JP2000218693A - 曲面転写方法及び曲面転写装置 - Google Patents

曲面転写方法及び曲面転写装置

Info

Publication number
JP2000218693A
JP2000218693A JP11023680A JP2368099A JP2000218693A JP 2000218693 A JP2000218693 A JP 2000218693A JP 11023680 A JP11023680 A JP 11023680A JP 2368099 A JP2368099 A JP 2368099A JP 2000218693 A JP2000218693 A JP 2000218693A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transfer
solid particles
support
transferred
transfer sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11023680A
Other languages
English (en)
Inventor
Reiko Suga
玲子 菅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP11023680A priority Critical patent/JP2000218693A/ja
Publication of JP2000218693A publication Critical patent/JP2000218693A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Shaping Of Tube Ends By Bending Or Straightening (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 転写済みの不要となった支持体の回収を容易
とし、さらには回収した支持体樹脂の再利用を可能にす
る。 【解決手段】 被転写基材Bにおける凹凸表面側に、支
持体と転写層からなる転写シートSの転写層側を対向さ
せ、該転写シートSの支持体側に固体粒子Pを衝突さ
せ、その衝突圧を利用して被転写基材Bの凹凸表面へ転
写シートSを圧接し、転写層を被転写基材Bに接着させ
てから支持体S’を剥離除去することで転写層を被転写
基材Bに転写するに際して、転写済みの不要となった支
持体S’を一旦熔融させてから固化して回収する。支持
体S’の回収が容易に行え、しかも回収した支持体樹脂
の再利用が可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅の外装及び内
装材、家具、家電製品等の化粧材であって、特に装飾さ
れた凹凸表面を有する化粧材を製造するための曲面転写
方法及びそれに使用する曲面転写装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】この種の凹凸表面を有する化粧材の中で
も、大きな三次元的凹凸表面が装飾された化粧材を得る
方法として、特許第2844524号公報や特開平10
−193893号公報に、固体粒子の投射による転写の
技術が提案されている。すなわち、これらの公報には、
被転写基材の凹凸表面に支持体と転写層とからなる転写
シートの転写層側を対向させて、転写シートの支持体側
に固体粒子を吹き付けて衝突させ、該固体粒子の衝突圧
を利用することで、転写シートを被転写基材の表面凹凸
形状に追従させて圧接、密着して転写できるようにした
ものが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術で述べた装
置では、図1に示すように、基材搬送装置11の上に被
転写基材Bを載置し転写シートSで覆った状態で順次搬
送し、噴出器1から噴出される固体粒子Pが衝突する圧
印加部2まで搬送して、転写シートSに覆われた被転写
基材Bの表面を固体粒子Pの衝突圧にさらした後、圧印
加部2から排出する。そして、被転写基材Bを転写シー
トS(の支持体)の剥離を行う剥離ローラ3を通して、
化粧板Dとして排出する一方、転写済みの不要となった
転写シートSの支持体をシート排出装置4で排出ロール
として巻き取るようにしている。
【0004】しかしながら、転写に使用された後の支持
体は被転写基材の表面凹凸に追従して波打った形状にな
っているため、排出ロールとして巻き取った際の巻き径
が直ぐに大きくなり、また支持体上に成形された凹凸が
巻きとともに累積して排出ロールの巻取が大きく凹凸に
変形し、シートが破れる等により巻取りが不可となる。
そのため、シート供給装置に対して巻取を取り替える工
程が相対的に増え、支持体回収の作業性が悪いという問
題点がある。また、支持体が蛇行するので大きく巻き取
ること自体が困難である。さらに、巻き取った支持体は
大きく変形乃至は破損しているため、再利用は不可で廃
棄するしかなく、資源的にも無駄が多かった。
【0005】本発明は、上記のような問題点に鑑みてな
されたものであり、その目的とするところは、転写済み
の不要となった支持体の回収を容易とし、さらには回収
した支持体樹脂の再利用を可能とする曲面転写方法並び
に曲面転写装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の曲面転写方法は、表面に凹凸を有する被
転写基材の凹凸表面側に、支持体と転写層からなる転写
シートの転写層側を対向させ、該転写シートの支持体側
に固体粒子を衝突させ、その衝突圧を利用して被転写基
材の凹凸表面へ転写シートを圧接し、転写層を被転写基
材に移行させてから支持体を剥離除去することで転写層
を被転写基材に転写する方法において、転写済みの不要
となった支持体を一旦熔融させてから固化して回収する
ことを特徴としている。
【0007】また、本発明の曲面転写装置は、表面に凹
凸を有する被転写基材の凹凸表面側に、支持体と転写層
からなる転写シートの転写層側を対向させ、該転写シー
トの支持体側に固体粒子を衝突させ、その衝突圧を利用
して被転写基材の凹凸表面へ転写シートを圧接し、転写
層を被転写基材に移行させてから支持体を剥離除去する
ことで転写層を被転写基材に転写する方法を実施するた
めに使用される装置において、転写済みの不要となった
支持体を熔融させてから固化して回収する手段を具備し
たことを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】図2は本発明に係る曲面転写装置
の一例を示す要部の側面図であり、同図は圧印加部であ
る固体粒子衝突室から後の部分を示している。
【0009】同図に示されるように、転写シートSに覆
われた状態で基材搬送装置11により圧印加部2に搬送
されてきた被転写基材Bは、噴出器1からの固体粒子P
の衝突圧にさらされた後、圧印加部2から排出され、続
く剥離ローラ3を通って化粧板Dとして排出される。一
方、転写シートSは、剥離ローラ3の前にあるブロアー
5により支持体上の残留固体粒子やゴミなどが除去さ
れ、剥離ローラ3により剥離された転写シートSの支持
体S’は、回収のため熔融炉6に導入される。
【0010】この熔融炉6に入る前に支持体S’のメジ
部等に付着した残箔(インキ)やゴミを粘着テープによ
り除去するようにしている。すなわち、表面側が粘着剤
層となった粘着テープの巻出しロール7を使用し、この
巻出しロール7の表面に支持体S’を巻き付けてから粘
着テープ7aを巻取7bに巻き取って支持体S’と粘着
テープ7aを剥離することで、支持体S’から残箔やゴ
ミを取り除くのである。図示の例ではこのような粘着テ
ープの巻出しロール7を3箇所に設置し、1番目と3番
目の巻出しロール7では支持体S’の裏面から残箔やゴ
ミを取り除くようにし、2番目の巻出しロール7では支
持体S’の表面から固体粒子の残りやゴミを取り除くよ
うにしている。また、3番目の巻出しロール7のところ
はブロアー8を設けてあり、残った固体粒子やゴミを吹
き飛ばすようにしている。以上のブロアー5、粘着テー
プの巻出しロール7、及びブロアー8は、支持体の熔融
回収を行うための前準備として支持体に付着した残留固
体粒子等の不純物を除去する不純物除去手段を構成す
る。
【0011】このようにして支持体S’から残箔やゴミ
等の不純物を除去した後、一対の加熱ロール9の間を経
由させて予備加熱してから熔融炉6に導入する。そし
て、熔融炉6では、赤外線ヒーター、電熱線ヒーター、
誘電加熱ヒーター等で、支持体S’の熔融温度(乃至は
融点)以上に加熱して支持体S’の樹脂を熔融状態にす
る。そして、熔融樹脂をダイスから押し出して空冷もし
くは冷却固化せしめ、所望の寸法に裁断してペレット化
し、排出口6aからペレットを排出する。或いは、図3
に示すように、熔融炉6に一体に設けたT型ダイス6b
から熔融樹脂を膜状に押し出し、冷却ロール10aと圧
胴10bの間で冷却固化せしめ、剥離ロール10cで冷
却ロール10aから剥離してシート化するようにしても
よい。なお、熔融した支持体の樹脂を固化する具体的方
法としては、冷却固化が代表的な方法であるが、この他
にも、熔融物に架橋剤又は重合開始剤を添加して架橋硬
化させる方法、電子線、紫外線等の電離放射線を照射し
て励起される化学反応によって架橋又は重合させる方法
等も樹脂の種類如何によっては採用できる。これらの場
合は、一旦固化した物を再び成形することは困難となる
ため熔融物を先ずシート等所望の形状にした後で固化を
行うことが好ましい。
【0012】以下、本発明の細部について更に詳細に説
明する。
【0013】〔被転写基材〕本発明にて使用する被転写
基材は、被転写面が平坦な平面のものでももちろんよい
が、本発明が真価を発揮するのは被転写面が凹凸表面で
あり、特にその凹凸が三次元的になっている被転写基材
である。本発明では、後述のように、流体的に振る舞う
固体粒子群の衝突圧を利用するため、表面凹凸の三次元
的形状に対して圧力印加領域の面的な方向性を本質的に
持たない。(この方向性とは、圧力が印加される被転写
基材上のポイントの時間的位置変化の方向のことであ
る。)従って、転写シートや被転写基材の送り方向に凹
凸がある形状を持つ被転写基材でも構わない。すなわ
ち、送り方向のみ又は幅方向のみ等と一方向にのみ凹凸
がある二次元的凹凸、送り方向及び幅方向の両方等と2
方向に凹凸がある三次元的凹凸にも適用できることを意
味する。なお、固体粒子群の衝突圧が方向性を持たない
点は、枚葉の転写シートを被転写基材上に載置して一つ
ずつ圧接密着するように、固体粒子を噴出する噴出器を
移動、或いは噴出器固定で転写シートと被転写基材とを
移動させて、衝突圧が印加される領域が移動していく様
子を考えれば容易に理解できる。
【0014】また、被転写基材は全体として(包絡面形
状が)平板状の板材だけでなく、円弧状に凸又は凹に送
り方向又は幅方向に湾曲した二次元的凹凸を有する基材
でもよく、またその湾曲面にさらに細かい三次元的な表
面凹凸があってもよい。なお、本発明では、被転写基材
の円弧状等の断面を持つ二次元的な凹凸に対して、それ
を例えば幅方向として、或いは送り方向として転写する
かは作業性等を考慮して任意にできる。
【0015】また、大柄な凹凸に重畳して微細な凹凸を
有する凹凸表面の被転写基材、或いは凹凸表面の凹部底
部や凹部内側面に転写すべき面を有する被転写基材も可
能である。前記大柄な凹凸と微細な凹凸とは、例えば図
11の要部拡大斜視図に示す如く、被転写基材の凹凸が
大柄な凹凸401、402とその凸部402上にある微
細な凹凸403とからなるもので、大柄の凹凸形状は段
差が1〜10mm、凹部の幅が1〜10mm、凸部の幅
が5mm以上のもので構成されるものであり、微細な凹
凸形状は、段差及び幅ともに大柄な凹凸形状よりも小さ
く、具体的には段差が0.1〜5mm程度、凹部の幅及
び凸部の幅が0.1mm以上で、大柄な凹凸形状の凸部
の幅の1/2未満程度である。
【0016】大柄な凹凸と微細な凹凸との組み合わせの
凹凸から成り、且つ三次元的な表面凹凸を持つ化粧材の
凹凸模様の具体例としては、例えば、大柄な凹凸として
目地、溝等を有するタイル、煉瓦、石等の二次元配列模
様を有し、その上に微細な凹凸としてスタッコ調、リシ
ン調等の吹き付け塗装面の凹凸模様、花崗岩の劈開面や
トラバーチン大理石板等の石材表面の凹凸等を有する石
目調凹凸模様、或いは大柄な凹凸模様として目地、溝、
簓、サネ等を有する羽目板模様、浮造木目板模様を有
し、その上に微細凹凸として導管溝、浮き出した年輪、
ヘアライン等を有する木目調の凹凸模様が挙げられる。
【0017】凹凸面を構成する各面は、平面のみ、曲面
のみ、或いは平面と曲面の組み合わせと任意である。従
って、本発明の被転写基材上の曲面とは、断面が下駄の
歯形のように複数の平面のみから構成される曲面を持た
ない凹凸面も意味する。また、本発明でいう曲率とは、
立方体の辺或いは頂点の周辺のように角張っている曲率
無限大(曲率半径=0)の場合も包含する。なお、被転
写基材表面を所望の凹凸とするには、プレス加工、エン
ボス加工、押し出し加工、切削加工、成形加工等によれ
ばよい。
【0018】被転写基材の材質は任意であり、例えば、
板材であれば、ケイ酸カルシウム板、押し出しセメント
板、スラグセメント板、ALC(軽量発泡コンクリー
ト)板、GRC(硝子繊維強化コンクリート)板、パル
プセメント板等の非陶磁器窯業系板、杉、松、樫、ラワ
ン、チーク等の樹木からなる木材単板や木材合板、パー
ティクルボード、集成材、木質中密度繊維板(MDF)
等の木質板、また、鉄、アルミニウム、銅等の金属板、
陶磁器やガラス等のセラミックス、ポリプロピレン、A
BS樹脂、フェノール樹脂等の樹脂成形品等でもよい。
【0019】また、これらの被転写基材表面には、予
め、接着剤との接着を補助するための易接着プライマ
ー、被転写基材から滲出するアルカリ成分等の滲出成分
を遮断するためのシーラー剤、或いは表面の微凹凸や多
孔質を目止めし封じるための目止剤を塗工しておいても
よい。易接着プライマー、シーラー剤或いは目止剤とし
ては、イソシアネート、2液硬化ウレタン樹脂、エポキ
シ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の樹脂を塗工
し形成する。
【0020】〔転写シート〕転写シートは支持体と転写
移行する転写層とからなる。転写層は少なくとも装飾層
又は機能性層から構成される。また、接着剤を、転写層
の一部となる接着剤層として、転写シートに形成してお
いてもよい。なお、被転写基材表面と転写シートとの間
に抱き込まれて残留する空気を抜きやすくするために、
必要に応じて転写シート全面に転写シート全層を貫通す
る小孔を多数穿設してもよい。
【0021】(支持体)転写シートの支持体としては、
被転写基材が平坦な表面或いは二次元的凹凸表面であれ
ば、延伸性のない紙等も可能だが、本発明が真価を発揮
する三次元的凹凸表面に適用するためには少なくとも転
写時には延伸性のある支持体を用いる。延伸性があるこ
とにより、固体粒子の衝突圧印加時に被転写基材表面の
凹部内部まで転写シートを追従させて密着し転写するこ
とができる。転写シート全体の延伸性は、主に支持体の
延伸性に支配される。従って、支持体には、従来公知の
熱可塑性樹脂フィルムの他に、常温でも延伸するゴム膜
も使用できる。熱可塑性樹脂フィルムの場合、装飾層等
の転写層形成時には延伸性が殆どなく、転写時には加熱
により充分な延伸性を発現し、且つ冷却後は変形した形
状を保持し続け、弾性による形状の復元を生じない転写
シートとして、従来公知の通常の転写シートと同様、本
発明で用い得る転写シートを簡単に用意することができ
る。
【0022】支持体の具体例としては、延伸性の点で、
従来多用されている2軸延伸ポリエチレンテレフタレー
トフィルムでも、表面凹凸形状次第で、加熱条件、衝突
圧条件等の設定によって、必要充分な延伸性を発現させ
ることができるので曲面転写は可能である。ただ、より
低温・低圧で延伸性が発現し易い好ましい支持体として
は、例えば、エチレン・テレフタレート・イソフタレー
ト共重合体ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート
等の熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリ
エチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−
プロピレン−ブテン3元共重合体等のポリオレフィン樹
脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、或いは天然ゴ
ム、合成ゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウ
レタン系熱可塑性エラストマー等を単体又は混合物で、
単層又は異種の複層とした樹脂フィルムを用いることが
できる。これら樹脂フィルムは低延伸又は無延伸の物が
好ましい。例えば、具体的にはポリプロピレン系熱可塑
性エラストマーフィルムは、延伸特性に優れ且つ廃棄燃
焼時に塩酸ガスを発生せず環境対策的にも好ましい支持
体の一つである。支持体の厚さは、通常20〜200μ
mである。
【0023】なお、支持体熔融物を電離放射線照射で架
橋固化せしめる場合の支持体材料の例としては、塩化ビ
ニル樹脂100重量部に反応性可塑剤としてトリメチロ
ールプロパントリメタクリレート等の多官能(メタ)ア
クリレート単量体、及び/又は、3官能ウレタンアクリ
レートプレポリマー等の多官能(メタ)アクリレートプ
レポリマーを10〜50重量部程度、及び、光反応開始
剤としてベンゾイン系、ベンゾフェノン系等のものを
0.1〜5重量部程度混合したものを製膜したシートが
挙げられる。該シートは、紫外線未照射時は熱可塑性樹
脂として挙動し、紫外線を照射すると反応性可塑剤が光
励起で架橋反応を起こし、塩化ビニル樹脂分子をその架
橋体の網目に包絡して固化せしめることができる。
【0024】また、支持体には必要に応じ、その転写層
側に転写層との剥離性を向上させるため離型層を設けて
もよい。この離型層は支持体を剥離時に支持体と共に転
写層から剥離除去される。離型層としては、例えば、シ
リコーン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタ
ン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ワックス等の単体又はこ
れらを含む混合物が用いられる。
【0025】また、転写層に接する側の支持体面に凹凸
模様を設ければ、転写後の転写層表面に凹凸模様を賦形
することもできる。凹凸模様は、例えば、砂目、梨地、
ヘアライン、万線状溝、花崗岩の劈開面の凹凸模様、木
目導管溝、木目年輪模様、布目の表面テクスチュア、皮
絞、文字、幾何学模様等である。なお、凹凸模様の形成
は、支持体の樹脂シートに対して、熱プレスによるエン
ボス加工、サンドブラスト加工、ヘアライン加工をした
り、或いは支持体に、離型性の有る樹脂をバインダーと
するインキ(2液硬化ウレタン、シリコーン樹脂、メラ
ミン樹脂、紫外線又は電子線で架橋する多官能アクリレ
ート又はメタクリレートのモノマー又はプレポリマー等
からなる)を用いて所望の凹凸模様にシルクスクリーン
印刷等で盛り上げ印刷して賦形層を設け、賦形層を有す
る支持体とする方法等がある。なお、賦形層は上記離型
層の機能を有する。
【0026】(転写層)転写シートの転写層は少なくと
も装飾層又は機能性層から構成し、さらに適宜、剥離
層、接着剤層等も転写層の構成要素とすることもある。
接着剤層を有する構成では、転写の際に転写シート又は
被転写基材の片方又は両方に接着剤を施すことを省略で
きる。
【0027】装飾層はグラビア印刷、シルクスクリーン
印刷、オフセット印刷等の従来公知の方法と材料で絵柄
等を印刷した絵柄層、アルミニウム、クロム、金、銀等
の金属を公知の蒸着法等により部分的或いは全面に形成
した金属薄膜層等であり、用途に合わせたものを用い
る。絵柄としては、被転写基材の表面凹凸に合わせて、
木目模様、石目模様、布目模様、タイル調模様、煉瓦調
模様、皮絞模様、文字、幾何学模様、全面ベタ等を用い
る。なお、絵柄層用インキは、バインダー等からなるビ
ヒクル、顔料や染料等の着色剤、これに適宜加える各種
添加剤からなる。バンイダーには、アクリル樹脂、塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂、フッ
素樹脂等の単体又はこれらを含む混合物を用いる。着色
剤の顔料としては、チタン白、カーボンブラック、弁
柄、黄鉛、群青等の無機顔料、アニリンブラック、キナ
クリドン、イソインドリノン、フタロシアニンブルー等
の有機顔料を用いる。或いは、トリフェニルメチン系の
分散染料等の公知の各種昇華性染料を用い、転写時に固
体粒子衝突圧に加えて加熱を行い、昇華した染料を被転
写基材に染着させて転写する方式を採用することも可能
である。被転写基材自体が染着性を有さない場合は、ポ
リエステル樹脂、アクリル樹脂等の公知の樹脂からなる
受容層を被転写基材表面に予め形成しておいてもよい。
機能性層としては、アルミニウム、銀等の高導電率金属
薄膜等からなる導電体層(電磁波遮蔽層、帯電防止層等
として機能)、銀イオン担持ゼオライト粉末、10,1
0’−オキシビスフェノキシアルシン等の抗菌剤乃至は
防黴剤等が用いられる。転写層としては、装飾層と機能
性層の両層を併用してもよい。
【0028】また、剥離層を、支持体乃至は離型層と装
飾層との間の剥離性を調整するため、転写後の装飾層の
表面保護のため等に、これら層間に設けるのは、従来公
知の転写シートと同様である。剥離層には、例えば、上
記絵柄層インキのバインダーに用いる樹脂等が用いられ
る。なお、この剥離層は転写時に装飾層と共に被転写基
材側に転写され、装飾層の表面を被覆する。
【0029】〔接着剤〕接着剤は、転写シートの転写層
を構成する接着剤層や被転写基材上の接着剤層として、
事前又は転写の直前に、オンライン塗工やオフライン塗
工で施す。被転写基材に施す場合には、転写シートの接
着剤層を省略できる。用いる接着剤は、用途、要求物性
等により適宜選択すればよいが、固体粒子加速流体に液
体を用いる場合には、該液体に対して不溶性のものを選
択する。
【0030】接着剤としては、例えば、感熱型接着剤、
湿気硬化型感熱溶融型接着剤、ホットメルト接着剤、湿
気硬化型ホットメルト接着剤、2液硬化型接着剤、電離
放射線硬化型接着剤、水性接着剤、或いは粘着剤による
感圧型接着剤等の各種接着剤を使用できる。
【0031】感熱型接着剤としては、熱可塑性樹脂を用
いた熱融着型と、熱硬化性樹脂を用いた熱硬化型とのい
ずれの接着剤も使用できる。ただし、短時間で接着が完
了するという点からは、熱融着型(感熱溶融型接着剤)
が好ましい。また、接着剤は溶剤希釈又は無溶剤、或い
は常温で液体又は固体のいずれでもよく、適宜使い分け
る。また、粘着性を呈する感圧型の粘着剤以外の接着剤
では、接着剤層の単層のみで転写層とすることができ
る。接着剤層中に顔料等の着色剤を添加すれば、全面ベ
タのインク層からなる装飾層ともいえる。感熱溶融型接
着剤としては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アク
リル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタ
ン樹脂、ダイマー酸とエチレンジアミンとの縮重合によ
り得られるポリアミド樹脂等の従来公知の接着剤を用い
ることができる。熱硬化型接着剤としては、ジアリルフ
タレート樹脂、熱硬化型ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等
を用いることができる。
【0032】湿気硬化型感熱溶融型接着剤も感熱溶融型
接着剤の一種である。湿気硬化型感熱溶融型接着剤は、
自然放置により空気中の水分で硬化反応が進行するの
で、作業安定性の点で転写直前に施す。また、湿気硬化
型感熱溶融型接着剤は、転写直後は、通常の感熱溶融型
接着剤同様の接着力だが、自然放置により空気中の水分
で架橋・硬化反応が徐々に進行するために、最終的にク
リープ変形及び熱溶融がなく耐熱性等に優れ、大きな接
着力が得られる。ただし、転写終了後に湿気で接着剤の
架橋・硬化を進行させるため、湿気を含む空気中に転写
後の化粧板を放置して養生する。
【0033】湿気硬化型感熱溶融型接着剤は、分子末端
にイソシアネート基を有するプレポリマーを必須成分と
する組成物である。前記プレポリマーは、通常は分子両
末端に各々イソシアネート基を1個以上有するポリイソ
シアネートプレポリマーであり、室温で固体の熱可塑性
樹脂の状態にあるものである。イソシアネート基同士が
空気中の水分により反応して鎖延長反応を起こして、そ
の結果、分子鎖中に尿素結合を有する反応物を生じて、
この尿素結合にさらに分子末端のイソシアネート基が反
応して、ビウレット結合を起こして分岐し、架橋反応を
起こす。
【0034】分子末端にイソシアネート基を有するプレ
ポリマーの分子鎖の骨格構造は任意であるが、具体的に
は、ウレタン結合を有するポリウレタン骨格、エステル
結合を有するポリエステル骨格、ポリブタジエン骨格等
である。適宜これら1種又は2種以上の骨格構造を採用
することで、接着剤物性を調整できる。なお、分子鎖中
にウレタン結合がある場合は、このウレタン結合とも末
端イソシアネート基が反応して、アロファネート結合を
生じて、このアロファネート結合によっても架橋反応を
起こす。
【0035】電離放射線硬化型接着剤として用い得る電
離放射線硬化性樹脂は、電離放射線により硬化可能な組
成物であり、具体的には、分子中にラジカル重合性不飽
和結合、又はカチオン重合性官能基を有する、プレポリ
マー(所謂オリゴマーも包含する)及び/又はモノマー
を適宜混合した電離放射線により硬化可能な組成物が好
ましく用いられる。これらプレポリマー又はモノマーは
単体又は複数種を混合して用いる。
【0036】上記プレポリマー又はモノマーは、具体的
には、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アク
リロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキ
シ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物からな
る。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによ
るポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましく用い
られる。なお、例えば(メタ)アクリロイル基とは、ア
クリロイル基又はメタアクリロイル基の意味である。
【0037】ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリ
マーの例としては、ポリエステル(メタ)アクリレー
ト、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)
アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリア
ジン(メタ)アクリレート等が使用できる。分子量とし
ては、通常250〜100,000程度のものが用いら
れる。
【0038】ラジカル重合性不飽和基を有するモノマー
の例としては、単官能モノマーとして、メチル(メタ)
アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト等がある。また、多官能モノマーとして、トリメチー
ルプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリス
リトールヘキサ(メタ)アクリレート等もある。
【0039】カチオン重合性官能基を有するプレポリマ
ーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボ
ラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系
ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエ
ーテル系樹脂のプレポリマーがある。
【0040】チオールとしては、トリメチロールプロパ
ントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラ
チオグリコレート等のポリチオールがある。また、ポリ
エンとしては、ジオールとジイソシアネートによるポリ
ウレタンの両端にアリルアルコールを付加したもの等が
ある。
【0041】なお、紫外線又は可視光線にて硬化させる
場合には、上記電離放射線硬化性樹脂に、さらに光重合
開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹
脂系の場合は、光重合開始剤として、アセトフェノン
類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン
類を単独又は混合して用いることができる。また、カチ
オン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始
剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム
塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物等を単独
又は混合物として用いることができる。なお、これらの
光重合開始剤の添加量としては、電離放射線硬化性樹脂
100重量部に対して、0.1〜10重量部程度であ
る。
【0042】なお、電離放射線としては、接着剤中の分
子を架橋させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒
子が用いられる。通常用いられるものは、紫外線又は電
子線であるが、この他、可視光線、X線、イオン線等を
用いることも可能である。紫外線源としては、高圧水銀
灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト等
の光源が使用される。紫外線の波長としては通常190
〜380nmの波長域が主として用いられる。電子線源
としては、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト
型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線
型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器
を用い、100〜1000keV、好ましくは、100
〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射するもの
が使用される。
【0043】上記電離放射線硬化性樹脂に、さらに必要
に応じて、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル
系樹脂等の熱可塑性樹脂を添加することもできる。な
お、希釈溶剤は添加せずに用いれば、ホットメルト接着
剤となる。
【0044】なお、電離放射線硬化型接着剤を用いた場
合には、製造装置に紫外線や電子線を照射する電離放射
線照射装置を組み込むことができる。照射は、衝突圧印
加中、印加後、或いは印加中及び印加後に行う。
【0045】また、接着剤に用いる上記各種樹脂にさら
に、必要に応じて、各種添加剤を添加することもでき
る。これらの添加剤としては、例えば、炭酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ等の微粉末からな
る体質顔料(充填剤)、有機ベントナイト等のチキソト
ロピック付与剤(特に凹凸段差の大きい被転写基材の場
合、接着剤が凸部から凹部へ流入することを防止するた
めに添加するとよい。)等である。
【0046】接着剤を、転写シート等のシートや被転写
基材に施すには、水、有機溶剤等の溶媒(又は分散媒)
に溶解(又は分散)した溶液(又は分散液)の形態で、
或いは熱溶融した熱可塑性組成物又は室温液状の未硬化
樹脂を無溶剤の樹脂液の形態で施す。塗工法としては、
従来公知の塗工法であるグラビアロールコート等による
溶液塗工や、アプリケータ等による熔融塗工(溶融塗
工)法により施せばよい。希釈溶剤を添加せずに用いれ
ば、溶剤乾燥は不要である。例えば、感熱溶融型接着剤
は、それぞれ無溶剤のホットメルト接着剤として使用で
きる。また、電離放射線硬化型接着剤なども無溶剤で施
すことができる。ホットメルト型接着剤として使用する
場合は無溶剤なので、転写直前の塗工でも溶剤乾燥が不
要で、高速生産できる。なお、接着剤の塗布量は、接着
剤の組成、被転写基材の種類及び表面状態で異なるが、
通常10〜200g/m2 (固形分)程度である。
【0047】なお、接着剤に感熱溶融型接着剤を用い、
接着剤を活性化して熱融着させるために加熱するタイミ
ングは、衝突圧印加前、衝突圧印加中、或いは衝突圧印
加前及び印加中などのいずれでもよい。接着剤の加熱は
転写シートや被転写基材を加熱して行う。接着剤が施さ
れた材料(転写シートや被転写基材)を加熱してもよ
く、接着剤が施されていない側の材料を加熱してもよ
く、或いはこれら両方の材料を加熱してもよい。また、
衝突圧印加中の加熱には、加熱固体粒子や、固体粒子加
速用の流体を加熱流体として用いてもよい。
【0048】一方、転写シートが被転写基材の表面形状
に追従し、成形され、接着剤が十分活性化すれば、冷風
等の冷却手段で接着剤の冷却を促進してもよい。冷風
は、転写シート側や被転写基材側から吹き付ける。ま
た、冷却手段として、冷却固体粒子、冷却流体も用いる
こともできる。冷却促進は、被転写基材の凹凸表面の凹
部内部にまで追従成形された転写シートが衝突圧開放後
に復元力がある場合に戻るのも防止する。
【0049】〔固体粒子〕固体粒子としては、ガラスビ
ーズ、セラミックビーズ、アルミナビーズ、ジルコニア
ビーズ、コランダムビーズ、アランダムビーズ等の無機
粉体である非金属無機粒子、鉄、又は炭素鋼、ステンレ
ス鋼等の鉄合金、アルミニウム、又はジュラルミン等の
アルミニウム合金、チタン、亜鉛等の金属ビーズ等の金
属粒子、或いは、フッ素樹脂ビーズ、ナイロンビーズ、
シリコーン樹脂ビーズ、ウレタン樹脂ビーズ、尿素樹脂
ビーズ、架橋ゴムビーズ等の樹脂ビーズ等の有機粒子
等、或いは金属等の無機粒子と樹脂とからなる無機物・
樹脂複合粒子等を使用することができる。形状は球形状
が好ましいが、回転楕円体形状、多面体形状、鱗片状、
無定形、その他の形状のものでも用い得る。固体粒子の
粒径としては、通常10〜1000μm程度である。
【0050】なお、固体粒子は加熱手段や冷却手段を兼
用することもできる。加熱された加熱固体粒子を用いれ
ば、接着剤の加熱活性化やその架橋硬化の促進、或いは
転写シートの加熱による延伸性の向上を、転写シートの
押圧と共に行うこともできる。この場合、衝突圧印加前
に他の加熱方法で、ある程度まで転写シート、被転写基
材を加熱しておいてもよい。また、加熱固体粒子は既に
加熱された転写シート、被転写基材等の温度維持にも使
用できる。一方、固体粒子は、接着後の冷却促進目的
で、接着時の接着剤の温度よりも低温の固体粒子を、冷
却固体粒子として用いることもできる。また、固体粒子
はその一部又は全部を加熱固体粒子、冷却固体粒子とし
て用いたり、加熱固体粒子を衝突させた後、冷却固体粒
子を衝突させる等と、併用してもよい。また、他の加熱
方法で転写シートや被転写基材、接着剤等の加熱を要す
るものを充分に加熱しておき、これに冷却固体粒子を用
いて転写シートの成形と接着及び冷却を殆ど同時に行う
こともできる。
【0051】固体粒子を加熱又は冷却するには、固体粒
子をホッパー等の形態のタンクに貯蔵する場合は、タン
ク内やタンク外壁に設けた電熱ヒーター、加熱蒸気、冷
媒等による加熱手段、冷却手段で行えばよい。また、固
体粒子輸送管の外壁にこれらの手段を設けて輸送管にて
加熱又は冷却するようにしてもよい。或いは、固体粒子
の加速に流体を用いる場合では、冷却又は加熱した流体
を用いて該流体からの熱伝導で固体粒子を冷却又は加熱
することもできる。その場合、流体も転写シートに衝突
させることで、流体も固体粒子と共に加熱又は冷却手段
とすることができる。或いは、前記流体が液体で該液体
と共に固体粒子を貯蔵するタンクを用いる場合では、貯
蔵中に固体粒子及び液体を冷却又は加熱してもよい。
【0052】〔固体粒子による衝突圧印加〕固体粒子を
転写シートに衝突させて衝突圧を印加し、転写シートを
被転写基材に押圧するには、固体粒子を噴出する固体粒
子噴出手段から固体粒子を転写シートに向かって噴出さ
せて転写シートに衝突圧を印加する。この固体粒子噴出
手段としては、粒子加速器として例えば、回転する羽根
車を用いた噴出器(図4〜図7参照)や、吹出ノズルを
用いた噴出器(図8参照)を使用する。羽根車による噴
出器は、羽根車の回転により固体粒子を加速し噴出する
ものである。一方、吹出ノズルによる噴出器は、固体粒
子加速流体を用いて、固体粒子を高速の該流体の流体流
で加速、搬送して該流体と共に噴出するものである。羽
根車や吹出ノズルには、サンドブラスト或いはショット
ブラスト、ショットピーニング等とブラスト分野にて使
用されているものを流用できる。例えば羽根車には遠心
式ブラスト装置、吹出ノズルには加圧式や吸引式ブラス
ト装置、ウェットブラスト装置等である。遠心式ブラス
ト装置は、羽根車の回転力で固体粒子を加速し噴出す
る。加圧式ブラスト装置は、圧縮空気に混合した固体粒
子を空気と共に噴出する。吸引式ブラスト装置は、圧縮
空気の高速流で生ずる負圧部に固体粒子を吸い込み、空
気と共に噴出する。ウェットブラスト装置は、固体粒子
を液体と混合して噴出する。
【0053】また、固体粒子噴出手段としては、吹出ノ
ズルや羽根車以外にも、重力による自由落下を利用して
固体粒子を加速する方法、磁性体粒子を磁場によって加
速する方法等を採用することも可能である。なお、羽根
車、重力、磁場を用いた固体粒子噴出手段の場合は、真
空中で固体粒子を転写シートに向かって噴出させること
も可能である。
【0054】〔噴出器:羽根車〕図4〜図7は噴出器の
粒子加速器として用い得る羽根車の一例を示す説明図で
ある。この羽根車は、ブラスチング分野にて使用されて
いる遠心式ブラスト装置に該当する。
【0055】図面では、羽根車812は、複数の羽根8
13がその両側を2枚の側面板814で固定され、且つ
回転中心部は羽根813がない中空部815となってい
る。さらに、この中空部815内に方向制御器816を
内在する。方向制御器816は、外周の一部が円周方向
に開口した開口部817を有する中空筒状で、羽根車8
12の回転軸芯と同一回転軸芯であり、羽根車とは独立
して回動自在となっている。方向制御器816は、使用
時には所定の向きに開口部817を固定して用いる。さ
らに、この方向制御器816の内部に、中空で羽根車8
12の回転軸芯と同一回転軸芯のもう一つの羽根車が散
布器818として内在する(図6参照)。散布器818
は外側の羽根車812と共に回転する。そして、側面板
814の回転中心に回転軸819が固定されており、こ
の回転軸819は軸受820で回転自在に軸支され、電
動機等の回転動力源(図示略)によって駆動回転される
ことで羽根車812が回転する。また回転軸819は、
羽根813を間に有する2枚の側面板814間には貫通
しておらず、軸無しの空間を形成している。
【0056】そして、散布器818の内部に固体粒子P
がホッパー等から輸送管を通って供給される。通常、固
体粒子Pは羽根車812の上方(直上又は斜上方)から
供給する。散布器818内に供給された固体粒子Pは散
布器818の羽根車で外側に飛び散る。飛び散った固体
粒子Pは、方向制御器816の開口部817によって許
された方向にのみ放出され、外側の羽根車812の羽根
813と羽根813との間に供給される。そして、羽根
813に衝突し、羽根車812の回転力で加速され、羽
根車812から噴出する。
【0057】なお、固体粒子の噴出方向は、図4及び図
5のように略鉛直下方であるが、水平方向、或いは斜下
方(図示略)等としてもよい。図7(A)及び図7
(B)に方向制御器816の開口部817の向きの設定
より固体粒子Pの噴出方向を調整する噴出方向制御の概
念図を示す(図7(A),(B)では方向制御器816
はそれぞれ図示の位置で固定されている)。なお、方向
制御器816は、その開口部817の円周方向、幅方向
の大きさを調整することで、固体粒子Pの噴出量を調整
することもできる。
【0058】なお、図4においては、回転軸819は側
面板814の外側のみで中空部815にまで貫通してい
ない構成となっているが、この他、中空部815の直径
より細い回転軸を該中空部815にまで貫通させたり、
外周に固体粒子通り抜け用の開口部を設けた中空筒状の
回転軸の内部自身を中空部とする構成などを採ることも
可能である(図示略)。
【0059】羽根車の羽根の形は、図4〜図7に示すよ
うな長方形の平板(直方体)が代表的であるが、この
他、湾曲曲面板、スクリュープロペラ等のプロペラ形等
を用いることも可能であり、用途、目的に応じて選択す
る。また、羽根の数は複数枚で最大10枚程度の範囲か
ら通常は選択する。そして、羽根車の形状、羽根の枚
数、回転速度、固体粒子の質量や供給速度と供給方向、
方向制御器の開口部サイズ及び向きの組み合わせによ
り、加速された固体粒子の噴出(吹出)方向、噴出速
度、投射密度、噴出拡散角等を調整する。
【0060】また、上記した羽根車には、さらに必要に
応じ、固体粒子の噴出取出部分のみを開口させ、それ以
外の羽根車周囲を被覆する噴出ガイド(図示略)を備え
ることで、固体粒子の噴出方向を揃えたり、固体粒子噴
出方向制御をすることもできる。噴出ガイドの開口部の
形状は、例えば、中空の円柱状、多角柱状、円錐状、多
角錐状、魚尾状等である。
【0061】羽根車の寸法は、通常直径5〜60cm程
度、羽根の幅は5〜20cm程度、羽根の長さはほぼ羽
根車の直径程度、羽根車の回転数は500〜5000r
pm程度である。固体粒子の噴出速度は10〜50m/
s程度、投射密度は10〜150kg/m2 程度であ
る。
【0062】また、羽根車の羽根の材質は、セラミッ
ク、或いはスチール、高クロム鋳鋼、チタン、チタン合
金等の金属等のなかから、固体粒子の種類により適宜選
択すればよい。固体粒子は羽根に接触して加速されるの
で、固体粒子に金属ビーズや無機粒子を用いる場合には
粒子が硬質であるので、羽根には耐摩耗性のよい高クロ
ム鋳鋼、セラミックを用いるとよい。固体粒子に樹脂ビ
ーズを用いる場合には金属粒子に比べれは軟質であるの
でスチールでもよい。
【0063】〔吹出ノズル〕固体粒子を流体と共に噴出
する固体粒子噴出手段として、図8に吹出ノズルを用い
た噴出器840の一例の説明図を示す。なお、同図に示
す噴出器840は固体粒子加速流体として気体を用い、
固体粒子噴出時に該気体と固体粒子を混合して噴出する
形態の噴出器の一例である。同図の噴出器840は、固
体粒子Pと流体Fを混合する誘導室841と、誘導室8
41内に流体Fを噴出する内部ノズル842と、ノズル
開口部843から固体粒子P及び流体Fを噴出する吹出
ノズル844からなる。圧縮機又は送風機(図示略)か
ら適宜加圧タンク(図示略)を経て送られる流体Fを、
内部ノズル842から誘導室841を経て吹出ノズル8
44のノズル開口部843から噴出する際に、誘導室8
41にて高速で流れる流体流の作用で負圧を作り、この
負圧により固体粒子を流体流に導き混合し、流体流で固
体粒子を加速、搬送して、吹出ノズル844のノズル開
口部843から流体流と共に噴出するものである。
【0064】なお、吹出ノズルには、固体粒子加速流体
として液体を用いる吹出ノズル等もある。液体の場合
は、例えばポンプ(図示略、流体が液体の場合)によ
り、流体と固体粒子とを加圧タンク(図示略)に混合貯
蔵しておき、この混合液を吹出ノズルのノズル開口部か
ら噴出するもの等が使用される。
【0065】ノズル開口部の形状としては、中空の円柱
状、多角柱状、円錐状、多角錐状、魚尾状等がある。流
体圧は吹付圧力で通常0.1〜100kg/cm2 程度
である。流体流の流速は、液流では通常1〜20m/秒
程度、気流では通常5〜80m/秒程度である。
【0066】誘導室やノズル部等の噴出器の材質は、セ
ラミック、スチール、チタン、チタン合金等のなかから
固体粒子、流体の種類によって適宜選択すればよい。流
体が液体の場合は、錆、溶解、腐食等を生じない材料を
選ぶ。例えば流体が水ならば、ステンレス鋼、チタン、
チタン合金、合成樹脂、セラミックを用いる。ただし、
表面に防水加工すれば、スチール等でもよい。
【0067】なお、固体粒子は噴出器内壁に沿って通過
するが、固体粒子に金属ビーズや無機粒子を用いる場合
には粒子が硬質であるので、噴出器内壁には耐摩耗性の
よいセラミックス、表面をセラミックス被覆した鋼等を
用いるとよい。固体粒子に樹脂ビーズを用いる場合には
金属粒子に比べて軟質であるので炭素鋼(普通鋼)でも
よい。
【0068】〔流体〕流体は、固体粒子を該流体流によ
って加速、搬送して、該流体と共に固体粒子を固体粒子
噴出手段から噴出させる場合(吹出ノズル等)に使用す
る。流体は固体粒子を加速する固体粒子加速流体であ
る。この流体には気体、液体の何れもが利用可能である
が、通常は取扱いが容易な気体を用いる。気体としては
空気が代表的であるが、炭酸ガス、窒素等でもよい。一
方、液体としては、必ずしも限定されないが、不燃性、
乾燥の容易性、無毒性、低価格、入手の容易性、等から
水は好ましい材料の一つである。この他、フロン等の不
燃性の液体も使用できる。液体(気体もそうであるが)
は固体粒子と共に転写シートに衝突させることができ
る。
【0069】〔衝突圧印加形態〕噴出器は、衝突圧印加
領域の面積次第では1個のみの使用でも可能だが、要求
する面積が大きい場合には複数用いて転写シートに衝突
する固体粒子の衝突領域が所望の形状となるようにする
とよい。例えば、転写シート及び被転写基材の送り方向
に直交して幅方向に一直線状に複数列を配置し、幅方向
に直線状で幅広の帯状形状の衝突領域とする。或いは、
図9(A)に示すように噴出器32を千鳥格子状に配置
したり、図9(B)に示すように、噴出器32を一列に
配置するにしても幅方向中央部では送り方向の上流側で
衝突するように配置してもよい。図9(B)に示す配置
では、転写シートの被転写基材への衝突圧による圧接は
幅方向中央部から始まり、次第に幅方向両端部に向かっ
て圧接されて行く。このようにすると、幅方向中央部に
空気を抱き込んだまま、転写シートが被転写基材に密着
することを防止できる。図9(A),(B)のように噴
出器32を幅方向に複数個配列する場合には、個々の噴
出器32の加圧領域が互いに一部重複し、全幅にわたっ
てもれなく加圧できるように配列することが好ましい。
図9(B)はそのような配列の一例を示し、同図におい
て点線部分が加圧領域である。また、衝突圧印加時間を
長くするには、噴出器は転写シート及び被転写基材の送
り方向に向かって2列以上配置する多段配置が好まし
い。
【0070】〔チャンバの使用〕ところで、固体粒子を
実際に使用する場合、固体粒子を周囲の雰囲気中に飛散
させずに且つ循環再利用するのが好ましい。したがっ
て、チャンバを使用して固体粒子の飛散防止及び循環再
利用をしながら連続転写を行うようにする。この場合、
基材搬送手段の搬送速度と同期する周速度を有する回転
ローラ或いはエンドレスベルトにより被転写基材の両側
部外側にて転写シートを押圧して基材搬送手段との間隙
を封じた状態で固体粒子の衝突を行うことによって、転
写シートの転写層側に裏回りした固体粒子が被転写基材
の側面部及び裏面部に付着するのを防ぎながら、固体粒
子の衝突圧を印加するのが望ましい。チャンバ下方に落
下して回収された固体粒子は、必要に応じ一旦ホッパー
に蓄えた上で、再び固体粒子噴出手段に供給する。
【0071】〔チャンバ使用での連続転写の一形態〕次
に、本発明の一形態としての曲面転写装置を図10によ
り説明する。
【0072】同図の装置は、板状で包絡面形状が平板状
の凹凸表面を有する被転写基材Bを基材搬送手段、具体
的にはチャンバ通過部分はコンベアベルトからなる基材
搬送装置11で、被転写面を水平上向きにして水平方向
に搬送しながら、連続帯状の転写シートSにより装飾層
等を転写する装置である。固体粒子Pはチャンバ33b
内で羽根車利用の噴出器32から、転写シートSに向か
って噴出させて衝突させ、衝突圧を転写圧として与え
る。基材搬送装置11のコンベアベルトは、スプロケッ
トホイール等で駆動される無端環状となっており、好ま
しくは被転写基材Bの裏面への固体粒子Pの付着防止の
ため、固体粒子Pが透過する隙間の無いものを使用す
る。このコンベアベルトの材質としては、例えば布で補
強したゴム、金属薄板、金網等が用いられる。
【0073】チャンバは、基材搬送装置11の上部側に
おいて、転写シートS及び被転写基材Bの出入口を除い
て別室に区画したチャンバ33a〜33cを、転写シー
トS及び被転写基材Bの入口側からこの順に備え、また
基材搬送装置11の下部側において、前記チャンバ33
a〜33cに対応する基材搬送装置下側の共通空間とし
てチャンバ33dを備えている。チャンバ33dは基材
搬送装置11のコンベアベルトの幅方向両側部分で上側
のチャンバ33a〜33cと連結している。なお、チャ
ンバ33aは加熱室であり、また、チャンバ33bは衝
突室であり、チャンバ33cは後処理室(冷却、固体粒
子除去)であり、下方のチャンバ33dは共通空間であ
るが固体粒子回収室とも言える。
【0074】チャンバの第1の目的は、固体粒子Pを周
囲の作業雰囲気中に漏らさないようにすることであり、
このため特に衝突室であるチャンバ33bは、転写シー
トS及び被転写基材Bの出入口で連結するチャンバ33
a,33cよりも気圧を低くする。チャンバ33aでは
熱風吹付ノズル22から熱風が吹き出しており、またチ
ャンバ33cでは冷風吹付ノズル24から冷風が吹き出
している結果、相対的にチャンバ33bはチャンバ33
a,33cよりも低圧にできる。なお、チャンバ33c
も、回転ブラシローラ35による固体粒子除去で固体粒
子Pが内部に飛び交うが、チャンバ33cはその内部下
流側で外部に通じる出口に近い部分に冷風吹付ノズル2
4を設けてあるので、出口からの固体粒子漏出は防げ
る。なお、衝突室となるチャンバ33b内は、固体粒子
Pのチャンバからホッパーへの逆流防止の為に、好まし
くはチャンバ外部より低圧にするとよい。このチャンバ
の圧力調整は、例えば排風機(図示略)をチャンバに適
宜接続して内部気体を外部に排気するとよい。
【0075】また、図10の曲面転写装置では、図2に
示した如き、転写シートSの支持体S’を熔融させてか
ら固化させる手段を備えている。すなわち、チャンバ3
3cの後に、被転写基材Bから転写シートSの支持体
S’を剥離するための剥離ローラ14が設けられてお
り、その後には図2で説明したのと同様な熔融炉6が設
置され、剥離ローラ14と熔融炉6の間には粘着テープ
の巻出しロール7が3つ配置され、3番目の巻出しロー
ル7にはブロアー8が設けられている。
【0076】図10に示す曲面転写装置を使用した転写
について説明すると、まず被転写基材Bは無限軌道式の
コンベアベルトからなる基材搬送装置11に載置されて
一枚ずつ搬送される。なお、被転写基材Bは、オフライ
ン又はインラインで、必要に応じて、接着剤塗工や下地
塗装等を適宜行う。接着剤は全面或いは凸部のみ等と所
望の部分に塗工する。なお、塗工する接着剤等に溶剤分
がある場合は、蒸発成分はチャンバの防爆対策の観点か
ら揮発乾燥させてからチャンバ33a内に搬入する。
【0077】一方、転写シートSは、巻出ロール12か
ら巻き出されて、まず蒸気加熱や誘導加熱等による予熱
ローラ21で加熱される。なお、転写シートSの向きは
転写層が被転写基材側を向くようにする。その後、転写
シートSはガイドローラ17を経て、表面がゴム製の弾
性体ローラからなる仮固定ローラ13で、被転写基材B
に対して軽く押圧されて被転写基材Bに仮固定される。
仮固定は、転写シートSが被転写基材Bの凸部等の一部
に固着するのみで凹部内部等には接触しなくともよい。
なお、転写時に接着剤を転写シートSに施す場合は、転
写シートSが巻出ロール12から予熱ローラ21に至る
間に、接着剤塗工装置(図示略)を設けて接着剤を塗工
する。溶剤乾燥を要する場合は、仮固定ローラ13に至
るまでの間に乾燥装置(図示略)を設けて乾燥する。そ
して、仮固定された転写シートSと一体となった被転写
基材Bは、まず加熱室であるチャンバ33a内に搬送さ
れ、そこで熱風吹付ノズル22から吹き出す熱風Ahに
よって、転写シートS、被転写基材B(及び接着剤
(層))が加熱される。その結果、転写シートSは加熱
されて軟化し、衝突圧印加時に延伸されやすくなる。ま
た、接着剤も加熱されて活性化する。ただし、転写シー
トSも被転写基材Bとともに予熱が不要の場合は、予熱
ローラ21、熱風吹付ノズル22は使用しないこともで
きる。また、転写シートSの予熱は不要で、被転写基材
Bの予熱のみが必要な場合は、予熱ローラ21、熱風吹
付ノズル22を使用せず、代わりに図10に示す如く、
仮固定ローラ13の手前に、被転写基材加熱装置16を
設けてもよい。被転写基材加熱装置は、赤外線輻射方
式、熱風吹付方式、誘導加熱方式、誘電加熱方式等を用
いる。
【0078】一方、固体粒子Pには、ホッパー31内で
粒子加熱装置23によって加熱された粒子を使用する。
この粒子加熱装置23は、ホッパー内部に設けた導管の
吹出孔から熱風Ahを吹き出して、固体粒子Pを加熱す
るものである。加熱された固体粒子Pはホッパー31か
ら羽根車利用の噴出器32に供給され、衝突室であるチ
ャンバ33b内で転写シートSの支持体側に向かって噴
出される。そして、被転写基材B上の転写シートSは、
噴出器32から噴出する固体粒子Pの衝突にさらされ、
被転写基材B及び転写シートSが搬送されるにつれて、
長手方向の全領域が順次衝突圧にさらされていく。その
結果、転写シートSは、固体粒子衝突圧で被転写基材B
に押圧され、被転写基材Bの凹凸表面の凹部内へも転写
シートSは延ばされて変形することで、被転写基材Bの
凹凸表面形状に追従して成形されて、活性化している接
着剤により転写層が被転写基材Bに密着する。そして、
転写シートSが転写すべき凹凸表面に密着した被転写基
材Bは、後処理室である次のチャンバ33cに搬送され
る。なお、図10においては、図示の都合上、ホッパー
31、噴出器32、チャンバ33a,33b,33c等
は一部中が見えるように描いてあるが、実際は周囲は密
閉されている。なおここで、ホッパー31、粒子加熱装
置23、噴出器32、チャンバ33b、及びチャンバ3
3dから固体粒子噴出手段(転写圧印加手段)が構成さ
れる。
【0079】固体粒子噴射領域であるチャンバ33bで
は、転写シートSの両サイド付近がエンドレスベルト状
のシート押さえ18により基材搬送装置に向かって押圧
された状態で固体粒子Pの衝突が行われるので、固体粒
子Pの裏回りが防止される。一方、転写シートSへの衝
突に供された後の固体粒子Pのうち、被転写基材の上側
面(天面)上に飛来したものは、該上側面に衝突圧(転
写圧)を印加した後、反射してその一部は基材搬送装置
11のコンベアベルト両端部を迂回して下部のチャンバ
33dに落下する。しかし、残りの部分は転写シート支
持体上に載置されたまま下流側に移送されて次のチャン
バ33cに入る。
【0080】被転写基材の上側面(天面)において、転
写シートSの支持体上に載置されたままでチャンバ33
cに入った固体粒子Pは、先ず回転ブラシローラ35で
転写シート上から除去される。回転ブラシローラ35
は、表面全体に均一に植毛したものでもよいが、幅方向
中央部を境にして左右逆螺旋となるように植毛したもの
が望ましい。このようなブラシローラを使用すれば、回
転している螺旋により、固体粒子は中央部から転写シー
ト両端部に向かって掃き集められ落下する。螺旋のピッ
チは適宜設定すればよい。植毛する毛の長さも適宜設定
すればよいが、通常5〜20mm程度である。毛の材質
は、ナイロン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の合
成樹脂、豚等動物の毛等を用いる。ブラシローラの回転
周速は、転写シート及び被転写基材の搬送速度と同じ
か、それより低速か、或いはそれより高速か、いずれで
もよい。これらの条件は、残留固体粒子の除去効率が最
適となるように選定する。
【0081】その後、スリット状の冷風吹付ノズル24
から転写シートS及び被転写基材B上に向かって、冷風
Acとして室温乃至それ以下の温度の空気を吹きつけ、
被転写基材B及び転写シートSを、転写シートSの支持
体が剥離可能な温度にまで冷却させる。チャンバ33d
に落ちた固体粒子Pは、その斜面をなす底面を擦り落ち
る等して集積され回収される。回収された固体粒子P
は、元のホッパー31にまで搬送され、チャンバ33b
の側壁から回収された固体粒子Pと共に再使用される。
【0082】そして、密着した被転写基材Bと転写シー
トSとが、冷風吹付ノズル24で強制冷却されて、また
残りの吹き飛ばせる固体粒子Pも除去されてチャンバ3
3cから排出されて外部空間に出た後、転写シートS
(の支持体)を、剥離ローラ14により被転写基材Bか
ら剥離除去する。その結果、転写シートSの転写層とし
て装飾層等が被転写基材Bの凹凸表面に転写形成され
た、化粧材等の転写製品が得られる。
【0083】一方、剥離ローラ14通過後の転写シート
Sの支持体S’は、3つの巻出しロール7により残箔や
ゴミが取り除かれ、またブロアー8により残った固体粒
子やゴミが吹き飛ばされてから、一対の加熱ロール9の
間を通って予備加熱されてから熔融炉6に導入される。
そして、支持体S’は熔融炉6内で熔融状態の樹脂とな
り、ダイスから押し出されて空冷もしくは冷却ローラ等
によって冷却固化し、所望の寸法に裁断されてペレット
となる。なお、以上のところで、巻出ロール12、ガイ
ドローラ17、仮固定ローラ13、及び剥離ローラ14
とで、転写シート供給手段が構成される。また、粘着テ
ープ巻出しロール7、ブロアー8、冷風吹付ノズル24
及び回転ブラシローラ35が不純物除去手段を構成す
る。
【0084】なお、上記説明では、接着剤の硬化完了は
オフラインで行うことを前提にしたが、転写シートSの
圧接後は、支持体剥離前又は後に、加熱装置、或いは電
離放射線硬化性樹脂の場合は水銀灯(紫外線光源)等の
電離放射線照射装置を設けてインラインで硬化させても
よい。
【0085】〔その他〕以上、曲面転写装置を説明して
きたが、本発明は上記で説明した事項に限定されるもの
ではない。例えば、図10の装置において、熔融した支
持体を固化して回収する手段としては、ペレット化して
回収する方式に代えて、図3に示す如き、製膜して回収
する方式を採用することもできる。この方式の場合は、
製膜したシートは、ロールに巻き取って回収すること
も、或いは枚葉に裁断して回収することも、いずれも可
能である。
【0086】〔転写製品の用途〕本発明で得られる化粧
材等の転写製品の用途は、転写された装飾面が凹凸面、
特に三次元形状等の凹凸表面の物品であるような各種用
途に用いられ得る。例えば、化粧材として、サイディン
グ等の外壁、塀、屋根、門扉、破風板等の外装、壁面、
天井、床等の建築物の内装、窓枠、扉、手摺、敷居、鴨
居等の建具類の表面化粧、箪笥等の家具やテレビ受像機
等の弱電・OA機器のキャビネットの表面化粧、自動
車、電車等の車両内装材、航空機や船舶等の内装材等の
各種分野で用いられ得る。化粧材は化粧板等として利用
される。なお、化粧材も含めて転写製品の形状は、平
板、曲面板、棒状体、立体物等と任意である。
【0087】〔後加工〕なお、転写後の化粧材等の転写
製品の表面に、耐久性、意匠感等を付与するために、さ
らに透明保護層を塗装する等してもよい。このような透
明保護層としては、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹
脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、シリコ
ーン樹脂、ウレタン樹脂の1種又は2種以上等をバイン
ダーとし、これに必要に応じて、ベンゾトリアゾール、
超微粒子酸化セリウム等の紫外線吸収剤、ヒンダードア
ミン系ラジカル捕捉剤等の光安定剤、シリカ、α−アル
ミナ(球状、鱗片又は不定形)粒子等の減磨剤、着色顔
料、体質顔料、滑剤等を添加した塗料を用いる。また、
外装用途では無機系塗料を用いることもできる。塗工は
スプレー塗装、フローコート、軟質ゴムロールやスポン
ジロールを使用したロールコート等で行う。透明保護層
の膜厚は1〜100μm程度である。
【0088】
【実施例】まず、三次元的表面凹凸を有する被転写基材
Bとして図11の要部拡大斜視図に例示するような板を
用意した。この被転写基材Bは、大柄な凹凸として深さ
2.0mm、開口幅7mmの目地の溝状凹部401と、
煉瓦積み模様の平坦凸部402とを有し、微細な凹凸と
して平坦凸部上に深さが0.1〜0.5mmの範囲に分
布する梨地調の微細凹凸403を有してなり、これら大
柄な凹凸と微細な凹凸とが重畳した三次元的表面凹凸を
有する厚さ12mmのケイ酸カルシウム板である。そし
て、その表面に目止処理を施した後、二液硬化型ウレタ
ン系接着剤(日立化成ポリマー製)をエアスプレーにて
塗布した。
【0089】一方、転写シートは、支持体に厚さ100
μmのポリプロピレン系熱可塑性エラストマーフィルム
を使用し、その片面に、転写層となる装飾層として被転
写基材Bの凹凸面形状と位置同調したセメントの目地を
有する煉瓦調の絵柄を順次グラビア印刷したものを用意
した。絵柄インキのバインダー樹脂としては、ポリカー
ボネートジオールとイソホロンジイソシアネートからな
る一液ウレタン樹脂とアクリル樹脂の共重合体樹脂(T
g=−24、熱軟化温度=137℃、アクリル含有量1
6%)を、また着色顔料としては、弁柄、イソインドリ
ノン、カーボンブラック、チタン白を用いた。
【0090】上記の被転写基材と転写シートを用い、図
10に示すような羽根車を用いた転写装置を使用し、上
記被転写基材Bをコンベアベルトからなる基材搬送装置
11上に載置してラインスピード25m/分で搬送し
た。そして、巻出ロール12から巻き出した転写シート
Sを予熱ローラ21で加熱した後、ゴムロールからなる
仮固定ローラ13で被転写基材Bに押圧して仮固定し、
チャンバ内に被転写基材Bと一体として供給した。最初
のチャンバ33a内では、熱風ノズル22からの熱風A
hにより転写シートSの予熱による軟化、接着剤の活性
化、被転写基材Bの加熱を行った。この場合、支持体の
表面温度が100℃となるように加熱した。また、被転
写基材Bは70〜80℃になるように赤外線輻射方式の
被転写基材加熱装置を用いてプレヒートしておいた。
【0091】次いで、固体粒子Pとしての平均粒径0.
4mmの球形の亜鉛球をホッパー31の内部で50℃に
加熱し、噴出器32から噴出させて、転写シートSの支
持体側に衝突させ、転写シートSを被転写基材Bに圧接
した。噴出器の羽根車の回転数は3600rpm、固体
粒子Pの噴出速度は35m/s、投射密度は100kg
/m2 であった。そして、転写シートSに衝突した固体
粒子Pの多くは、基材搬送装置11のコンベアベルト両
端部を迂回して下部のチャンバ33dに落下し、元のホ
ッパー31にまで搬送して再使用された。また、落下せ
ずに残った固体粒子Pは転写シートSの支持体上に載置
されたまま下流側のチャンバ33cに移送された。
【0092】そして、転写シートSが目地の凹部内にま
で延ばされて熱融着し、チャンバ33bの次のチャンバ
33cにおいて、ブラシローラ35のブラシで転写シー
ト上に残留した固体粒子Pを転写シート両端部に向かっ
て掻き集めて下のチャンバ33dに落とした。次いで、
冷風吹付ノズル24で15℃の冷風Acを吹き付けて、
接着剤を冷却して接着温度以下に冷却すると共に、転写
シート上にまだ残留している固体粒子Pを吹き飛ばし
て、転写シート両端部からチャンバ33dに落とした。
次いで、被転写基材B及び転写シートSがチャンバ33
cから外部に出た後、剥離ローラ14で転写シートSの
支持体S’を剥がし取り、転写製品として化粧材Dを得
た。そして、この化粧材Dの転写層の表面に、0.5重
量%のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含むポリフ
ッ化ビニリデンのエマルジョン塗料を乾燥時厚さ10μ
mに塗布して透明保護層を形成し、透明保護層付きの化
粧材を得た。
【0093】一方、剥離ローラ14により剥離された支
持体S’は、3つの粘着テープの巻出しロール7によ
り、残留固体粒子、残箔、ゴミ等の不純物を取り除き、
さらにブロアー8により残った固体粒子やゴミを吹き飛
ばした後、一対の加熱ロール9(120〜150℃程
度)で予備加熱を行ってから熔融炉6に導入した。この
熔融炉6での熔融温度は180〜250℃である。そし
て、熔融炉6内で熔融状態の樹脂とし、ダイスから押し
出して冷却固化してから、所望の寸法に裁断してペレッ
ト化した。
【0094】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
転写済みの不要となった支持体を一旦熔融させてから固
化して回収するようにしたので、転写済みの支持体の回
収が容易に行えると共に、回収した支持体樹脂を再利用
することが可能である。ペレット状で回収した支持体樹
脂は、各種用途の樹脂製品の原料に転用可能である。ま
た、シート状で回収した樹脂材料は、再び転写シートの
支持体として利用することも、又他の用途に転用するこ
ともいずれも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の曲面転写装置における支持体の回収状態
を示す説明図である。
【図2】本発明に係る曲面転写装置の一例を示す要部の
側面図である。
【図3】図2に示す装置の変形例を示す側面図である。
【図4】羽根車を用いた噴出器の一例を示す斜視図であ
る。
【図5】図4の噴出器の正面図である。
【図6】図4の噴出器内部の説明図である。
【図7】図4の噴出器にて噴出方向を調整する説明図で
ある。
【図8】吹出ノズルを用いた噴出器の一例を示す断面図
である。
【図9】噴出器の配置状態の例を示す説明図である。
【図10】曲面転写装置の具体例を示す概略図である。
【図11】三次元的表面凹凸をもつ被転写基材の一例を
示す腰部拡大斜視図である。
【符号の説明】
1 噴出器 2 圧印加部 3 剥離ローラ 4 シート排出装置 5 ブロアー 6 熔融炉 6a 排出口 6b T型ダイス 7 巻出しロール 8 ブロアー 9 加熱ローラ 10a 冷却ロール 10b 圧胴 10c 剥離ロール 11 基材搬送装置 12 巻出ロール 13 仮固定ローラ 14 剥離ローラ 15 巻取ロール 16 被転写基材加熱装置 17 シート押さえ 21 予熱ローラ 22 熱風吹付ノズル 23 粒子加熱装置 24 冷風吹付ノズル 31 ホッパー 32 噴出器 33a〜33d チャンバ 35 回転ブラシローラ 401 凹部 402 凸部 403 微細凹凸 812,812a羽根車 813,813a 羽根 814,814a 側面板 815 中空部 816 方向制御器 817 開口部 818 散布器 819,819a 回転軸 820 軸受 840 吹出ノズルを用いた噴出器 841 誘導室 842 内部ノズル 843 ノズル開口部 844 ノズル Ac 冷風 Ah 熱風 B 被転写基材 D 化粧材 F 流体 G 接着剤 P 固体粒子 S 転写シート

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に凹凸を有する被転写基材の凹凸表
    面側に、支持体と転写層からなる転写シートの転写層側
    を対向させ、該転写シートの支持体側に固体粒子を衝突
    させ、その衝突圧を利用して被転写基材の凹凸表面へ転
    写シートを圧接し、転写層を被転写基材に移行させてか
    ら支持体を剥離除去することで転写層を被転写基材に転
    写する方法において、転写済みの不要となった支持体を
    一旦熔融させてから固化して回収することを特徴とする
    曲面転写方法。
  2. 【請求項2】 表面に凹凸を有する被転写基材の凹凸表
    面側に、支持体と転写層からなる転写シートの転写層側
    を対向させ、該転写シートの支持体側に固体粒子を衝突
    させ、その衝突圧を利用して被転写基材の凹凸表面へ転
    写シートを圧接し、転写層を被転写基材に移行させてか
    ら支持体を剥離除去することで転写層を被転写基材に転
    写する方法を実施するために使用される装置において、
    転写済みの不要となった支持体を熔融させてから固化し
    て回収する手段を具備したことを特徴とする曲面転写装
    置。
JP11023680A 1999-02-01 1999-02-01 曲面転写方法及び曲面転写装置 Pending JP2000218693A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11023680A JP2000218693A (ja) 1999-02-01 1999-02-01 曲面転写方法及び曲面転写装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11023680A JP2000218693A (ja) 1999-02-01 1999-02-01 曲面転写方法及び曲面転写装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000218693A true JP2000218693A (ja) 2000-08-08

Family

ID=12117192

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11023680A Pending JP2000218693A (ja) 1999-02-01 1999-02-01 曲面転写方法及び曲面転写装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000218693A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008207474A (ja) * 2007-02-27 2008-09-11 Toshiba Mach Co Ltd 樹脂フィルム成形装置および樹脂フィルム成形装置における付着物除去方法
CN108162376A (zh) * 2017-12-27 2018-06-15 新昌县镜岭镇胜泰轴承配件厂 一种pvc板材压纹机

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008207474A (ja) * 2007-02-27 2008-09-11 Toshiba Mach Co Ltd 樹脂フィルム成形装置および樹脂フィルム成形装置における付着物除去方法
CN108162376A (zh) * 2017-12-27 2018-06-15 新昌县镜岭镇胜泰轴承配件厂 一种pvc板材压纹机

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH11245590A (ja) 曲面転写方法及び曲面転写装置
JP2000318390A (ja) 曲面転写装置
JP3220849B2 (ja) 曲面転写方法及びそれに用いる転写シート
JP2001162995A (ja) 化粧材の製造方法
JP2000218693A (ja) 曲面転写方法及び曲面転写装置
JPH11334294A (ja) 曲面転写方法及び曲面転写装置
JPH11334295A (ja) 化粧材の製造方法及び製造装置
JP2000198141A (ja) 曲面転写装置
JP2000272297A (ja) 曲面転写方法及び曲面転写装置
JP2001039094A (ja) 曲面転写方法
JP2001063293A (ja) 曲面転写装置
JP2000219223A (ja) 曲面転写装置
JP2000141601A (ja) 曲面転写装置
JP2001001693A (ja) 転写方法
JP2000272296A (ja) 曲面転写方法及び曲面転写装置
JP2000103197A (ja) 曲面転写装置
JP2000006592A (ja) 曲面転写方法及び曲面転写装置
JP2000127695A (ja) 曲面転写装置
JPH11245591A (ja) 曲面転写装置
JPH11235895A (ja) 曲面転写装置
JPH11245593A (ja) 曲面転写装置
JP3247984B2 (ja) 曲面転写方法及び曲面転写装置
JPH11115393A (ja) 曲面転写方法及び曲面転写装置
JPH11334296A (ja) 曲面転写方法及び曲面転写装置
JPH11170790A (ja) 曲面転写方法及び曲面転写装置