JP4186029B2 - 銅箔基材上のスズ又はスズ合金メッキ皮膜における異常結晶析出防止剤並びに当該防止方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は銅箔基材上の無電解スズ又はスズ合金メッキ皮膜における異常結晶析出を防止する処理剤並びに当該防止方法に関して、TABやプリント基板などの銅箔基材に無電解スズメッキ又はスズ合金メッキを施した場合に、主にメッキ直後に銅箔の先端や周端部、例えば、TABのインナリード先端やファインピッチ・プリント基板の極細回路上などにスズが粒状、ヒゲ状或は塊状などになって異常結晶析出することを有効に防止できるものを提供する。
【0002】
【従来の技術】
(1)従来技術1
特開平5−148658号公報には、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸などの酸と、過硫酸アンモニウム又は過酸化水素の過酸化物と、ドデシル硫酸ナトリウム、1,5−ナフタレンジスルホン酸2ナトリウムなどの有機高分子化合物(即ち、アニオン系界面活性剤)とよりなる混合液でTABを前処理した後に、TABのリードに無電解スズメッキを施すことにより、スズメッキ後のホイスカーの発生を抑制するようにした無電解スズメッキ方法が開示されている。
【0003】
(2)従来技術2
特開平6−41762号公報には、硫酸、塩酸、硝酸、有機スルホン酸などの酸と、チオ尿素又はチオ尿素誘導体と、界面活性剤とよりなる混合液に銅系基材を浸漬するなどの前処理を行った後に、無電解スズ又はスズ−鉛合金メッキを施して、メッキ皮膜の色ムラや光沢ムラなどを抑制するようにした無電解メッキの前処理方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、銅箔基材にスズ又はスズ合金メッキを施す場合、メッキ直後に(即ち、メッキ液から引き上げた時点で)リードの先端、或はベースとなる樹脂(例えば、TABではポリイミド樹脂)との境界に沿って臨むリードの周端部にスズが粒状、ヒゲ状或は塊状などになって異常結晶析出する現象が見られるが、電子部品は年々小型化、複雑化、多ピン化が進んでおり、特に、リードパターンの細密化が顕著なTABなどでは、これらの異常結晶析出が生じると、チップを実装する場合に短絡やボンディング不良の原因になる。
【0005】
上記従来技術1〜2では、現実にメッキ直後のスズの異常結晶析出を有効に防止できず、殊に、従来技術1は数日〜数週間の比較的長い期間内に経時的に発生するスズホイスカーの抑制を主眼としたものであり、メッキ直後の異常結晶析出を抑制しようとするものではない。
本発明は、スズ又はスズ合金メッキを施すに際して、銅箔基材をメッキした直後のスズの異常結晶析出を有効に防止することを技術的課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、無電解スズ又はスズ合金メッキを施すに際して、酸と、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウムなどのアンモニウム塩、又はEDTA、トリエタノールアミンなどのアミン類とを組み合わせた混合剤で、銅箔基材を予め接触処理させると、銅箔基材のリード先端や周端部などでは、微視的に表面が粗くなり、或は内部歪みが集中して活性点が多く発生し易いが、この活性点に対するアンモニウム塩又はアミン類などの錯化作用と、酸の洗浄作用が複合的に期待できるため、メッキ直後のスズの異常結晶析出を有効に防止できることを見い出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明1は、(A)塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、及び有機スルホン酸、有機カルボン酸などの有機酸よりなる酸の少なくとも一種と、
(B)アンモニウム化合物(ペルオキソ系アンモニウム化合物を除く)、アンモニア及びアミン系化合物の少なくとも一種と、
(C)界面活性剤と
を含有することを特徴とする銅箔基材上の無電解スズ又はスズ合金メッキ皮膜における異常結晶析出防止剤である。
【0008】
本発明2は、(A)塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、及び有機スルホン酸、有機カルボン酸などの有機酸よりなる酸の少なくとも一種と、
(B)アンモニウム化合物(ペルオキソ系アンモニウム化合物を除く)、アンモニア及びアミン系化合物の少なくとも一種と、
(D)ニッケル塩、コバルト塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、アルミニウム塩、クロム塩、マンガン塩、マグネシウム塩よりなる群から選ばれた異常結晶析出防止用金属塩の少なくとも一種と
を含有し、上記金属塩を5重量%以下の割合で微量配合することを特徴とする銅箔基材上の無電解スズ又はスズ合金メッキ皮膜における異常結晶析出防止剤である。
【0009】
本発明3は、(A)塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、及び有機スルホン酸、有機カルボン酸などの有機酸よりなる酸の少なくとも一種と、
(B)アルキルアンモニウム化合物及びアリールアンモニウム化合物(ペルオキソ系アンモニウム化合物を除く)の少なくとも一種と
を含有することを特徴とする銅箔基材上の無電解スズ又はスズ合金メッキ皮膜における異常結晶析出防止剤である。
【0010】
本発明4は、上記本発明1〜3のいずれかの異常結晶析出防止剤に銅箔基材を接触処理させた後、無電解スズ又はスズ合金メッキを施すことを特徴とする銅箔基材上の無電解スズ又はスズ合金メッキ皮膜における異常結晶析出防止方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明1は(A)酸と、(B)アンモニウム化合物、アンモニア及びアミン系化合物の少なくとも一種と、 ( C ) 界面活性剤とを組み合わせたものである。
上記酸は無機酸、有機酸を問わない。無機酸としては、塩酸、硫酸(希硫酸、及び濃硫酸)、硝酸、シュウ酸、亜硫酸、チオ硫酸、チオシアン酸、リン酸、ホウ酸、スルファミン酸などが挙げられる。有機酸としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、2−ヒドロキシエタン−1−スルホン酸、2−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホ安息香酸などの有機スルホン酸、有機スルフィン酸、或は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、乳酸などの有機カルボン酸などが挙げられる。
上記の酸は、各種の無機酸及び有機酸を単用又は併用でき、その添加量は5〜800g/Lであり、好ましくは50〜300g/Lである。
【0012】
上記アンモニウム化合物はアンモニウム塩とアルキル(又はアリール)アンモニウム塩を包含する概念であるが、過硫酸アンモニウム、過硫酸水素アンモニウムなどのペルオキソ硫酸アンモニウム塩、ペルオキソ炭酸アンモニウム塩、ペルオキソリン酸アンモニウム塩、ペルオキソ硝酸アンモニウム塩、或はペルオキソクロム酸アンモニウム塩などのペルオキソ系アンモニウム化合物は排除される。
上記アンモニウム塩としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、リン酸アンモニウム、次亜リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、酒石酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、ホウ酸アンモニウムなどが挙げられる。
上記アルキル(又はアリール)アンモニウム塩は、アンモニウムイオン(NH4 +)の水素原子が1〜4個のアルキル基(及び/又はアリール基)で置換された第1〜第4アルキル(又はアリール)アンモニウム塩をいい、例えば、メチルアンモニウム塩([CH3NH3]+Cl-)、ジプロピルアンモニウム塩([(C3H7)2NH2]2SO4)、トリエチルアンモニウム塩([(C2H5)3NH]+CH3SO4 -)、トリメチルベンジルアンモニウム塩([(CH3)3N(CH2C6H5)]+OH-)、ドデシルジメチルベンジルアンモニウム塩([(CH3)2(C12H25)N(CH2C6H5)]+Cl-)、ヘキサデシルピリジニウム塩([(C5H5N)−C16H33]+I-)、オクチルアミンアセテートなどが挙げられる。
上記アミン系化合物は、アミノ酢酸、アミノプロピオン酸、アミノ吉草酸、アミノ酸などのアミノカルボン酸系化合物、エチレンジアミン、ペンタエチレンヘキサミンなどのポリアミン類、アミノトリメチレンリン酸、ベンジルアミン、2−ナフチルアミン、イソブチルアミンなどのモノアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアミノアルコール類、C1〜C22脂肪族アミンにエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを2〜300モル付加縮合させたアミノエーテル類、ピペリジン、ピペラジン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、キノリン、フタラジン、キノキサリンなどの含窒素複素環式化合物類などを包含する概念である。
上記アミン系化合物のうちのアミノカルボン酸系化合物の具体例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA・2Na)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノジ酢酸(IDA)、イミノジプロピオン酸(IDP)、メタフェニレンジアミン四酢酸、1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N′,N′−四酢酸、ジアミノプロピオン酸、グルタミン酸、オルニチン、システイン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシンなどが挙げられる。
また、上記アミン系化合物のうちのポリアミン類、モノアミン類、アミノアルコール類、アミノエーテル類などの具体例としては、エチレンジアミンテトラメチレンリン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンリン酸、アミノトリメチレンリン酸、アミノトリメチレンリン酸五ナトリウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、ベンジルアミン、2―ナフチルアミン、イソブチルアミン、イソアミルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、シンナミルアミン、p―メトキシシンナミルアミン、プロピルアミンポリエトキシレート(EO10)、ヘキシルアミンポリエトキシレート(EO5)ポリプロポキシレート(PO2)、オクチルアミンポリエトキシレート(EO15)、ステアリルアミンポリエトキシレート(EO10)、オレイルアミンポリエトキシレート(EO12)、エチレンジアミンポリエトキシレート(EO40)ポリプロポキシレート(PO35)、エチレンジアミンポリプロポキシレート(PO25)ポリエトキシレート(EO20)、プロピレンジアミンポリプロポキシレート(PO10)ポリエトキシレート(EO8)などが挙げられる。
上記アンモニウム化合物、アンモニア、アミン系化合物はその少なくとも一種を使用することができ、その添加量は1〜500g/Lであり、好ましくは10〜200g/Lである。
【0013】
上記酸と、アンモニウム化合物、アンモニア或はアミン系化合物とは夫々単用又は併用することにより任意に組み合わせることができ、例えば、硫酸と硫酸アンモニウム、リン酸と塩化アンモニウム、メタンスルホン酸と次亜リン酸アンモニウム、硫酸とクエン酸アンモニウム、硫酸とリン酸とクエン酸アンモニウム、塩酸とエチルアミン、硫酸とEDTA、硫酸とエタノールアミン、クエン酸とエチレンジアミン、亜硫酸とヘキサメチレンジアミン、酢酸とメタンスルホン酸とDTPA、エタンスルホン酸とNTA、プロピオン酸とアンモニア、フェノールスルホン酸とアンモニア、或は、クエン酸、酒石酸、チオ硫酸、シュウ酸、ギ酸、塩酸、硫酸又は各種スルホン酸と(第1〜第4)アルキル(又はアリール)アンモニウム塩などが挙げられる。
【0014】
本発明1の界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン系界面活性剤、或はカチオン系界面活性剤が挙げられ、これら各種の活性剤を単用又は併用できる。尚、第4級アンモニウム塩などのカチオン系界面活性剤を使用する場合には、いわば上記アルキル(又はアリール)アンモニウム塩としての機能を併せて発揮することが期待できる。
その添加量は0.01〜100g/L、好ましくは0.1〜50g/Lである。
【0015】
当該ノニオン系界面活性剤の具体例としては、C1〜C20アルカノール、フェノール、ナフトール、ビスフェノール類、C1〜C25アルキルフェノール、アリールアルキルフェノール、C1〜C25アルキルナフトール、C1〜C25アルコキシル化リン酸(塩)、ソルビタンエステル、ポリアルキレングリコール、C1〜C22脂肪族アミドなどにエチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を2〜300モル付加縮合させたものや、C1〜C25アルコキシル化リン酸(塩)などが挙げられる。
【0016】
上記エチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を付加縮合させるC1〜C20アルカノールとしては、メタノール、エタノール、n−ブタノール、t−ブタノール、n−ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ラウリルアルコール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、ステアリルアルコール、エイコサノール、オレイルアルコール、ドコサノールなどが挙げられる。
同じく上記ビスフェノール類としては、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールFなどが挙げられる。
上記C1〜C25アルキルフェノールとしては、モノ、ジ、若しくはトリアルキル置換フェノール、例えば、p−メチルフェノール、p−ブチルフェノール、p−イソオクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−ヘキシルフェノール、2,4−ジブチルフェノール、2,4,6−トリブチルフェノール、ジノニルフェノール、p−ドデシルフェノール、p−ラウリルフェノール、p−ステアリルフェノールなどが挙げられる。
上記アリールアルキルフェノールとしては、2−フェニルイソプロピルフェノール、クミルフェノール、(モノ、ジ又はトリ)スチレン化フェノール、(モノ、ジ又はトリ)ベンジルフェノールなどが挙げられる。
上記C1〜C25アルキルナフトールのアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシルなどが挙げられ、ナフタレン核の任意の位置にあって良い。
上記アルキレングリコールとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン・コポリマーなどが挙げられる。
【0017】
上記C1〜C25アルコキシル化リン酸(塩)は、下記の一般式(a)で表されるものである。
【化1】
(式(a)中、Ra及びRbは同一又は異なるC1〜C25アルキル、但し、一方がHであっても良い。MはH又はアルカリ金属を示す。)
【0018】
上記ソルビタンエステルとしては、モノ、ジ又はトリエステル化した1,4−、1,5−又は3,6−ソルビタン、例えばソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンジオレエート、ソルビタン混合脂肪酸エステルなどが挙げられる。
上記C1〜C22脂肪族アミドとしては、プロピオン酸、酪酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸などのアミドが挙げられる。
【0019】
更に、上記ノニオン系界面活性剤としては、
R1N(R2)2→O
(上式中、R1はC5〜C25アルキル又はRCONHR3(R3はC1〜C5アルキレンを示す)、R2は同一又は異なるC1〜C5アルキルを示す。)
などで示されるアミンオキシドを用いることができる。
【0020】
上記アニオン系界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、{(モノ、ジ、トリ)アルキル}ナフタレンスルホン酸塩などが挙げられる。アルキル硫酸塩としては、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、ポリオキシエチレン(EO5)ノニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(EO15)ドデシルエーテル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩としては、ポリオキシエチレン(EO15)ノニルフェニルエーテル硫酸塩などが挙げられる。アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。また、{(モノ、ジ、トリ)アルキル}ナフタレンスルホン酸塩としては、ナフタレンスルホン酸塩、ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物などが挙げられる。
【0021】
上記両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン、イミダゾリンベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸などが挙げられる。また、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとアルキルアミン又はジアミンとの縮合生成物の硫酸化、或はスルホン酸化付加物も使用できる。
【0022】
上記カルボキシベタインは下記の一般式(b)で表されるものである。
【化2】
(式(b)中、R7はC1〜C20アルキル、R8及びR9は同一又は異なるC1〜C5アルキル、nは1〜3の整数を示す。)
【0023】
上記イミダゾリンベタインは下記の一般式(c)で表されるものである。
【化3】
(式(c)中、R10はC1〜C20アルキル、R11は(CH2)mOH又は(CH2)mOCH2CO2 -、R12は(CH2)nCO2 -、(CH2)nSO3 -、CH(OH)CH2SO3 -、m及びnは1〜4の整数を示す。)
【0024】
代表的なカルボキシベタイン、或はイミダゾリンベタインは、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−ウンデシル−1−カルボキシメチル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、2−オクチル−1−カルボキシメチル−1−カルボキシエチルイミダゾリニウムベタインなどが挙げられ、硫酸化及びスルホン酸化付加物としてはエトキシル化アルキルアミンの硫酸付加物、スルホン酸化ラウリル酸誘導体ナトリウム塩などが挙げられる。
【0025】
上記スルホベタインとしては、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアンモニウム−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、N−ココイルメチルタウリンナトリウム、N−パルミトイルメチルタウリンナトリウムなどが挙げられる。
アミノカルボン酸としては、ジオクチルアミノエチルグリシン、N−ラウリルアミノプロピオン酸、オクチルジ(アミノエチル)グリシンナトリウム塩などが挙げられる。
【0026】
本発明2は、前記本発明1の ( A ) 酸と、 ( B ) アンモニウム化合物、アンモニア及びアミン化合物(但し、ペルオキソ系アンモニウムを排除する)に加えて、下記の ( D ) 異常結晶析出防止用金属塩を組み合わせたものである。
上記異常結晶析出防止用金属塩は、ニッケル塩、コバルト塩、鉄塩(Fe2+、Fe3+)、亜鉛塩、銅塩(Cu+、Cu2+)、アルミニウム塩、クロム塩(Cr4+など)、マンガン塩、マグネシウム塩よりなる群から選ばれた金属塩の少なくとも一種であり、塩の種類は任意に選択できるが、異常結晶析出防止剤に用いる酸の金属塩を用いることができる。例えば、異常結晶析出防止用金属塩がニッケル塩であり、酸に硫酸を用いる場合には、当該ニッケル塩には硫酸ニッケルを使用することができる。
当該異常結晶析出防止用金属塩は5重量%以下の割合で微量配合され、好ましくは0.01〜3重量%で微量配合される。これらの金属塩を5重量%を越えて配合すると、スズ又はスズ合金皮膜の組成に悪影響が及ぶので、この影響を回避するためには上記範囲内で微量配合することが重要である。
この本発明2の異常結晶析出防止剤においては、前記本発明1の界面活性剤を補助的に添加しても良い。
【0027】
本発明3は、前記本発明1の ( A ) 酸と、同じく本発明1の成分 ( B ) のうちのアルキルアンモニウム化合物及びアリールアンモニウム化合物の少なくとも一種とを組み合わせたものである。前述したように、上記アルキル(又はアリール)アンモニウム化合物はアンモニウムイオンの水素原子が1〜4個のアルキル基(又はアリール基)で置換された第1〜4アルキル(アリール)アンモニウム塩をいうため、本発明3の ( B ) 成分からはEDTA、エチレンジアミン、エタノールアミンなどのアミン系化合物、或はアンモニア、又は硫酸アンモニウム、塩化アンモニウムなどの無機アンモニウム化合物は排除される。
本発明の異常結晶析出防止剤の形態は液状、ペースト状或は粉末状を問わず、粉末状の場合は水溶液などにして使用する。
また、異常結晶析出防止剤には、上記界面活性剤や異常結晶析出防止用金属塩の外に、pH調整剤、不純物金属が共析したり、不純物金属によりメッキ液が劣化するのを防止するための不純物金属隠蔽錯化剤などの各種添加剤を混合することができる。
【0028】
本発明4の異常結晶析出防止方法は、銅箔基材を本発明1〜3のいずれかの異常結晶析出防止剤に接触処理し、次いで当該銅箔基材に無電解スズ又はスズ合金メッキを施すことを基本とするが、この接触処理とは浸漬、塗布又は噴霧などの処理をいう。即ち、液状の異常結晶析出防止剤に銅箔基材を浸漬したり、当該基材表面に噴霧したり、或は、ペースト状の異常結晶析出防止剤を銅箔基材に塗布しても良い。当該銅箔基材とは、TABを始め、各種のプリント基板、フレキシブル・プリント基板などをいい、リードパターンの材質は銅又は銅合金を問わない。
また、上述の通り、本発明のスズ又はスズ合金メッキの方式は無電解メッキである。当該スズ合金は、スズ−鉛合金、スズ−ビスマス合金、スズ−インジウム合金、スズ−アンチモン合金、スズ−亜鉛合金、スズ−ニッケル合金、スズ−コバルト合金、スズ−銀合金、スズ−銅合金などをいう。
さらに、上記異常結晶析出防止処理を行う際の温度や時間の条件は、TABなどのリード幅、リードピッチ幅などや季節などにより異なるが、概ね常温〜80℃程度の温度で、1〜10分程度の時間行うのが好ましい。
尚、通常、スズ又はスズ合金メッキなどを初めとする各種メッキを施す際には、被メッキ物の表面に付着している油脂を除去する脱脂処理や、当該表面に形成されている酸化皮膜を除去する活性化処理などのように、化学的又は物理的な前処理を行うことが多いが、本発明の異常結晶析出防止剤を用いた接触処理(即ち、異常結晶析出防止処理)は、これらの脱脂処理やソフトエッチング処理などとは名称的には概ね区別される概念であるが、技術的思想として本発明の手段によりメッキ直後の異常結晶析出を防止する見地で行う処理は名称の如何に拘わらず実質的に本発明の処理に包含される。
【0029】
【作用】
通常、銅箔の先端や周端部では、微視的に表面がより粗面化して凹凸が増し、或は内部歪みが集中して、いわば銅の活性点が多く発生し易いため、スズ又はスズ合金メッキを施した場合、スズが異常結晶析出する恐れが強い。
本発明では、上記アンモニウム化合物やアミン系化合物などが主にこの銅の活性点に錯化したうえで、酸で洗浄するため、活性点が発生し易い銅の表面を適度に平滑化し、スズの異常結晶析出が防止されるものと推定できる。
また、細密化のためにリード幅が狭くなっている最近のTABなどの銅箔基材において、従来のソフトエッチング処理では銅箔を削り過ぎて強度が低下する恐れが強いが、本発明の異常結晶析出防止剤では、酸にアミン系化合物やアンモニアなどが組み合わされてpHが過剰に低下することがないため、このような弊害も抑制できる。
一方、界面活性剤は異常結晶析出防止剤の浸透力を増し、例えば、リードとベースの樹脂との境界にも強く浸透するべく作用する。
【0030】
【発明の効果】
(1)後述の試験例、或は写真に示すように、酸と過硫酸アンモニウムと界面活性剤を組み合わせた比較例1や、酸とチオ尿素と界面活性剤を組み合わせた比較例2では、スズ又はスズ合金メッキを施した直後の異常結晶析出を円滑に防止できないのに対して、酸とアンモニウム化合物又はアミン系化合物などを組み合わせた本発明では、無電解スズ又はスズ合金メッキを施した直後の異常結晶析出を、充分に実用性のあるレベル、或はそれ以上のレベルで有効に防止できる。
このため、本発明の異常結晶析出防止処理を予め行った銅箔基材にチップなどを実装しても、短絡やボンディング不良などの恐れがなく、小型化、複雑化、多ピン化が進む電子部品にも充分に対応でき、TAB、ファインピッチ・プリント基板を初めとする高密度実装品にもきわめて有効である。
尚、スズホイスカーの成長はメッキ直後のヒゲ形態などの異常結晶析出が原因の一つであることが推定できるため、本発明の異常結晶析出防止処理を行うと、メッキ直後の異常結晶析出を防止するだけではなく、メッキ後の皮膜の経時変化に伴うスズホイスカーの発生を抑制する点でも有益である。
【0031】
(2)本発明1では、異常結晶析出防止剤として、酸と、所定のアンモニウム化合物又はアミン系化合物などに加えて、さらに界面活性剤を添加するので、銅箔基材のリードパターンとベースとなるポリイミドなどの樹脂との境界などへの当該異常結晶析出防止剤の浸透力が増すため、スズ又はスズ合金メッキを施した直後のスズの異常結晶析出を有効に防止できる。
また、本発明2では、酸と、所定のアンモニウム化合物又はアミン系化合物などに加えて、さらに所定の異常結晶析出防止用金属塩を微量配合するので、後述の試験例に示すように、これらの金属塩がアンモニウム化合物やアミン系化合物と共に銅箔基材の活性点に複合的に作用すると推定できるため、メッキ直後の異常結晶析出を有効に防止できる。
さらに、本発明3では、酸と、アルキル(又はアリール)アンモニウム化合物を組み合わせるので、やはりスズ又はスズ合金メッキ皮膜上の異常結晶析出を有効に防止できる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明の異常結晶析出防止剤の実施例を順次説明するとともに、当該異常結晶析出防止剤で銅箔基材を接触処理した後に、無電解スズメッキを施した場合のメッキ直後の異常結晶析出度合の試験例を述べる。
尚、本発明は下記の実施例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
【0033】
下記の実施例1〜3、実施例5、実施例10は酸とアンモニウム塩と界面活性剤を組み合わせた例、実施例6、実施例12〜19は酸と(第1〜第4)アルキル(又はアリール)アンモニウム塩を組み合わせた例、実施例9及び実施例11は酸とアンモニアと界面活性剤を組み合わせた例、実施例4、実施例7〜8は酸とアミン系化合物と界面活性剤を組み合わせた例、実施例8及び実施例11は所定の金属塩を微量配合した例である。
また、比較例1は冒述の従来技術1に準拠して酸と過硫酸アンモニウムとアニオン系界面活性剤を組み合わせた例、比較例2は従来技術2に準拠して酸とチオ尿素と界面活性剤を組み合わせた例である。
【0034】
《実施例1》
下記の組成で異常結晶析出防止剤を調製した。
硫酸(98%) 200g/L
硫酸アンモニウム 100g/L
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 10g/L
【0035】
《実施例2》
下記の組成で異常結晶析出防止剤を調製した。
メタンスルホン酸 250g/L
次亜リン酸アンモニウム 80g/L
β−ナフトールポリエトキシレート(EO15) 8g/L
【0037】
《実施例3》
下記の組成で異常結晶析出防止剤を調製した。
硫酸(98%) 100g/L
リン酸 50g/L
クエン酸アンモニウム 140g/L
ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン 20g/L
【0038】
《実施例4》
下記の組成で異常結晶析出防止剤を調製した。
硫酸(98%) 300g/L
トリエタノールアミン 80g/L
ノニルフェノールポリエトキシレート(EO10) 5g/L
【0039】
《実施例5》
下記の組成で異常結晶析出防止剤を調製した。
安息香酸 150g/L
酒石酸アンモニウム 200g/L
スチレン化フェノールポリエトキシレート(EO18) 8g/L
【0041】
《実施例6》
下記の組成で異常結晶析出防止剤を調製した。
チオ硫酸 150g/L
エチルアンモニウムクロライド 70g/L
【0042】
《実施例7》
下記の組成で異常結晶析出防止剤を調製した。
亜硫酸 170g/L
ヘキサメチレンジアミン 120g/L
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド 10g/L
【0044】
《実施例8》
下記の組成で異常結晶析出防止剤を調製した。
エタンスルホン酸 150g/L
ニトリロ三酢酸(NTA) 80g/L
ステアリルアミンアセテート 5g/L
硫酸ニッケル 8g/L
【0045】
《実施例9》
下記の組成で異常結晶析出防止剤を調製した。
p−フェノールスルホン酸 160g/L
アンモニア 100g/L
オクチルアミンポリエトキシレート(EO8) 12g/L
【0046】
《実施例10》
下記の組成で異常結晶析出防止剤を調製した。
リン酸 100g/L
塩化アンモニウム 50g/L
オクチルフェノールポリエトキシレート(EO10) 5g/L
【0047】
《実施例11》
下記の組成で異常結晶析出防止剤を調製した。
プロピオン酸 140g/L
アンモニア 70g/L
塩化クロム 5g/L
【0048】
《実施例12》
下記の組成で異常結晶析出防止剤を調製した。
クエン酸 180g/L
ブチルアンモニウムクロライド 50g/L
ラウリルアルコールポリエトキシレート(EO15) 10g/L
【0049】
《実施例13》
下記の組成で異常結晶析出防止剤を調製した。
酒石酸 160g/L
ジブチルアンモニウムクロライド 70g/L
ラウリルジメチルアミンオキシド 15g/L
【0050】
《実施例14》
下記の組成で異常結晶析出防止剤を調製した。
シュウ酸 120g/L
ジプロピルアンモニウム硫酸塩 60g/L
α−ナフトールポリエトキシレート(EO15) 10g/L
【0051】
《実施例15》
下記の組成で異常結晶析出防止剤を調製した。
ギ酸 100g/L
トリエチルアンモニウムブロマイド 50g/L
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 12g/L
【0052】
《実施例16》
下記の組成で異常結晶析出防止剤を調製した。
塩酸(36%) 100g/L
トリメチルアンモニウムクロライド 50g/L
【0053】
《実施例17》
下記の組成で異常結晶析出防止剤を調製した。
クエン酸 185g/L
テトラブチルアンモニウムメタンスルホネート 65g/L
【0054】
《実施例18》
下記の組成で異常結晶析出防止剤を調製した。
メタンスルホン酸 200g/L
トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド 55g/L
【0055】
《実施例19》
下記の組成で異常結晶析出防止剤を調製した。
硫酸(98%) 150g/L
ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド 80g/L
【0056】
《比較例1》
下記の組成で前処理剤を調製した。
硫酸 20mL/L
過硫酸アンモニウム 5g/L
ドデシル硫酸ナトリウム 0.5g/L
【0057】
《比較例2》
下記の組成で前処理剤を調製した。
塩酸 3.6g/L
チオ尿素 0.76g/L
オクチルフェノールポリエトキシレート(EO10) 0.5g/L
【0058】
《異常結晶析出防止剤で処理した場合の当該防止度合に関する試験例》
そこで、VLP(電解銅箔の一種)によりパターン形成したTABのフィルムキャリアの試験片(リード幅30μm、リードピッチ幅50μm、リード厚さ18μm)を、実施例1〜19の異常結晶析出防止剤並びに比較例1〜2の前処理剤の溶液に夫々浸漬処理した後に、下記に示す組成の無電解スズメッキ浴に65℃、5分の条件で浸漬してスズメッキを施した。
但し、異常結晶析出防止剤の組成により適正な浸漬条件も異なることから、実施例及び比較例の浸漬条件は次の通りに設定した。
浸漬温度 浸漬時間
実施例1〜8 25℃ 5分
実施例9〜19 60℃ 2分
比較例1 20℃ 20秒
比較例2 70℃ 3分
〔無電解スズメッキ浴〕
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 20g/L
メタンスルホン酸 100g/L
チオ尿素 150g/L
次亜リン酸 30g/L
ノニルフェノールポリエトキシレート(EO12) 5g/L
そして、無電解スズメッキの完了後、直ちに、時間を置かずに各試験片のリード先端(具体的には、デバイスホールに臨むインナリード先端)、並びにリード周端部(具体的には、デバイスホールからアウタリードホールに至る間のポリイミド樹脂で下方から貼着・支持された部分のリードの周端部)におけるスズの異常結晶析出度合を目視観察し、或は電子顕微鏡(日立製作所製S−2460N;観察倍率は500〜5000倍)により微視観察した。
【0059】
上記異常結晶析出度合の観察においては、上述のように、リード先端並びにリード周端部を微視的に観察するとともに、目視によってメッキ外観を俯瞰的に観察した。
当該微視的観察の評価基準は下記の通りである。
◎:スズの異常結晶析出が認められなかった。
○:スズの異常結晶析出がほとんど認められず、少なくとも実用レベルを充分に満たしていた。
×:スズが粒状、ヒゲ状、デンドライト状或は塊状などの形態で、多数異常結晶析出していた。
また、目視観察の評価基準は下記の通りである。
○:概ね白色外観で、金属光沢を呈し、メッキ皮膜の平滑性、緻密性なども良好であった。
×:黒色外観を呈し、メッキ皮膜の平滑性なども損なわれていた。
【0060】
図1はその試験結果を示す。実施例1〜19の異常結晶析出防止剤で予め処理されたTABでは、リード先端及び周端部の微視的観察の評価は全て◎〜○であり、メッキ直後の異常結晶析出を有効に防止でき、当該実施例1〜19の異常結晶析出防止剤で浸漬処理されたTABにチップを実装した場合には、短絡やボンディング不良を有効になくせることが確認できた。
また、実施例1〜19の異常結晶析出防止剤による浸漬処理を行うと、メッキ直後の異常結晶析出を防止できるばかりでなく、数日〜数週間の期間で経時的に発生するスズホイスカーに関しても、当該処理をせずにスズメッキを施した場合に比べて明らかに抑制できることが観察された。
特に、酸とアミン系化合物或はアルキル(又はアリール)アンモニウム化合物とを組み合わせた場合、又は所定の金属塩(ニッケル塩、クロム塩)を微量配合した場合では、評価は全て◎であった。ちなみに、実施例17〜19では、アンモニウム化合物として第4アルキル(又はアリール)アンモニウム塩を使用して、カチオン系界面活性剤としての機能も兼備させているため、異常結晶析出防止剤自体の浸透力が増して異常結晶析出の防止効果が一層向上したものと推定できる。
これに対して、従来技術1に準拠した比較例1(酸と過硫酸アンモニウムと界面活性剤の組み合わせ)並びに従来技術2に準拠した比較例2(酸とチオ尿素と界面活性剤の組み合わせ)では、微視的観察の各評価は×であって、スズメッキ直後の異常結晶析出は円滑に防止できず、当該比較例1〜2で前処理したTABにチップを実装した場合、短絡やボンディング不良を起こす恐れが大きいことが確認できた。
また、上述のようなスズメッキ皮膜の微視的な観察に対して、スズ皮膜の目視による俯瞰的な観察では、実施例1〜19並びに比較例1〜2の評価はともに全て○であって、これらの間に差異はなかった。
【0061】
一方、図2〜図6は、上記リード先端と周端部の微視的状態を電子顕微鏡写真に基づいて具体的に裏付けたものである。
即ち、図2は実施例4におけるリード先端を、図3は実施例1におけるリード周端部を夫々示したものであり、両者ともにスズの異常結晶析出が認められず、リードにはスズ皮膜が良好に析出しており、高い平滑性、緻密性などを具備したメッキ皮膜が確認できた。
これに対して、図4〜図5は2度別々に比較例1(従来技術1に準拠)の前処理を行った後に、スズメッキを施した場合のリード先端を夫々示したものであり、図4ではスズが粒状に、また、図5ではスズがヒゲ状に各々異常結晶析出していることが確認できた。
図6は比較例2(従来技術2に準拠)におけるリード周端部を示し、スズが塊状になって多数異常結晶析出していることが確認できた。
また、図7〜図8は本発明の異常結晶析出防止処理をせずに、直ちにTABにスズメッキを施した、いわばブランク例を示すものであり、この場合には、スズがリード先端にデンドライト状に異常結晶析出し(図7参照)、リード周端部ではデンドライト状並びに塊状になって多数異常結晶析出していた(図8参照)。
【図面の簡単な説明】
【図1】 TABを実施例1〜19の異常結晶析出防止剤及び比較例1〜2の前処理剤で夫々浸漬処理した後に、スズメッキを施した場合の異常結晶析出度合の試験結果を示す図表である。
【図2】 実施例5の異常結晶析出防止剤で処理した場合のTABのリード先端を示す上面視による電子顕微鏡写真である。
【図3】 実施例1の異常結晶析出防止剤で処理した場合のTABのリード周端部を示す上面視による電子顕微鏡写真である。
【図4】 比較例1の前処理剤で処理した場合のTABのリード先端を示す上面視による電子顕微鏡写真である。
【図5】 比較例1の前処理剤で処理して別途試験した場合の図4相当図である。
【図6】 比較例2の前処理剤で処理した場合のTABのリード周端部を示す上面視による電子顕微鏡写真である。
【図7】 本発明の異常結晶析出防止処理をせずに、直ちにスズメッキを施した場合の(即ち、ブランク例に相当する)TABのリード先端を示す上面視による電子顕微鏡写真である。
【図8】 TABのリード周端部を示す図7相当図である。
Claims (4)
- (A)塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、及び有機スルホン酸、有機カルボン酸などの有機酸よりなる酸の少なくとも一種と、
(B)アンモニウム化合物(ペルオキソ系アンモニウム化合物を除く)、アンモニア及びアミン系化合物の少なくとも一種と、
(C)界面活性剤と
を含有することを特徴とする銅箔基材上の無電解スズ又はスズ合金メッキ皮膜における異常結晶析出防止剤。 - (A)塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、及び有機スルホン酸、有機カルボン酸などの有機酸よりなる酸の少なくとも一種と、
(B)アンモニウム化合物(ペルオキソ系アンモニウム化合物を除く)、アンモニア及びアミン系化合物の少なくとも一種と、
(D)ニッケル塩、コバルト塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、アルミニウム塩、クロム塩、マンガン塩、マグネシウム塩よりなる群から選ばれた異常結晶析出防止用金属塩の少なくとも一種と
を含有し、上記金属塩を5重量%以下の割合で微量配合することを特徴とする銅箔基材上の無電解スズ又はスズ合金メッキ皮膜における異常結晶析出防止剤。 - (A)塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、及び有機スルホン酸、有機カルボン酸などの有機酸よりなる酸の少なくとも一種と、
(B)アルキルアンモニウム化合物及びアリールアンモニウム化合物(ペルオキソ系アンモニウム化合物を除く)の少なくとも一種と
を含有することを特徴とする銅箔基材上の無電解スズ又はスズ合金メッキ皮膜における異常結晶析出防止剤。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の異常結晶析出防止剤に銅箔基材を接触処理させた後、無電解スズ又はスズ合金メッキを施すことを特徴とする銅箔基材上の無電解スズ又はスズ合金メッキ皮膜における異常結晶析出防止方法。
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