JP3792581B2 - 製鉄用原料の造粒処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、製鉄用原料となる焼結鉱の製造方法またはペレットの製造方法に関わり、製鉄用原料を造粒処理する際、特に製鉄用原料の水分を調節して造粒し擬似粒化またはペレット化するのに好適に用いられる製鉄用原料の造粒処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
焼結鉱の製造においては、先ず焼結原料となる鉄鉱石、副原料、燃料等を混合し、ドラムミキサー、ペレタイザー、アイリッヒミキサー等の造粒機で水分を調節しながら造粒して擬似粒子を造る。擬似粒子とは、一般的に、0.5mm以下の微粒子が1〜3mmの核粒子に付着している粒子である。この際、造粒に求められる作用は、微粒子が核粒子の周りに付着する擬似粒化性を向上すること、擬似粒子が焼結過程における湿潤帯、乾燥帯等で崩壊し難いこと等である。焼結原料をこのように擬似粒子とすることで、焼結機上での焼結原料充填層(焼結ベッド)中の通気性を向上し、焼結機の生産性向上を図ることができる。
【0003】
焼結原料を焼結する焼結機は下方吸引式を採用しており、焼結原料の下側から吸引することによって焼結に必要な空気を流通させると共に、焼結原料の上側から下側へ向かって燃料を燃焼させることにより、焼結原料を焼結するようになっている。このため、焼結原料が微粉を多く含んでいると、目詰まりを起こす等して通気性が低下し、燃料であるコークスの燃焼速度が遅くなるので焼結機の生産効率が低下する。
【0004】
そこで、通気性を改善すべく、焼結原料を造粒(擬似粒化)する等の事前処理が必要である。該事前処理としては、例えば、焼結原料に少量の水を添加して攪拌する等の造粒操作が行われている。しかし、水だけを用いた造粒操作では、擬似粒化性を向上させる効果が乏しいため、焼結原料に含まれる微粉の量をあまり低減することができない。
【0005】
このために、従来から擬似粒化性を向上させる対策として、焼結原料中に粘結剤として種々の造粒添加剤を添加する方法が提案されている。造粒添加剤として用いられるものは、数多く知られている。例えば、ベントナイト、リグニン亜硫酸塩(パルプ廃液)、澱粉、砂糖、糖蜜、水ガラス、セメント、ゼラチン、コーンスターチ等が結合剤或いは増粘剤として、その使用が検討されている。
【0006】
また、特開昭59−50129号公報には、特定濃度の分散剤および/または特定濃度の界面活性剤を含有する水を用いた焼結原料の前処理方法が記載されており、分散剤としては、平均分子量2000〜20000のアクリル酸系重合体、マレイン酸系重合体、スチレンスルホン酸系重合体等が記載されている。
【0007】
また、特開昭61−61630号公報には、平均分子量500〜300000のマレイン酸重合体等の水溶性高分子化合物を含む焼結鉱製造用粘結剤が記載されている。
【0008】
しかしながら、これらは何れも、焼結鉱の製造において、疑似粒化性が不十分であるという問題点を有しており、焼結原料に含まれる微粒子の量を低減することはできるものの、その量が不充分であることに加え、輸送時や焼結ベッドでの水分凝縮帯での崩壊は避けられないため、その添加量が比較的多くて高コストとなることや、使用する量の確保が困難である等の問題があり、工業的には使用されていない。
【0009】
この他にも、特開昭52−117820号公報や特開平3−183729号公報には、鉄鉱石や炭酸カルシウム等の微粉を添加することを特徴とするものの記載があるが、やはり疑似粒化性が不充分である等の問題があり、工業的には使用されていない。
【0010】
現在実用化されている造粒添加剤としては、例えば、製鉄研究第288号(1976)9頁に開示されている生石灰が広く使われている。これによると、生石灰の効果は、次のように示されている。第一に、ミキサー内での擬似粒化の促進を図ることができる。第二に、擬似粒子よりなる焼結原料を特定の高さに充填し、焼結ベッドを形成した後に表層に点火した後の焼結過程において、乾燥、加熱する過程で擬似粒子が崩壊することを防止し、焼結層中の均一な風の流れを保つことができるとされている。
【0011】
一方、ペレットの製造においては、原料となる鉄鉱石、ダスト、炭材等を混合した後、ペレタイザー等の造粒機で水分を調節しながら造粒する。ペレットとは、一般的に、1.0mm以下の粒子が固まって6.0〜50mmの球状になった粒子を指す。この際、造粒に求められる作用は、乾燥する前の生ペレットの状態での強度が高いこと、乾燥工程中や輸送工程中に破壊されて粉化しないこと等である。そして、従来からペレットの強度を向上させるために、微粉状の原料に造粒添加剤としてベントナイトを1重量%以上加えて混練し、適量の水を散布しながら造粒操作を行い、ペレットを製造する方法が提案されている。尚、ここで述べるペレットとは、高炉原料、焼結原料、転炉原料等になるものであり、その製造方法等は、特に限定されるものではない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、焼結鉱の製造においては、生石灰や糖蜜等のバインダーの使用は、一般に高価であるために製造コストの上昇を招く。また、生石灰を用いた造粒化は実用化されてはいるものの、生石灰は吸湿し易く、このとき発熱するため、取り扱いに注意を要するという問題点を有している。また、現在使用されている生石灰は、使用量を比較的多くしないと充分な効果が得られないため、コストが高くなる。よって、その使用量を極力減少させて操業しているのが現状である。そして、生石灰を2重量%以上添加しても、その擬似粒化性の向上効果は頭打ちとなる傾向にある。
【0013】
さらに、最近では、優良塊鉱の枯渇化と共に、粉鉱石の劣質化も激しく、焼結原料の造粒性が以前よりも悪化している問題がある。このために、生石灰添加による造粒を実施しても、その効果が以前よりも小さくなっている。さらに、生石灰以外のバインダーは、焼結原料に含まれる微粉の量を低減させる効果が不充分であり、焼結ベッドの通気性を向上させて焼結時間を短縮する効果が小さく、かつ、得られる焼結鉱の焼結鉱強度が弱い。焼結鉱強度が弱い焼結鉱は、例えば焼結後の破砕時に微粉が発生し易くなるので、返鉱が多くなり成品歩留が低下し、その生産効率が低下する。このため、生石灰以外のバインダーを用いた造粒方法は実用化されていない。
【0014】
また、生石灰を使用した場合でも焼結原料に含まれる微粉の量を低減させる効果はまだ充分とは言えない状態である。これに対し、生石灰以外のバインダーと生石灰とを併用するという考え方があるが、生石灰以外の公知のバインダーには、生石灰と併用しても、焼結原料に含まれる微粉の量を低減させる効果の高いものは知られていない。
【0015】
それゆえ、擬似粒化性を向上させる効果に優れ、焼結原料を造粒するのに好適に用いられる製鉄用原料の造粒方法が求められている。
【0016】
一方、ペレットの製造において、ベントナイトを使用すると、膨潤性が大きいために造粒時に多量の水分を添加する必要がある。このため、生ペレットは柔らかいために変形し易く、乾燥工程時にガスの通気性が悪化し、充分な乾燥を行うのに長時間を要したり、強度が低下する問題がある。さらに、ベントナイト中にはシリコン等の不純物成分が多く含まれており、溶銑、溶鋼中のスラグの増大を招く等の問題がある。
【0017】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、製鉄用原料を造粒処理し擬似粒化またはペレット化するのに好適に用いられる製鉄用原料の造粒処理方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定の条件下で測定した微粉のζ電位と造粒性とが相関関係を有していることを見出した。そして、本願発明者らは、電気泳動光散乱法を用いたζ電位測定試験で測定されたζ電位が−55mV以下の微粉は、水への分散安定性に優れ、製鉄用原料の擬似粒化性を著しく向上させることができることを見出して本発明を完成させるに至った。また、本願発明者らは、電気泳動光散乱法を用いたζ電位測定試験で測定された微粉のζ電位が−55mV以下となるように、製鉄用原料に添加する微粉と、該微粉のζ電位を調節する作用を有する微粉補助剤とを選択すれば、実際に製鉄用原料の造粒処理を行ったときに良好な造粒結果が得られることを見出した。
【0019】
すなわち、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、上記課題を解決するために、焼結原料またはペレット原料からなる製鉄用原料を造粒処理する方法において、上記製鉄用原料に、平均粒径が0.01μm以上、200μm以下であり、かつ電気泳動光散乱法を用いたζ電位測定試験で測定されたζ電位が−55mV以下の微粉を、上記製鉄用原料に対し、0.01重量%以上、30重量%以下の範囲内で添加することを特徴としている。
【0020】
また、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、上記課題を解決するために、焼結原料またはペレット原料からなる製鉄用原料を造粒処理する方法において、上記製鉄用原料に、平均粒径が0.01μm以上、200μm以下であり、かつ鉄鉱石、鉄鋼用副原料、石灰石、鉄粉、ペレットフィード、カオリンクレー、ベントナイト、製鉄所内で発生するダスト、シリカヒューム、フライアッシュ、無水石膏、コロイダルシリカからなる群より選ばれる微粉と、該微粉のζ電位を調節する微粉補助剤とを、電気泳動光散乱法を用いたζ電位測定試験で測定される上記微粉のζ電位が−55mV以下となるように選択して添加するとともに、上記製鉄用原料に対する微粉の添加量が0.01重量%以上、30重量%以下の範囲内であることを特徴としている。
【0021】
さらに、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、上記課題を解決するために、上記微粉補助剤が、酸基および/またはその塩を有する高分子化合物を含むことを特徴としている。
【0022】
また、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、上記課題を解決するために、上記高分子化合物の使用量は、上記製鉄用原料に対して0.001重量%以上、2重量%以下の範囲内であり、かつ、上記微粉に対して0.003重量%以上、1000重量%以下の範囲内であることを特徴としている。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、製鉄用原料(焼結原料またはペレット原料)を混合、調湿等して造粒処理(擬似粒化またはペレット化)する方法において、上記製鉄用原料、つまり、造粒処理される、微粉の鉄鉱石を含む製鉄用原料に、さらに微粉を添加して造粒処理を行う方法であり、本発明においては、上記製鉄用原料に、特に、電気泳動光散乱法を用いた、後述するζ電位測定試験で測定されたζ電位が−55mV以下の微粉が添加される。
【0024】
また、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、製鉄用原料(焼結原料またはペレット原料)を混合、調湿等して造粒処理(擬似粒化またはペレット化)する方法において、上記製鉄用原料に、微粉と、該微粉のζ電位を調節する微粉補助剤とを、電気泳動光散乱法を用いた、後述するζ電位測定試験で測定される上記微粉のζ電位が−55mV以下となるように選択して添加する方法である。
【0025】
本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理において用いられる上記微粉、すなわち、上記製鉄用原料に添加される微粉は、平均粒径が200μm以下の微粒子である。
【0026】
上記製鉄用原料の造粒処理における上記微粉の役割は、明確ではないが、該微粉(微粒子)が分散された水の凝集力を高めることにある。該微粉(微粒子)を、製鉄用原料の造粒時に存在する水、例えば造粒に使用する添加水および原料の持ち込み水分に分散させることにより、該微粉(微粒子)が分散された水の凝集力が高まり、擬似粒化性が向上されると共に、造粒後の擬似粒子の強度や焼結時における焼結ベッド内での擬似粒子の崩壊が軽減され、焼結後の成品歩留等を向上させることができる。
【0027】
通常、製鉄用原料中には、元々製鉄用原料に付着、混入している微粒子(微粉)が含まれている。例えば、製鉄用原料として配合される鉄鉱石には、鉄鉱石の微粒子やカオリンクレー等の粘土が付着している。また、石灰石には、石灰石(炭酸カルシウム)の微粒子等が含まれている。さらに、上記したように製鉄用原料の造粒に際しては、配合原料として、製鉄所内で発生するダスト、例えば高炉・焼結・転炉等で発生したダストが用いられる場合もある。
【0028】
しかしながら、これらの微粒子は通常、水への自己分散能が低く、そのままでは擬似粒化性を著しく向上させることはできない。鉄鉱石の造粒は水でもある程度なされるが、これは、鉄鉱石の表面に付着している200μm以下の微粒子や、石灰石、蛇紋岩、珪石等の副原料、ダスト等に含まれる200μm以下の微粒子が水にわずかに分散し、この微粒子分散水の凝集力によって200μmよりも大きな鉄鉱石をバインディングし、擬似粒子をなしていることによる。しかしながら、元々製鉄用原料が含有している微粉は、大きな粒子に付着していたり、微粉同士で凝集しているため、これらの微粉のなかで水に分散し得る微粉量は少なく、擬似粒子自体も凝集体を作っていることが多いため、水がこの凝集体中に捕えられる等して、結果的に、この微粒子分散水の量が少なくなるため、水だけの造粒では充分に擬似粒化させることはできない。
【0029】
これに対し、電気泳動光散乱法を用いた、後述するζ電位測定試験で測定されたζ電位の絶対値が大きい微粉は、水への分散安定性に優れ、水に分散される粒子量を増加させることができる。
【0030】
本発明において、微粉のζ電位とは、固体と液体との界面における電位差のうち界面導電現象に有効に作用する部分であり、例えば電気泳動、電気浸透、流動電位、沈降電位等の界面動電現象から求められる電位として測定することができる。すなわち、液体と固体との間に相対運動が起こる時、その界面動電現象を支配する固着層と液体内部との電位差がζ電位(界面動電位)である。
【0031】
本発明では、後述する実施例で詳細に示される方法にしたがって上記微粉のζ電位を測定するものとする。
【0032】
本発明において、電気泳動光散乱法を用いた、後述するζ電位測定試験で測定された微粉のζ電位の絶対値が高ければ、上記製鉄用造粒剤を用いて実際に造粒を行ったときの微粉のζ電位の絶対値も高くなると考えられる。
【0033】
本発明において用いられる微粉の造粒時のζ電位は、その絶対値が高いほど、造粒性が良好になる傾向にある。上記ζ電位は、0Vのとき電気的反発力が0であることから最も分散安定性が低く、その絶対値が大きくなればなるほど分散安定性が向上する。
【0034】
つまり、ζ電位の絶対値が高いと粒子同士の電気的反発力が大きい。このため、ζ電位の絶対値が高い微粉は凝集し難く、分散体として安定して存在する。しかしながら、本願発明者らの検討によれば、表面にプラス電荷を帯びている微粉を用いても十分な擬似粒子の向上効果が得られないことが判った。このため、本発明において用いられる上記微粉は、表面にマイナス電荷を帯びていることが好ましく、上記微粉のζ電位は、負側に数値が大きければ大きいほどよい。
【0035】
本願発明者らが鋭意検討した結果、電気泳動光散乱法を用いた、後述するζ電位測定試験で測定されたζ電位が−55mV以下の微粉は、分散安定性に優れ、製鉄用原料の造粒用のバインダーとして有効に機能することが判った。すなわち、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法においては、製鉄用原料の造粒用のバインダーとして、電気泳動光散乱法を用いた、後述するζ電位測定試験で測定されたζ電位が−55mV以下の微粉が用いられる。
【0036】
しかしながら、自然界において存在する粒子には、ζ電位の絶対値が高いものはあまり存在しない。このため、本発明においては、電気泳動光散乱法を用いた、後述するζ電位測定試験で測定されたζ電位が予め−55mV以下となるように調整された微粉を添加するか、もしくは、微粉と、該微粉のζ電位を調整する微粉補助剤とを併用することで、製鉄用原料の造粒用のバインダーとしての微粉のζ電位を調整して造粒処理を行う。
【0037】
例えば、本発明においては、微粉と微粉補助剤とを、後述するζ電位測定試験で測定されたζ電位が−55mV以下となるような組み合わせになるように選択して製鉄用原料に添加することで、製鉄用原料の擬似粒化性を著しく向上させることができる。
【0038】
よって、本発明において用いられる製鉄用造粒処理剤としては、電気泳動光散乱法を用いた、後述するζ電位測定試験で測定されたζ電位が−55mV以下の微粉であってもよく、また、微粉と、電気泳動光散乱法を用いた、後述するζ電位測定試験で測定される微粉のζ電位を−55mV以下に低下させる作用を有する微粉補助剤との組み合わせであってもよい。また、上記微粉と微粉補助剤とを併用する場合は、造粒時に上記微粉と微粉補助剤とを別々に添加してもよく、例えば水中で上記微粉と微粉補助剤とを混合する等して上記微粉を微粉補助剤で事前に表面処理したものを製鉄用原料に添加してもよい。
【0039】
上記微粉補助剤は、例えば、上記微粉に吸着することにより微粉の表面電位(ζ電位)を改善する。これにより、上記微粉補助剤は、上記微粉の造粒時の表面電位を調整することができる。
【0040】
上記微粉、すなわち、上記製鉄用原料に別途添加する微粉(微粒子)としては、鉄鉱石の微粒子やカオリンクレー、石灰石(炭酸カルシウム)の微粒子、鉄粉、ペレットフィード等の鉄鉱石の微粉、各種ダスト等、製鉄用原料に含まれている微粒子と同種の微粒子でもよいが、コロイダルシリカ、フライアッシュ、シリカヒューム、無水石膏等、製鉄用原料に含まれている微粒子とは異なる微粒子でもよい。
【0041】
すなわち、本発明において用いられる上記微粉は、平均粒径が200μm以下の微粒子であれば特に限定されるものではないが、例えば、鉄鉱石、鉄鋼用副原料、石灰石(炭酸カルシウム)、鉄粉、ペレットフィード等の鉄鉱石の微粉、カオリンクレー、ベントナイト、製鉄所内で発生するダスト(上記製鉄用原料のダスト)、シリカヒューム、フライアッシュ、無水石膏、コロイダルシリカ等が挙げられ、そのなかでも、炭酸カルシウム、鉄粉、カオリンクレーが、擬似粒化性に優れ、焼結機の生産性がさらに向上するので特に好ましい。
【0042】
また、上記微粉の平均粒径は、200μm以下であればよいが、造粒性並びに上記付着力の向上効果に優れていることから、より好ましくは0.01μm以上、150μm以下の範囲内であり、さらに好ましくは、0.02μm以上、100μm以下の範囲内である。上記平均粒径が0.01μm未満であれば、擬似粒化性が低下する傾向にある。同様に、上記平均粒径が200μmを越えても高い擬似粒化性が得られず、好ましくない。製鉄用原料によって分散安定化に適した粒径は異なるため、上記微粉の平均粒径は、用いる製鉄用原料の種類によって、上記した範囲内において適宜設定することが好ましい。
【0043】
上記微粉のζ電位は、例えば酸基または塩基性基を含有する高分子化合物の添加により調整することが可能である。例えば、酸基および/またはその塩を有する高分子化合物を含む微粉補助剤を微粉に添加すると、高分子化合物が微粉表面に吸着し、これにより、微粉表面のζ電位が下がる。例えば、ポリアクリル酸ナトリウムを微粉に添加すると、該ポリアクリル酸ナトリウムが微粉表面に吸着し、該ポリアクリル酸ナトリウムが表面に吸着された微粉のζ電位が下がり、その絶対値が高くなる。
【0044】
したがって、本発明においては、微粉と、後述するζ電位測定試験で測定される上記微粉のζ電位を−55mV以下に低下させる微粉補助剤とを組み合わせて併用することにより、実際の造粒時の微粉の表面電位を調整する。
【0045】
上記微粉補助剤としては、後述するζ電位測定試験で測定される微粉のζ電位を下げる、つまり、微粉表面のζ電位がマイナス側に大きくなるように調整することができるものであれば特に限定されるものではないが、酸基および/またはその塩を有する高分子化合物を必須成分として含んでいることが、上記効果が大きいことから望ましい。酸基および/またはその塩を有する高分子化合物は、さらに、製鉄用原料に後から添加した微粉の凝集体のみならず、配合原料が元々持っている200μm以下の微粒子の凝集体をほぐし、微粒子を水に分散させることによって、凝集体に捕らわれる水を解放する。また、水に分散される粒子量を増加させることができるので、擬似粒子化に働く、製鉄用原料の造粒用のバインダーを増加させる働きがある。
【0046】
このため、上記微粉補助剤は、高分子化合物、特に酸基および/またはその塩を有する高分子化合物を必須成分としてなることが好ましい。本発明にかかる高分子化合物は、重量平均分子量が1000以上の有機または無機高分子化合物であり、その重量平均分子量の下限値は、4000であることが好ましく、7000であることがより好ましく、10000であることが特に好ましい。重量平均分子量が1000未満の場合、得られた擬似粒子の強度が低くなることがあり、ベルトコンベアでの運搬時等に崩壊して、結果として、十分な造粒効果が得られないおそれがある。一方、上記重量平均分子量の上限値は、特に限定されるものではないが、重量平均分子量が大きくなりすぎると粘度が高くなりすぎ、上記高分子化合物が微粉と均一に混合されなくなり、擬似粒化性が低下する虞れがある。このため、上記高分子化合物の重量平均分子量の上限値は、1000000であることが好ましく、500000であることがより好ましく、300000であることがより一層好ましく、100000であることが特に好ましい。
【0047】
上記高分子化合物としては、後述するζ電位測定試験で測定される微粉のζ電位を下げる、つまり、上記ζ電位を負側に増加させることができるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、アクリルアミドグリコール酸等のカルボキシル基含有単量体;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホ基含有単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスフェート等の酸性リン酸エステル基含有単量体;ビニルフェノール等の石炭酸系単量体;等の酸基含有単量体、およびその塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体を重合成分(単量体成分)の一つとして重合(共重合)させることにより、酸基またはその塩が導入された高分子化合物が好適に用いられる。
【0048】
なお、上記単量体として酸基含有単量体の塩を使用する場合、その中和塩基としては、特に限定されるものではないが、カリウムイオン、ナトリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウム、1級〜4級アミン等の窒素含有塩基;等が挙げられる。
【0049】
上記例示の単量体由来の酸基は、一種類のみが含まれていてもよく、また、二種類以上が含まれていてもよい。これら単量体由来の酸基のうち、カルボキシル基および/またはその塩が好ましく、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、およびそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体を重合成分の一つとして重合(共重合)させることによって導入されるものがさらに好ましい。
【0050】
また、上記の酸基含有単量体と共重合可能な単量体(共重合性単量体)としては、例えば、ポリアルキレングリコール鎖を含有する単量体(以下、ポリアルキレングリコール鎖含有単量体と記す)、例えば、ポリエチレングリコールモノメタアクリル酸エステル、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、メトキシポリエチレングリコールモノアクリル酸エステル等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル;3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを付加してなるポリアルキレングリコールモノアルケニルエーテル単量体;アリルアルコールにエチレンオキサイドを付加してなるポリエチレングリコールモノエテニルエーテル単量体;無水マレイン酸にポリエチレングリコールを付加させたマレイン酸ポリエチレングリコールハーフエステル;等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。これらポリアルキレングリコール鎖含有単量体は、一種類または二種類以上使用することができる。
【0051】
上記ポリアルキレングリコール鎖含有単量体のなかでも、エチレンオキサイド換算で5mol以上、100mol以下、好適には10mol以上、100mol以下の鎖長のポリアルキレングリコール鎖を含有する単量体が、入手が容易であり、また、擬似粒化性の向上させる上で好ましく、また、重合性の面から良好である。
【0052】
上記の酸基含有単量体と共重合可能な単量体(共重合性単量体)としては、さらに、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜18の一価アルコールとのエステル化物である(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸とポリプロピレングリコールとのモノエステル化物、等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、クロロメチルスチレン、等のスチレンおよびその誘導体;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、等の(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体;酢酸ビニル;(メタ)アクリロニトリル;N−ビニル−2−ピロリドン;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の塩基含有単量体;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の、架橋性を有する(メタ)アクリルアミド系単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリエトキシシラン等の、加水分解性を有する基がケイ素原子に直結しているシラン系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルエーテル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有単量体;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有単量体;2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルアジリジン等のアジリジン基含有単量体;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン基含有単量体;(メタ)アクリル酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールとのエステル化物等の、分子内に不飽和基を複数有する多官能(メタ)アクリル酸エステル;メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の、分子内に不飽和基を複数有する多官能(メタ)アクリルアミド;ジアリルフタレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート等の、分子内に不飽和基を複数有する多官能アリル化合物;アリル(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら単量体は、必要に応じて、一種類を用いてもよく、また、二種類以上を用いてもよい。
【0053】
さらに、これら単量体の他に、分子量の調節を目的として、連鎖移動剤を用いることもできる。該連鎖移動剤としては、具体的には、例えば、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸、t−ドデシルメルカプタン等のメルカプト基含有化合物;四塩化炭素;イソプロピルアルコール;トルエン;等の連鎖移動係数の高い化合物が挙げられる。
【0054】
上記酸基および/またはその塩を有する高分子化合物を重合する際に、原料の全単量体に占める酸基および/またはその塩を含有する単量体の割合(組成比)は、下限値が好ましくは5mol%、より好ましくは60mol%、さらに好ましくは80mol%、最も好ましくは90mol%である。
【0055】
酸基またはその塩を有する高分子化合物の製造方法、つまり、上記単量体成分の重合方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の重合法、例えば、水中油型乳化重合法、油中水型乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、沈澱重合法、溶液重合法、水溶液重合法、塊状重合法等を採用することができる。上記例示の重合方法のなかでも、重合コスト(生産コスト)の低減並びに安全性等の観点から、水溶液重合法が好ましい。
【0056】
上記の重合法に用いられる重合開始剤は、熱または酸化還元反応によって分解し、ラジカル分子を発生させる化合物であればよい。また、水溶液重合法を採用する場合においては、水溶性を備えた重合開始剤が好ましい。該重合開始剤としては、具体的には、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類;2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス−(4−シアノペンタン酸)等の水溶性アゾ化合物;過酸化水素等の熱分解性開始剤;過酸化水素およびアスコルビン酸、t−ブチルハイドロパーオキサイドおよびロンガリット、過硫酸カリウムおよび金属塩、過硫酸アンモニウムおよび亜硫酸水素ナトリウム、等の組み合わせからなるレドックス系重合開始剤;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら重合開始剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。尚、重合開始剤の使用量は、単量体成分の組成や重合条件等に応じて適宜設定すればよい。
【0057】
反応温度や反応時間等の重合条件は、単量体成分、つまり単量体組成物の組成や、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、反応温度は0〜150℃の範囲内であることがより好ましく、40〜120℃の範囲内であることがさらに好ましい。また、反応時間は1〜15時間程度が好適である。
【0058】
水溶液重合法を採用する場合における単量体成分の反応系への供給方法としては、例えば、一括添加法、分割添加法、成分滴下法、パワーフィード法、多段滴下法等を行うことができるが、特に限定されるものではない。
【0059】
また、水溶液重合法を採用した場合に得られるポリマー水溶液中に含まれる、上記高分子化合物を含む不揮発分の濃度は、特に限定されるものではないが、70重量%以下であることが好ましい。不揮発分の濃度が70重量%を越えるポリマー水溶液は、粘度が高くなり過ぎると共に、分散安定性を保つことができずに凝集を生じるおそれがある。
【0060】
上記高分子化合物は、一種類のみを用いてもよく、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。上記高分子化合物のなかでも、後述するζ電位測定試験で測定される微粉のζ電位を下げ、微粉の分散安定性を向上させる効果が高く、少量の使用でもって擬似粒化性を向上させることができることから、カルボキシル基および/またはその塩を有する高分子化合物がより好適である。
【0061】
そして、上記高分子化合物のなかでも、カルボキシル基および/またはその塩を含有し、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の範囲内である高分子化合物(以下、説明の便宜上、高分子化合物Aと記す)が特に好適である。該高分子化合物Aは、例えば、カルボキシル基含有単量体を、単独で、あるいは、該カルボキシル基含有単量体と共重合可能なその他の単量体とを上記の方法で(共)重合することにより得ることができるが、別の方法として、カルボキシル基含有単量体を単独で、あるいは、該カルボキシル基含有単量体と共重合可能なその他の単量体とを、公知の高分子化合物の存在下で付加反応させることにより得ることも可能である。上記公知の高分子化合物としては、例えば重量平均分子量1000以上、1000000以下の範囲内のポリエチレングリコールやポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0062】
また、上記高分子化合物Aは、例えば、公知の高分子化合物に対し加水分解、酸化、還元反応の何れかの処理を行うことにより得ることができる。この場合に用いられる上記公知の高分子化合物としては、例えば重量平均分子量が1000以上、1000000以下の範囲内のポリアクリルアミドやポリアクリル酸メチル等が挙げられる。
【0063】
上記高分子化合物Aのなかでも、ポリアクリル酸ナトリウムまたはポリアクリル酸アンモニウムが、後述するζ電位測定試験で測定される微粉のζ電位を下げ、微粉の分散安定性を向上させる効果が特に高く、また、安価であるため、最も好適に使用できる。
【0064】
以上のように、本発明によれば、製鉄用原料に、後述するζ電位測定試験で測定される微粉のζ電位が−55mV以下の微粉、あるいは、微粉と微粉補助剤とを、後述するζ電位測定試験で測定される、上記微粉補助剤を用いたときの微粉のζ電位が−55mV以下となるように組み合わせて添加することにより、添加水を増やすことなく、バインダーとなる微粒子(微粉)分散水を充分な量確保することができると共に、微粒子分散水中の微粒子量を増加させることができる。したがって、本発明によれば、擬似粒化性を向上させることができるので、微粉を添加しているにも拘らず、造粒後の微粉量は飛躍的に減少する。
【0065】
本発明において製鉄用原料の造粒バインダーとして添加される微粉のζ電位、つまり、後述するζ電位測定試験で測定される微粉のζ電位は、−55mV以下であり、−60mV以下であることが好ましく、−65mV以下であることがさらに好ましい。
【0066】
また、上記製鉄用原料に、微粉と、該微粉のζ電位を下げる作用を有する微粉補助剤とを組みあわせて使用する場合、上記微粉および微粉補助剤は、後述するζ電位測定試験で測定される微粉のζ電位が−55mV以下となる組み合わせで選択される。この場合にも、上記微粉のζ電位は、−60mV以下であることが好ましく、−65mV以下であることがさらに好ましい。
【0067】
本発明において、上記製鉄用原料に添加される上記微粉(微粒子)の添加量(比率)は、製鉄用原料の種類や組み合わせに応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、上記製鉄用原料に対し、0.01重量%以上、30重量%以下の範囲内であることが好ましく、0.1重量%以上、20重量%以下の範囲内であることがより好ましい。上記添加量が0.01重量%未満である場合は、バインダーとなる微粒子分散水中の微粒子量を十分に増加させることができず、十分な擬似粒子化の促進効果が小さく、微粉はあまり減少しない。また、焼結ベット中での擬似粒子の崩壊を防止する効果が得られ難くなる。また、30重量%よりも多い場合は、多量のスラグ等の廃棄物が増えたり、微粒子分が逆に増加し、通気性が低下するため、焼結機の生産性が低下するおそれがある。
【0068】
また、本発明において用いられる上記高分子化合物の使用量は、用いる高分子化合物並びに微粉の種類に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、製鉄用原料に対し、2重量%以下の範囲内において用いることが好ましく、0.5重量%以下の範囲内において用いることがより好ましい。製鉄用原料に対して上記高分子化合物を2重量%を越えて使用すると、全体がスラリー状あるいは固まりになり、結果的に出来上がった粒子(固まり)内の通気性が悪化するため好ましくない。また、上記高分子化合物の使用量の下限値は、製鉄用原料に対し、0.001重量%であることが好ましい。上記高分子化合物の使用量が0.001重量%未満であると、擬似粒化性の向上効果が見られ難い。なお、上記高分子化合物の使用量は、用いる製鉄用原料の造粒性や、水分添加量、使用する造粒機等によって左右されるが、できるだけ少量となるように設計することが望ましい。
【0069】
また、上記製鉄用原料には、鉄鉱石の微粒子を含む製鉄用原料の造粒に用いた場合における擬似粒化性の向上効果を阻害しない範囲内で、あるいはさらに擬似粒化性を向上するために、必要に応じて、他の成分、例えば生石灰、増粘剤等の従来公知の他の造粒添加剤等を、上記高分子化合物と併用してもよい。
【0070】
上記微粉補助剤における上記高分子化合物の割合(含有量)は特に限定されるものではないが、製鉄用原料に対する使用量が上記した範囲内となるように設定されることが望ましい。
【0071】
なお、製鉄用原料に対して添加される水の割合は、造粒時に添加される水と原料中に含まれる持ち込み水分との合計量が、焼結原料に対し、最終的に4重量%以上、15重量%以下の範囲内、より好ましくは5重量%以上、12重量%以下の範囲内であり、ペレット原料に対しては、5重量%以上、50重量%以下の範囲内、より好ましくは7重量%以上、30重量%以下の範囲内である。
【0072】
そこで、上記微粉補助剤における上記高分子化合物の含有量の下限値は、上記高分子化合物がポリマー水溶液の形態で得られる場合、0.01重量%であることが好ましく、0.08重量%であることがより好ましい。一方、上記高分子化合物の含有量の上限値は、70重量%であることが好ましく、60重量%であることがより好ましい。また、上記微粉補助剤における水の含有量は、その下限値が30重量%であることが好ましく、40重量%であることがより好ましい。一方、水の含有量の上限値は、99.99重量%であることが好ましく、99.92重量%であることがより好ましい。
【0073】
また、微粉補助剤を添加する場合、上記高分子化合物は、微粉に対して0.003重量%以上、1000重量%以下の範囲内であることが好ましく、0.1重量%以上、100重量%以下の範囲内であることがより好ましい。
【0074】
本発明において、上記した微粉や微粉補助剤(高分子化合物並びに必要に応じて用いられるその他の微粉補助剤)を製鉄用原料に添加する方法は、特に限定するものではないが、微粉の添加方法としては、例えば、製鉄用原料中に予め配合しておく方法;ミキサー等による原料混合時に添加する方法;添加水を散布し、造粒を行っているときに添加する方法;添加水に分散させて散布する方法等が挙げられる。
【0075】
また、高分子化合物をはじめとする微粉補助剤の添加方法としては、例えば、原料混合前、または原料混合後に散布する方法;原料混合時に散布する方法;造粒時に添加水と別系列で散布する方法;添加水に混合して散布する方法;等が挙げられる。また、この他にも、微粉と微粉補助剤とを併用する場合には、微粉補助剤を使用して微粉(微粒子)を添加水に分散したものを散布し、造粒する方法等が挙げられる。上記微粉と微粉補助剤とは、同時に添加してもよいし、別々に添加してもよい。
【0076】
本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、以上のように、上記製鉄用原料の造粒バインダーとして、後述するζ電位測定試験で測定されるζ電位が−55mV以下の微粉を添加して造粒処理を行うか、上記製鉄用原料に、微粉と、該微粉のζ電位を−55mV以下に下げる作用を有する微粉補助剤とを組み合わせて、同時に、あるいは、別々に添加して造粒処理を行う方法である。
【0077】
上記の方法によれば、製鉄用原料の水分を調節して造粒処理し、擬似粒化またはペレット化するに際し、造粒用の水の中、例えば添加水中に、添加した微粉(微粒子)を安定して分散せしめることができ、擬似粒化性を著しく向上させることができる。
【0078】
したがって、本発明によれば、微粉の鉄鉱石を含む製鉄用原料(焼結原料またはペレット原料)を造粒処理(擬似粒化またはペレット化)するのに好適な造粒処理方法を提供することができる。
【0079】
また、本発明によれば、上記条件にて造粒処理を行うことで、造粒後の鉄鉱石(擬似粒子)のGI指数が85%以上、好適には88%以上という、非常に高いGI指数を得ることができる。なお、造粒された擬似粒子のGI指数とは、核粒子の周りに付着する微粉粒子の割合を示す値であり、この値が大きいものほど造粒性が良好で、焼結ベッドの通気性が向上し、焼結機の生産効率が高くなる。
【0080】
また、本発明によれば、副原料や燃料等を含む製鉄用原料の各銘柄の粒度分布、造粒性、組成等に応じて、製鉄用原料の一部を混合・混練・造粒した後、これを残りの製鉄用原料に混合して造粒する処理方法についても、本発明にかかる造粒処理方法を用いて、微粉もしくは微粉と微粉補助剤とを上記製鉄用原料に添加することにより、擬似粒化することができる。例えば、製鉄用原料の一部が難造粒性を示す場合には、この難造粒性の製鉄用原料に上記した微粉もしくは微粉と微粉補助剤とを添加することにより、擬似粒化性を向上させることができる。
【0081】
本発明によれば、製鉄用原料や造粒機、各成分、つまり、例えば上記した微粉や微粉補助剤を添加するタイミングや場所等の組み合わせを自由に選択することができ、従ってその組み合わせは、特に限定されるものではない。つまり、複数の処理工程を有し、各処理方法と、上記した微粉や微粉補助剤を組み合わせる造粒処理においても、本発明にかかる造粒処理方法を適用して上記した微粉や微粉補助剤を製鉄用原料に添加することにより、擬似粒化することができる。勿論、公知の擬似粒化方法(手段)に対しても有効である。
【0082】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。尚、実施例および比較例に記載の「部」は「重量部」を示し、「%」は「重量%」を示す。また、以下に記載の実施例および比較例における焼結原料並びにペレット原料は、全て、絶乾状態のものを使用した。
【0083】
実施例および比較例における数平均分子量、重量平均分子量、多分散度、GI指数、ζ電位は、下記方法により測定した。
【0084】
(数平均分子量、重量平均分子量、多分散度)
数平均分子量並びに重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定した。測定条件は以下の通りである。
ポンプ:「L−7110」(株式会社日立製作所製)
キャリア液:リン酸水素二ナトリウム十二水和物34.5gおよびリン酸二水素ナトリウム二水和物46.2gに超純水を加えて全量を5000gとした。
流速:0.5ml/min
カラム:水系GPCカラム「GF−7MHQ」(昭和電工株式会社製)1本
検出器:紫外線(UV)検出器「L−7400」(株式会社日立製作所製)、波長214nm
分子量標準サンプル:ポリアクリル酸ナトリウム(創和科学株式会社製)
分析サンプルは、高分子化合物が固形分で0.1重量となるように上記キャリア液で希釈することにより調整した。
【0085】
また、高分子化合物の多分散度は、上記測定条件により測定した重量平均分子量並びに数平均分子量に基づいて、以下の計算式
(多分散度)=(量平均分子量)/(数平均分子量)
により算出した。
【0086】
(GI指数)
造粒操作を行って得られた擬似粒子を80℃で1時間乾燥後、ふるいを用いて分級することにより、その粒度(擬似粒度)並びに平均粒径を求めた。造粒された擬似粒子のGI指数とは、製鉄研究第288号(1976)9頁に開示されている評価方法の一つであり、核粒子の周りに付着する微粉粒子の割合を示す。なお、GI指数の測定は、製鉄研究第288号(1976)9頁に記載の方法に準じて行った。以下の測定においては、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。
また、0.25mm以下の擬似粒子のGI指数(擬似粒化指数)は以下の式により計算した。
GI指数=(造粒前の0.25mm未満の原料の比率−造粒後の0.25mm未満の原料の比率)/(造粒前の0.25mm未満の原料の比率)×100
(ζ電位)
微粉のζ電位は、以下に示すζ電位測定試験により測定した。
【0087】
微粉補助剤を使用する場合は、固形分で2%の微粉補助剤の蒸留水溶液12部と微粉12部とを12時間混合して得られた混合液を、固形分で0.3%の微粉補助剤の蒸留水溶液中に適正な測定濃度になるように添加、混合することによりζ電位測定用の試料とした。なお、微粉補助剤の固形分濃度が2%より薄い場合は、一旦濃縮した後、蒸留水で再度所定濃度に希釈して測定に用いた。
【0088】
微粉補助剤を使用しない場合は、ほう酸塩pH標準液第2種(pH=9.18)に微粉を適正な測定濃度になるように添加、混合することによりζ電位測定用の試料とした。
【0089】
また、微粉を添加しない場合、すなわち、焼結原料中に元々含まれる微粉のζ電位の測定には、ほう酸塩pH標準液第2種(pH=9.18)100gに焼結原料1gを投入し、激しく攪拌した後、10分後の上澄みを採取し、この上澄みを、ほう酸塩pH標準液第2種(PH=9.18)に適正な測定濃度となるように添加、攪拌して得られた試料を、ζ電位測定用の試料として用いた。
【0090】
なお、ζ電位の測定値は試料の測定濃度により変化しないが、ζ電位測定装置により、該ζ電位測定装置の感度に応じた測定誤差の少ない濃度が自動的に判断され、各試料の濃度、すなわち、各試料における添加成分の添加量が決定される。
【0091】
上記測定において、ζ電位測定装置には、電気泳動光散乱光度計ELS−800(大塚電子株式会社)を使用した。また、セルには、EL−8201(大塚電子株式会社)を使用し、測定温度は25℃、散乱角は20゜、泳動電圧は90Vとした。また、上記の通り、試験溶媒には、微粉補助剤を使用する場合は、微粉補助剤を固形分で0.3%となるように蒸留水に溶解したものを使用し、微粉補助剤を使用しない場合は、ほう酸塩pH標準液第2種(pH=9.18)を使用した。このため、上記試験溶液(試料)のpHは、8〜9.5の範囲内である。
【0092】
(微粉の平均粒径)
イオン交換水を溶媒として用いて、散乱式粒度分布測定装置LA−910W(堀場製作所製)により測定した。
【0093】
〔実施例1〕
攪拌機およびコンデンサを備えたセパラブルフラスコ(SUS316製)に、イオン交換水805.5部を仕込み、攪拌下、系の沸点まで昇温した。続いて、上記セパラブルフラスコ内に、カルボキシル基含有単量体としての80%アクリル酸水溶液2126.1部、並びに、重合開始剤としての15%過硫酸ナトリウム水溶液112.4部および45%次亜リン酸ナトリウム一水和物水溶液88.5部を滴下した。上記80%アクリル酸水溶液、15%過硫酸ナトリウム水溶液、45%次亜リン酸ナトリウム一水和物水溶液は、それぞれ別々の滴下口より滴下した。80%アクリル酸水溶液は180分間で滴下した。15%過硫酸ナトリウム水溶液は185分間で滴下した。45%次亜リン酸ナトリウム一水和物水溶液は180分間で滴下した。滴下時間中、反応温度は系の沸点を維持した。滴下終了後、同温度に5分間保持した後、中和剤としての48%水酸化ナトリウム水溶液1889.0部を60分間かけて滴下することにより、重合体水溶液(1)を得た。このようにして得られた重合体水溶液(1)中の重合体(高分子化合物(1))の数平均分子量、多分散度、を測定したところ、数平均分子量は2900、重量平均分子量は12200、多分散度は4.21であった。
【0094】
次に、上記重合体水溶液(1)を固形分換算で21部となるように採取し、これを蒸留水で希釈して5250部とすることにより、微粉補助剤(1)を得た。一方、表1に示す組成を有する焼結原料(製鉄用原料)を調製した。
【0095】
【表1】
【0096】
上記の焼結原料70000部と、微粉としての「WHITONP−10」(商品名;白石工業株式会社製重質炭酸カルシウム)1400部とをドラムミキサーに投入し、回転速度24min-1で1分間、予備攪拌した。その後、同回転速度で攪拌しながら、該焼結原料に、予め調製した上記微粉補助剤(1)5250部を、霧吹きを用いて約1.5分間かけて噴霧した。焼結原料に対する上記高分子化合物(1)の割合は0.03%であり、焼結原料に対する上記微粉の割合は2%とした。噴霧後、さらに同回転速度で2.5分間攪拌することにより、造粒処理を行った。
【0097】
得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子を乾燥後、ふるいを用いて分級することにより、擬似粒子の平均粒径およびGI指数を求めた。また、上記微粉補助剤(1)を併用したときの微粉のζ電位を測定した。この結果をまとめて表2に示す。
【0098】
〔実施例2〕
実施例1において、「WHITONP−10」1400部に代えて微粉として「KAOFINE」(商品名;Thiele Kaolin Company製カオリンクレー)1400部を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って造粒処理を行った。本実施例においても、焼結原料に対する高分子化合物(1)の割合は0.03%であり、焼結原料に対する微粉の割合は2%とした。
【0099】
得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子を乾燥後、ふるいを用いて分級することにより、擬似粒子の平均粒径およびGI指数を求めた。この結果をまとめて表2に示す。また、上記微粉補助剤(1)を併用したときの微粉のζ電位を測定した。この結果をまとめて表2に示す。
【0100】
〔実施例3〕
実施例1において、「WHITONP−10」1400部に代えて微粉としてケミライト鉄粉(分析値;酸化鉄99.6重量%、酸化マンガン0.4重量%)1400部を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って造粒処理を行った。本実施例においても、焼結原料に対する高分子化合物(1)の割合は0.03%であり、焼結原料に対する微粉の割合は2%とした。
【0101】
得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子を乾燥後、ふるいを用いて分級することにより、擬似粒子の平均粒径およびGI指数を求めた。また、上記微粉補助剤(1)を併用したときの微粉のζ電位を測定した。この結果をまとめて表2に示す。
【0102】
〔実施例4〕
攪拌機およびコンデンサを備えたセパラブルフラスコ(SUS316製)に、イオン交換水1400部を仕込み、攪拌下、系の沸点まで昇温した。続いて、上記セパラブルフラスコ内に、カルボキシル基含有単量体としての80%アクリル酸水溶液578.5部および重合開始剤としての15%過硫酸アンモニウム水溶液62.5部をそれぞれ別々の滴下口より2時間かけて滴下した。滴下時間中、反応温度は系の沸点を維持した。滴下終了後、同温度に120分間保持した後、中和剤としての48%水酸化ナトリウム水溶液353部を60分間かけて滴下することにより、重合体水溶液(2)を得た。このようにして得られた重合体水溶液(2)中の重合体(高分子化合物(2))の数平均分子量、多分散度を測定、算出したところ、数平均分子量は4900、重量平均分子量は48200、多分散度は9.84であった。
【0103】
次に、上記重合体水溶液(2)を固形分換算で21部となるように採取し、これを蒸留水で希釈して5250部とすることにより、微粉補助剤(2)を得た。続いて、実施例1において、微粉補助剤(1)5250部に代えて上記微粉補助剤(2)5250部を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って造粒処理を行った。本実施例においても、焼結原料に対する高分子化合物(2)の割合は0.03%であり、焼結原料に対する微粉の割合は2%とした。
【0104】
得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子を乾燥後、ふるいを用いて分級することにより、擬似粒子の平均粒径およびGI指数を求めた。また、上記微粉補助剤(2)を併用したときの微粉のζ電位を測定した。この結果をまとめて表2に示す。
【0105】
〔実施例5〕
実施例4において、「WHITONP−10」1400部に代えて微粉として「WHITONP−50」(商品名;白石工業株式会社製重質炭酸カルシウム)1400部を用いた以外は、実施例4と同様の操作を行って造粒処理を行った。本実施例においても、焼結原料に対する高分子化合物(2)の割合は0.03%であり、焼結原料に対する微粉の割合は2%とした。
【0106】
得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子を乾燥後、ふるいを用いて分級することにより、擬似粒子の平均粒径およびGI指数を求めた。また、微粉補助剤(2)を併用したときの微粉のζ電位を測定した。この結果をまとめて表2に示す。
【0107】
〔実施例6〕
攪拌機およびコンデンサを備えたセパラブルフラスコ(SUS316製)に、無水マレイン酸196部、イオン交換水110.7部、水酸化ナトリウム48%水溶液333.3部を仕込み、攪拌下、系の沸点まで昇温した。続いて、上記セパラブルフラスコ内に、カルボキシル基含有単量体としての60%アクリル酸水溶液560.78部、並びに、重合開始剤としての10%過硫酸ナトリウム水溶液200部および35%過酸化水素水6.65部を滴下した。上記60%アクリル酸水溶液、10%過硫酸ナトリウム水溶液、35%過酸化水素水は、それぞれ別々の滴下口より滴下した。60%アクリル酸水溶液および10%過硫酸ナトリウム水溶液は150分間で滴下した。35%過酸化水素水は120分間で滴下した。その後、上記セパラブルフラスコ内の反応溶液のpHが8.0になるように水酸化ナトリウム48%水溶液を添加、混合することにより、重合体水溶液(3)を得た。このようにして得られた重合体水溶液(3)中の重合体(高分子化合物(3))の数平均分子量、多分散度を測定したところ、数平均分子量は4000、重量平均分子量は46400、多分散度は11.6であった。
【0108】
次に、上記重合体水溶液(3)を固形分換算で21部となるように採取し、これを蒸留水で希釈して5250部とすることにより、微粉補助剤(3)を得た。続いて、実施例1において、微粉補助剤(1)5250部に代えて上記微粉補助剤(3)5250部を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って造粒処理を行った。本実施例においても、焼結原料に対する高分子化合物(3)の割合は0.03%であり、焼結原料に対する微粉の割合は2%とした。
【0109】
得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子を乾燥後、ふるいを用いて分級することにより、擬似粒子の平均粒径およびGI指数を求めた。また、上記微粉補助剤(3)を併用したときの微粉のζ電位を測定した。この結果をまとめて表2に示す。
【0110】
〔実施例7〕
攪拌機およびコンデンサを備えたセパラブルフラスコ(SUS316製)に、イオン交換水920部を仕込み、攪拌下、系の沸点まで昇温した。続いて、上記セパラブルフラスコ内に、カルボキシル基含有単量体としての80%アクリル酸水溶液630.3部および重合開始剤としての15%過硫酸アンモニウム水溶液27.3部をそれぞれ別々の滴下口より80分間かけて滴下した。滴下時間中、反応温度は系の沸点を維持した。滴下終了後、同温度に60分間保持した後、中和剤としての48%水酸化ナトリウム水溶液565.5部を60分間かけて滴下することにより、重合体水溶液(4)を得た。このようにして得られた重合体水溶液(4)中の重合体(高分子化合物(4))の数平均分子量、多分散度を測定、算出したところ、数平均分子量は11000、重量平均分子量は179300、多分散度は16.3であった。
【0111】
次に、上記重合体水溶液(4)を固形分換算で21部となるように採取し、これを蒸留水で希釈して5250部とすることにより、微粉補助剤(4)を得た。続いて、実施例1において、微粉補助剤(1)5250部に代えて上記微粉補助剤(4)5250部を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って造粒処理を行った。本実施例においても、焼結原料に対する高分子化合物(4)の割合は0.03%であり、焼結原料に対する微粉の割合は2%とした。
【0112】
得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子を乾燥後、ふるいを用いて分級することにより、擬似粒子の平均粒径およびGI指数を求めた。また、上記微粉補助剤(4)を併用したときの微粉のζ電位を測定した。この結果をまとめて表2に示す。
【0113】
〔実施例8〕
実施例2において、微粉補助剤(1)5250部に代えて蒸留水5250部を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行って造粒処理を行った。すなわち、本実施例においては、実施例2において製鉄用造粒処理剤として微粉(「KAOFINE」)と微粉補助剤(1)とを併用する代わりに、微粉(「KAOFINE」)のみを用いて造粒処理を行った。
【0114】
得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子を乾燥後、ふるいを用いて分級することにより、擬似粒子の平均粒径およびGI指数を求めた。また、上記微粉のζ電位を測定した。この結果をまとめて表2に示す。
【0115】
〔比較例1〕
実施例1において、微粉補助剤(1)5250部と「WHITONP−10」1400部とを併用する代わりに蒸留水5250部のみを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って造粒処理を行った。
【0116】
得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子を乾燥後、該擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、擬似粒子の平均粒径およびGI指数を求めた。この結果をまとめて表2に示す。
【0117】
〔比較例2〕
実施例1において、微粉補助剤(1)5250部に代えて蒸留水5250部を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って造粒処理を行った。すなわち、本比較例においては、実施例1において製鉄用造粒処理剤として微粉(「WHITONP−10」)と微粉補助剤(1)とを併用する代わりに、微粉(「WHITONP−10」)のみを用いて造粒処理を行った。
【0118】
得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子を乾燥後、ふるいを用いて分級することにより、擬似粒子の平均粒径およびGI指数を求めた。また、上記微粉のζ電位を測定した。この結果をまとめて表2に示す。
【0119】
〔比較例3〕
実施例3において、微粉補助剤(1)5250部に代えて蒸留水5250部を用いた以外は、実施例3と同様の操作を行って造粒処理を行った。すなわち、本比較例においては、実施例3において製鉄用造粒処理剤として微粉(ケミライト鉄粉)と微粉補助剤(1)とを併用する代わりに、微粉(実施例3に記載のケミライト鉄粉)のみを用いて造粒処理を行った。
【0120】
得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子を乾燥後、ふるいを用いて分級することにより、擬似粒子の平均粒径およびGI指数を求めた。また、上記微粉のζ電位を測定した。この結果をまとめて表2に示す。
【0121】
〔比較例4〕
アクリル酸ナトリウム21部を蒸留水で希釈して5250部とすることにより、比較用微粉補助剤(1)を得た。
続いて、実施例1において、微粉補助剤(1)5250部に代えて上記比較用微粉補助剤(1)5250部を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って造粒処理を行った。本比較例において焼結原料に対する高分子化合物の割合は0%であり、焼結原料に対する微粉の割合は2%である。
【0122】
得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子を乾燥後、ふるいを用いて分級することにより、擬似粒子の平均粒径およびGI指数を求めた。また、上記比較用微粉補助剤(1)を併用したときの微粉のζ電位を測定した。この結果をまとめて表2に示す。
【0123】
【表2】
【0124】
表2に示す結果から、本発明によれば、上記ζ電位測定試験で測定される微粉のζ電位が−55mV以下の微粉をバインダーとして用いることで、GI指数、すなわち、鉄鉱石の造粒性(擬似粒化性)を大きく増加させることができることが判る。また、本発明によれば、微粉と、高分子化合物を含む微粉補助剤とを併用することで、上記電位測定試験で測定される微粉のζ電位を容易に−55mV以下に調整することが可能であり、製鉄用原料(焼結原料)の造粒性(擬似粒化性)を大きく増加させることができることが判る。
【0125】
また、この結果から、本発明によれば、擬似粒子を焼結してなる焼結機の生産率、成品歩留、焼結鉱強度を向上させることができることが推察される。焼結鉱強度が弱い焼結鉱は微粉が発生し易くなるので、返鉱が多くなり成品歩留が低下し、その生産効率が低下する。
【0126】
【発明の効果】
本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、以上のように、焼結原料またはペレット原料からなる製鉄用原料を造粒処理する方法において、上記製鉄用原料に、平均粒径が0.01μm以上、200μm以下であり、かつ電気泳動光散乱法を用いたζ電位測定試験で測定されたζ電位が−55mV以下の微粉を、上記製鉄用原料に対し、0.01重量%以上、30重量%以下の範囲内で添加する方法である。
【0127】
また、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、以上のように、焼結原料またはペレット原料からなる製鉄用原料を造粒処理する方法において、上記製鉄用原料に、平均粒径が0.01μm以上、200μm以下であり、かつ鉄鉱石、鉄鋼用副原料、石灰石、鉄粉、ペレットフィード、カオリンクレー、ベントナイト、製鉄所内で発生するダスト、シリカヒューム、フライアッシュ、無水石膏、コロイダルシリカからなる群より選ばれる微粉と、該微粉のζ電位を調節する微粉補助剤とを、電気泳動光散乱法を用いたζ電位測定試験で測定される上記微粉のζ電位が−55mV以下となるように選択して添加するとともに、上記製鉄用原料に対する微粉の添加量が0.01重量%以上、30重量%以下の範囲内である方法である。
【0128】
上記のζ電位測定試験で測定されたζ電位が−55mV以下の微粉は、水への分散安定性に優れている。このため、上記の方法によれば、添加水を増やすことなく、バインダーとなる微粉(微粒子)分散水を充分な量確保することができると共に、微粉(微粒子)分散水中の微粒子量を増加させることができる。但し、上記製鉄用原料に添加される上記微粉の添加量が0.01重量%未満である場合は、バインダーとなる微粒子分散水中の微粒子量を十分に増加させることができず、十分な擬似粒子化の促進効果が小さく、微粉はあまり減少しない。また、焼結ベット中での擬似粒子の崩壊を防止する効果が得られ難くなる。また、30重量%よりも多い場合は、多量のスラグ等の廃棄物が増えたり、微粒子分が逆に増加し、通気性が低下するため、焼結機の生産性が低下するおそれがある。本発明によれば、擬似粒化性を向上させることができるので、微粉を添加しているにも拘らず、造粒後の微粉量は飛躍的に減少する。それゆえ、上記の方法によれば、焼結鉱を得るべく微粉の鉄鉱石を含む製鉄用原料(焼結原料またはペレット原料)を造粒処理(擬似粒化またはペレット化)するのに好適な造粒処理方法を提供することができるという効果を奏する。また、上記の方法によれば、通気性の低下やスラグ等の廃棄物の増加を招来することなく微粉分散水中の微粒子量を増加させることができ、擬似粒子化の促進効果の高い製鉄用原料の造粒処理方法を提供することができるという効果を奏する。
【0129】
また、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、以上のように、上記微粉補助剤が、酸基および/またはその塩を有する高分子化合物を含む方法である。
【0130】
さらに、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、以上のように、上記高分子化合物の使用量は、上記製鉄用原料に対して0.001重量%以上、2重量%以下の範囲内であり、かつ、上記微粉に対して0.003重量%以上、1000重量%以下の範囲内である方法である。
【0131】
酸基および/またはその塩を有する高分子化合物は、上記のζ電位測定試験で測定される微粉のζ電位を下げ、微粉の分散安定性を向上させる効果が高く、高分子化合物の使用量が少なくても優れた造粒性を得ることができる。また、高分子化合物は、製鉄用原料に後から添加した微粉の凝集体のみならず、配合原料が元々僅かに持っている200μm以下の微粒子の凝集体をほぐし、微粒子を水に分散させることができる。このため、上記の各方法によれば、より一層、擬似粒化性を向上させることができるという効果を奏する。
Claims (4)
- 焼結原料またはペレット原料からなる製鉄用原料を造粒処理する方法において、
上記製鉄用原料に、平均粒径が0.01μm以上、200μm以下であり、かつ電気泳動光散乱法を用いたζ電位測定試験で測定されたζ電位が−55mV以下の微粉を、上記製鉄用原料に対し、0.01重量%以上、30重量%以下の範囲内で添加することを特徴とする製鉄用原料の造粒処理方法。 - 焼結原料またはペレット原料からなる製鉄用原料を造粒処理する方法において、
上記製鉄用原料に、平均粒径が0.01μm以上、200μm以下であり、かつ鉄鉱石、鉄鋼用副原料、石灰石、鉄粉、ペレットフィード、カオリンクレー、ベントナイト、製鉄所内で発生するダスト、シリカヒューム、フライアッシュ、無水石膏、コロイダルシリカからなる群より選ばれる微粉と、該微粉のζ電位を調節する微粉補助剤とを、電気泳動光散乱法を用いたζ電位測定試験で測定される上記微粉のζ電位が−55mV以下となるように選択して添加するとともに、上記製鉄用原料に対する微粉の添加量が0.01重量%以上、30重量%以下の範囲内であることを特徴とする製鉄用原料の造粒処理方法。 - 上記微粉補助剤が、酸基および/またはその塩を有する高分子化合物を含むことを特徴とする請求項2記載の製鉄用原料の造粒処理方法。
- 上記高分子化合物の使用量は、上記製鉄用原料に対して0.001重量%以上、2重量%以下の範囲内であり、かつ、上記微粉に対して0.003重量%以上、1000重量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項3記載の製鉄用原料の造粒処理方法。
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