JP4202544B2 - 部分艶消し表面保護層転写シート - Google Patents

部分艶消し表面保護層転写シート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電離放射線硬化性樹脂等の架橋硬化型樹脂からなる表面保護層を形成する為の転写シートに関する。特に、部分的に表面の艶が異なるために表面意匠性が高く、かつ表面の耐汚染性に優れた部分艶消し表面保護層転写シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、転写シートの支持体シートに、その転写層側の面が光沢面であるグロスフィルムを用いた場合、転写後の転写層表面が単一光沢である為に、意匠性に乏しかった。そこで、表面に部分的に異なった光沢度の領域からなるパターンを形成してグロス・マット感を出す為に、例えば次の様な部分艶消し転写シートが使用されていた。
【0003】
▲1▼マット剤を添加した離型層を基体シートに部分的に設けた構成の支持体シートを用いた転写シート。また、この場合、少量のマット剤の添加量でマット性を向上させる為に、粒子径の大きなシリカ等、無定形(3μm以上)のマット剤を離型層の樹脂に添加していた(実公昭49−21238号公報、特公昭56−43875号公報参照)。或いは、マット剤に球状のものを使用していた。
▲2▼支持体シート自体にマット剤を練り込んだ支持体シートを使用した転写シート。
▲3▼サンドブラストによって物理的に粗面とした支持体シートを使用した転写シート。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記▲1▼の転写シートでは、マット剤が添加された離型層の表面粗さが大きいため、転写された転写層表面の粗さも大きく、且つ不定形の複雑な凹凸となり、汚染物質が溜まり易く、赤クレヨン、靴墨等の耐汚染性が劣った。この様に耐汚染性は、転写後の転写層表面性状が影響するので、従来のシリカでは問題となってしまう。また、マット剤には一般的にシリカを用いていたが、シリカは無定形であるために、少量の添加で高マット感が得られる反面、その上に表面保護層を形成する時の印刷適性(或いは塗工適性)も問題であった。
また、球状のマット剤を用いた場合は、耐汚染性は改善されるものの、同じ艶消し(光沢度)とする為には、不定形よりも添加量を多くする必要があり、その為、離型性が不安定となり、また離型層の印刷(或いは塗工)適性も悪くなる。
【0005】
また、上記▲2▼の支持体シート自体にマット剤を練り混んだ転写シートでは、耐汚染性は良好であるが、部分艶消しにはならず全面均一な艶消しとなってしまう。また、支持体シートが不透明となる為に、紫外線硬化性樹脂の表面保護層の場合、紫外線照射時に紫外線が十分に透過しない。したがって、表面保護層を硬化させ難いといった問題があった。
また、上記▲3▼の物理的に粗面化された支持体シートによる転写シートでは、耐汚染性が劣る上、全面均一な艶消しとなる。また、サンドブラストで形成した粗面は、不規則な微凹凸からなる為、上記▲1▼と同様、耐汚染性が良く無かった。
【0006】
そこで、本発明の課題は、電離放射線硬化性樹脂等の架橋硬化型樹脂からなる表面保護層を形成する為の転写シートに関して、部分的に表面の艶が異なる表面意匠性を付与できる上、粗面(艶消面)の耐汚染性に優れた、部分艶消し表面保護層転写シートを提供する事である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記課題を解決すべく、本発明の部分艶消し表面保護層転写シートは、基体シートと該基体シート上に部分的に設けられた離型層とからなる支持体シートの上に、表面保護層を少なくとも含む転写層が設けられた転写シートにおいて、前記基体シートが熱可塑性ポリエステル樹脂であり、前記離型層が立方体形状のマット剤を含有したポリエステル系ポリオールとイソシアネートからなる2液硬化型ウレタン樹脂の硬化物からなり、離型層と基体シートの表面艶が異なる様にした。また、前記マット剤がアルミノシリケートである様にした
【0008】
基体シート上に部分的に設ける離型層の艶が基体シート表面と異なる為、意匠性(グロスマット感)の高い表面保護層を形成できる。しかも、マット剤の形状を立方体形状としてあるので、無定形のシリカに比べて微凹凸の表面が比較的滑らかな凹凸面となる為に、艶消し微凹凸を賦型された表面保護層は、その表面の微凹凸形状から汚染物が溜まり難く、艶消し面にも拘らず赤クレヨン等に対する耐汚染性が良好となる。また、マット剤の形状が立方体形状であるので、球状のマット剤に比較して比表面積が大きく、この為、少量の添加で高マット感が得られる。また、転写の際、部分艶消し表面保護層転写シートを剥離するときに、離型層が転写された表面保護層側に残らず、離型層は基体シートと一体となって支持体シートとして、転写された表面保護層等の転写層から確実に剥離させることができる。したがって、安定的に部分艶消しの表面保護層を転写形成できる
【0009】
また、本発明の部分艶消し表面保護層転写シートは、上記いずれかの構成に対して更に、表面保護層が、少なくとも、ウレタン系(メタ)アクリレート、エステル系(メタ)アクリレートのいずれかからなるラジカル重合性不飽和基を含有する電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる構成とした。
この様な構成とすることで、表面保護層の耐汚染性をより良好にできる。
【0010】
また、本発明の部分艶消し表面保護層転写シートは、上記いずれかの構成に対して、表面保護層上に、更に、絵柄層、接着剤層、或いは絵柄層と接着剤層がこの順に形成されてなる構成とした。
この様な構成とすることで、絵柄層が形成されている場合は、絵柄層による意匠性を付与でき、接着剤層が形成されいる場合は、接着しにくい被転写体に対しても密着良く転写で、絵柄層及び接着剤層の両方が形成されている場合は、絵柄層による意匠性付与と、接着剤層による密着良好な転写ができる様になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の部分艶消し表面保護層転写シートについて実施の形態を説明する。
【0012】
概要
先ず、図1(A)は本発明の部分艶消し表面保護層転写シートをその一形態で示す断面図である。図1(A)に示す如く、本発明の部分艶消し表面保護層転写シートSは、その支持体シート1が基体シート2と該基体シート2上に部分的に設けられた離型層3とからなり、この離型層3が立方体形状のマット剤4を含有した樹脂より形成され離型層3と基体シート2の表面艶が異なっている。そして、この様な支持体シート1上に、転写層5として少なくとも表面保護層6が形成された構成の転写シートである。
【0013】
そして、上記の様な本発明の部分艶消し表面保護層転写シートSによって、転写された表面保護層5の表面の凹凸は、図1(B)の断面図で概念的に示す如く、離型層3中が含有する立方体形状のマット剤4によって形成され、その凹凸は、マット剤4の形状を反映した形状となる。したがって、マット剤の形状が立方体形状である為に、転写後の表面保護層の表面の微凹凸は、90°乃至は90°に近い角度の角を持った凹部を有することになる。この為、不定形のシリカ等で得られる微凹凸に比較して、滑らかな凹凸のマット面が得られる。そして、この滑らかな微凹凸によって、汚染物が溜まり難く、艶消し面にも拘らず赤クレヨン等に対する耐汚染性が良好となるのである。しかも、マット剤の形状が立方体形状であるので、球状のマット剤に比較して比表面積が大きく、光拡散性が大きいので、少量の添加で高マット感が得られることにもなる。
【0014】
以下、さらに本発明の部分艶消し表面保護層転写シートについて詳述する。
【0015】
支持体シート
支持体シート1は、基体シート2と、該基体シート2上に部分的に形成される立方体形状のマット剤4を含有する樹脂からなる離型層3とから構成される。
【0016】
〔基体シート〕
基体シート2としては、特に制限は無く既知のもので良い。但し、耐熱性、耐溶剤性を考慮する場合は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレン・イソフタレート・テレフタレート共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性ポリエステルが好ましい。もちろん、耐熱性、耐溶剤性を考慮する必要が無い場合は、熱可塑性ポリエステルの他に、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂等を使用することもできる。
基体シートの厚さは特に制限は無いが、通常25〜50μm程度とする。25μm未満であると、支持体シートとしての強度が不十分となり、また厚膜の表面保護層を設けられない。また50μm以上となると、コスト高となる。
【0017】
また、例えばポリエチレンテレフタレート等の基体シートは、その離型層を設ける側の面は、コロナ放電処理等の易接着処理は未処理の方が好ましい。表面保護層が未硬化電離放射線硬化性樹脂の場合、所定の硬化方法にて電離放射線硬化性樹脂を硬化させた時に、基体シートがコロナ放電処理或いはその他の易接着処理が施されていると、基体シートと(表面保護層となる)電離放射線硬化性樹脂とが密着してしまい、表面保護層の転写が不可能となるからである。
【0018】
〔離型層〕
離型層3は、立方体形状のマット剤4を含有した樹脂から構成され、基体シート2上に、所望のグロス・マット柄を付与するパターンを成す様に、部分的に形成される。離型層を部分的に形成するには、所定のマット剤及び樹脂を含むインキを用いて、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷等の既知の印刷法によって形成すれば良い。或いは、部分的に形成できるスプレー塗装等の既知の塗工法や手描き等によって、形成しても良い。離型層の厚さは特に制限は無いが、通常1〜20μm程度である。離型層を部分的に形成して構成されるパターンとしては、木目導管溝、タイルの目地溝、トラバーチン大理石の凹陥部、木目の春材部、幾何学模様等が用いられる。
【0019】
離型層に用いる樹脂としては、特に制限は無く既知の樹脂から基体シートとの密着性等を考慮して適宜選択すれば良い。例えば、ポリエステル系樹脂が好ましい。特に、基体シートにポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂を使用した場合は、類似の構造を持つポリエステル系樹脂を使用するのが好ましいのは、尚更である。
【0020】
上記ポリエステル系樹脂としては、熱可塑性ポリエステル樹脂、硬化性ポリエステル樹脂等も使用できるが、ポリエステル系ポリオールとイソシアネートとからなる2液硬化型ウレタン樹脂(2液硬化型ポリエステル系ウレタン樹脂)を使用することもできる。なお、2液硬化型ウレタン樹脂は、硬化物として離型層に使用する。特に、基体シートに熱可塑性ポリエステル樹脂を使用し、且つ離型層にポリエステル系ポリオールとイソシアネートからなる2液硬化型ウレタン樹脂の硬化物を使用し、離型層中のマット剤にアルミノシリケートを使用する組み合わせは、良好な剥離性(転写時に離型層が表面保護層から確実に剥離し、離型層を基体シートと一体化した支持体シートとして表面保護層から剥離できる事)と共に優れた耐汚染性を表面保護層に付与できる。
【0021】
上記ポリエステルポリオールとしては、低分子ジオールとジカルボン酸とを反応させて得られる縮合ポリエステルジオールや、ラクトンの開環重合により得られるポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオール等が挙げられる。
なお、上記ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸類、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類、等が単独使用又は2種以上使用される。
また、上記ラクトンには、ε−カプロラクトン等が使用される。
【0022】
そして、ポリエステルポリオールの具体例としては、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリエチレンブチレンアジペート、ポリブチレンヘキサブチレンアジペート、ポリジエチレンアジペート、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペート、ポリエチレンアゼート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンアゼート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール等が挙げられ、これらが単独使用又は2種以上使用される。
【0023】
前記イソシアネートとしては、▲1▼芳香族ジイソシアネート(例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタリンジイソシアネート、n−イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネート、m−或いはp−イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネート等)、▲2▼脂肪族ジイソシアネート(例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等)、▲3▼脂環式ジイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等)のポリイソシアネート、或いはまた、これら各種イソシアネートの付加体、又は多量体等が、単独使用又は2種以上使用される。
【0024】
〔マット剤〕
マット剤4には、立方体形状のものを使用する。立方体形状のマット剤としては、形状がそうであれば特に制限は無く、既知のものを使用できる。例えば、シリカ、アルミナ、アルミナシリケート、アクリル樹脂等である。形状を立方体とする事によって、転写後の表面保護層の表面に賦形された凹部が、単純、滑らか、間口大となり、賦形された凹凸面の耐汚染性が良好となる。しかも、形状が球状の場合に比べて、立方体形状では、少ない添加量で艶消し効果がより大きい利点もある。なお、立方体形状とは、完全な立方体〔図2(A)〕の他に、直方体の角が丸くなった立方体、角や稜線が面取りされた立方体〔図2(B)、図2(D)〕、或いは立方体から余り形状に隔たりが無ければ直方体(縦、横、高さのうち、いずれか2つ、又は3つが相異なる長さのもの)〔図2(C)〕でも良い。
なお、マット剤の粒径は、通常1〜100μm程度のものを用いる。
マット剤の粒径としては、全部同粒径で同形状のものを用いても良いが、粒径及び/又は形状を上記許容範囲内で複数種混在(分布)させても良い。
【0025】
表面保護層
表面保護層6は、転写層5を構成する最低限の層要素として、支持体シート上に形成される。支持体シートに表面保護層を形成する方法は、ロールコート等の塗工法、グラビア印刷、転写印刷等の印刷法等、既知の形成方法で良い。表面保護層の厚さは特に制限は無いが、通常1〜100μm程度である。
【0026】
表面保護層を構成する樹脂は、特に制限は無く既知の樹脂から、転写後の表面保護層に要求される表面物性等に応じて適宜選択すれば良い。例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂、セルロース系樹脂、或いは電離放射線硬化性樹脂等である。なかでも、紫外線や電子線で硬化する電離放射線硬化性樹脂や熱で硬化する熱硬化性ウレタン樹脂等の硬化性樹脂(の硬化物)は良好な耐汚染性を付与できる点で好ましい。これらの硬化性樹脂の中でも、部分艶消し表面保護層転写シートの製造時に於ける作業性の点で、電離放射線硬化性樹脂が好ましい。更に、厚膜にした場合に、硬化収縮に伴う反りが少ない点を考慮すると、紫外線硬化の電離放射線硬化性樹脂(紫外線硬化性樹脂)が好ましい。
なお、部分艶消し表面保護層転写シート上に於ける表面保護層に、硬化性樹脂の硬化物を使用する場合、その完全硬化は、該転写シートを被転写体に積層後(支持体シートの剥離後或いは剥離前も含む)であっても良い。本発明で硬化物とは、部分艶消し表面保護層転写シート上に於いて完全硬化前の物も含む。
【0027】
上記電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線により硬化可能な組成物であり、具体的には、分子中にラジカル重合性不飽和結合、又はカチオン重合性官能基を有する、プレポリマー(所謂オリゴマーも包含する)及び/又はモノマーを適宜混合した電離放射線により硬化可能な組成物が好ましくは用いられる。これらプレポリマー又はモノマーは単体又は複数種を混合して用いる。
【0028】
上記プレポリマー又はモノマーは、具体的には、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物からなる。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによるポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましくは用いられる。なお、例えば(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーの例としては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が使用できる。分子量としては、通常250〜100,000程度のものが用いられる。
【0029】
ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーの例としては、単官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等がある。また、多官能モノマーとして、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等もある。
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーがある。
チオールとしては、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオールがある。また、ポリエンとしては、ジオールとジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリルアルコールを付加したもの等がある。
【0030】
なかでも、プレポリマーとしてウレタン(メタ)アクリレート又はポリエステル(メタ)アクリレートを用い、これに必要に応じて、ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーとして単官能モノマーや多官能モノマーも併用した、ウレタン系(メタ)アクリレート又はエステル系(メタ)アクリレートのいずれかからなる樹脂は、好ましい。この様な電離放射線硬化性樹脂の硬化物を表面保護層に使用することで、より優れた耐汚染性を付与できる。
【0031】
なお、紫外線又は可視光線にて硬化させる場合には、上記電離放射線硬化性樹脂に、さらに光重合開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル類を単独又は混合して用いることができる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いることができる。なお、これらの光重合開始剤の添加量としては、電離放射線硬化性樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部程度である。
【0032】
なお、電離放射線としては、分子を架橋させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子が用いられる。通常用いられるものは、紫外線又は電子線であるが、この他、可視光線、X線、イオン線等を用いる事も可能である。紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト、メタルハライドランプ等の光源が使用される。紫外線の波長としては通常190〜380nmの波長域が主として用いられる。電子線源としては、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用い、100〜1000keV、好ましくは、100〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射するものが使用される。
【0033】
なお、上記電離放射線硬化性樹脂には、更に必要に応じて、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂等の熱可塑性樹脂を添加することもできる。
【0034】
なお、表面保護層には、表面強度、耐擦傷性、後塗装適性等の表面物性の為に、必要に応じ適宜、体質顔料を含有させても良い。体質顔料としては具体的には、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、アルミナ(α−アルミナ等)、タルク、クレー等の無機質体質顔料からなる粒径0.1〜10μm程度の粉末を使用すると良い。粉末の形状は、球形、多角形、不定形、鱗片形等である。
【0035】
絵柄層
絵柄層は、表面保護層上に、必要に応じて設ける。絵柄層は前記表面保護層と共に転写層を構成し、転写後は表面保護層の下層となる。表面保護層のみを転写すれば足りる用途では、転写シートの転写層は表面保護層のみでも良いが、更に被転写体を絵柄により装飾する必要がある場合には、この絵柄層を設けると良い。
【0036】
絵柄層はグラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、インキジェットプリント等の従来公知の方法、材料で絵柄等を印刷した絵柄印刷層、アルミニウム、クロム、金、銀等の金属を公知の蒸着法等を用いて部分的或いは全面に形成した金属薄膜層等であり、用途に合わせたものを用いる。絵柄は、用途に合わせたもので良く、木目模様、石目模様、皮絞模様、布目模様、タイル貼り(二次元配列)模様、煉瓦積層模様、文字、幾何学模様、抽象模様、全面ベタ等を用いる。
【0037】
なお、絵柄印刷層用インキは、一般的なインキ同様に、バインダー等からなるビヒクル、顔料や染料等の着色剤、これに適宜加える各種添加剤からなる。着色剤としては、チタン白、カーボンブラック、弁柄、黄鉛、群青等の無機顔料、アニリンブラック、キナクリドン、イソインドリノン、フタロシアニンブルー等の有機顔料、アルミニウム箔粉、二酸化チタン被覆雲母の箔粉等の光輝性顔料、或いはその他染料等を用いる。また、バインダーの樹脂には、用途に合わせた適宜樹脂が用い、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂、等の単体又はこれらを含む混合物を用いる。なかでも、ウレタン樹脂、それも熱可塑性ウレタン樹脂は好ましい樹脂の一つである。それは、イソシアネートとポリオールとの2液硬化型ウレタン樹脂では、経時で反応が進み、絵柄印刷層の熱可塑性が失われ、被転写体への転写性が低下したりすることがあるが、熱可塑性ウレタン樹脂ならば経時での反応進行がないので、使い易い上、密着性や転写性も確保できるからである。
【0038】
上記熱可塑性ウレタン樹脂は、例えば、ジイソシアネートと高分子ジオール、更に必要に応じ低分子ジオール等の活性水素含有基を有する活性水素化合物を反応させて得られ樹脂だが、具体的には、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂、アクリル系ウレタン樹脂等を、単独使用しても良いし、混合使用しても良い。これらウレタン樹脂は、それぞれ、ポリオールにポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオールを使用したウレタン樹脂である。なお、前記ジイソシアネートやジオールには、離型層のところで述べた、各種ジイソシアネートやジオール等が使用される。
特に、絵柄層に接する表面保護層を、ウレタン系(メタ)アクリレートやエステル系(メタ)アクリレートからなる電離放射線硬化性樹脂の硬化物で構成する場合には、これらと構造が類似した、ポリエステル系ウレタン樹脂や、その他の系のウレタン樹脂等は密着性の点で好ましい。
【0039】
接着剤層
接着剤層は、転写層を被転写体に転移、接着させる為の層であり、必要な場合に設ける。したがって、接着剤層は表面保護層上、或いは表面保護層上に形成された絵柄層の上等の部分艶消し表面保護層転写シートの最裏面層として適宜設ける。部分艶消し表面保護層転写シートの最裏面層となる層(表面保護層、絵柄層、その他の層)が接着剤層の役割を有したり、被転写体側に接着剤層を設けたりすれば、転写シート側の接着剤層は必ずしも必要では無い。
接着剤層としては、従来公知の樹を用いれば良い。例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂、(ブロック)イソシアネート硬化型ウレタン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、或いは、ゴム系やアクリル系等の粘着剤からなる接着剤を使用する。
接着剤層は、上記接着剤の塗液をロールコート等の公知の塗工法等で形成すれば良い。接着剤層の厚さは特に制限は無いが、通常は1〜100μm程度である。
【0040】
転写層のその他の構成要素
また、転写層として、抗菌層、防黴層、導電層等の各種機能性を有する機能性層を設けて良い。例えば、抗菌層には銀イオン担持ゼオライト粉末等の公知の抗菌剤を、防黴層としては、10,10−オキシビスフェノキシアルシン等の公知の防黴剤を、導電層には黒鉛や銀等の粉末又は箔粉からなる公知の導電剤を、前記絵柄印刷層で述べたバインダー樹脂中に含有させたりすれば良く、或いは導電層は上記金属薄膜層等も使用できる。これら層は、上記絵柄層と兼用させる場合もある。
【0041】
また、例えば、部分艶消し表面保護層転写シートが支持体シートと表面保護層とからなり、転写シートの裏面、すなわち表面保護層面に粘着性がある場合には、この転写シートの裏面に更にセパレータ(離型シート)を積層した部分艶消し表面保護層転写シートとしても良い。セパレータには、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム等の樹脂フィルムや紙等の基材面を、シリコーン樹脂、ポリメチルペンテン等の塗工で、離型処理した物や、ポリエチレンやポリプロピレン等の未処理ポリオレフィン系樹脂フィルム等の従来公知の物を使用すれば良い。セパレータの厚さは通常25〜40μm程度である。
【0042】
転写方法
なお、本発明の部分艶消し表面保護層転写シートを用いる転写方法としては、従来公知の転写方法が適用出来る。例えば、下記の様な各種の転写方法を採用できる。また、転写には通常、熱、圧、或いは熱及び圧の作用を利用する。
【0043】
▲1▼弾性体ローラによる転写方法:弾性体ローラは、例えば、特開平6−99550号公報、特開平8−286599号公報等に記載の様な従来公知のローラ転写法で用いる弾性体ローラで良い。弾性体ローラは、通常、鉄等の剛体の軸芯の周囲を弾性体で被覆したローラを用いる。弾性体としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、バイトンゴム、ブタジエンゴム、天然ゴム等を用いる。弾性体ローラのゴム硬度は、基材表面の凹凸形状の凹部まで転写シートを追従させるには、ゴム硬度を65°以下とすると良い。ローラの直径は、通常、5〜20cm程度である。また、通常、弾性体ローラは内部の電熱ヒータや外部の赤外線輻射ヒータ等の加熱源により加熱して加熱ローラとしても使用する。
【0044】
▲2▼真空成形転写方法:特公昭56−45768号公報(オーバーレイ法)、特公昭60−58014号公報(真空プレス法)等に記載されるように、立体形状の被転写体上に転写シートを対向又は載置し、少なくとも被転写体側からの真空吸引による圧力差により転写シートの転写層を基材に転写する、所謂真空成形積層法を利用した転写方法。
【0045】
▲3▼射出成形同時絵付け転写方法:特開平6−315950号公報に記載されるように、転写シートをその転写層側が射出樹脂側を向く様にして、射出成形の雌雄両金型間に配置した後、加熱溶融し流動状態の樹脂を型内に射出充填し、被転写体である樹脂成型品の成形と同時にその被転写体表面に転写シートから転写層を転写させる転写方法。
【0046】
▲4▼ラッピング転写方法:特公昭61−5895号公報、特開平5−330013号公報等に記載されるように、円柱、多角柱等の柱状の被転写体の長軸方向に、転写シートを供給しつつ、複数の向きの異なるローラーにより、被転写体を構成する複数の側面に順次転写シートを加圧接着して転写層を転写してゆく、所謂ラッピング加工方法による転写方法。
【0047】
▲5▼固体粒子衝突圧を利用する転写方法:特許第2844524号公報、特開平10−193893号公報等に開示された新規な転写方法である。すなわち、被転写体の被転写面側に、支持体シートと転写層とからなる転写シートの転写層側を対向させ、該転写シートの支持体シート側に多数の固体粒子を衝突させ、その衝突圧を利用して、被転写体の被転写面への転写シートの圧接を行う。そして、転写層を被転写体側に移行させて転写する場合は、転写層が被転写体に接着後、転写シートの支持体シートを剥離除去すれば、転写が完了する。
【0048】
なお、固体粒子としては、セラミックビーズ、ガラスビーズ等の非金属無機粒子、亜鉛、鉄等の金属粒子、ナイロンビーズや架橋ゴムビーズ等の樹脂ビーズ等の有機粒子、或いは金属等の無機粒子と樹脂とからなる無機物・樹脂複合粒子等を使用する。粒子形状は球形状が好ましいが、その他の形状でも用い得る。粒径は通常10〜1000μm程度である。
固体粒子は噴出器から転写シートに向かって噴出させ、転写シートに衝突したその衝突圧が転写圧となる。噴出器には、代表的には羽根車や吹出ノズルを用いる。羽根車はその回転により固体粒子を加速し、吹出ノズルは高速の流体流で固体粒子を加速する。羽根車や吹出ノズルには、サンドブラスト或いはショットブラスト、ショットピーニング等とブラスト分野にて使用されているものを流用できる。例えば羽根車には遠心式ブラスト装置、吹出ノズルには加圧式や吸引式ブラスト装置、ウェットブラスト装置等である。遠心式ブラスト装置は羽根車の回転力で固体粒子を加速し噴出する。加圧式ブラスト装置は、圧縮空気に混合しておいて固体粒子を、空気と共に噴出する。吸引式ブラスト装置は、圧縮空気の高速流で生ずる負圧部に固体粒子を吸い込み、空気と共に噴出する。ウェットブラスト装置は、固体粒子を液体と混合して噴出する。
【0049】
【実施例】
次に実施例及び比較例により本発明を更に説明する。
【0050】
〔実施例1〕
先ず、支持体シートには、その基体シートとして未処理の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み50μmの透明フィルム)を用い、この片面にグラビア印刷によって部分的に離型層を印刷した後、60℃で72時間養生して離型層の樹脂を硬化させて、支持体シートとした。部分形成された離型層が成すパターンは、木目導管溝パターンとした。また、離型層の樹脂には、ガラス転移温度65℃のポリエステルポリオール100重量部に対して、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート15重量部を用いた2液硬化型ポリエステル系ウレタン樹脂を用いた。マット剤としては、平均粒径4μmの図2(D)の様な立方体形状のアルミノシリケートを、添加量4重量%(樹脂分100重量部に対して4重量部)で使用した。
なお、使用したマット剤の内容は、実施例及び比較例について表1に纏めて示す。
【0051】
上記支持体シートの離型層が形成された側の面に、ウレタンアクリレート系の紫外線硬化性樹脂をバーコータにて乾燥時の膜厚みが50μmになる様に塗工した後、80℃5分間、溶剤分を乾燥した。その後、室温で表面硬度60°のシリコーンゴムロール(鉄芯有り)を用いて、エア噛み(空気の抱き込み)に注意しながら、表面保護層の面にセパレータを積層して、本発明の部分艶消し表面保護層転写シートを得た。また、なお、この状態では、表面保護層には紫外線を照射しておらず、完全硬化前の状態である。また、セパレータには、シリコーン樹脂をコートした上質紙を用いた。
【0052】
〔実施例2〕
実施例1に於いて、離型層に含有させたマット剤の平均粒径のみを4μmから2μmに変更した他は、実施例1と同様にして、本発明の部分艶消し表面保護層転写シートを得た。
【0053】
〔比較例1〕
実施例1に於いて、離型層に含有させたマット剤を、無定形のシリカ(平均粒径2μm、添加量は4重量%で同じ)とした他は、実施例1と同様にして、部分艶消し表面保護層転写シートを得た。
【0054】
〔比較例2〕
実施例1に於いて、離型層に含有させたマット剤を、球状のソジウムカルシウムアルミノシリケート(平均粒径2.5μm、添加量は4重量%で同じ)とした他は、実施例1と同様にして、部分艶消し表面保護層転写シートを得た。
【0055】
〔比較例3〕
実施例1に於いて、離型層に含有させたマット剤を、球状のアクリル樹脂ビーズ(平均粒径5μm、添加量は4重量%で同じ)とした他は、実施例1と同様にして、部分艶消し表面保護層転写シートを得た。
【0056】
〔比較例4〕
実施例1に於いて、離型層に含有させたマット剤を、球状のアクリル樹脂ビーズ(平均粒径5μm、添加量20重量%)とした他は、実施例1と同様にして、部分艶消し表面保護層転写シートを得た。
【0057】
【表1】
Figure 0004202544
【0058】
〔性能評価〕
先ず、転写は、弾性体ローラ転写方法により熱圧を与えて、表面にポリアミド系の熱融着型接着剤を30g/m2 施した厚さ10mmのMDF(中密度繊維板)の板材からなる被転写体に転写した。鉄芯の表面をシリコーンゴムで被覆したゴムローラの表面温度が185℃に加熱された、ローラ転写機にて、3m/分の転写速度で、部分艶消し表面保護層転写シートを被転写体に積層した。そして、支持体シートを剥離する前の状態で、支持体シート側から、160W/cmで2パスの強度で紫外線を照射して、表面保護層を硬化させた。この後、支持体シートを剥離して、転写を完了させた。
【0059】
そして、耐汚染性と意匠性について次の様にして評価した。評価結果は、表2に示す。
【0060】
▲1▼転写性:支持体シート剥離時の剥離重さを評価した。問題なく軽く剥離できかるものは良好、重いものは不良とした。
▲2▼耐汚染性:赤クレヨン、ワセリン中にカーボンブラック(CB)を15重量%添加したもの、毛染め(商品名「ビゲン7G」、ビゲン・ホーコー株式会社製)の三種類で、転写後の表面保護層面を汚して24時間放置した後、乾拭きして、表面の汚染物の残量状態を目視で観察して評価した。色残り無く良好なものを○として、色残り有りで不良なものを×として、○から×に、順に○>○△>△>×に分けて評価した。
▲3▼意匠性(グロスマット感):グロスメータでマット部分のグロス値を測定して評価した。測定条件は、45°の入射角度で入光したものの反射光を60°の方向で測定した。
【0061】
【表2】
Figure 0004202544
【0062】
表2の如く、実施例1及び2は、転写性及び耐汚染性共に良好で、またグロス値も低くグロスマット感の意匠性も良好であった。ところが、無定形のシリカをマット剤に用いた比較例1では、転写性とグロスマット感の意匠性は共に良好だが、耐汚染性が不良である。また、球状のソジウムカルシウムアルミノシリケートをマット剤に用いた比較例2では、耐汚染性は良好であるが、剥離が重く転写性が不良で、しかもグロス値が大きく(ハイグロス)て、グロスマット感の意匠性は得られず不良であった。また、球状のアクリル樹脂ビーズをマット剤に用いた比較例3及び4は、転写性は良好だが、どちらも耐汚染性が不良であった。また、グロスマット感の意匠性は添加量が4重量%と少ない方の比較例3は、ハイグロスでグロスマット感の意匠性は得られず不良であった。但し、添加量が20重量%と多い方の比較例4のグロスマット感の意匠性は良好であった。
【0063】
【発明の効果】
▲1▼本発明の部分艶消し表面保護層転写シートによれば、基体シート上に部分的に設ける離型層の艶が基体シート表面と異なる為、意匠性(グロスマット感)の高い表面保護層を形成できる。しかも、マット剤の形状を立方体形状としてあるので、無定形のシリカに比べて微凹凸の表面が比較的滑らかな凹凸面となる為に、艶消し微凹凸を賦形された表面保護層は、その表面の微凹凸形状から汚染物が溜まり難く、艶消し面にも拘らず赤クレヨン等に対する耐汚染性が良好となる。また、マット剤の形状が立方体形状であるので、球状のマット剤に比較して比表面積が大きく、この為、少量の添加で高マット感が得られる。
【0064】
▲2▼また、上記構成に対して更に、基体シートが熱可塑性ポリエステル樹脂であり、離型層がポリエステル系ポリオールとイソシアネートからなる2液硬化型ウレタン樹脂の硬化物からなり、マット剤がアルミノシリケートである構成とすれば、転写の際、部分艶消し表面保護層転写シートを剥離するときに、離型層が転写された表面保護層側に残らず、離型層は基体シートと一体となって支持体シートとして、転写された表面保護層等の転写層から確実に剥離させることができる。したがって、安定的に部分艶消しの表面保護層を転写形成できる。
【0065】
▲3▼また、表面保護層を、少なくとも、ウレタン系(メタ)アクリレート、エステル系(メタ)アクリレートのいずれかからなるラジカル重合性不飽和基を含有する電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる構成すれば、表面保護層の耐汚染性をより良好にできる。
【0066】
▲4▼また、表面保護層上に、更に、絵柄層、接着剤層、或いは絵柄層と接着剤層がこの順に形成した構成すれば、絵柄層が形成されている場合は、絵柄層による意匠性を付与でき、接着剤層が形成されいる場合は、接着しにくい被転写体に対しても密着良く転写で、絵柄層及び接着剤層の両方が形成されている場合は、絵柄層による意匠性付与と、接着剤層による密着良好な転写ができる様になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の部分艶消し表面保護層転写シートの説明する断面図。
【図2】本発明で使用し得るマット剤の立方体形状を説明する斜視図。
【符号の説明】
1 支持体シート
2 基体シート
3 離型層
4 マット剤
5 転写層
6 表面保護層
S 転写シート

Claims (4)

  1. 基体シートと該基体シート上に部分的に設けられた離型層とからなる支持体シートの上に、表面保護層を少なくとも含む転写層が設けられた転写シートにおいて、前記基体シートが熱可塑性ポリエステル樹脂であり、前記離型層が立方体形状のマット剤を含有したポリエステル系ポリオールとイソシアネートからなる2液硬化型ウレタン樹脂の硬化物からなり、離型層と基体シートの表面艶が異なる、部分艶消し表面保護層転写シート。
  2. 前記マット剤がアルミノシリケートである、請求項1記載の部分艶消し表面保護層転写シート
  3. 表面保護層が、少なくとも、ウレタン系(メタ)アクリレート、エステル系(メタ)アクリレートのいずれかからなるラジカル重合性不飽和基を含有する電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる、請求項1又は2記載の部分艶消し表面保護層転写シート。
  4. 表面保護層上に、更に、絵柄層、接着剤層、或いは絵柄層と接着剤層がこの順に形成されてなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の部分艶消し表面保護層転写シート。
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