図1は、本発明の一実施形態に係るスロットマシン100の外観図である。
<全体構成>
図1に示すスロットマシン100の本体101の中央内部には、外周面に複数種類の絵柄が配置されたリールが3個(左リール110、中リール111、右リール112)収納され、スロットマシン100の内部で回転できるように構成されている。これらのリール110乃至112は図示しないステッピングモータ等の駆動手段により回転駆動される。本実施形態において、各絵柄は帯状部材に等間隔で適当数印刷され、この帯状部材が所定の円形枠材に貼り付けられて各リール110乃至112が構成されている。リール110乃至112上の絵柄は、遊技者から見ると、絵柄表示窓113から縦方向に概ね3つ表示され、合計9つの絵柄が見えるようになっている。そして、各リール110乃至112を回転させることにより、遊技者から見える絵柄の組み合せが変動することとなる。つまり、各リール110乃至112は絵柄の組合せを変動可能に表示する表示手段として機能する。なお、このような表示手段としてはリール以外にも液晶表示装置等の画像表示装置も採用できる。また、本実施形態では、3個のリールをスロットマシン100の中央内部に備えているが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。
各々のリール110乃至112の背面には、絵柄表示窓113に表示される個々の絵柄を照明するためのバックライト(図示省略)が配置されている。バックライトは、各々の絵柄ごとに遮蔽されて個々の絵柄を均等に照射できるようにすることが望ましい。なお、スロットマシン100内部において各々のリール110乃至112の近傍には、投光部と受光部から成る光学式センサ(図示せず)が設けられており、この光学式センサの投光部と受光部のあいだを、リールに設けられた一定の長さの遮光片が通過するように構成されている。このセンサの検出結果に基づいてリール上の絵柄の回転方向の位置を判断し、目的とする絵柄が入賞ライン114上に表示されるようにリール110乃至112を停止させる。
入賞ライン表示ランプ120は、有効となる入賞ラインを示すランプである。有効となる入賞ラインは、スロットマシン100に投入されたメダルの数によって予め定まっている。5本の入賞ライン114のうち、例えば、メダルが1枚投入された場合、中段の水平入賞ラインが有効となり、メダルが2枚投入された場合、上段水平入賞ラインと下段水平入賞ラインが追加された3本が有効となり、メダルが3枚投入された場合、右下り入賞ラインと右上り入賞ラインが追加された5本が入賞ラインとして有効になる。なお、入賞ライン114の数については5本に限定されるものではない。
告知ランプ121は、例えば、後述する内部抽選において、特定の入賞役(具体的には、ボーナス)に内部当選していることを遊技者に知らせるランプである。スタートランプ122は、リール110乃至112が回転することができる状態にあることを遊技者に知らせるランプである。再遊技ランプ123は、前回の遊技において入賞役の一つである再遊技に入賞した場合に、今回の遊技が再遊技可能であること(メダルの投入が不要)を遊技者に知らせるランプである。メダル投入ランプ124は、メダルの投入が可能であることを知らせるランプである。リールパネルランプ125は演出用のランプである。
メダル投入ボタン132、133は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルを所定の枚数分投入するためのボタンである。本実施形態においては、メダル投入ボタン132が押下される毎に1枚ずつ最大3枚まで投入され、メダル投入ボタン133が押下されると3枚投入されるようになっている。メダル投入口160は、遊技を開始するに当たって遊技者がメダルを投入するための投入口である。すなわち、メダルの投入は、メダル投入ボタン132又は133により電子的に投入することもできるし、メダル投入口160から実際のメダルを投入することもでき、投入とは両者を含む意味である。貯留枚数表示器126は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルの枚数を表示するための表示器である。表示器127は、各種の内部情報を数値で表示するための表示器である。払出枚数表示器128は、何らかの入賞役に入賞した結果、遊技者に払出されるメダルの枚数を表示するための表示器である。
スタートレバー130は、リール110乃至112の回転を開始させるためのレバー型のスイッチである。即ち、メダル投入口160に所望するメダル枚数を投入するか、メダル投入ボタン132、133を操作して、スタートレバー135を操作すると、リール110乃至112が回転を開始することとなる。ストップボタンユニット131には、ストップボタン131a乃至131cが設けられている。ストップボタン131a乃至131cは、スタートレバー130の操作によって回転を開始したリール110乃至112を個別に停止させるためのボタン型のスイッチである。なお、各ストップボタン131a乃至131cの内部に発光体を設けてもよく、ストップボタン131a乃至131cの操作が可能である場合、該発光体を点灯させて遊技者に知らせることもできる。
メダル返却ボタン134は、投入されたメダルが詰まった場合に押下してメダルを取り除くためのボタンである。精算ボタン135は、スロットマシン100に電子的に貯留されたメダル、ベットされたメダルを精算し、メダル払出口161よりメダル受皿156に排出するためのボタンである。ドアキー136は、スロットマシン100の前面扉102のロックを解除するためのキーを挿入する孔である。操作ボタン137は遊技者が各種の選択操作を行う際に用いるボタンである。メダル払出口161は、メダルを払出すための払出口である。メダル受皿156は、メダル払出口161から払出されたメダルを溜めるための器である。なお、メダル受皿156は、本実施形態では発光可能な受皿を採用しており、以下受け皿ランプと呼ぶこともある。
灰皿部170は、煙草の吸殻を入れるための容器であり、メダル受皿156の内側にネジ止めされている。音孔171はスロットマシン100内部に設けられているスピーカの音を外部に出力するための孔である。上部ランプ151、サイドランプ152、中央ランプ153、腰部ランプ154、下部ランプ155、受皿ランプ156は、遊技を盛り上げるための装飾用のランプである。タイトルパネル140はそのスロットマシンの機種名や各種のデザインが描かれるパネルであり、リールパネル141は絵柄表示窓113を有するパネルである。スロットマシン100の上部には演出ユニットAが設けられている。演出ユニットAの正面には演出ユニットAを保護する透明板180が設けられている。以下、演出ユニットAの構成について説明する。
<演出ユニット>
次に、図1乃至図4を参照して演出ユニットAの構成について説明する。演出ユニットAは画像表示装置である液晶表示装置(以下、LCDという)10と、ハーフミラー20と、を備える画像表示ユニットを構成している。演出ユニットAは収納部1を有する。収納部1はその天井部、一対の側部、背部及び底部を構成する、天板1a、一対の側板1b、背板1c及び底板1dを備え、正面が開放した中空の略直方体形状をなしており、その内部にLCD10やハーフミラー20等が収納されている。収納部1の正面にはシャッタユニット50が設けられており、これはLCD10及びハーフミラー20による表示画像を視認者から遮蔽可能な遮蔽手段として機能する。詳細は後述する。
LCD10は表示画面11に電子画像を表示可能な画像表示装置である。本実施形態ではLCDを採用するが他の種類の画像表示装置でもよい。LCD10の上面にはコネクタ部10aが形成されており、LCD10の表示制御回路のケーブルが天板1aに設けられた穴1a’を通してここに接続されることになる。LCD10の左右側面にはそれぞれ軸12が設けられており、この軸12は側板1bに設けられた軸受け1b’に軸支される。LCD10は軸12及び軸受け1b’を介して側板1bに支持されている。
軸12はLCD10の上面側の端部近傍に設けられており、LCD10の左右側面の中央から偏芯した位置に設けられている。このため、LCD10は軸12回りに回動可能となっている。一対の軸受け1b’のうち、一方の軸受け1b’にはモータ30が配設されている。このモータ30は適当な方式にて側板1bに固定されている。モータ30の出力軸は軸12に接続されており、モータ30を回転させるとLCD10を回動させることができる。つまり、モータ30はLCD10を移動させる駆動手段として機能する。モータ30は例えば減速歯車機構が内蔵されたDCモータである。モータ30にはロータリエンコーダ31が取付けられており、モータ30の出力軸の回転位置が検出される。
モータ30の駆動によるLCD10の回動により、LCD10は図2に示す第1の位置と、図4に示す第2の位置との間で移動する。図3はLCD10の移動途中を示している。図2に示す第1の位置においてLCD10はその表示画面11が略垂直な状態にあり、収納部1の正面に露出した状態にある。この第1の位置は、ハーフミラー20がLCD10の背後に隠れる位置であり、演出ユニットAの表示面はLCD10の表示画面11となる。換言すれば、LCD10が直接的な表示主体となる。
一方、図4に示す第2の位置においてLCD10は図2の位置から略90度回動してその表示画面11が略水平な状態にあり、ハーフミラー20が収納部1の正面に露出した状態にある。この第2の位置においてLCD10はハーフミラー20に画像を投影し、ハーフミラー20が演出ユニットAの表示面となる。換言すれば、LCD10は間接的な表示主体となり、ハーフミラー20が直接的な表示主体となる。
次に、ハーフミラー20について説明する。ハーフミラー20は例えば光の透過率が50%程度のミラーであり、本実施形態の場合、支持体21により水平面から略45度の角度で支持されている。図2に示すようにLCD10が第1の位置にある時に演出ユニットAを正面から見ると、LCD10→ハーフミラー20の順に並んで配設されており、ハーフミラー20がLCD10の存在により隠れるように配設されている。
支持体21はその天井部、背部、底部、を構成する天板21a、背板21b、底板21cを備え、ハーフミラー20は天板21aと底板21cとの間で支持されている。支持体21とハーフミラー20とは、両側部が開放した中空台形状をなし、その内部空間は後述する被合成物の収納部を形成することになる。
ここで、本実施形態では支持体21と共にハーフミラー10が移動可能となっている。図5はハーフミラー10を移動させる機構の説明図である。支持体21の底板21cにはその底面の両側端に一対の案内部材21dが固定されている。この案内部材21dは収納部1の底板1d表面に設けられ、演出ユニットAの奥行き方向に延びる3本の溝21c’のうち、両側の2本の溝21c’にそれぞれ嵌る。支持体21は案内部材21dと両側の2本の溝21c’とに案内されて演出ユニットAの奥行き方向に平行移動可能となっている。
収納部1の底板1d表面に設けられた中央の溝21c’にはボールネジ42が配設されている。ボールネジ42はその一方の端部が溝21c’の端部に、他方の端部がモータ40の出力軸に接続され、その場回転が可能となっている。モータ40は適当な方式にて収納部1の背板1cに固定され、例えばDCモータである。モータ40にはロータリエンコーダ41が取付けられており、モータ40の出力軸の回転位置が検出される。
支持体21の底板1d表面には更にボールネジ42に螺合するボールナットを有するボールナット部材21eが底板1dの中央前後端部にそれぞれ設けられている。しかして、モータ40を回転させるとボールネジ42が回転し、これによって支持体21及びハーフミラー20が演出ユニットAの奥行き方向に平行移動することになる。つまり、モータ40とボールネジ42並びにボールナット部材21eはハーフミラー駆動手段として機能する。そして、ハーフミラー20は図4に示す表示位置と、図3に示す退避位置との間で移動する。
図4に示す表示位置では、演出ユニットAの表示面として視認性がよくなるようにハーフミラー20は演出ユニットAの正面側に位置している。一方、図3に示す退避位置では、移動途中にあるLCD10との干渉を回避すべく、ハーフミラー20は演出ユニットAの背面側に位置している。なお、本実施形態の場合、LCD10が第1の位置にある時(図2参照)、ハーフミラー20は表示位置に位置している。また、ハーフミラー20を移動させる機構は上記のものに限られず、種々の機構を採用することができる。
さて、係る構成からなる演出ユニットAの画像表示態様について図6を参照して説明する。図6は演出ユニットAによる3次元画像の表示原理の説明図であり、同図の右側の図は演出ユニットAの要部を側方から見た図であり、同図の左側の図はLCD10が第2の位置にあるときに遊技者から見える表示画像を示している。なお、同図の例では支持体21内に被合成物として立体物X1、X2が配設されている。立体物X1及びX2は山を模した模型である。
さて、LCD10が同図の破線の位置(第1の位置)にある場合、上述した通り、LCD10の表示画面11が収納部1の正面に露出した状態にあり、遊技者からは表示画面11は見えるが、ハーフミラー20や支持体21はLCD10の背後に隠れて見えない。演出ユニットAからはLCD10による2次元画像が遊技者に提示されることになる。
一方、LCD10が同図の実線の位置(第2の位置)にある場合、LCD10の表示画面11は略水平となるので遊技者からは表示画面11が直接見えない。そして、LCD10からハーフミラー20に投影された画像(虚像)が遊技者に提示されることになる。この虚像は同図に示すように遊技者から見ると、ハーフミラー20の背後に浮かんでいるように見え、立体的感のある、3次元的な画像となる。虚像の位置はLCD10とハーフミラー20との間の距離(L1、L2)とLCD10とハーフミラー20との間の角度(本例では略45度)とによって定まり、本実施形態の場合、ハーフミラー20から奥行き方向にL1、L2だけ離れた位置に虚像が見えることになる。
また、図6の例ではハーフミラー20の背後であって、虚像の位置よりも遊技者の視認方向に前に立体物X1が、虚像の位置よりも遊技者の視認方向に後に立体物X2が配置されている。これらの立体物X1及びX2は実像としてハーフミラー20を透過して遊技者から見えることになる。このため、同図の左に示す表示画像では、虚像(UFO)と立体物X1及びX2が合成された合成画像となり、遊技者から見ると、立体物X1→虚像(UFO)→立体物X2の順にこれらが位置しているように見える。立体物X1及びX2の存在により奥行き感が高まり、より一層3次元的な画像となる。
図43(a)は合成画像をよりリアルに表現した表示画像例であり、王様の顔とダイヤモンドを持った紳士との画像が虚像であり、他はハーフミラー20の背後に配設された模型である。同図の例では紳士の画像の色として濃色を用いることにより、その虚像の背後に存在する模型が透けて見え難くしている。また、図43(b)及び(c)は支持体21内に配設される立体物(模型)の例をよりリアルに表現したものである。
このように本実施形態の演出ユニットAによれば、2次元画像と3次元画像との選択的な提供が可能となり、視認者を驚嘆させる画像表示を実現することができる。特に、第1の位置におけるLCD10の背後にハーフミラー20を配設したので、演出ユニットAを正面視すると、第1の位置におけるLCD10の画像表示領域と、ハーフミラー20による画像表示領域とは略一致しており、LCD10の移動により2次元画像と3次元画像とがまさにすりかわったような感覚を与えられる。しかも、LCD10を第1及び第2の位置で移動させることにより、一つのLCD10で2次元画像と3次元画像との双方が表示可能となり、複数個の画像表示装置を用いる必要がなく、コストの低減が図れる。
<シャッタユニット>
次に、シャッタユニット50の構成について説明する。図7はシャッタユニット50の分解斜視図である。シャッタユニット50は左扉51aと右扉51bとを有する(以下、両者を総称するときは扉51という。)。左扉51aと右扉51bとは収納部1の正面に開閉自在に設けられており、その閉鎖時にLCD10及びハーフミラー20による表示画像を遊技者から遮蔽する一対の遮蔽部材を構成している。図1乃至図4においては左扉51aと右扉51bとが閉鎖時の位置(遮蔽位置)にある場合を示している。左扉51aと右扉51bとは図1乃至図4の遮蔽位置からそれぞれ外方に移動して、LCD10及びハーフミラー20による表示画像が遊技者から見える位置(非遮蔽位置)に位置することになる。
図7において、ガイドレール部材52及び53は断面コの字型をなし、扉51の下端部、上端部がそれぞれこれに嵌って扉51の左右方向の平行移動を案内する部材である。フレーム54はガイドレール部材52及び53を支持する部材であって、ガイドレール部材52及び53は、それぞれ穴52a、53aに嵌合するピン55a、55bによりフレーム54に固定される。また、フレーム54にはその背面側からモータユニット56、57が取付られる。モータユニット56、57はそれぞれ左扉51a、右扉51bを個別に独立して移動させる駆動手段である。
モータユニット56、57は、それぞれモータ56a、57aと、モータ56a、57aの出力軸に接続された歯車56b、57bと、歯車56b、57bの回転位置を検出するセンサ56c、57cと、を備えた同じ構成のユニットであり、上下を反転してフレーム54に取付けられる。モータ56a、57aはステッピングモータである。センサ56c、57cは光センサであり、歯車56b、57bに設けられたスリットによりその回転位置を検出する。
モータユニット56、57をフレーム54に装着した状態において、歯車56bはフレーム54の左上端部分から前方へ歯が突出するように配置され、また、歯車57bはフレーム54の右下端部分から前方へ歯が突出するように配置される。左扉51a及び右扉51bはそれぞれラック51a’及び51b’が左右方向に設けられた同じ構成の部材であり、上下を反転してガイドレール部材52及び53に取付けられる。しかして、左扉51aのラック51a’は歯車56bと、右扉51bのラック51b’は歯車57bと、それぞれ噛み合い、モータ56aの回転による歯車56bの回転により左扉51aが、モータ57aの回転による歯車57bの回転により左扉51bが、それぞれ移動することになる。
図8(a)乃至(c)はシャッタユニット50及び演出ユニットAによる画像切替の説明図であり、演出ユニットAを正面視した図である。図8(a)は扉51が非遮蔽位置にあり、LCD10が第1の位置にある場合を示す図である。遊技者にはLCD10の表示画面11が見えることになる。図8(b)は扉51が遮蔽位置にある場合を示す図である。LCD10及びハーフミラー20のいずれも扉51の存在により遊技者からは見えない。図8(c)は扉51が非遮蔽位置にあり、LCD10が第2の位置にある場合を示す図である。遊技者にはハーフミラー20が見えることになる。
このようなシャッタユニット50を設けたことにより、本実施形態ではLCD10を扉51が遮蔽位置にある間に移動させることができる。こうすることで、LCD10の移動を遊技者に見えないようにすることができ、扉51の開閉により2次元画像と3次元画像との切替えが突如として行われたような感覚を遊技者に与えることができ、2次元画像と3次元画像とがまさにすりかわったような感覚を与えられる。
なお、本実施形態では障子のように左扉51aと右扉51bとを相互に相反するように左右方向に平行移動するように構成しているが、これらがそれぞれ回動して開閉する構成を採用してもよい。また、本実施形態ではLCD10及びハーフミラー20による表示画像を遮蔽する手段として上述のシャッタユニット50を用いたが、これに限られず種々の構成を採用できる。例えば、シャッタユニット50に代えて透過型液晶表示装置を遮蔽手段として用い、遮蔽時にはLCD10及びハーフミラー20が見えないように濃色の画像を表示し、非遮蔽時にはLCD10及びハーフミラー20が見えるように何も表示しないようにすることができる。
<制御部>
次に、図9乃至図11を参照してスロットマシン100の制御部の回路構成について詳細に説明する。スロットマシン100は、遊技の中枢部分を制御する主制御部300と、主制御部300より送信された信号に応じて各種機器を制御する副制御部400と、副制御部400から送信された信号に応じて演出ユニットAを制御する演出ユニット制御部500と、から構成されている。
<主制御部>
まず、図9を参照してスロットマシン100の主制御部300について説明する。主制御部300は、主制御部300の全体を制御するための演算処理装置であるCPU310や、CPU310が各ICや各回路と信号の送受信を行うためのデータバス及びアドレスバスを備え、その他、以下に述べる構成を有する。クロック補正回路314は、水晶発振器311から発振されたクロックを分周してCPU310に供給する回路である。例えば、水晶発振器311の周波数が12MHzの場合に、分周後のクロックは6MHzとなる。CPU310は、クロック回路314により分周されたクロックをシステムクロックとして受け入れて動作する。
また、CPU310には、後述するセンサやスイッチの状態を常時監視するための監視周期やリールを回転駆動するモータの駆動パルスの送信周期を設定するためのタイマ回路315がバスを介して接続されている。CPU310は、電源が投入されると、データバスを介してROM312の所定エリアに格納された分周用のデータをタイマ回路315に送信する。タイマ回路315は、受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに、割り込み要求をCPU310に送信する。CPU310は、この割込み要求を契機に、各センサ等の監視や駆動パルスの送信を実行する。例えば、CPU310のシステムクロックを6MHz、タイマ回路315の分周値を1/256、ROM312の分周用のデータを44に設定した場合、この割り込みの基準時間は、256×44÷6MHz=1.877msとなる。
また、CPU310には各ICを制御するためのプログラム、入賞役の内部抽選時に用いる抽選データ、リールの停止制御データ等の各種データを記憶しているROM312や、一時的なデータを保存するためのRAM313が接続されている。これらのROM312やRAM313については他の記憶手段を用いてもよく、この点は後述する副制御部400、演出ユニット制御部500においても同様である。また、CPU310には、外部の信号を受信するための入力インタフェース360が接続され、割込み時間ごとに入力インタフェース360を介して、メダル受付センサ320、スタートレバーセンサ321、ストップボタンセンサ322、メダル投入ボタンセンサ323、精算スイッチ324の状態を検出し、各センサを監視している。
メダル受付センサ320は、メダル投入口160の内部の通路に2個設置されており、メダルの通過有無を検出する。スタートレバーセンサ321は、スタートレバー130に設置されており、遊技者によるスタート操作を検出する。ストップボタンセンサ322は、各々のストップボタン131a乃至131cに設置されており、遊技者によるストップボタンの操作を検出する。メダル投入ボタンセンサ323は、メダル投入ボタン132、133のそれぞれに設置されており、RAM313に電子的に貯留されているメダルを遊技用のメダルとして投入する場合の投入操作を検出する。精算スイッチ324は、精算ボタン135に対する操作を検出し、精算ボタン135が一回押されると、精算可能なメダルが払い出されることになる。本実施形態では、精算可能なメダルとは貯留されているメダルとベットされているメダルの双方であるが、貯留されているメダルのみとしてもよい。なお、以上の各センサは、非接触式のセンサであっても接点式のセンサであってもよい。
CPU310には、さらに、入力インタフェース361、出力インタフェース370、371がアドレスデコード回路350を介してアドレスバスに接続されている。CPU310は、これらのインタフェースを介して外部のデバイスと信号の送受信を行っている。入力インタフェース361には、インデックスセンサ325が接続されている。インデックスセンサ325は、各リール110乃至112の取付台の所定位置に設置されており、リールに設けた遮光片がこのインデックスセンサ325を通過するたびにHレベルになる。CPU310は、この信号を検出すると、リールが1回転したものと判断し、リールの回転位置情報をゼロにリセットする。出力インタフェース370には、リールを回転駆動するステッピングモータ等を駆動させるためのリールモータ駆動部330と、ホッパー(バケットにたまっているメダルをメダル払出口161から払出すための装置。図示せず。)のモータを駆動するためのホッパーモータ駆動部331と、遊技ランプ340(具体的には、入賞ライン表示ランプ120、告知ランプ121、スタートランプ122、再遊技ランプ123、メダル投入ランプ124等)と、7セグメント表示器341(表示器127、貯留枚数表示器126、払出枚数表示器128等)が接続されている。
また、CPU310には、乱数発生回路317がデータバスを介して接続されている。乱数発生回路317は、水晶発振器311及び水晶発振器316から発振されるクロックに基いて、一定の範囲内で値をインクリメントし、そのカウント値をCPU310に出力することのできるインクリメントカウンタであり、後述する入賞役の内部抽選をはじめ各種抽選処理に使用される。本発実施形態における乱数発生回路317は、2つの乱数カウンタを備えている。CPU310のデータバスには、副制御部400にコマンドを送信するための出力インタフェース371が接続されている。
<副制御部>
次に、図10を参照してスロットマシン100の副制御部400について説明する。副制御部400は、主制御部300より送信された主制御コマンド等に基づいて副制御部400の全体を制御する演算処理装置であるCPU410や、CPU410が各IC、各回路と信号の送受信を行うためのデータバス及びアドレスバスを備え、以下に述べる構成を有する。クロック補正回路414は、水晶発振器411から発振されたクロックを補正し、補正後のクロックをシステムクロックとしてCPU410に供給する回路である。また、CPU410にはタイマ回路415がバスを介して接続されている。CPU410は、所定のタイミングでデータバスを介してROM412の所定エリアに格納された分周用のデータをタイマ回路415に送信する。タイマ回路415は、受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに、割り込み要求をCPU410に送信する。CPU410は、この割込み要求のタイミングをもとに、各ICや各回路を制御する。
また、CPU410には、副制御部400の全体を制御するための命令及びデータ、バックライトの点灯パターンや各種表示器を制御するためのデータが記憶されたROM412や、データ等を一時的に保存するためのRAM413が各バスを介して接続されている。また、CPU410には、外部の信号を送受信するための入出力インタフェース460が接続されており、入出力インタフェース460には、各リール110乃至112の絵柄を背面より照明するためのバックライト420、前面扉102の開閉を検出するための扉センサ421、RAM413のデータをクリアにするためのリセットスイッチ422、操作ボタン137に対する操作を個別に検出する操作ボタンセンサ423が接続されている。
CPU410には、データバスを介して主制御部300から主制御コマンドを受信するための入力インタフェース461が接続されており、入力インタフェース461を介して受信したコマンドに基づいて、遊技全体を盛り上げる演出処理等が実行される。また、CPU410のデータバスとアドレスバスには、音源IC480が接続されている。音源IC480は、CPU410からの命令に応じて音声の制御を行う。また、音源IC480には、音声データが記憶されたROM481が接続されており、音源IC480は、ROM481から取得した音声データをアンプ482で増幅させてスピーカ483から出力する。CPU410には、主制御部300と同様に、外部ICを選択するためのアドレスデコード回路450が接続されており、アドレスデコード回路450には、主制御部300からのコマンドを受信するための入力インタフェース461、演出ユニット制御部500からの信号を入力するための入力インタフェース471、時計IC423、7セグメント表示器440への信号を出力するための出力インタフェース472が接続されている。
時計IC423が接続されていることで、CPU410は、現在時刻を取得することが可能である。7セグメント表示器440は、スロットマシン100の内部に設けられており、たとえば副制御部400に設定された所定の情報を店の係員等が確認できるようになっている。更に、出力インタフェース470には、デマルチプレクサ419が接続されている。デマルチプレクサ419は、出力インタフェース470から送信された信号を各表示部等に分配する。即ち、デマルチプレクサ419は、CPU410から受信されたデータに応じて上部ランプ151、サイドランプ152、中央ランプ153、腰部ランプ154、下部ランプ155、リールパネルランプ125、メダル払出口161を内側から閃光にて照明する払出口ストロボ159、受皿ランプ156を制御する。なお、CPU410は、演出ユニット制御部500への信号送信は、デマルチプレクサ419を介して実施する。
<演出ユニット制御部>
次に、図11を参照してスロットマシン100の演出ユニット制御部500について説明する。演出ユニット制御部500は、演算処理装置であるCPU510や、各IC、各回路と信号の送受信を行うためのデータバス及びアドレスバスを備え、以下に述べる構成を有する。クロック補正回路514は、水晶発振器511から発振されたクロックを補正して、補正後のクロックをシステムクロックとしてCPU510に供給する回路である。
また、CPU510にはタイマ回路515がバスを介して接続されている。CPU510は、所定のタイミングでデータバスを介してROM512の所定エリアに格納された分周用のデータをタイマ回路515に送信する。タイマ回路515は、受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに、割り込み要求をCPU510に送信する。CPU510は、この割込み要求のタイミングをもとに、各ICや各回路を制御する。CPU510は、副制御部400の出力インターフェース470、デマルチプレクサ419を介して出力されたCPU410からの信号を、入力インターフェース520およびバスを介して受信し、演出ユニット制御部500全体を制御する。また、CPU510は、必要に応じて、出力インターフェース521を介して、副制御部400に信号を送信する。
ROM512には、演出ユニット制御部500全体を制御するためのプログラムやデータが記憶されている。RAM513は、CPU510で処理されるプログラムのワークエリア等を有する。ROM512やRAM513は、バスを介してCPU510に接続されている。また、CPU510には、バスを介して、CPU530、モータドライバ542、552、562及び572、センサ56c、57c、ロータリエンコーダ31、41が接続されている。更に、CPU530には、バスを介して、ROM531、RAM532、VDP(ビデオ・ディスプレイ・プロセッサー)534が接続されている。
一方、ROM531には、CPU530で処理されるプログラムが格納されている。RAM532は、CPU530で処理されるプログラムのワークエリア等を有する。VDP534には、水晶発振器533が接続され、さらに、バスを介して、ROM535、RAM536が接続されている。ROM535には、LCD10の画像データが複数種類格納されている。そして、CPU530は、CPU510からの信号をもとにROM535の画像データを読み出し、RAM536のワークエリアを使用して画像信号を生成し、D/Aコンバータ537を介して、LCD10の表示画面に画像を表示する。
<絵柄配列>
図12は各リール110〜112に施される絵柄の配列を平面的に展開して示した図である。同図に示すように、各リール110乃至112には、複数種類の絵柄が所定コマ数(ここでは21コマ)だけ配置されている。なお、同図では、各絵柄を簡略化して文字で示しているが、実際には、各種デザイン、例えば、「スイカ」ならば、スイカを模した絵図等が描かれている。なお、同図の左端に示した配置番号0乃至20は、各リール110〜112上の絵柄の配置位置を示す番号である。例えば、左リール110の番号0のコマにはベルの絵柄、右リール112の番号0のコマにはリプレイの絵柄、がそれぞれ配置されている。
<入賞役の種類>
入賞役の種類は任意に採用することができるが、本実施形態では以下の入賞役を採用する。図13(a)乃至(c)は、各遊技状態における入賞役の種類と、対応する絵柄組合せと、入賞時のメダルの払出枚数と、内部抽選の当選確率と、を示した図であり、図13(a)が通常モードの場合、図13(b)がビッグボーナスゲームの場合、図13(c)がレギュラーボーナスゲーム及びシフトレギュラーボーナスゲームの場合を示す。内部当選確率の設定は設定1〜設定6まで存在し、遊技場の係員等はいずれかを任意に選択することができる。図13の例では、設定1〜6のうちの一つ(設定Nにて示す)を例示している。
内部当選確率は、説明をわかりやすくするために記載した説明上のデータであり、具体的には、次の通りである。すなわち、入賞役の内部抽選時に取得される乱数値の範囲(0〜65536)はあらかじめいくつかの領域(各内部当選確率に比例する領域)に分割されており、各領域に各入賞役の内部当選やはずれが対応付けられている。これらの情報は、入賞役抽選テーブルとしてROM312に格納されており、入賞役の内部抽選では、取得した乱数値がどの範囲に属するかで入賞役の内部当選の当否が決定する。以下、通常遊技における各入賞役を個別に説明する。
(1)通常遊技
・ビッグボーナス(BB):
入賞により遊技状態が変更される入賞役であり、本実施形態の場合、ビッグボーナスゲーム(BBゲーム)が開始される入賞役である。本実施形態では、入賞時に所定数(ここでは15枚)のメダルの払い出しも行う。対応する絵柄の組合せは図13(a)に記載の通り2種類ある。本実施形態ではBBについてフラグ持越しを行う。ここで、本実施形態では何らかの入賞役に内部当選すると、対応する内部当選フラグがONとなる。内部当選フラグはRAM313上の所定のエリアに設定され、フラグ持ち越しの対象となる場合を除き、その遊技が終了するとOFFとなる。そして、BBに内部当選するとその遊技においてBBに入賞しなかったとしても、入賞するまでフラグが立った状態が維持され、次遊技以降でもBBに内部当選中となる。
・レギュラーボーナス(RB):
入賞により遊技状態が変更される入賞役であり、本実施形態の場合、レギュラーボーナスゲーム(RBゲーム)が開始される入賞役である。本実施形態では、入賞時に所定数(ここでは15枚)のメダルの払い出しも行う。対応する絵柄の組合せは図13(a)に記載の通り1種類ある。本実施形態ではRBについても上述したフラグ持越しを行う。
・小役
入賞により所定数のメダルが払い出される役で遊技状態は変更しない。本実施形態の場合、小役はスイカとベルとチェリーである。対応する絵柄組合せや払出枚数は、同図に示す通りである。「チェリー」の場合、中リール112と右リール113の絵柄は、どの絵柄でもよい。
・再遊技(リプレイ)
入賞により、次回の遊技でメダルの投入を行うことなく遊技を行うことができる入賞役であり、メダルの払出は行わない。なお、対応する絵柄の組合せは本実施形態の場合、「リプレイ−リプレイ−リプレイ」である。また、本実施形態の場合、再遊技の内部当選確率が通常確率と高確率との2種類存在し、所定の条件を満たすか否かでいずれかが選択されることになるが、詳細は割愛する。
(2)BBゲーム(BB一般遊技)
図13(b)は、BB一般遊技における入賞役の種類と、対応する絵柄組合せと、入賞により払い出されるメダルの払い出し枚数と、各入賞役の内部当選確率と、を示した図である。
・シフトレギュラーボーナス(SRB):
BBゲーム中(より詳細にはBB一般遊技中)にのみ入賞する入賞役であって、入賞によりシフトレギュラーボーナスゲーム(SRBゲーム)が開始される入賞役である。本実施形態では入賞時に所定数(ここでは1枚)のメダルの払い出しも行う。対応する絵柄の組合せは図13(b)に記載の通り1種類である。
・小役
通常遊技時と同じであり、スイカとベルとチェリーとがある。
(3)RBゲーム・SRBゲーム
図4(c)は、RBゲーム及びSRBゲームにおける入賞役の種類と、対応する絵柄組合せと、入賞により払い出されるメダルの払い出し枚数と、各入賞役の内部当選確率と、を示した図である。RBゲーム及びSRBゲームにおける入賞役は役物のみであり、RBゲーム及びSRBゲーム中の各遊技を役物遊技という。役物はRBゲーム及びSRBゲーム中にのみ入賞する入賞役であって、入賞により所定数(ここでは、15枚)のメダルが払い出され、高確率で内部当選する。遊技状態は変更されない。なお、図13(c)に示すとおり対応する絵柄の組合せは1種類である。
<遊技状態>
本実施形態では、遊技状態として通常遊技と、BBゲームと、RBゲームとに大別され、BBゲームは更にBB一般遊技とSRBゲームとに区別される。
・BBゲーム:
BBゲームの内容は、複数種類考えられるが、本実施形態では上述した通りBBゲーム中にSRBに入賞することが可能で、これに入賞するとSRBゲームが開始される。なお、BBゲームを、SRBゲーム中の場合とそうでない場合とを区別するため、本書では後者をBB一般遊技と称している。BBゲームの終了条件は、複数種類考えられるが、本実施形態では、BBゲーム中に遊技者が得た利益が一定値を超えた場合に終了する。この他にも、BBゲームの終了条件としては、例えば、SRBゲームを予め定めた回数(例:3回)消化するか、BB一般遊技を予め定めた回数(例:30回)消化すると終了するようにしてもよい。
・RBゲーム及びSRBゲーム:
本実施形態の場合、RBゲームとSRBゲームとは同じ内容である。RBゲーム及びSRBゲームの内容は複数種類考えられるが、本実施形態の場合、予め定めた回数(本実施形態では12回)の役物遊技を消化するか、或いは、役物が予め定めた回数(本実施形態では8回)入賞するかのいずれかの条件が成立することを終了条件とするゲームである。役物遊技の消化回数や役物の入賞回数はRAM313上の所定のエリアに設定されるソフトウエアカウンタにより管理される。
<リールの停止制御>
次に、リール110乃至112の停止制御について説明する。リールの停止制御は、予め定めた複数種類のリール停止制御データの中から内部抽選結果と遊技状態、並びにBB又はRBのフラグ持ち越しの有無、といった選択条件に基づいていずれかを選択し、選択したリール停止制御データに基づき行う。同じ条件について複数種類のリール停止制御データが設定されている場合には抽選によりいずれかを選択することになる。
本実施形態ではいわゆる引込制御(コマ滑り制御)を行う。引込制御とは、遊技者による各ストップボタン131a乃至131cの操作があってから一定のコマ数の範囲(例えば最大5コマ)でリール110乃至112の停止位置をずらす制御をいう。リール停止制御データは主制御部300のROM312に格納されている。各リール停止制御データは、所定の入賞役の絵柄組合せが入賞ライン114上に揃って表示されることを許容する制御と、いずれの入賞役の絵柄組合せも入賞ライン114上に揃って表示されない制御と、に大別される。
前者の制御が行われる例としては、例えば、ある入賞役に内部当選した場合や、BB又はRBの内部当選中(フラグ持ち越し中)の場合であり、遊技者による各ストップボタン131a乃至131cを操作するタイミングが悪くても上記のコマ数の範囲内で入賞役の絵柄組合せが揃って表示されるように制御が行われる。但し、「許容」するだけであるから、各ストップボタン13a乃至131cを操作するタイミング次第で絵柄組合せが揃わない場合もある。尤も、リール110乃至112における絵柄の配置と引き込みコマ数次第で100%揃う場合もある。
後者の制御が行われる例としては、例えば、内部抽選結果がハズレで、BB又はRBの内部当選中(フラグ持ち越し中)ではない場合であり、遊技者による各ストップボタン131a乃至131cを操作するタイミングが良くても上記のコマ数の範囲内で入賞役の絵柄組合せが揃って表示されないように制御が行われる。
<演出内容の設定>
次に、図14を参照してスロットマシン100で実行される演出の内容の設定に関して説明する。図14は演出内容の基本的な設定を示す説明図である。演出内容の設定は主制御部300から送信されるコマンドに従って副制御部400が行う。以下、基本的な設定の仕方について説明する。以下に述べる以外にも、主制御部300からの制御コマンド(例えば、エラーを示すコマンド等)に応じて対応する演出内容が設定されている。
演出の内容は複数のグループに分かれており各遊技でいずれかが選択される。本実施形態では主制御部300から送信される特定のコマンド(同図の演出グループ選択)により、演出グループを選択することにする。特定のコマンドとは、その遊技で選択された、上述したリール停止制御データの種類を示すコマンドである。演出グループの選択は独立した抽選で行うこともできるが、リール停止制御データの種類によりこの抽選を兼ねることにする。リール停止制御データは、内部抽選結果と遊技状態、並びにBB又はRBのフラグ持ち越しの有無、といった選択条件に基づき選択されるため、遊技に即した演出が可能となる。
各演出グループは、主制御部300からの個別のコマンド毎(同図の例では、各ストップボタン131a乃至131cに対する操作(第1乃至第3停止操作、リールの停止(第1乃至第3リール停止)、入賞判定結果(入賞判定))毎に決められており、当該個別のコマンドを受信すると対応する演出データを選択することになる。なお、スタートレバー操作時にも演出データが選択されて実行されるが、リール停止制御データの種類を示すコマンドはスタート操作時に送信されるため、演出グループの選択と同時に選択されて実行されることになる。
演出データは演出用のデバイス毎に設定されており、ROM412に格納されている。副制御部400は主制御部300から個別のコマンドを受信すると対応する演出データを読み出して各デバイスにデータをセットする。その後、各デバイスがセットされたデータの内容を実行することになる。演出データには”制御コマンド”が含まれており、これは演出ユニットAのためのコマンドである。副制御部400はこの制御コマンドを演出ユニット制御部500に送信し、演出ユニット制御部500は受信したコマンドに応じて演出ユニットAを制御することになる。
<演出ユニットAの動作内容の設定>
次に、図15を参照して演出ユニットAの制御内容の設定に関して説明する。図15(a)はROM512に格納される演出ユニットAの制御データを示す図であり、図15(b)はROM531に記憶されるLCD10の表示制御データを示す図である。演出ユニット制御部500は、副制御部400から上述した制御コマンドを受信すると、その制御コマンドにより示される番号(図15(a)の「No.」)に対応した処理を実行する。
図15(a)に示す制御データには制御コマンドにより示される番号に応じて、「処理順」と、左扉51aの制御内容(「左扉」)と、右扉51bの制御内容(「右扉」)と、LCD10の制御内容(「液晶表示装置」)とが設定されている。例えば、副制御部400からNo.1の制御コマンドを受信した場合、演出ユニット制御部500は、まず、「処理順」1において、LCD10に表示制御データ1の内容を表示させる。詳細には図15(b)に示すようにNo.1の表示制御データを取得して対応する画像をLCD10に表示させる。続いて「処理順」2において扉51を全開にする。
また、例えば、副制御部400からNo.5の制御コマンドを受信した場合、演出ユニット制御部500は、まず、「処理順」1において扉51を全閉にする。続いて「処理順」2においてLCD10を下(第1の位置)へ移動させる。また、例えば、副制御部400からNo.10の制御コマンドを受信した場合、演出ユニット制御部500は、まず、「処理順」1において扉51を全閉にする。続いて「処理順」2においてLCD10を上(第2の位置)へ移動させる。また、例えば、副制御部400からNo.21の制御コマンドを受信した場合、演出ユニット制御部500は、まず、「処理順」1において扉51を全閉にする。続いて「処理順」2においてLCD10を上(第2の位置)へ移動させる。そして、「処理順」3においてLCD10に表示制御データ2の内容を表示させる。これは3次元画像となる。そして「処理順」4において扉51を全開にして3次元画像を遊技者に提示する。このようにして演出ユニットAの動作が制御されることになる。
<遊技の基本的制御>
図16はスロットマシン100における遊技の基本的制御を示すフローチャートである。遊技の基本的制御は主制御部300のCPU310が中心になって行い、電源断等を検知しないかぎり、同図の処理を実行する。以下、この処理について説明する。電源投入が行われると、まず、S101で初期処理が実行される。ここでは各種の初期化処理が行われる。S102ではメダル投入・スタート操作受付処理を実行する。ここではメダルの投入の有無をチェックし、投入されたメダルの枚数に応じて入賞ライン表示ランプ120を点灯させる。なお、前回の遊技で再遊技に入賞した場合はメダルの投入が不要である。また、スタートレバー130が操作されたか否かのチェックを行い、スタートレバー130の操作があればS104へ進み、また、副制御部400にスタートレバー130の操作があったことを示す制御コマンドを出力する。詳細は後述する。
S103では投入されたメダル枚数を確定し、有効な入賞ライン114を確定する。S104では乱数発生器311で発生させた乱数を取得する。S105では、現在の遊技状態に応じてROM312に格納されている入賞役抽選テーブルを読み出し、これとS104で取得した乱数値とを用いて、入賞役の内部抽選を行う。内部抽選の結果、いずれかの入賞役に内部当選した場合、上述した通り、その入賞役のフラグがONになる。S106では上述した通り内部抽選結果等に基づき、リール停止制御データを選択する。また、選択されたリール停止制御データの種類を示す制御コマンドを副制御部400へ送信する。
S107では全リール110乃至112の回転を開始させる。S108では、ストップボタン131a乃至131cの受け付けが可能になり、いずれかのストップボタンが押されると、押されたストップボタンに対応するリール110乃至112の何れかをS106で選択したリール停止制御データに基づいて停止させる。全リール110乃至112が停止するとS109へ進む。S109では、入賞判定を行う。ここでは、有効化された入賞ライン114上に、何らかの入賞役に対応する絵柄組合せが表示された場合にその入賞役に入賞したと判定する。例えば、有効化された入賞ライン114上に、「スイカ−スイカ−スイカ」が揃っていたならばスイカ入賞と判定する。また、各入賞役の内部当選を示すフラグがリセットされる。但し、上述した通りBB、RBについては入賞しなかった場合は内部当選フラグがONの状態が維持され、次遊技移行に持ち越される。S110では、払い出しのある何らかの入賞役に入賞していれば、その入賞役に対応する枚数のメダルを払い出す。S111では遊技状態制御処理を行う。詳細は後述する。以上により1ゲームが終了し、以降S102へ戻って上述した処理を繰り返すことにより遊技が進行することになる。
<メダル投入・スタート操作受付処理>
次に、S102のメダル投入・スタート操作受付処理について説明する。図17はS102のメダル投入・スタート操作受付処理を示すフローチャートである。S121では規定枚数を設定する。ここではその遊技において投入可能なメダルの枚数を設定し、本実施形態の場合、役物遊技では1枚であり、他の遊技では3枚である。S122では前回の遊技で再遊技に入賞したか否かを判定する。該当する場合はS123へ進み、そうでない場合はS124へ進む。S123では今回の遊技でメダルの投入を不要とすべく、前回の遊技と同数のメダルが投入されたものとする。S124ではアイドルタイマを設定する。アイドルタイマはスロットマシン100が非遊技中の時間を計時するためのタイマであり、S124ではアイドルタイマの計時を開始する。
S125ではエラー処理を実行する。ここでは、メダル投入異常(メダル詰まり、不正行為等)等のエラーが生じているか否かを判定し、エラーが生じていたら副制御部400へその旨を示す制御コマンドを送出する。
S126ではメダルの投入があり、正常に受け付けられたか否かを判定する。該当する場合はS127へ進み、そうでない場合はS128へ進む。S127では副制御部400へメダルの投入があったことを示すコマンドを送信する。S128ではメダル投入確認処理を実行する。詳細は後述する。S129ではスタートレバー130の操作があったか否かを判定する。該当する場合は副制御部400にスタートレバー130の操作があったことを示す制御コマンドを出力して処理を終了する。該当しない場合はS125へ戻る。
<メダル投入確認処理>
次に、S128のメダル投入確認処理について説明する。図18はS128のメダル投入確認処理を示すフローチャートである。S131では現在のメダル投入枚数が0か否かを判定する。メダル投入枚数はRAM313上の所定のエリアに設定されたソフトウエアカウンタにより管理される。該当する場合はS132へ進み、該当しない場合はS137へ進む。S132ではアイドルタイマによる計時が所定時間の経過を示すか否かを判定する。該当する場合はS133へ進み、該当しない場合は処理を終了する。
S133では現在アイドルフラグがONか否かを判定する。アイドルフラグはRAM313上の所定のエリアに設定され、非遊技中が一定時間継続しているか否かを示すフラグである。該当する場合は処理を終了し、該当しない場合(OFFの場合)はS134へ進む。S134ではアイドルフラグをONにする。S135では非遊技中が一定時間継続していることを示す制御コマンドを設定する。S136ではS135で設定した制御コマンドを副制御部400に送信し、処理を終了する。当該制御コマンドを受信した副制御部400はLCD10によりいわゆるデモ画面を表示する。S137ではアイドルフラグをOFFにする。以上により処理が終了する。
<遊技状態制御処理>
次に、S111の遊技状態更新処理について説明する。図19はS111の遊技状態制御処理を示すフローチャートである。S141では今回の遊技がBBゲーム中の遊技か否かを判定する。該当する場合はS142へ進み、該当しない場合はS144へ進む。S142では利益カウンタを更新する。利益カウンタとはRAM313上に設定されるソフトウエアカウンタであり、BBゲームの終了条件の判定を行うべく、遊技者がBBゲーム中に得た利益をカウントするカウンタである。利益カウンタはBBゲーム開始時にリセットされ、例えば、BBゲーム中のメダルの純増枚数(払出枚数と投入枚数との差枚数の累積値)をカウントするようにしてもよい。また、利益カウンタは、BBゲーム中に、ある入賞役に内部当選した場合にこれに入賞するか否かに関わらず、対応するメダルが払い出されたものとみなし(以下、みなし払出枚数。)、BBゲーム中のみなし払出枚数と投入枚数との差枚数の累積値としてもよい。
S143では利益カウンタの値が予め定めた所定値を超えているか否かを判定する。該当する場合はS152へ進み、遊技状態として通常遊技を設定する。これによりBBゲームが終了して次遊技から通常遊技となる。該当しない場合はS144へ進む。S144では今回の遊技でRBに入賞したか否かを判定する。該当する場合はS149へ進み、該当しない場合はS145へ進む。S145では今回の遊技でSRBに入賞したか否かを判定する。該当する場合はS149へ進み、該当しない場合はS146へ進む。S146では今回の遊技でBBに入賞したか否かを判定する。該当する場合はS150へ進み、該当しない場合はS147へ進む。
S147では現在の遊技状態がRBゲームか否かを判定する。該当する場合はS151へ進み、該当しない場合はS148へ進む。S148では現在の遊技状態がSRBゲームか否かを判定する。該当する場合はS151へ進み、該当しない場合は処理を終了する。S149ではRB・SRB入賞時の処理を行う。ここでは遊技状態としてRBゲーム又はSRBゲームを設定する。また、RBゲーム又はSRBゲームの遊技回数を管理するソフトウエアカウンタ、並びに、役物の入賞回数を管理するソフトウエアカウンタの初期値として、それぞれ12回、8回をセットする。S150ではBB入賞時の処理を行う。ここでは遊技状態としてBBゲーム(BB一般遊技)を設定する。S151ではRB・SRBゲーム中の処理を行う。ここでは、RBゲーム又はSRBゲームの遊技回数を管理するソフトウエアカウンタを一つ減算する。また、今回の遊技で役物に入賞した場合は、役物の入賞回数を管理するソフトウエアカウンタのカウント値を一つ減算する。更に、これらのいずれかのソフトウエアカウンタのカウント値が0になった場合、遊技状態としてRBゲーム中であれば通常遊技を、SRBゲーム中であればBB一般遊技をそれぞれ設定する。この結果、次遊技からは通常遊技、又は、BB一般遊技となる。以上により処理が終了する。
<副制御部の処理>
次に、副制御部400の処理について説明する。図20(a)は副制御部400のCPU410が実行する割り込み処理のフローチャート、図20(b)は副制御部400のCPU410が実行するメイン処理のフローチャートである。まず、図20(a)を参照して割り込み処理について説明する。CPU410は同図の処理を所定周期で行う。S201では主制御部300からのコマンドを受信したか否かを判定する。該当する場合はS202へ進み、該当しない場合は処理を終了する。S202では主制御部300から受信した制御コマンドをRAM413の所定のエリア(コマンド格納エリアという)に上書きせずに順次格納する。
次に、図20(b)を参照してメイン処理について説明する。S211ではコマンド格納エリアに少なくとも1つの制御コマンドが格納されているか否かを判定する。該当する場合はS212へ進み、該当しない場合はS211へ戻る。S212ではコマンド格納エリアから制御コマンドを一つ取得し、その内容を判定する。取得した制御コマンドはコマンド格納エリアから消去する。S213ではS212の判定結果に応じて、図14を参照して説明した演出データを取得する。S214ではS213で取得した演出データの中に副制御部400の各演出デバイスのドライバに出力するデータがあるか否かを判定する。該当する場合はS215へ進み、該当しない場合はS216へ進む。S215では副制御部400の演出デバイスのドライバにデータをセットする。データのセットにより演出デバイスがそのデータに応じた演出を実行する。
S216ではS213で取得した演出データの中に演出ユニット制御部500に送信する制御コマンドがあるか否かを判定する。該当する場合はS217へ進み、該当しない場合はS211へ戻る。S217では演出ユニット制御部500に制御コマンドを送信してS211へ戻る。
<演出ユニット制御部の処理>
次に、演出ユニット制御部500の処理について説明する。図21(a)は演出ユニット制御部500のCPU510が実行する割り込み処理のフローチャート、図21(b)は演出ユニット制御部500のCPU510が実行するメイン処理のフローチャートである。まず、図21(a)を参照して割り込み処理について説明する。CPU510は同図の処理を所定周期で行う。S301では副制御部400からのコマンドを受信したか否かを判定する。該当する場合はS302へ進み、該当しない場合は処理を終了する。S302では副制御部400から受信した制御コマンドをRAM513の所定のエリア(コマンド格納エリアという)に上書きせずに順次格納する。
次に、図21(b)を参照してメイン処理について説明する。S311ではRAM513のコマンド格納エリアに少なくとも1つの制御コマンドが格納されているか否かを判定する。該当する場合はS312へ進み、該当しない場合はS311へ戻る。S312ではRAM513のコマンド格納エリアから制御コマンドを一つ取得し、その内容を判定する。取得した制御コマンドはコマンド格納エリアから消去する。S313ではS312の判定結果に応じて演出データを取得する。S314ではS313で取得した演出データの中に演出ユニット制御部500の各演出デバイスのドライバ(演出ユニットAの各デバイスのドライバ)に出力するデータがあるか否かを判定する。該当する場合はS315へ進み、該当しない場合はS311へ戻る。S315では演出ユニットAの各デバイスのドライバにデータをセットし、S311へ戻る。データのセットにより演出ユニットAがそのデータに応じた演出を実行する。
<2次元画像と3次元画像との切替例>
上述した通り、本実施形態の演出ユニットAによればLCD10が第1の位置にある時は2次元画像を、第2の位置にある時は3次元画像を遊技者に提供できる。2次元画像は表示内容が分かり易いという利点があり、3次元画像は遊技の興趣を盛り上げる演出効果が高いという利点がある。ここでは両者の切替例について説明する。
・遊技状態の設定に応じた切替
遊技状態の設定結果(S111)に応じてLCD10を第1の位置か第2の位置に移動させることができる。例えば、通常遊技中はLCD10を第1の位置に移動させて2次元画像を表示する一方、BBゲーム中やRBゲーム中はLCD10を第2の位置に移動させて3次元画像を表示する。こうすることで遊技者の興趣を一層盛り上げる演出が可能となる。また、本実施形態では遊技状態として通常遊技、BBゲーム、RBゲームに大別されるがこの他にも、いわゆるAT(アシストタイム)、CT(チャレンジタイム)、リプ連等を採用した場合はこれらの遊技状態の設定に応じて2次元画像と3次元画像とを切り替えることができ、特にこれらが設定された場合には3次元画像を表示することで遊技者の興趣を盛り上げる演出が可能となる。なお、ATとは、例えば、リール停止制御上、ストップボタン131a乃至131cの押し順を要求するものであり、AT期間内では当該押し順を報知するものである。また、CTとは、例えば、CT期間内では、所定の場合に少なくともいずれかのリール110乃至112を原則として遊技者がストップボタン131a乃至131cを操作したところで停止し、滑りコマ制御を行わないものである。リプ連とは、例えば、リプ連期間内では他の場合よりもリプレイに高確率で入賞するものである。
・演出の種類の設定に応じた切替
演出の種類の設定に応じてLCD10を第1の位置か第2の位置に移動させることができる。上述した通り、本実施形態では演出グループにより演出の種類が設定され、その設定によりLCD10が第1の位置か第2の位置に移動する。
・遊技者の利益に応じた切替
遊技の結果により遊技者に与えられた利益に応じてLCD10を第1の位置か第2の位置に移動させることができる。例えば、上述した利益カウンタ(S142等)のカウント値が所定値(BBゲームの終了条件の所定値よりも小さい)を超えるまではLCD10を第1の位置に移動させて2次元画像を表示する一方、超えればLCD10を第2の位置に移動させて3次元画像を表示する。例えば、BBゲームの終了条件の所定値が400であった場合、利益カウンタのカウント値が200を超えると3次元画像を表示する。こうすることで遊技者の利益の増加に応じて華やかな演出が可能となり遊技者の興趣を一層盛り上げる演出が可能となる。
・内部当選中の有無に応じた切り替え
上述した通り、本実施形態ではBBとRBの内部当選結果のフラグ持ち越しを行う。そこで、BB、RBに内部当選している間、LCD10を第2の位置に位置させることができる。LCD10による3次元画像の表示がBB、RBの内部当選の報知となり、遊技者の期待感を盛り上げることができる。なお、BB、RBに内部当選している間、LCD10を第2の位置に位置させることは、抽選により当選した場合にのみ行うようにしてもよい。また、ガセの演出としてBB、RBに内部当選していないのにLCD10を第2の位置に位置させてもよい。
・デモ表示時の切替
スロットマシン100が非遊技中の場合、LCD10を第2の位置に移動させ、LCD10は非遊技中用の画像(いわゆるデモ画面)を表示することができる。例えば、図18のS136の制御コマンドを副制御部400が受信した時に3次元画像によるデモ画面を表示する。スロットマシン100に遊技者が居ない場合に、ホール内の周囲の遊技者の気を引くことができ、スロットマシン100のホールでの稼働率を挙げることができる。
・エラー時の切替
スロットマシン100にエラーが発生していると判定された場合に、LCD10を第2の位置に移動させ、LCD10にエラーに関する情報を表示させることができる。例えば、図17のS125でエラーが発生しているか否かを判定し、発生していると判定されると、その旨を示す制御コマンドが副制御部400に送信されるが、これを受信した副制御部400はLCD10を第2の位置に移動させ、LCD10にエラーに関する情報を表示させる。スロットマシン100のエラー報知が行われることは遊技者を落胆させるものであるが、3次元画像でエラー報知をすることで遊技者の興味を引くことができる。
・抽選による切替
主制御部300からの制御コマンドに従い、副制御部400において抽選を行い、LCD10を第1の位置に移動させた2次元画像のモード(2次元モード)と、LCD10を第2の位置に移動させた3次元画像のモード(3次元コード)と、の切替を行うことができる。図22(a)は抽選による2次元モードと3次元モードとの切替処理を示すフローチャートであり、副制御部400のCPU410が実行する。
S401では主制御部300からの制御コマンドがモード切替コマンドか否かを判定する。モード切替コマンドは、例えば、特定の種類のリール停止制御データが選択されたことを示す制御コマンドとすることができる。該当する場合はS402へ進み、該当しない場合は処理を終了する。S402では2次元モードと3次元モードとのいずれを設定するかの抽選を行う。S403では現在のモードと異なるモードに当選したか否かを判定する。該当する場合はS404へ進み、そうでない場合は処理を終了する。例えば、現在2次元モードでありS402の抽選結果が3次元モードであればS404へ進み、2次元モードであれば処理を終了することになる。S404ではS402の抽選結果のモード(2次元モードと3次元モードとのうち、現在のモードの他方のモード)を設定して処理が終了する。
・遊技回数による切替
主制御部300からの制御コマンドに従い、副制御部400において遊技回数をカウントし、LCD10を第1の位置に移動させた2次元画像のモード(2次元モード)と、LCD10を第2の位置に移動させた3次元画像のモード(3次元コード)と、の切替を行うことができる。図22(b)は遊技回数による2次元モードと3次元モードとの切替処理を示すフローチャートであり、副制御部400のCPU410が実行する。
S411では主制御部300からの制御コマンドがモード切替コマンドか否かを判定する。モード切替コマンドは、例えば、特定の種類のリール停止制御データが選択されたことを示す制御コマンドとすることができる。該当する場合はS412へ進み、該当しない場合(他のリール停止制御データが選択されたことを示す制御コマンドの場合)はS416へ進む。S412では3次元モードを設定するかの抽選を行う。S413ではS412の抽選で3次元モードに当選したか否かを判定する。該当する場合はS414へ進み、該当しない場合はS416へ進む。S415では3次元モードを継続する遊技回数を設定する。この遊技回数はRAM413上の所定のエリアに設定されるソフトウエアカウンタ(3次元モードカウンタという)により管理され、S415ではカウント値の初期値が設定される。
S416では現在のモードが3次元モードか否かを判定する。該当する場合はS417へ進み、該当しない場合は処理を終了する。S417では3次元モードカウンタのカウント値を一つ減算する。S418では3次元モードカウンタのカウント値が0か否かを判定する。該当する場合はS419へ進み、そうでない場合は処理を終了する。S419では2次元コードを設定して処理が終了する。
・遊技者の選択による切替
遊技者が選択した位置にLCD10を移動させることができる。この場合、選択ボタン137を、LCD10の第1の位置と第2の位置とを遊技者が選択するための選択手段として機能させる。遊技者の好みに応じてLCD10を第1の位置に移動させた2次元画像のモード(2次元モード)とLCD10を第2の位置に移動させた3次元画像のモード(3次元モード)とを提供できる。図23は遊技者の選択による2次元モードと3次元モードとの切替処理を示すフローチャートであり、副制御部400のCPU410が割り込み処理により実行する。
S501では選択ボタン137により2次元モードの選択操作が受け付けられたか否かを判定する。例えば、左側の選択ボタン137に対する操作を2次元モードの選択操作とすることができる。該当する場合はS502へ進み、該当しない場合はS503へ進む。S502では2次元モードを設定し、その後、処理が終了する。S503では選択ボタン137により3次元モードの選択操作が受け付けられたか否かを判定する。例えば、右側の選択ボタン137に対する操作を3次元モードの選択操作とすることができる。該当する場合はS504へ進み、該当しない場合は処理を終了する。S504では3次元モードを設定し、その後、処理が終了する。
<扉51の開閉例>
扉51は基本的にLCD10を第1の位置と第2の位置との間で移動する時に全閉とし、移動完了後に全開とする。こうすることで2次元画像と3次元画像との切り替わりのインパクトを遊技者に与えることができる。しかし、これに限られず扉51の開閉を種々の方式で行うことができる。
例えば、複数回の遊技の間、扉51を遮蔽位置に位置させて全閉状態とし、その後、扉51を非遮蔽位置に位置させて全開状態とする。この例では、例えば、BBやRBに内部当選した遊技の後、複数回の遊技の間(この間、BB、RBには入賞しないようにリール制御を行うことが望ましい。)、扉51を全閉状態とし、全開状態とした時にLCD10により内部当選したことを報知する。報知は2次元画像を用いた報知でも3次元画像を用いた報知でもよいが3次元画像を用いた報知とすることにより遊技者の興奮を高められる。扉51が全閉の間、遊技者にBBやRBの内部当選を期待させることができる。この場合、ガセの演出としてBBやRBに内部当選していないのに複数回の遊技の間、扉51を全閉状態とすることもできる。そして、扉51が全開となった時に2次元画像の表示であればハズレであることを示すようにし、BBやRBに内部当選していた場合は3次元画像の表示とすることもできる。
また、例えば、選択ボタン137を、扉51の遮蔽位置と遮蔽位置とを遊技者が選択するための選択手段として用い、遊技者が選択した位置に扉51を移動させることで、遊技者が全開と全閉とを選択することができるようにしてもよい。例えば、扉51の全閉時に遊技者が選択ボタン137を押すと、扉51が全開となり、BBやRBの内部当選結果が2次元又は3次元により表示されたり、ハズレが表示されたりするようにすることで遊技者の興奮を高められる。
<演出ユニットAによる合成画像表示例>
次に図24乃至図34を参照して、LCD10が第2の位置にある場合に、LCD10からハーフミラー20へ投影される虚像とハーフミラー20の背後に配設された各種の被合成物の実像とにより遊技者に3次元的に提示される合成画像の表示例について説明する。各図の右側の図はLCD10及びハーフミラー20の周辺の構成を側方から見た図、左側の図は遊技者に提示される合成画像を示す図である。
図24の例は支持体21の背板21bの内側の面を平面画像の表示媒体として用い、これを被合成物とした例であり、背板21bの内側の面には虚像の背景画像となる絵が施されている場合の例である。本例の場合、実像としての背景画像として海の絵が施されており、LCD10により潜水艦の画像を虚像として形成しており、潜水艦が海中を潜航中である画像を示している。
図25の例は図24の例に加えて支持体21の底板21c上に被合成物として立体物を配設したものである。立体物X3は宝物の模型、X4は海底の模型である。本例の場合、海底に宝物が存在する海中を潜水艦が潜航中である画像を示している。立体物X3は虚像の位置よりも遊技者の視認方向に前(演出ユニットAの正面側)に配設されているので、遊技者から見える合成画像は実像である宝物の模型が虚像である潜水艦よりも手前に位置しているものとなる。
図26の例は支持体21の底板21c上に洞窟を模した模型である立体物X5及びX6を配設し、また、天板21aにつららの模型である立体物X7を配設したものである。被合成物である立体物はこのように支持体21の底板21cの他、天板21aや或いは背板21bに取付け、固定することができる。また、支持体21に側板を設けて側部を形成し、当該側部に立体物を取付け、固定するようにしてもよい。立体物の固定部位によって、様々な画像の提供が可能となる。本例の場合、LCD10によりUFOの画像を虚像として形成しており、つららが垂れ下がった洞窟内をUFOが飛行中である画像を示している。立体物X5は虚像の位置よりも遊技者の視認方向に前に配設され、立体物X6及びX7は虚像の位置よりも遊技者の視認方向に後に配設されているので、遊技者からは立体物X5→虚像(UFO)→立体物X6、X7の配置順に合成画像が見えることになる。
図27の例は光透過パネルとして透明板21fをハーフミラー20の背後に配設し、更に、立体物X8乃至10を配設し、水槽の画像を遊技者に提示しようとしたものである。立体物X9は藻を、X10は小石を模した模型であり、立体物X8はコップを模した模型である。本例の場合、LCD10により金魚の画像と水槽内の液体の画像とを虚像として形成しており、同図左の上下に示すように金魚の画像や液体の画像を移動させることにより金魚が水槽内を泳いでいるように見せることができる。また、透明板21fを設けたことによりこの透明板21fを水槽として遊技者によりリアルに見せることができる。透明板21fをハーフミラー20と立体物X9及びX10との間に配置することにより、立体物X9及びX10は透明板21fの背後に見えるので水槽の中に存在するように見せることができる。また、立体物X8は透明板21fの手前にあるので水槽の外に存在するように見せることができる。更に、透明板21fの背後に虚像が形成されるので水槽内に金魚が存在するように見せることができる。このように透明板21fを配設することで、よりリアルな合成画像を提示することができる。なお、透明板21fは光透過パネルであればよく、例えば着色された半透明板を用いてもよい。
図28の例も光透過パネルを用いた例であり、スリット状に縦しまが表面に施された透明板21f’をハーフミラー20の背後に配設し、更に、岩を模した模型である立体物X11を配設し、女の子のキャラクターが檻に監禁されている画像を遊技者に提示しようとしたものである。本例の場合、LCD10により女の子のキャラクターの画像を虚像として形成しており、虚像の位置は透明板21f’の背後にあるので同図左の上に示すように女の子のキャラクターが透明板21f’の縦しまによって模された鉄格子の檻に監禁されている画像を遊技者に提示することができる。一方、同図左の下に示すように女の子のキャラクターの画像を濃色の背景画像に重ね合わせた画像をLCD10により虚像として形成することにより、濃色の背景画像により透明板21f’の縦しまが見え難くなり、女の子のキャラクターが檻から脱出したような合成画像を遊技者に提示することができる。光透過パネルを用いることでこのような檻等、様々な画像を提示することが可能となる。
図29の例は支持体21の底板21c上に建物の一部を模した模型である立体物X12を配設したものである。本例の場合、LCD10により女の子のキャラクターの画像と、立体物X12により模された階段を駆け上がろうとする男の子のキャラクターの画像と、を虚像として形成している。つまり、立体物と関係のある画像を虚像として形成した例である。
図30の例は支持体21の底板21c上に立体物X13を配設したものである。本例は立体物と関係のある画像を虚像として形成した例であり、遊技者に提示しようとする画像のうちの一部を虚像により、その残りが立体物により、構成されるようにしたものであって、特に、立体物X13単体では何を模したものかは分からないが虚像が合成されることで何を模したものかが分かるものである。同図左の最上段に示すのは虚像がない場合の表示画像であり、看板のような一対の立体物X13が存在している。同図左の中段に示すようにLCD10によりテレビ画面の画像を虚像として立体物X13上に合成すると、虚像と立体物X13とでテレビの画像を表示することができる。また、同図左の最下段に示すようにLCD10によりスピーカの画像を虚像として立体物X13上に合成すると、虚像と立体物X13とでスピーカの画像を表示することができる。虚像の位置は立体物X13の前面に略一致するようにしている。立体物X13の上部はあたかも虚像のスクリーンとして機能する。本例では一つの立体物X13に合成される虚像の内容により、複数種類の画像(立体物)を表現することができる。
図31の例も立体物と関係のある画像を虚像として形成した例であって、立体物と関係のある画像を虚像として形成した例であり、遊技者に提示しようとする画像のうちの一部を虚像により、その残りが立体物により、構成されるようにしたものである。本例では支持体21の底板21c上に、台の上に2種類の瓶とその両者間のコップとが置かれた模型の立体物X14を配設したものである。同図左の最上段に示すのは虚像がない場合の表示画像であり、瓶及びコップが空のものとして示されている。同図左の中段に示すようにLCD10により瓶内の液体の画像を虚像として立体物X14上に合成すると、虚像により瓶内に液体が入っているように見せることができる。また、同図左の最下段に示すようにLCD10によりコップ内の液体の画像を虚像として立体物X14上に合成すると、虚像によりコップ内に液体が入っているように見せることができる。立体物X14の瓶、コップはあたかも虚像のスクリーンとして機能する。
図32の例も立体物と関係のある画像を虚像として形成した例であり、遊技者に提示しようとする画像のうちの一部を虚像により、その残りが立体物により、構成されるようにしたものである。本例では支持体21の底板21c上に、橋が掛けられた山の模型の立体物X15を配設したものである。但し、橋の途中は欠落している。同図左の最上段に示すのは虚像がない場合の表示画像であり、橋の途中が欠落しているのがわかる。同図左の中段に示すようにLCD10により橋の途中の画像を虚像として立体物X15上に合成すると、虚像により橋が繋がっているように見せることができる。同図左の中段の合成画像では虚像の戦車が橋を渡ろうとしている。そして、同図左の最下段の合成画像では虚像の戦車が橋を虚像の橋の一部を渡っている。本例では、例えば、遊技者に利益を与えるときは虚像の戦車が橋を渡ることができ、与えないときは虚像の橋が消失して戦車が谷に落ちてしまう、といった演出が可能となる。
図33の例は、立体物と関係のある画像を虚像として形成した例であり、立体物と虚像との合成により表示される画像を立体物と虚像との遠近感のある画像とするものである。本例では支持体21の底板21c上に、道路を模した模型の立体物X16を配設したものである。この道路の模型は演出ユニットAの奥手側に向かって徐々に幅狭となっており、また、上下の凹凸が設けられている。つまり、遊技者から見ると道路が遠近感のあるものとして見える。そして、立体物X16に合成する虚像も遠近感のあるものとする。同図左の上に示すのは、道路上を走行する複数の車を、先頭の車から後方に見た画像の虚像が合成されたものであり、最も手前には先頭の車のドライバーと助手席の画像が大きく映し出され、道路の中ほどの車の画像がやや小さく、道路の後方の車の画像が更に小さく、映し出されている。また、同図左の下に示すのは道路上を走行する複数の車をある車の運転席から前方に見た画像の虚像が合成されたものであり、最も手前には車の運転席の画像が大きく映し出され、道路の中ほどには前方の車の後部を示す画像がやや小さく映し出されている。このように立体物と虚像との関係で遠近感を高めた合成画像が実現できる。
図34の例も、立体物と虚像との合成により表示される画像を立体物と虚像との遠近感のある画像とするものである。本例では支持体21の底板21c上に山を模した模型の立体物X18が、背板21bの内側中央に戦闘機を模した模型の立体物X17を配設したものである。立体物X17は虚像の位置よりも背後に、X18の模型は手前に配設されている。同図左に示すように、LCD10により虚像として戦闘機からのミサイルの画像(表示画面右側)、戦闘機へのミサイルの画像(表示画面左側下)、ターゲーットの画像(表示画面左側上)が形成されている。戦闘機からのミサイルの画像(表示画面右側)は中央から右下へ向かって帯状に流れており遠近感が出されている。また、戦闘機へのミサイルの画像(表示画面左側下)は手前が幅広で奥手側で幅狭となっている。遊技者はX17の戦闘機と戦闘しているような錯覚を得る。このように立体物と虚像との関係で遠近感を高めた合成画像が実現できる。
<演出ユニットAによる情報表示例>
次に図35及び図36を参照して、LCD10が第2の位置にある場合にLCD10からハーフミラー20へ投影される虚像とハーフミラー20の背後に配設された各種の被合成物の実像とにより遊技者に3次元的に提示される合成画像の表示例について、特に情報の表示を主眼とした例を説明する。
まず、図35において、右側の図はLCD10及びハーフミラー20の周辺の構成を側方から見た図、左側の図は遊技者に提示される合成画像を示す図である。同図の例ではハーフミラー20の背後に上述した山の模型の立体物X1及びX2が配設されている。本例の場合、LCD10によりリール110乃至112を模した画像と、最も右のリールの画像を指し示す矢印の画像とを虚像として形成し、矢印の画像によりリール112の停止操作を遊技者に促している例である。このように遊技者に特定の操作を促す画像の表示も可能である。
次に、図36を参照して他の例について説明する。まず、図36(a)は図29の例の表示画面に”チャンス!!”という情報Y1を表示したものである。情報Y1はLCD10による虚像である。これは、例えば、遊技者が利益を得るチャンスであるときに表示される。図36(b)は図34の表示画面に現在の遊技の状況に関する情報Y2を表示したものであり、これもLCD10による虚像である。同図の例ではRBゲーム、SRBゲーム中の役物遊技の消化回数と、メダルの獲得枚数とが表示されている。図36(c)は図31の表示画面にそのスロットマシン100の統計データY3を表示したものであり、これもLCD10による虚像である。同図の例では、その日の出玉の推移がグラフで表示されている。
なお、2次元画像、3次元画像を問わず、演出ユニットAにより表示される情報を遊技者が選択することができるようにすることもできる。例えば、操作ボタン137をLCD10により表示される情報の種類を遊技者が選択するための操作手段とし、LCDは遊技者が選択した種類の情報を表示するようにすることができる。情報の種類としては、図36(b)や図36(c)に示した現在の遊技の状況に関する情報や、その日の出玉の推移がグラフの他、1週間の出玉の推移の情報、スロットマシン100の遊び方、星座占い等の一般的な情報等が挙げられる。この場合、例えば、操作ボタン137の一方を押すと情報の種類を選択する選択画面が現れ、他方のボタンでカーソル等を移動して選択し、双方のボタンの押し下げで確定とすることができる。
<2次元画像と3次元画像との関係>
2次元画像と3次元画像とが切り替わるに際し、切替時のそれぞれの画像にも工夫を凝らすことができる。例えば、LCD10が第1の位置と第2の位置との間で移動するに際し、LCD10の移動後の表示内容は、移動前の表示内容に基づいて設定することができる。こうすることで2次元画像と3次元画像との切り替わりに際し、例えば、ストーリー性のある一連の画像を遊技者に提供することができる。処理的には、移動前の画像を例えばMとすると、移動後の画像としてNが選択されるように予め設定しておくか、或いは、移動前の画像Mに対して複数の移動後の画像N1乃至N5の中から抽選で選択するようにすることができる。
また、LCD10は第1の位置にある場合に、ある立体物を模した画像を含む画像を表示し、第2の位置にある場合にその立体物を模した画像を含まない画像をハーフミラー20に投影するようにすることもできる。例えば、図34に示した戦闘機の立体物X17について、2次元画像の表示時には立体物X17を模した画像を表示し、その後、3次元画像の表示時には立体物X17が現れるので立体物X17を模した画像(虚像)を表示しない。こうすることで、2次元画像の表示時には平面的に見えていた物体(戦闘機)が3次元画像の表示時には立体的に、かつ、実像として出現することになり面白味のある画像を提供できる。
<演出ユニットの他の構成例>
次に、上述した演出ユニットAの他の構成例である演出ユニットBについて図37乃至図40を参照して説明する。図37は演出ユニットBの概略構成図である。図38及び図39は演出ユニットBの要部の動作説明図である。演出ユニットBは演出ユニットAと主としてLCDの駆動機構が異なる。演出ユニットBは画像表示装置である液晶表示装置(以下、LCDという)1010と、ハーフミラー1020と、を備える画像表示ユニットを構成している。演出ユニットBは収納部1001を有する。収納部1001はその天井部、一対の側部、背部及び底部を構成する、天板1001a、一対の側板1001b、背板1001c及び底板1001dを備え、正面が開放した中空の略直方体形状をなしており、その内部にLCD1010やハーフミラー1020等が収納されている。収納部1001の正面には上記の演出ユニットAと同様にシャッタユニット50が設けられており、これはLCD1010及びハーフミラー1020による表示画像を視認者から遮蔽可能な遮蔽手段として機能する。
LCD1010の上面にはコネクタ部1010aが形成されており、LCD1010の表示制御回路のケーブルが天板1001aに設けられた穴1001a’を通してここに接続されることになる。LCD1010の左右側面の上方にはそれぞれ軸1012が設けられており、この軸1012は各側板1001bの内面にそれぞれ設けられた一対の支持片1033間に支持される。一対の支持片1033は水平面に対して略45度の向きに延びる角材状の部材であり、軸1012は支持片1033間で回転可能であると共に支持片1033に沿って移動可能に配設されている。一方の組の一対の支持片1033の上端には軸1012の上方への移動を阻止するストッパ1033’が設けられている。軸1012はLCD1010の上面側の端部近傍に設けられており、LCD1010の左右側面の中央から偏芯した位置に設けられている。このため、LCD1010は軸1012回りに回動可能となっている。
次に、LCD1010の左右側面の下方にはそれぞれ軸1013が設けられており、この軸1013はスライダ1032c、1034cに軸支されている。スライダ1032cはボールネジ1032と螺合するボールナットを備えており、ボールネジ1032の回転により側板1001bの内面を摺動しながらボールネジ1032に沿って移動する。ボールネジ1032の両端部はそれぞれ右側の側板1001bに固定された軸受け部1032a、1032bに軸支されており、水平面に対して略45度の角度(ハーフミラー1020の設置角度と同じ)で維持され、その場回転が可能となっている。ボールネジ1032の上方側の端部にはモータ1030の出力軸が接続されており、モータ1030を回転することによりボールネジ1032が回転する。モータ1030は例えばDCモータでありその回転位置を検出するロータリエンコーダ1031が一体的に取付けられている。モータ1030は背板1001bに適当な方式で固定されている。
スライダ1034cはロッド1034が挿通する穴が設けられており、ロッド1034上を滑動可能に設けられている。ロッド1034の両端部はそれぞれ左側の側板1001bに固定された軸受け部1034a、1034bに軸支されており、ボールネジ1032と同様に水平面に対して略45度の角度で維持されている。
さて、本実施形態ではモータ1030の駆動によるボールネジ1032の回転により、スライダ1032cがボールネジ1032上を移動し、LCD1010の下端部が移動する。これによりLCD1010は軸1012回りに回動する。スライダ1034cはLCD1010の回動につられてロッド1034上を移動し、スライダ1034cとロッド1034はLCD1010の回動を案内することになる。
LCD1010の回動により、LCD1010は図37に示す第1の位置と、図39に示す第2の位置との間で移動する。図38はLCD1010の移動途中を示している。図37に示す第1の位置においてLCD1010はその表示画面1011が略垂直な状態にあり、収納部1001の正面に露出した状態にある。この第1の位置は、演出ユニットAの場合と同様にハーフミラー1020がLCD10の背後に隠れる位置であり、演出ユニットBの表示面はLCD1010の表示画面1011となる。換言すれば、LCD1010が直接的な表示主体となる。
一方、図39に示す第2の位置においてLCD1010は図37の位置から略90度回動してその表示画面1011が略水平な状態にあり、ハーフミラー1020が収納部1001の正面に露出した状態にある。演出ユニットAの場合と同様にこの第2の位置においてLCD1010はハーフミラー1020に画像を投影し、ハーフミラー1020が演出ユニットBの表示面となる。換言すれば、LCD1010は間接的な表示主体となり、ハーフミラー1020が直接的な表示主体となる。
本実施形態ではLCD1010の移動がボールネジ1032とロッド1034により規定され、LCD1010の下端部はボールネジ1032とロッド1034とに沿って移動することになる。このため、ハーフミラー1020に干渉することがなく、演出ユニットBではハーフミラー1020は移動しない。その代わりに、LCD1010の回動中心である軸1012の位置がLCD1010の回動に従って移動することになる。図38に示すようにLCD1010が第1の位置と第2の位置との中間の位置にある場合、軸1012は支持片1033の上方に移動し、LCD1010が第1の位置、第2の位置にある場合、軸1012は支持片1033の下方に移動することになる。
次に、ハーフミラー1020は演出ユニットAと同様のものであり、本実施形態の場合、支持体1021により水平面から略45度の角度で支持されている。図37に示すようにLCD1010が第1の位置にある時に演出ユニットBを正面から見ると、LCD1010→ハーフミラー1020の順に並んで配設されており、ハーフミラー1020がLCD1010の存在により隠れるように配設されている。支持体1021はその天井部、背部、底部、を構成する天板1021a、背板1021b、底板1021cを備え、ハーフミラー1020は天板1021aと底板1021cとの間で支持されている。支持体1021とハーフミラー1020とは、両側部が開放した中空台形状をなし、その内部空間は被合成物の収納部を形成することになる。
さて、係る構成からなる演出ユニットBの画像表示態様について図40を参照して説明する。図40は演出ユニットBによる3次元画像の表示原理の説明図であり、同図の右側の図は演出ユニットBの要部を側方から見た図であり、同図の左側の図はLCD1010が第2の位置にあるときに遊技者から見える表示画像を示している。演出ユニットBの3次元画像の表示原理は演出ユニットAの3次元画像の表示原理と同様である。なお、同図の例では支持体21内に被合成物として上述した山の模型の立体物X1、X2が配設されている。
さて、LCD1010が同図の破線の位置(垂直な方。第1の位置)にある場合、上述した通り、LCD1010の表示画面1011が収納部1の正面に露出した状態にあり、遊技者からは表示画面1011は見えるが、ハーフミラー1020や支持体1021はLCD10の背後に隠れて見えない。演出ユニットBからはLCD1010による2次元画像が遊技者に提示されることになる。
次にモータ1030を駆動してボールネジ1032を回転させるとスライダ1030cが移動し、LCD1010が回動する。この際、同図の破線の位置(45度の方)にて示すように軸1012は支持片1033の上方へ移動し、その後再び下方へ移動することになる。
LCD1010が同図の実線の位置(第2の位置)にある場合、LCD1010の表示画面11は略水平となるので遊技者からは表示画面1011が直接見えない。そして、LCD1010からハーフミラー1020に投影された画像(虚像)が遊技者に提示されることになる。この虚像は同図に示すように遊技者から見ると、ハーフミラー1020の背後に浮かんでいるように見え、立体的感のある、3次元的な画像となる。虚像の位置はLCD1010とハーフミラー1020との間の距離(L3、L4)とLCD1010とハーフミラー1020との間の角度(本例では略45度)とによって定まり、本実施形態の場合、ハーフミラー1020から奥行き方向にL3、L4だけ離れた位置に虚像が見えることになる。
また、図40の例では図6を参照して説明した演出ユニットAの場合と同様にハーフミラー1020の背後であって、虚像の位置の前に立体物X1が、虚像の位置の背後に立体物X2が配置されている。これらの立体物X1及びX2は実像としてハーフミラー1020を透過して遊技者から見えることになる。このため、同図の左に示す表示画像では、虚像(UFO)と立体物X1及びX2が合成された合成画像となり、遊技者から見ると、立体物X1→虚像(UFO)→立体物X2の順にこれらが位置しているように見える。立体物X1及びX2の存在により奥行き感が高まり、より一層3次元的な画像となる。
このように本実施形態の演出ユニットBは演出ユニットAと同様に、2次元画像と3次元画像との選択的な提供が可能となり、視認者を驚嘆させる画像表示を実現することができる等、演出ユニットAと同様の効果が得られる。
<パチンコ機への適用>
本発明の演出ユニットはスロットマシン以外にもパチンコ機等、他の遊技台にも適用できる。図41は演出ユニットBをパチンコ機に適用した例を示す図であり、パチンコ機2000の概略正面図である。演出ユニットBはパチンコ機の中央やや上方寄りに配設されている。図41の例ではLCD1010が第1の位置にある場合を示しており、扉51は全開状態にある。入賞口2006にパチンコ玉が入ると入賞役の抽選が1回行われ、LCD1010は7−7−7等、入賞絵柄組合せ、ハズレ絵柄組合せ等の抽選結果を示す表示部として機能する。セル板2001にはLCD1010やハーフミラー1020を外部から見えるようにする窓部2002が設けられており、扉51は全開状態の場合、セル板2001の背面に隠れるように配置されている。なお、同図においてセル板2001に打ち込まれる釘は省略してある。
演出ユニットBの上方にはワープ穴を構成するカップ状の球導入部2004が設けられており、ここにパチンコ球が入るとパチンコ機2000の内部を通って出口穴2003からパチンコ球が排出され、入賞口2006に入り易くなる。球導入部2004の開放した上端面には開閉可能なシャッタ2005が設けられており、通常時には球導入部2004を閉鎖して球導入部2004へのパチンコ球の侵入を規制し、所定の場合には開放して球導入部2004へのパチンコ球の侵入を許容する。
図42(a)はパチンコ球のワープ時の移動経路と、演出ユニットBの要部の構成を示す図、図42(b)は演出ユニットBによる3次元画像の表示例を示す図である。シャッタ2005が開放している際に、パチンコ球は球導入部2004に侵入可能となり、侵入したパチンコ球は演出ユニットBの上方に配設された案内レール2007aを通って奥手側に移動する。演出ユニットBの支持体1021の上方においてパチンコ球は案内レール2007bに案内されて下方へ落下する。本例の場合、支持体1021の天板1021a及び底板1021cにそれぞれパチンコ球が通過する穴1021a’、1021c’が設けられており、パチンコ球が支持体21内部(被合成物の収容空間)を通過して支持体21の下方の案内レール2007cへ進む。そうして出口穴2003からセル板2001の表側に出てくることになる。
本例の場合、パチンコ球が被合成物の収容空間を通過するので、図42(b)に示すように、合成画像中をパチンコ球が落下する画像を遊技者に見せることができ、パチンコ球も被合成物の一つとなって面白味のある画像を提供できる。