JP2013194750A - シフトレンジ切替装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】アクチュエータで発生する回転動力をディテント機構を介してシフトレンジの切り替え動作部に伝達することにより要求シフトレンジに切り替えるシフトレンジ切替装置において、シフトレンジの切り替え時に異常発生の有無を検出可能とする。
【解決手段】制御部は、要求シフトレンジに切り替える際に、アクチュエータの目標回転量を、係合部が現在係合している谷の底位置から移動対象となる谷(の手前の山を越える自走開始位置まで移動するのに必要な所定値に設定する。要求シフトレンジに切り替える過程においてアクチュエータを駆動停止したときに、ディテントスプリングのばね力でアクチュエータの出力回転軸を回転させる方向に基づいて前記切り替え過程で異常が発生したか否かを判定する。
【選択図】図12

Description

本発明は、アクチュエータで発生する回転動力をディテント機構を介してシフトレンジの切り替え動作部に伝達することにより要求シフトレンジに切り替えるシフトレンジ切替装置に関する。
従来のシフトレンジ切替装置は、例えば特許文献1に示されているように、運転者がシフトレバーを操作することによりシフトレンジが指示されたときに、制御装置がアクチュエータ(例えば直流モータなどの電動機を含む)を駆動させることにより、ディテント機構を介してシフトレンジの切り替え動作部(パーキング機構または自動変速機の油圧制御回路のマニュアルバルブ)を動作させるようになっている。
前記特許文献1では、例えばパーキングレンジ(Pレンジ)と、非パーキングレンジ(NPレンジ)との2つのうちのいずれか一方に切り替え可能とする構成になっている。なお、非パーキングレンジとしては、前進走行レンジ(Dレンジ)、ニュートラルレンジ(Nレンジ)、後進走行レンジ(Rレンジ)を含む場合もある。
前記ディテント機構は、ディテントプレート、ディテントスプリングなどを備えている。ディテントプレートには、Pレンジ用の谷(P谷)と、NPレンジ用の谷(NP谷)と、前記両谷の間の山とを含む波形部が設けられている。ディテントスプリングは、長手方向に弾性変形可能な帯板状の部材とされ、その長手方向一端側が適宜の場所に固定されて、他端側(自由端側)に前記ディテントプレートの各谷に係合可能となるころ(係合部)が取り付けられる。
ディテントプレートはアクチュエータの回転と一体に回転してパーキング機構のパーキングロッドを直線的に押し引きする。このパーキングロッドが直線的に押し引きされると、パーキング機構のパーキングロックポールでパーキングギヤを回転不可能にロックする状態(Pレンジの状態)、またはパーキングロックポールでパーキングギヤを回転可能にアンロックする状態(NPレンジの状態)にする。この状態でディテントスプリングがディテントプレートを位置決め保持する。
なお、シフトレンジの切り替えは、要求シフトレンジに応答してアクチュエータを駆動し、このアクチュエータの実回転量が目標回転量に到達するとアクチュエータの駆動を停止させるように制御する。
このシフトレンジの切り替えでは、前記ディテント機構にかかる負荷を軽減することを目的として、P壁またはNP壁をディテントスプリングのころに強く押し当てないように、アクチュエータの回転量を制御している。
そのため、アクチュエータの目標回転量は、P谷の底からNP谷の底までの回転角とせずに、例えばP谷の底からP側の山側傾斜部(自走開始位置)に到達するまでの回転角に設定する。
前記自走開始位置とは、当該自走開始位置にディテントスプリングのころが位置したときに、アクチュエータを駆動停止させると、ディテントスプリングのディテントトルクによりころがP谷の底またはNP谷の底へ向けて滑り落ちて係合することが可能になる位置のことを言う。この自走開始位置はP谷の底あるいはNP谷の底からの回転角で設定される。
ところで、前記アクチュエータの実回転量を検出するセンサとして、高価な絶対位置センサ(アクチュエータの出力回転軸の回転の絶対位置を検出するためのセンサ)を用いずに、比較的安価な相対位置センサ(アクチュエータの出力回転軸の回転基準位置からの相対変化量を検出するセンサ、例えばエンコーダ)を用いる場合には、アクチュエータの出力回転軸の回転基準位置を規定する必要がある。このアクチュエータの回転基準位置としては、ディテントプレートのP谷の底とする。
この回転基準位置は、ディテントプレートの製造公差により固体差が存在することや、経時摩耗などにより変化することを考慮すると、固定データとせずに、適宜のタイミングで学習するのが好ましい。
この学習の方法としては、ディテントプレートのP谷の底にディテントスプリングのころが係合している状態でディテントプレートを回転させることによってP壁(回転規制壁)をころに所定時間押し付ける。この所定時間の経過時点でのエンコーダからの出力パルス数のカウント値(アクチュエータの出力回転軸の実回転角)を所定の基準値にして、当該アクチュエータの出力回転軸の実回転角の位置をアクチュエータの制御上の回転基準位置とする。
特開2005−90575号公報
本願発明者は、上記特許文献1に示すようなシフトレンジ切替装置において、以下で説明するような懸念を知見した。
例えばアクチュエータのトルク出力が低下する故障状態で前記回転基準位置を学習することになると、回転基準位置を正確に学習することができない。仮に、回転基準位置を正確に学習できない場合には、前記シフトレンジの切り替え時に、次のような異常が発生する可能性が高くなる。
第1の異常は、アクチュエータを駆動停止したときにころが目標となる自走開始位置に到達しなくなって、指示したシフトレンジに対応する谷にころが係合できなくなる。この場合、指示したシフトレンジに切り替えできなくなる。
第2の異常は、アクチュエータを駆動停止したときにころが指示したシフトレンジに対応する谷に係合した状態で当該ころにP壁またはNP壁が強く押し付けられるようになる。この場合、指示したシフトレンジに切り替えできるものの、ディテント機構に負荷がかかるために耐久性が低下する。
従来では、前記したような異常発生の有無を検出することを行っていない。ここに改良の余地がある。
このような事情に鑑み、本発明は、アクチュエータで発生する回転動力をディテント機構を介してシフトレンジの切り替え動作部に伝達することにより要求シフトレンジに切り替えるシフトレンジ切替装置において、シフトレンジの切り替え時に異常発生の有無を検出可能とすることを目的としている。
本発明は、アクチュエータで発生する回転動力をディテント機構を介してシフトレンジの切り替え動作部に伝達することにより要求シフトレンジに切り替えるシフトレンジ切替装置であって、前記ディテント機構は、前記アクチュエータの出力回転軸と一体的に回転されかつ当該回転方向に沿ってシフトレンジの数と同数の谷および各谷間の山からなる波形部が設けられるディテントプレートと、自由端側に前記ディテントプレートのいずれかの谷に係合させられる係合部が設けられかつ前記ディテントプレートの回転停止時に当該ディテントプレートを停止予定位置に保持するディテントスプリングとを備え、前記アクチュエータを制御するための制御部は、要求シフトレンジに切り替える際に、前記アクチュエータの目標回転量を、前記係合部が現在係合している谷の底位置から移動対象となる谷の手前の山を越える自走開始位置まで移動するのに必要な所定値に設定し、前記要求シフトレンジに切り替える過程において前記アクチュエータを駆動停止したときに、前記ディテントスプリングのばね力で前記アクチュエータの出力回転軸を回転させる方向に基づいて前記切り替え過程で異常が発生したか否かを判定する、ことを特徴としている。
この構成のように、前記したようにアクチュエータの目標回転量を、前記係合部が現在係合している谷の底位置から移動対象となる谷の手前の山を越える位置まで移動するのに必要な所定値に設定した場合には、前記アクチュエータの目標回転量を、前記係合部が現在係合する谷の底位置から移動対象となる谷の底位置へ係合部を移動させるのに必要な値に設定する場合に比べると、前記ディテント機構に負荷がかかりにくくなる。
ところが、前記目標回転量を本発明の前記構成のように設定した場合だと、仮に、前記アクチュエータの回転基準位置を誤学習するようなことが起こると、次のような異常が発生する可能性が高くなる。
まず、前記誤学習が原因で前記アクチュエータの駆動停止時の回転位相が目標回転位相に到達しないと、前記ディテントスプリングの係合部が移動対象となる谷の手前の山を越えることができなくなって、前記係合部が現在係合している谷に戻るようになる。そのため、前記アクチュエータの駆動停止後に前記ディテントスプリングのばね力で出力回転軸が回転させられる方向は駆動方向と逆になる。この場合には、要求シフトレンジに正しく切り替えできないという異常が発生したことになる。
一方、前記誤学習が原因で前記アクチュエータの駆動停止時の回転位相が目標回転位相を越えると、前記ディテントスプリングの係合部が移動対象となる谷の底に到達したうえで、当該谷の回転規制壁が係合部を押す状態になる。そのため、前記アクチュエータの駆動停止後に前記ディテントスプリングのばね力で出力回転軸が回転させられる方向は駆動方向と逆になる。この場合には、要求シフトレンジに正しく切り替えできるものの、前記谷の回転規制壁が係合部を押すまたは引っ張ることによってディテントスプリングが圧縮変形または引っ張られるので、当該ディテント機構に負荷がかかるという異常が発生したことになる。
しかしながら、前記アクチュエータの回転基準位置を正確に学習できた場合には、前記アクチュエータの駆動停止時の回転位相が目標回転位相に一致するので、前記ディテントスプリングの係合部が移動対象となる谷の手前の山を越えた自走開始位置に停止するようになる。そのため、前記アクチュエータの駆動停止後に前記ディテントスプリングのばね力で前記自走開始位置の係合部が移動対象となる谷の底に入り込むようになる。そのため、前記アクチュエータの駆動停止後に前記ディテントスプリングのばね力で出力回転軸が回転させられる方向は駆動方向と同じになる。この場合には、要求シフトレンジに正しく切り替えできるようになって、しかも前記ディテント機構に負荷がかからずに済むようになる。
好ましくは、前記制御部は、ディテントスプリングのばね力で出力回転軸が回転させられる方向が前記アクチュエータの駆動方向と同じである場合に要求シフトレンジに正しく切り替えできたと判定する一方、前記アクチュエータの駆動方向と逆である場合に異常が発生したと判定する、構成とすることができる。
ここでは、制御部によりシフトレンジ切り替え過程において異常発生の有無を判定する形態を比較的簡単な制御で行うように特定している。これにより、余分な部品を追加する必要が無いなど、シフトレンジ切替装置を比較的安価に提供できるようになる。
好ましくは、前記シフトレンジ切替装置は、前記アクチュエータの回転に伴い回転基準位置からの回転量に応じたパルスを出力するエンコーダをさらに備え、前記制御部は、前記要求シフトレンジの切り替え過程において前記アクチュエータの駆動開始時点から駆動停止時点までの前記エンコーダのカウント値を取得する第1取得部と、前記駆動開始時点から前記駆動停止後に所定時間が経過した時点までの前記エンコーダのカウント値を取得する第2取得部と、前記アクチュエータの回転方向が前記回転基準位置から遠ざかる側に向かう場合、前記第1取得部のカウント値から前記第2取得部のカウント値を減算した結果が所定の閾値以下であるか否かを調べ、また、前記アクチュエータの回転方向が前記回転基準位置へ向かう場合、前記第2取得部のカウント値から前記第1取得部のカウント値を減算した結果が所定の閾値以下であるか否かを調べ、前記いずれの回転方向の場合でも前記減算結果が前記閾値以下である場合に正常と判定する一方、前記減算結果が前記閾値より大きい場合に異常発生有りと判定する判定部とを含む、構成とすることができる。
ここでは、制御部によりシフトレンジ切り替え過程において異常発生の有無を判定する形態を比較的簡単な制御で行うように特定している。これにより、余分な部品を追加する必要が無いなど、シフトレンジ切替装置を比較的安価に提供できるようになる。
好ましくは、前記切り替え動作部は、車両の駆動輪に回転動力を伝達する軸を回転不可能にロックするパーキング状態と、前記軸を回転可能にアンロックする非パーキング状態とにするパーキング機構とされ、前記切り替え可能なシフトレンジは、前記パーキング状態とするためのパーキングレンジと、前記非パーキング状態とするための非パーキングレンジに設定される、構成とすることができる。
ここでは、切り替え動作部を特定するとともに、切り替え可能とするシフトレンジを2パターンに特定している。
好ましくは、前記制御部は、所定のタイミングで前記アクチュエータの回転基準位置を学習する学習部を備え、この学習部は、前記パーキングレンジが成立しているときに当該パーキングレンジに対応する谷に係合される係合部に当該谷の回転規制壁を所定時間押し付けるようにし、当該所定時間の経過時点での前記エンコーダのカウント値を所定の基準値にして、前記アクチュエータの制御上の回転基準位置とする、構成とすることができる。
ここでは、前記アクチュエータの回転量を規定するための回転基準位置を学習する形態を特定している。
本発明に係るシフトレンジ切替装置は、シフトレンジの切り替え時に異常発生の有無を検出することが可能になる。これにより、異常発生の検出時に異常に対する何らかの処置を行うことが可能になる。
本発明に係るシフトレンジ切替装置の一実施形態の概略構成を示す斜視図である。 図1のシフトレンジ切替装置の制御装置の概略構成を示す図である。 図1のパーキング機構のパーキングギヤにパーキングロックポールが正常にロックしている状態を示す図である。 図1のパーキング機構のパーキングギヤにパーキングロックポールが正常にロックしていない状態を示す図である。 図1のディテントプレートを示す正面図である。 図1のディテント機構において、NPレンジからPレンジに正常に切り替えできるときの様子を説明するための図である。 図1のディテント機構において、PレンジからNPレンジに正常に切り替えできるときの様子を説明するための図である。 図1のディテント機構において、NPレンジからPレンジに切り替えるときに第1の異常が発生する様子を説明するための図である。 図1のディテント機構において、PレンジからNPレンジに切り替えるときに第1の異常が発生する様子を説明するための図である。 図1のディテント機構において、NPレンジからPレンジに切り替えるときに第2の異常が発生する様子を説明するための図である。 図1のディテント機構において、PレンジからNPレンジに切り替えるときに第2の異常が発生する様子を説明するための図である。 図2の制御装置によるシフトレンジ切り替え制御の一例を説明するためのフローチャートである。
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1から図12に、本発明の一実施形態を示している。図中、1はパーキング機構、2はシフトレンジ切替装置である。
この実施形態のシフトレンジ切替装置2は、図示していない自動変速機に備えるパーキング機構1で前記自動変速機の図示していない出力軸を回転不可能にロックするパーキングレンジ(Pレンジ)と、前記自動変速機の出力軸を回転可能にアンロックする非パーキングレンジ(NPレンジ)とに切り替え可能とする構成になっている。つまり、この実施形態では、パーキング機構1が請求項に記載している「シフトレンジの切り替え動作部」に相当している。
パーキング機構1は、図示していない自動変速機の出力軸を回転不可能にロックする状態(Pレンジが成立した状態)と、図示していない自動変速機の出力軸を回転可能にアンロックする状態(NPレンジが成立した状態)とに切り替えることを可能とする構成である。
具体的に、パーキング機構1は、パーキングギヤ11、パーキングロックポール12、パーキングロッド13などを備えている。
パーキングギヤ11は、例えば前記自動変速機の出力軸の外周に固定される。パーキングロックポール12は、パーキングギヤ11を回転不可能にロックしたりアンロックしたりするものである。パーキングロッド13は、下記ディテント機構5のディテントプレート51に取り付けられる。
パーキングロッド13に外装されるテーパコーンカム14の位置に応じてパーキングロックポール12が支軸15を中心にして上下方向に所定角度だけ傾動し、その傾動動作に伴い、パーキングロックポール12の突起12aがパーキングギヤ11に噛みこむとパーキングギヤ11を回転不可能にロックしたり、突起12aがパーキングギヤ11から抜け出るとパーキングギヤ11の回転可能にアンロックしたりするようになっている。
ところで、前記テーパコーンカム14は、図示省略の止め輪などによってパーキングロッド13の自由端側に抜け止めされるようになっているとともに、ディテントプレート51側に軸方向変位可能となるように外装されている。このテーパコーンカム14は、パーキングロッド13に外装されるコイルスプリング16により抜け止め方向に常時付勢されている。
このようにパーキングロッド13にテーパコーンカム14を軸方向変位可能に取り付けている理由を説明する。図3に示すように、パーキングギヤ11の歯間凹部にパーキングロックポール12の突起12aが正しく噛み込むと、パーキングギヤ11および前記自動変速機の出力軸を回転不可能にロックするのであるが、出力軸の回転停止角度によっては、図4に示すように、パーキングギヤ11の歯先にパーキングロックポール12の突起12aが当接して当該突起12aがパーキングギヤ11の歯間凹部に噛み込まなくなることが起こり、前記自動変速機の出力軸を回転不可能にロックできなくなることがありうる。
ここで、仮にパーキングロッド13にテーパコーンカム14を軸方向変位不可能に固定していると、万一、図4に示すような非噛合状態が発生すると、パーキングロッド13がロック方向の押し方向と逆向きに戻されることになるので、アクチュエータ6に対して駆動トルクと逆向きのトルクが作用することになるなど、好ましくない。つまり、アクチュエータ6に前記逆向きトルクを作用させないようにするためである。
このパーキング機構1の動作を簡単に説明する。まず、Pレンジが要求された場合には、パーキングロッド13がパーキングロックポール12に接近する方向に押されて、テーパコーンカム14の大径部分がパーキングロックポール12を押し上げてパーキングロックポール12の突起12aがパーキングギヤ11の歯間凹部内に噛み込んでパーキングギヤ11および前記自動変速機の出力軸を回転不可能にロックする。この状態がPレンジ状態である。
一方、NPレンジが要求された場合では、パーキングロッド13がパーキングロックポール12から離れる方向に引かれて、テーパコーンカム14の小径部分がパーキングロックポール12に当接するので、このパーキングロックポール12が下がる。これによってパーキングロックポール12の突起12aがパーキングギヤ11の歯間凹部から抜け出してパーキングギヤ11および前記自動変速機の出力軸が回転可能なアンロック状態にされる。この状態がNPレンジ状態である。
次に、シフトレンジ切替装置2を説明する。このシフトレンジ切替装置2は、いわゆるバイワイヤ方式とされており、図1および図2に示すように、パーキングスイッチ(操作入力部)4、ディテント機構5、アクチュエータ6、制御装置100などを備えている。
パーキングスイッチ4は、例えば運転席近傍に設置されるモーメンタリー式のプッシュスイッチなどとされている。このパーキングスイッチ4は、運転者が手動で直接的あるいは図示していないシフトレバーを介して間接的に押し操作される度に、Pレンジ要求信号とNPレンジ要求信号とを交互に出力し、制御装置100に入力する。
つまり、パーキングスイッチ4でPレンジかNPレンジかを選択すると、当該選択されたシフトレンジを、制御装置100が運転席に設置される表示装置7のシフトインジケータ領域(図示省略)に表示して運転者に報知するとともに、パーキング機構1をロックまたはアンロックさせるように動作させる。
ディテント機構5は、パーキング機構1のパーキングロッド13をその軸方向に押し引きして位置決めするものであって、ディテントプレート51、マニュアルシャフト(支軸とも言う)52、ディテントスプリング53などを備えている。
ディテントプレート51の回転中心には、マニュアルシャフト52が貫通する状態で一体回転可能に固定されており、このディテントプレート51には、前記パーキング機構1のパーキングロッド13の一端側が取り付けられている。
マニュアルシャフト52の軸方向一端側は、アクチュエータ6の出力回転軸61(下記減速機構の出力軸)に同軸かつ一体回転可能に連結されている。また、マニュアルシャフト52の軸方向他端は、図示していないが、例えば自動変速機のケース等に回動可能に支持される。これにより、アクチュエータ6でディテントプレート51を回転させると、パーキング機構1のパーキングロッド13が押し引きされるようになる。
図5に示すように、ディテントプレート51の外形は扇形に形成されており、その所定領域には波形部54が設けられている。この波形部54は、シフトレンジの数と同数(2つ)の谷54a、54bと、当該谷間の山54cとを直列に並べたものであり、ディテントプレート51の回転方向(矢印C、D方向)に沿って設けられている。
なお、Pレンジに対応する谷54aをP谷とし、NPレンジに対応する谷54bをNP谷と略称する。このP谷54aおよびNP谷54bにおいてそれぞれ山54c側に位置する傾斜部を「山側傾斜部」と言う。さらに、波形部54において、P谷54aの外側(山54cと反対側)にはP谷54aからころ55が外側へ動くのを規制するためのP壁54dが設けられており、NP谷54bの外側(山54cと反対側)にはNP谷54bからころ55が外側へ動くのを規制するためのNP壁54eが設けられている。P壁54dおよびNP壁54eところ55とがディテントプレート51の回転を規制するようになる。
ディテントスプリング53は、例えば図1に示すように、適宜の部材3に片持ち状態で支持されている。このディテントスプリング53の自由端側には、ころ(係合部)55が回転自在に取り付けられている。ころ55は、詳細に図示していないが、中空形状であり、その中心孔に支軸が相対回転可能に挿通され、この支軸の軸方向両端がディテントスプリング53の自由端側の二股部分に取り付けられている。
このディテントスプリング53のころ55は、ディテントプレート51のP谷54aおよびNP谷54bのいずれかに係合されることで、ディテントプレート51が回転停止しているときに当該ディテントプレート51を位置決め保持するとともに、パーキング機構1のパーキングロックポール12を位置決め保持するようになっている。
アクチュエータ6は、図示していないが、ディテント機構5の駆動源となるモータおよび減速機構などを備えている。前記モータは、例えばスイッチトリラクタンスモータ(SRモータ)等の同期モータとされる。前記減速機構は、前記モータで発生する回転動力を減速して出力するプラネタリギヤあるいは歯車列などとされる。この減速機構の出力軸(アクチュエータ6の出力回転軸61に相当)には、ディテント機構5のマニュアルシャフト52が同軸かつ一体回転可能に連結されている。
前記アクチュエータ6の出力回転軸61の近傍には、当該出力回転軸61の回転角を検出するためのエンコーダ8が設けられている。このエンコーダ8は、相対位置センサであり、例えば磁気式のロータリエンコーダ(インクリメント型光学式エンコーダ)とされている。このエンコーダ8は、例えば正転時には前記出力回転軸61の回転量(回転角)に応じてカウントアップし、逆転時には前記出力回転軸61の回転量(回転角)に応じてカウントダウンする。
制御装置100は、一般的なECU(Electronic Control Unit)と同様に、CPU(中央処理装置)101、ROM(プログラムメモリ)102、RAM(データメモリ)103ならびにバックアップRAM(不揮発性メモリ)104等をバス105を介して互いに接続した構成である。
ROM102は、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPU101は、ROM102に記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。RAM103は、CPU101での演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するバッファメモリである。バックアップRAM104は、電源オフ後も記憶内容を保持可能な不揮発性のメモリである。
この制御装置100の入力インターフェース106には、図2に示すように、主として、パーキングスイッチ4、エンコーダ8、パワースイッチ9などが接続されている。パワースイッチ9は、電源をオン、オフするスイッチであり、このパワースイッチ9がオン操作されると、制御装置100に電源が供給されて制御装置100が起動される。
制御装置100の出力インターフェース107には、アクチュエータ6、運転席の表示装置7、下記する異常報知用の報知装置10などが接続されている。
ここでの入力インターフェース106や出力インターフェース107に接続される対象については、本発明に直接的に関係するもののみとしている。
制御装置100は、パーキングスイッチ4から出力されるPレンジ要求信号とNPレンジ要求信号の入力に基づいて要求シフトレンジ(PレンジまたはNPレンジ)を認識し、この認識結果に対応してシフトレンジ切り替え処理を少なくとも実行する。
このシフトレンジの切り替え処理は、要するに、要求シフトレンジに応答してアクチュエータ6を駆動し、このアクチュエータ6の実回転量が目標回転量に到達するとアクチュエータ6の駆動を停止させるように制御する。
この実施形態におけるシフトレンジの切り替えでは、ディテント機構5にかかる負荷を軽減することを目的として、P壁54dまたはNP壁54eをディテントスプリング53のころ55に強く押し当てないように、アクチュエータ6を制御する。
そこで、アクチュエータ6の目標回転量としては、P谷54a(またはNP谷54b)の底からNP谷54b(またはP谷54a)の底までの回転角とせずに、例えばP谷54a(またはNP谷54b)の底から山54c側の頂点寄り位置XNP(またはXP)に到達するまでの回転角に設定される。
前記自走開始位置(あるいは滑り込み開始位置)XP,XNPとは、当該自走開始位置にディテントスプリング53のころ55が位置したときに、アクチュエータ6を駆動停止させると、ディテントスプリング53のばね力(ディテントトルク)によりころ55がP谷54aの底またはNP谷54bの底へ向けて滑り落ちて係合することが可能になる位置のことを言う。この自走開始位置は、P谷54aの底またはNP谷54bの底からの回転角で規定される。
ところで、この実施形態では、アクチュエータ6の実回転量を検出するセンサとして、高価な絶対位置センサ(アクチュエータ6の出力回転軸61の回転の絶対位置を検出するためのセンサ)を用いずに、比較的安価な相対位置センサ(アクチュエータ6の出力回転軸61の回転基準位置からの相対変化量を検出するセンサ、例えばエンコーダ8)を用いているので、アクチュエータ6の出力回転軸61の回転基準位置を規定する必要がある。
このアクチュエータ6の回転基準位置は、ディテントプレート51のP谷54aの底とされる。
この回転基準位置は、ディテントプレート51の製造公差により固体差が存在することや、経時摩耗などにより変化することを考慮すると、固定データとせずに、適宜のタイミングで学習するのが好ましい。この学習処理は、例えばトリップ毎あるいは所定のトリップ数毎に行うようにしている。なお、1回のトリップとは、パワースイッチ9により電源がオンされてからオフされるまでのことである。
この学習の方法としては、ディテントプレート51のP谷54aの底にディテントスプリング53のころ55が係合している状態でディテントプレート51を回転させることによってP壁54d(回転規制壁)をころ55に所定時間押し付ける。この所定時間の経過時点でのエンコーダ8のカウント値(アクチュエータ6の出力回転軸61の実回転角)を所定の基準値にして、当該アクチュエータ6の出力回転軸61の実回転角の位置をアクチュエータ6の制御上の回転基準位置とする。
この学習処理により取得した回転基準位置に関するエンコーダ8のカウント値は、制御装置100のRAM103などに記憶されるが、前記学習処理を実行する毎に書き換えられる。
このようなことから、シフトレンジの切り替え処理としては、要求シフトレンジに対応してアクチュエータ6の出力回転軸61の目標回転量(エンコーダ8の目標カウント値)を設定し、この目標回転量だけアクチュエータ6を駆動する。つまり、アクチュエータ6を駆動開始してから、その出力回転軸61の実回転量をエンコーダ8のカウント値で検出し、この検出した実回転量(実カウント値)が前記目標回転量と一致する位置でアクチュエータ6を駆動停止させる。
具体的に、図6および図7を参照して、シフトレンジの切り替えを正常に行えるときの様子を説明する。
まず、NPレンジからPレンジへ切り替える場合、ディテントプレート51を矢印C方向に回転させるようにアクチュエータ6を目標回転角だけ回転させる。
これにより、図6(a)に示すようにNP谷54bに係合していたころ55が、図6(b)に示すようにP谷54aの自走開始位置XPに到達する。このとき、アクチュエータ6の出力回転軸61が駆動力を受けていないから、ころ55が山54cを乗り越えたときに弾性変形したディテントスプリング53の弾性復元力により、自走開始位置XPに位置しているころ55が、P谷54aの底へ向けて滑り落ちて係合するようになる。それに伴い、図6(b)に示すディテントプレート51およびアクチュエータ6の出力回転軸61が、図6(c)に示すように前記初期駆動時の回転方向(矢印C方向)と同じ方向(矢印C方向)に回転させられることになる。
一方、PレンジからNPレンジへ切り替える場合、ディテントプレート51を矢印D方向に回転させるようにアクチュエータ6を目標回転角だけ回転させる。
これにより、図7(a)に示すようにP谷54aに係合していたころ55が、図7(b)に示すようにNP谷54bの自走開始位置XNPに到達する。このとき、アクチュエータ6の出力回転軸61が駆動力を受けていないから、ころ55が山54cを乗り越えたときに弾性変形したディテントスプリング53の弾性復元力により、自走開始位置XNPに位置しているころ55が、NP谷54bの底へ向けて滑り落ちて係合するようになる。それに伴い、図7(b)に示すディテントプレート51およびアクチュエータ6の出力回転軸61が、図7(c)に示すように前記初期駆動時の回転方向(矢印D方向)と同じ方向(矢印D方向)に回転させられることになる。
なお、図6(a)から(c)および図7(a)から(c)において、ディテントプレート51の回転軸心とP谷54aの底とを結ぶ直線200の現在位置を実線で示している。図6(b)および図7(b)には、図6(a)および図7(a)の状態での直線200の位置を二点鎖線(符号201)で示している。また、図6(c)および図7(c)には、図6(b)および図7(b)の状態での直線200の位置を二点鎖線(符号202)で示している。
ところで、例えばアクチュエータ6のトルク出力が低下する故障状態で前記回転基準位置を学習することになると、回転基準位置を正確に学習することができなくなるので、シフトレンジの切り替え時に、次のような異常が発生する可能性が高くなる。
第1の異常は、アクチュエータ6を駆動停止したときにころ55が目標となる自走開始位置(XP,XNP)に到達しなくなって、指示したシフトレンジに対応する谷(54a、54b)にころ55が係合できなくなる。この場合、指示したシフトレンジに切り替えできなくなる。
第2の異常は、アクチュエータ6を駆動停止したときにころ55が指示したシフトレンジに対応する谷(54a、54b)に係合した状態でころ55にP壁54dまたはNP壁54eが強く押し付けられるようになる。この場合、指示したシフトレンジに切り替えできるものの、ディテント機構5に負荷がかかるために耐久性が低下する。
図8および図9を参照して、前記第1の異常の様子を説明する。
まず、NPレンジからPレンジへの切り替え時において、第1の異常が発生する場合には、アクチュエータ6を目標回転角だけ回転させると、図8(a)に示すようにNP谷54bに係合していたころ55が、図8(b)に示すように山54cを乗り越えることができずに、P谷54aの自走開始位置XPに到達できなくなる。
この場合には、ディテントスプリング53の弾性復元力により、自走開始位置XNPに位置しているころ55が、NP谷54bの底へ戻るように滑り落ちて係合することになる。それに伴い、図8(b)に示すディテントプレート51およびアクチュエータ6の出力回転軸61が、図8(c)に示すように前記初期駆動時の回転方向(矢印C方向)と逆方向(矢印D方向)に回転させられることになる。このように、指示したシフトレンジに対応するP谷54aにころ55を係合させることができない。
まず、PレンジからNPレンジへの切り替え時において、第1の異常が発生する場合には、アクチュエータ6を目標回転角だけ回転させると、図9(a)に示すようにP谷54aに係合していたころ55が、図9(b)に示すように山54cを乗り越えることができずに、NP谷54bの自走開始位置XNPに到達できなくなる。
この場合には、ディテントスプリング53の弾性復元力により、自走開始位置XPに位置しているころ55が、P谷54aの底へ戻るように滑り落ちて係合することになる。それに伴い、図9(b)に示すディテントプレート51およびアクチュエータ6の出力回転軸61が、図9(c)に示すように前記初期駆動時の回転方向(矢印D方向)と逆方向(矢印C方向)に回転させられることになる。このように、指示したシフトレンジに対応するNP谷54bにころ55を係合させることができない。
なお、図8(a)から(c)および図9(a)から(c)において、ディテントプレート51の回転軸心とP谷54aの底とを結ぶ直線200の現在位置を実線で示している。図8(b)および図9(b)には、図8(a)および図9(a)の状態での直線200の位置を二点鎖線(符号201)で示している。また、図8(c)および図9(c)には、図8(b)および図9(b)の状態での直線200の位置を二点鎖線(符号202)で示している。
図10および図11を参照して、前記第2の異常の様子を説明する。
まず、NPレンジからPレンジへの切り替え時において、第2の異常が発生する場合には、アクチュエータ6を目標回転角だけ回転させると、図10(a)に示すようにNP谷54bに係合していたころ55が、図10(b)に示すようにP谷54aの自走開始位置XPを通り越してP谷54aに到達し、さらにP壁54dがころ55を押圧するようになる。これに伴い、図10(b)に示すように、ディテントスプリング53が弓なりに圧縮変形することになるために、ディテントスプリング53に圧縮荷重(負荷)がかかる。
この場合には、ディテントスプリング53の弾性復元力によりころ55がP壁54dを押し戻すようになるので、指示したシフトレンジに対応するP谷54aにころ55が係合することになるとともに、ディテントプレート51およびアクチュエータ6の出力回転軸61が、図10(b)に示す状態から図10(c)に示すように前記初期駆動時の回転方向(矢印C方向)と逆方向(矢印D方向)に回転させられることになる。
また、PレンジからNPレンジへの切り替え時において、第2の異常が発生する場合には、アクチュエータ6を目標回転角だけ回転させると、図11(a)に示すようにP谷54aに係合していたころ55が、図11(b)に示すようにNP谷54aの自走開始位置XNPを通り越してNP谷54bに到達し、さらにNP壁54eがころ55を押圧するようになる。これに伴い、図11(b)に示すように、ディテントスプリング53が引っ張られることになるために、ディテントスプリング53に引っ張り荷重(負荷)がかかる。
この場合には、ディテントスプリング53の弾性復元力によりころ55がNP壁54eを押し戻すようになるので、指示したシフトレンジに対応するNP谷54bにころ55が係合することになるとともに、ディテントプレート51およびアクチュエータ6の出力回転軸61が、図11(b)に示す状態から図11(c)に示すように前記初期駆動時の回転方向(矢印D方向)と逆方向(矢印C方向)に回転させられることになる。
なお、図10(a)から(c)および図11(a)から(c)において、ディテントプレート51の回転軸心とP谷54aの底とを結ぶ直線200の現在位置を実線で示している。図10(b)および図11(b)には、図10(a)および図11(a)の状態での直線200の位置を二点鎖線(符号201)で示している。また、図10(c)および図11(c)には、図10(b)および図11(b)の状態での直線200の位置を二点鎖線(符号202)で示している。
そこで、この実施形態では、シフトレンジの切り替え時に異常発生の有無を検出可能とするように工夫している。
具体的に、図12のフローチャートを参照して、制御装置100が実行するシフトレンジ切替制御の一例について説明する。図12に示すフローチャートは、制御装置100がパーキングスイッチ4から出力されるPレンジ要求信号あるいはNPレンジ要求信号を認識したときに開始する。
まず、ステップS1では、アクチュエータ6を要求シフトレンジに応じた回転方向に所定の目標回転量だけ回転させるように駆動する。ここでのアクチュエータ6の駆動制御については、例えば前記目標回転量は、前記バックアップRAM104に記憶させているP側またはNP側の回転基準位置の学習値(エンコーダカウント値)を読み出し、この読み出したデータに基づいてアクチュエータ6を駆動させる。
この後、ステップS2において、前記ステップS1でアクチュエータ6の駆動を開始し、この駆動開始時点から当該駆動を停止した時点までのエンコーダ8のカウント値Aを取得し、記憶する。
続くステップS3では、前記アクチュエータ6の駆動停止から所定時間t経過後のエンコーダ8のカウント値Bを取得し、記憶する。なお、前記所定時間tとしては、シフトレンジを正常に切り替えできる場合においてころ55が山側の自走開始位置(XP,XNP)から移動対象となる谷(54aまたは54b)の底に落ちるのに要する時間を実験またはシミュレーションにより把握して適宜に設定される。前記エンコーダ8のカウント値は、PレンジからNPレンジ方向に進むに従い大きな値になるものとする。
次にステップS4において、異常が発生したか否かを判定する。この異常判定の形態としては、シフトレンジを切り替えるためにアクチュエータ6を目標回転量だけ回転させるように駆動してから当該駆動を停止した後、図6および図7を参照して詳細に説明したようにディテントスプリング53の弾性復元力によってアクチュエータ6の出力回転軸61が回転させられる方向が前記駆動方向と同じである場合には前記切り替えが正常にできたと判定する。一方、図8から図11を参照して詳細に説明したようにディテントスプリング53の弾性復元力によってアクチュエータ6の出力回転軸61が回転させられる方向が前記駆動方向と逆である場合には前記切り替え時に前記第1の異常または前記第2の異常が発生したと判定する。
そこで、このシフト切り替え駆動時の回転方向と駆動停止後の回転方向とが同じであるのか、逆であるのかについては、例えば前記ステップS2で取得したエンコーダ8のカウント値Aから前記ステップS3で取得したエンコーダ8のカウント値Bを減算した結果が所定の閾値X以下であるか否かを調べることにより、判定することが可能になる。前記閾値Xは、正常と異常とを判別することができる値を実験またはシミュレーションにより把握し、その結果に基づいて設定される。
そして、PレンジからNPレンジへの切り替えの場合、A−B≦Xであれば正常であると判定(前記ステップS4で否定判定)して、このフローチャートを終了する。しかし、A−B>Xであれば前記第1の異常または前記第2の異常が発生していると判定(前記ステップS4で肯定判定)して、続くステップS5に移行する。
参考までに、回転基準位置(P谷54aの底)を正常に学習できた場合、エンコーダ8のカウント値はP谷54aからNP谷54bに進むに従い大きな値になるものとする。正常時には、図7(a)の状態から(b)の状態に移行したときのエンコーダカウント値Aが、図7(b)の状態から(c)の状態に移行したときのエンコーダカウント値Bより小さくなるので、「A−Bは負の値」になる。Xを負の所定値に設定すると、「A−B≦X」になる。しかし、回転基準位置(P谷54aの底)を正常に学習できないことにより、図9に示す第1の異常が発生する場合には、エンコーダカウント値Aがエンコーダカウント値Bより大きくなるので、「A−Bは正の値」になる。これにより、「A−B>X」になる。また、図11に示す第2の異常が発生する場合には、エンコーダカウント値Aがエンコーダカウント値Bより大きくなるので、「A−Bは正の値」になる。これにより、「A−B>X」になる。
また、NPレンジからPレンジへの切り替えの場合、B−A≦Xであれば正常であると判定(前記ステップS4で否定判定)して、このフローチャートを終了する。しかし、B−A>Xであれば前記第1の異常または前記第2の異常が発生していると判定(前記ステップS4で肯定判定)して、続くステップS5に移行する。
参考までに、前記同様に回転基準位置(P谷54aの底)を正常に学習できた場合には、図6(a)の状態から(b)の状態に移行したときのエンコーダカウント値Aが、図6(b)の状態から(c)の状態に移行したときのエンコーダカウント値Bより大きくなるので、「B−Aは負の値」になる。これにより、「B−A≦X」になる。しかし、回転基準位置(P谷54aの底)を正常に学習できないことにより、図8に示す第1の異常が発生する場合には、エンコーダカウント値Aがエンコーダカウント値Bより小さくなるので、「B−Aは正の値」になる。これにより、「B−A>X」になる。また、図10に示す第2の異常が発生する場合には、エンコーダカウント値Aがエンコーダカウント値Bより小さくなるので、「B−Aは正の値」になる。これにより、「B−A>X」になる。
前記ステップS5では、前記第1の異常または前記第2の異常が発生したことを運転者に報知する処理を実行する。この異常報知処理の形態としては、例えば車両運転席に設置される報知装置10に前記異常を示す内容を表示する形態が考えられるが、その他のいろいろな公知の報知形態とすることが可能である。
この後、ステップS6において、前記バックアップRAM104に記憶している回転基準位置を補正する処理を実行する。
なお、上記制御装置100により実行する図12のフローチャートにおいて、前記ステップS2が請求項に記載の「第1取得部」に、前記ステップS3が請求項に記載の「第2取得部」に、前記ステップS4が請求項に記載の「判定部」にそれぞれ相当している。
以上説明したように、本発明の特徴を適用した実施形態は、シフトレンジの切り替え時に、ディテント機構5にかかる負荷を軽減可能とするためにアクチュエータ6の出力回転軸61の目標回転角(ディテントプレート51の目標回転角)を比較的小さく設定することを前提とする制御において、前記シフトレンジの切り替え時に異常が発生したか否かを検出可能にしている。
そのため、前記異常が発生していると判定したときには、例えば車両の運転者に異常発生を報知するように対処することが可能になるとともに、アクチュエータ6の目標回転量あるいは回転基準位置を補正するように対処することが可能になる。
しかも、前記異常発生を検出する形態としては、シフトレンジを切り替えるためにアクチュエータ6を目標回転量だけ回転させるように駆動してから当該駆動を停止した後、ディテントスプリングの弾性復元力によってアクチュエータ6の出力回転軸61が回転させられる方向がアクチュエータ6の駆動方向と同じである場合(図6および図7参照)には前記切り替えが正常にできたと判定する一方、アクチュエータ6の駆動方向と逆である場合(図8から図11参照)には前記切り替え時に前記第1の異常または前記第2の異常が発生したと判定するようにしている。
このように、前記異常発生の検出形態を比較的簡単な制御で行うようにしているから、余分な部品を追加する必要が無いなど、シフトレンジ切替装置2を比較的安価に提供できるようになる。
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲で包含されるすべての変形や応用が可能である。以下で例を挙げる。
上記実施形態では、シフトレンジ切替装置のシフトレンジとしてPレンジとNPレンジとを切り替える構成を例に挙げているが、本発明は、これに限定されるものではない。
例えば前記NPレンジとしては、自動変速機の前進走行レンジ(Dレンジ)、ニュートラルレンジ(Nレンジ)、後進走行レンジ(Rレンジ)を含む形態とする場合にも、本発明を適用することが可能である。
この場合、前記自動変速機としては、詳細に図示しないが、例えば公知のプラネタリギヤおよび摩擦係合要素(クラッチ、ブレーキ)を含む構成とされ、指示されるシフトレンジに応じて前記摩擦係合要素(クラッチ、ブレーキ)を公知の油圧制御回路で係合または解放することにより、前記プラネタリギヤの動力伝達経路を適宜に選択するように構成される。前記油圧制御回路に備えるマニュアルバルブのスプールを軸方向に変位させることでDレンジ、Nレンジ、Rレンジを成立させるようになっている。
そして、この場合、ディテントプレート51に、図示していないが、Dレンジ用の谷、Nレンジ用の谷、Rレンジ用の谷を回転方向に沿って設けるようにするとともに、このディテントプレート51の一部に、前記油圧制御回路に備えるマニュアルバルブのスプールの一端を連結し、このディテントプレート51の回転角によって前記スプールの変位量を制御するように構成する必要がある。
本発明は、アクチュエータで発生する回転動力をディテント機構を介してシフトレンジの切り替え動作部に伝達することにより要求シフトレンジに切り替えるに好適に利用することが可能である。
1 パーキング機構
2 シフトレンジ切替装置
4 パーキングスイッチ
5 ディテント機構
6 アクチュエータ
8 エンコーダ
9 パワースイッチ
10 報知装置
11 パーキングギヤ
12 パーキングロックポール
12a パーキングロックポールの突起
13 パーキングロッド
100 制御装置
51 ディテントプレート
52 マニュアルシャフト
53 ディテントスプリング
54 ディテントプレートの波形部
55 ころ
54a 波形部のP谷
54b 波形部のNP谷
54c 波形部の山
54d 波形部のP壁
54e 波形部のNP壁

Claims (5)

  1. アクチュエータで発生する回転動力をディテント機構を介してシフトレンジの切り替え動作部に伝達することにより要求シフトレンジに切り替えるシフトレンジ切替装置であって、
    前記ディテント機構は、前記アクチュエータの出力回転軸と一体的に回転されかつ当該回転方向に沿ってシフトレンジの数と同数の谷および各谷間の山からなる波形部が設けられるディテントプレートと、自由端側に前記ディテントプレートのいずれかの谷に係合させられる係合部が設けられかつ前記ディテントプレートの回転停止時に当該ディテントプレートを停止予定位置に保持するディテントスプリングとを備え、
    前記アクチュエータを制御するための制御部は、要求シフトレンジに切り替える際に、前記アクチュエータの目標回転量を、前記係合部が現在係合している谷の底位置から移動対象となる谷の手前の山を越える自走開始位置まで移動するのに必要な所定値に設定し、
    前記要求シフトレンジに切り替える過程において前記アクチュエータを駆動停止したときに、前記ディテントスプリングのばね力で前記アクチュエータの出力回転軸を回転させる方向に基づいて前記切り替え過程で異常が発生したか否かを判定する、ことを特徴とするシフトレンジ切替装置。
  2. 請求項1に記載のシフトレンジ切替装置において、
    前記制御部は、ディテントスプリングのばね力で出力回転軸が回転させられる方向が前記アクチュエータの駆動方向と同じである場合に要求シフトレンジに正しく切り替えできたと判定する一方、前記アクチュエータの駆動方向と逆である場合に異常が発生したと判定する、ことを特徴とするシフトレンジ切替装置。
  3. 請求項1または2に記載のシフトレンジ切替装置は、
    前記アクチュエータの回転に伴い回転基準位置からの回転量に応じたパルスを出力するエンコーダをさらに備え、
    前記制御部は、前記要求シフトレンジの切り替え過程において前記アクチュエータの駆動開始時点から駆動停止時点までの前記エンコーダのカウント値を取得する第1取得部と、
    前記駆動開始時点から前記駆動停止後に所定時間が経過した時点までの前記エンコーダのカウント値を取得する第2取得部と、
    前記アクチュエータの回転方向が前記回転基準位置から遠ざかる側に向かう場合、前記第1取得部のカウント値から前記第2取得部のカウント値を減算した結果が所定の閾値以下であるか否かを調べ、また、前記アクチュエータの回転方向が前記回転基準位置へ向かう場合、前記第2取得部のカウント値から前記第1取得部のカウント値を減算した結果が所定の閾値以下であるか否かを調べ、前記いずれの回転方向の場合でも前記減算結果が前記閾値以下である場合に正常と判定する一方、前記減算結果が前記閾値より大きい場合に異常発生有りと判定する判定部とを含む、ことを特徴とするシフトレンジ切替装置。
  4. 請求項3に記載のシフトレンジ切替装置において、
    前記切り替え動作部は、車両の駆動輪に回転動力を伝達する軸を回転不可能にロックするパーキング状態と、前記軸を回転可能にアンロックする非パーキング状態とにするパーキング機構とされ、
    前記切り替え可能なシフトレンジは、前記パーキング状態とするためのパーキングレンジと、前記非パーキング状態とするための非パーキングレンジに設定される、ことを特徴とするシフトレンジ切替装置。
  5. 請求項4に記載のシフトレンジ切替装置において、
    前記制御部は、所定のタイミングで前記アクチュエータの回転基準位置を学習する学習部を備え、
    この学習部は、前記パーキングレンジが成立しているときに当該パーキングレンジに対応する谷に係合される係合部に当該谷の回転規制壁を所定時間押し付けるようにし、当該所定時間の経過時点での前記エンコーダのカウント値を所定の基準値にして、前記アクチュエータの制御上の回転基準位置とする、ことを特徴とするシフトレンジ切替装置。
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