JP4191995B2 - 熱可塑性成形材料 - Google Patents
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Description
本発明は、いろいろな開始剤を用いて製造したグラフト重合体(graft polymers)を含有していて高い強度と減少した不透明度(その結果として成形用組成物の色づけに必要な顔料の量を少なくすることができる)の組み合わせを有することを特徴とする組成物を提供するものである。
【0002】
あらゆる種類の成形品を製造する時に成形用ABS組成物が熱可塑性樹脂として多量に長年に亘って用いられてきた。このような樹脂の特性の範囲は幅広い度合で変えることができる。
【0003】
プラスチック材料の仕様が絶えず増加してきておりかつ新規な用途分野が絶えず増大してきていることから特殊な特性組み合わせを有するABS重合体が益々求められるようになってきている。
【0004】
この種類の特殊な特性組み合わせは、色を付けた耐衝撃性成形品を製造する時のABS重合体、特にハウジング(housings)および被覆用シート(covering sheets)の用途分野におけるABS重合体に関係している。この場合、望まれる色に設定する時に必要な着色剤の量をできるだけ少なくすることが必要であるが、これは、例えば重合体材料の不透明度をより低くしかつ場合により未着色状態の色をより薄くする(黄色指数をより低くする)ことにより達成可能である。
【0005】
乳化重合技術を用いる時には、通常、いろいろなグラフトゴム(graft rubber)成分を熱可塑性樹脂マトリックス(matrix)と組み合わせることにより所望の特性を達成する試みが行われる。
【0006】
従って、例えばドイツ特許出願公開第24 20 357号およびドイツ特許出願公開第24 20 358号には、向上した強度、加工性および表面光沢値がもたらされるように、とりわけ使用するグラフト重合体およびスチレン/アクリロニトリル共重合体が有するゴム含有量、粒子サイズ、グラフト化(grafting)度およびスチレン:アクリロニトリル比に関して限定された値を示す特殊なグラフト重合体を用いることが記述されており、そこでは、そのグラフト重合体を過硫酸塩を用いた開始で得ている。そのような成形用組成物の製造様式は相対的に複雑であるにも拘らず、最適な強度/流動性および強度/光沢関係は達成されておらず、もたらされる固有の色も充分ではない。
【0007】
ヨーロッパ特許出願公開第470 229号、ヨーロッパ特許出願公開第473 400号およびWO 91/13118に従って製造した製品も同様な問題を有することが実証されているが、そこでは、酸化還元剤による開始(redox initiation)で得た低ゴム含有量で粒子直径が小さいグラフト重合体と、酸化還元による開始で得た高ゴム含有量で粒子直径が大きいグラフト重合体を組み合わせることにより耐衝撃性で高い光沢を有する熱可塑性樹脂を得ている。しかしながら、そのような成形用組成物が示す熱可塑的流動性および不透明度は、このような種類の材料の仕様を絶えず増加させることに対応するものではない。
【0008】
ドイツ特許出願公開第41 13 326号には、異なる2種類のグラフト製品(graft products)を含有していて各グラフトゴムの最大ゴム含有量が30%の熱可塑性成形用組成物が記述されている。この文献には特性に関してより正確なデータは与えられていないが、しかしながら、グラフト重合体のゴム含有量が低いことから、製品および製品特性の多様性は非常に制限されるに違いない。
【0009】
ドイツ特許出願公開第196 49 255号には、良好な強度および加工性値を保持していると同時に非常に高い光沢指数を示す成形用ABS組成物の製造が開示されており、そこでは、用いるゴムが示す特定の粒子サイズ分布およびゲル含有量値を維持しながら過硫酸塩による開始で製造した粗い粒状のグラフト重合体と過硫酸塩による開始で製造した微細な粒状のグラフトゴムの組み合わせを用いている。
【0010】
そのような製品の欠点は、製造中に数多くのパラメーターを維持する必要があること以外に、必ずしも常に充分な強度値が得られるとは限らずかつまた固有の色が充分でなくかつ不透明度があまりにも高いと言った点にある。
【0011】
従って、本目的は、この上に記述した欠点を起こさず、高い強度と低い不透明度の組み合わせを有しかつ他の特性が悪影響を受けていないABS型の組成物および熱可塑性成形用組成物を提供することにある。
【0012】
不透明度の低下度合が僅かであっても非常に正確に測定可能であり、それによって、成形用組成物の色づけに必要な顔料の量を顕著に少なくすることができる。
【0013】
本発明は、
A)少なくとも1種のペルオキソ二硫酸塩化合物を開始剤として用いてガラス転移温度が0℃以下のラテックス形態で存在する少なくとも1種のゴムa)、好適にはラテックス形態で存在するブタジエンゴム、特に好適にはポリブタジエンの存在下で少なくとも1種のビニル単量体、好適には90:10から50:50の重量比のスチレンとアクリロニトリル[ここで、スチレンおよび/またはアクリロニトリルの全部または一部がα−メチルスチレン、メタアクリル酸メチルまたはN−フェニルマレイン酸イミドにより置換されていてもよい]、特に好適にはスチレンとアクリロニトリルをラジカル乳化重合(radical emulsion polymerization)させることにより製造した少なくとも1種のグラフトゴム、
B)少なくとも1種の酸化還元系を開始剤として用いてガラス転移温度が0℃以下のラテックス形態で存在する少なくとも1種のゴムb)、好適にはラテックス形態で存在するブタジエンゴム、特に好適にはポリブタジエンの存在下で少なくとも1種のビニル単量体、好適には90:10から50:50の重量比のスチレンとアクリロニトリル[ここで、スチレンおよび/またはアクリロニトリルの全部または一部がα−メチルスチレン、メタアクリル酸メチルまたはN−フェニルマレイン酸イミドにより置換されていてもよい]、特に好適にはスチレンとアクリロニトリルをラジカル乳化重合させることにより製造した少なくとも1種のグラフトゴム、および場合により、
C)少なくとも1種の樹脂形成ビニル単量体(resin−forming vinyl monomer)、好適には90:10から50:50の重量比のスチレンとアクリロニトリル[ここで、スチレンおよび/またはアクリロニトリルの全部または一部がα−メチルスチレン、メタアクリル酸メチルまたはN−フェニルマレイン酸イミドにより置換されていてもよい]を重合させることにより得られた少なくとも1種のゴムを含まない熱可塑性重合体、
を含有する組成物を提供する。
【0014】
本発明に従う組成物のグラフト重合体A)とB)の含有量の比率は、一般に、通常はAが5から95重量部でBが95から5重量部の範囲の如何なる比率であってもよいが、A)が20から90重量部でB)が10から80重量部が好適であり、A)が30から80重量部でB)が20から70重量部が特に好適であり、A)が40から75重量部でB)が25から60重量部が非常に特に好適である[各々A+Bの合計100重量部を基準]。
【0015】
場合により用いてもよい熱可塑性ビニル重合体C)(ゴムを含まない)は50から2000重量部、好適には100から1500重量部、特に好適には150から1000重量部の量で使用可能である[各々A+Bの合計100重量部を基準]。
【0016】
グラフトゴム重合体(graft rubber polymers)A)およびB)のゴム含有量を好適には50重量%より高くし、特に好適には55重量%より高くし、非常に特に好適には58重量%より高くする。
【0017】
本発明に従う組成物に更に加うるにビニル単量体から作られたものでない熱可塑性樹脂(ゴムを含まない)も含有させることができ、その場合には、そのような熱可塑性樹脂の使用量を1000重量部以下、好適には700重量部以下、特に好適には500重量部以下にすることができる。[各々A+B+Cの合計100重量部を基準]。
【0018】
グラフトゴムA)を調製する時にラテックス形態で存在させて用いるゴムa)そしてまたグラフトゴムB)を調製する時にラテックス形態で存在させて用いるゴムb)は、単峰、双峰、三峰もしくは多峰性粒径分布を示すラテックスの形態で存在することができる。
【0019】
そのようなグラフトゴムA)とB)の組み合わせを調製する時に用いるゴムラテックスa)およびb)の中の少なくとも一方が双峰性もしくは三峰性粒径分布を示すのが好適である。
【0020】
特に好適な組み合わせは、調製中に単峰性粒径分布を示すゴムラテックスa)と双峰性粒径分布を示すゴムラテックスb)を用いたか、或は調製中に単峰性粒径分布を示すゴムラテックスa)と三峰性粒径分布を示すゴムラテックスb)を用いたか、或は調製中に双峰性粒径分布を示すゴムラテックスa)と双峰性粒径分布を示すゴムラテックスb)を用いたか、或は調製中に双峰性粒径分布を示すゴムラテックスa)と三峰性粒径分布を示すゴムラテックスb)を用いたか、或は調製中に双峰性粒径分布を示すゴムラテックスa)と単峰性粒径分布を示すゴムラテックスb)を用いたグラフトゴムA)とB)の組み合わせである。
【0021】
非常に特に好適な組み合わせは、調製中に単峰性粒径分布を示すゴムラテックスa)と双峰性粒径分布を示すゴムラテックスb)を用いたか或は調製中に双峰性粒径分布を示すゴムラテックスa)と双峰性粒径分布を示すゴムラテックスb)を用いたグラフトゴムA)とB)の組み合わせである。グラフトゴムA)およびB)の調製中に用いる単峰、双峰、三峰もしくは多峰性ゴムラテックスa)およびb)が示す平均粒子直径(d50値)は幅広い範囲に亘って多様であり得る。適切な粒子直径は、例えば50から600nm、好適には80から550nm、特に好適には100から500nmである。
【0022】
用いるゴムラテックスa)が示す平均粒子直径(d50値)の方が用いるゴムラテックスb)が示す平均粒子直径(d50値)よりも小さいのが好適であり、特に好適には、用いるゴムラテックスa)が示す平均粒子直径とb)が示す平均粒子直径の差が少なくとも40nm、非常に特に好適には少なくとも80nmである。
【0023】
成分A)および成分B)に従うグラフトゴムを調製する時に用いるに適したラテックス形態で存在するゴムa)およびb)は、原則として、0℃以下のガラス転移温度を示すあらゆるゴム重合体である。このような種類のゴム重合体の例はポリジエン、例えばポリブタジエンおよびポリイソプレンなど、アクリル酸C1−C8アルキルが基になったアクリル酸アルキルゴム、例えばポリアクリル酸n−ブチルなど、ポリシロキサンゴム、例えばポリジメチルシロキサンが基になった製品などである。
【0024】
グラフトゴムA)およびB)を調製する時に用いるに好適なゴムa)およびb)はブタジエン重合体ラテックスであり、これはブタジエンの乳化重合で調製可能である。この重合方法は公知であり、例えばHouben−Weyl、Methoden der Organischen Chemie、Makromolekulare Stoffe、パートI、674頁(1961)、Thieme Verlag Stuttgartに記述されている。ブタジエンと共に共重合し得る1種以上の単量体を50重量%以下、好適には30重量%以下(ブタジエン重合体を調製する時に用いる単量体の総量を基準にして)の量で共重合用単量体として用いることも可能である。
【0025】
このような単量体としてイソプレン、クロロプレン、アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、C1−C4アルキルスチレン、アクリル酸C1−C8アルキル、メタアクリル酸C1−C8アルキル、アルキレングリコールのジアクリレート、アルキレングリコールのジメタアクリレート、ジビニルベンゼンを例として挙げることができ、好適に用いられる。好ましくはブタジエンを単独で用いる。a)およびb)を調製する時、また、公知方法を用いて最初に微細なブタジエン重合体を製造した後、これを公知様式で凝集させて所望の粒子サイズを達成することも可能である。関連した技術は記述されている(ヨーロッパ特許出願公開第0 029 613号、ヨーロッパ特許出願公開第0 007 810号、DD−A 144 415、ドイツ特許出願公開第12 33 131号、ドイツ特許出願公開第12 58 076号、ドイツ特許出願公開第21 01 650号、米国特許第1 379 391号を参照)。
【0026】
原則として、また、微細なゴム重合体を水性媒体中で乳化させることによりゴムラテックスa)およびb)の調製を行うことも可能である(日本特許出願55 125 102を参照)。
【0027】
双峰、三峰もしくは多峰性粒径分布を示すゴムラテックスa)およびb)を調製する時、好適には、平均粒径が異なり狭い粒径分布を示す単峰性ゴムラテックスを互いに混合する。
【0028】
本発明の文脈で、狭い粒径分布を示す単峰性ゴムラテックスは粒径分布の幅(粒径分布積分値からd90−d10として測定)が30から150nm、好適には35から100nm、特に好適には40から80nmのラテックスであると理解する。
【0029】
好適な双峰、三峰もしくは多峰性粒径分布を示す混合物を製造する時に用いるゴムラテックスが示す平均粒子直径(粒径分布積分値によるd50値)の差は好適には少なくとも30nm、特に好適には少なくとも60nm、非常に特に好適には少なくとも80nmである。
【0030】
狭い粒径分布を示す単峰性ゴムラテックスの調製は、好適には、いわゆる種晶重合技術(seed polymerisation technique)を用いて適切な単量体、好適にはブタジエンを含有する単量体混合物、特に好適にはブタジエンを乳化重合させることにより行うが、この種晶重合技術では、最初に、微細な重合体、好適にはゴム重合体、特に好適にはブタジエン重合体を種晶ラテックスとして調製した後、それを更にゴム形成単量体(rubber−forming monomers)、好適にはブタジエンを含有する単量体と反応させて更に重合させることでより大きな粒子を生成させる(例えばHouben−Weyl、Methoden der Organischen Chemie、Makromolekulare Stoffe、パートI、339頁(1961)、Thieme Verlag Stuttgartを参照)。
【0031】
この手順では好適には種晶バッチ(seed−batch)方法または種晶供給(seed−feed)方法を用いる。
【0032】
グラフトゴムA)およびB)を調製する時に用いるゴムラテックスa)およびb)が有するゲル含有量は一般に重要でなく、幅広い範囲に亘って多様であり得る。通常は約30%から98%、好適には40%から95%の範囲の値を用いる。
【0033】
好適には、用いるゴムラテックスa)のゲル含有量の方が用いるゴムラテックスb)のゲル含有量よりも高くなるようにし、特に好適には、用いるゴムラテックスa)のゲル含有量とb)のゲル含有量の差が少なくとも5%、非常に特に好適には少なくとも10%であるようにする。
【0034】
平均粒子直径d50およびまたd10およびd90値は超遠心分離測定で測定可能であり[W.Scholtan、H.Lange、Kolloid Z.u.Z.Polymere 250、782から796頁(1972)を参照]、ゲル含有量に関して示す値は、ワイヤーケージ方法(wire cage method)を用いてトルエン中で測定した時に得た値である[Houben−Weyl、Methoden der Organischen Chemie、Makromolekulare Stoffe、パートI、307頁(1961)、Thieme Verlag Stuttgartを参照]。
【0035】
原則として、適切な反応条件を用いた公知様式でゴムラテックスa)およびb)のゲル含有量を調整することができる(例えば、反応温度を高くしそして/または重合を高い転化率に至るまで起こさせかつまた場合により高いゲル含有量がもたらされるように架橋用物質を添加するか、或は例えば反応温度を低くしそして/または架橋があまりにも高い度合で起こる前に重合反応を停止させかつまた場合により低いゲル含有量がもたらされるように分子量調節剤、例えばn−ドデシルメルカプタンまたはt−ドデシルメルカプタンなどを添加する)。通常のアニオン性乳化剤、例えばアルキルスルフェート、アルキルスルホネート、アラルキルスルホネート、飽和もしくは不飽和脂肪酸の石鹸、およびまたアルカリによる不均化もしくは水添されたアビエチン酸もしくはトール油酸などを乳化剤として用い、好適にはカルボキシル基を有する乳化剤(例えばC10−C18脂肪酸の塩、不均化されたアビエチン酸)を用いる。
【0036】
グラフトゴムA)およびB)の調製では、ゴムラテックスa)またはゴムラテックスb)に単量体混合物を分割してか或は連続的に添加して重合させるような様式でグラフト重合を行なうこともできる。
【0037】
好適には、特定の単量体:ゴム比を維持する。
【0038】
本発明に従うグラフトゴムA)を製造するには、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウムまたはこれらの混合物から選択した無機過塩を用いるべきである。
【0039】
本発明に従うグラフトゴムA)を製造する時の反応温度は幅広い範囲に亘って多様であり得る。これは一般に25℃から160℃、好適には40℃から100℃、特に好適には50℃から90℃であるが、反応開始時と終了時の間の温度差を少なくとも10℃、好適には少なくとも15℃、特に好適には少なくとも20℃である。
【0040】
本発明に従うグラフトゴムB)を製造する時、少なくとも1種の酸化還元系を開始剤として用いる。
【0041】
本発明に従う適切な酸化還元剤である開始剤系は、一般に、有機酸化剤と還元剤からなり、ここで、重金属イオンを反応媒体中に存在させることも可能であるが、好適には重金属を全く存在させない。
【0042】
本発明に従う適切な有機酸化剤は、好適には、例えばジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ジシクロヘキシルパーカーボネート、t−ブチルヒドロパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイドまたはこれらの混合物であり、クメンヒドロパーオキサイドおよびt−ブチルヒドロパーオキサイドが特に好適である。また、H2O2を用いることも可能である。
【0043】
本発明に従って使用可能な還元剤は、好適には、還元作用を有する水溶性化合物であり、好適には、スルフィン酸塩、亜硫酸塩、亜二チオン酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸およびその塩、Rongalit(商標)C(ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム)、モノ−およびジヒドロキシアセトン、糖(例えばグルコースまたはデキストロース)の群から選択される。原則として、また、例えば鉄(II)塩、例えば硫酸鉄(II)など、錫(II)塩、例えば塩化錫(II)など、チタン(III)塩、例えば硫酸チタン(III)を用いることも可能であるが、しかしながら、好適には、そのような種類の金属塩を全く用いない。
【0044】
特に好適な還元剤はデキストロース、アスコルビン酸(塩)またはホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム[Rongalit(商標)C]である。
【0045】
酸化還元剤である開始剤成分の量は酸化剤および還元剤に関して次のように分布している。
【0046】
用いる酸化剤の量は一般に0.05から2.0重量%、好適には0.1から1.5重量%、特に好適には0.2から1.2重量%である。還元剤の量は一般に0.05から1.5重量%、好適には0.08から1.2重量%、特に好適には0.1から1.0重量%である。
【0047】
このような酸化還元剤成分は一般に水溶液、水性乳液、水性懸濁液または他の水性分散液の形態で用いられる。
【0048】
本発明に従うグラフトゴムB)を製造する時の反応温度は幅広い範囲に亘って多様であり得る。これは一般に25℃から120℃、好適には35℃から100℃、特に好適には40℃から85℃であるが、反応開始時と終了時の間の温度差を少なくとも10℃、好適には少なくとも15℃、特に好適には少なくとも20℃である。
【0049】
本発明に従うグラフトゴムA)を製造する時、少なくとも1種のビニル単量体、好適にはスチレンとアクリロニトリルの混合物[ここで、スチレンおよび/またはアクリロニトリルの全部または一部はα−メチルスチレン、メタアクリル酸メチルまたはN−フェニルマレイン酸イミドで置換することができる]を好適には20から60重量部、特に好適には25から50重量部用いて、これらを好適には40から80重量部、特に好適には50から75重量部(各々固体を基準)のゴムラテックスa)の存在下で重合させる。
【0050】
本発明に従うグラフトゴムB)を製造する時、少なくとも1種のビニル単量体、好適にはスチレンとアクリロニトリルの混合物[ここで、スチレンおよび/またはアクリロニトリルの全部または一部をα−メチルスチレン、メタアクリル酸メチルまたはN−フェニルマレイン酸イミドで置換することができる]を好適には25から70重量部、特に好適には30から60重量部用いて、これらを好適には30から75重量部、特に好適には40から70重量部(各々固体を基準)のゴムラテックスb)の存在下で重合させる。
【0051】
このようなグラフト重合で用いる単量体は、好適には、スチレンとアクリロニトリルの重量比が90:10から50:50、特に好適には重量比が80:20から65:35のスチレンとアクリロニトリルの混合物である。
【0052】
加うるに、グラフト重合中に分子量調節剤を好適には0.05から2重量%の量、特に好適には0.1から1重量%の量で用いることができる(各々グラフト重合段階で用いる単量体の総量を基準)。
【0053】
適切な分子量調節剤は、例えばアルキルメルカプタン、例えばn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンの二量体、テルピノールなどである。
【0054】
ゴムを含まない共重合体C)として、好適にはスチレンとアクリロニトリルの重量比が95:5から50:50の共重合体を用いるが、ここで、スチレンおよび/またはアクリロニトリルの全部または一部をα−メチルスチレン、メタアクリル酸メチルまたはN−フェニルマレイン酸イミドで置換することができる。
【0055】
組み込まれたアクリロニトリル単位の比率が<30重量%の共重合体C)が特に好適である。
【0056】
好適には、そのような共重合体は20000から200000の平均分子量Mwおよび20から110ml/gの固有粘度[η](25℃のジメチルホルムアミド中で測定)を有する。
【0057】
そのような樹脂の調製に関する詳細は例えばドイツ特許出願公開第2 420 358号およびドイツ特許出願公開第2 724 360号に記述されている。特に塊状または溶液重合で製造されたビニル樹脂(vinyl resins)が有利であることを確かめた。そのような共重合体は個別または任意の混合物として添加可能である。
【0058】
本発明に従う組成物では、また、ビニル単量体から構成された熱可塑性樹脂とは別に、重縮合物、例えば芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステルカーボネート、ポリエステル、ポリアミドなどをゴムを含まない共重合体として用いることも可能である。
【0059】
適切な熱可塑性ポリカーボネートおよびポリエステルカーボネートは公知であり(ドイツ特許出願公開第1 495 626号、ドイツ特許出願公開第2 232 877号、ドイツ特許出願公開第2 703 376号、ドイツ特許出願公開第2 714 544号、ドイツ特許出願公開第3 000 610号、ドイツ特許出願公開第3 832 396号、ドイツ特許出願公開第3 077 934号を参照)、これらの調製は、例えば式(I)および(II)
【0060】
【化1】
【0061】
[式中、
Aは、単結合、C1−C5アルキレン、C2−C5アルキリデン、C5−C6シクロアルキリデン、−O−、−S−、−SO−、SO2−または−CO−であり、
R5およびR6は、独立して、水素、メチルまたはハロゲン、特に水素、メチル、塩素または臭素を表し、
R1およびR2は、独立して、水素、ハロゲン、好適には塩素または臭素、C1−C8アルキル、好適にはメチル、エチル、C5−C6シクロアルキル、好適にはシクロヘキシル、C6−C10アリール、好適にはフェニル、またはC7−C12アラルキル、好適にはフェニル−C1−C4アルキル、特にベンジルを表し、
mは、4から7、好適には4または5の整数であり、
nは、0または1であり、
R3およびR4は、各Xに関して独立して選択され、独立して、水素またはC1−C6アルキルを表し、そして
Xは、炭素を表す]
で表されるジフェノールを炭酸ハライド、好適にはホスゲンおよび/または芳香族ジカルボン酸ジハライド、好適にはベンゼンジカルボン酸ジハライドと相界面重縮合で反応させるか或はホスゲンと均一相重縮合(いわゆるピリジン法)で反応させることで実施可能であり、ここで、公知連鎖停止剤を適当量で用いた公知様式で分子量を調整することができる。
【0062】
前記式(I)および(II)で表される適切なジフェノールは、例えばヒドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシフェノール、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)−プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)−プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5,5−テトラメチルシクロヘキサンまたは1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2,4,4−トリメチルシクロペンタンである。
【0063】
式(I)で表される好適なジフェノールは2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンおよび1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサンであり、式(II)で表される好適なフェノールは1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンである。
【0064】
また、ジフェノール類の混合物を用いることも可能である。
【0065】
適切な連鎖停止剤は、例えばフェノール、p−t−ブチルフェノール、長鎖アルキルフェノール、例えばドイツ特許出願公開第2 842 005号に従う4−(1,3−テトラメチル−ブチル)−フェノールなど、ドイツ特許出願公開第3 506 472号に従うアルキル置換基中の炭素原子の総数が8から20のモノアルキルフェノール、ジアルキルフェノール、例えばp−ノニルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−ドデシルフェノール、2−(3,5−ジメチルヘプチル)−フェノールおよび4−(3,5−ジメチルヘプチル)−フェノールなどである。必要な連鎖停止剤の量はジフェノール(I)と(II)の総数を基準にして一般に0.5から10モル%である。
【0066】
適切なポリカーボネートまたはポリエステルカーボネートは線状または分枝していてもよく、好適には、三官能または三官能以上の化合物、例えばフェノールのOH基を3個以上有する化合物を用いるジフェノールの総量を基準にして0.05から2.0モル%添加することで分枝した生成物を得る。
【0067】
適切なポリカーボネートまたはポリエステルカーボネートは芳香環に結合したハロゲン、好適には臭素および/または塩素を含有し得るが、好適には、それらはハロゲンを含まないものである。
【0068】
それらが示す平均分子量(Mw、重量平均)は、例えば超遠心分離または散乱光測定で測定して、10000から200000、好適には20000から80000である。
【0069】
適切な熱可塑性ポリエステルは、好適にはポリアルキレンテレフタレート、即ち芳香族ジカルボン酸もしくはこれの反応性誘導体(例えばジメチルエステルまたは無水物)と脂肪族、環状脂肪族もしくは芳香脂肪族のジオールの反応生成物そしてこのような反応生成物の混合物である。
【0070】
好適なポリアルキレンテレフタレートの調製は、テレフタル酸(またはその反応性誘導体)と炭素原子数が2から10の脂肪族もしくは環状脂肪族ジオールを用いて公知方法で実施可能である(Kunststoff−Handbuch、VIII巻、695頁以降、Carl Hanser Verlag、Munich 1973)。
【0071】
好適なポリアルキレンテレフタレートではジカルボン酸基の80から100、好適には90から100モル%がテレフタル酸基でありそしてジオール基の80から100、好適には90から100モル%がエチレングリコールおよび/またはブタンジオール−1,4基である。
【0072】
好適なポリアルキレンテレフタレートは、エチレングリコールまたはブタンジオール−1,4基に加えて、炭素原子数が3から12の他の脂肪族ジオールまたは炭素原子数が6から12の環状脂肪族ジオールに由来する基、例えばプロパンジオール−1,3、2−エチルプロパンジオール−1,3、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール−1,5、ヘキサンジオール−1,6、シクロヘキサンジメタノール−1,4、3−メチルペンタンジオール−1,3および−1,6、2−エチルヘキサンジオール−1,3、2,2−ジエチルプロパンジオール−1,3、ヘキサンジオール−2,5、1,4−ジ−(β−ヒドロキシエトキシ)−ベンゼン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチルシクロブタン、2,2−ビス−(3−β−ヒドロキシエトキシフェニル)−プロパンおよび2,2−ビス(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)−プロパンなどに由来する基を0から20モル%含有し得る(ドイツ特許出願公開第2 407 647号、2 407 776号、2 715 932号)。
【0073】
ドイツ特許出願公開第1 900 270号および米国特許第3 692 744号に記述されているように、三価もしくは四価アルコールまたは三塩基性もしくは四塩基性カルボン酸を比較的少量添加することによりポリアルキレンテレフタレートを分枝させることも可能である。好適な分枝剤の例はトリメシン酸、トリメリット酸、トリメチロールエタンおよび−プロパンならびにペンタエリスリトールである。このような分枝剤の使用量を酸成分を基準にして1モル%未満にすることが推奨される。
【0074】
特に、テレフタル酸およびその反応性誘導体(例えばそのジアルキルエステル)とエチレングリコールおよび/またはブタンジオール−1,4のみから製造したポリアルキレンテレフタレートおよびこのようなポリアルキレンテレフタレートの混合物が好適である。
【0075】
好適なポリアルキレンテレフタレートは、また、この上に挙げたアルコール成分を少なくとも2種類用いて製造したコポリエステルであり、特に好適なコポリエステルはポリ(エチレングリコールブタンジオール−1,4)テレフタレートである。
【0076】
好適で適切なポリアルキレンテレフタレートが示す固有粘度は一般に0.4から1.5dl/g、好適には0.5から1.3dl/g、特に0.6から1.2dl/gであり、これらは各々25℃のフェノール/o−ジクロロベンゼン(1:1の重量部)中で測定した固有粘度である。
【0077】
適切なポリアミドは公知のホモポリアミド、コポリアミドおよびこのようなポリアミドの混合物である。それらは部分結晶性および/または無定形ポリアミドであり得る。
【0078】
適切な部分結晶性ポリアミドはポリアミド−6、ポリアミド−6,6およびこれらの成分の混合物および対応する共重合体である。その上、適切な部分結晶性ポリアミドは、酸成分の全部または一部がテレフタル酸および/またはイソフタル酸および/またはスベリン酸および/またはセバシン酸および/またはアゼライン酸および/またはアジピン酸および/またはシクロヘキサンジカルボン酸からなりかつジアミン成分の全部または一部がm−および/またはp−キシリレンジアミンおよび/またはヘキサメチレンジアミンおよび/または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンおよび/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンおよび/またはイソホロンジアミンからなるポリアミドであり、これらの組成は原則として公知である。
【0079】
加うるに、環中の炭素原子数が7−12のラクタムから全部または一部が製造された(場合によりまたこの上に挙げた出発成分の1種以上を一緒に用いることも可能である)ポリアミドも挙げるべきである。
【0080】
特に好適な部分結晶性ポリアミドはポリアミド−6、ポリアミド−6,6およびそれらの混合物である。無定形ポリアミドとして公知の製品を用いることができる。それらは、ジアミン、例えばエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、m−およびp−キシリレンジアミン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)−メタン、ビス−(4−アミノ−シクロヘキシル)−プロパン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、2,5−および/または2,6−ビス−(アミノメチル)−ノルボルナンおよび/または1,4−ジアミノメチルシクロヘキサンなどとジカルボン酸、例えばしゅう酸、アジピン酸、アゼライン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、ヘプタデカンジカルボン酸、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルアジピン酸、イソフタル酸およびテレフタル酸などの重縮合で得られる。
【0081】
また、数種の単量体を重縮合させることにより得られる共重合体も適切であり、かつまた、アミノカルボン酸、例えばε−アミノカプロン酸、ω−アミノウンデカン酸またはω−アミノラウリン酸またはそれらのラクタムなどを添加することにより製造された共重合体も適切である。
【0082】
特に適切な無定形ポリアミドは、イソフタル酸とヘキサメチレンジアミンと他のジアミン、例えば4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,5−および/または2,6−ビス−(アミノメチル)−ノルボルネンから製造されたポリアミド、またはイソフタル酸と4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタンとε−カプロラクタムから製造されたポリアミド、またはイソフタル酸と3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタンとラウリックラクタム(lauric lactam)から製造されたポリアミド、またはテレフタル酸と2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの異性体混合物から製造されたポリアミドである。
【0083】
また、純粋な4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンを用いる代わりに、70から99モル%が4,4’−ジアミノ異性体、
1から30モル%が2,4’−ジアミノ異性体、
0から2モル%が2,2’−ジアミノ異性体、
で構成されているジアミノジシクロヘキシルメタンの位置異性体の混合物を用いることも可能であり、場合により、より高度に縮合した対応するジアミン(工業品質のジアミノジフェニルメタンの水添により得られる)を共に用いることも可能である。イソフタル酸の30%以下をテレフタル酸により置換することも可能である。
【0084】
このようなポリアミドが示す相対粘度(25℃のm−クレゾール中1重量%濃度の溶液中で測定)は好適には2.0から5.0、特に好適には2.5から4.0である。
【0085】
本発明に従う好適な組成物は、グラフトゴム成分A)+B)を1から60重量部、好適には5から50重量部含有しかつゴムを含まない熱可塑性重合体C)を40から99重量部、好適には50から95重量部含有する組成物である。
【0086】
加うるに、ビニル単量体から構成させたものでない熱可塑性樹脂(ゴムを含まない)を更に用いる場合には、それらの量を1000重量部以下、好適には700重量部以下、特に好適には500重量部以下である(各々A+B+Cの合計100重量部を基準)。
【0087】
本発明に従う組成物は、成分A)、B)およびC)そして場合により他の成分を通常の混合装置[好適には複数本ロールミル、ミキサー−押出し加工機または内部コンパウンダー(compounders)]で混合することにより調製される。
【0088】
従って、本発明は、また、本発明に従う組成物を製造する方法も提供し、この方法では、成分A)、B)およびC)そして場合により他の成分を混合した後、高温、一般に150から300℃の温度でコンパウンド化して押出す。
【0089】
必要であるか或は好都合である添加剤、例えば抗酸化剤、紫外線安定剤、過酸化物分解剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、難燃剤、充填材または補強材(ガラス繊維、炭素繊維など)および着色剤などを本発明に従う組成物に調製中、加工中、さらなる処理中および最終成形中に添加することができる。
【0090】
最終的成形は市販の加工装置で実施可能であり、それには例えば射出成形方法、シート押出し加工(場合により後で熱成形を行う)、冷成形、パイプおよびプロファイルの押出し加工、またはカレンダー加工が含まれる。
【0091】
(実施例)
特に明記しない限り、以下の実施例に示す部は全部重量部でありそして示すパーセントは全部重量%である。
使用成分
A)ペルオキソ二硫酸塩化合物を開始剤として使用し製造したグラフトゴム
A1)
アニオンで乳化させてラジカル重合により製造した平均粒子直径d50が112nmでゲル含有量が91重量%の一頂ポリブタジエンラテックスを60重量部(固体として計算)用いて、これの固体含有量を水で約20重量%に調整する。次に、この混合物を59℃に加熱した後、K2S2O8(水に溶解)を0.45重量部加える。次に、40重量部の単量体混合物(スチレン:アクリロニトリルの重量比=73:27)、0.12重量部のt−ドデシルメルカプタンおよび1.0重量部(固体状物質として計算)の樹脂酸ナトリウム塩混合物[Dresinate(商標)731、Abieta Chemie GmbH、Gersthofen](水に溶解、アルカリ性pH)を6時間かけて並行して添加する。
【0092】
反応温度を6時間かけて80℃にまで上昇させた後、反応後の2時間をこの温度にする。フェノール系抗酸化剤を約1重量部添加した後、硫酸マグネシウム/酢酸混合物を用いて凝固を起こさせ、そして水で洗浄した後、得られた粉末を70℃で乾燥する。
A2)
平均粒子直径d50が158nmでゲル含有量が86重量%の双峰性(112nmと285nmの所に粒子サイズのピークを示す)ポリブタジエンラテックスを用いてA1)の下で記述した手順を繰り返す。
A3)
平均粒子直径d50が202nmでゲル含有量が82重量%の双峰性(112nmと285nmの所に粒子サイズのピークを示す)ポリブタジエンラテックスを用いてA1)の下で記述した手順を繰り返す。
A4)
平均粒子直径d50が191nmでゲル含有量が69重量%の単峰性ポリブタジエンラテックスを用いてA1)の下で記述した手順を繰り返す。
A5)
平均粒子直径d50が216nmでゲル含有量が70重量%の双峰性(191nmと285nmの所に粒子サイズのピークを示す)ポリブタジエンラテックスを用いてA1)の下で記述した手順を繰り返す。
A6)
平均粒子直径d50が240nmでゲル含有量が71重量%の双峰性(191nmと285nmの所に粒子サイズのピークを示す)ポリブタジエンラテックスを用いてA1)の下で記述した手順を繰り返す。
A7)
平均粒子直径d50が245nmでゲル含有量が81重量%の双峰性(199nmと285nmの所に粒子サイズのピークを示す)ポリブタジエンラテックスを用いてA1)の下で記述した手順を繰り返す。
A8)
平均粒子直径d50が285nmでゲル含有量が72重量%の単峰性ポリブタジエンラテックスを用いてA1)の下で記述した手順を繰り返す。
A9)
平均粒子直径d50が350nmでゲル含有量が70重量%の双峰性(285nmと415nmの所に粒子サイズのピークを示す)ポリブタジエンラテックスを用いてA1)の下で記述した手順を繰り返す。
A10)
平均粒子直径d50が415nmでゲル含有量が70重量%の単峰性ポリブタジエンラテックスを用いてA1)の下で記述した手順を繰り返す。
A11)
前記双峰性ポリブタジエンラテックスを65重量部(固体として計算)、単量体混合物(スチレン:アクリロニトリルの重量比=73:27)を35重量部およびt−ドデシルメルカプタンを0.10重量部用いてA6)の下で記述した手順を繰り返す。
A12)
前記双峰性ポリブタジエンラテックスを70重量部(固体として計算)、単量体混合物(スチレン:アクリロニトリルの重量比=73:27)を30重量部およびt−ドデシルメルカプタンを0.08重量部用いてA6)の下で記述した手順を繰り返す。
B)酸化還元剤である開始剤系を用いて製造したグラフトゴム
B1)
アニオンで乳化させてラジカル重合で製造した平均粒子直径d50が285nmでゲル含有量が72重量%の単峰性ポリブタジエンラテックスを60重量部(固体として計算)用いて、これの固体含有量を水で約20重量%に調整する。次に、この混合物を75℃に加熱した後、0.26重量部のt−ブチルヒドロパーオキサイドおよび0.22重量部のアスコルビン酸ナトリウムを8時間かけて並行して加えそしてまた40重量部の単量体混合物(スチレン:アクリロニトリルの重量比=73:27)を4時間かけて加えたが、最初の4時間は温度を75℃に保持した後、80℃にまで上昇させる。
【0093】
前記単量体と並行して、1.72重量部(固体として計算)の樹脂酸ナトリウム塩混合物[Dresinate(商標)731、Abieta Chemie GmbH、Gersthofen]を4時間かけて加える。
【0094】
反応後に80℃で1時間経過した後、フェノール系抗酸化剤を約1重量部添加し、硫酸マグネシウム/酢酸混合物を用いて凝固を起こさせ、そして水で洗浄した後、得られた粉末を70℃で乾燥する。
B2)
平均粒子直径d50が350nmでゲル含有量が70重量%の双峰性(285nmと415nmの所に粒子サイズのピークを示す)ポリブタジエンラテックスを用いてB1)の下で記述した手順を繰り返す。
B3)
平均粒子直径d50が415nmでゲル含有量が70重量%の単峰性ポリブタジエンラテックスを用いてB1)の下で記述した手順を繰り返す。
B4)
平均粒子直径d50が298nmでゲル含有量が65重量%の三峰性(196nmと291nmと415nmの所に粒子サイズのピークを示す)ポリブタジエンラテックスを用いてB1)の下で記述した手順を繰り返す。
B5)
平均粒子直径d50が298nmでゲル含有量が66重量%の三峰性(196nmと291nmと415nmの所に粒子サイズのピークを示す)ポリブタジエンラテックスを用いてB1)の下で記述した手順を繰り返す。
C)熱可塑性樹脂
C1)
溶液重合で製造したスチレン/アクリロニトリル(SAN)共重合体樹脂(スチレン:アクリロニトリルの重量比=72:28、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定したMw〜85000)。
C2)
溶液重合で製造したスチレン/アクリロニトリル(SAN)共重合体樹脂(スチレン:アクリロニトリルの重量比=72:28、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定したMw〜115000)。
成形用組成物の試験
内部コンパウンダーに、この上に記述した重合体成分を表1に示す比率で入れ、エチレンジアミンのビス−ステアリルアミドを2重量部およびシリコンオイルを0.1重量部を混合して粒状にした後、加工して試験用棒材およびシート[表面およびコントラスト比(contrast ratio)を評価する目的で60x40x2mmの寸法]に成形する。
【0095】
下記のデータを測定する:
ISO 180/1Aに従って室温におけるノッチド耐衝撃性(notched impact resistance)[ak(RT)]および−20℃におけるノッチド耐衝撃性[ak(−20℃)](単位:kJ/m2)、
DIN 53 460に従う耐熱性(ビカット)(単位:℃)、
DIN 67 530に従って反射角を20°にした時の表面光沢(反射測定装置の値)、
ASTM標準D 1925に従って式YI=(128X−106Z)/Y[式中、X、Y、Z=DIN 5033に従う色座標]を用いた黄色指数(YI)(光の種類:C、観察者:2°、測定アパチュア(measurement aperture):大きな面積値)、
下記:
CR=[Y(黒色背景の前方)/Y(白色背景の前方)]x100
[ここで、Yは、光の種類をD65にしそして観察者を10°にした時のCEIラボ色体積(CEI lab colour volume)による標準的色値を記述(DIN 5033、Ulbricht sphereを参照)]
に従って、サンプルを黒色背景および白色背景の前方に置いて測定した時の材料の不透明度の尺度としてのコントラスト比(CR)[Spektralphotomete Dataflash SF 600 plus CTを用いて測定を行う]、
成形用組成物の加工性の評価では、必要な注入圧力(単位:バール)を240℃で測定することで評価を行った[S.Anders他、Kunststoff 81(1991)、4、336から340頁そしてそこに与えられている引用文献を参照]。
【0096】
その結果を表2に要約する。
【0097】
これらの結果から、本発明に従う成形用組成物は個々の比較実施例と直接比較した時、強度値がはるかに向上しておりかつまた不透明度値もより低くそして個々の場合とも等しく良好であり、従って、所望の色を与えるに必要な顔料の量ははるかに少ないことが分かるであろう。他の重要な特性、例えば耐熱性、熱可塑加工性、表面光沢および黄色指数などは悪影響を受けない。
【0098】
【表1】
【0099】
【表2】
【0100】
【表3】
【0101】
【表4】
【0102】
【表5】
【0103】
【表6】
【0104】
【表7】
Claims (20)
- A)少なくとも1種のペルオキソ二硫酸塩化合物を開始剤として用いて0℃以下のガラス転移温度を有するラテックス形態で存在する少なくとも1種のゴムa)の存在下で少なくとも1種のビニル単量体をラジカル乳化重合させることにより製造した少なくとも1種のグラフトゴム、
B)少なくとも1種の酸化還元系を開始剤として用いて0℃以下のガラス転移温度を有するラテックス形態で存在する少なくとも1種のゴムb)の存在下で少なくとも1種のビニル単量体をラジカル乳化重合させることにより製造した少なくとも1種のグラフトゴム、および場合により、
C)少なくとも1種の樹脂形成ビニル単量体を重合させることにより得られた少なくとも1種のゴムを含まない熱可塑性重合体、
を含有する組成物であって、
A):B)の比率が5:95から95:5(重量部)の間である、
上記組成物。 - A)少なくとも1種のペルオキソ二硫酸塩化合物を開始剤として用いてラテックス形態で存在する少なくとも1種のブタジエンゴムの存在下で90:10から50:50の重量比のスチレンとアクリロニトリル[ここで、スチレンおよび/またはアクリロニトリルの全部または一部がα−メチルスチレン、メタアクリル酸メチルまたはN−フェニルマレイン酸イミドにより置換されていてもよい]をラジカル乳化重合させることにより製造した少なくとも1種のグラフトゴム、
B)少なくとも1種の酸化還元系を開始剤として用いてラテックス形態で存在する少なくとも1種のブタジエンゴムの存在下で90:10から50:50の重量比のスチレンとアクリロニトリル[ここで、スチレンおよび/またはアクリロニトリルの全部または一部がα−メチルスチレン、メタアクリル酸メチルまたはN−フェニルマレイン酸イミドにより置換されていてもよい]をラジカル乳化重合させることにより製造した少なくとも1種のグラフトゴム、および場合により、C)90:10から50:50の重量比のスチレンとアクリロニトリル[ここで、スチレンおよび/またはアクリロニトリルの全部または一部がα−メチルスチレン、メタアクリル酸メチルまたはN−フェニルマレイン酸イミドにより置換されていてもよい]を重合させることにより得られた少なくとも1種のゴムを含まない熱可塑性重合体、
を含有する請求項1記載の組成物。 - 成分B)がジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ジシクロヘキシルパーカーボネート、t−ブチルヒドロパーオキサイド、p−メンタンパーオキサイド、H2O2またはこれらの混合物の群から選択される酸化剤とスルフィン酸塩、亜硫酸塩、亜二チオン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸およびその塩、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、モノ−およびジヒドロキシアセトン、糖、グルコース、デキストロース、鉄(II)塩、錫(II)塩およびチタン(II)塩またはこれらの混合物の群から選択される還元剤の酸化還元系を用いて開始させることにより製造したものである請求項1および2記載の組成物。
- A)を20から90重量%およびB)を10から80重量%含有する請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
- A)を30から80重量%およびB)を20から70重量%含有する請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
- またC)も50から2000重量部[A)+B)の合計100重量部当たり]含有する請求項4記載の組成物。
- またC)も100から1500重量部[A)+B)の合計100重量部当たり]含有する請求項5記載の組成物。
- また芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステルカーボネート、ポリエステル、ポリアミドまたはこれらの混合物から選択される少なくとも1種の樹脂も含有する請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
- グラフトゴムA)およびB)の各々を製造する時に単峰性粒径分布を示すゴムラテックスを用いる請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
- グラフトゴムA)およびB)の各々を製造する時に双峰性粒径分布を示すゴムラテックスを用いる請求項1から8のいずれかに記載の組成物。
- グラフトゴムA)を製造する時に単峰性粒径分布を示すゴムラテックスを用いそしてグラフトゴムB)を製造する時に双峰性粒径分布を示すゴムラテックスを用いる請求項1から8のいずれかに記載の組成物。
- グラフトゴムA)を製造する時に単峰性粒径分布を示すゴムラテックスを用いそしてグラフトゴムB)を製造する時に三峰性粒径分布を示すゴムラテックスを用いる請求項1から8のいずれかに記載の組成物。
- グラフトゴムA)を製造する時に双峰性粒径分布を示すゴムラテックスを用いそしてグラフトゴムB)を製造する時に三峰性粒径分布を示すゴムラテックスを用いる請求項1から8のいずれかに記載の組成物。
- グラフトゴムA)を製造する時に双峰性粒径分布を示すゴムラテックスを用いそしてグラフトゴムB)を製造する時に単峰性粒径分布を示すゴムラテックスを用いる請求項1から8のいずれかに記載の組成物。
- グラフトゴムA)およびB)を製造する時に50から600nmの平均粒子直径(d50)を示すゴムラテックスを用いることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の組成物。
- グラフトゴムA)およびB)を製造する時に100から500nmの平均粒子直径(d50)を示すゴムラテックスを用いることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の組成物。
- グラフトゴムA)を製造する時に用いたゴムラテックスが示す平均粒子直径(d50)の方がグラフトゴムB)を製造する時に用いたゴムラテックスが示す平均粒子直径(d50)よりも小さいことを特徴とする請求項15および16のいずれかに記載の組成物。
- 請求項1から17のいずれかに記載の組成物の使用であって、成形品を製造するための使用。
- 請求項1から17のいずれかに記載の組成物から入手可能な成形品。
- A)少なくとも1種のペルオキソ二硫酸塩化合物を開始剤として用いて0℃以下のガラス転移温度を示すラテックス形態で存在する少なくとも1種のゴムa)の存在下で少なくとも1種のビニル単量体をラジカル乳化重合させることにより製造した少なくとも1種のグラフトゴム、
B)少なくとも1種の酸化還元系を開始剤として用いて0℃以下のガラス転移温度を示すラテックス形態で存在する少なくとも1種のゴムb)の存在下で少なくとも1種のビニル単量体をラジカル乳化重合させることにより製造した少なくとも1種のグラフトゴム、および場合により、
C)少なくとも1種の樹脂形成ビニル単量体を重合させることにより得られた少なくとも1種のゴムを含まない熱可塑性重合体、
を混合した後にコンパウンド化することを特徴とする組成物の製造方法。
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