JP4197706B2 - リン酸基含有不飽和単量体及び不飽和液状オリゴマーを共重合してなる固体高分子電解質膜及びそれを用いた燃料電池 - Google Patents
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Description
(b) (i) 各々分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有するブタジエンオリゴマー、イソプレンオリゴマー及びこれらの誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種の共役ジエン系液状オリゴマー、(ii) 各々分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する水素化ブタジエンオリゴマー、水素化イソプレンオリゴマー及びこれらの誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種の水素化共役ジエン系液状オリゴマー、並びに(iii) 少なくともビニル芳香族単位及び共役ジエン単位を有し、かつ分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有するビニル芳香族−共役ジエン共重合系液状オリゴマー又はその誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種と、
(c) 下記一般式(2):
を共重合してなり、プロトン伝導性を有することを特徴とする。
本発明の導電性高分子、固体高分子電解質膜及び難燃剤の主原料であるリン酸基含有不飽和単量体は下記一般式(1):
本発明の導電性高分子及び固体高分子電解質膜は、(a) 少なくとも上記リン酸基含有不飽和単量体と、(b) 以下に述べる(i) 共役ジエン系液状オリゴマー、(ii) 水素化共役ジエン系液状オリゴマー及び(iii) ビニル芳香族−共役ジエン共重合系液状オリゴマー又はその誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種とを共重合してなる(以下上記三種のオリゴマーをまとめて「不飽和液状オリゴマー」とよぶ)。固体高分子電解質膜が不飽和液状オリゴマー成分を含むことにより、耐溶剤性、特にメタノールクロスオーバー防止性(直接型メタノール固体高分子型燃料電池の電解質膜として用いた場合に、メタノールが固体高分子電解質膜を透過してしまうのを防止できる性能)が向上する。
(a) 共役ジエン系液状オリゴマー
共役ジエン系液状オリゴマーは、ブタジエンオリゴマー、イソプレンオリゴマー及びこれらの誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種である。共役ジエン系液状オリゴマーは、下記一般式(3):
水素化共役ジエン系液状オリゴマーは上記共役ジエン系液状オリゴマーを水素化したものであり、下記一般式(4):
ビニル芳香族−共役ジエン共重合系液状オリゴマーは、少なくともビニル芳香族単位及び共役ジエン単位を有し、かつ分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する共重合体からなる。ビニル芳香族成分としてはスチレンが好ましい。共役ジエン成分としてはイソプレン及び1, 3-ブタジエンが好ましい。ビニル芳香族−共役ジエン共重合系液状オリゴマー中のビニル芳香族成分及び共役ジエン成分の割合は特に制限されず、要求される靭性、可撓性、機械的強度等の物性に応じて適宜設定すればよい。
リン酸基含有不飽和単量体及び不飽和液状オリゴマーの配合割合は、式(リン酸基含有不飽和単量体)/(不飽和液状オリゴマー)により表される質量比が90/10〜40/60の範囲であるのが好ましく、85/15〜50/50の範囲であるのがより好ましい。
本発明の導電性高分子及び固体高分子電解質膜は、リン酸基含有不飽和単量体及び不飽和液状オリゴマー以外のその他の不飽和化合物を共重合成分として含んでもよい。その他の不飽和化合物は以下の2群(a) 分子内にエチレン性不飽和結合と酸性基とを各々1個以上有する不飽和化合物、及び(b) 分子内に1個以上のエチレン性不飽和結合を有するが酸性基を有しない不飽和化合物に大別できる。
導電性高分子及び固体高分子電解質膜は、導電性、造膜性、耐薬品性等の向上を目的として、酸性基を含有するその他の不飽和化合物を共重合成分として含んでもよい。酸性基としては、リン酸基、スルホン酸基、カルボン酸基、アルコール性水酸基及びホスホン酸基からなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。エチレン性不飽和結合を有する骨格としては、(メタ)アクリレート骨格、(メタ)アリルエステル骨格等を挙げることができる。
リン酸基を含有するその他の不飽和単量体の例示化合物としては、下記一般式(12):
スルホン酸基を含有する不飽和単量体としては、例えば特開2004-179154号に記載の固体高分子電解質膜が共重合成分として含有してもよいスルホン酸基含有不飽和単量体が挙げられる。具体的には、ターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、p-スチレンスルホン酸、(メタ)アクリル酸ブチル-4-スルホン酸、(メタ)アクリロオキシベンゼンスルホン酸等が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。
カルボン酸基を含有する不飽和単量体の例示化合物としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸無水物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。
アルコール性水酸基を含有する不飽和単量体としては、グリセロールジメタクリレート[例えば商品名「ブレンマーGMR」、「同GMR-R」、「同GMR-H」(以上日本油脂株式会社製)等]、グリセロールメタクリレートアクリレート[例えば商品名「ブレンマーGAM」、「同GAM-R」(以上日本油脂株式会社製)等]等のグリセロールジ(メタ)アクリレート;1, 6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルアクリレート[例えば商品名「NK オリゴ EA-5521」(新中村化学工業株式会社製)等];1, 4-ブタンジオールジグリシジルエーテルアクリレート[例えば商品名「NK オリゴ EA-5520」(新中村化学工業株式会社製)等];ビスフェノールA型エポキシアクリレート[例えば商品名「NK オリゴ EA-1020」(新中村化学工業株式会社製)等];2-ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の2-ヒドロキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ホスホン酸基を含有する不飽和単量体として、例えばWO2005/080454に記載のホスホン酸基含有(メタ)アクリルアミドが挙げられる。このホスホン酸基含有(メタ)アクリルアミドは、(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系単量体と、無水リン酸とを反応させ、得られた反応生成物を加水分解してなる。具体例として、アクリルアミドホスホン酸、アクリルアミドジホスホン酸及びホスホン酸基含有ターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸等が挙げられる。
導電性高分子及び固体高分子電解質膜の耐溶剤性(例えば耐メタノール性等)を向上させるために、酸性基を含有する不飽和化合物として、複数個のエチレン性不飽和結合を含有するものを使用し、導電性高分子及び固体高分子電解質膜を架橋するのが好ましい。そのような架橋剤として、各々上記の式(13)により表されるリン酸基含有ジエステル不飽和単量体、並びにグリセロールジ(メタ)アクリレート、1, 6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルアクリレート、1, 4-ブタンジオールジグリシジルエーテルアクリレート、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、ヘキサメチレンジオールジアクリレート及びこれらのリン酸エステル化物が好ましい。
導電性高分子及び固体高分子電解質膜は、造膜性、耐水性、耐薬品性等の向上を目的として、酸性基を含有しない不飽和化合物(酸性基非含有不飽和化合物)を共重合成分として含んでもよい。酸性基非含有不飽和化合物としては、(a)に記載した以外の、常温で気体でない、分子内に1個以上のエチレン性不飽和結合を有する不飽和化合物がすべて対象になるが、中でも(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸エステル、アミノ基含有不飽和単量体、置換又は無置換のスチレン、ハロゲンビニル(例えば塩化ビニル等)、脂肪酸ビニルエステル(例えば酢酸ビニル等)、及びフッ素基含有不飽和単量体からなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルとして、例えば下記一般式(2):
アミノ基含有不飽和単量体としては、分子内に置換又は無置換のアミノ基及びエチレン性不飽和結合を各々1個以上有するものである限り特に制限はない。アミノ基含有不飽和単量体として、例えば特開2005-255855号に記載の固体高分子電解質膜が含む化合物が挙げられる。具体的には、N, N-ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N, N-ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N, N-ジプロピルアミノメチル(メタ)アクリレート、N, N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N, N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N, N-ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N, N-ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N, N-ジエチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N, N-ジプロピルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N, N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N, N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N, N-ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ビニルアミン、アリルアミン、N, N-ジメチル-p-アミノスチレン、ジメチル(p-ビニルベンジル)アミン、N, N-ジメチルアクリルアミド、N, N-ジメチルメタクリルアミド、ジアリルメチルアミン、2-ビニルピリジン、1-ビニルイミダゾール等が挙げられる。
フッ素基含有不飽和単量体としては、例えば特開2005-11789号に記載の固体高分子電解質膜が共重合成分として含む化合物が挙げられる。具体的には、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のハイドロフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル;パーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル;α-(トリフルオロメチル)アクリル酸等のハイドロフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸;パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、パーフルオロデシルエチレン等のパーフルオロアルキル基含有ビニル;ハイドロフルオロアルキル基含有ビニル等が好ましい。フッ素基含有不飽和単量体を共重合成分として含むことにより、導電性高分子及び固体高分子電解質膜の耐熱性及び耐水性が一層向上する。
導電性高分子及び固体高分子電解質膜の耐溶剤性を向上させるために、酸性基を有さない不飽和化合物として、複数個のエチレン性不飽和結合を含有するものを使用し、導電性高分子及び固体高分子電解質膜を架橋するのが好ましい。そのような架橋剤として、各々上記の4官能ウレタンアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びヘキサメチレンジオールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。その他にジビニルベンゼン等も挙げられる。
その他の不飽和化合物の添加量は、リン酸基含有不飽和単量体、不飽和液状オリゴマー及びその他の不飽和化合物の合計を100質量%として、一般的に70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。上記架橋剤の添加量は、0.5質量%以上であるのが好ましく、1質量%以上であるのがより好ましい。
導電性高分子膜及び固体高分子電解質膜を製造する際の造膜性や、得られる導電性高分子膜及び固体高分子電解質膜の強度、疎水性、耐溶剤性等を一層向上させるために、導電性高分子膜及び固体高分子電解質膜を形成する共重合体と相溶し得るその他の重合体を混合することができる。その他の重合体としては、不飽和アルコール単位とハロゲンビニル単位及び/又は脂肪酸ビニル単位とを含む不飽和アルコール系共重合体(以下特段の断りがない限り、単に「不飽和アルコール系共重合体」という)、部分アセタール化不飽和アルコール系重合体、メラミン樹脂(例えばトリメトキシメチルメラミン樹脂等)、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアセタール、ウレタン樹脂、セルロース又はその変性物、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル並びにポリ酢酸ビニルからなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。中でもその他の重合体としては、不飽和アルコール系共重合体、部分アセタール化不飽和アルコール系重合体、及びメラミン樹脂が好ましい。
不飽和アルコール系共重合体は少なくとも不飽和アルコール単位とハロゲンビニル単位及び/又は脂肪酸ビニル単位とを含む。不飽和アルコール単位としては、ビニルアルコール単位、アリルアルコール単位等が挙げられるが、コストの観点からビニルアルコール単位が好ましい。ビニルアルコールは、単量体としては存在しないが、ビニル系(共)重合体の構成単位としては存在する。ビニルアルコール単位を得るには、酢酸ビニル単位を含む水酸基含有ビニル系(共)重合体を調製し、鹸化すればよい。
部分アセタール化不飽和アルコール系重合体は、不飽和アルコール単位を主成分とする不飽和アルコール系重合体とアルデヒドを所定の割合で反応させ、部分的にアセタール化したものである。部分アセタール化する不飽和アルコール系重合体としてはポリビニルアルコールが好ましい。
その他の重合体の含有量は、プロトン伝導性等の特性を阻害しない範囲であれば特に制限されず、所望の物性に応じて適宜設定すればよい。
本発明の導電性高分子及び固体高分子電解質膜は、(a) 少なくとも上記式(1)により表されるリン酸基含有不飽和単量体、上記不飽和液状オリゴマー、光増感剤及び溶媒を含有する組成物を支持基板に流延し、光重合させるか、(b) 少なくとも上記式(1)により表されるリン酸基含有不飽和単量体及び上記不飽和液状オリゴマーを熱重合させた共重合体を調製し、得られた共重合体をキャスト法により膜化することにより製造できる。
光重合法による固体高分子電解質膜の製造は、[リン酸基含有不飽和単量体+不飽和液状オリゴマー+光増感剤(+その他の不飽和化合物)]からなる不飽和組成物を、これが付着しない材料(例えばフッ素系重合体等)により被覆された支持基板に流延し、紫外線透過性板で覆った後、紫外線を照射して共重合させるものである。上記その他の重合体も混合する場合、これを予め上記組成物に添加する。光増感剤及びその使用量、支持基板及び紫外線透過性板の材料、紫外線の強度及びその照射時間、上記組成物の希釈剤等については公知であり、例えば特開2003-86021号に記載されているので、これらの詳細な説明は省略する。特開2003-86021号に記載されているように、必要に応じて、上記組成物を補強材に含浸させるか塗布した後、補強材を紫外線透過性の支持基板に挟み、紫外線を照射して光重合させることにより、複合膜化してもよい。
(i) 熱重合による共重合体の調製
熱重合反応は、導電性高分子用不飽和原料[リン酸基含有不飽和単量体+不飽和液状オリゴマー+重合開始剤+溶媒]及び生成する重合体の双方が溶解する共通溶媒中で、アンモニウムパーサルフェート(APS)、カリウムパーサルフェート(KPS)、アセチルパーオキサイド、イソプロピルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物系開始剤、2, 2’-アゾビスイソブチロニトリル、2, 2 ’-アゾビス(2, 4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2, 2 ’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、ジメチル2, 2 ’-アゾビスイソブチレート等のアゾ系開始剤、あるいはラウリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、tert-ブチルパーオキシ・ピバレート等の過酸化物系開始剤、過酸化水素等の重合開始剤を用いて、ラジカル重合により行う。
熱重合により調製した共重合体はキャスト法により膜化する。キャスト法は、共重合体の溶液又は分散液を水平な支持体(例えばガラス板、トレイ等)上に流延し、重合反応に用いた溶媒を蒸発させるものである。上記その他の重合体を混合する場合は、これを共重合体の溶液又は分散液に予め添加する。溶媒は、キャストした溶液又は分散液を加熱したり、減圧したりすることにより蒸発させる。具体的には90〜150℃の温度で1〜30分程度加熱乾燥処理するのが好ましい。加熱乾燥処理時の圧力は常圧〜10 mmHg(絶対圧)とするのが好ましい。キャスト膜の厚さは通常20〜500μm、好ましくは20〜200μm程度とする。
以上のような導電性高分子は、通常の場合、その表面固有抵抗が相対湿度50〜75%/室温の条件下で106〜107 Ωである。さらに導電性高分子は、耐水性、耐薬品性及び各種基材に対する密着性にも優れている。このような特性を有する導電性高分子は、生体電極の装着時に皮膚と電極素子の間に介在させる生体電極用導電性高分子として有用である。なお導電性高分子はリン原子を含有しているので、難燃性や無機フィラーの分散性にも優れている。
本発明の固体高分子電解質膜は、50〜90%の相対湿度及び30〜90℃の温度条件下において10-3〜10-2 S・cm-1の優れたプロトン導電率を有し、係るプロトン伝導性は温度依存性が小さい。さらに耐水性及び耐薬品性(耐メタノール性)にも優れているので、燃料電池用電解質膜として好適である。ここで導電率とは、複素インピーダンス法により測定したデータを平面複素インピーダンス解析し、さらにcole-cole プロット図形処理をして得られた抵抗値から求めたものである。本発明の固体高分子電解質膜は、(a) 不飽和液状オリゴマー単位、及びリン酸基含有不飽和単量体のエチレン性不飽和結合に由来する炭化水素骨格からなる疎水部と、(b) リン酸基含有不飽和単量体に由来するリン酸基、エステル結合及び(ポリ)オキシブチル基の連鎖からなる親水部とを有する構造をとるので、親水部が効率的なプロトン伝導経路となるものと推測される。
燃料電池の構造は公知のものでよい。通常燃料電池は複数個の単位燃料電池(膜−電極接合体)を、セパレータを介して積層することにより形成することができる。単位燃料電池は、固体高分子電解質膜と、その両側に接合されたアノード電極及びカソード電極とから構成される。電極は、ガス拡散層(多孔性の炭素系材料等)と触媒層(白金粒子等)とからなる。触媒層はガス拡散層上に触媒粒子が塗布されることにより形成される。
本発明のコーティング剤は、上記導電性高分子を含むものである。溶媒としては上記の熱重合に使用可能な溶媒が使用できる。コーティング剤を使用する際には、良溶媒を用いてコーティング剤を塗布に適した濃度に希釈するのが好ましい。良溶媒として脂肪族低級アルコールが好ましい。ただし架橋化した導電性高分子は溶媒に溶解しないので、コーティング剤には架橋化していない導電性高分子を使用する。
本発明の難燃剤は、少なくとも上記リン酸基含有不飽和単量体と、下記一般式(5):
式(5)中のR12は、重合性を向上させるために水素基が好ましい。R13は重合体を調製した場合の電解質基密度を向上させるために水素基が好ましい。R13が炭化水素基である場合、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基等のアリール基等を挙げることができる。これらの炭化水素基は置換されていてもよく、置換基の例としては、錯塩を形成していてもよいスルホン酸基等を挙げることができる。中でも置換炭化水素基としては、重合体を調製した場合の電解質基密度を向上させるために、錯塩を形成していてもよいスルホン酸基を有するものが好ましい。
N, N-ジアルキル(メタ)アクリルアミドは、下記一般式(21):
(a) リン酸基含有不飽和単量体と、(b) (メタ)アクリルアミド系単量体、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸及びN, N-ジアルキル(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれた少なくとも一種との質量比(a)/(b)は特に制限されず、所望の物性に応じて適宜選択すればよい。通常質量比(a)/(b)は20/80〜80/20の範囲であるのが好ましい。この比の下限は30/70以上であるのがより好ましく、40/60以上であるのがさらに好ましい。
難燃剤は、リン酸基含有不飽和単量体、(メタ)アクリルアミド系単量体、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸及びN, N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド以外に、共重合可能なその他の不飽和化合物を含んでもよい。そのようなその他の不飽和化合物として、上記不飽和液状オリゴマー及び上記[B](3)に記載のその他の不飽和化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種を選択するのが好ましい。その配合割合は特に制限されないが、難燃剤全体を100質量%として、その他の不飽和化合物が50質量%以下であるのが好ましい。
本発明の難燃剤は、上記共重合体のみからなるのが好ましいが、必要に応じてその他の公知の有機又は無機の難燃性化合物を難燃助剤として含んでもよい。公知の難燃性化合物として、例えば上記リン酸基を含有するその他の不飽和単量体の重合体が挙げられる。
本発明の難燃剤はガスバーナーの先端に設置し、炎に20秒間以上曝しても炭化するのみであり、着火しない。
本発明の難燃剤は、少なくとも上記リン酸基含有不飽和単量体と、上記式(5)により表される(メタ)アクリルアミド系単量体、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸及びN, N-ジアルキル(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれた少なくとも一種とを含む難燃剤用不飽和原料を、重合開始剤の存在下、ケトン類及びアルコール類溶媒中でラジカル重合することにより製造できる。
本発明の難燃剤の使用対象として、プラスチック、紙製品(障子紙、襖紙、壁紙、板紙、合成紙等)等のセルロース系材料、布等の繊維材料、木材系建築材料等が挙げられる。本発明の難燃剤は白色粉末状であり、プラスチック中に容易に溶解又は分散するので、特にプラスチック用難燃剤として有用である。特にアミン変性したものは耐熱性が高く、耐熱性プラスチック用難燃剤に好適である。プラスチックは特に限定されず、熱可塑性及び熱硬化性のいずれの合成樹脂でもよいが、熱可塑性樹脂への使用が一般的である。熱可塑性樹脂として、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン;ポリ(スチレン);ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリアセタール;ポリアミド等が挙げられる。熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。
(アシッド・ホスホオキシブチルアクリレートの調製)
還流冷却管、粉末投入口及び温度計を接続した自動合成反応装置(内容積1L、ユニケミカル株式会社製)に、576 g(4モル)の4-ヒドロキシブチルアクリレート、及び0.2 gのハイドロキノンモノメチルエーテルを入れ、2,120 rpmで攪拌しながら30℃(液温)で61 g(0.43モル)のP2O5を投入した。反応液は70℃まで上昇したが、20分間かけて36℃まで冷却後、8g(0.44モル)の水を添加し、5分間以上冷却しながら攪拌した。反応液を35〜78℃の温度範囲に調整し、上記P2O5及び水の添加操作を合計5回繰り返した後[P2O5の合計添加量:312g(2.2モル)、水の合計添加量:43g(2.4モル)]、70℃で1時間熟成反応を行った。得られた生成物の100℃不揮発分は99.3質量%であり、酸価(1gの反応溶液を100gの50質量%メタノール水に溶解し、1NのKOH水溶液により測定。)は432 mg/g(理論酸価:500 mg/g)であり、屈折率は1.4654(20℃)であった。
得られたアシッド・ホスホオキシブチルアクリレートを用い、表3に示す配合割合の不飽和組成物を調製し、これらを各々フッ素系樹脂フィルムを付着した2枚のガラス平板間に挟んだ状態とした。高圧水銀灯(東芝電材株式会社製トスキュア400,HC-0411型)を用いて、100 mW/cm2の強度で裏表からそれぞれ5分間ずつ紫外線を組成物に照射し(照射距離:10 cm)、光重合させることにより膜を作製した。
(1) 耐水性:縦1cm×横4cmの帯状サンプルを切り出し、縦×横の面積を測定し、これを基準とした。切り出したサンプルを室温の水に浸漬し、30分後に取り出し、縦横の長さをそれぞれ測定し、かかる縦×横の面積を算出し、基準面積に対する増加率を膨潤率とした。
(2) 耐メタノール性:縦1cm×横4cmの帯状サンプルを切り出し、縦×横の面積を測定し、これを基準とした。切り出したサンプルを室温のメタノールに浸漬し、30分後に取り出し、縦横の長さをそれぞれ測定し、かかる縦×横の面積を算出し、基準面積に対する増加率を膨潤率とした。
(3) 表面固有抵抗:表面固有抵抗測定器(東亜電波工業株式会社製 SME-8310)により、RH 55%/25℃の条件で測定した。
(4) プロトン伝導性:複素インピーダンス法を用いて測定した。3cm×1cmの矩形状サンプルを切り出し、開放系インピーダンスセルに設置した。このセルを恒温恒湿器内に設置し、相対湿度:90%、測定温度範囲:35〜80℃でのインピーダンス測定を行った。得られたデータを平面複素インピーダンス解析し、その結果をcole-cole プロット図形処理をして得られたサンプルの抵抗値から導電率を求めた。
(難燃剤の調製及び評価)
実施例1と同様にして調製した24.6 g(0.11モル)のアシッド・ホスホオキシブチルアクリレートと、23.2 g(0.33モル)のアクリルアミドとを、250 gのイソプロパノールに溶解し、自動合成反応装置(内容積1L、ユニケミカル株式会社製)に入れた。N2ガスの流通下、60〜65℃の温度に保持しながら60〜90 rpmで1時間攪拌した。次いで、2, 2 ’-アゾビス(2, 4-ジメチルバレロニトリル)(商品名「V-65」、和光純薬株式会社製)の1質量%イソプロパノール(IPA)液(触媒液)を9mL調製し、分割投入した。まず3mLの触媒液を、攪拌下60℃で反応溶液に滴下すると、反応溶液は一時的に67℃まで上昇し白濁した。60〜65℃で1時間攪拌を持続した。次いで攪拌下60℃で3mLの触媒液を滴下し、1時間後同条件下でさらに同量の触媒液を滴下した。全量の触媒液を滴下後、70℃で2時間熟成反応を持続した。得られた反応溶液は上澄み液と樹脂沈降物とに分離した。
(難燃剤の調製及び評価)
実施例1と同様にして調製した15.7 g(0.07モル)のアシッド・ホスホオキシブチルアクリレートと、15.5 g(0.22モル)のアクリルアミドと、7.4 g(0.07モル)のトリエチルアミンとを、220 gのイソプロパノールに溶解し、自動合成反応装置(内容積1L、ユニケミカル株式会社製)に入れた。N2ガスの流通下、60〜65℃の温度に保持しながら60〜90 rpmで1時間攪拌した後、実施例5と同様にして9mLの2, 2 ’-アゾビス(2, 4-ジメチルバレロニトリル)の1質量%イソプロパノール(IPA)液を分割投入した。全量の触媒液を滴下後、70℃で2時間熟成反応を持続した。得られた反応溶液は上澄み液と樹脂沈降物とに分離した。
Claims (5)
- 少なくとも(a) 下記一般式(1):
(b) (i) 各々分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有するブタジエンオリゴマー、イソプレンオリゴマー及びこれらの誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種の共役ジエン系液状オリゴマー、(ii) 各々分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する水素化ブタジエンオリゴマー、水素化イソプレンオリゴマー及びこれらの誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種の水素化共役ジエン系液状オリゴマー、並びに(iii) 少なくともビニル芳香族単位及び共役ジエン単位を有し、かつ分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有するビニル芳香族−共役ジエン共重合系液状オリゴマー又はその誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種と、
(c) 下記一般式(2):
を共重合してなり、プロトン伝導性を有することを特徴とする固体高分子電解質膜。 - 請求項1に記載の固体高分子電解質膜において、前記ウレタンアクリレートはR 3 及びR 5 としてHを有し、R 4 及びR 6 としてCH 3 を有し、かつ596の分子量を有することを特徴とする固体高分子電解質膜。
- 請求項1又は2に記載の固体高分子電解質膜において、前記共役ジエン系液状オリゴマーは、下記一般式(3):
- 請求項1〜3のいずれかに記載の固体高分子電解質膜において、前記リン酸基含有不飽和単量体、前記共役ジエン系液状オリゴマー、前記水素化共役ジエン系液状オリゴマー、前記ビニル芳香族−共役ジエン共重合系液状オリゴマー及び前記ウレタンアクリレート以外に、(d) リン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、カルボン酸基及びアルコール性水酸基からなる群から選ばれた少なくとも一種の酸性基を有する不飽和化合物、及び/又は(e) (メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸エステル、アミノ基含有不飽和単量体、置換又は無置換のスチレン、ハロゲンビニル、脂肪酸ビニルエステル及びフッ素基含有不飽和単量体からなる群から選ばれた少なくとも一種の酸性基を有しない不飽和化合物も共重合してなることを特徴とする固体高分子電解質膜。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の固体高分子電解質膜を用いたことを特徴とする燃料電池。
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