JP4188187B2 - 製鉄用原料の造粒処理方法及びその方法によって得られる製鉄用原料 - Google Patents

製鉄用原料の造粒処理方法及びその方法によって得られる製鉄用原料 Download PDF

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Description

本発明は、製鉄用原料となる焼結鉱の製造方法に関わり、製鉄用原料を造粒処理する際、特に製鉄用原料に副原料の石灰石とは別に、別途炭酸カルシウムを添加して造粒し擬似粒化するのに好適に用いられる製鉄用原料の造粒処理方法に関するものである。
焼結鉱の製造においては、先ず焼結原料となる鉄鉱石、副原料、燃料等を混合し、ドラムミキサー、ペレタイザー、アイリッヒミキサー等の造粒機で水分を調節しながら造粒して擬似粒子を造る。擬似粒子とは、一般的に、0.5mm以下の微粒子が1〜3mm以上の核粒子に付着している粒子である。この際、造粒に求められる作用は、微粒子が核粒子の周りに付着する擬似粒化性を向上すること、擬似粒子が焼結過程における湿潤帯、乾燥帯等で崩壊し難いこと等である。焼結原料をこのように擬似粒子とすることで、焼結機上での焼結原料充填層(焼結ベッド)中の通気性を向上し、焼結機の生産性向上を図ることができる。
焼結原料を焼結する焼結機は下方吸引式を採用しており、焼結原料の下側から吸引することによって焼結に必要な空気を流通させると共に、焼結原料の上側から下側へ向かって燃料を燃焼させることにより、焼結原料を焼結するようになっている。このため、焼結原料が微粉を多く含んでいると、目詰まりを起こす等して通気性が低下し、燃料であるコークスの燃焼速度が遅くなるので焼結機の生産効率が低下する。
そこで、通気性を改善すべく、焼結原料を造粒(擬似粒化)する等の事前処理が必要である。該事前処理としては、例えば、焼結原料に少量の水を添加して攪拌する等の造粒操作が行われている。しかし、水だけを用いた造粒操作では、擬似粒化性を向上させる効果が乏しいため、焼結原料に含まれる微粉の量をあまり低減することができない。また、上記擬似粒子の一部は、焼結時に水分凝縮帯や乾燥帯で崩壊し、通気性がさらに悪化する。
このために、従来から擬似粒化性を向上させる対策として、焼結原料中に粘結剤として種々の造粒添加剤を添加する方法が提案されている。造粒添加剤として用いられるものは、数多く知られている。例えば、ベントナイト、リグニン亜硫酸塩(パルプ廃液)、澱粉、砂糖、糖蜜、水ガラス、セメント、ゼラチン、コーンスターチ等が結合剤或いは増粘剤として、その使用が検討されている。
また、特許文献1には、特定濃度の分散剤および/または特定濃度の界面活性剤を含有する水を用いた焼結原料の前処理方法が記載されており、分散剤としては、平均分子量2000〜20000のアクリル酸系重合体、マレイン酸系重合体、スチレンスルホン酸系重合体等が記載されている。
また、特許文献2には、平均分子量500〜300000のマレイン酸重合体等の水溶性高分子化合物を含む焼結鉱製造用粘結剤が記載されている。
しかしながら、これらは何れも、焼結鉱の製造において、疑似粒化性が不十分であるという問題点を有しており、焼結原料に含まれる微粒子の量を低減することはできるものの、その量が不充分であることに加え、輸送時や焼結ベッドでの水分凝縮帯での崩壊は避けられないため、その添加量が比較的多くて高コストとなることや、使用する量の確保が困難である等の問題があり、工業的には使用されていない。
この他にも、特許文献3には、鉄鉱石や炭酸カルシウム等の微粉を添加することを特徴とするものの記載があるが、やはり疑似粒化性や擬似粒子の崩れ防止効果が不充分である等の問題があり、工業的には使用されていない。
現在実用化されている造粒添加剤としては、例えば、非特許文献1に開示されている生石灰が広く使われている。これによると、生石灰の効果は、次のように示されている。第一に、ミキサー内での擬似粒化の促進を図ることができる。第二に、擬似粒子よりなる焼結原料を特定の高さに充填し、焼結ベッドを形成した後に表層に点火した後の焼結過程において、乾燥、加熱する過程で擬似粒子が崩壊することを防止し、焼結層中の均一な風の流れを保つことができるとされている。
特開昭59−50129号公報(公開日:昭和59年3月23日) 特開昭61−61630号公報(公開日:昭和61年3月29日) 特開平3−183729号公報(公開日:平成3年8月9日) 国際公開第02/066688号公報(公開日:2002年8月29日) 製鉄研究第288号(1976年)、9頁
しかしながら、焼結鉱の製造においては、糖蜜等のバインダーの使用は、一般に高価であるために製造コストの上昇を招く。また、生石灰を用いた造粒化は実用化されてはいるものの、生石灰は吸湿し易く、このとき発熱するため、取り扱いに注意を要するという問題点を有している。また、現在使用されている生石灰は、使用量を比較的多くしないと充分な効果が得られないため、コストが高くなる。よって、その使用量を極力減少させて操業しているのが現状である。そして、生石灰を2質量%以上添加しても、その擬似粒化性の向上効果は頭打ちとなる傾向にある。
さらに、最近では、優良塊鉱の枯渇化と共に、粉鉱石の劣質化も激しく、焼結原料の造粒性が以前よりも悪化している問題がある。このために、生石灰添加による造粒を実施しても、その効果が以前よりも小さくなっている。さらに、生石灰以外のバインダーは、焼結原料に含まれる微粉の量を低減させる効果が不充分であり、焼結ベッドの通気性を向上させて焼結時間を短縮する効果が小さく、かつ、得られる焼結鉱の焼結鉱強度が弱い。焼結鉱強度が弱い焼結鉱は、例えば焼結後の破砕時に微粉が発生し易くなるので、返鉱が多くなり成品歩留が低下し、その生産効率が低下する。このため、生石灰以外のバインダーを用いた造粒方法は実用化されていない。
また、生石灰を使用した場合でも焼結原料に含まれる微粉の量を低減させる効果はまだ充分とは言えない状態である。これに対し、生石灰以外のバインダーと炭酸カルシウムとを併用するという考え方がある。
上記の一例として、特許文献4には、石灰石を粉砕するなどして得られた平均粒径200μm以下の炭酸カルシウム等の微粒子を用いる造粒処理方法、および、ポリアクリル酸ナトリウムなどの高分子化合物と炭酸カルシウムの微粒子とを併用する造粒処理方法が開示されている。これらの造粒処理方法により、焼結機の生産性をある程度向上させることが可能である。しかしながら、現状では、さらに焼結機の生産性を向上させる造粒処理方法が要求されている。
このように、擬似粒化性を向上させる効果や得られた擬似粒子の崩れ抑制効果に優れ、焼結原料を造粒するのに好適に用いられる製鉄用原料の造粒方法が求められている。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、炭酸カルシウムを添加して製鉄用原料を造粒処理する場合に、擬似粒子の崩れ抑制効果に優れ、焼結鉱の生産効率を高める製鉄用原料の造粒処理方法を提供することにある。
本願発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定の粒径および比表面積の炭カルの存在下で造粒処理を行った場合、焼結機の生産性が著しく向上することを見出した。そして、本願発明者らは、副原料の石灰石とは別に添加する炭酸カルシウムの平均粒径が1μm以上、15μm未満であり、比表面積が3000cm/g以上、9500cm/g以下である場合に、製鉄用原料の擬似粒子が、焼結ベッド等で崩壊することを抑制し、焼結機の生産効率を向上させることができることを見出して本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る製鉄用原料の造粒処理方法は、上記課題を解決するために、粉鉄鉱石を含む製鉄用原料に副原料の石灰石とは別に、別途炭酸カルシウムを添加して上記製鉄用原料を造粒処理する方法において、上記炭酸カルシウムの平均粒径が1μm以上、15μm未満であり、比表面積が3000cm/g以上、9500cm/g以下であることを特徴とするものである。
なお、ここで上記「粉鉄鉱石」とは、そのままでは高炉原料として使用できない粒度が10mm以下のものを主として含む鉄鉱石である。
本発明に係る製鉄用原料の造粒処理方法は、上記課題を解決するために、上記製鉄用原料に対する上記炭酸カルシウムの添加量が0.05質量%以上、5質量%以下の範囲内であることが好ましい。
本発明に係る製鉄用原料の造粒処理方法は、上記課題を解決するために、上記製鉄用原料に、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン酸基、およびスルホン酸基の塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を一分子中に2個以上有する有機化合物をさらに添加することが好ましい。
本発明に係る製鉄用原料の造粒処理方法は、上記課題を解決するために、上記有機化合物は、アクリル酸および/またはアクリル酸の塩を、10mol%以上の組成で重合して得られる化合物であることが好ましい。
また、本発明に係る焼結原料は、上述の製鉄用原料の造粒処理方法によって得られるものである。
本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、以上のように、粉鉄鉱石を含む製鉄用原料に副原料の石灰石とは別に、別途炭酸カルシウムを添加して上記製鉄用原料を造粒処理する方法において、上記炭酸カルシウムの平均粒径が1μm以上、15μm未満であり、比表面積が3000cm/g以上、9500cm/g以下であることを特徴とする方法である。
上記の平均粒径が1μm以上15μm未満の微粉状であり、比表面積が3000cm/g以上9500cm/g以下である炭酸カルシウムは、水への分散安定性に優れている。このため、上記の方法によれば、添加水を増やすことなく、擬似粒子の崩れ抑制剤としての炭カルを均一に分散することができ、崩れ抑制効果を効率よく発揮することが可能となる。このため、焼結機の生産性が飛躍的に向上する。それゆえ、上記の方法によれば、焼結鉱を得るべく粉鉄鉱石を含む製鉄用原料を造粒処理(擬似粒化)するのに好適な造粒処理方法を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、以上のように、上記製鉄用原料に対する炭酸カルシウムの添加量が0.05質量%以上、5質量%以下の範囲内であることを特徴とする方法である。
上記の方法によれば、焼結機の生産性をより向上させることができるという効果を奏する。
さらに、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、以上のように、上記製鉄用原料に、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン酸基、およびスルホン酸基の塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を一分子中に2個以上有する有機化合物をさらに添加することを特徴とする方法である。
上記カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン酸基、およびスルホン酸基の塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を一分子中に2個以上有する有機化合物は、上記製鉄用原料の造粒処理時に、炭酸カルシウムの微粒子を水中へ分散させる分散剤として、有効に作用する。このため、上記の方法によれば、上記製鉄用原料の擬似粒子の焼結ベッド等での崩れ抑制効果を向上させることができるという効果を奏する。
そして、上記有機化合物は、アクリル酸および/またはアクリル酸の塩を、10mol%以上の組成で重合して得られる化合物であることが好ましい。
上記アクリル酸および/またはアクリル酸の塩を、10mol%以上の組成で重合して得られる化合物は、炭酸カルシウムの分散安定性を向上させる。それゆえ、上記製鉄用原料の擬似粒化性を一層擬似粒化性を向上させることができるという効果を奏する。
そして、本発明に係る製鉄用原料は、上述の造粒処理方法によって得られたものである。
この製鉄用原料は、本発明の造粒処理方法によって造粒性が向上した良質のものであるため、これを原料として用いれば焼結機での焼結鉱の生産効率を向上させることができる。即ち、この製鉄用原料を用いて焼結鉱の製造を行えば、特殊な設備を用いた事前処理などを必要とせずに、成品歩留および生産性を良好に維持することができるという効果を奏する。
本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、製鉄用原料(焼結原料)を混合、調湿等して造粒処理(擬似粒化)する方法において、上記製鉄用原料、つまり、造粒処理される微粉の鉄鉱石(粉鉄鉱石)を含む製鉄用原料に副原料の石灰石とは別に、別途炭酸カルシウムを添加して造粒処理を行う方法であり、本発明においては、特に添加される上記炭酸カルシウムの平均粒径が1μm以上、15μm未満の微粉状であり、比表面積が3000cm/g以上、9500cm/g以下であることを特徴としている。
本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理において、上記炭酸カルシウムの微粉の役割は、該炭酸カルシウムが分散された水の凝集力を高めることにある。上記炭酸カルシウムの微粉を、造粒時に存在する水、例えば造粒に使用する添加水および原料の持ち込み水分に分散させることにより、該炭酸カルシウムの微粉が分散された水の凝集力を高め、擬似粒化性を向上させると共に、造粒後の擬似粒子の強度を向上させることができる。これによって、焼結時における焼結ベッド内での擬似粒子の崩壊が軽減され、焼結後の成品歩留等を向上させることができる。
本発明に係る製鉄用原料の造粒処理方法においては、上述のように、上記炭酸カルシウムの平均粒径が1μm以上、15μm未満の微粉状であり、比表面積が3000cm/g以上、9500cm/g以下であることを特徴としている。上記平均粒径が1μm未満であれば、炭カルの凝集力が強く、均一に分散しにくいため、擬似粒子の崩れ防止効果が得られにくく、焼結機の生産性が低下する傾向にある。また、上記平均粒径が15μm以上であると、製鉄原料への分散性は向上するものの、崩れ抑制効果が低下する傾向にあり、それによってやはり焼結機の生産性が低下する傾向にある。それゆえ、上記炭酸カルシウムの平均粒径は、上記した範囲内(1μm以上、15μm未満)において適宜設定することが好ましい。
また、ここで「炭酸カルシウムの比表面積」とは、単位重量当たりの表面積を意味する。粒子状物質においては、同じ粒径であれば粒子の形状が真球に近づき、凸凹や細孔が少なくなると、比表面積は小さくなる傾向にある。この比表面積は、例えば、後述の実施例にて説明するブレーン値などで表される。
本発明に係る製鉄用原料の造粒処理方法においては、上記炭酸カルシウムの比表面積は、3000cm/g以上、9500cm/g以下であればよい。上記比表面積が3000cm/g未満であれば、擬似粒子の崩壊抑制効果が低下し、生産性が低下する傾向にある。また、上記平均粒径が9500cm/gを超えた場合、炭カル粒子間の凝集力が強くなり、製鉄原料に添加したときに、均一に細かく分散しにくいため、生産性が低下する傾向にある。それゆえ、上記比表面積は、上記した範囲内(3000cm/g以上、9500cm/g以下)において適宜設定することが好ましい。
本発明に用いられる炭酸カルシウムは、例えば、道路用・排脱用・製紙用として一般に市販されている重質炭酸カルシウムを利用することができる。また、本発明に用いられる炭酸カルシウムの製造方法は、例えば重質炭酸カルシウムを用いる場合、用いる原料、例えば石灰石やチョーク等の性質や、該石灰石を粉砕する装置、あるいは粉砕物を分級する装置によって様々に異なるが、例えば、道路用・排脱用・製紙用として一般に用いられている炭カルの製造方法に準じて実施することができる。もちろん上記平均粒径および比表面積の範囲内であれば、軽質炭酸カルシウムを使用することも可能である。使用する炭カルは、無定形であってもよく、カルサイト、アラゴナイト、パテライトなどの結晶質であってもよく、これらが混在してもよい。
上記製鉄用原料の擬似粒化性は、造粒に使用する水の中に分散する炭酸カルシウム量によって大きな影響を受けるものと考えられる。それゆえ、本発明の製鉄用原料の造粒処理方法においては、上記製鉄用原料に対する上記炭酸カルシウムの添加量が0.05質量%以上、5質量%以下の範囲内であることが好ましい。上記炭酸カルシウムの添加量が0.05%未満となると、バインダーとなる微粒子分散水中の微粒子量を十分に増加させることができず、十分な擬似粒子化の促進効果が小さく、微粉はあまり減少しない。また、焼結ベッド中での擬似粒子の崩壊を防止する効果が得られ難くなる。それゆえ、上記製鉄用原料の擬似粒化性を向上させるためには、製鉄用原料に対する炭酸カルシウムの添加量が最低でも0.05質量%であることが好ましい。ここで、製鉄用原料に対する炭酸カルシウムの添加量とは、製鉄用原料(鉄鉱石、副原料、燃料、造粒添加剤、本発明の炭酸カルシウム)と、本発明の炭酸カルシウムとを、乾燥状態の質量換算で計算したときの数値である。
また、製鉄用原料に対する上記平均粒径および比表面積の範囲内の炭酸カルシウムの添加量が5質量%よりも多い場合は、擬似粒子が大きな塊になってしまい、燃料が内装されるなどして、所謂生焼け状態となり、焼結鉱の歩留が低下するおそれがある。それゆえ、製鉄用原料に対する炭酸カルシウムの添加量は、5質量%以下であることが好ましい。
ところで、通常、製鉄用原料中には、元々製鉄用原料に付着、混入している炭酸カルシウムが含まれている。即ち、製鉄用原料中に含まれる石灰石は、炭酸カルシウムの微粒子等を含んでいる。
しかしながら、上記石灰石などの原料中には、一般に広い粒度分布を有しているため、崩れ抑制剤として作用する微粒子の他に、該微粒子を付着する粒度のより大きい粒子も存在している。この粒度のより大きな粒子の存在によって、原料に含まれる微粒子の効果が相殺されてしまい、効果は限定的なものである。さらに、原料に含まれる微粒子は、大きな粒子に付着したり、微粒子同士で付着しているため、その効果はさらに低減してしまう。そこで、これらの凝集体をほぐし、分散させるという効果を得るために分散剤がさらに添加されることが好ましい。
そして、製鉄用原料の擬似粒化性をより向上させるためには、上述の造粒方法において、上記製鉄用原料に、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン酸基、およびスルホン酸基の塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を一分子中に2個以上有する有機化合物をさらに添加することが好ましい。この有機化合物は、上記炭酸カルシウムの微粉を水に分散させるという役割を果たす。つまり、上記有機化合物は上述の分散剤としての機能も果たす。
上記分散剤の役割は、製鉄用原料に添加した平均粒径が1μm以上、15μm未満の範囲内の炭酸カルシウムの凝集体をほぐし、該炭酸カルシウムを水に分散させることによって、凝集体に捕らわれる水を解放すると共に、水に分散される粒子量を増加させることにある。これにより、上記分散剤には、擬似粒子化に働くバインダーを増加させ、バインダー自体の凝集力をも向上させる働きがある。
したがって、上記の方法によれば、平均粒径が1μm以上15μm未満の炭酸カルシウムを補充すると共に分散剤を使用することで、微粒子の凝集を抑制し、添加水を増やすことなく、バインダーとなる微粒子分散水を充分な量確保することができる。上記の方法によれば、擬似粒化性を向上させることができるので、微粒子を添加しているにも拘らず、造粒後の微粉量は飛躍的に減少する。
また、上記の方法によれば、微粒子の分散量も増加しているため、造粒後の擬似粒子の強度が増加し、焼結時における焼結ベッド内での擬似粒子の崩壊が軽減する。その結果、焼結ベッドの通気性が向上し、焼結機の生産性を上げることができる。また、焼結後の焼結鉱の強度、成品歩留等も向上し、焼結機の生産率を飛躍的に向上させることができる。
上記分散剤は、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン酸基、およびスルホン酸基の塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を一分子中に2個以上有する有機化合物であることが好ましい。本発明にかかる上記有機化合物は、クエン酸やニトロトリ酢酸三ナトリウム等の低分子化合物でも構わないが、質量平均分子量が1000以上の高分子化合物であることが好ましい。質量平均分子量が1000未満の場合、得られた擬似粒子の強度が低くなることがあり、ベルトコンベアでの運搬時等に崩壊して、結果として、十分な造粒効果が得られないおそれがある。一方、上記質量平均分子量の上限値は、特に限定されるものではないが、質量平均分子量が大きくなりすぎると粘度が高くなりすぎ、上記有機化合物が炭酸カルシウムと均一に混合されなくなり、擬似粒化性が低下するおそれがある。このため、上記有機化合物の質量平均分子量の上限値は、50万であることが好ましい。
さらに、上記有機化合物の質量平均分子量は、2000〜20万の範囲内であることがより好ましく、2500〜20000であることがさらに好ましい。これによって、造粒処理において製鉄用原料をより一層擬似粒化させることができる。
上記有機化合物としては、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン酸基、およびスルホン酸基の塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を一分子中に2個以上有するものであれば特に限定されるものではない。上記有機化合物として具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、アクリルアミドグリコール酸等のカルボキシル基含有単量体およびそれらの塩を官能基として含有する単量体や、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有単量体およびそれらの塩を官能基として含有する単量体からなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体を重合成分(単量体成分)の一つとして重合(共重合)させることによって作製された有機化合物が好適に用いられる。
なお、上記単量体としてカルボキシル基の塩を含有する単量体、あるいはスルホン酸基の塩を含有する単量体を使用する場合、その中和塩基としては、特に限定されるものではないが、カリウムイオン、ナトリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウム、1級〜4級アミン等の窒素含有塩基;等が挙げられる。
上記例示の単量体由来のカルボキシル基あるいはスルホン酸基は、一種類のみが含まれていてもよく、また、二種類以上が含まれていてもよい。
上記カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン酸基、およびスルホン酸基の塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を一分子中に2個以上有する有機化合物の作製方法は特に限定されるものではなく、従来公知の種々の製造方法を用いることができる。上記有機化合物が上述のような重合体の場合について、その製造方法を以下に説明する。この製造方法、つまり、上記単量体成分の重合方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の重合法、例えば、水中油型乳化重合法、油中水型乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、沈澱重合法、溶液重合法、水溶液重合法、塊状重合法等を採用することができる。上記例示の重合方法のなかでも、重合コスト(生産コスト)の低減並びに安全性等の観点から、水溶液重合法が好ましい。
上記の重合法に用いられる重合開始剤は、熱または酸化還元反応によって分解し、ラジカル分子を発生させる化合物であればよい。また、水溶液重合法を採用する場合においては、水溶性を備えた重合開始剤が好ましい。該重合開始剤としては、具体的には、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類;2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス−(4−シアノペンタン酸)等の水溶性アゾ化合物;過酸化水素等の熱分解性開始剤;過酸化水素およびアスコルビン酸、t−ブチルハイドロパーオキサイドおよびロンガリット、過硫酸カリウムおよび金属塩、過硫酸アンモニウムおよび亜硫酸水素ナトリウム、等の組み合わせからなるレドックス系重合開始剤;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら重合開始剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。尚、重合開始剤の使用量は、単量体成分の組成や重合条件等に応じて適宜設定すればよい。
反応温度や反応時間等の重合条件は、単量体成分、つまり単量体組成物の組成や、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、反応温度は0〜150℃の範囲内であることがより好ましく、40〜120℃の範囲内であることがさらに好ましい。また、反応時間は1〜15時間程度が好適である。
水溶液重合法を採用する場合における単量体成分の反応系への供給方法としては、例えば、一括添加法、分割添加法、成分滴下法、パワーフィード法、多段滴下法等を行うことができるが、特に限定されるものではない。
また、水溶液重合法を採用した場合に得られるポリマー水溶液中に含まれる、上記高分子化合物を含む不揮発分の濃度は、特に限定されるものではないが、70質量%以下であることが好ましい。不揮発分の濃度が70質量%を越えるポリマー水溶液は、粘度が高くなり過ぎると共に、分散安定性を保つことができずに凝集を生じるおそれがある。
上記有機子化合物は、一種類のみを用いてもよく、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。上記有機化合物のなかでも、炭酸カルシウムの分散安定性を向上させる効果が高く、少量の使用でもって擬似粒化性を向上させることができることから、カルボキシル基および/またはその塩を有する高分子化合物がより好適である。
そして、本発明においては、上記有機化合物の中でも、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン酸基、およびスルホン酸基の塩のうち、少なくとも何れかを有する構成単位を合計で10mol%以上の組成比で含む化合物であることが好ましい。また、上記有機化合物の中でも、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン酸基、およびスルホン酸基の塩のうち、少なくとも何れかを有する単量体を合計で10mol%以上の単量体組成になるように重合して得られる化合物であることが、製鉄用原料の造粒性向上効果が良好であることから好ましい。該単量体組成におけるカルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン酸基、スルホン酸基の塩のうち、少なくとも何れかを有する単量体の合計は、全単量体組成100mol%に対して、30mol%以上がさらに好ましく、60mol%以上が最も好ましい。
また、上記化合物の中でも、アクリル酸および/またはアクリル酸の塩を、全単量体組成100mol%に対して、合計で10mol%以上の単量体組成になるように重合して得られる化合物であることが、炭酸カルシウムの分散性が良好であることから好ましく、30mol%以上がさらに好ましく、60mol%以上が最も好ましい。
上記有機化合物が、上記カルボキシル基を有する単量体、カルボキシル基の塩を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、スルホン酸基の塩を有する単量体から選ばれる一種類以上の単量体と、これらと共重合可能な単量体とを重合成分として、共重合させることにより製造された共重合体である場合、共重合可能な単量体としては、以下のようなものが挙げられる。
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスフェート等の酸性リン酸エステル基含有単量体;ビニルフェノール等の石炭酸系単量体;等の酸基含有単量体、およびその塩、ポリエチレングリコールモノメタアクリル酸エステル、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、メトキシポリエチレングリコールモノアクリル酸エステル等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル;3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを付加してなるポリアルキレングリコールモノアルケニルエーテル単量体;アリルアルコールにエチレンオキサイドを付加してなるポリエチレングリコールモノエテニルエーテル単量体;無水マレイン酸にポリエチレングリコールを付加してなるマレイン酸ポリエチレングリコールハーフエステル;等のポリアルキレングリコール鎖含有単量体。
上記ポリアルキレングリコール鎖含有単量体のなかでも、エチレンオキサイド換算で5モル以上、100モル以下、好適には10モル以上、100モル以下の鎖長のポリアルキレングリコール鎖を含有する単量体が、入手が容易であり、また、擬似粒化性を向上させる上でより好ましく、また、重合性の面からも良好である。その他の例として、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸(N,N−ジメチルアミノエチル)、(メタ)アクリル酸(N,N−ジエチルアミノエチル)、(メタ)アクリル酸アミノエチル等の、炭素数1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の、(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体;酢酸ビニル;スチレン;(メタ)アクリロニトリル;N−ビニル−2−ピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の塩基含有単量体;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の、架橋性を有する(メタ)アクリルアミド系単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリエトキシシラン等の、加水分解性を有する基がケイ素原子に直結しているシラン系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルエーテル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有単量体;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有単量体;2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルアジリジン等のアジリジン基含有単量体;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン基含有単量体;(メタ)アクリル酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールとのエステル化物等の、分子内に不飽和基を複数有する多官能(メタ)アクリル酸エステル;メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の、分子内に不飽和基を複数有する多官能(メタ)アクリルアミド;ジアリルフタレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート等の、分子内に不飽和基を複数有する多官能アリル化合物;アリル(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら共重合可能な単量体は、必要に応じて、一種類を用いてもよく、また、二種類以上を用いてもよい。
なお、その他の上記有機化合物として具体的には、リグニンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸変性物、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物、芳香族アミノスルホン酸ポリマーなどが挙げられる。
また、本発明において用いられる上記有機化合物の使用量は、用いる有機化合物の種類に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、製鉄用原料に対し、2質量%以下の範囲内において用いることが好ましく、0.5質量%以下の範囲内において用いることがより好ましい。製鉄用原料に対して上記有機化合物を、2質量%を越えて使用すると、全体がスラリー状あるいは固まりになり、結果的に出来上がった粒子(固まり)内の通気性が悪化するため好ましくない。また、上記有機化合物の使用量の下限値は、製鉄用原料に対し、0.001質量%であることが好ましい。上記有機化合物の使用量が0.001質量%未満であると、擬似粒化性の向上効果が見られ難い。なお、上記有機化合物の使用量は、用いる製鉄用原料の造粒性や、水分添加量、使用する造粒機等によって左右されるが、できるだけ少量となるように設計することが望ましい。
また、上記製鉄用原料には、粉鉄鉱石を含む製鉄用原料の造粒に用いた場合における擬似粒化性の向上効果を阻害しない範囲内で、あるいはさらに擬似粒化性を向上するために、必要に応じて、他の成分、例えば増粘剤等の従来公知の他の造粒添加剤等を、上記炭酸カルシウム及び上記有機化合物と併用してもよい。
なお、上記炭酸カルシウムに対する上記有機化合物の割合は、0.0001質量%以上、1000質量%以下の範囲内であることが好ましく、0.1質量%以上、100質量%以下の範囲内であることがより好ましい。
本発明において、上記した炭酸カルシウムや分散剤(高分子化合物並びに必要に応じて用いられるその他の微粉補助剤)を製鉄用原料に添加する方法は、特に限定するものではないが、炭酸カルシウムの添加方法としては、例えば、製鉄用原料中に予め配合しておく方法;ミキサー等による原料混合時に添加する方法;添加水を散布し、造粒を行っているときに添加する方法;添加水に分散させて散布する方法等が挙げられる。
また、上記有機化合物をはじめとする分散剤の添加方法としては、例えば、原料混合前、または原料混合後に散布する方法;原料混合時に散布する方法;造粒時に添加水と別系列で散布する方法;添加水に混合して散布する方法;等が挙げられる。また、この他にも、分散剤を使用して炭酸カルシウムを添加水に分散したものを散布し、造粒する方法等が挙げられる。上記炭酸カルシウムと分散剤とは、同時に添加してもよいし、別々に添加してもよい。
本発明によれば、粉鉄鉱石を含む製鉄用原料(焼結原料)を造粒処理(擬似粒化)するのに好適な造粒処理方法を提供することができる。
また、本発明によれば、上記条件にて造粒処理を行うことで、造粒後の鉄鉱石(擬似粒子)のGI指数が70%以上、好適には80%以上という、非常に高いGI指数を得ることができる。
なお、造粒された擬似粒子のGI指数とは、製鉄研究第288号(1976)9頁に開示されている評価方法の一つであり、核粒子の周りに付着する微粉粒子の割合を示す。このGI指数の大きいものほど造粒性が良好で、焼結ベッドの通気性が向上し、焼結機の生産効率が高くなる。
GI指数の測定は、製鉄研究第288号(1976)9頁に記載の方法に準じて行うことができる。また、0.25mm以下の擬似粒子のGI指数(擬似粒化指数)は以下の式により計算することができる。
GI指数=(造粒前の0.25mm未満の原料の比率−造粒後の0.25mm未満の原料の比率)/(造粒前の0.25mm未満の原料の比率)×100
なお、焼結鉱の生産率は、焼結鉱の製造設備によって種々に異なるものであるため、上記した生産率の数値はあくまでも一例である。
また、本発明は、焼結原料に添加する炭酸カルシウムの平均粒径および比表面積に関するものであるが、上記平均粒径及び比表面積の条件は、ペレット製造におけるベントナイトやドロマイトなどの添加剤に適用できる可能性も有している。
また、本発明によれば、副原料や燃料等を含む製鉄用原料の各銘柄の粒度分布、造粒性、組成等に応じて、製鉄用原料の一部を混合・混練・造粒した後、これを残りの製鉄用原料に混合して造粒する処理方法についても、本発明にかかる造粒処理方法を用いて、炭酸カルシウムもしくは炭酸カルシウムと分散剤とを上記製鉄用原料に添加することにより、擬似粒化することができる。例えば、製鉄用原料の一部が難造粒性を示す場合には、この難造粒性の製鉄用原料に上記した炭酸カルシウムもしくは炭酸カルシウムと分散剤とを添加することにより、擬似粒化性を向上させることができる。
本発明によれば、製鉄用原料や造粒機、各成分、つまり、例えば上記した炭酸カルシウムや分散剤を添加するタイミングや場所等の組み合わせを自由に選択することができ、従ってその組み合わせは、特に限定されるものではない。つまり、複数の処理工程を有し、各処理方法と、上記した炭酸カルシウムや分散剤を組み合わせる造粒処理においても、本発明にかかる造粒処理方法を適用して上記した炭酸カルシウムや分散剤を製鉄用原料に添加することにより、擬似粒化することができる。勿論、公知の擬似粒化方法(手段)に対しても有効である。
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。尚、実施例および比較例に記載の「部」は「質量(重量)部」を示し、「%」は「質量%(重量%)」を示す。また、以下に記載の実施例および比較例における焼結原料は、全て絶乾状態のものを使用した。
実施例および比較例における炭酸カルシウムの平均粒径、生産率等は、下記方法により測定した。
(炭酸カルシウムの平均粒径)
イオン交換水を溶媒として用いて、散乱式粒度分布測定装置LA−910W(堀場製作所製)により測定した。
(成品歩留、生産率)
成品歩留は、焼結鍋試験において、焼結後の焼結鉱(シンターケーキ)50kgを2mの高さから鉄板上に5回落下させたときの粒径5mm以上の粒子の割合を測定することにより評価した。また、生産率は、以下の式
生産率(t/d/m)=(成品歩留評価後の粒径5mm以上の粒子の総重量(t))/焼結時間(day)/焼結機(鍋)の表面積(m
により算出した。なお、上記生産率(t/d/m)は、焼結機1m当たり、1日に何t焼結鉱を生産できるかを示す。
(炭酸カルシウムの比表面積)
通常、粒子状の物質の比表面積とは、単位重量当たりの表面積を意味するが、本実施例においては、炭酸カルシウムの比表面積はブレーン値として算出した。なお、ブレーン値は、JIS規格番号〔JIS R 5201 1997〕として規定されたセメントの物理試験法に準じて測定した。
〔実施例1〕
実施例1においては、表1に示す配合割合で焼結原料(製鉄用原料)を調製した。また、本実施例1においては、平均粒径7μm、ブレーン値9200cm/gの炭酸カルシウムAを用いた。
Figure 0004188187
上記の焼結原料70000部、上記炭酸カルシウムA840部をドラムミキサーに投入し、回転速度24min−1で1分間、予備混合した。なお、この炭酸カルシウムAの添加量は、焼結原料に対して1.2質量%である。
その後、同回転速度で攪拌しながら、分散剤として、予め不揮発分0.4%に調製した質量平均分子量6000のポリアクリル酸ナトリウム5250部を、霧吹きを用いて約1.5分間かけて噴霧して添加した。焼結原料に対するポリアクリル酸ナトリウムの割合は、0.03%であった。噴霧後、分散剤が添加された上記の焼結原料(造粒処理用最終組成物)をさらに回転速度24min−1で3分間攪拌することによって、造粒処理(擬似粒化)を行った。
得られた擬似粒子を50kgスケールの鍋試験にて焼結を行い、焼結鉱を得た。この試験に用いられた焼結鍋は、直径300mm、高さ600mm、層厚550mmであり、試験時の吸引負圧を9.8kPaで一定とした、この試験によって得られた焼結鉱の生産率を測定した。これらの結果をまとめて表2に示す。
〔実施例2〕
実施例2においては、実施例1で用いた炭酸カルシウムA840部に代えて、平均粒径9μm、ブレーン値7400cm/gの炭酸カルシウムBを840部用いた。それ以外の条件については、実施例1と同様にして焼結原料の造粒処理を行った後に焼結を行い、焼結鉱の生産率を測定した。これらの結果をまとめて表2に示す。
〔実施例3〕
実施例3においては、実施例1で用いた炭酸カルシウムA840部に代えて、実施例2における炭酸カルシウムBを210部用いた。また、成分調整のため、表1に示す焼結原料70000部に表1の石灰石をさらに630部加えて70630部とした。それら以外の条件については、実施例1と同様にして焼結原料の造粒処理を行った後に焼結を行い、焼結鉱の生産率を測定した。これらの結果をまとめて表2に示す。
〔実施例4〕
カルボキシル基および/またはその塩を有する化合物として、予め0.4%に調整した重量平均分子量6000のポリアクリル酸ナトリウム水溶液5250部の代わりに、カルボキシル基および/またはその塩を有する化合物として、特許文献4に記載の方法で製造した重量平均分子量33000のアクリル酸ナトリウム/アクリル酸メチル共重合体(全単量体組成100mol%に対するアクリル酸ナトリウムの組成比が78.7mol%)を予め0.27%に調整した水溶液を使用する他は実施例2と同様にして焼結鉱の生産率を測定した。焼結原料に対する該共重合体の添加割合は、0.02%であった。生産率は33.5であった。
〔比較例1〕
比較例1においては、実施例1で用いた炭酸カルシウムA840部に代えて、炭酸カルシウム「スーパーSS」(丸尾カルシウム製)を840部用いた。なお、上記「スーパーSS」の平均粒径は7μm、ブレーン値は10000cm/gであった。それ以外の条件については、実施例1と同様にして焼結原料の造粒処理を行った後に焼結を行い、焼結鉱の生産率を測定した。これらの結果をまとめて表2に示す。
〔比較例2〕
比較例2においては、実施例1で用いた炭酸カルシウムA840部に代えて、生石灰840部を使用し、成分調整のため、表1に示す焼結原料70000部から表1の石灰石をさらに660部差し引いて、69340部とし、不揮発分0.4%に調製した質量平均分子量6000のポリアクリル酸ナトリウム水溶液5250部に代えて水5600部を使用するほかは、実施例1と同様にして焼結原料の造粒処理を行った後に焼結を行い、焼結鉱の生産率を測定した。これらの結果をまとめて表2に示す。
〔比較例3〕
比較例3においては、実施例1で用いた炭酸カルシウムA840部に代えて、平均粒径35μm、ブレーン値2200cm/gの炭酸カルシウムCを840部用いた。それ以外の条件については、実施例1と同様にして焼結原料の造粒処理を行った後に焼結を行い、焼結鉱の生産率を測定した。これらの結果をまとめて表2に示す。
〔比較例4〕
カルボキシル基および/またはその塩を有する化合物として、予め0.4%に調整した重量平均分子量6000のポリアクリル酸ナトリウム水溶液5250部の代わりに、カルボキシル基および/またはその塩を有する化合物として、特許文献4に記載の方法で製造した重量平均分子量33000のアクリル酸ナトリウム/アクリル酸メチル共重合体(全単量体組成100mol%に対するアクリル酸ナトリウムの組成比が78.7mol%)を予め0.27%に調整した水溶液を使用する他は比較例1と同様にして焼結鉱の生産率を測定した。焼結原料に対する該共重合体の添加割合は、0.02%であった。生産率は30.3であった。
Figure 0004188187
通常、粒子の比表面積は、粒径が小さいほど大きくなる傾向にあり、また、粒径が同じ場合は、粒子の形状が真球に近づくほど(即ち、凸凹や細孔が少ないほど)小さくなる傾向にある。
比較例1のように、炭酸カルシウムの平均粒径は本発明の範囲内であっても、比表面積(ブレーン値)が9500cm/gを超える値の場合も、実施例の結果と比較して、生産率の値が低くなっている。
以上のように、焼結原料の造粒処理においては、添加する炭酸カルシウムの粒径が細かく、比表面積が小さいもの(即ち、真球に近いもの)を用いると造粒性が向上し、焼結鉱の生産率が高くなることが明らかとなった。
本発明によれば、炭酸カルシウムを添加して製鉄用原料を造粒処理する場合に、擬似粒子の崩れ抑制効果に優れ、焼結鉱の生産効率を高める製鉄用原料の造粒処理方法を提供することができる。それゆえ、本発明は鉄鋼産業に利用することができる。

Claims (4)

  1. 粉鉄鉱石を含む製鉄用原料に副原料の石灰石とは別に、別途炭酸カルシウムを添加して上記製鉄用原料を造粒処理する方法において、
    上記炭酸カルシウムの平均粒径が1μm以上、15μm未満であり、比表面積が3000cm/g以上、9500cm/g以下であり、
    上記製鉄用原料に対する上記炭酸カルシウムの添加量が0.05質量%以上、5質量%以下の範囲内であることを特徴とする製鉄用原料の造粒処理方法。
  2. 上記製鉄用原料に、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン酸基、およびスルホン酸基の塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を一分子中に2個以上有する有機化合物をさらに添加することを特徴とする請求項1記載の製鉄用原料の造粒処理方法。
  3. 上記有機化合物は、アクリル酸および/またはアクリル酸の塩を、10mol%以上の組成で重合して得られる化合物であることを特徴とする請求項2記載の製鉄用原料の造粒処理方法。
  4. 請求項1ないし3の何れか1項に記載の造粒処理方法によって得られた製鉄用原料。
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