JP4192394B2 - 温度調節器 - Google Patents

温度調節器 Download PDF

Info

Publication number
JP4192394B2
JP4192394B2 JP2000113403A JP2000113403A JP4192394B2 JP 4192394 B2 JP4192394 B2 JP 4192394B2 JP 2000113403 A JP2000113403 A JP 2000113403A JP 2000113403 A JP2000113403 A JP 2000113403A JP 4192394 B2 JP4192394 B2 JP 4192394B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
control
gradient
target
deviation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2000113403A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001296902A (ja
Inventor
郁夫 南野
喜雅 中溝
大富 古川
明 高石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Omron Corp
Original Assignee
Omron Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Omron Corp filed Critical Omron Corp
Priority to JP2000113403A priority Critical patent/JP4192394B2/ja
Priority to PCT/JP2001/003180 priority patent/WO2001079943A1/ja
Priority to EP01919923A priority patent/EP1291741B1/en
Priority to PCT/JP2001/003179 priority patent/WO2001079942A1/ja
Priority to US10/257,241 priority patent/US6951998B2/en
Publication of JP2001296902A publication Critical patent/JP2001296902A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4192394B2 publication Critical patent/JP4192394B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Feedback Control In General (AREA)
  • Control Of Temperature (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、制御対象の温度を制御する温度調節器に関し、さらに詳しくは、干渉のある制御対象の制御に好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の制御対象、例えば、半導体プロセスの熱処理装置として、図28に示される熱酸化装置があり、この熱酸化装置18は、シリコンのウェハを酸化するものであって、熱処理炉としての反応管19に必要なガスを流しながら酸化膜の生成を行うものである。この熱酸化装置18は、反応管19を外囲する均熱管20の周囲に分割して配置された複数、この例では、3つの第1〜第3のヒータ211〜213とそれに個別的に対応する第1〜第3の温度センサ221〜223とを有し、温度制御は、マイクロコンピュータ23によって、ヒータおよび温度センサの各組に対応する領域(以下「ゾーン」という)毎に個別に行われている。
【0003】
すなわち、第1のヒータ211および第1の温度センサ221が配置された上側の第1のゾーンでは、第1の温度センサ221の検出出力に基づいて、目標温度になるように第1のヒータ211が操作され、第2のヒータ212および第2の温度センサ222が配置された中間の第2のゾーンでは、第2の温度センサ222の検出出力に基づいて、目標温度になるように第2のヒータ212が操作され、第3のヒータ213および第3の温度センサ223が配置された下側の第3のゾーンでは、第3の温度センサ223の検出出力に基づいて、目標温度になるように第3のヒータ213が操作される。
【0004】
しかしながら、各ゾーンは熱的に連続しているので、一つのゾーンのヒータによる熱量は、そのゾーンのみならず、他のゾーンの温度センサにも影響を与える、いわゆる干渉を生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような干渉があるために、特に、過渡時や外乱時に温度のバラツキが顕著となって均一な温度制御が困難であり、また、各ゾーンを異なる目標温度に制御するといったことが容易でない。
【0006】
さらに、温度調節器における最適なPID制御のパラメータを決定するためのオートチューニングが正しく実行できないという難点もある。
【0007】
以下、オートチューニングが正しく実行できない理由について、制御のシュミレーションソフト(MATLAB)を使用した例を用いて説明する。
【0008】
先ず、正常にオートチューニングをできる例として、図29に示される干渉のない独立な第1,第2の制御対象241,242を制御する場合について説明する。この例は、独立に二つの制御対象241,242を制御するものであり、第1のPID制御手段251では、オートチューニングを実行し、第2のPID制御手段252では、目標値をグランドとしてPID制御を実行している。なお、261,262は、目標値とフィードバック量との制御偏差を出力する加算器である。
【0009】
図30は、このシステムにおける第1の制御対象241からの第1のフィードバック量PV1(破線)、第1のPID制御手段251からの第1の操作量MV1(実線)、第2の制御対象242からの第2のフィードバック量PV2(二点鎖線)および第2のPID制御手段252からの第2の操作量MV2(一点鎖線)を、スコープに表示した波形を示すものであり、第1の操作量MV1がオンオフするリミットサイクルが生じており、第1のフィードバック量PV1の周期と振幅とを使って第1のPID制御手段251のPID制御のパラメータを決定することができる。
【0010】
なお、フィードバック量PV1,PV2は、例えば温度制御における温度センサで検出された検出温度に相当し、操作量MV1,MV2は、制御対象を加熱するヒータおよびそのヒータの通電をオンオフする電磁開閉器からなる操作手段に与えられる操作量である。
【0011】
次に、図31に示されるように、2入力(MV1,MV2)2出力(PV1,PV2)の干渉のある制御対象27に独立な制御を実行した場合について説明する。
【0012】
この制御対象27は、図32に示されるように、第1のPID制御手段251からの第1の操作量MV1が、第1の加算器28に与えられるとともに、第1の減衰器29で0.9に減衰されて第2の加算器30に与えられる一方、第2のPID制御手段252からの第2の操作量MV2が、第2の加算器30に与えられるとともに、第2の減衰器31で0.9に減衰されて第1の加算器28に与えられ、各加算器28,30の加算出力が、第1,第2の遅れ要素32,33にそれぞれ与えられる構成とされており、この例では、各操作量MV1,MV2が0.9の割合で他方に加えられて互いに干渉を生じるものである。
【0013】
このような干渉のある制御対象27では、第1のPID制御手段251で、オートチューニングを実行し、第2のPID制御手段252では、目標値をグランドとしてPID制御を実行すると、図33に示されるように、第1の操作量MV1(実線)に、オンオフのリミットサイクルが生じない場合があり、かかる場合には、第1のフィードバック量PV1(破線)の振動の振幅および周期を正しく測定できず、PID制御のパラメータも計算することができないことになる。
【0014】
このように第1の操作量MV1がオンオフしない原因は、オートチューニングをしない側の第2のPID制御手段252が干渉してオートチューニング側の第1のフィードバック量PV1の変化が生じないように勝手に動作してしまうからである。これは、第2の操作量MV2(一点鎖線)が、第1のフィードバック量PV1の変化とは逆向きの動きをしていることからも分かる。
【0015】
このように、干渉のある制御対象では、PIDの制御パラメータを設定するためのオートチューニングが実行できず、試行錯誤的な設定にならざるを得ず、このため、設定に時間を要するとともに、所望の制御特性を得るのが困難である。
【0016】
本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、干渉のある制御対象であっても、その干渉を低減するとともに、制御パラメータの設定を可能とすることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上述の目的を達成するために、次のように構成している。
【0018】
すなわち、本発明の温度調節器は、制御対象の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出手段から得られる複数の検出温度を、複数の検出温度に基づく温度差である傾斜温度に変換するとともに、前記制御対象の温度を代表的に示す代表温度に変換する変換手段と、前記変換手段からの前記傾斜温度または前記代表温度に基づいて、少なくとも比例制御を行ってそれぞれ出力を与える複数の温度制御手段と、前記各温度制御手段からの前記出力を、各温度制御手段による制御が、他の温度制御手段による制御に与える影響をなくす又は小さくするように配分する配分手段と、前記傾斜温度に基づいて少なくとも比例制御を行う前記温度制御手段と前記代表温度に基づいて少なくとも比例制御を行う前記温度制御手段との温度制御のバランスを調整する調整手段とを備えている。
【0021】
さらに、物理状態の代表状態とは、制御対象の物理状態を代表的に示す状態をいい、例えば、温度であれば、制御対象の平均温度、ある位置(例えば中央位置)における温度などをいう。
【0022】
また、温度制御のバランスを調整するとは、温度差である傾斜温度に基づく温度制御と代表温度に基づく温度制御のいずれに重点をおいた(いずれを優先させた)温度制御を行うか、あるいは、温度制御の強さや速さなどを調整することをいう。
【0023】
少なくとも比例制御を行うとは、比例制御を含む制御を行うことをいい、比例(P)制御、比例積分(PI)制御、あるいは、比例積分微分(PID)制御を行うことをいう。
【0024】
本発明によると、複数の温度検出手段から得られる検出温度を、傾斜温度と代表温度、すなわち、干渉のない独立の情報に変換して制御を行うとともに、配分手段によって各温度制御手段による制御が、他の温度制御手段による制御に与える影響をなくす又は小さくするように配分するので、干渉のある制御対象の制御において、その干渉を低減することが可能となる。また、例えば、制御対象を複数のゾーン毎に区分して温度制御を行う場合に、特定のゾーンの検出温度を代表温度としてそのゾーンに着目した制御を行うことができる。さらに、調整手段によって、傾斜温度に基づく温度制御と代表温度に基づく温度制御との温度制御のバランスを調整できるものであり、用途や制御対象の特性などに応じて適切な温度制御を行えることになる。
【0025】
また、本発明の温度調節器は、制御対象の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出手段から得られる複数の検出温度とその制御目標である複数の目標温度との偏差を、複数の検出温度に基づく温度差である傾斜温度とその制御目標である目標傾斜温度との偏差に変換するとともに、前記制御対象の温度を代表的に示す代表温度とその制御目標である目標代表温度との偏差に変換する変換手段と、前記変換手段からの前記傾斜温度についての偏差または前記代表温度についての偏差を制御偏差として少なくとも比例制御を行ってそれぞれ出力を与える複数の温度制御手段と、前記各温度制御手段からの前記出力を、各温度制御手段による制御が、他の温度制御手段による制御に与える影響をなくす又は小さくするように配分する配分手段と、前記傾斜温度についての偏差を前記制御偏差として少なくとも比例制御を行う温度制御手段と前記代表温度についての偏差を前記制御偏差として少なくとも比例制御を行う温度制御手段との温度制御のバランスを調整する調整手段とを備えている。
【0026】
ここで、目標温度とは、温度の制御目標をいい、目標傾斜温度とは、傾斜温度の制御目標、すなわち、傾斜温度についての目標温度をいい、目標代表温度とは、代表温度の制御目標、すなわち、代表温度についての目標温度をいう。
【0027】
本発明によると、複数の温度検出手段から得られる検出温度と目標温度を、傾斜温度についての偏差および代表温度についての偏差、すなわち、干渉のない独立の情報に変換して制御を行うとともに、配分手段によって各温度制御手段による制御が、他の温度制御手段による制御に与える影響をなくす又は小さくするように配分するので、干渉のある制御対象の制御において、その干渉を低減することが可能となる。また、例えば、制御対象を複数のゾーン毎に区分して温度制御を行う場合に、特定のゾーンの検出温度を代表温度としてそのゾーンに着目した制御を行うことができる。さらに、調整手段によって、傾斜温度に基づく温度制御と代表温度に基づく温度制御との温度制御のバランスを調整できるものであり、用途や制御対象の特性などに応じて適切な温度制御を行えることになる。
【0035】
本発明の一実施態様においては、前記調整手段は、設定に応じて、前記温度制御手段の制御パラメータおよび前記温度制御手段の出力を制限するリミッタの少なくとも一方を調整するものである。
【0036】
本発明によれば、設定によって、PIDの制御パラメータやリミッタのリミット値を調整して傾斜温度に基づく温度制御と代表温度に基づく温度制御との温度制御のバランスを適切な状態に調整できることになる。
【0037】
本発明の他の実施態様においては、前記代表温度が複数の検出温度に基づく平均温度であり、前記調整手段は、設定に応じて、平均温度に基づいて少なくとも比例制御を行う前記温度制御手段または平均温度の偏差を制御偏差として少なくとも比例制御を行う前記温度制御手段の出力を制限するリミッタの上限値を調整するものである。
【0038】
この実施態様によると、平均温度に基づく温度制御手段の出力を制限するリミッタの上限値を、例えば、小さく調整することにより、平均温度による制御よりも傾斜温度に基づく制御をより優先した制御を行えることになる。
【0039】
本発明の好ましい実施態様においては、前記各温度制御手段は、比例積分微分(PID)制御を行なうものである。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、図面によって本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0042】
図1は、本発明の一つの実施の形態に係る温度調節器を用いた温度制御システムの概略構成図である。
【0043】
この実施の形態の温度制御システムは、制御対象3を加熱する複数のヒータ11〜1nと、複数のヒータ11〜1nに個別的に対応して制御対象3の温度を検出する複数の温度センサ21〜2nと、これら温度センサ21〜2nの検出出力に基づいて、各ヒータ11〜1nを図示しない電磁開閉器などを介して操作して制御対象3の温度を制御する本発明に係る温度調節器4とを備えている。
【0044】
制御対象3は、熱的に連続して干渉を生じるものであり、各ヒータ11〜1nと対応する各温度センサ21〜2nとがそれぞれ近接して配置されて複数のゾーンがそれぞれ形成されている。
【0045】
この温度制御システムは、例えば、上述の図28に示される熱酸化装置18に適用できるものであり、制御対象3を、熱処理炉としての反応管19とし、第1〜第3のヒータ11〜13を、反応管19の周囲に分割して配置された第1〜第3のヒータ211〜213とし、第1〜第3の温度センサ21〜23を、各ゾーンの温度を検出する第1〜第3の温度センサ221〜223として適用することができるものである。
【0046】
図2は、図1の温度調節器4のブロック図であり、この実施の形態の温度調節器4は、複数の温度センサ21〜2nの検出温度の平均温度および検出温度に基づく傾斜温度を後述のようにして算出する平均温度・傾斜温度算出手段(以下「モード変換器」ともいう)5と、この算出手段5で算出された平均温度または各傾斜温度がそれぞれ入力される複数の温度制御手段としてのPID制御手段61〜6nと、各PID制御手段61〜6nからの操作信号(操作量)を後述のように所定の配分比で加熱手段を構成する各ヒータ11〜1nに配分する配分手段(以下「前置補償器」ともいう)7とを備えている。平均温度・傾斜温度算出手段5、PID制御手段61 6nおよび配分手段7は、例えば、マイクロコンピュータによって構成される。
【0047】
従来では、上述の図28に示されるように、各ゾーン毎に温度を検出して対応するヒータを個別に制御していたけれども、この実施の形態では、干渉をなくすために、平均温度・傾斜温度算出手段5で算出される代表温度としての平均温度および複数の各傾斜温度を制御量として温度制御を行うようにしている。
【0048】
変換手段としての平均温度・傾斜温度算出手段5は、複数の温度センサ21〜2nからの情報を、一つの平均温度と複数の傾斜温度との情報に変換するものであり、その理由は、干渉がなく、独立で分かりやすい情報にするためであり、例えば、次のような演算を行うものである。
【0049】
すなわち、第1の温度センサ21の検出出力をS1,第2の温度センサ22の検出出力をS2,…第nの温度センサ2nの検出出力をSnとすると、下記に示される平均温度Tav,第1の傾斜温度Tt1,第2の傾斜温度Tt2,…第n−1の傾斜温度Ttn-1を算出する。
【0050】
Tav=(S1+S2+…Sn)÷n
Tt1=(S1+S2+…Sn-1)÷(n−1)−Sn
Tt2=(S1+S2+…Sn-2)÷(n−2)−Sn-1


Ttn-1=S1−S2
ここで、Tavは、複数の温度センサ21〜2nの検出温度の平均温度であり、傾斜温度Tt1は、複数の温度センサ21〜2nを、温度センサ21〜2n-1と温度センサ2nとの二つに区分した場合の温度センサ21〜2n-1の平均検出温度と温度センサ2nの検出温度との差であり、傾斜温度Tt2は、複数の温度センサ21〜2n-1を、温度センサ21〜2n-2と温度センサ2n-1との二つに区分した場合の温度センサ21〜2n-2の平均検出温度と温度センサ2n-1の検出温度との差であり、以下同様にして、傾斜温度Ttn-1は、温度センサ21と温度センサ22との検出温度の差である。
【0051】
以上の式をまとめて、モード変換行列Gmと称する行列を用いて下記のように表すことができる。
【0052】
【数1】
Figure 0004192394
【0053】
T=Gm・S
ただし、T=[Tav Tt1 Tt2 ……Ttn-1T
S=[S1 S2 S3 ……SnT
この実施の形態では、これら平均温度Tavと複数の傾斜温度Tt1〜Ttn-1とを制御量として温度制御を行うものである。
【0054】
なお、傾斜温度は、この実施の形態に限られるものではなく、例えば、下記のモード変換行列Gmに示されるように隣り合う温度センサの検出温度の温度差や複数の温度センサを二つのグループに区分して各グループの平均検出温度の温度差などの種々の傾斜温度を用いることができる。
【0055】
【数2】
Figure 0004192394
【0056】
また、傾斜温度は、複数の温度センサを大きく二つのグループに区分した各グループの平均検出温度の温度差、各グループをさらに二つに区分した各グループの平均検出温度の温度差、さらに各グループを二つに区分した各グループの平均検出温度の温度差といったように、マクロな傾斜温度からミクロな傾斜温度までを算出して用いるようにしてもよい。
【0057】
要するに、温度の傾斜を意味する情報と平均の情報とに分離して制御できるようにすればよい。
【0058】
第1のPID制御手段61は、平均温度・傾斜温度算出手段5からの平均温度と目標平均温度の制御偏差に基づいて、平均温度が目標平均温度になるように操作信号を配分手段7に出力し、第2のPID制御手段62は、平均温度・傾斜温度算出手段5からの第1の傾斜温度と第1の目標傾斜温度との制御偏差に基づいて、第1の傾斜温度が第1の目標傾斜温度になるように操作信号を配分手段7に出力し、第3のPID制御手段63は、平均温度・傾斜温度算出手段5からの第2の傾斜温度と第2の目標傾斜温度との制御偏差に基づいて、第2の傾斜温度が第2の目標傾斜温度になるように操作信号を配分手段7に出力し、以下同様にして、第nのPID制御手段6nは、平均温度・傾斜温度算出手段5からの第n−1の傾斜温度と第n−1の目標傾斜温度との制御偏差に基づいて、第n−1の傾斜温度が第n−1の目標傾斜温度になるように操作信号を配分手段7に出力する。
【0059】
すなわち、第1のPID制御手段61は、平均温度を制御し、第2〜第nの各PID制御手段62〜6nは、第1〜第n−1の傾斜温度をそれぞれ制御するものである。
【0060】
次に配分手段7について説明する。
【0061】
この配分手段7は、各PID制御手段61〜6nからの操作信号(操作量)を、各ヒータ11〜1nに配分するのであるが、その際に、各PID制御手段61〜6nそれぞれによる平均温度または各傾斜温度の制御が、他のPID制御手段61〜6nそれぞれによる平均温度または傾斜温度の制御に与える干渉をなくすように配分するものである。
【0062】
例えば、第1のPID制御手段61の操作信号によって平均温度を変化させる場合に、その操作信号によって傾斜温度が変化せず、また、第2のPID制御手段62の操作信号によって第1の傾斜温度を変化させる場合に、その操作信号によって平均温度および他の傾斜温度が変化せず、同様に、各PID制御手段の操作信号によって他のPID制御手段による制御が影響されないように配分するのである。
【0063】
この配分手段7による配分について、さらに詳細に説明する。
【0064】
ここで、分かり易くするために、n=2、すなわち、ゾーンが2つであって、第1,第2のヒータ11,12、第1、第2の温度センサ21,22、平均温度を制御する第1のPID制御手段61および両温度センサ21,22の検出温度の差である傾斜温度を制御する第2のPID制御手段62を備える場合に適用して図3に基づいて説明する。
【0065】
この図3は、上述の図31,図32の従来例で説明した2入力2出力の干渉のある制御対象27に適用した例であり、図2に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0066】
平均温度・傾斜温度検出手段5は、第1,第2の温度センサ21,22の検出出力に相当する制御対象27からのフィードバック量PV1,PV2を、図4に示されるように加算器8で加算して減衰器9で1/2に減衰して平均温度Tavを出力する一方、両温度センサ21,22の検出出力に相当するフィードバック量PV1,PV2を減算器10で減算して傾斜温度Ttを出力するものである。
【0067】
第1のPID制御手段61は、平均温度・傾斜温度算出手段5からの平均温度Tavと目標平均温度の制御偏差に基づいて、平均温度が目標平均温度になるように操作信号(操作量)Havを配分手段7に出力し、第2のPID制御手段62は、平均温度・傾斜温度算出手段5からの傾斜温度Ttと目標傾斜温度との制御偏差に基づいて、傾斜温度が目標傾斜温度になるように操作信号(操作量)Htを配分手段7に出力する。
【0068】
配分手段7は、各PID制御手段61,62の操作信号(操作量)Hav,Htを以下のような配分比で各ヒータ11,12に配分する。
【0069】
すなわち、図5は、図3のシステムの制御系のブロック線図である。平均温度を制御する第1のPID制御手段61から与えられる操作量Havを、配分手段7で干渉をなくす、すなわち、非干渉化するための係数である非干渉化係数(配分比)k1,k2で第1,第2のヒータ11,12にそれぞれ配分するとともに、第2のPID制御手段62から与えられる操作量Htを、非干渉化係数(配分比)k3,k4で第1,第2のヒータ11,12にそれぞれ配分し、これによって、各ヒータ11,12に熱量H1,H2がそれぞれ与えられるとする。
【0070】
また、第1のヒータ11に与えられた熱量H1は、伝達係数(干渉係数)l1で第1の温度センサ21に伝わる一方、伝達係数(干渉係数)l2で第2の温度センサ22に伝わり、同様に、第2のヒータ12に与えられた熱量H2は、伝達係数(干渉係数)l3で第1の温度センサ21に伝わる一方、伝達係数(干渉係数)l4で第2の温度センサ22に伝わるとする。
【0071】
そして、第1の温度センサ21で検出された検出温度T1と第2の温度センサ22で検出された検出温度T2とから平均温度Tavおよび傾斜温度Ttが算出されて各PID制御手段61,62に入力されるという制御ループが構成されている。
【0072】
以上のことから平均温度Tavは、次のように示される。
【0073】
Tav=(T1+T2)/2
={(l1・H1+l3・H2)+(l2・H1+l4・H2)}/2
={(l1+l2)H1+(l3+l4)H2}/2
={(l1+l2)(k1・Hav+k3・Ht)
+(l3+l4)(k2・Hav+k4・Ht)}/2
=〔{(l1+l2)k1+(l3+l4)k2}Hav
+{(l1+l2)k3+(l3+l4)k4}Ht〕/2
ここで、平均温度Tavは、平均温度の操作量Havのみの関数で、傾斜温度の操作量Htの影響をなくすように、すなわち、非干渉化を図るために、Htの項を0とする。
【0074】
すなわち、(l1+l2)・k3+(l3+l4)・k4=0
したがって、k4=−{(l1+l2)/(l3+l4)}k3
となる。
【0075】
同様に、傾斜温度Ttは、次のように示される。
【0076】
Tt=T1−T2
=(l1・H1+l3・H2)−(l2・H1+l4・H2
=(l1−l2)H1+(l3−l4)H2
=(l1−l2)(k1・Hav+k3・Ht)
+(l3−l4)(k2・Hav+k4・Ht)
={(l1−l2)k1+(l3−l4)k2}Hav
+{(l1−l2)k3+(l3−l4)k4}Ht
ここで、傾斜温度Ttは、傾斜温度の操作量Htのみの関数で、平均温度の操作量Havの影響をなくすように、すなわち、非干渉化を図るために、Havの項を0とする。
【0077】
すなわち、(l1−l2)k1+(l3−l4)k2=0
したがって、k2=−{(l1−l2)/(l3−l4)}k1
となる。
【0078】
以上のことから傾斜温度に影響を与えずに平均温度を制御し、また、平均温度に影響を与えずに傾斜温度を制御する、すなわち、平均温度と傾斜温度との干渉をなくした非干渉制御を行うためには、非干渉化係数(配分比)k1〜k4で配分すればよく、この非干渉化係数(配分比)k1〜k4を算出するためには、第1のヒータ11の熱量が第1,第2の温度センサ21,22に伝わる伝達係数(干渉係数)l1,l2および第2のヒータ12の熱量が第1,第2の温度センサ21,22に伝わる伝達係数(干渉係数)l3,l4を知る必要がある。
【0079】
なお、非干渉化係数(配分比)k1〜k4は、k1とk2、k3とk4との比率がそれぞれ分かれば、PID制御のゲインによって対応できるので、絶対値は必ずしも必要でない。
【0080】
伝達係数(干渉係数)l1〜l4は、次のようにして求めることができる。すなわち、ヒータを一つだけ変動させて他のヒータは、一定値に固定、例えば、オンのままあるいはオフのままとし、ヒータの変化量に対する各温度センサの変化量の比率を伝達係数とするのである。
【0081】
例えば、第2のヒータ22をオフのままの状態で、第1のヒータ11を、ある温度振幅で変動させたときに、第1,第2の温度センサ21,22の検出温度にどの程度の温度振幅の変動が生じるかによって伝達係数l1,l2を計測することができ、例えば、ヒータを温度振幅1で変動させたきに、温度センサの温度振幅が10であれば、伝達係数は、10(=10/1)となる。
【0082】
ここで、図3の配分手段7における非干渉化係数(配分比)を用いた配分についてさらに具体的に説明する。制御対象27の特性は、上述の図32に示されており、この特性から伝達係数は、l1=1,l2=0.9,l3=0.9,l4=1である。
【0083】
したがって、上述の非干渉化係数の式に代入すると、
4=−{(l1+l2)/(l3+l4)}k3
=−{(1+0.9)/(0.9+1)}k3
=−k3
また、k2=−{(l1−l2)/(l3−l4)}k1
=−{(1−0.9)/(0.9−1)}k1
=k1
となる。
【0084】
そこで、仮に各ヒータに配分される熱量の合計が、Havと等しくなるように、すなわち、k1+k2=1となるように設計し、分かり易さのために、k3=1という条件を加える。
【0085】
これによって、
2=k1=1/2
また、k4=−k3=−1
となり、配分比(非干渉化係数)が決定される。
【0086】
つまり、図5に示されるように、平均温度の操作量Havは、1/2ずつ各ヒータ11,12に配分し、傾斜温度の操作量Htは、第1のヒータ11には、そのまま、第2のヒータ12には、符号を変えて配分すればよい。
【0087】
ここで、配分比(非干渉化係数)は、次のようにして求めることもできる。
【0088】
すなわち、上述のモード変換行列Gmと上述の伝達係数(干渉係数)の行列Pとから配分比(非干渉化係数)の行列(以下「前置補償行列」ともいう)Gcは、以下のように逆行列として求めることもできる。
【0089】
Gc=(Gm・P)-1
この実施の形態に適用すると、制御対象のある時間の特性である伝達係数(干渉係数)の行列Pを、
【0090】
【数3】
Figure 0004192394
【0091】
とすると、配分比(非干渉化係数)の行列である前置補償行列Gcは、
【0092】
【数4】
Figure 0004192394
【0093】
確かめとして、Gm・P・Gc=1となるかどうかを計算する。
【0094】
【数5】
Figure 0004192394
【0095】
なお、この実施の形態では、配分比(非干渉化係数)を、伝達係数を用いて算出したけれども、本発明の他の実施の形態として、伝達係数に代えて、周波数特性も表す伝達関数を用いて算出するようにしてもよい。
【0096】
図3のシステムでは、配分手段7は、図6に示されるように、平均温度の操作信号(操作量)Havは、各減衰器11,12でそれぞれ1/2に減衰して加算器13および減算器14にそれぞれ配分され、傾斜温度の操作信号(操作量)Htは、加算器13および減算器14にそれぞれ配分され、加算器13の出力H1が第1のヒータ11に、減算器14の出力H2が第2のヒータ12に与えられる。
【0097】
この配分手段7によれば、平均温度の操作量Havによって平均温度を変化させる場合には、各ヒータ11,12に操作量が等しく配分されるので、傾斜温度に影響を与えることなく、すなわち、干渉することなく、平均温度のみを変化させることができる。また、傾斜温度の操作量Htによって傾斜温度を変化させる場合には、一方のヒータ11には、その操作量が1倍で与えられる一方、他方のヒータ12には、−1倍で与えられるので、両ヒータに与える総熱量を変化させることなく、すなわち、平均温度に影響を与えることなく、傾斜温度のみを変化させることができる。
【0098】
図7は、図3のシステムにおいて、第1のPID制御手段61でオートチューニングを行った場合の平均温度・傾斜温度算出手段5からの平均温度Tav(破線)、第1のPID制御手段61からの平均温度の操作量Hav(実線)、平均温度・傾斜温度算出手段5からの傾斜温度Tt(二点鎖線)、第2のPID制御手段62からの傾斜温度の操作量Ht(一点鎖線)をスコープに表示した波形を示しており、平均温度の操作量Havがオンオフするリミットサイクルが生じており、平均温度Tavの周期と振幅とを使ってPID制御のパラメータを決定することができる。なお、平均温度Tav、傾斜温度Tt、平均温度の操作量Hav、傾斜温度の操作量Htが、上述の図30,図33の従来例のPV1、PV2、MV1、MV2にそれぞれ対応する。
【0099】
なお、第1のPID制御手段61のPID制御のパラメータが決定された後には、そのパラメータを設定し、次は、傾斜温度を制御する第2のPID制御手段62のオートチューニングを行ってPID制御のパラメータを決定する。
【0100】
このように、平均温度と傾斜温度とを制御量として制御することにより、干渉のない制御が可能となり、PID制御のパラメータを決定するためのオートチューニングが可能となり、最適な制御パラメータを設定して所望の制御特性を得ることができる。
【0101】
このようにしてPID制御のパラメータが設定された後の通常の制御では、平均温度が目標平均温度になるように、傾斜温度が目標傾斜温度になるように制御が行われる。
【0102】
次に、この実施の形態と従来例とのシミュレーションの結果を以下に説明する。このシミュレーションでは、以下のような制御対象のモデリングを行った。すなわち、熱干渉系の最も簡単な例として、図8に示すように2組のヒータ11,12と温度センサ21,22と、その間を熱伝導体50でつないだ熱処理装置を考える。制御目的は、2点の温度を任意の設定温度で均一化することである。図9に制御対象の電気的な等価回路を示す。R1,R2は、温度センサから周囲の空気への熱抵抗、C1,C2は、温度センサ近傍の熱容量である。
【0103】
制御対象の入力は、2つのヒータ熱量であり、ヒータ11の熱量p1の一部は熱伝導体50を伝わって、熱抵抗R3で温度センサ22の温度θ2に干渉し、ヒータ12の熱量p2の一部は、同様に熱抵抗R3で温度センサ21の温度θ1に干渉する。また、熱量p2の一部の熱エネルギーは、熱抵抗R4で熱処理装置が固定されている機械装置本体に熱伝導する。ただし、機械装置本体の熱容量は、非常に大きいので、周囲温度と一致すると近似した。
【0104】
制御対象の等価回路のパラメータは、R1=R2=10[℃/W]、R3=1[℃/W]、R4=0.2[℃/W]、C1=C2=10[J/℃]とした。外乱は、100Wのステップ状とし、従来例とこの実施の形態と同じ条件で印加した。
【0105】
下記の表1のパラメータによる従来のPID制御の応答波形を図10に、下記の表2のパラメータによるこの実施の形態の応答波形を、図11に示す。
【0106】
【表1】
Figure 0004192394
【0107】
【表2】
Figure 0004192394
【0108】
図10,図11を比較すると、従来の制御方式で2°Cの温度差が発生していたものが、この実施の形態では、2つのセンサ間の温度差を0.8°Cまで改善していることが分かる。
【0109】
このような特性の差を生み出せる理由は、この実施の形態では、傾斜温度と平均温度で独立にPIDパラメータを設定できる点にある。この例では、表2に示すように比例ゲインKpに差をつけ平均温度よりも傾斜温度の収束を優先するように、傾斜温度制御の比例ゲインKpを平均温度制御の比例ゲインKpよりも大きな値に設定した。その結果、簡単なPID制御のパラメータの設定であるにも拘わらず、高精度な温度均一化を期待できるものである。
【0110】
さらに、この実施の形態と従来例との目標値応答および外乱応答の比較結果を、図12〜図15に示す。なお、ここでは、CHR(Chien, Hrones and Reswick)の調整則の目標値応答オーバーシュート無しを平均温度制御に、外乱応答オーバーシュート20%を傾斜温度制御に使用した。
【0111】
図12および図13が、この実施の形態の目標値応答および外乱応答の波形であり、図14および図15が、従来例の目標値応答および外乱応答の波形を示している。
【0112】
図14の従来例の目標値応答では、整定時間も29秒と長く、オーバーシュートも認められたけれども、この実施の形態の目標値応答では、図12に示されるように整定時間も9秒と短く、オーバーシュートも認められなかった。
【0113】
また、図15の従来例の外乱応答では、整定時間も32秒と長く、オーバーシュートもやや認められたのに対して、この実施の形態の外乱応答では、図13に示されるように、整定時間も6秒と短く、オーバーシュートも認められなかった。
【0114】
すなわち、この実施の形態では、平均温度制御は、弱くて遅い制御を、傾斜温度制御は、強くて速い制御を行ったので、目標値応答および外乱応答のいずれの場合も、オーバーシュートがなく整定時間も短く満足できるものとなった。
【0115】
上述の例では、簡単にするために、n=2の場合について説明したけれども、ゾーンが3つの場合、すなわち、ヒータ、温度センサおよびPID制御手段が3つのn=3の場合にも同様に適用できるものである。
【0116】
すなわち、上述の図5に対応する図16のブロック線図に示されるように、第1〜第3のヒータ11〜13と、各ヒータ11〜13に個別的に対応する第1〜第3の温度センサ21〜23とが、第1〜第3の各ゾーンにそれぞれ配置されており、第1のゾーンと第2のゾーンとが隣接し、第2のゾーンと第3のゾーンとが隣接しているとし、簡単化のために、隣接するゾーン間でのみ干渉があるとし、第1のヒータ11から第2の温度センサ22への伝達係数(干渉係数)をl1、第2のヒータ12から第1,第3の温度センサ21,23への伝達係数(干渉係数)をl2,l3、第3のヒータ13から第2の温度センサ22への伝達係数(干渉係数)をl4とし、第1のヒータ11から第1の温度センサ21といった相対する伝達係数(干渉係数)は、1.0とする。
【0117】
また、干渉をなくすための非干渉化係数(配分比)について、平均温度を制御する第1のPID制御手段61の操作量Havを第2,第3のヒータ12,13に配分するための非干渉化係数(配分比)をk1,k2、第1の傾斜温度Tt1を制御する第2のPID制御手段62の操作量Ht1を第1,第3のヒータ11,13に配分するための非干渉化係数(配分比)をk3,k4、第2の傾斜温度Tt2を制御する第3のPID制御手段63の操作量Ht2を第1,第2のヒータ11,12に配分するための非干渉化係数(配分比)をk5,k6とし、第1のPID制御手段61から第1のヒータ11といった相対する非干渉化係数は1.0とする。なお、この例では、第1の傾斜温度Tt1は、第2,第3の温度センサ22,23の検出温度T2,T3の平均の検出温度と第1の温度センサ21の検出温度T1との差としており、また、第2の傾斜温度Tt2は、第2の温度センサ22の検出温度T2と第3の温度センサ23の検出温度T3との差としている。
【0118】
このとき、平均温度Tavは、次のように示される。
【0119】
Tav=(T1+T2+T3)/3
={(H1+l2・H2)+(l1・H1+H2+l4・H3
+(l3・H2+H3)}/3
={(1+l1)H1+(1+l2+l3)H2+(1+l4)H3}/3
={(1+l1)(Hav+k3・Ht1+k5・Ht2
+(1+l2+l3)(k1・Hav+Ht1+k6・Ht2
+(1+l4)(k2・Hav+k4・Ht1+Ht2)}/3
=〔{(1+l1)+(1+l2+l3)k1+(1+l4)k2}Hav
+{(1+l1)k3+(1+l2+l3)+(1+l4)k4}Ht1
+{(1+l1)k5+(1+l2+l3)k6+(1+l4)}Ht2〕/3
ここで、平均温度Tavは、平均温度の操作量Havのみの関数で、傾斜温度の操作量Ht1,Ht2の操作量の影響をなくすように、すなわち、非干渉化を図るために、Ht1,Ht2の項を0とする。
【0120】
すなわち、(1+l1)k3+(1+l2+l3)+(1+l4)k4=0
(1+l1)k5+(1+l2+l3)k6+(1+l4)=0
となる。
【0121】
これを以下のように簡略化する。
【0122】
la+lb・k3+lc・k4=0 ……▲1▼
ld+le・k5+lf・k6=0 ……▲2▼
第1の傾斜温度Tt1についても同様にして、第1の傾斜温度の操作量Ht1のみの関数で、平均温度の操作量Havおよび第2の傾斜温度の操作量Ht2の影響を受けないという条件を適用して、以下のような同様の方程式が得られる。
【0123】
lg+lh・k1+li・k2=0 ……▲3▼
lj+lk・k5+ll・k6=0 ……▲4▼
また、第2の傾斜温度Tt2についても同様に、以下の方程式が得られる。
【0124】
lm+ln・k1+lo・k2=0 ……▲5▼
lp+lq・k3+lr・k4=0 ……▲6▼
伝達係数l1〜l4、したがって、la〜lrは、n=2の場合と同様にして求められるので、非干渉化係数k1〜k6を未知数とする上記▲1▼〜▲6▼の6つ方程式が得られることになり、これら方程式を解くことにより、配分手段で配分するための非干渉化係数(配分比)k1〜k6が求まることになる。
【0125】
例えば、行列式で求めるとすれば、以下のようになる。
【0126】
【数6】
Figure 0004192394
【0127】
【数7】
Figure 0004192394
【0128】
以上のようにして、本発明は、n=3以上の制御系にも同様に適用することができるものである。
【0129】
なお、配分比(非干渉化係数)の行列である前置補償行列Gcは、上述のように、モード変換行列Gmと伝達係数(干渉係数)の行列Pとから求めることもでき、第1のPID制御手段61から第1のヒータ11といった相対する非干渉化係数も含めて求めることができる。ここで、制御対象のある時間の特性である伝達係数(干渉係数)の行列Pを、
【0130】
【数8】
Figure 0004192394
【0131】
仮に、l1=l2=l3=l4=0.9とすると、
【0132】
【数9】
Figure 0004192394
【0133】
前置補償行列Gcは、
【0134】
【数10】
Figure 0004192394
【0135】
確かめとして、Gm・P・Gc=1となるかどうかを計算する。
【0136】
【数11】
Figure 0004192394
【0137】
図17は、本発明の他の実施の形態の温度調節器のブロック図であり、上述の図3の実施の形態に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0138】
この実施の形態では、平均温度制御と傾斜温度制御との制御のバランスを微調整するファインチューニング器80を備えており、ユーザが、ファインチューニング器80に制御バランス係数を、例えば通信によって設定することにより、ファインチューニング器80では、制御バランス係数に応じた平均温度制御補正値と傾斜温度制御補正値とを出力し、その補正値で各PID制御手段61,62のパラメータを変更するものである。変更するパラメータとしては、例えば、PIDの制御パラメータや操作量を制限する後述のリミッタのリミット値である。
【0139】
この制御バランス係数によって、傾斜温度の制御は強く速く、平均温度の制御は弱く遅く、あるいは、傾斜温度の制御は弱く遅く、平均温度の制御は強く速くなどを決定するのである。強さの程度は、用途や制御対象の特性により最適な条件が変化するので、ユーザが、その変化に合わせてこの制御バランス係数を変更し、用途や制御対象の特性に合った制御条件の微調整(ファインチューニング)を行うのである。
【0140】
強く調整する例としては、比例ゲインを大きくすることやリミット値を大きくする場合であり、逆に弱く調整する例としては、比例ゲインを小さくすることやリミット値を小さくする場合である。また、速く調整する例としては、積分時定数や微分時定数を短くする場合であり、逆に遅く調整する例としては、積分時定数や微分時定数を大きくする場合である。
【0141】
すなわち、この実施の形態では、ユーザが、用途や制御対象の特性に応じて制御バランス係数を設定することにより、それに応じたPIDの制御パラメータ等がファインチューニング器80で演算されて対応するPID制御手段61,62の制御パラメータ等が変更されるものである。したがって、ファインチューニング器80による演算処理は、変更するパラメータおよび制御バランス係数などに応じて規定されることになる。
【0142】
この図17では、n=2の場合について説明したけれども、n=3以上であっても同様に適用できるものであり、また、制御バランス係数によるパラメータの変更は、複数のPID制御手段の少なくとも一つについて行えばよい。
【0143】
本発明の他の実施の形態として、図18に示されるように、制御バランス係数を、平均温度制御補正値と同じものとし、この平均温度制御補正値に応じて、ファインチューニング器81で傾斜温度制御補正値を決定するようにしている。つまり、平均温度制御のパラメータを元に傾斜温度制御のパラメータを変更するのである。用途や制御対象の特性などによっては、逆に傾斜温度制御のパラメータを元に平均温度制御のパラメータを変更する場合もある。
【0144】
傾斜温度制御と平均温度制御とは、後述のようにトレードオフの条件になることがある。例えば、傾斜温度制御の一つのパラメータを強めた場合には、平均温度制御の方のパラメータは弱くするのが最適であるという関係や傾斜温度制御の特性を改善するためには平均温度制御のパラメータを弱めるといった操作である。
【0145】
このようにファインチューニング器80,81によってオートチューニングで不充分なとき、原理を詳しく知らない人でも、傾斜温度制御を優先するか、あるいは、平均温度制御を優先するかを調整してより最適な状態にPID制御手段の条件を近づけることができ、ユーザが非常に使いやすくなる。
【0146】
図19は、本発明のさらに具体的な実施の形態の一例を示す温度調節器のブロック図であり、上述の実施の形態に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0147】
上述の図17および図18の実施の形態では、制御バランス係数に応じてPIDの制御パラメータを調整したけれども、この実施の形態では、制御バランス係数によって平均温度制御のPID制御手段61の操作量を制限するリミッタ82の上限値を変更するようにしている。
【0148】
ここで、平均温度制御と傾斜温度制御との関係について、さらに詳細に説明する。操作量が飽和するような大きな外乱が全体に加わるような場合、例えば、熱処理盤にウェハを載置したような場合に、リミッタ82で平均温度制御の操作量を制限することで、温度を均一化(傾斜温度=0)する均一化制御性能を向上させることができる。
【0149】
その理由を以下に詳述する。例えば、熱処理盤に、外乱としてウェハを載置するような面内温度均一化の外乱応答時に、操作量の飽和がある場合は、平均温度制御と傾斜温度制御とはトレードオフとなっている。
【0150】
説明の準備として、2入出力系の例で、2組ある操作量MVについて、図20を用いて述べる。平均用PIDコントローラ61から出力される信号が平均MV、傾斜用PIDコントローラ62から出力される信号が傾斜MVである。平均MVと傾斜MVは、前置補償器(配分手段)7を通過し、さらに、飽和リミッタ831,832を通過し、ch1MVとch2MVとのch毎のMVとなる。前置補償器7は、簡単のため図20に示されるように、1と−1とで構成している。したがって、ch1MV=平均MV−傾斜MVとなっており、ch2MV=平均MV+傾斜MVの意味になっている。ch毎に各MVは、当然0%以下と100%以上は出力できないのでリミットされている。
【0151】
トレードオフの原因は、図21に示されるように、平均MVが100%に既に飽和している場合、傾斜MVが温度差を0にする制御のための値を出力したとしても、ch毎のMVの飽和の中に埋もれてしまい、機能しないためである。
【0152】
逆に、傾斜MVが制御量である温度差を0にするように働かせたいならば、図22のように、平均MVでch毎のMVが飽和しないように平均MVのリミット値で抑制すればよい。そうすれば、傾斜MVの値は、ch毎MVに反映され、温度差が0に速く収束する。つまり、均一化制御が上手く働くのである。その代わり、ch毎のMVは、100%よりも小さな値になるために、平均的な温度の収束時間は長引くのである。これがトレードオフである。
【0153】
そこで、この実施の形態では、図19に示されるように、リミッタ82によって平均温度制御の操作量を抑制するので、PID制御手段61〜6nからの操作量が飽和するような大きな外乱を受けた場合に、傾斜温度制御は、ch毎の操作量の飽和の中に隠れることなく、表に現れて均一動作が可能となる。 この場合、制御バランス係数の設定によりリミッタ82における平均温度制御の操作量の上限値を大きくすれば、平均制御優先(即応性優先)の制御となり、小さくすれば、平均を制限して傾斜制御優先(均一性優先)の制御となる。
【0154】
図23は、本発明の他の実施の形態のブロック図であり、上述の実施の形態に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0155】
この実施の形態では、制御バランス係数と検出された平均温度とに基づいて、ファインチューニング器84で平均温度制御の操作量の上限のリミット値を演算するものである。
【0156】
温度が高く、リミット値の上限値を高くしたい場合に有効である。すなわち、高温になると、熱処理によって奪われる熱量は、大きくなる。例えば、高温の熱処理盤に、ウェハを載置した場合にウェハに奪われる熱量は大きくなる。つまり、外乱が大きくなり、平均温度が飽和しやすくなる。飽和によって平均温度制御の操作量が小さいと、平均温度の復帰に時間を要する。これを防ぐためには、高温では、平均温度制御の操作量の上限値を大きくしたい場合があり、かかる場合に有効である。すなわち、ファインチューニング器84では、制御バランス係数および平均温度・傾斜温度制御手段(モード変換器)5からの平均温度(PV平均)に基づいて、温度が高くなればリミッタ82の上限値を大きくするように動作するのである。
【0157】
例えば、(PV平均−室温)×制御バランス係数+リミット値を、新たなリミット値とするものであり、リミット値は、室温で100%となるように設定され、制御バランス係数は、プラス側で即応性優先(平均制御優先)となり、マイナス側で均一性優先(傾斜制御優先)となる。
【0158】
なお、本発明の他の実施の形態として、図24に示されるように、制御バランス係数によって傾斜温度制御の操作量を制限する少なくとも一つのリミッタ85の上限値を制限して傾斜温度制御を制限して平均温度制御を優先してもよい。
【0159】
また、平均温度制御のリミッタおよび傾斜温度制御のリミッタの両者のリミット値を変更するようにしてもよく、さらには、PIDの制御パラメータを併せて変更するようにしてもよい。
【0160】
上述の実施の形態では、リミッタの上限値を変更したけれども、本発明の他の実施の形態として、リミッタの下限値あるいは両者を変更するようにしてもよい。
【0161】
なお、本発明は、傾斜温度が0の均一性制御に限らず、傾斜温度がある値を有する温度勾配を持たせた制御に適用してもよいのは勿論である。
【0162】
上述の各実施の形態では、各PID制御手段は、平均温度が目標平均温度になるように、あるいは、傾斜温度が目標傾斜温度になるようにそれぞれ制御するものであり、目標平均温度および目標傾斜温度は、ユーザが設定するのであるが、従来では、各ch毎に目標温度を設定していたユーザにとっては、目標平均温度や目標傾斜温度の設定は理解しにくいものである。
【0163】
そこで、図25に示されるように、各ch毎の目標温度SPから目標平均温度および目標傾斜温度を演算するモード変換器5’を設けてもよい。なお、この図25において、上述の図3に対応する部分には、同一の参照符号を付している。このモード変換器5’は、制御対象27からのフィードバック量である各chの温度センサの検出温度から平均温度と傾斜温度とを算出するモード変換器5と同じ構成である。
【0164】
このようにモード変換器5’を追加することによって、ユーザは、平均温度や傾斜温度を考慮することなく、従来と同様に各ch毎に目標温度SPを設定すればよい。
【0165】
さらに、本発明の他の実施の形態として、図26に示されるように、制御対象27からのフィードバック量である各chの温度センサの検出温度と目標温度SPとの温度偏差を求め、この各ch毎の温度偏差から制御偏差である平均温度偏差および傾斜温度偏差を演算するモード変換器5’’を設けてもよい。この構成によれば、ユーザは、平均温度や傾斜温度を考慮することなく、従来と同様に各chの目標温度を設定できる一方、モード変換器5’’を一つにすることができ、メモリ容量の削減と処理の簡素化を図ることができる。
【0166】
すなわち、上述の各実施の形態では、モード変換器5,5’は、複数の温度センサからの検出温度を、平均温度および傾斜温度に変換するものであったのに対して、この実施の形態のモード変換器5’’は、複数の温度センサからの検出温度と目標温度との温度偏差を、検出された平均温度と目標平均温度との偏差である平均温度偏差に変換するとともに、検出された傾斜温度と目標傾斜温度との偏差である傾斜温度偏差に変換するものである。
【0167】
つまり、上述の各実施の形態では、検出温度を、平均温度および傾斜温度に変換した後に制御偏差を求めるのに対して、この実施の形態では、検出温度と目標温度との温度偏差を求め、その温度偏差を、制御偏差である平均温度偏差および傾斜温度偏差に変換するものである。
【0168】
本発明の他の実施の形態として、平均温度に代えて、例えば、中央のゾーンの温度などを代表温度とし、代表温度と傾斜温度とを制御量として制御を行ってもよい。
【0169】
本発明の他の実施の形態として、制御バランス係数を自動的に切り換えるようにしてもよい、例えば、熱処理盤にウェハが載置されるのに応じて制御バランス係数を切り換えるのである。
【0170】
上述の実施の形態では、平均温度は、全体の平均温度一つだけを用いたけれども、本発明の他の実施の形態として、例えば、複数に区分した各グループの各平均温度、すなわち、複数の平均温度を用いるようにしてもよい。
【0171】
上述の実施の形態では、PID制御に適用して説明したけれども、本発明は、PID制御に限らず、比例制御、比例積分制御にも適用できるものである。
【0172】
また、本発明の温度調節器は、熱酸化装置に限らず、拡散炉やCVD装置、例えば、図27に示されるように、枚葉式のCVD装置における熱処理盤の温度制御にも適用できるものである。なお、図27において、ウェーハ60が載置される熱処理盤61は、同心状に外円部62、中間部63、中心部64に3分割されており、各部に個別的に対応するヒータ65〜67が設けられて各ゾーン毎に温度制御するものである。また、本発明の温度調節器は、射出成形機のシリンダ部の温度制御あるいは包装機のヒータ台の温度制御などにも適用できるものである。
【0173】
上述の実施の形態では、ヒータなどの加熱手段を用いた温度制御に適用した説明したけれとも、ペルチェ素子や冷却器などを用いた温度制御に適用してもよいのは勿論であり、さらに、加熱手段と冷却手段とを併用する温度制御に適用してもよい。
【0175】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、干渉のある制御対象の制御において、その干渉を低減することが可能となるとともに、最適な制御パラメータの設定も可能となる。
【0176】
しかも、調整手段によって、状態制御のバランスを調整できることになり、用途や制御対象の特性などに応じて適切な状態制御を行えることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係る温度制御システムの概略構成図である。
【図2】図1の温度調節器のブロック図である。
【図3】温度センサ、ヒータおよびPID制御手段が2つの場合の構成図である。
【図4】図3の平均温度・傾斜温度算出手段5のブロック図である。
【図5】図3の制御系のブロック線図である。
【図6】図3の配分手段のブロック図である。
【図7】図3のシステムのオートチューニングの際の波形図である。
【図8】制御対象のモデルを示す図である。
【図9】制御対象の等価回路図である。
【図10】従来例の応答波形を示す図である。
【図11】実施の形態の応答波形を示す図である。
【図12】実施の形態の目標値応答波形を示す図である。
【図13】実施の形態の外乱応答波形を示す図である。
【図14】従来例の目標値応答波形を示す図である。
【図15】従来例の外乱応答波形を示す図である。
【図16】ゾーンが3つの場合の制御系のブロック線図である。
【図17】本発明の他の実施の形態のブロック図である。
【図18】本発明のさらに他の実施の形態のブロック図である。
【図19】本発明の他の実施の形態のブロック図である。
【図20】操作量を説明するための構成図である。
【図21】傾斜温度制御が働かない場合の操作量の変化を示す図である。
【図22】傾斜温度制御が働く場合の操作量の変化を示す図である。
【図23】本発明の他の実施の形態のブロック図である。
【図24】本発明のさらに他の実施の形態のブロック図である。
【図25】本発明の他の実施の形態のブロック図である。
【図26】本発明のさらに他の実施の形態のブロック図である。
【図27】他の熱処理装置を示す図である。
【図28】熱酸化装置の構成を示す図である。
【図29】干渉のない二つの制御対象を制御するシステムの構成図である。
【図30】図29のシステムのオートチューニングの際の波形図である。
【図31】干渉のある制御対象を制御するシステムの構成図である。
【図32】図31の制御対象の構成を示す図である。
【図33】図31のシステムのオートチューニングの際の波形図である。
【符号の説明】
0〜1n ヒータ
0〜2n 温度センサ
3 制御対象
4 温度調節器
5 平均温度・傾斜温度算出手段
1〜6n PID制御手段
7 配分手段
15 ヒータプレート
18 熱酸化装置
80,81 ファインチューニング器

Claims (5)

  1. 制御対象の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出手段から得られる複数の検出温度を、複数の検出温度に基づく温度差である傾斜温度に変換するとともに、前記制御対象の温度を代表的に示す代表温度に変換する変換手段と、
    前記変換手段からの前記傾斜温度または前記代表温度に基づいて、少なくとも比例制御を行ってそれぞれ出力を与える複数の温度制御手段と、
    前記各温度制御手段からの前記出力を、各温度制御手段による制御が、他の温度制御手段による制御に与える影響をなくす又は小さくするように配分する配分手段と、
    前記傾斜温度に基づいて少なくとも比例制御を行う前記温度制御手段と前記代表温度に基づいて少なくとも比例制御を行う前記温度制御手段との温度制御のバランスを調整する調整手段と、
    を備えることを特徴とする温度調節器。
  2. 制御対象の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出手段から得られる複数の検出温度とその制御目標である複数の目標温度との偏差を、複数の検出温度に基づく温度差である傾斜温度とその制御目標である目標傾斜温度との偏差に変換するとともに、前記制御対象の温度を代表的に示す代表温度とその制御目標である目標代表温度との偏差に変換する変換手段と、
    前記変換手段からの前記傾斜温度についての偏差または前記代表温度についての偏差を制御偏差として少なくとも比例制御を行ってそれぞれ出力を与える複数の温度制御手段と、
    前記各温度制御手段からの前記出力を、各温度制御手段による制御が、他の温度制御手段による制御に与える影響をなくす又は小さくするように配分する配分手段と、
    前記傾斜温度についての偏差を前記制御偏差として少なくとも比例制御を行う温度制御手段と前記代表温度についての偏差を前記制御偏差として少なくとも比例制御を行う温度制御手段との温度制御のバランスを調整する調整手段と、
    を備えることを特徴とする温度調節器。
  3. 前記調整手段は、設定に応じて、前記温度制御手段の制御パラメータおよび前記温度制御手段の出力を制限するリミッタの少なくとも一方を調整する請求項1または2記載の温度調節器。
  4. 前記代表温度が複数の検出温度に基づく平均温度であり、前記調整手段は、設定に応じて、平均温度に基づいて少なくとも比例制御を行う前記温度制御手段または平均温度の偏差を制御偏差として少なくとも比例制御を行う前記温度制御手段の出力を制限するリミッタの上限値を調整する請求項3記載の温度調節器。
  5. 前記各温度制御手段は、比例積分微分(PID)制御を行なう請求項1〜4のいずれか一項に記載の温度調節器。
JP2000113403A 2000-04-14 2000-04-14 温度調節器 Expired - Lifetime JP4192394B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000113403A JP4192394B2 (ja) 2000-04-14 2000-04-14 温度調節器
PCT/JP2001/003180 WO2001079943A1 (fr) 2000-04-14 2001-04-13 Unite de commande, regulateur de temperature et appareil de traitement thermique
EP01919923A EP1291741B1 (en) 2000-04-14 2001-04-13 Controller, temperature regulator, and heat treatment apparatus
PCT/JP2001/003179 WO2001079942A1 (fr) 2000-04-14 2001-04-13 Unite de commande, regulateur de temperature et appareil de traitement thermique
US10/257,241 US6951998B2 (en) 2000-04-14 2001-04-13 Controller, temperature regulator and heat treatment apparatus

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000113403A JP4192394B2 (ja) 2000-04-14 2000-04-14 温度調節器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001296902A JP2001296902A (ja) 2001-10-26
JP4192394B2 true JP4192394B2 (ja) 2008-12-10

Family

ID=18625375

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000113403A Expired - Lifetime JP4192394B2 (ja) 2000-04-14 2000-04-14 温度調節器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4192394B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TW522292B (en) * 2001-02-06 2003-03-01 Asml Us Inc Inertial temperature control system and method
KR100859417B1 (ko) 2007-06-05 2008-09-22 경북대학교 산학협력단 가열 실린더 롤러의 표면 온도 제어 시스템 및 그 방법
US9822989B2 (en) * 2011-12-12 2017-11-21 Vigilent Corporation Controlling air temperatures of HVAC units
JP5923416B2 (ja) * 2012-09-12 2016-05-24 アズビル株式会社 制御装置
US9785132B2 (en) * 2013-11-07 2017-10-10 Emhart Glass S.A. Target signature closed loop control system and method
JP6858077B2 (ja) * 2017-05-25 2021-04-14 アズビル株式会社 コントローラ調整システムおよび調整方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5824788A (ja) * 1981-08-07 1983-02-14 真空理工株式会社 温度勾配炉
JPS61131103A (ja) * 1984-11-30 1986-06-18 Toshiba Corp 非干渉制御装置
JPH07200078A (ja) * 1993-12-28 1995-08-04 Komatsu Electron Metals Co Ltd 温度制御装置
JP3278807B2 (ja) * 1998-10-14 2002-04-30 オムロン株式会社 制御装置、温度調節器および熱処理装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001296902A (ja) 2001-10-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3278807B2 (ja) 制御装置、温度調節器および熱処理装置
EP1291741A1 (en) Controller, temperature regulator, and heat treatment apparatus
JP6324739B2 (ja) 半導体ウェーハの温度制御装置、及び半導体ウェーハの温度制御方法
JP3555609B2 (ja) 制御装置、温度調節器および熱処理装置
CN110565074B (zh) 基座加热方法和基座加热装置
JP4192394B2 (ja) 温度調節器
US20180053669A1 (en) Temperature Controller of Semiconductor Wafer and Temperature Control Method of Semiconductor Wafer
JP2002318602A (ja) むだ時間を有するプロセス系に対する離散時間スライディングモード制御装置及び方法
JP2001117603A (ja) 制御演算装置及び制御演算方法
JP4192393B2 (ja) 温度調節器
JP3911953B2 (ja) 制御装置および温度調節器
JP3915370B2 (ja) 制御装置、温度調節器および熱処理装置
JP3925078B2 (ja) 制御装置、温度調節器および熱処理装置
JP3757809B2 (ja) 温度調節器
JP2003022978A (ja) 基板処理装置
US4406399A (en) Method of controlling an enamelling oven
US20170269616A1 (en) Temperature controller of semiconductor wafer and temperature control method of semiconductor wafer
JP3854018B2 (ja) 自動制御方法
JP2002222001A (ja) 制御装置
CN112782970A (zh) 一种GaN衬底生长加热炉温度自整定方法及系统
JP3664125B2 (ja) 制御装置、温度調節器および熱処理装置
JP3354996B2 (ja) 熱処理方法および熱処理装置
KR20220097284A (ko) 히터 오프셋 값 도출 방법
JP4737233B2 (ja) 温度調節器および熱処理装置
WO1999040497A1 (fr) Regulateur de temperature pour appareil de chauffage a separation de zones

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050303

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080617

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080806

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080826

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080908

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4192394

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111003

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111003

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121003

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121003

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131003

Year of fee payment: 5

EXPY Cancellation because of completion of term