JP4159939B2 - マラマンバ鉱石を含む焼結原料の造粒処理方法 - Google Patents

マラマンバ鉱石を含む焼結原料の造粒処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製鉄用焼結鉱の製造における焼結原料の事前処理に関わり、特に焼結原料の一部としてマラマンバ鉱石を配合して焼結鉱を製造する際の焼結原料の造粒処理に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、高炉製鉄法の主原料として用いられる焼結鉱は、以下のように製造される。先ず、焼結原料の主原料となる約10mm以下の鉄鉱石粉に、石灰石、ドロマイト、転炉スラグ、蛇紋岩、珪石、かんらん岩などの副原料、コークス粉、無煙炭などの炭材を配合後、ドラムミキサー、ペレタイザー、アイリッヒミキサー等の造粒機で適量水分となるように水分添加量を調節しながら混合、造粒を行ない、焼結原料を擬似粒子化する。ここで、擬似粒子は、主に、粒径0.5mm以下の微粉粒子が粒径1〜3mmの核粒子に付着した構造となっており、焼結原料をこのような擬似粒子とすることにより焼結原料充填層(焼結ベッド)中の微粉粒子による通気性悪化を抑制し、焼結機の生産性向上を図ることができる。
【0003】
したがって、焼結原料の造粒処理工程では、焼結原料中の微粉粒子を核粒子の周りに付着させる度合い、つまり、焼結原料の擬似粒化性を向上させること、造粒で得られた擬似粒子が焼結ベッドにおいて焼結反応までの湿潤帯、乾燥帯等で崩壊し難いこと等が求められる。また、一般に、このような焼結原料の擬似粒化性や擬似粒子の強度(崩壊し難さ)は焼結原料の配合原料の粒度構成、特に、焼結原料の主要部分を占める鉄鉱石の粒度構成や鉱石銘柄によって大きく左右されることが知られている。
【0004】
一方、焼結原料の主要原料である鉄鉱石は、成分、特性が多種多様な銘柄の鉄鉱石が世界には存在し、一般的にはこれらの複数銘柄の鉄鉱石を鉄含有原料として焼結原料中に配合して使用している。このような鉄鉱石のうち、これまで焼結原料として多く使用されてきた良質なヘマタイト鉱石は、世界の鉄鉱石資源をみても枯渇の方向にあり、現状の生産が続くと主要鉱山は近年中にも掘り尽くしてしまうと予測されており、これに替わる銘柄の鉄鉱石の利用が望まれている。
【0005】
このような中で、近年、将来の主要な焼結用原料として、良質なヘマタイト鉱石に比べて、安価でかつ資源的にも豊富なマラマンバ鉱石が焼結原料として注目されている。
【0006】
マラマンバ鉱石とは、豪州のマラマンバ鉄鉱床から産出する鉄鉱石の総称であり、ゲーサイト(Fe23・H2O)とマータイト(マグネタイト構造を有するFe23)を主要鉄鉱物とし、表1に示す産地銘柄名(通称名)でウェストアンジェラス鉱がその代表的な鉄鉱石である。
【0007】
【表1】
Figure 0004159939
【0008】
その化学組成は、表1に示すように、例えば、豪州のブロックマン鉄鉱床から産出される主要鉱石である良質なヘマタイト主要鉱石と比較して結晶水含有量が5%程度と高く、マラマンバ鉱石と同様に結晶水含有量が多い鉱石として知られているピソライト鉱と比較してSiO2等の脈石成分が3%程度と低いこと、また粒度0.25mm以下の微粉鉄鉱石が多いため擬似粒化性が悪いことを特徴とする。
【0009】
現在、豪州のマラマンバ鉄鉱床の一部はすでに開発され、一部焼結原料として使用されているが、従来は、その性状、特に、造粒性の悪さから焼結工程での成品歩留や生産性を低下させるおそれがあるため、その配合量は10%程度以下とし、その他の鉱石としてブロックマン鉄鉱床から産出する良質なヘマタイト主要鉱石を配合して使用してきた。しかしながら、上述のように、日本の鉱石輸入主要国である豪州でも、ブロックマン鉱床の良質なヘマタイト主要鉱石の枯渇に伴い、ピソライト鉱床のみならず、マラマンバ鉱床に生産が移行する動きがあり、マラマンバ鉱石が今後の豪州産鉄鉱石の主力となることが予想され、マラマンバ鉱を多量に配合した焼結原料の造粒性向上が望まれている。
【0010】
上記問題を解決するために、例えば、特許文献1には「多孔質の鉄鉱石または鏡鉄鉱のような表面が平滑で、かつ緻密な鉱石を焼結原料の一部として使用するに際し、通常の造粒ラインにおけるミキサーによる混合、造粒を行う前に、該多孔質の鉄鉱石または鏡鉄鉱のような表面が平滑で緻密な鉱石を別ラインで各々個別にその物理性状に適した造粒を施し、しかる後他の一般銘柄鉱石と共にミキサーで混合、造粒することを特徴とする焼結原料の予備処理方法」が記載されている。
【0011】
また特許文献2には、「多孔質の鉄鉱石(例えば豪州産マラマンバ鉱石)を焼結原料の一部として用いる際に、通常の造粒ラインにおけるミキサーによる混合、造粒を行なう前に、該多孔質の鉄鉱石を別ラインで含水処理を施し、しかる後他の一般銘柄鉱石と共にミキサーで混合・造粒することを特徴とする焼結原料の予備処理方法」が開示されている。
【0012】
また、特許文献3には、「焼結原料を混合・造粒して事前処理する造粒ラインを、鉄鉱石・コークス等の主原料群を処理するCaO成分の低い一方の造粒ラインと、その他の鉱石等のその他原料群を処理するCaO成分の高い他方の造粒ラインとのニ系列造粒ラインに分けてなり、前記他方の造粒ラインにおけるその他原料群の鉱石に、マラマンバ鉱等の高結晶水の微粉鉱石を使用すると共に、前記両造粒ラインに生石灰を分割添加し、主原料群およびその他原料群を生石灰をバインダーとして造粒することを特徴とする焼結原料の事前処理方法」が記載されている。
【0013】
特許文献4には、軟質/多孔性鉄鉱石を焼結原料の一部として用いる際に、砂糖あるいは糖蜜等の添加剤を添加することで、軟質/多孔性鉄鉱石への水の吸収を抑制する方法が開示されている。
【0014】
また、特許文献8には、結晶水を多く含有するリモナイト鉱石などを石灰粉やスケールとともに混合し、リグニンスルホン酸を有効成分として含むパルプ廃液を添加して造粒した後、残りの原料と混合し、その後再度造粒する方法が開示されており、マラマンバ鉱石の使用が例示されている。
【0015】
【特許文献1】
特開昭52−49905号公報(公開日1977年4月21日)
【0016】
【特許文献2】
特開昭52−49906号公報(公開日1977年4月21日)
【0017】
【特許文献3】
特開平5−9601号公報(公開日1993年1月19日)
【0018】
【特許文献4】
特表平10−502417号公報(公開日1998年3月3日)
【0019】
【特許文献5】
特開昭63−149333号公報(公開日1988年6月22日)
【0020】
【特許文献6】
特開昭63−149334号公報(公開日1988年6月22日)
【0021】
【特許文献7】
特開昭63−149336号公報(公開日1988年6月22日)
【0022】
【特許文献8】
特開平5−25556号公報(公開日1993年2月2日)
【0023】
【非特許文献1】
坂本登、外4名,「高炉用新塊成鉱の製造条件に関する基礎的検討及び品質の評価」,鉄と鋼,社団法人 日本鉄鉱協会,第73年(1987)第11号,p62
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
高結晶水・低脈石鉄鉱石は多孔質で造粒性が他の一般鉄鉱石より劣るので、特許文献1記載のように別ラインで個別にその物理性状に適した造粒を施すことは有効であるが、製造コストの上昇を招くと共に、造粒物全体の強度を大幅に向上できない欠点がある。また、特許文献2記載のような含水処理を施すことも有効であるが、造粒物全体の強度を大幅に向上することは難しく、0.25mm以下の微粉の悪影響を抑制できない欠点がある。
【0025】
また、特許文献3記載の方法では、複数の鉱石槽に加えて副原料槽、石灰石槽、バインダー槽を新たに設置して事前に造粒するので、新たな造粒処理設備を設置するに等しい極めて大きな設備投資が必要になる欠点がある。
【0026】
特許文献4記載の方法では、砂糖あるいは糖蜜等の添加剤を添加添加剤として使用すると、これらは一般に高価であるために製造コストの上昇を招くと共に、造粒物の強度を大幅に向上できない欠点がある。
【0027】
特許文献8記載の方法では、リグニンスルホン酸の造粒性の向上効果は十分ではないため、マラマンバ鉱石を多く配合した場合、生産性が著しく低下することになる。
【0028】
また、従来のマラマンバ鉱の使用例としては、日本鋼管(株)福山製鉄所においてHPS法(非特許文献1)の適用により多量のマラマンバ鉱を使用した実績はあるが、特許文献5、特許文献6および特許文献7等で開示されるHPS法は、造粒工程に皿型造粒設備を導入し、従来以上の石灰石を添加することで粒径の小さい微粉鉱石の多量使用を可能とした技術であり、既設のドラムミキサーを中心とする造粒を考慮した方法ではない。また、既設焼結機への皿型造粒設備の導入には莫大な設備投資及びランニングコストを要するものである。
【0029】
以上の特許文献等で開示されているような従来の焼結原料の造粒処理方法では、他の鉱石に比べて造粒性が悪いマラマンバ鉱石を多量に配合した焼結原料への適用は困難であり、実用性は低いものである。
【0030】
さらに、発明者らの調査から、マラマンバ鉱石は、高結晶水・低脈石鉄鉱石である他に、多孔質であり水を吸収しやすい性質を有することが判っている。
【0031】
このような多孔質のマラマンバ鉱石を多量に使用した場合、焼結原料の造粒時に水の添加量を増加することである程度はその擬似粒化性を改善することができるが、焼結時に水の蒸発潜熱の増加に起因して燃料原単位が悪化し、焼結ベッドの燃焼帯下方にある水分凝縮帯で結露する水分量が増加し、通気抵抗が増加するために生産効率および成品歩留が低下するという問題も生じる。
【0032】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、安価でかつ資源的にも豊富なマラマンバ鉱石を焼結原料として多量に使用する際に、特殊な設備を用いた事前造粒等を必要とせずに焼結鉱の製造における成品歩留および生産性を良好に維持できる焼結原料の造粒処理方法を提供することにある。
【0033】
【課題を解決するための手段】
本発明のマラマンバ鉱石を含む焼結原料の造粒処理方法は、上記課題を解決するために、マラマンバ鉱石を含む製鉄用焼結原料の造粒処理方法において、新原料の全質量に対する配合割合で5質量%〜50質量%のマラマンバ鉱石を含む製鉄用焼結原料に、カルボキシル基及び/またはその塩含有高分子化合物、酸基およびポリアルキレングリコール鎖を有する化合物、β−ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、芳香族アミノスルホン酸ポリマー、リグニンスルホン酸変性物からなる群より選ばれる少なくとも一種の高分子化合物を含む造粒処理剤を、前記製鉄用焼結原料の全質量に対し、固形分換算で0.001質量%〜1質量%の割合で添加して造粒することを特徴としている。
【0034】
上記の構成により、カルボキシル基及び/またはその塩含有高分子化合物、酸基およびポリアルキレングリコール鎖を有する化合物、β−ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、芳香族アミノスルホン酸ポリマー、リグニンスルホン酸変性物からなる群より選ばれる少なくとも一種の高分子化合物によって、微粉の凝集物を破壊、分散し、前記微粉の凝集物に取り込まれている水を開放する、すなわち、従来有効に使用できなかった水を、焼結原料全体に行き渡らせることができ、水を効率よく使用することができる。さらに、微粉も同時に分散し、焼結原料間の接点に再凝集するので、微粉による固体架橋が形成される。マラマンバ鉱石の微粉は上記高分子化合物により、分散されやすいため、これにより、マラマンバ鉱石を含む焼結原料の造粒処理が可能となり、強固な擬似粒子を造ることができる。
【0035】
よって、上記の構成によれば、高結晶水・低脈石鉄鉱石で多孔質であり、微粉鉄鉱石が多い難造粒性のマラマンバ鉱石を多量に配合しても、その造粒性を低下することなく、さらには造粒性を向上する焼結原料の事前処理ができ、焼結機の生産効率を高め、焼結鉱の製造コストを格段に低減できる。
【0036】
本発明のマラマンバ鉱石を含む焼結原料の造粒処理方法は、上記課題を解決するために、前記カルボキシル基及び/またはその塩含有高分子化合物は、カルボキシル基及び/またはその塩含有単量体を含む単量体組成物を重合してなる高分子化合物であることを特徴としている。
【0037】
上記の構成により、前記カルボキシル基及び/またはその塩含有高分子化合物は、微粉の凝集物を破壊、分散し、取り込まれている水を開放する、すなわち、従来有効に使用できなかった水を、焼結原料全体に行き渡らせることができ、水をより効率よく使用することができる。
【0038】
本発明のマラマンバ鉱石を含む焼結原料の造粒処理方法は、上記課題を解決するために、前記単量体組成物は、カルボキシル基及び/またはその塩含有単量体を30モル%以上含むことを特徴としている。
【0039】
上記の構成により、前記カルボキシル基含有単量体を30モル%以上含む単量体組成物を重合してなる高分子は、微粉の凝集物を破壊、分散し、取り込まれている水を開放する、すなわち、従来有効に使用できなかった水を、焼結原料全体に行き渡らせることができ、水をさらに効率よく使用することができる。
【0040】
本発明のマラマンバ鉱石を含む焼結原料の造粒処理方法は、上記課題を解決するために、前記カルボキシル基及び/またはその塩含有高分子化合物は、アクリル酸を必須成分として重合して得られる高分子化合物であることを特徴としている。
【0041】
上記の構成により、前記ポリアクリル酸系高分子化合物は、微粉の凝集物を破壊、分散し、取り込まれている水を開放する、すなわち、従来有効に使用できなかった水を、焼結原料全体に行き渡らせることができ、水をさらに一層効率よく使用することができる。
【0042】
本発明のマラマンバ鉱石を含む焼結原料の造粒処理方法は、上記課題を解決するために、前記単量体組成物が、アクリル酸および/またはアクリル酸塩を全単量体成分に対し、30モル%〜100モル%含有することを特徴としている。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施するための形態について詳述する。
【0044】
本発明の製鉄用焼結原料の造粒処理方法において、焼結原料中の新原料の全質量に対するマラマンバ鉱石の配合割合を5質量%〜50質量%に限定する。
【0045】
図1には、何れも造粒後の含有水分が7質量%(一定)となるように、水分添加のみで造粒した場合および後述する本発明の造粒処理剤と水分を添加した場合におけるそれぞれの新原料の全質量に対するマラマンバ鉱石の配合割合(質量%)とGI−0.25(0.25mm以下の擬似粒子のGI指数)(%)との関係を示す。また、図2には、図1の同様の条件での新原料の全質量に対するマラマンバ鉱石の配合割合(質量%)と焼結鉱の生産率(t/d/m2)との関係をそれぞれ示す。
【0046】
なお、図1におけるGI−0.25(%)は、以下の式で求められる造粒後の平均粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を示し、製鉄研究第288号(1976)9頁に開示されている評価方法であり、GI指数が大きいほど、核粒子の周りに付着する微粉粒子の割合が多く、焼結機の生産効率を向上させることができる。
【0047】
GI−0.25(%)=(造粒前の0.25mm以下の原料の比率−造粒後の0.25mm以下の原料の比率)/(造粒前の0.25mm以下の原料の比率)×100
また、図1および図2における新原料とは、所定の粒度以下、例えば5mm以下の焼結鉱粉である返鉱、および、コークス粉、無煙炭などの炭材を除いた焼結原料を示す。
【0048】
図1および図2から、本発明の造粒処理剤の添加により通常の水分添加のみの造粒に比べて擬似粒子のGI指数および焼結鉱の生産率は共に顕著に向上するが、焼結原料中の新原料の全質量に対するマラマンバ鉱石の配合割合(質量%)が50質量%を超えると、通常の水分添加のみの造粒時の擬似粒子のGI指数および焼結鉱の生産率より低下するため、本発明では、焼結原料中の新原料の全質量に対するマラマンバ鉱石の配合割合(質量%)の上限値を50質量%と規定する。
【0049】
なお、図1及び図2から明らかなようにさらに造粒時の擬似粒子のGI指数および焼結鉱の生産率の向上の点からは上記マラマンバ鉱石の配合割合(質量%)の上限は、好ましくは40質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。
【0050】
一方、焼結原料中の新原料の全質量に対するマラマンバ鉱石の配合割合(質量%)の低下は、造粒時の擬似粒子のGI指数および焼結鉱の生産率の向上の点からは好ましいが、安価でかつ資源的にも豊富なマラマンバ鉱石を焼結原料として多量に使用することによる将来的な原料の安定供給および経済的メリットが得られなくなるため、現状の焼結操業を阻害しないマラマンバ鉱石の配合割合を基準として、その下限を5質量%とした。さらに好ましくは10質量%とするのが良い。
【0051】
なお、新原料(炭材および返鉱を除く焼結原料、すなわち、鉱石と、ダストを含む副原料である)中に配合するマラマンバ鉱石以外の鉄鉱石は、特に限定する必要はなく、具体的には、例えば、ニューマン鉱石、ローブリバー鉱石、カラジャス鉱石、ハマスレー鉱石、クドレムクPF(ペレットフィード)、リオドセ鉱石等を配合することができる。
【0052】
本実施の形態では、上記新原料中に配合する鉄鉱石として、マラマンバ粉鉱、ニューマン粉鉱、ローブリバー粉鉱、カラジャス粉鉱、ハマスレー粉鉱、ハマスレー粉鉱、リオドセ粉鉱等の粉鉱を用いるものとする。
【0053】
また、焼結原料中の新原料の全質量に対する上記鉄鉱石の配合量は、通常、50質量%〜90質量%の範囲内であるが、本発明においては特に限定されるものではない。
【0054】
また、焼結原料には、一般に、上記鉄鉱石および副原料からなる新原料と、炭材および返鉱が配合される。ここで、副原料としては、具体的には、例えば、石灰石、ドロマイト、転炉スラグなどの含CaO副原料、蛇紋岩、珪岩、かんらん岩などの含SiO2副原料、ダストが挙げられる。また、炭材は、焼結時の燃料として使用され、具体的には、例えば、粉コークス、無煙炭等が挙げられる。本発明では、これら鉄鉱石、副原料、炭材の種類は特に限定されるものではない。
【0055】
本発明の製鉄用原料の造粒処理方法において、上記のマラマンバ鉱石を含む製鉄用焼結原料に添加する造粒処理剤を、カルボキシル基及び/またはその塩含有高分子化合物、酸基およびポリアルキレングリコール鎖を有する化合物、β−ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、芳香族アミノスルホン酸ポリマー、リグニンスルホン酸変性物からなる群(以下、「高分子化合物群A」という)より選ばれる少なくとも一種の高分子化合物を含むものに限定し、かつ、上記焼結原料の全質量に対する上記造粒処理剤の添加割合を、固形分換算で0.001質量%〜1質量%に限定する。
【0056】
なお、造粒処理剤の固形分は、例えば、造粒処理剤を窒素雰囲気下、130℃で3時間乾燥した前後の質量から簡単に計算することができる。
【0057】
図3には、焼結原料中の新原料の全質量に対するマラマンバ鉱石の配合割合が15質量%の場合および50質量%の場合における、焼結原料の全質量に対する造粒処理剤の添加割合(固形分換算)とGI−0.25(0.25mm以下の擬似粒子のGI指数)との関係を示す。
【0058】
図3から、少なくとも本発明の造粒処理剤を、焼結原料の全質量に対し、固形分換算で0.001質量%以上の割合で、焼結原料に添加することにより通常の水分添加のみの造粒(マラマンバ配合なしの条件でGI−0.25=80%)に比べて擬似粒子のGI−0.25は顕著に向上する。したがって、本発明では、焼結原料の全質量に対する造粒処理剤の添加割合(質量%)の下限を、固形分換算で0.001質量%と規定する。なお、図3から明らかなように、焼結原料中の新原料の全質量に対するマラマンバ鉱石の配合割合が増加するとともに、所定のGI−0.25を得るためには、本発明の造粒処理剤の添加割合を増加する必要があり、例えば、焼結原料中の新原料の全質量に対するマラマンバ鉱石の配合割合が50質量%の場合は、焼結原料の全質量に対する造粒処理剤の添加割合が、固形分換算で0.01質量%以上となるように、マラマンバ鉱石の配合割合の増加に応じて造粒処理剤の添加割合を調整するのが好ましい。
【0059】
一方、焼結原料の全質量に対する造粒処理剤の添加割合が、固形分換算で1質量%を超えると、造粒過多となって適正な擬似粒子の形成を阻害し、焼結時の燃料となるコークス粉などの炭材を内装した焼結原料の塊となってしまい、該焼結原料の塊内部への通気性およびそれによる炭材の燃焼を阻害し焼結されなくなる等の悪影響が生じる。したがって、本発明では、焼結原料の全質量に対する造粒処理剤の添加割合の上限を、固形分換算で1質量%に限定する。さらに好ましくは、固形分換算で0.5質量%とするのがよい。
【0060】
なお、造粒処理剤の添加量の下限値は、焼結原料の鉱石の造粒性や、水分添加量、使用する造粒機等によっても左右されるが、経済性の観点からは、できるだけ少量となるように設計することが望ましい。
【0061】
上記本発明の造粒処理剤のうち、カルボキシル基及び/またはその塩含有高分子化合物は、例えば、カルボキシル基及び/またはその塩含有単量体を単独で、あるいは、該カルボキシル基及び/またはその塩含有単量体と共重合可能なその他の単量体をさらに含む単量体組成物を、重合開始剤の存在下で(共)重合することにより得ることができる。
【0062】
上記カルボキシル基及び/またはその塩含有単量体としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、アクリルアミドグリコール酸およびこれらの塩等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらカルボキシル基含有単量体は、一種類のみを用いてもよく、二種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。上記例示のカルボキシル基含有単量体のなかでも、マレイン酸、(メタ)アクリル酸およびこれらの塩がより好ましく、アクリル酸、およびアクリル酸の塩が特に好ましい。
【0063】
上記カルボキシル基含有単量体としてカルボキシル基含有単量体の塩を使用する場合、その塩基としては、特に限定されるものではないが、カリウムイオン、ナトリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウム、1級〜4級アミン等の窒素含有塩基;等が挙げられる。
【0064】
上記カルボキシル基及び/またはその塩含有高分子化合物のなかでも、アクリル酸及び/またはその塩を(共)重合することによって得られるものが、添加量が少なくても効果が得られる傾向にあることからより好ましく、上記カルボキシル基及び/またはその塩含有高分子化合物としては、(a)ポリアクリル酸、(b)ポリアクリル酸が含有するカルボキシル基の一部あるいは全部がナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニアからなる群より選ばれる少なくとも一種で中和されたポリアクリル酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種のポリアクリル酸系ポリマーであることがより好ましい。アクリル酸および/またはアクリル酸塩を全単量体に占める割合が、30モル%〜100モル%となるように(共)重合することが好ましく、50モル%〜100モル%とすることがより好ましく、70モル%〜100モル%とすることがさらに好ましく、90モル%〜100モル%とすることが最も好ましい。
【0065】
カルボキシル基及び/またはその塩含有高分子化合物は、上記カルボキシル基及び/またはその塩含有単量体に由来する構成単位を含むと共に、上記カルボキシル基及び/またはその塩含有単量体と共重合可能なその他の単量体に由来する構成単位を含んでいてもよい。すなわち、上記単量体組成物は、カルボキシル基及び/またはその塩含有単量体の他に、必要に応じて、該カルボキシル基及び/またはその塩含有単量体と共重合可能なその他の単量体を含んでいてもよい。単量体組成物がその他の単量体を含む場合においては、該単量体組成物は、カルボキシル基及び/またはその塩含有単量体を30モル%以上含んでいることがより好ましい。
【0066】
上記その他の単量体(以下、共重合性単量体と記す)としては、具体的には、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホ基含有単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスフェート等の酸性リン酸エステル基含有単量体;ビニルフェノール等の石炭酸系単量体;等の酸基含有単量体、およびその塩、ポリエチレングリコールモノメタアクリル酸エステル、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、メトキシポリエチレングリコールモノアクリル酸エステル等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル;3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを付加してなるポリアルキレングリコールモノアルケニルエーテル単量体;アリルアルコールにエチレンオキサイドを付加してなるポリエチレングリコールモノエテニルエーテル単量体;無水マレイン酸にポリエチレングリコールを付加してなるマレイン酸ポリエチレングリコールハーフエステル;等のポリアルキレングリコール鎖含有単量体が挙げられる。上記ポリアルキレングリコール鎖含有単量体のなかでも、エチレンオキサイド換算で5モル以上、100モル以下、好適には10モル以上、100モル以下の鎖長のポリアルキレングリコール鎖を含有する単量体が、入手が容易であり、また、擬似粒化性を向上させる上でより好ましく、また、重合性の面からも良好である。その他の例として、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸(N,N−ジメチルアミノエチル)、(メタ)アクリル酸(N,N−ジエチルアミノエチル)、(メタ)アクリル酸アミノエチル等の、炭素数1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の、(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体;酢酸ビニル;(メタ)アクリロニトリル;N−ビニル−2−ピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の塩基含有単量体;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の、架橋性を有する(メタ)アクリルアミド系単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリエトキシシラン等の、加水分解性を有する基がケイ素原子に直結しているシラン系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルエーテル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有単量体;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有単量体;2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルアジリジン等のアジリジン基含有単量体;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン基含有単量体;(メタ)アクリル酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールとのエステル化物等の、分子内に不飽和基を複数有する多官能(メタ)アクリル酸エステル;メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の、分子内に不飽和基を複数有する多官能(メタ)アクリルアミド;ジアリルフタレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート等の、分子内に不飽和基を複数有する多官能アリル化合物;アリル(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら共重合性単量体は、必要に応じて、一種類を用いてもよく、また、二種類以上を用いてもよい。
【0067】
さらに、上記単量体組成物には、分子量の調節を目的として、連鎖移動剤を添加することもできる。該連鎖移動剤としては、具体的には、例えば、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸、t−ドデシルメルカプタン等のメルカプト基含有化合物;四塩化炭素;イソプロピルアルコール;トルエン;次亜リン酸ナトリウム;等の化合物が挙げられる。これら連鎖移動剤は、必要に応じて、一種類を用いてもよく、また、二種類以上を用いてもよい。これら連鎖移動剤の使用量は特に限定されるものではない。
【0068】
カルボキシル基及び/またはその塩含有高分子化合物は、上記単量体組成物を重合させることによって得られる。重合方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の重合方法、例えば、水中油型乳化重合法、油中水型乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、沈澱重合法、溶液重合法、水溶液重合法、塊状重合法等を採用することができる。上記例示の重合方法のなかでも、生産コストの低減並びに安全性等の観点から、水溶液重合法がより好ましい。
【0069】
重合方法に用いられる重合開始剤は、熱または酸化還元反応によって分解し、ラジカル分子を発生させる化合物であればよい。また、水溶液重合法を採用する場合においては、水溶性を備えた重合開始剤が好ましい。該重合開始剤としては、具体的には、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類;2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−(4−シアノペンタン酸)等の水溶性アゾ化合物;過酸化水素等の熱分解性開始剤;過酸化水素およびアスコルビン酸、t−ブチルハイドロパーオキサイドおよびロンガリット、過硫酸カリウムおよび金属塩、過硫酸アンモニウムおよび亜硫酸水素ナトリウム、等の組み合わせからなるレドックス系重合開始剤;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら重合開始剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。尚、重合開始剤の使用量は、単量体組成物の組成や重合反応の条件等に応じて適宜設定すればよい。
【0070】
反応温度や反応時間等の重合条件は、単量体組成物の組成や、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよい。水溶液重合法を採用する場合における単量体組成物の反応系への供給方法としては、例えば、一括添加法、分割添加法、成分滴下法、パワーフィード法、多段滴下法等を行うことができるが、特に限定されるものではない。重合反応は常圧下、減圧下、加圧下の何れで行ってもよい。
【0071】
上記カルボキシル基及び/またはその塩含有高分子化合物の合成に際し、水溶液重合法を採用した場合に得られるポリマー水溶液中に含まれる、上記カルボキシル基及び/またはその塩含有高分子化合物を含む不揮発分の濃度は、特に限定されるものではないが、70質量%以下であることがより好ましい。不揮発分の濃度が70質量%を越えるポリマー水溶液は、粘度が高くなり、焼結原料と均一に混ざるまでの時間が長くなってしまう。
【0072】
本発明に係る上記カルボキシル基及び/またはその塩含有高分子化合物は、「質量平均分子量(重量平均分子量)/数平均分子量」で表される分散度が、1.2以上、12.0以下の範囲内であることが好ましいが、特に限定されるものではない。分散度が1.2未満であると、造粒後の焼結原料の強度が低下する傾向にある。一方、分散度が12.0より大きくても、十分な造粒効果が得られないおそれがある。
【0073】
また、上記カルボキシル基及び/またはその塩含有高分子化合物における数平均分子量は、500以上、20000以下の範囲内であることが好ましいが、特に限定されるものではない。数平均分子量が500未満あるいは20000より大きい場合、十分な造粒効果が得られないおそれがある。
【0074】
また、上記酸基およびポリアルキレングリコール鎖を有する化合物は、例えば、上記ポリアルキレングリコール鎖を有する単量体と酸基含有単量体を必須成分とする単量体組成物を重合して得ることができる。酸基含有単量体としては、上記カルボキシル基含有単量体、上記スルホ基含有単量体、上記酸性リン酸エステル含有単量体、石油酸系単量体が挙げられる。また、その他の成分として、上記共重合性単量体を含んでいてもよい。また、酸基およびポリアルキレングリコール鎖を有する化合物は、例えば、ポリアルキレングリコール鎖を有する化合物存在下で、上記酸基含有単量体を重合することによっても得ることができる。酸基およびポリアルキレングリコール鎖を有する化合物は、カルボキシル基含有高分子化合物と同様の重合方法で得ることができるが、この際に前述した連鎖移動剤や重合開始剤が使用できる。本発明で酸基とは、酸型の構造のもの及び/または酸が中和された構造のものを示す。従って、本発明で酸基及びポリアルキレングリコール鎖を有する化合物とは、酸基の一部あるいは全部が中和されている構造のものを含む。
【0075】
また、上記β−ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物は、コールタール留分のナフタリン油に濃硫酸を反応させ、スルホン化したものをホルムアルデヒドで縮合反応させたものであり、例えば、下記一般式(1)
【0076】
【化1】
Figure 0004159939
【0077】
(式中、R1、R2はそれぞれ独立して水素原子、CH3原子、またはCH2CH3基を表し、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、または窒素含有塩基を表し、pは1〜10000の正数を表す)
で表される構造を有している。
【0078】
なお、ここで使用されるナフタリン油の成分は、一般に、ナフタリン、チオナフテン、メチルナフタリン等の混合物であることが多い。上記β−ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物としては、従来公知のβ−ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、例えば市販のβ−ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物を使用することができ、その製造条件等は、特に限定されるものではない。
【0079】
また、上記メラミンスルホン酸塩ホルマリン縮合物は、ホルムアルデヒド水溶液にメラミンを縮合反応させ、これを亜硫酸ナトリウムでスルホン化した水溶性高分子化合物であり、例えば、下記一般式(2)
【0080】
【化2】
Figure 0004159939
【0081】
(式中、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、または窒素含有塩基を表し、qは1〜10000の正数を表す)
で表される構造単位を有している。上記メラミンスルホン酸塩ホルマリン縮合物もまた、従来公知のメラミンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、例えば市販のメラミンスルホン酸塩ホルマリン縮合物を使用することができ、その製造条件等は、特に限定されるものではない。
【0082】
また、上記芳香族アミノスルホン酸ポリマーは、アニリンをスルホン化したアミノベンゼンスルホン酸とフェノールとをホルムアルデヒドを用いて縮合させた水溶性高分子化合物であり、例えば、下記一般式(3)
【0083】
【化3】
Figure 0004159939
【0084】
(式中、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、または窒素含有塩基を表し、r、sはそれぞれ独立して1〜10000の正数を表す)
で表される構造単位を有している。上記芳香族アミノスルホン酸ポリマーもまた、従来公知の芳香族アミノスルホン酸ポリマー、例えば市販の芳香族アミノスルホン酸ポリマーを使用することができ、この製造条件等は、特に限定されるものでない。
【0085】
さらに、上記リグニンスルホン酸変性物は、パルプ廃液に濃硫酸を作用させて得られたリグニンスルホン酸を変性し、β−ナフタレンスルホン酸等と複合化したポリマーであり、例えば、下記一般式(4)
【0086】
【化4】
Figure 0004159939
【0087】
(式中、R3はβ−ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物に由来する塩、またはCOOH基を表し、Mは金属イオン、アルカリ土類金属イオン、または窒素含有塩基を表し、tは1〜10000の正数を表す)
で表される構造単位を有している。上記リグニンスルホン酸変性物もまた、従来公知のリグニンスルホン酸変性物、例えば市販のリグニンスルホン酸変性物を使用することができ、その製造条件等は、特に限定されるものではない。該リグニンスルホン酸変性物は、単なるリグニンスルホン酸より優れた分散性を有している。
【0088】
上記一般式(1)〜(4)において、Mで表される置換基のうち、アルカリ金属イオンとしては、具体的には、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属のイオンが挙げられる。また、アルカリ土類金属イオンとしては、具体的には、例えば、カルシウム等のアルカリ土類金属イオンが挙げられる。また、窒素含有塩基としては、アンモニウム、1級〜4級のアミン等が挙げられる。
【0089】
上記酸およびポリアルキレングリコール鎖を有する化合物、β−ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、芳香族アミノスルホン酸ポリマー、およびリグニンスルホン酸変性物の数平均分子量は300以上、10万以下であることがより好ましい。また、数平均分子量の下限値は500であることがさらに好ましく、上限値は2万であることがさらに好ましい。上記数平均分子量が300未満の場合、擬似粒化性が低下する傾向にあり、10万を超える場合、粘度が高くなりすぎ、上記高分子化合物が、鉄鉱石に十分に廻らなくなり、擬似粒化性が低下するおそれがある。
【0090】
本発明によれば、マラマンバ鉱石を含む焼結原料を造粒処理する際に、上記高分子化合物群Aに属する高分子化合物を含む造粒処理剤を添加する工程を含むことで、微粉の凝集物を破壊、分散し、前記微粉の凝集物に取り込まれている水を開放する、すなわち、従来有効に使用できなかった水を、焼結原料全体に行き渡らせることができ、水を効率よく使用することができる。さらに、微粉も同時に分散し、焼結原料粒子間の接点に再凝集するので、微粉による固体架橋が形成される。これにより、マラマンバ鉱石を含む焼結原料の造粒処理が可能となり、強固な擬似粒子を造ることができる。
【0091】
上記造粒処理剤は、上記高分子化合物Aを必須成分とし、好ましくはさらに水を含有する。上記造粒処理剤の、上記高分子化合物群Aに属する高分子化合物の含有量は、0.01質量%〜70質量%の範囲内であることが好ましい。また、水の含有量としては、30質量%〜99.99質量%の範囲内であることが好ましい。
【0092】
もちろん、焼結原料だけではなく、ペレット原料(鉄鉱石、副原料、燃料等)に対する事前処理として本発明を用いることができる。その場合、ペレット原料に対する造粒処理剤の添加量は、特に限定されるものではないが、ペレット原料の全質量に対し、固形分換算で、下限値がより好ましくは0.01質量%であり、さらに好ましくは0.03質量%であり、上限値がより好ましくは5質量%であり、さらに好ましくは1質量%である。固形分換算で5質量%を超えて造粒処理剤を添加すると、造粒過多となってペレット原料の大きな塊ができてしまい、該ペレット原料の粒径のバラツキが大きくなる等の悪影響が出てしまう。また、使用する造粒処理剤の添加量の下限値は、ペレット原料の造粒性や、使用する造粒機等によって左右されるが、できるだけ少量となるように設計することが望ましい。
【0093】
さらに、上記造粒処理剤は、上記高分子化合物群Aに属する高分子化合物が有する性能、特に、該高分子化合物群Aに属する高分子化合物を、マラマンバ鉱石を含む焼結原料の造粒に用いた場合における擬似粒化性の向上効果を阻害しない範囲内で、必要に応じて、他の成分、例えば生石灰等の従来公知の、他の造粒添加剤等と併用しても構わない。
【0094】
さらに、上記造粒処理剤は、擬似粒子の付着粉の付着力を増し、焼結ベッドにおける水分凝縮帯等の崩壊を抑制し、得られる焼結鉱の生産率を向上する目的で、上記高分子化合物群Aに属する高分子化合物が有する性能、特に該高分子化合物群Aに属する高分子化合物を、マラマンバ鉱石を含む焼結原料の造粒に用いた場合における擬似粒化性の向上効果を阻害しない範囲内で、平均粒径200μm以下の微粉を併用することができる。適当な微粉としては、炭酸カルシウム、カオリンクレー、シリカ、硅砂、タルク、ベントナイト、ドロマイト粉末、ドロマイトプラスタ、炭酸マグネシウム、シリカフューム、無水石膏、セリサイト、モンモリナイト、シラス、シラスバルーン、珪藻土、焼成珪藻土、シリコンカーバイド、黄色酸化鉄、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、黒鉛、ワラストナイト、クレカスフェアー、カーボンブラック、トナー、べんがら、粉砕蛇紋岩、高炉スラグ、転炉スラグ、活性白土、ポルトランドセメント等のセメント、粉砕珪石、酸化マグネシウム、焼成ヒル石、ペレットフィード等の鉄鉱石、製鉄所で発生するダスト、製鉄所以外のプロセスで発生するダスト、具体的には、フライアッシュや重油灰等の火力発電所で発生するダスト、製銅プロセスで発生するカラミ鉄精鉱や銅スラグ、アルミナ製造工程で排出される赤泥、その他、排煙脱硫石膏やアスベスト粉塵等の無機あるいは有機微粒子が挙げられる。上記微粉の平均粒径は、好ましくは50μm以下であり、さらに好ましくは25μm以下であり、最も好ましくは15μm以下である。
【0095】
本発明は、例えば、難造粒性の焼結原料等を、予め選択的に混合及び/または造粒処理した後、残りの焼結原料に添加して造粒処理する方法を用いてもよい。該造粒処理方法は、高分子化合物や、擬似粒子の崩壊抑制剤としての微粒子の添加量を低減できる傾向にある点で好ましい。但し、該造粒処理方法を採用する場合、処理工程が増加したり、予備処理工程の設備が必要となる。
【0096】
本発明は以下に述べる各実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施例にそれぞれ開示された技術手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0097】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。尚、実施例および比較例に記載の「部」は「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示す。また、以下に記載の実施例および比較例における焼結原料並びにペレット原料は、全て、絶乾状態のものを使用した。
【0098】
本発明おける数平均分子量、質量平均分子量、分散度、平均粒径、GI指数、生産率は、下記方法により測定した。
【0099】
(数平均分子量、質量平均分子量、分散度)
高分子化合物の数平均分子量並びに質量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定した。測定条件は以下の通りである。
【0100】
ポンプ:「L−7110」(株式会社日立製作所製)
キャリア液:リン酸水素二ナトリウム十二水和物34.5gおよびリン酸二水素ナトリウム二水和物46.2gに超純水を加えて全量を5000gとした水溶液
流速:0.5ml/min
カラム:水系GPCカラム「GF−7MHQ」(昭和電工株式会社製)1本
検出器:紫外線(UV)検出器「L−7400」(株式会社日立製作所製)、波長214nm
分子量標準サンプル:ポリアクリル酸ナトリウム(創和科学株式会社製)
分析サンプルは、高分子化合物が固形分で0.1%となるように上記キャリア液で希釈することにより調製した。
【0101】
また、高分子化合物の分散度は、上記測定条件により測定した質量平均分子量並びに数平均分子量に基づいて、以下の計算式
分散度=質量平均分子量/数平均分子量
により算出した。
【0102】
ただし、実施例6、7で得られる高分子化合物については、以下の測定条件を適用した。
【0103】
機種:Waters LCM1
キャリア液:水10999g、アセトニトリル6001gの混合液に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶解し、さらに30%水酸化ナトリウム水溶液でPH6.0に調節した水溶液
流速:0.8ml/min
カラム:水系GPCカラム「TSKgel GuardColumnSWXL+G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL」(東ソー株式会社製)
カラム温度:35℃
検出器:Waters 410 示差屈折検出器
分子量標準サンプル:ポリエチレングリコール
分析サンプルは、高分子化合物が固形分で0.1%となるように上記キャリア液で希釈することにより調製した。
【0104】
(平均粒径、GI指数)
造粒操作を行って得られた擬似粒子を80℃のオーブンで1時間乾燥した後、ふるいを用いて分級することにより、その粒度(擬似粒度)並びに平均粒径を求めた。造粒された擬似粒子のGI指数とは、製鉄研究第288号(1976)9頁に開示されている評価方法の一つであり、核粒子の周りに付着する微粉粒子の割合を示す。この割合が大きいほど、微粉粒子を核粒子の周りに付着させる効果に優れ、焼結機の生産効率を向上させることができる。以下の測定においては、造粒後の平均粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。また、0.25mm以下の擬似粒子のGI指数(擬似粒化指数)は以下の式により計算した。
【0105】
0.25mm以下の擬似粒子のGI指数=(造粒前の0.25mm以下の原料の比率−造粒後の0.25mm以下の原料の比率)/(造粒前の0.25mm以下の原料の比率)×100
(成品歩留及び生産率)
成品歩留は、焼結鍋試験において、焼結鉱(シンターケーキ)50kgを2mの高さから鉄板上に5回落下させたときの、粒径5mm以上の粒度を有する粒子の割合を測定することにより評価した。
【0106】
焼結鉱の生産率は、以下の式
生産率(t/day/m2)=成品歩留評価後の粒径5mm以上の粒度を有する粒子の総質量(重量)(t)/焼結時間(day)/焼結機(鍋)の表面積(m2
により算出した。
【0107】
〔実施例1〕
攪拌機およびコンデンサを備えた容量5Lのセパラブルフラスコ(SUS316製)に、イオン交換水805.5部および連鎖移動剤としての45%次亜リン酸ナトリウム一水和物水溶液40.1部を仕込み、攪拌下、系の沸点(100℃)まで昇温した。
【0108】
続いて、上記セパラブルフラスコ内に、カルボキシル基含有単量体としての80%アクリル酸水溶液2126.1部、並びに、重合開始剤としての15%過硫酸ナトリウム水溶液112.4部および45%次亜リン酸ナトリウム一水和物水溶液160.2部を滴下した。上記アクリル酸水溶液、過硫酸ナトリウム水溶液、次亜リン酸ナトリウム一水和物水溶液は、それぞれ別々の滴下口より滴下した。アクリル酸水溶液は180分間で滴下した。過硫酸ナトリウム水溶液は185分間で滴下した。次亜リン酸ナトリウム一水和物水溶液は180分間で滴下した。滴下時間中、反応温度は系の沸点を維持した。滴下終了後、同温度に5分間保持した後、中和剤としての48%水酸化ナトリウム水溶液1889.0部を60分間かけて滴下することにより、ポリマー水溶液を得た。このようにして得られたポリマー水溶液中の重合体(高分子化合物)の数平均分子量、分散度を算出したところ、数平均分子量は2100、質量平均分子量6200、分散度は2.93であった。
【0109】
また、得られたポリマー水溶液を固形分換算で35部となるように採取し、これをイオン交換水で希釈し、5250部にすることにより本発明にかかる造粒処理剤(1)を得た。
【0110】
一方、表2に示す組成を有する、マラマンバ鉱石を含有する焼結原料を調製した。マラマンバ鉱石としてはウエストアンジェラスを使用した。
【0111】
【表2】
Figure 0004159939
【0112】
上記の焼結原料70000部をドラムミキサーに投入し、回転速度24min-1で1分間、予備攪拌した。その後、同回転速度で攪拌しながら、該焼結原料に、予め調製した本発明にかかる造粒処理剤(1)5250部を霧吹きを用いて約1.5分間かけて噴霧した。焼結原料に対するカルボキシル基含有高分子化合物の割合は0.05%であった。噴霧後、さらに同回転速度で3分間攪拌することにより、造粒操作を行った。
【0113】
得られたそれぞれの擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、造粒物を80℃のオーブンで1時間乾燥し、該擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の平均粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。
【0114】
〔実施例2〕
攪拌機およびコンデンサを備えた容量5Lのセパラブルフラスコ(SUS316製)に、イオン交換水805.5部を仕込み、攪拌下、系の沸点(100℃)まで昇温した。
【0115】
続いて、上記セパラブルフラスコ内に、80%アクリル酸水溶液2126.1部、並びに、15%過硫酸ナトリウム水溶液112.4部、および45%次亜リン酸ナトリウム一水和物水溶液88.5部を滴下した。上記アクリル酸水溶液、過硫酸ナトリウム水溶液、次亜リン酸ナトリウム一水和物水溶液は、それぞれ別々の滴下口より滴下した。アクリル酸水溶液は180分間で滴下した。過硫酸ナトリウム水溶液は185分間で滴下した。次亜リン酸ナトリウム一水和物水溶液は180分間で滴下した。滴下時間中、反応温度は系の沸点を維持した。滴下終了後、同温度に5分間保持した後、48%水酸化ナトリウム水溶液1889.0部を60分間かけて滴下することにより、ポリマー水溶液を得た。このようにして得られたポリマー水溶液中の重合体(高分子化合物)の数平均分子量、分散度を算出したところ、数平均分子量は2900、質量平均分子量12200、分散度は4.21であった。
【0116】
また、得られたポリマー水溶液を固形分換算で35部となるように採取し、これをイオン交換水で希釈し、5250部にすることにより本発明にかかる造粒処理剤(2)を得た。
【0117】
その後、実施例1において、造粒処理剤(1)に代えてこの造粒処理剤(2)を用いて実施例1と同様の操作により造粒を行い、得られた擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の平均粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。
【0118】
〔実施例3〕
攪拌機およびコンデンサを備えた容量5Lのセパラブルフラスコ(SUS316製)に、イオン交換水805.5部、および45%次亜リン酸ナトリウム一水和物水溶液40.1部を仕込み、攪拌下、系の沸点(100℃)まで昇温した。
【0119】
続いて、上記セパラブルフラスコ内に、80%メタクリル酸水溶液2126.1部、並びに、15%過硫酸ナトリウム水溶液112.4部、および45%次亜リン酸ナトリウム一水和物水溶液160.2部を滴下した。上記メタクリル酸水溶液、過硫酸ナトリウム水溶液、次亜リン酸ナトリウム一水和物水溶液は、それぞれ別々の滴下口より滴下した。アクリル酸水溶液は180分間で滴下した。過硫酸ナトリウム水溶液は185分間で滴下した。次亜リン酸ナトリウム一水和物水溶液は180分間で滴下した。滴下時間中、反応温度は系の沸点を維持した。滴下終了後、同温度に10分間保持した後、48%水酸化ナトリウム水溶液1595.1部を60分間かけて滴下することにより、ポリマー水溶液を得た。このようにして得られたポリマー水溶液中の重合体(高分子化合物)の数平均分子量、分散度を算出したところ、数平均分子量は1900、質量平均分子量6300、分散度は3.31であった。
【0120】
また、得られたポリマー水溶液を固形分換算で35部となるように採取し、これをイオン交換水で希釈し、5250部にすることにより本発明にかかる造粒処理剤(3)を得た。
【0121】
その後、実施例1において、造粒処理剤(1)に代えてこの造粒処理剤(3)を用いて実施例1と同様の操作により造粒を行い、得られた擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の平均粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。
【0122】
〔実施例4〕
攪拌機およびコンデンサを備えた容量1Lのセパラブルフラスコ(SUS316製)に、イオン交換水355部、無水マレイン酸98部、および水酸化ナトリウム80部を仕込んで中和させ、攪拌下、系の沸点(100℃)まで昇温した。
【0123】
続いて、上記セパラブルフラスコ内に、40%アクリル酸水溶液180部、並びに、10%過硫酸ナトリウム水溶液、および14%過酸化水素水溶液100部を滴下した。上記アクリル酸水溶液、過硫酸ナトリウム水溶液、過酸化水素水溶液は、それぞれ別々の滴下口より4時間かけて滴下した。滴下時間中、反応温度は系の沸点を維持した。滴下終了後、同温度に60分間保持した後、49%水酸化ナトリウム水溶液57部を60分間かけて滴下することにより、ポリマー水溶液を得た。このようにして得られたポリマー水溶液中の重合体(高分子化合物)の数平均分子量、分散度を算出したところ、数平均分子量は1200、質量平均分子量5900、分散度は4.94であった。
【0124】
また、得られたポリマー水溶液を固形分換算で35部となるように採取し、これをイオン交換水で希釈し、5250部にすることにより本発明にかかる造粒処理剤(4)を得た。
【0125】
その後、実施例1において、造粒処理剤(1)に代えてこの造粒処理剤(4)を用いて実施例1と同様の操作により造粒を行い、得られた擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の平均粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。
【0126】
〔実施例5〕
攪拌機およびコンデンサを備えた容量1Lのセパラブルフラスコ(SUS316製)に、イオン交換水1400部を仕込み、攪拌下、系の沸点(100℃)まで昇温した。
【0127】
続いて、上記セパラブルフラスコ内に、80%アクリル酸水溶液578.5部、および15%過硫酸アンモニウム水溶液62.5部をそれぞれ別々の滴下口より2時間かけて滴下した。滴下時間中、反応温度は系の沸点を維持した。滴下終了後、同温度に120分間保持した後、48%水酸化ナトリウム水溶液353部を60分間かけて滴下することにより、ポリマー水溶液を得た。このようにして得られたポリマー水溶液中の重合体(高分子化合物)の数平均分子量、分散度を算出したところ、数平均分子量は4900、質量平均分子量48200、分散度は9.84であった。
【0128】
また、得られたポリマー水溶液を固形分換算で35部となるように採取し、これをイオン交換水で希釈し、5250部にすることにより本発明にかかる造粒処理剤(5)を得た。
【0129】
その後、実施例1において、造粒処理剤(1)に代えてこの造粒処理剤(5)を用いて実施例1と同様の操作により造粒を行い、得られた擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の平均粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。
【0130】
〔実施例6〕
攪拌機およびコンデンサを備えた容量1Lのセパラブルフラスコ(SUS316製)に、無水マレイン酸196部、イオン交換水110.7部、水酸化ナトリウム48%水溶液333.3部を仕込み、攪拌下、系の沸点(100℃)まで昇温した。
【0131】
続いて、上記セパラブルフラスコ内に、60%アクリル酸水溶液560.78部、および10%過硫酸ナトリウム水溶液200部、35%過酸化水素水6.65部をそれぞれ別々の滴下口より5時間かけて滴下し、ポリマー水溶液を得た。このようにして得られたポリマー水溶液中の重合体(高分子化合物)の数平均分子量、分散度を測定したところ、数平均分子量は5260、質量平均分子量81000、分散度は15.4であった。
【0132】
また、得られたポリマー水溶液を固形分換算で35部となるように採取し、これをイオン交換水で希釈し、5250部にすることにより本発明にかかる造粒処理剤(6)を得た。
【0133】
その後、実施例1において、造粒処理剤(1)に代えてこの造粒処理剤(6)を用いて実施例1と同様の操作により造粒を行い、得られた擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の平均粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。
【0134】
〔実施例7〕
温度計、撹拌機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製の反応容器にイオン交換水1698部を仕込み、撹拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。一方、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数=25)1668部、メタクリル酸332部およびイオン交換水500部を混合し、この混合物にさらにメルカプトプロピオン酸16.7部を均一に混合することにより、単量体混合物水溶液を調製した。
【0135】
次いで、この単量体混合物水溶液と、10%過硫酸アンモニウム水溶液とをそれぞれ滴下ロートに仕込み、この単量体混合物水溶液と、10%過硫酸アンモニウム水溶液184部とを上記反応容器内のイオン交換水に4時間で滴下した。滴下終了後、上記反応容器内の反応溶液に、さらに、10%過硫酸アンモニウム水溶液46部を1時間で滴下した。その後、上記反応容器内の反応溶液を、1時間引き続いて80℃に温度を維持し、重合反応を完結させた。
【0136】
その後、この反応溶液を30%水酸化ナトリウム水溶液で中和しての高分子化合物を含む、質量平均分子量が23800、不揮発分の濃度が43.2%であるポリマー水溶液を得た。
【0137】
また、得られたポリマー水溶液を固形分換算で35部となるように採取し、これをイオン交換水で希釈し、5250部にすることにより本発明にかかる造粒処理剤(7)を得た。
【0138】
その後、実施例1において、造粒処理剤(1)に代えてこの造粒処理剤(7)を用いて実施例1と同様の操作により造粒を行い、得られた擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の平均粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。
【0139】
〔実施例8〕
温度計、撹拌機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製の反応容器に、イオン交換水1291部と、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを平均50モル付加してなる、ポリアルキレングリコールモノアルケニルエーテル単量体1812部と、無水マレイン酸188部とを仕込み、反応溶液とした。次いで、この反応溶液を60℃に昇温した。
【0140】
続いて、この反応溶液に、「NC−32W」(商品名;日宝化学社製、2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン塩酸塩の87%濃度品)の15%水溶液50部を加えて7時間攪拌し、さらに温度を80℃まで上昇した後、1時間攪拌して重合反応を完結させた。
【0141】
その後、この反応溶液を30%水酸化ナトリウム水溶液で中和して不揮発分の濃度が55.1%であるポリマー水溶液を得た。高分子量体の質量平均分子量は26200であった。
【0142】
また、得られたポリマー水溶液を固形分換算で35部となるように採取し、これをイオン交換水で希釈し、5250部にすることにより本発明にかかる造粒処理剤(8)を得た。
【0143】
その後、実施例1において、造粒処理剤(1)に代えてこの造粒処理剤(8)を用いて実施例1と同様の操作により造粒を行い、得られた擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の平均粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。
【0144】
〔実施例9〕
β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物である「マイティー150」(商品名;花王株式会社製、不揮発分40.1%)を固形分換算で35部となるように採取し、これをイオン交換水で希釈し、5250部にすることにより本発明にかかる造粒処理剤(9)を得た。
【0145】
その後、実施例1において、造粒処理剤(1)に代えてこの造粒処理剤(9)を用いて実施例1と同様の操作により造粒を行い、得られた擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の平均粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。
【0146】
〔実施例10〕
メラミンスルホン酸塩ホルマリン縮合物である「メルメントF10」(商品名;SKW社製、粉体品)を固形分換算で35部となるように採取し、これをイオン交換水で希釈し、5250部にすることにより本発明にかかる造粒処理剤(10)を得た。
【0147】
その後、実施例1において、造粒処理剤(1)に代えてこの造粒処理剤(10)を用いて実施例1と同様の操作により造粒を行い、得られた擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の平均粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。
【0148】
〔実施例11〕
実施例1の焼結原料70000部をドラムミキサーに投入し、さらに重質炭酸カルシウム(スーパーSS、丸尾カルシウム製)1400部を投入し、回転速度24min-1で1分間、予備攪拌した。その後、同回転速度で攪拌しながら、該焼結原料に、予め調製した造粒処理剤(1)5250部を霧吹きを用いて約1.5分間かけて噴霧した。焼結原料に対する高分子化合物の割合は0.05%であった。噴霧後、さらに同回転速度で3分間攪拌することにより、造粒操作を行った。
【0149】
得られたそれぞれの擬似粒子の造粒物を80℃のオーブンで1時間乾燥し、該擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の平均粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。
【0150】
〔実施例12〕
実施例1において、表2に示す焼結原料の配合から表3に示す焼結原料の配合に変更し、それに伴い新原料の全質量に対するマラマンバの配合割合を15質量%から50質量%に変更した条件で、それ以外は、実施例1と同様の操作により造粒を行なった。すなわち、実施例1と同じ焼結原料70000部に水5250部を添加することにより造粒操作を行なった。次いで、実施例1と同様の操作により、得られた擬似粒子の平均粒径が0.25mm以下の粒子のGI指数を求めた。
【0151】
【表3】
Figure 0004159939
【0152】
〔比較例1〕
実施例1において、造粒処理剤(1)に代えて水5250部を用いた以外は、実施例1と同様の操作により造粒を行った。すなわち、実施例1と同じ焼結原料70000部に水5250部を添加することにより造粒操作を行った。次いで、実施例1と同様の操作により、得られた擬似粒子の平均粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。
【0153】
〔比較例2〕
生石灰1400部と水5900部とを併用し、これを比較用の造粒処理剤(a)として、実施例1の造粒処理剤(1)5250部の代わりに用いる他は実施例1と同様にして造粒を行った。次いで、実施例1と同様の操作により、得られた擬似粒子の平均粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。
【0154】
〔比較例3〕
砂糖350部にイオン交換水を添加して、5565部とし、これを比較用の造粒処理剤(b)として、実施例1の造粒処理剤(1)5250部の代わりに用いる他は実施例1と同様にして造粒を行った。次いで、実施例1と同様の操作により、得られた擬似粒子の平均粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。
【0155】
〔比較例4〕
カルボキシル基含有単量体を含まないアルキレンオキサイドユニット含有高分子化合物である、数平均分子量2万のポリエチレングリコール35部に、イオン交換水を添加して、5250部とした。これを比較用の造粒処理剤(c)として、実施例1の造粒処理剤(1)5250部の代わりに用いる他は実施例1と同様にして造粒を行った。次いで、実施例1と同様の操作により、得られた擬似粒子の平均粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。
【0156】
〔比較例5〕
表4に示す組成を有する、マラマンバ鉱石を含有しない焼結原料を調製した。
【0157】
【表4】
Figure 0004159939
【0158】
表4に示す焼結原料70000部をドラムミキサーに投入し、回転速度24min-1で1分間、予備攪拌した。その後、同回転速度で攪拌しながら、該焼結原料に、イオン交換水5250部を霧吹きを用いて約1.5分間かけて噴霧した。噴霧後、さらに同回転速度で3分間攪拌することにより、造粒操作を行った。
【0159】
得られたそれぞれの擬似粒子の造粒物を80℃のオーブンで1時間乾燥し、該擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、造粒後の平均粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。
【0160】
〔比較例6〕
実施例1において、表2に示す焼結原料の配合から表5に示す焼結原料の配合に変更し、それに伴い新原料の全質量に対するマラマンバの配合割合を15質量%から60質量%に変更した条件で、それ以外は、実施例1と同様の操作により造粒を行なった。すなわち、実施例1と同じ焼結原料70000部に水5250部を添加することにより造粒操作を行なった。次いで、実施例1と同様の操作により、得られた擬似粒子の平均粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。
【0161】
【表5】
Figure 0004159939
【0162】
〔比較例7〕
実施例1において、造粒処理剤(1)の添加量を、焼結原料に対するカルボキシル基含有高分子化合物の割合で、0.0005質量%に代えた以外は、実施例1と同様の操作により造粒を行なった。次いで、実施例1と同様の操作により、得られた擬似粒子の平均粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。
【0163】
〔比較例8〕
実施例1において、造粒処理剤(1)の添加量を、焼結原料に対するカルボキシル基含有高分子化合物の割合を1.05質量%に代えた以外は、実施例1と同様の操作により造粒を行なった。ついで、実施例1と同様の操作により、得られた擬似粒子の平均粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。
【0164】
上記実施例1〜12および比較例1〜8で得られた擬似粒子のGI指数を表6にまとめた。
【0165】
【表6】
Figure 0004159939
【0166】
表6から分かるように、本発明にかかるカルボキシル基含有高分子化合物を含有する造粒処理剤を用いることにより、GI指数、すなわち、焼結原料の造粒性を大きく向上させることができることがわかる。
【0167】
また、この結果から、本発明にかかるカルボキシル基含有高分子化合物を含有する造粒処理剤を用いることにより、造粒性が著しく向上することから、生産効率が向上する。
【0168】
また、比較例1〜4は、造粒処理剤がカルボキシル基含有高分子化合物を含有していない。そのため、本発明の好ましい範囲から外れているので、GI指数が低くなった。また、比較例5から、本発明は、赤鉄鉱針鉄鉱鉱石を含まない焼結原料における現状の造粒処理方法と比較しても有効であることがわかる。
【0169】
上記実施例1、12および比較例6〜8で得られた擬似粒子のGI指数および焼結鉱の生産率を表7にまとめた。ここで、(t/d/m2)は、焼結機1m2当たり、1日に何t焼結鉱を生産できるかを示す。
【0170】
【表7】
Figure 0004159939
【0171】
表7の実施例1、12から分かるように、本発明で規定する新原料の全質量に対する配合割合で5質量%〜50質量%のマラマンバ鉱石を含む製鉄用原料に、本発明にかかるカルボキシル基含有高分子化合物を含有する造粒処理剤を、本発明で規定する前記製鉄用焼結原料の全質量に対し、固形分換算で0.001質量%〜1質量%の割合で添加することにより、GI指数、すなわち、焼結原料の造粒性および焼結鉱の生産率を大きく向上させることができることがわかる。
【0172】
一方、比較例6〜8は、新原料の全質量に対するマラマンバ鉱石の配合割合、または、焼結原料の全質量に対する造粒処理剤の添加割合の何れかが、本発明で規定する範囲から外れているため、本発明にかかるカルボキシル基含有高分子化合物を造粒処理剤として添加した場合でも、GI指数および焼結鉱の生産率が低くなった。
【0173】
〔実施例13〕
表8に示す組成を有する配合(A)の焼結原料14113部および配合(B)の焼結原料55887部の、計70000部の焼結原料(製鉄用原料)を調製した。
【0174】
【表8】
Figure 0004159939
【0175】
なお、表8中、「MBRPF」とは、ブラジル鉱山のMBR社から供給されるペレットフィードである。また、篩上、篩下のハマスレー粉鉱とは、それぞれ、網目3mmの篩上に残ったハマスレー粉鉱(すなわち、粒径が3mmを超えるハマスレー粉鉱)、網目3mmの篩を通過したハマスレー粉鉱(すなわち、粒径が3mm以下のハマスレー粉鉱)を示す。
【0176】
次いて、表8に示す配合(A)、配合(B)の焼結原料にそれぞれ水を添加し、それぞれ、15509部(含水量9質量%)、59454部(含水量6質量%)に調整した(以下、上記の焼結原料を、それぞれ焼結原料(A)、焼結原料(B)と記す)。
【0177】
一方、カルボキシル基及び/またはその塩を有する高分子化合物として、質量平均分子量6000のポリアクリル酸ナトリウム水溶液を、不揮発分4.8%となるように予め調整することにより本発明にかかる造粒処理剤(11)を得た。
【0178】
その後、焼結原料(A)15509部(含水量9質量%)および平均粒径10μmに粉砕した高炉スラグ350部(微粒子)を、回転するパン部とアジテーター部とを有する高速攪拌ミキサー(「アイリッヒミキサ」(型番R05T;日本アイリッヒ株式会社製))に投入し、該高速撹拌ミキサー内の焼結原料組成物に、上記造粒処理剤(11)181部を霧吹きを用いて約40秒間かけて噴霧(添加)して選択造粒物を得た。このとき、パン部の回転速度は30min-1、アジテーター部の回転速度は450min-1であった。その後、上記選択造粒物16040部と、焼結原料(B)59454部(含水量6質量%)と、生石灰350部とをドラムミキサーに投入し、回転速度24min-1で1分間、予備撹拌した。その後、同回転速度で攪拌しながら、上記ドラムミキサー内の焼結原料組成物に、水500部を霧吹きを用いて約1.5分間かけて噴霧(添加)した。噴霧後、さらに同回転速度で3分間攪拌することにより、造粒操作(擬似粒化)を行った。焼結原料に対するポリアクリル酸ナトリウムの割合は0.0125%であった。
【0179】
また、得られた擬似粒子を50kgスケールの鍋試験にて焼結を行い、焼結鉱を得た。該試験に用いた焼結鍋の直径は300mm、層厚は600mmであり、吸引負圧は9.8kPa(一定)とした。得られた焼結鉱の生産率を測定した。これらの結果をまとめて表9に示す。
【0180】
〔実施例14〕
実施例13において、平均粒径10μmに粉砕した高炉スラグ350部に代えて、平均粒径13μmに粉砕した普通ポルトランドセメント350部を微粒子として使用すると共に、予め不揮発分4.8%に調整した質量平均分子量6000のポリアクリル酸ナトリウム水溶液181部に代えて、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物である「マイティ150」(商品名;花王株式会社製、不揮発分40.1%)を予め不揮発分13.2%に調整した水溶液199部を本発明にかかる造粒処理剤(12)として使用した以外は、実施例13と同様にして焼結鉱の生産率を測定した。これらの結果をまとめて表9に示す。
【0181】
〔実施例15〕
実施例13において、平均粒径10μmに粉砕した高炉スラグ350部に代えて、平均粒径10μmのトナー(「imagioトナータイプ7」(商品名;株式会社リコー製ブラックトナー))350部を使用すると共に、予め不揮発分4.8%に調整した質量平均分子量6000のポリアクリル酸ナトリウム水溶液181部に代えて、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物である「マイティ150」(商品名;花王株式会社製、不揮発分40.1%)を予め不揮発分13.2%に調整した水溶液199部を本発明にかかる造粒処理剤(13)として使用した以外は、実施例13と同様にして焼結鉱の生産率を測定した。これらの結果をまとめて表9に示す。
【0182】
〔比較例9〕
実施例13において、平均粒径10μmに粉砕した高炉スラグ350部を使用せず、予め不揮発分4.8%に調整した質量平均分子量6000のポリアクリル酸ナトリウム水溶液181部に代えて水172部を使用し、生石灰の使用量を、350部から840部に変更し、上記ドラムミキサー内の焼結原料組成物に噴霧する水の量を、500から700部に変更した以外は、実施例13と同様にして焼結鉱の生産率を測定した。これらの結果をまとめて表9に示す。
【0183】
【表9】
Figure 0004159939
【0184】
表9の結果から分かるように、本発明で規定する新原料の全質量に対する配合割合で5質量%〜50質量%のマラマンバ鉱石を含む製鉄用原料に、本発明にかかる造粒処理剤を、本発明で規定する前記製鉄用焼結原料の全質量に対し、固形分換算で0.001質量%〜1質量%の割合で添加すると共に、上記造粒処理剤が微粉(微粒子)を含むことにより、焼結鉱の生産率を大きく向上させることができることがわかる。
【0185】
【発明の効果】
本発明のマラマンバ鉱石を含む焼結原料の造粒処理方法は、以上のように、マラマンバ鉱石を含む製鉄用焼結原料の造粒処理方法において、新原料の全質量に対する配合割合で5質量%〜50質量%のマラマンバ鉱石を含む製鉄用焼結原料に、カルボキシル基及び/またはその塩含有高分子化合物、酸基およびポリアルキレングリコール鎖を有する化合物、β−ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、芳香族アミノスルホン酸ポリマー、リグニンスルホン酸変性物からなる群より選ばれる少なくとも一種の高分子化合物を含む造粒処理剤を、前記製鉄用焼結原料の全質量に対し、固形分換算で0.001質量%〜1質量%の割合で添加して造粒する構成である。
【0186】
それゆえ、カルボキシル基及び/またはその塩含有高分子化合物、酸基およびポリアルキレングリコール鎖を有する化合物、β−ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、芳香族アミノスルホン酸ポリマー、リグニンスルホン酸変性物からなる群より選ばれる少なくとも一種の高分子化合物によって、微粉の凝集物を破壊、分散し、前記微粉の凝集物に取り込まれている水を開放する、すなわち、従来有効に使用できなかった水を、焼結原料全体に行き渡らせることができ、水を効率よく使用することができる。さらに、微粉も同時に分散し、焼結原料粒子間の接点に再凝集するので、微粉による固体架橋が形成される。これにより、マラマンバ鉱石を含む焼結原料の造粒処理が可能となり、強固な擬似粒子を造ることができるという効果を奏する。
【0187】
よって、本発明によると、高結晶水・低脈石鉄鉱石で多孔質であり、微粉鉄鉱石が多い難造粒性のマラマンバ鉱石を多量に配合しても、その造粒性を低下することなく、さらには造粒性を向上する焼結原料の事前処理ができ、焼結機の生産効率を高め、焼結鉱の製造コストを格段に低減できるという効果を奏する。
【0188】
本発明のマラマンバ鉱石を含む焼結原料の造粒処理方法は、以上のように、前記カルボキシル基及び/またはその塩含有高分子化合物は、カルボキシル基及び/またはその塩含有単量体を含む単量体組成物を重合してなる高分子化合物である構成である。
【0189】
それゆえ、前記カルボキシル基及び/またはその塩含有高分子化合物は、微粉の凝集物を破壊、分散し、取り込まれている水を開放する、すなわち、従来有効に使用できなかった水を、焼結原料全体に行き渡らせることができ、水をより効率よく使用することができるという効果を奏する。
【0190】
本発明のマラマンバ鉱石を含む焼結原料の造粒処理方法は、以上のように、前記単量体組成物は、カルボキシル基含有単量体を30モル%以上含む構成である。
【0191】
それゆえ、前記カルボキシル基含有単量体を30モル%以上含む単量体組成物を重合してなる高分子は、微粉の凝集物を破壊、分散し、取り込まれている水を開放する、すなわち、従来有効に使用できなかった水を、焼結原料全体に行き渡らせることができ、水をさらに効率よく使用することができるという効果を奏する。
【0192】
本発明のマラマンバ鉱石を含む焼結原料の造粒処理方法は、以上のように、前記カルボキシル基及び/またはその塩含有高分子化合物は、アクリル酸を必須成分として重合して得られる高分子化合物である構成である。
【0193】
それゆえ、前記ポリアクリル酸系高分子化合物は、微粉の凝集物を破壊、分散し、取り込まれている水を開放する、すなわち、従来有効に使用できなかった水を、焼結原料全体に行き渡らせることができ、水をさらに一層効率よく使用することができるという効果を奏する。
【0194】
本発明のマラマンバ鉱石を含む焼結原料の造粒処理方法は、以上のように、前記単量体組成物が、アクリル酸および/またはアクリル酸塩を全単量体成分に対し、30モル%〜100モル%含有する構成である。
【図面の簡単な説明】
【図1】新原料の全質量に対するマラマンバ鉱石の配合割合(質量%)とGI−0.25(0.25mm以下の擬似粒子のGI指数)(%)との関係を示す図である。
【図2】新原料の全質量に対するマラマンバ鉱石の配合割合(質量%)と焼結鉱の生産率(t/d/m2)との関係を示す図である。
【図3】焼結原料の全質量に対する造粒処理剤の添加割合(固形分換算)とGI−0.25(0.25mm以下の擬似粒子のGI指数)との関係を示す図である。

Claims (5)

  1. マラマンバ鉱石を含む製鉄用焼結原料の造粒処理方法において、新原料の全質量に対する配合割合で5質量%〜50質量%のマラマンバ鉱石を含む製鉄用焼結原料に、カルボキシル基及び/またはその塩含有高分子化合物、酸基およびポリアルキレングリコール鎖を有する化合物、β−ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、芳香族アミノスルホン酸ポリマー、リグニンスルホン酸変性物からなる群より選ばれる少なくとも一種の高分子化合物を含む造粒処理剤を、前記製鉄用焼結原料の全質量に対し、固形分換算で0.001質量%〜1質量%の割合で添加して造粒することを特徴とするマラマンバ鉱石を含む焼結原料の造粒処理方法。
  2. 前記カルボキシル基及び/またはその塩含有高分子化合物は、カルボキシル基及び/またはその塩含有単量体を含む単量体組成物を重合してなる高分子化合物であることを特徴とする請求項1に記載のマラマンバ鉱石を含む焼結原料の造粒処理方法。
  3. 前記単量体組成物は、カルボキシル基及び/またはその塩含有単量体を30モル%以上含むことを特徴とする請求項2に記載のマラマンバ鉱石を含む焼結原料の造粒処理方法。
  4. 前記カルボキシル基及び/またはその塩含有高分子化合物は、アクリル酸を必須成分として重合して得られる高分子化合物であることを特徴とする請求項1、2または3に記載のマラマンバ鉱石を含む焼結原料の造粒処理方法。
  5. 前記単量体組成物が、アクリル酸及び/またはアクリル酸塩を全単量体成分に対し、30モル%〜100モル%含有することを特徴とする請求項2に記載のマラマンバ鉱石を含む焼結原料の造粒処理方法。
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