JP4125928B2 - 製鉄用造粒剤及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製鉄用造粒剤及びその製造方法に関する。より詳しくは、製鉄用原料となる焼結鉱の製造において粉鉄鉱石等を造粒するために用いられる製鉄用造粒剤及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
製鉄工程は、一般に鉄鉱石を主成分とする製鉄用原料を高炉に装入することにより行われている。製鉄用原料となる鉄鉱石には、塊鉄鉱石と粉鉄鉱石とがあり、このうち5mm以下の粉鉄鉱石が世界で産出される鉄鉱石の約60%を占めているが、このような粉鉄鉱石をそのまま製鉄の高炉に装入すると、通気性の不良や不均一、ガス灰発生量の増加を生じる等、高炉操業に影響を及ぼすこととなる。これらのことから、一般に製鉄工程における高炉装入用原料としては、粉鉄鉱石を塊成化した焼結鉱が用いられている。すなわち現在では、製鉄工程における高炉装入用原料としては焼結鉱が主体である。
【0003】
このような焼結鉱の製造工程においては、鉄鉱石、副原料、燃料等を含む焼結原料を焼結機に特定の高さに充填し、焼結ベッドを形成した後に、表層に点火して焼結工程が行われることとなる。焼結機としては、通常では下方吸引式が採用されている。下方吸引式の焼結機においては、焼結原料の下側から吸引することによって焼結に必要な空気を流通させると共に、焼結原料の上側から下側へ向かって燃料を燃焼させることにより、焼結原料を焼結するようになっている。このため、焼結原料が微粉を多く含んでいると、目詰まりを起こす等して通気性が低下し、燃料であるコークスの燃焼速度が遅くなるので、焼結鉱の生産効率が低下することとなる。
【0004】
そこで焼結原料を焼結させる際の焼結機における通気性を改善するために、焼結原料を造粒して擬似粒子化する等の事前処理が行われている。例えば、焼結原料となる鉄鉱石、副原料、燃料等を混合し、少量の水を添加して造粒機で攪拌する等の造粒操作が行われている。擬似粒子とは、一般的に、0.5mm以下の微粒子が1〜3mmの核粒子に付着している粒子である。このような造粒に際して求められる作用は、微粉粒子が核粒子の周りに付着する擬似粒化性を向上すること、擬似粒子が焼結工程における湿潤帯、乾燥帯等で崩壊しにくくなるようにすること等である。焼結原料をこのように擬似粒子とすることで、焼結機上での焼結原料充填層(焼結ベッド)中の通気性を向上し、焼結工程における生産性向上を図ることができる。
【0005】
このような焼結原料の事前処理において、水だけを用いる造粒操作では、擬似粒化性を向上させる効果が乏しいため、焼結原料に含まれる微粉の量をあまり低減することができない。このために、擬似粒化性を向上させる対策として、焼結原料中に粘結剤としての作用を有する造粒添加剤を添加する方法が提案されている。造粒添加剤としては、例えば、ベントナイト、リグニン亜硫酸塩(パルプ廃液)、澱粉、砂糖、糖蜜、水ガラス、セメント、ゼラチン、コーンスターチ等が検討されているが、現在では、生石灰が広く用いられている。生石灰は、造粒機内での擬似粒子化の促進を図ることができるうえに、焼結工程において、乾燥、加熱する過程で擬似粒子が崩壊することを防止し、焼結層中の均一な風の流れを保つことができるとされている。
【0006】
しかしながら、糖蜜等のバインダーは、一般に比較的高価なものであり、また、生石灰は吸湿しやすく、このとき発熱するため、取り扱いやすいものが求められている。更に、現在使用されている生石灰は、使用量を比較的多くしないと充分な効果が得られないため、コストが上昇することとなる。生石灰を用いる場合には、その使用量を極力減少させて操業しているのが現状である。そして、生石灰を2質量%以上添加しても、その擬似粒化性の向上効果は頭打ちとなる傾向にある。
【0007】
焼結原料の事前処理について、特開昭59−50129号公報には、特定濃度の分散剤及び/又は特定濃度の界面活性剤を含有する水を用いる焼結原料の前処理方法に関し、分散剤としては、平均分子量2000〜20000のアクリル酸系重合体、マレイン酸系重合体、スチレンスルホン酸系重合体等が開示されている。また、特開昭61−61630号公報には、平均分子量が500〜300000のマレイン酸重合体等の水溶性高分子化合物を含む焼結鉱製造用粘結剤が開示されている。
【0008】
しかしながら、これらの技術においては、焼結原料に添加されることになる重合体の粘性を低くするための工夫の余地があった。すなわち焼結原料は、通常では屋外に積み上げられていることから、雨天においては雨水を含有することになる。この場合に、重合体の濃度が低い造粒添加剤を用いると、焼結原料が雨水に加えて造粒添加剤中の水を多量に含有して焼結しにくくなるが、重合体の粘性が低いと造粒添加剤の焼結原料への高濃度添加が可能となることから、雨天時においても焼結原料が擬似粒子化され、しかも焼結しやすいように、重合体の粘性を低くして造粒添加剤における重合体の濃度を高くすることができるようにする工夫の余地があった。
【0009】
ところで、焼結原料を擬似粒子化するためには、造粒添加剤に焼結原料のバインダーとしての作用が要求されることになる。このような要求性能としては、製鉄のコストを抑制するために少量の添加で造粒できて廉価なものであること、輸送時や焼結ベッドの水分凝縮帯で崩壊しないように乾燥後も微粒粉に戻りにくくて焼結強度が落ちにくいこと、焼結鉱の歩留まりをよくして生産効率が向上すること等が挙げられるが、これらの性能をより向上することが求められている。また、最近では、優良塊鉱の枯渇化と共に、粉鉱石の劣質化も激しく、焼結原料の造粒性が以前よりも悪化している傾向にあることから、焼結原料に含まれる微粉の量を低減させる効果が充分に高く、焼結鉱の生産効率を向上させることができる製鉄用造粒剤が求められている。更に、雨天時等、水をほとんど添加できない条件下においても焼結原料を擬似粒子化し、しかも効率よく焼結鉱とすることを可能とする技術が切望されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、製鉄用原料となる焼結鉱の製造において粉鉄鉱石等を造粒する作用に優れ、しかも高濃度添加が可能であり、雨天時においても焼結鉱の生産効率を向上させることができる製鉄用造粒剤及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々の製鉄用造粒剤を検討するうち、アクリル酸(塩)系重合体が製鉄用造粒剤を構成する造粒用バインダーとしての作用を有することに着目した。造粒用バインダーとは、通常では水が粉鉄鉱石を造粒する作用を有するため水を加え造粒しているが、水だけでは焼結の際、乾燥すると粉に戻るのでこれを防止して焼結鉱の製造における歩留まり、生産効率の低下を抑制するためのものである。通常では粉鉄鉱石の微粉の凝集体が水を吸収して造粒する作用を充分に発揮することができないこととなるが、造粒用バインダーとしてアクリル酸(塩)系重合体を用いると、水を取り込んでいる凝集体を破壊して分散させる作用を発揮し、これにより粉鉄鉱石を造粒する作用を発揮できる水の量が充分となって擬似粒化性が向上し、また、粉鉄鉱石を充分に分散させることにより、水が効率よく粉鉄鉱石を造粒する作用を発揮することができることとなる。すなわち通常では造粒用バインダーは、粘結剤としての作用を有するものがよいと考えられていたが、アクリル酸(塩)系重合体においては、分散剤としての作用を有することにより造粒用バインダーとしての優れた作用を有することになると考えられる。このようなアクリル酸(塩)系重合体を含む製鉄用造粒剤において、(1)アクリル酸(塩)系重合体と酢酸(塩)とを併用し、酢酸(塩)の量を特定したり、(2)アクリル酸(塩)系重合体を、酢酸(塩)を特定量含有するアクリル酸(塩)を必須として重合してなるものとしたりすると、重合体の粘性が低くなり、製鉄用造粒剤の焼結原料への高濃度添加を可能とすることができることを見いだした。これにより焼結原料へ添加される製鉄用造粒剤中の水の量が抑制されることになり、雨天時において雨水を含有した焼結原料に多量の水が含有されて焼結しにくくなることが抑制され、焼結鉱の生産効率を向上させて上記課題をみごとに解決することができることに想到した。また、重量平均分子量が特定のアクリル酸(塩)系重合体を必須成分として特定量含有し、25℃における粘度が特定の値以下となる製鉄用造粒剤によっても、このような作用効果を奏することができることを見いだした。更に、アクリル酸(塩)を必須として重合することによりアクリル酸(塩)系重合体を製造する工程において、該アクリル酸(塩)が酢酸(塩)を特定量含有していてもよく、また、該アクリル酸(塩)の重合中及び/又は重合後に特定量の酢酸(塩)を添加してもよいことを見いだし、本発明に到達したものである。なお、アクリル酸(塩)としては、通常ではプロピレン及び/又はアクロレインを気相酸化させる工程を含む製造工程において蒸留等による精製処理を行って不純物を充分に除去したものが用いられているが、本発明においては、精製処理を充分に行っていないために酢酸(塩)等の不純物を含有するものをアクリル酸(塩)系重合体の製造に用いることが可能である。
【0012】
すなわち本発明は、アクリル酸(塩)系重合体と酢酸(塩)とを必須成分とする製鉄用造粒剤であって、上記酢酸(塩)は、該アクリル酸(塩)系重合体に対し、0.1〜10質量%である製鉄用造粒剤である。
【0013】
本発明はまた、アクリル酸(塩)系重合体を必須成分とする製鉄用造粒剤であって、上記アクリル酸(塩)系重合体は、酢酸(塩)を0.1〜10質量%含有するアクリル酸(塩)を必須として重合してなる製鉄用造粒剤でもある。
【0014】
本発明はまた、数平均分子量20万以下のアクリル酸(塩)系重合体を必須成分として40質量%以上含有する製鉄用造粒剤であって、上記製鉄用造粒剤は、25℃における粘度が0.95Pa・s以下である製鉄用造粒剤でもある。
【0015】
本発明は更に、アクリル酸(塩)系重合体を必須成分とする製鉄用造粒剤を製造する方法であって、上記製鉄用造粒剤の製造方法は、酢酸(塩)を0.1〜10質量%含有するアクリル酸(塩)を必須として重合することによりアクリル酸(塩)系重合体を製造する工程を含んでなる製鉄用造粒剤の製造方法でもある。
【0016】
本発明はそして、アクリル酸(塩)系重合体を必須成分とする製鉄用造粒剤を製造する方法であって、上記製鉄用造粒剤の製造方法は、アクリル酸(塩)を必須として重合することによりアクリル酸(塩)系重合体を製造する工程を含んでなり、上記重合中及び/又は重合後に、酢酸(塩)をアクリル酸(塩)に対して0.1〜10質量%となるように添加する製鉄用造粒剤の製造方法でもある。
以下に、本発明を詳述する。
【0017】
本発明の製鉄用造粒剤は、(1)アクリル酸(塩)系重合体と酢酸(塩)とを必須成分とする形態、又は、(2)アクリル酸(塩)系重合体を必須成分とする形態のいずれかの形態となる。
本発明におけるアクリル酸(塩)系重合体とは、アクリル酸系重合体及び/又はその塩を意味し、このような重合体を1種用いてもよく、2種以上用いてもよい。
【0018】
本発明の製鉄用造粒剤の好ましい形態としては、25℃における粘度が10Pa・s以下であることである。このような粘度範囲とすることにより、本発明の作用効果が充分に発揮されることになる。より好ましくは、5Pa・s以下であり、最も好ましくは、0.95Pa・s以下である。
【0019】
本発明の製鉄用造粒剤におけるアクリル酸(塩)系重合体の含有量としては、アクリル酸(塩)系重合体の種類や製鉄用造粒剤に所望される性能等により適宜設定すればよいが、製鉄用造粒剤中の水100重量部に対して、0.5重量部以上であることが好ましく、また、300重量部以下であることが好ましい。より好ましくは、5重量部以上であり、また、250重量部以下である。更に好ましくは25〜150重量部であり、最も好ましくは65〜100重量部である。
また、本発明の製鉄用造粒剤は、本発明の作用効果を損なわない範囲内で、又は、擬似粒化性等を向上するために、必要に応じて他の成分、例えば、生石灰等の従来公知の造粒添加剤等を含んでいてもよい。
【0020】
本発明の製鉄用造粒剤における固形分の割合(水以外の割合)は、アクリル酸(塩)系重合体の種類や製鉄用造粒剤に所望される性能等により適時設定すればよいが、雨天時でも多量に添加可能であることから、0.5質量%以上であることが好ましく、4.8質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましく、40質量%以上であることが最も好ましい。また、76質量%以下であることが好ましく、73質量%以下であることがより好ましく、62質量%以下であることが更に好ましく、52質量%以下であることが最も好ましい。76質量%以上であると、粘度が高くなる傾向にある。
【0021】
上記(1)の形態の製鉄用造粒剤においては、上記酢酸(塩)が、上記アクリル酸(塩)系重合体に対し、0.1〜10質量%である。アクリル酸(塩)系重合体に対して酢酸(塩)が0.1質量%未満であると、重合体の粘性を充分に低くすることができないため、製鉄用造粒剤を焼結原料へ高濃度添加できなくなる。10質量%を超えると、造粒性が低下する傾向にある。好ましくは、0.3質量%以上であり、また、7.5質量%以下である。より好ましくは、0.5質量%以上であり、また、5質量%以下である。
【0022】
上記(2)の形態の製鉄用造粒剤におけるアクリル酸(塩)系重合体としては、酢酸(塩)をアクリル酸(塩)に対し0.1〜10質量%含有するアクリル酸(塩)を必須として重合してなるものを用いる。本明細書中、アクリル酸(塩)とは、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩を意味し、酢酸(塩)とは、酢酸及び/又はその塩を意味する。アクリル酸(塩)における酢酸(塩)が0.1質量%未満であると、重合体の粘性を充分に低くすることができないため、製鉄用造粒剤を焼結原料へ高濃度添加できなくなる。10質量%を超えると、得られるアクリル酸(塩)系重合体の純度が低くなるため、造粒性が低下する傾向にある。好ましくは、0.3質量%以上であり、また、7.5質量%以下である。より好ましくは、0.5質量%以上であり、また、5質量%以下である。
【0023】
上記酢酸塩としては、酢酸のナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミシ塩が好適である。これらは1種であってもよく、2種以上であってもよい。これらの中でも、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
【0024】
本発明におけるアクリル酸(塩)系重合体の重量平均分子量としては、1000以上であることが好ましく、また、1000000以下であることが好ましい。1000未満であると、分散剤としての作用が低下するおそれがあり、1000000を超えると、製鉄用造粒剤の粘度が高くなるおそれがある。より好ましくは、3000以上であり、また、100000以下である。なお、本明細書中、重量平均分子量は、以下の測定条件で測定される値である。好ましい数平均分子量としては、500以上であり、20万以下である。
【0025】
(重量平均分子量測定条件)
カラム:水系GPCカラム「GF−7MHQ」(昭和電工社製)1本
キャリア液:リン酸水素二ナトリウム12水和物34.5g及びリン酸二水素ナトリウム2水和物46.2gに超純水を加えて全量を5000gとした水溶液
流速:0.5ml/min
ポンプ:「L−7110」(日立製作所社製)
検出器:紫外線(UV)検出器「L−7400」(日立製作所社製)、波長214nm
分子量標準サンプル:ポリアクリル酸ナトリウム(創和科学社より入手可能な重量平均分子量1300〜1360000のポリアクリル酸ナトリウム)
分析サンプルは、高分子化合物が固形分で0.1質量%となるように上記キャリア液で希釈することにより調製した。
【0026】
数平均分子量20万以下のアクリル酸(塩)系重合体を必須成分として40質量%以上含有する製鉄用造粒剤であって、上記製鉄用造粒剤は、25℃における粘度が0.95Pa・s以下である製鉄用造粒剤は、粘性が低いため、上述した製鉄用造粒剤と同様に製鉄用造粒剤の焼結原料への高濃度添加を可能とすることができ、かつ焼結原料の造粒性を向上させることができる。
【0027】
上記数平均分子量20万以下のアクリル酸(塩)系重合体は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。また、上記製鉄用造粒剤中におけるこのような重合体の含有量としては、40質量%以上であることが好ましく、また、70質量%以下であることが好ましい。
【0028】
上記25℃における粘度が0.95Pa・s以下である製鉄用造粒剤としては、上述した酢酸(塩)を0.1〜10質量%含有するアクリル酸(塩)を必須として重合してなる重量平均分子量が20万以下のアクリル酸(塩)系重合体を必須成分として40質量%以上含有するものが好適である。
【0029】
アクリル酸(塩)系重合体を必須成分とする製鉄用造粒剤を製造する方法であって、上記製鉄用造粒剤の製造方法は、酢酸(塩)を0.1〜10質量%含有するアクリル酸(塩)を必須として重合することによりアクリル酸(塩)系重合体を製造する工程を含んでなる製鉄用造粒剤の製造方法により、本発明の製鉄用造粒剤を製造することができることになる。このような製鉄用造粒剤の製造方法もまた、本発明の1つである。
【0030】
アクリル酸(塩)系重合体を必須成分とする製鉄用造粒剤を製造する方法であって、上記製鉄用造粒剤の製造方法は、アクリル酸(塩)を必須として重合することによりアクリル酸(塩)系重合体を製造する工程を含んでなり、上記重合中及び/又は重合後に、酢酸(塩)をアクリル酸(塩)に対して0.1〜10質量%となるように添加する製鉄用造粒剤の製造方法によっても、本発明の製鉄用造粒剤を製造することができることになる。このような製鉄用造粒剤の製造方法もまた、本発明の1つである。
【0031】
上記製鉄用造粒剤の製造方法は、アクリル酸(塩)系重合体を必須成分とする製鉄用造粒剤を製造する方法であるが、(1)酢酸(塩)をアクリル酸(塩)に対して0.1〜10質量%含有するアクリル酸(塩)を必須として重合することによりアクリル酸(塩)系重合体を製造する工程を含んでなるか、又は、(2)アクリル酸(塩)を必須として重合することによりアクリル酸(塩)系重合体を製造する工程を含んでなり、上記重合中及び/又は重合後に、酢酸(塩)をアクリル酸(塩)に対して0.1〜10質量%となるように添加することになる。
【0032】
上記(1)の製造方法におけるアクリル酸(塩)としては、精製処理を充分に行っていないために酢酸(塩)等の不純物を含有するもの、すなわち粗製アクリル酸(塩)を用いることが好ましいが、アクリル酸(塩)を製造後に、アクリル酸(塩)における酢酸(塩)の含有量が0.1〜10質量%となるように酢酸(塩)を添加したものを用いてもよい。
【0033】
上記(2)の製造方法において、酢酸(塩)をアクリル酸(塩)に対して0.1〜5質量%となるように添加するとは、アクリル酸(塩)系重合体の製造に用いるアクリル酸(塩)と、該アクリル酸(塩)の重合中及び/又は重合後に添加される酢酸(塩)との合計を100質量%とすると、酢酸(塩)の添加量が0.1〜10質量%となるように添加することを意味する。
【0034】
上記製鉄用造粒剤の製造方法においては、アクリル酸(塩)を必須とする単量体成分を重合することによりアクリル酸(塩)系重合体を製造することになる。単量体成分におけるアクリル酸(塩)の含有量としては、アクリル酸(塩)系重合体に所望する性能等により適宜設定することになるが、全単量体成分100質量%に対して10質量%以上とすることが好ましい。10質量%未満であると、アクリル酸(塩)系重合体を含む製鉄用造粒剤を用いて造粒処理を行う場合に擬似粒化性が不充分となるおそれがある。より好ましくは、30質量%以上であり、更に好ましくは、50質量%以上である。
【0035】
上記アクリル酸塩としては、(メタ)アクリル酸のナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミシ塩が好適である。これらの塩は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。これらの中でも、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
【0036】
上記アクリル酸(塩)としてはまた、メトキシハイドロキノンを40〜160ppm、及び/又は、フェノチアジンを0.1〜0.5ppm含有するものが好ましい。メトキシハイドロキノンの含有量が、40ppm未満であると、アクリル酸(塩)の保存安定性が低く保管条件により突然重合が起こるおそれがあり、160ppmを超えると、重合性が低下し、残存単量体が多く残るおそれがある。フェノチアジンの含有量が、0.1ppm未満であると、アクリル酸(塩)の保存安定性が低下するおそれがあり、0.5ppmを超えると、重合性が低下し、残存単量体が多く残るおそれがある。より好ましくは、メトキシハイドロキノンを50〜120ppm、及び/又は、フェノチアジンを0.2〜0.4ppm含有するものである。
【0037】
上記単量体成分は、アクリル酸(塩)の他に、アクリル酸(塩)と共重合可能な他の共重合性単量体を含んでいてもよい。他の共重合性単量体としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有する重合性単量体及びこれらの塩;ビニルスルホン酸、メタリルスルホン酸、アリルスルホン酸、3−(メタ)アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等のスルホン酸基を有する重合性単量体及びこれらの塩;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸(N,N−ジメチルアミノエチル)、(メタ)アクリル酸(N,N−ジエチルアミノエチル)、(メタ)アクリル酸アミノエチル等の炭素数1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド及びその誘導体;酢酸ビニル;(メタ)アクリロニトリル;N−ビニル−2−ピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の塩基含有単量体;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の架橋性を有する(メタ)アクリルアミド系単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリエトキシシラン等の加水分解性を有する基がケイ素原子に直結しているシラン系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルエーテル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有する単量体;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基を有する単量体;2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルアジリジン等のアジリジン基を有する単量体;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン基を有する単量体;(メタ)アクリル酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールとのエステル化物等の分子内に不飽和基を複数有する多官能(メタ)アクリル酸エステル;メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の分子内に不飽和基を複数有する多官能(メタ)アクリルアミド;ジアリルフタレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート等の分子内に不飽和基を複数有する多官能アリル化合物;アリル(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有する重合性単量体が好適である。
【0038】
上記共重合性単量体のその他の例として、下記一般式(1);
YO(R1O)mR2 (1)
(式中、Yは、炭素原子数2〜8のアルケニル基を表す。R2は、水素原子又は炭素原子数1〜30の炭化水素基を表す。R1Oは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基の1種又は2種以上の混合物を表す。mは、オキシアルキレン基の平均付加モル数であり1〜1000の数を表す。)で表される不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体が好適である。
【0039】
上記一般式(1)において、オキシアルキレン基R1Oの炭素原子数としては、2〜18であるが、2〜8が好ましく、2〜4がより好ましい。また、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基、すなわちエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド等の炭素原子数2〜18のオキシドの中から選ばれる任意の2種類以上のアルキレンオキシド付加物におけるこれらのアルキレンオキシドの付加形態としては、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれであってもよい。
【0040】
上記不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体としては、親水性と疎水性のバランス確保のため、オキシアルキレン基中にオキシエチレン基を必須成分として有するものが好ましい。より好ましくは、全オキシアルキレン基中50モル%以上がオキシエチレン基であることであり、90モル%以上がオキシエチレン基であることが更に好ましく、95モル%以上がオキシエチレン基であることが特に好ましい。一般式(1)において、オキシアルキレン基の平均付加モル数mとしては、1〜1000であるが、好ましくは2〜500、より好ましくは5〜500、更に好ましくは10〜500、特に好ましくは15〜500、最も好ましくは20〜300である。平均付加モル数が未満であると、得られる重合体の親水性が低下して分散性能が低下するおそれがあり、1000を超えると、共重合反応性が低下するおそれがある。
【0041】
上記一般式(1)において、R2は、水素原子又は炭素原子数1〜30の炭化水素基であればよく、炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、炭素原子数1〜30のアルキル基(脂肪族アルキル基又は脂環族アルキル基)、炭素原子数6〜30のフェニル基、アルキルフェニル基、フェニルアルキル基、(アルキル)フェニル基で置換されたフェニル基、ナフチル基等のベンゼン環を有する芳香族基等が挙げられる。炭化水素基の炭素原子数が増大するに従って疎水性が大きくなり、分散性が低下するため、R2が炭化水素基の場合の炭素原子数としては、1〜22が好ましく、1〜18がより好ましく、1〜12が更に好ましく、1〜4が特に好ましく、また、R2が水素原子の場合が最も好ましい。
【0042】
上記一般式(1)において、Yで示されるアルケニル基の炭素原子数としては、2〜8であるが、3〜8が好ましく、3〜5がより好ましい。このようなアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、3−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−3−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1,1−ジメチル−2−プロペニル基等が挙げられる。これらの中でも、アリル基、メタリル基、3−メチル−3−ブテニル基が好ましい。
【0043】
上記一般式(1)で表される不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体は、アリルアルコール、メタリルアルコール、3−メチル−3−ブテン1−オール等の不飽和アルコールにアルキレンオキシドを1〜1000モル付加して製造することができる。具体的には、(ポリ)エチレングリコールアリルエーテル、(ポリ)エチレングリコールメタリルエーテル、(ポリ)エチレングリコール3−メチル−3−ブテニルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコールアリルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコールメタリルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコール3−メチル−3−ブテニルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコールアリルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコールメタリルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコール3−メチル−3−ブテニルエーテル等が挙げられる。
【0044】
上記他の共重合性単量体の含有量としては、全単量体成分中における上述のアクリル酸(塩)の割合を満足していればよいが、上述した単量体のうち疎水性重合性単量体については得られる重合体の水溶性を阻害する傾向があるので、その割合は水溶性を損なわない範囲とすることが好ましい。
【0045】
上記製鉄用造粒剤の製造方法において、単量体成分を重合する際の重合方法や重合条件としては特に限定されず、所望する重合体の分子量等に応じて、従来公知の方法を適用すればよいが、重合開始剤として過酸化物を用いることが好ましい。これにより、得られる重合体の着色を抑えることができる。
【0046】
上記過酸化物としては、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。過酸化物の添加方法としては特に限定されるものではないが、その分解性を考慮すると、全使用量の半分以上、好ましくは全量を連続的に滴下することが好ましい。また、過酸化水素及びアスコルビン酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド及びロンガリット、過硫酸カリウム及び金属塩、過硫酸アンモニウム及び亜硫酸水素ナトリウム等の組み合わせからなるレドックス系重合開始剤もまた、好適に使用できる。
【0047】
上記単量体成分を重合する際には、過酸化物以外の重合開始剤として、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、4,4′−アゾビス−4−シアノバレリン酸、アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物を用いることもできる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0048】
上記単量体成分を重合する際には、必要に応じて、連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤としては、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、次亜リン酸塩、メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0049】
上記単量体成分を重合する際の重合濃度としては、全単量体成分の投入が終了した時点で重合体の濃度が76質量%以下であることが好ましい。より好ましくは73質量%以下である。76質量%より大きくなると、重合粘度が高くなりすぎるおそれがある。
【0050】
上記製鉄用造粒剤の製造方法により得られるアクリル酸(塩)系重合体を含む生成物は、そのまま製鉄用造粒剤として用いることができるものであるが、必要に応じて上述した他の成分1種又は2種以上を添加してもよい。このような製造方法により製造されるアクリル酸(塩)系重合体を含む製鉄用造粒剤は、製鉄用原料となる焼結鉱の製造において粉鉄鉱石等を造粒(擬似粒化)する作用に優れ、しかも高濃度添加が可能であり、雨天時においても焼結鉱の生産効率を向上させることができるものである。また、製鉄用原料となるペレットを製造する場合においても、粉鉄鉱石等をペレット化する作用に優れ、しかも高濃度添加が可能である。
【0051】
上記製鉄用造粒剤の製造方法により得られる製鉄用造粒剤の好ましい形態としては、25℃における粘度が10Pa・s以下であることである。このような粘度範囲とすることにより、本発明の作用効果が充分に発揮されることになる。より好ましくは、5Pa・s以下であり、最も好ましくは、0.95Pa・s以下である。
【0052】
本発明の製鉄用造粒剤により微粉の鉄鉱石を含む焼結原料やペレット原料等の製鉄用原料を造粒(擬似粒化又はペレット化)処理する際の使用量としては、焼結原料の鉱石(鉄鉱石)の造粒性(種類)や、アクリル酸(塩)系重合体の種類、使用する造粒機等に応じて適宜設定すればよいが、焼結原料(鉄鉱石、副原料、燃料等)100重量部に対して製鉄用造粒剤中のアクリル酸(塩)系重合体が0.001重量部以上となるようにすることが好ましく、また、2重量部以下となるようにすることが好ましい。0.001重量部未満であると、本発明の作用効果を充分に発揮することができなくなるおそれがあり、2重量部を超えると、焼結原料に対する製鉄用造粒剤の添加量が多くなりすぎ、焼結原料の大きな固まりができ、該焼結原料の固まり内部が焼結されなくなる等の問題が生じるおそれがある。より好ましくは、焼結原料100重量部に対するアクリル酸(塩)系重合体が0.005重量部以上となるようにすることであり、また、1重量部以下となるようにすることである。
【0053】
本発明の製鉄用造粒剤は、擬似粒子やペレットの崩れ防止剤として平均粒径0.1〜200μmの微粒子と併用することができる。崩れ防止剤は製鉄原料100重量部に対し、0.1〜10重量部添加することが好ましい。崩れ防止剤として、炭酸カルシウム、フライアッシュ、ベントナイト、カオリンクレー、ドロマイト、シリカフューム、無水石膏等が挙げられ、炭酸カルシウム、フライアッシュが特に好ましい。
【0054】
【実施例】
以下に実施例を揚げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は、「重量部」を、「%」は、「質量%」をそれぞれ意味するものとする。
【0055】
実施例1
攪拌機及びコンデンサを備えた容量5Lのセパラブルフラスコ(SUS316製)に、イオン交換水805.5部及び連鎖移動剤としての45%次亜リン酸ナトリウム一水和物水溶液40.1部を仕込み、攪拌下、系の沸点(100℃)まで昇温した。続いて、上記セパラブルフラスコ内に、カルボキシル基含有単量体としての80%アクリル酸水溶液2126.1部に酢酸25.5部を溶解した液2151.6部、並びに、重合開始剤としての15%過硫酸ナトリウム水溶液112.4部及び45%次亜リン酸ナトリウム一水和物水溶液160.2部を滴下した。上記80%アクリル酸水溶液、15%過硫酸ナトリウム水溶液、45%次亜リン酸ナトリウム一水和物水溶液は、それぞれ別々の滴下口より滴下した。80%アクリル酸水溶液は180分間で滴下した。15%過硫酸ナトリウム水溶液は185分間で滴下した。45%次亜リン酸ナトリウム一水和物水溶液は180分間で滴下した。滴下時間中、反応温度は系の沸点を維持した。滴下終了後、同温度に5分間保持した後、中和剤としての48%水酸化ナトリウム水溶液1889.0部を60分間かけて滴下することにより、重合体水溶液を得た。このようにして得られた重合体水溶液中の重合体(高分子化合物)の重量平均分子量は、6100であった。この重合体水溶液の粘度(25℃)は8.2×10-1Pa・sであった。この重合体水溶液を製鉄用造粒処理剤(1)とした。
一方、表1に示す組成を有する焼結原料(製鉄用原料)を調製した。また、水分量を7%になるように蒸留水を添加した。
【0056】
【表1】
Figure 0004125928
【0057】
上記の焼結原料75260部をドラムミキサーに投入し、回転速度24min-1で1分間、予備攪拌した。その後、同回転速度で攪拌しながら、該焼結原料に、予め調製した本発明にかかる製鉄用造粒処理剤(1)47部を霧吹きを用いて約1.5分間かけて噴霧した。焼結原料に対する高分子化合物の割合、すなわち、本発明の製鉄用造粒処理剤(1)に含有される高分子化合物の割合は0.03%であった。噴霧後、更に同回転速度で3分間攪拌することにより、造粒操作を行った。
得られた擬似粒子を乾操後、ふるいを用いて分級することにより、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。この結果を表2に示す。
【0058】
(GI指数測定方法)
造粒操作を行って得られた擬似粒子を80℃で1時間乾燥後、ふるいを用いて分級することにより、その粒度(擬似粒度)及び平均粒径を求めた。造粒された擬似粒子のGI指数とは、製鉄研究第288号(1976)9頁に開示されている評価方法の一つであり、核粒子の周りに付着する微粉粒子の割合を示す。なお、GI指数の測定は、製鉄研究第288号(1976)9頁に記載の方法に準じて行った。0.25mm以下の擬似粒子のGI指数(擬似粒化指数)は以下の式により計算した。
GI指数=〔{(造粒前の0.25mm未満の原料の比率)−(造粒後の0.25mm未満の原料の比率)}/(造粒前の0.25mm未満の原料の比率)〕×100
【0059】
実施例2
カルボキシル基含有単量体としての80%アクリル酸水溶液2126.1部に酢酸25.5部を溶解した液2151.6部の代わりにカルボキシル基含有単量体としての80%アクリル酸水溶液2126.1部に酢酸12.8部を溶解した液2138.9部を用いた他は実施例1と同様にして重合体水溶液を得た。このようにして得られた重合体水溶液中の重合体(高分子化合物)の重量平均分子量は6200であった。この重合体水溶液の粘度(25℃)は8.8×10-1Pa・sであった。この重合体水溶液を製鉄用造粒処理剤(2)とした。
製鉄用造粒処理剤(1)47部の代わりに製鉄用造粒処理剤(2)を用いた他は実施例1と同様にして造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。この結果を表2に示す。
【0060】
参考例1
カルボキシル基含有単量体としての80%アクリル酸水溶液2126.1部に酢酸25.5部を溶解した液2151.6部の代わりにカルボキシル基含有単量体としての80%アクリル酸水溶液2126.1部を用いた他は実施例1と同様にして重合体水溶液を得た。このようにして得られた重合体水溶液中の重合体(高分子化合物)の重量平均分子量は6200であった。この重合体水溶液の粘度(25℃)は9.6×10-1Pa・sであった。この重合体水溶液を比較製鉄用造粒処理剤(1)とした。
製鉄用造粒処理剤(1)47部の代わりに比較製鉄用造粒処理剤(1)を用いた他は実施例1と同様にして造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。この結果を表2に示す。
【0061】
比較例1
焼結原料70000部に加え、生石灰840部を添加し、製鉄用造程処理剤(1)5250部の代わりに蒸留水350部を用いた他は実施例1と同様にして擬似粒子のGI指数を求めた。この結果を表2に示す。
【0062】
【表2】
Figure 0004125928
【0063】
【発明の効果】
本発明の製鉄用造粒剤は、上述の構成からなり、製鉄用原料となる焼結鉱の製造において粉鉄鉱石等を造粒する作用に優れ、しかも高濃度添加が可能であるり、雨天時においても焼結鉱の生産効率を向上させることができるものである。

Claims (8)

  1. アクリル酸(塩)系重合体と酢酸(塩)とを必須成分とする製鉄用造粒剤であって、
    該酢酸(塩)は、該アクリル酸(塩)系重合体に対し、0.1〜質量%であり、
    該製鉄用造粒剤は、25℃における粘度が10Pa・s以下である重合体水溶液であって、
    該製鉄用造粒剤における水以外の割合は、0.5質量%以上、76質量%以下である
    ことを特徴とする製鉄用造粒剤。
  2. アクリル酸(塩)系重合体を必須成分とする製鉄用造粒剤であって、
    該アクリル酸(塩)系重合体は、酢酸(塩)を0.1〜質量%含有するアクリル酸(塩)を必須として重合してなるものであり、
    該製鉄用造粒剤は、25℃における粘度が10Pa・s以下である重合体水溶液であって、
    該製鉄用造粒剤における水以外の割合は、0.5質量%以上、76質量%以下である
    ことを特徴とする製鉄用造粒剤。
  3. 前記造粒処理剤は、数平均分子量20万以下のアクリル酸(塩)系重合体を必須成分として40質量%以上含有するものであって、
    該製鉄用造粒剤は、25℃における粘度が0.95Pa・s以下である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の製鉄用造粒剤。
  4. 前記アクリル酸(塩)系重合体は、重量平均分子量が1000以上、100000以下である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製鉄用造粒剤。
  5. 前記アクリル酸(塩)系重合体は、全単量体成分100質量%に対し、アクリル酸(塩)を50質量%以上含む単量体成分を重合してなるものである
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製鉄用造粒剤。
  6. アクリル酸(塩)系重合体を必須成分とする製鉄用造粒剤を製造する方法であって、
    該製鉄用造粒剤は、25℃における粘度が10Pa・s以下である重合体水溶液であり、
    該製鉄用造粒剤における水以外の割合は、0.5質量%以上、76質量%以下であって、
    該製鉄用造粒剤の製造方法は、酢酸(塩)を0.1〜質量%含有するアクリル酸(塩)を必須として重合することによりアクリル酸(塩)系重合体を製造する工程を含んでなる
    ことを特徴とする製鉄用造粒剤の製造方法。
  7. アクリル酸(塩)系重合体を必須成分とする製鉄用造粒剤を製造する方法であって、
    該製鉄用造粒剤は、25℃における粘度が10Pa・s以下である重合体水溶液であり、
    該製鉄用造粒剤における水以外の割合は、0.5質量%以上、76質量%以下であって、
    該製鉄用造粒剤の製造方法は、アクリル酸(塩)を必須として重合することによりアクリル酸(塩)系重合体を製造する工程を含んでなり、
    該重合中及び/又は重合後に、酢酸(塩)をアクリル酸(塩)に対して0.1〜質量%となるように添加する
    ことを特徴とする製鉄用造粒剤の製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の製鉄用造粒剤により微粉の鉄鉱石を含む製鉄用原料を造粒処理する
    ことを特徴とする製鉄用原料の造粒処理方法。
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