JP4187574B2 - シフト制御システムおよびシフト制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、変速機のシフトレンジをアクチュエータを介して切り替えるシフト制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、運転者によるシフトレバーの操作に従い、自動変速機のシフトレンジを電気制御により切り替える「シフトバイワイヤ」とも呼ばれる技術に基づくシフト制御システムが知られている。このようなシフト制御システムでは、運転者によってシフトレバーが操作されると、シフトレンジの切替指令が発生してアクチュエータに通電がなされ、ディテントプレートが回転する。ディテントプレートが所定の回転位置にくると、ディテントプレートとディテントスプリングが係合し、シフト位置が確定する。ディテントスプリングのころと係合するディテントプレートの複数の凹部は、それぞれ異なるシフトレンジに対応している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−323127号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のシフト制御システムでは、シフト位置を変更する際、ディテントスプリングのころがディテントプレートの凸部を越えて所望の凹部に嵌り、その位置で所望のシフト位置が確定する。従って、前記のころが凹部ときちんと対応する位置にディテントプレートを止める必要がある。ディテントプレートの位置がずれると、前記のころがディテントプレートの凸部や両端の壁に押しつけられディテントスプリングが撓んだ状態でディテントプレートが停止する可能性がある。その場合、ディテントスプリングの回復力によってディテントプレートに無用の回転が生じ、シフト位置が予定せぬ位置に移動しうる。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、シフト位置をより確実に確定することの可能なシフト制御システムおよびシフト制御方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は、アクチュエータを介してシフトレンジを切り替えるシフト制御システムを提供する。この態様のシフト制御システムは、アクチュエータにより回転されるディテントプレートと、シフトレンジに対応してディテントプレートに形成された凹部に係合してシフト位置を固定するディテントスプリングと、所定のシフトレンジにおいてアクチュエータの所定方向の回転を規制する規制手段と、アクチュエータを回転させる回転制御手段と、アクチュエータの回転が規制手段により規制される方向に、回転制御手段によりアクチュエータが回転されたとき、規制手段により規制される方向と逆方向に、ディテントスプリングの撓みまたは伸びが解消する位置まで、所定量だけアクチュエータを回転させる戻し制御手段と、を備える。シフト手段および規制手段は一体の構造を有してもよく、規制手段が、シフト手段の一部の構造であってもよい。
【0007】
この態様のシフト制御システムによると、シフト手段が、基準位置において、規制手段により規制される方向と逆方向に回転するように作用する場合であっても、予めその作用が解消される位置にアクチュエータを戻しておくことにより、シフト手段が回転して、シフト位置が予定せぬ位置に移動する事態を回避することができる。
【0008】
本発明の別の態様も、アクチュエータを介してシフトレンジを切り替えるシフト制御システムを提供する。この態様のシフト制御システムは、アクチュエータにより回転されるディテントプレートと、シフトレンジに対応してディテントプレートに形成された凹部に係合してシフト位置を固定するディテントスプリングと、所定のシフトレンジにおいてアクチュエータの所定方向の回転を規制する規制手段と、アクチュエータを回転させる回転制御手段と、アクチュエータの回転量に応じた計数値を取得する計数手段と、アクチュエータの回転が規制手段により規制される方向に、回転制御手段によりアクチュエータが回転されたとき、規制手段によりアクチュエータの回転が停止されたときの計数手段の計数値に基づいて、アクチュエータの回転量から現在のシフトレンジを判定するためのシフトレンジ判定範囲を定めるための基準となる基準位置を設定する位置設定手段と、位置設定手段により基準位置が設定された後に、アクチュエータの回転が規制手段により規制される方向と逆方向に、設定された基準位置から、ディテントスプリングの撓みまたは伸びが解消する位置まで、所定量だけアクチュエータを回転させる戻し制御手段と、を備える。
【0009】
この態様のシフト制御システムによると、位置設定手段により基準位置が設定された後に、シフト手段が、基準位置において、規制手段により規制される方向と逆方向に回転するように作用する場合であっても、予めその作用が解消される位置にアクチュエータを戻しておくことにより、シフト手段が回転して、シフト位置が予定せぬ位置に移動する事態を回避することができる。
【0010】
シフト手段は、アクチュエータにより回転されるディテントプレートと、シフトレンジに対応してディテントプレートに形成された凹部に係合してシフト位置を固定するディテントスプリングを含み、戻し制御手段は、ディテントスプリングの撓みまたは伸びが解消する位置までアクチュエータを回転させてもよい。
【0011】
位置設定手段は、基準位置の設定時に回転制御手段によりアクチュエータが回転されるとき、アクチュエータが逆方向に所定量以上戻された場合に、異常を検知してもよい。戻し制御手段は、設定された基準位置から所定量だけアクチュエータを回転させるとき、アクチュエータが所定量以上戻された場合に、異常を検知してもよい。戻し制御手段は、設定された基準位置から所定量だけアクチュエータを回転させるとき、所定時間を超えても制御が終了しない場合に、異常を検知してもよい。これにより、アクチュエータや、アクチュエータの回転位置を取得するエンコーダなどの構成の異常を的確に検出することができ、異常によりシフト制御が正常に行えない事態を回避することができる。
【0012】
本発明のさらに別の態様は、アクチュエータを介してシフトレンジを切り替えるシフト制御方法を提供する。この態様のシフト制御方法は、アクチュエータにより回転されるディテントプレートと、シフトレンジに対応してディテントプレートに形成された凹部に係合してシフト位置を固定するディテントスプリングとを含むシフト手段によりシフトレンジを切り替える際に、ディテントプレートをアクチュエータにより回転して、所定のシフトレンジにおいてアクチュエータの所定方向の回転を規制する規制手段により停止させ、停止させた位置に基づいて、アクチュエータの回転量から現在のシフトレンジを判定するためのシフトレンジ判定範囲を定めるための基準となる基準位置を検出した後、ディテントスプリングの撓みまたは伸びが解消する位置まで、逆方向に所定量回転させる。この態様のシフト制御方法によると、シフト手段が、基準位置において、規制手段により規制される方向と逆方向に回転するように作用する場合であっても、予めその作用が解消される位置にアクチュエータを戻しておくことにより、シフト手段が基準位置から回転して、シフト位置が予定せぬ位置に移動する事態を回避することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、まず実施の形態1において、シフト位置の切替指令に応じ、アクチュエータに通電してディテントプレートを所定の目標範囲に回転させ、ディテントスプリングに係合させることによってシフト位置を固定するシフト制御システムの全体動作と、前記の目標範囲を定めるための学習動作の原理を説明する。つづいて、実施の形態2において、本発明のひとつの特徴である、戻し制御の方法、すなわち、シフト位置に対応したアクチュエータの基準位置から、所定量だけアクチュエータを戻し、ディテントスプリングの撓みまたは伸びを解消させる方法と、前記の学習動作および戻し制御において、異常を検出する方法を説明する。
【0014】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態に係るシフト制御システム10の構成を示す。本実施の形態のシフト制御システム10は、車両のシフトレンジを切り替えるために用いられる。シフト制御システム10は、Pスイッチ20、シフトスイッチ26、車両電源スイッチ28、車両制御装置(以下、「V−ECU」と表記する)30、パーキング制御装置(以下、「P−ECU」と表記する)40、アクチュエータ42、エンコーダ46、シフト制御機構48、表示部50、メータ52および駆動機構60を含む。シフト制御システム10は、電気制御によりシフトレンジを切り替えるシフトバイワイヤシステムとして機能する。具体的には、シフト制御機構48がアクチュエータ42により駆動されてシフトレンジの切り替えを行う。
【0015】
車両電源スイッチ28は、車両電源のオンオフを切り替えるためのスイッチである。車両電源スイッチ28がドライバなどのユーザから受け付けた指示はV−ECU30に伝達される。例えば、車両電源スイッチ28がオンされることにより、図示しないバッテリから電力が供給されて、シフト制御システム10が起動される。
【0016】
Pスイッチ20は、シフトレンジをパーキングレンジ(以下、「Pレンジ」と呼ぶ)とパーキング以外のレンジ(以下、「非Pレンジ」と呼ぶ)との間で切り替えるためのスイッチであり、スイッチの状態をドライバに示すためのインジケータ22、およびドライバからの指示を受け付ける入力部24を含む。ドライバは、入力部24を通じて、シフトレンジをPレンジに入れる指示を入力する。入力部24はモーメンタリスイッチなどであってもよい。入力部24が受け付けたドライバからの指示は、V−ECU30、およびV−ECU30を通じてP−ECU40に伝達される。
【0017】
P−ECU40は、シフトレンジをPレンジと非Pレンジとの間で切り替えるために、シフト制御機構48を駆動するアクチュエータ42の動作を制御し、現在のシフトレンジの状態をインジケータ22に提示する。シフトレンジが非Pレンジであるときにドライバが入力部24を押下すると、P−ECU40はシフトレンジをPレンジに切り替えて、インジケータ22に現在のシフトレンジがPレンジである旨を提示する。
【0018】
アクチュエータ42は、スイッチトリラクタンスモータ(以下、「SRモータ」と表記する)により構成され、P−ECU40からの指示を受けてシフト制御機構48を駆動する。エンコーダ46は、アクチュエータ42と一体的に回転し、SRモータの回転状況を検知する。本実施の形態のエンコーダ46は、A相、B相およびZ相の信号を出力するロータリエンコーダである。P−ECU40は、エンコーダ46から出力される信号を取得してSRモータの回転状況を把握し、SRモータを駆動するための通電の制御を行う。
【0019】
シフトスイッチ26は、シフトレンジをドライブレンジ(D)、リバースレンジ(R)、ニュートラルレンジ(N)、ブレーキレンジ(B)などのレンジに切り替えたり、またPレンジに入れられているときには、Pレンジを解除したりするためのスイッチである。シフトスイッチ26が受け付けたドライバからの指示はV−ECU30に伝達される。V−ECU30は、ドライバからの指示に基づき、駆動機構60におけるシフトレンジを切り替える制御を行うとともに、現在のシフトレンジの状態をメータ52に提示する。駆動機構60は、無段変速機構から構成されているが、有段変速機から構成されてもよい。
【0020】
V−ECU30は、シフト制御システム10の動作を統括的に管理する。表示部50は、V−ECU30またはP−ECU40が発したドライバに対する指示や警告などを表示する。メータ52は、車両の機器の状態やシフトレンジの状態などを提示する。
【0021】
図2は、シフト制御機構48の構成を示す。以下、シフトレンジは、Pレンジ、非Pレンジを意味し、非PレンジにおけるRNDBの各レンジを含まない。シフト制御機構48は、アクチュエータ42により回転されるシャフト102、シャフト102の回転に伴って回転するディテントプレート100、ディテントプレート100の回転に伴って動作するロッド104、図示しない変速機の出力軸に固定されたパーキングギヤ108、パーキングギヤ108をロックするためのパーキングロックポール106、ディテントプレート100の回転を制限してシフトレンジを固定するディテントスプリング110およびころ112を含む。ディテントプレート100は、アクチュエータ42により駆動されてシフトレンジを切り替えるシフト手段として機能する。シャフト102、ディテントプレート100、ロッド104、ディテントスプリング110およびころ112は、シフト切替機構の役割を果たす。またエンコーダ46は、アクチュエータ42の回転量に応じた計数値を取得する計数手段として機能する。
【0022】
図2は、シフトレンジが非Pレンジであるときの状態を示している。この状態では、パーキングロックポール106がパーキングギヤ108をロックしていないので、車両の駆動軸の回転は妨げられない。この状態から、アクチュエータ42によりシャフト102を時計回り方向に回転させると、ディテントプレート100を介してロッド104が図2に示す矢印Aの方向に押され、ロッド104の先端に設けられたテーパー部によりパーキングロックポール106が図2に示す矢印Bの方向に押し上げられる。ディテントプレート100の回転に伴って、ディテントプレート100の頂部に設けられた2つの谷のうち一方、すなわち非Pレンジ位置120にあったディテントスプリング110のころ112は、山122を乗り越えて他方の谷、すなわちPレンジ位置124へ移る。ころ112は、その軸方向に回転可能にディテントスプリング110に設けられている。ころ112がPレンジ位置124にくるまでディテントプレート100が回転したとき、パーキングロックポール106は、パーキングギヤ108と嵌合する位置まで押し上げられる。これにより、車両の駆動軸が機械的に固定され、シフトレンジがPレンジに切り替わる。
【0023】
実施の形態に係るシフト制御システム10では、シフトレンジ切替時にディテントプレート100、ディテントスプリング110およびシャフト102などのシフト切替機構にかかる負荷を低減するために、P−ECU40が、ディテントスプリング110のころ112が山122を乗り越えて落ちるときの衝撃を少なくするように、アクチュエータ42の回転量を制御する。
【0024】
図3は、ディテントプレート100の構成を示す。それぞれの谷において、山122から離れた側に位置する面を壁と呼ぶ。すなわち壁は、P−ECU40による以下に示す制御を行わない状態で、ディテントスプリング110のころ112が山122を乗り越えて谷に落ちるときに、ころ112とぶつかる位置に存在する。Pレンジ位置124における壁を「P壁」と呼び、非Pレンジ位置120における壁を「非P壁」と呼ぶ。ころ112がPレンジ位置124から非Pレンジ位置120に移動する場合、P−ECU40は、非P壁210がころ112に衝突しないようにアクチュエータ42を制御する。具体的には、P−ECU40は、非P壁210がころ112に衝突する手前の位置でアクチュエータ42の回転を停止する。この位置を「非P目標回転位置」と呼ぶ。また、ころ112が非Pレンジ位置120からPレンジ位置124に移動する場合、P−ECU40は、P壁200がころ112に衝突しないようにアクチュエータ42を制御する。具体的には、P−ECU40は、P壁200がころ112に衝突する手前の位置でアクチュエータ42の回転を停止する。この位置を「P目標回転位置」と呼ぶ。P−ECU40によるアクチュエータ42の制御により、シフトレンジ切替時においてディテントプレート100、ディテントスプリング110およびシャフト102などのシフト切替機構にかかる負荷を大幅に低減することができる。負荷を低減することにより、シフト切替機構の軽量化、低コスト化を図ることもできる。
【0025】
図4は、アクチュエータ42の制御方法を説明するための図である。アクチュエータ42はディテントプレート100を回転する。アクチュエータ42の回転は、P壁200および非P壁210により規制される。図4は、アクチュエータ42の回転制御を行う上でのP壁200の位置および非P壁210の位置を概念的に示す。P壁位置から非P壁位置までをアクチュエータ42の可動回転量と呼ぶ。可動回転量は、エンコーダ46の計数値から求められる実際の可動回転量(以下、「実可動回転量」と呼ぶ)と、設計により定められた可動回転量(以下、「設計可動回転量」と呼ぶ)を含む。
【0026】
現在のシフトレンジは、P壁位置または非P壁位置から所定回転量の範囲内にある場合に決定される。シフトレンジの判定基準として、Pロック判定位置およびP解除判定位置を設定し、P壁位置からPロック判定位置の範囲、および非P壁位置からP解除判定位置までの範囲を、シフトレンジ判定範囲とする。具体的には、エンコーダ46で検出したアクチュエータ42の回転量がP壁位置からPロック判定位置の範囲にあるときには、シフトレンジがPレンジであることを判定し、一方でアクチュエータ42の回転量が非P壁位置からP解除判定位置の範囲にあるときには、シフトレンジが非Pレンジであることを判定する。なお、アクチュエータ42の回転量がPロック判定位置からP解除判定位置の間にあるときには、シフトレンジが不定、またはシフトレンジが切替中であることを判定する。以上の判定は、P−ECU40により実行される。
【0027】
P目標回転位置は、P壁位置とPロック判定位置との間に設定される。P目標回転位置は、非PレンジからPレンジへの切替時に、P壁200がディテントスプリング110のころ112に衝突しない位置であり、P壁位置から所定のマージンをもって定められる。マージンは、経時変化などによるガタを考慮して余裕をもって設定される。これにより、ある程度の使用回数であれば、経時変化を吸収することができ、シフトレンジ切替時におけるP壁200ところ112との衝突を回避できる。
【0028】
同様に、非P目標回転位置は、非P壁位置とP解除判定位置との間に設定される。非P目標回転位置は、Pレンジから非Pレンジへの切替時に、非P壁210がディテントスプリング110のころ112に衝突しない位置であり、非P壁位置から所定のマージンをもって定められる。マージンは、経時変化などによるガタを考慮して余裕をもって設定され、ある程度の使用回数であれば、経時変化を吸収することができ、シフトレンジ切替時における非P壁210ところ112との衝突を回避することができる。なお、非P壁位置からのマージンとP壁位置からのマージンとは同一である必要はなく、ディテントプレート100の形状などに依存して異なってもよい。
【0029】
以上、P壁位置および非P壁位置が検出されていることを前提にアクチュエータ42の制御方法を示した。P壁位置または非P壁位置は、Pレンジ位置124または非Pレンジ位置120におけるシフトレンジ判定範囲および目標回転位置を定めるための基準位置となる。以下では、相対的な位置情報を検出するエンコーダ46を用いて、アクチュエータ42の位置制御を行う方法、具体的には基準位置となる壁位置を検出する方法を示す。
【0030】
P−ECU40またはV−ECU30は、前回の車両電源スイッチ28のオフ時におけるシフトレンジを記憶しておく。車両電源スイッチ28がオンされたとき、P−ECU40は、記憶していたシフトレンジを現在のシフトレンジに設定する。壁位置検出制御は、現在のシフトレンジにおける壁位置を検出する。なお、前回のシフトレンジを記憶していない場合には、V−ECU30が車速に基づいて現在のシフトレンジを定める。具体的に、例えば車速が3km/h以下の低速にある場合には、V−ECU30は現在のシフトレンジをPレンジと定め、また3km/hよりも速い中高速にある場合には、現在のシフトレンジを非Pレンジと定める。なお、前回のシフトレンジを記憶していない状態で車速が中高速にある場合とは、例えば車両の走行中に電源が瞬断されて、現在のシフトレンジのデータを消失したような状況に相当する。殆どの場合は、車両電源スイッチ28のオン時、車速が低速であることが判定され、現在のシフトレンジがPレンジと定められることになる。
【0031】
図5(a)は、P壁位置を検出する制御方法を説明するための図である。P−ECU40は、アクチュエータ42を回転させる回転制御手段、およびアクチュエータ42のP壁位置、すなわち基準位置を設定する位置設定手段として機能する。P壁位置検出制御では、まず、アクチュエータ42によりディテントプレート100を時計回り方向、すなわちP壁200がディテントスプリング110のころ112に向かう方向に回転させ、ころ112とP壁200とを接触させる。P壁200は、Pレンジ位置において、アクチュエータ42の時計回り方向の回転を規制する規制手段として機能する。なおP壁200は、ディテントスプリング110およびころ112と協同して規制手段を構成してもよい。図5(a)において、矢印F1は、アクチュエータ42による回転力、矢印F2は、ディテントスプリング110によるバネ力、矢印F3は、ロッド104による押し戻し力を示す。点線で示すディテントプレート100’は、P壁200ところ112とが接触した位置を示す。したがって、ディテントプレート100’の位置を検出することが、P壁200の位置を検出することに相当する。
【0032】
ディテントプレート100は、P壁200ところ112との接触後も、点線で示す位置から、アクチュエータ42の回転力F1により時計回り方向に、ディテントスプリング110のバネ力に抗して回転される。これによりディテントスプリング110に撓みが生じて、バネ力F2が増加し、またロッド104による押し戻し力F3も増加する。回転力F1が、バネ力F2および押し戻し力F3と釣り合ったところで、ディテントプレート100の回転が停止する。
【0033】
ディテントプレート100の回転停止は、エンコーダ46により取得される計数値の状態に基づいて判定される。P−ECU40は、エンコーダ46の計数値の最小値または最大値が所定時間変化しない場合に、ディテントプレート100およびアクチュエータ42の回転停止を判定する。計数値の最小値または最大値のいずれを監視するかは、エンコーダ46に応じて設定されればよく、いずれにしても最小値または最大値が所定時間変化しないことは、ディテントプレート100が動かなくなった状態を示す。
【0034】
P−ECU40は、回転停止時のディテントプレート100の位置を暫定的なP壁位置(以下、「暫定P壁位置」と呼ぶ)として検出し、また、ディテントスプリング110の撓み量または撓み角を算出する。撓み量または撓み角の算出は、P−ECU40に予め保持されている、アクチュエータ42への印加電圧に対応する撓み量または撓み角の関係を示すマップを用いて行われる。P−ECU40は、マップから暫定P壁位置検出時のアクチュエータ42への印加電圧に対応する撓み量ないし撓み角を算出する。なお、アクチュエータ42の印加電圧の代わりに、バッテリ電圧を用いたマップであってもよい。バッテリ電圧はP−ECU40により監視されており、容易に検出することができる。なお、この場合は、バッテリからアクチュエータ42までのワイヤーハーネスなどによる電圧降下分を考慮して、マップが作成されることになる。P−ECU40は、このマップを用いて、算出した撓み量または撓み角から、暫定P壁位置をマップ補正し、マップ補正した位置をP壁位置として確定する。P壁位置を確定することにより、Pロック判定位置およびP目標回転位置を設定することができる。なお、印加電圧に対応する撓み量または撓み角の関係を示すマップの代わりに、アクチュエータ42の出力トルクに対応する撓み量または撓み角の関係を示すマップであってもよいし、マップを用いて算出する代わりに、撓み量または撓み角を検出するセンサを設け、それにより検出するようにしてもよい。
【0035】
図5(b)は、非P壁位置を検出する制御方法を説明するための図である。P−ECU40は、アクチュエータ42を回転させる回転制御手段、およびアクチュエータ42の非P壁位置、すなわち基準位置を設定する位置設定手段として機能する。非P壁位置検出制御では、まず、アクチュエータ42によりディテントプレート100を反時計回り方向、すなわち非P壁210がディテントスプリング110のころに向かう方向に回転させ、ころ112と非P壁210とを接触させる。非P壁210は、非Pレンジ位置において、アクチュエータ42の反時計回り方向の回転を規制する規制手段として機能する。なお非P壁210は、ディテントスプリング110およびころ112と協同して規制手段を構成してもよい。図5(b)において、矢印F1は、アクチュエータ42による回転力、矢印F2は、ディテントスプリング110によるバネ力、矢印F3は、ロッド104による引っ張り力を示す。点線で示すディテントプレート100’’は、非P壁210ところ112とが接触した位置を示す。したがって、ディテントプレート100’’の位置を検出することが、非P壁210の位置を検出することに相当する。
【0036】
ディテントプレート100は、非P壁210ところ112との接触後も、点線で示す位置から、アクチュエータ42の回転力F1により、ディテントスプリング110の引っ張り力に抗して反時計回り方向に回転される。これによりディテントスプリング110に伸びが生じて、バネ力F2が増加し、またロッド104による引っ張り力F3も増加する。回転力F1が、バネ力F2および引っ張り力F3と釣り合ったところで、ディテントプレート100の回転が停止する。
【0037】
ディテントプレート100の回転停止は、エンコーダ46により取得される計数値に基づいて判定される。具体的には、エンコーダ46の計数値の最大値または最小値が所定時間変化しない場合に、ディテントプレート100およびアクチュエータ42の回転停止が判定される。
【0038】
P−ECU40は、回転停止時のディテントプレート100の位置を暫定的な非P壁位置(以下、「暫定非P壁位置」と呼ぶ)として検出し、また、ディテントスプリング110の伸び量を算出する。伸び量の算出は、P−ECU40に予め保持されている、アクチュエータ42への印加電圧に対応する伸び量の関係を示すマップを用いて行われる。P−ECU40は、マップから暫定非P壁位置検出時のアクチュエータ42への印加電圧に対応する伸び量を算出する。P−ECU40は、このマップを用いて、算出した伸び量から、暫定非P壁位置をマップ補正し、マップ補正した位置を非P壁位置として確定する。非P壁位置を確定することにより、P解除判定位置および非P目標回転位置を設定することができる。なお、印加電圧に対応する伸び量の関係を示すマップの代わりに、アクチュエータ42の出力トルクに対応する伸び量の関係を示すマップであってもよいし、マップを用いて算出する代わりに、伸び量を検出するセンサを設け、それにより検出するようにしてもよい。
【0039】
以上のように、壁位置検出制御では、現在のシフトレンジにおける壁位置を検出する。既に、P壁位置から非P壁位置までの間の実可動回転量が検出されている場合には、この実可動回転量を用いて、他方のシフトレンジにおける壁位置を算出することもできる。実可動回転量は、一方のシフトレンジにおける壁位置検出制御を行って壁位置を検出した後、他方のシフトレンジにおける壁位置検出制御を行って他方の壁位置を検出することで、2つの壁位置の間の範囲を測定することができる。P−ECU40は、測定した実可動回転量を記憶する。一旦、実可動回転量を取得すれば、P−ECU40は、一方のシフトレンジにおける壁位置を検出すると、その壁位置から実可動回転量だけ回転した位置を他方のシフトレンジにおける壁位置と設定することができ、2つのシフトレンジにおけるシフトレンジ範囲および目標回転位置を設定することができる。
【0040】
以上のことから、Pレンジおよび非Pレンジの双方の壁位置の検出は、P−ECU40が実可動回転量を記憶していない場合に行えばよい。例えば、車両の工場出荷時や、P−ECU40におけるデータが消失したような場合に、両壁位置の検出が行われる。また、実可動回転量を記憶している場合であっても、所定の切替回数やトリップ数ごとに、両壁位置の検出制御を行ってもよい。例えば、シフトレンジの切替が数万回行われた場合には、磨耗によるガタ量が増加するため、実可動回転量にも誤差が生じてくる。そのため、実可動回転量を改めて測定することにより、経時変化に対応した壁位置検出を行うことが可能となる。
【0041】
図6は、前回トリップにおいて記憶されたデータを用いて行う壁位置検出制御の例を示す。前回トリップ終了時のシフトレンジがPレンジにある場合、まずP壁位置の検出制御を行い、実可動回転量を検出済みであれば、非P壁位置の検出制御を行わない。一方で、実可動回転量が不明の場合には、非P壁位置の検出制御を行う。非P壁位置の検出制御は、ドライバ操作により非Pレンジへの切替要求があったときに行われる。このとき、P−ECU40は、シフトレンジを非Pレンジに切り替えるとともに、非P壁210とディテントスプリング110のころ112とを接触させて、非P壁位置検出制御を実行する。両壁位置の検出後、P−ECU40は、実可動回転量を測定し、記憶する。
【0042】
前回トリップ終了時のシフトレンジが非Pレンジにある場合、まず非P壁位置の検出制御を行い、実可動回転量を検出済みであれば、P壁位置の検出制御を行わない。一方で、実可動回転量が不明の場合には、P壁位置の検出制御を行う。P壁位置の検出制御は、ドライバ操作によりPレンジへの切替要求があったときに行われる。P−ECU40は、シフトレンジをPレンジに切り替えるとともに、P壁200とディテントスプリング110のころ112とを接触させて、P壁位置検出制御を実行する。両壁位置の検出後、P−ECU40は、実可動回転量を測定し、記憶する。
【0043】
前回トリップ終了時のシフトレンジが不明である場合、V−ECU30が車速に基づいて現在のシフトレンジを定め、P−ECU40に対して壁位置検出指令を送る。指令により、現在のシフトレンジをPレンジに定めたことが判明すると、P−ECU40は、まずP壁位置の検出制御を行い、その後、ユーザからのシフト切替要求を受けて、非P壁位置の検出制御を行う。一方、指令により、現在のシフトレンジを非Pレンジに定めたことが判明すると、P−ECU40は、まず非P壁位置の検出制御を行い、その後、ユーザからのシフト切替要求を受けて、P壁位置の検出制御を行う。
【0044】
図7は、アクチュエータ42の目標回転位置の算出方法の例を示す。図7では、P壁位置から非P壁位置に向かう方向にエンコーダ46による計数値がカウントアップする場合を例にとる。P壁位置、非P壁位置および実可動回転量を検出済みの場合、P目標回転位置を、(P壁位置+マージン)と設定し、非P目標回転位置を、(非P壁位置−マージン)と設定する。
【0045】
P壁位置が検出済みであって、非P壁位置が不明である場合、実可動回転量を検出済みであれば、P目標回転位置を、(P壁位置+マージン)と設定し、非P目標回転位置を、(P壁位置+実可動回転量−マージン)と設定する。また、実可動回転量が不明である場合には、P目標回転位置を、(P壁位置+マージン)と設定し、非P目標回転位置を、(P壁位置+設計可動回転量)と設定する。なお、設計可動回転量は、マージン分を考慮した値が設定される。
【0046】
P壁位置が不明であって、非P壁位置が検出済みである場合、実可動回転量を検出済みであれば、P目標回転位置を、(非P壁位置−実可動回転量+マージン)と設定し、非P目標回転位置を、(非P壁位置−マージン)と設定する。また、実可動回転量が不明である場合には、P目標回転位置を、(非P壁位置−設計可動回転量)と設定し、非P目標回転位置を、(非P壁位置−マージン)と設定する。
【0047】
なお別の例では、非P壁位置からP壁位置に向かう方向にエンコーダ46による計数値がカウントアップしてもよい。この場合、非P壁位置、P壁位置および実可動回転量を検出済みの場合、非P目標回転位置を、(非P壁位置+マージン)と設定し、P目標回転位置を、(P壁位置−マージン)と設定する。
【0048】
非P壁位置が検出済みであって、P壁位置が不明である場合、実可動回転量を検出済みであれば、非P目標回転位置を、(非P壁位置+マージン)と設定し、P目標回転位置を、(非P壁位置+実可動回転量−マージン)と設定する。また、実可動回転量が不明である場合には、非P目標回転位置を、(非P壁位置+マージン)と設定し、P目標回転位置を、(非P壁位置+設計可動回転量)と設定する。
【0049】
非P壁位置が不明であって、P壁位置が検出済みである場合、実可動回転量を検出済みであれば、非P目標回転位置を、(P壁位置−実可動回転量+マージン)と設定し、P目標回転位置を、(P壁位置−マージン)と設定する。また、実可動回転量が不明である場合には、非P目標回転位置を、(P壁位置−設計可動回転量)と設定し、P目標回転位置を、(P壁位置−マージン)と設定する。
【0050】
図8は、アクチュエータ42に印加する通電指令パルスの波形を示す。シフトレンジの通常切替制御時は、通電指令パルスとしてハイ期間の長い信号をアクチュエータ42に印加する。一方、壁位置検出制御時には、通電指令パルスとして、アクチュエータ42の単位時間あたりの出力を、シフトレンジの通常切替制御時におけるアクチュエータ42の単位時間あたりの出力よりも小さくする信号をアクチュエータ42に印加する。具体的には、アクチュエータ42に印加する通電指令パルスのオン幅を小さくする。壁位置検出制御時のアクチュエータ42の回転速度を遅くすることにより、壁ところ112との衝撃を低減できる。
【0051】
図9は、実施の形態におけるシフト制御システム10による基準位置検出方法のフローチャートを示す。このフローでは、電源オン時のシフトレンジがPレンジである場合を例にとる。まず、ドライバが車両電源スイッチ28をオンすることにより、シフト制御システム10に電源が投入される(S10)。続いて、アクチュエータ42であるモータの励磁合わせなどを行い、初期駆動制御を実行する(S12)。初期駆動制御の実行により、アクチュエータ42の回転を適切に制御できるようになる。シフトレンジがPレンジであることに基づいて、壁当てのためのアクチュエータ42の回転方向を決定する(S14)。具体的には、P壁200がディテントスプリング110のころ112に当たる方向にアクチュエータ42の回転方向を決定する。
【0052】
エンコーダ46の計数値の状態に基づいてP壁位置の検出制御を行い、暫定P壁位置を検出する(S16)。暫定P壁位置をマップにより補正し(S18)、補正した位置をP壁位置として確定する(S20)。実可動回転量を記憶している場合には(S22のY)、非P壁位置を(P壁位置+実可動回転量)の位置として算出し(S24)、非P壁位置を確定する(S26)。なお、S24では、P壁位置から非P壁位置に向かう方向にエンコーダ46による計数値がカウントアップする場合を前提として非P壁位置を算出したが、非P壁位置からP壁位置に向かう方向にエンコーダ46による計数値がカウントアップする場合には、非P壁位置を(P壁位置−実可動回転量)の位置として算出することになる。
【0053】
実可動回転量を記憶していない場合に(S22のN)、ドライバからの非Pレンジへの切替指令があるか否かを判定する(S28)。切替指令がない場合(S28のN)、切替指令を監視し続ける。切替指令があった場合(S28のY)、Pレンジから非Pレンジへの切替制御を行う(S30)。
【0054】
図10は、図9のS30における非Pレンジへの切替制御のフローチャートを示す。まず、非P壁位置が確定しているか否かを判定する(S50)。確定している場合には(S50のY)、非P目標回転位置を非P壁位置より手前に設定し(S52)、非P目標回転位置までアクチュエータ42を回転する。これにより、非P壁210とディテントスプリング110のころ112とが接触することなく、シフトレンジを非Pレンジに切り替えることが可能となる。
【0055】
一方、非P壁位置が確定していない場合には(S50のN)、非P目標回転位置をP壁位置より非P壁方向へ所定量だけ奥の位置に設定する(S54)。設計可動回転量を用いて、非P目標回転位置を設定してもよい。続いて、非P目標回転位置までアクチュエータ42を回転する(S56)。
【0056】
図9に戻って、S30の切替制御が終了後、非P壁位置が未確定か、または所定トリップ数に到達したか否かを判定する(S32)。非P壁位置が確定済みであり、且つ所定トリップ数に到達していない場合には(S32のN)、本フローを終了する。一方、非P壁位置が未確定か、または所定トリップ数に到達した場合には(S32のY)、エンコーダ46の計数値の状態に基づいて非P壁位置の検出制御を行い、暫定非P壁位置を検出する(S34)。暫定非P壁位置をマップにより補正し(S36)、補正した位置を非P壁位置として確定する(S38)。このとき、P壁位置と非P壁位置とから、実可動回転量を測定する。実可動回転量は次回以降のトリップで、壁位置の設定に利用するために、P−ECU40において記憶される。
【0057】
以上、実施の形態1を説明した。なお本実施の形態には様々な変形が可能である。例えば、ディテントプレート100が、Pレンジと非Pレンジの2つのシフトレンジをもつものとして説明したが、さらにDレンジやRレンジなどの複数のシフトレンジをもつものであってもよい。3つ以上のシフトレンジをもつ場合は、両端のシフトレンジ位置における壁位置を基準位置として設定することにより、好適なシフトレンジの切替制御を行うことが可能となる。
【0058】
[実施の形態2]
実施の形態1で説明した壁位置検出制御が終了した後、ディテントスプリング110がディテントプレート100の壁に押し当てられて、撓んだ、または伸びた状態で通電を切った場合、またはその状態で何らかの故障が生じて通電が停止した場合、ディテントスプリング110の回復力によってディテントプレート100に無用の回転が生じ、シフト位置が予定せぬ位置に移動しうる。このような事態を回避するために、本実施の形態では、壁位置検出制御の終了後に、アクチュエータ42を、基準位置、すなわち壁位置から、壁により回転が規制される方向と逆方向に所定量回転させて、ディテントスプリング110の撓みまたは伸びを解消してから通電を切る。以下、このような制御を「戻し制御」と呼ぶ。
【0059】
本実施の形態のシフト制御システム10の全体構成は、図1に示した実施の形態1のシフト制御システム10の全体構成と同様である。本実施の形態の戻し制御は、P−ECU40により制御される。すなわち、P−ECU40は、戻し制御手段として機能する。
【0060】
図11は、本実施の形態の戻し制御の手順を示すフローチャートである。実施の形態1で説明した壁位置検出制御により壁位置が確定したとき(S100)、ディテントスプリング110のころ112は、ディテントプレート100の壁に押し当てられ、ディテントスプリング110は、撓んだ、または伸びた状態にある。ここで、アクチュエータ42の通電相を所定時間、たとえば50ミリ秒間固定してアクチュエータ42を完全に停止させる(S102)。つづいて、アクチュエータ42の回転が壁により規制される方向と逆の方向に、アクチュエータ42を駆動させる(S104)。たとえば、現在位置がP壁位置である場合は、非P壁の方向にアクチュエータ42を回転させる。エンコーダ46により検知されるアクチュエータ42の位置が、壁位置から所定量手前の位置に到達するまで(S106のN)、アクチュエータ42を回転させ(S104)、所定量手前の位置に到達すると(S106のY)、アクチュエータ42を完全に停止させるために、所定時間、たとえば100ミリ秒間通電相を固定した後(S108)、通電を切り(S110)、ユーザからのシフトレンジの切替指示を待つ。これにより、ディテントスプリング110の撓みまたは伸びがない状態で停止させることができ、ディテントスプリング110の回復力でディテントプレート100が回転する事態を回避することができる。
【0061】
基準位置から、逆の壁位置方向に回転する回転量は、ディテントスプリング110の撓みまたは伸びが解消される程度に設定すればよい。この回転量は、ディテントプレート100やディテントスプリング110の形状などに依存して設定されてもよく、実施の形態1で設定された目標回転位置と同じ位置であってもよいし、シフト位置を正確に定めるために目標回転位置よりも壁側に設定されてもよいし、より安全性を高めるために目標回転位置よりもさらに大きなマージンをとって設定されてもよい。この回転量は、ディテントプレート100の形状などに応じて、P壁側と非P壁側で異なる値としてもよく、たとえば、P壁側では非P壁方向に2度程度、非P壁側ではP壁方向に3度程度であってもよい。
【0062】
上述の壁位置検出制御および戻し制御において何らかの異常が発生した場合、または、何らかの異常が既に発生していて壁位置検出制御および戻し制御が正しく行えなかった場合、以降のシフト制御を正しく行えない恐れがある。たとえば、壁位置検出制御において、エンコーダ46が故障していた場合、アクチュエータ42の実位置を正しく把握できないため、誤った位置を壁位置と判定する恐れがある。また、壁位置検出制御または戻し制御において、アクチュエータ42が故障していた場合、アクチュエータ42がディテントスプリング110の回復力により逆の壁方向に押し戻される恐れがある。また、戻し制御において、エンコーダ46が故障していた場合、アクチュエータ42を正しく所定位置に戻すことができない恐れがある。このような事態が生じると、シフトレンジの切替時にレンジが正しく切り替わらなかったり、シフトレンジを誤表示したりする可能性があるので、このような事態を回避するために、壁位置検出制御および戻し制御において、異常を的確に検出する技術について以下に説明する。
【0063】
図12は、壁位置検出制御中に異常を検出する方法の手順を示すフローチャートである。壁位置検出制御中(S120のY)、位置設定手段は、壁位置と、エンコーダ46により検知されるアクチュエータ42の実位置との差が所定量を超えないか監視する(S122)。壁位置検出制御中は、エンコーダ46がカウントアップする方向にアクチュエータ42を回転させている場合はエンコーダ46による位置信号の最大値を、逆方向の場合は位置信号の最小値を、壁位置として随時更新する。このとき、制御が正常に行われている場合は、壁位置と実位置はほぼ同じになる。ところが、エンコーダ46の故障により位置信号が正常に出力されなかったり、アクチュエータ42の断線などによりアクチュエータ42への通電が停止され、ディテントスプリング110の回復力によりアクチュエータ42が逆方向に回転してしまった場合、壁位置と実位置との差が開く。この差が所定量を超えると(S122のY)、異常が発生したと判断し、アクチュエータ42への通電をオフし(S124)、異常を出力してユーザに伝える(S126)。この所定量は、アクチュエータ42が、明らかに逆レンジ方向へ戻されていると判断される程度に設定される。以上の監視を壁位置検出制御が終了するまで継続し、壁位置検出制御が終了すると(S120のN)、つづいて、戻し制御に移る(S128)。
【0064】
図13は、戻し制御中に異常を検出する方法の手順を示すフローチャートである。戻し制御中(S130のY)、戻し制御手段は、壁位置と、エンコーダ46により検知されるアクチュエータ42の実位置との差が所定量を超えないか監視する(S132)。ここでは、既に上記の壁位置検出制御により壁位置が確定しているため、確定した壁位置とアクチュエータ42の実位置との差を監視する。アクチュエータ42を逆レンジ方向に所定位置まで戻しているときに、アクチュエータ42の断線などにより、アクチュエータ42が所定量以上戻されてしまうと(S132のY)、異常が発生したと判断し、アクチュエータ42への通電をオフし(S134)、異常を出力してユーザに伝える(S136)。この所定量は、アクチュエータ42が、所定位置を超えて、明らかに逆レンジ方向へ戻されていると判断される程度に設定される。以上の監視を戻し制御が終了するまで継続し、戻し制御が終了すると(S130のN)、つづいて、ユーザの操作によるシフト切替指示を待つ(S138)。
【0065】
図14は、戻し制御中に故障を検出する他の方法の手順を示すフローチャートである。実施の形態1で説明した壁位置検出制御により壁位置が確定したとき(S150)、アクチュエータ42の通電相を所定時間固定してアクチュエータ42を完全に停止させる(S152)。つづいて、アクチュエータ42の回転が壁により規制される方向と逆の方向に、アクチュエータ42を駆動させる(S154)。たとえば、現在位置がP壁位置付近である場合は、非P壁の方向にアクチュエータ42を回転させる。エンコーダ46により検知されるアクチュエータ42の位置が、壁位置から所定量手前の位置に到達すると(S156のY)、アクチュエータ42を完全に停止させるために、所定時間通電相を固定した後(S158)、通電を切り(S160)、戻し制御を終了する。アクチュエータ42の位置が、壁位置から所定量手前に到達していなければ(S156のN)、所定時間経過したか否かを判断し(S162)、経過していなければ(S162のN)、さらにアクチュエータ42を壁と逆方向へ駆動させる(S154)。所定時間経過してもアクチュエータ42の位置が壁位置より所定量手前に到達しなければ(S162のY)、異常が発生したと判断し、アクチュエータ42への通電をオフし(S164)、異常を出力してユーザに伝える(S166)。所定時間経過してもアクチュエータ42が所定位置に到達しない原因として、たとえば、実際には所定位置に到達しているにもかかわらず、エンコーダ46の故障により、実位置を誤検出している場合や、アクチュエータ42の故障により、アクチュエータ42が回転しない場合などが考えられる。上記の方法により、これらの異常を的確に検出することができる。
【0066】
図15は、壁位置検出制御の開始から戻し制御が終了するまでの一連の手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、実施の形態1で説明した壁位置検出制御と、実施の形態2で説明した戻し制御の手順に、図12から14で説明した異常検出の手順を加味した全体の流れを示す。ここでは、壁位置検出制御において、Pレンジ側の壁位置を検出する場合について説明するが、非Pレンジ側の壁位置を検出する場合も同様である。
【0067】
まず、Pレンジの壁位置を検出するために(S170)、アクチュエータ42をP壁方向へ駆動し(S172)、エンコーダ46から出力される位置信号の最小値が所定時間更新されなくなると(S174のY)、その位置を暫定P壁位置とし、実施の形態1で説明した方法でP壁位置を決定する。P壁位置から非P壁位置に向かう方向にエンコーダ46による計数値がカウントアップする場合は、位置信号の最小値が所定時間更新されないことで暫定P壁位置を検出するが、非P壁位置からP壁位置に向かう方向にエンコーダ46による計数値がカウントアップする場合には、位置信号の最大値が所定時間更新されないことで暫定P壁位置を検出する。位置信号の最小値が更新されている間は(S174のN)、位置信号の最小値とアクチュエータ42の現在位置との差が所定量を超えないか監視し(S176)、差が所定量を超えると異常が発生したと判断し、アクチュエータ42の通電をオフして(S188)、異常を出力する(S190)。位置信号の最小値とアクチュエータ42の現在位置の差が所定量以内である場合は(S176のN)、引き続き、位置信号の最小値が所定時間更新されない位置を検出するまで、アクチュエータ42をP壁方向へ駆動する(S172)。
【0068】
ディテントスプリング110が最も撓んだ状態でアクチュエータ42が停止して、P壁位置が正常に検出されると、つづいて、戻し制御に移行する。まず、アクチュエータ42の通電相を所定時間固定してアクチュエータ42を完全に停止させる(S178)。つづいて、アクチュエータ42をP壁と逆方向へ駆動する(S180)。エンコーダ46により検知されるアクチュエータ42の位置が、壁位置から所定量手前の位置に到達すると(S182のY)、アクチュエータ42を完全に停止させるために、所定時間通電相を固定した後(S192)、通電を切り(S194)、戻し制御を正常に終了する。アクチュエータ42の現在位置が壁位置から所定量手前に到達するまでの間は(S182のN)、壁位置とアクチュエータ42の現在位置との差が所定量を超えていないか監視するとともに(S184)、所定時間経過していないかを監視する(S186)。これらのいずれかが検出されると(S184のYまたはS186のY)、異常が発生したと判断し、アクチュエータ42の通電をオフして(S188)、異常を出力する(S190)。異常が検出されなければ、引き続き、アクチュエータ42の現在位置が壁位置から所定量手前に到達するまで、アクチュエータ42を非P壁方向に駆動する(S180)。以上の方法により、壁位置検出制御および戻し制御における異常を的確に検出することができる。
【0069】
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。なお本発明はこれらの実施の形態に限定されることなく、そのさまざまな変形例もまた、本発明の態様として有効である。例えば、実施の形態2では、壁位置検出制御につづいて戻し制御を行う例について説明したが、戻し制御は、ディテントスプリング110に撓みまたは伸びが生じるような他の制御が行われた後に実施されてもよい。
【0070】
[実施の形態から把握される種々の発明]
実施の形態1からは、例えば以下のような発明も理解することができる。
【0071】
(1)アクチュエータを介してシフトレンジを切り替えるシフト制御システムであり、アクチュエータにより駆動されて、シフトレンジを切り替えるシフト手段、例えばディテントプレートと、所定のシフトレンジにおいてアクチュエータの所定方向の回転を規制する規制手段、例えばディテントプレートの壁と、アクチュエータを回転させる回転制御手段、例えばP−ECUと、アクチュエータの回転量に応じた計数値を取得する計数手段、例えばエンコーダと、アクチュエータの回転が規制手段により規制される方向に、回転制御手段によりアクチュエータが回転されたとき、計数手段により取得された計数値の状態に基づいて、所定のシフトレンジに対応したアクチュエータの基準位置を設定する位置設定手段、例えばP−ECUとを備える。シフト手段および規制手段は一体の構造を有してもよく、規制手段が、シフト手段の一部の構造であってもよい。
【0072】
このシフト制御システムによると、規制手段によりアクチュエータの回転を規制し、計数手段による計数値から規制状態を判定することによって、アクチュエータの基準位置を定めることが可能となる。これにより、計数手段が相対的な位置情報しか取得できないエンコーダであっても、基準位置をもとにアクチュエータを適切に回転制御することができ、アクチュエータの回転に伴う負荷を低減し、シフト手段を用いてシフトレンジを好適に切り替えることが可能となる。また、絶対位置を検出するポテンショメータなどを使用しなくてよいため、低コスト化を実現することができる。位置設定手段は、計数手段により取得された計数値の最小値または最大値が所定時間変化しない状態を検出することにより、アクチュエータの基準位置を設定してもよい。
【0073】
(2)位置設定手段は、所定のシフトレンジと、所定のシフトレンジと異なる別のシフトレンジとの間のアクチュエータの可動回転量に基づいて、別のシフトレンジに対応したアクチュエータの基準位置を設定してもよい。これにより、可動回転量を用いて別のシフトレンジにおけるアクチュエータの基準位置を簡易に設定することができる。
【0074】
(3)位置設定手段は、シフト手段により所定のシフトレンジから別のシフトレンジに切り替えられたときに、別のシフトレンジに対応したアクチュエータの基準位置を設定してもよい。別のシフトレンジにおけるアクチュエータの基準位置の設定を、シフトレンジを切り替えたタイミングで行うことにより、別のシフトレンジにおけるアクチュエータの基準位置を効率的に設定することが可能となる。
【0075】
(4)位置設定手段は、シフト手段または規制手段の経時変化を補正するために、所定のタイミングで、別のシフトレンジに対応したアクチュエータの基準位置を設定してもよい。所定のタイミングとは、例えば、シフトの切替が所定回数行われたときや、このシフト制御システムを搭載した車両のトリップが所定回数に到達したときである。これにより、経時変化を補正し、2つの基準位置を正確に設定することが可能となる。なお、1回のトリップは、車両電源スイッチがオンからオフされるまでと定義してもよく、また実際に車両の車両電源がオンしてからオフするまでと定義してもよい。
【0076】
(5)位置設定手段は、所定のシフトレンジに対応した基準位置と、別のシフトレンジに対応した基準位置とに基づいて、アクチュエータの可動回転量を検出してもよい。可動回転量を取得することで、次回のトリップにおいて、1つのシフトレンジにおけるアクチュエータの基準位置を検出することにより、他方のシフトレンジにおけるアクチュエータの基準位置を容易に検出することができる。
【0077】
(6)回転制御手段は、アクチュエータの基準位置を設定するために駆動するアクチュエータの単位時間あたりの出力を、シフトレンジを切り替えるために駆動するアクチュエータの単位時間あたりの出力よりも小さくしてもよい。これにより、基準位置を設定するときに、シフト手段や規制手段などにかかる負荷を低減することができる。
【0078】
(7)位置設定手段は、基準位置に基づいて、基準位置を設定されたシフトレンジにおけるアクチュエータのシフトレンジ切替時の目標回転位置を設定してもよい。回転制御手段は、シフトレンジ切替時に、アクチュエータを回転してシフト手段を駆動し、アクチュエータの回転量を目標回転位置にあわせてもよい。
【0079】
(8)アクチュエータを介してシフトレンジを切り替えるシフト制御方法であって、シフトレンジを切り替えるシフト手段をアクチュエータにより回転して、所定のシフトレンジにおいてアクチュエータの所定方向の回転を規制する規制手段により停止させ、停止させた位置に基づいて所定のシフトレンジにおける基準位置を検出し、基準位置に応じてアクチュエータによるシフトレンジ切替時の目標回転位置を定めることを特徴とするシフト制御方法を提供する。このシフト制御方法によると、規制手段によりアクチュエータの回転を停止し、停止位置に基づいてアクチュエータの基準位置を検出し、基準位置に応じてアクチュエータの目標回転位置を定めることが可能となる。これにより、アクチュエータを目標回転位置に適切に制御することができ、シフト手段を用いてシフトレンジを好適に切り替えることが可能となる。
【0080】
従って、これら(1)から(8)の発明と、実施の形態2から認識される発明を任意に組み合わせたものもまた、本発明として有効である。
【0081】
【発明の効果】
本発明によると、シフト位置をより確実に確定することの可能なシフト制御システムおよびシフト制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係るシフト制御システムの構成を示す図である。
【図2】シフト制御機構の構成を示す図である。
【図3】ディテントプレートの構成を示す図である。
【図4】アクチュエータの制御方法を説明するための図である。
【図5】(a)はP壁位置を検出する制御方法を説明するための図であり、(b)は非P壁位置を検出する制御方法を説明するための図である。
【図6】壁位置検出制御の例を示す図である。
【図7】アクチュエータの目標回転位置の算出方法の例を示す図である。
【図8】アクチュエータに印加する通電指令パルスの波形を示す図である。
【図9】実施の形態1におけるシフト制御システムによる基準位置検出方法のフローチャートである。
【図10】図9のS30における非Pレンジへの切替制御のフローチャートである。
【図11】実施の形態2に係る戻し制御の手順を示すフローチャートである。
【図12】壁位置検出制御中に故障を検出する方法の手順を示すフローチャートである。
【図13】戻し制御中に故障を検出する方法の手順を示すフローチャートである。
【図14】戻し制御中に故障を検出する他の方法の手順を示すフローチャートである。
【図15】壁位置検出制御の開始から戻し制御が終了するまでの一連の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10・・・シフト制御システム、
20・・・Pスイッチ、
22・・・インジケータ、
24・・・入力部、
26・・・シフトスイッチ、
28・・・車両電源スイッチ、
30・・・V−ECU、
40・・・P−ECU、
42・・・アクチュエータ、
46・・・エンコーダ、
48・・・シフト制御機構、
50・・・表示部、
52・・・メータ、
60・・・駆動機構、
100・・・ディテントプレート、
102・・・シャフト、
104・・・ロッド、
106・・・パーキングロックポール、
108・・・パーキングギヤ、
110・・・ディテントスプリング、
112・・・ころ、
120・・・非Pレンジ位置、
122・・・山、
124・・・Pレンジ位置、
200・・・P壁、
210・・・非P壁。
Claims (6)
- アクチュエータを介してシフトレンジを切り替えるシフト制御システムであって、
アクチュエータにより回転されるディテントプレートと、
シフトレンジに対応して前記ディテントプレートに形成された凹部に係合してシフト位置を固定するディテントスプリングと、
所定のシフトレンジにおいて前記アクチュエータの所定方向の回転を規制する規制手段と、
前記アクチュエータを回転させる回転制御手段と、
前記アクチュエータの回転が前記規制手段により規制される方向に、前記回転制御手段により前記アクチュエータが回転されたとき、前記規制手段により規制される方向と逆方向に、前記ディテントスプリングの撓みまたは伸びが解消する位置まで、所定量だけ前記アクチュエータを回転させる戻し制御手段と、
を備えることを特徴とするシフト制御システム。 - アクチュエータを介してシフトレンジを切り替えるシフト制御システムであって、
アクチュエータにより回転されるディテントプレートと、
シフトレンジに対応して前記ディテントプレートに形成された凹部に係合してシフト位置を固定するディテントスプリングと、
所定のシフトレンジにおいて前記アクチュエータの所定方向の回転を規制する規制手段と、
前記アクチュエータを回転させる回転制御手段と、
前記アクチュエータの回転量に応じた計数値を取得する計数手段と、
前記アクチュエータの回転が前記規制手段により規制される方向に、前記回転制御手段により前記アクチュエータが回転されたとき、前記規制手段により前記アクチュエータの回転が停止されたときの前記計数手段の計数値に基づいて、前記アクチュエータの回転量から現在のシフトレンジを判定するためのシフトレンジ判定範囲を定めるための基準となる基準位置を設定する位置設定手段と、
前記位置設定手段により前記基準位置が設定された後に、前記アクチュエータの回転が前記規制手段により規制される方向と逆方向に、設定された基準位置から、前記ディテントスプリングの撓みまたは伸びが解消する位置まで、所定量だけ前記アクチュエータを回転させる戻し制御手段と、
を備えることを特徴とするシフト制御システム。 - 前記位置設定手段は、前記基準位置の設定時に前記回転制御手段により前記アクチュエータが回転されるとき、前記アクチュエータが逆方向に所定量以上戻された場合に、異常を検知することを特徴とする請求項2に記載のシフト制御システム。
- 前記戻し制御手段は、設定された基準位置から所定量だけ前記アクチュエータを回転させるとき、前記アクチュエータが所定量以上戻された場合に、異常を検知することを特徴とする請求項2または3に記載のシフト制御システム。
- 前記戻し制御手段は、設定された基準位置から所定量だけ前記アクチュエータを回転させるとき、所定時間を超えても制御が終了しない場合に、異常を検知することを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載のシフト制御システム。
- アクチュエータにより回転されるディテントプレートと、シフトレンジに対応して前記ディテントプレートに形成された凹部に係合してシフト位置を固定するディテントスプリングとを含むシフト手段によりシフトレンジを切り替えるシフト制御方法であって、
前記ディテントプレートを前記アクチュエータにより回転して、所定のシフトレンジにおいて前記アクチュエータの所定方向の回転を規制する規制手段により停止させ、停止させた位置に基づいて、前記アクチュエータの回転量から現在のシフトレンジを判定するためのシフトレンジ判定範囲を定めるための基準となる基準位置を検出した後、前記ディテ ントスプリングの撓みまたは伸びが解消する位置まで、逆方向に所定量回転させることを特徴とするシフト制御方法。
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