きさ)は、図2の点線で示した範囲のものとなる。
【0014】
図3にインクシート9の余白領域22が設けられた部分の断面を示す。同図において、24はインクシート9のベース基材、25は余白領域22内に塗布された離型材である。離型材25の内部にはラミネート層21の厚み以上の直径を有する粒子26が混入されている。
【0015】
次に、上記構成を有する画像印画装置の動作を説明する。巻き取りボビン機構8により巻き取りボビン7を回転させると、インクシート9は供給側ガイドローラ10と巻き取り側ガイドローラ11とに案内され供給ボビン6から巻き取りボビン7へと搬送される。イエロー頭出しマーク23Yがマーク検知センサ12を通過した瞬間に巻き取りボビン7の回転を止めて、インクシート9を停止させる。この動作により、イエロー染料領域18の先頭部分がサーマルヘッド4の直下に位置する状態でインクシート9が停止し、イエロー染料領域18の頭出しが完了する。次いで、ヘッドアーム駆動機構5によりヘッドアーム2に下向きの力を加えると、ヘッドアーム2はシャフト1を中心に回動しサーマルヘッド4は供給側ガイドローラ10と巻き取り側ガイドローラ11の間を通りプラテン13に当接する方向に移動する。さらにヘッドアーム2を回動すると押圧ばね3が圧縮され、インクシート9と受像紙14は、サーマルヘッド4とプラテン13との間で圧接される。
【0016】
搬送ローラ駆動機構16により搬送ローラ15を回転させると、搬送ローラ15とピンチローラ17との間に挟まれた受像紙14は摩擦力を受けてプラテン13から搬送ローラ15の方向に搬送される。インクシート9と受像紙14とはサーマルヘッド4とプラテン13とに挟まれ、圧接されているため、インクシート9は受像紙14の搬送に伴って供給ボビン6から繰り出され、供給側ガイドローラ10に案内されてサーマルヘッド4とプラテン13の間に導かれる。受像紙14と密着し、サーマルヘッド4とプラテン13の間を通り抜けたインクシート9は、巻き取りボビン駆動機構8によって回転駆動される巻き取りボビン7から張力を受けて、巻き取り側ガイドローラ11により図の斜め上方に進み受像紙14から離れ、巻き取りボビン7に巻き取られる。
【0017】
受像紙14の搬送に同期してサーマルヘッド4に設けた複数の発熱体に選択的に通電し、発熱させることによりインクシート9に配したイエロー染料領域18からイエロー染料が選択的に受像紙14上に転写される。受像紙14が一画面分の長さだけ搬送される間に画像のイエロー成分が転写される。次いで、ヘッドアーム駆動機構5によりヘッドアーム2に上向きの力を加えると、ヘッドアーム2が回動しサーマルヘッド4は上方に移動し、プラテン13から離れる。それにより、インクシート9と受像紙14とは圧接から開放され、別々に動くことが可能となる。
【0018】
この後、搬送ローラ駆動機構16は搬送ローラ15を反対方向に回転させて受像紙14をイエローの印画が開始された位置まで戻す。それと同時に巻き取り駆動機構8は巻き取りボビン7を回転させてインクシート9を巻き取り、マゼンタ頭出しマーク23Mがマーク検知センサ12を通過した瞬間に巻き取りボビン7の回転を止め、インクシート9を停止させる。これにより、マゼンタ染料領域19の頭出しが完了し、以降イエロー染料領域18のときと同様の動作を繰り返すことによって画像のイエロー成分に重ねてマゼンタ成分を転写する。さらに同様の動作を繰り返し、画像のシアン成分を転写した後、同様の動作によりサーマルヘッド4に設けた発熱体を一様に発熱させることによりラミネート層21を印画面全体に一様に転写する。この過程ではラミネート層21に加えられる熱は印画面内で一様であるので、従来のように転写されたラミネート層の表面状態や光沢度が印画面内で変化することはなく、印画面全体にラミネート層が均一に転写される。
【0019】
ラミネート層21の転写が完了した後、再度マーク検知センサ12で余白領域頭出しマーク23Nを検知して、余白領域22の頭出しを行う。そして余白領域22を受像紙14に圧接した状態でサーマルヘッド4に通電し、受像紙14及びその表面に転写されたラミネート層を一様に加熱する。この加熱過程では、受像紙14とその表面に転写されたラミネート層はサーマルヘッド4による加熱により軟化し、この状態でサーマルヘッド4から一様な圧力を受けることにより表面が滑らかに延ばされる。余白領域22には離型材25が塗布されているので、受像紙14及びその表面に転写されたラミネート層にインクシート9が融着することが防止され、そのため余熱が残った状態でも受像紙14及びその表面に転写されたラミネート層からインクシート9を小さな力で剥離することができる。また、サーマルヘッド4の加圧と加熱によって滑らかに整えられているので受像紙14及びその表面に転写されたラミネート層は、インクシート9からの剥離時にも剥離力による歪みが小さく、滑らかな状態に保たれる。
【0020】
離型材25の内部に混入されている粒子26はサーマルヘッド4の加圧によって受像紙14の表面に転写されたラミネート層に食い込み、凹みを形成する。その結果、サーマルヘッド4の加圧、加熱過程を経た受像紙14及びその表面に転写されたラミネート層の表面は、巨視的には粒子26の食い込みによる凹みが形成されるが、微視的には凹凸が少なく滑らかであり従って高い光沢度を有する。転写されたラミネート層の粒子26に食い込まれた部分は移動し、表面から盛り上がった部分となるので、本実施形態の印画装置ではインクシート9のラミネート層21の厚さを超える深さの凹みを形成することができる。
【0021】
インクシート9の余白領域22に塗布する離型材25の内部に混入される粒子26の疎密を規則的に変化させ、一定のパターンを形成するように塗布してもよい。粒子26が一定のパターンで混入された余白領域22を有するインクシート9を用いて上記した印画動作を行うと、受像紙14の表面には粒子26の疎密のパターンに対応するパターンの凹みが形成されるので、受像紙14の表面には凹凸の模様があらわれ、一定の視覚的効果が得られる。特に、図4に示したように余白領域22のパターンを格子状にしたものは、銀塩写真の「絹目」と呼ばれる表面仕上げに相当し、つや消しの効果が得られる。形成するパターンは格子状に限らず、任意の形状とすることができ、用いるパターンが異なれば異なった視覚的効果が得られる。また、粒子26の疎密をランダムに変化させてもよいことは言うまでもない。
【0022】
さらに、離型材25の内部に混入される粒子26の粒径の大きさを規則的に変化させ、粒径の大小によってパターンを形成してもよい。受像紙14の表面には粒子26の粒径に相当する大きさの凹みが形成されるので、この場合にも受像紙14の表面に凹凸の模様が現れ、一定の視覚的効果が得られる。
【0023】
図5に、上述の実施形態の画像印画装置の回路部分の構成を示す。同図に示すようにこの装置は、カラー画像のイエロー、マゼンタ、シアンの各色成分の画像データを記憶するフレームメモリ28、1つの色成分の画像データに相当するデータ(パターンデータ)を記憶する再加熱画面メモリ29、フレームメモリ28と再加熱画面メモリ29へのデータの書き込み、読み出し、色補正、使用環境、サーマルヘッド4の温度上昇に伴う補正などの処理を行う画像信号処理回路30、画像信号処理回路30からの信号を受けてサーマルヘッド4に設けられた発熱体に流れる電流を制御するサーマルヘッド・コントローラ31を含む。以下に、図2に示したインクシートを用い、図1を参照して説明した印画動作を行うときの上記回路部分の動作を説明する。
【0024】
イエロー、マゼンタ、シアンの各色成分のそれぞれの印画時、フレームメモリ28から各色成分に対応して記憶されている画像データが読み出される。読み出された画像データは画像信号処理回路30で処理され、画像信号としてサーマルヘッド・コントローラ31に送られる。サーマルヘッド4の発熱量が画像信号に対応して制御されることによりインクシートから受像紙14にインクが転写され、画像が印画される。さらに、ラミネート層21を画面全体に一様に転写する。その後の余白領域22を用いた加熱時には、再加熱画面メモリ29に記憶されている加熱パターンを読み出し、該加熱パターンに基づき各色の印画と同様の処理によりサーマルヘッド4の発熱体の発熱量をコントロールする。
【0025】
サーマルヘッド4の発熱量を変化させると、受像紙14及び受像紙14に転写されたラミネート層の温度が変化して軟化の度合いが変化するので、粒子26がサーマルヘッド4から圧力を受けて受像紙14及び受像紙14に転写されたラミネート層に食い込む度合いが変化し、従って受像紙14及び受像紙14に転写されたラミネート層に形成される凹みの大きさ及び深さが変化する。再加熱画面メモリ29には任意のパターンを記憶することができるので、インクシート9から分離された後の受像紙14及び受像紙14に転写されたラミネート層の表面に大きさの異なる凹みを任意のパターンに形成することができる。
【0026】
実施の形態2.
以上説明した本実施の形態1の画像印画装置は、インク(3色の染料)が塗布された領域とラミネート層が塗布された領域の両方が1つのロールに形成されたインクシートを用い、サーマルヘッドを1つだけ備えるものであるが、サーマルヘッドを複数備え、インクが塗布された領域を有するインクシートのロールと、ラミネート層が塗布された領域を有する別のロールの2ロールを用いるものであってもよい。更にインクシートのロールを各色のインク毎の別々のロールとしてもよい。このような場合であっても、ラミネート層塗布領域を有するロールの一部に余白領域22を配することにより、上記と同様の動作によって受像紙14の表面に熱と圧力を加え凹凸を形成する表面処理が可能である。
【0027】
図6に2つのサーマルヘッドを有する画像印画装置の構成例を示す。同図に示すように、この装置は2つのカラー印画ユニット27C及び27Lを備える。カラー印画ユニット27Cは、染料転写に用いる印画用サーマルヘッド4C、イエロー染料領域18、マゼンタ染料領域19、シアン染料領域20が配されたカラーインクシート9C、印画用サーマルヘッド4Cに対向して設けられた印画用プラテン13C、及びその他の図1に示した構成部材と同様の構成部材から構成される。カラー印画ユニット27Lは、ラミネート層21の転写と余白領域22を用いた表面仕上げに用いるラミネート用サーマルヘッド4L、ラミネート層21と余白領域22とが配されたラミネートシート9L、ラミネート用サーマルヘッド4Lに対向して設けられたラミネート用プラテン13L、及びその他の図1に示した構成部材と同様の構成部材から構成される。
【0028】
図7は、本実施の形態2の画像印画装置で使用するインクシートの構成を示す図である。同図(a)に示すように、カラーインクシート9Cはその片面にイエロー染料領域18、マゼンタ染料領域19、シアン染料領域20を有し、一方、同図(b)に示すようにラミネートシート9Lはその片面にラミネート層領域21及び余白領域22を有する。
【0029】
本実施の形態2の画像印画装置では、カラー印画ユニット27Cによりイエロー、マゼンタ、シアンの各インクの転写が行われる。イエロー、マゼンタ、シアンの各インクの転写後、受像紙14をラミネート転写ユニット27Lに送り、ラミネート層21の転写を行った後、ラミネート用サーマルヘッド4Lにより受像紙14に余白領域22を圧接した状態で加圧と加熱を行う。このように、2つのサーマルヘッドを有する画像印画装置においても、余白領域22を配したラミネートシート9Lを使用し、余白領域22と受像紙14とをラミネート用サーマルヘッド4Lにより圧接し、この状態で圧力と熱を加えるシーケンスを備えることによって、凹凸を形成する表面処理が可能となる。
【0030】
また、4つのサーマルヘッドを用いれば、カラー印画ユニット27Cを直列に3つ並べ、これらのユニットでイエロー、マゼンタ、シアンの単色のインクシートを使用して各色成分毎に印画を行い、その後にそれらの後段に配置したラミネート転写ユニット27Lでラミネート層21の転写を行うことができる。4つのサーマルヘッドを備える画像印画装置によっても、余白領域22を有するラミネートシート9Lを用い、ラミネート転写ユニット27Lで凹凸を形成する表面処理が可能である。さらに、3つのカラー印画ユニット27Cと1つのラミネート転写ユニット27Lとを直列に並べ、さらに表面処理ユニットとして同様の構成のユニットをラミネート転写ユニット27Lの後段に1つ追加し、該表面処理ユニットで余白領域22のみを有するシートを用いて凹凸を形成する表面処理を行うことも可能である。
【0031】
尚、本実施の形態2においても、実施の形態1と同様、離型材の内部に混入される粒子の疎密を規則的に変化させ、一定のパターンを形成するようにしてもよく、離型材の内部に混入される粒子の粒径の大きさを規則的に変化させ、粒径の大小によってパターンを形成してもよい。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、インク及びラミネートフィルムを印刷媒体に転写して画像を印画する装置において、転写されるラミネートフィルムの厚さ以上の深さを有する凹凸を表面に有する印画物を得ることが可能となる。本発明によれば、また、表面の光沢度が均一であり、且つ表面に凹凸を有する印画物を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る画像印画装置の要部構成を示す図である。
【図2】実施の形態1の画像印画装置に使用されるインクシートの構成を示す図である。
【図3】図2のインクシートの余白領域部分の断面を示す図である。
【図4】実施の形態1の画像印画装置に使用される他のインクシートの構成を説明する図である。
【図5】実施の形態1の画像印画装置の回路部分の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る画像印画装置の要部構成を示す図である。
【図7】実施の形態2の画像印画装置に使用されるインクシート及びラミネートシートの構成を示す図である。
【符号の説明】
4 サーマルヘッド、 6 供給ボビン、 7 巻き取りボビン、 9 インクシート、 12 マーク検知センサ、 13 プラテン、 14 受像紙、 18 イエロー染料領域、 19 マゼンタ染料領域、 20 シアン染料領域、 21 ラミネート層領域、 22 余白領域、 23Y,23M,23C,23L,23N 頭出しマーク、 24 ベース基材、 25 離型材、 26粒子。
【発明の属する技術分野】
この発明は、インクシートを使用して印画紙に画像を印画する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクシートをサーマルヘッドにより画像情報に応じて加熱し、インクを印刷媒体に転写して画像を印画する画像印画装置は従来から広く使用されている。また、印刷媒体に印画された画像の保護等のため、画像の印画後、印刷媒体に透明な樹脂等をラミネートフィルムとして積層するようにした画像印画装置も知られている。また、ラミネートフィルムに凹凸パターン(絹目パターンやランダムパターン)を形成することによりマット処理(つや消し)等の視覚的効果を得るため、メモリにパターンデータを格納しておき、印画時、メモリからこのパターンデータを読み出し、所定のアルゴリズムにより一印画面分の凹凸パターンを形成するものも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
再表WO97/39898号公報(第6−21頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載の装置では、サーマルヘッドの発熱量を増減することによりインクシートから印画紙に転写されるラミネートフィルムの量、即ち厚さを変化させ、それによりラミネートフィルムに一定の凹凸パターンを形成している。そのため、インクシートに配されたラミネートフィルムの厚さ以上の深さの凹凸を形成することはできない。また、ラミネートフィルムは加熱量に応じてその収縮率が変化するので、ラミネートフィルムに凹凸を形成すると同時に光沢度の変化も発生し、これらを独立に制御することはできない。従って、例えば、銀塩写真で一般にマット仕上げと称されるような表面に凹凸を有し、且つ光沢度が全面に亘って一定である印画物は得られない。このように従来の装置では、インクシートからのラミネートフィルムの剥離厚さを変えて凹凸を形成するので(即ちインクシートからの剥離面と剥離状態を変えて凹凸を形成するので)、転写されたラミネートフィルムの表面状態や光沢度が均一ではないという問題があった。
【0005】
この発明は、上述の問題を解消するためになされたものであり、その目的は、インク及びラミネートフィルムを転写して画像を印画する際に、転写されるラミネートフィルムの厚さ以上の高さ変化(深さ)を有する凹凸が表面に形成された印画物を得られるようにすることである。
【0006】
本発明の他の目的は、表面に凹凸を有し、且つ表面の光沢度が均一な印画物を得られるようにすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、印刷媒体に転写されるインクが塗布された領域と、該インクの塗布により形成された画像を保護するために前記印刷媒体に転写されるラミネート層が塗布された領域とを基材上に有する本発明のインクシートは、離型材が塗布された余白領域を前記基材上に更に有し、該離型材内には、前記インク及びラミネート層の転写された印刷媒体と前記インクシートとが圧接されたときに転写されたラミネート層に食い込んで凹部を形成するように粒子が混入されていることを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成すべく、インクシートからのインクの転写により印刷媒体に形成された画像を保護するために前記印刷媒体に転写されるラミネート層が塗布された領域を基材上に有する本発明のラミネートシートは、離型材が塗布された余白領域を前記基材上に更に有し、該離型材内には前記インク及びラミネート層の転写された印刷媒体と前記ラミネートシートとが圧接されたときに、転写されたラミネート層に食い込んで凹部を形成するように粒子が混入されていることを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成すべく、インクシートからインクを印刷媒体に熱転写するサーマルヘッドを備える本発明の画像印画装置は、該画像印画装置の所定の形状及び面積の印画面の全体に渡って加熱すべき箇所と加熱量とを規定するパターンデータを記憶するメモリを備え、前記サーマルヘッドは、前記余白領域をインク及びラミネート層の転写された印刷媒体に圧接し、前記メモリから読み出したパターンデータに基づいて前記印刷媒体を選択的に加熱し、それにより転写されたラミネート層に一定のパターンの凹部を形成することを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成すべく、インクシートからインクを印刷媒体に熱転写する印画用サーマルヘッド及びラミネートシートからラミネート層を前記印刷媒体に熱転写するラミネート用サーマルヘッドを備える本発明の画像印画装置は、該画像印画装置の所定の形状及び面積の印画面の全体に渡って加熱すべき箇所と加熱量とを規定するパターンデータを記憶するメモリを備え、前記ラミネート用サーマルヘッドは、前記余白領域をインク及びラミネート層の転写された印刷媒体に圧接し、前記メモリから読み出したパターンデータに基づいて前記印刷媒体を選択的に加熱し、それにより転写されたラミネート層に一定のパターンの凹部を形成することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る画像印画装置の要部構成を示すものである。同図に示すように、この画像印画装置は、画像印画装置のフレーム(図示せず)に設けられたシャフト1、シャフト1に回動可能に支持されたヘッドアーム2、ヘッドアーム2に取り付けられた押圧ばね3、押圧ばね3を介してヘッドアーム2に取り付けられたサーマルヘッド4、ヘッドアーム2の上方のフレーム(図示せず)に取り付けられたヘッドアーム上下動機構5、フレーム(図示せず)に回転可能に支持された供給ボビン6、フレーム(図示せず)に回転可能に支持された巻き取りボビン7、巻き取りボビン7を駆動する巻き取りボビン駆動機構8、供給ボビン6から繰り出され、巻き取りボビン7に巻き取られるインクシート9、サーマルヘッド4と供給ボビン6との間に配置されインクシート9を接触案内する供給側ガイドローラ10、サーマルヘッド4と巻き取りボビン7との間に配置されインクシート9を接触案内する巻き取り側ガイドローラ11、サーマルヘッド4と巻き取り側ガイドローラ11との間でインクシート9と対向するように配置されたマーク検知センサ12、サーマルヘッド4の下方に位置し、フレーム(図示せず)に回転可能に支持されたプラテン13、プラテン13に案内される受像紙14、プラテン13の近傍のフレーム(図示せず)に回転可能に支持された搬送ローラ15、搬送ローラ15を駆動する搬送ローラ駆動機構16、搬送ローラ15に当接し、フレーム(図示せず)に回転可能に支持されたピンチローラ17とを含む。受像紙14は搬送ローラ15とピンチローラ17とに挟まれて搬送される。
【0012】
図2にインクシート9の構成を示す。同図に示すように、インクシート9はその片面に、イエロー染料の塗布された領域18、マゼンタ染料の塗布された領域19、シアン染料の塗布された領域20、ラミネート層の塗布された領域21に加え、離型材の塗布された余白領域22を有する。余白領域22の面積はイエロー染料領域18、マゼンタ染料領域19、シアン染料領域20、ラミネート層領域21の面積と同じもしくはそれ以上であり、これらの領域は一定の順序で周期的に配列されている。
【0013】
インクシート9の所定の位置には、イエロー染料領域18に対応するイエロー頭出しマーク23Y、マゼンタ染料領域19に対応するマゼンタ頭出しマーク23M、シアン染料領域20に対応するシアン頭出しマーク23C、ラミネート層領域21に対応するラミネート層頭出しマーク23L、余白領域22に対応する余白領域頭出しマーク23Nが形成されている。本実施の形態の画像印画装置により印画される画像の範囲(即ち印画面の大きさ)は、図2の点線で示した範囲のものとなる。
【0014】
図3にインクシート9の余白領域22が設けられた部分の断面を示す。同図において、24はインクシート9のベース基材、25は余白領域22内に塗布された離型材である。離型材25の内部にはラミネート層21の厚み以上の直径を有する粒子26が混入されている。
【0015】
次に、上記構成を有する画像印画装置の動作を説明する。巻き取りボビン機構8により巻き取りボビン7を回転させると、インクシート9は供給側ガイドローラ10と巻き取り側ガイドローラ11とに案内され供給ボビン6から巻き取りボビン7へと搬送される。イエロー頭出しマーク23Yがマーク検知センサ12を通過した瞬間に巻き取りボビン7の回転を止めて、インクシート9を停止させる。この動作により、イエロー染料領域18の先頭部分がサーマルヘッド4の直下に位置する状態でインクシート9が停止し、イエロー染料領域18の頭出しが完了する。次いで、ヘッドアーム駆動機構5によりヘッドアーム2に下向きの力を加えると、ヘッドアーム2はシャフト1を中心に回動しサーマルヘッド4は供給側ガイドローラ10と巻き取り側ガイドローラ11の間を通りプラテン13に当接する方向に移動する。さらにヘッドアーム2を回動すると押圧ばね3が圧縮され、インクシート9と受像紙14は、サーマルヘッド4とプラテン13との間で圧接される。
【0016】
搬送ローラ駆動機構16により搬送ローラ15を回転させると、搬送ローラ15とピンチローラ17との間に挟まれた受像紙14は摩擦力を受けてプラテン13から搬送ローラ15の方向に搬送される。インクシート9と受像紙14とはサーマルヘッド4とプラテン13とに挟まれ、圧接されているため、インクシート9は受像紙14の搬送に伴って供給ボビン6から繰り出され、供給側ガイドローラ10に案内されてサーマルヘッド4とプラテン13の間に導かれる。受像紙14と密着し、サーマルヘッド4とプラテン13の間を通り抜けたインクシート9は、巻き取りボビン駆動機構8によって回転駆動される巻き取りボビン7から張力を受けて、巻き取り側ガイドローラ11により図の斜め上方に進み受像紙14から離れ、巻き取りボビン7に巻き取られる。
【0017】
受像紙14の搬送に同期してサーマルヘッド4に設けた複数の発熱体に選択的に通電し、発熱させることによりインクシート9に配したイエロー染料領域18からイエロー染料が選択的に受像紙14上に転写される。受像紙14が一画面分の長さだけ搬送される間に画像のイエロー成分が転写される。次いで、ヘッドアーム駆動機構5によりヘッドアーム2に上向きの力を加えると、ヘッドアーム2が回動しサーマルヘッド4は上方に移動し、プラテン13から離れる。それにより、インクシート9と受像紙14とは圧接から開放され、別々に動くことが可能となる。
【0018】
この後、搬送ローラ駆動機構16は搬送ローラ15を反対方向に回転させて受像紙14をイエローの印画が開始された位置まで戻す。それと同時に巻き取り駆動機構8は巻き取りボビン7を回転させてインクシート9を巻き取り、マゼンタ頭出しマーク23Mがマーク検知センサ12を通過した瞬間に巻き取りボビン7の回転を止め、インクシート9を停止させる。これにより、マゼンタ染料領域19の頭出しが完了し、以降イエロー染料領域18のときと同様の動作を繰り返すことによって画像のイエロー成分に重ねてマゼンタ成分を転写する。さらに同様の動作を繰り返し、画像のシアン成分を転写した後、同様の動作によりサーマルヘッド4に設けた発熱体を一様に発熱させることによりラミネート層21を印画面全体に一様に転写する。この過程ではラミネート層21に加えられる熱は印画面内で一様であるので、従来のように転写されたラミネート層の表面状態や光沢度が印画面内で変化することはなく、印画面全体にラミネート層が均一に転写される。
【0019】
ラミネート層21の転写が完了した後、再度マーク検知センサ12で余白領域頭出しマーク23Nを検知して、余白領域22の頭出しを行う。そして余白領域22を受像紙14に圧接した状態でサーマルヘッド4に通電し、受像紙14及びその表面に転写されたラミネート層を一様に加熱する。この加熱過程では、受像紙14とその表面に転写されたラミネート層はサーマルヘッド4による加熱により軟化し、この状態でサーマルヘッド4から一様な圧力を受けることにより表面が滑らかに延ばされる。余白領域22には離型材25が塗布されているので、受像紙14及びその表面に転写されたラミネート層にインクシート9が融着することが防止され、そのため余熱が残った状態でも受像紙14及びその表面に転写されたラミネート層からインクシート9を小さな力で剥離することができる。また、サーマルヘッド4の加圧と加熱によって滑らかに整えられているので受像紙14及びその表面に転写されたラミネート層は、インクシート9からの剥離時にも剥離力による歪みが小さく、滑らかな状態に保たれる。
【0020】
離型材25の内部に混入されている粒子26はサーマルヘッド4の加圧によって受像紙14の表面に転写されたラミネート層に食い込み、凹みを形成する。その結果、サーマルヘッド4の加圧、加熱過程を経た受像紙14及びその表面に転写されたラミネート層の表面は、巨視的には粒子26の食い込みによる凹みが形成されるが、微視的には凹凸が少なく滑らかであり従って高い光沢度を有する。転写されたラミネート層の粒子26に食い込まれた部分は移動し、表面から盛り上がった部分となるので、本実施形態の印画装置ではインクシート9のラミネート層21の厚さを超える深さの凹みを形成することができる。
【0021】
インクシート9の余白領域22に塗布する離型材25の内部に混入される粒子26の疎密を規則的に変化させ、一定のパターンを形成するように塗布してもよい。粒子26が一定のパターンで混入された余白領域22を有するインクシート9を用いて上記した印画動作を行うと、受像紙14の表面には粒子26の疎密のパターンに対応するパターンの凹みが形成されるので、受像紙14の表面には凹凸の模様があらわれ、一定の視覚的効果が得られる。特に、図4に示したように余白領域22のパターンを格子状にしたものは、銀塩写真の「絹目」と呼ばれる表面仕上げに相当し、つや消しの効果が得られる。形成するパターンは格子状に限らず、任意の形状とすることができ、用いるパターンが異なれば異なった視覚的効果が得られる。また、粒子26の疎密をランダムに変化させてもよいことは言うまでもない。
【0022】
さらに、離型材25の内部に混入される粒子26の粒径の大きさを規則的に変化させ、粒径の大小によってパターンを形成してもよい。受像紙14の表面には粒子26の粒径に相当する大きさの凹みが形成されるので、この場合にも受像紙14の表面に凹凸の模様が現れ、一定の視覚的効果が得られる。
【0023】
図5に、上述の実施形態の画像印画装置の回路部分の構成を示す。同図に示すようにこの装置は、カラー画像のイエロー、マゼンタ、シアンの各色成分の画像データを記憶するフレームメモリ28、1つの色成分の画像データに相当するデータ(パターンデータ)を記憶する再加熱画面メモリ29、フレームメモリ28と再加熱画面メモリ29へのデータの書き込み、読み出し、色補正、使用環境、サーマルヘッド4の温度上昇に伴う補正などの処理を行う画像信号処理回路30、画像信号処理回路30からの信号を受けてサーマルヘッド4に設けられた発熱体に流れる電流を制御するサーマルヘッド・コントローラ31を含む。以下に、図2に示したインクシートを用い、図1を参照して説明した印画動作を行うときの上記回路部分の動作を説明する。
【0024】
イエロー、マゼンタ、シアンの各色成分のそれぞれの印画時、フレームメモリ28から各色成分に対応して記憶されている画像データが読み出される。読み出された画像データは画像信号処理回路30で処理され、画像信号としてサーマルヘッド・コントローラ31に送られる。サーマルヘッド4の発熱量が画像信号に対応して制御されることによりインクシートから受像紙14にインクが転写され、画像が印画される。さらに、ラミネート層21を画面全体に一様に転写する。その後の余白領域22を用いた加熱時には、再加熱画面メモリ29に記憶されている加熱パターンを読み出し、該加熱パターンに基づき各色の印画と同様の処理によりサーマルヘッド4の発熱体の発熱量をコントロールする。
【0025】
サーマルヘッド4の発熱量を変化させると、受像紙14及び受像紙14に転写されたラミネート層の温度が変化して軟化の度合いが変化するので、粒子26がサーマルヘッド4から圧力を受けて受像紙14及び受像紙14に転写されたラミネート層に食い込む度合いが変化し、従って受像紙14及び受像紙14に転写されたラミネート層に形成される凹みの大きさ及び深さが変化する。再加熱画面メモリ29には任意のパターンを記憶することができるので、インクシート9から分離された後の受像紙14及び受像紙14に転写されたラミネート層の表面に大きさの異なる凹みを任意のパターンに形成することができる。
【0026】
実施の形態2.
以上説明した本実施の形態1の画像印画装置は、インク(3色の染料)が塗布された領域とラミネート層が塗布された領域の両方が1つのロールに形成されたインクシートを用い、サーマルヘッドを1つだけ備えるものであるが、サーマルヘッドを複数備え、インクが塗布された領域を有するインクシートのロールと、ラミネート層が塗布された領域を有する別のロールの2ロールを用いるものであってもよい。更にインクシートのロールを各色のインク毎の別々のロールとしてもよい。このような場合であっても、ラミネート層塗布領域を有するロールの一部に余白領域22を配することにより、上記と同様の動作によって受像紙14の表面に熱と圧力を加え凹凸を形成する表面処理が可能である。
【0027】
図6に2つのサーマルヘッドを有する画像印画装置の構成例を示す。同図に示すように、この装置は2つのカラー印画ユニット27C及び27Lを備える。カラー印画ユニット27Cは、染料転写に用いる印画用サーマルヘッド4C、イエロー染料領域18、マゼンタ染料領域19、シアン染料領域20が配されたカラーインクシート9C、印画用サーマルヘッド4Cに対向して設けられた印画用プラテン13C、及びその他の図1に示した構成部材と同様の構成部材から構成される。カラー印画ユニット27Lは、ラミネート層21の転写と余白領域22を用いた表面仕上げに用いるラミネート用サーマルヘッド4L、ラミネート層21と余白領域22とが配されたラミネートシート9L、ラミネート用サーマルヘッド4Lに対向して設けられたラミネート用プラテン13L、及びその他の図1に示した構成部材と同様の構成部材から構成される。
【0028】
図7は、本実施の形態2の画像印画装置で使用するインクシートの構成を示す図である。同図(a)に示すように、カラーインクシート9Cはその片面にイエロー染料領域18、マゼンタ染料領域19、シアン染料領域20を有し、一方、同図(b)に示すようにラミネートシート9Lはその片面にラミネート層領域21及び余白領域22を有する。
【0029】
本実施の形態2の画像印画装置では、カラー印画ユニット27Cによりイエロー、マゼンタ、シアンの各インクの転写が行われる。イエロー、マゼンタ、シアンの各インクの転写後、受像紙14をラミネート転写ユニット27Lに送り、ラミネート層21の転写を行った後、ラミネート用サーマルヘッド4Lにより受像紙14に余白領域22を圧接した状態で加圧と加熱を行う。このように、2つのサーマルヘッドを有する画像印画装置においても、余白領域22を配したラミネートシート9Lを使用し、余白領域22と受像紙14とをラミネート用サーマルヘッド4Lにより圧接し、この状態で圧力と熱を加えるシーケンスを備えることによって、凹凸を形成する表面処理が可能となる。
【0030】
また、4つのサーマルヘッドを用いれば、カラー印画ユニット27Cを直列に3つ並べ、これらのユニットでイエロー、マゼンタ、シアンの単色のインクシートを使用して各色成分毎に印画を行い、その後にそれらの後段に配置したラミネート転写ユニット27Lでラミネート層21の転写を行うことができる。4つのサーマルヘッドを備える画像印画装置によっても、余白領域22を有するラミネートシート9Lを用い、ラミネート転写ユニット27Lで凹凸を形成する表面処理が可能である。さらに、3つのカラー印画ユニット27Cと1つのラミネート転写ユニット27Lとを直列に並べ、さらに表面処理ユニットとして同様の構成のユニットをラミネート転写ユニット27Lの後段に1つ追加し、該表面処理ユニットで余白領域22のみを有するシートを用いて凹凸を形成する表面処理を行うことも可能である。
【0031】
尚、本実施の形態2においても、実施の形態1と同様、離型材の内部に混入される粒子の疎密を規則的に変化させ、一定のパターンを形成するようにしてもよく、離型材の内部に混入される粒子の粒径の大きさを規則的に変化させ、粒径の大小によってパターンを形成してもよい。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、インク及びラミネートフィルムを印刷媒体に転写して画像を印画する装置において、転写されるラミネートフィルムの厚さ以上の深さを有する凹凸を表面に有する印画物を得ることが可能となる。本発明によれば、また、表面の光沢度が均一であり、且つ表面に凹凸を有する印画物を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る画像印画装置の要部構成を示す図である。
【図2】実施の形態1の画像印画装置に使用されるインクシートの構成を示す図である。
【図3】図2のインクシートの余白領域部分の断面を示す図である。
【図4】実施の形態1の画像印画装置に使用される他のインクシートの構成を説明する図である。
【図5】実施の形態1の画像印画装置の回路部分の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る画像印画装置の要部構成を示す図である。
【図7】実施の形態2の画像印画装置に使用されるインクシート及びラミネートシートの構成を示す図である。
【符号の説明】
4 サーマルヘッド、 6 供給ボビン、 7 巻き取りボビン、 9 インクシート、 12 マーク検知センサ、 13 プラテン、 14 受像紙、 18 イエロー染料領域、 19 マゼンタ染料領域、 20 シアン染料領域、 21 ラミネート層領域、 22 余白領域、 23Y,23M,23C,23L,23N 頭出しマーク、 24 ベース基材、 25 離型材、 26粒子。
Claims (8)
- 印刷媒体に転写されるインクが塗布された領域と、該インクの塗布により形成された画像を保護するために前記印刷媒体に転写されるラミネート層が塗布された領域とを基材上に有するインクシートにおいて、
離型材が塗布された余白領域を前記基材上に更に有し、該離型材内には、前記インク及びラミネート層の転写された印刷媒体と前記インクシートとが圧接されたときに転写されたラミネート層に食い込んで凹部を形成するように粒子が混入されていることを特徴とするインクシート。 - 前記粒子の直径が前記インクシートのラミネート層の厚さより大きいことを特徴とする請求項1に記載のインクシート。
- 複数の粒子が前記基材上で一定の疎密パターンを形成するように前記離型材に混入されていることを特徴とする請求項1または2に記載のインクシート。
- インクシートからのインクの転写により印刷媒体に形成された画像を保護するために前記印刷媒体に転写されるラミネート層が塗布された領域を基材上に有するラミネートシートであって、
離型材が塗布された余白領域を前記基材上に更に有し、該離型材内には前記インク及びラミネート層の転写された印刷媒体と前記ラミネートシートとが圧接されたときに、転写されたラミネート層に食い込んで凹部を形成するように粒子が混入されていることを特徴とするラミネートシート。 - 前記粒子の直径が前記ラミネートシートのラミネート層の厚さより大きいことを特徴とする請求項4に記載のラミネートシート。
- 複数の粒子が前記基材上で一定の疎密パターンを形成するように前記離型材に混入されていることを特徴とする請求項4または5に記載のラミネートシート。
- 請求項1から3のいずれか一項に記載のインクシートからインク及びラミネート層を印刷媒体に熱転写するサーマルヘッドを備える画像印画装置であって、
該画像印画装置の所定の形状及び面積の印画面の全体に渡って加熱すべき箇所と加熱量とを規定するパターンデータを記憶するメモリを備え、
前記サーマルヘッドは、前記余白領域をインク及びラミネート層の転写された印刷媒体に圧接し、前記メモリから読み出したパターンデータに基づいて前記印刷媒体を選択的に加熱し、それにより転写されたラミネート層に一定のパターンの凹部を形成することを特徴とする画像印画装置。 - インクシートからインクを印刷媒体に熱転写する印画用サーマルヘッド及び請求項4から6のいずれか一項に記載のラミネートシートからラミネート層を前記印刷媒体に熱転写するラミネート用サーマルヘッドを備える画像印画装置であって、
該画像印画装置の所定の形状及び面積の印画面の全体に渡って加熱すべき箇所と加熱量とを規定するパターンデータを記憶するメモリを備え、
前記ラミネート用サーマルヘッドは、前記余白領域をインク及びラミネート層の転写された印刷媒体に圧接し、前記メモリから読み出したパターンデータに基づいて前記印刷媒体を選択的に加熱し、それにより転写されたラミネート層に一定のパターンの凹部を形成することを特徴とする画像印画装置。
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