JP2003322719A - 偏光分離素子の作製方法及び偏光分離素子、光ピックアップ装置、接着装置 - Google Patents

偏光分離素子の作製方法及び偏光分離素子、光ピックアップ装置、接着装置

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JP2003322719A JP2002127925A JP2002127925A JP2003322719A JP 2003322719 A JP2003322719 A JP 2003322719A JP 2002127925 A JP2002127925 A JP 2002127925A JP 2002127925 A JP2002127925 A JP 2002127925A JP 2003322719 A JP2003322719 A JP 2003322719A
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哲司 守
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Abstract

(57)【要約】 【課題】有機複屈折膜と透明基板の接着工程後における
装置間、装置内での搬送不良を低減することができ、回
折格子を作製する際の製造歩留を向上することができる
偏光分離素子の作製方法を実現する。 【解決手段】透明基板1上に有機複屈折膜5を接着する
工程と、有機複屈折膜上に周期的なマスクパターンを形
成し有機複屈折膜をエッチングして周期的な凹凸格子か
らなる回折格子5Aを形成する工程を有する偏光分離素
子の作製方法において、接着工程が、透明基板1上に紫
外線硬化型接着剤3を塗布し、該紫外線硬化型接着剤の
上に透明基板1よりも小さい有機複屈折膜5を載せた
後、透明基板を回転しながら、紫外線硬化型接着剤は溶
解するが有機複屈折膜は溶解しない有機溶媒14を滴下
して透明基板周辺部の紫外線硬化型接着剤を除去した
後、透明基板に第1の紫外線を照射して紫外線硬化型接
着剤を硬化する工程からなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏光分離素子の作
製方法及びその作製方法によって作製された偏光分離素
子、及びその偏光分離素子を用いた光ピックアップ装
置、及び偏光分離素子の作製方法に用いられる接着装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスク用の光ピックアップ装置で
は、光源からの入射光束と、光ディスクにより反射され
光ディスクの情報を帯びた戻り光束(情報信号)とを分
離して、戻り光束(情報信号)を効率良く光検出手段
(例えば多分割フォトダイオード等の受光素子)に導く
ために、偏光分離素子が用いられている。従来は偏光分
離素子として、プリズムを接着したビームスプリッタが
λ/4波長板との組み合わせで用いられていたが、光ピ
ックアップ装置の小型化、低コスト化の要求に答えるた
め、ビームスプリッタの代わりに薄型化が可能な「複屈
折回折格子型の偏光分離素子」が提案されている。
【0003】例えば直交する2つの偏光成分を分離する
偏光分離素子として、特開2000−75130号公報
には、透明基板上に入射光の異なる振動面に対し屈折率
が異なる有機複屈折膜を接着し、この有機複屈折膜の表
面に周期的な凹凸格子からなる回折格子を形成した偏光
分離素子が開示されている。尚、有機複屈折膜として
は、延伸した有機高分子膜が用いられている。この偏光
分離素子では、接着剤を用いて有機複屈折膜を透明基板
に接着しているが、有機複屈折膜を透明基板へ接着する
際に、回折格子を透過する光束に対して格子面内で光路
長を一定とするためには、接着剤層の厚さを均一にする
必要がある。また、接着剤層に気泡が入ると入射光束や
出射光束が気泡によって散乱されて回折効率が低下する
ため、気泡を巻きこまないような接着法が必要となる。
【0004】以上の点から、透明基板へ有機複屈折膜を
接着する方法としては、例えば貼り合せ光ディスクの作
製工程で用いられているスピンナー法が適している。こ
のスピンナー法による貼り合せ光ディスクの作製工程の
一例を図20を参照して説明する。
【0005】図20(a)に示すように、第1の基板5
1のハブ51Aをスピンテーブル52のセンターピン5
3にさし込み、スピンテーブル52を回転させながら第
1の基板51にディスペンサー54を用いて紫外線硬化
型接着剤55を滴下する。次に図20(b)に示すよう
に、第1の基板51の周辺部まで接着剤55が広がった
らスピンテーブル52の回転を停止する。次に図20
(c)に示すように、第2の基板56のハブ56Aをス
ピンテーブル52のセンターピン53にさし込み、第1
の基板51と第2の基板56を接触させる。次に図20
(d)に示すように、スピンテーブル52を回転させ、
余分な接着剤を振り切り接着剤層55の厚さを一定にす
る。その後、図20(e)に示すように、スピンテーブ
ル52の回転を停止し、紫外線(UV)を照射して接着
剤層55を硬化し、貼り合せ光ディスクを完成させる。
【0006】しかしながら、上記の方法を偏光分離素子
の有機複屈折膜の接着に用いる場合、以下の問題が発生
していた。偏光分離素子は大きさが数mm程度であるた
め、偏光分離素子の作製の際には、直径4〜8インチの
透明基板に接着された有機複屈折膜上に数10〜数10
0個の回折格子をアレイ状に作製し、その後、ダイシン
グによって個々の偏光分離素子を取り出している。ま
た、1枚の基板から取れる偏光分離素子数を多くするた
め、有機複屈折膜や透明基板にはハブを設けていない。
【0007】そのため、図21(a)に示すように、ス
ピンテーブル10に透明基板1を真空吸着し、その後、
透明基板1の中央に紫外線硬化型接着剤3を滴下し、ス
ピンテーブル10を回転して接着剤3を透明基板1の全
面に広げた後、有機複屈折膜5を透明基板上に載せる
が、有機複屈折膜5にはハブがないためセンターピンで
固定できず、フリーな状態で透明基板1に載せることに
なる。一般的には載置装置を用いて有機複屈折膜5を接
着剤3が塗付された透明基板1に載せているが、スピン
テーブル10の回転中心に有機複屈折膜5の中心を正確
に合せることは載置装置の機械的精度の点から困難な場
合が多い。そのため有機複屈折膜5がスピンテーブル1
0の回転中心に載っていない場合、図21(a)のよう
にスピンテーブル10を回転させると、有機複屈折膜5
が位置ずれを起こす。そして透明基板1と有機複屈折膜
5の大きさが同じ場合、図21(b)に示すように、位
置ずれによって透明基板1から有機複屈折膜5がはみ出
してしまう。
【0008】通常、有機複屈折膜5を接着剤3が塗付さ
れた透明基板1に載せ、紫外線照射によって接着剤を硬
化させた後、回折格子を形成するためリソグラフィー/
ドライエッチングを行うが、装置内や工程間の搬送は基
板側面をクランプして行うことが多く、透明基板1から
有機複屈折膜5がはみ出していると搬送が困難になり、
回折格子を形成できない。そのためスピンテーブル10
の回転中に有機複屈折膜5の位置ずれが発生した場合
は、スピンテーブル10の回転を停止し、適切な位置へ
有機複屈折膜5を戻す作業を行い、再びスピンテーブル
10を回転させる必要があり、上記の作業を繰り返すこ
とによって貼り合せ工程のスループットを遅くしてい
た。また、上記の作業のため、スピンテーブル10の回
転時間を一定にすることができず、基板間で接着剤層の
厚さが不均一になる問題も発生していた。
【0009】スピンテーブルの回転中に有機複屈折膜の
位置ずれを起こさせないためには、回転中に紫外線を照
射する方法が考えられる。例えば貼り合せ光ディスクの
作製方法では、特開平10−334521号公報や特開
2000−268416号公報において、回転中に紫外
線を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化する方法が提案
されている。しかしながら、偏光分離素子の作製におい
ては、接着剤層の厚さを均一化するため基板をある程度
回転させた後に紫外線を照射しなければならないので、
有機複屈折膜の位置ずれを完全に防止することは困難で
あった。
【0010】また、載置装置に画像認識機能を搭載し、
スピンテーブルの回転中心と有機複屈折膜の中心を検出
し、載置装置にフィードバック制御を掛けながらスピン
テーブルの回転中心に有機複屈折膜の中心を置く場合
は、スピンテーブルの回転中心と有機複屈折膜の中心と
の位置合せ精度を著しく向上できるため、スピンテーブ
ルの回転中に有機複屈折膜の位置ずれが起きにくい。し
かしながら、載置装置にCCD(Charge Coupled Devic
es)等の撮像素子を用いた検出機構やフィードバック機
構を設ける必要があり、載置装置のコストが上昇する。
また、貼り合せ時に位置検出やフィードバック制御を行
うため、貼り合せ工程のスループットが低下してしま
う。そのため安価に偏光分離素子を作製することが困難
になる。
【0011】さらに接着剤層の厚さを均一化するため、
スピンテーブルを回転させて余分な接着剤を振り切る工
程において、振り切られた接着剤がミストとなり、有機
複屈折膜上に付着してしまう。また、有機複屈折膜は有
機高分子材料からなるため、貼り合せ工程のハンドリン
グ中に有機複屈折表面にキズが付き易かった。接着後、
有機複屈折膜の表面に回折格子を形成するため、フォト
リソグラフィー/エッチングを行うが、有機複屈折膜表
面に接着剤ミストやキズがあると、リソグラフィー工程
でパターン欠陥が生じ、偏光分離素子の製造歩留を低下
させていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは上記の従
来技術の問題を解決する方法として、透明基板の最小長
をLS、有機複屈折膜の最大長をLFとした場合、LS
>LFとして接着を行う作製方法を創案した。図22に
その作製方法の一例を示す。図22(a)に示すよう
に、最小長LSの透明基板1をスピンテーブル10に真
空吸着し、スピンテーブル10を回転させながら透明基
板1の中央にディスペンサー12を用いて紫外線硬化型
接着剤3を滴下する。そして図22(b)に示すよう
に、透明基板1の全面に接着剤3が広がったらスピンテ
ーブル10の回転を停止する。次に図22(c)に示す
ように、最大長LFの有機複屈折膜5を透明基板1の上
に乗せる。そして図22(d)に示すように、スピンテ
ーブル10を回転させ、余分な接着剤3を振り切り接着
剤層の厚さを一定にする。次に図22(e)に示すよう
に、スピンテーブル10の回転を停止し、紫外線(U
V)を照射して接着剤層3を硬化させる。図23は最小
長LSの透明基板1上に紫外線硬化型接着剤3を介して
最大長LFの有機複屈折膜5を接着した状態を示してい
る。
【0013】次に図22(f)に示すように、有機複屈
折膜5の表面に回折格子を形成するためのフォトリソグ
ラフィー/エッチングを行い、有機複屈折膜5上に回折
格子5Aのアレイを形成する。次に図22(g)に示す
ように、透明基板1上の回折格子が形成された有機複屈
折膜5側に等方性接着剤6を滴下する。そして別の透明
基板(対向透明基板)9の片面に粘着剤8によってλ/
4波長板7を貼付け、その対向透明基板9のλ/4波長
板7の側を透明基板1の等方性接着剤6の側にして透明
基板1上に載せ、圧力を加えて等方性接着剤6を被接着
面全面に広げて、透明基板1と対向透明基板9を接着す
る。その後、対向透明基板9側から紫外線を照射して等
方性接着剤6を硬化し、偏光分離素子の中間完成体10
0を形成する。次に図22(h)に示すように、中間完
成体100をダイシングソー15でダイシングして個々
の偏光分離素子101を取り出す。
【0014】以上の作製方法によると、スピンテーブル
10の回転中に有機複屈折膜5が位置ずれを起こして
も、有機複屈折膜5の最大長LFが透明基板1の最小長
LSよりも小さいため、基板からのはみ出しが生じにく
く、次工程への搬送や装置間の搬送で搬送不良が起きに
くい。
【0015】しかしながらこの方法にも以下の問題があ
った。透明基板1は有機複屈折膜5よりも大きいため、
透明基板1の周辺部は有機複屈折膜5で覆われてない。
そのため有機複屈折膜5で被覆されていない領域に接着
剤(図中の基板周辺部の接着剤)が残る。一般的に微細
パターンをエッチングするドライエッチング装置は基板
を冷却しながら行うため、基板周辺部をクランプしてい
る。そのため基板周辺部に接着剤があると、クランプア
ームが直接接着剤に接触し、接着剤が基板から剥離しや
すくなる。そして剥離した接着剤はチャンバー内の異物
となり、最悪の場合、有機複屈折膜上に乗って回折格子
の形状を劣化させ、偏光分離素子の歩留を低下させてし
まう。尚、基板周辺部の接着剤残りに対しては、前述の
貼り合せ光ディスクの作製方法においては何ら提案され
ていないのが現状である。
【0016】本発明は上記事情に鑑みなされたものであ
り、上記の本発明者らによる作製方法を改良し、有機複
屈折膜を用いた偏光分離素子の作製過程において、有機
複屈折膜と透明基板の接着工程後における装置間、装置
内での搬送不良を低減することができ、回折格子を作製
する際の製造歩留を向上することのできる新規な偏光分
離素子の作製方法を提供することを目的としている。ま
た、本発明は、上記の方法により作製され、従来のプリ
ズムを接着したビームスプリッタよりも小型化が実現で
きる偏光分離素子を提供すること、さらにこの偏光分離
素子を用い、従来のプリズムを接着したビームスプリッ
タを用いた光ピックアップ装置よりも小型化が実現でき
る光ピックアップ装置を提供することを目的としてい
る。さらに本発明は、上記の偏光分離素子の作製方法を
実現するための接着装置を提供することを目的としてい
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明に係る偏光分離素
子の作製方法は、「透明基板上に入射光の異なる振動面
に対して屈折率が異なる有機複屈折膜を接着する工程
と、前記有機複屈折膜上に周期的なマスクパターンを形
成し、前記マスクパターンを用いて有機複屈折膜をエッ
チングして周期的な凹凸格子からなる回折格子を形成す
る工程と」を有しており、以下の点を特徴としている。
【0018】請求項1に係る偏光分離素子の作製方法
は、有機複屈折膜と透明基板の接着工程後における装置
間、装置内での搬送不良を低減するものであり、「接着
工程が、透明基板上に紫外線硬化型接着剤を塗布し、そ
の紫外線硬化型接着剤の上に透明基板よりも小さい有機
複屈折膜を載せた後、前記透明基板を回転しながら、前
記紫外線硬化型接着剤は溶解するが前記有機複屈折膜は
溶解しない有機溶媒を滴下して透明基板の周辺部の紫外
線硬化型接着剤を除去し、その後、前記透明基板に第1
の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化する工程
からなる」ことを特徴としている。
【0019】請求項2に係る偏光分離素子の作製方法
は、回折格子を作製する際の製造歩留を向上するもので
あり、「請求項1記載の偏光分離素子の作製方法におい
て、前記有機複屈折膜は、前記透明基板と接着される面
とは反対側の面に粘着剤を介して保護膜が設けられてお
り、前記透明基板に第1の紫外線を照射した後に前記有
機複屈折膜から前記保護膜を剥離する」ことを特徴とし
ている。
【0020】請求項3に係る偏光分離素子の作製方法
は、透明基板の回転によって起こる有機複屈折膜の透明
基板からのはみ出しを低減するものであり、「請求項1
記載の偏光分離素子の作製方法において、前記有機溶媒
を滴下する前後あるいは滴下中の少なくても一方におい
て前記透明基板を回転しながら第2の紫外線を照射す
る」ことを特徴としている。
【0021】請求項4に係る偏光分離素子の作製方法
は、透明基板の回転によって起こる有機複屈折膜の位置
ずれを低減し、かつ回折格子を作製する際の製造歩留を
向上するものであり、「請求項3記載の偏光分離素子の
作製方法において、前記有機複屈折膜は、前記透明基板
と接着される面とは反対側の面に粘着剤を介して保護膜
が設けられており、前記透明基板に第1の紫外線を照射
した後に前記有機複屈折膜から前記保護膜を剥離する」
ことを特徴としている。
【0022】請求項5に係る偏光分離素子の作製方法
は、透明基板の回転によって起こる有機複屈折膜の位置
ずれを低減し、かつ回折格子を作製する際の製造歩留を
向上するものであり、「請求項3記載の偏光分離素子の
作製方法において、前記有機複屈折膜は、前記透明基板
と接着される面とは反対側の面に粘着剤を介して保護膜
が設けられており、前記透明基板に第2の紫外線を照射
した後に前記有機複屈折膜から前記保護膜を剥離する」
ことを特徴としている。
【0023】請求項6に係る偏光分離素子の作製方法
は、基板周辺の接着剤を除去しつつ、人体に対しより安
全な作業環境を構築するものであり、「請求項1〜5の
いずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法におい
て、前記有機溶媒がイソプロピルアルコールまたはアセ
トンの少なくとも一方である」ことを特徴としている。
【0024】請求項7に係る偏光分離素子の作製方法
は、透明基板の回転によって起こる有機複屈折膜の透明
基板からのはみ出しを防止し、有機複屈折膜と透明基板
の接着工程後における装置間、装置内での搬送不良を低
減するものであり、「接着工程が、透明基板上に紫外線
硬化型接着剤を塗布し、その紫外線硬化型接着剤の上に
有機複屈折膜を載せた後、前記透明基板を回転し、その
後、前記透明基板の回転を止めた状態で前記有機複屈折
膜を透明基板上で滑動して位置を修正した後、第1の紫
外線を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化する工程から
なる」ことを特徴としている。
【0025】請求項8に係る偏光分離素子の作製方法
は、透明基板の回転によって起こる有機複屈折膜の透明
基板からのはみ出しを防止しつつ、かつ有機複屈折膜で
被覆されていない透明基板周辺の紫外線硬化型接着剤を
除去して、有機複屈折膜を透明基板に貼り合せた工程後
において、装置間、装置内での搬送不良を低減するもの
であり、「接着工程が、透明基板上に紫外線硬化型接着
剤を塗布し、その紫外線硬化型接着剤の上に透明基板よ
りも小さい有機複屈折膜を載せた後、前記透明基板を回
転し、その後、前記透明基板の回転を止めた状態で前記
有機複屈折膜を透明基板上で滑動して位置を修正した
後、前記透明基板の回転を止めた状態で第3の紫外線を
照射し、その後、透明基板を回転しながら、前記紫外線
硬化型接着剤は溶解するが前記有機複屈折膜は溶解しな
い有機溶媒を滴下して透明基板の周辺部の紫外線硬化型
接着剤を除去し、その後、透明基板に第1の紫外線を照
射して紫外線硬化型接着剤を硬化する工程からなる」こ
とを特徴としている。
【0026】請求項9に係る偏光分離素子の作製方法
は、透明基板の回転によって起こる有機複屈折膜の位置
ずれを防止しつつ、かつ回折格子を作製する際の製造歩
留を向上するものであり「請求項8記載の偏光分離素子
の作製方法において、前記有機複屈折膜は、前記透明基
板と接着される面とは反対側の面に粘着剤を介して保護
膜が設けられており、前記透明基板に第1の紫外線を照
射した後に前記有機複屈折膜から前記保護膜を剥離す
る」ことを特徴としている。
【0027】請求項10に係る偏光分離素子の作製方法
は、透明基板の回転によって起こる有機複屈折膜の位置
ずれを防止しつつ、かつ回折格子を作製する際の製造歩
留を向上するものであり「請求項8記載の偏光分離素子
の作製方法において、前記有機複屈折膜は、前記透明基
板と接着される面とは反対側の面に粘着剤を介して保護
膜が設けられており、前記透明基板に第3の紫外線を照
射した後に前記有機複屈折膜から前記保護膜を剥離す
る」ことを特徴としている。
【0028】請求項11に係る偏光分離素子の作製方法
は、基板周辺の接着剤を除去しつつ、人体に対しより安
全な作業環境を構築するものであり、「請求項8〜10
のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法におい
て、前記有機溶媒がイソプロピルアルコールまたはアセ
トンの少なくとも一方である」ことを特徴としている。
【0029】請求項12に係る偏光分離素子は、従来の
プリズムを接着したビームスプリッタよりも小型化が実
現できる偏光分離素子の構造を提供するものであり、
「透明基板上に、周期的な凹凸格子からなる回折格子を
有する複屈折膜を設けた構成の偏光分離素子において、
請求項1〜11のいずれか一つに記載の偏光分離素子の
作製方法を用いて作製したこと」を特徴としている。
【0030】請求項13に係る光ピックアップ装置は、
従来のプリズムを接着したビームスプリッタを用いた光
ピックアップよりも小型化が実現できる光ピックアップ
装置の構造を提供するものであり、「光記録媒体に対し
て情報の記録、再生または消去を行う光ピックアップ装
置において、請求項12に記載の偏光分離素子を用い
た」ことを特徴としている。
【0031】請求項14に係る有機複屈折膜の接着装置
は、請求項1〜6のいずれか一つに記載の偏光分離素子
の作製方法に用いられる接着装置であって、有機複屈折
膜で被覆されていない透明基板周辺の紫外線硬化型接着
剤を除去して、有機複屈折膜を透明基板に貼り合せた工
程後における装置間、装置内での搬送不良を低減できる
装置構成を提供するものであり、「透明基板を保持する
スピンテーブルと、前記スピンテーブルを回転させる回
転機構と、前記透明基板に紫外線硬化型接着剤を塗布す
る塗布機構と、透明基板上に塗布された紫外線硬化型接
着剤上に有機複屈折膜を載置する載置機構と、前記紫外
線硬化型接着剤は溶解するが前記有機複屈折膜は溶解し
ない有機溶媒を前記透明基板に滴下するリンス機構と、
前記透明基板に紫外線を照射する紫外線照射機構からな
る」ことを特徴としている。
【0032】請求項15に係る有機複屈折膜の接着装置
は、請求項7記載の偏光分離素子の作製方法に用いられ
る接着装置であって、透明基板の回転によって起こる有
機複屈折膜の透明基板からのはみ出しを防止できる装置
構成を提供するものであり、「透明基板を保持するスピ
ンテーブルと、前記スピンテーブルを回転させる回転機
構と、前記透明基板に紫外線硬化型接着剤を塗布する塗
布機構と、前記透明基板上に塗布された紫外線硬化型接
着剤上に有機複屈折膜を載置する載置機構と、前記有機
複屈折膜を透明基板上で滑動して位置を修正する位置調
整機構と、前記透明基板に紫外線を照射する紫外線照射
機構からなる」ことを特徴としている。
【0033】請求項16に係る有機複屈折膜の接着装置
は、請求項1〜11のいずれか一つに記載の偏光分離素
子の作製方法に用いられる接着装置であって、透明基板
の回転によって起こる有機複屈折膜の透明基板からのは
み出しを防止しつつ、かつ有機複屈折膜で被覆されてい
ない透明基板周辺の紫外線硬化型接着剤を除去して、有
機複屈折膜を透明基板に貼り合せた工程後における装置
間、装置内での搬送不良を低減できる装置構成を提供す
るものであり、「透明基板を保持するスピンテーブル
と、前記スピンテーブルを回転させる回転機構と、前記
透明基板に紫外線硬化型接着剤を塗布する塗布機構と、
前記透明基板上に塗布された紫外線硬化型接着剤上に有
機複屈折膜を載置する載置機構と、前記紫外線硬化型接
着剤は溶解するが前記有機複屈折膜は溶解しない有機溶
媒を前記透明基板に滴下するリンス機構と、前記有機複
屈折膜を透明基板上で滑動して位置を修正する位置調整
機構と、前記透明基板に紫外線を照射する紫外線照射機
構からなる」ことを特徴としている。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る偏光分離素子
の作製方法及びその作製方法によって作製された偏光分
離素子、及びその偏光分離素子を用いた光ピックアップ
装置、及び偏光分離素子の作製方法に用いられる接着装
置の具体的な実施例を、図面を参照して詳細に説明す
る。
【0035】[実施例1]図1に本発明による偏光分離
素子の作製方法の一実施例を示す。また、図2(a),
(b)に紫外線硬化型接着剤を塗布された透明基板上に
有機複屈折膜を載せ有機溶媒を滴下して透明基板周辺部
の接着剤を除去する前後の状態を表す斜視図を示す。ま
ず図1(a)に示すように、直径φ100mm、厚さ
1.0mmのショット製光学ガラスBK7からなる透明
基板1をスピンテーブル10に載せ、真空吸着によって
透明基板1をスピンテーブル10に固定した。その後、
スピンテーブル10を10〜50rpmで回転させなが
ら、透明基板1の中央部にディスペンサー12を用いて
屈折率1.52、粘度500cpのアクリル系紫外線硬
化型接着剤3を3〜10g滴下した。その後、スピンテ
ーブル10を150〜500rpmで回転させ、透明基
板1の全面に紫外線硬化型接着剤3を広げた後、図1
(b)に示すようにスピンテーブル10の回転を停止し
た。
【0036】次に図1(c)に示すように、有機複屈折
膜5の中心をスピンテーブル10の回転中心にほぼ合せ
ながら、図示しない載置装置を用いて紫外線硬化型接着
剤3の上に直径80mm、厚さ100μmの有機複屈折
膜5を載せた。図1(c)のの工程後の透明基板1と有
機複屈折膜5の斜視図を図2(a)に示す。紫外線硬化
型接着剤3が塗布された透明基板1の中心には有機複屈
折膜5が載せられているが、透明基板1の表面で有機複
屈折膜5で被覆されていない領域、つまり透明基板1の
周辺部には有機複屈折膜5からはみ出した紫外線硬化型
接着剤3Aが露出している。
【0037】次に図1(d)に示すように、スピンテー
ブル10を回転数1000〜3000rpmで再び回転
させ、有機複屈折膜5に有機溶媒(例えばイソプロピル
アルコール)14をリンス機構のノズル13から滴下し
ながら紫外線硬化型接着剤3を振り切り、接着剤層の厚
さを面内で一定にした。尚、イソプロピルアルコール
は、本実施例に用いたアクリル系紫外線硬化型接着剤は
溶解するが有機複屈折膜は溶解しない有機溶媒である。
ここで、図1(d)の工程後の透明基板1と有機複屈折
膜5の状態を表す斜視図を図2(b)に示す。図1
(c)の工程後に基板周辺部に残っていた紫外線硬化型
接着剤3A(図2(a))はイソプロピルアルコールに
よって除去されていた。その後、図1(e)に示すよう
に、スピンテーブル10の回転を停止し、有機複屈折膜
5側から高圧水銀灯を用いて第1の紫外線(UV)を照
射し、紫外線硬化型接着剤3を硬化させた。
【0038】次に有機複屈折膜5を接着した透明基板
(以下、基板と略す)1をスピンテーブル10から外
し、有機複屈折膜5上にポジレジストを1.5μmの厚
さに塗布し、60℃の温度で30分のプリベークを行っ
た。その後、基板1を図示しない縮小投影露光装置(N
A=0.45、σ=0.6、波長;i線)に装着し、1
000周期分の1.5μmのラインアンドスペースパタ
ーンのレチクルを用いて露光を行い、現像液NMD−3
を用いて現像を行い、100℃の温度で30分のポスト
ベークを行い、周期的なレジストパターンを完成させ
た。その後、前記のレジストパターンを110℃の雰囲
気で1,1,3,3−テトラメチルヘキサジシラザン蒸
気にさらし、レジスト表面に1,1,3,3−テトラメ
チルヘキサジシラザンをドープした後、ECR(Electo
ron Cyclotron Resonance)エッチング装置を用いて酸
素ガスを主成分とするエッチングガス雰囲気中で、前記
のレジストパターンをマスクとして有機複屈折膜5を深
さ4μmエッチングした。その後、剥離液を用いてレジ
ストパターンを除去し、1000周期分の凹凸格子から
なる回折格子を完成させた。ここで、図1(f)は透明
基板1上の有機複屈折膜5に回折格子5Aを形成した状
態を模式的に示している。すなわち図1(f)におい
て、有機複屈折膜5の上面には上記の1000周期分の
凹凸格子からなる回折格子5Aが形成されている。
【0039】次に平面加工した直径φ200mm、厚み
50mmのステンレス台上に回折格子5Aを形成した基
板1を置き、回折格子面に光学的に等方的なアクリル系
紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)6をマイクロシリ
ンジで1.0mL滴下する。そして図1(g)に示すよ
うに、両面を光学研磨した直径φ100mm、厚み1m
mの対向透明基板(材質;ショット製光学ガラスBK
7)9の一面に粘着剤8が塗布されたλ/4波長板7を
貼り付け、λ/4波長板7を貼り付けた面を前記のアク
リル系紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)6を塗布し
た基板1面に載せ、さらに対向透明基板9上に光学研磨
した光学ガラス(図示せず)を載せて、対向透明基板9
に100gf/cmの圧力を加え、等方性接着剤6を
被接着面全面に広げた。尚、対向透明基板9の被接着面
と対向する面には入射光の反射が最小となるよう反射防
止膜(図示せず)を形成している。この状態で対向透明
基板9を通して紫外光を照射し、等方性接着剤6を硬化
し、ウエハー状の偏光分離素子の中間完成体100を形
成した。尚、図1(g)は、回折格子が形成された基板
1に等方性接着剤6を介して、λ/4波長板7を貼り付
けた対向透明基板9を一体化して形成した中間完成体1
00を模式的に示している。次に図1(h)に示すよう
に、ダイシングソー15を用いて中間完成体100をダ
イシングして5mm角の大きさの複数の素子(各々の素
子が1個の回折格子を有する)を切り出し、155個の
偏光分離素子101を完成させた。
【0040】尚、図1(c)の工程で、一部の基板1は
第1の紫外線(UV)を照射した後に、スピンテーブル
10から外し、ダイシングソーを用いて切断し、断面を
金属顕微鏡(倍率200倍)で観察して基板の直径方向
での接着剤層の厚さを測定した。その結果を図3に示
す。基板の直径方向での接着剤層の膜厚の変動は7μm
以下であり、ほぼ均一な厚さを持つ接着剤層が得られ
た。これにより、透明基板1を回転しながら、紫外線硬
化型接着剤3は溶解するが有機複屈折膜5は溶解しない
有機溶媒14を滴下しても、均一な厚さの接着剤層が得
られることが確認できた。
【0041】本実施例の方法によると、図2(a)に示
すように有機複屈折膜5で被覆されていない透明基板1
の周辺にはみ出している紫外線硬化型接着剤3Aは、透
明基板1を回転させながら、紫外線硬化型接着剤3を溶
解するが有機複屈折膜5は溶解しない有機溶媒14を滴
下するため、透明基板1の周辺部にある紫外線硬化型接
着剤3Aは図2(b)に示すように除去される。また、
透明基板1を回転させながら前記の有機溶媒14を滴下
するため、有機溶媒14には遠心力がかかり、有機複屈
折膜5と透明基板1とで挟まれた領域にある紫外線硬化
型接着剤3へは染み込みにくいので、その後の工程(図
1(c))で第1の紫外線(UV)を照射することによ
って透明基板1と有機複屈折膜5は十分な接着面積が得
られる。その結果、基板周辺部には接着剤が残らないの
で、装置間や装置内の搬送で基板周辺部をハンドリング
しても、基板周辺部からの異物の発生が非常に少ないの
で、偏光分離素子の製造歩留を向上することができる。
【0042】尚、本実施例では有機溶媒14としてイソ
プロピルアルコールを用いたが、前記の有機溶媒14は
イソプロピルアルコールに限定される必要は無く、紫外
線硬化型接着剤3を溶解するが有機複屈折膜5を溶解し
ない有機溶媒であれば何ら構わない。しかしながら、貼
り合せ光ディスク等の貼り合せ工程で広く用いられてい
るアクリル系やエポキシ系紫外線硬化型接着剤は、イソ
プロピルアルコールとアセトンに非常によく溶解するの
で、有害性の大きい他の有機溶媒を用いるよりも、イソ
プロピルアルコールやアセトンを用いることは、作業環
境や装置安全性の面からより望ましい。
【0043】また、本実施例では透明基板1をスピンテ
ーブル10に固定した後、スピンテーブル10を回転さ
せながら透明基板1の中央部にアクリル系紫外線硬化型
接着剤3を滴下して接着剤を塗布したが、接着剤の塗布
方法は本実施例の方法に限定される必要は無く、透明基
板1をスピンテーブル10に固定した後、スピンテーブ
ル10を停止したまま透明基板1の中央部に接着剤3を
滴下し、その後、スピンテーブル10を回転させて透明
基板1の全面に接着剤3を広げても良く、あるいはロー
ルコート法、スプレー法等によって紫外線硬化型接着剤
3を透明基板1に塗布しても良い。
【0044】[実施例2]図4に本発明による偏光分離
素子の作製方法の別の実施例を示す。まず図4(a),
(b)に示すように、実施例1と同様の工程で、直径φ
100mm、厚さ1.0mmのショット製光学ガラスB
K7からなる透明基板1をスピンテーブル10に載せ、
真空吸着によって透明基板1をスピンテーブル10に固
定した後、透明基板1の中央部にディスペンサー12を
用いて屈折率1.52のアクリル系紫外線硬化型接着剤
3を滴下し、スピンテーブル10を回転させて接着剤を
透明基板全面に均一に塗布した。その後、図4(c)に
示すように、一面に粘着剤2を介して有機高分子からな
る保護膜4が付いた有機複屈折膜5(直径80mm、厚
さ100μm)を、その中心をスピンテーブル10の回
転中心にほぼ合せ、かつ保護膜4の付いていない面を被
接着面となるように、紫外線硬化型接着剤3の上に載置
装置(図示せず)を用いて載せた。
【0045】次に図4(d)に示すように、スピンテー
ブル10を回転数1000〜3000rpmで再び回転
させ、有機複屈折膜5にリンス機構のノズル13から有
機溶媒(例えばイソプロピルアルコール)14を滴下し
ながら紫外線硬化型接着剤3を振り切った。尚、イソプ
ロピルアルコールは、本実施例に用いたアクリル系紫外
線硬化型接着剤3を溶解するが有機複屈折膜5は溶解し
ない有機溶媒であり、図4(d)の工程中に基板周辺部
に残っていた紫外線硬化型接着剤はイソプロピルアルコ
ールによって除去された。次に図4(e)に示すよう
に、スピンテーブル10の回転を停止し、保護膜4上か
ら高圧水銀灯を用いて第1の紫外線(UV)を照射し、
紫外線硬化型接着剤3を硬化させた。尚、第1の紫外線
(UV)は保護膜4での吸収を考慮して、実施例1の時
の1.2倍の強度のエネルギーで照射した。その後、図
4(f)に示すように、ピンセットを用いて、有機複屈
折膜5から保護膜4を剥離した。
【0046】次に有機複屈折膜5を接着した基板1をス
ピンテーブル10から外し、実施例1と同様にリソグラ
フィーとエッチングの工程によって回折格子を形成した
後、図4(g)に示すように、光学的に等方的なアクリ
ル系紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)6を用い、実
施例1と同様に、粘着剤8によってλ/4波長板7を貼
付けられた直径φ100mm、厚み1mmの対向透明基
板(材質;ショット製光学ガラスBK7)を、基板1に
接着した。この状態で対向透明基板9を通して紫外光を
照射し、等方性接着剤6を硬化し、ウエハー状の偏光分
離素子の中間完成体100を形成した。尚、対向透明基
板9の被接着面と対向する面には入射光の反射が最小と
なるように反射防止膜(図示せず)を形成している。ま
た、図4(g)は、有機複屈折膜5に回折格子が形成さ
れた基板1に等方性接着剤6を介して、λ/4波長板7
を貼り付けた対向透明基板9を一体化して形成した中間
完成体100を模式的に示している。次に図4(h)に
示すように、ダイシングソー15を用いて中間完成体1
00をダイシングして5mm角の大きさの複数の素子
(各々の素子が1個の回折格子を有する)を切り出し、
複数個の偏光分離素子101を完成させた。
【0047】本実施例の方法によると、透明基板1と有
機複屈折膜5の貼り合せ工程は、有機複屈折膜5の面の
うち回折格子を形成する面を保護膜4で被覆した状態で
行うことができる。そのため貼り合せ工程で有機複屈折
膜5の回折格子を形成する面にキズや異物を付ける確率
が著しく減る。特にスピンテーブル10を回転させ、紫
外線硬化型接着剤3を振り切る工程において、振り切っ
た接着剤のミストが回折格子を形成する面に付着しない
(接着剤のミストは保護膜4に付き、紫外線照射後、保
護膜4を剥離するので、有機複屈折膜5の表面には残ら
ない)ため、異物の非常に少ない有機複屈折膜表面を実
現できる。そのためリソグラフィー工程において異物や
キズによって発生するパターン欠陥を低減でき、偏光分
離素子の製造歩留を向上することができる。
【0048】[実施例3]図5に本発明による偏光分離
素子の作製方法の別の実施例を示す。まず図5(a),
(b)に示すように、実施例1と同様の工程で、直径φ
100mm、厚さ1.0mmのショット製光学ガラスB
K7からなる透明基板1をスピンテーブル10に載せ、
真空吸着によって透明基板1をスピンテーブル10に固
定した後、透明基板1の中央部にディスペンサー12を
用いて屈折率1.52のアクリル系紫外線硬化型接着剤
3を滴下し、スピンテーブル10を回転させて接着剤を
透明基板全面に均一に塗布した。その後、図5(c)に
示すように、有機複屈折膜5(直径80mm、厚さ10
0μm)を、その中心をスピンテーブル10の回転中心
にほぼ合せ、載置装置(図示せず)を用いて紫外線硬化
型接着剤3の上に載せた。
【0049】次に図5(d)に示すように、スピンテー
ブル10を回転数1000〜3000rpmで再び回転
させ、紫外線硬化型接着剤3を振り切りながら、有機複
屈折膜5にリンス機構のノズル13から有機溶媒(例え
ばイソプロピルアルコール)14を滴下し、かつ透明基
板1に第2の紫外線(UV)を照射した。尚、イソプロ
ピルアルコールは、本実施例に用いたアクリル系紫外線
硬化型接着剤3を溶解するが有機複屈折膜5は溶解しな
い有機溶媒であるため、図5(d)の工程中に基板周辺
部に残っていた紫外線硬化型接着剤はイソプロピルアル
コールによって除去された。ここで第2の紫外線の照射
エネルギーは第1の紫外線の照射エネルギーよりも小さ
くし、第2の紫外線照射によって紫外線硬化型接着剤は
重合して高粘度化する程度に留め、紫外線硬化型接着剤
の完全硬化は次の工程での第1の紫外線照射によって成
されるようにしておく。その後、図5(e)に示すよう
に、スピンテーブル10の回転を停止し、有機複屈折膜
5上から高圧水銀灯を用いて第1の紫外線(UV)を照
射し、紫外線硬化型接着剤3を完全に硬化させた。
【0050】次に有機複屈折膜5を接着した基板1をス
ピンテーブル10から外し、実施例1と同様にリソグラ
フィーとエッチングの工程によって回折格子を形成した
後、図5(g)に示すように、光学的に等方的なアクリ
ル系紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)6を用い、実
施例1と同様に、粘着剤8によってλ/4波長板7を貼
付けられた直径φ100mm、厚み1mmの対向透明基
板(材質;ショット製光学ガラスBK7)を、基板1に
接着した。この状態で対向透明基板9を通して紫外光を
照射し、等方性接着剤6を硬化し、ウエハー状の偏光分
離素子の中間完成体100を形成した。尚、対向透明基
板9の被接着面と対向する面には入射光の反射が最小と
なるように反射防止膜(図示せず)を形成している。ま
た、図5(g)は、有機複屈折膜5に回折格子が形成さ
れた基板1に等方性接着剤6を介して、λ/4波長板7
を貼り付けた対向透明基板9を一体化して形成した中間
完成体100を模式的に示している。次に図5(h)に
示すように、ダイシングソー15を用いて中間完成体1
00をダイシングして5mm角の大きさの複数の素子
(各々の素子が1個の回折格子を有する)を切り出し、
複数個の偏光分離素子101を完成させた。
【0051】本実施例の方法によると、第2の紫外線照
射によって紫外線硬化型接着剤3は重合を開始して高粘
度化するため、紫外線硬化型接着剤3と有機複屈折膜5
との固着力が強まり、透明基板1の回転によって起こる
有機複屈折膜5の位置ずれを低減できる。その結果、有
機複屈折膜5が透明基板1からはみ出す頻度が小さくな
り、搬送不良を低減でき、より低コストの偏光分離素子
を実現できる。
【0052】尚、接着剤層の厚さを均一化するため、透
明基板1を回転させてある程度接着剤を振り切らなけれ
ばならないので、第2の紫外線照射によって紫外線硬化
型接着剤3が急激に高粘度することを避ける必要があ
り、第2の紫外線は比較的弱い強度で照射するのが良
く、本実施例では第1の紫外線の1/10の強度で紫外
線照射を行った。また、第2の紫外線照射によって紫外
線硬化型接着剤3が高粘度化するため、接着剤層の厚さ
を均一化するためには透明基板1の回転数を最適化する
必要があり、本実施例では第2の紫外線照射中に3ステ
ップでスピンテーブル10の回転数を上昇させた。
【0053】尚、本実施例では有機溶媒14の滴下中に
透明基板1を回転しながら第2の紫外線を照射したが、
第2の紫外線の照射は本実施例に限定される必要はな
く、前記の有機溶媒14の滴下前、あるいは滴下後の一
方であっても何ら構わず、第2の紫外線照射によって紫
外線硬化型接着剤3が重合を始め、高粘度化して有機複
屈折膜5との固着力が大きくなれば良い。
【0054】[実施例4]図6に本発明による偏光分離
素子の作製方法の別の実施例を示す。まず図6(a),
(b)に示すように、実施例1と同様の工程で、直径φ
100mm、厚さ1.0mmのショット製光学ガラスB
K7からなる透明基板1をスピンテーブル10に載せ、
真空吸着によって透明基板1をスピンテーブル10に固
定した後、透明基板1の中央部にディスペンサー12を
用いて屈折率1.52のアクリル系紫外線硬化型接着剤
3を滴下し、スピンテーブル10を回転させて接着剤を
透明基板全面に均一に塗布した。その後、図6(c)に
示すように、一面に粘着剤2を介して有機高分子からな
る保護膜4が付いた有機複屈折膜5(直径80mm、厚
さ100μm)を、その中心をスピンテーブル10の回
転中心にほぼ合せ、かつ保護膜4の付いていない面を被
接着面となるように、載置装置(図示せず)を用いて紫
外線硬化型接着剤3の上に載せた。
【0055】次に図6(d)に示すように、スピンテー
ブル10を回転数1000〜3000rpmで再び回転
させ、紫外線硬化型接着剤3を振り切るながら、有機複
屈折膜5にリンス機構のノズル13から有機溶媒(例え
ばイソプロピルアルコール)14を滴下し、かつ透明基
板に第2の紫外線(UV)を照射した。尚、イソプロピ
ルアルコールは、本実施例に用いたアクリル系紫外線硬
化型接着剤3を溶解するが有機複屈折膜5は溶解しない
有機溶媒であるため、図6(d)の工程中に基板周辺部
に残っていた紫外線硬化型接着剤はイソプロピルアルコ
ールによって除去された。尚、第2の紫外線の照射エネ
ルギーは実施例3と同様に、第1の紫外線の照射エネル
ギーよりも小さくしておき、第2の紫外線照射によって
紫外線硬化型接着剤3は重合して高粘度化する程度に留
め、紫外線硬化型接着剤3の完全硬化は次の工程での第
1の紫外線照射によって成されるようにする。次に図6
(e)に示すように、スピンテーブル10の回転を停止
し、保護膜4上から高圧水銀灯を用いて第1の紫外線
(UV)を照射し、紫外線硬化型接着剤3を硬化させ
た。尚、第1の紫外線(UV)は保護膜4での吸収を考
慮して、実施例1の時の1.2倍の強度のエネルギーで
照射した。その後、図6(f)に示すように、ピンセッ
トを用いて、有機複屈折膜5から保護膜4を剥離した。
【0056】次に有機複屈折膜5を接着した基板1をス
ピンテーブル10から外し、実施例1と同様にリソグラ
フィーとエッチングの工程によって回折格子を形成した
後、図6(g)に示すように、光学的に等方的なアクリ
ル系紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)6を用い、実
施例1と同様に、粘着剤8によってλ/4波長板7を貼
付けられた直径φ100mm、厚み1mmの対向透明基
板(材質;ショット製光学ガラスBK7)を、基板1に
接着した。この状態で対向透明基板9を通して紫外光を
照射し、等方性接着剤6を硬化し、ウエハー状の偏光分
離素子の中間完成体100を形成した。尚、対向透明基
板9の被接着面と対向する面には入射光の反射が最小と
なるように反射防止膜(図示せず)を形成している。ま
た、図6(g)は、有機複屈折膜5に回折格子が形成さ
れた基板1に等方性接着剤6を介して、λ/4波長板7
を貼り付けた対向透明基板9を一体化して形成した中間
完成体100を模式的に示している。次に図6(h)に
示すように、ダイシングソー15を用いて中間完成体1
00をダイシングして5mm角の大きさの複数の素子
(各々の素子が1個の回折格子を有する)を切り出し、
複数個の偏光分離素子101を完成させた。
【0057】本実施例の方法によっても、第2の紫外線
照射によって紫外線硬化型接着剤3は重合を開始して高
粘度化するため、紫外線硬化型接着剤3と有機複屈折膜
5との固着力が強まり、透明基板1の回転によって起こ
る有機複屈折膜5の位置ずれを低減できる。また、透明
基板1と有機複屈折膜5の貼り合せ工程中は有機複屈折
膜5の表面が保護膜4で被覆されているため、有機複屈
折膜5の表面に異物やキズが付く確率を非常に小さくで
きる。その結果、リソグラフィー工程において異物やキ
ズによって発生するパターン欠陥を低減でき、偏光分離
素子の製造歩留を向上することができる。
【0058】[実施例5]図7に本発明による偏光分離
素子の作製方法の別の実施例を示す。まず図7(a),
(b)に示すように、実施例1と同様の工程で、直径φ
100mm、厚さ1.0mmのショット製光学ガラスB
K7からなる透明基板1をスピンテーブル10に載せ、
真空吸着によって透明基板1をスピンテーブル10に固
定した後、透明基板1の中央部にディスペンサー12を
用いて屈折率1.52のアクリル系紫外線硬化型接着剤
3を滴下し、スピンテーブル10を回転させて接着剤を
透明基板全面に均一に塗布した。その後、図7(c)に
示すように、一面に粘着剤2を介して有機高分子からな
る保護膜4が付いた有機複屈折膜5(直径80mm、厚
さ100μm)を、その中心をスピンテーブル10の回
転中心にほぼ合せ、かつ保護膜4の付いていない面を被
接着面となるように、載置装置(図示せず)を用いて紫
外線硬化型接着剤3の上に載せた。
【0059】次に図7(d)に示すように、スピンテー
ブル10を回転数1000〜3000rpmで再び回転
させ、紫外線硬化型接着剤3を振り切るながら、有機複
屈折膜5にリンス機構のノズル13から有機溶媒(例え
ばイソプロピルアルコール)14を滴下し、かつ透明基
板に第2の紫外線(UV)を照射した。イソプロピルア
ルコールは、本実施例に用いたアクリル系紫外線硬化型
接着剤3を溶解するが有機複屈折膜5は溶解しない有機
溶媒であるため、図7(d)の工程中に基板周辺部に残
っていた紫外線硬化型接着剤はイソプロピルアルコール
によって除去された。尚、第2の紫外線の照射エネルギ
ーは実施例4と同様に、第1の紫外線の照射エネルギー
よりも小さくしておき、第2の紫外線照射によって紫外
線硬化型接着剤3は重合して高粘度化する程度に留めて
おかなければならないが、次の工程において第1の紫外
線照射前に有機複屈折膜5から保護膜4を剥離するの
で、紫外線硬化型接着剤3はある程度硬化が進んでいる
必要がある。そこで本実施例では、実施例4の2〜3倍
の強度のエネルギーを照射した。次に図7(e)に示す
ように、スピンテーブルの回転を停止し、ピンセットを
用いて、有機複屈折膜5から保護膜4を剥離した。その
後、図7(f)に示すように、高圧水銀灯を用いて第1
の紫外線(UV)を透明基板1に照射し、紫外線硬化型
接着剤3を硬化させた。
【0060】次に有機複屈折膜5を接着した基板1をス
ピンテーブル10から外し、実施例1と同様にリソグラ
フィーとエッチングの工程によって回折格子を形成した
後、図7(g)に示すように、光学的に等方的なアクリ
ル系紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)6を用い、実
施例1と同様に、粘着剤8によってλ/4波長板7を貼
付けられた直径φ100mm、厚み1mmの対向透明基
板(材質;ショット製光学ガラスBK7)を、基板1に
接着した。この状態で対向透明基板9を通して紫外光を
照射し、等方性接着剤6を硬化し、ウエハー状の偏光分
離素子の中間完成体100を形成した。尚、対向透明基
板9の被接着面と対向する面には入射光の反射が最小と
なるように反射防止膜(図示せず)を形成している。ま
た、図7(g)は、有機複屈折膜5に回折格子が形成さ
れた基板1に等方性接着剤6を介して、λ/4波長板7
を貼り付けた対向透明基板9を一体化して形成した中間
完成体100を模式的に示している。次に図7(h)に
示すように、ダイシングソー15を用いて中間完成体1
00をダイシングして5mm角の大きさの複数の素子
(各々の素子が1個の回折格子を有する)を切り出し、
複数個の偏光分離素子101を完成させた。
【0061】本実施例の方法によっても、第2の紫外線
照射によって紫外線硬化型接着剤3は重合を開始して高
粘度化するため、紫外線硬化型接着剤3と有機複屈折膜
5との固着力が強まり、透明基板1の回転によって起こ
る有機複屈折膜5の位置ずれを低減できる。また、透明
基板1と有機複屈折膜5の貼り合せ工程中は有機複屈折
膜5の表面が保護膜4で被覆されているため、有機複屈
折膜5の表面に異物やキズが付く確率を非常に小さくで
きる。その結果、リソグラフィー工程において異物やキ
ズによって発生するパターン欠陥を低減でき、偏光分離
素子の製造歩留を向上することができる。
【0062】[実施例6]図8に本発明による偏光分離
素子の作製方法の別の実施例を示す。また、図9に図8
(e)の工程の詳細を説明する斜視図を示す。まず図8
(a)に示すように、直径φ100mm、厚さ1.0m
mのショット製光学ガラスBK7からなる透明基板1を
スピンテーブル10に載せ、真空吸着によってスピンテ
ーブル10に固定した。その後、スピンテーブル10を
10〜50rpmで回転させながら、透明基板1の中央
部にディスペンサー12を用いて屈折率1.52のアク
リル系紫外線硬化型接着剤3を3〜10g滴下した。そ
の後、図8(b)に示すように、スピンテーブルを15
0〜500rpmで回転させ、透明基板1の全面に紫外
線硬化型接着剤3を広げた後、スピンテーブル10の回
転を停止した。
【0063】次に図8(c)に示すように、有機複屈折
膜5の中心をスピンテーブル10の回転中心にほぼ合せ
ながら、載置装置(図示せず)を用いて紫外線硬化型接
着剤3の上に直径φ100mm、厚さ100μmの有機
複屈折膜5を載せた。その後、図8(d)に示すよう
に、スピンテーブル10を回転数1000〜32000
rpmで再び回転し、余分な接着剤を振り切って接着剤
層の厚さを均一にした。次にスピンテーブル10の回転
を停止して有機複屈折膜5の位置ずれを観察したとこ
ろ、有機複屈折膜5は透明基板1からはみ出していた。
そこで図8(e)及び図9(a)に示すように、調整治
具11を用い、有機複屈折膜5のはみ出した側の端部を
透明基板1の中心側へ押し、透明基板上を滑るように有
機複屈折膜5を動かし(以後、滑るように動かすことを
滑動と略す)、有機複屈折膜5の位置修正(つまり透明
基板1から有機複屈折膜5がはみ出さない位置へ有機複
屈折膜5を動かす)を行った(図9(b))。次に図8
(f)に示すように、高圧水銀灯を用いて透明基板に第
1の紫外線(UV)を照射し、紫外線硬化型接着剤3を
硬化させた。
【0064】次に有機複屈折膜5を接着した基板1をス
ピンテーブル10から外し、実施例1と同様にリソグラ
フィーとエッチングの工程によって回折格子を形成した
後、図8(g)に示すように、光学的に等方的なアクリ
ル系紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)6を用い、実
施例1と同様に、粘着剤8によってλ/4波長板7を貼
付けられた直径φ100mm、厚み1mmの対向透明基
板(材質;ショット製光学ガラスBK7)を、基板1に
接着した。この状態で対向透明基板9を通して紫外光を
照射し、等方性接着剤6を硬化し、ウエハー状の偏光分
離素子の中間完成体100を形成した。尚、対向透明基
板9の被接着面と対向する面には入射光の反射が最小と
なるように反射防止膜(図示せず)を形成している。ま
た、図8(g)は、有機複屈折膜5に回折格子が形成さ
れた基板1に等方性接着剤6を介して、λ/4波長板7
を貼り付けた対向透明基板9を一体化して形成した中間
完成体100を模式的に示している。次に図8(h)に
示すように、ダイシングソー15を用いて中間完成体1
00をダイシングして5mm角の大きさの複数の素子
(各々の素子が1個の回折格子を有する)を切り出し、
複数個の偏光分離素子101を完成させた。
【0065】尚、一部の基板は図8(f)の工程で第1
の紫外線を照射した後に、スピンテーブル10から外し
て、ダイシングソーを用いて切断し、断面を金属顕微鏡
(倍率200倍)で観察し、基板の直径方向での接着剤
層の厚さを測定した。その結果を図10に示す。基板の
直径方向での接着剤層の厚さの変動は6μm以下であ
り、実施例1と同程度のバラツキであることが確認され
た。この結果から、透明基板1を回転して余分な紫外線
硬化型接着剤3を振り切り、接着剤層厚さを均一化した
後は有機複屈折膜5を透明基板上で滑るように動かして
も接着剤層の厚さ変動に影響はないことが判った。
【0066】本実施例の方法によると、図8(d)の工
程において透明基板1の回転によって有機複屈折膜5の
位置ずれが発生した場合、図8(e)の工程で透明基板
1の回転を止めた状態で、透明基板1上で有機複屈折膜
5を滑動させ、有機複屈折膜5の位置を修正して透明基
板1から有機複屈折膜5がはみ出さないようにし、その
状態で第1の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤3を
硬化させるので、透明基板1からの有機複屈折膜5のは
み出しを完全に防止できる。その結果、次工程以降の装
置間及び装置内で搬送不良が起こらず、偏光分離素子の
製造歩留を向上することができる。
【0067】[実施例7]図11に本発明による偏光分
離素子の作製方法の別の実施例を示す。まず図11
(a)に示すように、直径φ100mm、厚さ1.0m
mのショット製光学ガラスBK7からなる透明基板1を
スピンテーブル10に載せ、真空吸着によってスピンテ
ーブル10に固定した。その後、スピンテーブル10を
10〜50rpmで回転させながら、透明基板1の中央
部にディスペンサー12を用いて屈折率1.58、粘度
600cpのエポキシ系紫外線硬化型接着剤3を3〜1
1g滴下した。その後、図11(b)に示すように、ス
ピンテーブル10を300〜500rpmで回転させ、
透明基板1の全面に紫外線硬化型接着剤3を広げ、その
後、スピンテーブル10の回転を停止した。
【0068】次に図11(c)に示すように、有機複屈
折膜5の中心をスピンテーブル10の回転中心にほぼ合
せながら、載置装置(図示せず)を用いて紫外線硬化型
接着剤3の上に直径80mm、厚さ80μmの有機複屈
折膜5を載せた。その後、図11(d)に示すように、
スピンテーブル10を回転数1000〜3000rpm
で再び回転し、余分な接着剤を振り切って接着剤層の厚
さを均一にした。その後、スピンテーブル10の回転を
停止し、図11(e)に示すように、調整治具11を用
いて有機複屈折膜5のはみ出した側の端部を透明基板1
の中心側へ押し、有機複屈折膜5を透明基板上で滑動さ
せ、有機複屈折膜5の位置修正(つまり透明基板1から
有機複屈折膜5がはみ出さない位置へ有機複屈折膜5を
動かす)を行った。次に図11(f)に示すように、高
圧水銀灯を用いて透明基板1に第3の紫外線(UV)を
照射し、紫外線硬化型接着剤3を半硬化させた。尚、第
3の紫外線のエネルギーは、次の工程でスピンテーブル
10を回転させた時に有機複屈折膜5が位置ずれを起こ
さない程度に紫外線硬化型接着剤3を硬化できれば良い
ので、本実施例では、実施例1で用いた第1の紫外線の
約30%のエネルギーで照射した。
【0069】次に図11(g)に示すように、スピンテ
ーブル10を回転数400〜1000rpmで再び回転
させながら、有機複屈折膜上にリンス機構のノズル13
から有機溶媒(例えばアセトン)14を滴下した。アセ
トンは、本実施例に用いたエポキシ系紫外線硬化型接着
剤を溶解するが有機複屈折膜は溶解しない有機溶媒であ
るため、図11(f)の工程後に基板周辺部に残ってい
た紫外線硬化型接着剤はアセトンによって除去された。
その後、図11(h)に示すように、スピンテーブル1
0の回転を停止し、有機複屈折膜側から高圧水銀灯を用
いて第1の紫外線(UV)を照射し、紫外線硬化型接着
剤3を完全に硬化させた。尚、本実施例では既に第3の
紫外線照射によって紫外線硬化型接着剤3が硬化を始め
ているので、実施例1で用いた第1の紫外線の約70%
の強度のエネルギーで照射した。
【0070】次に有機複屈折膜5を接着した透明基板
(以下基板と略す)1をスピンテーブル10から外し
て、実施例1と同様にリソグラフィーとエッチングによ
って有機複屈折膜上に回折格子を形成した。ここで、図
11(i)は透明基板1上の有機複屈折膜5に回折格子
5Aを形成した状態を模式的に示している。この例で
は、有機複屈折膜5の上面には例えば1000周期分の
凹凸格子からなる回折格子5Aが形成されている。次に
平面加工した直径φ200mm、厚み50mmのステン
レス台上に回折格子5Aを形成した基板1を置き、回折
格子面に光学的に等方的なエポキシ系紫外線硬化型接着
剤(等方性接着剤)をマイクロシリンジで1.0mL滴
下した。そして図11(j)に示すように、両面を光学
研磨した直径φ100mm、厚み1mmの対向透明基板
(材質;ショット製光学ガラスBK7)を前記の紫外線
硬化型接着剤(等方性接着剤)6を塗布した基板面に載
せ、さらに対向透明基板9上に光学研磨した光学ガラス
(図示せず)を載せ、対向透明基板9に100gf/c
の圧力を加え、等方性接着剤6を被接着面全面に広
げた。尚、対向透明基板9の被接着面と対向する面には
入射光の反射が最小となるよう反射防止膜(図示せず)
を形成している。この状態で対向透明基板9を通して紫
外光を照射し、等方性接着剤6を硬化し、ウエハー状の
偏光分離素子の中間完成体102を形成した。尚、図1
1(j)は、回折格子が形成された基板1に等方性接着
剤6を介して、対向透明基板9を一体化して形成した中
間完成体102を模式的に示している。次に図11
(k)に示すように、ダイシングソー15を用いて中間
完成体102をダイシングして5mm角の大きさの複数
の素子(各々の素子が1個の回折格子を有する)を切り
出し、複数個の偏光分離素子103を完成させた。
【0071】本実施例の方法によると、図11(d)の
工程において透明基板1の回転によって有機複屈折膜5
の位置ずれが発生した場合、図11(e)の工程で透明
基板1の回転を止めた状態で、透明基板1上で有機複屈
折膜5を滑動させ、有機複屈折膜5の位置を修正して透
明基板1から有機複屈折膜5がはみ出さないようにし、
その状態で第3の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤
3を半硬化させるので、透明基板1からの有機複屈折膜
5のはみ出しを完全に防止できる。
【0072】また、有機複屈折膜5で被覆されていない
透明基板周辺の紫外線硬化型接着剤3は、図11(g)
の工程において透明基板1を回転させながら、紫外線硬
化型接着剤3を溶解するが有機復屈折膜5は溶解しない
有機溶媒14を滴下するので、基板周辺部の紫外線硬化
型接着剤3を除去することができる。ここで透明基板1
を回転させながら前記の有機溶媒14を滴下するため、
有機溶媒14には遠心力がかかり、有機複屈折膜5と透
明基板1とで挟まれた領域にある紫外線硬化型接着剤3
へは染み込みにくいので、第1の紫外線を照射すること
によって透明基板1と有機複屈折膜5は十分な接着面積
が得られる。その結果、基板周辺部には接着剤が残らな
いので、装置間や装置内の搬送で基板周辺部をハンドリ
ングしても、基板周辺部からの異物の発生は著しく少な
いので、偏光分離素子の製造歩留を向上することができ
る。
【0073】尚、本実施例では有機溶媒14としてアセ
トンを用いたが、前記の有機溶媒14はアセトンに限定
されるものでは無く、紫外線硬化型接着剤3を溶解する
が有機復屈折膜5は溶解しない有機溶媒であれば何ら構
わない。しかしながら、貼り合せ光ディスク等の貼り合
せ工程で広く用いられているアクリル系やエポキシ系紫
外線硬化型接着剤は、イソプロピルアルコールとアセト
ンに非常によく溶解するので、有害性の大きい他の有機
溶媒を用いるよりも、イソプロピルアルコールやアセト
ンを用いることは、作業環境や装置安全性の面からより
望ましい。
【0074】また、本実施例では透明基板1をスピンテ
ーブル10に固定した後、スピンテーブル10を回転さ
せながら透明基板1の中央部にエポキシ系紫外線硬化型
接着剤を滴下して接着剤3を塗布したが、接着剤3の塗
布方法は本実施例の方法に限定される必要は無く、透明
基板1をスピンテーブル10に固定した後、スピンテー
ブル10を停止したまま透明基板1の中央部に接着剤3
を滴下し、その後、スピンテーブル10を回転させて透
明基板1の全面に接着剤3を広げても良く、あるいはロ
ールコート法、スプレー法等によって紫外線硬化型接着
剤3を塗布しても良い。
【0075】[実施例8]図12に本発明による偏光分
離素子の作製方法の別の実施例を示す。まず図12
(a),(b)に示すように、実施例7と同様の工程
で、直径φ100mm、厚さ1.0mmのショット製光
学ガラスBK7からなる透明基板1をスピンテーブル1
0に載せ、真空吸着によって透明基板1をスピンテーブ
ル10に固定した後、透明基板1の中央部にディスペン
サー12を用いて屈折率1.58、粘度600cpのエ
ポキシ系紫外線硬化型接着剤3を滴下し、スピンテーブ
ル10を回転させて接着剤を透明基板全面に均一に塗布
した。その後、図12(c)に示すように、一面に粘着
剤2を介して有機高分子からなる保護膜4が付いた有機
複屈折膜5(直径80mm、厚さ100μm)を、その
中心をスピンテーブル10の回転中心にほぼ合せ、かつ
保護膜4の付いていない面を被接着面となるように、紫
外線硬化型接着剤3の上に載置装置(図示せず)を用い
て載せた。
【0076】次に図12(d)に示すように、スピンテ
ーブル10を回転数1000〜3000rpmで再び回
転し、余分な接着剤3を振り切って接着剤層の厚さを均
一にした。その後、スピンテーブル10の回転を停止
し、図12(e)に示すように、調整治具11を用いて
有機複屈折膜5のはみ出した側の端部を透明基板1の中
心側へ押し、有機複屈折膜5を透明基板上で滑動させ、
有機複屈折膜5の位置修正を行った。次に図12(f)
に示すように、高圧水銀灯を用いて保護膜4を通して透
明基板1に第3の紫外線(UV)を照射し、紫外線硬化
型接着剤3を半硬化させた。尚、第3の紫外線は保護膜
4での吸収を考慮して、実施例7の時の1.2倍の強度
のエネルギーで照射した。
【0077】次に図12(g)に示すように、スピンテ
ーブル10を回転数400〜1000rpmで再び回転
し、保護膜4にリンス機構のノズル13から有機溶媒
(例えばアセトン)14を滴下して基板周辺部の紫外線
硬化型接着剤3を除去した。その後、図12(h)に示
すように、スピンテーブル10の回転を停止し、保護膜
4上から高圧水銀灯を用いて第1の紫外線を照射し、紫
外線硬化型接着剤3を硬化させた。尚、第1の紫外線は
保護膜4での吸収を考慮して、実施例7の時の1.2倍
の強度のエネルギーで照射した。その後、図12(i)
に示すように、ピンセットを用いて、有機複屈折膜5か
ら保護膜4を剥離した。
【0078】次に有機複屈折膜5を接着した透明基板1
をスピンテーブル10から外して、実施例7と同様にリ
ソグラフィーとエッチングによって有機複屈折膜上に回
折格子を形成した。次に平面加工した直径φ200m
m、厚み50mmのステンレス台上に回折格子を形成し
た透明基板1を置き、回折格子面に光学的に等方的なエ
ポキシ系紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)をマイク
ロシリンジで1.0mL滴下した。そして図12(j)
に示すように、両面を光学研磨した直径φ100mm、
厚み1mmの対向透明基板(材質;ショット製光学ガラ
スBK7)を前記の紫外線硬化型接着剤(等方性接着
剤)6を塗布した基板面に載せ、さらに対向透明基板9
上に光学研磨した光学ガラス(図示せず)を載せ、対向
透明基板9に100gf/cmの圧力を加え、等方性
接着剤6を被接着面全面に広げた。尚、対向透明基板9
の被接着面と対向する面には入射光の反射が最小となる
よう反射防止膜(図示せず)を形成している。この状態
で対向透明基板9を通して紫外光を照射し、等方性接着
剤6を硬化し、ウエハー状の偏光分離素子の中間完成体
102を形成した。尚、図12(j)は、回折格子が形
成された基板1に等方性接着剤6を介して、対向透明基
板9を一体化して形成した中間完成体102を模式的に
示している。次に図12(k)に示すように、ダイシン
グソー15を用いて中間完成体102をダイシングして
5mm角の大きさの複数の素子(各々の素子が1個の回
折格子を有する)を切り出し、複数個の偏光分離素子1
03を完成させた。
【0079】本実施例の方法によると、透明基板1と有
機複屈折膜5の貼り合せ工程は、有機複屈折膜5の面の
うち回折格子を形成する面を保護膜4で被覆した状態で
行うことができるので、貼り合せ工程で有機複屈折膜5
の回折格子を形成する面にキズや異物を付ける確率が著
しく減少する。そのためリソグラフィー工程において異
物やキズによって発生するパターン欠陥を低減でき、偏
光分離素子の製造歩留を向上することができる。
【0080】[実施例9]図13に本発明による偏光分
離素子の作製方法の別の実施例を示す。まず図13
(a),(b)に示すように、実施例7と同様の工程
で、直径φ100mm、厚さ1.0mmのショット製光
学ガラスBK7からなる透明基板1をスピンテーブル1
0に載せ、真空吸着によって透明基板1をスピンテーブ
ル10に固定した後、透明基板1の中央部にディスペン
サー12を用いて屈折率1.58、粘度600cpのエ
ポキシ系紫外線硬化型接着剤3を滴下し、スピンテーブ
ル10を回転させて接着剤を透明基板全面に均一に塗布
した。その後、図13(c)に示すように、一面に粘着
剤2を介して有機高分子からなる保護膜4が付いた有機
複屈折膜5(直径80mm、厚さ100μm)を、その
中心をスピンテーブル10の回転中心にほぼ合せ、かつ
保護膜4の付いていない面を被接着面となるように、紫
外線硬化型接着剤3の上に載置装置(図示せず)を用い
て載せた。
【0081】次に図13(d)に示すように、スピンテ
ーブル10を回転数1000〜3000rpmで再び回
転し、余分な接着剤3を振り切って接着剤層の厚さを均
一にした。その後、スピンテーブル10の回転を停止
し、図13(e)に示すように、調整治具11を用いて
有機複屈折膜5のはみ出した側の端部を透明基板1の中
心側へ押し、有機複屈折膜5を透明基板上で滑動させ、
有機複屈折膜5の位置修正を行った。次に図13(f)
に示すように、高圧水銀灯を用いて保護膜4を通して透
明基板1に第3の紫外線(UV)を照射し、紫外線硬化
型接着剤3を半硬化させた。尚、第3の紫外線は保護膜
4での吸収を考慮して、実施例7の時の2倍の強度のエ
ネルギーで照射した。その後、図13(g)に示すよう
に、ピンセットを用いて、有機複屈折膜5から保護膜4
を剥離した。
【0082】次に図13(h)に示すように、スピンテ
ーブル10を回転数400〜1000rpmで再び回転
し、有機複屈折膜5にリンス機構のノズル13から有機
溶媒(例えばアセトン)14を滴下して、基板周辺部の
紫外線硬化型接着剤3を除去した。その後、図13
(i)に示すように、スピンテーブル10の回転を停止
し、高圧水銀灯を用いて透明基板1に第1の紫外線(U
V)を照射し、紫外線硬化型接着剤3を硬化させた。
尚、第1の紫外線は実施例7の80%のエネルギーで照
射した。
【0083】次に有機複屈折膜5を接着した透明基板1
をスピンテーブル10から外して、実施例7と同様にリ
ソグラフィーとエッチングによって有機複屈折膜上に回
折格子を形成した。次に平面加工した直径φ200m
m、厚み50mmのステンレス台上に回折格子を形成し
た透明基板1を置き、回折格子面に光学的に等方的なエ
ポキシ系紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)をマイク
ロシリンジで1.0mL滴下した。そして図13(j)
に示すように、両面を光学研磨した直径φ100mm、
厚み1mmの対向透明基板(材質;ショット製光学ガラ
スBK7)を前記の紫外線硬化型接着剤(等方性接着
剤)6を塗布した基板面に載せ、さらに対向透明基板9
上に光学研磨した光学ガラス(図示せず)を載せ、対向
透明基板9に100gf/cmの圧力を加え、等方性
接着剤6を被接着面全面に広げた。尚、対向透明基板9
の被接着面と対向する面には入射光の反射が最小となる
よう反射防止膜(図示せず)を形成している。この状態
で対向透明基板9を通して紫外光を照射し、等方性接着
剤6を硬化し、ウエハー状の偏光分離素子の中間完成体
102を形成した。尚、図13(j)は、回折格子が形
成された基板1に等方性接着剤6を介して、対向透明基
板9を一体化して形成した中間完成体102を模式的に
示している。次に図13(k)に示すように、ダイシン
グソー15を用いて中間完成体102をダイシングして
5mm角の大きさの複数の素子(各々の素子が1個の回
折格子を有する)を切り出し、複数個の偏光分離素子1
03を完成させた。
【0084】本実施例の方法によっても、有機複屈折膜
5の面のうち回折格子を形成する面を保護膜4で被覆し
た状態で透明基板1と有機複屈折膜5の貼り合せ工程を
行うことができるため、貼り合せ工程で回折格子を形成
する面にキズや異物を付ける確率を小さくすることが可
能となる。そのためリソグラフィー工程において異物や
キズによって発生するパターン欠陥を低減でき、偏光分
離素子の製造歩留を向上することができる。
【0085】[実施例10]図14に本発明による光ピ
ックアップ装置の一実施例を示す。この光ピックアップ
装置はCD(コンパクトディスク)系の光ディスク(C
D,CD−R,CD−RW)用であり、光源であるレー
ザーダイオード111、偏光分離素子112、コリメー
タレンズ113、対物レンズ114、光検出器であるフ
ォトダイオード115を備えており、偏光分離素子11
2としては、実施例1〜6のいずれかの作製方法で作製
された偏光分離素子が用いられる。このCD系光ディス
ク用の光ピックアップ装置では、レーザーダイオード1
11から出射された波長780nmの光は、偏光分離素
子112、コリメータレンズ113、対物レンズ114
を通ってCD系の光ディスク116を照射する。そして
CD系の光ディスク116の記録面からの反射光は戻り
光束となり、偏光分離素子112で回折されフォトダイ
オード115に導かれ、フォーカス誤差信号、トラック
誤差信号、情報信号の検出が行われる。
【0086】本実施例の光ピックアップ装置を用い、C
D系の光ディスク116としてCD−RWに信号を記録
し、その後、同じ光ピックアップ装置で信号の再生を行
ったところ、プリズムを接着したビームスプリッタとλ
/4波長板を組み合わせた従来のCD系光ディスク用光
ピックアップ装置と同等の再生信号出力を得ることがで
き、本実施例の光ピックアップ装置が従来の光ピックア
ップ装置と同等の記録/再生特性を持つことが確認でき
た。また、本実施例の光ピックアップ装置では、偏光分
離素子112は実施例1〜6のいずれかの作製方法によ
って有機複屈折膜5を透明基板1に接着して作製してい
るので、プリズムを接着したビームスプリッタよりも小
さく薄型になっており、かつ偏光分離素子にλ/4波長
板も組み込んでいるため、従来の光ピックアップ装置と
比較して小型化・薄型化が実現できている。加えて実施
例1〜6のいずれかの作製方法によって作製した偏光分
離素子は比較的安価に製造できることから、光ピックア
ップ装置の低コスト化も実現することができる。
【0087】[実施例11]図15に本発明による光ピ
ックアップ装置の別の実施例を示す。この光ピックアッ
プ装置はDVD(デジタルバーサタイルディスク)系の
光ディスク(DVD,DVD−ROM,DVD−RA
M,S−DVD等)用であり、光源であるレーザーダイ
オード111、偏光分離素子112、コリメータレンズ
113、対物レンズ114、光検出器であるフォトダイ
オード115、λ/4波長板117を備えており、偏光
分離素子112としては、実施例7〜9のいずれかの作
製方法で作製された偏光分離素子が用いられる。このD
VD系光ディスク用の光ピックアップ装置では、レーザ
ーダイオード111から出射された波長680nmの光
は偏光分離素子112とコリメータレンズ113、λ/
4波長板117、対物レンズ114を通った後、DVD
系の光ディスク118を照射する。そして,DVD系の
光ディスク118の記録面からの反射光は戻り光束とな
り、偏光分離素子112で回折されフォトダイオード1
15に導かれ、フォーカス誤差信号、トラック誤差信
号、情報信号の検出が行われる。
【0088】本実施例の光ピックアップ装置を用い、D
VD系の光ディスク118としてDVD−ROMからの
情報信号の再生を行った所、プリズムを接着したビーム
スプリッタとλ/4波長板を組み合わせた従来のDVD
系光ディスク用の光ピックアップ装置と同等の信号出力
を得ることができ、本実施例の光ピックアップ装置が従
来の光ピックアップ装置と同等の再生特性を持つことが
確認できた。また、本実施例の光ピックアップ装置で
は、偏光分離素子112は実施例7〜9のいずれかの作
製方法によって有機複屈折膜5を透明基板1に接着した
構造をもつので、プリズムを接着したビームスプリッタ
よりも小さく薄型になっている。その結果、従来の光ピ
ックアップ装置よりも小型化・薄型化が可能となる。さ
らに実施例7〜9のいずれかの作製方法によって作製し
た偏光分離素子は比較的安価に製造できることから、光
ピックアップ装置をより低コストで作製することが可能
となる。
【0089】[実施例12]図16に本発明による有機
複屈折膜の接着装置の一実施例を示す。この有機複屈折
膜の接着装置は、本発明による偏光分離素子の作製方法
に用いられる接着装置であり、透明基板1を保持するス
ピンテーブル10と、前記スピンテーブル10を回転さ
せるステッピングモーター等からなる回転機構(図示せ
ず)と、前記透明基板1に紫外線硬化型接着剤を塗布す
るディスペンサー16からなる塗布機構と、2本の吸着
アーム21によって有機複屈折膜5の両端を保持し、透
明基板上に塗布された紫外線硬化型接着剤上に有機複屈
折膜5を載置する載置機構20と、紫外線硬化型接着剤
を溶解するが有機複屈折膜は溶解しない有機溶媒を透明
基板1に滴下するリンス機構17と、透明基板1に紫外
線(UV)を照射する高圧水銀灯やメタルハライドラン
プ等からなる紫外線照射機構30等から構成されてい
る。
【0090】次に本実施例の接着装置を用いて有機複屈
折膜を接着する手順を述べる。直径φ100mm、厚さ
1.0mmのショット製光学ガラスBK7からなる透明
基板1をスピンテーブル10に載せ、真空吸着によって
スピンテーブル10に固定する。その後、透明基板1の
中央部にロボットアーム16Aによってディスペンサー
16を移動し、スピンテーブル10を回転機構によって
10rpmで回転させながら、屈折率1.52、粘度5
00cpのアクリル系紫外線硬化型接着剤を4g滴下す
る。その後、ディスペンサー16を元の位置に戻し、ス
ピンテーブル10を300rpmで回転させ、透明基板
1の全面に紫外線硬化型接着剤を広げ、その後、スピン
テーブル10の回転を停止する。
【0091】次に直径φ80mm、厚さ100μmの有
機複屈折膜5の両端を載置機構20の2本の吸着アーム
21に真空吸着して保持し、載置機構20を透明基板1
上へ移動し、有機複屈折膜5の中心をスピンテーブル1
0の回転中心にほぼ合せながら2本の吸着アーム21の
真空吸着を徐々に解除して透明基板1上の紫外線硬化型
接着剤の上に有機複屈折膜5を載せる。その後、載置装
置20を元の位置に戻し、スピンテーブル10を180
0rpmで回転させ、紫外線硬化型接着剤を振り切り、
有機複屈折膜5の表面を平坦化する。また回転中に透明
基板1と有機複屈折膜5の境界部にリンス機構17を移
動し、リンス機構17から、紫外線硬化型接着剤を溶解
するが有機複屈折膜は溶解しない有機溶媒(本実施例で
はイソプロピルアルコールを使用)を滴下して基板周辺
部に残っている紫外線硬化型接着剤を除去する。その
後、スピンテーブル10の回転を停止し、リンス機構1
7を元の位置に戻す。そして透明基板上に紫外線照射機
構30を移動し、有機複屈折膜5側から第1の紫外線
(UV)を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化させる。
紫外線照射終了後、紫外線照射機構30を元の位置に戻
し、スピンテーブル10の真空吸着を解除して有機複屈
折膜5を接着した透明基板1を取り出す。
【0092】上記のように本実施例の接着装置を用いる
と、実施例1の偏光分離素子の作製方法を実現すること
ができるため、透明基板の周辺部にある紫外線硬化型接
着剤は除去される。その結果、装置間や装置内の搬送で
基板周辺部をハンドリングしても基板周辺部からの異物
の発生が非常に少ないので、偏光分離素子の製造歩留を
向上することができる。また、本実施例では回転停止後
に紫外線照射機構30によって第1の紫外線を照射した
が、リンス機構17から有機溶媒を滴下する前後あるい
は滴下中の少なくても一方において、透明基板上に紫外
線照射機構30を移動して有機複屈折膜5側から第2の
紫外線を照射して接着剤を半硬化させた後、さらに回転
停止後に第1の紫外線を照射すると、実施例3の偏光分
離素子の作製方法を実現することができる。
【0093】尚、本実施例では紫外線照射機構30は1
つであるため、第1、第2の紫外線照射では照射時間や
照射距離等を変えて第1の紫外線と第2の紫外線を照射
するが、光強度の異なる2つの紫外線照射機構を設け、
各々第1の紫外線と第2の紫外線を照射しても良い。ま
た、有機複屈折膜5の一面に粘着剤2を介して有機高分
子からなる保護膜4が付いた有機複屈折膜を用いると、
実施例2,4,5の偏光分離素子の作製方法を実現する
ことができる。さらに本実施例では紫外線硬化型接着剤
の塗布にディスペンサーを用いたが、スプレーやロール
コーターを用いても何ら構わない。
【0094】[実施例13]図17に本発明による有機
複屈折膜の接着装置の別の実施例を示す。この有機複屈
折膜の接着装置は、本発明による偏光分離素子の作製方
法に用いられる接着装置であり、透明基板1を保持する
スピンテーブル10と、前記スピンテーブル10を回転
させるステッピングモーター等からなる回転機構(図示
せず)と、前記透明基板1に紫外線硬化型接着剤を塗布
するディスペンサー16からなる塗布機構と、2本の吸
着アーム21によって有機複屈折膜5の両端を保持し、
透明基板上に塗布された紫外線硬化型接着剤上に有機複
屈折膜5を載置する載置機構20と、有機複屈折膜5を
透明基板上で滑動して位置を修正する位置調整機構40
と、透明基板1に紫外線を照射する高圧水銀灯やメタル
ハライドランプ等からなる紫外線照射機構30等から構
成されている。尚、位置調整機構40はXY方向に可動
できる2軸アーム41の先端に調整治具11が付いてお
り、調整治具11で有機複屈折膜5を押し、透明基板1
上を滑らせる機構になっている。
【0095】次に本実施例の接着装置を用いて有機複屈
折膜を接着する手順を述べる。直径100mm、厚さ
1.0mmのショット製光学ガラスBK7からなる透明
基板1をスピンテーブル10に載せ、真空吸着によって
スピンテーブル10に固定する。その後、透明基板1の
中央部にロボットアーム16Aによってディスペンサー
16を移動し、スピンテーブル10を回転機構によって
10rpmで回転させながら、屈折率1.52、粘度5
00cpのアクリル系紫外線硬化型接着剤を4g滴下す
る。その後、ディスペンサー16を元の位置に戻し、ス
ピンテーブル10を300rpmで回転させ、透明基板
1の全面に紫外線硬化型接着剤を広げ、その後、スピン
テーブル10の回転を停止する。
【0096】次に直径80mm、厚さ100μmの有機
複屈折膜5の両端を載置機構20の2本の吸着アーム2
1に真空吸着して保持し、載置機構20を透明基板1上
へ移動し、有機複屈折膜5の中心をスピンテーブル10
の回転中心にほぼ合せながら2本の吸着アーム21の真
空吸着を徐々に解除して透明基板1上の紫外線硬化型接
着剤の上に有機複屈折膜5を載せる。その後、載置機構
20を元の位置に戻し、スピンテーブル10を1800
rpmで回転させ、紫外線硬化型接着剤を振り切り、有
機複屈折膜5の表面を平坦化する。
【0097】次にスピンテーブル10の回転を停止し、
図18に示すように、位置調整機構40の2軸アーム4
1を動かして調整治具11を有機複屈折膜5の側面に突
き当て、有機複屈折膜5の位置ズレに応じて2軸アーム
41をXY方向に動かし、有機複屈折膜5を調整治具1
1で押し、有機複屈折膜5を透明基板上で滑るように動
かし(滑動)、有機複屈折膜5の位置修正(つまり透明
基板1から有機複屈折膜5がはみ出さない位置へ有機複
屈折膜5を動かす)を行う。位置調整が終了した後、位
置調整機構40を元の位置に戻す。そして透明基板1上
に紫外線照射機構30を移動し、有機複屈折膜5側から
第1の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化させ
る。紫外線照射終了後、紫外線照射機構30を元の位置
に戻し、スピンテーブル10の真空吸着を解除して有機
複屈折膜5を接着した透明基板1を取り出す。
【0098】上記のように本実施例の接着装置を用いる
と、実施例6の偏光分離素子の作製方法を実現すること
ができるため、透明基板1からの有機複屈折膜5のはみ
出しを完全に防止でき、その結果、次工程以降の装置間
及び装置内で搬送不良が起こらず、偏光分離素子の製造
歩留を向上できる。尚、本実施例では紫外線硬化型接着
剤の塗布にディスペンサーを用いたが、スプレーやロー
ルコーターを用いても良い。
【0099】[実施例14]図19に本発明による有機
複屈折膜の接着装置の別の実施例をに示す。この有機複
屈折膜の接着装置は、本発明による偏光分離素子の作製
方法に用いられる接着装置であり、透明基板1を保持す
るスピンテーブル10と、前記スピンテーブル10を回
転させるステッピングモーター等からなる回転機構(図
示せず)と、前記透明基板1に紫外線硬化型接着剤を塗
布するディスペンサー16からなる塗布機構と、2本の
吸着アーム21によって有機複屈折膜5の両端を保持
し、透明基板1上に塗布された紫外線硬化型接着剤上に
有機複屈折膜5を載置する載置機構20と、紫外線硬化
型接着剤を溶解するが有機複屈折膜は溶解しない有機溶
媒を透明基板1に滴下するリンス機構17と、有機複屈
折膜5を透明基板上で滑動して位置を修正する位置調整
機構40と、透明基板1に紫外線を照射する高圧水銀灯
やメタルハライドランプ等からなる紫外線照射機構30
から構成されている。尚、位置調整機構はXY方向に可
動できる2軸アーム41の先端に調整治具11が付いて
おり、調整治具11で有機複屈折膜5を押し、透明基板
上を滑らせる機構になっている。
【0100】次に本実施例の接着装置を用いて有機複屈
折膜を接着する手順を述べる。直径100mm、厚さ
1.0mmのショット製光学ガラスBK7からなる透明
基板1をスピンテーブル10に載せ、真空吸着によって
スピンテーブル10に固定する。その後、透明基板1の
中央部にロボットアーム16Aによってディスペンサー
16を移動し、スピンテーブル10を20rpmで回転
させながら、透明基板1の中央部にディスペンサー16
を用いて屈折率1.58、粘度600cpのエポキシ系
紫外線硬化型接着剤を5g滴下する。その後、ディスペ
ンサー16を元の位置に戻し、スピンテーブル10を4
50rpmで回転させ、透明基板1の全面に紫外線硬化
型接着剤を広げ、その後、スピンテーブル10の回転を
停止する。
【0101】次に直径80mm、厚さ80μmの有機複
屈折膜5の両端を載置機構20の2本の吸着アーム21
に真空吸着して保持し、載置機構20を透明基板1上へ
移動し、有機複屈折膜5の中心をスピンテーブル10の
回転中心にほぼ合せながら2本の吸着アーム21の真空
吸着を徐々に解除して透明基板1上の紫外線硬化型接着
剤の上に有機複屈折膜5を載せる。その後、載置機構2
0を元の位置に戻し、スピンテーブル10を2200r
pmで回転させ、紫外線硬化型接着剤を振り切り、有機
複屈折膜5の表面を平坦化する。
【0102】次にスピンテーブル10の回転を停止し、
2軸アーム41を動かして調整治具11を有機複屈折膜
5の側面に突き当て、有機複屈折膜5の位置ズレに応じ
て2軸アーム41をXY方向に動かして有機複屈折膜5
を調整治具11で押し、有機複屈折膜5を透明基板上で
滑るように動かし(滑動)、有機複屈折膜5の位置修正
を行う。位置調整終了後、位置調整機構40を元の位置
に戻し、透明基板1上に紫外線照射機構30を移動し、
有機複屈折膜5側から第3の紫外線を照射して紫外線硬
化型接着剤を半硬化させる。
【0103】次に紫外線照射機構30を元の位置に戻
し、スピンテーブル10を再び500rpmで回転さ
せ、有機複屈折膜5上にリンス機構17を移動して、紫
外線硬化型接着剤を溶解するが有機複屈折膜は溶解しな
い有機溶媒(本実施例ではアセトンを使用)を滴下し、
基板周辺部に残っていた紫外線硬化型接着剤を除去す
る。その後スピンテーブルの回転を停止し、リンス機構
を元の位置に戻す。そして透明基板上に紫外線照射機構
を移動し、有機複屈折膜側から第1の紫外線を照射して
紫外線硬化型接着剤を硬化させる。紫外線照射終了後、
紫外線照射機構30を元の位置に戻し、スピンテーブル
10の真空吸着を解除して有機複屈折膜5を接着した透
明基板1を取り出す。
【0104】上記のように本実施例の接着装置を用いる
と、実施例7の偏光分離素子の作製方法を実現すること
ができるため、透明基板1の周辺部にある紫外線硬化型
接着剤は除去され、かつ透明基板1からの有機複屈折膜
5のはみ出しを完全に防止できる。また、有機複屈折膜
5の一面に粘着剤2を介して有機高分子からなる保護膜
4が付いた有機複屈折膜を用いると、実施例8,9の偏
光分離素子の作製方法を実現することができる。尚、本
実施例では紫外線硬化型接着剤の塗布にディスペンサー
を用いたが、ロールコート法、スプレー法等によって紫
外線硬化型接着剤を塗布しても良い。
【0105】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載の
偏光分離素子の作製方法は、透明基板上に入射光の異な
る振動面に対して屈折率が異なる有機複屈折膜を接着す
る工程と、前記有機複屈折膜上に周期的なマスクパター
ンを形成し、前記マスクパターンを用いて有機複屈折膜
をエッチングして周期的な凹凸格子からなる回折格子を
形成する工程とを有する作製方法であり、前記接着工程
が、透明基板上に紫外線硬化型接着剤を塗布し、その紫
外線硬化型接着剤の上に透明基板よりも小さい有機複屈
折膜を載せた後、前記透明基板を回転しながら、前記紫
外線硬化型接着剤は溶解するが前記有機複屈折膜は溶解
しない有機溶媒を滴下して透明基板の周辺部の紫外線硬
化型接着剤を除去し、その後、前記透明基板に第1の紫
外線を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化する工程から
なるので、有機複屈折膜で覆われていない基板周辺部に
は接着剤が残らない。その結果、装置間や装置内の搬送
で基板周辺部をハンドリングした場合、基板周辺部から
の異物の発生が著しく減少するので、偏光分離素子の製
造歩留を向上できる。また、透明基板を回転させながら
前記の有機溶媒を滴下するため、有機溶媒には遠心力が
かかり、有機複屈折膜と透明基板とで挟まれた領域にあ
る紫外線硬化型接着剤へは染み込みにくいので、透明基
板と有機複屈折膜は十分な接着面積が得られる。
【0106】請求項2に記載の偏光分離素子の作製方法
においては、前記有機複屈折膜は透明基板と接着する面
と対向する面に粘着剤を介して保護膜が付いており、透
明基板に第1の紫外線を照射した後に有機複屈折膜から
保護膜を剥離するので、有機複屈折膜の面のうち回折格
子を形成する面を保護膜で被覆した状態で有機複屈折膜
と透明基板の貼り合せを行うことができる。その結果、
貼り合せ工程で回折格子を形成する面にキズや異物を付
ける確率が著しく減少し、リソグラフィー工程において
異物やキズによって発生するパターン欠陥を低減でき、
偏光分離素子の製造歩留をさらに向上することができ
る。
【0107】請求項3に記載の偏光分離素子の作製方法
においては、有機溶媒滴下の前後あるいは滴下中の少な
くても一方において、透明基板を回転しながら第2の紫
外線を照射するので、第2の紫外線照射によって紫外線
硬化型接着剤は重合を開始して高粘度化し、紫外線硬化
型接着剤と有機複屈折膜との固着力が強まり、透明基板
の回転によって起こる有機複屈折膜の位置ずれを低減す
ることができる。その結果、有機複屈折膜が透明基板か
らはみ出す頻度が小さくなり、搬送不良を低減でき、よ
り低コストの偏光分離素子を実現することができる。
【0108】請求項4に記載の偏光分離素子の作製方法
においては、有機複屈折膜は透明基板と接着する面と対
向する面に粘着剤を介して保護膜が付いており、有機溶
媒滴下の前後あるいは滴下中の少なくても一方におい
て、透明基板を回転しながら第2の紫外線を照射し、か
つ透明基板に第1の紫外線を照射した後に有機複屈折膜
から保護膜を剥離するので、本方法によっても、第2の
紫外線照射によって紫外線硬化型接着剤は重合を開始し
て高粘度化するため、紫外線硬化型接着剤と有機複屈折
膜との固着力が強まり、透明基板の回転によって起こる
有機複屈折膜の位置ずれを低減することができる。ま
た、透明基板と有機複屈折膜の貼り合せ工程中は有機複
屈折膜表面が保護膜で被覆されているため、有機複屈折
膜表面に異物やキズが付く確率を非常に小さくできる。
【0109】請求項5に記載の偏光分離素子の作製方法
においては、有機複屈折膜は透明基板と接着する面と対
向する面に粘着剤を介して保護膜が付いており、有機溶
媒滴下の前後あるいは滴下中の少なくても一方におい
て、透明基板を回転しながら第2の紫外線を照射し、か
つ透明基板に第2の紫外線を照射した後に有機複屈折膜
から保護膜を剥離するので、本方法によっても、第2の
紫外線照射によって紫外線硬化型接着剤は重合を開始し
て高粘度化するため、紫外線硬化型接着剤と有機複屈折
膜との固着力が強まり、透明基板の回転によって起こる
有機複屈折膜の位置ずれを低減することができる。ま
た、透明基板と有機複屈折膜の貼り合せ工程中は有機複
屈折膜表面が保護膜で被覆されているため、有機複屈折
膜表面に異物やキズが付く確率を非常に小さくできる。
【0110】請求項6に記載の偏光分離素子の作製方法
においては、前記の有機溶媒がイソプロピルアルコール
またはアセトンの少なくとも一方であるので、イソプロ
ピルアルコールやアセトンは広く用いられているアクリ
ル系紫外線硬化型接着剤やエポキシ系紫外線硬化型接着
剤を溶解できることから、基板周辺の接着剤を除去する
ことができる。また、イソプロピルアルコールやアセト
ンは他の有機溶媒に比べて有害性が小さいので、人体に
対しより安全な作業環境を構築することができる。
【0111】請求項7に記載の偏光分離素子の作製方法
は、透明基板上に入射光の異なる振動面に対して屈折率
が異なる有機複屈折膜を接着する工程と、前記有機複屈
折膜上に周期的なマスクパターンを形成し、前記マスク
パターンを用いて有機複屈折膜をエッチングして周期的
な凹凸格子からなる回折格子を形成する工程とを有する
作製方法であり、前記接着工程が、透明基板上に紫外線
硬化型接着剤を塗布し、その紫外線硬化型接着剤の上に
有機複屈折膜を載せた後、前記透明基板を回転し、その
後、前記透明基板の回転を止めた状態で前記有機複屈折
膜を透明基板上で滑動して位置を修正した後、前記透明
基板の回転を止めた状態で第1の紫外線を照射する。そ
のため透明基板の回転によって有機複屈折膜の位置ずれ
が発生した場合、透明基板の回転を止めた状態で透明基
板上で有機複屈折膜を滑動し、有機複屈折膜の位置を修
正した後、その状態で第1の紫外線を照射して紫外線硬
化型接着剤を硬化させるので、透明基板からの有機複屈
折膜のはみ出しを完全に防止することができる。その結
果、次工程以降の装置間及び装置内で搬送不良が起きな
いので、偏光分離素子の製造歩留を向上することができ
る。
【0112】請求項8に記載の偏光分離素子の作製方法
は、透明基板上に入射光の異なる振動面に対して屈折率
が異なる有機複屈折膜を接着する工程と、前記有機複屈
折膜上に周期的なマスクパターンを形成し、前記マスク
パターンを用いて有機複屈折膜をエッチングして周期的
な凹凸格子からなる回折格子を形成する工程とを有する
作製方法であり、前記接着工程が、透明基板上に紫外線
硬化型接着剤を塗布し、その紫外線硬化型接着剤の上に
透明基板よりも小さい有機複屈折膜を載せた後、前記透
明基板を回転し、その後、前記透明基板の回転を止めた
状態で前記有機複屈折膜を透明基板上で滑動して位置を
修正した後、前記透明基板の回転を止めた状態で第3の
紫外線を照射し、その後、透明基板を回転しながら、前
記紫外線硬化型接着剤は溶解するが前記有機複屈折膜は
溶解しない有機溶媒を滴下して透明基板の周辺部の紫外
線硬化型接着剤を除去し、その後、透明基板に第1の紫
外線を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化する工程から
なるので、透明基板の回転によって有機複屈折膜の位置
ずれが発生した場合、透明基板の回転を止めた状態で、
透明基板上で有機複屈折膜を滑動し、有機複屈折膜の位
置を修正した後、その状態で第3の紫外線を照射して紫
外線硬化型接着剤を半硬化させるので、透明基板からの
有機複屈折膜のはみ出しを完全に防止することができ
る。また、有機複屈折膜で被覆されていない透明基板周
辺の紫外線硬化型接着剤は、透明基板を回転させなが
ら、紫外線硬化型接着剤を溶解するが有機複屈折膜は溶
解しない有機溶媒を滴下するため、基板周辺の接着剤は
除去される。さらに透明基板を回転させながら前記の有
機溶媒を滴下するので有機溶媒には遠心力がかかり、有
機複屈折膜と透明基板とで挟まれた領域にある紫外線硬
化型接着剤へは染み込みにくいので、第1の紫外線を照
射することによって透明基板と有機複屈折膜は十分な接
着面積が得られる。
【0113】請求項9に記載の偏光分離素子の作製方法
においては、前記の有機複屈折膜は透明基板と接着する
面と対向する面に粘着剤を介して保護膜が付いており、
透明基板に第1の紫外線を照射した後に有機複屈折膜か
ら保護膜を剥離するので、有機複屈折膜の面のうち回折
格子を形成する面を保護膜で被覆した状態で有機複屈折
膜と透明基板の貼り合せを行うことができる。したがっ
て透明基板と有機複屈折膜の貼り合せ工程中は有機複屈
折膜表面が保護膜で被覆されているため、有機複屈折膜
表面に異物やキズが付く確率を非常に小さくできる。
【0114】請求項10に記載の偏光分離素子の作製方
法においては、前記の有機複屈折膜は透明基板と接着す
る面と対向する面に粘着剤を介して保護膜が付いてお
り、透明基板に第3の紫外線を照射した後に有機複屈折
膜から保護膜を剥離するので、有機複屈折膜の面のうち
回折格子を形成する面を保護膜で被覆した状態で有機複
屈折膜と透明基板の貼り合せを行うことができる。した
がって透明基板と有機複屈折膜の貼り合せ工程中は有機
複屈折膜表面が保護膜で被覆されているため、有機複屈
折膜表面に異物やキズが付く確率を非常に小さくでき
る。
【0115】請求項11に記載の偏光分離素子の作製方
法においては、前記の有機溶媒がイソプロピルアルコー
ルまたはアセトンの少なくとも一方であるので、イソプ
ロピルアルコールやアセトンは広く用いられているアク
リル系紫外線硬化型接着剤やエポキシ系紫外線硬化型接
着剤を溶解できることから、基板周辺の接着剤を除去す
ることができる。また、イソプロピルアルコールやアセ
トンは他の有機溶媒に比べて有害性が小さいので、人体
に対しより安全な作業環境を構築することができる。
【0116】請求項12に記載の偏光分離素子は、請求
項1〜11のいずれか一つに記載の作製方法によって、
有機複屈折膜を透明基板に接着して作製しているので、
従来のプリズムを接着したビームスプリッタよりも小さ
く薄型に形成することができる。
【0117】請求項13に記載の光ピックアップ装置
は、請求項1〜11のいずれか一つに記載の作製方法に
よって作製された請求項12に記載の偏光分離素子を用
いているので、この偏光分離素子は、従来のプリズムを
接着したビームスプリッタよりも小さく薄型に形成でき
るため、本発明の光ピックアップ装置は従来の光ピック
アップ装置よりも小型化、薄型化が実現できる。
【0118】請求項14に記載の有機複屈折膜の接着装
置は、透明基板を保持するスピンテーブルと、前記スピ
ンテーブルを回転させる回転機構と、前記透明基板に紫
外線硬化型接着剤を塗布する塗布機構と、透明基板上に
塗布された紫外線硬化型接着剤上に有機複屈折膜を載置
する載置機構と、紫外線硬化型接着剤を溶解しかつ有機
複屈折膜を溶解しない有機溶媒を透明基板に滴下するリ
ンス機構と、透明基板に紫外線を照射する紫外線照射機
構からなるので、請求項1〜6に記載の偏光分離素子の
作製方法を実現でき、作製された偏光分離素子は透明基
板の周辺部にある紫外線硬化型接着剤は除去される。そ
のため装置間や装置内の搬送で基板周辺部をハンドリン
グしても基板周辺部からの異物の発生が非常に少ないの
で、偏光分離素子の製造歩留を向上することができる。
【0119】請求項15に記載の有機複屈折膜の接着装
置は、透明基板を保持するスピンテーブルと、前記スピ
ンテーブルを回転させる回転機構と、前記透明基板に紫
外線硬化型接着剤を塗布する塗布機構と、透明基板上に
塗布された紫外線硬化型接着剤上に有機複屈折膜を載置
する載置機構と、有機複屈折膜を透明基板上で滑動して
位置を修正する位置調整機構と、透明基板に紫外線を照
射する紫外線照射機構からなるので、請求項7記載の偏
光分離素子の作製方法を実現でき、作製された偏光分離
素子は透明基板からの有機複屈折膜のはみ出しを完全に
防止できるので、次工程以降の装置間及び装置内で搬送
不良が起こらず、偏光分離素子の製造歩留を向上するこ
とができる。
【0120】請求項16に記載の有機複屈折膜の接着装
置は、透明基板を保持するスピンテーブルと、前記スピ
ンテーブルを回転させる回転機構と、前記透明基板に紫
外線硬化型接着剤を塗布する塗布機構と、透明基板上に
塗布された紫外線硬化型接着剤上に有機複屈折膜を載置
する載置機構と、紫外線硬化型接着剤を溶解しかつ有機
複屈折膜を溶解しない有機溶媒を透明基板に滴下するリ
ンス機構と、有機複屈折膜を透明基板上で滑動して位置
を修正する位置調整機構と、透明基板に紫外線を照射す
る紫外線照射機構からなるので、請求項1〜11記載の
偏光分離素子の作製方法を実現でき、作製された偏光分
離素子は、透明基板の周辺部にある紫外線硬化型接着剤
は除去され、かつ透明基板からの有機複屈折膜のはみ出
しを完全に防止できるので、次工程以降の装置間及び装
置内で搬送不良がさらに起こらず、偏光分離素子の製造
歩留を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による偏光分離素子の作製方法の一実施
例を示す工程説明図である。
【図2】(a),(b)は紫外線硬化型接着剤を塗布さ
れた透明基板上に有機複屈折膜を載せ有機溶媒を滴下し
て透明基板周辺部の接着剤を除去する前後の状態を表す
斜視図である。
【図3】実施例1の作製方法で透明基板に有機複屈折膜
を接着した際の、基板上の直径方向の距離と接着剤層の
膜厚の関係を示す図である。
【図4】本発明による偏光分離素子の作製方法の別の実
施例を示す工程説明図である。
【図5】本発明による偏光分離素子の作製方法の別の実
施例を示す工程説明図である。
【図6】本発明による偏光分離素子の作製方法の別の実
施例を示す工程説明図である。
【図7】本発明による偏光分離素子の作製方法の別の実
施例を示す工程説明図である。
【図8】本発明による偏光分離素子の作製方法の別の実
施例を示す工程説明図である。
【図9】透明基板上の有機複屈折膜の位置ずれ修正方法
の説明図である。
【図10】実施例6の作製方法で透明基板に有機複屈折
膜を接着した際の、基板上の直径方向の距離と接着剤層
の膜厚の関係を示す図である。
【図11】本発明による偏光分離素子の作製方法の別の
実施例を示す工程説明図である。
【図12】本発明による偏光分離素子の作製方法の別の
実施例を示す工程説明図である。
【図13】本発明による偏光分離素子の作製方法の別の
実施例を示す工程説明図である。
【図14】本発明による光ピックアップ装置の一実施例
を示す概略構成図である。
【図15】本発明による光ピックアップ装置の別の実施
例を示す概略構成図である。
【図16】本発明による有機複屈折膜の接着装置の一実
施例を示す概略構成図である。
【図17】本発明による有機複屈折膜の接着装置の別の
実施例を示す概略構成図である。
【図18】図17に示す接着装置の位置調整機構によっ
て有機複屈折膜の位置ズレを調整する際の説明図であ
る。
【図19】本発明による有機複屈折膜の接着装置の別の
実施例を示す概略構成図である。
【図20】従来の貼り合せ光ディスクの作製方法の一例
を示す工程説明図である。
【図21】透明基板上に有機複屈折膜を接着する際の位
置ずれを示す説明図である。
【図22】偏光分離素子の作製方法の一例を示す工程説
明図である。
【図23】透明基板上に基板より直径の小さい有機複屈
折膜を接着剤で接着した際の状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1:透明基板 2:粘着剤 3:紫外線硬化型接着剤 4:保護膜 5:有機複屈折膜 5A:回折格子 6:等方性接着剤 7,117:λ/4波長板 8:粘着剤 9:対向透明基板 10:スピンテーブル 11:調整治具 12,16:ディスペンサー 14:有機溶媒 15:ダイシングソー 16A:ロボットアーム 17:リンス機構 20:載置機構 21:吸着アーム 30:紫外線照射機構 40:位置調整機構 41:2軸アーム 101,103,112:偏光分離素子 111:レーザーダイオード 113:コリメータレンズ 114:対物レンズ 115:フォトダイオード 116:CD系光ディスク 118:DVD系光ディスク
フロントページの続き (72)発明者 曳地 秀一 東京都大田区中馬込1丁目3番6号・株式 会社リコー内 (72)発明者 森 孝二 東京都大田区中馬込1丁目3番6号・株式 会社リコー内 (72)発明者 守 哲司 東京都大田区中馬込1丁目3番6号・株式 会社リコー内 (72)発明者 鈴土 剛 東京都大田区中馬込1丁目3番6号・株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2H049 AA33 AA37 AA43 AA48 AA57 AA64 AA68 BA05 BA47 BB03 BC01 BC05 BC13 BC14 BC21 5D119 AA02 JA25 5D789 AA02 JA25

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明基板上に入射光の異なる振動面に対し
    て屈折率が異なる有機複屈折膜を接着する工程と、前記
    有機複屈折膜上に周期的なマスクパターンを形成し、前
    記マスクパターンを用いて有機複屈折膜をエッチングし
    て周期的な凹凸格子からなる回折格子を形成する工程と
    を有する偏光分離素子の作製方法において、 前記接着工程が、透明基板上に紫外線硬化型接着剤を塗
    布し、その紫外線硬化型接着剤の上に透明基板よりも小
    さい有機複屈折膜を載せた後、前記透明基板を回転しな
    がら、前記紫外線硬化型接着剤は溶解するが前記有機複
    屈折膜は溶解しない有機溶媒を滴下して透明基板の周辺
    部の紫外線硬化型接着剤を除去し、その後、前記透明基
    板に第1の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化
    する工程からなることを特徴とする偏光分離素子の作製
    方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の偏光分離素子の作製方法に
    おいて、 前記有機複屈折膜は、前記透明基板と接着される面とは
    反対側の面に粘着剤を介して保護膜が設けられており、
    前記透明基板に第1の紫外線を照射した後に前記有機複
    屈折膜から前記保護膜を剥離することを特徴とする偏光
    分離素子の作製方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の偏光分離素子の作製方法に
    おいて、 前記有機溶媒を滴下する前後あるいは滴下中の少なくて
    も一方において前記透明基板を回転しながら第2の紫外
    線を照射することを特徴とする偏光分離素子の作製方
    法。
  4. 【請求項4】請求項3記載の偏光分離素子の作製方法に
    おいて、 前記有機複屈折膜は、前記透明基板と接着される面とは
    反対側の面に粘着剤を介して保護膜が設けられており、
    前記透明基板に第1の紫外線を照射した後に前記有機複
    屈折膜から前記保護膜を剥離することを特徴とする偏光
    分離素子の作製方法。
  5. 【請求項5】請求項3記載の偏光分離素子の作製方法に
    おいて、 前記有機複屈折膜は、前記透明基板と接着される面とは
    反対側の面に粘着剤を介して保護膜が設けられており、
    前記透明基板に第2の紫外線を照射した後に前記有機複
    屈折膜から前記保護膜を剥離することを特徴とする偏光
    分離素子の作製方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれか一つに記載の偏光
    分離素子の作製方法において、 前記有機溶媒がイソプロピルアルコールまたはアセトン
    の少なくとも一方であることを特徴とする偏光分離素子
    の作製方法。
  7. 【請求項7】透明基板上に入射光の異なる振動面に対し
    て屈折率が異なる有機複屈折膜を接着する工程と、前記
    有機複屈折膜上に周期的なマスクパターンを形成し、前
    記マスクパターンを用いて有機複屈折膜をエッチングし
    て周期的な凹凸格子からなる回折格子を形成する工程と
    を有する偏光分離素子の作製方法において、 前記接着工程が、透明基板上に紫外線硬化型接着剤を塗
    布し、その紫外線硬化型接着剤の上に有機複屈折膜を載
    せた後、前記透明基板を回転し、その後、前記透明基板
    の回転を止めた状態で前記有機複屈折膜を透明基板上で
    滑動して位置を修正した後、第1の紫外線を照射して紫
    外線硬化型接着剤を硬化する工程からなることを特徴と
    する偏光分離素子の作製方法。
  8. 【請求項8】透明基板上に入射光の異なる振動面に対し
    て屈折率が異なる有機複屈折膜を接着する工程と、前記
    有機複屈折膜上に周期的なマスクパターンを形成し、前
    記マスクパターンを用いて有機複屈折膜をエッチングし
    て周期的な凹凸格子からなる回折格子を形成する工程と
    を有する偏光分離素子の作製方法において、 前記接着工程が、透明基板上に紫外線硬化型接着剤を塗
    布し、その紫外線硬化型接着剤の上に透明基板よりも小
    さい有機複屈折膜を載せた後、前記透明基板を回転し、
    その後、前記透明基板の回転を止めた状態で前記有機複
    屈折膜を透明基板上で滑動して位置を修正した後、前記
    透明基板の回転を止めた状態で第3の紫外線を照射し、
    その後、透明基板を回転しながら、前記紫外線硬化型接
    着剤は溶解するが前記有機複屈折膜は溶解しない有機溶
    媒を滴下して透明基板の周辺部の紫外線硬化型接着剤を
    除去し、その後、透明基板に第1の紫外線を照射して紫
    外線硬化型接着剤を硬化する工程からなることを特徴と
    する偏光分離素子の作製方法。
  9. 【請求項9】請求項8記載の偏光分離素子の作製方法に
    おいて、 前記有機複屈折膜は、前記透明基板と接着される面とは
    反対側の面に粘着剤を介して保護膜が設けられており、
    前記透明基板に第1の紫外線を照射した後に前記有機複
    屈折膜から前記保護膜を剥離することを特徴とする偏光
    分離素子の作製方法。
  10. 【請求項10】請求項8記載の偏光分離素子の作製方法
    において、 前記有機複屈折膜は、前記透明基板と接着される面とは
    反対側の面に粘着剤を介して保護膜が設けられており、
    前記透明基板に第3の紫外線を照射した後に前記有機複
    屈折膜から前記保護膜を剥離することを特徴とする偏光
    分離素子の作製方法。
  11. 【請求項11】請求項8〜10のいずれか一つに記載の
    偏光分離素子の作製方法において、 前記有機溶媒がイソプロピルアルコールまたはアセトン
    の少なくとも一方であることを特徴とする偏光分離素子
    の作製方法。
  12. 【請求項12】透明基板上に、周期的な凹凸格子からな
    る回折格子を有する複屈折膜を設けた構成の偏光分離素
    子において、 請求項1〜11のいずれか一つに記載の偏光分離素子の
    作製方法を用いて作製したことを特徴とする偏光分離素
    子。
  13. 【請求項13】光記録媒体に対して情報の記録、再生ま
    たは消去を行う光ピックアップ装置において、 請求項12に記載の偏光分離素子を用いたことを特徴と
    する光ピックアップ装置。
  14. 【請求項14】請求項1〜6のいずれか一つに記載の偏
    光分離素子の作製方法に用いられる接着装置であって、 透明基板を保持するスピンテーブルと、前記スピンテー
    ブルを回転させる回転機構と、前記透明基板に紫外線硬
    化型接着剤を塗布する塗布機構と、透明基板上に塗布さ
    れた紫外線硬化型接着剤上に有機複屈折膜を載置する載
    置機構と、前記紫外線硬化型接着剤は溶解するが前記有
    機複屈折膜は溶解しない有機溶媒を前記透明基板に滴下
    するリンス機構と、前記透明基板に紫外線を照射する紫
    外線照射機構からなることを特徴とする有機複屈折膜の
    接着装置。
  15. 【請求項15】請求項7記載の偏光分離素子の作製方法
    に用いられる接着装置であって、 透明基板を保持するスピンテーブルと、前記スピンテー
    ブルを回転させる回転機構と、前記透明基板に紫外線硬
    化型接着剤を塗布する塗布機構と、前記透明基板上に塗
    布された紫外線硬化型接着剤上に有機複屈折膜を載置す
    る載置機構と、前記有機複屈折膜を透明基板上で滑動し
    て位置を修正する位置調整機構と、前記透明基板に紫外
    線を照射する紫外線照射機構からなることを特徴とする
    有機複屈折膜の接着装置。
  16. 【請求項16】請求項1〜11のいずれか一つに記載の
    偏光分離素子の作製方法に用いられる接着装置であっ
    て、 透明基板を保持するスピンテーブルと、前記スピンテー
    ブルを回転させる回転機構と、前記透明基板に紫外線硬
    化型接着剤を塗布する塗布機構と、前記透明基板上に塗
    布された紫外線硬化型接着剤上に有機複屈折膜を載置す
    る載置機構と、前記紫外線硬化型接着剤は溶解するが前
    記有機複屈折膜は溶解しない有機溶媒を前記透明基板に
    滴下するリンス機構と、前記有機複屈折膜を透明基板上
    で滑動して位置を修正する位置調整機構と、前記透明基
    板に紫外線を照射する紫外線照射機構からなることを特
    徴とする有機複屈折膜の接着装置。
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