JP4237020B2 - 偏光分離素子の作製方法 - Google Patents
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Description
この偏光分離素子では、接着剤を用いて有機複屈折膜を透明基板に接着しているが、有機複屈折膜を透明基板へ接着する際に、回折格子を透過する光束に対して格子面内で光路長を一定とするためには、接着剤層の厚さを均一にして有機屈折膜表面を平坦化する必要がある。また、接着剤層に気泡が入ると、入射光束や出射光束が気泡によって散乱されて回折効率が低下するため、気泡を巻きこまないような接着法が必要となる。
以上の点から、透明基板へ有機複屈折膜を接着する方法としては、例えば貼り合せ光ディスクの作製工程で用いられているスピンナー法が適していると考えられる。
まず、図9(a)に示すように、第1の基板51のハブ51Aをスピンテーブル52のセンターピン53にさし込み、スピンテーブル52を回転させながら第1の基板51にディスペンサー54を用いて紫外線硬化型接着剤55を滴下する。
次に図9(b)に示すように、第1の基板51の周辺部まで接着剤55が広がったらスピンテーブル52の回転を停止する。
次に図9(c)に示すように、第2の基板56のハブ56Aをスピンテーブル52のセンターピン53にさし込み、第1の基板51と第2の基板56を接触させる。
次に図9(d)に示すように、スピンテーブル52を回転させ、余分な接着剤を振り切り接着剤層55の厚さを一定にする。
その後、図9(e)に示すように、スピンテーブル52の回転を停止し、紫外線(UV)を照射して接着剤層55を硬化し、貼り合せ光ディスクを完成させる。
偏光分離素子は大きさが数mm程度であるため、偏光分離素子の作製の際には、直径4〜8インチの透明基板に接着された有機複屈折膜上に数10〜数100個の回折格子をアレイ状に作製し、その後、ダイシングによって個々の偏光分離素子を取り出している。また、1枚の基板から取れる偏光分離素子数を多くするため、有機複屈折膜や透明基板にはハブを設けていない。
そのためスピンテーブル10の回転中に有機複屈折膜3の位置ずれが発生した場合は、スピンテーブル10の回転を停止し、適切な位置へ有機複屈折膜3を戻す作業を行い、再びスピンテーブル10を回転させる必要があり、上記の作業を繰り返すことによって貼り合せ工程のスループットを遅くしていた。また、上記の作業のため、スピンテーブル10の回転時間を一定にすることができず、基板間で接着剤層の厚さが不均一になる問題も発生していた。
接着後、有機複屈折膜の表面に回折格子を形成するため、フォトリソグラフィーとエッチングを行うが、有機複屈折膜表面に接着剤ミストやキズがあると、リソグラフィー工程でパターン欠陥が生じ、偏光分離素子の製造歩留を低下させていた。
また、本発明は、有機複屈折膜に面内で屈折率の異なる2方向のうち特定の1方向の指標となるマークを設け、透明基板のオリエンテーションフラットと有機複屈折膜のマークの相対位置を許容値に入れて接着し、露光工程では透明基板のオリエンテーションフラットを基準位置にして露光することにより、有機複屈折膜の屈折率の異なる2方向のうち特定の1方向に回折格子の方向を合わせるプロセスの歩留を向上できる偏光分離素子の作製方法を提供することを課題(目的)としている。
さらに本発明は、露光工程のスループットを向上できる偏光分離素子の作製方法を提供することを課題(目的)としている。
さらに本発明は、有機複屈折膜の接着工程で回折格子を形成する面にキズや異物を付ける確率を低減できる偏光分離素子の作製方法を提供することを課題(目的)としている。
さらに本発明は、有機複屈折膜の接着工程で、透明基板周辺に接着剤残が残らず、かつ作業環境や装置安全性を改善できる偏光分離素子の作製方法を提供することを課題(目的)としている。
また、本発明の第4の手段は、第1または第2の手段の偏光分離素子の作製方法において、前記有機複屈折膜は透明基板と接着する面と対向する面に保護膜が付いており、透明基板に第2の紫外線を照射した後に有機複屈折膜から保護膜を剥離することを特徴としている。
さらに、本発明の第5の手段は、第1〜4の手段のいずれか一つの偏光分離素子の作製方法において、前記有機溶媒がイソプロピルアルコールまたはアセトンの少なくとも一方であることを特徴としている。
まず、図1(a)に示すように、直径165mm、厚さ1.0mm、長さ54mmのオリエンテーションフラットを設けたショット製光学ガラスBK7からなる透明基板1をスピンテーブル10に載せ、真空吸着によってスピンテーブル10に固定した。その後、スピンテーブル10を10〜50rpmで回転させながら、透明基板1の中央部にディスペンサー11を用いて屈折率1.52、粘度500cpのアクリル系紫外線硬化型接着剤2を8〜11g滴下した。その後、スピンテーブル10を300rpmで回転させ、透明基板1の全面に紫外線硬化型接着剤2を広げた後、図1(b)に示すように、スピンテーブル10の回転を停止した。
そのため、図1(e)に示すように、調整治具12を用いて有機複屈折膜3の外側にずれた側の端部を透明基板1の中心側へ押し、透明基板上を滑るように有機複屈折膜3を動かし(以後、滑るように動かすことを滑動と略す)、有機複屈折膜3の位置修正(つまり透明基板1と有機複屈折膜3の中心を合せ、かつ有機複屈折膜3のオリエンテーションフラット3Aと透明基板1のオリエンテーションフラット1Aを概略平行となる位置へ有機複屈折膜3を動かす)を行った(詳細を図2(a),(b)に示す)。
その後、スピンテーブル10を700rpmで8秒間回転して、接着剤2を振り切った。そして、スピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜3の位置ずれを目視で観察したところ、有機複屈折膜3は透明基板1上で約3mm程度動いていた。そこで図1(e)と同様に、再度調整治具12を用い、有機複屈折膜3を透明基板1上で滑動し、有機複屈折膜3の位置修正を行った。
その後、図1(f)と同様に、スピンテーブルを再度700rpmで10秒間回転して、接着剤2を振り切った。そして、スピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜3の位置ずれを目視で観察したところ、有機複屈折膜3は透明基板1上でほとんど動いていなかった。
その後、図1(f)と同様に、スピンテーブル10を再度700rpmで6秒間回転して、接着剤2を振り切った。そして、スピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜3の位置ずれを目視で観察したところ、有機複屈折膜3は透明基板1上でほとんど動いていなかった。
その後、図1(f)と同様に、スピンテーブル10を再度900rpmで8秒間回転して、接着剤2を振り切った。そして、スピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜3の位置ずれを目視で観察したところ、有機複屈折膜3は透明基板1上で約3mm程度動いていた。そこで図1(e)と同様に、再度調整治具12を用い、有機複屈折膜3を透明基板1上で滑動し、有機複屈折膜3の位置修正を行った。
その後、図1(f)と同様に、スピンテーブル10を再度900rpmで45秒間回転を行い、接着剤2を振り切った。そして、スピンテーブル10の回転を停止し、倍率4〜50倍の測長顕微鏡で有機複屈折膜3と透明基板1の相対位置を観察した結果、有機複屈折膜端と透明基板端の距離は4mm以上あり、有機複屈折膜3のオリエンテーションフラット3Aと透明基板1のオリエンテーションフラット1Aのなす角度は0.36度であった。
上記の顕微鏡での測定結果から、有機複屈折膜端と透明基板端の距離および有機複屈折膜3のマークと透明基板1のオリエンテーションフラット1Aの相対位置、つまり有機複屈折膜3のオリエンテーションフラット3Aと透明基板1のオリエンテーションフラット1Aのなす角度が許容値内であることが確認された。
その後、図1(h)に示すように、透明基板1を700rpmで45秒間回転し、有機複屈折膜膜3と透明基板1の境界に、リンス機構のノズル13から有機溶媒(例えばイソプロピルアルコール)14を滴下した。このイソプロピルアルコールは、本実施例に用いたアクリル系紫外線硬化型接着剤2は溶解するが、有機複屈折膜3は溶解しない有機溶媒である。本実施例の工程によって、図1(g)の工程後に基板周辺部に残っていた紫外線硬化型接着剤2はイソプロピルアルコールによって除去された。
その後、リン酸系のAlエッチング液を用いてAlパターンを除去し、周期的な凹凸格子からなる回折格子を完成させた。ここで、図1(i)は透明基板1上の有機複屈折膜3に回折格子4を形成した状態を模式的に示している。すなわち図1(i)において、有機複屈折膜3の上面には周期的な凹凸格子からなる回折格子4が形成されている。
次に図1(k)に示すように、ダイシングソー15を用いて中間完成体100をダイシングして3.5mm角の大きさの複数の素子(各々の素子が1個の回折格子を有する)を切り出し、複数個の偏光分離素子101を完成させた。
また、図1(a)〜(h)に示す工程により有機複屈折膜3を接着した基板1をダイシングソー15を用いて切断し、200倍の金属顕微鏡で断面を観察し、基板の直径方向での接着層厚さを測定(測定範囲;有機複屈折膜端から5〜130mm)した。その結果を図3に示す。
本実施例での接着層厚さは平均31μmで、直径方向でほぼ均一であることが確認され、上記の接着法では接着層の膜厚制御に問題はなかった。
また、透明基板1と有機複屈折膜3の相対位置を許容値内に納めることが可能なので、透明基板1のオリエンテーションフラット1Aを基準位置にして1st露光を行う場合も、レジストパターンの方向は有機複屈折膜3の露光基準軸と一致するため、所望の光学特性を持つ偏光分離素子101が得られ、歩留が向上する。
さらに、回折格子パターンを露光する工程では、有機複屈折膜3の面内で屈折率の異なる2方向のうち特定の1方向に対して回折格子4の方向を合わせるために、縮小投影露光装置に装着されているアライメント方法を用いる必要はなく、透明基板1のオリエンテーションフラット1Aを基準位置とする1st露光で十分であるため、露光工程のスループットを向上できる。
その結果、基板周辺部には接着剤が残らないので、装置間や装置内の搬送で基板周辺部をハンドリングしても基板周辺部からの異物発生が非常に少ないので、偏光分離素子の製造歩留を向上できる。
また、本実施例では、回転後の有機複屈折膜3のずれを目視で観察し、第1の紫外線(UV)を照射する前に測長顕微鏡で有機複屈折膜3と透明基板1の相対位置を精密に測定したが、回転後の有機複屈折膜3のずれを毎回測長顕微鏡等を用いて精密に測定しても良い。また、前記の測定結果と許容値との差を割り出し、位置調整にフィードバック制御をかけると、有機複屈折膜3の位置ずれを短時間で抑えることが可能となり望ましい。
まず図4(a)に示すように、直径165mm、厚さ1.0mm、長さ54mmのオリエンテーションフラットを設けたショット製光学ガラスBK7からなる透明基板1をスピンテーブル10に載せ、真空吸着によってスピンテーブル10に固定した。その後、スピンテーブル10を10〜50rpmで回転させながら、透明基板1の中央部にディスペンサー11を用いて屈折率1.58、粘度600cpのエポキシ系紫外線硬化型接着剤2を9〜13g滴下した。その後、スピンテーブル10を300rpmで回転させ、透明基板1の全面に紫外線硬化型接着剤2を広げ、その後、図4(b)に示すようにスピンテーブル10の回転を停止した。
載置の際は、有機複屈折膜3の中心をスピンテーブル10の回転中心にほぼ合せ、有機複屈折3のオリエンテーションフラットと透明基板1のオリエンテーションフラットのなす角度を±0.5度以下とした。
その後、スピンテーブル10を再度400rpmで2秒間回転して接着剤2を振り切った。そして、その後、スピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜3の位置ずれを目視で観察したところ、有機複屈折膜3は透明基板1上でほとんど動いていなかった。
そのため、図4(e)に示すように、調整治具12を用いて有機複屈折膜3を滑動し、有機複屈折膜3の位置修正(つまり透明基板1と有機複屈折膜3の中心を合せ、かつ有機複屈折膜3のオリエンテーションフラット3Aと透明基板1のオリエンテーションフラット1Aを概略平行となる位置へ有機複屈折膜3を動かす)を行った(図2(a),(b)参照)。
その後、スピンテーブル10を再度700rpmで4秒間回転して、接着剤2を振り切った。そして、スピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜3の位置ずれを目視で観察したところ、有機複屈折膜3は透明基板1上でほとんど動いていなかった。
その後、スピンテーブル10を再度700rpmで14秒回転して、接着剤2を振り切った。そして、スピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜3の位置ずれを目視で観察したところ、有機複屈折膜3は透明基板1上でほとんど動いていなかった。
その後、図4(f)と同様に、スピンテーブル10を再度1100rpmで11秒間回転して、接着剤2を振り切った。そして、スピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜3の位置ずれを目視で観察したところ、有機複屈折膜3は透明基板1上で約1mm程度動いていた。そこで図4(e)と同様に、調整治具12を用い、有機複屈折膜3を透明基板1上で滑動し、有機複屈折膜3の位置修正を行った。
その後、スピンテーブル10を再度1100rpmで51秒間回転して、接着剤2を振り切った。そして、スピンテーブル10の回転を停止し、倍率4〜50倍の測長顕微鏡で有機複屈折膜3と透明基板1の相対位置を観察した結果、有機複屈折膜端と透明基板端の距離は4mm以上あり、有機複屈折膜3のオリエンテーションフラット3Aと透明基板1のオリエンテーションフラット1Aのなす角度は0.22度であった。
また、上記の顕微鏡での測定結果から、有機複屈折膜端と透明基板端の距離および有機複屈折膜3のマークと透明基板1のオリエンテーションフラットの相対位置、つまり有機複屈折膜3のオリエンテーションフラット3Aと透明基板1のオリエンテーションフラット1Aのなす角度が許容値内であることが確認された。
本工程では紫外線硬化型接着剤2を半硬化して紫外線硬化型接着剤2の粘度を高め、図4(g)の工程で透明基板1を回転しても有機複屈折膜3が位置ずれを起こさなくすることを目的としており、実施例1の1/10〜1/3程度の照射エネルギーに留めた。
その後、有機複屈折膜3を接着した透明基板1をスピンテーブル10から外し、倍率4〜50倍の測長顕微鏡で有機複屈折膜3と透明基板1の相対位置を再度測定した結果、有機複屈折膜端と透明基板端の距離、有機複屈折膜3のオリエンテーションフラット3Aと透明基板1のオリエンテーションフラット1Aのなす角度は、図4(g)〜(i)の工程を経てもほとんど変化はなかった。
その後、実施例1と同様の方法で、回折格子4を形成した基板1上に光学的に等方的なエポキシ系紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)5を塗布し、対向透明基板6を等方性接着剤5で接着して、ウエハー状の偏光分離素子の中間完成体100を形成した。尚、図4(k)は、有機複屈折膜3からなる回折格子4が形成された基板1に等方性接着剤5を介して対向透明基板6を一体化して形成した中間完成体100を模式的に示している。
次に図4(l)に示すように、ダイシングソー15を用いて中間完成体100をダイシングして3.5mm角の大きさの複数の素子(各々の素子が1個の回折格子を有する)を切り出し、複数個の偏光分離素子101を完成させた。
また、本実施例の作製方法に従うと、有機複屈折膜3の接着工程が、透明基板1上に紫外線硬化型接着剤2を塗布し、その後、紫外線硬化型接着剤2上に有機複屈折膜3を載置し、その後、透明基板1を回転し、その後、透明基板1の回転を止めた状態で有機複屈折膜3を透明基板1上で滑動して位置を修正した後、透明基板1を回転し、再度透明基板1の回転を停止し、透明基板1と有機複屈折膜3の相対位置が許容値内であることを確認した後、透明基板1の回転を止めた状態で第1の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤2を半硬化して粘度を大きくするため、有機複屈折膜3を固定できるようになり、後工程で透明基板1を回転した場合も有機複屈折膜3の位置ずれは起き難くなる。
そのため、透明基板1の周辺部の接着剤2を除去するため、透明基板1を回転しながら、紫外線硬化型接着剤2は溶解するが有機複屈折膜3は溶解しない有機溶媒14を滴下しても、紫外線硬化型接着剤2は半硬化して粘度が大きくなっているため有機複屈折膜3の位置ずれが起き難い。その結果、透明基板1からの有機複屈折膜3のはみ出し防止をほぼ100%で実現できる。
さらに、透明基板1と有機複屈折膜3の相対位置が許容値内に入る割合が著しく向上する。その結果、透明基板1のオリエンテーションフラットを基準位置にして露光を行う場合も、レジストパターンの方向は有機複屈折膜3の露光基準軸と一致するため、所望の光学特性を持つ偏光分離素子が得られ、歩留を高めることができる。
さらに、回折格子パターンを露光する工程では、有機複屈折膜3の面内で屈折率の異なる2方向のうち特定の1方向に対して回折格子4の方向を合わせるために、縮小投影露光装置に装着されているアライメント方法を用いる必要はなく、透明基板1のオリエンテーションフラット1Aを基準位置とする1st露光で十分であるため、露光工程のスループットを向上できる。
その結果、基板周辺部には接着剤が残らないので、装置間や装置内の搬送で基板周辺部をハンドリングしても基板周辺部からの異物発生が非常に少ないので、偏光分離素子の製造歩留を向上できる。
また、本実施例では回転後の有機複屈折膜3のずれを目視で観察し、第1の紫外線を照射する前に測長顕微鏡で有機複屈折膜3と透明基板1の相対位置を精密に測定したが、回転後の有機複屈折膜3のずれを毎回測長顕微鏡等を用いて精密に測定しても良い。また、前記の測定結果と許容値との差を割り出し、位置調整にフィードバック制御をかけると、有機複屈折膜3の位置ずれを短時間で抑えることが可能となり望ましい。
まず図5(a)に示すように、直径165mm、厚さ1.0mm、長さ54mmのオリエンテーションフラットを設けたショット製光学ガラスBK7からなる透明基板1をスピンテーブル10に載せ、真空吸着によってスピンテーブル10に固定した。その後、実施例1,2と同様にスピンコート法によって屈折率1.58、粘度600cpのエポキシ系紫外線硬化型接着剤2を透明基板1の全面に塗布し、その後、図5(b)に示すようにスピンテーブル10の回転を停止した。
回転中に有機複屈折膜3が位置ずれを起こした場合は、透明基板1の回転を停止し、調整治具12を用いて有機複屈折膜3を滑動して有機複屈折膜3の位置調整(つまり図2に示すように、透明基板1と有機複屈折膜3の中心を合せ、かつ有機複屈折膜3のオリエンテーションフラット3Aと透明基板1のオリエンテーションフラット1Aを概略平行となる位置へ有機複屈折膜3を動かす)を行った。
その後、スピンテーブル10の回転を停止し、倍率4〜50倍の測長顕微鏡で有機複屈折膜3と透明基板1の相対位置を観察した結果、有機複屈折膜端と透明基板端の距離は4mm以上あり、有機複屈折膜3のオリエンテーションフラット3Aと透明基板1のオリエンテーションフラット1Aのなす角度は0.67度であった。
有機複屈折膜3の接着後の仕様としては、実施例1と同様に、透明基板端と有機複屈折膜端の距離はエッチング装置のクランプ幅の規定から2mm以上、有機複屈折膜3のオリエンテーションフラット3Aと透明基板1のオリエンテーションフラット1Aのなす角度は偏光分離素子の光学特性から±1度以下となっている。
上記の顕微鏡での測定結果から、有機複屈折膜端と透明基板端の距離および有機複屈折膜3のマークと透明基板1のオリエンテーションフラットの相対位置、つまり有機複屈折膜3のオリエンテーションフラット3Aと透明基板1のオリエンテーションフラット1Aのなす角度が許容値内であることが確認された。
本工程では保護膜8での紫外線吸収を考慮し、実施例2の1.1倍のエネルギーで照射して紫外線硬化型接着剤2を半硬化させた。
その後、図5(h)に示すように、ピンセットを用いて、有機複屈折膜3から保護膜8を剥離した。
その後、有機複屈折膜3を接着した透明基板1をスピンテーブル10から外し、倍率4〜50倍の測長顕微鏡で有機複屈折膜3と透明基板1の相対位置を再度測定した結果、有機複屈折膜端と透明基板端の距離、有機複屈折膜3のオリエンテーションフラット3Aと透明基板1のオリエンテーションフラット1Aのなす角度は、図5(g)〜(j)の工程を経てもほとんど変化はなかった。
その後、実施例1,2と同様の方法で、回折格子4を形成した基板1上に光学的に等方的なエポキシ系紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)5を塗布し、対向透明基板6を等方性接着剤5で接着して、ウエハー状の偏光分離素子の中間完成体100を形成した。尚、図5(l)は、有機複屈折膜3からなる回折格子4が形成された基板1に等方性接着剤5を介して対向透明基板6を一体化して形成した中間完成体100を模式的に示している。
次に図5(m)に示すように、ダイシングソー15を用いて中間完成体100をダイシングして3.5mm角の大きさの複数の素子(各々の素子が1個の回折格子を有する)を切り出し、複数個の偏光分離素子101を完成させた。
また、本実施例の作製方法によると、透明基板1と有機複屈折膜3の接着工程は、有機複屈折膜3の面のうち回折格子4を形成する面を保護膜8で被覆した状態で行うことができる。そのため、貼り合せ工程で回折格子4を形成する面にキズや異物を付ける確率が著しく減る。特にスピンテーブル10を回転させ、紫外線硬化型接着剤2を振り切る工程において、振り切った接着剤のミストが回折格子を形成する面に付着しない(接着剤のミストは保護膜8に付き、紫外線照射後、保護膜8を剥離するので、有機複屈折膜3の表面には残らない)ため、異物の非常に少ない有機複屈折膜表面を実現できる。そのため、リソグラフィー工程において異物やキズによって発生するパターン欠陥を低減でき、偏光分離素子の製造歩留を向上できる。
また、本実施例では粘着剤7によって有機複屈折膜3に保護膜8を保持・固定しているが、粘着剤7がなく、保護膜8が物理吸着によって直接有機複屈折膜3に密着していても何ら構わない。
まず図6(a)に示すように、直径165mm、厚さ1.0mm、長さ54mmのオリエンテーションフラットを設けたショット製光学ガラスBK7からなる透明基板1をスピンテーブル10に載せ、真空吸着によってスピンテーブル10に固定した。その後、実施例1,2と同様にスピンコート法によって屈折率1.58、粘度600cpのエポキシ系紫外線硬化型接着剤2を透明基板1の全面に塗布し、その後、図6(b)に示すようにスピンテーブル10の回転を停止した。
回転中に有機複屈折膜3が位置ずれを起こした場合は、透明基板1の回転を停止し、調整治具12を用いて有機複屈折膜3を滑動して有機複屈折膜3の位置調整(つまり図2に示すように、透明基板1と有機複屈折膜3の中心を合せ、かつ有機複屈折膜3のオリエンテーションフラット3Aと透明基板1のオリエンテーションフラット1Aを概略平行となる位置へ有機複屈折膜3を動かす)を行った。
その後、スピンテーブル10の回転を停止し、倍率4〜50倍の測長顕微鏡で有機複屈折膜3と透明基板1の相対位置を観察した結果、有機複屈折膜端と透明基板端の距離は4mm以上あり、有機複屈折膜3のオリエンテーションフラット3Aと透明基板1のオリエンテーションフラット1Aのなす角度は0.40度であった。
有機複屈折膜3の接着後の仕様としては、実施例1と同様に、透明基板端と有機複屈折膜端の距離はエッチング装置のクランプ幅の規定から2mm以上、有機複屈折膜3のオリエンテーションフラット3Aと透明基板1のオリエンテーションフラット1Aのなす角度は偏光分離素子の光学特性から±1度以下となっている。
上記の顕微鏡での測定結果から、有機複屈折膜端と透明基板端の距離および有機複屈折膜3のマークと透明基板1のオリエンテーションフラットの相対位置、つまり有機複屈折膜3のオリエンテーションフラット3Aと透明基板1のオリエンテーションフラット1Aのなす角度が許容値内であることが確認された。
本工程では保護膜8での紫外線吸収を考慮し、実施例2の1.1倍のエネルギーで照射して紫外線硬化型接着剤2を半硬化させた。
その後、図6(h)に示すように、透明基板1を700rpmで60秒間回転し、有機複屈折膜3と透明基板1の境界に、リンス機構のノズル13から有機溶媒(例えばアセトン)14を滴下した。このアセトンは、本実施例に用いたエポキシ系紫外線硬化型接着剤2は溶解するが、有機複屈折膜3は溶解しない有機溶媒である。本実施例の工程によって、図6(g)の工程後に基板周辺部に残っていた紫外線硬化型接着剤2はアセトンによって除去された。
その後、図6(j)に示すように、ピンセットを用いて、有機複屈折膜3から保護膜8を剥離した。
その後、有機複屈折膜3を接着した透明基板1をスピンテーブル10から外し、倍率4〜50倍の測長顕微鏡で有機複屈折膜3と透明基板1の相対位置を再度測定した結果、有機複屈折膜端と透明基板端の距離、有機複屈折膜3のオリエンテーションフラット3Aと透明基板1のオリエンテーションフラット1Aのなす角度は、図6(g)〜(j)の工程を経てもほとんど変化はなかった。
その後、実施例1,2と同様の方法で、回折格子4を形成した基板1上に光学的に等方的なエポキシ系紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)5を塗布し、対向透明基板6を等方性接着剤5で接着して、ウエハー状の偏光分離素子の中間完成体100を形成した。尚、図6(l)は、有機複屈折膜3からなる回折格子4が形成された基板1に等方性接着剤5を介して対向透明基板6を一体化して形成した中間完成体100を模式的に示している。
次に図6(m)に示すように、ダイシングソー15を用いて中間完成体100をダイシングして3.5mm角の大きさの複数の素子(各々の素子が1個の回折格子を有する)を切り出し、複数個の偏光分離素子101を完成させた。
また、本実施例の作製方法によっても実施例3と同様に、透明基板1と有機複屈折膜3の接着工程は、有機複屈折膜3の面のうち回折格子4を形成する面を保護膜8で被覆した状態で行うことができるため、貼り合せ工程で回折格子を形成する面にキズや異物を付ける確率を著しく小さくできる。その結果、偏光分離素子の製造歩留を向上できる。
この光ピックアップ装置では、レーザーダイオード111から出射された波長680nmの光は、偏光分離素子112とコリメータレンズ113、λ/4波長板114、対物レンズ115を通った後、光ディスク117を照射する。そして、光ディスク117の記録面からの反射光は戻り光束となり、偏光分離素子112で回折されフォトダイオード116に導かれ、フォーカス誤差信号、トラック誤差信号、情報信号の検出が行われる。
また、本実施例の光ピックアップ装置では、偏光分離素子112は実施例1〜4のいずれかの作製方法によって有機複屈折膜3を透明基板1に接着した構造をもつので、プリズムを接着したビームスプリッタよりも小さく薄型になっている。その結果、従来の光ピックアップ装置よりも小型化・薄型化が可能となる。さらに実施例1〜4のいずれかの作製方法によって作製した偏光分離素子は比較的安価に製造できることから、光ピックアップ装置をより低コストで作製することが可能となる。
この有機複屈折膜の接着装置は、本発明による偏光分離素子の作製方法に用いられる接着装置であり、透明基板1を保持するスピンテーブル10と、スピンテーブル10を回転させるステッピングモーター等からなる回転機構(図示せず)と、透明基板1に紫外線硬化型接着剤を塗布するディスペンサー11等からなる塗布機構と、2本の吸着アーム21によって有機複屈折膜3の両端を保持し、透明基板1上に塗布された紫外線硬化型接着剤上に有機複屈折膜3を載置する載置機構20と、透明基板端と有機複屈折膜端の距離及び透明基板1と有機複屈折膜3の各オリエンテーションフラットの延長線のなす角度を読み取る位置検出機構18と、紫外線硬化型接着剤は溶解するが有機複屈折膜3は溶解しない有機溶媒を透明基板1に滴下するノズル13を有するリンス機構17と、透明基板1に紫外線を照射する高圧水銀灯やメタルハライドランプ等からなる紫外線照射機構30から構成されている。
なお、位置調整機構はXY方向に可動できる2軸アーム41の先端に調整治具12が付いており、調整治具12で有機複屈折膜3を押し、透明基板1上を滑らせる機構になっている。そして、位置検出機構18は倍率が4〜50倍に可変できるズームレンズの付いたCCDカメラと2点間の長さ測定と交線の角度の測定が可能な画像処理ソフトから構成されている。
直径165mm、厚さ1.0mmで、54mmのオリエンテーションフラットを持つショット製光学ガラスBK7からなる透明基板1をスピンテーブル10に載せ、真空吸着によってスピンテーブル10に固定する。その後、透明基板1の中央部にロボットアーム16によってディスペンサー11を移動し、スピンテーブル10を20rpmで回転させながら、透明基板1の中央部にディスペンサー11を用いて屈折率1.58、粘度600cpのエポキシ系紫外線硬化型接着剤を10g滴下する。
その後、ディスペンサー11を元の位置に戻し、スピンテーブル10を300rpmで回転させ、透明基板1の全面に紫外線硬化型接着剤を広げ、その後、スピンテーブル10の回転を停止する。
さらに透明基板1と有機複屈折膜3の相対位置を許容値内に納めることが可能となり、透明基板1のオリエンテーションフラットを基準位置にして1st露光を行う場合も、レジストパターンの方向は有機複屈折膜3の露光基準軸と一致するため、所望の光学特性を持つ偏光分離素子が得られ、歩留が向上する。
また、第1の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を半硬化した後に、透明基板を回転させながら、紫外線硬化型接着剤は溶解するが有機複屈折膜3は溶解しない有機溶媒を滴下するため、基板周辺部には接着剤残が残らない。その結果、装置間や装置内の搬送で基板周辺部をハンドリングしても基板周辺部からの異物発生が非常に少ないので、偏光分離素子の製造歩留を向上できる。
さらにまた、有機複屈折膜3の一面に有機高分子からなる保護膜8が付いた有機複屈折膜3を用いると、実施例3,4の偏光分離素子の作製方法を実現できる。
さらにまた、第1の紫外線照射によって紫外線硬化型接着剤を完全硬化させると、実施例1の偏光分離素子の作製方法が実現できる。
また、前記の測定結果と許容値との差を割り出し、位置調整機構にフィードバック制御をかけることにより有機複屈折膜の位置ずれを短時間で調整できるので、より望ましい。
そして、本発明に係る偏光分離素子は、前記の作製方法で作製したことにより、偏光分離素子の波面収差の向上と小型化が可能となり、CD系光ディスクやDVD系光ディスク等の光記録媒体の記録、再生に用いられる光ピックアップ装置に好適に利用することができる。また、本発明に係る光ピックアップ装置は、従来の光ピックアップ装置よりも小型化が可能となるので、小型でポータブルな光ディスクドライブ装置や、携帯用パーソナルコンピュータ等に搭載する光ディスクドライブ装置などに好適に利用することができる。
さらに本発明に係る接着装置は、偏光分離素子を作製する際の有機複屈折膜の接着工程に好適に利用できる他、その他の薄膜の基板への接着工程にも好適に利用することができる。
2:紫外線硬化型接着剤
3:有機複屈折膜
4:回折格子
5:等方性接着剤
6:対向透明基板
7:粘着剤
8:保護膜
10:スピンテーブル
11:ディスペンサー
12:調整治具
13:リンス機構のノズル
14:有機溶媒
15:ダイシングソー
16:ロボットアーム
17:リンス機構
18:位置検出機構
20:載置機構
21:吸着アーム
30:紫外線照射機構
40:位置調整機構
41:2軸アーム
101,112:偏光分離素子
111:レーザーダイオード
113:コリメータレンズ
114:λ/4波長板
115:対物レンズ
116:フォトダイオード
117:光ディスク(光記録媒体)
Claims (5)
- 透明基板上に入射光の異なる振動面に対して屈折率が異なる有機複屈折膜を接着する工程と、前記有機複屈折膜上に周期的なマスクパターンを形成し、前記マスクパターンを用いて有機複屈折膜をエッチングして周期的な凹凸格子からなる回折格子を形成する工程とを有する偏光分離素子の作製方法において、
前記接着工程が、透明基板上に紫外線硬化型接着剤を塗布する工程と、その紫外線硬化型接着剤の上に有機複屈折膜を載置する工程と、透明基板を所定時間回転して透明基板の回転を停止する工程と、透明基板の回転を止めた状態で有機複屈折膜を透明基板上で滑動して位置を修正する工程と、再度透明基板を所定時間回転して透明基板の回転を停止し、透明基板と有機複屈折膜の相対位置が許容値内であることを確認する工程と、透明基板の回転を止めた状態で第1の紫外線を照射する工程と、透明基板を回転しながら、紫外線硬化型接着剤は溶解するが有機複屈折膜は溶解しない有機溶媒を滴下して透明基板の周辺部の紫外線硬化型接着剤を除去する工程と、その後、透明基板に第2の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化する工程とからなることを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 請求項1記載の偏光分離素子の作製方法において、
前記透明基板はオリエンテーションフラットを有し、前記有機複屈折膜は面内で屈折率の異なる2方向のうち特定の1方向に対して指標となるマークを有する構造を持ち、かつ透明基板と有機複屈折膜の相対位置が許容値内であることを確認する項目が、有機複屈折膜端と透明基板端の距離および有機複屈折膜のマークと透明基板のオリエンテーションフラットの相対位置であることを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 請求項1または2記載の偏光分離素子の作製方法において、
前記有機複屈折膜は透明基板と接着する面と対向する面に保護膜が付いており、透明基板に第1の紫外線を照射した後に有機複屈折膜から保護膜を剥離することを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 請求項1または2記載の偏光分離素子の作製方法において、
前記有機複屈折膜は透明基板と接着する面と対向する面に保護膜が付いており、透明基板に第2の紫外線を照射した後に有機複屈折膜から保護膜を剥離することを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 請求項1〜4のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、
前記有機溶媒がイソプロピルアルコールまたはアセトンの少なくとも一方であることを特徴とする偏光分離素子の作製方法。
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