JP4133111B2 - 製鉄用原料の造粒処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、製鉄用原料の造粒処理方法に関する。より詳しくは、製鉄用原料となる焼結鉱の製造において粉鉄鉱石等を製鉄所内で発生するダストと共に造粒するための製鉄用原料の造粒処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
製鉄工程は、一般に鉄鉱石を主成分とする製鉄用原料を高炉に装入することにより行われている。製鉄用原料となる鉄鉱石には、塊鉄鉱石と粉鉄鉱石とがあり、このうち5mm以下の粉鉄鉱石が世界で産出される鉄鉱石の約60%を占めているが、このような粉鉄鉱石をそのまま製鉄の高炉に装入すると、通気性の不良や不均一、ガス灰発生量の増加を生じる等、高炉操業に影響を及ぼすこととなる。これらのことから、一般に製鉄工程における高炉装入用原料としては、粉鉄鉱石を塊成化した焼結鉱が用いられている。すなわち現在では、製鉄工程における高炉装入用原料としては焼結鉱が主体である。
【0003】
このような焼結鉱の製造工程においては、焼結原料を焼結機に特定の高さに充填し、焼結ベッドを形成した後に、表層に点火して焼結工程が行われることとなる。このような焼結工程において、焼結原料としては、鉄鉱石や燃料等の他、ダストも含めることが考えられる。すなわち製鉄所内においては、例えば、高炉、焼結炉、転炉等から排ガス等が発生し、この中に超微粒子等のダストが含まれることから、このように発生するダストを回収し、副原料として製鉄用原料に含めて有効に再利用することが考えられる。
【0004】
また焼結工程において用いられる焼結機としては、通常では下方吸引式が採用されている。下方吸引式の焼結機においては、焼結原料の下側から吸引することによって焼結に必要な空気を流通させると共に、焼結原料の上側から下側へ向かって燃料を燃焼させることにより、焼結原料を焼結するようになっている。このため、焼結原料が微粉を多く含んでいると、目詰まりを起こす等して通気性が低下し、燃料であるコークスの燃焼速度が遅くなるので、焼結鉱の生産効率が低下することとなる。
【0005】
そこで焼結原料を焼結させる際の焼結機における通気性を改善するために、焼結原料を造粒して擬似粒子化する等の事前処理が行われている。例えば、焼結原料となる鉄鉱石、副原料、燃料等を混合し、少量の水を添加して造粒機で攪拌する等の造粒操作が行われている。擬似粒子とは、一般的に、0.5mm以下の微粒子が1〜3mmの核粒子に付着している粒子である。このような造粒に際して求められる作用は、微粉粒子が核粒子の周りに付着する擬似粒化性を向上すること、擬似粒子が焼結工程における湿潤帯、乾燥帯等で崩壊しにくくなるようにすること等である。焼結原料をこのように擬似粒子とすることで、焼結機上での焼結原料充填層(焼結ベッド)中の通気性を向上し、焼結工程における生産性向上を図ることができる。
【0006】
このような焼結原料の事前処理において、水だけを用いる造粒操作では、擬似粒化性を向上させる効果が乏しいため、焼結原料に含まれる微粉の量をあまり低減することができない。このために、擬似粒化性を向上させる対策として、焼結原料中に粘結剤としての作用を有する造粒添加剤を添加する方法が提案されている。造粒添加剤としては、例えば、ベントナイト、リグニン亜硫酸塩(パルプ廃液)、澱粉、砂糖、糖蜜、水ガラス、セメント、ゼラチン、コーンスターチ等が検討されているが、現在では、生石灰が広く用いられている。生石灰は、造粒機内での擬似粒子化の促進を図ることができるうえに、焼結工程において、乾燥、加熱する過程で擬似粒子が崩壊することを防止し、焼結層中の均一な風の流れを保つことができるとされている。
【0007】
しかしながら、糖蜜等のバインダーは、一般に比較的高価なものであり、また、生石灰は吸湿しやすく、このとき発熱するため、取り扱いやすいものが求められている。更に、現在使用されている生石灰は、使用量を比較的多くしないと充分な効果が得られないため、コストが上昇することとなる。生石灰を用いる場合には、その使用量を極力減少させて操業しているのが現状である。そして、生石灰を2質量%以上添加しても、その擬似粒化性の向上効果は頭打ちとなる傾向にある。
【0008】
焼結原料の事前処理について、特開昭59−50129号公報には、特定濃度の分散剤及び/又は特定濃度の界面活性剤を含有する水を用いる焼結原料の前処理方法に関し、分散剤としては、平均分子量2000〜20000のアクリル酸系重合体、マレイン酸系重合体、スチレンスルホン酸系重合体等が開示されている。また、特開昭61−61630号公報には、平均分子量が500〜300000のマレイン酸重合体等の水溶性高分子化合物を含む焼結鉱製造用粘結剤が開示されている。また、特開2000−178662号公報には、ミルスケールや高炉ダストを含む、製鉄用原料粉末を、カルボキシメチルセルロース塩や、数平均分子量20万以上のポリアクリル酸塩等で処理する造粒処理方法が開示されている。
【0009】
しかしながら、これらの技術においては、製鉄用原料をダストと共に造粒処理する場合に、擬似粒化性を向上させるための工夫の余地があった。すなわち焼結工程においてダストを含む焼結原料を用いると、ダストが主に微粒子により構成されており、更にダストが生石灰等、上記分散剤に悪影響を与える成分を含有していることから、これに起因して焼結機における通気性が低下し、それにともなって焼結工程における生産性が低下することになる。したがって、このような場合に、ダストの悪影響を充分に少なくし、製鉄用原料がダストと共に充分に擬似粒子化されるようにするための工夫の余地があった。
【0010】
ところで、焼結原料を擬似粒子化するためには、造粒添加剤に焼結原料のバインダーとしての作用が要求されることになる。このような要求性能としては、製鉄のコストを抑制するために少量の添加で造粒できて廉価なものであること、輸送時や焼結ベッドの水分凝縮帯で崩壊しないように乾燥後も微粒粉に戻りにくくて焼結強度が落ちにくいこと、焼結鉱の歩留まりをよくして生産効率が向上すること等が挙げられるが、これらの性能をより向上することが求められている。また、最近では、優良塊鉱の枯渇化と共に、粉鉱石の劣質化も激しく、焼結原料の造粒性が以前よりも悪化している傾向にあることから、焼結原料に含まれる微粉の量を低減させる効果が充分に高く、焼結鉱の生産効率を向上させることができる製鉄用造粒処理剤が求められている。このようなことから、製鉄用原料を擬似粒子化し、しかも製鉄用原料をダストと共に造粒処理する場合においても効率よく焼結鉱とすることを可能とする技術が切望されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、製鉄用原料となる焼結鉱の製造において粉鉄鉱石等を製鉄所内で発生するダストと共に造粒する際に擬似粒化性を向上することができるため、製鉄用原料をダストと共に効率よく焼結させることができる製鉄用原料の造粒処理方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、製鉄用原料をダストと共に造粒する造粒処理方法について種々検討するうち、通常では製鉄用原料をダストと共に造粒すると、ダストが製鉄所内で生じる排ガス中の微粒子を含むものであるため焼結工程で焼結機の通気性を低下させて焼結鉱の生産効率を低下させる原因となるが、予めダストを選択的に処理した後にダストを含めた製鉄用原料を造粒処理すると、擬似粒化性が向上することに着目した。そして、ダストを予め選択的に処理するためのダスト処理剤として、重量平均分子量が1000〜5000000の高分子化合物を必須とするものを用いることによりダストの悪影響をなくしたり、低減したりすることができ、ダストを含めた製鉄用原料の造粒性が著しく向上することを見いだした。また、更に製鉄用原料をダストと共に造粒するための製鉄用造粒処理剤として、重量平均分子量が1000〜5000000の高分子化合物を必須とするものを用いると、該高分子化合物が造粒用バインダーとしての作用を発揮し、しかも製鉄用原料をダストと共に効率よく焼結させるための作用を充分に発揮することを見いだした。また、これらの高分子化合物としては、カルボキシル基及び/又はその塩を有するものが好適であり、更に、カルボキシル基及び/又はその塩を有する単量体を特定量含有する単量体成分を重合してなるものであると、本発明の作用効果をより充分に発揮することができることを見いだした。造粒用バインダーとは、通常では水が粉鉄鉱石を造粒する作用を有するため水を加え造粒しているが、水だけでは焼結の際、乾燥すると粉に戻るのでこれを防止して焼結鉱の製造における歩留まり、生産効率の低下を抑制するためのものである。通常では粉鉄鉱石の微粉の凝集体が水を吸収して造粒する作用を充分に発揮することができないこととなるが、造粒用バインダーとして特定の重量平均分子量の高分子化合物を用いると、水を取り込んでいる凝集体を破壊して分散させる作用を発揮し、これにより粉鉄鉱石を造粒する作用を発揮できる水の量が充分となって擬似粒化性が向上し、また、粉鉄鉱石を充分に分散させることにより、水が効率よく粉鉄鉱石を造粒する作用を発揮することができることとなる。すなわち通常では造粒用バインダーは、粘結剤としての作用を有するものがよいと考えられていたが、特定の重量平均分子量の高分子化合物においては、分散剤としての作用を有することにより造粒用バインダーとしての優れた作用を有することになると考えられる。なお、ダスト中に酸化カルシウム等が含まれることに起因して造粒用バインダーの作用が低下するおそれもあるが、本発明においてはダストを予め処理するためにこのような造粒用バインダーの作用の低下を充分に抑制することができることとなる。
【0013】
またダストを混合処理する工程において、ダストとダスト処理剤とを粉砕機及び/又は造粒機を用いて混合処理すると、粉砕機によるダストの凝集物をほぐす作用が発揮されることにより、また、造粒機によるダストを造粒する作用が発揮されることにより、これらの作用がダスト処理剤による作用と相乗的に発揮されて本発明の作用効果をより充分に発揮することができることを見いだし、本発明に到達したものである。
【0014】
すなわち本発明は、製鉄用原料をダストと共に造粒処理する工程を含んでなる製鉄用原料の造粒処理方法であって、上記製鉄用原料の造粒処理方法は、重量平均分子量が1000〜5000000の高分子化合物を必須成分とするダスト処理剤をダストに添加して混合処理する工程の後に、製鉄用原料に添加し、造粒処理する工程を行う製鉄用原料の造粒処理方法である。
以下に、本発明を詳述する。
【0015】
本発明の製鉄用原料の造粒処理方法は、製鉄用原料をダストと共に造粒処理する工程を含んでなる。製鉄用原料としては、微粉の鉄鉱石を含む焼結原料、ペレット原料等の製鉄用原料が挙げられ、また、製鉄用原料となるダストとしては、製鉄所内で発生するダスト、例えば、高炉、焼結、転炉等で発生したダストを用いることができる。
本発明においてダストとは、製鉄所において製鉄のプロセスにおける各工程で、発生する微粉廃棄物の総称である。上記ダストとしては、焼結プロセスで発生する焼結ダスト、高炉プロセスで発生する高炉ダスト、転炉プロセスで発生する転炉ダストや転炉グラファイト、冷延工場で発生する酸洗ダスト、その他、コークス消化沈殿粉、圧延戻り水ダスト、ラグーンダスト等が挙げられる。これらは一種類であるいは二種類以上が混合されて用いられる。しかしながら、製鉄以外のプロセスで発生するダストも使用可能である。具体的には、火力発電所で発生するダスト、例えば、フライアッシュや重油灰、製銅プロセスで発生するカラミ鉄精鉱や銅スラグ等のスラッジ、アルミナ製造工程で排出される赤泥、その他、排煙脱硫石膏やアスベスト粉塵等であってもよい。
【0016】
本発明においては、ダスト処理剤をダストに添加して混合処理する工程の後に、製鉄用原料に添加し、造粒処理する工程を行うことになる。すなわち製鉄用原料をダストと共に造粒処理する工程において用いるダストの全部又は一部を予めダスト処理剤により処理されたダストとすることになるが、予めダスト処理剤により処理されたダストが造粒処理工程において用いられることとなればよく、例えば、ダスト処理剤をダストに添加して混合処理する工程を行った後に、造粒処理工程にダスト処理剤により処理されたダストを供給することが好ましい。
【0017】
上記ダスト処理剤としては、重量平均分子量が1000〜5000000の高分子化合物を必須成分とするものを用いることになる。ダスト処理剤及び製鉄用造粒処理剤において、このような高分子化合物は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。また、ダスト処理剤や製鉄用造粒処理剤における高分子化合物の含有量としては、高分子化合物の種類や製鉄用造粒処理剤に所望される性能等により適宜設定すればよいが、ダスト処理剤や製鉄用造粒処理剤中の水100重量部に対して、0.1重量部以上であることが好ましく、また、300重量部以下であることが好ましい。より好ましくは、0.5重量部以上であり、また、250重量部以下である。最も好ましくは5〜100重量部である。また、ダスト処理剤や製鉄用造粒処理剤は、本発明の作用効果を損なわない範囲内で、又は、擬似粒化性等を向上するために、必要に応じて他の成分、例えば、生石灰等の従来公知の造粒添加剤等を含んでいてもよい。
【0018】
上記ダスト処理剤や製鉄用造粒処理剤の必須成分である高分子化合物の重量平均分子量が1000未満であると、分散剤としての作用が低下することになる。ダスト処理剤の必須成分である高分子化合物の重量平均分子量が5000000を超えると、高分子化合物の粘度が高くなり過ぎて分散剤としての作用が充分に発揮されるように添加しにくいものとなる。より好ましくは、3000以上であり、また、1000000以下であり、更に好ましくは、5000以上であり、また、200000以下である。また、好ましい数平均分子量としては500以上であり、また、15万以下である。製鉄用造粒処理剤の必須成分である高分子化合物の重量平均分子量としては、好ましくは、3000以上であり、また、200000以下であり、最も好ましくは、5000以上であり、また、100000以下である。また、好ましい数平均分子量としては500以上であり、また、15万以下である。なお、本明細書中、重量平均分子量は、以下の測定条件で測定される値である。
【0019】
(重量平均分子量測定条件)
カラム:水系GPCカラム「GF−7MHQ」(商品名、昭和電工社製)1本
キャリア液:リン酸水素二ナトリウム十二水和物34.5g及びリン酸二水素ナトリウム二水和物46.2gに超純水を加えて全量を5000gとした。
水溶液流速:0.5ml/min
ポンプ:「L−7110」(商品名、日立製作所社製)
検出器:紫外線(UV)検出器「L−7400」(商品名、日立製作所社製)、波長214nm
分子量標準サンプル:ポリアクリル酸ナトリウム(創和科学社より入手可能な重量平均分子量1300〜1360000のポリアクリル酸ナトリウム)
分析サンプルは、高分子化合物が固形分で0.1重量となるように上記キャリア液で希釈することにより調製した。
【0020】
ただし、上記測定法で評価できない場合、以下の評価方法で測定する。
カラム:水系GPCカラム「TSK gel Guard Column SWXL+G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL」(商品名、東ソー社製)
キャリア液:水10999gとアセトニトリル6001gとの混合液に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶解し、更に30%水酸化ナトリウム水溶液でpH6.0に調整した溶離液を用いる。
水溶液流速:0.8ml/min
検出器:示差屈折検出器「Waters410」(商品名、Waters社製)、波長214nm
分子量標準サンプル:ポリエチレングリコール
【0021】
上記ダスト処理剤の必須成分である高分子化合物としては、カルボキシル基及び/又はその塩を含有している方が、ダスト処理効果が高いことから望ましく、好ましくはカルボキシル基及び/又はその塩を有する単量体を10mol%以上含有する単量体成分を重合してなるものが好ましい。更に好ましくはカルボキシル基含有単量体を50mol%以上含有する単量体成分を重合してなるものが好ましい。
上記製鉄用造粒処理剤の必須成分である高分子化合物としては、カルボキシル基及び/又はその塩を含有している方が、造粒性効果が高いことから望ましく、好ましくはカルボキシル基及び/又はその塩を有する単量体を10mol%以上含有する単量体成分を重合してなるものが好ましい。より好ましくは50mol%以上であり、更に好ましくは75mol%以上、最も好ましくは90mol%以上である。
このように、上記ダスト処理剤の必須成分である高分子化合物及び/又は上記製鉄用造粒処理剤の必須成分である高分子化合物が、カルボキシル基及び/又はその塩を有するものであることは、本発明の好ましい実施形態の1つである。
【0022】
上記ダスト処理剤や製鉄用造粒処理剤の必須成分である高分子化合物を形成することになるカルボキシル基及び/又はその塩を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、アクリルアミドグリコール酸等のカルボキシル基を有する単量体やその塩が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩が好ましい。すなわち本発明における高分子化合物としては、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩を主成分とする単量体成分を重合してなる重合体が好ましい。より好ましくは、アクリル酸及び/又はその塩である。また、塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミシ塩が好適である。これらの中でも、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
【0023】
上記単量体成分は、カルボキシル基及び/又はその塩を有する単量体の他に、カルボキシル基及び/又はその塩を有する単量体と共重合可能な他の共重合性単量体1種又は2種以上を含んでいてもよい。
他の共重合性単量体としては、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホ基を有する単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスフェート等の酸性リン酸エステル基を有する単量体;ビニルフェノール等の石炭酸系単量体等の酸基を有する単量体、及び、その塩が挙げられる。
【0024】
上記他の共重合性単量体としてはまた、ポリエチレングリコールモノメタアクリル酸エステル、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、メトキシポリエチレングリコールモノアクリル酸エステル等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル;3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを付加してなるポリアルキレングリコールモノアルケニルエーテル単量体;アリルアルコールにエチレンオキサイドを付加してなるポリエチレングリコールモノエテニルエーテル単量体;無水マレイン酸にポリエチレングリコールを付加させたマレイン酸ポリエチレングリコールハーフエステル等のポリアルキレングリコール鎖を有する単量体が挙げられる。これらのポリアルキレングリコール鎖を有する単量体の中でも、エチレンオキサイド換算で5mol以上、100mol以下の鎖長のポリアルキレングリコール鎖を有する単量体が、入手が容易であり、また、擬似粒化性の向上、重合性の点から好ましい。より好ましくは、エチレンオキサイド換算で10mol以上、また、100mol以下の鎖長のポリアルキレングリコール鎖を有する単量体である。
【0025】
上記他の共重合性単量体としては、上述したものの他にも、下記の化合物を用いることができる。
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸(N,N−ジメチルアミノエチル)、(メタ)アクリル酸(N,N−ジエチルアミノエチル)、(メタ)アクリル酸アミノエチル等の炭素数1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド及びその誘導体;酢酸ビニル;(メタ)アクリロニトリル;N−ビニル−2−ピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の塩基含有単量体;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の架橋性を有する(メタ)アクリルアミド系単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリエトキシシラン等の加水分解性を有する基がケイ素原子に直結しているシラン系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルエーテル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有する単量体;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基を有する単量体;2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルアジリジン等のアジリジン基を有する単量体;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン基を有する単量体;(メタ)アクリル酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールとのエステル化物等の分子内に不飽和基を複数有する多官能(メタ)アクリル酸エステル;メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の分子内に不飽和基を複数有する多官能(メタ)アクリルアミド;ジアリルフタレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート等の分子内に不飽和基を複数有する多官能アリル化合物;アリル(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン。
【0026】
上記単量体成分を重合する際には、分子量の調節を目的として、連鎖移動剤を用いることもできる。連鎖移動剤としては、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸、t−ドデシルメルカプタン等のメルカプト基を有する化合物;四塩化炭素;イソプロピルアルコール;トルエン;次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の連鎖移動係数の高い化合物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。連鎖移動剤の使用量としては、全単量体成分1molに対し、0.005〜0.15molとすることが好ましい。
【0027】
上記単量体成分を重合する方法としては、従来公知の種々の重合法、例えば、水中油型乳化重合法、油中水型乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、沈澱重合法、溶液重合法、水溶液重合法、塊状重合法等を採用することができる。これらの中でも、重合コスト(生産コスト)の低減及び安全性等の観点から、水溶液重合法が好ましい。
【0028】
上記重合に用いられる重合開始剤としては、熱又は酸化還元反応によって分解し、ラジカル分子を発生させる化合物であればよい。また、水溶液重合法により重合を行う場合には、水溶性を備えた重合開始剤を用いることが好ましい。重合開始剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類;2,2′−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4′−アゾビス−(4−シアノペンタン酸)等の水溶性アゾ化合物;過酸化水素等の熱分解性開始剤;過酸化水素及びアスコルビン酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド及びロンガリット、過硫酸カリウム及び金属塩、過硫酸アンモニウム及び亜硫酸水素ナトリウム等の組み合わせからなるレドックス系重合開始剤が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量としては、単量体成分の組成や重合条件等に応じて適宜設定すればよい。
【0029】
上記重合における反応温度や反応時間等の重合条件としては、単量体成分の組成や、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、反応温度としては、0〜150℃とすることが好ましく、40〜105℃とすることがより好ましい。また、反応時間としては、3〜15時間程度が好適である。水溶液重合法により重合を行う場合における単量体成分の反応系への供給方法としては、一括添加法、分割添加法、成分滴下法、パワーフィード法、多段滴下法により行うことができる。また、重合は常圧下、減圧下、加圧下の何れで行ってもよい。
【0030】
上記高分子化合物の製造において、水溶液重合法を採用した場合に得られる重合体水溶液中に含まれる、高分子化合物を含む不揮発分の濃度としては、70質量%以下であることが好ましい。70質量%を超えると、粘度が高くなり過ぎるおそれがある。
【0031】
上記製造方法により得られるカルボキシル基及び/又はその塩を有する高分子化合物を含む生成物は、そのままダスト処理剤や製鉄用造粒処理剤として用いることができるものであるが、必要に応じて上述した他の成分1種又は2種以上を添加してもよい。また、ダスト処理剤の必須成分である重量平均分子量が1000〜5000000(5百万)の高分子化合物や、製鉄用造粒処理剤の必須成分である重量平均分子量が1000〜500000(5十万)の高分子化合物として、上述したカルボキシル基及び/又はその塩を有するもの以外に、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール及びその変性物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート系水溶性高分子、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート系水溶性高分子、ポリビニルピロリドン等の水溶性ノニオン系高分子化合物;カルボキシエチルセルロース、リグニンスルホン酸ナトリウム等酸基又はその塩を有する半合成高分子化合物;β−ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、芳香族アミノスルホン酸ポリマー等酸基又はその塩を有する縮合系高分子化合物等を用いることができる。
【0032】
上記高分子化合物を必須成分とするダスト処理剤は、ダストを予め選択的に処理する際に、ダストを造粒して微粉を低減する作用、ダストに含まれる生石灰や消石灰の表面を失活させる作用、ダストを改質し、後の造粒工程で造粒されやすくする作用に優れる。また、上記高分子化合物を必須成分とする製鉄用造粒処理剤は、焼結鉱の製造において、ダストや粉鉄鉱石等を造粒(擬似粒化)する作用に優れ、製鉄用原料をダストと共に効率よく造粒することができるものである。また、製鉄用原料となるペレットを製造する場合においても、ダストや粉鉄鉱石等をペレット化する作用に優れ、製鉄用原料をダストと共に効率よく造粒(ペレット化)することができるものである。
【0033】
本発明の製鉄用原料の造粒処理方法においては、上記ダストを混合処理する工程が、ダストとダスト処理剤とを粉砕機及び/又は造粒機を用いて混合処理してなることが好ましい。粉砕機としては、ロッドミル、ボールミルが好適である。また、造粒機としては、パンペレターザー、マルメライザー、ドラムミキサー、アイリッヒミキサー、レイディゲミキサー.が好適である。
【0034】
上記ダスト処理剤によりダストを処理する際の使用量としては、ダストの種類や、高分子化合物の種類、使用する装置の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、ダストを混合処理する際に粉砕機を用いる場合には、ダスト100重量部に対してダスト処理剤中の高分子化合物が0.05重量部以上となるようにすることが好ましく、また、10重量部以下となるようにすることが好ましい。より好ましくは、ダスト100重量部に対する高分子化合物が0.1重量部以上となるようにすることであり、また、5重量部以下となるようにすることである。また、造粒機を用いる場合には、ダスト100重量部に対してダスト処理剤中の高分子化合物が0.005重量部以上となるようにすることが好ましく、また、5重量部以下となるようにすることが好ましい。より好ましくは、ダスト100重量部に対する高分子化合物が0.01重量部以上となるようにすることであり、また、3重量部以下となるようにすることである
【0035】
上記製鉄用造粒処理剤により微粉の鉄鉱石を含む焼結原料やペレット原料等の製鉄用原料を造粒(擬似粒化又はペレット化)処理する際の使用量としては、焼結原料の鉱石(鉄鉱石)の配合組成や、高分子化合物の種類、使用する装置の種類等に応じて適宜設定すればよいが、擬似粒化する場合には、焼結原料(鉄鉱石、副原料、燃料等)100重量部に対して製鉄用造粒処理剤中の高分子化合物が0.001重量部以上となるようにすることが好ましく、また、2重量部以下となるようにすることが好ましい。0.001重量部未満であると、本発明の作用効果を充分に発揮することができなくなるおそれがあり、2重量部を超えると、焼結原料に対する製鉄用造粒処理剤の添加量が多くなりすぎ、焼結原料の大きな固まりができ、該焼結原料の固まり内部が焼結されなくなる等の問題が生じるおそれがある。より好ましくは、焼結原料100重量部に対する高分子化合物が0.005重量部以上となるようにすることであり、また、1重量部以下となるようにすることである。また、ペレット化する場合には、ペレット原料(鉄鉱石、ダスト、炭材等)100重量部に対して製鉄用造粒処理剤中の高分子化合物が0.005重量部以上となるようにすることが好ましく、また、5重量部以下となるようにすることが好ましい。0.005重量部未満であると、本発明の作用効果を充分に発揮することができなくなるおそれがあり、5重量部を超えると、ペレット原料に対する製鉄用造粒処理剤の添加量が多くなりすぎ、造粒過多となってペレット原料の大きな固まりができてしまい、ペレット原料の粒径のバラツキが大きくなる等の悪影響が生じるおそれがある。より好ましくは、0.01重量部以上であり、また、1重量部以下である。
【0036】
上記ダスト処理剤や製鉄用造粒処理剤をダストや製鉄用原料へ添加する方法としては、ダスト処理剤や製鉄用造粒処理剤を水溶液の状態にして、造粒機の添加水に混合する方法、撹拌されているダストや製鉄用原料に噴霧する方法が好適である。これらの方法により、簡便かつ均一にダスト処理剤や製鉄用造粒処理剤を添加することができ、しかも、斑なく擬似粒化されるので、微粉を更に低減することができる。しかしながら、ダストや製鉄用原料が攪拌される前、例えば、ミキサー等に移送される途中のベルトコンベア上で噴霧することも可能である。
【0037】
本発明の製鉄用原料の造粒処理方法においては、擬似粒子やペレットの崩れ防止剤として平均粒径0.1〜200μmの微粒子を添加することができる。崩れ防止剤は製鉄原料100重量部に対し、0.1〜10重量部添加することが好ましい。崩れ防止剤として、炭酸カルシウム、フライアッシュ、ベントナイト、カオリンクレー、ドロマイト、シリカフューム、無水石膏等が挙げられ、炭酸カルシウム、フライアッシュが特に好ましい。崩れ防止剤の添加方法や添加のタイミングは特に限定されない。
【0038】
【実施例】
以下に実施例を揚げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は、「重量部」を、「%」は、「質量%」をそれぞれ意味するものとする。
【0039】
実施例1
攪拌機及びコンデンサを備えた容量5Lのセパラブルフラスコ(SUS316製)に、イオン交換水805.5部及び連鎖移動剤としての45%次亜リン酸ナトリウム一水和物水溶液40.1部を仕込み、攪拌下、系の沸点(100℃)まで昇温した。続いて、上記セパラブルフラスコ内に、カルボキシル基を有する単量体としての80%アクリル酸水溶液2126.1部、並びに、重合開始剤としての15%過硫酸ナトリウム水溶液112.4部及び45%次亜リン酸ナトリウム一水和物水溶液160.2部を滴下した。80%アクリル酸水溶液、15%過硫酸ナトリウム水溶液、45%次亜リン酸ナトリウム一水和物水溶液は、それぞれ別々の滴下口より滴下した。80%アクリル酸水溶液は180分間で滴下した。15%過硫酸ナトリウム水溶液は185分間で滴下した。45%次亜リン酸ナトリウム一水和物水溶液は180分間で滴下した。滴下時間中、反応温度は系の沸点を維持した。滴下終了後、同温度に5分間保持した後、中和剤としての48%水酸化ナトリウム水溶液1889.0部を60分間かけて滴下することにより、重合体水溶液(重合体水溶液(a))を得た。このようにして得られた重合体水溶液中の重合体(高分子化合物)の重量平均分子量を測定したところ、重量平均分子量6200、不揮発分の濃度が44.6%であった。
【0040】
実施例2
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製の反応容器に、イオン交換水1291部と、ポリアルキレングリコール鎖を有する単量体としての、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを平均50モル付加してなるポリアルキレングリコールモノアルケニルエーテル単量体1812部と、カルボキシル基を有する単量体としての無水マレイン酸188部とを仕込み、反応溶液とした。次いで、この反応溶液を60℃に昇温した。続いて、この反応溶液に、重合開始剤としての、「NC−32W」(商品名、日宝化学社製、2,2′−アゾビス−2メチルプロピオンアミジン塩酸塩の87%濃度品)の15%水溶液50部を加えて7時間攪拌し、更に温度を80℃まで上昇した後、1時間攪拌して重合反応を完結させた。その後、この反応溶液を30%水酸化ナトリウム水溶液で中和して重合体水溶液(b)を得た。
このようにして得られた重合体水溶液中の重合体(高分子化合物)の重量平均分子量を測定したところ、重量平均分子量が26200、不揮発分の濃度が55.1%であった。
【0041】
実施例3
攪拌機及びコンデンサを備えた容量1Lのセパラブルフラスコ(SUS316製)に、イオン交換水355部、カルボキシル基を有する単量体としての無水マレイン酸98部及び中和剤としての水酸化ナトリウム80部を仕込んで中和させ、攪拌下、系の沸点(100℃)まで昇温した。続いて、上記セパラブルフラスコ内にカルボキシル基を有する単量体としての40%アクリル酸水溶液180部、並びに、重合開始剤としての10%過硫酸ナトリウム水溶液100部及び14%過酸化水素水溶液100部を滴下した。40%アクリル酸水溶液、10%過硫酸ナトリウム水溶液、14%過酸化水素水溶液は、それぞれ別々の滴下口より4時間かけて滴下した。滴下時間中、反応温度は系の沸点を維持した。滴下終了後、同温度に60分間保持した後、中和剤としての49%水酸化ナトリウム水溶液57部を60分間かけて滴下することにより、重合体水溶液(重合体水溶液(c))を得た。このようにして得られた重合体水溶液中の重合体(高分子化合物)の重量平均分子量を測定したところ、重量平均分子量5900、不揮発分の濃度が37.0%であった。
【0042】
実施例4
ロッドミルに水分量10%のダストを60000部/時間を連続的に投入すると共に、投入口にて重合体水溶液(a)の2倍希釈品(固形分22.3%)の1345部/時間をダストに吹きかけることにより投入した。なお、処理ダストの抜き出しは61345部/時間であり、ロッドミル内の滞留時間は60秒であった。得られた処理ダストを処理ダスト(I)とした。
【0043】
実施例5
ロッドミルに水分量10%のダストを60000部/時間を連続的に投入すると共に、投入口にて重合体水溶液(c)の2倍希釈品(固形分18.5%)の1622部/時間をダストに吹きかけることにより投入した。なお、処理ダストの抜き出しは61622部/時間であり、ロッドミル内の滞留時間は60秒であった。得られた処理ダストを処理ダスト(II)とした。
【0044】
実施例6
パンペレタイザーに水分量10%のダストを60000部/時間を連続的に投入すると共に、投入口にて重合体水溶液(a)の2倍希釈品(固形分22.3%)の1345部/時間をダストに吹きかけることにより投入した。なお、処理ダストの抜き出しは61345部/時間であり、パンペレタイザー内の滞留時間は120秒であった。ペレタイザーの傾斜は50°であり、回転数は20rpmであった。得られた処理ダストを処理ダスト(III)とした。
【0045】
実施例7
パンペレタイザーに水分量10%のダストを60000部/時間を連続的に投入すると共に、投入口にて重合体水溶液(b)の2倍希釈品(固形分27.6%)の1087部/時間をダストに吹きかけることにより投入した。なお、処理ダストの抜き出しは61087部/時間であり、パンペレタイザー内の滞留時間は120秒であった。ペレタイザーの傾斜は50°であり、回転数は20rpmであった。得られた処理ダストを処理ダスト(IV)とした。
【0046】
実施例8
パンペレタイザーに水分量10%のダストを60000部/時間を連続的に投入すると共に、投入口にて重量分子量10万のポリエチレングリコール(固形分10%)の3000部/時間をダストに吹きかけることにより投入した。なお、処理ダストの抜き出しは63000部/時間であり、パンペレタイザー内の滞留時間は120秒であった。ペレタイザーの傾斜は50°であり、回転数は20rpmであった。得られた処理ダストを処理ダスト(V)とした。
【0047】
実施例9
また、重合体水溶液(a)を固形分換算で21部となるように採取し、これをイオン交換水で希釈し、5250部にすることにより本発明にかかる製鉄用造粒処理剤(1)を得た。一方、表1に示す組成を有する焼結原料(製鉄用原料)を調製した。
【0048】
【表1】
【0049】
上記の焼結原料70000部、処理ダスト(I)3936部をドラムミキサーに投入し、回転速度24min-1で1分間、予備攪拌した。その後、同回転速度で攪拌しながら、該焼結原料に、予め調製した本発明にかかる製鉄用造粒処理剤(1)5250部を霧吹きを用いて約1.5分間かけて噴霧した。噴霧後、更に同回転速度で3分間攪拌することにより、造粒操作を行った。
得られた擬似粒子を乾燥後、ふるいを用いて分級することにより、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。この結果を表2に示す。
【0050】
(GI指数測定方法)
造粒操作を行って得られた擬似粒子を80℃で1時間乾燥後、ふるいを用いて分級することにより、その粒度(擬似粒度)及び平均粒径を求めた。造粒された擬似粒子のGI指数とは、製鉄研究第288号(1976)9頁に開示されている評価方法の一つであり、核粒子の周りに付着する微粉粒子の割合を示す。なお、GI指数の測定は、製鉄研究第288号(1976)9頁に記載の方法に準じて行った。0.25mm以下の擬似粒子のGI指数(擬似粒化指数)は以下の式により計算した。
GI指数=〔{(造粒前の0.25mm未満の原料の比率)−(造粒後の0.25mm未満の原料の比率)}/(造粒前の0.25mm未満の原料の比率)〕×100
【0051】
実施例10
処理ダスト(I)3936部の代わりに、処理ダスト(II)3954部を用いた他は実施例9と同様にして擬似粒子のGI指数を求めた。この結果を表2に示す。
【0052】
実施例11
処理ダスト(I)3936部の代わりに、処理ダスト(III)3936部を用いた他は実施例9と同様にして擬似粒子のGI指数を求めた。この結果を表2に示す。
【0053】
実施例12
処理ダスト(I)3936部の代わりに、処理ダスト(IV)3920部を用いた他は実施例9と同様にして擬似粒子のGI指数を求めた。この結果を表2に示す。
【0054】
実施例13
処理ダスト(I)3936部の代わりに、処理ダスト(V)4042部を用いた他は実施例9と同様にして擬似粒子のGI指数を求めた。この結果を表2に示す。
【0055】
比較例1
処理ダスト(I)3936部の代わりに未処理のダスト3850部及び生石灰840部を用い、製鉄用造粒処理剤(1)5250部の代わりに蒸留水5600部を用いた他は実施例9と同様にして擬似粒子のGI指数を求めた。この結果を表2に示す。
【0056】
参考例1
処理ダスト(I)3936部の代わりに未処理のダスト3850部を使用し、製鉄用造粒処理剤(1)5250部の代わりに、重合体水溶液(a)を固形分換算で40部となるように採取し、これをイオン交換水で希釈し、5269部にした製鉄用造粒処理剤(製鉄用造粒処理剤(2))を使用した他は実施例9と同様にして擬似粒子のGI指数を求めた。この結果を表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】
【発明の効果】
本発明の製鉄用原料の造粒処理方法は、上述の構成からなり、これにより、製鉄用原料となる焼結鉱の製造において粉鉄鉱石等を製鉄所内で発生するダストと共に造粒する際に擬似粒化性を向上することができるため、製鉄用原料をダストと共に効率よく焼結することができることとなる。
Claims (5)
- 製鉄用原料をダストと共に造粒処理する工程を含んでなる製鉄用原料の造粒処理方法であって、
該製鉄用原料の造粒処理方法は、重量平均分子量が1000〜5000000の高分子化合物を必須成分とするダスト処理剤をダストに添加して混合処理する工程の後に、製鉄用原料に添加し、造粒処理する工程を行う
ことを特徴とする製鉄用原料の造粒処理方法。 - 前記造粒処理工程は、重量平均分子量が1000〜500000の高分子化合物を必須成分とする製鉄用造粒処理剤により製鉄用原料をダストと共に造粒処理してなる
ことを特徴とする請求項1記載の製鉄用原料の造粒処理方法。 - 前記ダスト処理剤の必須成分である高分子化合物及び/又は前記製鉄用造粒処理剤の必須成分である高分子化合物は、カルボキシル基及び/又はその塩を有するものである
ことを特徴とする請求項1又は2記載の製鉄用原料の造粒処理方法。 - 前記ダスト処理剤の必須成分である高分子化合物及び/又は前記製鉄用造粒処理剤の必須成分である高分子化合物は、カルボキシル基及び/又はその塩を有する単量体を10mol%以上含有する単量体成分を重合してなるものである
ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の製鉄用原料の造粒処理方法。 - 前記ダストを混合処理する工程は、ダストとダスト処理剤とを粉砕機及び/又は造粒機を用いて混合処理してなる
ことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の製鉄用原料の造粒処理方法。
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