JP4194027B2 - リチウム二次電池正極活物質用コバルト酸リチウムの製造方法 - Google Patents
リチウム二次電池正極活物質用コバルト酸リチウムの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム二次電池正極活物質用コバルト酸リチウムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、家庭用電子機器のポータブル化、コードレス化が急速に進むのに従い、ラップトップ型パソコン、携帯電話、ビデオカメラ等の小型電子機器の電源としてリチウムイオン二次電池のような非水電解質二次電池が実用化されている。
【0003】
このリチウムイオン二次電池については、コバルト酸リチウムがリチウムイオン二次電池の正極活物質として有用であることから、リチウム系複合酸化物に関する研究が活発に進められており、これまでに正極活物質としてコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム等の化合物について、多くの提案がなされている。
【0004】
それらの正極活物質は、その性能を高めるために様々な提案がされており、その重要な要件として、見掛け密度や加圧密度等について多くの技術が開示されている。
例えば、平均径の異なる2種以上の出発原料を焼成してなる粒子状組成物を含有してなるLipMO2のタップ密度が2.65g/cm3以上である正極活物質が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
更に、式LiCoO2で表されるコバルト酸リチウムを用いた非水電解質二次電池用の正極活質において、前記コバルト酸リチウムはSEM観察による投影図形のフェレー径が0.1〜4μmで、平均粒径が2μm以下である小結晶の一次粒子が多数集合した球状あるいは楕円球状の二次粒子からなり、前記コバルト酸リチウムのタップ密度が2.2g/cm2以上である非水系電解質二次電池正極活物質が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
さらに、実質的に一般式LiCoO2で表されるコバルト酸リチウムの微小一次粒子が多数凝集した二次粒子からなり、該二次粒子には電解液に浸透し得る微小な隙間を多数有し、さらにタップ密度が2.2g/cm3以上であるコバルト酸リチウムを用いた非水系電解質二次電池用正極活物質が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−85009号公報(第1頁)
【特許文献2】
特開2001−135313号公報(第1頁)
【特許文献3】
特開2001−155729号公報(第1頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記のコバルト酸リチウムを正極活物質に用いた非水電解液二次電池は放電容量、及び急速充放電性能の点で同時に満足されるものは現状ではなく、そのために各種の試みがなされている。例えばコバルト酸リチウムの粒子径や粒子形状を変化させることにより、電極密度を上げて電池容量を上げることや急速充放電性能を上げる試みが行われてきた。未だに十分な結果が得られていない。
【0009】
本発明の目的は、この様な従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、優れた粉体物性を有し、電極密度が高く、電池に用いた時に大きな放電容量が得られ、かつ急速充放電性能に優れるリチウム二次電池正極活物質用コバルト酸リチウムの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、リチウム複合酸化物粒子を正極活物質として使用する場合、リチウム複合酸化物の粒子特性ばかりでなく、異なる粒径を有するリチウム複合酸化物粒子を配合することにより、該粒子のもつ特性を最大限に発揮できることを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
本発明は、タップ密度1.7〜3.0g/cm3のコバルト酸リチウム(A)と、タップ密度1.0〜2.0g/cm3のコバルト酸リチウム(B)とを、前記コバルト酸リチウム(A)とコバルト酸リチウム(B)とを重量比で(A):(B)=95:5〜60:40の割合で、前記コバルト酸リチウム(A)と前記コバルト酸リチウム(B)とのタップ密度の差が0.20g/cm3以上となる様に混合し、且つ前記コバルト酸リチウム(A)は一次粒子が単分散しており、前記コバルト酸リチウム(B)は一次粒子が凝集しているものを用い、タップ密度が1.8g/cm3以上で、加圧密度が3.5〜4.0g/cm3であるコバルト酸リチウムを調製することを特徴とするリチウム二次電池正極活物質用コバルト酸リチウムの製造方法に係るものである。
【0014】
前記コバルト酸リチウム(A)と、コバルト酸リチウム(B)とを、重量比で(A):(B)=95:5〜60:40の割合で混合するのが好ましい。
前記コバルト酸リチウム(A)の平均粒子径は5〜30μmであり、前記コバルト酸リチウム(B)の平均粒子径は0.1〜10μmであるのが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明を更に具体的に説明する。
本発明のコバルト酸リチウムは、タップ密度が1.8g/cm3以上であり、且つ加圧密度が3.5〜4.0g/cm3であることを特徴とする。
【0017】
係るコバルト酸リチウムは、一般式(1)のLiaCoO2(式中、aは、0.2≦a≦1.2の範囲内の数を表す)で表わされる化合物から選ばれた少なくとも2種以上の混合物からなるか、または一般式(1)のLiaCoO2で表わされる化合物と一般式(2)のLiaCo1-yMyO2-z(式中、Mは、Coを除く遷移金属元素または原子番号9以上の元素からなる群から選択される1種以上の元素を表し、aは、0.2≦a≦1.2の範囲内の数を表し、yは、0<y≦0.4の範囲内の数を表し、zは、0≦z≦1.0の範囲内の数を表す)で表される化合物の混合物からなる。
【0018】
具体的には、LiaCoO2又はLiaCoO2のCoの一部を他の金属元素(M)で置換したものであってもよい。置換する金属元素(M)としては、Coを除く遷移金属元素または原子番号9以上の元素からなる群から選択される1種以上の元素であり、例えばNa,Mg,Al,Ca,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Ni,Zn,Si,Ga,Zr,Nb,W,Moから選ばれる1種以上である。また、LiaCoO2又はLiaCoO2のCoの一部を他の金属元素で置換したコバルト酸リチウムの表面に硫酸塩を被覆したものであってもよい。
【0019】
通常、タップ密度は、特に加圧することなく自然に粗粒と微粒が混合している粉体が充填する特性を示す。加圧密度は、加圧下で粗粒と微粒がどのように充填するかの特性を示す。本発明は、コバルト酸リチウムを非水電解質二次電池の正極活物質として使用する場合、タップ密度と加圧密度が特定の範囲にあるコバルト酸リチウムが重要であることを見出した。
【0020】
すなわち、本発明のコバルト酸リチウムのタップ密度は1.8g/cm3以上、好ましくは2.0g/cm3以上、さらに好ましくは2.5〜3.5g/cm3であるのが望ましい。
また、本発明のコバルト酸リチウムの加圧密度は3.5〜4.0g/cm3、好ましくは3.6〜4.0g/cm3、さらに好ましくは3.7〜4.0g/cm3であるのが望ましい。
本発明のコバルト酸リチウムは、タップ密度と加圧密度が上記の特定の範囲の値をとることにより、正極活質として優れた特性を有するものである。
【0021】
次に、本発明のコバルト酸リチウムの製造方法について説明する。
本発明のコバルト酸リチウムの製造方法は、タップ密度の異なる2種類又はそれ以上のコバルト酸リチウムを乾式で混合することにより得ることができる。
【0022】
具体的には、本発明のコバルト酸リチウムの製造方法は、タップ密度1.7〜3.0g/cm3のコバルト酸リチウム(A)と、タップ密度1.0〜2.0g/cm3のコバルト酸リチウム(B)とを、前記コバルト酸リチウム(A)と前記コバルト酸リチウム(B)とのタップ密度の差が0.20g/cm3以上となる様に選択して混合することを特徴とする。
【0023】
前記コバルト酸リチウム(A)と、コバルト酸リチウム(B)の混合割合は、重量比で(A):(B)=95:5〜60:40、好ましくは90:10〜80:20の割合で混合するのが好ましい。
【0024】
コバルト酸リチウム(A)は、タップ密度1.7〜3.0g/cm3、好ましくは2.0〜3.0g/cm3のものを使用するのがよい。
コバルト酸リチウム(B)は、タップ密度は1.0〜2.0g/cm3、好ましくは1.0〜1.7g/cm3のものを使用するのがよい。
【0025】
それらのコバルト酸リチウム(A)と(B)はタップ密度が異なるものを用いることが好ましく、それらのコバルト酸リチウム(A)と(B)のタップ密度の差は、0.20以上、好ましくは0.30以上のものが望ましい。
【0026】
またコバルト酸リチウム(A)は一次粒子が単分散しているものが好ましい。一次粒子が単分散しているとは最小粒子が各々ばらばらで存在していることを示し、具体的にはSEM(走査型電子顕微鏡)写真観察で確認する事が出来る。SEMでの視野の80%以上が単分散している粉体を単分散している粉と言って良い。図1は製造例1の一次粒子の揃った単分散したコバルト酸リチウム(A)の粒子構造を表すSEM写真(倍率×3000)を示す。
【0027】
係るコバルト酸リチウム(A)の平均粒子径は5〜30μm、好ましくは10〜20μmの範囲が望ましい。コバルト酸リチウム(A)は、コバルト酸リチウム(B)と比べると粗粒子である。
【0028】
また、コバルト酸リチウム(B)は、一次粒子が凝集して二次粒子を形成しているものが好ましい。一次粒子が凝集して二次粒子を形成しているとは最小粒子がファンデルワールス力及び表面電荷力により引き付けられて、粒子形状を形成している状態を示し、具体的にはSEM写真観察で確認することが出来る。SEMでの視野の80%以上が凝集している粉体を凝集している粉と言って良い。図2は製造例5の一次粒子の凝集したコバルト酸リチウム(B)の粒子構造を表すSEM写真(倍率×3000)を示す。
【0029】
係るコバルト酸リチウム(B)の平均粒子径は0.1〜10μm、好ましくは2.0〜8.0μmの範囲が望ましい。
本発明における平均粒子径は、レーザー散乱粒度分布測定装置により得られた粒度分布の累積50%(D50)の値を示す。
【0030】
本発明において、一次粒子が凝集したコバルト酸リチウム(B)と、単分散しているコバルト酸リチウム(A)を混合したコバルト酸リチウムを非水電解質二次電池の正極活物質に使用した場合、優れた電池特性を示す。その理由は、明確ではないが、かかる粒子の混合物が正極板上の充填密度を高くさせるばかりでなく、凝集粒子は急速充放電に優れ、単分散した粒子は安全性の高い特性を与えることによる。
【0031】
更に、本発明の製造方法は、前記コバルト酸リチウム(A)は、一般式(1)のLiaCoO2(式中、aは0.2≦a≦1.2の範囲内の数を表す)で表される化合物を用いるのが好ましい。また、前記コバルト酸リチウム(B)は、前記一般式(1)で表される化合物または一般式(2)のLiaCo1-yMyO2-z(式中、MはCoを除く遷移金属元素または原子番号9以上の元素からなる群から選択される1種以上の元素を表し、aは0.2≦a≦1.2の範囲内の数を表し、yは0<y≦0.4の範囲内の数を表し、zは、0≦z≦1.0の範囲内の数を表す)で表される化合物を用いるのが好ましい。
【0032】
本発明のコバルト酸リチウムは、2種類以上の異なるタップ密度および平均粒子径を有するコバルト酸リチウムを均一に混合することにより得ることができるが、均一に混合する方法は、工業的に実施されている方法であれば、特に限定されるものではない。例えば、水平円筒形、V形、二重円錐形などの容器回転形混合機、リボン形、水平スクリュー形、パドル形、竪形リボン形、マラー形、遊星運動形、スタティックミキサー、単軸ロータ形、ヘンシェルミキサー、フロージェットミキサーなどの容器固定形混合機などを使用する方法が挙げられる。
【0033】
本発明の非水電解質二次電池は、正極、負極、セパレータ、非水電解質(例えばリチウム塩含有電解質)等から構成される。
正極は、正極板(正極集電体:例えばアルミニウム板)上に正極活物質、導電剤及び結着剤を含有してなる正極合剤を塗布してなるものである。本発明の非水電解質二次電池は、正極板を構成する正極活物質として上記のコバルト酸リチウムからなる正極活物質を使用する。なお、正極活物質を予め製造するのではなく、正極合剤を調製する際に、正極活物質の条件を満足する構成の本発明のコバルト酸リチウムを配合して均一に混合しても良い。
【0034】
正極合剤は、正極活物質に加えて導電剤、結着剤及びフィラーなどを添加することができる。
導電剤としては、例えば天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、炭素繊維、ニッケル粉のような金属粉等からなる群から選択された導電性材料の1種または2種以上を使用することができる。上述のなかで、黒鉛とアセチレンブラックを導電剤として併用することが好ましい。なお、正極合剤への導電剤の配合量は、1〜50重量%、好ましくは2〜30重量%の範囲内である。
【0035】
また、結着剤としては、例えばポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルピロリドン、エチレン−プロピレン−ジエンターボリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシドなどの多糖類、熱可塑性樹脂、ゴム弾性を有するポリマーなどの1種または2種以上を使用することができる。なお、正極合剤への結着剤の配合量は、2〜30重量%の範囲内が好ましい。
【0036】
更に、フィラーは、非水電解質二次電池において、化学変化を起こさない繊維状材料であればいずれのものも使用可能であるが、通常ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス繊維、炭素繊維のような繊維が用いられる。正極合剤へのフィラー配合量は、特に限定されるものではないが、0〜30重量%の範囲内が好ましい。
【0037】
なお、本発明のコバルト酸リチウムからなる正極活物質の正極合剤への配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくは60〜95重量%、特に好ましくは70〜94重量%の範囲内である。
【0038】
本発明の非水電解質二次電池の負極に用いられる負極材料としては、特に制限されるものではないが、例えば炭素質材料、金属複合酸化物、リチウム金属またはリチウム合金などが挙げられる。炭素質材料としては、難黒鉛化炭素材料、黒鉛系炭素材料などが挙げられ、金属複合酸化物としては、SnM1 1-xM2 yOz (式中、M1 は、Mn、Fe、PbまたはGeから選ばれる1種以上を表し、M2 は、Al、B、P、Si、周期律表第1族、第2族、第3族またはハロゲン元素から選ばれる2種以上の元素を表し、xは0<x≦1の範囲内の数を表し、yは1≦y≦3の範囲内の数を表し、zは1≦z≦8の範囲内の数を表す)などの化合物が挙げられる。
【0039】
次に、非水電解質二次電池に用いられる非水電解液は、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチルラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、蟻酸メチル、酢酸メチル、燐酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、3−メチル−2−オキサゾジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、ジエチルエーテル、1,3−プロパンサルトンなどの非プロトン性有機溶媒の少なくとも1種以上を混合した溶媒と、その溶媒に溶解するリチウム塩例えばLiClO4 、LiBF4 、LiPF6 、LiCF3 SO3 、LiCF3 CO2 、LiAsF6 、LiSbF6 、LiB10Cl10、LiAlCl4 、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、四フェニルホウ酸リチウムなどの1種以上のリチウム塩から構成される。
【0040】
また、非水電解液の他に、有機固体電解質を用いることもできる。例えばポリエチレン誘導体またはこれを含むポリマー、ポリプロピレンオキサイド誘導体またはこれを含むポリマー、燐酸エステルポリマーなどが挙げられる。
【0041】
電極の集電体は、構成された非水電解質二次電池において化学変化を起こさない電子伝導体であれば特に制限されるものではないが、正極には、例えばステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、チタン、焼成炭素、アルミニウムやステンレス鋼の表面をカーボン、ニッケル、銅、チタンまたは銀で表面処理したものが用いられる。負極には、例えばステンレス鋼、ニッケル、銅、チタン、アルミニウム、焼成炭素などの他に、銅やステンレス鋼の表面をカーボン、ニッケル、チタンまたは銀などで処理したもの、Al−Cd合金などが用いられる。
【0042】
非水電解質二次電池の形状は、コイン、ボタン、シート、シリンダー、角などのいずれにも適用できる。
本発明の非水電解質二次電池の用途は、特に制限されないが、例えばノートパソコン、ラップトップパソコン、ポケットワープロ、携帯電話、コードレス電話機、ポータブルCD、ラジオなどの電子機器、自動車、電動車両、ゲーム機器などの民生用電子機器などが挙げられる。
【0043】
【実施例】
以下、実施例を示し本発明をさらに具体的に説明する。
実施例では、本発明の正極活物質及び非水電解質二次電池を説明する。
【0044】
(1)タップ密度の測定方法
メスシリンダ−を完全に乾燥させ、空のメスシリンダ−の重量を測定する。薬包紙に試料を約70gはかりとる。漏斗を使用し、メスシリンダ−中に試料を移し入れる。メスシリンダ−を自動T.D測定装置(ユアサアイオニクス(株)製、デュアルオ−トタップ)にセットし、タッピング回数を500に調整し、タッピングを行い、試料面の目盛りを読み取り、試料の入ったメスシリンダ−の重量を測定して、タップ密度を算出する。タッピング高さ3.2mm、タッピングペ−ス200回/分(ASTM:B527−93,85に準拠)。
【0045】
(2)加圧密度の測定方法
直径15mmの金型に試料を入れて、1.96×108Pa(2ton/cm2)のプレス(ハンドプレス、東洋商工社製、形式;WPN−10)を1分間行ってペレットを得る。その後、ペレットの重量および体積を測定して、ペレットの密度を算出して加圧密度とする。
【0046】
製造例1
炭酸リチウムと酸化コバルトをLi/Co原子比が1.02となるように秤量し、乳鉢で十分混合して均一な混合物を調製した。次いで、該混合物をアルミナ坩堝に充填し、電気加熱炉に入れて大気雰囲気下で昇温し、700℃〜1000℃の温度で10時間保持して焼成処理し、得られた焼成物を大気中で冷却した後、粉砕、分級することによって、平均粒子径15.5μm、タップ密度2.80g/cm3、加圧密度3.45g/cm3のコバルト酸リチウム(LiCoO2 )を得た。
このコバルト酸リチウムは一次粒子の揃った単分散したコバルト酸リチウム(A−1)であった。
【0047】
製造例2
製造例1と同様に、炭酸リチウムと酸化コバルトをLi/Co原子比が1.04となるように混合して均一な混合物を調製し、1000℃〜1050℃で10時間焼成処理して、平均粒子径12.3μm、タップ密度2.50g/cm3、加圧密度3.48g/cm3のコバルト酸リチウム(LiCoO2)を得た。
このコバルト酸リチウムのSEM像は、一次粒子の揃った単分散したコバルト酸リチウム(A−2)であった。
【0048】
製造例3
製造例1と同様に炭酸リチウムと酸化コバルトをLi/Co原子比で1.02となるよう混合して均一な混合物を調整して1000〜1050℃で10時間焼成して平均粒径7.8μm、タップ密度1.90g/cm3、加圧密度3.41g/cm3のコバルト酸リチウムを得た。このコバルト酸リチウムは一次粒子の揃った単分散したコバルト酸リチウム(A−3)であった
製造例4
製造例1と同様に、炭酸リチウムと酸化コバルトをLi/Co原子比が1.00となるように混合して均一な混合物を調製し、900℃〜1000℃で10時間焼成処理して、平均粒子径7.4μm、タップ密度1.80g/cm3、加圧密度3.20g/cm3のコバルト酸リチウム(LiCoO2)を得た。
このコバルト酸リチウムは一次粒子の凝集したコバルト酸リチウム(B−1)であった。
【0049】
製造例5
製造例1と同様に、炭酸リチウムと酸化コバルトをLi/Co原子比が1.00となるように混合して均一な混合物を調製し、900℃〜1000℃で10時間焼成処理して、平均粒子径5.2μm、タップ密度1.50g/cm3、加圧密度3.15g/cm3のコバルト酸リチウム(LiCoO2)を得た。
このコバルト酸リチウムは一次粒子の凝集したコバルト酸リチウム(B−2)であった。
【0050】
製造例6
製造例1と同様に、炭酸リチウムと酸化コバルトをLi/Co原子比が1.00となるように混合して均一な混合物を調製し、800℃〜900℃で10時間焼成処理して、平均粒子径3.2μm、タップ密度1.20g/cm3、加圧密度3.21g/cm3のコバルト酸リチウム(LiCoO2)を得た。
このコバルト酸リチウムのSEM像は、一次粒子の凝集したコバルト酸リチウム(B−3)であった。
【0051】
製造例7
製造例1と同様の方法で、AlをCoに対して2mol%添加したLiCo0.98Al0.02O2を合成した。焼成方法は、製造例1と同様であり、乳鉢混合時にAl(OH)3 をCoに対して2mol%となる様に混合後、800〜900℃で焼成してコバルト酸リチウム(LiCo0.98Al0.02O2)を得た。
【0052】
このコバルト酸リチウムは、平均粒径2.8μm、タップ密度1.18g/cm3、加圧密度3.19g/cm3であった。
このコバルト酸リチウムのSEM像は、一次粒子の凝集したコバルト酸リチウム(B−4)であった。
【0053】
図1に製造例1の一次粒子の揃った単分散したコバルト酸リチウム(A)の粒子構造を表すSEM写真(倍率×3000)を示す。
図2に製造例7の凝集したコバルト酸リチウム(B)の粒子構造を表すSEM写真(倍率×3000)を示す。
【0054】
上記の製造例1〜7で得られたコバルト酸リチウム(A)および(B)を表1にまとめて示す。
【0055】
【表1】
【0056】
(注)表中の(A)はコバルト酸リチウム(A)を、(B)はコバルト酸リチウム(B)を示す。
【0057】
本発明におけるコバルト酸リチウム(A)の加圧密度は、3.3〜3.7g/cm3、好ましくは3.5〜3.7g/cm3が望ましい。また、本発明におけるコバルト酸リチウム(B)の加圧密度は、3.1〜3.5g/cm3、好ましくは3.1〜3.3g/cm3が望ましい。
本発明におけるコバルト酸リチウム(A)とコバルト酸リチウム(B)との加圧密度の差は、0.2g/cm3以上、好ましくは0.8〜1.5g/cm3が望ましい。
【0058】
実施例1
製造例1で得られた平均粒子径15.5μm、タップ密度2.80g/cm3のコバルト酸リチウム(A−1)95重量部と、製造例6で得られた平均粒子径3.2μm、タップ密度1.20g/cm3のコバルト酸リチウム(B−3)5重量部を、小型のリボンミキサーで均一に混合してコバルト酸リチウムを製造した。得られたコバルト酸リチウムの平均粒径15.0μm、タップ密度2.75g/cm3、加圧密度3.65g/cm3であった。
【0059】
実施例2
製造例1で得られた平均粒子径15.5μm、タップ密度2.80g/cm3のコバルト酸リチウム(A−1)70重量部と、製造例6で得られた平均粒子径3.2μm、タップ密度1.20g/cm3のコバルト酸リチウム(B−3)30重量部を均一に混合してコバルト酸リチウムを製造した。得られたコバルト酸リチウムの平均粒径11.9μm、タップ密度2.40g/cm3、加圧密度3.92g/cm3であった。
【0060】
実施例3
製造例1で得られた平均粒子径15.5μm、タップ密度2.80g/cm3のコバルト酸リチウム(A−1)70重量部と、製造例5で得られた平均粒子径5.2μm、タップ密度1.50g/cm3のコバルト酸リチウム(B−2)30重量部を均一に混合してコバルト酸リチウムを製造した。得られたコバルト酸リチウムの平均粒径12.8μm、タップ密度2.53g/cm3、加圧密度3.82g/cm3であった。
【0061】
実施例4
製造例2で得られた平均粒子径12.3μm、タップ密度2.50g/cm3のコバルト酸リチウム(A−2)80重量部と、製造例5で得られた平均粒子径5.2μm、タップ密度1.50g/cm3のコバルト酸リチウム(B−2)20重量部を均一に混合してコバルト酸リチウムを製造した。得られたコバルト酸リチウムの平均粒径10.5μm、タップ密度2.40g/cm3、加圧密度3.75g/cm3であった。
【0062】
実施例5
製造例2で得られた平均粒子径12.3μm、タップ密度2.50g/cm3のコバルト酸リチウム(A−2)60重量部と、製造例4で得られた平均粒子径7.4μm、タップ密度1.80g/cm3のコバルト酸リチウム(B−1)40重量部を均一に混合してコバルト酸リチウムを製造した。得られたコバルト酸リチウムの平均粒径10.1μm、タップ密度2.35g/cm3、加圧密度3.65g/cm3であった。
【0063】
実施例6
製造例3で得られた平均粒子径7.8μm、タップ密度1.90g/cm3のコバルト酸リチウム(A−3)85重量部と、製造例6で得られた平均粒子径3.2μm、タップ密度1.20g/cm3のコバルト酸リチウム(B−3)15重量部を均一に混合してコバルト酸リチウムを製造した。得られたコバルト酸リチウムの平均粒径7.0μm、タップ密度1.83g/cm3、加圧密度3.55g/cm3であった。
【0064】
実施例7
製造例1で得られた平均粒子径15.5μm、タップ密度2.80g/cm3のコバルト酸リチウム(A−1)60重量部と、製造例6で得られた平均粒子径3.2μm、タップ密度1.20g/cm3のコバルト酸リチウム(B−3)40重量部を均一に混合してコバルト酸リチウムを製造した。得られたコバルト酸リチウムの平均粒径7.8μm、タップ密度1.88g/cm3、加圧密度3.50g/cm3であった。
【0065】
実施例8
製造例1で得られた平均粒子径15.5μm、タップ密度2.80g/cm3のコバルト酸リチウム(A−1)70重量部と、製造例7で得られた平均粒子径2.8μm、タップ密度1.18g/cm3のAl添加コバルト酸リチウム(LiCo0.98Al0.02O2 )(B−4)30重量部を均一に混合してコバルト酸リチウムを製造した。得られたコバルト酸リチウムの平均粒径7.7μm、タップ密度2.38g/cm3、加圧密度3.89g/cm3であった。
【0066】
実施例9
製造例1で得られた平均粒子径15.5μm、タップ密度2.80g/cm3のコバルト酸リチウム(A−1)90重量部と、製造例6で得られた平均粒子径3.2μm、タップ密度1.20g/cm3のコバルト酸リチウム(B−3)10重量部を均一に混合してコバルト酸リチウムを製造した。得られたコバルト酸リチウムの平均粒径13.8μm、タップ密度2.65g/cm3、加圧密度3.72g/cm3であった。
【0067】
実施例10
製造例1で得られた平均粒子径15.5μm、タップ密度2.80g/cm3のコバルト酸リチウム(A−1)90重量部と、製造例4で得られた平均粒子径7.4μm、タップ密度1.80g/cm3のコバルト酸リチウム(B−1)10重量部を均一に混合してコバルト酸リチウムを製造した。得られたコバルト酸リチウムの平均粒径14.8μm、タップ密度2.70g/cm3、加圧密度3.60g/cm3であった。
【0068】
実施例11
製造例1で得られた平均粒子径15.5μm、タップ密度2.80g/cm3のコバルト酸リチウム(A−1)80重量部と、製造例6で得られた平均粒子径3.2μm、タップ密度1.20g/cm3のコバルト酸リチウム(B−3)20重量部を均一に混合してコバルト酸リチウムを製造した。得られたコバルト酸リチウムの平均粒径13.2μm、タップ密度2.58g/cm3、加圧密度3.74g/cm3であった。
【0069】
実施例12
製造例1で得られた平均粒子径15.5μm、タップ密度2.80g/cm3のコバルト酸リチウム(A−1)80重量部と、製造例4で得られた平均粒子径7.4μm、タップ密度1.80g/cm3のコバルト酸リチウム(B−1)20重量部を均一に混合してコバルト酸リチウムを製造した。得られたコバルト酸リチウムの平均粒径13.8μm、タップ密度2.62g/cm3、加圧密度3.58g/cm3であった。
【0070】
上記の実施例1〜12で、コバルト酸リチウム(A)、(B)を混合して得られたコバルト酸リチウムを表2および3にまとめて示す。
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
(注)表中のAはコバルト酸リチウム(A)を、Bはコバルト酸リチウム(B)を示す。
【0073】
比較例1
製造例2で得られた平均粒子径12.3μm、タップ密度2.50g/cm3、加圧密度3.48g/cm3のコバルト酸リチウム(LiCoO2)を比較例として示す。
このコバルト酸リチウムのSEM像は、一次粒子の揃った単分散したコバルト酸リチウム(A)である。
【0074】
次に、本発明におけるコバルト酸リチウム(A)とコバルト酸リチウム(B)の混合を変えた場合に得られるコバルト酸リチウムの比較例を示す。
【0075】
製造例8(比較製造例)
炭酸リチウムと酸化コバルトをLi/Co原子比が1.00となるように混合して均一な混合物を調整し、1000〜1050℃で10時間保持して焼成処理し、得られた焼成物を大気中で粉砕、分級することによって、平均粒子径4.5μm、タップ密度1.60g/cm3、加圧密度3.25g/cm3のコバルト酸リチウム(LiCoO2)を得た。
このコバルト酸リチウムは一次粒子の単分散したコバルト酸リチウム(C−1)であった。
【0076】
製造例9(比較製造例)
炭酸リチウムと酸化コバルトをLi/Co原子比が1.00となるように混合して均一な混合物を調整し、800〜850℃で10時間保持して焼成処理し、得られた焼成物を大気中で粉砕、分級することによって、平均粒子径11.0μm、タップ密度2.20g/cm3、加圧密度3.30g/cm3のコバルト酸リチウム(LiCoO2)を得た。
このコバルト酸リチウムは一次粒子の凝集したコバルト酸リチウム(C−2)であった。
【0077】
製造例10(比較製造例)
炭酸リチウムと酸化コバルトをLi/Co原子比が1.00となるように混合して均一な混合物を調整し、1000〜1050℃で10時間保持して焼成処理し、得られた焼成物を大気中で粉砕、分級することによって、平均粒子径5.0μm、タップ密度1.32g/cm3、加圧密度3.12g/cm3のコバルト酸リチウム(LiCoO2)を得た。
このコバルト酸リチウムは一次粒子の単分散したコバルト酸リチウム(C−3)であった。
【0078】
比較例2
製造例8で得られたコバルト酸リチウム(C−1)80重量部と、製造例6で得られたコバルト酸リチウム(B−3)20重量部を小型のリボンミキサーで均一に混合してコバルト酸リチウムを製造した。
得られたコバルト酸リチウムの平均粒子径は3.5μm、タップ密度1.32g/cm3、加圧密度3.22g/cm3であった。
【0079】
比較例3
製造例9で得られたコバルト酸リチウム(C−2)80重量部と、製造例6で得られたコバルト酸リチウム(B−3)20重量部を小型のリボンミキサーで均一に混合してコバルト酸リチウムを製造した。
得られたコバルト酸リチウムの平均粒子径は11.2μm、タップ密度2.15g/cm3、加圧密度3.45g/cm3であった。
【0080】
比較例4
製造例1で得られたコバルト酸リチウム(A−1)80重量部と、製造例9で得られたコバルト酸リチウム(C−2)20重量部を小型のリボンミキサーで均一に混合してコバルト酸リチウムを製造した。
得られたコバルト酸リチウムの平均粒子径は11.2μm、タップ密度2.56g/cm3、加圧密度3.37g/cm3であった。
【0081】
比較例5
製造例1で得られたコバルト酸リチウム(A−1)80重量部と、製造例10で得られたコバルト酸リチウム(C−3)20重量部を小型のリボンミキサーで均一に混合してコバルト酸リチウムを製造した。
得られたコバルト酸リチウムの平均粒子径は13.4μm、タップ密度2.62g/cm3、加圧密度3.40g/cm3であった。
【0082】
比較例6
製造例1で得られたコバルト酸リチウム(A−1)50重量部と、製造例6で得られたコバルト酸リチウム(B−3)50重量部を小型のリボンミキサーで均一に混合してコバルト酸リチウムを製造した。
得られたコバルト酸リチウムの平均粒子径は9.5μm、タップ密度1.71g/cm3、加圧密度3.42g/cm3であった。
【0083】
【表4】
【0084】
【表5】
【0085】
【表6】
【0086】
次に、本発明のコバルト酸リチウムを正極活物質として用いた二次電池の安全性評価および急速充放電試験の結果を示す。
【0087】
(安全性評価)
実施例2のコバルト酸リチウム及び比較例1のコバルト酸リチウム(A)を各々正極活物質として用いた。該正極活物質をアルミニウム箔上に塗布し、この正極板を用いて、セパレーター、負極、正極、集電体、取り付け金具、外部端子、電解液等の各部材を使用してリチウムイオン2次電池を作成した。このうち、負極は金属リチウムを用いて、電解液にはEC(エチレンカーボネイト)とMEC(エチルメチルカーボネイト)の1:1の混合溶液1リットルにLiPF6 1molを溶解したものを用いた。電池作成後、Li/Li+ 4.3Vで充電後アセトンで良く洗浄し乾燥した。該電極を電解液EC(エチレンカーボネイト)とMEC(エチルメチルカーボネイト)の1:1の混合溶液と共に密封容器に封入して、その後DSC測定による熱安定性試験を行った。その結果を図3に示す。
【0088】
図3の結果より、実施例2の第一発熱ピーク(低温側180℃付近)が比較例1の第一発熱ピーク(低温側180℃付近)に比べて小さく、発熱量が少ないことが分かる。実施例2の活物質が比較例1の活物質より安全性が高いことが分かった。一般的に微粒子は比表面積が大きく反応性が高いので安全性は低い。しかしながら、実施例2のコバルト酸リチウムは、粗粒子(コバルト酸リチウム(A))も共存する事により、粗粒子の安全性の高さが、微粒子(コバルト酸リチウム(B))の安全性の悪さを打ち消す効果が発現された事によると推測される。
【0089】
(急速充放電試験)
実施例2のコバルト酸リチウム及び比較例1のコバルト酸リチウム(A)を各々正極活物質として用いた。該正極活物質をアルミニウム箔上に塗布し、この正極板を用いて、セパレーター、負極、正極、集電体、取り付け金具、外部端子、電解液等の各部材を使用してリチウムイオン2次電池を作成した。このうち、負極は金属リチウムを用いて、電解液にはEC(エチレンカーボネイト)とMEC(エチルメチルカーボネイト)の1:1の混合溶液1リットルにLiPF6 1molを溶解したものを用いた。
【0090】
2.7V〜4.3V(vs.Li/Li+)で定電流充放電試験を行い、その充放電カーブを図4に示す。その際に0.2C→0.5C→1.0C→2.0C(1.0C→1時間で放電、2.0C→0.5時間で放電)と電流値を上げて急速充放電性能を試験した。正極および負極:金属Li、電解液:1MLiPF6 /EC+NEC、充電方式:CCCV(0.5C,5H)、走査電位:2.7V,4.3V。
【0091】
図4の結果より、実施例2が比較例1に比べて取り出せる容量が大きいことが分かる。これは、実施例2のコバルト酸リチウムに含有されている微粒子(コバルト酸リチウム(B))が急速充放電に優れているため、良い特性が出たと予想される。
【0092】
大粒子は高い安全性に寄与し、小粒子は大粒子の隙間に入り込み粉体間の導電性のアップによる高い急速充放電性能が得られる。しかしながら加圧密度が高すぎる(4.0以上)と電極にした時に電極密度が上がりすぎて、電解液の電極への含浸が十分でなく、急速充放電性能が悪くなり適切ではない。また加圧密度、タップ密度が適切な値でないと、十分な電極密度が得られない。
【0093】
次に、本発明におけるコバルト酸リチウムの加圧密度について説明する。
本発明のコバルト酸リチウムは、一次粒子が単分散しているコバルト酸リチウム(A)と、一次粒子が凝集しているコバルト酸リチウム(B)の混合物からなり、該混合物のタップ密度が1.8g/cm3以上であり、且つ加圧密度が3.5〜4.0g/cm3である。
【0094】
上記の本発明のコバルト酸リチウムの好ましい実施態様としては、タップ密度が1.7〜3.0g/cm3で、加圧密度が3.3〜3.7g/cm3であるコバルト酸リチウム(A)と、タップ密度が1.0〜2.0g/cm3で、加圧密度が3.1〜3.5g/cm3であるコバルト酸リチウム(B)との混合物からなり、且つコバルト酸リチウム(A)とコバルト酸リチウム(B)のタップ密度の差が0.20g/cm3以上で、加圧密度の差が0.1g/cm3以上であるコバルト酸リチウムが好ましい。
【0095】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明のコバルト酸リチウムは、異なる2種類のコバルト酸リチウムを混合することにより、高い加圧密度と適当なタップ密度を得ることができ、それを正極活物質として正極板に使用すると、電極密度を高くすることが出来る効果が得られる。
【0096】
また、本発明の製造方法によれば、正極活物質として有用な上記のコバルト酸リチウムを容易に得ることができる。
さらに、本発明によれば、上記のコバルト酸リチウムを正極活物質として用いることによい、安全性および急速充放電に優れた非水電解質二次電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造例1の一次粒子の揃った単分散したコバルト酸リチウム(A)の粒子構造を表すSEM写真(倍率×3000)である。
【図2】製造例7の一次粒子の凝集したコバルト酸リチウム(B)の粒子構造を表すSEM写真(倍率×3000)である。
【図3】実施例2と比較例1のコバルト酸リチウムを正極活物質として用いた二次電池の安全性評価を示す図である。
【図4】実施例2と比較例1のコバルト酸リチウムを正極活物質として用いた二次電池の急速充放電試験の結果を示す図である。
Claims (3)
- タップ密度1.7〜3.0g/cm3のコバルト酸リチウム(A)と、タップ密度1.0〜2.0g/cm3のコバルト酸リチウム(B)とを、前記コバルト酸リチウム(A)とコバルト酸リチウム(B)とを重量比で(A):(B)=95:5〜60:40の割合で、前記コバルト酸リチウム(A)と前記コバルト酸リチウム(B)とのタップ密度の差が0.20g/cm3以上となる様に混合し、且つ前記コバルト酸リチウム(A)は一次粒子が単分散しており、前記コバルト酸リチウム(B)は一次粒子が凝集しているものを用い、タップ密度が1.8g/cm3以上で、加圧密度が3.5〜4.0g/cm3であるコバルト酸リチウムを調製することを特徴とするリチウム二次電池正極活物質用コバルト酸リチウムの製造方法。
- 前記コバルト酸リチウム(A)の平均粒子径は5〜30μmであり、前記コバルト酸リチウム(B)の平均粒子径は0.1〜10μmである請求項1に記載のコバルト酸リチウムの製造方法。
- 前記コバルト酸リチウム(A)は、一般式(1)のLiaCoO2(式中、aは0.2≦a≦1.2の範囲内の数を表す)で表される化合物であり、前記コバルト酸リチウム(B)は、前記一般式(1)で表される化合物または一般式(2)のLiaCo1−yMyO2−z(式中、MはCoを除く遷移金属元素または原子番号9以上の元素からなる群から選択される1種以上の元素を表し、aは0.2≦a≦1.2の範囲内の数を表し、yは0<y≦0.4の範囲内の数を表し、zは0≦z≦1.0の範囲内の数を表す)で表される化合物である請求項1または2に記載のコバルト酸リチウムの製造方法。
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