JP2001054999A - 部分艶消し表面保護層転写シート - Google Patents

部分艶消し表面保護層転写シート

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JP2001054999A
JP2001054999A JP11231150A JP23115099A JP2001054999A JP 2001054999 A JP2001054999 A JP 2001054999A JP 11231150 A JP11231150 A JP 11231150A JP 23115099 A JP23115099 A JP 23115099A JP 2001054999 A JP2001054999 A JP 2001054999A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 部分的に表面の艶が異なる意匠性を付与出来
る上、耐汚染性にも優れた表面保護層を転写できる転写
シートとする。 【解決手段】 部分艶消し表面保護層転写シートSは、
基体シート2と部分形成された離型層3とからなる支持
体シート1上に、表面保護層5を少なくとも含む転写層
6が形成された転写シートにて、離型層を立方体形状の
マット剤4を含有した樹脂より形成し、離型層と基体シ
ートの表面艶が異なる構成とする。例えば、基体シート
に熱可塑性ポリエステル樹脂、離型層にポリエステル系
ポリオールとイソシアネートからなる2液硬化型ウレタ
ン樹脂の硬化物、マット剤にアルミノシリケートを用い
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電離放射線硬化性
樹脂等の架橋硬化型樹脂からなる表面保護層を形成する
為の転写シートに関する。特に、部分的に表面の艶が異
なるために表面意匠性が高く、かつ表面の耐汚染性に優
れた部分艶消し表面保護層転写シートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、転写シートの支持体シートに、そ
の転写層側の面が光沢面であるグロスフィルムを用いた
場合、転写後の転写層表面が単一光沢である為に、意匠
性に乏しかった。そこで、表面に部分的に異なった光沢
度の領域からなるパターンを形成してグロス・マット感
を出す為に、例えば次の様な部分艶消し転写シートが使
用されていた。
【0003】マット剤を添加した離型層を基体シート
に部分的に設けた構成の支持体シートを用いた転写シー
ト。また、この場合、少量のマット剤の添加量でマット
性を向上させる為に、粒子径の大きなシリカ等、無定形
(3μm以上)のマット剤を離型層の樹脂に添加してい
た(実公昭49−21238号公報、特公昭56−43
875号公報参照)。或いは、マット剤に球状のものを
使用していた。 支持体シート自体にマット剤を練り込んだ支持体シー
トを使用した転写シート。 サンドブラストによって物理的に粗面とした支持体シ
ートを使用した転写シート。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
の転写シートでは、マット剤が添加された離型層の表面
粗さが大きいため、転写された転写層表面の粗さも大き
く、且つ不定形の複雑な凹凸となり、汚染物質が溜まり
易く、赤クレヨン、靴墨等の耐汚染性が劣った。この様
に耐汚染性は、転写後の転写層表面性状が影響するの
で、従来のシリカでは問題となってしまう。また、マッ
ト剤には一般的にシリカを用いていたが、シリカは無定
形であるために、少量の添加で高マット感が得られる反
面、その上に表面保護層を形成する時の印刷適性(或い
は塗工適性)も問題であった。また、球状のマット剤を
用いた場合は、耐汚染性は改善されるものの、同じ艶消
し(光沢度)とする為には、不定形よりも添加量を多く
する必要があり、その為、離型性が不安定となり、また
離型層の印刷(或いは塗工)適性も悪くなる。
【0005】また、上記の支持体シート自体にマット
剤を練り混んだ転写シートでは、耐汚染性は良好である
が、部分艶消しにはならず全面均一な艶消しとなってし
まう。また、支持体シートが不透明となる為に、紫外線
硬化性樹脂の表面保護層の場合、紫外線照射時に紫外線
が十分に透過しない。したがって、表面保護層を硬化さ
せ難いといった問題があった。また、上記の物理的に
粗面化された支持体シートによる転写シートでは、耐汚
染性が劣る上、全面均一な艶消しとなる。また、サンド
ブラストで形成した粗面は、不規則な微凹凸からなる
為、上記と同様、耐汚染性が良く無かった。
【0006】そこで、本発明の課題は、電離放射線硬化
性樹脂等の架橋硬化型樹脂からなる表面保護層を形成す
る為の転写シートに関して、部分的に表面の艶が異なる
表面意匠性を付与できる上、粗面(艶消面)の耐汚染性
に優れた、部分艶消し表面保護層転写シートを提供する
事である。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
すべく、本発明の部分艶消し表面保護層転写シートは、
基体シートと該基体シート上に部分的に設けられた離型
層とからなる支持体シートの上に、表面保護層を少なく
とも含む転写層が設けられた転写シートにおいて、前記
表面保護層が立方体形状のマット剤を含有した樹脂より
形成されてなり、離型層と基体シートの表面艶が異なる
様にした。この様に基体シート上に部分的に設ける離型
層の艶が基体シート表面と異なる為、意匠性(グロスマ
ット感)の高い表面保護層を形成できる。しかも、マッ
ト剤の形状を立方体形状としてあるので、無定形のシリ
カに比べて微凹凸の表面が比較的滑らかな凹凸面となる
為に、艶消し微凹凸を賦形された表面保護層は、その表
面の微凹凸形状から汚染物が溜まり難く、艶消し面にも
拘らず赤クレヨン等に対する耐汚染性が良好となる。ま
た、マット剤の形状が立方体形状であるので、球状のマ
ット剤に比較して比表面積が大きく、この為、少量の添
加で高マット感が得られる。
【0008】また、本発明の部分艶消し表面保護層転写
シートは、上記構成に対して更に、基体シートが熱可塑
性ポリエステル樹脂であり、離型層がポリエステル系ポ
リオールとイソシアネートからなる2液硬化型ウレタン
樹脂の硬化物からなり、マット剤がアルミノシリケート
である構成した。この様な構成とすることで、転写の
際、部分艶消し表面保護層転写シートを剥離するとき
に、離型層が転写された表面保護層側に残らず、離型層
は基体シートと一体となって支持体シートとして、転写
された表面保護層等の転写層から確実に剥離させること
ができる。したがって、安定的に部分艶消しの表面保護
層を転写形成できる。
【0009】また、本発明の部分艶消し表面保護層転写
シートは、上記いずれかの構成に対して更に、表面保護
層が、少なくとも、ウレタン系(メタ)アクリレート、
エステル系(メタ)アクリレートのいずれかからなるラ
ジカル重合性不飽和基を含有する電離放射線硬化性樹脂
の硬化物からなる構成とした。この様な構成とすること
で、表面保護層の耐汚染性をより良好にできる。
【0010】また、本発明の部分艶消し表面保護層転写
シートは、上記いずれかの構成に対して、表面保護層上
に、更に、絵柄層、接着剤層、或いは絵柄層と接着剤層
がこの順に形成されてなる構成とした。この様な構成と
することで、絵柄層が形成されている場合は、絵柄層に
よる意匠性を付与でき、接着剤層が形成されいる場合
は、接着しにくい被転写体に対しても密着良く転写で、
絵柄層及び接着剤層の両方が形成されている場合は、絵
柄層による意匠性付与と、接着剤層による密着良好な転
写ができる様になる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の部分艶消し表面保護層転写シートについて実施の形態
を説明する。
【0012】概要:先ず、図1(A)は本発明の部分艶
消し表面保護層転写シートをその一形態で示す断面図で
ある。図1(A)に示す如く、本発明の部分艶消し表面
保護層転写シートSは、その支持体シート1が基体シー
ト2と該基体シート2上に部分的に設けられた離型層3
とからなり、この離型層3が立方体形状のマット剤4を
含有した樹脂より形成され離型層3と基体シート2の表
面艶が異なっている。そして、この様な支持体シート1
上に、転写層5として少なくとも表面保護層6が形成さ
れた構成の転写シートである。
【0013】そして、上記の様な本発明の部分艶消し表
面保護層転写シートSによって、転写された表面保護層
5の表面の凹凸は、図1(B)の断面図で概念的に示す
如く、離型層3中が含有する立方体形状のマット剤4に
よって形成され、その凹凸は、マット剤4の形状を反映
した形状となる。したがって、マット剤の形状が立方体
形状である為に、転写後の表面保護層の表面の微凹凸
は、90°乃至は90°に近い角度の角を持った凹部を
有することになる。この為、不定形のシリカ等で得られ
る微凹凸に比較して、滑らかな凹凸のマット面が得られ
る。そして、この滑らかな微凹凸によって、汚染物が溜
まり難く、艶消し面にも拘らず赤クレヨン等に対する耐
汚染性が良好となるのである。しかも、マット剤の形状
が立方体形状であるので、球状のマット剤に比較して比
表面積が大きく、光拡散性が大きいので、少量の添加で
高マット感が得られることにもなる。
【0014】以下、さらに本発明の部分艶消し表面保護
層転写シートについて詳述する。
【0015】支持体シート:支持体シート1は、基体シ
ート2と、該基体シート2上に部分的に形成される立方
体形状のマット剤4を含有する樹脂からなる離型層3と
から構成される。
【0016】〔基体シート〕基体シート2としては、特
に制限は無く既知のもので良い。但し、耐熱性、耐溶剤
性を考慮する場合は、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ
エチレンナフタレート(PEN)、エチレン・イソフタ
レート・テレフタレート共重合体、ポリエステル系熱可
塑性エラストマー等の熱可塑性ポリエステルが好まし
い。もちろん、耐熱性、耐溶剤性を考慮する必要が無い
場合は、熱可塑性ポリエステルの他に、ポリエチレン、
ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、オレ
フィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹
脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂等を
使用することもできる。基体シートの厚さは特に制限は
無いが、通常25〜50μm程度とする。25μm未満
であると、支持体シートとしての強度が不十分となり、
また厚膜の表面保護層を設けられない。また50μm以
上となると、コスト高となる。
【0017】また、例えばポリエチレンテレフタレート
等の基体シートは、その離型層を設ける側の面は、コロ
ナ放電処理等の易接着処理は未処理の方が好ましい。表
面保護層が未硬化電離放射線硬化性樹脂の場合、所定の
硬化方法にて電離放射線硬化性樹脂を硬化させた時に、
基体シートがコロナ放電処理或いはその他の易接着処理
が施されていると、基体シートと(表面保護層となる)
電離放射線硬化性樹脂とが密着してしまい、表面保護層
の転写が不可能となるからである。
【0018】〔離型層〕離型層3は、立方体形状のマッ
ト剤4を含有した樹脂から構成され、基体シート2上
に、所望のグロス・マット柄を付与するパターンを成す
様に、部分的に形成される。離型層を部分的に形成する
には、所定のマット剤及び樹脂を含むインキを用いて、
グラビア印刷、シルクスクリーン印刷等の既知の印刷法
によって形成すれば良い。或いは、部分的に形成できる
スプレー塗装等の既知の塗工法や手描き等によって、形
成しても良い。離型層の厚さは特に制限は無いが、通常
1〜20μm程度である。離型層を部分的に形成して構
成されるパターンとしては、木目導管溝、タイルの目地
溝、トラバーチン大理石の凹陥部、木目の春材部、幾何
学模様等が用いられる。
【0019】離型層に用いる樹脂としては、特に制限は
無く既知の樹脂から基体シートとの密着性等を考慮して
適宜選択すれば良い。例えば、ポリエステル系樹脂が好
ましい。特に、基体シートにポリエチレンテレフタレー
ト等の熱可塑性ポリエステル樹脂を使用した場合は、類
似の構造を持つポリエステル系樹脂を使用するのが好ま
しいのは、尚更である。
【0020】上記ポリエステル系樹脂としては、熱可塑
性ポリエステル樹脂、硬化性ポリエステル樹脂等も使用
できるが、ポリエステル系ポリオールとイソシアネート
とからなる2液硬化型ウレタン樹脂(2液硬化型ポリエ
ステル系ウレタン樹脂)を使用することもできる。な
お、2液硬化型ウレタン樹脂は、硬化物として離型層に
使用する。特に、基体シートに熱可塑性ポリエステル樹
脂を使用し、且つ離型層にポリエステル系ポリオールと
イソシアネートからなる2液硬化型ウレタン樹脂の硬化
物を使用し、離型層中のマット剤にアルミノシリケート
を使用する組み合わせは、良好な剥離性(転写時に離型
層が表面保護層から確実に剥離し、離型層を基体シート
と一体化した支持体シートとして表面保護層から剥離で
きる事)と共に優れた耐汚染性を表面保護層に付与でき
る。
【0021】上記ポリエステルポリオールとしては、低
分子ジオールとジカルボン酸とを反応させて得られる縮
合ポリエステルジオールや、ラクトンの開環重合により
得られるポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオ
ール等が挙げられる。なお、上記ジカルボン酸として
は、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、
アゼライン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカル
ボン酸類、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカ
ルボン酸類、等が単独使用又は2種以上使用される。ま
た、上記ラクトンには、ε−カプロラクトン等が使用さ
れる。
【0022】そして、ポリエステルポリオールの具体例
としては、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジ
ペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペン
チルアジペート、ポリエチレンブチレンアジペート、ポ
リブチレンヘキサブチレンアジペート、ポリジエチレン
アジペート、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジ
ペート、ポリエチレンアゼート、ポリエチレンセバケー
ト、ポリブチレンアゼート、ポリブチレンセバケート、
ポリヘキサメチレンカーボネートジオール等が挙げら
れ、これらが単独使用又は2種以上使用される。
【0023】前記イソシアネートとしては、芳香族ジ
イソシアネート(例えば、4,4′−ジフェニルメタン
ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネー
ト、1,5−ナフタリンジイソシアネート、n−イソシ
アネートフェニルスルホニルイソシアネート、m−或い
はp−イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネー
ト等)、脂肪族ジイソシアネート(例えば、1,6−
ヘキサメチレンジイソシアネート等)、脂環式ジイソ
シアネート(例えば、イソホロンジイソシアネート、水
素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニ
ルメタンジイソシアネート等)のポリイソシアネート、
或いはまた、これら各種イソシアネートの付加体、又は
多量体等が、単独使用又は2種以上使用される。
【0024】〔マット剤〕マット剤4には、立方体形状
のものを使用する。立方体形状のマット剤としては、形
状がそうであれば特に制限は無く、既知のものを使用で
きる。例えば、シリカ、アルミナ、アルミナシリケー
ト、アクリル樹脂等である。形状を立方体とする事によ
って、転写後の表面保護層の表面に賦形された凹部が、
単純、滑らか、間口大となり、賦形された凹凸面の耐汚
染性が良好となる。しかも、形状が球状の場合に比べ
て、立方体形状では、少ない添加量で艶消し効果がより
大きい利点もある。なお、立方体形状とは、完全な立方
体〔図2(A)〕の他に、直方体の角が丸くなった立方
体、角や稜線が面取りされた立方体〔図2(B)、図2
(D)〕、或いは立方体から余り形状に隔たりが無けれ
ば直方体(縦、横、高さのうち、いずれか2つ、又は3
つが相異なる長さのもの)〔図2(C)〕でも良い。な
お、マット剤の粒径は、通常1〜100μm程度のもの
を用いる。マット剤の粒径としては、全部同粒径で同形
状のものを用いても良いが、粒径及び/又は形状を上記
許容範囲内で複数種混在(分布)させても良い。
【0025】表面保護層:表面保護層6は、転写層5を
構成する最低限の層要素として、支持体シート上に形成
される。支持体シートに表面保護層を形成する方法は、
ロールコート等の塗工法、グラビア印刷、転写印刷等の
印刷法等、既知の形成方法で良い。表面保護層の厚さは
特に制限は無いが、通常1〜100μm程度である。
【0026】表面保護層を構成する樹脂は、特に制限は
無く既知の樹脂から、転写後の表面保護層に要求される
表面物性等に応じて適宜選択すれば良い。例えば、塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、熱可塑性
ウレタン樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂、セルロース系樹
脂、或いは電離放射線硬化性樹脂等である。なかでも、
紫外線や電子線で硬化する電離放射線硬化性樹脂や熱で
硬化する熱硬化性ウレタン樹脂等の硬化性樹脂(の硬化
物)は良好な耐汚染性を付与できる点で好ましい。これ
らの硬化性樹脂の中でも、部分艶消し表面保護層転写シ
ートの製造時に於ける作業性の点で、電離放射線硬化性
樹脂が好ましい。更に、厚膜にした場合に、硬化収縮に
伴う反りが少ない点を考慮すると、紫外線硬化の電離放
射線硬化性樹脂(紫外線硬化性樹脂)が好ましい。な
お、部分艶消し表面保護層転写シート上に於ける表面保
護層に、硬化性樹脂の硬化物を使用する場合、その完全
硬化は、該転写シートを被転写体に積層後(支持体シー
トの剥離後或いは剥離前も含む)であっても良い。本発
明で硬化物とは、部分艶消し表面保護層転写シート上に
於いて完全硬化前の物も含む。
【0027】上記電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線
により硬化可能な組成物であり、具体的には、分子中に
ラジカル重合性不飽和結合、又はカチオン重合性官能基
を有する、プレポリマー(所謂オリゴマーも包含する)
及び/又はモノマーを適宜混合した電離放射線により硬
化可能な組成物が好ましくは用いられる。これらプレポ
リマー又はモノマーは単体又は複数種を混合して用い
る。
【0028】上記プレポリマー又はモノマーは、具体的
には、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アク
リロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキ
シ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物からな
る。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによ
るポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましくは用
いられる。なお、例えば(メタ)アクリロイル基とは、
アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。ラ
ジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーの例として
は、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メ
タ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メ
ラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アク
リレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が使用で
きる。分子量としては、通常250〜100,000程
度のものが用いられる。
【0029】ラジカル重合性不飽和基を有するモノマー
の例としては、単官能モノマーとして、メチル(メタ)
アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等がある。
また、多官能モノマーとして、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリメチールプロパントリ(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサ
イドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルヘキサ(メタ)アクリレート等もある。カチオン重合
性官能基を有するプレポリマーの例としては、ビスフェ
ノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等
のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系
ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマ
ーがある。チオールとしては、トリメチロールプロパン
トリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチ
オグリコレート等のポリチオールがある。また、ポリエ
ンとしては、ジオールとジイソシアネートによるポリウ
レタンの両端にアリルアルコールを付加したもの等があ
る。
【0030】なかでも、プレポリマーとしてウレタン
(メタ)アクリレート又はポリエステル(メタ)アクリ
レートを用い、これに必要に応じて、ラジカル重合性不
飽和基を有するモノマーとして単官能モノマーや多官能
モノマーも併用した、ウレタン系(メタ)アクリレート
又はエステル系(メタ)アクリレートのいずれかからな
る樹脂は、好ましい。この様な電離放射線硬化性樹脂の
硬化物を表面保護層に使用することで、より優れた耐汚
染性を付与できる。
【0031】なお、紫外線又は可視光線にて硬化させる
場合には、上記電離放射線硬化性樹脂に、さらに光重合
開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹
脂系の場合は、光重合開始剤として、アセトフェノン
類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイ
ン、ベンゾインメチルエーテル類を単独又は混合して用
いることができる。また、カチオン重合性官能基を有す
る樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾ
ニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム
塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル
等を単独又は混合物として用いることができる。なお、
これらの光重合開始剤の添加量としては、電離放射線硬
化性樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部程
度である。
【0032】なお、電離放射線としては、分子を架橋さ
せ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子が用いら
れる。通常用いられるものは、紫外線又は電子線である
が、この他、可視光線、X線、イオン線等を用いる事も
可能である。紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水
銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライ
ト、メタルハライドランプ等の光源が使用される。紫外
線の波長としては通常190〜380nmの波長域が主
として用いられる。電子線源としては、コッククロフト
ワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コ
ア変圧器型、或いは、直線型、ダイナミトロン型、高周
波型等の各種電子線加速器を用い、100〜1000k
eV、好ましくは、100〜300keVのエネルギー
をもつ電子を照射するものが使用される。
【0033】なお、上記電離放射線硬化性樹脂には、更
に必要に応じて、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポ
リ酢酸ビニル、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂等の
熱可塑性樹脂を添加することもできる。
【0034】なお、表面保護層には、表面強度、耐擦傷
性、後塗装適性等の表面物性の為に、必要に応じ適宜、
体質顔料を含有させても良い。体質顔料としては具体的
には、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、
硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、アルミナ
(α−アルミナ等)、タルク、クレー等の無機質体質顔
料からなる粒径0.1〜10μm程度の粉末を使用する
と良い。粉末の形状は、球形、多角形、不定形、鱗片形
等である。
【0035】絵柄層:絵柄層は、表面保護層上に、必要
に応じて設ける。絵柄層は前記表面保護層と共に転写層
を構成し、転写後は表面保護層の下層となる。表面保護
層のみを転写すれば足りる用途では、転写シートの転写
層は表面保護層のみでも良いが、更に被転写体を絵柄に
より装飾する必要がある場合には、この絵柄層を設ける
と良い。
【0036】絵柄層はグラビア印刷、シルクスクリーン
印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、イン
キジェットプリント等の従来公知の方法、材料で絵柄等
を印刷した絵柄印刷層、アルミニウム、クロム、金、銀
等の金属を公知の蒸着法等を用いて部分的或いは全面に
形成した金属薄膜層等であり、用途に合わせたものを用
いる。絵柄は、用途に合わせたもので良く、木目模様、
石目模様、皮絞模様、布目模様、タイル貼り(二次元配
列)模様、煉瓦積層模様、文字、幾何学模様、抽象模
様、全面ベタ等を用いる。
【0037】なお、絵柄印刷層用インキは、一般的なイ
ンキ同様に、バインダー等からなるビヒクル、顔料や染
料等の着色剤、これに適宜加える各種添加剤からなる。
着色剤としては、チタン白、カーボンブラック、弁柄、
黄鉛、群青等の無機顔料、アニリンブラック、キナクリ
ドン、イソインドリノン、フタロシアニンブルー等の有
機顔料、アルミニウム箔粉、二酸化チタン被覆雲母の箔
粉等の光輝性顔料、或いはその他染料等を用いる。ま
た、バインダーの樹脂には、用途に合わせた適宜樹脂が
用い、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、ウレ
タン樹脂、等の単体又はこれらを含む混合物を用いる。
なかでも、ウレタン樹脂、それも熱可塑性ウレタン樹脂
は好ましい樹脂の一つである。それは、イソシアネート
とポリオールとの2液硬化型ウレタン樹脂では、経時で
反応が進み、絵柄印刷層の熱可塑性が失われ、被転写体
への転写性が低下したりすることがあるが、熱可塑性ウ
レタン樹脂ならば経時での反応進行がないので、使い易
い上、密着性や転写性も確保できるからである。
【0038】上記熱可塑性ウレタン樹脂は、例えば、ジ
イソシアネートと高分子ジオール、更に必要に応じ低分
子ジオール等の活性水素含有基を有する活性水素化合物
を反応させて得られ樹脂だが、具体的には、ポリエステ
ル系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂、アク
リル系ウレタン樹脂等を、単独使用しても良いし、混合
使用しても良い。これらウレタン樹脂は、それぞれ、ポ
リオールにポリエステルポリオール、ポリエーテルポリ
オール、アクリルポリオールを使用したウレタン樹脂で
ある。なお、前記ジイソシアネートやジオールには、離
型層のところで述べた、各種ジイソシアネートやジオー
ル等が使用される。特に、絵柄層に接する表面保護層
を、ウレタン系(メタ)アクリレートやエステル系(メ
タ)アクリレートからなる電離放射線硬化性樹脂の硬化
物で構成する場合には、これらと構造が類似した、ポリ
エステル系ウレタン樹脂や、その他の系のウレタン樹脂
等は密着性の点で好ましい。
【0039】接着剤層:接着剤層は、転写層を被転写体
に転移、接着させる為の層であり、必要な場合に設け
る。したがって、接着剤層は表面保護層上、或いは表面
保護層上に形成された絵柄層の上等の部分艶消し表面保
護層転写シートの最裏面層として適宜設ける。部分艶消
し表面保護層転写シートの最裏面層となる層(表面保護
層、絵柄層、その他の層)が接着剤層の役割を有した
り、被転写体側に接着剤層を設けたりすれば、転写シー
ト側の接着剤層は必ずしも必要では無い。接着剤層とし
ては、従来公知の樹を用いれば良い。例えば、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、熱可塑性ウレ
タン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂
等の熱可塑性樹脂、(ブロック)イソシアネート硬化型
ウレタン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化
性樹脂、或いは、ゴム系やアクリル系等の粘着剤からな
る接着剤を使用する。接着剤層は、上記接着剤の塗液を
ロールコート等の公知の塗工法等で形成すれば良い。接
着剤層の厚さは特に制限は無いが、通常は1〜100μ
m程度である。
【0040】転写層のその他の構成要素:また、転写層
として、抗菌層、防黴層、導電層等の各種機能性を有す
る機能性層を設けて良い。例えば、抗菌層には銀イオン
担持ゼオライト粉末等の公知の抗菌剤を、防黴層として
は、10,10−オキシビスフェノキシアルシン等の公
知の防黴剤を、導電層には黒鉛や銀等の粉末又は箔粉か
らなる公知の導電剤を、前記絵柄印刷層で述べたバイン
ダー樹脂中に含有させたりすれば良く、或いは導電層は
上記金属薄膜層等も使用できる。これら層は、上記絵柄
層と兼用させる場合もある。
【0041】また、例えば、部分艶消し表面保護層転写
シートが支持体シートと表面保護層とからなり、転写シ
ートの裏面、すなわち表面保護層面に粘着性がある場合
には、この転写シートの裏面に更にセパレータ(離型シ
ート)を積層した部分艶消し表面保護層転写シートとし
ても良い。セパレータには、例えば、二軸延伸ポリエチ
レンテレフタレートフィルム等の樹脂フィルムや紙等の
基材面を、シリコーン樹脂、ポリメチルペンテン等の塗
工で、離型処理した物や、ポリエチレンやポリプロピレ
ン等の未処理ポリオレフィン系樹脂フィルム等の従来公
知の物を使用すれば良い。セパレータの厚さは通常25
〜40μm程度である。
【0042】転写方法:なお、本発明の部分艶消し表面
保護層転写シートを用いる転写方法としては、従来公知
の転写方法が適用出来る。例えば、下記の様な各種の転
写方法を採用できる。また、転写には通常、熱、圧、或
いは熱及び圧の作用を利用する。
【0043】弾性体ローラによる転写方法:弾性体ロ
ーラは、例えば、特開平6−99550号公報、特開平
8−286599号公報等に記載の様な従来公知のロー
ラ転写法で用いる弾性体ローラで良い。弾性体ローラ
は、通常、鉄等の剛体の軸芯の周囲を弾性体で被覆した
ローラを用いる。弾性体としては、シリコーンゴム、フ
ッ素ゴム、バイトンゴム、ブタジエンゴム、天然ゴム等
を用いる。弾性体ローラのゴム硬度は、基材表面の凹凸
形状の凹部まで転写シートを追従させるには、ゴム硬度
を65°以下とすると良い。ローラの直径は、通常、5
〜20cm程度である。また、通常、弾性体ローラは内
部の電熱ヒータや外部の赤外線輻射ヒータ等の加熱源に
より加熱して加熱ローラとしても使用する。
【0044】真空成形転写方法:特公昭56−457
68号公報(オーバーレイ法)、特公昭60−5801
4号公報(真空プレス法)等に記載されるように、立体
形状の被転写体上に転写シートを対向又は載置し、少な
くとも被転写体側からの真空吸引による圧力差により転
写シートの転写層を基材に転写する、所謂真空成形積層
法を利用した転写方法。
【0045】射出成形同時絵付け転写方法:特開平6
−315950号公報に記載されるように、転写シート
をその転写層側が射出樹脂側を向く様にして、射出成形
の雌雄両金型間に配置した後、加熱溶融し流動状態の樹
脂を型内に射出充填し、被転写体である樹脂成型品の成
形と同時にその被転写体表面に転写シートから転写層を
転写させる転写方法。
【0046】ラッピング転写方法:特公昭61−58
95号公報、特開平5−330013号公報等に記載さ
れるように、円柱、多角柱等の柱状の被転写体の長軸方
向に、転写シートを供給しつつ、複数の向きの異なるロ
ーラーにより、被転写体を構成する複数の側面に順次転
写シートを加圧接着して転写層を転写してゆく、所謂ラ
ッピング加工方法による転写方法。
【0047】固体粒子衝突圧を利用する転写方法:特
許第2844524号公報、特開平10−193893
号公報等に開示された新規な転写方法である。すなわ
ち、被転写体の被転写面側に、支持体シートと転写層と
からなる転写シートの転写層側を対向させ、該転写シー
トの支持体シート側に多数の固体粒子を衝突させ、その
衝突圧を利用して、被転写体の被転写面への転写シート
の圧接を行う。そして、転写層を被転写体側に移行させ
て転写する場合は、転写層が被転写体に接着後、転写シ
ートの支持体シートを剥離除去すれば、転写が完了す
る。
【0048】なお、固体粒子としては、セラミックビー
ズ、ガラスビーズ等の非金属無機粒子、亜鉛、鉄等の金
属粒子、ナイロンビーズや架橋ゴムビーズ等の樹脂ビー
ズ等の有機粒子、或いは金属等の無機粒子と樹脂とから
なる無機物・樹脂複合粒子等を使用する。粒子形状は球
形状が好ましいが、その他の形状でも用い得る。粒径は
通常10〜1000μm程度である。固体粒子は噴出器
から転写シートに向かって噴出させ、転写シートに衝突
したその衝突圧が転写圧となる。噴出器には、代表的に
は羽根車や吹出ノズルを用いる。羽根車はその回転によ
り固体粒子を加速し、吹出ノズルは高速の流体流で固体
粒子を加速する。羽根車や吹出ノズルには、サンドブラ
スト或いはショットブラスト、ショットピーニング等と
ブラスト分野にて使用されているものを流用できる。例
えば羽根車には遠心式ブラスト装置、吹出ノズルには加
圧式や吸引式ブラスト装置、ウェットブラスト装置等で
ある。遠心式ブラスト装置は羽根車の回転力で固体粒子
を加速し噴出する。加圧式ブラスト装置は、圧縮空気に
混合しておいて固体粒子を、空気と共に噴出する。吸引
式ブラスト装置は、圧縮空気の高速流で生ずる負圧部に
固体粒子を吸い込み、空気と共に噴出する。ウェットブ
ラスト装置は、固体粒子を液体と混合して噴出する。
【0049】
【実施例】次に実施例及び比較例により本発明を更に説
明する。
【0050】〔実施例1〕先ず、支持体シートには、そ
の基体シートとして未処理の二軸延伸ポリエチレンテレ
フタレートフィルム(厚み50μmの透明フィルム)を
用い、この片面にグラビア印刷によって部分的に離型層
を印刷した後、60℃で72時間養生して離型層の樹脂
を硬化させて、支持体シートとした。部分形成された離
型層が成すパターンは、木目導管溝パターンとした。ま
た、離型層の樹脂には、ガラス転移温度65℃のポリエ
ステルポリオール100重量部に対して、1,6−ヘキ
サメチレンジイソシアネート15重量部を用いた2液硬
化型ポリエステル系ウレタン樹脂を用いた。マット剤と
しては、平均粒径4μmの図2(D)の様な立方体形状
のアルミノシリケートを、添加量4重量%(樹脂分10
0重量部に対して4重量部)で使用した。なお、使用し
たマット剤の内容は、実施例及び比較例について表1に
纏めて示す。
【0051】上記支持体シートの離型層が形成された側
の面に、ウレタンアクリレート系の紫外線硬化性樹脂を
バーコータにて乾燥時の膜厚みが50μmになる様に塗
工した後、80℃5分間、溶剤分を乾燥した。その後、
室温で表面硬度60°のシリコーンゴムロール(鉄芯有
り)を用いて、エア噛み(空気の抱き込み)に注意しな
がら、表面保護層の面にセパレータを積層して、本発明
の部分艶消し表面保護層転写シートを得た。また、な
お、この状態では、表面保護層には紫外線を照射してお
らず、完全硬化前の状態である。また、セパレータに
は、シリコーン樹脂をコートした上質紙を用いた。
【0052】〔実施例2〕実施例1に於いて、離型層に
含有させたマット剤の平均粒径のみを4μmから2μm
に変更した他は、実施例1と同様にして、本発明の部分
艶消し表面保護層転写シートを得た。
【0053】〔比較例1〕実施例1に於いて、離型層に
含有させたマット剤を、無定形のシリカ(平均粒径2μ
m、添加量は4重量%で同じ)とした他は、実施例1と
同様にして、部分艶消し表面保護層転写シートを得た。
【0054】〔比較例2〕実施例1に於いて、離型層に
含有させたマット剤を、球状のソジウムカルシウムアル
ミノシリケート(平均粒径2.5μm、添加量は4重量
%で同じ)とした他は、実施例1と同様にして、部分艶
消し表面保護層転写シートを得た。
【0055】〔比較例3〕実施例1に於いて、離型層に
含有させたマット剤を、球状のアクリル樹脂ビーズ(平
均粒径5μm、添加量は4重量%で同じ)とした他は、
実施例1と同様にして、部分艶消し表面保護層転写シー
トを得た。
【0056】〔比較例4〕実施例1に於いて、離型層に
含有させたマット剤を、球状のアクリル樹脂ビーズ(平
均粒径5μm、添加量20重量%)とした他は、実施例
1と同様にして、部分艶消し表面保護層転写シートを得
た。
【0057】
【表1】
【0058】〔性能評価〕先ず、転写は、弾性体ローラ
転写方法により熱圧を与えて、表面にポリアミド系の熱
融着型接着剤を30g/m2 施した厚さ10mmのMD
F(中密度繊維板)の板材からなる被転写体に転写し
た。鉄芯の表面をシリコーンゴムで被覆したゴムローラ
の表面温度が185℃に加熱された、ローラ転写機に
て、3m/分の転写速度で、部分艶消し表面保護層転写
シートを被転写体に積層した。そして、支持体シートを
剥離する前の状態で、支持体シート側から、160W/
cmで2パスの強度で紫外線を照射して、表面保護層を
硬化させた。この後、支持体シートを剥離して、転写を
完了させた。
【0059】そして、耐汚染性と意匠性について次の様
にして評価した。評価結果は、表2に示す。
【0060】転写性:支持体シート剥離時の剥離重さ
を評価した。問題なく軽く剥離できかるものは良好、重
いものは不良とした。 耐汚染性:赤クレヨン、ワセリン中にカーボンブラッ
ク(CB)を15重量%添加したもの、毛染め(商品名
「ビゲン7G」、ビゲン・ホーコー株式会社製)の三種
類で、転写後の表面保護層面を汚して24時間放置した
後、乾拭きして、表面の汚染物の残量状態を目視で観察
して評価した。色残り無く良好なものを○として、色残
り有りで不良なものを×として、○から×に、順に○>
○△>△>×に分けて評価した。 意匠性(グロスマット感):グロスメータでマット部
分のグロス値を測定して評価した。測定条件は、45°
の入射角度で入光したものの反射光を60°の方向で測
定した。
【0061】
【表2】
【0062】表2の如く、実施例1及び2は、転写性及
び耐汚染性共に良好で、またグロス値も低くグロスマッ
ト感の意匠性も良好であった。ところが、無定形のシリ
カをマット剤に用いた比較例1では、転写性とグロスマ
ット感の意匠性は共に良好だが、耐汚染性が不良であ
る。また、球状のソジウムカルシウムアルミノシリケー
トをマット剤に用いた比較例2では、耐汚染性は良好で
あるが、剥離が重く転写性が不良で、しかもグロス値が
大きく(ハイグロス)て、グロスマット感の意匠性は得
られず不良であった。また、球状のアクリル樹脂ビーズ
をマット剤に用いた比較例3及び4は、転写性は良好だ
が、どちらも耐汚染性が不良であった。また、グロスマ
ット感の意匠性は添加量が4重量%と少ない方の比較例
3は、ハイグロスでグロスマット感の意匠性は得られず
不良であった。但し、添加量が20重量%と多い方の比
較例4のグロスマット感の意匠性は良好であった。
【0063】
【発明の効果】本発明の部分艶消し表面保護層転写シ
ートによれば、基体シート上に部分的に設ける離型層の
艶が基体シート表面と異なる為、意匠性(グロスマット
感)の高い表面保護層を形成できる。しかも、マット剤
の形状を立方体形状としてあるので、無定形のシリカに
比べて微凹凸の表面が比較的滑らかな凹凸面となる為
に、艶消し微凹凸を賦形された表面保護層は、その表面
の微凹凸形状から汚染物が溜まり難く、艶消し面にも拘
らず赤クレヨン等に対する耐汚染性が良好となる。ま
た、マット剤の形状が立方体形状であるので、球状のマ
ット剤に比較して比表面積が大きく、この為、少量の添
加で高マット感が得られる。
【0064】また、上記構成に対して更に、基体シー
トが熱可塑性ポリエステル樹脂であり、離型層がポリエ
ステル系ポリオールとイソシアネートからなる2液硬化
型ウレタン樹脂の硬化物からなり、マット剤がアルミノ
シリケートである構成とすれば、転写の際、部分艶消し
表面保護層転写シートを剥離するときに、離型層が転写
された表面保護層側に残らず、離型層は基体シートと一
体となって支持体シートとして、転写された表面保護層
等の転写層から確実に剥離させることができる。したが
って、安定的に部分艶消しの表面保護層を転写形成でき
る。
【0065】また、表面保護層を、少なくとも、ウレ
タン系(メタ)アクリレート、エステル系(メタ)アク
リレートのいずれかからなるラジカル重合性不飽和基を
含有する電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる構成す
れば、表面保護層の耐汚染性をより良好にできる。
【0066】また、表面保護層上に、更に、絵柄層、
接着剤層、或いは絵柄層と接着剤層がこの順に形成した
構成すれば、絵柄層が形成されている場合は、絵柄層に
よる意匠性を付与でき、接着剤層が形成されいる場合
は、接着しにくい被転写体に対しても密着良く転写で、
絵柄層及び接着剤層の両方が形成されている場合は、絵
柄層による意匠性付与と、接着剤層による密着良好な転
写ができる様になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の部分艶消し表面保護層転写シートの説
明する断面図。
【図2】本発明で使用し得るマット剤の立方体形状を説
明する斜視図。
【符号の説明】
1 支持体シート 2 基体シート 3 離型層 4 マット剤 5 転写層 6 表面保護層 S 転写シート

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体シートと該基体シート上に部分的に
    設けられた離型層とからなる支持体シートの上に、表面
    保護層を少なくとも含む転写層が設けられた転写シート
    において、 前記離型層が立方体形状のマット剤を含有した樹脂より
    形成されてなり、離型層と基体シートの表面艶が異な
    る、部分艶消し表面保護層転写シート。
  2. 【請求項2】 基体シートが熱可塑性ポリエステル樹脂
    であり、離型層がポリエステル系ポリオールとイソシア
    ネートからなる2液硬化型ウレタン樹脂の硬化物からな
    り、マット剤がアルミノシリケートである、請求項1記
    載の部分艶消し表面保護層転写シート。
  3. 【請求項3】 表面保護層が、少なくとも、ウレタン系
    (メタ)アクリレート、エステル系(メタ)アクリレー
    トのいずれかからなるラジカル重合性不飽和基を含有す
    る電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる、請求項1又
    は2記載の部分艶消し表面保護層転写シート。
  4. 【請求項4】 表面保護層上に、更に、絵柄層、接着剤
    層、或いは絵柄層と接着剤層がこの順に形成されてな
    る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の部分艶消し表
    面保護層転写シート。
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