JP4198371B2 - ウインチの駆動制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のロープでバケットを昇降および開閉させるクラムシェル作業を行うクレーン等の作業機械に搭載されるウインチの駆動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
クラムシェル作業機は、ブームの先端から吊持されたクラムシェルバケットを昇降し、深穴での掘削作業等を行う作業機であり、クラムシェルバケットを支持する支持ロープと、クラムシェルバケット内で複数本掛けされバケットの開閉を行う開閉ロープとを備えており、支持ロープと開閉ロープはそれぞれウインチに接続されている。また、ウインチを駆動する油圧モータの出力軸にはウインチドラムの回転を制動制御するための多板ブレーキ等を用いたブレーキ装置が設けられている。
【0003】
クラムシェル作業としては、掘削、巻き上げ、降下等がある。一般的に、減速機内蔵型ウインチを搭載したクラムシェル作業機でクラムシェルバケットを降下させるときは、バケットの自重を用いたフリーフォールを用い、ブレーキペダルを操作して降下速度を制御する。バケットの巻き上げ時には、支持ロープを巻き取る支持ウインチの操作レバーと開閉ロープを巻き取る開閉ウインチの操作レバーとを操作する。つまり、オペレータは、クラムシェル作業を行うために、支持ウィンチの操作レバーと、開閉ウインチの操作レバーと、支持ウインチのブレーキペダルと、開閉ウインチのブレーキペダルとを複合操作して、支持ロープと開閉ロープの巻き上げトルク、スピードを調整する(従来技術1)。
【0004】
特開平7−53183号公報には、操作レバーやブレーキペダル等の操作なしでクラムシェル作業を行うことのできるクレーンの駆動装置が開示されている。このクレーンの駆動装置は、操作量指令入力手段によってバケットの昇降速度を設定するとともに、バケット開閉指令入力手段によってバケットの開閉を設定することによって、クラムシェルバケットの昇降および開閉動作を行うものである(従来技術2)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術1において、クラムシェルバケットを降下させるときは、バケットの自重を用いたフリーフォールを用い、ブレーキペダルを操作して降下速度を制御する。このとき、開閉ロープ張力が支持ロープ張力よりも小さくなければ、バケットが閉じてしまい、バケット降下後の掘削作業を行うことができなくなってしまう。一方、クラムシェルバケットを巻き上げるときは、開閉ロープ張力が支持ロープ張力よりも大きくなるように支持ウインチおよび開閉ウインチのそれぞれの操作レバーを操作しなければ、バケットが開いてしまい、掘削物を落下させてしまう。このように、オペレータは両手・両足を用いて2つの操作レバーと2つのブレーキペダルを操作する必要があり、作業には熟練を要するうえ、疲労度も大きいという問題があった。
【0006】
一方、従来技術2においては、動力巻き上げ・巻下げによってクラムシェル作業を行うため、操作レバーやブレーキペダルの複雑な操作は必要ない。しかしながら、バケット降下時にフリーフォール用いることができないため、作業効率が悪い等の問題があった。
【0007】
本発明は、クラムシェルバケットの開閉ウインチおよび支持ウインチのトルクを制御して、容易にクラムシェル作業を行うことのできるウインチの駆動制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明によるウインチの駆動装置は、第1の駆動装置によって巻き上げ/巻下げ駆動される第1のウインチ装置と、第2の駆動装置によって巻き上げ/巻下げ駆動される第2のウインチ装置と、前記第1の駆動装置による駆動力を制動する第1のブレーキ装置と、前記第2の駆動装置による駆動力を制動する第2のブレーキ装置と、前記第1のウインチ装置および前記第2のウインチ装置に駆動指令を出力する操作指令手段と、前記第1のブレーキ装置および前記第2のブレーキ装置に制動指令を出力する制動指令手段と、前記操作指令手段および前記制動指令手段からの指令に基づいて、前記第1のウインチ装置および前記第2のウインチ装置のトルクをそれぞれ制御するように前記第1のブレーキ装置および前記第2のブレーキ装置の作動を制御する制御装置とを備えたウインチの駆動制御装置において、前記制御装置は、前記第1のウインチ装置および前記第2のウインチ装置が搭載される作業機械の動作に対応して予め設定された、前記制動指令手段の操作量と前記第1のウインチ装置および前記第2のウインチ装置に作用するブレーキ力との関係を表すブレーキ特性を記憶するとともに、前記操作指令手段および前記制動指令手段からの操作信号に基づいて、前記作業機械の動作を判断し、前記記憶されたブレーキ特性から、前記作業機械の動作に対応するブレーキ特性を選択するブレーキ特性選択部を有し、前記ブレーキ特性選択部で選択された前記ブレーキ特性に応じて前記第1のウインチ装置および前記第2のウインチ装置に作用する前記ブレーキ力を制御するように、前記第1のブレーキ装置および前記第2のブレーキ装置の作動を制御することを特徴とするウインチの駆動制御装置。
【0009】
前記第1のウインチ装置および前記第2のウインチ装置のいずれか一方に駆動指令を出力する第2の操作指令手段と、前記第1のブレーキ装置および前記第2のブレーキ装置のいずれか一方に制動指令を出力する第2の制動指令手段と、前記作業機械で行う作業の種類を切り換えるモード切換手段をさらに備え、前記制御装置は、(1)前記モード切換手段によって第1の作業モードが選択されると、前記操作指令手段、前記制動指令手段、前記第2の操作指令手段、および前記第2の制動指令手段からの指令に基づいて、対応する前記第1または第2のウインチ装置のトルクをそれぞれ制御し、(2)前記モード切換手段によって第2の作業モードが選択されると、前記操作指令手段および前記制動指令手段からの指令のみに基づいて、前記作業機械の動作に対応して選択されたブレーキ特性に応じて前記第1のウインチ装置および前記第2のウインチ装置のトルクを制御してもよい。
【0010】
前記第2の作業モードは、クラムシェルバケットを装着して行うクラムシェル作業であり、前記第1のウインチ装置は、前記クラムシェルバケットの開閉動作を行う開閉ロープを巻き取る開閉ウインチであり、前記第2のウインチ装置は、前記クラムシェルバケットを支持する支持ロープを巻き取る支持ウインチであることが好ましい。
【0011】
前記操作指令手段が操作されたことを検出する第1の検出器と、前記制動指令手段の操作量を検出する第2の検出器とをさらに有し、前記第1のブレーキ装置および前記第2のブレーキ装置は、それぞれ油圧シリンダによって駆動され、前記制御装置は、前記第1の検出器および前記第2の検出器の検出結果に基づいて、前記第1のウインチ装置および前記第2のウインチ装置のそれぞれのトルクを設定し、前記設定されたトルクを実現するように前記2つの油圧シリンダに導かれる圧油の流れをそれぞれ制御して前記2つのブレーキ装置に発生させるブレーキ力を制御することが好ましい。
【0012】
前記作業機械の動作がバケットの降下である場合に対応するブレーキ特性は、前記第2のブレーキ装置のブレーキ力が前記第1のブレーキ装置のブレーキ力よりも大きく、かつ、それぞれのブレーキ力が前記制動指令手段の操作量に応じて大きくなるように設定されていることが好ましい。
【0013】
前記作業機械の動作がバケットによる掘削・巻き上げである場合に対応するブレーキ特性は、前記第1のブレーキ装置のブレーキ力が最大で、前記第2のブレーキ装置のブレーキ力が前記第1のブレーキ装置のブレーキ力よりも小さくなるように設定されていることが好ましい。
【0014】
前記バケットを所定の位置で保持するための保持スイッチをさらに有し、前記ブレーキ特性選択部は、前記操作指令手段および前記制動指令手段からの前記指令に加えて、前記保持スイッチからの信号に基づいて、前記作業機械の動作を判断し、前記作業機械の動作が前記バケットによる掘削物の解放である場合に対応するブレーキ特性は、前記第2のブレーキ装置のブレーキ力が最大で、前記第1のブレーキ装置のブレーキ力が前記第2のブレーキ装置のブレーキ力よりも小さくかつ前記制動指令手段の操作量に応じて大きくなるように設定されていることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明のウインチの駆動制御装置の一実施の形態を搭載し、クラムシェルバケットを装着してクラムシェル作業機として用いるクレーンの概略構成を示す側面図である。図1において、1はクレーンの走行体、3は、旋回装置2を介して走行体1に旋回可能に連結された旋回体である。3aは、旋回体3の一方側に設けられ、後述する操作レバー等を備えた運転室である。4は、旋回体3に起伏動可能に連結されたブームであり、5は、ブーム4の先端から後述するロープによって吊持されたクラムシェルバケットである。この作業機は、クラムシェルバケット5を装着して行うクラムシェル作業と、クラムシェルバケットの代わりに不図示のフックを装着して行うクレーン作業とを選択的に行うことができる。この作業モードの切換は、後述するモード切換スイッチによって選択することができる。
【0016】
6は、クラムシェルバケット5の開閉動作を行う開閉ロープ7を巻き取る開閉用の第1のウインチ(以降、開閉ウインチと呼ぶ)であり、8は、クラムシェルバケット5を支持する支持ロープ9を巻き取る支持用の第2のウインチ(以降、支持ウインチと呼ぶ)である。開閉ウインチ6および支持ウインチ8は、上部旋回体3に設置される。
【0017】
図2(a)、(b)に、クラムシェルバケット5の構造を示す。図2(a)(b)において、51,52は、開閉ロープ7が掛け回される上下2つのシーブであり、それぞれ上部支持部材53,下部支持部材54に回転可能に軸支されている。55は、その上端を上部支持部材53に揺動可能に連結され、その下端をクラムシェルバケット5に揺動可能に連結されたリンク機構である。なお、支持ロープ9は上部支持部材53に固定され、開閉ロープ7は上部支持部材53に設けられた不図示の穴を通って上下シーブ51,52に複数本掛け(例えば、6本掛け)され、その端部は下部支持部材54に固定されている。
【0018】
図2(a)に示すクラムシェルバケット5の開状態から、開閉ロープ7を開閉ウインチ6によって巻き取ると、上・下シーブ51,52の距離が短くなり、リンク機構55の下端が内側に移動して図2(b)に示すようにクラムシェルバケット5を閉じる。このとき、開閉ロープの張力>支持ロープの張力である。一方、図2(b)に示すクラムシェルバケット5の閉状態から、支持ロープ9の張力より開閉ロープ7の張力が小さくなると(開閉ロープの張力<支持ロープの張力)、クラムシェルバケット5,下シーブ52および下部支持部材54等の自重によって上下シーブ間の距離が長くなる。これにより、リンク機構55の下端が外側に移動して図2(a)に示すようにクラムシェルバケット5が開く。
【0019】
従来、オペレータはクラムシェルバケット5の開閉、昇降作業を行うために、開閉ロープ7を巻き上げるための操作レバーと、支持ロープ9を巻き上げるための操作レバーと、開閉ウインチ6の制動を制御するためのブレーキペダルと、支持ウインチ8の制動を制御するためのブレーキペダルとを、両手・両足を用いて操作していた。この操作は大変複雑であり、熟練を要するものであった。そこで、本発明によるウインチの制御装置においては、これらの操作を、1つの操作レバーと1つのブレーキペダルを用いて容易に行うことができるようにした。以下、本発明の一実施の形態によるウインチの制御装置について詳細に説明する。
【0020】
図3は、本発明の一実施の形態によるウインチの制御装置の構成を示す油圧回路図である。図3において、11a,11bは油圧ポンプ、12a,12bは油圧ポンプ11a,11bから吐出される圧油によってそれぞれ開閉ウインチ6および支持ウインチ8を駆動する油圧モータである。13は第1のウインチ用操作レバー、14は第2のウインチ用操作レバーである。15a,15bは、第1のウインチ用操作レバー13および第2のウインチ用操作レバー14の操作量に応じて、油圧ポンプ11a,11bから油圧モータ12a,12bに供給される圧油の流れをそれぞれ制御する制御弁である。なお、操作レバー14は、クレーン作業モードが選択された場合に操作される。
【0021】
開閉ウインチ6および支持ウインチ8は、油圧モータ12a,12bからの駆動トルクによってそれぞれ駆動され、ブレーキ装置16a,16bによってその駆動がそれぞれ制御される。17a,17bは、油圧モータ12a,12bの出力軸の回転を減速する遊星減速機構である。開閉ウインチ6および支持ウインチ8の駆動・制動制御方法は同様であるので、以下、開閉ウインチ6についてのみ説明する。
【0022】
遊星減速機構17aは、開閉ウインチ6のウインチドラム6aの内側に設けられたリングギア17bと、油圧モータ12aの出力軸に連結されたサンギア17cと、リングギア17bおよびサンギア17cに歯合するとともに、キャリア軸17eに支持されるプラネタリギア17dとを有している。キャリア軸17eはブレーキ装置16aのブレーキドラム16ab内に達している。キャリア軸17eには、軸方向に移動可能な複数枚のインナディスク17fが係合されており、インナディスク17fは、キャリア軸17eとともに回転可能となっている。
【0023】
ブレーキ装置16aは、いわゆる湿式多板式ブレーキ装置である。ブレーキドラム16abの内周面には、複数枚のアウタディスク16cが軸方向に移動可能に係合され、アウタディスク16cとインナディスク17fは、それぞれ交互に配置されている。ブレーキドラム16ab内には、アウタディスク16cとインナディスク17fとを互いに圧接させるブレーキディスク16dと、ブレーキディスク16dをディスク16c,17f方向に付勢するばね16eとが設けられている。また、ブレーキディスク16dには、ブレーキシリンダ18aが接続されている。
【0024】
19a,19bは油圧源であり、20は開閉ウインチ6のブレーキシリンダ18aのロッド室aを油圧源19aまたはタンクに連通させる電磁比例減圧弁であり、21は支持ウインチ8のブレーキシリンダ18bのロッド室aを油圧源19bまたはタンクに連通させる電磁比例減圧弁(以降、比例弁と呼ぶ)である。比例弁20,21が切り換わることによってブレーキシリンダ18a,18bのそれぞれのロッド室aに流入/流出する圧油の流れが変更される。
【0025】
22は第1のウインチ6のブレーキペダルであり、23は第2のウインチ8のブレーキペダルであり、24,25はブレーキペダル22,23の操作量をそれぞれ検出するポテンショメータなどの操作量検出器である。26は、クレーンが旋回する場合などに、クラムシェルバケット40等の吊り荷をその吊り下げ位置で保持するための保持ボタンであり、27は、クレーン作業モードあるいはクラムシェル作業モードを選択するためのモード切換スイッチである。28は、制御弁15aを操作するパイロット管路と、制御弁15bを操作するパイロット管路との連結あるいは遮断を切り換えるための切換弁である。29は、操作レバー13の操作量に応じて出力されるパイロットバルブ13aの二次圧を検出する圧力センサである。なお、ブレーキペダル23は、クレーン作業モードが選択された場合に操作され、クラムシェル作業モードが選択された場合には、その操作は無効とされる。
【0026】
30は、クレーンの動作を制御するCPU等のコントローラである。図4に、コントローラ30とその周辺のブロック図を示す。コントローラ30には、ブレーキペダル22,23の操作量検出器24,25,保持ボタン26,モード切換スイッチ27,圧力センサ29からの信号が入力されるとともに、これらの入力信号に応じた指令信号を、比例弁20,21および切換弁28に出力する。
【0027】
コントローラ30は、ブレーキ特性選択部31と演算部32とを有しており、ブレーキ特性選択部31には、後述するようにクラムシェル作業機の動作に対応したブレーキ特性(図5(a)〜(c))が予め記憶されている。
【0028】
コントローラ30は、モード切換スイッチ27によってクラムシェル作業モードが選択されると、1つの操作レバー13および1つのブレーキペダル22のみでの操作を可能とするために、操作量検出器25から入力される信号を無効とするとともに、切換弁28を位置aに切り換えるよう指令信号を出力する。モード切換スイッチ27によってクラムシェル作業モードが選択されると、コントローラ30は、ブレーキ特性選択部31に記憶されたブレーキ特性に従って開閉ウインチ6および支持ウインチ8に作用するブレーキ力をそれぞれ制御する。これにより、開閉ウインチ6、支持ウインチ8にかかるトルクが制御され、開閉ロープ7および支持ロープ9の張力が制御されて、クラムシェルバケット5の不所望な開閉やロープの乱巻などを防止しながら適切なクラムシェル作業が行われる。
【0029】
以上、一実施の形態によるウインチの駆動制御装置の構成を説明した。つぎに、上述した構成によるウインチの駆動制御装置を搭載したクラムシェル作業機によってクラムシェル作業を行う場合の動作について、図3〜6を用いて説明する。
【0030】
図5(a)〜(c)は、降下・制動作業、掘削・巻上作業、旋回・排土作業における、ブレーキペダルの操作量に応じたブレーキ特性を示す図である。なお、図5(a)〜(c)において、開閉ウインチ6および支持ウインチ8に作用するブレーキ力と開閉ロープ7および支持ロープ9はそれぞれ対応している。開閉ウインチ6および支持ウインチ8に作用するブレーキ力が大きくなると、それぞれのウインチにかかるトルクが大きくなり、これによってロープの張力も大きくなる。そのため、開閉ウインチ6および支持ウインチ8に作用するブレーキ力を制御することにより、図5(a)〜(c)に示すように開閉ロープ7および支持ロープ9のロープ張力をそれぞれ任意に制御することができる。
【0031】
図6は、以下に説明するクレーンのクラムシェル作業の動作と、操作レバー13,ブレーキペダル22,保持ボタン26および旋回レバー(不図示)の操作との関係を簡単に示す図である。
【0032】
図4に示すように、モード切換スイッチ27によってクラムシェル作業モードが選択されると、その信号はコントローラ30の演算部32に入力される。演算部32は、ブレーキペダル23の操作量を検出するポテンショメータ25からの信号を無効とするとともに、切換弁28を位置aに切り換える。切換弁28が位置aに切り換えられることによって、制御弁15aのパイロット管路と制御弁15bのパイロット管路とが連通して、制御弁15a、15bは、1つの操作レバー13の操作によって駆動される。
【0033】
なお、クラムシェル作業としては、以下のような動作がある。
(1)降下
(2)制動
(3)掘削
(4)巻き上げ
(5)旋回
(6)排土
通常、クラムシェル作業は(1)〜(6)の順で行われ、掘削した土砂等をダンプ車両に排土した後、再びクラムシェルバケットを降下させて(1)〜(6)の作業を繰り返す。また、図6に示すように、オペレータは、例えば操作レバー13を右手で、ブレーキペダル22を右足で、保持ボタン26を右手で、旋回レバーを左手で操作する。
【0034】
(1)バケット降下(フリーフォール)
クラムシェルバケット5を降下させるときは、クラムシェルバケット5等の吊り荷の自重を利用してフリーフォールを用いる。オペレータは、操作レバー13を中立にし、保持ボタン26をオフにする。操作レバー13が中立位置に操作されると、制御弁15a、15bがともに中立位置となり、油圧ポンプ11a,11bからの圧油はタンクへ還流し油圧モータ12a、12bへの圧油の供給が遮断される。
【0035】
コントローラ30は、ブレーキペダル22の操作量検出器24と、クラムシェルバケット5の保持ボタン26と、操作レバー13の操作検出用の圧力センサ29とからの入力信号に基づいて、操作レバー13が中立、ブレーキペダル22がオフかつ保持ボタン26がオフである場合に、フリーフォール(降下)であると判断し、ブレーキ特性選択部31で、図5(a)に示すブレーキ特性を選択する。演算部32は、図5(a)のブレーキ特性を実現するための比例弁20,21の駆動量をそれぞれ算出し、比例弁20,21に電気信号を出力する。
【0036】
ブレーキペダル22が操作されていないため、比例弁20,21は単なる開放弁となって油圧源19a、19bからの圧油がブレーキシリンダ18a、18bのそれぞれのロッド室aに供給され、ブレーキディスク16dがばね力に抗して図面左方向に移動する。これにより、アウタディスク16cおよびインナディスク17fに作用する圧接力が除去される。インナディスク17fは、アウタディスク16cから離れて回転可能となり、ブレーキが解除される。ブレーキが解除されると、キャリア軸17eの回転が許容され、ウインチドラム6a,8aは吊り荷の負荷によって自由回転状態となり、吊り荷をフリーフォールさせることができる。なお、ブレーキペダル22の操作によるフリーフォール中のバケット5の速度制御や制動制御については、後述する。
【0037】
(2)制動(フリーフォール)
バケット5がフリーフォールで降下する際に、その降下速度を制御するためにバケット5の制動を行う。バケット5の制動を行うために、オペレータはフリーフォールの状態からブレーキペダル22を操作して、開閉ウインチ6および支持ウインチ8にブレーキを掛ける。
【0038】
ブレーキ特性選択部31は、フリーフォールの状態からブレーキペダル22が踏み込み操作されると、つまり、操作レバー13が中立、ブレーキペダル22がオンかつ保持ボタン26がオフの場合に、制動と判断し、図5(a)のブレーキ特性を選択する。演算部32は、操作量検出器24で検出されたブレーキペダル22の操作量に基づいて、図5(a)のブレーキ特性を実現するための比例弁20,21の駆動量を算出し、比例弁20,21に電気信号を出力する。
【0039】
比例弁20,21は、コントローラ30から入力された信号に応じてそれぞれ駆動され、比例弁20,21の駆動量の増加に伴って、ブレーキシリンダ18a、18bのロッド室aがタンクと連通するとともに、油圧源19a、19bからブレーキシリンダ18a、18bのロッド室aに供給される圧油の流量が減少する。これにより、ブレーキシリンダ18a,18bのロッド室a内の圧力が低下し、ばね16eのばね力によってブレーキディスク16dが図面右方向に付勢される。ブレーキディスク16dが付勢されることによってインナディスク17fとアウタディスク16cとが圧接され、インナディスク17fの回転が阻止されてブレーキが作動する。
【0040】
なお、図5(a)のブレーキ特性は、支持ウインチ8のブレーキ装置16bのブレーキ力が、開閉ウインチ6のブレーキ装置16aのブレーキ力よりも常に大きくなるように設定されている。さらに、ブレーキペダル22の操作量が大きくなるほど、支持ウインチ8のブレーキ装置16bのブレーキ力および開閉ウインチ6のブレーキ装置16aのブレーキ力がともに大きくなるように設定されている。ブレーキ装置16a,16bのブレーキ力が大きくなるにつれてキャリア軸17eが固定され、油圧モータ12a,12bの回転がウインチドラム6a,8aに伝達される。これによって開閉ウインチ6および支持ウインチ8にかかるトルクが大きくなり、開閉ロープTkおよび支持ロープ9の張力Tsが大きくなる。
【0041】
図5(a)のブレーキ特性を実現するようなブレーキ力を発生させるように比例弁20,21を駆動することによって、支持ロープ9の張力Tsは常に開閉ロープ7の張力Tkよりも大きく、さらにブレーキペダル22の操作量が大きくなるほど張力Tk、Tsが大きくなるように制御される。なお、支持ロープ9の張力Tsに対して開閉ロープ7の張力Tkは、バケット5がフリーフォールで降下する際に開閉ロープ7に乱巻が生じないように設定される。
【0042】
このように、フリーフォールの状態からブレーキペダル22を踏み込んだ場合には、ブレーキペダル22の踏み込み量に応じた制動が行われるとともに、フリーフォールでの降下中に開閉ロープ7が弛緩して乱巻を生じることなく、バケット5は開いたままで接地することができる。
【0043】
(3)掘削
全開しているバケット5が接地した後、バケット5を閉じて掘削を行う。掘削を行うために、オペレータは操作レバー13を巻き上げ側に操作する。
【0044】
ブレーキ特性選択部31は、制動の状態から、操作レバー13が巻き上げ側に操作されて圧力センサ29の検出値が所定値を上回ると、図5(b)のブレーキ特性を選択する。つまり、操作レバー13が巻き上げ側に操作され、ブレーキペダル22がオン(オフでもよい)、かつ保持ボタン26がオフの場合に、掘削と判断する。演算部32は、ブレーキペダル22の操作量に関わらず、図5(b)のブレーキ特性を実現するための比例弁20,21の駆動量を算出し、比例弁20,21に電気信号を出力する。
【0045】
比例弁20,21は、コントローラ30から入力された信号に応じてそれぞれ駆動される。比例弁20は、図5(b)に示すように開閉ロープ7に最大張力Tkmaxを発生させるブレーキ力を開閉ウインチ6に発生させるため、図面右方向に駆動される。ブレーキシリンダ18aのロッド室aはタンクと連通してロッド室a内の圧力が低下し、ばね16eのばね力によってブレーキディスク16dが図面右方向に付勢される。これにより、インナディスク17fとアウタディスク16cとが圧接されてインナディスク17fに摩擦力が作用し、インナディスク17fの回転が阻止される。インナディスク17fの回転が阻止されると、キャリア軸17eの回転が停止される。この場合、ブレーキ装置16aはクラッチアンドブレーキ装置として機能し、油圧モータ12aの回転をウインチドラム6aに伝達/非伝達する。すなわち、図5(a)〜(c)に示すブレーキ特性においては、便宜上、ブレーキ力=ロープ張力として説明しているが、このブレーキ力をクラッチ力と呼ぶこともできる。
【0046】
同時に、オペレータによる操作レバー13の操作量に応じて制御弁15aが駆動される。これによって油圧ポンプ11aからの圧油が油圧モータ12aに供給され、油圧モータ12aが駆動される。比例弁20の駆動によってキャリア軸17eの回転が停止されているので、油圧モータ12aの回転はサンギア17c、プラネタリギア17およびリングギア17bを介してウインチドラム6aに伝達される。この結果、開閉ロープ7は最大張力Tkmaxを実現するように巻き上げられ、クラムシェルバケット5を閉じて掘削を行うことができる。
【0047】
なお、比例弁21は、図5(b)に示すように支持ロープ9に張力Tsmを発生させるブレーキ力を支持ウインチ8に発生させるように駆動される。操作レバー13の操作によって制御弁15bも駆動され、油圧ポンプ11bからの圧油が油圧モータ12bに供給される。これによって油圧モータ12bは回転駆動するが、支持ウインチ8に作用するブレーキ力は図5(b)のブレーキ特性に示すように開閉ウインチ6に作用するブレーキ力よりも小さくなるように制御される。
【0048】
つまり、開閉ロープ7の張力Tkが最大値Tkmaxに制御され、支持ロープ9の張力Tsが、開閉ロープ7の張力Tkmaxよりも小さい所定の値Tsmに制御される。これにより、開閉ロープ7が巻き取られてバケット5が閉じ、クラムシェルバケット5による掘削を行うことができる。
【0049】
(4)巻き上げ
バケット5によって土砂等を掘削した後、つまりバケット5が全閉した後、オペレータが操作レバー13をそのまま巻き上げ側に操作していると、バケット5の巻き上げが開始される。
【0050】
掘削の状態と同様に、操作レバー13は巻き上げ側に操作され、ブレーキペダルはオン(オフでもよい)、かつ保持ボタン26はオフであるので、ブレーキ特性選択部31は、図5(b)のブレーキ特性をそのまま選択し、演算部32は、図5(b)のブレーキ特性を実現するように算出した比例弁20,21の駆動量を電気信号として比例弁20,21に出力する。
【0051】
比例弁20は、上述した掘削の場合と同様に駆動され、ブレーキ装置16aはクラッチ装置として機能し、油圧モータ12aの回転をウインチドラム6aに伝達する。ウインチドラム6aの回転により、開閉ロープ7は最大張力Tkmaxで巻き取られる。なお、比例弁21は上述した掘削の場合と同様に駆動される。
【0052】
つまり、ブレーキペダル22の操作量に関わらず、開閉ロープ7の張力Tkは最大値Tkmaxに制御され、支持ロープ9の張力Tsは開閉ロープ7の張力Tkmaxよりも小さい所定値Tsmに制御される。これにより、バケット5は確実に閉じたまま、掘削した土砂がこぼれ落ちることなく巻き上げられる。なお、支持ロープ9の所定の張力Tsmは、バケット5が開閉ロープ7によって巻き上げられる際に支持ロープ9を弛緩させない程度の値が設定される。
【0053】
(5)旋回
土砂を掘削して所定の位置までバケット5を巻き上げた後、土砂を排出するためにダンプ車両等の位置まで旋回を行う。旋回を行うために、オペレータは操作レバー13を中立位置に戻し、ブレーキペダル22を踏み込んで、保持ボタン26をオンする。さらに、クレーン本体の上部旋回体3を旋回させるために、オペレータは不図示の旋回レバーを操作する。クレーンの旋回動作については周知であるので詳細な説明を省略する。
【0054】
ブレーキ特性選択部31は、操作レバー13が中立、ブレーキペダル22がオン、かつ保持ボタン26がオンの場合に、旋回と判断して、図5(c)のブレーキ特性を選択する。演算部32は、操作量検出器24で検出されたブレーキペダル22の操作量に基づいて、図5(c)のブレーキ特性を実現するための比例弁20,21の駆動量を算出し、比例弁20,21に電気信号を出力する。
【0055】
比例弁21は、図5(c)に示すように支持ロープ9に最大張力Tsmaxを発生させるブレーキ力を支持ウインチ8に発生させるように駆動される。ブレーキシリンダ18bのロッド室aはタンクと連通してロッド室a内の圧力が低下し、インナディスク17fとアウタディスク16cとが圧接される。これにより、ブレーキが作動してウインチドラム8aの回転は阻止される。
【0056】
比例弁20は、図5(c)に示すように開閉ロープ9に張力Tkを発生させるようなブレーキ力を支持ウインチ8に発生させるように駆動される。なお、開閉ロープ7の張力Tkは、ブレーキペダル22の操作量が大きくなるほど大きくなるように設定される。
【0057】
つまり、支持ロープ9の張力Tsは、ブレーキペダル22の操作量に関わらず最大値Tsmaxに制御され、開閉ロープ7の張力Tkは、ブレーキペダル22の操作量が大きくなるほど大きくなるように制御される。これにより、バケット5が所定の位置(高さ)で保持されるとともに、ブレーキペダル22を踏み込んでいるのでバケット5が開くことなく旋回を行うことができる。
【0058】
(6)排土
土砂を積んだバケット5を所定位置まで旋回させた後、バケット5を開いて土砂を排出する。排土を行うために、オペレータはブレーキペダル22を解放する。
【0059】
ブレーキ特性選択部31は、旋回の状態から、操作量検出器24によって検出されるブレーキペダル22の操作量が低下して「開閉ウインチ6のブレーキ力<土砂をふくんだバケット5の重量」となると、排土と判断し、旋回と同様に図5(c)のブレーキ特性を選択する。つまり、操作レバー13が中立で、ブレーキペダル22がオフで、かつ保持ボタン26がオンである場合は、排土と判断する。演算部32は、図5(c)のブレーキ特性を実現するための比例弁20,21の駆動量を算出し、比例弁20,21に電気信号を出力する。
【0060】
排土を行う場合はブレーキペダル22が解放されるので、比例弁20は、上述した(5)旋回の状態から開閉ロープ7の張力Tkを小さく、つまり開閉ウインチ6に作用するブレーキ力を小さくするように駆動される。比例弁20は、コントローラ30からの信号に応じて図面左側に駆動され、油圧源19aからの圧油がブレーキシリンダ18aのロッド室aに供給される。これによってブレーキシリンダ18aはばね力に抗して収縮し、インナディスク17fとアウタディスク16cとの間の圧接力が除去されてブレーキが解除される。ブレーキが解除されるとウインチドラム6aは吊り荷の負荷によって自由回転状態となる。
【0061】
一方、比例弁21は、上述した(5)旋回の場合と同様に図5(c)に示すように支持ロープ9に最大張力Tsmaxを発生させるブレーキ力を支持ウインチ8に作用させるように駆動される。
【0062】
つまり、支持ロープ9の張力Tsは最大値Tsmaxに制御され、開閉ロープ7の張力Tkは、ブレーキペダル22の操作量が小さくなるほど小さくなるように制御される。これにより、バケット5が支持ロープ9によって所定の位置で保持されるとともに、開閉ウインチ6が自由回転状態となって開閉ロープ7が繰り出され、吊り荷の自重によってバケット5が開き、排土が行われる。
【0063】
コントローラ30は、モード切換スイッチ27によってクラムシェル作業モードの代わりにクレーン作業モードが入力されると、操作量検出器25によって検出されるブレーキペダル25の操作量の検出値を有効とするとともに、切換弁28を位置bに切り換える。これにより、制御弁15aのパイロット管路と制御弁15bのパイロット管路との連通が遮断され、第1のウインチ6の駆動は操作レバー13およびブレーキペダル22に応じて制御され、第2のウインチ8の駆動は操作レバー14およびブレーキペダル23の操作に応じて制御される。
【0064】
以上説明したように、本発明によるウインチの駆動制御装置においては、クラムシェル作業モードが選択された場合に、1つの操作レバーと1つのブレーキペダルの操作に基づいて、第1のウインチおよび第2のウインチに作用させるブレーキ力を制御するようにした。これにより、オペレータはクラムシェル作業を行う際に1つの操作レバーと1つのブレーキペダルを操作するだけでよく、作業を行う際の負荷が軽減される。
【0065】
それぞれのウインチに作用させるブレーキ力のブレーキ特性は、ロープの乱巻やクラムシェルバケットの不所望な開閉が生じないようにクラムシェル作業の動作に応じて適切に設定される。このため、開閉ロープと支持ロープを同調させるための操作を2つの操作レバーを用いて手動で行う必要がなくなり、オペレータの疲労が軽減されるとともに、掘削効率も向上する。また、巻き上げ中にバケットが開いて掘削物が落下するということもなくなり、良好にクラムシェル作業を行うことができる。さらに、熟練を積んでいないオペレータでも容易に操作することができ、現場での作業員不足等を解消する期待ももたれる。
【0066】
−実施の形態の変形例−
上述した一実施の形態においては、本発明によるウインチの駆動制御装置が搭載されるクレーンにモード切換スイッチを設け、クレーン作業モードとクラムシェル作業モードとを選択できるようにした。しかし、クラムシェル作業専用の作業機にも、本発明によるウインチの駆動制御装置を適用することができる。
【0067】
図7に、本発明の一実施の形態の変形例によるウインチの制御装置の構成を示す油圧回路図を示す。なお、図7において、図3の油圧回路と同一の機能を有するものには同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。ここでは、上述した実施の形態との相違点を主に説明する。
【0068】
図7に示すように一実施の形態の変形例においては、図3の油圧回路図と比べて、支持ウインチ8の制動を制御するブレーキペダル23およびその操作量を検出する検出器25と,クラムシェル作業モードとクレーン作業モードとを切り換えるモード切換スイッチ27と、制御弁15aのパイロット管路と制御弁15bのパイロット管路との連通/非連通を切り換える切換弁28とが省略されている。つまり、本発明によるウインチの駆動制御装置が搭載されるクラムシェル作業専用の作業機においては、開閉ウインチ6および支持ウインチ8の駆動を制御する操作レバーおよびブレーキペダルはそれぞれ1つずつ設けられていればよい。
【0069】
コントローラ30で行われるブレーキ特性の選択および比例弁20,21の駆動量の算出等は上述した実施の形態と同様である。
【0070】
このように、クラムシェル作業を専用に行う作業機に本発明によるウインチの駆動制御装置を搭載した場合は、操作レバーとブレーキペダルを1つずつ設ければよいので、上述した効果に加えて、オペレータはどのレバーやペダルを操作すればよいのか混乱することなく容易且つ正確ににクラムシェル作業を行うことができる。
【0071】
なお、以上説明した実施の形態においては、開閉ウインチ6および支持ウインチ8にそれぞれ遊星減速機構17aと、ブレーキアンドクラッチ装置の機能を有するブレーキ装置16aとを設けた例を説明した。しかしながら、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の変形が可能である。例えば、油圧モータの回転をウインチドラムに伝達する減速機構を油圧モータの回転軸に設け、ウインチドラムを制動するブレーキ装置をウインチドラムに設けてもよい。
【0072】
また、クラムシェルバケット5を降下させる場合にフリーフォールを用いるとして説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、ウインチを利用して動力巻き下げを行うようにしてもよい。動力巻下げを行う場合にも、開閉ウインチ6と支持ウインチ8に発生させるブレーキ力は、図5(a)に示すブレーキ特性を実現するように制御される。つまり、クラムシェルバケット5が接地して地面に食い込むまでクラムシェルバケット5が閉じないように、開閉ロープの張力Tk<支持ロープの張力Tsとなるように制御される。
【0073】
さらに、開閉ウインチ6および支持ウインチ8を油圧モータ12a、12bによって回転駆動したが、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、電気モータ等を用いてもよい。
【0074】
つまり、本発明によるウインチの駆動制御装置は、開閉ロープおよび支持ロープのそれぞれの張力、つまり開閉ウインチおよび支持ウインチのそれぞれにかかるトルクを適切に制御してクラムシェル作業を容易に行うことができるように構成したものであり、それぞれのウインチにかかるトルクを制御するために、クラムシェル作業機の動作に応じて開閉ウインチおよび支持ウインチに作用するブレーキ力を図5(a)〜(c)に示すような特性を実現するように制御したものである。
【0075】
以上の実施の形態において、開閉ウインチ6が第1のウインチ装置を、支持ウインチ8が第2のウインチ装置を、油圧モータ12aが第1の駆動装置を、油圧モータ12bが第2の駆動装置を、ブレーキ装置16aが第1の動力伝達機構を、ブレーキ装置16bが第2の動力伝達機構を、操作レバー13が操作指令部材を、コントローラ30が制御装置を、ブレーキペダル22およびポテンショメータ24が制動指令部材を構成する。
【0076】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のウインチの駆動制御装置によれば、1つの操作指令部材からの指令に基づいて第1のウインチ装置および第2のウインチ装置のトルクをそれぞれ制御するようにしたので、オペレータにかかる負担が軽減され、容易に作業を行うことができる。
また、本発明のウインチの駆動制御装置によれば、1つの操作指令部材および1つの制動指令部材からの指令に基づいて、2つのブレーキ装置に発生させるブレーキ力を制御することにより、第1のウインチ装置および第2のウインチ装置のトルクをそれぞれ制御するようにしたので、オペレータの疲労が軽減され、掘削効率も上昇する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態によるウインチの駆動制御装置を搭載したクレーンの側面図。
【図2】(a)図1に示すクラムシェルバケットが開いた状態を示す図、(b)クラムシェルバケットが閉じた状態を示す図。
【図3】 本発明の一実施の形態によるウインチの駆動制御装置の油圧回路図。
【図4】 図3に示すコントローラとその周辺の構成を示すブロック図。
【図5】(a)降下・制動時のブレーキ特性の一例を示す図、(b)掘削・巻き上げ時のブレーキ特性の一例を示す図、(c)旋回・排土時のブレーキ特性の一例を示す図。
【図6】 本発明の一実施の形態によるウインチの駆動制御装置における、それぞれの動作と操作レバーおよびブレーキペダルの操作との関係を示す図。
【図7】 本発明の実施の形態の変形例によるウインチの駆動制御装置の油圧回路図。
【符号の説明】
5:クラムシェルバケット
6:開閉用の第1のウインチ
7:開閉ロープ
8:支持用の第2のウインチ
9:支持ロープ
12a、12b:油圧モータ
13,14:操作レバー
15a、15b:制御弁
16a、16b:ブレーキ装置
17a:遊星減速機構
18a、18b:ブレーキシリンダ
20,21:電磁比例減圧弁
22,23:ブレーキペダル
24,25:ポテンショメータ
26:保持ボタン
27:モード切換スイッチ
28:切換弁
29:圧力センサ
30:コントローラ
Claims (7)
- 第1の駆動装置によって巻き上げ/巻下げ駆動される第1のウインチ装置と、
第2の駆動装置によって巻き上げ/巻下げ駆動される第2のウインチ装置と、
前記第1の駆動装置による駆動力を制動する第1のブレーキ装置と、
前記第2の駆動装置による駆動力を制動する第2のブレーキ装置と、
前記第1のウインチ装置および前記第2のウインチ装置に駆動指令を出力する操作指令手段と、
前記第1のブレーキ装置および前記第2のブレーキ装置に制動指令を出力する制動指令手段と、
前記操作指令手段および前記制動指令手段からの指令に基づいて、前記第1のウインチ装置および前記第2のウインチ装置のトルクをそれぞれ制御するように前記第1のブレーキ装置および前記第2のブレーキ装置の作動を制御する制御装置とを備えたウインチの駆動制御装置において、
前記制御装置は、
前記第1のウインチ装置および前記第2のウインチ装置が搭載される作業機械の動作に対応して予め設定された、前記制動指令手段の操作量と前記第1のウインチ装置および前記第2のウインチ装置に作用するブレーキ力との関係を表すブレーキ特性を記憶するとともに、前記操作指令手段および前記制動指令手段からの操作信号に基づいて、前記作業機械の動作を判断し、前記記憶されたブレーキ特性から、前記作業機械の動作に対応するブレーキ特性を選択するブレーキ特性選択部を有し、
前記ブレーキ特性選択部で選択された前記ブレーキ特性に応じて前記第1のウインチ装置および前記第2のウインチ装置に作用する前記ブレーキ力を制御するように、前記第1のブレーキ装置および前記第2のブレーキ装置の作動を制御することを特徴とするウインチの駆動制御装置。 - 請求項1に記載のウインチの駆動制御装置において、
前記第1のウインチ装置および前記第2のウインチ装置のいずれか一方に駆動指令を出力する第2の操作指令手段と、
前記第1のブレーキ装置および前記第2のブレーキ装置のいずれか一方に制動指令を出力する第2の制動指令手段と、
前記作業機械で行う作業の種類を切り換えるモード切換手段をさらに備え、
前記制御装置は、(1)前記モード切換手段によって第1の作業モードが選択されると、前記操作指令手段、前記制動指令手段、前記第2の操作指令手段、および前記第2の制動指令手段からの指令に基づいて、対応する前記第1または第2のウインチ装置のトルクをそれぞれ制御し、(2)前記モード切換手段によって第2の作業モードが選択されると、前記操作指令手段および前記制動指令手段からの指令のみに基づいて、前記作業機械の動作に対応して選択されたブレーキ特性に応じて前記第1のウインチ装置および前記第2のウインチ装置のトルクを制御することを特徴とするウインチの駆動制御装置。 - 請求項2に記載のウインチの駆動制御装置において、
前記第2の作業モードは、クラムシェルバケットを装着して行うクラムシェル作業であり、
前記第1のウインチ装置は、前記クラムシェルバケットの開閉動作を行う開閉ロープを巻き取る開閉ウインチであり、
前記第2のウインチ装置は、前記クラムシェルバケットを支持する支持ロープを巻き取る支持ウインチであることを特徴とするウインチの駆動制御装置。 - 請求項3に記載のウインチの駆動制御装置において、
前記操作指令手段が操作されたことを検出する第1の検出器と、
前記制動指令手段の操作量を検出する第2の検出器とをさらに有し、
前記第1のブレーキ装置および前記第2のブレーキ装置は、それぞれ油圧シリンダによって駆動され、
前記制御装置は、前記第1の検出器および前記第2の検出器の検出結果に基づいて、前記第1のウインチ装置および前記第2のウインチ装置のそれぞれのトルクを設定し、前記設定されたトルクを実現するように前記2つの油圧シリンダに導かれる圧油の流れをそれぞれ制御して前記2つのブレーキ装置に発生させるブレーキ力を制御することを特徴とするウインチの駆動制御装置。 - 請求項3または請求項4に記載のウインチの駆動制御装置において、
前記作業機械の動作がバケットの降下である場合に対応するブレーキ特性は、前記第2のブレーキ装置のブレーキ力が前記第1のブレーキ装置のブレーキ力よりも大きく、かつ、それぞれのブレーキ力が前記制動指令手段の操作量に応じて大きくなるように設定されていることを特徴とするウインチの駆動制御装置。 - 請求項3または請求項4に記載のウインチの駆動制御装置において、
前記作業機械の動作がバケットによる掘削・巻き上げである場合に対応するブレーキ特性は、前記第1のブレーキ装置のブレーキ力が最大で、前記第2のブレーキ装置のブレーキ力が前記第1のブレーキ装置のブレーキ力よりも小さくなるように設定されていることを特徴とするウインチの駆動制御装置。 - 請求項3または請求項4に記載のウインチの駆動制御装置において、
前記バケットを所定の位置で保持するための保持スイッチをさらに有し、
前記ブレーキ特性選択部は、前記操作指令手段および前記制動指令手段からの前記指令に加えて、前記保持スイッチからの信号に基づいて、前記作業機械の動作を判断し、
前記作業機械の動作が前記バケットによる掘削物の解放である場合に対応するブレーキ特性は、前記第2のブレーキ装置のブレーキ力が最大で、前記第1のブレーキ装置のブレーキ力が前記第2のブレーキ装置のブレーキ力よりも小さくかつ前記制動指令手段の操作量に応じて大きくなるように設定されていることを特徴とするウインチの駆動制御装置。
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