JP4189169B2 - 色変換定義修正装置および色変換定義修正プログラム - Google Patents

色変換定義修正装置および色変換定義修正プログラム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、第1の色空間上の座標によって色を表す第1の色データと第2の色空間上の座標によって色を表す第2の色データとの間のデータ変換の関係を、複数の第1の色データと複数の第2の色データとを1対1に対応付けて定義した色変換定義を修正する色変換定義修正装置、およびコンピュータをそのような色変換定義修正装置として動作させる色変換定義修正プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えばカラースキャナや電子スチールカメラ等の入力デバイスで画像(ここでは原稿画像と称する)を取り込んで画像データを得、その画像データに基づいて今度は印刷機やプリンタやディスプレイ画面等の出力デバイスでその原稿画像を再生して再生画像を得ることが行われている。この場合、入力デバイスに応じた、原稿画像上の色と画像データにおける色表現とを対応付ける色変換定義(入力プロフィル)と、印刷機やプリンタ等の出力デバイスに応じた、画像データにおける色表現と再生画像上の色とを対応付ける色変換定義(出力プロファイル)とを求め、入力デバイスで原稿画像から得られた画像データを、それら双方の色変換定義(入力プロファイルおよび出力プロファイル)を合体させた1つの色変換定義(デバイスリンクプロファイル)に基づいて出力デバイスに適合した画像データに変換し、その出力デバイス用の画像データに基づいて再生画像を出力する。こうすることにより、もともとの原稿画像と色彩的に極力同一に似せた再生画像を得ることができる。
【0003】
また、これと同様のことは、出力デバイスどうしの間でも成立する。次に、その例について説明する。
【0004】
従来より、印刷機を用いたカラー画像の印刷を行うにあたっては、印刷を行う前に、カラープリンタ等を用いて、その印刷機で印刷される画像の色と極力同じ色に似せたプルーフ画像を作成することが行われている。プリンタでプルーフ画像を作成するにあたっては、印刷を行おうとしている印刷機の、例えばC(Cyan:シアン)、M(Magenta:マゼンタ)、Y(Yellow:イエロー)、K(Black:黒)の各網%を表わす色データと、その色データに基づいて出力される実際の印刷物の色との対応を定義した色変換定義(印刷プロファイル)と、プルーフ画像を出力しようとしているプリンタの、例えばCMYKの各網%を表わす色データと、その色データに基づいて実際にプリント出力されるプルーフ画像の色との対応を定義した色変換定義(プリンタプロファイル)とを知り、これらの印刷プロファイルとプリンタプロファイルとを合体させた1つの色変換定義(デバイスリンクプロファイル)に基づいて印刷用の画像データをプリンタ用の画像データに変換し、この変換されたプリンタ用の画像データに基づいてプルーフ画像を作成する。こうすることにより、実際の印刷物と色彩的に極力同一に似せたプルーフ画像を作成することができる。
【0005】
上記のようにして色を一致させた画像を得るためには、カラースキャナや電子スチールカメラなどといった入力デバイスの色変換定義(入力プロファイル)や、印刷機やプリンタなどといった出力デバイスの色変換定義(出力プロファイル)を正確に求める必要がある。
【0006】
この色変換定義(プロファイル)を求めるにあたっては、例えば入力デバイスの場合は、カラーパッチが配列されたカラーチャートをその入力デバイスで読み取って画像データに変換し、画像データ上の色空間(デバイス依存色空間;例えばC、M、Y、およびKの4色からなるCMYK色空間、あるいはR(Red:赤)、G(Green:緑)、およびB(Blue:青)の3色からなるRGB色空間等)の座標(CMYK値あるいはRGB値等)を求めるとともに、その同じカラーチャートを構成する各カラーパッチを分光測色計で測色して測色色空間(デバイス非依存色空間;例えばL***色空間あるいはXYZ色空間等)の測色値(L***値あるいはXYZ値等)を求め、それらデバイス依存色空間上の座標とデバイス非依存色空間上の測色値とを対応付ける。
【0007】
また、出力デバイスの色変換定義(出力プロファイル)を求めるにあたっては、例えばCMYKの4色それぞれについて網%を0%,10%,……,100%のように順次変化させた複数種類の色データそれぞれに対応するカラーパッチが配列されたカラーチャートに相当する画像データを作成し、その画像データに基づいて出力デバイスでカラーチャートを出力し、その出力されたカラーチャートを構成する各カラーパッチを分光測色計で測色し、そのようにして得た画像データ上の色空間(デバイス依存色空間)の座標と測色色空間(デバイス非依存色空間)の測色値とを対応付ける。
【0008】
基本的にはこのようにして色変換定義(プロファイル)が求められるが、カラーチャートを構成するカラーパッチの数は色変換定義(プロファイル)の一点一点に対応するほど多数ではないため、上述したような対応関係は、色空間上かなり粗い、まばらな座標に対応する対応関係であり、色変換定義(プロファイル)としては粗すぎるものである。したがって上記のようにしてカラーチャートを構成する各カラーパッチを測色することにより得られた、画像データ上の色空間(デバイス依存色空間)の座標と測色色空間(デバイス非依存色空間)の測色値との対応付けに基づいて、補間演算等により、画像データ上の色空間(デバイス依存色空間)の座標と測色色空間(デバイス非依存色空間)の測色値との対応のペアの数を増やすことなどが行なわれ、最終的に所望の色変換定義(プロファイル)が生成される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述したようにして入力デバイスや出力デバイスの色変換定義(プロファイル)を求めても、分光測色計による測定誤差や、その色変換定義(プロファイル)を作成しようとしている対象のデバイスの特性(例えば出力色の位置依存性)に起因したカラーパッチの色誤差や、実用的なカラーマッチング精度を高めるために、肌色などといった特定の重要色のカラーパッチをカラーチャートを構成するカラーパッチとして追加することなどにより、作成した色変換定義(プロファイル)に歪みが生じ、デバイス依存色空間上での単調な座標変化に対応したL***データやXYZデータ等の変化の単調性を崩すノイズが含まれてしまう場合がある。
【0010】
図11は、データの変化の単調性を崩すノイズが含まれた色変換定義(デバイスプロファイル)の例を示す図である。横軸はYの網%が100%に対するMの網%(色の濃度がYからRへと連続的に変化するグラデーション)を示し、縦軸はMの網%変化に伴うL***値の変化を示す。
【0011】
図11に示す例では、Mの網%の単調変化に対して、L***値の変化の単調性が色変換定義(デバイスプロファイル)に含まれたノイズによって崩されて傾きが大きく変化している。
【0012】
また、図12は、データの変化の単調性を崩すノイズが含まれた色変換定義(デバイスリンクプロファイル)の例を示す図である。ここでは、CとMに着目しており、横軸は入力デバイスの網%(色の濃度がCからMへと連続的に変化するグラデーション)を示し、縦軸は入力デバイスの網%の変化に対する出力デバイスの網%の変化量を示す。
【0013】
図12に示す例では、Cの網%が100%から0%へと単調に変化し、同時にMの網%が0%から100%へと単調に変化するような、入力デバイスの網%の単調変化に対して、色変換定義(デバイスリンクプロファイル)に含まれたノイズによって出力デバイスの網%の変化量にばらつきが生じている。
【0014】
作成した色変換定義(プロファイル)に、図11,図12に示すようなノイズが含まれると、この色変換定義(プロファイル)を使って色変換を行なった場合に、その色変換後の画像データに基づいて出力されたカラー画像上の、色の濃度が連続的に変化するグラデーションの部分において、色の濃度の不連続変化(以下、このような画像濃度の不連続変化をトーンジャンプと称する)を生じてしまい、トーンジャンプが視覚上認識され、その出力されたカラー画像の画質の低下をもたらすおそれがある。また、作成された色変換定義(プロファイル)に基づいて測色色空間(デバイス非依存色空間)の測色値から画像データ上の色空間(デバイス依存色空間)の座標を求める逆変換プロファイルを計算により求めようとしたとき、色変換定義(プロファイル)に含まれるノイズが計算誤差要因となって逆変換プロファイルを正確に求められなくなってしまうおそれもある。
【0015】
ここで、そのような単調性を崩すノイズが含まれた色変換定義(プロファイル)に対して平滑化処理を施すことによって色変換定義(プロファイル)の歪みが緩和されることが知られている。
【0016】
図13は、図11に示す色変換定義(デバイスプロファイル)に対して平滑化処理を施した後の色変換定義(デバイスプロファイル)の例を示す図である。図11と同様に、横軸はYの網%が100%に対するMの網%(色の濃度がYからRへと連続的に変化するグラデーション)を示し、縦軸はMの網%変化に伴うL***値の変化を示す。
【0017】
図13に示す例では、Mの網%の単調変化に対して、L***値の傾きが大きく変化することが緩和されている。
【0018】
また、図14は、図12に示す色変換定義(デバイスリンクプロファイル)に対して平滑化処理を施した後の色変換定義(デバイスリンクプロファイル)の例を示す図である。図12と同様に、ここでも、CとMに着目しており、横軸は入力デバイスの網%(色の濃度がCからMへと連続的に変化するグラデーション)を示し、縦軸は入力デバイスの網%の変化に対する出力デバイスの網%の変化量を示す。
【0019】
図14に示す例では、入力デバイスの網%の単調変化に対する出力デバイスの網%の変化量のばらつきが緩和されている。
【0020】
図13,図14に示すような、平滑化処理が施された後の色変換定義(プロファイル)を使って色変換を行えば、トーンジャンプが緩和されて滑らかなグラデーションが表現され、色彩的に高い画質を持ったカラー画像を出力することができる。
【0021】
しかしながら、プロファイルに平滑化処理を施すことは、プロファイルのデータを変化させることとなるので、カラーマッチングの精度は下がってしまうおそれがある。
【0022】
本発明は、上記事情に鑑み、カラーマッチング精度と濃度の連続性とを高次元で両立する色変換定義修正装置、およびコンピュータをそのような色変換定義修正装置として動作させる色変換定義修正プログラムを提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の色変換定義修正装置は、
第1の色空間上の座標によって色を表す第1の色データと第2の色空間上の座標によって色を表す第2の色データとの間のデータ変換の関係を、複数の第1の色データと複数の第2の色データとを1対1に対応付けて定義した色変換定義を修正する色変換定義修正装置において、
上記色変換定義における複数の第2の色データに、その複数の第2の色データ相互間における不連続性を平滑化する平滑化処理を施してその色変換定義を修正する平滑化処理部と、
上記色変換定義における第2の色データに対して基準色の設定を受ける基準色設定部と、
上記基準色設定部により設定された基準色と上記平滑化処理部により平滑化処理が施された後の第2の色データが表す色との色差を求める色差演算部と、
任意の基準色差の設定を受ける基準色差設定部と、
上記色差演算部により求められた色差が、上記基準色差設定部により設定された基準色差よりも大きい場合に、上記平滑化処理部により平滑化処理が施された後の第2の色データを、第2の色データが表す色と上記基準色との色差が小さくなるように修正する色データ修正部とを備えたことを特徴とする。
【0024】
本発明の色変換定義修正装置によれば、色変換定義を修正するにあたって、第2の色データに平滑化処理を施すとともに、設定された基準色と、平滑化処理が施された後の色との色差を求め、この色差が基準色差設定部により設定された基準色差よりも大きい場合には、平滑化処理が施された後の第2の色データを修正して、第2の色データが表す色と上記基準色との色差が小さくなるようにするものであるため、平滑化処理を施すことによってカラーマッチング精度が著しく低下するようなことが防止され、所定のカラーマッチング精度が保たれるとともに、濃度の不連続性が緩和される。したがって、このような色変換定義修正装置によれば、カラーマッチング精度と濃度の連続性とを高次元で両立することが実現される。
【0025】
ここで、上記本発明の色変換定義修正装置において、上記基準色設定部は、上記基準色の設定として、上記平滑化処理部により平滑化処理が施される前の第2の色データからのデータ選択を受けるものであることが好ましい。
【0026】
このように、平滑化処理が施される前の第2の色データの選択により基準色が設定される場合には、基準色の設定が容易である。
【0027】
あるいは、上記本発明の色変換定義修正装置において、上記基準色設定部は、上記基準色の設定として、その基準色を表す色データの入力を受けるものであることも好ましい形態である。
【0028】
例えば特定の肌色などといった、カラーチャートに含まれない色を表す色データの入力により基準色が設定される場合には、実用的なカラーマッチング精度が保たれるとともに、濃度の不連続性が緩和される。
【0029】
また、上記目的を達成する本発明の色変換定義修正プログラムは、
コンピュータ内で実行され、そのコンピュータを、第1の色空間上の座標によって色を表す第1の色データと第2の色空間上の座標によって色を表す第2の色データとの間のデータ変換の関係を、複数の第1の色データと複数の第2の色データとを1対1に対応付けて定義した色変換定義を修正する色変換定義修正装置として動作させる色変換定義修正プログラムであって、
上記色変換定義における複数の第2の色データに、その複数の第2の色データ相互間における不連続性を平滑化する平滑化処理を施してその色変換定義を修正する平滑化処理部と、
上記色変換定義における第2の色データに対して基準色の設定を受ける基準色設定部と、
上記基準色設定部により設定された基準色と上記平滑化処理部により平滑化処理が施された後の第2の色データが表す色との色差を求める色差演算部と、
任意の基準色差の設定を受ける基準色差設定部と、
上記色差演算部により求められた色差が、上記基準色差設定部により設定された基準色差よりも大きい場合に、上記平滑化処理部により平滑化処理が施された後の第2の色データを、第2の色データが表す色と上記基準色との色差が小さくなるように修正する色データ修正部とを有することを特徴とする。
【0030】
本発明の色変換定義修正プログラムは、この色変換定義修正プログラムをコンピュータにインストールして動作させたときに、そのコンピュータが本発明の色変換定義修正装置として動作するように構成されたものであり、この色変換定義修正プログラムには、本発明の色変換定義修正装置の各種態様に対応する全ての態様が含まれる。
【0031】
なお、色変換定義修正装置と色変換定義修正プログラムとで、それぞれ構成要素に同じ名前を付したが、それらの構成要素は、色変換定義修正装置ではハードウェアおよびソフトウェアを意味し、色変換定義修正プログラムではソフトウェアのみを意味する。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0033】
本実施形態では、カラープリンタでプリント出力されるプルーフ画像上の色を、印刷機で得られる印刷物上の色に一致あるいは十分に近似させるための、本発明にいう色変換定義の一例であるプロファイルを修正する例で説明する。
【0034】
図1は、本発明の一実施形態により修正されるプロファイルが採用される印刷およびプルーフ画像作成システムの全体構成図である。ここでは、先ずこの図1を参照して、本発明の位置づけについて説明する。
【0035】
カラースキャナ10では、原稿画像11が読み取られて、その読み取った原稿画像11を表すC(Cyan:シアン)、M(Magenta:マゼンタ)、Y(Yellow:イエロー)、およびK(Black:黒)からなる4色の色分解画像データが生成される。このCMYKの画像データはワークステーション20に入力される。ワークステーション20では、オペレータにより、入力された画像データに基づく、電子的な集版が行われ、印刷用の画像を表す画像データが生成される。この印刷用の画像データは、印刷を行う場合は、フィルムプリンタ30に入力され、フィルムプリンタ30では、その入力された画像データに対応した、CMYK各版の印刷用フィルム原版が作成される。
【0036】
この印刷用フィルム原版からは刷版が作成され、その作成された刷版が印刷機40に装着される。この印刷機40に装着された刷版にはインクが塗布され、その塗布されたインクが印刷用の用紙上に転移されてその用紙上に印刷画像41が形成される。
【0037】
このフィルムプリンタ30によりフィルム原版を作成し、さらに刷版を作成して印刷機40に装着し、その刷版にインクを塗布して用紙上に印刷を行う一連の作業は、大がかりな作業であり、コストもかかる。このため、実際の印刷作業を行う前に、プリンタ60により、以下のようにしてプルーフ画像61を作成し、印刷画像41の仕上りの事前予測が行われる。
【0038】
プルーフ画像を作成するにあたっては、ワークステーション20上の電子集版により作成された画像データがパーソナルコンピュータ50に入力される。ここで、このパーソナルコンピュータ50に入力される画像データは、いわゆるPDL(Page Description Language)で記述された記述言語データであり、パーソナルコンピュータ50では、いわゆるRIP(Raster Image Processor)により、ビットマップに展開されたCMYK4色の画像データに変換される。このCMYK4色の画像データは、実質的には、フィルムプリンタ30に入力される印刷用の画像データと同一である。
【0039】
この図1に示す分光測色計70およびパーソナルコンピュータ80は、プロファイルの作成および修正に関連するものであって、本発明にいう色変換定義修正装置の一実施形態を構成するものである。パーソナルコンピュータ50には、このパーソナルコンピュータ80を用いてあらかじめ作成・修正されたLUT(Look Up Table)の形式を持つプロファイルが格納されている。上述したCMYK4色の印刷用の画像データは、このパーソナルコンピュータ50の内部で、そのプロファイルが参照され、プリンタ60に適合したCMYK4色の画像データに変換される。プリンタ60には、そのプリンタ用のCMYK4色の画像データが入力され、プリンタ60では、その入力されたプリンタ用のCMYK4色の画像データに基づくプルーフ画像61が作成される。
【0040】
ここで、印刷機40による印刷で得られた画像41とプリンタ60で得られたプルーフ画像の色の一致の程度は、パーソナルコンピュータ50内のプロファイルにより定まる。このプロファイルは、プリンタごと各プリント条件ごとに作成される。
【0041】
また、この図1には印刷機は1台のみ示されているが印刷機も複数台存在していてもよく、あるいは1台の印刷機であっても異なる複数の印刷条件が存在してもよく、プロファイルは、印刷機の相異を含めた複数の印刷条件それぞれに応じて作成される。すなわち、プロファイルは、印刷条件のそれぞれとプリンタそれぞれ(1台のプリンタで複数のプリント条件が存在するときは各プリント条件それぞれ)との組合せに応じて作成されることになる。尚、このプロファイルの作成方法については後述する。
【0042】
このようにしてプルーフ画像を作成してそのプルーフ画像を確認することにより、印刷の仕上りを事前に予測することができる。
【0043】
ここで、この図1に示す印刷およびプルーフ画像作成システムにおける、本発明の一実施形態としての特徴は、パーソナルコンピュータ80の内部で実行される処理内容に関連があり、以下、先ず、このパーソナルコンピュータ80について説明する。
【0044】
図2は、図1にブロックで示す分光測色計70、および本発明の色変換定義修正装置の一実施形態を構成するパーソナルコンピュータ80の外観斜視図、図3は、そのパーソナルコンピュータ80のハードウェア構成図である。
【0045】
ここでは、このパーソナルコンピュータ80のハードウェアおよびOS(Operation System)と、このパーソナルコンピュータ80にインストールされて実行される色変換定義修正プログラムとにより、本発明の色変換定義修正装置の一実施形態が構成されている。
【0046】
この図2に示す分光測色計70には複数のカラーパッチが配列されたカラーチャート90が乗せられ、そのカラーチャート90を構成する複数のカラーパッチそれぞれについて測色値(ここではL***とする)が測色される。この分光測色計70での測色により得られた各カラーパッチの測色値を表す測色データは、ケーブル91を経由してパーソナルコンピュータ80に入力される。
【0047】
このカラーチャート90は、図1に1つのブロックで示す印刷機40での印刷により、あるいはプリンタ60でのプリント出力により作成されたものであり、パーソナルコンピュータ80は、このカラーチャート90を構成する各カラーパッチに対応する色データ(デバイス依存色空間上の座標;CMYKあるいはRGBの各値)を知っており、このパーソナルコンピュータ80では、そのカラーチャート90の各カラーパッチの色データと分光測色計70で得られた測色データとに基づいて、印刷プロファイルやプリンタプロファイルが作成される。この点に関する詳細説明は後に譲り、ここでは、次に、パーソナルコンピュータ80のハードウェア構成について説明する。
【0048】
図2に示すように、このパーソナルコンピュータ80は、外観構成上、本体装置81、その本体装置81からの指示に応じて表示画面82a上に画像を表示する画像表示装置82、本体装置81に、キー操作に応じた各種の情報を入力するキーボード83、および、表示画面82a上の任意の位置を指定することにより、その指定時にその位置に表示されていた、例えばアイコン等に応じた指示を入力するマウス84を備えている。この本体装置81は、外観上、フレキシブルディスク(FD)を装填するためのFD装填口81a、およびCD−ROMを装填するためのCD−ROM装填口81bを有する。
【0049】
本体装置81の内部には、図3に示すように、各種プログラムを実行するCPU811、ハードディスク装置813に格納されたプログラムが読み出されCPU811での実行のために展開される主メモリ812、各種プログラムやデータ等が保存されたハードディスク装置813、FD100が装填されその装填されたFD100をアクセスするFDドライブ814、CD−ROM110が装填され、その装填されたCD−ROM110をアクセスするCD−ROMドライブ815、図1,図2に示す分光測色計70と接続され、分光測色計70から測色データを受け取るI/Oインタフェース816が内蔵されており、これらの各種要素と、さらに図2にも示す画像表示装置82、キーボード83、マウス84は、バス85を介して相互に接続されている。
【0050】
ここで、CD−ROM110には、このパーソナルコンピュータ80を色変換定義修正装置として動作させるための色変換定義修正プログラムが記憶されており、そのCD−ROM110はCD−ROMドライブ815に装填され、そのCD−ROM110に記憶された色変換定義修正プログラムがこのパーソナルコンピュータ80にアップロードされてハードディスク装置813に記憶される。
【0051】
なお、このパーソナルコンピュータ80による、以下において説明するプロファイルの作成の機能は、本発明の主題ではなく、その機能を実現するために必要なプログラム等は既にパーソナルコンピュータ80にインストールされているものとする。
【0052】
次に、このパーソナルコンピュータ80内に構築された、プロファイルの作成機能について説明する。
【0053】
尚、一般に、以下説明するプリンタプロファイルはプリンタのメーカで既に作成され、そのプリンタとともに納品されるものであり、したがってここでは、プリンタプロファイルをあらためて作成する必要はないが、以下では、そのプリンタプロファイルを新たに作成するとした場合の基本的な作成方法について説明する。
【0054】
図4は、プロファイル作成および修正の説明図である。
【0055】
尚、ここでいうプロファイルの修正は、作成されたプロファイルに基づく色変換におけるカラーマッチングの精度を高めるための修正であって、本発明にいう「色変換定義の修正」とは異なるものである。
【0056】
ここでは、先ず印刷プロファイルの作成方法について説明する。
【0057】
図1に示すワークステーション20で、例えば0%,10%,……,100%と順次変化させたCMYK4色の網%データを生成し、前述の印刷手順に従って、そのようにして生成した網%データに基づくカラーチャート42を作成する。このカラーチャート42を構成する各カラーパッチを分光測色計70(図2参照)で測色する。こうすることにより、CMYK4色の色空間上のCMYK値と、L***色空間上のL***値との対応関係を得る。
【0058】
このようにして得られた対応関係は、カラーチャートを構成するカラーパッチの数に制限があるため、CMYK色空間上のかなり粗い間隔の座標点についてのCMYK値とL***値との対応関係である。このため、この対応関係を得た後、この対応関係に補間演算等を適用して、CMYK空間上での所望の細かい間隔の座標点に関する対応関係が定義された印刷プロファイル400が作成される。
【0059】
図5は、印刷プロファイル400の概念図である。
【0060】
この印刷プロファイル400には、CMYKで定義された画像データが入力され、そのCMYKの画像データがL***で定義された画像データに変換される。ここでは、この、CMYKで定義された画像データをL***で定義された画像データに変換する印刷プロファイル400をTで表す。
【0061】
次に、プリンタプロファイルの作成方法について説明する。
【0062】
このプリンタプロファイルの作成方法は、カラーチャートを出力する出力デバイスが印刷機ではなくプリンタであるという点を除き、印刷プロファイル400の作成方法と同様である。すなわち、ここでは、図1に示すパーソナルコンピュータ50で、CMYK4色の網%データを各色について0%,10%,…,100%と順次変化させ、そのように順次発生させた網%データをプリンタ60に送り、プリンタ60でその網%データに基づくカラーチャート62をプリント出力する。ここでは、印刷プロファイル400の作成のために印刷機40での印刷により作成したカラーチャート42と同一タイプのカラーチャート62を出力したものとし、そのカラーチャート62を構成する各カラーパッチを分光測色計70(図2参照)で測色する。こうすることにより、プリンタ60についての、CMYK4色の色空間上のCMYK値と、L***色空間上のL***値との対応関係を得る。
【0063】
このようにして得られた対応関係は、印刷プロファイル400の作成の場合と同様、カラーチャートを構成するカラーパッチの数に制限があるため、CMYK色空間上のかなり粗い間隔の座標点についてのCMYK値とL***値との対応関係であり、この対応関係に補間演算を適用して、CMYK空間上での所望の細かい間隔での座標点に関する対応関係が定義されたプリンタプロファイル500が作成される。
【0064】
図6は、プリンタプロファイル500の概念図である。
【0065】
このプリンタプロファイル500には、CMYKの網%データが入力され、そのCMYKの網%データがL***の測色データに変換される。ここでは、この、CMYKの網%データをL***の測色データに変換するプリンタプロファイル500(順変換プリンタプロファイル)をPで表し、その逆変換、すなわちL***の測色データをCMYKの網%データに変換するプリンタプロファイル(逆変換プリンタプロファイル)をP-1で表す。
【0066】
尚、ここではプリンタ60はCMYKの網%データに基づいて画像を出力するプリンタであるとして説明しているが、例えばRGBのデータに基づく画像を出力するプリンタに関しても、パーソナルコンピュータ50で、RGB空間で定義されたデータを発生させてカラーチャートを出力することにより、同様にしてそのプリンタに適合したプリンタプロファイルを作成することができる。
【0067】
ただしここでは、CMYKの網%データに基づいて画像を出力するプリンタ60を使用するものとして説明する。
【0068】
図7は、図5に示す印刷プロファイル400と図6に示すプリンタプロファイル500とを結合させたデバイスリンクプロファイル600の概念図である。
【0069】
このデバイスリンクプロファイル600は印刷プロファイル400(T)と逆変換プリンタプロファイル(P-1)との結合からなるものであって、印刷用のCMYKの網%データを印刷プロファイル400(T)によりL***の測色データに変換し、次いでそのL***の測色データを逆変換プリンタプロファイル(P-1)によりプリンタ用のCMYKの網%データに変換するという2段階の変換と同等な結果を1回のデータ変換で実現するものである。つまり、このデバイスリンクプロファイル600は、印刷用のCMYK色空間で定義された画像データをプリンタ用のCMYK色空間で定義された画像データに変換するものである。このデバイスリンクプロファイル600で生成したプリンタ用のCMYKの網%データに基づいて、プリンタ60により、印刷される画像の色と極力同じ色に似せたプルーフ画像を出力することができる。
【0070】
図1に示す印刷およびプルーフ画像作成システムを構成するパーソナルコンピュータ80でこのようなデバイスリンクプロファイル600を作成し、この作成したデバイスリンクプロファイル600を図1に示す印刷およびプルーフ画像作成システムを構成するパーソナルコンピュータ50にインストールして、ワークステーション20から入力されたPDLで記述された画像データをCMYKの画像データに変換した後、その印刷用のCMYKの画像データを、そのデバイスリンクプロファイル600を用いてプリンタ用のCMYKの画像データに変換し、プリンタ60により、そのプリンタ用のCMYKの画像データに基づく画像をプリント出力することにより、図1に示す印刷機40で印刷される画像と色彩的に極力同一に似せたプルーフ画像が作成される。
【0071】
次に、デバイスリンクプロファイル600に基づく色変換におけるカラーマッチングの精度を高めるためのデバイスリンクプロファイル600の修正方法について説明する。
【0072】
例えば肌色などといった特定の重要色を含むカラーパッチが配列されたカラーチャート(以下、このカラーチャートを評価用カラーチャートと称する)により表される印刷用のCMYK4色の網%データに基づくカラーチャート43を、前述の印刷手順に従って作成する。このカラーチャート43を構成する各カラーパッチを分光測色計70(図2参照)で測色する。
【0073】
また、上述したようにして作成されたデバイスリンクプロファイル600を図1に示す印刷およびプルーフ画像作成システムを構成するパーソナルコンピュータ50にインストールして、上述した評価用カラーチャートにより表される印刷用のCMYK4色の網%データを、そのデバイスリンクプロファイル600を用いてプリンタ用のCMYKの画像データに変換し、プリンタ60により、そのプリンタ用のCMYKの画像データに基づくカラーチャート64をプリント出力する。このカラーチャート64を構成する各カラーパッチを分光測色計70(図2参照)で測色する。
【0074】
カラーチャート43を構成する各カラーパッチを測色して得られる測色値と、カラーチャート64を構成する各カラーパッチを測色して得られる測色値との色差に基づいてデバイスリンクプロファイル600を修正することによって、実用的なカラーマッチング精度がより高められたデバイスリンクプロファイル600が得られる。
【0075】
ところが、「発明が解決しようとする課題」の欄で説明したように、分光測色計70による測定誤差や、そのプロファイルを作成しようとしている対象のデバイスの特性(例えば出力色の位置依存性)に起因したカラーパッチの色誤差や、上述したデバイスリンクプロファイル600に基づく色変換におけるカラーマッチングの精度を高めるためのデバイスリンクプロファイル600の修正のように、実用的なカラーマッチング精度を高めるために、肌色などといった特定の重要色のカラーパッチをカラーチャートを構成するカラーパッチとして追加することなどにより、作成したプロファイルに歪みが生じ、データの変化の単調性を崩すノイズが含まれてしまう場合がある。作成したプロファイルにこのようなノイズが含まれると、このプロファイルを使って色変換を行なった場合に、その色変換後の画像データに基づいて出力されたカラー画像上の、色の濃度が連続的に変化するグラデーションの部分において、色の濃度の不連続変化(以下、このような画像濃度の不連続変化をトーンジャンプと称する)を生じてしまい、トーンジャンプが視覚上認識され、その出力されたカラー画像の画質の低下をもたらすおそれがある。また、作成されたプロファイルに基づいてL***色空間上のL***値からCMYK4色の色空間上のCMYK値を求める逆変換プロファイルを計算により求めようとしたとき、プロファイルに含まれるノイズが計算誤差要因となって逆変換プロファイルを正確に求められなくなってしまうおそれもある。
【0076】
そのような単調性を崩すノイズが含まれたプロファイルに対して上記平滑化処理を施すことによってプロファイルの歪みが緩和されることが知られており、このような平滑化処理が施された後のプロファイルを使って色変換を行えば、トーンジャンプが緩和されて滑らかなグラデーションが表現され、色彩的に高い画質を持ったカラー画像を出力することができる。しかしながら、プロファイルに平滑化処理を施すことは、プロファイルのデータを変化させることとなるので、上述したようにカラーマッチングの精度を高めるためにデバイスリンクプロファイル600を修正したにもかかわらず、平滑化処理によってカラーマッチングの精度が下がってしまうおそれがある。
【0077】
そこで、次に、図1,図2,図3に示すパーソナルコンピュータ80を用いて行なわれる、カラーマッチング精度と濃度の連続性とを高次元で両立する本発明の色変換定義修正の一実施形態について説明する。
【0078】
尚、以下説明するプロファイルの修正は、本発明にいう「色変換定義の修正」の一例である。
【0079】
図8は、本発明の色変換定義修正プログラムの一実施形態を示した図である。
【0080】
この図8に示す色変換定義修正プログラム210は、図3に示すCD−ROM110に記憶されている。
【0081】
この色変換定義修正プログラム210は、図1,図2,図3に示すパーソナルコンピュータ80内で実行され、そのパーソナルコンピュータ80を、本発明にいう第1の色空間上の座標によって色を表す第1の色データの一例に相当するCMYK値と、本発明にいう第2の色空間上の座標によって色を表す第2の色データの一例に相当するL***値との間のデータ変換の関係を、複数のCMYK値と複数のL***値とを1対1に対応付けて定義したプロファイルを修正する色変換定義修正装置として動作させる色変換定義修正プログラムである。この色変換定義修正プログラム210は、平滑化処理部211と、基準色設定部212と、色差演算部213と、基準色差設定部214と、色データ修正部215とから構成されている。
【0082】
この色変換定義修正プログラム210の各要素の作用については後述する。
【0083】
図9は、本発明の色変換定義修正装置の一実施形態を示す機能ブロック図である。
【0084】
この図9に示す色変換定義修正装置300は、図1,図2,図3に示すパーソナルコンピュータ80に、図8に示す色変換定義修正プログラム210がローディングされ、その色変換定義修正プログラム210がそのパーソナルコンピュータ80内で実行されることにより実現される。
【0085】
この図9に示す色変換定義修正装置300は、上述したCMYK値と、上述したL***値との間のデータ変換の関係を、複数のCMYK値と複数のL***値とを1対1に対応付けて定義したプロファイルを修正するものであって、この色変換定義修正装置300には、平滑化処理部311と、基準色設定部312と、色差演算部313と、基準色差設定部314と、色データ修正部315とが備えられている。
【0086】
この色変換定義修正装置300に備えられている平滑化処理部311、基準色設定部312、色差演算部313、基準色差設定部314、および色データ修正部315の各要素は、それぞれ、図8に示す色変換定義修正プログラム210を構成するソフトウェア部品としての平滑化処理部211、基準色設定部212、色差演算部213、基準色差設定部214、および色データ修正部215の各要素と、それらのソフトウェア部品の各機能を実現するために必要な、図1,図2,図3に示すパーソナルコンピュータ80のハードウェアとOS(Operation System)やアプリケーションプログラムとの組み合わせから構成されている。
【0087】
以下、図9に示す色変換定義修正装置300の各要素を説明することによって、図8に示す色変換定義修正プログラム210の各要素も合わせて説明する。
【0088】
図9に示す色変換定義修正装置300の平滑化処理部311は、アプリケーションソフトウェア上は、図8に示す色変換定義修正プログラム210の平滑化処理部211に対応する要素であり、プロファイルにおける複数のL***値に、その複数のL***値相互間における不連続性を平滑化する上記平滑化処理を施してそのプロファイルを修正するものである。この平滑化処理部311は、本発明にいう平滑化処理部の機能の一例を示すものであり、その機能は、ハードウェア上は、プログラム部品としての平滑化処理部211(図8参照)を実行する、図1,図2,図3に示すパーソナルコンピュータ80の本体装置81に内蔵されたCPU811等によって担われる。
【0089】
また、基準色設定部312は、アプリケーションソフトウェア上は、図8に示す色変換定義修正プログラム210の基準色設定部212に対応する要素であり、プロファイルにおけるL***値に対して基準色の設定を受けるものである。この基準色設定部312は、その基準色の設定として、平滑化処理部311により平滑化処理が施される前のL***値からのデータ選択や、その基準色を表す色データの入力を受けることができる。この基準色設定部312は、本発明にいう基準色設定部の機能の一例を示すものであり、その機能は、ハードウェア上は、プログラム部品としての基準色設定部212(図8参照)を実行する、図1,図2,図3に示すパーソナルコンピュータ80の本体装置81に内蔵されたCPU811等によって担われる。
【0090】
また、色差演算部313は、アプリケーションソフトウェア上は、図8に示す色変換定義修正プログラム210の色差演算部213に対応する要素であり、基準色設定部312により設定された基準色と平滑化処理部311により平滑化処理が施された後のL***値が表す色との色差を求めるものである。この色差演算部313は、本発明にいう色差演算部の機能の一例を示すものであり、その機能は、ハードウェア上は、プログラム部品としての色差演算部213(図8参照)を実行する、図1,図2,図3に示すパーソナルコンピュータ80の本体装置81に内蔵されたCPU811等によって担われる。
【0091】
また、基準色差設定部314は、アプリケーションソフトウェア上は、図8に示す色変換定義修正プログラム210の基準色差設定部214に対応する要素であり、任意の基準色差の設定を受けるものである。この基準色差設定部314は、本発明にいう基準色差設定部の機能の一例を示すものであり、その機能は、ハードウェア上は、プログラム部品としての基準色差設定部214(図8参照)を実行する、図1,図2,図3に示すパーソナルコンピュータ80の本体装置81に内蔵されたCPU811等によって担われる。
【0092】
さらに、色データ修正部315は、アプリケーションソフトウェア上は、図8に示す色変換定義修正プログラム210の色データ修正部215に対応する要素であり、色差演算部313により求められた色差が、基準色差設定部314により設定された基準色差よりも大きい場合に、平滑化処理部311により平滑化処理が施された後のL***値を、L***値が表す色と基準色との色差が小さくなるように修正するものである。尚、具体的な修正方法については後述する。この色データ修正部315は、本発明にいう色データ修正部の機能の一例を示すものであり、その機能は、ハードウェア上は、プログラム部品としての色データ修正部215(図8参照)を実行する、図1,図2,図3に示すパーソナルコンピュータ80の本体装置81に内蔵されたCPU811等によって担われる。
【0093】
図10は、本発明の色変換定義修正装置における処理の流れの一実施形態を示すフローチャートである。
【0094】
ここでは、上述したプリンタプロファイル500が具体的に修正される例を説明する。
【0095】
ここには、平滑化処理の過程(ステップS1)と、基準色を設定する過程(ステップS2)と、色差ΔEを演算する過程(ステップS3)と、基準色差Aを設定する過程(ステップS4)と、色差ΔEと基準色差Aとを比較する過程(ステップS5)と、L***値を修正する過程(ステップS6)とが示されており、図1,図2,図3に示すパーソナルコンピュータ80で、これら各過程が処理される。
【0096】
平滑化処理の過程(ステップS1)では、図4,図6を参照して説明したプリンタプロファイル500における、カラーチャート62を構成する各カラーパッチを分光測色計70(図2参照)で測色して得られたL***値および補間演算により得られたL***値に、それらのL***値相互間における不連続性を平滑化する平滑化処理が施されてプリンタプロファイル500が修正される。ここでの平滑化処理は、LUTの形式を持つプリンタプロファイル500において注目する格子のL***値と、その格子に隣接する周囲の格子のL***値との平均値を、その注目する格子のL***値として決定するものである。平滑化処理が施される前のL***値を代表的に表したものを(L0,a0,b0)、平滑化処理を表す関数(Function)をFとすると、平滑化処理が施された後のL***値を代表的に表したもの(L1,a1,b1)は、
L1=F(L0)
a1=F(a0)
b1=F(b0)
で表される。
【0097】
基準色を設定する過程(ステップS2)では、プリンタプロファイル500における、カラーチャート62を構成する各カラーパッチを分光測色計70(図2参照)で測色して得られたL***値および補間演算により得られたL***値に対して基準色の設定を受ける。ここでは、その基準色の設定として、平滑化処理の過程(ステップS1)で平滑化処理が施される前のL***値(L0,a0,b0)からのデータ選択を受ける。
【0098】
尚、この基準色を設定する過程(ステップS2)では、平滑化処理の過程(ステップS1)で平滑化処理が施される前のL***値(L0,a0,b0)からのデータ選択を受ける例を説明したが、例えば、特定の肌色などといった、カラーチャートに含まれない色を表す色データの入力を受けるものであってもよい。ただし、以下では、上記データ選択を受ける例で説明を続ける。
【0099】
色差ΔEを演算する過程(ステップS3)では、基準色を設定する過程(ステップS2)で設定された基準色、すなわち、平滑化処理の過程(ステップS1)で平滑化処理が施される前のL***値(L0,a0,b0)が表す色と、平滑化処理の過程(ステップS1)で平滑化処理が施された後のL***値(L1,a1,b1)が表す色との色差ΔEが求められる。ここでは、色差ΔEが下記(1)式にて求められる。
【0100】
ΔE=√(dL・dL+da・da+db・db) ……(1)
ただし、
dL=L1−L0
da=a1−a0
db=b1−b0
基準色差Aを設定する過程(ステップS4)では、図1,図2,図3に示すパーソナルコンピュータ80に備えられたキーボードやマウスなどからの、任意の基準色差Aの設定を受ける。
【0101】
色差ΔEと基準色差Aとを比較する過程(ステップS5)では、色差ΔEを演算する過程(ステップS3)で求められた色差ΔEと、基準色差Aを設定する過程(ステップS4)で設定された基準色差Aとが比較される。ここでは、先ず、色差ΔEと基準色差Aとが用いられて、色差ΔEの基準色差Aに対する比の値であるrが下記(2)式にて求められる。
【0102】
r=ΔE/A ……(2)
次に、このようにして求められたrの値に基づいて色差ΔEと基準色差Aとの大小が比較される。ここでは、
r≦1
の場合、すなわち、色差ΔEが基準色差A以下の場合と、
r>1
の場合、すなわち、色差ΔEが基準色差Aよりも大きい場合に分けて、以下説明する処理が行われる。
【0103】
***値を修正する過程(ステップS6)では、色差ΔEを演算する過程(ステップS3)で求められた色差ΔEが、基準色差Aを設定する過程(ステップS4)で設定された基準色差Aよりも大きい場合、すなわち、上記(2)式にて求められたrの値が
r>1
の場合に、平滑化処理の過程(ステップS1)で平滑化処理が施された後のL***値(L1,a1,b1)が、L***値(L1,a1,b1)が表す色と、基準色、すなわち、平滑化処理の過程(ステップS1)で平滑化処理が施される前のL***値(L0,a0,b0)が表す色との色差ΔEが小さくなるように修正される。ここでは、修正された後のL***値を代表的に表したものを(L1´,a1´,b1´)とすると、このL***値(L1´,a1´,b1´)は、下記(3),(4),(5)式にて求められる。
【0104】
L1´=L0+dL/r ……(3)
a1´=a0+da/r ……(4)
b1´=b0+db/r ……(5)
このような修正によって、平滑化処理によるデータの変化に起因したカラーマッチング精度の低下が改善され、上記基準色差Aを基準としたカラーマッチング精度が保たれるとともに、濃度の不連続性が緩和される。
【0105】
また、色差ΔEを演算する過程(ステップS3)で求められた色差ΔEが、基準色差Aを設定する過程(ステップS4)で設定された基準色差A以下の場合、すなわち、上記(2)式にて求められたrの値が
r≦1
の場合には、上述したL***値を修正する過程(ステップS6)で説明した修正が施されることなく、平滑化処理の過程(ステップS1)で平滑化処理が施された後のL***値(L1,a1,b1)が、プリンタプロファイル500のL***値とされる。
【0106】
以上説明したように、本実施形態の色変換定義修正装置、およびコンピュータをそのような色変換定義修正装置として動作させる色変換定義修正プログラムによれば、色変換定義を修正するにあたって、本発明にいう第2の色データの一例に相当するL***値に平滑化処理を施すとともに、平滑化処理が施される前のL***値からのデータ選択を受けることによって設定された基準色と、平滑化処理が施された後の色との色差を求め、この色差が基準色差設定部により設定された基準色差よりも大きい場合には、平滑化処理が施された後のL***値を修正して、L***値が表す色と上記基準色との色差が小さくなるようにするものであるため、平滑化処理を施すことによってカラーマッチング精度が著しく低下するようなことが防止され、所定のカラーマッチング精度が保たれるとともに、濃度の不連続性が緩和される。したがって、このような色変換定義修正装置によれば、カラーマッチング精度と濃度の連続性とを高次元で両立することが実現される。
【0107】
尚、本実施形態の説明では、本発明にいう平滑化処理部の例として、プロファイル全体に対して平滑化処理を施す例を示したが、本発明にいう平滑化処理部基準色差設定部は、プロファイルの一部分に対して平滑化処理を施すものであってもよい。
【0108】
また、図10を参照して説明した、本発明の色変換定義修正装置における処理の流れの一実施形態を示すフローチャートでは、本発明にいう「色変換定義の修正」をプリンタプロファイルに対して適用する例を示したが、本発明はそれに限らず、例えば印刷プロファイルとプリンタプロファイルとを結合させて作成したデバイスリンクプロファイルや、スキャナのプロファイルなどの入力デバイスプロファイルに対して適用してもよい。また、入力デバイスプロファイルや出力デバイスプロファイルに対して修正処理を施し、さらに、修正処理が施された後の入出力それぞれのデバイスプロファイルを結合させて作成したデバイスリンクプロファイルに対しても修正処理を施すものであってもよい。
【0109】
また、本実施形態の説明では、本発明にいう基準色差設定部の例として、カラーチャートを構成するカラーパッチに対して基準色差を一様に設定する例を示したが、本発明にいう基準色差設定部は、カラーチャートを構成するカラーパッチの1つ1つに対して基準色差が設定されてもよい。
【0110】
さらに、本実施形態の説明では、本発明にいう色データ修正部の例として、修正された後のL***値(L1´,a1´,b1´)が、上記(3),(4),(5)式にて求められる例を示したが、本発明にいう色データ修正部は、例えば、評価点の重み係数を重くしてフィルタリングし、目標色差内に収まるように評価点の重み係数を決定し、決定した重み係数に基づいて局所的なフィルタ係数を決定し、局所的に重みの異なるフィルタで平滑化を施し直すものであってもよい。
【0111】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、カラーマッチング精度と濃度の連続性とを高次元で両立する色変換定義修正装置、およびコンピュータをそのような色変換定義修正装置として動作させる色変換定義修正プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態により修正されるプロファイルが採用される印刷およびプルーフ画像作成システムの全体構成図である。
【図2】図1にブロックで示す分光測色計、および本発明の色変換定義修正装置の一実施形態を構成するパーソナルコンピュータの外観斜視図である。
【図3】図2に示すパーソナルコンピュータのハードウェア構成図である。
【図4】プロファイル作成および修正の説明図である。
【図5】印刷プロファイルの概念図である。
【図6】プリンタプロファイルの概念図である。
【図7】図5に示す印刷プロファイルと図6に示すプリンタプロファイルとを結合させたデバイスリンクプロファイルの概念図である。
【図8】本発明の色変換定義修正プログラムの一実施形態を示した図である。
【図9】本発明の色変換定義修正装置の一実施形態を示す機能ブロック図である。
【図10】本発明の色変換定義修正装置における処理の流れの一実施形態を示すフローチャートである。
【図11】データの変化の単調性を崩すノイズが含まれた色変換定義(デバイスプロファイル)の例を示す図である。
【図12】データの変化の単調性を崩すノイズが含まれた色変換定義(デバイスリンクプロファイル)の例を示す図である。
【図13】図11に示す色変換定義(デバイスプロファイル)に対して平滑化処理を施した後の色変換定義(デバイスプロファイル)の例を示す図である。
【図14】図12に示す色変換定義(デバイスリンクプロファイル)に対して平滑化処理を施した後の色変換定義(デバイスリンクプロファイル)の例を示す図である。
【符号の説明】
10 カラースキャナ
11 原稿画像
20 ワークステーション
30 フィルムプリンタ
40 印刷機
41 印刷画像
42,43,62,63,64,90 カラーチャート
50 パーソナルコンピュータ
60 プリンタ
61 プルーフ画像
70 分光測色計
80 パーソナルコンピュータ
81 本体装置
81a FD装填口
81b CD−ROM装填口
811 CPU
812 主メモリ
813 ハードディスク装置
814 FDドライブ
815 CD−ROMドライブ
816 I/Oインタフェース
82 画像表示装置
82a 表示画面
83 キーボード
84 マウス
85 バス
91 ケーブル
100 FD
110 CD−ROM
210 色変換定義修正プログラム
300 色変換定義修正装置
211,311 平滑化処理部
212,312 基準色設定部
213,313 色差演算部
214,314 基準色差設定部
215,315 色データ修正部
400 印刷プロファイル
500 プリンタプロファイル
600 デバイスリンクプロファイル

Claims (4)

  1. 第1の色空間上の座標によって色を表す第1の色データと第2の色空間上の座標によって色を表す第2の色データとの間のデータ変換の関係を、複数の第1の色データと複数の第2の色データとを1対1に対応付けて定義した色変換定義を修正する色変換定義修正装置において、
    前記色変換定義における複数の第2の色データに、該複数の第2の色データ相互間における不連続性を平滑化する平滑化処理を施して該色変換定義を修正する平滑化処理部と、
    前記色変換定義における第2の色データに対して基準色の設定を受ける基準色設定部と、
    前記基準色設定部により設定された基準色と前記平滑化処理部により平滑化処理が施された後の第2の色データが表す色との色差を求める色差演算部と、
    任意の基準色差の設定を受ける基準色差設定部と、
    前記色差演算部により求められた色差が、前記基準色差設定部により設定された基準色差よりも大きい場合に、前記平滑化処理部により平滑化処理が施された後の第2の色データを、第2の色データが表す色と前記基準色との色差が小さくなるように修正する色データ修正部とを備えたことを特徴とする色変換定義修正装置。
  2. 前記基準色設定部は、前記基準色の設定として、前記平滑化処理部により平滑化処理が施される前の第2の色データからのデータ選択を受けるものであることを特徴とする請求項1記載の色変換定義修正装置。
  3. 前記基準色設定部は、前記基準色の設定として、該基準色を表す色データの入力を受けるものであることを特徴とする請求項1記載の色変換定義修正装置。
  4. コンピュータ内で実行され、該コンピュータを、第1の色空間上の座標によって色を表す第1の色データと第2の色空間上の座標によって色を表す第2の色データとの間のデータ変換の関係を、複数の第1の色データと複数の第2の色データとを1対1に対応付けて定義した色変換定義を修正する色変換定義修正装置として動作させる色変換定義修正プログラムであって、
    前記色変換定義における複数の第2の色データに、該複数の第2の色データ相互間における不連続性を平滑化する平滑化処理を施して該色変換定義を修正する平滑化処理部と、
    前記色変換定義における第2の色データに対して基準色の設定を受ける基準色設定部と、
    前記基準色設定部により設定された基準色と前記平滑化処理部により平滑化処理が施された後の第2の色データが表す色との色差を求める色差演算部と、
    任意の基準色差の設定を受ける基準色差設定部と、
    前記色差演算部により求められた色差が、前記基準色差設定部により設定された基準色差よりも大きい場合に、前記平滑化処理部により平滑化処理が施された後の第2の色データを、第2の色データが表す色と前記基準色との色差が小さくなるように修正する色データ修正部とを有することを特徴とする色変換定義修正プログラム。
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