JP2001162995A - 化粧材の製造方法 - Google Patents

化粧材の製造方法

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JP2001162995A
JP2001162995A JP34724399A JP34724399A JP2001162995A JP 2001162995 A JP2001162995 A JP 2001162995A JP 34724399 A JP34724399 A JP 34724399A JP 34724399 A JP34724399 A JP 34724399A JP 2001162995 A JP2001162995 A JP 2001162995A
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Masaru Okamoto
優 岡本
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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    • B24GRINDING; POLISHING
    • B24CABRASIVE OR RELATED BLASTING WITH PARTICULATE MATERIAL
    • B24C9/00Appurtenances of abrasive blasting machines or devices, e.g. working chambers, arrangements for handling used abrasive material
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B24GRINDING; POLISHING
    • B24CABRASIVE OR RELATED BLASTING WITH PARTICULATE MATERIAL
    • B24C3/00Abrasive blasting machines or devices; Plants
    • B24C3/08Abrasive blasting machines or devices; Plants essentially adapted for abrasive blasting of travelling stock or travelling workpieces
    • B24C3/10Abrasive blasting machines or devices; Plants essentially adapted for abrasive blasting of travelling stock or travelling workpieces for treating external surfaces
    • B24C3/14Apparatus using impellers

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  • Decoration By Transfer Pictures (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属板でありながら高級感を有する化粧材の
製造方法を提供する。 【解決手段】 金型プレスで先ず形成した金属板1表面
の中間的な凹凸模様を固体粒子の衝突によって荒らすこ
とで最終的な凹凸模様cを形成する。金属独特の光沢を
消し去ることができ、金属素材でありながら、天然石材
風、窯業系材風の意匠を得ることができる。また、その
後のビーズショット転写による絵付け転写と組み合わせ
ることにより、複雑な凹凸模様上にも確実に装飾層を付
与することができるので、さらなる高級感を有する化粧
材を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅等の建築物に
おける外装用、さらには内装用等として好適に用いられ
る金属板製の化粧材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、建築物の外装用化粧材として、金
属板をプレス成形により所望の形状とし、さらには表面
に凹凸模様を加工してなる化粧材が使用されている。こ
の化粧材は金属サイディング材として知られており、セ
メントや他の現場簡易施工タイプの建築物用化粧材に比
べて低コストでしかも軽量であることから、外装用を中
心として住宅のリフォームに多く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記した金属板製の化
粧材は、現場での施工が簡単であるという利点を有して
はいるものの、外観的には金属独特の光沢質感があるの
で、煉瓦、石材、セメント、陶磁器、もしくはこれらを
模倣した(非金属)窯業系の化粧材に比べると、安物的
なイメージがどうしても払拭できないという問題点があ
った。
【0004】本発明は、このような問題点の解決を図ろ
うとするもので、その目的とするところは、金属板であ
りながら高級感を有する化粧材の製造方法を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、金属板製の化粧材の製造方法であって、
まず、金属板を金型プレスすることにより当該金属板の
表面に中間的な凹凸模様を付与せしめ、次いで、金属板
よりも硬度の高い固体粒子を衝突させることにより中間
的な凹凸模様の表面形状を変化させて最終的な凹凸模様
を形成することを特徴とする。
【0006】また、同様の目的を達成するため、本発明
は、金属板製の化粧材の製造方法であって、まず、金属
板を金型プレスすることにより当該金属板の表面に中間
的な凹凸模様を付与せしめ、次いで、金属板よりも硬度
の高い固体粒子を衝突させることにより中間的な凹凸模
様の表面形状を変化させて最終的な凹凸模様を形成し、
続いて、その金属板における凹凸模様のある表面側に支
持体と転写層とからなる転写シートの転写層側を対向さ
せてから、該転写シートの支持体側に固体粒子を衝突さ
せ、その衝突圧により金属板の凹凸模様表面への転写シ
ートの圧着を行い、転写層が金属板表面に接着した後、
転写シートの支持体を剥離除去することで、転写層を金
属板表面に転写することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で使用する金属板の材料と
しては、アルミニウム、又はジュラルミン、超ジュラル
ミン等のアルミニウム合金、鉄、又は炭素鋼、ステンレ
ス鋼等の鉄合金、さらには銅、又は黄銅、青銅等の銅合
金、鉛、チタニウム等が挙げられる。使用する金属板の
厚さは1〜5mm程度とする。
【0008】金型プレスは、所望の輪郭形状(全体形
状)及び凹凸模様の形状を有する炭素鋼等の金型を使用
して行う。図1は金型プレスでの成形工程を経た金属板
を例示した斜視図であり、図1(A)の金属板1は単一
の凸形状、図1(B)の金属板1は平行な溝aが1方向
に配列した形状、図1(C)の金属板1は2方向に配合
して煉瓦積やタイル貼りの目地状の溝aを有する形状を
している。この時に同時に形成される中間的な凹凸模様
bとしては、砂目、梨地、リシン調、スタッコ調、花崗
岩劈開面凹凸、布目、皮絞、浮造調木目、年輪、或い
は、花柄、唐草等の彫刻乃至はレリーフ調凹凸等が挙げ
られる。
【0009】金型プレスにより一旦成形してできた輪郭
形状及び中間的な凹凸模様が固体粒子の衝突圧で潰れて
平坦化することを防止するため、また化粧材に強度、断
熱性、防音性等の物性を付与するために、図2に示すよ
うに、金属板1の裏面側凹部を埋める芯材2を用いる。
この芯材2としては、樹脂(アクリル樹脂、ポリオレフ
ィン系樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ
樹脂、塩化ビニル樹脂等)、セメント、石膏等が用いら
れる。そして、断熱性及び防音性を付与するためには、
芯材中に発泡剤や中空ビーズを添加して細胞状多孔質体
とするとよい。また、芯材2に樹脂を用いる場合には、
難燃性を付与するために、水酸化アルミニウム、水酸化
マグネシウム、三酸化二アンチモン等の難燃剤を添加す
ることが好ましい。さらに、芯材2の裏面側を覆うため
の裏打材3を設ける。この裏打材3としては、金属板、
樹脂板、織布、不織布等を用いる。その厚さは0.1〜
5mm程度とする。
【0010】図2に示すように金属板1に芯材2と裏打
材3を設けた後、固体粒子の衝突により中間的な凹凸模
様bの表面形状を変化させ、図3に示す如く最終的な凹
凸模様cを形成する。この最終的な凹凸模様cを形成す
るために行う固体粒子の衝突は、所謂サンドブラスト加
工としての用法であり、その場合の固体粒子の材料は、
加工すべき金属板よりも硬度(モース硬度等で評価)の
高い材料を選択する。具体的には、金属(鉄、鉄合金、
銅、銅合金、チタニウム等)、セラミックス(硝子、陶
磁器、ニューセラミックス等)、鉱物(アルミナ、シリ
カ、ダイアモンド等)である。固体粒子の粒径は0.1
〜1mm程度である。この固体粒子の衝突は、全面均一
のマット感を出すのではなく、粗さムラを出すビーズシ
ョットが有効であり、投射部をランダムに可動させる
か、或いは投射量や投射速度を変調するなどして金属表
面に凹凸ムラを形成するのがよい。固体粒子の投射(噴
出)装置は、後述する図6〜図10の如き公知の装置を
用いて行えばよい。
【0011】一方、転写シートの転写層を金属板の表面
に転写するために行う固体粒子の衝突は、所謂ビーズシ
ョット転写と言われるものである。この転写方法は、図
4に示すように、金属板1における凹凸模様のある表面
側に支持体4と転写層5とからなる転写シートSの転写
層5側を対向させてから、転写シートSの支持体4側に
固体粒子Pを衝突させ、その衝突圧により金属板1の凹
凸模様表面への転写シートSの圧着を行い、転写層5が
金属板1表面に接着した後、図5に示すように、転写シ
ートSの支持体4を剥離除去することで、転写層5を金
属板1の表面に転写する。この転写方法によれば、上記
した最終的な凹凸模様のような複雑な凹凸模様上にも確
実に転写層を付与することができる。ただし、最終的な
凹凸模様cの凹凸形状が比較的単調で且つ凹凸段差も比
較的小さい場合には、転写シートSの圧着のための加圧
手段として、固体粒子衝突圧に代えて、従来公知のゴム
ローラでの加圧を用いることも可能ではある。その場合
は、凹凸模様への追従性の点でゴム硬度は低めのもの用
いることが好ましい。通常、ゴム硬度60°以下のもの
を選択する。
【0012】以下、このビーズショット転写の細部につ
いて詳細に説明する。
【0013】〔転写シート〕転写シートは支持体と転写
移行する転写層とからなる。転写層は少なくとも装飾層
又は機能性層から構成される。また、接着剤を、転写層
の一部となる接着剤層として、転写シートに形成してお
いてもよい。なお、被転写基材表面と転写シートとの間
に抱き込まれて残留する空気を抜きやすくするために、
必要に応じて転写シート全面に転写シート全層を貫通す
る小孔を多数穿設してもよい。
【0014】(支持体)転写シートの支持体としては、
被転写基材が平坦な表面或いは二次元的凹凸表面であれ
ば、延伸性のない紙等も可能だが、本発明が真価を発揮
する三次元的凹凸表面に適用するためには少なくとも転
写時には延伸性のある支持体を用いる。延伸性があるこ
とにより、固体粒子の衝突圧印加時に被転写基材表面の
凹部内部まで転写シートを追従させて密着し転写するこ
とができる。転写シート全体の延伸性は、主に支持体の
延伸性に支配される。従って、支持体には、従来公知の
熱可塑性樹脂フィルムの他に、常温でも延伸するゴム膜
も使用できる。熱可塑性樹脂フィルムの場合、装飾層等
の転写層形成時には延伸性が殆どなく、転写時には加熱
により充分な延伸性を発現し、且つ冷却後は変形した形
状を保持し続け、弾性による形状の復元を生じない転写
シートとして、従来公知の通常の転写シートと同様、本
発明で用い得る転写シートを簡単に用意することができ
る。
【0015】支持体の具体例としては、延伸性の点で、
従来多用されている2軸延伸ポリエチレンテレフタレー
トフィルムでも、表面凹凸形状次第で、加熱条件、衝突
圧条件等の設定によって、必要充分な延伸性を発現させ
ることができるので曲面転写は可能である。ただ、より
低温・低圧で延伸性が発現し易い好ましい支持体として
は、例えば、エチレン・テレフタレート・イソフタレー
ト共重合体ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート
等の熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリ
エチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−
プロピレン−ブテン3元共重合体等のポリオレフィン樹
脂、塩化ビニル樹脂、或いは天然ゴム、合成ゴム、オレ
フィン系熱可塑性エラストマー等を単体又は混合物で、
単層又は異種の複層とした樹脂フィルムを用いることが
できる。これら樹脂フィルムは低延伸又は無延伸の物が
好ましい。使用する支持体の厚さは、通常20〜200
μmである。
【0016】また、支持体には必要に応じ、その転写層
側に転写層との剥離性を向上させるため離型層を設けて
もよい。この離型層は支持体の剥離時に支持体と共に転
写層から剥離除去される。離型層としては、例えば、シ
リコーン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタ
ン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ワックス等の単体又はこ
れらを含む混合物が用いられる。
【0017】また、転写層に接する側の支持体面に凹凸
模様を設ければ、転写後の転写層表面に凹凸模様を賦形
することもできる。凹凸模様は、例えば、砂目、梨地、
ヘアライン、万線状溝、花崗岩の劈開面の凹凸模様、木
目導管溝、木目年輪模様、布目の表面テクスチュア、皮
絞、文字、幾何学模様等である。なお、凹凸模様の形成
は、支持体の樹脂シートに対して、熱プレスによるエン
ボス加工、サンドブラスト加工、ヘアライン加工をした
り、或いは支持体に、離型性の有る樹脂をバインダーと
するインキ(2液硬化ウレタン、シリコーン樹脂、メラ
ミン樹脂、紫外線又は電子線で架橋する多官能アクリレ
ート又はメタクリレートのモノマー又はプレポリマー等
からなる)を用いて所望の凹凸模様にシルクスクリーン
印刷等で盛り上げ印刷して賦形層を設け、賦形層を有す
る支持体とする方法等がある。なお、賦形層は上記離型
層の機能を有する。
【0018】(転写層)転写シートの転写層は少なくと
も装飾層又は機能性層から構成し、さらに適宜、剥離
層、接着剤層等も転写層の構成要素とすることもある。
接着剤層を有する構成では、転写の際に転写シート又は
被転写基材の片方又は両方に接着剤を施すことを省略で
きる。
【0019】装飾層はグラビア印刷、シルクスクリーン
印刷、オフセット印刷等の従来公知の方法と材料で絵柄
等を印刷した絵柄層、アルミニウム、クロム、金、銀等
の金属を公知の蒸着法等により部分的或いは全面に形成
した金属薄膜層等であり、用途に合わせたものを用い
る。絵柄としては、被転写基材の表面凹凸に合わせて、
木目模様、石目模様、布目模様、タイル調模様、煉瓦調
模様、皮絞模様、文字、幾何学模様、全面ベタ等を用い
る。なお、絵柄層用インキは、バインダー等からなるビ
ヒクル、顔料や染料等の着色剤、これに適宜加える各種
添加剤からなる。バンイダーには、アクリル樹脂、塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂、フッ
素樹脂等の単体又はこれらを含む混合物を用いる。着色
剤の顔料としては、チタン白、カーボンブラック、弁
柄、黄鉛、群青等の無機顔料、アニリンブラック、キナ
クリドン、イソインドリノン、フタロシアニンブルー等
の有機顔料を用いる。機能性層としては、アルミニウ
ム、銀等の高導電率金属薄膜等からなる導電体層(電磁
波遮蔽層、帯電防止層等として機能)、銀イオン担持ゼ
オライト粉末、10,10’−オキシビスフェノキシア
ルシン等の抗菌剤乃至は防黴剤等が用いられる。転写層
としては、装飾層と機能性層の両層を併用してもよい。
【0020】また、剥離層を、支持体乃至は離型層と装
飾層との間の剥離性を調整するため、転写後の装飾層の
表面保護のため等に、これら層間に設けるのは、従来公
知の転写シートと同様である。剥離層には、例えば、上
記絵柄層インキのバインダーに用いる樹脂等が用いられ
る。なお、この剥離層は転写時に装飾層と共に被転写基
材側に転写され、装飾層の表面を被覆する。
【0021】〔接着剤〕接着剤は、転写シートの転写層
を構成する接着剤層や被転写基材上の接着剤層として、
事前又は転写の直前に、オンライン塗工やオフライン塗
工で施す。被転写基材に施す場合には、転写シートの接
着剤層を省略できる。用いる接着剤は、用途、要求物性
等により適宜選択すればよいが、固体粒子加速流体に液
体を用いる場合には、該液体に対して不溶性のものを選
択する。
【0022】接着剤としては、例えば、感熱型接着剤、
湿気硬化型感熱溶融型接着剤、ホットメルト接着剤、湿
気硬化型ホットメルト接着剤、2液硬化型接着剤、電離
放射線硬化型接着剤、水性接着剤、或いは粘着剤による
感圧型接着剤等の各種接着剤を使用できる。
【0023】感熱型接着剤としては、熱可塑性樹脂を用
いた熱融着型と、熱硬化性樹脂を用いた熱硬化型とのい
ずれの接着剤も使用できる。ただし、短時間で接着が完
了するという点からは、熱融着型(感熱溶融型接着剤)
が好ましい。また、接着剤は溶剤希釈又は無溶剤、或い
は常温で液体又は固体のいずれでもよく、適宜使い分け
る。また、粘着性を呈する感圧型の粘着剤以外の接着剤
では、接着剤層の単層のみで転写層とすることができ
る。接着剤層中に顔料等の着色剤を添加すれば、全面ベ
タのインク層からなる装飾層ともいえる。感熱溶融型接
着剤としては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アク
リル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタ
ン樹脂、ダイマー酸とエチレンジアミンとの縮重合によ
り得られるポリアミド樹脂等の従来公知の接着剤を用い
ることができる。熱硬化型接着剤としては、ジアリルフ
タレート樹脂、熱硬化型ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等
を用いることができる。
【0024】湿気硬化型感熱溶融型接着剤も感熱溶融型
接着剤の一種である。湿気硬化型感熱溶融型接着剤は、
自然放置により空気中の水分で硬化反応が進行するの
で、作業安定性の点で転写直前に施す。また、湿気硬化
型感熱溶融型接着剤は、転写直後は、通常の感熱溶融型
接着剤同様の接着力だが、自然放置により空気中の水分
で架橋・硬化反応が徐々に進行するために、最終的にク
リープ変形及び熱溶融がなく耐熱性等に優れ、大きな接
着力が得られる。ただし、転写終了後に湿気で接着剤の
架橋・硬化を進行させるため、湿気を含む空気中に転写
後の化粧板を放置して養生する。
【0025】湿気硬化型感熱溶融型接着剤は、分子末端
にイソシアネート基を有するプレポリマーを必須成分と
する組成物である。前記プレポリマーは、通常は分子両
末端に各々イソシアネート基を1個以上有するポリイソ
シアネートプレポリマーであり、室温で固体の熱可塑性
樹脂の状態にあるものである。イソシアネート基同士が
空気中の水分により反応して鎖延長反応を起こして、そ
の結果、分子鎖中に尿素結合を有する反応物を生じて、
この尿素結合にさらに分子末端のイソシアネート基が反
応して、ビウレット結合を起こして分岐し、架橋反応を
起こす。
【0026】分子末端にイソシアネート基を有するプレ
ポリマーの分子鎖の骨格構造は任意であるが、具体的に
は、ウレタン結合を有するポリウレタン骨格、エステル
結合を有するポリエステル骨格、ポリブタジエン骨格等
である。適宜これら1種又は2種以上の骨格構造を採用
することで、接着剤物性を調整できる。なお、分子鎖中
にウレタン結合がある場合は、このウレタン結合とも末
端イソシアネート基が反応して、アロファネート結合を
生じて、このアロファネート結合によっても架橋反応を
起こす。
【0027】電離放射線硬化型接着剤として用い得る電
離放射線硬化性樹脂は、電離放射線により硬化可能な組
成物であり、具体的には、分子中にラジカル重合性不飽
和結合、又はカチオン重合性官能基を有する、プレポリ
マー(所謂オリゴマーも包含する)及び/又はモノマー
を適宜混合した電離放射線により硬化可能な組成物が好
ましく用いられる。これらプレポリマー又はモノマーは
単体又は複数種を混合して用いる。
【0028】上記プレポリマー又はモノマーは、具体的
には、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アク
リロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキ
シ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物からな
る。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによ
るポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましく用い
られる。なお、例えば(メタ)アクリロイル基とは、ア
クリロイル基又はメタアクリロイル基の意味である。
【0029】ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリ
マーの例としては、ポリエステル(メタ)アクリレー
ト、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)
アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリア
ジン(メタ)アクリレート等が使用できる。分子量とし
ては、通常250〜100,000程度のものが用いら
れる。
【0030】ラジカル重合性不飽和基を有するモノマー
の例としては、単官能モノマーとして、メチル(メタ)
アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト等がある。また、多官能モノマーとして、トリメチー
ルプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリス
リトールヘキサ(メタ)アクリレート等もある。
【0031】カチオン重合性官能基を有するプレポリマ
ーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボ
ラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系
ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエ
ーテル系樹脂のプレポリマーがある。
【0032】チオールとしては、トリメチロールプロパ
ントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラ
チオグリコレート等のポリチオールがある。また、ポリ
エンとしては、ジオールとジイソシアネートによるポリ
ウレタンの両端にアリルアルコールを付加したもの等が
ある。
【0033】なお、紫外線又は可視光線にて硬化させる
場合には、上記電離放射線硬化性樹脂に、さらに光重合
開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹
脂系の場合は、光重合開始剤として、アセトフェノン
類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン
類を単独又は混合して用いることができる。また、カチ
オン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始
剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム
塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物等を単独
又は混合物として用いることができる。なお、これらの
光重合開始剤の添加量としては、電離放射線硬化性樹脂
100重量部に対して、0.1〜10重量部程度であ
る。
【0034】なお、電離放射線としては、接着剤中の分
子を架橋させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒
子が用いられる。通常用いられるものは、紫外線又は電
子線であるが、この他、可視光線、X線、イオン線等を
用いることも可能である。紫外線源としては、高圧水銀
灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト等
の光源が使用される。紫外線の波長としては通常190
〜380nmの波長域が主として用いられる。電子線源
としては、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト
型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線
型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器
を用い、100〜1000keV、好ましくは、100
〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射するもの
が使用される。
【0035】上記電離放射線硬化性樹脂に、さらに必要
に応じて、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル
系樹脂等の熱可塑性樹脂を添加することもできる。な
お、希釈溶剤は添加せずに用いれば、ホットメルト接着
剤となる。
【0036】なお、電離放射線硬化型接着剤を用いた場
合には、製造装置に紫外線や電子線を照射する電離放射
線照射装置を組み込むことができる。照射は、衝突圧印
加中、印加後、或いは印加中及び印加後に行う。
【0037】また、接着剤に用いる上記各種樹脂にさら
に、必要に応じて、各種添加剤を添加することもでき
る。これらの添加剤としては、例えば、炭酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ等の微粉末からな
る体質顔料(充填剤)、有機ベントナイト等のチキソト
ロピック付与剤(特に凹凸段差の大きい被転写基材の場
合、接着剤が凸部から凹部へ流入することを防止するた
めに添加するとよい。)等である。
【0038】接着剤を、転写シート等のシートや被転写
基材に施すには、水、有機溶剤等の溶媒(又は分散媒)
に溶解(又は分散)した溶液(又は分散液)の形態で、
或いは熱溶融した熱可塑性組成物又は室温液状の未硬化
樹脂を無溶剤の樹脂液の形態で施す。塗工法としては、
従来公知の塗工法であるグラビアロールコート等による
溶液塗工や、アプリケータ等による熔融塗工(溶融塗
工)法により施せばよい。希釈溶剤を添加せずに用いれ
ば、溶剤乾燥は不要である。例えば、感熱溶融型接着剤
は、それぞれ無溶剤のホットメルト接着剤として使用で
きる。また、電離放射線硬化型接着剤なども無溶剤で施
すことができる。ホットメルト型接着剤として使用する
場合は無溶剤なので、転写直前の塗工でも溶剤乾燥が不
要で、高速生産できる。なお、接着剤の塗布量は、接着
剤の組成、被転写基材の種類及び表面状態で異なるが、
通常10〜200g/m2 (固形分)程度である。
【0039】なお、接着剤に感熱溶融型接着剤を用い、
接着剤を活性化して熱融着させるために加熱するタイミ
ングは、衝突圧印加前、衝突圧印加中、或いは衝突圧印
加前及び印加中などのいずれでもよい。接着剤の加熱は
転写シートや被転写基材を加熱して行う。接着剤が施さ
れた材料(転写シートや被転写基材)を加熱してもよ
く、接着剤が施されていない側の材料を加熱してもよ
く、或いはこれら両方の材料を加熱してもよい。また、
衝突圧印加中の加熱には、加熱固体粒子や、固体粒子加
速用の流体を加熱流体として用いてもよい。
【0040】一方、転写シートが被転写基材の表面形状
に追従し、成形され、接着剤が十分活性化すれば、冷風
等の冷却手段で接着剤の冷却を促進してもよい。冷風
は、転写シート側や被転写基材側から吹き付ける。ま
た、冷却手段として、冷却固体粒子、冷却流体も用いる
こともできる。冷却促進は、被転写基材の凹凸表面の凹
部内部にまで追従成形された転写シートが衝突圧開放後
に復元力がある場合に戻るのも防止する。
【0041】〔固体粒子〕固体粒子としては、ガラスビ
ーズ、セラミックビーズ、アルミナビーズ、ジルコニア
ビーズ、コランダムビーズ、アランダムビーズ等の無機
粉体である非金属無機粒子、鉄、又は炭素鋼、ステンレ
ス鋼等の鉄合金、アルミニウム、又はジュラルミン等の
アルミニウム合金、チタン、亜鉛等の金属ビーズ等の金
属粒子、或いは、フッ素樹脂ビーズ、ナイロンビーズ、
シリコーン樹脂ビーズ、ウレタン樹脂ビーズ、尿素樹脂
ビーズ、架橋ゴムビーズ等の樹脂ビーズ等の有機粒子
等、或いは金属等の無機粒子と樹脂とからなる無機物・
樹脂複合粒子等を使用することができる。形状は球形状
が好ましいが、回転楕円体形状、多面体形状、鱗片状、
無定形、その他の形状のものでも用い得る。固体粒子の
粒径としては、通常10〜1000μm程度である。
【0042】なお、固体粒子は加熱手段や冷却手段を兼
用することもできる。加熱された加熱固体粒子を用いれ
ば、接着剤の加熱活性化やその架橋硬化の促進、或いは
転写シートの加熱による延伸性の向上を、転写シートの
押圧と共に行うこともできる。この場合、衝突圧印加前
に他の加熱方法で、ある程度まで転写シート、被転写基
材を加熱しておいてもよい。また、加熱固体粒子は既に
加熱された転写シート、被転写基材等の温度維持にも使
用できる。一方、固体粒子は、接着後の冷却促進目的
で、接着時の接着剤の温度よりも低温の固体粒子を、冷
却固体粒子として用いることもできる。また、固体粒子
はその一部又は全部を加熱固体粒子、冷却固体粒子とし
て用いたり、加熱固体粒子を衝突させた後、冷却固体粒
子を衝突させる等と、併用してもよい。また、他の加熱
方法で転写シートや被転写基材、接着剤等の加熱を要す
るものを充分に加熱しておき、これに冷却固体粒子を用
いて転写シートの成形と接着及び冷却を殆ど同時に行う
こともできる。
【0043】固体粒子を加熱又は冷却するには、固体粒
子をホッパー等の形態のタンクに貯蔵する場合は、タン
ク内やタンク外壁に設けた電熱ヒーター、加熱蒸気、冷
媒等による加熱手段、冷却手段で行えばよい。また、固
体粒子輸送管の外壁にこれらの手段を設けて輸送管にて
加熱又は冷却するようにしてもよい。或いは、固体粒子
の加速に流体を用いる場合では、冷却又は加熱した流体
を用いて該流体からの熱伝導で固体粒子を冷却又は加熱
することもできる。その場合、流体も転写シートに衝突
させることで、流体も固体粒子と共に加熱又は冷却手段
とすることができる。或いは、前記流体が液体で該液体
と共に固体粒子を貯蔵するタンクを用いる場合では、貯
蔵中に固体粒子及び液体を冷却又は加熱してもよい。
【0044】〔固体粒子による衝突圧印加〕固体粒子を
転写シートに衝突させて衝突圧を印加し、転写シートを
被転写基材に押圧するには、固体粒子を噴出する固体粒
子噴出手段から固体粒子を転写シートに向かって噴出さ
せて転写シートに衝突圧を印加する。この固体粒子噴出
手段としては、粒子加速器として例えば、回転する羽根
車を用いた噴出器(図6〜図11参照)や、吹出ノズル
を用いた噴出器(図12参照)を使用する。羽根車によ
る噴出器は、羽根車の回転により固体粒子を加速し噴出
するものである。一方、吹出ノズルによる噴出器は、固
体粒子加速流体を用いて、固体粒子を高速の該流体の流
体流で加速、搬送して該流体と共に噴出するものであ
る。羽根車や吹出ノズルには、サンドブラスト或いはシ
ョットブラスト、ショットピーニング等とブラスト分野
にて使用されているものを流用できる。例えば羽根車に
は遠心式ブラスト装置、吹出ノズルには加圧式や吸引式
ブラスト装置、ウェットブラスト装置等である。遠心式
ブラスト装置は、羽根車の回転力で固体粒子を加速し噴
出する。加圧式ブラスト装置は、圧縮空気に混合した固
体粒子を空気と共に噴出する。吸引式ブラスト装置は、
圧縮空気の高速流で生ずる負圧部に固体粒子を吸い込
み、空気と共に噴出する。ウェットブラスト装置は、固
体粒子を液体と混合して噴出する。
【0045】また、固体粒子噴出手段としては、吹出ノ
ズルや羽根車以外にも、重力による自由落下を利用して
固体粒子を加速する方法、磁性体粒子を磁場によって加
速する方法等を採用することも可能である。なお、羽根
車、重力、磁場を用いた固体粒子噴出手段の場合は、真
空中で固体粒子を転写シートに向かって噴出させること
も可能である。
【0046】〔噴出器:羽根車〕図6〜図9は噴出器の
粒子加速器として用い得る羽根車の一例を示す説明図で
ある。この羽根車は、ブラスチング分野にて使用されて
いる遠心式ブラスト装置に該当する。
【0047】図面では、羽根車812は、複数の羽根8
13がその両側を2枚の側面板814で固定され、且つ
回転中心部は羽根813がない中空部815となってい
る。さらに、この中空部815内に方向制御器816を
内在する。方向制御器816は、外周の一部が円周方向
に開口した開口部817を有する中空筒状で、羽根車8
12の回転軸芯と同一回転軸芯であり、羽根車とは独立
して回動自在となっている。方向制御器816は、使用
時には所定の向きに開口部817を固定して用いる。さ
らに、この方向制御器816の内部に、中空で羽根車8
12の回転軸芯と同一回転軸芯のもう一つの羽根車が散
布器818として内在する(図8参照)。散布器818
は外側の羽根車812と共に回転する。そして、側面板
814の回転中心に回転軸819が固定されており、こ
の回転軸819は軸受820で回転自在に軸支され、電
動機等の回転動力源(図示略)によって駆動回転される
ことで羽根車812が回転する。また回転軸819は、
羽根813を間に有する2枚の側面板814間には貫通
しておらず、軸無しの空間を形成している。
【0048】そして、散布器818の内部に固体粒子P
がホッパー等から輸送管を通って供給される。通常、固
体粒子Pは羽根車812の上方(直上又は斜上方)から
供給する。散布器818内に供給された固体粒子Pは散
布器818の羽根車で外側に飛び散る。飛び散った固体
粒子Pは、方向制御器816の開口部817によって許
された方向にのみ放出され、外側の羽根車812の羽根
813と羽根813との間に供給される。そして、羽根
813に衝突し、羽根車812の回転力で加速され、羽
根車812から噴出する。
【0049】なお、固体粒子の噴出方向は、図6及び図
7のように略鉛直下方であるが、水平方向、或いは斜下
方(図示略)等としてもよい。図9(A)及び図9
(B)に方向制御器816の開口部817の向きの設定
より固体粒子Pの噴出方向を調整する噴出方向制御の概
念図を示す(図9(A),(B)では方向制御器816
はそれぞれ図示の位置で固定されている)。なお、方向
制御器816は、その開口部817の円周方向、幅方向
の大きさを調整することで、固体粒子Pの噴出量を調整
することもできる。
【0050】なお、図6においては、回転軸819は側
面板814の外側のみで中空部815にまで貫通してい
ない構成となっているが、この他、中空部815の直径
より細い回転軸を該中空部815にまで貫通させたり、
外周に固体粒子通り抜け用の開口部を設けた中空筒状の
回転軸の内部自身を中空部とする構成などを採ることも
可能である(図示略)。
【0051】羽根車の羽根の形は、図6〜図9に示すよ
うな長方形の平板(直方体)が代表的であるが、この
他、湾曲曲面板、スクリュープロペラ等のプロペラ形等
を用いることも可能であり、用途、目的に応じて選択す
る。また、羽根の数は複数枚で最大10枚程度の範囲か
ら通常は選択する。そして、羽根車の形状、羽根の枚
数、回転速度、固体粒子の質量や供給速度と供給方向、
方向制御器の開口部サイズ及び向きの組み合わせによ
り、加速された固体粒子の噴出(吹出)方向、噴出速
度、投射密度、噴出拡散角等を調整する。
【0052】また、上記した羽根車には、さらに必要に
応じ、固体粒子の噴出取出部分のみを開口させ、それ以
外の羽根車周囲を被覆する噴出ガイド(図示略)を備え
ることで、固体粒子の噴出方向を揃えたり、固体粒子噴
出方向制御をすることもできる。噴出ガイドの開口部の
形状は、例えば、中空の円柱状、多角柱状、円錐状、多
角錐状、魚尾状等である。
【0053】羽根車の寸法は、通常直径5〜60cm程
度、羽根の幅は5〜20cm程度、羽根の長さはほぼ羽
根車の直径程度、羽根車の回転数は500〜4000r
pm程度である。固体粒子の噴出速度は10〜50m/
s程度、投射密度は10〜150kg/m2 程度であ
る。
【0054】また、羽根車の羽根の材質は、セラミッ
ク、或いはスチール、高クロム鋳鋼、チタン、チタン合
金等の金属等のなかから、固体粒子の種類により適宜選
択すればよい。固体粒子は羽根に接触して加速されるの
で、固体粒子に金属ビーズや無機粒子を用いる場合には
粒子が硬質であるので、羽根には耐摩耗性のよい高クロ
ム鋳鋼、セラミックを用いるとよい。固体粒子に樹脂ビ
ーズを用いる場合には金属粒子に比べれは軟質であるの
でスチールでもよい。
【0055】〔吹出ノズル〕固体粒子を流体と共に噴出
する固体粒子噴出手段として、図10に吹出ノズルを用
いた噴出器840の一例の説明図を示す。なお、同図に
示す噴出器840は固体粒子加速流体として気体を用
い、固体粒子噴出時に該気体と固体粒子を混合して噴出
する形態の噴出器の一例である。同図の噴出器840
は、固体粒子Pと流体Fを混合する誘導室841と、誘
導室841内に流体Fを噴出する内部ノズル842と、
ノズル開口部843から固体粒子P及び流体Fを噴出す
る吹出ノズル844からなる。圧縮機又は送風機(図示
略)から適宜加圧タンク(図示略)を経て送られる流体
Fを、内部ノズル842から誘導室841を経て吹出ノ
ズル844のノズル開口部843から噴出する際に、誘
導室841にて高速で流れる流体流の作用で負圧を作
り、この負圧により固体粒子を流体流に導き混合し、流
体流で固体粒子を加速、搬送して、吹出ノズル844の
ノズル開口部843から流体流と共に噴出するものであ
る。
【0056】なお、吹出ノズルには、固体粒子加速流体
として液体を用いる吹出ノズル等もある。液体の場合
は、例えばポンプ(図示略、流体が液体の場合)によ
り、流体と固体粒子とを加圧タンク(図示略)に混合貯
蔵しておき、この混合液を吹出ノズルのノズル開口部か
ら噴出するもの等が使用される。
【0057】ノズル開口部の形状としては、中空の円柱
状、多角柱状、円錐状、多角錐状、魚尾状等がある。流
体圧は吹付圧力で通常0.1〜100kg/cm2 程度
である。流体流の流速は、液流では通常1〜20m/秒
程度、気流では通常5〜80m/秒程度である。
【0058】誘導室やノズル部等の噴出器の材質は、セ
ラミック、スチール、チタン、チタン合金等のなかから
固体粒子、流体の種類によって適宜選択すればよい。流
体が液体の場合は、錆、溶解、腐食等を生じない材料を
選ぶ。例えば流体が水ならば、ステンレス鋼、チタン、
チタン合金、合成樹脂、セラミックを用いる。ただし、
表面に防水加工すれば、スチール等でもよい。
【0059】なお、固体粒子は噴出器内壁に沿って通過
するが、固体粒子に金属ビーズや無機粒子を用いる場合
には粒子が硬質であるので、噴出器内壁には耐摩耗性の
よいセラミックス、表面をセラミックス被覆した鋼等を
用いるとよい。固体粒子に樹脂ビーズを用いる場合には
金属粒子に比べて軟質であるので炭素鋼(普通鋼)でも
よい。
【0060】〔流体〕流体は、固体粒子を該流体流によ
って加速、搬送して、該流体と共に固体粒子を固体粒子
噴出手段から噴出させる場合(吹出ノズル等)に使用す
る。流体は固体粒子を加速する固体粒子加速流体であ
る。この流体には気体、液体の何れもが利用可能である
が、通常は取扱いが容易な気体を用いる。気体としては
空気が代表的であるが、炭酸ガス、窒素等でもよい。一
方、液体としては、必ずしも限定されないが、不燃性、
乾燥の容易性、無毒性、低価格、入手の容易性、等から
水は好ましい材料の一つである。この他、フロン等の不
燃性の液体も使用できる。液体(気体もそうであるが)
は固体粒子と共に転写シートに衝突させることができ
る。
【0061】〔衝突圧印加形態〕噴出器は、衝突圧印加
領域の面積次第では1個のみの使用でも可能だが、要求
する面積が大きい場合には複数用いて転写シートに衝突
する固体粒子の衝突領域が所望の形状となるようにする
とよい。例えば、転写シート及び被転写基材の送り方向
に直交して幅方向に一直線状に複数列を配置し、幅方向
に直線状で幅広の帯状形状の衝突領域とする。或いは、
図11(A)に示すように噴出器32を千鳥格子状に配
置したり、図11(B)に示すように、噴出器32を一
列に配置するにしても幅方向中央部では送り方向の上流
側で衝突するように配置してもよい。図11(B)に示
す配置では、転写シートの被転写基材への衝突圧による
圧接は幅方向中央部から始まり、次第に幅方向両端部に
向かって圧接されて行く。このようにすると、幅方向中
央部に空気を抱き込んだまま、転写シートが被転写基材
に密着することを防止できる。図11(A),(B)の
ように噴出器32を幅方向に複数個配列する場合には、
個々の噴出器32の加圧領域が互いに一部重複し、全幅
にわたってもれなく加圧できるように配列することが好
ましい。図11(B)はそのような配列の一例を示し、
同図において点線部分が加圧領域である。また、衝突圧
印加時間を長くするには、噴出器は転写シート及び被転
写基材の送り方向に向かって2列以上配置する多段配置
が好ましい。
【0062】〔チャンバの使用〕ところで、固体粒子を
実際に使用する場合、固体粒子を周囲の雰囲気中に飛散
させずに且つ循環再利用するのが好ましい。したがっ
て、チャンバを使用して固体粒子の飛散防止及び循環再
利用をしながら連続転写を行うようにする。この場合、
基材搬送手段の搬送速度と同期する周速度を有する回転
ローラ或いはエンドレスベルトにより被転写基材の両側
部外側にて転写シートを押圧して基材搬送手段との間隙
を封じた状態で固体粒子の衝突を行うことによって、転
写シートの転写層側に裏回りした固体粒子が被転写基材
の側面部及び裏面部に付着するのを防ぎながら、固体粒
子の衝突圧を印加するのが望ましい。チャンバ下方に落
下して回収された固体粒子は、必要に応じ一旦ホッパー
に蓄えた上で、再び固体粒子噴出手段に供給する。
【0063】〔チャンバ使用での連続転写の一形態〕次
に、本発明で使用する転写装置の一例を図12により説
明する。
【0064】同図に示す転写装置は、板状の被転写基材
Bの基材搬送手段、具体的にはチャンバ通過部分はコン
ベアベルトからなる基材搬送装置11により、被転写面
を水平上向きにして水平方向に搬送しながら、連続帯状
の転写シートSにより装飾層等を転写する装置である。
固体粒子Pはチャンバ33b内で羽根車利用の噴出器3
2から、転写シートSに向かって噴出させて衝突させ、
衝突圧を転写圧として与える。基材搬送装置11のコン
ベアベルトは、スプロケットホイール等で駆動される無
端環状となっており、好ましくは被転写基材Bの裏面へ
の固体粒子Pの付着防止のため、固体粒子Pが透過する
隙間の無いものを使用する。このコンベアベルトの材質
としては、例えば布で補強したゴム、金属薄板、金網等
が用いられる。
【0065】チャンバは、基材搬送装置11の上部側に
おいて、転写シートS及び被転写基材Bの出入口を除い
て別室に区画したチャンバ33a〜33cを、転写シー
トS及び被転写基材Bの入口側からこの順に備え、また
基材搬送装置11の下部側において、前記チャンバ33
a〜33cに対応する基材搬送装置下側の共通空間とし
てチャンバ33dを備えている。チャンバ33dは基材
搬送装置11のコンベアベルトの幅方向両側部分で上側
のチャンバ33a〜33cと連結している。なお、チャ
ンバ33aは加熱室であり、また、チャンバ33bは衝
突室(固体粒子噴射領域)であり、チャンバ33cは後
処理室(冷却、固体粒子除去)であり、下方のチャンバ
33dは共通空間であるが固体粒子回収室とも言える。
【0066】チャンバの第1の目的は、固体粒子Pを周
囲の作業雰囲気中に漏らさないようにすることであり、
このため特に衝突室であるチャンバ33bは、転写シー
トS及び被転写基材Bの出入口で連結するチャンバ33
a,33cよりも気圧を低くする。チャンバ33aでは
熱風吹付ノズル22から熱風が吹き出しており、またチ
ャンバ33cでは冷風吹付ノズル24から冷風が吹き出
している結果、相対的にチャンバ33bはチャンバ33
a,33cよりも低圧にできる。なお、チャンバ33c
も、回転ブラシローラ35による固体粒子除去で固体粒
子Pが内部に飛び交うが、チャンバ33cはその内部下
流側で外部に通じる出口に近い部分に冷風吹付ノズル2
4を設けてあるので、出口からの固体粒子漏出は防げ
る。なお、衝突室となるチャンバ33b内は、固体粒子
Pのチャンバからホッパーへの逆流防止の為に、好まし
くはチャンバ外部より低圧にするとよい。このチャンバ
の圧力調整は、例えば排風機(図示略)をチャンバに適
宜接続して内部気体を外部に排気するとよい。
【0067】また、衝突室であるチャンバ33bには、
噴出器32の下方にエンドレスベルト18からなるシー
ト押さえを備えている。このエンドレスベルト18は、
固体粒子Pが裏回りして被転写基材Bの側面部及び裏面
部に付着しないように、転写シートSの両サイド付近を
押さえるものである。
【0068】図12に示す装置を使用した転写について
説明すると、まず被転写基材Bは無限軌道式のコンベア
ベルトからなる基材搬送装置11に載置されて一枚ずつ
搬送される。なお、被転写基材Bは、オフライン又はイ
ンラインで、必要に応じて、接着剤塗工や下地塗装等を
適宜行う。接着剤は全面或いは凸部のみ等と所望の部分
に塗工する。なお、塗工する接着剤等に溶剤分がある場
合は、蒸発成分はチャンバの防爆対策の観点から揮発乾
燥させてからチャンバ33a内に搬入する。
【0069】一方、転写シートSは、巻出ロール12か
ら巻き出されて、まず蒸気加熱や誘導加熱等による予熱
ローラ21で加熱される。なお、転写シートSの向きは
転写層が被転写基材側を向くようにする。その後、転写
シートSはガイドローラを経て、表面がゴム製の弾性体
ローラからなる仮固定ローラ13で、被転写基材Bに対
して軽く押圧されて被転写基材Bに仮圧着される。仮固
定は、転写シートSが被転写基材Bの凸部等の一部に固
着するのみで凹部内部等には接触しなくともよい。な
お、転写時に接着剤を転写シートSに施す場合は、転写
シートSが巻出ロール12から予熱ローラ21に至る間
に、接着剤塗工装置(図示略)を設けて接着剤を塗工す
る。溶剤乾燥を要する場合は、仮固定ローラ13に至る
までの間に乾燥装置(図示略)を設けて乾燥する。
【0070】そして、仮圧着された転写シートSと一体
となった被転写基材Bは、まず加熱室であるチャンバ3
3a内に搬送され、そこで熱風吹付ノズル22から吹き
出す熱風Ahによって、転写シートS、被転写基材B
(及び接着剤(層))が加熱される。その結果、転写シ
ートSは加熱されて軟化し、衝突圧印加時に延伸されや
すくなる。また、接着剤も加熱されて活性化する。ただ
し、転写シートSも被転写基材Bとともに予熱が不要の
場合は、予熱ローラ21、熱風吹付ノズル22は使用し
ないこともできる。また、転写シートSの予熱は不要
で、被転写基材Bの予熱のみが必要な場合は、予熱ロー
ラ21、熱風吹付ノズル22を使用せず、代わりに図1
2に示す如く、仮固定ローラ13の手前に、被転写基材
加熱装置16を設けてもよい。この被転写基材加熱装置
16には、赤外線輻射方式、熱風吹付方式、誘導加熱方
式、誘電加熱方式等を用いる。
【0071】一方、固体粒子Pには、ホッパー31内で
粒子加熱装置23によって加熱された粒子を使用する。
この粒子加熱装置23は、ホッパー内部に設けた導管の
吹出孔から熱風Ahを吹き出して、固体粒子Pを加熱す
るものである。加熱された固体粒子Pはホッパー31か
ら羽根車利用の噴出器32に供給され、衝突室であるチ
ャンバ33b内で転写シートSの支持体側に向かって噴
出される。そして、被転写基材B上の転写シートSは、
噴出器32から噴出する固体粒子Pの衝突にさらされ、
被転写基材B及び転写シートSが搬送されるにつれて、
長手方向の全領域が順次衝突圧にさらされていく。その
結果、転写シートSは、固体粒子衝突圧で被転写基材B
に押圧され、被転写基材Bの天面部上にある凹凸表面の
凹部内へも転写シートSは延ばされて変形することで、
被転写基材Bの天面部の凹凸表面形状に追従して成形さ
れて、活性化している接着剤により転写層が被転写基材
Bに密着する。なお、目地溝部内部には転写シートが接
触しない(転写されない)ようにするためには、固体粒
子衝突圧を適宜加減すればよい。そして、転写シートS
が転写すべき凹凸表面に密着した被転写基材Bは、後処
理室である次のチャンバ33cに搬送される。なお、図
12においては、図示の都合上、ホッパー31、噴出器
32、チャンバ33a,33b,33c等は一部中が見
えるように描いてあるが、実際は周囲は密閉されてい
る。なおここで、ホッパー31、粒子加熱装置23、噴
出器32、チャンバ33b、及びチャンバ33dから固
体粒子噴出手段(転写圧印加手段)が構成される。
【0072】固体粒子噴射領域であるチャンバ33bで
は、転写シートSの両サイド付近が一対のエンドレスベ
ルト18からなるシート押さえにより基材搬送装置に向
かって押圧された状態で固体粒子Pの衝突が行われるの
で、固体粒子Pの裏回りが防止される。一方、転写シー
トSへの衝突に供された後の固体粒子Pのうち、被転写
基材の上側面(天面)上に飛来したものは、該上側面に
衝突圧(転写圧)を印加した後、反射してその一部は基
材搬送装置11のコンベアベルト両端部を迂回して下部
のチャンバ33dに落下する。しかし、残りの部分は転
写シート支持体上に載置されたまま下流側に移送されて
次のチャンバ33cに入る。
【0073】被転写基材の上側面(天面)において、転
写シートSの支持体上に載置されたままでチャンバ33
cに入った固体粒子Pは、先ず回転ブラシローラ35で
転写シート上から除去される。回転ブラシローラ35
は、表面全体に均一に植毛したものでもよいが、幅方向
中央部を境にして左右逆螺旋となるように植毛したもの
が望ましい。このようなブラシローラを使用すれば、回
転している螺旋により、固体粒子は中央部から転写シー
ト両端部に向かって掃き集められ落下する。螺旋のピッ
チは適宜設定すればよい。植毛する毛の長さも適宜設定
すればよいが、通常5〜20mm程度である。毛の材質
は、ナイロン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の合
成樹脂、豚等動物の毛等を用いる。ブラシローラの回転
周速は、転写シート及び被転写基材の搬送速度と同じ
か、それより低速か、或いはそれより高速か、いずれで
もよい。これらの条件は、残留固体粒子の除去効率が最
適となるように選定する。
【0074】その後、スリット状の冷風吹付ノズル24
から転写シートS及び被転写基材B上に向かって、冷風
Acとして室温乃至それ以下の温度の空気を吹きつけ、
被転写基材B及び転写シートSを、転写シートSの支持
体が剥離可能な温度にまで冷却させる。チャンバ33d
に落ちた固体粒子Pは、その斜面をなす底面を擦り落ち
る等して集積され回収される。回収された固体粒子P
は、元のホッパー31にまで搬送され、チャンバ33b
の側壁から回収された固体粒子Pと共に再使用される。
【0075】そして、密着した被転写基材Bと転写シー
トSとが、冷風吹付ノズル24で強制冷却されて、また
残りの吹き飛ばせる固体粒子Pも除去されてチャンバ3
3cから排出されて外部空間に出た後、転写シートS
(の支持体)を、剥離ローラ14により被転写基材Bか
ら剥離除去する。その結果、転写シートSの転写層とし
て装飾層等が被転写基材Bの凹凸表面に転写形成され
た、化粧材等の転写製品が得られる。
【0076】一方、剥離ローラ14通過後の転写シート
S(の支持体)は、回転螺旋ローラ36によって、回転
ブラシローラ35と冷風吹付ノズル24でもなお除去し
切れずに一部付着した固体粒子Pを除去した後、転写シ
ートSの支持体を巻取ロール15に回収する。回転螺旋
ローラ36は、幅方向中央部を境にして、左右逆螺旋と
なるプラスチック製、硬質ゴム製、金属製等のヘラ状の
螺旋羽根を有するローラである。回転する螺旋羽根によ
り、転写シートSの支持体に入り込んだり静電気等で付
着した固体粒子Pを浮き立たせて除去する。支持体を資
源として再利用するためには、固体粒子Pは異物となる
からである。なお、回転ブラシローラ35と冷風吹付ノ
ズル24のみで完全に残留固体粒子を除去できる場合に
は、この回転螺旋ローラ36は省略できる。
【0077】なお、上記説明では、接着剤の硬化完了は
オフラインで行うことを前提にしたが、転写シートSの
圧接後は、支持体剥離前又は後に、加熱装置、或いは電
離放射線硬化性樹脂の場合は水銀灯(紫外線光源)等の
電離放射線照射装置を設けてインラインで硬化させても
よい。
【0078】〔その他〕以上、転写装置を説明してきた
が、上記で説明した事項に限定されるものではない。例
えば、図12の装置では、残留固体粒子除去手段として
回転ブラシローラ35及びその下流側の冷風吹付ノズル
24の両方をこの順に設置したが、これとは逆に冷風吹
付ノズル24の下流側に回転ブラシローラ35を設置す
るようにしてもよい。また、回転ブラシローラ35のみ
で完全に残留固体粒子を除去できて、且つ冷風吹付けを
行わなくとも十分に転写シートSや被転写基材Bの冷却
が可能な場合は、冷風吹付ノズル24を省略することも
できる。もちろん、不要であれば、回転螺旋ローラ36
を省いてもよいことは前述のとおりである。
【0079】〔後加工〕なお、転写後の化粧材等の転写
製品の表面に、耐久性、意匠感等を付与するために、さ
らに透明保護層を塗装する等してもよい。このような透
明保護層としては、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹
脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、シリコ
ーン樹脂、ウレタン樹脂の1種又は2種以上等をバイン
ダーとし、これに必要に応じて、ベンゾトリアゾール、
超微粒子酸化セリウム等の紫外線吸収剤、ヒンダードア
ミン系ラジカル捕捉剤等の光安定剤、シリカ、α−アル
ミナ(球状、鱗片又は不定形)粒子等の減磨剤、着色顔
料、体質顔料、滑剤等を添加した塗料を用いる。また、
外装用途では無機系塗料を用いることもできる。塗工は
スプレー塗装、フローコート、軟質ゴムロールやスポン
ジロールを使用したロールコート等で行う。透明保護層
の膜厚は1〜100μm程度である。
【0080】本発明で得られる化粧材は、各種の用途に
用いることができる。代表的な用途としては、建築物の
外壁面、塀等の外装材、室内の壁面、天井、床等の内装
材が挙げられる。
【0081】
【実施例】この実施例では図13に示すような外装サイ
ディングを作製した。構成的には、横断面が台形を複数
隣接して並べた形状でかつ長尺体とした金属板1からな
る表面材と、表面材の裏面に形成した横断面台形を複数
隣接して並べた形状の芯材2と、その芯材2の裏面を被
覆した金属製の裏打材3とからサンドイッチ構造を形成
したものである。
【0082】表面材は、厚さ1mmのアルミニウム板を
金型プレスにより成形して、リシン調の凹凸模様(凹部
と凸部との段差0.7mm)及び溝状凹部(深さ2m
m、幅7mm)を形成したものである。その表面材の長
さは4000mm、幅は400mmである。芯材は、主
に断熱材、防水材、吸音材として機能する合成樹脂発泡
体よりなるもので、素材としては、ポリウレタンフォー
ム及びこれに難燃剤、難燃助剤を添加した厚さ12mm
のものである。この芯材は表面材の背面に原料を吐出し
てモールド構造で発泡させることで一体化した。裏打材
は芯材の裏面を被覆し、補強材、防水材、放湿材、防火
材の機能を有するとともに、芯材が躯体に直接接触する
のを防止する隔離材の役目を果たす。
【0083】表面材に形成された凹凸模様だけでは、表
面塗装、転写絵付け等による加飾を施しても金属感が拭
えないため、さらに表面材に対してサンドブラスト処理
を行った。このサンドブラスト処理を実施するに際し、
一定形状の固体粒子の衝突だけでは表面材が均一な艶消
しとなるため、還元鉄粉からなる平均直径が0.2mm
と0.6mmの2種の固体粒子群を順次衝突させた。こ
の場合、固体粒子が表面材に均一に当たるのではなく、
部分的に当たるところと当たらないところがランダムに
混在するようにすることで、表面材の粗さを不規則に
し、より金属感を除去するようにした。ブラスト時間も
表面材が均一粗さになる前にランダムに打ち切ること
で、より金属感をなくすようにした。
【0084】上記のようにして金属板の表面形状を変化
させて最終的な凹凸模様を形成した後、続いて図12に
示すような羽根車を用いた転写装置を使用してビーズシ
ョット転写を行った。
【0085】ここでは、転写シートの支持体として、エ
チレン−プロピレンランダム共重合体(エチレン含有
率:3重量%)からなる厚さ80μmのシートを使用し
た。また、転写層は、剥離層と絵柄層とで構成した。そ
のうち剥離層は、熱可塑性アクリルウレタン樹脂からな
る厚さ2μmの層で形成し、絵柄層は、バインダーが熱
可塑性アクリルウレタン樹脂で、顔料がチタン白、黄
鉛、弁柄、フタロシアニンブルー及びカーボンブラック
からなるインキを用いて、石目調の絵柄をグラビア印刷
にて形成した。
【0086】転写を行うに際し、被転写基材Bとなる金
属板(表面材)の表面に、2液硬化型ウレタン樹脂の接
着剤(主剤がアクリルポリオール:100重量部、硬化
剤が1−6ヘキサメチレンジイソシアネート:8重量
部)を14g/m2 の量でスプレー塗装し、温風吹付に
より接着剤中の溶剤を乾燥させるとともに、表面材を8
0℃に予熱した。
【0087】そして、上記被転写基材Bをコンベアベル
トからなる基材搬送装置11上に載置してラインスピー
ド25m/分で搬送した。そして、巻出ロール12から
巻き出した転写シートSを予熱ローラ21で加熱した
後、仮固定ローラ13で被転写基材Bに押圧して仮圧着
し、チャンバ内に被転写基材Bと一体として供給した。
最初のチャンバ33a内では、熱風ノズル22からの熱
風Ahにより転写シートSの予熱による軟化、接着剤の
活性化、被転写基材Bの加熱を行った。この場合、支持
体の表面温度が100℃となるように加熱した。また、
被転写基材Bは70〜80℃になるように赤外線輻射方
式の被転写基材加熱装置16を用いてプレヒートしてお
いた。
【0088】次いで、固体粒子Pとしての平均粒径0.
4mmの球形の亜鉛粒子をホッパー31の内部で40℃
に加熱し、噴出器32からチャンバ33b内に噴出させ
て、転写シートSの支持体側に衝突させ、転写シートS
を被転写基材Bに圧接した。噴出器の羽根車の回転数は
3600rpm、固体粒子Pの噴出速度は35m/s、
投射密度は100kg/m2 であった。そして、転写シ
ートSに衝突した固体粒子Pの多くは、基材搬送装置1
1のコンベアベルト両端部を迂回して下部のチャンバ3
3dに落下し、元のホッパー31にまで搬送して再使用
された。また、落下せずに残った固体粒子Pは転写シー
トSの支持体上に載置されたまま下流側のチャンバ33
cに移送された。
【0089】転写は、転写シートSが天面部の微細な凹
凸(最終的な凹凸)の凹部内にまで延ばされて熱融着
し、且つ目地溝部内までは接着していない状態に留め
た。そして、チャンバ33bの次のチャンバ33cにお
いて、ブラシローラ35のブラシで転写シート上に残留
した固体粒子Pを転写シート両端部に向かって掻き集め
て下のチャンバ33dに落とした。次いで、冷風吹付ノ
ズル24で15℃の冷風Acを吹き付けて、接着剤を冷
却して接着温度以下に冷却すると共に、転写シート上に
まだ残留している固体粒子Pを吹き飛ばして、転写シー
ト両端部からチャンバ33dに落とした。
【0090】次いで、被転写基材B及び転写シートSが
チャンバ33cから外部に出た後、接着剤層、転写シー
トS、表面材とも室温(20℃)にまで冷却してから、
剥離ローラ14で転写シートSの支持体S’を剥がし取
り、転写製品として天面部全面に装飾層が転写された化
粧材Dを得た。
【0091】そして、この化粧材Dの転写層の表面に透
明塗料を30g/m2 の量でスプレー塗装することによ
り表面保護層(上塗り塗膜)を形成し、表面保護層付き
の化粧材を得た。使用した透明塗料は、分子中に水酸基
を有する弗化炭素系ポリオールを主剤(100重量部)
とし、1−6ヘキサメチレンジイソシアネートを硬化剤
(8重量部)とするバインダーに、減磨剤として平均粒
径25μmの球状α−アルミナ粒子(20重量部)、紫
外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
(1重量部)を添加したものを用いた。
【0092】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
金型プレスで先ず形成した金属板表面の中間的な凹凸模
様を固体粒子の衝突によって荒らすことで最終的な凹凸
模様を形成するようにしたので、金属独特の光沢を消し
去ることができ、金属素材でありながら、天然石材風、
窯業系材風の意匠を得ることができる。
【0093】また、その後の固体粒子衝突圧を用いたビ
ーズショット転写による絵付け転写と組み合わせること
により、複雑な凹凸模様上にも確実に装飾層を付与する
ことができるので、さらなる高級感を有する化粧材を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】金型プレスでの成形工程を経た金属板を例示し
た斜視図である。
【図2】金型プレスで成形した後に芯材と裏打材を設け
た金属板の斜視図である。
【図3】最終的な凹凸模様を形成した化粧板の斜視図で
ある。
【図4】ビーズショット転写の様子を示す説明図であ
る。
【図5】ビーズショット転写後に転写シートの支持体を
剥離除去する様子を示す説明図である。
【図6】羽根車を用いた噴出器の一例を示す斜視図であ
る。
【図7】図6の噴出器の正面図である。
【図8】図6の噴出器内部の説明図である。
【図9】図6の噴出器にて噴出方向を調整する説明図で
ある。
【図10】吹出ノズルを用いた噴出器の一例を示す断面
図である。
【図11】噴出器の配置状態の例を示す説明図である。
【図12】転写装置の具体例を示す概略図である。
【図13】実施例で作製した化粧材の斜視図である。
【符号の説明】
1 金属板 2 芯材 3 裏打材 4 支持体 5 転写層 11 基材搬送装置 12 巻出ロール 13 仮固定ローラ 14 剥離ローラ 15 排出ロール 16 被転写基材加熱装置 18 シート押さえ 21 予熱ローラ 22 熱風吹付ノズル 23 粒子加熱装置 24 冷風吹付ノズル 31 ホッパー 32 噴出器 33a〜33d チャンバ 35 回転ブラシローラ 812,812a羽根車 813,813a 羽根 814,814a 側面板 815 中空部 816 方向制御器 817 開口部 818 散布器 819,819a 回転軸 820 軸受 840 吹出ノズルを用いた噴出器 841 誘導室 842 内部ノズル 843 ノズル開口部 844 ノズル Ac 冷風 Ah 熱風 B 被転写基材 D 化粧材 F 流体 P 固体粒子 S 転写シート a 溝 b 中間的な凹凸模様 c 最終的な凹凸模様

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板製の化粧材の製造方法であって、
    まず、金属板を金型プレスすることにより当該金属板の
    表面に中間的な凹凸模様を付与せしめ、次いで、金属板
    よりも硬度の高い固体粒子を衝突させることにより中間
    的な凹凸模様の表面形状を変化させて最終的な凹凸模様
    を形成することを特徴とする化粧材の製造方法。
  2. 【請求項2】 金属板製の化粧材の製造方法であって、
    まず、金属板を金型プレスすることにより当該金属板の
    表面に中間的な凹凸模様を付与せしめ、次いで、金属板
    よりも硬度の高い固体粒子を衝突させることにより中間
    的な凹凸模様の表面形状を変化させて最終的な凹凸模様
    を形成した後、続いて、その金属板における凹凸模様の
    ある表面側に支持体と転写層とからなる転写シートの転
    写層側を対向させてから、該転写シートの支持体側に固
    体粒子を衝突させ、その衝突圧により金属板の凹凸模様
    表面への転写シートの圧着を行い、転写層が金属板表面
    に接着した後、転写シートの支持体を剥離除去すること
    で、転写層を金属板表面に転写することを特徴とする化
    粧材の製造方法。
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