JP4346940B2 - シフト制御システムおよびシフト制御方法並びにシフト制御装置 - Google Patents

シフト制御システムおよびシフト制御方法並びにシフト制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変速機のシフトレンジをアクチュエータを介して切り替えるシフト制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、運転者によるシフトレバーの操作に従い、自動変速機のシフトレンジを電気制御により切り替える「シフトバイワイヤ」とも呼ばれる技術に基づくシフト制御システムが知られている。このようなシフト制御システムでは、運転者によってシフトレバーが操作されると、シフト位置の切替指令が発生してアクチュエータに通電がなされ、ディテントプレートが回転する。ディテントプレートが所定の回転位置にくると、ディテントプレートとディテントスプリングが係合し、シフト位置が確定する。ディテントスプリングのころと係合するディテントプレートの複数の凹部は、それぞれ異なるシフト位置に対応している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−323127号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のシフト制御システムでは、シフト位置を変更する際、ディテントスプリングのころがディテントプレートの凸部を越えて所望の凹部に嵌り、その位置で所望のシフト位置が確定する。従って、前記のころが凹部ときちんと対応する位置にディテントプレートを止める必要がある。ディテントプレートの位置がずれると、前記のころがディテントプレートの凸部や両端の壁に押しつけられディテントスプリングが撓んだ状態でディテントプレートが停止する可能性がある。その場合、ディテントスプリングの回復力によってディテントプレートに無用の回転が生じ、シフト位置が予定せぬ位置に移動しうる。
【0005】
一方、その無用の回転を防止するために、ディテントスプリングが撓んだ状態でも系全体を静止させようとすると、ディテントスプリングをはじめとする部材の耐久性が求められ、構造全体を大きくせざるを得ないおそれがある。すなわち、無用の回転防止と、構造の簡素化及び低コスト設計は、二律背反の課題である。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、不必要に構造を大きくせずとも、シフト位置をより確実に確定することの可能なシフト制御システムおよびシフト制御方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は、シフト位置の切替指令に応じ、アクチュエータに通電して第1シフト手段を所定の目標範囲に回転させ、第2シフト手段に係合させることによってシフト位置を固定するシフト制御システムに関する。
【0008】
このシフト制御システムは、前記の目標範囲として、第2シフト手段が係合個所において第1シフト手段に抗する反発力と、第1シフト手段のレンジ位置に形成された係合個所の形状とをもとに、第1シフト手段がアクチュエータの非通電時に異なるレンジ位置へ移動しない安定範囲を設定する手段と、かかる設定のもと、第1シフト手段が目標範囲まで回転するとアクチュエータへの通電をオフするよう通電制御する手段とを有する。ここで、「目標範囲」は、目標位置のような、広がりのない1点を含む概念である。
【0009】
この構成によれば、第1シフト手段が目標範囲に入った後にアクチュエータへの通電がオフされるが、そのときには、第1シフト手段が異なるシフト位置へ移動しない状態が実現されている。したがって、アクチュエータへの通電時間の短縮による節電効果が得られ、シフト位置の予期せぬ移動も解消できる。
【0010】
一例として、第1シフト手段はディテントプレート、第2シフト手段はディテントスプリングであってもよく、その場合、前記の目標範囲は、ディテントスプリングの弾性力とディテントプレートのレンジ位置に形成された凹部形状をもとに、ディテントプレートがアクチュエータの非通電時に異なるレンジ位置へ移動しない安定範囲として設定される。
【0011】
目標範囲はさらに、ディテントプレートとディテントスプリングとの係合によってディテントプレートの回転が規制される位置に基づいて設定されてもよい。この場合、例えばディテントプレートが前記の回転が規制される位置にくる手前でアクチュエータの駆動を停止することができ、ディテントプレートをはじめとする機構部材にかかる負荷を減らすことができる。これは機構部材の耐久設計上有利であり、一般的には、より軽量であるか、より低コストの部材採用の余地が生じる。
【0012】
以上のシフト制御システムにおいて、前記の目標範囲は、このシフト制御システムの構成要素のばらつきをもとに定まる最小値として設定されてもよい。その場合、設計誤差や部品公差などの不確定要因を吸収することができ、より安定的なシフト位置制御が実現する。
【0013】
本発明の別の態様は、シフト位置の切替指令に応じ、アクチュエータに通電してディテントプレートを回転させ、ディテントスプリングに係合させることによってシフト位置を固定するシフト制御方法に関する。このシフト制御方法は、ディテントプレートをアクチュエータの非通電時に異なるレンジ位置へ移動しない目標範囲に回転駆動するステップと、ディテントプレートが目標範囲まで回転するとアクチュエータへの通電をオフするステップとを含む。ここで、回転駆動するステップは、ディテントプレートがディテントスプリングとの係合によって所定の規制力が生じる位置より前でディテントプレートの回転を停止してもよい。
また、本発明のある態様は、シフト位置の切替指令に応じ、アクチュエータに通電して第1シフト手段を所定の目標範囲に回転させ、第2シフト手段に係合させることによってシフト位置を固定するシフト制御システムにおいて、目標範囲として、第2シフト手段が係合個所において第1シフト手段に抗する反発力と、第1シフト手段のレンジ位置に形成された係合個所の形状とをもとに、第1シフト手段がアクチュエータの非通電時に異なるレンジ位置へ移動しない安定範囲を設定する手段と、第2シフト手段が、係合個所において第1シフト手段の壁に当たらない非接触範囲を設定する手段と、当該設定した安定範囲および非接触範囲のもと、第1シフト手段が目標範囲まで回転するとアクチュエータへの通電をオフするよう通電制御する手段とを有するシフト制御システムとする。
また、本発明の他のある態様は、シフト位置の切替指令に応じ、アクチュエータに通電してディテントプレートを所定の目標範囲に回転させ、ディテントスプリングに係合させることによってシフト位置を固定するシフト制御システムにおいて、目標範囲として、ディテントスプリングの弾性力とディテントプレートのレンジ位置に形成された凹部形状をもとに、ディテントプレートがアクチュエータの非通電時に異なるレンジ位置へ移動しない安定範囲を設定する手段と、ディテントスプリングが、レンジ位置においてディテントプレートの壁に当たらない非接触範囲を設定する手段と、当該設定した安定範囲および非接触範囲のもと、ディテントプレートが目標範囲まで回転するとアクチュエータへの通電をオフするよう通電制御する手段とを有するシフト制御システムとする。
また、本発明のある態様では、シフト位置の切替指令に応じ、アクチュエータに通電してディテントプレートを回転させ、ディテントスプリングに係合させることによってシフト位置を固定するシフト制御方法において、ディテントプレートをアクチュエータの非通電時に異なるレンジ位置へ移動しない目標範囲に回転駆動するステップと、ディテントプレートが目標範囲まで回転するとアクチュエータへの通電をオフするステップと、を含み、かつ目標範囲は、ディテントスプリングが、シフト位置においてディテントプレートの壁に当たらない範囲であるシフト制御方法とする。
また、本発明にかかるシフト制御装置のある態様では、シフト位置の切替指令に応じ、アクチュエータに通電して第一シフト手段を所定の目標回転位置に回転させるパーキング制御部と、第一シフト手段と係合してシフト位置を固定する第二シフト手段と、を備えるシフト制御装置において、パーキング制御部は、切替え前後での各シフト位置における第一シフト手段の壁位置間に対応する可動回転量を記憶する記憶部と、シフト位置の切替えに際し、切替え後の第一シフト手段の壁に、第二シフト手段が衝突しないように、可動回転量を補正する補正値を演算する補正量演算部と、記憶部が記憶する可動回転量を、補正量演算部が演算した補正値で補正して、目標回転位置とする目標回転位置設定部と、を備える。
また、本発明にかかるシフト制御方法のある態様では、シフト位置の切替指令に応じ、アクチュエータに通電して第一シフト手段を所定の目標回転位置に回転させて、第二シフト手段に係合させてシフト位置を固定するシフト制御方法において、切替え前後での各シフト位置における第一シフト手段の壁位置間に対応する可動回転量を検出する工程と、シフト位置の切替えに際し、切替え後の第一シフト手段の壁に、第二シフト手段が衝突しないように、可動回転量を補正する補正値を演算する工程と、検出した可動回転量を、演算した補正値で補正して、目標回転位置とする工程と、を有する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、まず実施の形態1において、シフト位置の切替指令に応じ、アクチュエータに通電してディテントプレートを所定の目標範囲に回転させ、ディテントスプリングに係合させることによってシフト位置を固定するシフト制御システムの全体動作と、前記の目標範囲を定めるための学習動作の原理を説明する。
【0015】
つづいて、実施の形態2において、本発明のひとつの特徴である、目標範囲の設定方法、すなわち、目標範囲として、ディテントプレートがアクチュエータの非通電時に異なるレンジ位置へ移動しない安定範囲を設定する方法を説明する。
【0016】
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態に係るシフト制御システム10の構成を示す。本実施の形態のシフト制御システム10は、車両のシフトレンジを切り替えるために用いられる。シフト制御システム10は、Pスイッチ20、シフトスイッチ26、車両電源スイッチ28、車両制御装置(以下、「V−ECU」と表記する)30、パーキング制御装置(以下、「P−ECU」と表記する)40、アクチュエータ42、エンコーダ46、シフト制御機構48、表示部50、メータ52および駆動機構60を含む。シフト制御システム10は、電気制御によりシフトレンジを切り替えるシフトバイワイヤシステムとして機能する。具体的には、シフト制御機構48がアクチュエータ42により駆動されてシフトレンジの切り替えを行う。
【0017】
車両電源スイッチ28は、車両電源のオンオフを切り替えるためのスイッチである。車両電源スイッチ28がドライバなどのユーザから受け付けた指示はV−ECU30に伝達される。例えば、車両電源スイッチ28がオンされることにより、図示しないバッテリから電力が供給されて、シフト制御システム10が起動される。
【0018】
Pスイッチ20は、シフトレンジをパーキングレンジ(以下、「Pレンジ」と呼ぶ)とパーキング以外のレンジ(以下、「非Pレンジ」と呼ぶ)との間で切り替えるためのスイッチであり、スイッチの状態をドライバに示すためのインジケータ22、およびドライバからの指示を受け付ける入力部24を含む。ドライバは、入力部24を通じて、シフトレンジをPレンジに入れる指示を入力する。入力部24はモーメンタリスイッチなどであってもよい。入力部24が受け付けたドライバからの指示は、V−ECU30、およびV−ECU30を通じてP−ECU40に伝達される。
【0019】
P−ECU40は、シフトレンジをPレンジと非Pレンジとの間で切り替えるために、シフト制御機構48を駆動するアクチュエータ42の動作を制御し、現在のシフトレンジの状態をインジケータ22に提示する。シフトレンジが非Pレンジであるときにドライバが入力部24を押下すると、P−ECU40はシフトレンジをPレンジに切り替えて、インジケータ22に現在のシフトレンジがPレンジである旨を提示する。
【0020】
アクチュエータ42は、スイッチトリラクタンスモータ(以下、「SRモータ」と表記する)により構成され、P−ECU40からの指示を受けてシフト制御機構48を駆動する。エンコーダ46は、アクチュエータ42と一体的に回転し、SRモータの回転状況を検知する。本実施の形態のエンコーダ46は、A相、B相およびZ相の信号を出力するロータリエンコーダである。P−ECU40は、エンコーダ46から出力される信号を取得してSRモータの回転状況を把握し、SRモータを駆動するための通電の制御を行う。
【0021】
シフトスイッチ26は、シフトレンジをドライブレンジ(D)、リバースレンジ(R)、ニュートラルレンジ(N)、ブレーキレンジ(B)などのレンジに切り替えたり、またPレンジに入れられているときには、Pレンジを解除したりするためのスイッチである。シフトスイッチ26が受け付けたドライバからの指示はV−ECU30に伝達される。V−ECU30は、ドライバからの指示に基づき、駆動機構60におけるシフトレンジを切り替える制御を行うとともに、現在のシフトレンジの状態をメータ52に提示する。駆動機構60は、無段変速機構から構成されているが、有段変速機から構成されてもよい。
【0022】
V−ECU30は、シフト制御システム10の動作を統括的に管理する。表示部50は、V−ECU30またはP−ECU40が発したドライバに対する指示や警告などを表示する。メータ52は、車両の機器の状態やシフトレンジの状態などを提示する。
【0023】
図2は、シフト制御機構48の構成を示す。以下、シフトレンジは、Pレンジ、非Pレンジを意味し、非PレンジにおけるRNDBの各レンジを含まない。シフト制御機構48は、アクチュエータ42により回転されるシャフト102、シャフト102の回転に伴って回転するディテントプレート100、ディテントプレート100の回転に伴って動作するロッド104、図示しない変速機の出力軸に固定されたパーキングギヤ108、パーキングギヤ108をロックするためのパーキングロックポール106、ディテントプレート100の回転を制限してシフトレンジを固定するディテントスプリング110およびころ112を含む。ディテントプレート100は、アクチュエータ42により駆動されてシフトレンジを切り替えるシフト手段として機能する。シャフト102、ディテントプレート100、ロッド104、ディテントスプリング110およびころ112は、シフト切替機構の役割を果たす。またエンコーダ46は、アクチュエータ42の回転量に応じた計数値を取得する計数手段として機能する。
【0024】
図2は、シフトレンジが非Pレンジであるときの状態を示している。この状態では、パーキングロックポール106がパーキングギヤ108をロックしていないので、車両の駆動軸の回転は妨げられない。この状態から、アクチュエータ42によりシャフト102を時計回り方向に回転させると、ディテントプレート100を介してロッド104が図2に示す矢印Aの方向に押され、ロッド104の先端に設けられたテーパー部によりパーキングロックポール106が図2に示す矢印Bの方向に押し上げられる。ディテントプレート100の回転に伴って、ディテントプレート100の頂部に設けられた2つの谷のうち一方、すなわち非Pレンジ位置120にあったディテントスプリング110のころ112は、山122を乗り越えて他方の谷、すなわちPレンジ位置124へ移る。ころ112は、その軸方向に回転可能にディテントスプリング110に設けられている。ころ112がPレンジ位置124にくるまでディテントプレート100が回転したとき、パーキングロックポール106は、パーキングギヤ108と嵌合する位置まで押し上げられる。これにより、車両の駆動軸が機械的に固定され、シフトレンジがPレンジに切り替わる。
【0025】
実施の形態に係るシフト制御システム10では、シフトレンジ切替時にディテントプレート100、ディテントスプリング110およびシャフト102などのシフト切替機構にかかる負荷を低減するために、P−ECU40が、ディテントスプリング110のころ112が山122を乗り越えて落ちるときの衝撃を少なくするように、アクチュエータ42の回転量を制御する。
【0026】
図3は、ディテントプレート100の構成を示す。それぞれの谷において、山122から離れた側に位置する面を壁と呼ぶ。すなわち壁は、P−ECU40による以下に示す制御を行わない状態で、ディテントスプリング110のころ112が山122を乗り越えて谷に落ちるときに、ころ112とぶつかる位置に存在する。Pレンジ位置124における壁を「P壁」と呼び、非Pレンジ位置120における壁を「非P壁」と呼ぶ。ころ112がPレンジ位置124から非Pレンジ位置120に移動する場合、P−ECU40は、非P壁210がころ112に衝突しないようにアクチュエータ42を制御する。具体的には、P−ECU40は、非P壁210がころ112に衝突する手前の位置でアクチュエータ42の回転を停止する。この位置を「非P目標回転位置」と呼ぶ。また、ころ112が非Pレンジ位置120からPレンジ位置124に移動する場合、P−ECU40は、P壁200がころ112に衝突しないようにアクチュエータ42を制御する。具体的には、P−ECU40は、P壁200がころ112に衝突する手前の位置でアクチュエータ42の回転を停止する。この位置を「P目標回転位置」と呼ぶ。P−ECU40によるアクチュエータ42の制御により、シフトレンジ切替時においてディテントプレート100、ディテントスプリング110およびシャフト102などのシフト切替機構にかかる負荷を大幅に低減することができる。負荷を低減することにより、シフト切替機構の軽量化、低コスト化を図ることもできる。
【0027】
図4は、アクチュエータ42の制御方法を説明するための図である。アクチュエータ42はディテントプレート100を回転する。アクチュエータ42の回転は、P壁200および非P壁210により規制される。図4は、アクチュエータ42の回転制御を行う上でのP壁200の位置および非P壁210の位置を概念的に示す。P壁位置から非P壁位置までをアクチュエータ42の可動回転量と呼ぶ。可動回転量は、エンコーダ46の計数値から求められる実際の可動回転量(以下、「実可動回転量」と呼ぶ)と、設計により定められた可動回転量(以下、「設計可動回転量」と呼ぶ)を含む。
【0028】
現在のシフトレンジは、P壁位置または非P壁位置から所定回転量の範囲内にある場合に決定される。シフトレンジの判定基準として、Pロック判定位置およびP解除判定位置を設定し、P壁位置からPロック判定位置の範囲、および非P壁位置からP解除判定位置までの範囲を、シフトレンジ判定範囲とする。具体的には、エンコーダ46で検出したアクチュエータ42の回転量がP壁位置からPロック判定位置の範囲にあるときには、シフトレンジがPレンジであることを判定し、一方でアクチュエータ42の回転量が非P壁位置からP解除判定位置の範囲にあるときには、シフトレンジが非Pレンジであることを判定する。なお、アクチュエータ42の回転量がPロック判定位置からP解除判定位置の間にあるときには、シフトレンジが不定、またはシフトレンジが切替中であることを判定する。以上の判定は、P−ECU40により実行される。
【0029】
P目標回転位置は、P壁位置とPロック判定位置との間に設定される。P目標回転位置は、非PレンジからPレンジへの切替時に、P壁200がディテントスプリング110のころ112に衝突しない位置であり、P壁位置から所定のマージンをもって定められる。マージンの決定方法は実施の形態2で詳述する。これにより、シフトレンジ切替時におけるP壁200ところ112との衝突を回避できる。
【0030】
同様に、非P目標回転位置は、非P壁位置とP解除判定位置との間に設定される。非P目標回転位置は、Pレンジから非Pレンジへの切替時に、非P壁210がディテントスプリング110のころ112に衝突しない位置であり、非P壁位置から所定のマージンをもって定められる。これにより、シフトレンジ切替時における非P壁210ところ112との衝突を回避することができる。なお、非P壁位置からのマージンとP壁位置からのマージンとは同一である必要はなく、ディテントプレート100の形状などに依存して異なってもよい。
【0031】
以上、P壁位置および非P壁位置が検出されていることを前提にアクチュエータ42の制御方法を示した。P壁位置または非P壁位置は、Pレンジ位置124または非Pレンジ位置120におけるシフトレンジ判定範囲および目標回転位置を定めるための基準位置となる。以下では、相対的な位置情報を検出するエンコーダ46を用いて、アクチュエータ42の位置制御を行う方法、具体的には基準位置となる壁位置を検出する方法を示す。
【0032】
P−ECU40またはV−ECU30は、前回の車両電源スイッチ28のオフ時におけるシフトレンジを記憶しておく。車両電源スイッチ28がオンされたとき、P−ECU40は、記憶していたシフトレンジを現在のシフトレンジに設定する。壁位置検出制御は、現在のシフトレンジにおける壁位置を検出する。なお、前回のシフトレンジを記憶していない場合には、V−ECU30が車速に基づいて現在のシフトレンジを定める。具体的に、例えば車速が3km/h以下の低速にある場合には、V−ECU30は現在のシフトレンジをPレンジと定め、また3km/hよりも速い中高速にある場合には、現在のシフトレンジを非Pレンジと定める。なお、前回のシフトレンジを記憶していない状態で車速が中高速にある場合とは、例えば車両の走行中に電源が瞬断されて、現在のシフトレンジのデータを消失したような状況に相当する。殆どの場合は、車両電源スイッチ28のオン時、車速が低速であることが判定され、現在のシフトレンジがPレンジと定められることになる。
【0033】
図5(a)は、P壁位置を検出する制御方法を説明するための図である。P−ECU40は、アクチュエータ42を回転させる回転制御手段、およびアクチュエータ42のP壁位置、すなわち基準位置を設定する位置設定手段として機能する。P壁位置検出制御では、まず、アクチュエータ42によりディテントプレート100を時計回り方向、すなわちP壁200がディテントスプリング110のころ112に向かう方向に回転させ、ころ112とP壁200とを接触させる。P壁200は、Pレンジ位置において、アクチュエータ42の時計回り方向の回転を規制する規制手段として機能する。なおP壁200は、ディテントスプリング110およびころ112と協同して規制手段を構成してもよい。図5(a)において、矢印F1は、アクチュエータ42による回転力、矢印F2は、ディテントスプリング110によるバネ力、矢印F3は、ロッド104による押し戻し力を示す。点線で示すディテントプレート100’は、P壁200ところ112とが接触した位置を示す。したがって、ディテントプレート100’の位置を検出することが、P壁200の位置を検出することに相当する。
【0034】
ディテントプレート100は、P壁200ところ112との接触後も、点線で示す位置から、アクチュエータ42の回転力F1により時計回り方向に、ディテントスプリング110のバネ力に抗して回転される。これによりディテントスプリング110に撓みが生じて、バネ力F2が増加し、またロッド104による押し戻し力F3も増加する。回転力F1が、バネ力F2および押し戻し力F3と釣り合ったところで、ディテントプレート100の回転が停止する。
【0035】
ディテントプレート100の回転停止は、エンコーダ46により取得される計数値の状態に基づいて判定される。P−ECU40は、エンコーダ46の計数値の最小値または最大値が所定時間変化しない場合に、ディテントプレート100およびアクチュエータ42の回転停止を判定する。計数値の最小値または最大値のいずれを監視するかは、エンコーダ46に応じて設定されればよく、いずれにしても最小値または最大値が所定時間変化しないことは、ディテントプレート100が動かなくなった状態を示す。
【0036】
P−ECU40は、回転停止時のディテントプレート100の位置を暫定的なP壁位置(以下、「暫定P壁位置」と呼ぶ)として検出し、また、ディテントスプリング110の撓み量または撓み角を算出する。撓み量または撓み角の算出は、P−ECU40に予め保持されている、アクチュエータ42への印加電圧に対応する撓み量または撓み角の関係を示すマップを用いて行われる。P−ECU40は、マップから暫定P壁位置検出時のアクチュエータ42への印加電圧に対応する撓み量ないし撓み角を算出する。なお、アクチュエータ42の印加電圧の代わりに、バッテリ電圧を用いたマップであってもよい。バッテリ電圧はP−ECU40により監視されており、容易に検出することができる。なお、この場合は、バッテリからアクチュエータ42までのワイヤーハーネスなどによる電圧降下分を考慮して、マップが作成されることになる。P−ECU40は、このマップを用いて、算出した撓み量または撓み角から、暫定P壁位置をマップ補正し、マップ補正した位置をP壁位置として確定する。P壁位置を確定することにより、Pロック判定位置およびP目標回転位置を設定することができる。なお、印加電圧に対応する撓み量または撓み角の関係を示すマップの代わりに、アクチュエータ42の出力トルクに対応する撓み量または撓み角の関係を示すマップであってもよいし、マップを用いて算出する代わりに、撓み量または撓み角を検出するセンサを設け、それにより検出するようにしてもよい。
【0037】
図5(b)は、非P壁位置を検出する制御方法を説明するための図である。P−ECU40は、アクチュエータ42を回転させる回転制御手段、およびアクチュエータ42の非P壁位置、すなわち基準位置を設定する位置設定手段として機能する。非P壁位置検出制御では、まず、アクチュエータ42によりディテントプレート100を反時計回り方向、すなわち非P壁210がディテントスプリング110のころに向かう方向に回転させ、ころ112と非P壁210とを接触させる。非P壁210は、非Pレンジ位置において、アクチュエータ42の反時計回り方向の回転を規制する規制手段として機能する。なお非P壁210は、ディテントスプリング110およびころ112と協同して規制手段を構成してもよい。図5(b)において、矢印F1は、アクチュエータ42による回転力、矢印F2は、ディテントスプリング110によるバネ力、矢印F3は、ロッド104による引っ張り力を示す。点線で示すディテントプレート100’’は、非P壁210ところ112とが接触した位置を示す。したがって、ディテントプレート100’’の位置を検出することが、非P壁210の位置を検出することに相当する。
【0038】
ディテントプレート100は、非P壁210ところ112との接触後も、点線で示す位置から、アクチュエータ42の回転力F1により、ディテントスプリング110の引っ張り力に抗して反時計回り方向に回転される。これによりディテントスプリング110に伸びが生じて、バネ力F2が増加し、またロッド104による引っ張り力F3も増加する。回転力F1が、バネ力F2および引っ張り力F3と釣り合ったところで、ディテントプレート100の回転が停止する。
【0039】
ディテントプレート100の回転停止は、エンコーダ46により取得される計数値に基づいて判定される。具体的には、エンコーダ46の計数値の最大値または最小値が所定時間変化しない場合に、ディテントプレート100およびアクチュエータ42の回転停止が判定される。
【0040】
P−ECU40は、回転停止時のディテントプレート100の位置を暫定的な非P壁位置(以下、「暫定非P壁位置」と呼ぶ)として検出し、また、ディテントスプリング110の伸び量を算出する。伸び量の算出は、P−ECU40に予め保持されている、アクチュエータ42への印加電圧に対応する伸び量の関係を示すマップを用いて行われる。P−ECU40は、マップから暫定非P壁位置検出時のアクチュエータ42への印加電圧に対応する伸び量を算出する。P−ECU40は、このマップを用いて、算出した伸び量から、暫定非P壁位置をマップ補正し、マップ補正した位置を非P壁位置として確定する。非P壁位置を確定することにより、P解除判定位置および非P目標回転位置を設定することができる。なお、印加電圧に対応する伸び量の関係を示すマップの代わりに、アクチュエータ42の出力トルクに対応する伸び量の関係を示すマップであってもよいし、マップを用いて算出する代わりに、伸び量を検出するセンサを設け、それにより検出するようにしてもよい。
【0041】
以上のように、壁位置検出制御では、現在のシフトレンジにおける壁位置を検出する。既に、P壁位置から非P壁位置までの間の実可動回転量が検出されている場合には、この実可動回転量を用いて、他方のシフトレンジにおける壁位置を算出することもできる。実可動回転量は、一方のシフトレンジにおける壁位置検出制御を行って壁位置を検出した後、他方のシフトレンジにおける壁位置検出制御を行って他方の壁位置を検出することで、2つの壁位置の間の範囲を測定することができる。P−ECU40は、測定した実可動回転量を記憶する。一旦、実可動回転量を取得すれば、P−ECU40は、一方のシフトレンジにおける壁位置を検出すると、その壁位置から実可動回転量だけ回転した位置を他方のシフトレンジにおける壁位置と設定することができ、2つのシフトレンジにおけるシフトレンジ範囲および目標回転位置を設定することができる。
【0042】
以上のことから、Pレンジおよび非Pレンジの双方の壁位置の検出は、P−ECU40が実可動回転量を記憶していない場合に行えばよい。例えば、車両の工場出荷時や、P−ECU40におけるデータが消失したような場合に、両壁位置の検出が行われる。また、実可動回転量を記憶している場合であっても、所定の切替回数やトリップ数ごとに、両壁位置の検出制御を行ってもよい。例えば、シフトレンジの切替が数万回行われた場合には、磨耗によるガタ量が増加するため、実可動回転量にも誤差が生じてくる。そのため、実可動回転量を改めて測定することにより、経時変化に対応した壁位置検出を行うことが可能となる。
【0043】
図6は、前回トリップにおいて記憶されたデータを用いて行う壁位置検出制御の例を示す。前回トリップ終了時のシフトレンジがPレンジにある場合、まずP壁位置の検出制御を行い、実可動回転量を検出済みであれば、非P壁位置の検出制御を行わない。一方で、実可動回転量が不明の場合には、非P壁位置の検出制御を行う。非P壁位置の検出制御は、ドライバ操作により非Pレンジへの切替要求があったときに行われる。このとき、P−ECU40は、シフトレンジを非Pレンジに切り替えるとともに、非P壁210とディテントスプリング110のころ112とを接触させて、非P壁位置検出制御を実行する。両壁位置の検出後、P−ECU40は、実可動回転量を測定し、記憶する。
【0044】
前回トリップ終了時のシフトレンジが非Pレンジにある場合、まず非P壁位置の検出制御を行い、実可動回転量を検出済みであれば、P壁位置の検出制御を行わない。一方で、実可動回転量が不明の場合には、P壁位置の検出制御を行う。P壁位置の検出制御は、ドライバ操作によりPレンジへの切替要求があったときに行われる。P−ECU40は、シフトレンジをPレンジに切り替えるとともに、P壁200とディテントスプリング110のころ112とを接触させて、P壁位置検出制御を実行する。両壁位置の検出後、P−ECU40は、実可動回転量を測定し、記憶する。
【0045】
前回トリップ終了時のシフトレンジが不明である場合、V−ECU30が車速に基づいて現在のシフトレンジを定め、P−ECU40に対して壁位置検出指令を送る。指令により、現在のシフトレンジをPレンジに定めたことが判明すると、P−ECU40は、まずP壁位置の検出制御を行い、その後、ユーザからのシフト切替要求を受けて、非P壁位置の検出制御を行う。一方、指令により、現在のシフトレンジを非Pレンジに定めたことが判明すると、P−ECU40は、まず非P壁位置の検出制御を行い、その後、ユーザからのシフト切替要求を受けて、P壁位置の検出制御を行う。
【0046】
図7は、アクチュエータ42の目標回転位置の算出方法の例を示す。図7では、P壁位置から非P壁位置に向かう方向にエンコーダ46による計数値がカウントアップする場合を例にとる。P壁位置、非P壁位置および実可動回転量を検出済みの場合、P目標回転位置を、(P壁位置+マージン)と設定し、非P目標回転位置を、(非P壁位置−マージン)と設定する。
【0047】
P壁位置が検出済みであって、非P壁位置が不明である場合、実可動回転量を検出済みであれば、P目標回転位置を、(P壁位置+マージン)と設定し、非P目標回転位置を、(P壁位置+実可動回転量−マージン)と設定する。また、実可動回転量が不明である場合には、P目標回転位置を、(P壁位置+マージン)と設定し、非P目標回転位置を、(P壁位置+設計可動回転量)と設定する。なお、設計可動回転量は、マージン分を考慮した値が設定される。
【0048】
P壁位置が不明であって、非P壁位置が検出済みである場合、実可動回転量を検出済みであれば、P目標回転位置を、(非P壁位置−実可動回転量+マージン)と設定し、非P目標回転位置を、(非P壁位置−マージン)と設定する。また、実可動回転量が不明である場合には、P目標回転位置を、(非P壁位置−設計可動回転量)と設定し、非P目標回転位置を、(非P壁位置−マージン)と設定する。
【0049】
なお別の例では、非P壁位置からP壁位置に向かう方向にエンコーダ46による計数値がカウントアップしてもよい。この場合、非P壁位置、P壁位置および実可動回転量を検出済みの場合、非P目標回転位置を、(非P壁位置+マージン)と設定し、P目標回転位置を、(P壁位置−マージン)と設定する。
【0050】
非P壁位置が検出済みであって、P壁位置が不明である場合、実可動回転量を検出済みであれば、非P目標回転位置を、(非P壁位置+マージン)と設定し、P目標回転位置を、(非P壁位置+実可動回転量−マージン)と設定する。また、実可動回転量が不明である場合には、非P目標回転位置を、(非P壁位置+マージン)と設定し、P目標回転位置を、(非P壁位置+設計可動回転量)と設定する。
【0051】
非P壁位置が不明であって、P壁位置が検出済みである場合、実可動回転量を検出済みであれば、非P目標回転位置を、(P壁位置−実可動回転量+マージン)と設定し、P目標回転位置を、(P壁位置−マージン)と設定する。また、実可動回転量が不明である場合には、非P目標回転位置を、(P壁位置−設計可動回転量)と設定し、P目標回転位置を、(P壁位置−マージン)と設定する。
【0052】
図8は、アクチュエータ42に印加する通電指令パルスの波形を示す。シフトレンジの通常切替制御時は、通電指令パルスとしてハイ期間の長い信号をアクチュエータ42に印加する。一方、壁位置検出制御時には、通電指令パルスとして、アクチュエータ42の単位時間あたりの出力を、シフトレンジの通常切替制御時におけるアクチュエータ42の単位時間あたりの出力よりも小さくする信号をアクチュエータ42に印加する。具体的には、アクチュエータ42に印加する通電指令パルスのオン幅を小さくする。壁位置検出制御時のアクチュエータ42の回転速度を遅くすることにより、壁ところ112との衝撃を低減できる。
【0053】
図9は、実施の形態におけるシフト制御システム10による基準位置検出方法のフローチャートを示す。このフローでは、電源オン時のシフトレンジがPレンジである場合を例にとる。まず、ドライバが車両電源スイッチ28をオンすることにより、シフト制御システム10に電源が投入される(S10)。続いて、アクチュエータ42であるモータの励磁合わせなどを行い、初期駆動制御を実行する(S12)。初期駆動制御の実行により、アクチュエータ42の回転を適切に制御できるようになる。シフトレンジがPレンジであることに基づいて、壁当てのためのアクチュエータ42の回転方向を決定する(S14)。具体的には、P壁200がディテントスプリング110のころ112に当たる方向にアクチュエータ42の回転方向を決定する。
【0054】
エンコーダ46の計数値の状態に基づいてP壁位置の検出制御を行い、暫定P壁位置を検出する(S16)。暫定P壁位置をマップにより補正し(S18)、補正した位置をP壁位置として確定する(S20)。実可動回転量を記憶している場合には(S22のY)、非P壁位置を(P壁位置+実可動回転量)の位置として算出し(S24)、非P壁位置を確定する(S26)。なお、S24では、P壁位置から非P壁位置に向かう方向にエンコーダ46による計数値がカウントアップする場合を前提として非P壁位置を算出したが、非P壁位置からP壁位置に向かう方向にエンコーダ46による計数値がカウントアップする場合には、非P壁位置を(P壁位置−実可動回転量)の位置として算出することになる。
【0055】
実可動回転量を記憶していない場合に(S22のN)、ドライバからの非Pレンジへの切替指令があるか否かを判定する(S28)。切替指令がない場合(S28のN)、切替指令を監視し続ける。切替指令があった場合(S28のY)、Pレンジから非Pレンジへの切替制御を行う(S30)。
【0056】
図10は、図9のS30における非Pレンジへの切替制御のフローチャートを示す。まず、非P壁位置が確定しているか否かを判定する(S50)。確定している場合には(S50のY)、非P目標回転位置を非P壁位置より手前に設定し(S52)、非P目標回転位置までアクチュエータ42を回転する。これにより、非P壁210とディテントスプリング110のころ112とが接触することなく、シフトレンジを非Pレンジに切り替えることが可能となる。
【0057】
一方、非P壁位置が確定していない場合には(S50のN)、非P目標回転位置をP壁位置より非P壁方向へ所定量だけ奥の位置に設定する(S54)。設計可動回転量を用いて、非P目標回転位置を設定してもよい。続いて、非P目標回転位置までアクチュエータ42を回転する(S56)。
【0058】
図9に戻って、S30の切替制御が終了後、非P壁位置が未確定か、または所定トリップ数に到達したか否かを判定する(S32)。非P壁位置が確定済みであり、且つ所定トリップ数に到達していない場合には(S32のN)、本フローを終了する。一方、非P壁位置が未確定か、または所定トリップ数に到達した場合には(S32のY)、エンコーダ46の計数値の状態に基づいて非P壁位置の検出制御を行い、暫定非P壁位置を検出する(S34)。暫定非P壁位置をマップにより補正し(S36)、補正した位置を非P壁位置として確定する(S38)。このとき、P壁位置と非P壁位置とから、実可動回転量を測定する。実可動回転量は次回以降のトリップで、壁位置の設定に利用するために、P−ECU40において記憶される。
【0059】
以上、実施の形態1を説明した。なお本実施の形態には様々な変形が可能である。例えば、ディテントプレート100が、Pレンジと非Pレンジの2つのシフトレンジをもつものとして説明したが、さらにDレンジやRレンジなどの複数のシフトレンジをもつものであってもよい。3つ以上のシフトレンジをもつ場合は、両端のシフトレンジ位置における壁位置を基準位置として設定することにより、好適なシフトレンジの切替制御を行うことが可能となる。
【0060】
[実施の形態2]
本実施の形態に係るシフト制御システムは、実施の形態1において、原理説明上、「マージン」として総括された量を「目標範囲」として詳細に設定する。本実施の形態の構成と制御は基本的に実施の形態1と同様のため、以下、実施の形態1との相違点ないし新たに生じた考察を中心に説明する。
【0061】
まず、目標範囲を決定するための規則は以下のとおりである。
【0062】
規則1.アクチュエータ42への通電がオフしていても、現在のシフトレンジが変化しないこと。すなわち、現在シフト位置がPレンジにある場合、アクチュエータ42への通電を遮断しても、ころ112に対してPレンジ位置124に吸い込む方向の力が働き、ころ112が非Pレンジ位置120へ移動しないこと。逆に、現在シフト位置が非Pレンジにある場合、アクチュエータ42への通電を遮断しても、ころ112に対して非Pレンジ位置120に吸い込む方向の力が働き、ころ112がPレンジ位置124へ移動しないこと。
【0063】
規則2.シフトレンジ切替時、ころ112がP壁、非P壁に当たらないこと。
【0064】
規則3.規則1を規則2よりも優先し、仮に規則2が満たされても、規則1が満たされなければ目標範囲の設定を変更し、規則2の条件をあきらめても、規則1を満足するよう設定すること。
【0065】
以下、Pレンジ側、非Pレンジ側とも基本的な議論は同じであるから、特に断らない限り、Pレンジ側について説明する。
【0066】
規則1が満たされるころ112の位置範囲、すなわち吸い込みがなされる範囲を「安定範囲」といい、これはディテントプレート100の形状、すなわちPレンジ位置124と122の形状、および100と110の取り付け位置関係で定まるため、設計上は既知である(以下、設計上の安定範囲を「理論安定範囲」という)。しかし、機構部材には公差やがたがあるため、本当に安全な範囲(以下「現実安定範囲」という)は、理論安定範囲から種々のばらつき要因を差し引くことによって求まる。安全を見れば、現実安定範囲は理論安定範囲の最小値として定まる。現実安定範囲が定まれば、その範囲の値、例えば中央値を実施の形態1における「マージン」としてP−ECU40のマップに記録し、実施の形態1の制御を行えばよい。すなわち、この実施の形態では、目標範囲として現実安定範囲をとる。以下、学習、すなわち壁検出動作によってP壁が存在するとされた位置を「学習P壁位置」、現実にP壁が存在する位置を「実P壁位置」、学習P壁位置から前記の中央値までの距離を以下「目標位置」と表記する。ここで注意すべきは、P−ECU40は実P壁位置を知ることはできず、あくまでも学習P壁位置をもってP壁の位置と判断する点である。
【0067】
図11は、規則1、2を満足する目標位置を定める位置関係を示す。同図は、右へいくほどプラス、左へいくほどマイナスとなるよう一次元表現をしており、上の線300は、エンコーダ46の計数値からP−ECU40が認識できる位置に対応する軸、下の線302は現実の位置に対応する軸である。同図の表記は以下のとおりである。
【0068】
Pe:学習P壁位置
Rr:実P壁位置
NPe:学習非P壁位置
NPr:実非P壁位置
ΔA:目標位置
ΔP:理論安定範囲
ΔS:ガタ
Δm:制御精度
同図において、下向きの「ちりとり」状の開口304、306によって示されるガタΔSは、アクチュエータ42の内部やアクチュエータ42と変速機(図示せず)との間などに微妙に存在するものの総和で、ここではガタΔSの振り分けをP壁側と非P壁側で均等としている。実際には、ガタΔSのどこかに模式的に示されるころ112が存在するが、ここではP壁に当てることによる片寄せ効果により、ころ112は、P壁から離れるプラス方向で止まる。同図中、目標位置ΔAの存在すべき範囲は、点P1、P2の間の太線部分310であり、この目標位置がこの範囲にあるかぎり、規則1、規則2が満足できる。なぜなら、規則1については、理論安定範囲ΔPに対して制御精度ΔmとガタΔSを悪いほうに見積もっており、規則2については、実P壁位置Prに対して制御精度ΔmとガタΔSを悪いほうに見積もっているためである。なお、点P1とP2の間の太線部分310は、P−ECU40から制御する目標位置であり、一方、現実の位置関係は下の線302上の太線部分312となり、制御の目標が正しいことがわかる。
【0069】
規則1、2を満足するための要件1、2は、したがって、それぞれ以下のとおりである。なお、ここで登場する実P壁位置Prは未知であるが、後にこの項が消えるよう計算がされる。
【0070】
[要件1]Pe+ΔA<Pr−ΔS/2+ΔP−Δm(式1)
[要件2]Pr−ΔS/2+Δm−Δu<Pe+ΔA(式2)
ΔAを最小値で見積もるべく、式1について右辺が最小値になり、式2については左辺が最大値になるよう配慮されている。ここで新たな項であるΔuはP壁の摩耗量である。要件1については、ころ112がP壁に当たることによる摩耗は意味を持たない。なぜなら、理論安定範囲ΔPはP壁の摩耗する側とは別の側の壁について決まるためである。一方、要件2は、当然摩耗によって実P壁位置Prがマイナス方向へ移動するため、項として算入する。ただし、本実施の形態の摩耗量Δuは、可動回転量を検出(学習)したときの摩耗を指すとする。そうでない過去の摩耗は、前回のP壁位置学習の際に織り込まれているためである。その意味から、図11では摩耗量Δuを図示していない。
【0071】
以上が目標位置ΔAの概要であるが、NP側については対称性と正負の方向を考慮して、要件1、2はそれぞれ以下のようになる。ただし、「’」はNP側であることを示す。要件2’では摩耗Δuの影響がでない点に留意する。
【0072】
[要件1’]NPe−ΔA’<NPr+ΔS/2−ΔNP+Δm(式3)
[要件2’]NPr+ΔS/2−Δm<NPe−ΔA’(式4)
以上がP側、NP側の目標位置の概要であるが、さらに配慮すべき点として、「補正ばらつき」がある。実施の形態1では、壁位置学習処理において、P壁の検出位置から、P−ECU40が把握できるP壁の実際の位置、すなわち学習P壁位置Peを推定する際にマップ補正をした。その際、その補正の際に発生しうるばらつきは考慮しなかったが、本実施の形態ではそれも考慮する。補正ばらつきは、いくつかの要因で発生するが、代表的ものとして、アクチュエータ42の温度特性や製造ばらつき、機構全体の組み付けに起因するばらつきなどがある。いま、新たに以下のパラメータを定義する。
【0073】
ΔHp:P壁側の補正ばらつき
ΔHnp:非P壁側の補正ばらつき
Pd:P壁検出位置
Pe0:補正ばらつきがないときの学習P壁位置
Pe1:補正ばらつきが最小のときの学習P壁位置
Pe2:補正ばらつきが最大のときの学習P壁位置
NPd:非P壁検出位置
NPe0:補正ばらつきがないときの学習非P壁位置
NPe1:補正ばらつきが最小のときの学習非P壁位置
NPe2:補正ばらつきが最大のときの学習非P壁位置
図12は、P壁検出位置Pdから補正によって実P壁位置Prを推定する際、補正ばらつきの影響がある位置関係を示す。まず、P壁を考察する。実施の形態1においてP壁位置の学習が行われると、まずP壁検出位置Pdが確定する。つぎに、同図の→に示す方向の補正により、学習P壁位置がPe1〜Pe2の範囲で確定する。Pe1、Pe2はそれぞれ補正ばらつきがないときの学習P壁位置Pe0からΔHpだけずれている。この図から、学習P壁位置の最小値であるPe1は、以下のように定まる(同図▲2▼の位置)。
【0074】
Pe1=Pr−ΔS/2−ΔHp−Δu(式5)
一方、学習P壁位置の最大値であるPe2は、以下のように定まる(同図▲1▼の位置)。
【0075】
Pe2=Pr−ΔS/2+ΔHp(式6)
ここで、摩耗量Δuがないのは、P壁学習直後であって摩耗の影響がないときに、学習P壁位置がより大きな方へ振れるためである。
【0076】
同様に、学習非P壁位置について検証するが、この際、可動回転量が記憶されていれば、壁当て学習をP壁のみで行うとする。逆に、可動回転量が記憶されていなければ、両壁当てによる学習を行うとする。そのため、学習非P壁位置については図12に示す4通り、すなわち、NPe1(P)、NPe1、NPe2、NPe2(P)の可能性がある。これらはそれぞれ、以下の意味をもつ。
【0077】
NPe1(P)(図中▲5▼):学習P壁位置の最小値Pe1を基準に、可動回転量を足して求まる推定の学習非P壁位置
NPe2(P)(図中▲6▼):学習P壁位置の最大値Pe2を基準に、可動回転量を足して求まる推定の学習非P壁位置
NPe1(図中▲3▼):非P壁自体の学習結果をもとに定まる学習非P壁位置の最小値
NPe2(図中▲4▼):非P壁自体の学習結果をもとに定まる学習非P壁位置の最大値
これら4つの数値のうち、最大になるのは、摩耗が小さいとしてNPe2(P)であり、
NPe2(P)=NPr+ΔS/2+(2ΔHp+ΔHnp)−Δu(式7)
となる。一方、最小になるのはNPe1(P)であり、
NPe1(P)=NPr+ΔS/2−(2ΔHp+ΔHnp)−Δu(式8)となる。
【0078】
最後に、これらの補正ばらつきと摩耗による学習壁位置の最大値、最小値である式5〜8を、式1〜4においてそれぞれΔAまたはΔA’が最大および最小になるように代入する。まず、要件1の式1については、左辺のPeにその最大値であるPe2(式6)を代入する。要件2の式2については、右辺のPeにその最小値であるPe1(式5)を代入する。同様に、要件1’の式3については、左辺のNPeにその最小値であるNPe1(P)(式8)を代入する。要件2’の式4については右辺のNPeにその最大値であるNPe2(P)(式7)を代入する。以上を整理すると、目標位置ΔA、ΔA’は、それぞれ、以下のように求まる。
【0079】
P側:ΔHp+Δm<ΔA<ΔP−Δm−ΔHp(式9)
NP側:(2ΔHp+ΔHnp)−Δu+Δm<ΔA’
<ΔNP−Δm−(2ΔHp+ΔHnp)−Δu(式10)
以上、式9、10に実験やシミュレーション等から得られた各パラメータを代入すれば、目標位置が範囲として、すなわち目標範囲として求められる。なお、以上の検討では、補正ばらつき以下、考え得る種々のパラメータを考慮したが、当然ながらこれらのうち任意のひとつまたは任意の複数だけを考慮してもよいし、これら以外のパラメータを考慮してもよい。
[実施の形態から把握される種々の発明]
実施の形態1からは、例えば以下のような発明も理解することができる。
【0080】
(1)アクチュエータを介してシフトレンジを切り替えるシフト制御システムであり、アクチュエータにより駆動されて、シフトレンジを切り替えるシフト手段、例えばディテントプレートと、所定のシフトレンジにおいてアクチュエータの所定方向の回転を規制する規制手段、例えばディテントプレートの壁と、アクチュエータを回転させる回転制御手段、例えばECUと、アクチュエータの回転量に応じた計数値を取得する計数手段、例えばエンコーダと、アクチュエータの回転が規制手段により規制される方向に、回転制御手段によりアクチュエータが回転されたとき、計数手段により取得された計数値の状態に基づいて、所定のシフトレンジに対応したアクチュエータの基準位置を設定する位置設定手段、例えばECUとを備える。シフト手段および規制手段は一体の構造を有してもよく、規制手段が、シフト手段の一部の構造であってもよい。
【0081】
このシフト制御システムによると、規制手段によりアクチュエータの回転を規制し、計数手段による計数値から規制状態を判定することによって、アクチュエータの基準位置を定めることが可能となる。これにより、計数手段が相対的な位置情報しか取得できないエンコーダであっても、基準位置をもとにアクチュエータを適切に回転制御することができ、アクチュエータの回転に伴う負荷を低減し、シフト手段を用いてシフトレンジを好適に切り替えることが可能となる。また、絶対位置を検出するポテンショメータなどを使用しなくてよいため、低コスト化を実現することができる。位置設定手段は、計数手段により取得された計数値の最小値または最大値が所定時間変化しない状態を検出することにより、アクチュエータの基準位置を設定してもよい。
【0082】
(2)位置設定手段は、所定のシフトレンジと、所定のシフトレンジと異なる別のシフトレンジとの間のアクチュエータの可動回転量に基づいて、別のシフトレンジに対応したアクチュエータの基準位置を設定してもよい。これにより、可動回転量を用いて別のシフトレンジにおけるアクチュエータの基準位置を簡易に設定することができる。
【0083】
(3)位置設定手段は、シフト手段により所定のシフトレンジから別のシフトレンジに切り替えられたときに、別のシフトレンジに対応したアクチュエータの基準位置を設定してもよい。別のシフトレンジにおけるアクチュエータの基準位置の設定を、シフトレンジを切り替えたタイミングで行うことにより、別のシフトレンジにおけるアクチュエータの基準位置を効率的に設定することが可能となる。
【0084】
(4)位置設定手段は、シフト手段または規制手段の経時変化を補正するために、所定のタイミングで、別のシフトレンジに対応したアクチュエータの基準位置を設定してもよい。所定のタイミングとは、例えば、シフトの切替が所定回数行われたときや、このシフト制御システムを搭載した車両のトリップが所定回数に到達したときである。これにより、経時変化を補正し、2つの基準位置を正確に設定することが可能となる。なお、1回のトリップは、車両電源スイッチがオンからオフされるまでと定義してもよく、また実際に車両の車両電源がオンしてからオフするまでと定義してもよい。
【0085】
(5)位置設定手段は、所定のシフトレンジに対応した基準位置と、別のシフトレンジに対応した基準位置とに基づいて、アクチュエータの可動回転量を検出してもよい。可動回転量を取得することで、次回のトリップにおいて、1つのシフトレンジにおけるアクチュエータの基準位置を検出することにより、他方のシフトレンジにおけるアクチュエータの基準位置を容易に検出することができる。
【0086】
(6)回転制御手段は、アクチュエータの基準位置を設定するために駆動するアクチュエータの単位時間あたりの出力を、シフトレンジを切り替えるために駆動するアクチュエータの単位時間あたりの出力よりも小さくしてもよい。これにより、基準位置を設定するときに、シフト手段や規制手段などにかかる負荷を低減することができる。
【0087】
(7)位置設定手段は、基準位置に基づいて、基準位置を設定されたシフトレンジにおけるアクチュエータのシフトレンジ切替時の目標回転位置を設定してもよい。回転制御手段は、シフトレンジ切替時に、アクチュエータを回転してシフト手段を駆動し、アクチュエータの回転量を目標回転位置にあわせてもよい。
【0088】
(8)アクチュエータを介してシフトレンジを切り替えるシフト制御方法であって、シフトレンジを切り替えるシフト手段をアクチュエータにより回転して、所定のシフトレンジにおいてアクチュエータの所定方向の回転を規制する規制手段により停止させ、停止させた位置に基づいて所定のシフトレンジにおける基準位置を検出し、基準位置に応じてアクチュエータによるシフトレンジ切替時の目標回転位置を定めることを特徴とするシフト制御方法を提供する。このシフト制御方法によると、規制手段によりアクチュエータの回転を停止し、停止位置に基づいてアクチュエータの基準位置を検出し、基準位置に応じてアクチュエータの目標回転位置を定めることが可能となる。これにより、アクチュエータを目標回転位置に適切に制御することができ、シフト手段を用いてシフトレンジを好適に切り替えることが可能となる。
【0089】
従って、これら(1)から(8)の発明と、実施の形態2から認識される発明を任意に組み合わせたものもまた、本発明として有効である。例えば(1)と実施の形態2に係る発明の組合せによる以下の発明が把握できる。
【0090】
(9)シフト位置の切替指令に応じ、アクチュエータに通電して第1シフト手段、例えばディテントプレートを所定の目標範囲に回転させ、第2シフト手段、例えばディテントスプリングに係合させることによってシフト位置を固定するシフト制御システムであり、前記の目標範囲として、第2シフト手段が係合個所において第1シフト手段に抗する反発力と、第1シフト手段のレンジ位置に形成された係合個所の形状とをもとに、第1シフト手段がアクチュエータの非通電時に異なるレンジ位置へ移動しない安定範囲を設定する手段と、かかる設定のもと、例えばECUによって、第1シフト手段が目標範囲まで回転するとアクチュエータへの通電をオフするよう通電制御する手段とを有する。「安定範囲を設定する手段」は、ECUとそれに内蔵されるマップなどが考えられる。また、「通電制御する手段」もECUが考えられる。
【0091】
このシフト制御システムはさらに、アクチュエータにより駆動されて、シフトレンジを切り替えるシフト手段、例えばディテントプレートと、所定のシフトレンジにおいてアクチュエータの所定方向の回転を規制する規制手段、例えばディテントプレートの壁と、アクチュエータを回転させる回転制御手段、例えばECUと、アクチュエータの回転量に応じた計数値を取得する計数手段、例えばエンコーダと、アクチュエータの回転が規制手段により規制される方向に、回転制御手段によりアクチュエータが回転されたとき、計数手段により取得された計数値の状態に基づいて、所定のシフトレンジに対応したアクチュエータの基準位置を設定する位置設定手段、例えばECUとを備える。
【0092】
【発明の効果】
本発明のシフト制御システムおよび方法によると、シフト位置をより安定的に確定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係るシフト制御システムの構成を示す図である。
【図2】シフト制御機構の構成を示す図である。
【図3】ディテントプレートの構成を示す図である。
【図4】アクチュエータの制御方法を説明するための図である。
【図5】(a)はP壁位置を検出する制御方法を説明するための図であり、(b)は非P壁位置を検出する制御方法を説明するための図である。
【図6】壁位置検出制御の例を示す図である。
【図7】アクチュエータの目標回転位置の算出方法の例を示す図である。
【図8】アクチュエータに印加する通電指令パルスの波形を示す図である。
【図9】実施の形態1におけるシフト制御システムによる基準位置検出方法のフローチャートである。
【図10】図9のS30における非Pレンジへの切替制御のフローチャートである。
【図11】実施の形態2に係るシフト制御システムにおいて、マージンの目標範囲を定める方法を示す図である。
【図12】実施の形態2に係るシフト制御システムにおいて、マージンの目標範囲を補正ばらつきと摩耗も考慮して定める方法を示す図である。
【符号の説明】
10・・・シフト制御システム、
24・・・入力部、
26・・・シフトスイッチ、
28・・・車両電源スイッチ、
30・・・V−ECU、
40・・・P−ECU、
42・・・アクチュエータ、
46・・・エンコーダ、
48・・・シフト制御機構、
60・・・駆動機構、
100・・・ディテントプレート、
102・・・シャフト、
104・・・ロッド、
106・・・パーキングロックポール、
108・・・パーキングギヤ、
110・・・ディテントスプリング、
112・・・ころ、
120・・・非Pレンジ位置、
122・・・山、
124・・・Pレンジ位置、
200・・・P壁、
210・・・非P壁。

Claims (11)

  1. シフト位置の切替指令に応じ、アクチュエータに通電して第1シフト手段を所定の目標範囲に回転させ、第2シフト手段に係合させることによってシフト位置を固定するシフト制御システムにおいて、
    前記目標範囲として、
    前記第2シフト手段が係合個所において前記第1シフト手段に抗する反発力と、前記第1シフト手段のレンジ位置に形成された前記係合個所の形状とをもとに、前記第1シフト手段が前記アクチュエータの非通電時に異なるレンジ位置へ移動しない安定範囲を設定する手段と、
    前記第2シフト手段が、前記係合個所において前記第1シフト手段の壁に当たらない非接触範囲を設定する手段と、
    当該設定した安定範囲および非接触範囲のもと、前記第1シフト手段が前記目標範囲まで回転すると前記アクチュエータへの通電をオフするよう通電制御する手段と、を有することを特徴とするシフト制御システム。
  2. シフト位置の切替指令に応じ、アクチュエータに通電してディテントプレートを所定の目標範囲に回転させ、ディテントスプリングに係合させることによってシフト位置を固定するシフト制御システムにおいて、
    前記目標範囲として、前記ディテントスプリングの弾性力と前記ディテントプレートのレンジ位置に形成された凹部形状をもとに、前記ディテントプレートが前記アクチュエータの非通電時に異なるレンジ位置へ移動しない安定範囲を設定する手段と、
    前記ディテントスプリングが、前記レンジ位置において前記ディテントプレートの壁に当たらない非接触範囲を設定する手段と、
    当該設定した安定範囲および非接触範囲のもと、前記ディテントプレートが前記目標範囲まで回転すると前記アクチュエータへの通電をオフするよう通電制御する手段と、を有することを特徴とするシフト制御システム。
  3. 請求項2に記載のシフト制御システムにおいて、前記目標範囲がさらに、前記ディテントプレートと前記ディテントスプリングとの係合によって前記ディテントプレートの回転が規制される位置に基づいて設定されることを特徴とするシフト制御システム。
  4. 請求項2または3に記載のシフト制御システムにおいて、前記目標範囲が、当該シフト制御システムの構成要素のばらつきをもとに定まる最小値として設定されることを特徴とするシフト制御システム。
  5. シフト位置の切替指令に応じ、アクチュエータに通電してディテントプレートを回転させ、ディテントスプリングに係合させることによってシフト位置を固定するシフト制御方法において、
    前記ディテントプレートを前記アクチュエータの非通電時に異なるレンジ位置へ移動しない目標範囲に回転駆動するステップと、
    前記ディテントプレートが前記目標範囲まで回転すると前記アクチュエータへの通電をオフするステップと、を含
    かつ前記目標範囲は、前記ディテントスプリングが、前記シフト位置において前記ディテントプレートの壁に当たらない範囲である
    ことを特徴とするシフト制御方法。
  6. 請求項5に記載のシフト制御方法において、前記回転駆動するステップは、前記ディテントプレートが前記ディテントスプリングとの係合によって所定の規制力が生じる位置より前で前記ディテントプレートの回転を停止することを特徴とするシフト制御方法。
  7. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のシフト制御システムにおいて、
    前記安定範囲は、理論安定範囲に対して制御精度とガタとを悪い方に見積もりした範囲であり、前記非接触範囲は、前記壁位置に対して制御精度とガタとを悪い方に見積もりした範囲である
    ことを特徴とするシフト制御システム。
  8. 請求項7に記載のシフト制御システムにおいて、
    前記非接触範囲は、前記壁位置に対して摩耗量を考慮した範囲である
    ことを特徴とするシフト制御システム。
  9. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のシフト制御システムにおいて、
    前記非接触範囲は、前記壁の位置を学習する場合のばらつきを考慮した範囲である
    ことを特徴とするシフト制御システム。
  10. シフト位置の切替指令に応じ、アクチュエータに通電して第一シフト手段を所定の目標回転位置に回転させるパーキング制御部と、前記第一シフト手段と係合してシフト位置を固定する第二シフト手段と、を備えるシフト制御装置において、
    前記パーキング制御部は、
    切替え前後での各シフト位置における前記第一シフト手段の壁位置間に対応する可動回転量を記憶する記憶部と、
    シフト位置の切替えに際し、切替え後の前記第一シフト手段の前記壁に、前記第二シフト手段が衝突しないように、前記可動回転量を補正する補正値を演算する補正量演算部と、
    前記記憶部が記憶する可動回転量を、前記補正量演算部が演算した前記補正値で補正して、前記目標回転位置とする目標回転位置設定部と、を備える
    ことを特徴とするシフト制御装置。
  11. シフト位置の切替指令に応じ、アクチュエータに通電して第一シフト手段を所定の目標回転位置に回転させて、第二シフト手段に係合させてシフト位置を固定するシフト制御方法において、
    切替え前後での各シフト位置における前記第一シフト手段の壁位置間に対応する可動回転量を検出する工程と、
    シフト位置の切替えに際し、切替え後の前記第一シフト手段の前記壁に、前記第二シフト手段が衝突しないように、前記可動回転量を補正する補正値を演算する工程と、
    検出した前記可動回転量を、演算した前記補正値で補正して、前記目標回転位置とする工程と、を有する
    ことを特徴とするシフト制御方法。
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