JP2003302529A - 偏光分離素子およびその作製方法、接着装置及び光ピックアップ装置 - Google Patents

偏光分離素子およびその作製方法、接着装置及び光ピックアップ装置

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JP2003302529A
JP2003302529A JP2002109331A JP2002109331A JP2003302529A JP 2003302529 A JP2003302529 A JP 2003302529A JP 2002109331 A JP2002109331 A JP 2002109331A JP 2002109331 A JP2002109331 A JP 2002109331A JP 2003302529 A JP2003302529 A JP 2003302529A
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curable adhesive
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Akishige Murakami
明繁 村上
Yasuhiro Azuma
康弘 東
Shuichi Hikiji
秀一 曳地
Koji Mori
孝二 森
Tetsuji Mori
哲司 守
Takeshi Suzudo
剛 鈴土
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】有機複屈折膜を用いる偏光分離素子の製造過程
において、有機複屈折膜を透明基板に接着する新規な方
法を実現する。 【解決手段】透明基板1上に有機複屈折膜5を接着する
工程と、有機複屈折膜5上にエッチングにより回折格子
を形成する工程とを有する偏光分離素子100の作製方
法において、接着工程が、透明基板1上に紫外線硬化型
接着剤3を塗布し、その上に有機複屈折膜5を載せて透
明基板1を回転し、紫外線UVを照射して紫外線硬化型
接着剤を硬化する工程からなり、透明基板1の最小長:
LS、回転の際の透明基板1に対する有機複屈折膜5の
最大位置ずれ量:ΔSに対し、最大長:LFが条件:L
S>LF+ΔSを満足する有機複屈折膜5を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、偏光分離素子お
よびその作製方法、接着装置及び光ピックアップ装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスク用の光ピックアップ装置で
は、光源からの入射光束と「光ディスクにより反射され
光ディスクの情報を帯びた戻り光束」とを分離して、戻
り光束を効率良く光検出手段に導くために偏光分離素子
が用いられている。偏光分離素子として「プリズムを接
着したビームスプリッタ」が、λ/4波長板と共に用い
られているが、光ピックアップ装置の小型化・低コスト
化の要請に答えるため、薄型化の可能な「複屈折回折格
子型の偏光分離素子」の使用が意図されている。
【0003】特開2000−7513号公報は、この種
の偏光分離素子として、透明基板上に「入射光の異なる
振動面に対し屈折率が異なる有機複屈折膜」を接着し、
この有機複屈折膜の表面に周期的な凹凸による回折格子
を形成したものを開示している。有機複屈折膜としては
「延伸した有機高分子膜」が用いられている。
【0004】この偏光分離素子では、接着剤を用いて有
機複屈折膜を透明基板に接着しているが、回折格子を透
過する光束に対して光路長を一定にするためには、接着
剤層の厚さを均一にして有機複屈折膜の表面を平坦化す
る必要があり、接着の際に、接着される有機複屈折膜に
「うねり」や「波打ち」が生じないようにしなければな
らない。さらに、接着剤層に気泡が入ると、入射・射出
光束が気泡により散乱されて回折効率が低下するため、
気泡を巻き込まない接着法が必要となる。また、接着工
程において、透明基板に対する有機複屈折膜の位置修正
の手間がかからないことが好ましい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、有機複屈
折膜を用いる偏光分離素子の製造過程において、有機複
屈折膜を透明基板に接着する際、接着剤層に気泡を巻き
込むことなく有機複屈折膜の表面を良好に平坦化でき、
透明基板に対する有機複屈折膜の位置修正を必要としな
い新規な「偏光分離素子の作製方法」、この方法を実現
するための「接着装置」、上記方法により作製され有機
複屈折膜の表面が平坦な「偏光分離素子」、さらにこの
偏光分離素子を用いた「光ピックアップ装置」の実現を
課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の偏光分離素子
の作製方法は「透明基板上に、入射光の異なる振動面に
対して屈折率が異なる有機複屈折膜を接着する接着工程
と、有機複屈折膜上に周期的なマスクパターンを形成
し、このマスクパターンを用いて有機複屈折膜をエッチ
ングして周期的な凹凸による回折格子を形成する工程
と」を有する偏光分離素子の作製方法であって以下の点
を特徴とする。
【0007】即ち、請求項1記載の作製方法は、接着工
程が「透明基板上に紫外線硬化型接着剤を塗布し、塗布
された紫外線硬化型接着剤の上に有機複屈折膜を載せて
透明基板を回転し、紫外線硬化型接着剤に紫外線を照射
して、紫外線硬化型接着剤を硬化する工程からなり、透
明基板の最小長をLS、上記回転の際の透明基板に対す
る有機複屈折膜の最大位置ずれ量をΔSとするとき、有
機複屈折膜として、最大長:LFが、条件:LS>LF
+ΔSを満足するものを用いる」ことを特徴とする。
【0008】ΔSの範囲は「5〜20mm」が好適であ
る(請求項2)。
【0009】請求項1または2記載の偏光分離素子の作
製方法において用いられる「有機複屈折膜」は「透明基
板に接着されない側の面に、粘着剤を介して保護膜が設
けられたもの」であることができる。このような有機複
屈折膜を用いる場合には、紫外線硬化型接着剤に紫外線
を照射して硬化させた後、保護膜を有機複屈折膜の膜本
体から剥離する(請求項3)。
【0010】請求項4記載の作製方法は、接着工程が
「透明基板上に紫外線硬化型接着剤を塗布し、塗布され
た紫外線硬化型接着剤上に有機複屈折膜を載せ、透明基
板を回転させつつ紫外線硬化型接着剤に紫外線を照射し
て紫外線硬化型接着剤を硬化する工程からなり、透明基
板の最小長をLS、上記回転の際の透明基板に対する有
機複屈折膜の最大位置ずれ量をΔSとするとき、有機複
屈折膜として、最大長:LFが、条件:LS>LF+Δ
Sを満足するものを用いる」ことを特徴とする。
【0011】この場合も、ΔSの範囲は「5〜20m
m」が好適である(請求項5)。
【0012】上記請求項4または5記載の偏光分離素子
の作製方法において用いられる「有機複屈折膜」は「透
明基板に接着されない側の面に、粘着剤を介して保護膜
が設けられたもの」であることができる。このような有
機複屈折膜を用いる場合には、紫外線硬化型接着剤に紫
外線を照射して硬化させた後、保護膜を有機複屈折膜の
膜本体から剥離する(請求項6)。
【0013】この発明の偏光分離素子は、上記請求項1
〜6の任意の1に記載の作製方法によって作製される偏
光分離素子である(請求項7)。
【0014】この発明の光ピックアップ装置は、請求項
7記載の偏光分離素子を用いることを特徴とする(請求
項8)。
【0015】この発明の接着装置は、上記請求項1〜6
の任意の1に記載の作製方法において、接着工程を実施
するための装置であって、スピンテーブルと、回転機構
と、塗布機構と、載置機構と、紫外線照射機構とを有す
る(請求項9)。
【0016】「スピンテーブル」は、透明基板を保持す
るためのものである。「回転機構」は、スピンテーブル
を回転させる機構である。「塗布機構」は、スピンテー
ブルに保持された透明基板に紫外線硬化型接着剤を塗布
する機構である。
【0017】「載置機構」は、透明基板上に塗布された
紫外線硬化型接着剤の上に有機複屈折膜を載置する機構
である。「紫外線照射機構」は、透明基板上に層状に形
成された紫外線硬化型接着剤に紫外線を照射する機構で
ある。
【0018】若干、説明を補足する。光ピックアップ装
置に用いられるような偏光分離素子は、一般に、そのサ
イズは数mm四方(例えば5mm四方)程度のものであ
り、これらは単品づつ個別的に作製されるわけではな
く、一度に数百のものが製造される。
【0019】即ち、透明基板としては、直径:数10m
m〜数100mmのサイズのもの、例えば直径:100
mmあるいは160mmのものが用いられ、透明基板上
に接着剤層が塗布され、塗布された接着剤層上に有機複
屈折膜が接着される(接着工程)。
【0020】このとき「以後の製造工程において、有機
複屈折膜と透明基板とが剥離したりしない」ように接着
力を強化するのに、有機複屈折膜の接着剤層側面を「粗
面化処理」するのが好ましい。この粗面化処理は「プラ
ズマ処理」を用いて行うこともできるし、コロナ放電や
サンドブラスト処理で行うこともできる。ただし、粗面
化処理により形成される凹凸が大きいと光を散乱させる
ので、凹凸は、使用波長:λに対しλ/10以下の大き
さで、なおかつ接着力強化に有効な大きさである必要が
ある。
【0021】上に説明した「回折格子の形成」は、基板
に接着された有機複屈折膜の面に対し、リソグラフィと
エッチングとにより複数の素子に対応して1度に行われ
る。この回折格子の形成は、エッチングに必要な時間が
数10秒〜数分であり、極めて効率よく回折格子形成を
行うことができる。
【0022】なお、エッチングの際のマスクを形成する
工程で用いられるフォトレジストのプリベークを例えば
100℃前後の高温で行うと、有機複屈折が熱収縮して
透明基板に「反り」が生じるので、プリベークは60度
以下の低温で行うことが好ましい。このとき、減圧下で
プリベークすると、20℃程度の低温でも溶剤を有効に
除去でき、短時間でプリベークを実現できる。
【0023】回折格子の形成後、光学的に等方的な等方
性接着剤を、有機複屈折膜の「回折格子の形成された
面」全体に塗布し、しかるのちその上から「別の透明基
板」を載置して等方性接着剤による接着で全体を一体化
する。有機複屈折膜の等方性接着剤に接する側の面に
も、前記と同様の「粗面化処理」を施すことが好まし
い。
【0024】このようにして「別の透明基板」を接着し
たら、ダイシングソーを用いて切断を行い、個々の回折
光学素子を得る。
【0025】この発明の偏光分離素子の作製方法では、
「接着工程」の際、透明基板上に塗布された紫外線硬化
型接着剤の上に有機複屈折膜を載せて透明基板を回転さ
せ、回転によって、有機複屈折膜や紫外線硬化型接着剤
に遠心力を作用させることにより、有機複屈折膜の表面
のうねりや波打ち等の凹凸を改善しながら、接着剤を振
り切ることができるので、紫外線硬化型接着剤を硬化さ
せた状態では、有機複屈折膜の表面は極めて平坦性の良
い状態となる。
【0026】しかしながら、透明基板や有機複屈折膜は
1枚構成で「機械的な回転軸に係止させる係合孔」を有
していない(これはまた、1枚の基板から採取できる偏
光分離素子数を多くするためでもある)。
【0027】透明基板を回転させるとき、透明基板自体
は真空吸着によってスピンテーブルに固定できるが、有
機複屈折膜はこれを透明基板上に固定することができな
い。しかも、透明基板上に載置された有機複屈折膜は
「未硬化状態で流動性を有する紫外線硬化型接着剤」の
上に載せられているので、透明基板が回転されるとき、
その回転中心と有機複屈折膜の重心とが合致していない
と、有機複屈折膜に作用する遠心力により「有機複屈折
膜が透明基板に対してずれる」ことになる。
【0028】このようなずれが生じた場合、透明基板と
有機複屈折膜とが同サイズであると、有機複屈折膜の一
部が透明基板からはみ出してしまう。
【0029】紫外線照射によって紫外線硬化型接着剤を
硬化させた後、回折格子を形成するためリソグラフィー
/ドライエッチングを行うが、装置内や工程間の搬送は
「透明基板の側面をクランプして行う」ことが多く、透
明基板から有機複屈折膜がはみ出していると搬送が困難
になる。
【0030】このような事態を避けるには、紫外線硬化
型接着剤の塗布された透明基板上に有機複屈折膜を載置
する際「有機複屈折膜の重心が前記回転中心と正確に合
致する」ようにすればよいが、載置の際の位置調整に時
間を要し、偏光分離素子の製造効率が低下してしまう。
【0031】この発明においてはこのような問題を有効
に回避するべく、前述のように「透明基板の最小長をL
S、上記回転の際の「透明基板に対する有機複屈折膜の
最大位置ずれ量」をΔSとするとき、有機複屈折膜とし
て、最大長:LFが、条件:LS>LF+ΔSを満足す
るもの」を用いる。このようにすれば、回転に伴なって
有機複屈折膜が透明基板に対してずれても、有機複屈折
膜が透明基板上からはみ出すことがない。
【0032】最大長:LF、最小長:LSは、何れも、
透明基板、有機複屈折膜の接着を行う面の上の長さであ
り、透明基板、有機複屈折膜とも円形である場合、透明
基板の最小長:LS、有機複屈折膜の最大長:LFはこ
れらの直径を意味する。
【0033】透明基板、有機複屈折膜が「オリエンテー
ションフラットのあるウエハー形状や正方形形状」の場
合、オリエンテーションフラットのあるウエハー形状で
は最大長は「ウエハー直径」となり、最小長は「オリエ
ンテーションフラットの中央でオリエンテーションフラ
ットに直交する径」であり、正方形の場合、最大長は対
角線、最小長は対向する2辺間の距離となる。また、透
明基板の断面形状が四角形の場合は被接着面での最大の
長さ、最小の長さを指し、断面形状が台形の場合は被接
着面での最大の長さ、最小の長さを指している。
【0034】
【発明の実施の形態】以下に「偏光分離素子の作製方
法」の実施の形態を、具体的な実施例に即して説明す
る。
【0035】
【実施例】実施例1 図1を参照して実施例1の作成方法を説明する。図1
(a)、(b)に示すように、直径:100mm(=最
小長:LS)、厚さ:1.0mmのショット製光学ガラ
スBK7からなる円板形状の透明基板1をスピンテーブ
ル10に載せ、真空吸着によってスピンテーブル10に
固定し、スピンテーブル10を10〜50rpmで回転
させながら、ディスペンサー12を用いて、透明基板1
の中央部に屈折率:1.52、粘度:500cpのアク
リル系の紫外線硬化型接着剤3を3〜10g滴下する。
滴下後、スピンテーブルを150〜500rpmで回転
させ、透明基板1の全面に紫外線硬化型接着剤3を広げ
たのちスピンテーブル10の回転を停止する。
【0036】次いで、図1(c)に示すように、厚さ:
100μmで、直径(=最大長:LF)が、透明基板1
よりも一回り小さい有機複屈折膜5を、その中心をスピ
ンテーブル10の回転中心にほぼ合せながら、図示され
ない載置装置を用いて、紫外線硬化型接着剤3の塗布層
上に載せる。LS>LFである。次いで、図1(d)に
示すように、スピンテーブル10を再回転(回転数:1
000〜3000rpm)させ、剰余の紫外線硬化型接
着剤3を振り切り、有機複屈折膜5下の接着剤層3の厚
さを均一化する。
【0037】その後、スピンテーブル10の回転を停止
し、図1(e)に示すように、有機複屈折膜5の側か
ら、図示されない高圧水銀灯を用いて紫外線UVを照射
し、紫外線硬化型接着剤3を硬化させる。
【0038】接着剤の硬化により「有機複屈折膜5を接
着された透明基板(以下「基板」という)をスピンテー
ブル10から外し、有機複屈折膜5上にポジレジストを
1.5μmの厚さに塗布し、60℃の温度での30分の
プリベーク後、基板を縮小投影露光装置(NA=0.4
5、σ=0.6、波長;i線)にセットし「1000周
期分の1.5μmのラインアンドスペースパターンを持
つレチクル」を用いて露光し、現像液NMD−3を用い
て現像を行い、100℃の温度で30分のポストベーク
を行い「周期的なレジストパターン」を完成させる。
【0039】さらに、上記レジストパターンを110℃
の雰囲気で1,1,3,3−テトラメチルヘキサジシラ
ザン蒸気にさらし、レジスト表面に1,1,3,3−テ
トラメチルヘキサジシラザンをドープしたのち、ECR
エッチング装置を用いて酸素ガスを主成分とするエッチ
ングガス雰囲気中で、レジストパターンをマスクとして
有機複屈折膜を深さ4μmエッチングしたのち、剥離液
を用いてレジストパターンを除去し「1000周期分の
凹凸による回折格子」を完成させる。
【0040】図1(f)は、回折格子を形成した状態を
説明図的に示している。付言すると、図1(f)におい
て、有機複屈折膜5の上面に形成されている凹凸におけ
る「個々の凸部」に上記「1000周期分の凹凸による
回折格子」が形成されている。即ち、回折格子は、有機
複屈折膜5の上面に「同じものが数100個」形成され
る。
【0041】回折格子を形成した基板を、平面加工した
直径:200mm、厚み:50mmのステンレス台上に
載置し、回折格子面に「光学的に等方的なアクリル系の
紫外線硬化型接着剤(前述の「等方性接着剤」)」を、
マイクロシリンジで1.0mL滴下する。
【0042】両面を光学研磨した直径:100mm、厚
み:1mmの円板形状の「対向透明基板(前述の「別の
透明基板」 材質:ショット製光学ガラスBK7)」の
片面に、粘着剤を塗布されたλ/4波長板を貼付け、λ
/4波長板の側を等方性接着剤の側にして基板上に載
せ、更に対向透明基板上に「光学研磨した光学ガラス」
を載せて対向透明基板に100gf/cmの圧力を加
え、等方性接着剤を被接着面全面に広げる。
【0043】なお、対向透明基板の自由表面(空気と接
する面)には、入射光の反射が最小となるよう反射防止
膜(図示せず)を形成しておく。この状態で対向透明基
板を通して紫外光を照射し、等方性接着剤を硬化する。
【0044】図1(g)は、このようにして対向透明基
板を一体化した状態を示している。図中、符号6が「等
方性接着剤」、符号7が「λ/4波長板」、符号8が
「粘着剤」、符号9が「対向透明基板」を示す。図1
(g)に示す状態のものを「中間完成体」と呼び、符号
1Aで示す。
【0045】次いで、図1(h)に示すように、中間完
成体1Aに含まれている数100個の回折格子を、ダイ
シングソー15を用いて「5mm角(各々が、1個の回
折格子を有する)」に切りだし、複数個の偏光分離素子
100を完成させる。
【0046】実施例1の作製方法によれば、回転によっ
て有機複屈折膜5や、透明基板1に塗布された紫外線硬
化型接着剤3に遠心力を作用させることにより、有機複
屈折膜1の表面のうねりや波打ち等の凹凸を改善しつつ
接着剤を振り切ることができ、良好な平坦性を持つ有機
複屈折膜の接着が可能となる。
【0047】実施例1の作製方法では、透明基板1をス
ピンテーブル10に固定した後、スピンテーブル10を
回転させながら、透明基板1の中央部にアクリル系の接
着剤を滴下して接着剤塗布を行ったが、接着剤3の塗布
方法は上記方法に限定されるものではなく、透明基板1
をスピンテーブル10に固定後、スピンテーブル10を
停止したまま透明基板1の中央部に接着剤3を滴下し、
その後、スピンテーブル10を回転させて透明基板1の
全面に接着剤を広げても良く、あるいはロールコート
法、スプレー法等によって紫外線硬化型接着剤3を塗布
しても良い。
【0048】図2は、紫外線硬化型接着剤3が塗布され
た透明基板1上に、有機複屈折膜5を載せた状態(上記
図1(d)に対応)を示す。上述の如く、実施例1で
は、載置装置を用い「厚さ:100μmで直径が透明基
板の直径より一回り小さい有機複屈折膜5を、その中心
をスピンテーブル10の回転中心にほぼ合わせる」よう
にしながら紫外線硬化型接着剤3の塗布層上にを載せて
いる。
【0049】実施例1の作製方法における「接着工程
(紫外線硬化型接着剤の塗布、有機複屈折膜の載置、回
転による平坦化、紫外線照射による接着剤の硬化)」
を、直径:100mm、厚さ:1.0mmの円板形状の
透明基板(材質:ショット製光学ガラスBK7)に対し
て、「円形状で、厚さ:100μmの有機複屈折膜」
の、直径(=最大長:LF)を、60〜100mmの範
囲で5mm刻みで変化させた9種類の膜を用いて実施し
た。
【0050】載置装置を用いた「スピンテーブル回転中
心に対する有機複屈折膜中心の合せの精度」は、透明基
板の「直径のばらつき」や、有機複屈折膜の「直径のば
らつき」、載置装置の機械精度等で決まるが、説明中の
例では±0.5mmである。なお、載置装置にはスピン
テーブルの回転中心や有機複屈折膜の中心の検出機構、
フィードバック制御機構は搭載していない。
【0051】紫外線硬化型接着剤を硬化させた後「各有
機複屈折膜の位置ずれ」を目視で観察した後、各基板を
スピンテーブルから外し、前述のリソグラフィー/エッ
チングによる回折格子の形成後、等方性接着剤を用い、
粘着剤によってλ/4波長板を貼付けられた直径:10
0mm、厚み:1mmの円板形状の対向透明基板(材
質:ショット製光学ガラスBK7)を接着し、ダンイシ
ングソーを用いて5mm角に切りだし、作製された偏光
分離素子の素子数をカウントした。なお対向透明基板の
自由表面には入射光の反射が最小となるよう反射防止膜
を形成している。
【0052】有機複屈折膜の最大長:LF(=直径)に
対する「透明基板からのはみ出し」、得られた素子数の
関係は以下の通りである。 透明基板:LS 有機複屈折膜:LF はみ出し 偏光分離素子数(個) 100mm 60mm ○ 81 100mm 65mm ○ 97 100mm 70mm ○ 121 100mm 75mm ○ 137 100mm 80mm ○ 155 100mm 85mm ○ 175 100mm 90mm ○ 203 100mm 95mm ○ 219 100mm 100mm × ― ○は「透明基板から有機複屈折膜のはみ出しがない」も
の×は「透明基板から有機複屈折膜のはみ出しがある」
ものである。
【0053】LS=LF=100mmの場合は、透明基
板から有機複屈折膜がはみ出したため、ドライエッチン
グ装置のロードチャンバーとプロセスチャンバー間で搬
送不良が生じ、偏光分離素子の作製が困難であった。一
方、LS−LF(=ΔS)=5〜40mmの条件下で
は、透明基板からの有機複屈折膜のはみ出しが無く、工
程間、装置間で搬送不良が発生せず、偏光分離素子の作
製プロセスを良好に実行できた。特にΔS=5〜20m
mの条件では、1枚の透明基板に対する有機複屈折膜の
面積を比較的大きく取れるため、偏光分離素子の「取り
数」を多くでき、偏光分離素子の低コスト化が可能にな
る。
【0054】上記結果から、上の実験の範囲では、透明
基板に対する有機複屈折膜の最大位置ずれ量:ΔSは5
mm以下であることが分かる。
【0055】実施例2 図3を参照して実施例2の作製方法を説明する。繁雑を
避けるため、混同の虞がないと思われるものについて
は、全図面を通じて同一の符号を付する。
【0056】図3(a)、(b)に示すように、直径:1
00mm、厚さ:1.0mmのショット製光学ガラスB
K7からなる円板形状の透明基板1をスピンテーブル1
0に真空吸着し、ディスペンサー12を用いて、実施例
1で用いたものと同じく屈折率:1.52、粘度:50
0cpのアクリル系の紫外線硬化型接着剤3を滴下し、
スピンテーブル10を回転させて接着剤3を透明基板1
の全面に均一に塗布する。
【0057】塗布後、スピンテーブル10の回転を停止
し、図3(c)に示すように、片面に粘着剤2を介して
有機高分子からなる保護膜4を設けた円形状の有機複屈
折膜(直径:80mm、厚さ:100μm)5を、その
中心をスピンテーブルの回転中心にほぼ合せ、保護膜の
付いていない面が被接着面となるようにして、紫外線硬
化型接着剤3の上に載置装置(図示されず)を用いて載
せる。
【0058】その後、図3(d)に示すように、スピン
テーブル10を再回転させ、剰余の紫外線硬化型接着剤
を振り切ったのち、スピンテーブル10の回転を停止
し、保護膜4上から高圧水銀灯(図示されず)を用いて紫
外線UVを照射し、紫外線硬化型接着剤3を硬化させる
(図3(e))。紫外線UVは、保護膜4での吸収を考慮し
て、実施例1におけるエネルギーの1.2倍のエネルギ
ーとする。
【0059】続いて、図3(f)に示すように、ピンセ
ット等を用いて、有機複屈折膜5の膜本体から保護膜4
を剥離する。
【0060】以下、有機複屈折膜5を接着された透明基
板1をスピンテーブル10から外し、実施例1と同様に
して、リソグラフィー/エッチングによって回折格子を
形成した後、光学的に等方的なアクリル系の紫外線硬化
型接着剤である「等方性接着剤」を用い、粘着剤によっ
てλ/4波長板を貼付けられた直径:100mm、厚
さ:1mmの円板形状の対向透明基板(材質:ショット
製光学ガラスBK7)を接着する。対向透明基板の被自
由表面には入射光の反射が最小となるよう反射防止膜を
形成しておく。
【0061】図3(g)は、このようにして対向透明基
板を一体化した中間完成体1Aを示している。図1にお
けると同様、符号6が「等方性接着剤」、符号7が「λ
/4波長板」、符号8が「粘着剤」、符号9が「対向透明
基板」を示す。
【0062】最後に、図3(h)に示すように、ダンイ
シングソーを用いて中間完成体1Aを5mm角に切断
し、複数の偏光分離素子100を得る。
【0063】実施例2の作製方法では、透明基板1と有
機複屈折膜5の貼り合せを行う「接着工程」を、有機複屈
折膜の回折格子の形成を行う側の面を保護膜4で被覆し
た状態で行うことができ、回折格子を形成する面にキズ
や異物が付かない。特にスピンテーブル10の回転によ
り振り切られた接着剤のミストが上記面に付着しない
(接着剤3のミストは保護膜4に付き、紫外線照射後、
保護膜4を剥離するので、有機複屈折膜5の表面には残
らない)ため、異物の非常に少ない有機複屈折膜表面を
実現でき、リソグラフィー工程において「異物によって
発生するパターン欠陥」を低減でき、偏光分離素子の製
造歩留を向上できる。
【0064】実施例3 図4を参照して、実施例3の作製方法を説明する。図4
(a)、(b)、(c)に示すように、直径:100m
m、厚さ:1.0mmのショット製光学ガラスBK7か
らなる円板形状の透明基板1をスピンテーブル10に載
せ、真空吸着によってスピンテーブル10に固定し、ス
ピンテーブル10を10〜50rpmで回転させなが
ら、ディスペンサー12を用いて透明基板1の中央部に
屈折率:1.58、粘度:600cpのエポキシ系の紫
外線硬化型接着剤を63〜11g滴下し、滴下後、スピ
ンテーブル10を150〜500rpmで回転させ、透
明基板1の全面に紫外線硬化型接着剤3を広げたのち、
スピンテーブル10の回転を停止して、直径:80m
m、厚さ:80μmの円形状の有機複屈折膜5を、その
中心をスピンテーブル10の回転中心にほぼ合せなが
ら、載置装置(図示されず)を用いて紫外線硬化型接着剤
3の上に載せる。この状態は、図2に示された状態と同
様の状態である。
【0065】続いて、図4(d)に示すように、スピン
テーブル10を再回転(回転数:1000〜3000r
pm)させ、最終回転数になってから30秒後に「スピ
ンテーブル10を回転させた状態」で、高圧水銀灯(図
示されず)を用いて紫外線UVを照射する。このように
すると、剰余の接着剤を振り切りつつ有機複屈折膜5と
透明基板1の間で紫外線硬化型接着剤3の硬化を開始さ
せることができる。
【0066】接着剤層の厚さを均一化するためには、短
時間に接着剤を硬化させるのではなく、接着剤の硬化が
徐々に起こることが好ましいので、比較的強度の小さい
紫外線UVを長時間照射するようにするのが良い。この
例では、実施例1の場合の紫外線強度の1/5にしてい
る。
【0067】紫外線照射を終了した後、スピンテーブル
10の回転を停止し、有機複屈折膜5を接着した透明基
板1(以下、「基板」という)をスピンテーブルから外し
て、実施例1と同様にして有機複屈折膜上に回折格子を
形成する。
【0068】回折格子を形成された基板を、平面加工し
た直径:200mm、厚み:50mmのステンレス台上
に置き、回折格子の形成された面に、光学的に等方的な
エポキシ系の紫外線硬化型接着剤である「等方性接着
剤」をマイクロシリンジで1.0mL滴下し、両面を光
学研磨した直径:100mm、厚み:1mmの円板形状
の対向透明基板(材質:ショット製光学ガラスBK7)
を等方性接着剤を塗布した基板に載せ、更に、対向透明
基板上に光学研磨した光学ガラスを載せ、対向透明基板
に100gf/cmの圧力を加え、等方性接着剤を被
接着面全面に広げる。対向透明基板の被接着面と対向す
る面には入射光の反射が最小となるよう反射防止膜(図
示されず)を形成しておく。この状態で対向透明基板を
通して紫外光を照射し、等方性接着剤を硬化する。
【0069】図4(f)は、対向透明基板を一体化した
中間完成体1Bを示している。図1におけると同様、符
号6が「等方性接着剤」、符号9が「対向透明基板」を
それぞれ示す。
【0070】最後に、図4(g)に示すように、ダンイ
シングソー15を用いて中間完成体1Bを5mm角に切
りだし、155個の偏光分離素子を完成させる。
【0071】ダイシングによって切り出された個々の偏
光分離素子について見ると、基板間で接着剤層の厚さが
均一であるため、個々の素子間でも接着層の変動が小さ
い。
【0072】実施例3でも、透明基板1をスピンテーブ
ル10に固定した後、スピンテーブル10を回転させな
がら、透明基板1の中央部にエポキシ系の接着剤を滴下
して接着剤を塗布したが、透明基板1をスピンテーブル
10に固定した後、スピンテーブル10を停止したまま
透明基板1の中央部に接着剤3を滴下し、その後、スピ
ンテーブル10を回転させて透明基板1の全面に接着剤
3を広げても良く、あるいはロールコート法、スプレー
法等によって紫外線硬化型接着剤3を塗布しても良い。
【0073】実施例3の作製方法における「接着工程
(紫外線硬化型接着剤の塗布、有機複屈折膜の載置、回
転による平坦化、紫外線照射による接着剤の硬化)」
を、直径:100mm、厚さ:1.0mmの円板形状の
透明基板(材質:ショット製光学ガラスBK7)に対し
て、「円形状で、厚さ:80μmの有機複屈折膜」の、
直径(=最大長:LF)を60〜100mmの範囲で5
mm刻みで変化させた9種類の膜を用いて実施した。
【0074】載置装置を用いての「スピンテーブル回転
中心に対する有機複屈折膜中心の合せの精度」は、透明
基板の「直径のばらつき」や有機複屈折膜の「直径のば
らつき」、載置装置の機械精度等で決まるが、説明中の
例では±0.5mmである。なお、載置装置にはスピン
テーブルの回転中心や有機複屈折膜の中心の検出機構、
フィードバック制御機構は搭載していない。
【0075】紫外線硬化型接着剤を硬化させた後「各有
機複屈折膜の位置ずれ」を目視で観察した後、各基板を
スピンテーブルから外し、前述のリソグラフィー/エッ
チングによって回折格子を形成した後、等方性接着剤を
用い、直径:100mm、厚み:1mmの円板形状の対
向透明基板(材質:ショット製光学ガラスBK7)を接
着し、ダンイシングソーを用いて5mm角に切りだし、
作製された偏光分離素子の素子数をカウントした。なお
対向透明基板の自由表面には入射光の反射が最小となる
よう反射防止膜を形成している。
【0076】有機複屈折膜の最大長:LF(=直径)に
対する「透明基板からのはみ出し」、得られた素子数の
関係は以下の通りである。 透明基板:LS 有機複屈折膜:LF はみ出し 偏光分離素子数(個) 100mm 60mm ○ 81 100mm 65mm ○ 97 100mm 70mm ○ 121 100mm 75mm ○ 137 100mm 80mm ○ 155 100mm 85mm ○ 175 100mm 90mm ○ 203 100mm 95mm ○ 219 100mm 100mm × ― ○は「透明基板から有機複屈折膜のはみ出しがない」も
の×は「透明基板から有機複屈折膜のはみ出しがある」
ものである。
【0077】LS=LF=100mmの場合は、透明基
板から有機複屈折膜がはみ出したため、ドライエッチン
グ装置のロードチャンバーとプロセスチャンバー間で搬
送不良が生じ、偏光分離素子の作製が困難であった。一
方、LS−LF(=ΔS)=5〜40mmの条件下で
は、透明基板からの有機複屈折膜のはみ出しが無く、工
程間、装置間で搬送不良が発生せず、偏光分離素子の作
製プロセスを良好に実行できた。特にΔS=5〜20m
mの条件では、1枚の透明基板に対する有機複屈折膜の
面積を比較的大きく取れるため、偏光分離素子の取り数
を多くでき、偏光分離素子の低コスト化が可能になる。
【0078】上記結果から、上の実験の範囲では、透明
基板に対する有機複屈折膜の最大位置ずれ量:ΔSは5
mm以下であることが分かる。
【0079】実施例4 図5を参照して、実施例4の作製方法を説明する。図5
(a)、(b)は、上記実施例3と同様で、直径:10
0mm、厚さ:1.0mmのショット製光学ガラスBK
7からなる円板形状の透明基板1をスピンテーブル10
に真空吸着した後、実施例3において用いたものと同じ
く、屈折率:1.58、粘度:600cpのエポキシ系
の紫外線硬化型接着剤3をディスペンサー12で滴下
し、スピンテーブル12を回転させて接着剤3を透明基
板1の全面に均一に塗布する。
【0080】次いで、図5(c)に示すように、片面に
粘着剤2を介して有機高分子からなる保護膜4を設けら
れた円形状の有機複屈折膜(直径:80mm、厚さ:1
00μm)を、その中心をスピンテーブル10の回転中
心にほぼ合せ、保護膜4の付いている面を自由表面とす
るようにして、紫外線硬化型接着剤3の上に載置装置
(図示されず)を用いて載せたのち、スピンテーブル10
を再び回転させ、最終回転数になってから30秒後に
「スピンテーブル10を回転させた状態」で、高圧水銀
灯(図示されず)を用いて紫外線UVを照射する(図5
(d))。保護膜4での紫外線吸収を考慮し、紫外線U
Vの照射エネルギーは、実施例3における値の1.2倍
とする。
【0081】その後、スピンテーブル10の回転を止
め、ピンセット等を用いて有機複屈折膜5の膜本体から
保護膜4を剥離し(図5(e))、以下、有機複屈折膜5を
接着された透明基板1をスピンテーブル10から外し、
実施例4と同様のリソグラフィー/エッチングによって
回折格子を形成した後、光学的に等方的なエポキシ系の
紫外線硬化型接着剤である「等方性接着剤」を用いて、
直径:100mm、厚み:1mmの円板形状の対向透明
基板(材質:ショット製光学ガラスBK7)を接着す
る。なお対向透明基板の被接着面と対向する面には入射
光の反射が最小となるよう反射防止膜を形成しておく。
【0082】図5(f)は、対向透明基板を一体化した
中間完成体1Bを示している。図4におけると同様、符
号6が「等方性接着剤」、符号9が「対向透明基板」を
それぞれ示す。
【0083】最後に、図5(g)に示すように、ダンイ
シングソー15を用いて中間完成体1Bを5mm角に切
断し、個々の偏光分離素子を得る。
【0084】実施例4の作製方法によると、透明基板1
と有機複屈折膜5の貼り合せを行う「接着工程」を、有機
複屈折膜5の回折格子形成面を保護膜4で被覆した状態
で行うことができ、接着工程で「回折格子を形成する
面」にキズや異物を付けることがない。特に、紫外線U
Vを照射しながらスピンテーブル10を回転させ、剰余
の紫外線硬化型接着剤を振り切る工程においては、振り
切られた接着剤のミストが回折格子を形成する面に付着
しないため、異物の非常に少ない有機複屈折膜表面を実
現でき、リソグラフィー工程でのパターン歩留を改善で
き、偏光分離素子の製造歩留を向上できる。
【0085】なお、上記において、透明基板への接着剤
(アクリル系、エポキシ系)の塗布は、全て室温(18
〜27℃)で行った。
【0086】
【発明の実施の形態】図6は、光ピックアップ装置の実
施の1形態を示す。この光ピックアップ装置はCD用で
あり、レーザーダイオード81から出射された波長:7
80nmの光は、偏光分離素子83、コリメータレンズ
85、対物レンズ87を通って光ディスクであるCD―
RW90を照射する。記録面での反射光は戻り光束とな
り、偏光分離素子83で回折され光検出素子89に導光
され、フォーカス検出・トラック検出・信号検出が行わ
れる。
【0087】偏光分離素子83として、実施例1の作製
方法で作製されたものを用いて図6の光ピックアップ装
置を構成し、これを用いて、CD−RWに信号を記録
し、その後同じ光ピックアップ装置で信号の再生を行っ
た所「プリズムを接着したビームスプリッタをλ/4波
長板と組み合わせた従来の偏光分離素子」を用いた場合
と同等の再生信号出力を得ることができ、この実施の形
態の光ピックアップ装置が「従来のもの」と同等の記録
/再生特性を持つことを確認できた。
【0088】図6に示す実施の形態の光ピックアップ装
置では、偏光分離素子83が従来の「プリズムを接着し
たビームスプリッタ」よりも小さくなっており、かつ偏
光分離素子にλ/4波長板も組み込んでいるため、従来
の光ピックアップと比較して小型化を実現できる。
【0089】図7は光ピックアップ装置の実施の別形態
を示す。
【0090】この光ピックアップ装置はDVD用のもの
であり、レーザーダイオード81から出射された波長:
680nmの光は、偏光分離素子83とコリメータレン
ズ85、λ/4波長板86、対物レンズ87を通った
後、光ディスクであるDVD91を照射する。DVD9
1の記録面で反射された戻り光束は、λ/4波長板86
で直線偏光になった後、偏光分離素子83で回折して光
検出素子89に導光され、フォーカス検出・トラック検
出・信号検出が行われる。
【0091】偏光分離素子83として、実施例3の作製
方法で作製したものを用いて、図7の光ピックアップ装
置を構成し、DVD−ROMから情報信号の再生を行っ
た所「プリズムを接着したビームスプリッタをλ/4波
長板と組合せて用いる、従来のDVD用の光ピックアッ
プ装置」と同等の信号出力を得ることができ、この実施
の形態の光ピックアップ装置が、従来の光ピックアップ
装置と同等の再生特性を持つことを確認できた。
【0092】また、図7の光ピックアップ装置では、偏
光分離素子83が「プリズムを接着したビームスプリッ
タ」よりも小さくなっているため、従来の光ピックアッ
プ装置よりも小型になっている。また、実施例3の偏光
分離素子は比較的安価に製造できるので、光ピックアッ
プ装置も低コスト化が可能である。
【0093】図8は、有機複屈折膜を接着する「接着装
置」の実施の1形態を示している。この接着装置は、透
明基板1を保持するスピンテーブル10と、スピンテー
ブル10を回転させるステッピングモーター等からなる
回転機構(図示されず)と、透明基板1に紫外線硬化型
接着剤を塗布するディスペンサー(ロボットアーム12
Aで制御駆動される)12からなる塗布機構と、2本の
吸着アーム50によって有機複屈折膜5の両端を保持
し、透明基板1上に塗布された紫外線硬化型接着剤の層
上に有機複屈折膜5を載置する載置機構55と、紫外線
硬化型接着剤に紫外線を照射する「高圧水銀灯やメタル
ハライドランプ等」からなる紫外線照射機構60から構
成されている。
【0094】有機複屈折膜5を透明基板1に接着する手
順は以下の如くである。
【0095】直径:100mm、厚さ:1.0mmのシ
ョット製光学ガラスBK7からなる透明基板1(この例
では、円板形状の一部を切り欠かれて「オリエンテーシ
ョンフラット」を形成されている)をスピンテーブル1
0に載置し、真空吸着によってスピンテーブル10に固
定する。次いで、ロボットアーム12Aによりディスペ
ンサー12を透明基板1の中央部上方に移動し、スピン
テーブル10を回転機構によって10rpmで回転させ
ながら、室温にて屈折率:1.52、粘度:500cp
のアクリル系の紫外線硬化型接着剤を4g滴下する。
【0096】その後、ディスペンサー12を元位置に復
帰させ、スピンテーブル10を300rpmで回転さ
せ、透明基板全面に紫外線硬化型接着剤を広げ、その後
スピンテーブル10の回転を停止する。
【0097】続いて、直径:80mm、厚さ:100μ
mで円形状(「オリエンテーションフラット」を形成さ
れている)の有機複屈折膜5の両端を、載置機構の2本
の吸着アーム50で真空吸着して保持し、有機複屈折膜
5を透明基板1上へ移動し、有機複屈折膜5の中心をス
ピンテーブル10の回転中心にほぼ合せながら、2本の
吸着アーム50の真空吸着を徐々に解除して紫外線硬化
型接着剤の上に有機複屈折膜を載置する。
【0098】載置機構55を元位置に戻したのち、スピ
ンテーブル10を1800rpmで回転させ、剰余の紫
外線硬化型接着剤を振り切り、有機複屈折膜5の表面を
平坦化したのちスピンテーブル10の回転を停止し、透
明基板の上方へ紫外線照射機構60を移動し、有機複屈
折膜5側から紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を硬
化させる。
【0099】紫外線照射終了後、紫外線照射機構60を
元位置に戻し、スピンテーブル10の真空吸着を解除し
て有機複屈折膜5を接着した透明基板1を取り出す。
【0100】上記のように、この接着装置を用いると、
実施例1の作製方法における接着工程を実現でき、透明
基板に接着される有機複屈折膜表面の平坦度を向上でき
る。
【0101】また、この実施の形態の接着装置を用いる
と、実施例1の作製方法を実現でき、透明基板から有機
複屈折膜がはみ出すことがない。
【0102】有機複屈折膜が透明基板からはみ出すよう
だと、接着工程において「有機複屈折膜の位置ずれを修
正」する必要があるが、この接着装置で実施例1の作製
方法の定着工程を実施すれば位置修正のための作業(位
置ずれが起きた場合、スピンテーブルの回転を停止し、
適切な位置へ有機複屈折膜を戻す作業を繰り返す)が不
用となるため接着工程のスループットが向上する。
【0103】また、位置ずれ修正の作業を無くすことが
できるため、スピンテーブルの回転数を一定化でき、接
着剤層の厚さを中間完成体相互で均一化でき、加えて偏
光分離素子の素子間での接着層厚さの変動を小さくでき
る。
【0104】上の説明例では、スピンテーブル10の回
転停止後に紫外線照射機構60によって紫外線を照射し
たが、スピンテーブル10の回転中に透明基板1上に紫
外線照射機構60を移動して紫外線照射を行うようにす
ると、実施例3の作製方法における接着工程を実現でき
る。
【0105】また有機複屈折膜として、片面に粘着剤を
介して有機高分子からなる保護膜を設けたものを用いる
と、実施例2、4の偏光分離素子の作製方法における接
着工程を実現できる。図8の実施の形態では、紫外線硬
化型接着剤の塗布にディスペンサー12を用いたが、ス
プレーやロールコーターを用いても良い。
【0106】
【発明の効果】以上に説明したように、この発明によれ
ば新規な偏光分離素子、その作成方法、光ピックアップ
装置、定着装置を実現できる。この発明の作製方法によ
れば、接着工程において有機複屈折膜の表面を極めて高
精度に平坦化できる。そしてこの作成方法で作製された
偏光分離素子は、透過光に対する光路長が回折格子形成
領域で実質的に均一であり、回折光における波面の乱れ
を有効に軽減できる。
【0107】従って、この偏光分離素子を用いた光ピッ
クアップ装置は、光ディスクに対する情報の記録・再生
・消去の1以上を良好に行うことができ、従来のものよ
りもコンパクトに構成できる。また、この発明の接着装
置によれば、この発明の作製方法における接着工程を良
好に実現できる。
【0108】また、この発明の作製方法では、接着工程
の際に、有機複屈折膜が透明基板からずれて「はみ出
す」ことがない。従って、透明基板に対する有機複屈折
膜の位置ずれを修正する作業が不要であり、有機複屈折
膜が載置された透明基板を回転させるスピンテーブル1
0の回転時間を一定にでき、中間完成品間、延いては個
々の偏光分離素子間で「接着剤層の厚さを均一にする」
ことが可能となる。従って、偏光分離素子の製造コスト
を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の作製方法を説明するための図であ
る。
【図2】実施例1の作製方法において、有機複屈折膜を
スピンテーブル上に載置した状態を説明図的に示す図で
ある。
【図3】実施例2の作製方法を説明するための図であ
る。
【図4】実施例3の作製方法を説明するための図であ
る。
【図5】実施例4の作製方法を説明するための図であ
る。
【図6】光ピックアップ装置の実施の1形態を示す図で
ある。
【図7】光ピックアップ装置の実施の別形態を示す図で
ある。
【図8】接着装置の実施の1形態を説明するための図で
ある。
【符号の説明】
1 透明基板 3 紫外線硬化型接着剤 5 有機複屈折膜 100 偏光分離素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 曳地 秀一 東京都大田区中馬込1丁目3番6号・株式 会社リコー内 (72)発明者 森 孝二 東京都大田区中馬込1丁目3番6号・株式 会社リコー内 (72)発明者 守 哲司 東京都大田区中馬込1丁目3番6号・株式 会社リコー内 (72)発明者 鈴土 剛 東京都大田区中馬込1丁目3番6号・株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2H049 AA03 AA07 AA37 AA43 AA64 BA05 BA07 BA24 BA45 BB03 BC13 BC14 5D119 AA01 AA38 JA25 NA05

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明基板上に、入射光の異なる振動面に対
    して屈折率が異なる有機複屈折膜を接着する接着工程
    と、上記有機複屈折膜上に周期的なマスクパターンを形
    成し、このマスクパターンを用いて有機複屈折膜をエッ
    チングして周期的な凹凸による回折格子を形成する工程
    とを有する偏光分離素子の作製方法において、 接着工程が、透明基板上に紫外線硬化型接着剤を塗布
    し、塗布された紫外線硬化型接着剤の上に有機複屈折膜
    を載せて透明基板を回転し、上記紫外線硬化型接着剤に
    紫外線を照射して、上記紫外線硬化型接着剤を硬化する
    工程からなり、 透明基板の最小長をLS、上記回転の際の透明基板に対
    する有機複屈折膜の最大位置ずれ量をΔSとするとき、
    有機複屈折膜として最大長:LFが、条件:LS>LF
    +ΔSを満足するものを用いることを特徴とする偏光分
    離素子の作製方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の偏光分離素子の作製方法に
    おいて、 ΔSの範囲が5〜20mmであることを特徴とする偏光
    分離素子の作製方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の偏光分離素子の作
    製方法において、 有機複屈折膜は、透明基板に接着されない側の面に、粘
    着剤を介して保護膜が設けられたものであり、紫外線硬
    化型接着剤に紫外線を照射して硬化させた後、上記保護
    膜を上記有機複屈折膜の膜本体から剥離することを特徴
    とする偏光分離素子の作製方法。
  4. 【請求項4】透明基板上に、入射光の異なる振動面に対
    して屈折率が異なる有機複屈折膜を接着する接着工程
    と、上記有機複屈折膜上に周期的なマスクパターンを形
    成し、このマスクパターンを用いて上記有機複屈折膜を
    エッチングして周期的な凹凸による回折格子を形成する
    工程とを有する偏光分離素子の作製方法において、 接着工程が、透明基板上に紫外線硬化型接着剤を塗布
    し、塗布された紫外線硬化型接着剤上に有機複屈折膜を
    載せ、透明基板を回転させつつ紫外線硬化型接着剤に紫
    外線を照射して上記紫外線硬化型接着剤を硬化する工程
    からなり、 透明基板の最小長をLS、上記回転の際の透明基板に対
    する有機複屈折膜の最大位置ずれ量をΔSとするとき、
    有機複屈折膜として最大長:LFが、条件:LS>LF
    +ΔSを満足するものを用いることを特徴とする偏光分
    離素子の作製方法。
  5. 【請求項5】請求項4記載の偏光分離素子の作製方法に
    おいて、 ΔSの範囲が5〜20mmであることを特徴とする偏光
    分離素子の作製方法。
  6. 【請求項6】請求項4または5記載の偏光分離素子の作
    製方法において、 有機複屈折膜は、透明基板に接着されない側の面に、粘
    着剤を介して保護膜が設けられたものであり、紫外線硬
    化型接着剤に紫外線を照射して硬化させた後、上記保護
    膜を上記有機複屈折膜の膜本体から剥離することを特徴
    とする偏光分離素子の作製方法。
  7. 【請求項7】請求項1〜6の任意の1に記載の作製方法
    によって作製される偏光分離素子。
  8. 【請求項8】請求項7記載の偏光分離素子を用いること
    を特徴とする光ピックアップ装置。
  9. 【請求項9】透明基板を保持するスピンテーブルと、 このスピンテーブルを回転させる回転機構と、 上記スピンテーブルに保持された透明基板に、紫外線硬
    化型接着剤を塗布する塗布機構と、 上記透明基板上に塗布された紫外線硬化型接着剤の上に
    有機複屈折膜を載置する載置機構と、 上記有機複屈折膜を介して上記紫外線硬化型接着剤に紫
    外線を照射する紫外線照射機構とを有する有機複屈折膜
    の接着装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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