JP2000198141A - 曲面転写装置 - Google Patents

曲面転写装置

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JP2000198141A
JP2000198141A JP11001632A JP163299A JP2000198141A JP 2000198141 A JP2000198141 A JP 2000198141A JP 11001632 A JP11001632 A JP 11001632A JP 163299 A JP163299 A JP 163299A JP 2000198141 A JP2000198141 A JP 2000198141A
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JP
Japan
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transfer
solid particles
sheet
transfer sheet
substrate
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JP11001632A
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English (en)
Inventor
Reiko Suga
玲子 菅
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固体粒子の裏回りを防止するとともに、転写
性を悪化させないようにした曲面転写装置を提供する。 【解決手段】 被転写基材Bにおける凹凸表面側に、支
持体と転写層からなる転写シートSの転写層側を対向さ
せ、該転写シートSの支持体側に固体粒子Pを衝突さ
せ、その衝突圧を利用して転写層を被転写基材Bに転写
する方法を実施するために使用される装置において、転
写シートSの両サイド付近を押さえるエンドレスベルト
式のシート押さえ1を配設し、該シート押さえ1として
転写シートSに接する下端面に切欠部2を間歇的に有す
るエンドレスベルトを使用する。固体粒子Pの裏回りが
防止できるとともに、シート押さえのところで固体粒子
Pが滞留したり堆積したりすることがなく、被転写基材
Bのサイド近辺での転写性を向上できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅の外装及び内
装材、家具、家電製品等の化粧材であって、特に装飾さ
れた凹凸表面を有する化粧材を製造するための曲面転写
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の凹凸表面を有する化粧材の中で
も、大きな三次元的凹凸表面が装飾された化粧材を得る
方法として、特開平9−315095号公報に、固体粒
子の投射による転写の技術が提案されている。すなわ
ち、被転写基材の凹凸表面に、支持体と転写層とからな
る転写シートの転写層側を対向させて、転写シートの支
持体側に固体粒子を吹き付けて衝突させ、該固体粒子の
衝突圧を利用することで、転写シートを被転写基材の表
面凹凸形状に追従させて圧接、密着して転写できるよう
にしたものが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術で述べた装
置は、チャンバ内で固体粒子が飛び交うため、転写シー
トの転写層側に裏回りした固体粒子が被転写基材の側面
部及び裏面部に付着する恐れがある。そこで、本願発明
者は先に、固体粒子噴出領域において、図1に示すよう
に転写シートSの両サイド付近を押さえるシート押さえ
1を配設することを考えた。このシート押さえ1は、コ
ンベアベルトからなる基材搬送装置11と同期する周速
度で回動するエンドレスベルトで構成するもので、被転
写基材Bの両サイドの外側にて転写シートSを基材搬送
装置11に押圧して両者の間隙を封じることにより、転
写シートSの転写層側に裏回りした固体粒子が被転写基
材Bの側面部及び裏面部に付着するのを防ぐようにした
ものである。
【0004】ところが、このようなエンドレスベルト式
のシート押さえ1を配設すると、シート押さえ1と転写
シートSとの間に図1に示す如き凹所Uが生じる。この
ため、固体粒子Pを連続投射して転写を行うと、図2に
示す如く固体粒子Pがその凹所Uに堆積し、さらに被転
写基材Bの転写面の両側端付近にまで固体粒子Pの堆積
が進み、被転写基材Bの両側端付近における転写部が覆
われてしまう。したがって、被転写基材Bにおける両サ
イド付近では、固体粒子Pの投射による圧力伝播が阻害
されることになって転写が良好に行われない。また、凹
所Uに堆積した固体粒子の回収乃至は除去は困難であ
り、除去しきれなかった固体粒子Pは転写後における支
持体巻取り時の障害となる。また、回収されなかった固
体粒子Pは再利用ができず損失となる。そのため、転写
を連続して行う場合、損失した固体粒子Pを絶えず補充
する必要が生じる。
【0005】本発明は、上記のような背景に鑑みてなさ
れたものであり、その目的とするところは、固体粒子の
裏回りを防止するとともに、転写性を悪化させないよう
にした曲面転写装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の問題を解決するた
め、本発明は、表面に凹凸を有する被転写基材の凹凸表
面側に、支持体と転写層からなる転写シートの転写層側
を対向させ、該転写シートの支持体側に固体粒子を衝突
させ、その衝突圧を利用して被転写基材の凹凸表面へ転
写シートを圧接し、転写層を被転写基材に接着させてか
ら支持体を剥離除去することで転写層を被転写基材に転
写する方法を実施するために使用される装置において、
転写シートの両サイド付近を押さえるエンドレスベルト
式のシート押さえを配設し、該シート押さえとして転写
シートに接する下端面に切欠部を間歇的に有するエンド
レスベルトを使用したことを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】図3は本発明に係る曲面転写装置
の一例を示す要部の側面図、図4は図3の基材搬送方向
に直交する断面で切断した横断面図であり、これら図3
及び図4は曲面転写装置における固体粒子噴射領域の部
分を示している。
【0008】この固体粒子噴射領域において、転写シー
トSはその両サイド付近をシート押さえ1にて押圧さ
れ、この押圧状態で固体粒子Pが投射されて転写が行わ
れる。シート押さえ1は、コンベアベルトからなる基材
搬送装置11と同期する周速度で回動するエンドレスベ
ルトで構成されており、このエンドレスベルトは転写シ
ートSに接する下端面に半円状の切欠部2を間歇的に有
している。このようにシート押さえ1には切欠部2が連
続して設けられているため、衝突後に転写シートSとシ
ート押さえ1の間の凹所Uに落ちた固体粒子Pはこれら
切欠部2の通路を通って落下する。したがって、転写シ
ートSとシート押さえ1との境界に固体粒子Pが堆積し
ない。
【0009】なお、シート押さえに設ける切欠部は上記
のような円形状に限定されるものではない。例えば、図
5(A)に示すような三角状の切欠部2、図5(B)に
示すような矩形状の切欠部2でも構わない。また、シー
ト押さえ1の材質としては、例えば、天然ゴム、合成ゴ
ム等のゴム、或いはゴムを硝子繊維(織布、不織布等)
等の繊維材で補強したもの等を用いることができる。
【0010】図6は本発明に係る曲面転写装置の他の例
を示すものでその要部を上方から見下ろした平面図、図
7は図6の装置におけるシート押さえの側面図である。
この例に示される装置では、シート押さえ1における通
路の内側(被転写基材B側)の開口サイズが外側の開口
サイズよりも大きくなるように切欠部2の内面にテーパ
ーを付けている。このように切欠部2の内面がテーパー
面になっていると、テーパーのない場合と比べて固体粒
子Pが切欠部2を通って外側に脱出しやすい。このよう
なテーパー面は図8(A)に示すような平面に限らず、
図8(B)や図8(C)に示すような曲面でも構わな
い。
【0011】図9は本発明に係る曲面転写装置のさらに
他の例を示すものでその要部を上方から見下ろした平面
図、図10は図9の装置におけるシート押さえの側面図
である。この例に示される装置では、シート押さえ1に
おける通路を基材搬送方向に対して傾斜させるように切
欠部2を斜めに形成している。傾斜の向きはどちらでも
よいが、傾斜角θ(但し、θ<90°となる方向から測
る)は20°≦θ≦70°程度である。このように切欠
部2が傾斜していると、固体粒子の速度ベクトルの中に
基材搬送方向に傾斜するものが多い場合に、それらの固
体粒子が通路を通って脱出しやすい。
【0012】以下、本発明の細部について更に詳細に説
明する。
【0013】〔被転写基材〕本発明にて使用する被転写
基材は、被転写面が平坦な平面のものでももちろんよい
が、本発明が真価を発揮するのは被転写面が凹凸表面で
あり、特にその凹凸が三次元的になっている被転写基材
である。本発明では、後述のように、流体的に振る舞う
固体粒子群の衝突圧を利用するため、表面凹凸の三次元
的形状に対して圧力印加領域の面的な方向性を本質的に
持たない。(この方向性とは、圧力が印加される被転写
基材上のポイントの時間的位置変化の方向のことであ
る。)従って、転写シートや被転写基材の送り方向に凹
凸がある形状を持つ被転写基材でも構わない。すなわ
ち、送り方向のみ又は幅方向のみ等と一方向にのみ凹凸
がある二次元的凹凸、送り方向及び幅方向の両方等と2
方向に凹凸がある三次元的凹凸にも適用できることを意
味する。なお、固体粒子群の衝突圧が方向性を持たない
点は、枚葉の転写シートを被転写基材上に載置して一つ
ずつ圧接密着するように、固体粒子を噴出する噴出器を
移動、或いは噴出器固定で転写シートと被転写基材とを
移動させて、衝突圧が印加される領域が移動していく様
子を考えれば容易に理解できる。
【0014】また、被転写基材は全体として(包絡面形
状が)平板状の板材だけでなく、円弧状に凸又は凹に送
り方向又は幅方向に湾曲した二次元的凹凸を有する基材
でもよく、またその湾曲面にさらに細かい三次元的な表
面凹凸があってもよい。なお、本発明では、被転写基材
の円弧状等の断面を持つ二次元的な凹凸に対して、それ
を例えば幅方向として、或いは送り方向として転写する
かは作業性等を考慮して任意にできる。
【0015】また、大柄な凹凸に重畳して微細な凹凸を
有する凹凸表面の被転写基材、或いは凹凸表面の凹部底
部や凹部内側面に転写すべき面を有する被転写基材も可
能である。前記大柄な凹凸と微細な凹凸とは、例えば図
18の要部拡大斜視図に示す如く、被転写基材の凹凸が
大柄な凹凸401、402とその凸部402上にある微
細な凹凸403とからなるもので、大柄の凹凸形状は段
差が1〜10mm、凹部の幅が1〜10mm、凸部の幅
が5mm以上のもので構成されるものであり、微細な凹
凸形状は、段差及び幅ともに大柄な凹凸形状よりも小さ
く、具体的には段差が0.1〜5mm程度、凹部の幅及
び凸部の幅が0.1mm以上で、大柄な凹凸形状の凸部
の幅の1/2未満程度である。
【0016】大柄な凹凸と微細な凹凸との組み合わせの
凹凸から成り、且つ三次元的な表面凹凸を持つ化粧材の
凹凸模様の具体例としては、例えば、大柄な凹凸として
目地、溝等を有するタイル、煉瓦、石等の二次元配列模
様を有し、その上に微細な凹凸としてスタッコ調、リシ
ン調等の吹き付け塗装面の凹凸模様、花崗岩の劈開面や
トラバーチン大理石板等の石材表面の凹凸等を有する石
目調凹凸模様、或いは大柄な凹凸模様として目地、溝、
簓、サネ等を有する羽目板模様、浮造木目板模様を有
し、その上に微細凹凸として導管溝、浮き出した年輪、
ヘアライン等を有する木目調の凹凸模様が挙げられる。
【0017】凹凸面を構成する各面は、平面のみ、曲面
のみ、或いは平面と曲面の組み合わせと任意である。従
って、本発明の被転写基材上の曲面とは、断面が下駄の
歯形のように複数の平面のみから構成される曲面を持た
ない凹凸面も意味する。また、本発明でいう曲率とは、
立方体の辺或いは頂点の周辺のように角張っている曲率
無限大(曲率半径=0)の場合も包含する。なお、被転
写基材表面を所望の凹凸とするには、プレス加工、エン
ボス加工、押し出し加工、切削加工、成形加工等によれ
ばよい。
【0018】被転写基材の材質は任意であり、例えば、
板材であれば、ケイ酸カルシウム板、押し出しセメント
板、スラグセメント板、ALC(軽量発泡コンクリー
ト)板、GRC(硝子繊維強化コンクリート)板、パル
プセメント板等の非陶磁器窯業系板、杉、松、樫、ラワ
ン、チーク等の樹木からなる木材単板や木材合板、パー
ティクルボード、集成材、木質中密度繊維板(MDF)
等の木質板、また、鉄、アルミニウム、銅等の金属板、
陶磁器やガラス等のセラミックス、ポリプロピレン、A
BS樹脂、フェノール樹脂等の樹脂成形品等でもよい。
【0019】また、これらの被転写基材表面には、予
め、接着剤との接着を補助するための易接着プライマ
ー、被転写基材から滲出するアルカリ成分等の滲出成分
を遮断するためのシーラー剤、或いは表面の微凹凸や多
孔質を目止めし封じるための目止剤を塗工しておいても
よい。易接着プライマー、シーラー剤或いは目止剤とし
ては、イソシアネート、2液硬化ウレタン樹脂、エポキ
シ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の樹脂を塗工
し形成する。
【0020】〔転写シート〕転写シートは支持体と転写
移行する転写層とからなる。転写層は少なくとも装飾層
から構成される。また、接着剤を、転写層の一部となる
接着剤層として、転写シートに形成しておいてもよい。
なお、被転写基材表面と転写シートとの間に抱き込まれ
て残留する空気を抜きやすくするために、必要に応じて
転写シート全面に転写シート全層を貫通する小孔を多数
穿設してもよい。
【0021】(支持体)転写シートの支持体としては、
被転写基材が平坦な表面或いは二次元的凹凸表面であれ
ば、延伸性のない紙等も可能だが、本発明が真価を発揮
する三次元的凹凸表面に適用するためには少なくとも転
写時には延伸性のある支持体を用いる。延伸性があるこ
とにより、固体粒子の衝突圧印加時に被転写基材表面の
凹部内部まで転写シートを追従させて密着し転写するこ
とができる。転写シート全体の延伸性は、主に支持体の
延伸性に支配される。従って、支持体には、従来公知の
熱可塑性樹脂フィルムの他に、常温でも延伸するゴム膜
も使用できる。熱可塑性樹脂フィルムの場合、装飾層等
の転写層形成時には延伸性が殆どなく、転写時には加熱
により充分な延伸性を発現し、且つ冷却後は変形した形
状を保持し続け、弾性による形状の復元を生じない転写
シートとして、従来公知の通常の転写シートと同様、本
発明で用い得る転写シートを簡単に用意することができ
る。
【0022】支持体の具体例としては、延伸性の点で、
従来多用されている2軸延伸ポリエチレンテレフタレー
トフィルムでも、表面凹凸形状次第で、加熱条件、衝突
圧条件等の設定によって、必要充分な延伸性を発現させ
ることができるので曲面転写は可能である。ただ、より
低温・低圧で延伸性が発現し易い好ましい支持体として
は、例えば、エチレン・テレフタレート・イソフタレー
ト共重合体ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート
等の熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリ
エチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−
プロピレン−ブテン3元共重合体等のポリオレフィン樹
脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、或いは天然ゴ
ム、合成ゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウ
レタン系熱可塑性エラストマー等を単体又は混合物で、
単層又は異種の複層とした樹脂フィルムを用いることが
できる。これら樹脂フィルムは低延伸又は無延伸の物が
好ましい。例えば、具体的にはポリプロピレン系熱可塑
性エラストマーフィルムは、延伸特性に優れ且つ廃棄燃
焼時に塩酸ガスを発生せず環境対策的にも好ましい支持
体の一つである。支持体の厚さは、通常20〜200μ
mである。
【0023】また、支持体には必要に応じ、その転写層
側に転写層との剥離性を向上させるため離型層を設けて
もよい。この離型層は支持体を剥離時に支持体と共に転
写層から剥離除去される。離型層としては、例えば、シ
リコーン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタ
ン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ワックス等の単体又はこ
れらを含む混合物が用いられる。
【0024】また、転写層に接する側の支持体面に凹凸
模様を設ければ、転写後の転写層表面に凹凸模様を賦形
することもできる。凹凸模様は、例えば、砂目、梨地、
ヘアライン、万線状溝、花崗岩の劈開面の凹凸模様、木
目導管溝、木目年輪模様、布目の表面テクスチュア、皮
絞、文字、幾何学模様等である。なお、凹凸模様の形成
は、支持体の樹脂シートに対して、熱プレスによるエン
ボス加工、サンドブラスト加工、ヘアライン加工をした
り、或いは支持体に、離型性の有る樹脂をバインダーと
するインキ(2液硬化ウレタン、シリコーン樹脂、メラ
ミン樹脂、紫外線又は電子線で架橋する多官能アクリレ
ート又はメタクリレートのモノマー又はプレポリマー等
からなる)を用いて所望の凹凸模様にシルクスクリーン
印刷等で盛り上げ印刷して賦形層を設け、賦形層を有す
る支持体とする方法等がある。なお、賦形層は上記離型
層の機能を有する。
【0025】(転写層)転写シートの転写層は少なくと
も装飾層から構成し、さらに適宜、剥離層、接着剤層等
も転写層の構成要素とすることもある。接着剤層を有す
る構成では、転写の際に転写シート又は被転写基材の片
方又は両方に接着剤を施すことを省略できる。
【0026】装飾層はグラビア印刷、シルクスクリーン
印刷、オフセット印刷等の従来公知の方法と材料で絵柄
等を印刷した絵柄層、アルミニウム、クロム、金、銀等
の金属を公知の蒸着法等により部分的或いは全面に形成
した金属薄膜層等であり、用途に合わせたものを用い
る。絵柄としては、被転写基材の表面凹凸に合わせて、
木目模様、石目模様、布目模様、タイル調模様、煉瓦調
模様、皮絞模様、文字、幾何学模様、全面ベタ等を用い
る。なお、絵柄層用インキは、バインダー等からなるビ
ヒクル、顔料や染料等の着色剤、これに適宜加える各種
添加剤からなる。バンイダーには、アクリル樹脂、塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂、フッ
素樹脂等の単体又はこれらを含む混合物を用いる。着色
剤の顔料としては、チタン白、カーボンブラック、弁
柄、黄鉛、群青等の無機顔料、アニリンブラック、キナ
クリドン、イソインドリノン、フタロシアニンブルー等
の有機顔料を用いる。或いは、トリフェニルメチン系の
分散染料等の公知の各種昇華性染料を用い、転写時に固
体粒子衝突圧に加えて加熱を行い、昇華した染料を被転
写基材に染着させて転写する方式を採用することも可能
である。被転写基材自体が染着性を有さない場合は、ポ
リエステル樹脂、アクリル樹脂等の公知の樹脂からなる
受容層を被転写基材表面に予め形成しておいてもよい。
【0027】また、剥離層を、支持体乃至は離型層と装
飾層との間の剥離性を調整するため、転写後の装飾層の
表面保護のため等に、これら層間に設けるのは、従来公
知の転写シートと同様である。剥離層には、例えば、上
記絵柄層インキのバインダーに用いる樹脂等が用いられ
る。なお、この剥離層は転写時に装飾層と共に被転写基
材側に転写され、装飾層の表面を被覆する。
【0028】〔接着剤〕接着剤は、転写シートの転写層
を構成する接着剤層や被転写基材上の接着剤層として、
事前又は転写の直前に、オンライン塗工やオフライン塗
工で施す。被転写基材に施す場合には、転写シートの接
着剤層を省略できる。用いる接着剤は、用途、要求物性
等により適宜選択すればよいが、固体粒子加速流体に液
体を用いる場合には、該液体に対して不溶性のものを選
択する。
【0029】接着剤としては、例えば、感熱型接着剤、
湿気硬化型感熱溶融型接着剤、ホットメルト接着剤、湿
気硬化型ホットメルト接着剤、2液硬化型接着剤、電離
放射線硬化型接着剤、水性接着剤、或いは粘着剤による
感圧型接着剤等の各種接着剤を使用できる。
【0030】感熱型接着剤としては、熱可塑性樹脂を用
いた熱融着型と、熱硬化性樹脂を用いた熱硬化型とのい
ずれの接着剤も使用できる。ただし、短時間で接着が完
了するという点からは、熱融着型(感熱溶融型接着剤)
が好ましい。また、接着剤は溶剤希釈又は無溶剤、或い
は常温で液体又は固体のいずれでもよく、適宜使い分け
る。また、粘着性を呈する感圧型の粘着剤以外の接着剤
では、接着剤層の単層のみで転写層とすることができ
る。接着剤層中に顔料等の着色剤を添加すれば、全面ベ
タのインク層からなる装飾層ともいえる。感熱溶融型接
着剤としては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アク
リル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタ
ン樹脂、ダイマー酸とエチレンジアミンとの縮重合によ
り得られるポリアミド樹脂等の従来公知の接着剤を用い
ることができる。熱硬化型接着剤としては、ジアリルフ
タレート樹脂、熱硬化型ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等
を用いることができる。
【0031】湿気硬化型感熱溶融型接着剤も感熱溶融型
接着剤の一種である。湿気硬化型感熱溶融型接着剤は、
自然放置により空気中の水分で硬化反応が進行するの
で、作業安定性の点で転写直前に施す。また、湿気硬化
型感熱溶融型接着剤は、転写直後は、通常の感熱溶融型
接着剤同様の接着力だが、自然放置により空気中の水分
で架橋・硬化反応が徐々に進行するために、最終的にク
リープ変形及び熱溶融がなく耐熱性等に優れ、大きな接
着力が得られる。ただし、転写終了後に湿気で接着剤の
架橋・硬化を進行させるため、湿気を含む空気中に転写
後の化粧板を放置して養生する。養生の際の好ましい雰
囲気条件は、大体、相対湿度50%RH以上、気温10
℃以上である。温度・相対湿度とも高い方が、より短時
間で硬化が完了する。標準的な硬化完了時間は、通常の
場合、20℃、60%RHの雰囲気中で10時間程度で
ある。
【0032】湿気硬化型感熱溶融型接着剤は、分子末端
にイソシアネート基を有するプレポリマーを必須成分と
する組成物である。前記プレポリマーは、通常は分子両
末端に各々イソシアネート基を1個以上有するポリイソ
シアネートプレポリマーであり、室温で固体の熱可塑性
樹脂の状態にあるものである。イソシアネート基同士が
空気中の水分により反応して鎖延長反応を起こして、そ
の結果、分子鎖中に尿素結合を有する反応物を生じて、
この尿素結合にさらに分子末端のイソシアネート基が反
応して、ビウレット結合を起こして分岐し、架橋反応を
起こす。
【0033】分子末端にイソシアネート基を有するプレ
ポリマーの分子鎖の骨格構造は任意であるが、具体的に
は、ウレタン結合を有するポリウレタン骨格、エステル
結合を有するポリエステル骨格、ポリブタジエン骨格等
である。適宜これら1種又は2種以上の骨格構造を採用
することで、接着剤物性を調整できる。なお、分子鎖中
にウレタン結合がある場合は、このウレタン結合とも末
端イソシアネート基が反応して、アロファネート結合を
生じて、このアロファネート結合によっても架橋反応を
起こす。
【0034】電離放射線硬化型接着剤として用い得る電
離放射線硬化性樹脂は、電離放射線により硬化可能な組
成物であり、具体的には、分子中にラジカル重合性不飽
和結合、又はカチオン重合性官能基を有する、プレポリ
マー(所謂オリゴマーも包含する)及び/又はモノマー
を適宜混合した電離放射線により硬化可能な組成物が好
ましく用いられる。これらプレポリマー又はモノマーは
単体又は複数種を混合して用いる。
【0035】上記プレポリマー又はモノマーは、具体的
には、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アク
リロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキ
シ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物からな
る。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによ
るポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましく用い
られる。なお、例えば(メタ)アクリロイル基とは、ア
クリロイル基又はメタアクリロイル基の意味である。
【0036】ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリ
マーの例としては、ポリエステル(メタ)アクリレー
ト、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)
アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリア
ジン(メタ)アクリレート等が使用できる。分子量とし
ては、通常250〜100,000程度のものが用いら
れる。
【0037】ラジカル重合性不飽和基を有するモノマー
の例としては、単官能モノマーとして、メチル(メタ)
アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト等がある。また、多官能モノマーとして、トリメチー
ルプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリス
リトールヘキサ(メタ)アクリレート等もある。
【0038】カチオン重合性官能基を有するプレポリマ
ーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボ
ラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系
ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエ
ーテル系樹脂のプレポリマーがある。
【0039】チオールとしては、トリメチロールプロパ
ントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラ
チオグリコレート等のポリチオールがある。また、ポリ
エンとしては、ジオールとジイソシアネートによるポリ
ウレタンの両端にアリルアルコールを付加したもの等が
ある。
【0040】なお、紫外線又は可視光線にて硬化させる
場合には、上記電離放射線硬化性樹脂に、さらに光重合
開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹
脂系の場合は、光重合開始剤として、アセトフェノン
類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン
類を単独又は混合して用いることができる。また、カチ
オン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始
剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム
塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物等を単独
又は混合物として用いることができる。なお、これらの
光重合開始剤の添加量としては、電離放射線硬化性樹脂
100重量部に対して、0.1〜10重量部程度であ
る。
【0041】なお、電離放射線としては、接着剤中の分
子を架橋させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒
子が用いられる。通常用いられるものは、紫外線又は電
子線であるが、この他、可視光線、X線、イオン線等を
用いることも可能である。紫外線源としては、高圧水銀
灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト等
の光源が使用される。紫外線の波長としては通常190
〜380nmの波長域が主として用いられる。電子線源
としては、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト
型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線
型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器
を用い、100〜1000keV、好ましくは、100
〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射するもの
が使用される。
【0042】上記電離放射線硬化性樹脂に、さらに必要
に応じて、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル
系樹脂等の熱可塑性樹脂を添加することもできる。な
お、希釈溶剤は添加せずに用いれば、ホットメルト接着
剤となる。
【0043】なお、電離放射線硬化型接着剤を用いた場
合には、製造装置に紫外線や電子線を照射する電離放射
線照射装置を組み込むことができる。照射は、衝突圧印
加中、印加後、或いは印加中及び印加後に行う。
【0044】また、接着剤に用いる上記各種樹脂にさら
に、必要に応じて、各種添加剤を添加することもでき
る。これらの添加剤としては、例えば、炭酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ等の微粉末からな
る体質顔料(充填剤)、有機ベントナイト等のチキソト
ロピック付与剤(特に凹凸段差の大きい被転写基材の場
合、接着剤が凸部から凹部へ流入することを防止するた
めに添加するとよい。)等である。
【0045】接着剤を、転写シート等のシートや被転写
基材に施すには、水、有機溶剤等の溶媒(又は分散媒)
に溶解(又は分散)した溶液(又は分散液)の形態で、
或いは熱溶融した熱可塑性組成物又は室温液状の未硬化
樹脂を無溶剤の樹脂液の形態で施す。塗工法としては、
従来公知の塗工法であるグラビアロールコート等による
溶液塗工や、アプリケータ等による熔融塗工(溶融塗
工)法により施せばよい。希釈溶剤を添加せずに用いれ
ば、溶剤乾燥は不要である。例えば、感熱溶融型接着剤
は、それぞれ無溶剤のホットメルト接着剤として使用で
きる。また、電離放射線硬化型接着剤なども無溶剤で施
すことができる。ホットメルト型接着剤として使用する
場合は無溶剤なので、転写直前の塗工でも溶剤乾燥が不
要で、高速生産できる。なお、接着剤の塗布量は、接着
剤の組成、被転写基材の種類及び表面状態で異なるが、
通常10〜200g/m2 (固形分)程度である。
【0046】なお、接着剤に感熱溶融型接着剤を用い、
接着剤を活性化して熱融着させるために加熱するタイミ
ングは、衝突圧印加前、衝突圧印加中、或いは衝突圧印
加前及び印加中などのいずれでもよい。接着剤の加熱は
転写シートや被転写基材を加熱して行う。接着剤が施さ
れた材料(転写シートや被転写基材)を加熱してもよ
く、接着剤が施されていない側の材料を加熱してもよ
く、或いはこれら両方の材料を加熱してもよい。また、
衝突圧印加中の加熱には、加熱固体粒子や、固体粒子加
速用の流体を加熱流体として用いてもよい。
【0047】一方、転写シートが被転写基材の表面形状
に追従し、成形され、接着剤が十分活性化すれば、冷風
等の冷却手段で接着剤の冷却を促進してもよい。冷風
は、転写シート側や被転写基材側から吹き付ける。ま
た、冷却手段として、冷却固体粒子、冷却流体も用いる
こともできる。冷却促進は、被転写基材の凹凸表面の凹
部内部にまで追従成形された転写シートが衝突圧開放後
に復元力がある場合に戻るのも防止する。
【0048】〔固体粒子〕固体粒子としては、ガラスビ
ーズ、セラミックビーズ、アルミナビーズ、ジルコニア
ビーズ、コランダムビーズ、アランダムビーズ等の無機
粉体である非金属無機粒子、鉄、又は炭素鋼、ステンレ
ス鋼等の鉄合金、アルミニウム、又はジュラルミン等の
アルミニウム合金、チタン、亜鉛等の金属ビーズ等の金
属粒子、或いは、フッ素樹脂ビーズ、ナイロンビーズ、
シリコーン樹脂ビーズ、ウレタン樹脂ビーズ、尿素樹脂
ビーズ、架橋ゴムビーズ等の樹脂ビーズ等の有機粒子
等、或いは金属等の無機粒子と樹脂とからなる無機物・
樹脂複合粒子等を使用することができる。形状は球形状
が好ましいが、回転楕円体形状、多面体形状、鱗片状、
無定形、その他の形状のものでも用い得る。固体粒子の
粒径としては、通常10〜1000μm程度である。
【0049】なお、固体粒子は加熱手段や冷却手段を兼
用することもできる。加熱された加熱固体粒子を用いれ
ば、接着剤の加熱活性化やその架橋硬化の促進、或いは
転写シートの加熱による延伸性の向上を、転写シートの
押圧と共に行うこともできる。この場合、衝突圧印加前
に他の加熱方法で、ある程度まで転写シート、被転写基
材を加熱しておいてもよい。また、加熱固体粒子は既に
加熱された転写シート、被転写基材等の温度維持にも使
用できる。一方、固体粒子は、接着後の冷却促進目的
で、接着時の接着剤の温度よりも低温の固体粒子を、冷
却固体粒子として用いることもできる。また、固体粒子
はその一部又は全部を加熱固体粒子、冷却固体粒子とし
て用いたり、加熱固体粒子を衝突させた後、冷却固体粒
子を衝突させる等と、併用してもよい。また、他の加熱
方法で転写シートや被転写基材、接着剤等の加熱を要す
るものを充分に加熱しておき、これに冷却固体粒子を用
いて転写シートの成形と接着及び冷却を殆ど同時に行う
こともできる。
【0050】固体粒子を加熱又は冷却するには、固体粒
子をホッパー等の形態のタンクに貯蔵する場合は、タン
ク内やタンク外壁に設けた電熱ヒーター、加熱蒸気、冷
媒等による加熱手段、冷却手段で行えばよい。また、固
体粒子輸送管の外壁にこれらの手段を設けて輸送管にて
加熱又は冷却するようにしてもよい。或いは、固体粒子
の加速に流体を用いる場合では、冷却又は加熱した流体
を用いて該流体からの熱伝導で固体粒子を冷却又は加熱
することもできる。その場合、流体も転写シートに衝突
させることで、流体も固体粒子と共に加熱又は冷却手段
とすることができる。或いは、前記流体が液体で該液体
と共に固体粒子を貯蔵するタンクを用いる場合では、貯
蔵中に固体粒子及び液体を冷却又は加熱してもよい。
【0051】〔固体粒子による衝突圧印加〕固体粒子を
転写シートに衝突させて衝突圧を印加し、転写シートを
被転写基材に押圧するには、固体粒子を噴出する固体粒
子噴出手段から固体粒子を転写シートに向かって噴出さ
せて転写シートに衝突圧を印加する。固体粒子噴出手段
としては、粒子加速器として例えば、回転する羽根車を
用いた噴出器(図11〜図14参照)や、吹出ノズルを
用いた噴出器(図15参照)を使用する。羽根車による
噴出器は、羽根車の回転により固体粒子を加速し噴出す
るものである。一方、吹出ノズルによる噴出器は、固体
粒子加速流体を用いて、固体粒子を高速の該流体の流体
流で加速、搬送して該流体と共に噴出するものである。
羽根車や吹出ノズルには、サンドブラスト或いはショッ
トブラスト、ショットピーニング等とブラスト分野にて
使用されているものを流用できる。例えば羽根車には遠
心式ブラスト装置、吹出ノズルには加圧式や吸引式ブラ
スト装置、ウェットブラスト装置等である。遠心式ブラ
スト装置は、羽根車の回転力で固体粒子を加速し噴出す
る。加圧式ブラスト装置は、圧縮空気に混合した固体粒
子を空気と共に噴出する。吸引式ブラスト装置は、圧縮
空気の高速流で生ずる負圧部に固体粒子を吸い込み、空
気と共に噴出する。ウェットブラスト装置は、固体粒子
を液体と混合して噴出する。
【0052】また、固体粒子噴出手段としては、吹出ノ
ズルや羽根車以外にも、重力による自由落下を利用して
固体粒子を加速する方法、磁性体粒子を磁場によって加
速する方法等を採用することも可能である。なお、羽根
車、重力、磁場を用いた固体粒子噴出手段の場合は、真
空中で固体粒子を転写シートに向かって噴出させること
も可能である。
【0053】〔噴出器:羽根車〕図11〜図14は噴出
器の粒子加速器として用い得る羽根車の一例を示す説明
図である。この羽根車は、ブラスチング分野にて使用さ
れている遠心式ブラスト装置に該当する。
【0054】図面では、羽根車812は、複数の羽根8
13がその両側を2枚の側面板814で固定され、且つ
回転中心部は羽根813がない中空部815となってい
る。さらに、この中空部815内に方向制御器816を
内在する。方向制御器816は、外周の一部が円周方向
に開口した開口部817を有する中空筒状で、羽根車8
12の回転軸芯と同一回転軸芯であり、羽根車とは独立
して回動自在となっている。方向制御器816は、使用
時には所定の向きに開口部817を固定して用いる。さ
らに、この方向制御器816の内部に、中空で羽根車8
12の回転軸芯と同一回転軸芯のもう一つの羽根車が散
布器818として内在する(図13参照)。散布器81
8は外側の羽根車812と共に回転する。そして、側面
板814の回転中心に回転軸819が固定されており、
この回転軸819は軸受820で回転自在に軸支され、
電動機等の回転動力源(図示略)によって駆動回転され
ることで羽根車812が回転する。また回転軸819
は、羽根813を間に有する2枚の側面板814間には
貫通しておらず、軸無しの空間を形成している。
【0055】そして、散布器818の内部に固体粒子P
がホッパー等から輸送管を通って供給される。通常、固
体粒子Pは羽根車812の上方(直上又は斜上方)から
供給する。散布器818内に供給された固体粒子Pは散
布器818の羽根車で外側に飛び散る。飛び散った固体
粒子Pは、方向制御器816の開口部817によって許
された方向にのみ放出され、外側の羽根車812の羽根
813と羽根813との間に供給される。そして、羽根
813に衝突し、羽根車812の回転力で加速され、羽
根車812から噴出する。
【0056】なお、固体粒子の噴出方向は、図11及び
図12のように略鉛直下方であるが、水平方向、或いは
斜下方(図示略)等としてもよい。図14(A)及び図
14(B)に方向制御器816の開口部817の向きの
設定より固体粒子Pの噴出方向を調整する噴出方向制御
の概念図を示す(図14(A),(B)では方向制御器
816はそれぞれ図示の位置で固定されている)。な
お、方向制御器816は、その開口部817の円周方
向、幅方向の大きさを調整することで、固体粒子Pの噴
出量を調整することもできる。
【0057】なお、図11においては、回転軸819は
側面板814の外側のみで中空部815にまで貫通して
いない構成となっているが、この他、中空部815の直
径より細い回転軸を該中空部815にまで貫通させた
り、外周に固体粒子通り抜け用の開口部を設けた中空筒
状の回転軸の内部自身を中空部とする構成などを採るこ
とも可能である(図示略)。
【0058】羽根車の羽根の形は、図11〜図14に示
すような長方形の平板(直方体)が代表的であるが、こ
の他、湾曲曲面板、スクリュープロペラ等のプロペラ形
等を用いることも可能であり、用途、目的に応じて選択
する。また、羽根の数は複数枚で最大10枚程度の範囲
から通常は選択する。そして、羽根車の形状、羽根の枚
数、回転速度、固体粒子の質量や供給速度と供給方向、
方向制御器の開口部サイズ及び向きの組み合わせによ
り、加速された固体粒子の噴出(吹出)方向、噴出速
度、投射密度、噴出拡散角等を調整する。
【0059】また、上記した羽根車には、さらに必要に
応じ、固体粒子の噴出取出部分のみを開口させ、それ以
外の羽根車周囲を被覆する噴出ガイド(図示略)を備え
ることで、固体粒子の噴出方向を揃えたり、固体粒子噴
出方向制御をすることもできる。噴出ガイドの開口部の
形状は、例えば、中空の円柱状、多角柱状、円錐状、多
角錐状、魚尾状等である。
【0060】羽根車の寸法は、通常直径5〜60cm程
度、羽根の幅は5〜20cm程度、羽根の長さはほぼ羽
根車の直径程度、羽根車の回転数は500〜5000r
pm程度である。固体粒子の噴出速度は10〜50m/
s程度、投射密度は10〜150kg/m2 程度であ
る。
【0061】また、羽根車の羽根の材質は、セラミッ
ク、或いはスチール、高クロム鋳鋼、チタン、チタン合
金等の金属等のなかから、固体粒子の種類により適宜選
択すればよい。固体粒子は羽根に接触して加速されるの
で、固体粒子に金属ビーズや無機粒子を用いる場合には
粒子が硬質であるので、羽根には耐摩耗性のよい高クロ
ム鋳鋼、セラミックを用いるとよい。固体粒子に樹脂ビ
ーズを用いる場合には金属粒子に比べれは軟質であるの
でスチールでもよい。
【0062】〔吹出ノズル〕固体粒子を流体と共に噴出
する固体粒子噴出手段として、図15に吹出ノズルを用
いた噴出器840の一例の説明図を示す。なお、同図に
示す噴出器840は固体粒子加速流体として気体を用
い、固体粒子噴出時に該気体と固体粒子を混合して噴出
する形態の噴出器の一例である。同図の噴出器840
は、固体粒子Pと流体Fを混合する誘導室841と、誘
導室841内に流体Fを噴出する内部ノズル842と、
ノズル開口部843から固体粒子P及び流体Fを噴出す
る吹出ノズル844からなる。圧縮機又は送風機(図示
略)から適宜加圧タンク(図示略)を経て送られる流体
Fを、内部ノズル842から誘導室841を経て吹出ノ
ズル844のノズル開口部843から噴出する際に、誘
導室841にて高速で流れる流体流の作用で負圧を作
り、この負圧により固体粒子を流体流に導き混合し、流
体流で固体粒子を加速、搬送して、吹出ノズル844の
ノズル開口部843から流体流と共に噴出するものであ
る。
【0063】なお、吹出ノズルには、固体粒子加速流体
として液体を用いる吹出ノズル等もある。液体の場合
は、例えばポンプ(図示略、流体が液体の場合)によ
り、流体と固体粒子とを加圧タンク(図示略)に混合貯
蔵しておき、この混合液を吹出ノズルのノズル開口部か
ら噴出するもの等が使用される。
【0064】ノズル開口部の形状としては、中空の円柱
状、多角柱状、円錐状、多角錐状、魚尾状等がある。流
体圧は吹付圧力で通常0.1〜100kg/cm2 程度
である。流体流の流速は、液流では通常1〜20m/秒
程度、気流では通常5〜80m/秒程度である。
【0065】誘導室やノズル部等の噴出器の材質は、セ
ラミック、スチール、チタン、チタン合金等のなかから
固体粒子、流体の種類によって適宜選択すればよい。流
体が液体の場合は、錆、溶解、腐食等を生じない材料を
選ぶ。例えば流体が水ならば、ステンレス鋼、チタン、
チタン合金、合成樹脂、セラミックを用いる。ただし、
表面に防水加工すれば、スチール等でもよい。
【0066】なお、固体粒子は噴出器内壁に沿って通過
するが、固体粒子に金属ビーズや無機粒子を用いる場合
には粒子が硬質であるので、噴出器内壁には耐摩耗性の
よいセラミックス、表面をセラミックス被覆した鋼等を
用いるとよい。固体粒子に樹脂ビーズを用いる場合には
金属粒子に比べて軟質であるので炭素鋼(普通鋼)でも
よい。
【0067】〔流体〕流体は、固体粒子を該流体流によ
って加速、搬送して、該流体と共に固体粒子を固体粒子
噴出手段から噴出させる場合(吹出ノズル等)に使用す
る。流体は固体粒子を加速する固体粒子加速流体であ
る。この流体には気体、液体の何れもが利用可能である
が、通常は取扱いが容易な気体を用いる。気体としては
空気が代表的であるが、炭酸ガス、窒素等でもよい。一
方、液体としては、必ずしも限定されないが、不燃性、
乾燥の容易性、無毒性、低価格、入手の容易性、等から
水は好ましい材料の一つである。この他、フロン等の不
燃性の液体も使用できる。液体(気体もそうであるが)
は固体粒子と共に転写シートに衝突させることができ
る。
【0068】〔衝突圧印加形態〕噴出器は、衝突圧印加
領域の面積次第では1個のみの使用でも可能だが、要求
する面積が大きい場合には複数用いて転写シートに衝突
する固体粒子の衝突領域が所望の形状となるようにする
とよい。例えば、転写シート及び被転写基材の送り方向
に直交して幅方向に一直線状に複数列を配置し、幅方向
に直線状で幅広の帯状形状の衝突領域とする。或いは、
衝突圧印加時間を長くするには、噴出器は転写シート及
び被転写基材の送り方向に向かって2列以上配置する多
段配置が好ましい。
【0069】〔チャンバの使用〕ところで、固体粒子を
実際に使用する場合、固体粒子を周囲の雰囲気中に飛散
させずに且つ循環再利用するのが好ましい。したがっ
て、チャンバを使用して固体粒子の飛散防止及び循環再
利用をしながら連続転写を行うようにする。また本発明
の一態様として、前記の如きシート押さえ下端面の切欠
部の形成に加え、後述の図17に示すように、固体粒子
衝突室であるチャンバの内壁の少なくとも基材搬送方向
の両側に、被転写基材上の転写シートに衝突して跳ね返
った固体粒子Pをチャンバの外側に反射させるための反
射板40を設ける。このようにすると、被転写基材両側
端近傍での固体粒子の堆積が防止され、それによって固
体粒子の回収効率の向上と転写不良の防止をより一層効
果的にすることができる。被転写基材に衝突した後の固
体粒子はチャンバ内壁の反射板により外側に飛ばされ
る。このようにチャンバの内壁に反射板を設けることに
より、壁面に衝突したために生じる基材への堆積が抑制
され、転写性が向上する。チャンバ内壁の反射板で外方
に飛ばされて回収された固体粒子は、落下して回収され
た固体粒子と共に、必要に応じ一旦ホッパーに蓄えた上
で、再び固体粒子噴出手段に供給する。
【0070】反射板の材質は、鉄、18−8ステンレス
鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼、炭素鋼等の鉄合金、
チタニウム、チタニウム合金、青銅等の金属、セラミッ
クス、或いは前記金属表面にセラミックスを被覆したも
のが好ましい。厚さは1〜5mm程度でよい。また、反
射板における傾斜面の幅は10〜100mm程度にすれ
ばよい。反射板は、被転写基材及び転写シートの搬送方
向の両側部のチャンバ内に最低各々1個ずつ、通常は5
〜10枚程度をブラインド状に設置する。また、反射板
は基材搬送方向の両側だけでなく、基板搬送方向の前方
又は後方のチャンバ内壁にも設けるようにしても構わな
い。
【0071】〔チャンバ使用での連続転写の一形態〕次
に、本発明の一形態としての曲面転写装置を図16及び
図17により説明する。
【0072】同図の装置は、板状で包絡面形状が平板状
の凹凸表面を有する被転写基材Bを基材搬送手段、具体
的にはチャンバ通過部分はコンベアベルトからなる基材
搬送装置11で、被転写面を水平上向きにして水平方向
に搬送しながら、連続帯状の転写シートSにより装飾層
等を転写する装置である。固体粒子Pはチャンバ33b
内で羽根車利用の噴出器32から、転写シートSに向か
って噴出させて衝突させ、衝突圧を転写圧として与え
る。基材搬送装置11のコンベアベルトは、スプロケッ
トホイール等で駆動される無端環状となっており、好ま
しくは被転写基材Bの裏面への固体粒子Pの付着防止の
ため、固体粒子Pが透過する隙間の無いものを使用す
る。このコンベアベルトの材質としては、例えば布で補
強したゴム、金属薄板、金網等が用いられる。
【0073】チャンバは、基材搬送装置11の上部側に
おいて、転写シートS及び被転写基材Bの出入口を除い
て別室に区画したチャンバ33a〜33cを、転写シー
トS及び被転写基材Bの入口側からこの順に備え、また
基材搬送装置11の下部側において、前記チャンバ33
a〜33cに対応する基材搬送装置下側の共通空間とし
てチャンバ33dを備えている。チャンバ33dは基材
搬送装置11のコンベアベルトの幅方向両側部分で上側
のチャンバ33a〜33cと連結している。なお、チャ
ンバ33aは加熱室であり、また、チャンバ33bは衝
突室(固体粒子噴射領域)であり、チャンバ33cは後
処理室(冷却、固体粒子除去)であり、下方のチャンバ
33dは共通空間であるが固体粒子回収室とも言える。
【0074】チャンバの第1の目的は、固体粒子Pを周
囲の作業雰囲気中に漏らさないようにすることであり、
このため特に衝突室であるチャンバ33bは、転写シー
トS及び被転写基材Bの出入口で連結するチャンバ33
a,33cよりも気圧を低くする。チャンバ33aでは
熱風吹付ノズル22から熱風が吹き出しており、またチ
ャンバ33cでは冷風吹付ノズル24から冷風が吹き出
している結果、相対的にチャンバ33bはチャンバ33
a,33cよりも低圧にできる。なお、チャンバ33c
も、回転ブラシローラ35による固体粒子除去で固体粒
子Pが内部に飛び交うが、チャンバ33cはその内部下
流側で外部に通じる出口に近い部分に冷風吹付ノズル2
4を設けてあるので、出口からの固体粒子漏出は防げ
る。なお、衝突室となるチャンバ33b内は、固体粒子
Pのチャンバからホッパーへの逆流防止の為に、好まし
くはチャンバ外部より低圧にするとよい。このチャンバ
の圧力調整は、例えば排風機(図示略)をチャンバに適
宜接続して内部気体を外部に排気するとよい。
【0075】また、図17に示すように、衝突室である
チャンバ33bには、噴出器32の下方にエンドレスベ
ルトからなるシート押さえ1を転写シートSの幅方向両
側に備えている。すなわち、これらのシート押さえ1
は、固体粒子Pが裏回りして被転写基材Bの側面部及び
裏面部に付着しないように、転写シートSの両サイド付
近を押さえるものである。そして、シート押さえ1は、
図3及び図4に示した如き、転写シートSに接する下端
面に半円状の切欠部2を間歇的に有したエンドレスベル
トで構成されている(図17では切欠部は図示略)。
【0076】図16及び図17に示す曲面転写装置を使
用した転写について説明すると、まず被転写基材Bは無
限軌道式のコンベアベルトからなる基材搬送装置11に
載置されて一枚ずつ搬送される。なお、被転写基材B
は、オフライン又はインラインで、必要に応じて、接着
剤塗工や下地塗装等を適宜行う。接着剤は全面或いは凸
部のみ等と所望の部分に塗工する。なお、塗工する接着
剤等に溶剤分がある場合は、蒸発成分はチャンバの防爆
対策の観点から揮発乾燥させてからチャンバ内に搬入す
る。
【0077】一方、転写シートSは、巻出ロール12か
ら巻き出されて、まず蒸気加熱や誘導加熱等による予熱
ローラ21で加熱される。なお、転写シートSの向きは
転写層が被転写基材側を向くようにする。その後、転写
シートSはガイドローラを経て、表面がゴム製の弾性体
ローラからなる仮固定ローラ13で、被転写基材Bに対
して軽く押圧されて被転写基材Bに仮固定される。仮固
定は、転写シートSが被転写基材Bの凸部等の一部に固
着するのみで凹部内部等には接触しなくともよい。な
お、転写時に接着剤を転写シートSに施す場合は、転写
シートSが巻出ロール12から予熱ローラ21に至る間
に、接着剤塗工装置(図示略)を設けて接着剤を塗工す
る。溶剤乾燥を要する場合は、仮固定ローラ13に至る
までの間に乾燥装置(図示略)を設けて乾燥する。そし
て、仮固定された転写シートSと一体となった被転写基
材Bは、まず加熱室であるチャンバ33a内に搬送さ
れ、そこで熱風吹付ノズル22から吹き出す熱風Ahに
よって、転写シートS、被転写基材B(及び接着剤
(層))が加熱される。その結果、転写シートSは加熱
されて軟化し、衝突圧印加時に延伸されやすくなる。ま
た、接着剤も加熱されて活性化する。ただし、転写シー
トSも被転写基材Bとともに予熱が不要の場合は、予熱
ローラ21、熱風吹付ノズル22は使用しないこともで
きる。また、転写シートSの予熱は不要で、被転写基材
Bの予熱のみが必要な場合は、予熱ローラ21、熱風吹
付ノズル22を使用せず、代わりに図16に示す如く、
仮固定ローラ13の手前に、被転写基材加熱装置16を
設けてもよい。被転写基材加熱装置は、赤外線輻射方
式、熱風吹付方式、誘導加熱方式、誘電加熱方式等を用
いる。
【0078】一方、固体粒子Pには、ホッパー31内で
粒子加熱装置23によって加熱された粒子を使用する。
この粒子加熱装置23は、ホッパー内部に設けた導管の
吹出孔から熱風Ahを吹き出して、固体粒子Pを加熱す
るものである。加熱された固体粒子Pはホッパー31か
ら羽根車利用の噴出器32に供給され、衝突室であるチ
ャンバ33b内で転写シートSの支持体側に向かって噴
出される。そして、被転写基材B上の転写シートSは、
噴出器32から噴出する固体粒子Pの衝突にさらされ、
被転写基材B及び転写シートSが搬送されるにつれて、
長手方向の全領域が順次衝突圧にさらされていく。その
結果、転写シートSは、固体粒子衝突圧で被転写基材B
に押圧され、被転写基材Bの凹凸表面の凹部内へも転写
シートSは延ばされて変形することで、被転写基材Bの
凹凸表面形状に追従して成形されて、活性化している接
着剤により転写層が被転写基材Bに密着する。そして、
転写シートSが転写すべき凹凸表面に密着した被転写基
材Bは、後処理室である次のチャンバ33cに搬送され
る。なお、図16においては、図示の都合上、ホッパー
31、噴出器32a,32b、チャンバ33a,33
b,33c等は一部中が見えるように描いてあるが、実
際は周囲は密閉されている。
【0079】固体粒子噴射領域であるチャンバ33bで
は、図17に示すように、転写シートSの両サイド付近
がシート押さえ1により押圧された状態で固体粒子Pの
衝突が行われる。この場合、シート押さえ1には転写シ
ートSに接する下端面に切欠部2が連続して設けられて
いるため、投射された固体粒子は転写シートSとシート
押さえ1の間の凹所に滞留したり堆積したりせず、切欠
部2を通って外方に向かって排除されることになる。
【0080】一方、転写シートSへの衝突に供された後
の固体粒子Pのうち、被転写基材の上側面(天面)上に
飛来したものは、該上側面に衝突圧(転写圧)を印加し
た後、反射してその一部は基材搬送装置11のコンベア
ベルト両端部を迂回して下部のチャンバ33dに落下す
る。しかし、残りの部分は転写シート支持体上に載置さ
れたまま下流側に移送されて次のチャンバ33cに入
る。よって、本発明において転写シート上からの残留固
体粒子の除去回収をより完璧に行うためには、シート押
さえ1への切欠部の形成に加えて、さらに以下のような
被転写基材天面部上の残留固体粒子除去手段を設けると
より好ましい結果が得られる。
【0081】被転写基材の上側面(天面)において、転
写シートSの支持体上に載置されたままでチャンバ33
cに入った固体粒子Pは、先ず回転ブラシローラ35で
転写シート上から除去される。回転ブラシローラ35
は、表面全体に均一に植毛したものでもよいが、幅方向
中央部を境にして左右逆螺旋となるように植毛したもの
が望ましい。このようなブラシローラを使用すれば、回
転している螺旋により、固体粒子は中央部から転写シー
ト両端部に向かって掃き集められ落下する。螺旋のピッ
チは適宜設定すればよい。植毛する毛の長さも適宜設定
すればよいが、通常5〜20mm程度である。毛の材質
は、ナイロン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の合
成樹脂、豚等動物の毛等を用いる。ブラシローラの回転
周速は、転写シート及び被転写基材の搬送速度と同じ
か、それより低速か、或いはそれより高速か、いずれで
もよい。これらの条件は、残留固体粒子の除去効率が最
適となるように選定する。
【0082】その後、スリット状の冷風吹付ノズル24
から転写シートS及び被転写基材B上に向かって、冷風
Acとして室温乃至それ以下の温度の空気を吹きつけ、
被転写基材B及び転写シートSを、転写シートSの支持
体が剥離可能な温度にまで冷却させる。チャンバ33d
に落ちた固体粒子Pは、その斜面をなす底面を擦り落ち
る等して集積され回収される。回収された固体粒子P
は、元のホッパー31にまで搬送され、チャンバ33b
の側壁から回収された固体粒子Pと共に再使用される。
【0083】そして、密着した被転写基材Bと転写シー
トSとが、冷風吹付ノズル24で強制冷却されて、また
残りの吹き飛ばせる固体粒子Pも除去されてチャンバ3
3cから排出されて外部空間に出た後、転写シートS
(の支持体)を、剥離ローラ14により被転写基材Bか
ら剥離除去する。その結果、転写シートSの転写層とし
て装飾層等が被転写基材Bの凹凸表面に転写形成され
た、化粧材D等の転写製品が得られる。
【0084】一方、剥離ローラ14通過後の転写シート
S(の支持体)は、回転螺旋ローラ36によって、回転
ブラシローラ35と冷風吹付ノズル24でもなお除去し
切れずに一部付着した固体粒子Pを除去した後、転写シ
ートSの支持体を巻取ロール15に回収する。回転螺旋
ローラ36は、幅方向中央部を境にして、左右逆螺旋と
なるプラスチック製、硬質ゴム製、金属製等のヘラ状の
螺旋羽根を有するローラである。回転する螺旋羽根によ
り、転写シートSの支持体に入り込んだり静電気等で付
着した固体粒子Pを浮き立たせて除去する。支持体を資
源として再利用するためには、固体粒子Pは異物となる
からである。なお、回転ブラシローラ35と冷風吹付ノ
ズル24のみで完全に残留固体粒子を除去できる場合に
は、この回転螺旋ローラ36は省略できる。
【0085】なお、上記説明では、接着剤の硬化完了は
オフラインで行うことを前提にしたが、転写シートSの
圧接後は、支持体剥離前又は後に、加熱装置、或いは電
離放射線硬化性樹脂の場合は水銀灯(紫外線光源)等の
電離放射線照射装置を設けてインラインで硬化させても
よい。
【0086】〔その他〕以上、曲面転写装置を説明して
きたが、本発明は上記で説明した事項に限定されるもの
ではない。例えば、図16の装置では、残留固体粒子除
去手段として回転ブラシローラ35及びその下流側の冷
風吹付ノズル24の両方をこの順に設置したが、これと
は逆に冷風吹付ノズル24の下流側に回転ブラシローラ
35を設置するようにしてもよい。また、回転ブラシロ
ーラ35のみで完全に残留固体粒子を除去できて、且つ
冷風吹付けを行わなくとも十分に転写シートSや被転写
基材Bの冷却が可能な場合は、冷風吹付ノズル24を省
略することもできる。もちろん、不要であれば、回転螺
旋ローラ36を省いてもよいことは前述のとおりであ
る。
【0087】また、図16の装置では、転写シートの被
転写基材への圧接は、連続帯状の転写シートS及び枚葉
の被転写基材Bを用い、両者を一体的に搬送移動させつ
つ、固定した噴出器で固体粒子衝突圧を連続印加する形
態であったが、転写シートSの被転写基材Bへの圧接
は、その時だけ転写シートS及び被転写基材Bを停止さ
せて、基材一個ごとに間欠的に行っても構わない(これ
らに対して例えば噴出器を移動させる)。また、被転写
基材B及び転写シートSともに枚葉の形態で供給する形
態でも構わない。
【0088】また、チャンバ内は窒素等の不活性ガスを
充満させて、接着剤等に電離放射線硬化性樹脂を用いる
場合に、空気中の酸素、水蒸気等が該樹脂の硬化を阻害
するのを防止してもよい。
【0089】〔転写製品の用途〕本発明で得られる化粧
材等の転写製品の用途は、転写された装飾面が凹凸面、
特に三次元形状等の凹凸表面の物品であるような各種用
途に用いられ得る。例えば、化粧材として、サイディン
グ等の外壁、塀、屋根、門扉、破風板等の外装、壁面、
天井、床等の建築物の内装、窓枠、扉、手摺、敷居、鴨
居等の建具類の表面化粧、箪笥等の家具やテレビ受像機
等の弱電・OA機器のキャビネットの表面化粧、自動
車、電車等の車両内装材、航空機や船舶等の内装材等の
各種分野で用いられ得る。化粧材は化粧板等として利用
される。なお、化粧材も含めて転写製品の形状は、平
板、曲面板、棒状体、立体物等と任意である。
【0090】〔後加工〕なお、転写後の化粧材等の転写
製品の表面に、耐久性、意匠感等を付与するために、さ
らに透明保護層を塗装する等してもよい。このような透
明保護層としては、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹
脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、シリコ
ーン樹脂、ウレタン樹脂の1種又は2種以上等をバイン
ダーとし、これに必要に応じて、ベンゾトリアゾール、
超微粒子酸化セリウム等の紫外線吸収剤、ヒンダードア
ミン系ラジカル捕捉剤等の光安定剤、シリカ、α−アル
ミナ(球状、鱗片又は不定形)粒子等の減磨剤、着色顔
料、体質顔料、滑剤等を添加した塗料を用いる。また、
外装用途では無機系塗料を用いることもできる。塗工は
スプレー塗装、フローコート、軟質ゴムロールやスポン
ジロールを使用したロールコート等で行う。透明保護層
の膜厚は1〜100μm程度である。
【0091】
【実施例】まず、三次元的表面凹凸を有する被転写基材
Bとして図18の要部拡大斜視図に例示するような板を
用意した。この被転写基材Bは、大柄な凹凸として深さ
2.0mm、開口幅7mmの目地の溝状凹部401と、
煉瓦積み模様の平坦凸部402とを有し、微細な凹凸と
して平坦凸部上に深さが0.1〜0.5mmの範囲に分
布する梨地調の微細凹凸403を有してなり、これら大
柄な凹凸と微細な凹凸とが重畳した三次元的表面凹凸を
有する厚さ12mmのケイ酸カルシウム板である。そし
て、その表面に目止処理を施した後、二液硬化型ウレタ
ン系接着剤(日立化成ポリマー製)をエアスプレーにて
塗布した。
【0092】一方、転写シートは、支持体に厚さ100
μmのポリプロピレン系熱可塑性エラストマーフィルム
を使用し、その片面に、転写層となる装飾層として被転
写基材Bの凹凸面形状と位置同調したセメントの目地を
有する煉瓦調の絵柄を順次グラビア印刷したものを用意
した。絵柄インキのバインダー樹脂としては、ポリカー
ボネートジオールとイソホロンジイソシアネートからな
る一液ウレタン樹脂とアクリル樹脂の共重合体樹脂(T
g=−24、熱軟化温度=137℃、アクリル含有量1
6%)を、また着色顔料としては、弁柄、イソインドリ
ノン、カーボンブラック、チタン白を用いた。
【0093】上記の被転写基材と転写シートを用い、図
16及び図17に示すような羽根車を用いた転写装置を
使用し、上記被転写基材Bをコンベアベルトからなる基
材搬送装置11上に載置してラインスピード25m/分
で搬送した。そして、巻出ロール12から巻き出した転
写シートSを予熱ローラ21で加熱した後、ゴムロール
からなる仮固定ローラ13で被転写基材Bに押圧して仮
固定し、チャンバ内に被転写基材Bと一体として供給し
た。最初のチャンバ33a内では、熱風ノズル22から
の熱風Ahにより転写シートSの予熱による軟化、接着
剤の活性化、被転写基材Bの加熱を行った。この場合、
支持体の表面温度が100℃となるように加熱した。ま
た、被転写基材Bは70〜80℃になるようにプレヒー
トしておいた。
【0094】次いで、固体粒子Pとしての平均粒径0.
4mmの球形の亜鉛球をホッパー31の内部で50℃に
加熱し、噴出器32から噴出させて、転写シートSの支
持体側に衝突させ、転写シートSを被転写基材Bに圧接
した。噴出器の羽根車の回転数は3600rpm、固体
粒子Pの噴出速度は35m/s、投射密度は100kg
/m2 であった。シート押さえのエンドレスベルトは繊
維補強されたゴム製のもので、厚さが25mm、半円状
の切欠部は図3に示す如き配置になっており、幅が10
mm、高さが10mmであり、ピッチは25mmであ
る。投射された固体粒子はこの切欠部を通って外方に落
下し、シート押さえ1のところで滞留したり堆積したり
することがなかった。そして、転写シートSに衝突した
固体粒子Pの多くは、基材搬送装置11のコンベアベル
ト両端部を迂回して下部のチャンバ33dに落下し、元
のホッパー31にまで搬送して再使用された。また、落
下せずに残った固体粒子Pは転写シートSの支持体上に
載置されたまま下流側のチャンバ33cに移送された。
【0095】そして、転写シートSが目地の凹部内にま
で延ばされて熱融着し、チャンバ33bの次のチャンバ
33cにおいて、ブラシローラ35のブラシで転写シー
ト上に残留した固体粒子Pを転写シート両端部に向かっ
て掻き集めて下のチャンバ33dに落とした。次いで、
冷風吹付ノズル24で15℃の冷風Acを吹き付けて、
接着剤を冷却して接着温度以下に冷却すると共に、転写
シート上にまだ残留している固体粒子Pを吹き飛ばし
て、転写シート両端部からチャンバ33dに落とした。
次いで、被転写基材B及び転写シートSがチャンバ33
cから外部に出た後、剥離ローラ14で転写シートSの
支持体を剥がし取り、転写製品として化粧材Dを得た。
そして、この化粧材Dの転写層の表面に、0.5重量%
のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含むポリフッ化
ビニリデンのエマルジョン塗料を乾燥時厚さ10μmに
塗布して透明保護層を形成し、透明保護層付きの化粧材
を得た。
【0096】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の曲面転写
装置によれば、転写シートの両サイド付近を押さえるエ
ンドレスベルト式のシート押さえを配設し、該シート押
さえとして転写シートに接する下端面に切欠部を間歇的
に有するエンドレスベルトを使用したので、固体粒子の
裏回りが防止できるとともに、シート押さえのところで
固体粒子が滞留したり堆積したりすることがなく、被転
写基材のサイド近辺での転写性を向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】転写シートの両サイド付近を押さえるためのシ
ート押さえを配設した状態を示す説明図である。
【図2】シート押さえにより形成される凹所に固体粒子
が堆積した状態を示す説明図である。
【図3】本発明に係る曲面転写装置の一例を示す要部の
側面図である。
【図4】図3の縦断面図である。
【図5】シート押さえの変形例を示す側面図である。
【図6】本発明に係る曲面転写装置の他の例を示すもの
でその要部を上方から見下ろした平面図である。
【図7】図6の装置におけるシート押さえの側面図であ
る。
【図8】シート押さえの変形例を示す断面図である。
【図9】本発明に係る曲面転写装置のさらに他の例を示
すものでその要部を上方から見下ろした平面図である。
【図10】図9の装置におけるシート押さえの側面図で
ある。
【図11】羽根車を用いた噴出器の一例を示す斜視図で
ある。
【図12】図11の噴出器の正面図である。
【図13】図11の噴出器内部の説明図である。
【図14】図11の噴出器にて噴出方向を調整する説明
図である。
【図15】吹出ノズルを用いた噴出器の一例を示す断面
図である。
【図16】曲面転写装置の具体例を示す概略図である。
【図17】図16の曲面転写装置におけるチャンバを横
断する断面図である。
【図18】三次元的表面凹凸をもつ被転写基材の一例を
示す腰部拡大斜視図である。
【符号の説明】
1 シート押さえ 2 切欠部 11 基材搬送装置 12 巻出ロール 13 仮固定ローラ 14 剥離ローラ 15 巻取ロール 16 被転写基材加熱装置 21 予熱ローラ 22 熱風吹付ノズル 23 粒子加熱装置 24 冷風吹付ノズル 31 ホッパー 32 噴出器 33a〜33d チャンバ 35 回転ブラシローラ 36 回転螺旋ローラ 43 出口 401 凹部 402 凸部 403 微細凹凸 812,812a羽根車 813,813a 羽根 814,814a 側面板 815 中空部 816 方向制御器 817 開口部 818 散布器 819,819a 回転軸 820 軸受 840 吹出ノズルを用いた噴出器 841 誘導室 842 内部ノズル 843 ノズル開口部 844 ノズル Ac 冷風 Ah 熱風 B 被転写基材 D 化粧材 F 流体 G 接着剤 P 固体粒子 S 転写シート U 凹所

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に凹凸を有する被転写基材の凹凸表
    面側に、支持体と転写層からなる転写シートの転写層側
    を対向させ、該転写シートの支持体側に固体粒子を衝突
    させ、その衝突圧を利用して被転写基材の凹凸表面へ転
    写シートを圧接し、転写層を被転写基材に接着させてか
    ら支持体を剥離除去することで転写層を被転写基材に転
    写する方法を実施するために使用される装置において、
    転写シートの両サイド付近を押さえるエンドレスベルト
    式のシート押さえを配設し、該シート押さえとして転写
    シートに接する下端面に切欠部を間歇的に有するエンド
    レスベルトを使用したことを特徴とする曲面転写装置。
JP11001632A 1999-01-07 1999-01-07 曲面転写装置 Pending JP2000198141A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010194993A (ja) * 2009-02-27 2010-09-09 Nissha Printing Co Ltd 高品質ヘアライン意匠加飾シートの製造方法

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