JP4204809B2 - 回折光学素子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、回折光学素子の製造方法に関する
【0002】
【従来の技術】
回折光学素子は「光に所望の回折現象を生じさせる光学素子」であり、分光や光の偏向等を行わせる素子として広く使用されている。
【0003】
回折光学素子は従来から種々のものが知られているが、新たな回折光学素子として「光学的に透明な基板の上に有機膜や高分子膜を形成し、これら膜の表面に凹凸による所望の回折格子を形成したもの」が提案されている(特開2000−221325号公報、特開2000―75130号公報、特開平11−174226号公報等)。
【0004】
上記公報記載の回折光学素子は、膜が複屈折性を持つ「偏光ホログラム素子」であり、例えば、光ピックアップ装置において「光源側からの光束の光路と光ディスクからの戻り光束の光路とを光路分離する」のに好適に使用され得る。
【0005】
若干、説明を補足すると、回折光学素子は、光ピックアップ装置に用いられるものではサイズが「数ミリ四方程度」で、これを単品づつ別個に製造するわけではなく、一度に100〜数100個が製造される。
【0006】
即ち、直径:数10〜数100mmのサイズの透明基板、例えば直径:100mmあるいは150mmの平行平板状の透明基板上に接着剤層が形成され、形成された接着剤層上に、基板サイズと同サイズ、あるいはこれより一回り小さいサイズの有機材料膜を載せ、接着剤層により透明基板に接着固定する。接着剤層を構成する接着剤としては熱硬化性のものや、紫外線硬化型接着剤のような光硬化性のものを用いることができる。
【0007】
透明基板に接着された有機材料膜の表面に複数(通常100〜200個)の回折格子の形成が行われる。回折格子の形成は、有機材料膜上に金属や酸化物による薄い膜を形成し、フォトリソグラフィにより上記膜をパターニングして回折格子群に対応するエッチングマスクを形成し、このマスクを介したドライエッチングで行うことができる。
【0008】
回折格子形成後、必要に応じてオーバコート層を形成し、さらに所望により透明な対向基板をオーバコート層上に載置して全体を一体化する。その後、ダイシング装置を用いて切断を行い、個々の回折光学素子を得る。
【0009】
ところで、上記回折格子を形成する有機材料膜の材料は一般に「高分子材料」で、回折光学素子の製造工程で加熱を伴う処理(例えば、熱硬化性の接着剤で接着剤層を構成し、加熱により硬化させて有機材料膜を接着固定する場合や、エッチングマスクを形成する際のフォトリソグラフィにおけるフォトレジストのプリベークやポストベーク処理)を受けると、熱による温度変化(上記接着剤の熱硬化の場合で100〜150℃)により収縮し、接着剤層を介して固定された透明基板に「反り」を生じさせる。
【0010】
このような「反り」が発生すると、例えば、回折格子形成工程を行う際に、基板を「真空吸着」で所定の位置に固定することが困難になったり、できなくなったりする。また、反りの生じた有機材料膜にドライエッチングで回折格子を形成する際、反りのために「同時に形成される複数の回折格子が同一のものにならなく」なり、製造された回折光学素子の光学特性の「ばらつき」が生じる。特に、反りの大きな部分に形成された回折格子の場合、透過光の波面収差を劣化させ、実際上の使用ができなくなる場合もあるため、回折光学素子の製造の歩留まりが低下する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、回折光学素子製造の際の、上記「反り」の問題を有効に解消することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明の回折光学素子の製造方法は、有機材料膜接着工程と、回折格子形成工程と、分離工程とを有する。
「有機材料膜接着工程」は、透明基板上に有機材料膜を接着固定する工程である。
【0013】
「回折格子形成工程」は、透明基板上に接着固定された有機材料膜に、フォトリソグラフィとエッチングとを含む工程により、断面形状が矩形状の凹凸による回折格子を複数個、格子配列状に形成する工程である。形成される回折格子の個数は、前述したように、通常100〜数100個である。
【0014】
「分離工程」は、格子配列状に形成された複数の回折格子を個別的に分離する工程である。この分離工程は通常、ダイシング装置を用いて行われる。
【0015】
請求項1記載の製造方法は、以下の点を特徴とする。
即ち「有機材料膜の熱収縮により生じる透明基板の反り」を緩和するべく、透明基板に予め「所定の湾曲形状」を与えておき、有機材料膜の熱収縮により透明基板の湾曲形状を矯正することにより、透明基板を実質的な平行平板とする。
【0016】
有機材料膜の熱収縮は、前述したように、例えば、熱硬化性の接着剤による接着の際や、フォトリソグラフィにおけるフォトレジストのプリベークやポストベーク処理における熱を受けることにより生じる。この発明では、透明基板の側に予め湾曲形状を与えておき、有機材料膜が熱収縮する際に透明基板に作用する引張り力を「透明基板の形状を湾曲形状から実質的な平行平板に矯正する矯正力」として利用するのである。
【0017】
湾曲形状が矯正された「実質的な平行平板」は、例えば、真空吸着で確実に保持でき、フォトリソグラフィによるエッチングマスク作製の際に、フォトレジスト層上への焦点合わせが確実に行われる程度に「反りの無い」状態を言う。
【0018】
「透明基板に予め所定の湾曲形状を与える」には、透明基板となるべき透明平行平板状材料の両面を機械加工することにより、所定の湾曲形状を有する透明基板を作製することによって行うことも考えられる。
請求項1記載の製造方法では、透明基板となるべき透明平行平板状材料を、所定の凸湾曲面形状を持つ第1冶具と、第1冶具の凸湾曲面形状に対応する凹湾曲面形状を持つ第2冶具とにより挟持して加圧し、透明平行平板状に所定の湾曲形状を与えることによって行う。
【0019】
また、上記透明基板となるべき透明平行平板状材料として「複数の薄い透明板を、光硬化性若しくは熱硬化性で流動状態の接着剤を介して積層したもの」を用い、第1及び第2冶具による変形後、光もしくは熱により上記接着剤を固化することによって行う。
すなわち、最終的に「複数の薄い透明板を互いに接着一体化したもの」が透明基板となり、その上に有機材料膜が接着されることになる。
【0020】
なお、請求項1記載の製造方法において、透明基板となるべき透明平行平板状材料における「有機材料膜が接着されることになる面」と反対側の面に予め「反射防止膜」を形成しておいてもよい。
【0021】
上記請求項1記載の回折光学素子の製造方法において「透明基板に予め与える所定の湾曲形状」は、曲率半径にして、20m〜100mの範囲であることが好ましい(請求項2)。上記湾曲形状としては「凸球面形状や凸シリンダ面形状等」が可能である。
【0022】
請求項1または2記載の回折光学素子の製造方法においては「透明基板の湾曲形状にフィットする凸湾曲面形状を持つ支持冶具に透明基板を支持させ、支持された透明基板の凸面側に接着剤を付与し、その上に有機材料膜を載置し、有機材料膜の上から支持冶具の凸湾曲面形状に対応する凹湾曲面形状を有する押さえ冶具により押圧を行い、接着剤を透明基板と有機材料膜との間に均一に広げる」ことにより、湾曲形状を形成された透明基板に有機材料膜を好適に接着することができる(請求項3)。
【0023】
上記接着剤としては光硬化性若しくは熱硬化性のものを用い、上記のように、接着剤が透明基板と有機材料膜との間に均一に広がった状態において、光照射または加熱により接着剤の固化を行えばよい。
【0024】
上記請求項1〜3の任意の1に記載の回折光学素子の製造方法において「透明基板上に接着固定された有機材料膜に、断面形状が矩形状の凹凸による回折格子を複数個、格子配列状に形成する回折格子形成工程におけるエッチング工程」は、電子サイクロトロンエッチングで好適に行うことができる(請求項4)。
【0025】
上記請求項1〜4の任意の1に記載の回折光学素子の製造方法において、複数の回折格子を格子配列状に形成された有機材料膜上から「各回折格子における回折格子の凹部に、光学的に透明な材料を充填してオーバコート層とする」ことができ(請求項5)、この場合、オーバコート層上に「透明な対向基板を一体化」することができる(請求項6)。
【0026】
請求項5または6記載の回折光学素子の製造方法において、有機材料膜として「有機複屈折膜」を用い、オーバコート層として「有機複屈折膜の常光線に対する屈折率もしくは異常光線に対する屈折率と実質的に等しい屈折率を持つ等方性光学材料(光学特性が方向により変化しない材料)」を用いることができる(請求項7)。この場合、得られる回折光学素子は、常光線と異常光線とで回折作用が異なる。
【0027】
請求項7記載の回折光学素子の製造方法で用いられる「有機複屈折膜」としては「分子鎖が配向した高分子複屈折膜」を用いることができ(請求項8)、この場合において、有機複屈折膜として用いられる高分子複屈折膜は「延伸により分子鎖を配向させた高分子膜」であることができる(請求項9)。
【0028】
請求項5〜9の任意の1に記載の回折光学素子の製造方法における「オーバコート層」の材料は、アクリル系もしくはエポキシ系の材料を好適に用いることができる(請求項10)。
【0029】
上記請求項1〜10の任意の1に記載の回折光学素子の製造方法で製造される回折光学素子を、以下、回折光学素子Aと呼ぶ
【0030】
回折光学素子Aのうち、請求項7または8または9記載製造方法で製造される回折光学素子(以下、回折光学素子Bと言う。)は「偏光ホログラム素子」として使用することができる。この回折光学素子Bの場合、オーバコート層上に「透明な対向基板」を一体化することができ、オーバコート層の材料として、アクリル系もしくはエポキシ系の材料を好適に使用できる。
【0031】
回折光学素子Bに属する回折光学素子は「有機複屈折膜を接着された透明基板に、反射防止膜を形成」したものであることができる(回折光学素子Cと言う。)。
【0032】
上記回折光学素子AまたはBまたはCに属するものを「光源側からの光束の光路と、光ディスクからの戻り光束の光路とを光路分離する偏光ホログラム素子」として用いて光ピックアップ装置を構成できる。
【0033】
この光ピックアップ装置を用い「光ディスクに対し、光ピックアップ装置を用いて情報の記録・再生・消去の1以上を行う光ディスクドライブ装置」を構成することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を説明するが、先ず、図1を参照して回折光学素子の製造プロセスの1例を簡単に説明する。
【0035】
図1(a)は、「有機材料膜接着工程」により、透明基板1A上に有機材料膜3を、接着剤層2により接着した状態を示している。
【0036】
図1(b)に示すように、有機材料膜3の上に「エッチングマスク材料」によるマスク用膜4を形成する(マスク用膜形成工程)。マスク用膜は、例えばAl等の金属や酸化物膜で形成される。
【0037】
続いて、図1(c)に示すように、フォトリソグラフィにより、マスク用膜4上に加工用のマスクパターンに応じたレジストパターン5を形成する(レジストパターン形成工程)。
【0038】
このようにしてレジストパターン5が形成されたら、液体中におけるウエットエッチングにより、マスク用膜4をパターニングして加工用のマスクを形成する(マスク形成工程)。このとき、レジストパターン5がウエットエッチングに対するマスクとなり、マスク用膜4の「露呈していた部分」がエッチングされて除去される。エッチング後、レジストパターン5を除去すると、図1(d)に示すように、マスク4Mが有機材料膜3上に残る。
【0039】
マスク形成工程後、マスク4Mを介して、有機材料膜3に対するエッチング加工を行って、回折格子の形成を行う(エッチング工程)。このエッチング加工により、有機材料膜の表面には矩形状の凹凸による回折格子3Aが形成される。上記のマスク用膜形成工程、レジストパターン形成工程、マスク形成工程及びエッチング工程が「回折格子形成工程」である。
【0040】
なお、後述するように、マスク用膜4Mを用いずに、有機材料膜3上に直接フォトレジスト膜を形成し、マスクパターンに従ってパターニングし、パターニングされたレジストパターンをマスクとしてエッチングを行い回折格子を形成することもできる。
【0041】
図1(e)は、エッチング加工後、マスク4Mを除去した状態を示している。透明基板1上に設けられた有機材料膜3の表面に、断面形状が矩形状の凹凸による回折格子3Aが形成されている。図1(e)の状態、即ち、透明基板1A上に接着された有機材料膜3に回折格子3Aを形成した状態のものを、便宜上「回折素子」と呼ぶことにする。
【0042】
「回折素子」はそれ自体で「回折光学素子としての機能(透過光を回折させる機能)」を有するので、これをそのまま回折光学素子として使用することもできるが、回折格子の形成された有機材料膜は必ずしも十分な「物理的強度」を持つ訳ではないので、このまま使用するよりは、図1(g)に示すように、回折素子における断面形状が矩形状の回折格子の凹部に「光学的に透明な材料」を充填してオーバコート層9として補強を行うのが良く(請求項5)、更に、オーバコート層9上に透明な対向基板1Bを一体化することが好ましい(請求項6)。
【0043】
このようにして回折光学素子10が得られる。この場合、有機材料膜3を「有機複屈折膜」とし、オーバコート層9として「有機複屈折膜における常光線もしくは異常光線に対する屈折率に実質的に等しい屈折率」を持つ等方性光学材料を用いれば、回折光学素子10は偏光ホログラム素子として使用され得る。
【0044】
取り扱いに幾分慎重を期するならば、図1(g)の状態から透明な基板1Bを除去し、オーバコート層9を「保護膜を兼ねた表面層」とすることもできる。
【0045】
上には、回折光学素子の単品として説明を簡単化したが、回折光学素子は、前述したように、これを単品づつ別個に製造するわけではなく、一度に100〜数100個が製造される。
【0046】
図2は、図1(e)の段階において、有機材料膜3に「多数の回折格子が格子配列状に形成された状態」を示している。符号3Aは、有機材料膜3に形成された多数の回折格子の個々を示している。図1(f)の回折光学素子10を得る場合であれば、図2の状態において、有機材料膜3の回折格子全体上に「光学的に透明な材料」を供給し、各回折格子の凹部、回折格子間に充填してオーバコート層とし、その上にさらに「透明な対向基板」を一体化させ、その後に、個々の回折格子3Aを含む部分をダイシング装置により切り離して、回折光学素子の単品とする(前記「分離工程」)。
【0047】
図3は「有機材料膜接着工程」後の状態を示している。この図において、符号1Aで示す透明基板や、符号3で示す有機材料膜は、まだ分離されていないサイズの大きいもの(図2に示す如き状態)である。
【0048】
透明基板1Aとして「平行平板」を用いると、接着剤2が硬化する際の接着剤層の収縮により、透明基板1Aは「反り」を生じる。上に説明したように、回折格子形成工程において、フォトリソグラフィにより、マスク用膜上に加工用のマスクに応じたレジストパターンが形成されるのであるが、その際のフォトレジストのプリベークやポストベークの熱により有機材料膜3が熱収縮し、この熱収縮により透明基板1Aが更に反る。図3は、このような「反り」を強調して描いている。
【0049】
この発明では、上述したように、透明基板の側に予め湾曲形状を与えておき、有機材料膜が熱収縮する際に透明基板に作用する引張り応力を「透明基板の形状を湾曲形状から実質的な平行平板に矯正する矯正力」として利用し、上記湾曲形状を矯正することにより、透明基板を実質的な平行平板とするのである。
【0050】
以下にまず、透明基板となるべき透明平行平板状材料として、直径:φ=100mm、厚さ:2mmのBK−7ガラス板を用い、その両面を機械加工することにより、図4に示す如く「所定の湾曲形状」を有する透明基板1を作製する場合を説明する。
【0051】
具体的には、上記BK−7ガラス板(透明平行平板状材料)の片面を、球面研磨装置で曲率半径:Rをとするように、粗削り・中研磨・精密研磨した後、仕上げ研磨により表面粗さをRa(中心線平均粗さ):5nm以下とする。このようにして、BK−7ガラス板の片面に曲率半径:Rの凸球面が形成される。
【0052】
次に、上記BK−7ガラス板の仕上げ研磨面形状を転写した研磨冶具(図示されず)により、上記仕上げ研磨した面とは反対側の面を粗削り・中研磨・精密研磨後、仕上げ研磨により表面粗さがRa(中心線平均粗さ):5nm以下の凹球面形状とし、両面が「同じ曲率半径:R」を持つ、厚み:1.0mmの「両面が互いに平行」で図4の如く湾曲した透明基板1を得る。
【0053】
例えば、曲率半径:R=30mとすると、図4に示す湾曲量:Wは27μmとなる。上記「研磨冶具」は繰り返し使えるので、研磨冶具コストを低減できる。また、自動化した機械研磨装置を用いることも可能で、これを用いると、湾曲した透明基板1の作製コストを低減できる。
【0054】
次に、図5に示すように、移動ステージ50によりX、Y、Z軸方向に移動可能な基板ホルダ51上に、湾曲した透明基板1を、その凸側が上向きとなるように載置し、図示されない真空吸着機構により基板ホルダ51に固定する。基板ホルダ51は透明基板1と略同じ曲率半径:Rを有する凸球面形状で、外径:φ=125mmであり、透明基板1より1サイズ大きい。
【0055】
基板ホルダ51の上方には「接着剤滴下装置」と「接着剤の中心と有機複屈折膜の中心を測定するため、X、Y方向に移動可能な測定系」(共に図示されず)が設けられている。
【0056】
上記測定系は「接着剤2、透明基板1及び有機材料膜3表面の反射光を検出して変位量を読み取るCCDレーザ変位計53を用いて位置検出し、位置情報をそれぞれの移動装置にフィードバックする回路(図示されず)」を有している。
【0057】
有機材料膜3の端部を保持するための保持具54A、54Bが基板ホルダ51に対して平行に配置され、「保持具54A、54BにモーメントMtを発生させるモーメント発生装置(図示されず)」が設けられている。
【0058】
上記の如く、基板ホルダ51上にセットされた湾曲した透明基板1の中心部に、透明基板1と略同じ屈折率を持つ「紫外線硬化型」の接着剤2(スリーボンド社製:商品名「TB3042」)を0.2ml滴下し、この上に「110mm×120mm」に切断した有機材料膜3の端部を保持具54A、54Bにより真空吸着で保持し、おおよそ透明基板1の中心位置に位置させ、上記モーメント発生装置により、図の如くU字状に変形させた有機材料膜3の表面形状をCCDレーザ変位計53により測定して「U字状の中心位置」を検出し、予め測定しておいた接着剤2の凸形状の頂点位置情報から移動量を演算し、X−Y移動装置により有機材料膜3のU字状の中心を接着剤2の凸形状の頂点に位置合わせする。
【0059】
透明基板1・接着剤2・有機材料膜3の位置合わせの完了後、基板ホルダ51をZ方向へ上昇させ、接着剤2と有機材料膜3が、それぞれの頂点で接触する位置で停止し、その後、有機材料膜3の左右のモーメントMtを緩やかに解除しつつ有機複材料膜3を透明基板1上に載置して行く。
【0060】
このようにして、有機材料膜3を透明基板1上に載置し終わったら、図6に示すように、透明基板1の湾曲形状と略同じ曲率半径:Rを持つ凹球面形状に加工した直径:φ=110mm、厚み:20mmの石英ガラス製の押圧具55を有機材料膜3上に載せ、図示されない押圧手段で全面均等加圧し、接着剤2が透明基板1の全面に広がった点で加圧を停止し、押圧具55を介して、図示されない紫外線照射装置(以下「UV装置」という)で、光強度:30mW/cmの紫外光を有機材料膜3側から200秒間照射して接着剤を硬化する。
【0061】
接着剤2の硬化後、透明基板1の直径:φ=100mmの外径に沿って有機複屈折膜3の余分な部分を切断し、その後、押圧具55を上昇し、基板ホルダ51の真空吸着を解除して、有機材料膜3を接着された透明基板1を取り出す。
【0062】
上記の如く、有機材料膜3を透明基板1上に載置する際、有機材料膜3の中央から透明基板1に接触させることにより、面接触で接着させる従来の載置法では「目視レベルで確認できる気泡の巻き込み」が発生していたのに対し、上記方法では気泡の巻き込みがない接着を実現できた。
【0063】
「透明基板1・接着剤2・有機材料膜3の位置合わせ」は、上記方法のほか、CCDカメラと画像処理により透明基板1と接着剤2の形状を認識して中心を割りだし、位置合わせする方法等も実施可能である。
【0064】
また、上の説明では接着剤2として「アクリル樹脂系の光硬化型の接着剤」を用いたが、「エポキシ樹脂系の光硬化型の接着剤」を用いてもよい。透明基板1となるべき「透明平行平板状材料」としては上記BK−7ガラス基板以外に、石英ガラス基板やパイレックス(登録商標)ガラス基板、結晶性ガラス(商品名:ネオセラム)基板等を用いてもよい。
【0065】
上記のように、透明基板1に接触する面の基板ホルダ51及び、石英ガラス製の押圧具55の凹球面形状の曲率半径:Rを透明基板1の曲率半径:Rと同じにすることにより、透明基板1と有機材料膜3との高精度な接着が可能となる。
【0066】
有機材料膜3は取り扱いの容易性から厚み:0.01mm以上が望ましい。有機材料膜3として「延伸により分子鎖を配向させ複屈折性を発現させた有機複屈折膜」とする場合は、最大厚み:0.5mmの範囲、より好ましくは厚み:0.05〜0.2mmの範囲がよい。
【0067】
説明中の例では、有機材料膜3として「厚み:0.1mmのポリエステル系の有機材料膜に延伸により複屈折性を発現させたもの」を用いている。
【0068】
上記の如く接着した有機材料膜3を「イソプロピルアルコール等の有機溶媒、純水の順」に洗浄したのち、日本ゼオン化社製:商品名ZEP−520レジストをスピンコートにより厚さ:0.5μmに塗布してフォトレジスト膜を形成し、100℃の温度で30分間プリベークする。
【0069】
この時、有機材料膜3の熱歪に起因する応力で7.5MPa程度の力が透明基板1に引張り応力として発生し、湾曲により「逆向きの反り」を有していた透明基板1の形状を矯正する力が働き、この結果、透明基板1の反りが低減される。
【0070】
フォトレジストを剥離して、有機材料膜表面の反りを測定した結果、平行平板状態のBK−7ガラス基板に有機材料膜を接着したものと比べ、有機材料膜面の反り量が低減することが確認された。
【0071】
透明基板1に予め与える湾曲形状の曲率半径:Rを、15m、20m、30m、100m、120mに変えた透明基板を多数用意し、これら透明基板に上記と同様にして有機材料膜3(厚み:0.1mmのポリエステル系の有機材料膜に延伸により複屈折性を発現させたもの)を接着して上記と同様に厚さ:0.5μmのフォトレジスト膜を形成し、100℃の温度で30分間ベークしたものを試料とした。
【0072】
これらの試料に対し、ステッパ装置への「真空吸着可否」と、フォトレジスト表面への焦点合わせ合否を調べた。結果を以下に示す。
【0073】
「○」は「問題が無かった場合」、「△」は手作業による修正が必要であるが「真空吸着・焦点合わせができる場合」、「×」は「真空吸着・焦点合わせができなかった場合」である。
【0074】
曲率半径:R 15m 20m 30m 100m 120m
ステッパへの真空吸着可否 × ○ ○ ○ △
焦点位置併せ合否 × △ ○ ○ × 。
【0075】
曲率半径:Rが大きい透明基板、即ち「湾曲が小さいもの」と曲率半径が小さい透明基板、即ち「湾曲の大きすぎるもの」は効果がなかった。
【0076】
回折光学素子作製のプロセスの安定性と素子品質を考慮すると、透明基板1の変位を極力押えて作り込んでおく必要がある。
【0077】
上記の如く有機材料膜3を接着され、フォトレジスト膜を形成された透明基板1に、ステッパ装置を用い、有機材料膜3上に「ライン&スペース:2μm」のパターンを8mmピッチで300回繰り返し形成し、300単位の回折格子(図1(c)参照)用のマスクを格子配列状に形成した。1単位の回折格子用のマスクは外形:8mm×8mmの中心に1mm×2mmの矩形状に形成されている。
【0078】
次いで「酸素ガスを主成分とするエッチングガス雰囲気」中で、住友金属社製ECR(Electron Cyclotron Resonance:電子サイクロトロン共鳴)エッチング装置で幅:2μm、深さ:3μmのラインと2mm幅のスペースを300周期繰り返した回折格子の格子状配列を形成した。他のフォトリソグラフィは一般に知られているプロセスを採用しており、詳細は省略する。
【0079】
次に、図7に示すように、平面加工した直径:φ=200mm、厚み:50mmのステンレス台70上に、有機材料膜3に回折格子を格子配列状に形成された透明基板1を載置し、回折格子を形成された面に、アクリル樹脂系の光硬化型の(光学的に等方性で、有機材料膜に発現した複屈折性における異常光線に対する屈折率と略等しい屈折率を持つ)接着剤71をマイクロシリンジで0.25ml計量滴下し、その上方から両面を光学研磨した外径:φ=100mm、厚み:0.5mmのBK−7ガラスによる透明な対向基板5を載置し、さらにその上に光学研磨した石英ガラス製の押圧具72を載せ、対向基板5に100gf/cmの圧力を印加し、光学的に等方性の接着剤71を被接着面全面に広げた。
【0080】
この状態で、図示されないUV装置で、対向透明基板5の150mm上方から照射照度:20mW/cmの紫外光を10分間照射し接着剤71を硬化接着した。これにより硬化した接着剤71の層は「オーバコート層」になる。その後、ダイシング装置により、各回折格子の形成された領域を8mm×8mmに切り出して分離し1単位の回折光学素子とした。
このようにして、図1(f)に示す如き回折光学素子が得られる。
【0081】
上記「光学的に等方性の接着剤」は、粘性や屈折率等の特性制御の容易さや接着力および透明性の点からアクリル系の紫外線硬化型接着剤を用いたが、エポキシ系の紫外線硬化型接着剤でも同様な事が可能である。これらの接着剤は紫外線で硬化するので、加圧中に硬化が可能であり、製造工程を簡略できる。
【0082】
複屈折性を有する有機材料膜を得る方法としては「ポリエチレンテレフタレート等の高分子膜を布で擦ってラビング処理して配向膜を形成し、この配向膜上にポリジアセチレンモノマーを真空蒸着して配向させた後、紫外光を照射してポリマー化して異方性膜とする方法(J.Appl.phys.,72,No,3,P938-947)」が知られているが、工程が複雑で製造コストが高い。
【0083】
上に用いた有機材料膜3は「分子鎖が配向した有機高分子膜」であり、特性の均一性を考慮して延伸により複屈折性を発現させたものである。
【0084】
なお、透明基板における曲率半径:Rは、有機材料膜の熱膨張係数や厚みに応じて「熱収縮による有機材料膜の引張り応力」が変化するので、用いる有機材料膜の特性とプリベークやポストベーク等の温度等を考慮して実験的に定められるものであり、上記例に限定されるものではない。
【0085】
以下には、回折光学素子の製造方法の実施の形態を説明する。
透明基板となるべき透明平行平板状材料を「所定の凸湾曲面形状を持つ第1冶具と、上記凸湾曲面形状に対応する凹湾曲面形状を持つ第2冶具とにより挟持して加圧し」て、透明平行平板状材料に所定の湾曲を与える。透明基板となるべき透明平行平板状材料として、複数の薄い透明板を、光硬化性若しくは熱硬化性で流動状態の接着剤を介して積層したものを用い、第1及び第2冶具による変形後、光もしくは熱により接着剤を固化する(請求項1)。
【0086】
図8に示すように、曲率半径:RとしてR=30mを有する石英ガラス製の積層受け冶具81(球面研磨装置で曲率半径:Rが30mの凸球面形状となるよう粗削り・中研磨・精密研磨後、仕上げ研磨により表面粗さをRa(中心線平均粗さ):5nm以下とした「凸球面状の受け面」を有する)と、石英ガラス製の加圧冶具82(積層受け冶具81の受け面の研磨面を転写した研磨冶具で、加圧面を曲率半径:Rが30mの凹球面形状となるように粗削り・中研磨・精密研磨後、仕上げ研磨により表面粗さをRa(中心線平均粗さ):5nm以下とした「凹球面状の加圧面」を有する)を用意する。
【0087】
積層受け冶具81の受け面上に、直径:φ=100mm、厚さ:0.1mmのBK−7ガラスによる平行平板G1を載置し、その上にBK−7ガラスと略同じ屈折率を持つ紫外線硬化型の接着剤S1を0.1ml滴下する。その上に、直径:φ=100mm、厚さ:0.1mmのBK−7ガラスの平行平板G2を載置し、その上に上記紫外線硬化型の接着剤S2を0.1ml滴下する。
【0088】
同様にして、BK−7ガラスによる上記と同寸・同厚の平行平板G3、G4を載置し、4枚の平行平板G1〜G4が接着剤S1〜S3を介して積層した状態とする。
【0089】
この状態で、積層された平行平板G1〜G4の上方から加圧冶具82により、図示されない加圧装置で加圧し、平行平板G1〜G4を変形するとともに「変形状態を固定」し、図示されないUV装置で加圧冶具82を介して紫外光を照射し、接着剤S1〜S3を硬化する。
【0090】
接着剤S1〜S3としてはスリーボンド社の商品名:TB3042を用いた。
【0091】
このようにして図9に示す如く、変形により湾曲形状を付与され、接着により一体化された4枚の平行平板G1〜G4による「透明基板」が得られる。
透明基板の両面の曲率半径:Rは40m、湾曲量:Wは27μmである。
【0092】
この透明基板に対し、先に説明したのと同様のプロセスで回折格子群を格子配列状に形成し、オーバコート層の形成と対向基板の一体化を行い、ダイシング装置により8mm×8mmのサイズに切り出し、偏光ホログラム素子とした。
【0093】
この方法の場合、安価な平面基板G1等を用い、積層接着により「両面が同じ曲率半径を有する透明基板」を実現でき、積層数を増減することで「厚さ」を適宜に設定した透明基板を作製できる。
【0094】
積層による透明基板の作り易さを考慮すると、積層する平行平板G1等の厚さは0.03mmから1mmの範囲が望ましく、薄板平行平板の入手容易性や取り扱い性、コスト、積層コストを考慮すると積層される1枚の平行平板の厚さは0.07から0.3mmが好ましい。
【0095】
図10は、図8、図9に即して説明した実施の形態の変形例を示す。
【0096】
湾曲形状を与えられた透明基板は、BK−7ガラスによる薄い平行平板G1〜G4を接着剤S1〜S3を介して積層し、加圧による変形で、曲率半径:R=30m、湾曲量:W=27μmの湾曲を与えられ、接着剤S1〜S3で互いに接着一体化されたものである。
【0097】
この例では、前記積層受け面冶具と加圧冶具で加圧による変形を行うときに、凹面側となる平行平板G1の凹面側となる面に、予め、MgFなどによる反射防止膜Hをコーテイングしている。
【0098】
即ち、直径:φ=100mm、厚さ:0.1mmのbK−7ガラスによる平行平板G1の片面に真空蒸着法でMgFを、λ/4=n・dとなるよう残留膜応力が無い成膜条件で成膜する。
【0099】
以下、先の実施の形態の場合と同様に、平行平板G1〜G4の積層・加圧による変形・接着剤硬化を行い、図10に示す如き透明基板を得る。
【0100】
以下、上記と同様にして有機材料膜の接着、回折格子の形成、オーバコート層の形成、対向基板の一体化を行い、ダイシング装置による分離工程を経て回折光学素子を得る。このようにして得られる回折光学素子は、反射防止膜Hをコーテイングされているので、使用状態において光の入射効率が向上する。
【0101】
上には、有機材料膜として「熱収縮が等方的に生じるもの」を想定したので、透明基板に予め与える湾曲形状は、透明基板の両面を「曲率の等しい球面」とするような湾曲であるが、有機材料膜の熱収縮に方向性があり、ある特定の方向に熱収縮が顕著に生じるものである場合には、透明基板の湾曲を「両面が曲率の等しいシリンダ面」となるように形成し、熱収縮による応力がシリンダ面の最大曲率方向に作用するようにすればよい。
【0102】
図11は、光ピックアップ装置の1形態例を示す図である。
光ピックアップ装置は、光源30から放射される光を、対物レンズ37により光ディスク40の記録面上に光スポットとして集光し、記録面により反射された戻り光束を、対物レンズ37を介して光検出部39へ導きつつ、光ディスク40に対し、情報の記録・再生・消去の1以上を行う光ピックアップ装置であり、光源30と対物レンズ37との間に回折光学素子31が配置されている。
回折光学素子31は、図11(f)に示す如きものである。
【0103】
図11の光ピックアップ装置では、光源30である半導体レーザからの光が回折光学素子31を透過する。回折光学素子31は有機材料膜が有機複屈折膜のものであり「偏光ホログラム素子」として用いられ、光源側からの光はそのまま回折光学素子31を透過し、さらに、1/4波長板35を透過し、対物レンズ37の作用により、光ディスク40の記録面上に光スポットとして集光する。
【0104】
記録面により反射された光は「戻り光束」となって対物レンズ37、1/4波長板35を透過し、偏光面が当初の方向から90度旋回した直線偏光となり、回折光学素子31に入射し、回折光学素子31による回折作用を受けて光検出部39へ向けて偏向される。このとき、戻り光束には回折光学素子31により、例えば非点収差が与えられ、この光束は光検出部39で受光され、非点収差法によるフォーカシング信号、プッシュプル法によるトラッキング信号や再生信号を発生させる。
【0105】
即ち、図11の光ピックアップ装置は、前記回折光学素子Bを、光源30側からの光束の光路と、光ディスク40からの戻り光束の光路とを光路分離する偏光ホログラム素子31として用いたものである
【0106】
図12は、光ディスクドライブ装置の1形態例を示す図である。
この光ディスクドライブ装置は、光ディスク40に対し、光ピックアップ装置41を用いて情報の記録・再生・消去の1以上を行う装置である。光ディスク40は保持部47に保持され、「駆動手段」としてのモータMで回転駆動される。
【0107】
セットされた光ディスク40に対し(例えば、図11に示した如き)光ピックアップ装置41が、変位駆動手段43により光ディスク40の半径方向へ変位駆動されて、記録・再生・消去の1以上を行う。制御手段45は、光ピックアップ装置41からの信号に基づく各種制御や再生信号の出力を制御するほか、装置全体の制御を行う。
【0108】
即ち、図12の光ディスクドライブ装置は、光ディスク40に対し、光ピックアップ装置41を用いて情報の記録・再生・消去の1以上を行う光ディスクドライブ装置において、光ピックアップ装置として上述のものを用いたものである。
【0109】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば、新規な回折光学素子の製造方法を実現できる。
この発明の回折光学素子製造方法では、透明基板に予め所定の湾曲形状を与えておき、有機材料膜の熱収縮が透明基板に作用する引張り応力を矯正力として、上記湾曲形状を矯正するので透明基板の反りが有効に軽減され、回折格子形成工程の際、基板を「真空吸着」で所定の位置に確実に固定でき、透明基板の反りに起因する「同時に形成される複数の回折光学素子の光学特性のばらつき」を有効に防止でき、反りの大きな部分に形成された回折光学素子における透過光の波面収差の劣化の問題を有効に解消することができる。
【0110】
従って、この発明の回折光学素子は製造の歩留まりよく安価に製造でき、素子間の光学特性のばらつきが小さい。
【0111】
このような回折光学素子を偏光ホログラム素子として用いる光ピックアップ装置は、良好な光ピックアップ機能を実現でき、このような光ピックアップ装置を用いる光ディスクドライブ装置は性能良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】回折光学素子を作製する基本的なプロセスを説明するための図である。
【図2】透明基板に接着された有機材料膜に格子配列状に形成された回折格子の配列を説明図的に示す図である。
【図3】有機材料膜の熱収縮による透明基板の反りを説明するための図である。
【図4】この発明の回折光学素子の製造方法において用いられる、予め湾曲形状を与えられた透明基板を説明するための図である。
【図5】透明基板上へ有機材料膜を、接着剤を介して載置する工程を説明するための図である。
【図6】図5の工程で、透明基板上に載置された有機材料膜を、透明基板上に接着する工程を説明するための図である。
【図7】回折格子を形成された有機材料膜上にオーバコート層となる接着剤で対向透明基板を接着する工程を説明するための図である。
【図8】透明基板となる透明平行平板状材料を変形させて湾曲形状を付与する工程を説明するための図である。
【図9】図8に示す工程で湾曲形状を与えられた透明基板を示す図である。
【図10】反射防止膜を形成した透明基板を説明するための図である。
【図11】光ピックアップ装置の実施の1形態を説明するための図である。
【図12】光ディスクドライブ装置の実施の1形態を説明するための図である。
【符号の説明】
1A 透明基板
2 接着剤
3 有機材料膜

Claims (10)

  1. 透明基板上に有機材料膜を接着固定する有機材料膜接着工程と、
    上記透明基板上に接着固定された上記有機材料膜に、フォトリソグラフィとエッチングとを含む工程により、断面形状が矩形状の凹凸による回折格子を複数個、格子配列状に形成する回折格子形成工程と、
    格子配列状に形成された複数の回折格子を個別的に分離する分離工程とを有する回折光学素子の製造方法において、
    上記透明基板となるべき透明平行平板状材料として、複数の薄い透明板を、光硬化性若しくは熱硬化性で流動状態の接着剤を介して積層したものを用い、
    上記有機材料膜の熱収縮により生じる透明基板の反りを緩和するべく、上記透明基板となるべき透明平行平板状材料を、所定の凸湾曲面形状を持つ第1冶具と、上記凸湾曲面形状に対応する凹湾曲面形状を持つ第2冶具とにより挟持して加圧して変形させた後、光もしくは熱により上記接着剤を固化することにより上記透明平行平板状材料に所定の湾曲形状を与えて、上記透明基板に予め所定の湾曲形状を与えておき、上記有機材料膜の熱収縮により上記湾曲形状を矯正することにより、透明基板を実質的な平行平板とすることを特徴とする回折光学素子の製造方法。
  2. 請求項1記載の回折光学素子の製造方法において、
    透明基板に予め与える所定の湾曲形状の曲率半径が20〜100mの範囲であることを特徴とする回折光学素子の製造方法。
  3. 請求項1または2記載の回折光学素子の製造方法において、
    透明基板の湾曲形状にフィットする凸湾曲面形状を持つ支持冶具に透明基板を支持させ、支持された透明基板の凸面側に接着剤を付与し、その上に有機材料膜を載置し、上記有機材料膜の上から上記支持冶具の凸湾曲面形状に対応する凹湾曲面形状を有する押さえ冶具により押圧を行い、上記接着剤を上記透明基板と上記有機材料膜との間に均一に広げることを特徴とする回折光学素子の製造方法。
  4. 請求項1〜3の任意の1に記載の回折光学素子の製造方法において、
    透明基板上に接着固定された有機材料膜に、断面形状が矩形状の凹凸による回折格子を複数個、格子配列状に形成する回折格子形成工程におけるエッチング工程を、電子サイクロトロンエッチングで行うことを特徴とする回折光学素子の製造方法。
  5. 請求項1〜4の任意の1に記載の回折光学素子の製造方法において、
    複数の回折格子を格子配列状に形成された有機材料膜上から、各回折格子における回折格子の凹部に、光学的に透明な材料を充填して、オーバコート層とすることを特徴とする回折光学素子の製造方法。
  6. 請求項5記載の回折光学素子の製造方法において、
    オーバコート層上に、透明な対向基板を一体化することを特徴とする回折光学素子の製造方法。
  7. 請求項5または6記載の回折光学素子の製造方法において、
    有機材料膜が有機複屈折膜であり、オーバコート層が、上記有機複屈折膜の常光線に対する屈折率もしくは異常光線に対する屈折率と実質的に等しい屈折率を持つ等方性光学材料であることを特徴とする回折光学素子の製造方法。
  8. 請求項7記載の回折光学素子の製造方法において、
    有機複屈折膜として、分子鎖が配向した高分子複屈折膜を用いることを特徴とする回折光学素子の製造方法。
  9. 請求項8記載の回折光学素子の製造方法において、
    有機複屈折膜として用いられる高分子複屈折膜が、延伸により分子鎖を配向させた高分子膜であることを特徴とする回折光学素子の製造方法。
  10. 請求項5〜9の任意の1に記載の回折光学素子の製造方法において、
    オーバコート層の材料がアクリル系もしくはエポキシ系の材料であることを特徴とする回折光学素子の製造方法。
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