JP4592482B2 - 車両搭載装置 - Google Patents
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Description
しかし、自動変速機が搭載された車両で、且つ電動アクチュエータによって自動変速機の実シフトレンジの切り替えを行う車両において、実シフトレンジがパーキングレンジ(自動変速機の入力側と出力側の伝達が無く、且つ自動変速機の出力軸が機械的にロックされるシフトレンジ)に設定されている時のみにボディ系デバイスの開動作を許可するように設けるためには、エンジンが停止した駐車中においても実シフトレンジを常に判別する目的で、電動アクチュエータを制御する電動機制御装置に電力の供給を続けなければならなくなる(特許文献なし)。
ここで、車両に搭載されるバッテリの充電容量は有限量のものである。
このため、バッテリ上がりを防止する目的で、車両の駐車中に電力を消費しない状態(あるいは電力消費を極めて低く抑えた状態)で、実シフトレンジを判断できるようにしたいという要求が発生している。
請求項1の手段を採用する車両搭載装置は、電動機制御装置の通電停止時の実シフトレンジを記憶手段に記憶する。そして、電動機制御装置の通電停止中、即ちエンジンが停止した駐車中、記憶手段に記憶された実シフトレンジがパーキングレンジとは異なる場合は、ボディ系デバイス制御装置がボディ系デバイスの開動作を禁止する。
一方、電動機制御装置の通電停止中、電動アクチュエータは作動しないため、駐車中に記憶手段に記憶されている実シフトレンジは、駐車中の実シフトレンジと一致する。そして、駐車中に記憶手段に記憶されている実シフトレンジがパーキングレンジとは異なる場合は、ボディ系デバイス制御装置がボディ系デバイスの開動作を禁止するため、高い安全性を得ることができる。
即ち、請求項1の手段を採用する車両搭載装置は、車両の駐車中の電力消費を抑え、且つ高い安全性を得ることができる。
これによって、車両の駐車中に、電動機制御装置のマイコン等の電力消費が比較的大きいデバイスへの通電を停止することができ、駐車中における電力消費を抑えることができる。
請求項2の手段を採用する車両搭載装置の電動アクチュエータは、電動モータのみによって構成される、あるいは電動モータと減速機を組み合わせて構成されるものである。
そして、シフトレンジ検出手段は、電動モータのロータの回転角度、あるいは電動アクチュエータの出力軸の回転角度を検出する角度検出手段である。
また、電動機制御装置は、角度検出手段によって検出される回転角度に基づいて電動モータの作動を制御することで、自動変速機の実シフトレンジの切り替えを行うものである。
車両走行用のエンジンの回転を変速して車輪側へ出力する自動変速機、この自動変速機の実シフトレンジを切り替えるシフトレンジ切替機構、このシフトレンジ切替機構に連動して実シフトレンジがパーキングレンジに設定されることで自動変速機の出力軸を機械的にロックするパーキング切替機構、および車両ボディの一部を開閉するボディ系デバイスを備えた車両に搭載され、
(a)シフトレンジ切替機構を駆動して実シフトレンジの切り替えを行う電動アクチュエータと、
(b)自動変速機の実シフトレンジを目標シフトレンジに切り替えるために電動アクチュエータを制御するとともに、エンジンの運転が停止された車両駐車時に通電が停止される電動機制御装置と、
(c)実シフトレンジを検出するシフトレンジ検出手段と、
(d)電動機制御装置の通電停止時に、その停止時における実シフトレンジを記憶する記憶手段と、
(e)電動機制御装置の通電停止中であっても、記憶手段に記憶された実シフトレンジがパーキングレンジとは異なる場合に、ボディ系デバイスの開動作を禁止するボディ系デバイス制御装置とを備える。
また、記憶手段は、電動機制御装置の内部に設けられ、電動機制御装置の通電が停止されても実シフトレンジを記憶可能なEEPROM、あるいは電動機制御装置の通電の停止後、微少な電流を供給することで実シフトレンジの記憶を保持できるSRAMである。
参考例の車両搭載装置を、図1〜図19を参照して説明する。
(シフトレンジ切替装置の説明)
まず、車両に搭載されたシフトレンジ切替装置について説明する。
シフトレンジ切替装置は、電動アクチュエータ1(図3参照)によって、車両用自動変速機2(図1参照)に搭載されたシフトレンジ切替機構3(図4参照)およびパーキング切替機構4(図4参照)を切り替えるものである。
即ち、シフトレンジ切替装置は、電動機制御装置9によって電動モータ5の回転方向、回転速度、回転量、回転角度を制御することで、減速機6を介して駆動されるシフトレンジ切替機構3およびパーキング機構4を切替制御して、自動変速機2における実シフトレンジの切り替えおよびパーキング(自動変速機2の出力軸のロック)の切り替えを行うものである。
(電動モータ5の説明)
電動モータ5を図3、図5を参照して説明する。
この参考例の電動モータ5は、永久磁石を用いないブラシレスのSRモータ(スイッチド・リラクタンス・モータ)であり、回転自在に支持されるロータ11と、このロータ11の回転中心と同軸上に配置されたステータ12とで構成される。
なお、フロント転がり軸受15は、減速機6の出力軸17の内周に嵌合固定されたものであり、減速機6の出力軸17はフロントハウジング18の内周に配置されたメタルベアリング19によって回転自在に支持されている。つまり、ロータ軸13の前端は、フロントハウジング18に設けられたメタルベアリング19→出力軸17→フロント転がり軸受15を介して回転自在に支持される。
一方、リヤ転がり軸受16は、ロータ軸13の後端外周に圧入固定され、リヤハウジング20によって支持されるものである。
ステータコア21は、薄板を多数積層して形成されたものであり、リヤハウジング20に固定されている。このステータコア21には、内側のロータコア14に向けて30度毎に突設されたステータティース23(内向突極)が設けられており、各ステータティース23のそれぞれには各ステータティース23毎に磁力を発生させるコイルU、V、Wが巻回されている。
励磁コイル22は、図6に示されるように、コイルU、V、Wが電気的に独立して巻回されて、スター結線されたものである。
具体的に、コイルU、V、Wは、回転方向に順次連続するステータティース23にそれぞれ装着され、各励磁コイル22は通電されると、回転方向に各ステータティース23毎に逆磁極を生じる。即ち、例えば「コイルU−1、W−1、V−2、U−3、W−3、V−4」の内端がN極を生じる場合は、それに隣接する「V−1、U−2、W−2、V−3、U−4、W−4」の内端がS極を生じるものである。
これによって、例えば、コイルU−1、U−2、U−3、U−4に通電すると、コイルU−1、U−3が装着された一方のステータティース23(回転方向に90°ずれた位置にある2つのステータティース23の一方)の内径部がN極となり、コイルU−2、U−4が装着された他方のステータティース23の内径部がS極となるものである。
そして、U相、V相、W相の各励磁コイル22の通電位置および通電方向を順次切り替えることで、ロータティース24を磁気吸引するステータティース23を順次切り替えて、ロータ11を一方または他方へ回転する構成になっている。
減速機6を図3、図7〜図9を参照して説明する。
この参考例の減速機6は、遊星歯車減速機の1種である内接噛合遊星歯車減速機(サイクロイド減速機)であり、ロータ軸13に設けられた偏心部25を介してロータ軸13に対して偏心回転可能な状態で取り付けられたサンギヤ26(インナーギヤ:外歯歯車)と、このサンギヤ26が内接噛合するリングギヤ27(アウターギヤ:内歯歯車)と、サンギヤ26の自転成分のみを出力軸17に伝達する伝達手段28とを備える。
サンギヤ26は、上述したように、サンギヤ軸受31を介してロータ軸13の偏心部25に対して回転自在に支持されるものであり、偏心部25の回転によってリングギヤ27に押しつけられた状態で回転するように構成されている。
リングギヤ27は、フロントハウジング18に固定されるものである。
複数の内ピン35は、サンギヤ26のフロント面に突出する形で設けられている。
複数の内ピン穴34は、出力軸17の後端に設けられたフランジ33に設けられており、内ピン35と内ピン穴34の嵌まり合いによって、サンギヤ26の自転運動が出力軸17に伝えられるように構成されている。
このように設けられることにより、ロータ軸13が回転してサンギヤ26が偏心回転することによって、サンギヤ26がロータ軸13に対して減速回転し、その減速回転が出力軸17に伝えられる。なお、出力軸17は、シフトレンジ切替機構3のコントロールロッド45(後述する)に連結される。
なお、この参考例とは異なり、複数の内ピン穴34をサンギヤ26に形成し、複数の内ピン35をフランジ33に設けて構成しても良い。
シフトレンジ切替機構3およびパーキング切替機構4を図4を参照して説明する。
シフトレンジ切替機構3は、上述した減速機6の出力軸17によって駆動されて、自動変速機2の実シフトレンジの切り替えを行うものである。
自動変速機2における各シフトレンジ(例えば、P、R、N、D)の切り替えは、油圧バルブボディ41に設けられたマニュアルスプール弁42を適切な位置にスライド変位させ、自動変速機2の図示しない油圧クラッチへの油圧供給路を切り替え、油圧クラッチの係合状態をコントロールすることによって行われる。
ディテントプレート46は、半径方向の先端(略扇形状の円弧部)に複数の凹部46aが設けられており、油圧バルブボディ41に固定されたディテントバネ47の先端の係合部47aが凹部46aに嵌まり合うことで、切り替えられたシフトレンジが保持されるようになっている。
ピン48は、マニュアルスプール弁42の端部に設けられた溝49に係合しており、ディテントプレート46がコントロールロッド45によって回動操作されると、ピン48が円弧駆動されて、ピン48に係合するマニュアルスプール弁42が油圧バルブボディ41の内部で直線運動を行う。
逆方向にコントロールロッド45を回転させると、ピン48がマニュアルスプール弁42を油圧バルブボディ41から引き出し、油圧バルブボディ41内の油路がP→R→N→Dの順に切り替えられる。つまり、自動変速機2のシフトレンジがP→R→N→Dの順に切り替えられる。
この円錐部52は、自動変速機2のハウジングの突出部53とパークポール44の間に介在されるものであり、コントロールロッド45を図4中矢印A方向から見て時計回り方向に回転させると(具体的には、R→Pレンジ)、ディテントプレート46を介してパークロッド51が図4中矢印B方向へ変位して円錐部52がパークポール44を押し上げる。すると、パークポール44が軸44bを中心に図4中矢印C方向に回転し、パークポール44の凸部44aがパークギヤ43の凹部43aに係合し、パーキング切替機構4のロック状態が達成される。
エンコーダ7を図3、図10〜図14を参照して説明する。
上述した電動アクチュエータ1には、そのハウジング(フロントハウジング18+リヤハウジング20)内に、ロータ11の回転角度を検出するエンコーダ7(ロータ角検出手段)が搭載されている。このエンコーダ7によってロータ11の回転角度を検出して励磁コイル22への通電を切替制御することにより、電動モータ5を脱調させることなく高速運転することができる。
ロータコア14の後面には、図12に示されるように、磁石位置決め用の穴14aが複数設けられている。一方、磁石61の接合面にも、複数の突起61aが設けられている。そして、磁石61の突起61aをロータコア14の穴14aに挿入して組付けを行うことにより、ロータコア14の回転中心と同芯上に磁石61が組付けられる。
磁石61は、図11に示されるように、ホールIC62と対向する面(後面)に、回転角度やインデックス検出用の着磁が施され、磁石61の軸方向に磁力を発生する。
図10を参照して、ホールIC62と対向する面(後面)における着磁について説明する。磁石61の後面外周側には、回転方向に回転角度信号発生/停止用の多極着磁が施された回転角度着磁部αが設けられており、その内周に隣接して、回転方向にインデックス信号発生/停止用のインデックス着磁部βと信号発生に関与しないインデックス非着磁部β’が設けられている。
インデックス着磁部βは、各相(U相、V相、W相)の励磁コイル22の通電が一巡する周期(45度間隔)でインデックス信号(以下、Z相信号)を発生させるためのものであり、45度間隔でZ相信号発生用のN極が7.5度ピッチで着磁され、その回転方向の両脇にS極が着磁されたものである。
インデックス非着磁部β’は、インデックス着磁部βとインデックス着磁部βの間(回転方向の間)にあって、Z相信号を発生させない部分であり、着磁されていない部分である。
なお、第1、第2回転角度用ホールIC62A、62Bは、基板63に支持されている位置が相対角度で3.75度(電気角で90度)となるように設けられており、結果的にA相信号とB相信号が相対角度で3.75度(電気角で90度)となるように構成されている(図14参照)。
なお、この参考例ではホール素子とON−OFF信号発生ICを一体化したホールIC(第1、第2回転角度用ホールIC62A、62Bおよびインデックス用ホールIC62Z)を例に示すが、ホール素子とON−OFF信号発生ICを別に配置しても良い。具体的には、ON−OFF信号発生ICをホール素子とは別に基板63の上に組み込んでも良いし、電動機制御装置9の内部に組み込んでも良い。
A相信号およびB相信号は、相対角度3.75度(電気角で90度)の位相差を持った出力信号であり、参考例ではロータ11が15度回転する毎にA相信号とB相信号がそれぞれ1周期出力されるように構成されている。
Z相信号は、ロータ11が45度回転する毎に1回ずつ出力されるモータ通電切替用のインデックス信号(この参考例ではON信号)であり、このZ相信号によって電動モータ5の通電相と、A相、B相の相対位置関係を定義できる。
出力角検出手段8を図3、図15〜図18を参照して説明する。
電動アクチュエータ1は、出力軸17の回転角度を検出する出力角検出手段8を備え、電動機制御装置9は出力角検出手段8の検出する出力軸17の回転角度からシフトレンジ切替機構3が現実に設定している実シフトレンジ(P、R、N、D等)を検出する。
磁石71は、図17に示されるように、軸方向から見て略三日月形状を呈するものであり、樹脂73によってモールドされ、リニア出力ホールIC72に対し、図17中矢印B方向に磁束が交差するように着磁され、出力軸17の回転範囲内(実シフトレンジの設定レンジの移動範囲内)において、磁石71とリニア出力ホールIC72との距離が変化することで、リニア出力ホールIC72を通過する磁束密度が変化するように設けられている。
具体的にこの参考例では、実シフトレンジがD側になるように出力軸17が回転した位置でリニア出力ホールIC72と磁石71の距離が最大(リニア出力ホールIC72を通過する磁束密度が最小)になり、実シフトレンジがP側になるように出力軸17が回転した位置でリニア出力ホールIC72と磁石71の距離が最小(リニア出力ホールIC72を通過する磁束密度が最大)になる。
即ち、リニア出力ホールIC72の出力電圧を読み取ることで、その出力電圧から出力軸17の回転角度、および実シフトレンジを検出することができるものである。
電動機制御装置9を図1を参照して説明する。
電動モータ5の通電制御を行う電動機制御装置9は、制御処理、演算処理を行うCPU、各種プログラムおよびデータを保存する第1記憶手段81、入力回路、出力回路、電源回路等で構成された周知構造のマイクロコンピュータである。
そして、電動機制御装置9は起動スイッチ82がONされるとバッテリ83による通電が開始され、各種の演算制御を実施し、起動スイッチ82がOFFされると電源OFF処理を行った後にバッテリ83による通電が停止されるものである。即ち、起動スイッチ82のONで通電が開始され、起動スイッチ82のOFFで通電が停止されるものである。
電動モータ5は、上述したように、コイルU、V、Wをそれぞれがスター結線したものである。
そして、コイル駆動回路86は、各相毎(コイルU、V、W毎)に給電を行うスイッチング素子89が内蔵され、電動機制御装置9がスイッチング素子89をON−OFF切替することで、各コイルU、V、Wの通電状態が切り替えられる。
ロータ11を回転させる際は、電動機制御装置9が、図19に示すように、エンコーダ7によって検出されるロータ11の回転角度および励磁遅れの補正項等に基づいて(場合によってはオープン制御により)、スイッチング素子89をON−OFFすることで、各励磁コイル22の通電状態を順次切り替えてロータ11を回転させている。
参考例の車両には、車両ボディの一部を開閉するボディ系デバイス(電動スライドドア、トランクオープナー、パワーテールゲート、燃料給油ドア等の開閉ドア)が搭載されている。そして、このボディ系デバイスは、図1に示すボディ系デバイス制御装置91によって開閉が制御される。
このボディ系デバイス制御装置91は、エンジンが停止している状態であっても、バッテリ83の給電を受けて作動するものであり、少なくともボディ系デバイスの開動作を禁止することができるものである。
上述したように、自動変速機2の実シフトレンジを電動アクチュエータ1によって切り替える車両において、実シフトレンジがパーキングレンジに設定されている時のみに、ボディ系デバイス装置91がボディ系デバイスの開動作を許可するように設けるには、エンジンが停止した駐車中においても実シフトレンジを常に判別する目的で、電動機制御装置9に電力の供給を続けなければならなくなる。
しかし、車両に搭載されるバッテリ83の充電容量は有限量のものである。
このため、エンジンが停止した駐車中においても実シフトレンジを常に判別する目的で、電動機制御装置9に電力の供給を続けると、バッテリ83の上がりを招く不具合がある。
参考例では、上記の不具合を解決するために、次の手段を採用している。
(1)電動機制御装置9は、エンジンの運転が停止された車両駐車時に自動的に自己通電停止処理を行って通電が停止するように設けられている。
(2)ボディ系デバイス制御装置91には、データを記憶する第2記憶手段92が設けられている。
(3)電動機制御装置9の通電停止時に、その時の実シフトレンジを第2記憶手段92(RAM、EEPROM、SRAM等のメモリ)に記憶させるように設けられている。
(4)ボディ系デバイス制御装置91は、電動機制御装置9の通電停止中であっても、第2記憶手段92に記憶された実シフトレンジがパーキングレンジとは異なる場合に、ボディ系デバイス制御装置91がボディ系デバイスの開動作を禁止するように設けられている。
この制御ルーチンでは、先ず、起動スイッチ82がOFFされたか否かの判断を行う(ステップS1)。このステップS1の判断結果がNOの場合(起動スイッチ82がON)は、ステップS1へ戻る。
ステップS1の判断結果がYESの場合(起動スイッチ82のOFF)は、(i)出力角検出手段8が故障しているか否かを電動機制御装置9内の第1記憶手段81に記憶させるとともに、(ii)出力角検出手段8によって検出される実シフトレンジ(具体的には、出力角検出手段8の検出する回転角度:この回転角度は実シフトレンジに対応している)を電動機制御装置9内の第1記憶手段81に記憶させる(ステップS2)。
次に、出力角検出手段8によって検出される実シフトレンジをボディ系デバイス制御装置91に通知し、起動スイッチ82がOFFされた時の実シフトレンジをボディ系デバイス制御装置91内の第2記憶手段92に記憶させる(ステップS3)。
その後、電動機制御装置9の通電を停止し(ステップS4)、この実シフトレンジ記憶制御を終了する(エンド)。
電動機制御装置9には、出力角検出手段8が故障しているか否かを検出する「故障検出手段」の機能が設けられている。
この故障検出手段は、例えば、出力角検出手段8のリニア出力ホールIC72の出力電圧が所定範囲内でない場合、あるいは電動モータ5を作動させた際に電動モータ5の通電制御に伴ってリニア出力ホールIC72の出力が変化しない場合、あるいは電動モータ5を作動させていないにも関わらず、リニア出力ホールIC72の出力が所定の範囲を超えて変化した場合などに、出力角検出手段8が故障していると判断する。そして故障を判断すると、出力角検出手段8の故障を示す故障フラグを立てて、出力角検出手段8の故障を電動機制御装置9内の第1記憶手段81に記憶させるものである。
この制御ルーチンでは、先ず、(i)電動機制御装置9の通電が停止状態であり、且つ(ii)ボディ系デバイス制御装置91内に記憶された実シフトレンジがパーキングレンジであるか否かの判断を行う(ステップS11)。
このステップS11の判断結果がYESの場合は、車両走行用のエンジンの停止中で、しかも確実に駐車されていると判断して、ボディ系デバイスの動作を許可(ボディ系デバイスの開動作の許可を含む)し(ステップS12)、この許可/禁止制御を終了する(エンド)。
一方、ステップS11の判断結果がNOの場合は、確実に駐車されていないと判断して、ボディ系デバイスの動作を禁止(ボディ系デバイスの開動作の禁止を含む)し(ステップS13)、この許可/禁止制御を終了する(エンド)。
参考例では、上記の構成を採用することにより、次の効果が得られる。
○エンジンが停止した駐車中に実シフトレンジを常に判別することができるが、エンジンが停止した駐車中は、電動機制御装置9の通電を停止しているため、車両の駐車中におけるバッテリ83の電力消費を抑えることができる。
○エンジンが停止した駐車中は、電動機制御装置9の通電が停止されて、実シフトレンジの切り替えを行う電動アクチュエータ1は作動しない。このため、駐車中に第2記憶手段92に記憶されている実シフトレンジは、駐車中の実シフトレンジと一致する。
そして、エンジンが停止した駐車中に第2記憶手段92に記憶されている実シフトレンジがパーキングレンジとは異なる場合は、ボディ系デバイス制御装置91がボディ系デバイスの開動作を禁止するため、高い安全性を確保することができる。
○即ち、参考例の車両は、駐車中の電力消費を抑え、且つ高い安全性を得ることができる。
実施例を図20を参照して説明する。なお、以下において、参考例と同一符号は、同一機能物を示すものである。
上記の参考例では、電動機制御装置9の通電停止時に、その通電停止時の実シフトレンジをボディ系デバイス制御装置91内の第2記憶手段92に記憶させる例を示した。
これに対し、実施例では、電動機制御装置9の通電停止時に、その通電停止時の実シフトレンジを電動機制御装置9内の第1記憶手段81に記憶させるものである。
電動機制御装置9は、上述したように、駐車中は電力消費を抑えるために、通電が停止されている。そこで、駐車中の実シフトレンジを記憶する手段として、EEPROMまたはSRAMを用いる。
また、ボディ系デバイス制御装置91の第2記憶手段92を廃止することが可能になり、製造コストを低減することが可能になる。
上記の実施例では、エンジンが停止した駐車中に、実シフトレンジがパーキングレンジとは異なる場合に、ボディ系デバイスの開動作を禁止するだけの例を示した。これに対し、乗員がボディ系デバイスの開動作を指令してもボディ系デバイス制御装置91がボディ系デバイスの開動作を禁止する時に「ボディ系デバイスの開動作が禁止されている理由」を表示・警告手段85で使用者に表示するように設けても良い。
上記の実施例では、電動モータ5の一例としてSRモータを用いる例を示したが、シンクロナス・リラクタンス・モータなど他のリラクタンスモータや、表面磁石構造型シンクロナスモータ(SPM)、埋込磁石構造型シンクロナスモータ(IPM)などの永久磁石型同期モータなど、他のモータを用いても良い。
上記の実施例では、減速機6の一例として内接噛合遊星歯車減速機(サイクロイド減速機)を用いる例を示したが、ロータ軸13によって駆動されるサンギヤ26、このサンギヤ26に噛合する複数のギヤ列等により構成された歯車列の組み合わせよりなる減速装置を用いても良い。
上記の実施例では、電動モータ5と減速機6を組み合わせた例を示したが、電動モータ5の出力で直接的に駆動対象を駆動するようにしても良い。
2 車両用自動変速機
3 シフトレンジ切替機構
4 パーキング切替機構
5 電動モータ
6 減速機
8 出力角検出手段(角度検出手段、シフトレンジ検出手段)
9 電動機制御装置
11 ロータ
17 出力軸
81 第1記憶手段(電動機制御装置内に設けられた記憶手段)
82 起動スイッチ
91 ボディ系デバイス制御装置
92 第2記憶手段(ボディ系デバイス制御装置内に設けられた記憶手段)
Claims (2)
- 車両走行用のエンジンの回転を変速して車輪側へ出力する自動変速機、この自動変速機の実シフトレンジを切り替えるシフトレンジ切替機構、このシフトレンジ切替機構に連動して実シフトレンジがパーキングレンジに設定されることで前記自動変速機の出力軸を機械的にロックするパーキング切替機構、および車両ボディの一部を開閉するボディ系デバイスを備えた車両に搭載され、
(a)前記シフトレンジ切替機構を駆動して実シフトレンジの切り替えを行う電動アクチュエータと、
(b)前記自動変速機の実シフトレンジを目標シフトレンジに切り替えるために前記電動アクチュエータを制御するとともに、前記エンジンの運転が停止された車両駐車時に通電が停止される電動機制御装置と、
(c)実シフトレンジを検出するシフトレンジ検出手段と、
(d)前記電動機制御装置の通電停止時に、その停止時における実シフトレンジを記憶する記憶手段と、
(e)前記電動機制御装置の通電停止中であっても、前記記憶手段に記憶された実シフトレンジがパーキングレンジとは異なる場合に、前記ボディ系デバイスの開動作を禁止するボディ系デバイス制御装置と、
を備え、
前記記憶手段は、前記電動機制御装置の内部に設けられ、当該電動機制御装置の通電が停止されても実シフトレンジを記憶可能なEEPROM、あるいは前記電動機制御装置の通電の停止後、微少な電流を供給することで実シフトレンジの記憶を保持できるSRAMであることを特徴とする車両搭載装置。 - 請求項1に記載の車両搭載装置において、
前記電動アクチュエータは、電動モータのみによって構成される、あるいは電動モータと減速機を組み合わせて構成されるものであり、
前記シフトレンジ検出手段は、前記電動モータのロータの回転角度、あるいは前記電動アクチュエータの出力軸の回転角度を検出する角度検出手段であり、
前記電動機制御装置は、前記角度検出手段によって検出される回転角度に基づいて前記電動モータの作動を制御することで、前記自動変速機の実シフトレンジの切り替えを行うものであることを特徴とする車両搭載装置。
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