JP4188027B2 - 製鉄用原料の造粒処理方法および製鉄用造粒処理剤 - Google Patents

製鉄用原料の造粒処理方法および製鉄用造粒処理剤 Download PDF

Info

Publication number
JP4188027B2
JP4188027B2 JP2002241234A JP2002241234A JP4188027B2 JP 4188027 B2 JP4188027 B2 JP 4188027B2 JP 2002241234 A JP2002241234 A JP 2002241234A JP 2002241234 A JP2002241234 A JP 2002241234A JP 4188027 B2 JP4188027 B2 JP 4188027B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
raw material
granulating
iron making
granulation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002241234A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004076137A (ja
Inventor
務 岡田
克之 河野
悟 三浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP2002241234A priority Critical patent/JP4188027B2/ja
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd, Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to EP03792759A priority patent/EP1541700B1/en
Priority to BRPI0306141A priority patent/BRPI0306141B1/pt
Priority to PCT/JP2003/010549 priority patent/WO2004018716A1/ja
Priority to AT03792759T priority patent/ATE547539T1/de
Priority to CNB038197324A priority patent/CN100385021C/zh
Priority to TW092122944A priority patent/TWI280985B/zh
Priority to AU2003257638A priority patent/AU2003257638B2/en
Priority to KR1020057002184A priority patent/KR100816311B1/ko
Publication of JP2004076137A publication Critical patent/JP2004076137A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4188027B2 publication Critical patent/JP4188027B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製鉄用原料となる焼結鉱の製造方法またはペレットの製造方法に関わり、製鉄用原料を造粒処理する際、特に製鉄用原料の水分を調節して造粒し擬似粒化またはペレット化するのに好適に用いられる製鉄用原料の造粒処理方法および該造粒処理方法に好適に用いられる製鉄用造粒処理剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
焼結鉱の製造においては、先ず焼結原料となる鉄鉱石、副原料、燃料等を混合し、ドラムミキサー、ペレタイザー、アイリッヒミキサー等の造粒機で水分を調節しながら造粒して擬似粒子を造る。擬似粒子とは、一般的に、0.5mm以下の微粒子が1〜3mmの核粒子に付着している粒子である。この際、造粒に求められる作用は、微粒子が核粒子の周りに付着する擬似粒化性を向上すること、擬似粒子が焼結過程における湿潤帯、乾燥帯等で崩壊し難いこと等である。焼結原料をこのように擬似粒子とすることで、焼結機上での焼結原料充填層(焼結ベッド)中の通気性を向上し、焼結機の生産性向上を図ることができる。
【0003】
焼結原料を焼結する焼結機は下方吸引式を採用しており、焼結原料の下側から吸引することによって焼結に必要な空気を流通させると共に、焼結原料の上側から下側へ向かって燃料を燃焼させることにより、焼結原料を焼結するようになっている。このため、焼結原料が微粉を多く含んでいると、目詰まりを起こす等して通気性が低下し、燃料であるコークスの燃焼速度が遅くなるので焼結機の生産効率が低下する。
【0004】
そこで、通気性を改善すべく、焼結原料を造粒(擬似粒化)する等の事前処理が必要である。該事前処理としては、例えば、焼結原料に少量の水を添加して攪拌する等の造粒操作が行われている。しかし、水だけを用いた造粒操作では、擬似粒化性を向上させる効果が乏しいため、焼結原料に含まれる微粉の量をあまり低減することができない。
【0005】
このために、従来から擬似粒化性を向上させる対策として、焼結原料中に粘結剤として種々の造粒添加剤を添加する方法が提案されている。
【0006】
例えば特開昭59−50129号公報には、特定濃度の分散剤および/または特定濃度の界面活性剤を含有する水を用いた焼結原料の前処理方法が記載されており、分散剤としては、平均分子量2000〜20000のアクリル酸系重合体、マレイン酸系重合体、スチレンスルホン酸系重合体等が記載されている。
【0007】
また、特開昭61−61630号公報には、平均分子量500〜300000のマレイン酸重合体等の水溶性高分子化合物を含む焼結鉱製造用粘結剤が記載されている。
【0008】
さらに、製鉄研究第288号(1976)9頁には造粒添加剤として生石灰が開示され、現在広く使用されている。これによると、生石灰の効果は、次のように示されている。第一に、ミキサー内での擬似粒化の促進を図ることができる。第二に、擬似粒子よりなる焼結原料を特定の高さに充填し、焼結ベッドを形成した後に表層に点火した後の焼結過程において、乾燥、加熱する過程で擬似粒子が崩壊することを防止し、焼結層中の均一な風の流れを保つことができるとされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、焼結鉱の製造においては、生石灰の使用は、一般に高価であるために製造コストの上昇を招く。また、生石灰を用いた造粒化は実用化されてはいるものの、生石灰は吸湿し易く、このとき発熱するため、取り扱いに注意を要するという問題点を有している。また、現在使用されている生石灰は、使用量を比較的多くしないと充分な効果が得られないため、コストが高くなる。よって、その使用量を極力減少させて操業しているのが現状である。そして、生石灰を2重量%以上添加しても、その擬似粒化性の向上効果は頭打ちとなる傾向にある。
【0010】
さらに、最近では、優良塊鉱の枯渇化と共に、粉鉱石の劣質化も激しく、焼結原料の造粒性が以前よりも悪化している問題がある。このために、生石灰添加による造粒を実施しても、その効果が以前よりも小さくなっている。また、生石灰を使用した場合でも焼結原料に含まれる微粉の量を低減させる効果はまだ充分とは言えない状態である。これに対し、生石灰以外のバインダーと生石灰とを併用するという考え方があるが、生石灰以外の公知のバインダーには、生石灰と併用しても焼結原料に含まれる微粉の量を低減させる効果の高いものは知られていない。
【0011】
また、製鉄時には一般的に多量のダストや返鉱が発生する。産業廃棄物を極力低減するために、これらダストや返鉱は製鉄用原料として再利用することが好ましい。しかしながら、特にダストは、製鉄用原料として再利用した場合、造粒性の著しい低下を起こす。
【0012】
特に、上記平均分子量2000〜20000のポリアクリル酸系重合体やマレイン酸系重合体のような、カルボキシル基および/またはその塩を含有する高分子化合物を使用した場合、製鉄時に発生するダストや返鉱には生石灰が含まれていることから、このような条件下では、造粒時に生石灰が水和することにより生成した消石灰が溶解することによりカルシウムイオンが発生し、該高分子化合物は、カルシウムイオンを捕捉することにより析出したり、生石灰や消石灰の固体表面に多量に吸着することにより、十分な擬似粒化性の向上効果を得ることができない。また、同様の理由から、現在広く使用されている生石灰との併用においても十分な擬似粒化性の向上効果を得ることができない。
【0013】
このため、十分な擬似粒化性の向上効果を得ることができる、造粒効果に優れた製鉄用造粒処理剤、特に、ダストや返鉱を添加した場合でも十分に高い造粒効果が得られる製鉄用造粒処理剤が望まれる。
【0014】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、製鉄用原料を造粒処理し、擬似粒化またはペレット化する際に、ダストや返鉱、さらにはバインダーとして使用されている生石灰の存在下であっても好適に用いられる製鉄用原料の造粒処理方法並びに製鉄用造粒処理剤を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、重量平均分子量1000〜1000000の、カルボキシル基および/またはその塩を含有する高分子化合物と、(a)キレート剤、(b)酸、および(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、からなる群より選ばれる少なくとも一種からなる分子量500未満の低分子造粒補助剤とを併用することで、造粒時における上記高分子化合物の析出並びに生石灰や消石灰の固体表面への吸着を抑制(防止)することができ、ダストや返鉱、さらにはバインダーとして使用されている生石灰の存在下であっても十分な擬似粒化性の向上効果を得ることができることを見出すと共に、低分子造粒補助剤として、二酸化炭素のような、水と反応して酸を生成する化合物を用いることによっても、上記効果を得ることができることを見出して本発明を完成させるに至った。
【0016】
すなわち、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、上記の課題を解決するために、製鉄用原料を造粒処理する方法において、上記製鉄用原料に、重量平均分子量1000〜1000000の、カルボキシル基および/またはその塩を含有する高分子化合物と、(a)キレート剤、(b)酸、および(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、からなる群より選ばれる少なくとも一種からなる分子量500未満の低分子造粒補助剤とを添加して造粒処理を行うことを特徴としている。
【0017】
また、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、上記の課題を解決するために、(イ)ダスト、(ロ)生石灰成分および/または消石灰成分を含む材料、のうち少なくとも一種を含有する製鉄用原料を造粒処理する方法において、上記製鉄用原料に、重量平均分子量1000〜1000000の、カルボキシル基および/またはその塩を含有する高分子化合物と、(a)キレート剤、(b)酸、および(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、からなる群より選ばれる少なくとも一種からなる分子量500未満の低分子造粒補助剤とを添加して造粒処理を行うことを特徴としている。
【0018】
さらに、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、上記の課題を解決するために、上記(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩が、その酸のカルシウム塩の、20℃の蒸留水への溶解度が、500mg/蒸留水100g以下の化合物であることを特徴としている。
【0019】
また、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、上記の課題を解決するために、上記(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩が、炭酸塩であることを特徴としている。
【0020】
また、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、上記の課題を解決するために、(イ)ダスト、(ロ)生石灰成分および/または消石灰成分を含む材料、のうち少なくとも一種を含有する製鉄用原料を造粒処理する方法において、上記製鉄用原料に、重量平均分子量1000〜1000000の、カルボキシル基および/またはその塩を含有する高分子化合物と、低分子造粒補助剤としての二酸化炭素とを添加して造粒処理を行うことを特徴としている。
【0021】
本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、上記の課題を解決するために、上記(イ)ダスト、(ロ)生石灰成分および/または消石灰成分を含む材料、のうち少なくとも一種を、予め上記低分子造粒補助剤と混合処理し、この混合処理により得られた処理物を残りの製鉄用原料に添加して該製鉄用原料を上記高分子化合物の存在下で造粒処理することを特徴としている。
【0022】
本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、上記の課題を解決するために、上記高分子化合物が、カルボキシル基および/またはその塩を含有するモノマーを、40mol%以上含有するモノマー組成物を重合してなる高分子化合物であることを特徴としている。
【0023】
さらに、本発明にかかる製鉄用造粒処理剤は、上記の課題を解決するために、製鉄用原料を造粒処理するのに用いる処理剤であって、重量平均分子量1000〜1000000の、カルボキシル基および/またはその塩を含有する高分子化合物と、(a)キレート剤、(b)酸、および(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、からなる群より選ばれる少なくとも一種からなる分子量500未満の低分子造粒補助剤とを含むことを特徴としている。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明において造粒処理される製鉄用原料とは、擬似粒化またはペレット化により擬似粒子またはペレットを得るために用いられる、微粉の鉄鉱石を含む製鉄用原料であり、鉄鉱石、副原料、ダスト、燃料等の焼結原料、または、鉄鉱石、ダスト、炭材等のペレット原料を示す。
【0025】
擬似粒子とは、一般的に、0.5mm以下の微粉粒子が1〜3mmの核粒子に付着している粒子であり、焼結原料となる鉄鉱石、副原料、燃料等を混合し、ドラムミキサー、ペレタイザー、アイリッヒミキサー等の造粒機で水分を調節しながら造粒することにより得ることができる。また、ペレットとは、一般的に、1.0mm以下の粒子が固まって6.0〜50mmの球状になった粒子を示し、ペレットとなる鉄鉱石、ダスト、炭材等を混合した後、ペレタイザー等の造粒機で水分を調節しながら造粒することによって得ることができる。
【0026】
上記鉄鉱石としては、具体的には、例えば、ニューマン鉱石、ローブリバー鉱石、カラジャス鉱石、ハマスレー鉱石、クドレムク鉱石、リオドセ鉱石、焼結鉱等が挙げられる。副原料としては、具体的には、例えば、蛇紋岩、珪石、石灰石等が挙げられる。燃料としては、具体的には、例えば、粉コークス、無煙炭等が挙げられる。なお、各原料におけるこれら成分の配合比は、特に限定されるものではない。
【0027】
上記製鉄用原料としては、製鉄所において製鉄に用いられる原料として一般的に用いられている原料を用いることができる。
【0028】
また、本発明において(イ)ダストとは、主に、製鉄のプロセスで発生するダストを表しているが、製鉄プロセス以外で発生する微粉廃棄物であってもよく、一般的にダストと称されるものであれば特に限定されない。
【0029】
製鉄のプロセスで発生するダストとは、製鉄所において製鉄のプロセスにおける各工程で、製鉄用原料から発生する微粉廃棄物の総称である。上記ダストとしては、焼結プロセスで発生する焼結ダスト、高炉プロセスで発生する高炉ダスト、転炉プロセスで発生する転炉ダストや転炉グラファイト、冷延工場で発生する酸洗ダスト、その他、コークス消火沈殿粉、圧延戻り水ダスト、ラグーンダスト等が挙げられる。本発明で用いられるダストとしては、製鉄所において製鉄のプロセスで発生したダスト全般を使用することができ、その具体的な組成(成分)は特に限定されない。
【0030】
また、その他のダスト、つまり、製鉄プロセス以外の製造プロセスで発生するダスト(微粉廃棄物)としては、具体的には、フライアッシュや重油灰等の、火力発電所で発生するダスト;カラミ鉄精鉱や銅スラグ等の、製銅プロセスで発生するスラッジ等のダスト;赤泥等の、アルミナ製造工程で発生するスラッジ等のダスト;等が挙げられる。
【0031】
さらに、本発明において、(ロ)生石灰成分および/または消石灰成分を含む材料とは、生石灰成分(生石灰)および/または消石灰成分を含む、ダストよりも粒度の粗い廃棄物あるいは原料を示し、より具体的には、返鉱、あるいはバインダー等に用いられる生石灰等の原料の他、排煙脱硫石膏やアスベスト粉塵等の、生石灰成分(生石灰)、および/または、例えばその消和物である消石灰成分を含む、ダスト以外の材料全般を示す。
【0032】
上記(イ)ダストや、(ロ)生石灰成分および/または消石灰成分を含む材料としては、大型の廃棄物を破砕あるいは粉砕してなる廃棄物であってもよい。上記(イ)ダストや、(ロ)生石灰成分および/または消石灰成分を含む材料としては、製鉄用原料として知られている材料以外の材料をも使用(再利用)可能であり、上記(イ)ダストや、(ロ)生石灰成分および/または消石灰成分を含む材料として例えば産業廃棄物を用いることで、ゴミ処理問題の有効な解決策となる。
【0033】
すなわち、これら(イ)ダストや、(ロ)生石灰成分および/または消石灰成分を含む材料は、廃棄物を極力低減するために、上記したように造粒処理されるペレット原料、焼結原料に添加して造粒処理することにより、製鉄用原料として再利用される。
【0034】
本発明において用いられるこれらダストやダスト以外の材料(廃棄物)、例えば返鉱は、例えば上記した各工程で得られたダストや返鉱を回収して用いられ、このように製鉄時に発生するダストや返鉱には生石灰や消石灰が含まれるものが多い。
【0035】
上記ダストや返鉱中における生石灰成分および/または消石灰成分の含有量は、特に限定されるものではないが、通常、0.1重量%〜50重量%の範囲内であり、また、水分を0重量%〜30重量%の範囲内で含んでいる。
【0036】
そして、このように生石灰を含むダストやダスト以外の、生石灰成分および/または消石灰成分を含む材料を、上記した製鉄用原料に添加して製鉄用原料の一部として再利用して、重量平均分子量1000〜1000000の、カルボキシル基および/またはその塩を含有する高分子化合物を添加する造粒を行った場合、通常は、製鉄用原料の著しい造粒性の向上効果を得ることができない。しかしながら、本発明によれば、本発明に係る製鉄用造粒処理剤あるいは造粒処理方法を用いることで、上記したように造粒処理される製鉄用原料が生石灰を含む場合においても、十分な擬似粒化性を得ることができ、高い造粒効果を得ることができる。
【0037】
本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、製鉄用原料(焼結原料またはペレット原料)を混合、調湿等して造粒処理(擬似粒化またはペレット化)する方法、特に、ダストおよび生石灰成分を含む材料のうち少なくとも一種を含有する製鉄用原料を混合、調湿等して造粒処理する方法において、上記製鉄用原料に、重量平均分子量1000〜1000000の、カルボキシル基および/またはその塩を含有する高分子化合物と、(a)キレート剤、(b)酸、および(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、からなる群より選ばれる少なくとも一種からなる分子量500未満の低分子造粒補助剤とを添加して造粒処理を行う方法である。
【0038】
また、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、製鉄用原料(焼結原料またはペレット原料)を混合、調湿等して造粒処理(擬似粒化またはペレット化)する方法、特に、(イ)ダスト、(ロ)生石灰成分および/または消石灰成分を含む材料、のうち少なくとも一種を含有する製鉄用原料を混合、調湿等して造粒処理する方法において、上記製鉄用原料に、重量平均分子量1000〜1000000の、カルボキシル基および/またはその塩を含有する高分子化合物と、低分子造粒補助剤としての、二酸化炭素のような、水と反応して酸を生成する化合物とを添加して造粒処理を行う方法である。
【0039】
さらに、本発明にかかる製鉄用造粒処理剤は、製鉄用原料(焼結原料またはペレット原料)、特に、(イ)ダスト、(ロ)生石灰成分および/または消石灰成分を含む材料、のうち少なくとも一種を含有する製鉄用原料を、造粒処理(擬似粒化またはペレット化)するのに用いる処理剤であって、重量平均分子量1000〜1000000の、カルボキシル基および/またはその塩を含有する高分子化合物と、(a)キレート剤、(b)酸、および(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、からなる群より選ばれる少なくとも一種からなる分子量500未満の低分子造粒補助剤とを含む構成である。
【0040】
上記製鉄用原料が(イ)ダスト、(ロ)生石灰成分および/または消石灰成分を含む材料、のうち少なくとも一種を含む場合、上記製鉄用原料中における(イ)ダスト、および、(ロ)生石灰成分および/または消石灰成分を含む材料の含有量は、造粒性の点から、合計で、30重量%以下(すなわち、0を越えて30重量%以下)の範囲内であることが好ましく、10重量%以下の範囲内であることがより好ましい。
【0041】
本発明において上記製鉄用原料造粒処理剤の主成分(バインダー成分)として用いられる上記高分子化合物、すなわち、重量平均分子量1000〜1000000の、カルボキシル基および/またはその塩を含有する高分子化合物(以下、説明の便宜上、単にカルボキシル基含有高分子化合物と記す)は、例えば、カルボキシル基および/またはその塩を含有するモノマー(以下、説明の便宜上、単にカルボキシル基含有モノマーと記す)を単独で、あるいは、該カルボキシル基含有モノマーと共重合可能なその他のモノマーをさらに含むモノマー組成物を、重合開始剤の存在下で(共)重合することにより得ることができる。
【0042】
上記カルボキシル基含有モノマーとしては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、アクリルアミドグリコール酸およびこれらの塩等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらカルボキシル基含有モノマーは、一種類のみを用いてもよく、二種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。上記例示のカルボキシル基含有モノマーのなかでも、(メタ)アクリル酸がより好ましく、アクリル酸が特に好ましい。
【0043】
上記カルボキシル基含有モノマーとしてカルボキシル基を含有するモノマーの塩を使用する場合、その塩基としては、特に限定されるものではないが、カリウムイオン、ナトリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウム、1級〜4級アミン等の窒素含有塩基;等が挙げられる。
【0044】
上記カルボキシル基含有高分子化合物のなかでも、アクリル酸を(共)重合することによって得られるものがより好ましく、上記カルボキシル含有高分子化合物としては、(i)ポリアクリル酸、(ii)ポリアクリル酸が含有するカルボキシル基の一部あるいは全部がナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニアからなる群より選ばれる少なくとも一種で中和されたポリアクリル酸塩、からなる群より選ばれる少なくとも一種のポリアクリル酸系ポリマーであることがより好ましい。
【0045】
上記カルボキシル基含有高分子化合物は、上記カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位を含むと共に、必要に応じて、上記カルボキシル基含有モノマーと共重合可能なその他のモノマーに由来する構成単位を含んでいてもよい。すなわち、上記モノマー組成物は、カルボキシル基含有モノマーの他に、必要に応じて、該カルボキシル基含有モノマーと共重合可能なその他のモノマーを含んでいてもよい。モノマー組成物がその他のモノマーを含む場合においては、上記カルボキシル基含有高分子化合物を得る際、カルボキシル基含有モノマーの他に、該カルボキシル基含有モノマーと共重合可能なその他のモノマーを、全モノマー(モノマー組成物)中におけるカルボキシル基含有モノマーの割合が、好適には40mol%以上、より好適には45mol%以上となる範囲で用いて共重合することも可能である。全モノマー中におけるカルボキシル基含有モノマーのさらに好ましい割合は、70mol%〜100mol%の範囲内であり、最も好ましい範囲は90mol%〜100mol%の範囲内である。上記カルボキシル基含有モノマーの割合が40mol%未満になると十分な造粒効果が得られないおそれがあるので好ましくない。
【0046】
上記その他のモノマー(以下、共重合性モノマーと記す)としては、具体的には、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホ基含有モノマー;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスフェート等の酸性リン酸エステル基含有モノマー;ビニルフェノール等の石炭酸系モノマー;等の酸基含有モノマー、およびその塩、
ポリエチレングリコールモノメタアクリル酸エステル、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、メトキシポリエチレングリコールモノアクリル酸エステル等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル;3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを付加してなるポリアルキレングリコールモノアルケニルエーテルモノマー;アリルアルコールにエチレンオキサイドを付加してなるポリエチレングリコールモノエテニルエーテルモノマー;無水マレイン酸にポリエチレングリコールを付加してなるマレイン酸ポリエチレングリコールハーフエステル;等のポリアルキレングリコール鎖含有モノマーが挙げられる。上記ポリアルキレングリコール鎖含有モノマーのなかでも、エチレンオキサイド換算で5モル以上、100モル以下、好適には10モル以上、100モル以下の鎖長のポリアルキレングリコール鎖を含有するモノマーが、入手が容易であり、また、擬似粒化性を向上させる上でより好ましく、また、重合性の面からも良好である。共重合性モノマーとしては、さらに、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸(N,N−ジメチルアミノエチル)、(メタ)アクリル酸(N,N−ジエチルアミノエチル)、(メタ)アクリル酸アミノエチル等の、炭素数1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の、(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体;酢酸ビニル;(メタ)アクリロニトリル;N−ビニル−2−ピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の塩基含有モノマー;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の、架橋性を有する(メタ)アクリルアミド系モノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリエトキシシラン等の、加水分解性を有する基がケイ素原子に直結しているシラン系モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルエーテル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有モノマー;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有モノマー;2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルアジリジン等のアジリジン基含有モノマー;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン基含有モノマー;(メタ)アクリル酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールとのエステル化物等の、分子内に不飽和基を複数有する多官能(メタ)アクリル酸エステル;メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の、分子内に不飽和基を複数有する多官能(メタ)アクリルアミド;ジアリルフタレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート等の、分子内に不飽和基を複数有する多官能アリル化合物;アリル(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら共重合性モノマーは、必要に応じて、一種類を用いてもよく、また、二種類以上を用いてもよい。
【0047】
さらに、上記モノマー組成物には、分子量の調節を目的として、連鎖移動剤を添加することもできる。該連鎖移動剤としては、具体的には、例えば、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸、t−ドデシルメルカプタン等のメルカプト基含有化合物;四塩化炭素;イソプロピルアルコール;トルエン;次亜リン酸ナトリウム等の次亜リン酸塩;亜硫酸水素ナトリウム等の亜硫酸塩;等の化合物が挙げられる。これら連鎖移動剤は、必要に応じて、一種類を用いてもよく、また、二種類以上を用いてもよい。これら連鎖移動剤の使用量は特に限定されないが、カルボキシル基含有モノマーおよび共重合性モノマー1molに対し、0.005〜0.15molの範囲内が適当である。
【0048】
本発明にかかるカルボキシル基含有高分子化合物は、上記モノマー組成物を重合させることによって得られる。重合方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の重合方法、例えば、水中油型乳化重合法、油中水型乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、沈澱重合法、溶液重合法、水溶液重合法、塊状重合法等を採用することができる。上記例示の重合方法のなかでも、重合コスト(生産コスト)の低減並びに安全性等の観点から、水溶液重合法がより好ましい。
【0049】
上記の重合方法に用いられる重合開始剤は、熱または酸化還元反応によって分解し、ラジカル分子を発生させる化合物であればよい。また、水溶液重合法を採用する場合においては、水溶性を備えた重合開始剤が好ましい。該重合開始剤としては、具体的には、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類;2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−(4−シアノペンタン酸)等の水溶性アゾ化合物;過酸化水素等の熱分解性開始剤;過酸化水素およびアスコルビン酸、t−ブチルハイドロパーオキサイドおよびロンガリット、過硫酸カリウムおよび金属塩、過硫酸アンモニウムおよび亜硫酸水素ナトリウム、等の組み合わせからなるレドックス系重合開始剤;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら重合開始剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。尚、重合開始剤の使用量は、モノマー組成物の組成や重合反応の条件等に応じて適宜設定すればよい。
【0050】
反応温度や反応時間等の重合条件は、モノマー組成物の組成や、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよい。水溶液重合法を採用する場合におけるモノマー組成物の反応系への供給方法としては、例えば、一括添加法、分割添加法、成分滴下法、パワーフィード法、多段滴下法等を行うことができるが、特に限定されるものではない。重合反応は常圧下、減圧下、加圧下の何れで行ってもよい。
【0051】
上記カルボキシル基含有高分子化合物の合成に際し、水溶液重合法を採用した場合に得られるポリマー水溶液中に含まれる、上記カルボキシル基含有高分子化合物を含む不揮発分の濃度は、特に限定されるものではないが、80重量%以下であることがより好ましい。不揮発分の濃度が80重量%を越えるポリマー水溶液は、粘度が高くなり過ぎる。
【0052】
上記カルボキシル基含有高分子化合物における重量平均分子量は、1000以上、1000000以下の範囲内であることが好ましいが、特に限定されるものではない。上記重量平均分子量が1000未満あるいは1000000より大きい場合、十分な造粒効果が得られないおそれがある。上記重量平均分子量の下限は、1500であることがより好ましく、2000であることがより一層好ましく、3000であることが特に好ましい。一方、上限は、500000であることがより好ましく、250000であることがより一層好ましく、100000であることが特に好ましい。
【0053】
また、上記カルボキシル基含有高分子化合物における一分子中の酸基の数は、10個以上、10000個以下であることが好ましく、その下限は20個であることがより好ましく、上限は、6000個であることがより好ましい。上記カルボキシル基含有高分子化合物における一分子中の酸基の数が10個未満もしくは10000個を越える場合、十分な造粒効果が得られないおそれがある。
【0054】
本発明においては、上記カルボキシル基含有高分子化合物を、製鉄用原料の造粒用のバインダー(以下、単にバインダーと記す)として使用するに際し、上記したように低分子造粒補助剤(以下、単に造粒補助剤と記す)として、分子量500未満の、(a)キレート剤、(b)酸、および(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、からなる群より選ばれる少なくとも一種、および/または、(d)二酸化炭素等の、水と反応して酸を生成する化合物を上記バインダーと併用することで、ダストや返鉱、さらにはバインダーとして使用されている生石灰の存在下であっても十分な擬似粒化性の向上効果を得ることができる。
【0055】
本発明において造粒補助剤として用いられる上記キレート剤は、分子量が500未満のキレート剤である。分子量が500以上であると、カルシウムイオンの濃度が高いところではキレート剤が析出する等して、キレート力が低下し、多量のキレート剤を使用する必要があり、経済的ではない。上記キレート剤の重量平均分子量は、300未満であることが好ましく、200未満であることがより好ましい。
【0056】
例えば、高分子量のカルボキシル基含有高分子化合物、具体的には、重量平均分子量1000以上のカルボキシル基含有高分子化合物は、金属イオン捕捉能を有していることが知られている。しかしながら、このようなカルボキシル基含有高分子化合物をバインダーとして使用したとしても、バインダーとして一般的に広く使用されている生石灰を併用する場合や、ダスト、もしくは返鉱等の前記した生石灰を含む材料を添加して造粒処理する場合には、カルボキシル基含有高分子化合物が析出する等して該カルボキシル基含有高分子化合物を有効に使用することができない。このため、本発明においては、上記造粒補助剤の一種として、分子量が500未満のキレート剤が用いられる。
【0057】
上記キレート剤としては、分子量が500未満の従来公知のキレート剤(キレート試薬)を用いることができる。上記キレート剤としては、好適には、例えば、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、アミノトリ(メチレンリン酸)等のポリリン酸類;ニトロトリ酢酸三ナトリウム一水和物、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチルエントリアミンペンタ酢酸等のアミノカルボン酸類;シュウ酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、o−(カルボキシメチル)−タルトロン酸、o−(カルボキシメチル)リンゴ酸、1,1,1−トリス(カルボキシメトキシメチル)エタン、カルボキシメチルオキシコハク酸等の有機酸類;ピロメリット酸、ベンゾポリカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタテトラカルボン酸等のシクロカルボン酸類;およびこれらのカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。これらキレート剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0058】
上記キレート剤のカルシウムイオン捕捉能(キレート能)は、100mgCaO/g以上であることが好ましく、130以上であることがより好ましく、160以上であることがより一層好ましい。上記カルシウムイオン捕捉能が100mgCaO/g未満の場合、カルシウムイオンの濃度が高いところでは多量のキレート剤を使用する必要があり、上記した問題が生じるおそれがある。
【0059】
一方、上記(a)キレート剤が、カルシウムイオン捕捉能が100mgCaO/g以上の化合物であれば、少量の添加量で上記カルボキシル基含有高分子化合物の析出や、生石灰や消石灰の固体表面へのカルボキシル基含有高分子化合物の吸着を防止することができ、より効率よくかつ安価に焼結原料の造粒処理を行うことができる。
【0060】
なお、上記キレート剤のカルシウムイオン捕捉能(キレート能)は、高ければ高い程、キレート剤の使用量が少なくて済むことから好ましいが、上記キレート剤としては、入手が容易なことから、上記カルシウムイオン捕捉能が、好適には600mgCaO/g以下、より好適には400mgCaO/g以下のものが用いられる。
【0061】
これらキレート剤のなかでも、リンを含有していないものが、得られる焼結鉱の性質上好ましく、有機酸類が安価であることからより好ましく、そのなかでもクエン酸が、安価でかつキレート能に優れることから特に好ましい。
【0062】
また、本発明において造粒補助剤として用いられる上記(b)酸並びに(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩としては、分子量が500未満の酸または酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩であれば、上記(a)キレート剤として知られている前記例示の酸類以外にも従来公知のあらゆる酸あるいは酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩が使用可能である。
【0063】
上記(b)酸、すなわち、分子量が500未満の酸としては、好適には、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、硼酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、過塩素酸等の、一価または二価以上の無機酸;蟻酸、酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、グリコール酸、グリオキシル酸、コハク酸、フタル酸等のカルボキシル基含有有機酸;スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有有機酸;上記キレート剤の未中和物あるいは部分中和物;無水酢酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、五酸化二リン酸等の酸無水物;亜硫酸ガス等の酸性ガス;分子量が500未満の化合物、例えばトリポリリン酸等;が挙げられる。また、パルプ廃液等の酸性廃液も上記(b)酸として使用可能である。
【0064】
さらに、上記(a)キレート剤、(b)酸、および(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩の他に、(d)二酸化炭素のような、水と反応して酸を生成する化合物を用いることができる。二酸化炭素は、純粋なものを添加しても構わないが、好ましい例として、製鉄所で発生する二酸化炭素を含有する排ガスを用いることがコスト面から好ましい。なお、上記(d)の化合物の分子量は特に限定されるものではないが、上記(d)の化合物もまた、分子量が500未満の化合物であることが好ましい。なお、上記(d)の化合物が水と反応して生成する酸としては、上記(b)酸と同様である。
【0065】
上記例示の化合物のなかでも、焼結中の燃焼により不純物が残り難いことから、炭酸、二酸化炭素、有機酸がより好ましく、安価であることから、炭酸、二酸化炭素が特に好ましい。
【0066】
また、上記(b)酸における一分子中の酸基の数は、1個以上、5個以下であることが好ましく、その上限は、3個であることがより好ましい。上記酸基の数が5個を越えると、十分な造粒性が得られないおそれがある。
【0067】
また、上記(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、すなわち、分子量が500未満の、酸のアルカリ金属塩または酸のアンモニウム塩としては、例えば、上記(b)酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩が挙げられる。より具体的には、例えば、上記(b)酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。そのなかでも、カルボキシル基含有高分子化合物と併用した場合の造粒性の向上効果が高く、添加量が少なくても効果が得られることから、炭酸二ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウムナトリウム、炭酸二カリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩;硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の硫酸塩;リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三アンモニウム、リン三水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のリン酸塩;硼砂、硼酸アンモニウム等の硼酸塩が好ましい。これらは無水塩であっても水和物であってもよい。
【0068】
上記(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩としては、焼結鉱に残存する不純物が悪影響を及ぼすおそれが大きいことから、リン酸塩以外の、酸のナトリウム塩、カリウム塩、もしくはアンモニウム塩であることが好ましい。
【0069】
上記例示の化合物のなかでも、カルボキシル基含有高分子化合物と併用した場合の造粒性向上効果が高いことから、炭酸塩が好ましく、炭酸二ナトリウム、炭酸カリウムナトリウム、炭酸二カリウム、炭酸水素ナトリウムが、特に好ましい。
【0070】
上記(b)酸および(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩は、その分子量が500以上であると、前記カルボキシル基含有高分子化合物と併用した場合の造粒性の向上効果を得るために多量の添加量を必要とする傾向にある。この傾向は、カルシウムイオンの濃度が高いところではより一層顕著である。上記(b)酸および(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩としては、分子量が500未満の酸および酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩であればよいが、これら化合物の分子量は、300未満であることが好ましく、200未満であることがより好ましい。
【0071】
上記(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩を造粒補助剤として使用することで造粒性の向上効果が得られる理由、すなわち、上記(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩を前記カルボキシル基含有高分子化合物と併用した場合に造粒性の向上効果が見られる理由は明確ではないが、以下の理由によるものと推察される。すなわち、これらの化合物は、水中、および/または、ダストや返鉱の固体表面上に存在する生石灰や消石灰に由来するカルシウムイオンと例えば不溶性あるいは溶解性の低いカルシウム塩を形成する等して、カルシウムイオンや、生石灰や消石灰に由来する、ダストや返鉱の固体表面を、カルボキシル基含有高分子化合物に対して不活性化する。このため、カルボキシル基含有高分子化合物の造粒性が著しく向上するものと推察される。
【0072】
よって、上記(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩としては、その酸のカルシウム塩、すなわち、上記(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩を構成する酸のカルシウム塩の、20℃の蒸留水への溶解度が、蒸留水100gに対し、500mg以下の化合物であることが好ましい。上記酸のカルシウム塩の溶解度が上記範囲内であれば、上記(b)酸、および(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩と、水中、および/または、ダストや返鉱の固体表面上に存在する生石灰や消石灰に由来するカルシウムイオンとが結合することにより生じるカルシウム塩が、造粒に用いられる水に再度溶解してイオン化することを抑制(防止)することができ、上記造粒補助剤をカルボキシル基含有高分子化合物と併用した場合の造粒性の向上効果を高めることができる。このため、少ない添加量でも上記効果を得ることができる。
【0073】
また、上記(b)酸、または(d)二酸化炭素等の、水と反応して酸を生成する化合物を造粒補助剤として使用することで造粒性の向上効果が得られる理由は、明確ではないが、上記(b)酸、または(d)二酸化炭素等の、水と反応して酸を生成する化合物が水と反応して生成する酸が、上記生石灰あるいは消石灰を中和し、生石灰あるいは消石灰の固体表面を減少あるいは無くす等して、生石灰あるいは消石灰の固体表面にカルボキシル基含有高分子化合物が吸着することを妨げることによると推察される。
【0074】
以上のように、本発明によれば、カルシウムイオン等の多価金属イオンを含む水中で製鉄用原料(焼結原料またはペレット原料)を造粒処理(擬似粒化またはペレット化)する場合、より具体的には、例えば製鉄用原料に、ダストや返鉱等の、生石灰成分および/または消石灰成分を含む材料を添加することにより、ダストや返鉱等の、生石灰成分および/または消石灰成分を含む材料を含む製鉄用原料を造粒処理したり、バインダーとして生石灰を併用することで造粒に用いられる水の中に上記バインダーとしての生石灰やダストあるいは返鉱等の固体表面上に存在する生石灰や消石灰に由来するカルシウムイオンが存在している場合、さらには地域によっては使用する水がいわゆる硬水と称される硬度の高い水であり造粒に用いられる水がもともとカルシウムイオン等の多価金属イオンを含む場合に、上記製鉄用原料に、前記カルボキシル基含有高分子化合物と造粒補助剤とを添加して造粒処理を行うことで、上記カルシウムイオンをはじめとする多価金属イオンを(a)キレート剤が捕捉、もしくは、(b)酸、あるいは(d)二酸化炭素等の、水と反応することで酸を生成する化合物が水と反応することで生成される酸が、生石灰、消石灰を中和し、生石灰や消石灰の固体表面を減少あるいは無くすか、もしくは、これらカルシウムイオン等の多価金属イオンと(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩とがカルシウム塩等の塩(多価金属塩)を形成することで、前記カルボキシル基含有高分子化合物が析出するのを抑制、もしくは、生石灰あるいは消石灰の固体表面に不溶性あるいは難溶性のカルシウム塩を形成し、コーティングすることにより、前記カルボキシル基含有高分子化合物の吸着を抑制(防止)することができる。
【0075】
このため、上記の構成によれば、カルボキシル基含有高分子化合物が有効に働き、該カルボキシル基含有高分子化合物による造粒性の向上効果を十分に発揮させることができる。
【0076】
よって、本発明によれば、製鉄用原料を造粒処理し、擬似粒化またはペレット化する際に、ダストや返鉱、さらにはバインダーとして使用されている生石灰の存在下であっても、製鉄用原料の擬似粒化性の十分な向上効果を得ることができる。
【0077】
焼結原料(鉄鉱石、副原料、燃料等)に対する上記カルボキシル基含有高分子化合物の添加量は、特に限定されるものではないが、下限値が好ましくは0.001重量%であり、さらに好ましくは0.005重量%であり、上限値が好ましくは1重量%であり、さらに好ましくは0.5重量%となるように設定することが好ましい。1重量%を超えて上記カルボキシル基含有高分子化合物を添加すると、造粒過多となって焼結原料の塊ができてしまい、該焼結原料の塊内部が焼結されなくなる等の悪影響が出るおそれがある。上記カルボキシル基含有高分子化合物の添加量(添加割合)の下限値は、焼結原料の鉱石の造粒性や、水分添加量、使用する造粒機等によって左右されるが、できるだけ少量となるように設計することが望ましい。
【0078】
また、ペレット原料(鉄鉱石、ダスト、炭材等)に対する上記カルボキシル基含有高分子化合物の添加量は、特に限定されるものではないが、下限値が好ましくは0.01重量%であり、さらに好ましくは0.05重量%であり、上限値が好ましくは5重量%であり、さらに好ましくは2重量%である。5重量%を越えて上記カルボキシル基含有高分子化合物を添加すると、造粒過多となってペレット原料の大きな固まりができてしまい、該ペレット原料の粒径のバラツキが大きくなる等の悪影響が出るおそれがある。また、上記カルボキシル基含有高分子化合物の添加量の下限値は、ペレット原料の造粒性や、水分添加量、使用する造粒機等によって左右されるが、できるだけ少量となるように設計することが望ましい。
【0079】
一方、焼結原料(鉄鉱石、副原料、燃料等)に対する、前記(a)キレート剤、(b)酸、(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、(d)二酸化炭素等の、水と反応して酸を生成する化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の造粒補助剤の添加量、すなわち、上記焼結原料に対する、前記(a)キレート剤、(b)酸、(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、(d)二酸化炭素等の、水と反応して酸を生成する化合物の各添加量並びにその合計の添加量は、特に限定されるものではないが、それぞれ、その下限値が好ましくは0.001重量%であり、さらに好ましくは0.01重量%であり、上限値が好ましくは2重量%であり、さらに好ましくは1重量%となるように設定することが好ましい。2重量%を超えて上記造粒補助剤を添加すると、得られた焼結鉱に含まれる不純物が多くなり、好ましくない。また、上記造粒補助剤の添加量(添加割合)の下限値は、焼結原料の鉱石の造粒性や、水分添加量、使用する造粒機等によって左右されるが、できるだけ少量となるように設計することが望ましい。
【0080】
また、ペレット原料(鉄鉱石、ダスト、炭材等)に対する上記造粒補助剤の添加量、すなわち、上記ペレット原料に対する、前記(a)キレート剤、(b)酸、(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、(d)二酸化炭素等の、水と反応して酸を生成する化合物の各添加量並びにその合計の添加量は、特に限定されるものではないが、それぞれ、その下限値が好ましくは0.001重量%であり、さらに好ましくは0.01重量%であり、上限値が好ましくは2重量%であり、さらに好ましくは1重量%である。2重量%を越えて上記造粒補助剤を添加すると、得られたペレットに含まれる不純物が多くなり、好ましくない。また、上記造粒補助剤の添加量の下限値は、ペレット原料の造粒性や、水分添加量、使用する造粒機等によって左右されるが、できるだけ少量となるように設計することが望ましい。
【0081】
但し、例えば上記造粒補助剤が、例えば二酸化炭素等の、水と反応して酸を生成する化合物または炭酸である場合、容易に系外に放出されてしまうため、系内に留まった量、すなわち、反応した量と水に溶解した量との合計の量を上記添加量とする。
【0082】
また、上記造粒補助剤が(b)酸および(d)二酸化炭素等の、水と反応して酸を生成する化合物のうち少なくとも一種であり、上記製鉄用原料がダストおよび返鉱等の生石灰成分を含む材料のうち少なくとも一種を含む場合、以下の方法によって造粒補助剤の添加量を適正化することがより好ましい。なお、以下の方法では、上記造粒補助剤が(b)酸であり、上記製鉄用原料が、ダストおよび返鉱等の、生石灰成分および/または消石灰成分を含む材料のうち、ダストを含む場合を例に挙げて説明するが、他の組み合わせの場合も、同様にして適正化することができる。また、以下の説明では、ダスト以外の、生石灰成分および/または消石灰成分を含む材料として例えば返鉱を例に挙げて説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
まず、ダストおよび(b)酸に対し、蒸留水を、これらダストと(b)酸と蒸留水とからなる処理液(ダスト分散液)中のダストおよび(b)酸の合計量が30重量%となるように添加したときに、得られる処理液(ダスト分散液)のpHが12以下となるように、ダストおよび(b)酸の添加量比を決定する。製鉄用原料におけるダストの添加量を設定すれば、上記方法により、適正な(b)酸の添加量を決定することが可能である。上記(b)酸の添加量は、上記処理液(ダスト分散液)のpHが11以下となるような比率に設定されることがより好ましく、上記処理液(ダスト分散液)のpHが10以下となるような比率に設定されることがより好ましい。但し、不純物増加の懸念から、製鉄用原料に対する上記(b)酸の添加量は、上記した通り2重量%以下となるように設定される。
【0083】
上記カルボキシル基含有高分子化合物および造粒補助剤を製鉄用原料に添加する方法は、特に限定するものではないが、上記造粒補助剤の添加方法としては、例えば、製鉄用原料中に予め配合しておく方法;ミキサー等による原料混合時に添加する方法;添加水を散布し、造粒を行っているときに添加する方法;添加水に分散させて散布する方法等が挙げられる。
【0084】
また、上記カルボキシル基含有高分子化合物の添加方法としては、例えば、原料混合前、または原料混合後に散布する方法;原料混合時に散布する方法;造粒時に添加水と別系列で散布する方法;添加水に混合して散布する方法;等が挙げられる。
【0085】
上記カルボキシル基含有高分子化合物と造粒補助剤とは、同時に添加してもよく、造粒補助剤を添加した後、カルボキシル基含有高分子化合物を添加してもよい。
【0086】
上記製鉄用原料がダストや返鉱を含む場合、すなわち、製鉄用原料にダストや返鉱を添加して造粒処理を行う場合には、該ダストや返鉱を予め上記造粒補助剤と混合して処理(すなわち、例えばカルシウムイオンをキレートもしくは塩として捕捉)した後、この造粒補助剤を含む処理ダストを、残りの製鉄用原料に添加して造粒処理を行う方法が、バインダーとしてのカルボキシル基含有高分子化合物の析出や、生石灰あるいは消石灰の固体表面への上記カルボキシル基含有高分子化合物の吸着を抑制(防止)し、上記カルボキシル基含有高分子化合物を、バインダーとしてより有効に利用することができ、十分な擬似粒化性を得ることができることから好ましい。しかしながら、上記製鉄用原料の一部あるいは全部とダストや返鉱を混合した後に、上記造粒補助剤を混合して処理することも可能である。
【0087】
また、上記カルボキシル基含有高分子化合物と造粒補助剤とは、予め混合してから製鉄用原料に添加してもよい。例えば水溶液重合で得られたカルボキシル基含有高分子化合物を上記造粒補助剤と混合することにより、有効成分として上記カルボキシル基含有高分子化合物と造粒補助剤とを含む、本発明にかかる製鉄用造粒処理剤を得ることができる。なお、上記カルボキシル基含有高分子化合物と造粒補助剤との混合方法は、特に限定されるものではない。
【0088】
製鉄用原料への上記製鉄用造粒処理剤の添加方法としては、特に限定されるものではなく、上記したように、該製鉄用造粒処理剤を、製鉄用原料(焼結原料またはペレット原料)に最初から混合して用いてもよく、製鉄用原料の造粒処理に用いる水に溶解して製鉄用原料に散布することにより用いてもよい。この場合にも、上記製鉄用造粒処理剤は、水溶液の状態にして、造粒機の添加水に混合、あるいは、攪拌されている製鉄用原料に噴霧することが、簡便かつ均一に添加することができるので特に好ましい。
【0089】
上記製鉄用造粒処理剤中における上記カルボキシル基含有高分子化合物の含有量(割合)は、製鉄用原料の鉱石(鉄鉱石)の造粒性(種類)や、用いるカルボキシル基含有高分子化合物の種類、並びに、使用する造粒機等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、0.01重量%以上、70重量%以下の範囲内であることが好ましく、その下限値は0.1重量%であることがより好ましく、0.3重量%であることが特に好ましい。上記カルボキシル基含有高分子化合物の含有量が0.01重量%未満であれば、擬似粒化性の向上効果が十分に発揮されないおそれがある。また、上限値は60重量%であることがより好ましく、45重量%であることが最も好ましい。上記カルボキシル基含有高分子化合物の含有量が70重量%を越えると、上記カルボキシル基含有高分子化合物が均一に混ざらず、造粒性に偏りが生じるおそれがある。
【0090】
また、上記製鉄用造粒処理剤中における上記造粒補助剤の含有量(割合)は、造粒に用いられる水の中におけるカルシウムイオン等の多価金属イオンの濃度、より具体的には、例えばバインダーとして生石灰を併用する場合においては該生石灰の使用量、また、製鉄用原料にダストや返鉱を添加する場合においては該ダストや返鉱中に含まれるカルシウム分(CaO換算)等の他、製鉄用原料の鉱石(鉄鉱石)の造粒性(種類)、用いるカルボキシル基含有高分子化合物や造粒補助剤の種類およびその物性(例えばカルシウムイオン捕捉能等)、並びに、使用する造粒機等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、0.005重量%以上、70重量%以下の範囲内であることが好ましく、その下限値は0.05重量%であることがより好ましく、0.1重量%以上であることが特に好ましい。
【0091】
上記造粒補助剤の含有量が0.005重量%未満であれば、ダストや返鉱、さらにはバインダーとして使用されている生石灰の存在下で製鉄用原料を造粒処理するに際し、該製鉄用原料の擬似粒化性の向上効果が十分に発揮されないおそれがある。また、上記造粒補助剤の含有量の上限値は65重量%であることがより好ましく、60重量%であることが最も好ましい。上記造粒補助剤の含有量が70重量%を越えると、製鉄用造粒処理剤の粘性が増加し、添加時の制御が困難になるおそれがある。
【0092】
また、上記造粒補助剤は、上記カルボキシル基含有高分子化合物1重量部に対して、0.1重量部以上、200重量部以下の範囲内で用いられることが好ましく、その下限値は、0.3重量部であることがより好ましく、0.5重量部であることがさらに好ましく、1重量部であることがさらに一層好ましい。また、上記カルボキシル基含有高分子化合物1重量部に対する上記造粒補助剤の使用量の上限値は、100重量部であることがより好ましく、70重量部であることがさらに好ましく、50重量部であることがさらに一層好ましい。
【0093】
さらに、本発明において用いられる製鉄用造粒処理剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、上記カルボキシル基含有高分子化合物および上記造粒補助剤以外、さらには上記カルボキシル基含有高分子化合物と上記造粒補助剤と溶媒(水)と以外に、必要に応じて、他の成分、例えば従来公知の他の造粒添加剤や、擬似粒子の崩壊を低減させる目的で、鉄鉱石や炭酸カルシウム等の微粉(擬似粒子の崩れ防止剤)等をバインダーとして併用しても構わない。
【0094】
つまり、本発明にかかる製鉄用原料の造粒に際しては、上記カルボキシル基含有高分子化合物および上記造粒補助剤以外の他の成分を製鉄用原料にさらに添加しても構わない。
【0095】
上記製鉄用造粒処理剤と生石灰とを併用する場合、すなわち、バインダーとして前記カルボキシル基含有高分子化合物と生石灰とを併用する場合、上記生石灰の使用量は、製鉄用原料に対し、4重量%以下に設定されることが望ましい。
【0096】
また、上記微粉、すなわち、擬似粒子の崩れ防止剤として上記製鉄用原料に別途添加する微粉としては、平均粒径が200μm以下の微粉が好適に用いられる。該擬似粒子の崩れ防止剤として用いられる微粉としては、上記平均粒径を有する微粉であれば特に限定されるものではないが、造粒性の向上効果に優れることから、その平均粒径が、0.01μm以上、200μm以下の範囲内であることがより好ましく、0.01μm以上、150μm以下の範囲内であることがより一層好ましく、0.02μm以上、100μm以下の範囲内であることが特に好ましい。上記微粉の平均粒径が0.01μm未満もしくは200μmを越えると、該微粉を添加することによる擬似粒化性の向上効果が十分に得られないおそれがある。但し、製鉄用原料によって分散安定化に適した粒径は異なるため、上記微粉の平均粒径は、用いる製鉄用原料の種類によって、上記した範囲内において適宜設定することが好ましい。
【0097】
上記擬似粒子の崩れ防止剤として用いられる微粉は、鉄鉱石の微粒子やカオリンクレー、石灰石(炭酸カルシウム)の微粒子、鉄粉、ペレットフィード等の鉄鉱石の微粉、各種ダスト等、製鉄用原料に含まれている微粉と同種の微粉でもよいが、コロイダルシリカ、フライアッシュ、シリカヒューム、無水石膏等、製鉄用原料に含まれている微粉とは異なる微粉でもよい。
【0098】
前記カルボキシル基含有高分子化合物および造粒補助剤と上記擬似粒子の崩れ防止剤とを併用する場合、製鉄用原料に添加される上記擬似粒子の崩れ防止剤の添加量(比率)は、用いる製鉄用原料、カルボキシル基含有高分子化合物、および造粒補助剤の種類や組み合わせ等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、製鉄用原料に対し、0.01重量%以上、30重量%以下の範囲内であることが好ましく、0.1重量%以上、20重量%以下の範囲内であることがより好ましい。上記添加量が0.01重量%未満である場合は、上記擬似粒子の崩れ防止剤を添加することによる擬似粒化性の向上効果を十分に得ることができないおそれがある。一方、上記添加量が30重量%よりも多い場合は、多量のスラグ等の廃棄物が増えたり、微粉分が逆に増加し、通気性が低下するため、焼結機の生産性が低下するおそれがある。
【0099】
また、焼結原料に対して添加される水の割合は、造粒時に添加される水と原料中に含まれる持ち込み水分との合計量が、焼結原料に対し、最終的に、4重量%以上、15重量%以下となるように設定されることが好ましく、5重量%以上、12重量%以下となるように設定されることがより好ましい。
【0100】
また、ペレット原料に対して添加される水の割合は、造粒時に添加される水と原料中に含まれる持ち込み水分との合計量が、ペレット原料に対し、最終的に、5重量%以上、50重量%以下となるように設定されることが好ましく、7重量%以上、30重量%以下となるように設定されることがより好ましい。
【0101】
よって、上記製鉄用造粒処理剤は、これら製鉄用原料に対する水の割合が上記した範囲内となるようにその含有水分量が設定される。上記製鉄用造粒処理剤中の水の含有量は、具体的には、30重量%以上、99.9重量%以下の範囲内で設定される。
【0102】
なお、上記製鉄用造粒処理剤は、高粘度になり過ぎたり、安定性が損なわれない範囲で高濃度に調整しておくことが、設備上、貯蔵容器(タンク)の容量が小さくてすむことから有利である。この場合、造粒時に、上記製鉄用造粒処理剤と残りの添加水とを別々に添加してもよいし、上記製鉄用造粒処理剤と残りの添加水とを予め混合してから添加してもよい。しかしながら、上記製鉄用造粒処理剤は、作業上、所望の粘度になるように予め低濃度に調整しても構わない。
【0103】
以上のように、本発明によれば、ダストや返鉱、さらにはバインダーとして使用されている生石灰の存在下で製鉄用原料を造粒処理する場合のように、多価金属イオン、特にカルシウムイオンを含む水中で、製鉄用原料を造粒処理するに際し、カルボキシル基含有高分子化合物の析出や、生石灰や消石灰の固体表面へのカルボキシル基含有高分子化合物の吸着を抑制(防止)し、造粒された擬似粒子の高いGI指数を得ることができる。なお、造粒された擬似粒子のGI指数とは、核粒子の周りに付着する微粉粒子の割合を示す値であり、この値が大きいものほど造粒性が良好で、焼結時の通気性が向上し、焼結鉱の通気性が向上し、焼結機の生産効率が高くなる。
【0104】
また、本発明によれば、副原料や燃料等を含む製鉄用原料の各銘柄の粒度分布、造粒性、組成等に応じて、製鉄用原料の一部を混合・混練・造粒した後、これを残りの製鉄用原料に混合・混練して造粒する処理方法についても、本発明にかかる造粒処理方法を用いて、上記したカルボキシル基含有高分子化合物と造粒補助剤とを上記製鉄用原料に添加することにより、擬似粒化することができる。例えば、製鉄用原料の一部が難造粒性を示す場合には、この難造粒性の製鉄用原料に上記したカルボキシル基含有高分子化合物と造粒補助剤とを添加することにより、擬似粒化性を向上させることができる。
【0105】
本発明によれば、製鉄用原料や造粒機、各成分、つまり、例えば上記したカルボキシル基含有高分子化合物や造粒補助剤を添加するタイミングや場所等の組み合わせを自由に選択することができ、従ってその組み合わせは、特に限定されるものではない。
【0106】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。本発明は請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施例にそれぞれ開示された技術手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。尚、実施例および比較例に記載の「部」は「重量部」を示し、「%」は「重量%」を示す。また、以下に記載の実施例および比較例における焼結原料並びにペレット原料は、全て、絶乾状態のものを使用した。
【0107】
また、以下の実施例および比較例では、ダストとして、水分量9%、平均粒径45μm、カルシウム分17%(CaO換算)のダストを使用した。該ダストには、製鉄のプロセスで発生するダストを用いた。以下の実施例および比較例で用いたダストの主な成分は以下の通りである。
カルシウム分 17%(CaO換算)
鉄分 50%(Fe23換算)
炭素分 15%(C換算)
但し、本発明で用いられるダストとしては、前記したあらゆるダストを使用することが可能であり、これに限定されるものではない。
【0108】
また、以下の実施例および比較例における重量平均分子量、平均粒径、GI指数、カルシウム捕捉能は、下記方法により測定した。
【0109】
(重量平均分子量)
重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定した。測定条件は以下の通りである。
ポンプ:「L−7110」(株式会社日立製作所製)
キャリア液:リン酸水素二ナトリウム十二水和物34.5gおよびリン酸二水素ナトリウム二水和物46.2gに超純水を加えて全量を5000gとした。
流速:0.5ml/min
カラム:水系GPCカラム「GF−7MHQ」(昭和電工株式会社製)1本
検出器:紫外線(UV)検出器「L−7400」(株式会社日立製作所製)、波長214nm
分子量標準サンプル:ポリアクリル酸ナトリウム(創和科学株式会社製)
分析サンプルは、高分子化合物が固形分で0.1重量となるように上記キャリア液で希釈することにより調整した。
【0110】
(擬似粒子の平均粒径、GI指数)
造粒操作を行って得られた擬似粒子を80℃で1時間乾燥後、ふるいを用いて分級することにより、その粒度(擬似粒度)並びに平均粒径を求めた。造粒された擬似粒子のGI指数とは、製鉄研究第288号(1976)9頁に開示されている評価方法の一つであり、核粒子の周りに付着する微粉粒子の割合を示す。なお、GI指数の測定は、製鉄研究第288号(1976)9頁に記載の方法に準じて行った。
以下の各実施例および比較例の測定においては、何れも、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。
【0111】
また、0.25mm以下の擬似粒子のGI指数(擬似粒化指数)は以下の式により計算した。
GI指数=(造粒前の0.25mm以下の原料の比率−造粒後の0.25mm以下の原料の比率)/(造粒前の0.25mm以下の原料の比率)×100
(カルシウムイオン捕捉能)
カルシウムイオン捕捉能(単位 mgCaO/g)は、以下の方法により算出した。まず、容量100mlのビーカーに、予め20℃に調整した0.001mol/Lの塩化カルシウム水溶液50gを採取し、その中に、キレート剤10mgを添加した。続いて、この水溶液のpHを希水酸化ナトリウムで10〜11に調整した後、該水溶液を攪拌しながら該水溶液にカルシウムイオン電極安定剤として4mol/Lの塩化カリウム水溶液1mlを添加してカルシウム捕捉能測定用試料とした。このカルシウム捕捉能測定用試料中の遊離のカルシウムイオンを、イオンアナライザー(EA920型、オリオン社製)およびカルシウムイオン電極(93−20型、オリオン社製)を用いて測定し、キレート剤1g当り、酸化カルシウム換算で何mgのカルシウムイオンが捕捉(キレート)されたかを計算で求めた。
【0112】
(成品歩留、焼結鉱強度、生産率)
成品歩留は、焼結鍋試験において、焼結後の焼結鉱(シンターケーキ)50kgを2mの高さから鉄板上に5回落下させたときの、粒径5mm以上の粒度を有する粒子の割合を測定することにより評価した。
【0113】
焼結鉱強度は、以下の強度測定方法(SI:シャッターインデックス)により測定した。焼結鉱強度は、上記成品歩留評価後の焼結鉱(粒径5mm以上の粒子)を粒度分布が変わらないように10kg採取し、2mの高さからさらに4回鉄板上に落下させたときの、粒径5〜10mmの粒度を有する粒子の割合を測定することにより評価した。
【0114】
生産率は、以下の式
生産率(t/day/m2)=成品歩留評価後の粒径5mm以上の粒度を有する粒子の総重量(t)/焼結時間(day)/焼結機(鍋)の表面積(m2)
により算出した。
【0115】
〔実施例1〕
攪拌機およびコンデンサを備えた容量5Lのセパラブルフラスコ(SUS316製)に、イオン交換水805.5部および連鎖移動剤としての45%次亜リン酸ナトリウム−水和物水溶液40.1部を仕込み、攪拌下、系の沸点(100℃)まで昇温した。続いて、上記セパラブルフラスコ内に、カルボキシル基含有単量体としての80%アクリル酸水溶液2126.1部、並びに、重合開始剤としての15%過硫酸ナトリウム水溶液112.4部および45%次亜リン酸ナトリウム一水和物水溶液160.2部を滴下した。上記80%アクリル酸水溶液、15%過硫酸ナトリウム水溶液、45%次亜リン酸ナトリウム一水和物水溶液は、それぞれ別々の滴下口より滴下した。80%アクリル酸水溶液は180分間で滴下した。15%過硫酸ナトリウム水溶液は185分間で滴下した。45%次亜リン酸ナトリウム一水和物水溶液は180分間で滴下した。滴下時間中、反応温度は系の沸点を維持した。滴下終了後、同温度に5分間保持した後、中和剤としての48%水酸化ナトリウム水溶液1889.0部を60分間かけて滴下することにより、重合体水溶液(A)を得た。このようにして得られた重合体水溶液(A)中の重合体(高分子化合物(A))の重量平均分子量を測定、算出したところ、重量平均分子量は6200であった。
【0116】
次に、上記重合体水溶液(A)を固形分換算で35部となるように採取し、これに本発明にかかる(a)キレート剤(造粒補助剤)としてクエン酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、分子量258)350部を添加してイオン交換水で希釈し、5600部とすることにより本発明にかかる製鉄用造粒処理剤(1)を得た。
一方、表1に示す組成を有する焼結原料(製鉄用原料)を調製した。
【0117】
【表1】
Figure 0004188027
【0118】
上記の焼結原料70000部をドラムミキサーに投入し、さらに造粒用バインダーとして生石灰840部を投入し、回転速度24min-1で1分間、予備攪拌した。その後、同回転速度で攪拌しながら、該焼結原料に、予め調製した上記製鉄用造粒処理剤(1)5600部を、霧吹きを用いて約1.5分間かけて噴霧した。焼結原料に対する上記高分子化合物(A)の割合は0.05%であった。噴霧後、さらに同回転速度で3分間攪拌することにより、造粒操作を行った。
【0119】
得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。また、上記クエン酸ナトリウムのカルシウムイオン捕捉能を測定した。この結果をまとめて表2に示す。
【0120】
〔実施例2〕
重合体水溶液(A)を固形分換算で35部となるように採取し、これに、本発明にかかる(a)キレート剤(造粒補助剤)としてニトロトリ酢酸三ナトリウム一水和物(和光純薬製、分子量275)350部を添加してイオン交換水で希釈し、5600部とすることにより本発明にかかる製鉄用造粒処理剤(2)を得た。
【0121】
その後、実施例1において、製鉄用造粒処理剤(1)に代えてこの製鉄用造粒処理剤(2)を用いて実施例1と同様の造粒操作を行い、得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。また、上記ニトロトリ酢酸三ナトリウム一水和物のカルシウムイオン捕捉能を測定した。この結果をまとめて表2に示す。
【0122】
〔比較例1〕
実施例1において、製鉄用造粒処理剤(1)に代えて水5600部を比較用製鉄用造粒処理剤(1)として用いた以外は、実施例1と同様の操作により造粒を行った。すなわち、実施例1と同じ焼結原料70000部にバインダーとして平均粒径45μmの生石灰840部、水5600部を添加することにより造粒操作を行った。次いで、実施例1と同様の操作により、得られた擬似粒子に含まれる水分の測定を行うと共に、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。この結果をまとめて表2に示す。
【0123】
〔参考例1〕
重合体水溶液(A)を固形分換算で35部となるように採取し、これをイオン交換水で希釈し、5600部とすることにより比較用製鉄用造粒処理剤(2)を得た。
【0124】
その後、実施例1において、製鉄用造粒処理剤(1)に代えて上記比較用製鉄用造粒処理剤(2)を用いる以外は、実施例1と同様の操作により造粒を行った。次いで、実施例1と同様の操作により、得られた擬似粒子に含まれる水分の測定を行うと共に、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。この結果をまとめて表2に示す。
【0125】
〔参考例2〕
重合体水溶液(A)を固形分換算で35部となるように採取し、これに、比較用のキレート剤として、カルシウムイオン補足能が340mgCaO/g、重量平均分子量8000のアクリル酸−マレイン酸共重合体のナトリウム塩(アクリル酸:マレイン酸の組成比70:30、高分子化合物(B))を固形分換算で350部となるように採取して添加し、これをイオン交換水で希釈し、5600部とすることにより比較用製鉄用造粒処理剤(3)を得た。
【0126】
その後、実施例1において、製鉄用造粒処理剤(1)に代えて上記比較用製鉄用造粒処理剤(3)を用いる以外は、実施例1と同様の操作により造粒を行った。次いで、実施例1と同様の操作により、得られた擬似粒子に含まれる水分の測定を行うと共に、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。この結果をまとめて表2に示す。
【0127】
【表2】
Figure 0004188027
【0128】
〔実施例3〕
重合体水溶液(A)を固形分換算で35部となるように採取し、イオン交換水で5250部に希釈した(希釈液(i))。一方、マレイン酸70部をダスト(水分量9%、平均粒径45μm、カルシウム分17%(CaO換算))3500部に振りかけてよく混合した(処理ダスト(I))。その後、実施例1において、生石灰840部の代わりに処理ダスト(I)3570部を添加し、製鉄用造粒処理剤(1)に代えて希釈液(i)を用いて実施例1と同様の操作により造粒を行った。すなわち、焼結原料(ダスト抜き)に対し、上記高分子化合物(A)0.05%と、本発明にかかる(b)酸(造粒補助剤)としてのマレイン酸(分子量116)0.1%とを併用した。得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。この結果をまとめて表3に示す。なお、上記処理ダスト(I)と同様にして得られた処理ダストに、蒸留水を、該処理ダストと蒸留水との合計量のうち上記処理ダストが占める割合が30%となるように蒸留水を添加して得られた処理液(ダスト分散液)のpHは11.8であった。
【0129】
〔実施例4〕
80%アクリル酸水溶液88部をダスト(水分量9%、平均粒径45μm、カルシウム分17%(CaO換算))3500部に添加し、よく混合した(処理ダスト(II))。その後、実施例3において、処理ダスト(I)の代わりに処理ダスト(II)3588部を添加した以外は、実施例3と同様の操作により造粒を行った。すなわち、焼結原料(ダスト抜き)に対し、上記高分子化合物(A)0.05%と、本発明にかかる(b)酸(造粒補助剤)としてのアクリル酸(分子量72)0.1%とを併用した。得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。この結果をまとめて表3に示す。なお、上記処理ダスト(II)と同様にして得られた処理ダストに、蒸留水を、該処理ダストと蒸留水との合計量のうち上記処理ダストが占める割合が30%となるように蒸留水を添加して得られた処理液(ダスト分散液)のpHは11.9であった。
【0130】
〔実施例5〕
ダスト(水分量9%、平均粒径45μm、カルシウム分17%(CaO換算))3500部に水200部を添加し、よく混合しながら二酸化炭素を吹き込んで処理ダストを得た。固形分の増加から計算した二酸化炭素の添加量は、焼結原料に対し、0.2%であった。次いで、二酸化炭素を吹き込んだ上記処理ダストの水分量を9%に調整することにより最終的な処理ダスト(III)を得た。その後、実施例3において、処理ダスト(I)の代わりに処理ダスト(III)3591部を添加した以外は、実施例3と同様の操作により造粒を行った。すなわち、焼結原料(ダスト抜き)に対し、上記高分子化合物(A)0.05%と、本発明にかかる(d)水と反応して酸を生成する化合物(造粒補助剤)としての二酸化炭素(分子量44)0.2%とを併用した。得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。この結果をまとめて表3に示す。なお、上記処理ダスト(III)と同様にして得られた処理ダストに、蒸留水を、該処理ダストと蒸留水との合計量のうち上記処理ダストが占める割合が30%となるように蒸留水を添加して得られた処理液(ダスト分散液)のpHは10.2であった。
【0131】
〔実施例6〕
炭酸ナトリウム(無水物)70部をダスト(水分量9%、平均粒径45μm、カルシウム分17%(CaO換算))3500部に添加し、よく混合した(処理ダスト(IV))。その後、実施例3において、処理ダスト(I)の代わりに処理ダスト(IV)3570部を添加した以外は、実施例3と同様の操作により造粒を行った。すなわち、焼結原料(ダスト抜き)に対し、上記高分子化合物(A)0.05%と、本発明にかかる(c)酸のナトリウム塩(造粒補助剤)としての炭酸ナトリウム(無水物、分子量106)0.1%とを併用した。得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。この結果をまとめて表3に示す。なお、20℃の蒸留水に対する、上記炭酸ナトリウム(無水物)のカルシウム塩である炭酸カルシウムの溶解度は、1.5mg/蒸留水100gであった。
【0132】
〔実施例7〕
炭酸カリウム(無水物)70部をダスト(水分量9%、平均粒径45μm、カルシウム分17%(CaO換算))3500部に添加し、よく混合した(処理ダスト(V))。その後、実施例3において、処理ダスト(I)の代わりに処理ダスト(V)3570部を添加した以外は、実施例3と同様の操作により造粒を行った。すなわち、焼結原料(ダスト抜き)に対し、上記高分子化合物(A)0.05%と、本発明にかかる(c)酸のカリウム塩(造粒補助剤)としての炭酸カリウム(無水物、分子量138)0.1%とを併用した。得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。この結果をまとめて表3に示す。なお、20℃の蒸留水に対する、上記炭酸カリウム(無水物)のカルシウム塩である炭酸カルシウムの溶解度は、1.5mg/蒸留水100gであった。
【0133】
〔実施例8〕
硫酸ナトリウム(無水物)70部をダスト(水分量9%、平均粒径45μm、カルシウム分17%(CaO換算))3500部に添加し、よく混合した(処理ダスト(VI))。その後、実施例3において、処理ダスト(I)の代わりに処理ダスト(VI)3570部を添加した以外は、実施例3と同様の操作により造粒を行った。すなわち、焼結原料(ダスト抜き)に対し、上記高分子化合物(A)0.05%と、本発明にかかる(c)酸のナトリウム塩(造粒補助剤)としての硫酸ナトリウム(無水物、分子量142)0.1%とを併用した。得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。この結果をまとめて表3に示す。なお、20℃の蒸留水に対する、上記硫酸ナトリウム(無水物)のカルシウム塩である硫酸カルシウムの溶解度は、298mg/蒸留水100gであった。
【0134】
〔実施例9〕
炭酸ナトリウム(無水物)35部をダスト(水分量9%、平均粒径45μm、カルシウム分17%(CaO換算))3500部に添加し、よく混合した(処理ダスト(VII))。その後、実施例3において、処理ダスト(I)の代わりに処理ダスト(VII)3535部を添加した以外は、実施例3と同様の操作により造粒を行った。すなわち、焼結原料(ダスト抜き)に対し、上記高分子化合物(A)0.05%と、本発明にかかる(c)酸のナトリウム塩(造粒補助剤)としての炭酸ナトリウム(無水物、分子量106)0.05%とを併用した。得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。この結果をまとめて表3に示す。なお、20℃の蒸留水に対する、上記炭酸ナトリウム(無水物)のカルシウム塩である炭酸カルシウムの溶解度は、1.5mg/蒸留水100gであった。
【0135】
〔実施例10〕
実施例6と同様にして処理ダスト(IV)を調製した。その後、実施例6において、処理ダスト(IV)に加えて、重質炭酸カルシウム(平均粒径10μm)350gを添加した以外は、実施例6、つまり、実施例3と同様の操作により造粒を行った。すなわち、焼結原料(ダスト抜き)に対し、上記高分子化合物(A)0.05%と、本発明にかかる(c)酸のナトリウム塩(造粒補助剤)としての炭酸ナトリウム(無水物、分子量106)0.1%と、擬似粒子の崩れ防止剤としての重質炭酸カルシウム(平均粒径10μm)0.5%を併用した。得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。この結果をまとめて表3に示す。なお、20℃の蒸留水に対する、上記炭酸ナトリウム(無水物)のカルシウム塩である炭酸カルシウムの溶解度は、1.5mg/蒸留水100gであった。
【0136】
〔実施例11〕
重合体水溶液(A)を固形分換算で35部となるように採取し、さらに、炭酸ナトリウム(無水物)70部を添加してイオン交換水で5250部に希釈した(製鉄用造粒処理剤(3))。その後、実施例1において、生石灰840部の代わりにダスト(水分9%、平均粒径45μm、カルシウム分7%(CaO換算))3500部を添加し、製鉄用造粒処理剤(1)に代えて上記製鉄用造粒処理剤(3)を用いて実施例1と同様の操作により造粒を行った。すなわち、焼結原料(ダスト抜き)に対し、上記高分子化合物(A)0.05%と、本発明にかかる(c)酸のナトリウム塩(造粒補助剤)としての炭酸ナトリウム(無水物、分子量106)0.1%とを併用した。得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。この結果をまとめて表3に示す。なお、20℃の蒸留水に対する、上記炭酸ナトリウム(無水物)のカルシウム塩である炭酸カルシウムの溶解度は、1.5mg/蒸留水100gであった。
【0137】
〔実施例12〕
攪拌機およびコンデンサを備えたセパラブルフラスコ(SUS316製)に、イオン交換水1400部を仕込み、攪拌下、系の沸点(100℃)まで昇温した。続いて、上記セパラブルフラスコ内に、カルボキシル基含有化合物としての80%アクリル酸水溶液578.5部、並びに、重合開始剤としての15%過硫酸アンモニウム水溶液62.5部をそれぞれ別々の滴下口より2時間かけて滴下した。滴下時間中、反応温度は系の沸点を維持した。滴下終了後、同温度に120分間保持した後、中和剤としての48%水酸化ナトリウム水溶液353部を60分間かけて滴下することにより、重合体水溶液(C)を得た。このようにして得られた重合体水溶液(C)中の重合体(高分子化合物(C))の重量平均分子量を測定、算出したところ、重量平均分子量は48000であった。
【0138】
次に、上記重合体水溶液(C)を固形分換算で35部となるように採取し、イオン交換水で5250部に希釈した(希釈液(ii))。一方、炭酸ナトリウム(無水物)70部をダスト(水分量9%、平均粒径45μm、カルシウム分17%(CaO換算))3500部に振りかけてよく混合した(処理ダスト(VIII))。その後、実施例1において、生石灰840部の代わりに処理ダスト(VIII)3570部を添加し、製鉄用造粒処理剤(1)に代えて希釈液(ii)を用いて実施例1と同様の操作により造粒を行った。すなわち、焼結原料(ダスト抜き)に対し、上記高分子化合物(A)0.05%と、本発明にかかる(c)酸のナトリウム塩(造粒補助剤)としての炭酸ナトリウム(無水物、分子量106)0.1%とを併用した。得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。この結果をまとめて表3に示す。なお、20℃の蒸留水に対する、上記炭酸ナトリウム(無水物)のカルシウム塩である炭酸カルシウムの溶解度は、1.5mg/蒸留水100gであった。
【0139】
〔実施例13〕
製鉄用造粒処理剤(3)5250部の代わりに、高分子化合物(A)を17%含有すると共に炭酸ナトリウム(無水物)を17%含有する製鉄用造粒処理剤水溶液(4)206部と、イオン交換水4974部とを併用する以外は、実施例11と同様にして造粒操作を行なった。すなわち、焼結原料(ダスト抜き)に対し、上記高分子化合物(A)0.05%と、本発明にかかる(c)酸のナトリウム塩(造粒補助剤)としての炭酸ナトリウム(無水物、分子量106)0.05%とを併用した。得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。この結果をまとめて表3に示す。なお、20℃の蒸留水に対する、上記炭酸ナトリウム(無水物)のカルシウム塩である炭酸カルシウムの溶解度は、1.5mg/蒸留水100gであった。
【0140】
〔参考例3〕
実施例3と同様にして希釈液(i)を調製した。その後、実施例1において、生石灰840部の代わりにダスト(水分量9%、平均粒径45μm、カルシウム分7%(CaO換算))3500部を添加し、製鉄用造粒処理剤(1)に代えて希釈液(i)を用いて実施例1と同様の操作により造粒を行った。すなわち、焼結原料(ダスト抜き)に対し、高分子化合物(A)0.05%を使用した。得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。この結果をまとめて表3に示す。
【0141】
〔比較例2〕
比較例1において、さらにダスト(水分量9%、平均粒径45μm、カルシウム分7%(CaO換算))3500部を添加した以外は、比較例1と同様の操作により造粒を行った。すなわち、実施例1と同じ焼結原料70000部に焼結原料としてさらにダスト3500部、バインダーとして平均粒径45μmの生石灰840部、水5600部を添加することにより造粒を行った。得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。この結果をまとめて表3に示す。
【0142】
【表3】
Figure 0004188027
【0143】
〔実施例14〕
実施例9と同様にして得られた擬似粒子を50kgスケールの鍋試験にて焼結を行い、焼結鉱を得た。該試験の条件は、焼結鍋は直径300mm、高さ600mm、層厚を550mmとし、吸引負圧を9.8kPa(一定)とした。得られた焼結鉱の生産率、成品歩留、焼結鉱強度を測定した。これらの結果をまとめて表4に示す。
【0144】
〔比較例3〕
比較例2と同様にして得られた擬似粒子を、実施例14と同じ条件で50kgスケールの鍋試験にて焼結を行い、焼結鉱を得た。得られた焼結鉱の生産率、成品歩留、焼結鉱強度を測定した。これらの結果をまとめて表4に示す。
【0145】
【表4】
Figure 0004188027
【0146】
表2および表3に示す結果から明らかなように、製鉄用原料を造粒処理する際に、製鉄用造粒処理剤として、本発明にかかるカルボキシル基含有高分子化合物と造粒補助剤とを併用することにより、ダストや返鉱、さらにはバインダーとして使用されている生石灰の存在下であっても、GI指数、すなわち、製鉄用原料の造粒性を大きく増加させることができることが判る。また、表4に示す結果から、本発明によれば、ダストや返鉱、さらにはバインダーとして使用されている生石灰の存在下であっても、擬似粒子を焼結してなる焼結鉱の生産率、成品歩留、焼結鉱強度を向上させることができることが判る。焼結鉱強度が弱い焼結鉱は微粉が発生し易くなるので、返鉱が多くなり成品歩留が低下し、その生産効率が低下する。
【0147】
【発明の効果】
本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、以上のように、製鉄用原料を造粒処理する方法において、上記製鉄用原料に、重量平均分子量1000〜1000000の、カルボキシル基および/またはその塩を含有する高分子化合物と、(a)キレート剤、(b)酸、および(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、からなる群より選ばれる少なくとも一種からなる分子量500未満の低分子造粒補助剤とを添加して造粒処理を行う方法である。
【0148】
また、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、以上のように、(イ)ダスト、(ロ)生石灰成分および/または消石灰成分を含む材料、のうち少なくとも一種を含有する製鉄用原料を造粒処理する方法において、上記製鉄用原料に、重量平均分子量1000〜1000000の、カルボキシル基および/またはその塩を含有する高分子化合物と、(a)キレート剤、(b)酸、および(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、からなる群より選ばれる少なくとも一種からなる分子量500未満の低分子造粒補助剤とを添加して造粒処理を行う方法である。
【0149】
また、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、以上のように、(イ)ダスト、(ロ)生石灰成分および/または消石灰成分を含む材料、のうち少なくとも一種を含有する製鉄用原料を造粒処理する方法において、上記製鉄用原料に、重量平均分子量1000〜1000000の、カルボキシル基および/またはその塩を含有する高分子化合物と、低分子造粒補助剤としての二酸化炭素とを添加して造粒処理を行う方法である。
【0150】
さらに、本発明にかかる製鉄用造粒処理剤は、以上のように、製鉄用原料を造粒処理するのに用いる処理剤であって、重量平均分子量1000〜1000000の、カルボキシル基および/またはその塩を含有する高分子化合物と、(a)キレート剤、(b)酸、および(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、からなる群より選ばれる少なくとも一種からなる分子量500未満の低分子造粒補助剤とを含む構成である。
【0151】
それゆえ、製鉄用原料の造粒用のバインダーとして生石灰を併用する場合や、製鉄用原料に、ダストや、返鉱等の、上記した以外の生石灰成分や、消石灰成分を含む材料を添加して用いる場合のように、造粒に用いられる水の中に、カルシウムイオン等の多価金属イオンが存在している場合であっても、例えば、この多価金属イオンを上記(a)キレート剤がキレート(捕捉)するか、もしくは、上記(b)酸、あるいは二酸化炭素が水と反応して生成する酸が石灰石、消石灰を中和し、生石灰や消石灰の固体表面を減少あるいは無くすか、もしくは、この多価金属イオンと(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩とが塩(多価金属塩)を形成することで、上記高分子化合物の析出や、生石灰や消石灰の固体表面への上記高分子化合物の吸着を抑制(防止)することができ、効率よく製鉄用原料の造粒処理を行うことができる。よって、本発明によれば、製鉄用原料を造粒処理し、擬似粒化またはペレット化する際に、ダストや返鉱、さらにはバインダーとして使用されている生石灰の存在下であっても好適に用いられる製鉄用原料の造粒処理方法および該造粒処理方法に好適に用いられる製鉄用造粒処理剤を提供することができるという効果を奏する。
【0152】
また、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、以上のように、上記(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩が、その酸のカルシウム塩の、20℃の蒸留水への溶解度が、500mg/蒸留水100g以下の化合物である方法である。
【0153】
上記酸のカルシウム塩の溶解度が上記範囲内であれば、上記(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩と、水中、および/または、ダストや返鉱の固体表面上に存在する生石灰や消石灰に由来するカルシウムイオンとが結合することにより生じるカルシウム塩が、造粒に用いられる水に再度溶解してイオン化することを抑制(防止)することができる。それゆえ、上記の構成によれば、上記高分子化合物を、バインダーとしてより有効に利用することができ、より効率よくかつ安価に焼結原料の造粒処理を行うことができるという効果を奏する。
【0154】
また、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、以上のように、上記(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩が、炭酸塩である方法である。
【0155】
上記構成を有する造粒補助剤は、カルボキシル基および/またはその塩を含有する高分子化合物と併用した場合の造粒性向上効果が高く、少量の使用で充分な性能
(効果)を発揮することができる。このため、上記の構成によれば、焼結機の生産効率を向上させることができ、製鉄用造粒処理剤を安価に提供することができるという効果を奏する。
【0156】
また、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、以上のように、上記(イ)ダスト、(ロ)生石灰成分および/または消石灰成分を含む材料、のうち少なくとも一種を、予め上記低分子造粒補助剤と混合処理し、この混合処理により得られた処理物を残りの製鉄用原料に添加して該製鉄用原料を上記高分子化合物の存在下で造粒処理する方法である。
【0157】
それゆえ、バインダーとしての上記高分子化合物の析出や、生石灰あるいは消石灰の固体表面への上記高分子化合物の吸着を抑制(防止)し、上記高分子化合物を、バインダーとしてより有効に利用することができ、十分な擬似粒化性を得ることができるという効果を奏する
また、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、以上のように、上記高分子化合物が、カルボキシル基および/またはその塩を含有するモノマーを、40mol%以上含有するモノマー組成物を重合してなる高分子化合物である方法である。
【0158】
上記構成を有する高分子化合物は、微粉粒子を核粒子の周りに付着させる効果に優れ、少量の使用で充分な性能
(効果)を発揮することができる。このため、上記の構成によれば、焼結機の生産効率を向上させることができるという効果を奏する。

Claims (11)

  1. 製鉄用原料を造粒処理する方法において、
    上記製鉄用原料に、重量平均分子量1000〜100000の、カルボキシル基および/またはその塩を含有する高分子化合物と、(a)キレート剤、(b)酸、および(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、からなる群より選ばれる少なくとも一種からなる分子量500未満の低分子造粒補助剤とを添加して造粒処理を行い、
    上記高分子化合物を、水溶液の形態で添加することを特徴とする製鉄用原料の造粒処理方法。
  2. 製鉄用原料を造粒処理する方法において、
    上記製鉄用原料に、重量平均分子量1000〜100000の、カルボキシル基および/またはその塩を含有する高分子化合物と、(a)キレート剤、(b)酸、および(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、からなる群より選ばれる少なくとも一種からなる分子量500未満の低分子造粒補助剤とを添加して造粒処理を行い、
    上記(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩が、その酸のカルシウム塩の、20℃の蒸留水への溶解度が、500mg/蒸留水100g以下の化合物であり、
    上記高分子化合物を、水溶液の形態で添加することを特徴とする製鉄用原料の造粒処理方法。
  3. 製鉄用原料を造粒処理する方法において、
    上記製鉄用原料に、重量平均分子量1000〜100000の、カルボキシル基および/またはその塩を含有する高分子化合物と、(a)キレート剤、(b)酸、および(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、からなる群より選ばれる少なくとも一種からなる分子量500未満の低分子造粒補助剤とを添加して造粒処理を行い、
    上記(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩が、その酸のカルシウム塩の、20℃の蒸留水への溶解度が、500mg/蒸留水100g以下の化合物であり、
    上記(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩が、炭酸塩であり、
    上記高分子化合物を、水溶液の形態で添加することを特徴とする製鉄用原料の造粒処理方法。
  4. (イ)ダスト、(ロ)生石灰成分および/または消石灰成分を含む材料、のうち少なくとも一種を含有する製鉄用原料を造粒処理する方法において、
    上記製鉄用原料に、重量平均分子量1000〜100000の、カルボキシル基および/またはその塩を含有する高分子化合物と、(a)キレート剤、(b)酸、および(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、からなる群より選ばれる少なくとも一種からなる分子量500未満の低分子造粒補助剤とを添加して造粒処理を行い、
    上記高分子化合物を、水溶液の形態で添加することを特徴とする製鉄用原料の造粒処理方法。
  5. (イ)ダスト、(ロ)生石灰成分および/または消石灰成分を含む材料、のうち少なくとも一種を含有する製鉄用原料を造粒処理する方法において、
    上記製鉄用原料に、重量平均分子量1000〜100000の、カルボキシル基および/またはその塩を含有する高分子化合物と、(a)キレート剤、(b)酸、および(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、からなる群より選ばれる少なくとも一種からなる分子量500未満の低分子造粒補助剤とを添加して造粒処理を行い、
    上記(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩が、その酸のカルシウム塩の、20℃の蒸留水への溶解度が、500mg/蒸留水100g以下の化合物であり、
    上記高分子化合物を、水溶液の形態で添加することを特徴とする製鉄用原料の造粒処理方法。
  6. (イ)ダスト、(ロ)生石灰成分および/または消石灰成分を含む材料、のうち少なくとも一種を含有する製鉄用原料を造粒処理する方法において、
    上記製鉄用原料に、重量平均分子量1000〜100000の、カルボキシル基および/またはその塩を含有する高分子化合物と、(a)キレート剤、(b)酸、および(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、からなる群より選ばれる少なくとも一種からなる分子量500未満の低分子造粒補助剤とを添加して造粒処理を行い、
    上記(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩が、その酸のカルシウム塩の、20℃の蒸留水への溶解度が、500mg/蒸留水100g以下の化合物であり、
    上記(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩が、炭酸塩であり、
    上記高分子化合物を、水溶液の形態で添加することを特徴とする製鉄用原料の造粒処理方法。
  7. (イ)ダスト、(ロ)生石灰成分および/または消石灰成分を含む材料、のうち少なくとも一種を含有する製鉄用原料を造粒処理する方法において、
    上記製鉄用原料に、重量平均分子量1000〜1000000の、カルボキシル基および/またはその塩を含有する高分子化合物と、低分子造粒補助剤としての二酸化炭素とを添加して造粒処理を行うことを特徴とする製鉄用原料の造粒処理方法。
  8. 上記(イ)ダスト、(ロ)生石灰成分および/または消石灰成分を含む材料、のうち少なくとも一種を、予め上記低分子造粒補助剤と混合処理し、この混合処理により得られた処理物を残りの製鉄用原料に添加して該製鉄用原料を上記高分子化合物の存在下で造粒処理することを特徴とする請求項4〜7の何れか1項に記載の製鉄用原料の造粒処理方法。
  9. 上記高分子化合物を上記製鉄用原料混合時に散布することにより添加することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の製鉄用原料の造粒処理方法。
  10. 上記高分子化合物が、カルボキシル基および/またはその塩を含有するモノマーを、40mol%以上含有するモノマー組成物を重合してなる高分子化合物であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の製鉄用原料の造粒処理方法。
  11. 製鉄用原料を造粒処理するのに用いる処理剤であって、
    重量平均分子量1000〜100000の、カルボキシル基および/またはその塩を含有する高分子化合物と、(a)キレート剤、(b)酸、および(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、からなる群より選ばれる少なくとも一種からなる分子量500未満の低分子造粒補助剤とを含み、
    上記高分子化合物は、水溶液の形態で含まれることを特徴とする製鉄用造粒処理剤。
JP2002241234A 2002-08-21 2002-08-21 製鉄用原料の造粒処理方法および製鉄用造粒処理剤 Expired - Fee Related JP4188027B2 (ja)

Priority Applications (9)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002241234A JP4188027B2 (ja) 2002-08-21 2002-08-21 製鉄用原料の造粒処理方法および製鉄用造粒処理剤
BRPI0306141A BRPI0306141B1 (pt) 2002-08-21 2003-08-21 método de granulação de material de sinterização para a fabricação de ferro
PCT/JP2003/010549 WO2004018716A1 (ja) 2002-08-21 2003-08-21 製鉄用焼結原料の造粒処理方法
AT03792759T ATE547539T1 (de) 2002-08-21 2003-08-21 Verfahren zur granulierung von sintermaterial für die eisenherstellung
EP03792759A EP1541700B1 (en) 2002-08-21 2003-08-21 Method of granulating sintering material for iron manufacturing
CNB038197324A CN100385021C (zh) 2002-08-21 2003-08-21 炼铁用烧结原料的造粒处理方法
TW092122944A TWI280985B (en) 2002-08-21 2003-08-21 Method of granulating sintering material for iron manufacturing
AU2003257638A AU2003257638B2 (en) 2002-08-21 2003-08-21 Method of granulating sintering material for iron manufacturing
KR1020057002184A KR100816311B1 (ko) 2002-08-21 2003-08-21 제철용 소결 원료의 조립 처리 방법

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002241234A JP4188027B2 (ja) 2002-08-21 2002-08-21 製鉄用原料の造粒処理方法および製鉄用造粒処理剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004076137A JP2004076137A (ja) 2004-03-11
JP4188027B2 true JP4188027B2 (ja) 2008-11-26

Family

ID=32023772

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002241234A Expired - Fee Related JP4188027B2 (ja) 2002-08-21 2002-08-21 製鉄用原料の造粒処理方法および製鉄用造粒処理剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4188027B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4772290B2 (ja) * 2004-03-26 2011-09-14 Jfeスチール株式会社 焼結鉱の製造方法及び焼結鉱
JP5180438B2 (ja) * 2006-01-18 2013-04-10 新日鐵住金株式会社 炭材含有ペレットの製造方法
JP5772654B2 (ja) * 2012-02-22 2015-09-02 新日鐵住金株式会社 製鉄ダストあるいは、製鉄ダストと粉鉄鉱石の混合物の造粒方法及び造粒物
KR101461581B1 (ko) * 2012-10-05 2014-11-20 주식회사 포스코 제강 부산물을 이용한 조성물 및 이를 포함하는 성형체 제조방법
JP7374067B2 (ja) * 2020-12-11 2023-11-06 花王株式会社 粉鉱石造粒物製造用添加剤

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004076137A (ja) 2004-03-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100816311B1 (ko) 제철용 소결 원료의 조립 처리 방법
WO2002066688A1 (fr) Procede de traitement de granulation de materiaux bruts et agent de traitement de granulation pour la fabrication de fer
JP4188027B2 (ja) 製鉄用原料の造粒処理方法および製鉄用造粒処理剤
JP4159939B2 (ja) マラマンバ鉱石を含む焼結原料の造粒処理方法
JP4133111B2 (ja) 製鉄用原料の造粒処理方法
JP4152285B2 (ja) 製鉄用焼結原料の造粒処理方法
JP4773607B2 (ja) 製鉄用造粒処理剤およびこれを用いた造粒処理方法
JP3822115B2 (ja) 製鉄用造粒処理剤およびこれを用いた造粒処理方法
JP4133113B2 (ja) 製鉄用原料の造粒処理方法
JP4190992B2 (ja) ピソライト鉱石を含む焼結原料の造粒処理方法
JP3703769B2 (ja) 製鉄用原料の造粒処理方法
JP3792583B2 (ja) 製鉄用造粒処理剤およびこれを用いた造粒処理方法
JP4133766B2 (ja) 製鉄用原料の造粒処理方法
JP4152286B2 (ja) 製鉄用焼結原料の造粒処理方法
JP4188187B2 (ja) 製鉄用原料の造粒処理方法及びその方法によって得られる製鉄用原料
JP3942167B2 (ja) 製鉄用原料の造粒処理方法
JP2003293044A (ja) 製鉄用原料の造粒処理方法
JP3792581B2 (ja) 製鉄用原料の造粒処理方法
JP4190830B2 (ja) 製鉄用造粒処理剤
JP4837850B2 (ja) 製鉄用造粒処理剤およびこれを用いた造粒処理方法
JP2003239024A (ja) 製鉄用原料の造粒処理方法
JP3949032B2 (ja) 製鉄用原料の造粒処理方法及び製鉄用造粒処理剤の運搬方法
JP4133112B2 (ja) 製鉄用原料の造粒処理方法
JP4125928B2 (ja) 製鉄用造粒剤及びその製造方法
JP2004076131A (ja) 製鉄用造粒処理剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050215

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080617

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080807

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080909

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080910

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4188027

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110919

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110919

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120919

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120919

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130919

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130919

Year of fee payment: 5

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130919

Year of fee payment: 5

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees