JP4185653B2 - 鉄−黒鉛複合粉およびその焼結体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はすぐれた機械的性質および機械加工性を有する構造部品の製造に使用される金属粉に関する。特に、本発明は鉄−黒鉛複合粉、その製造方法および粉末冶金製造技術を用いる部品の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属部品は液体金属を鋳造し、あるいは固体を特定形状に成形ないしは機械加工することにより製造されている。可鍛鉄は、そのすぐれた機械加工性、靭性、延性、耐腐食性、強度、磁気特性および均一性により特に有用な材料である。これらの特性は、黒鉛結晶粒集合体が鉄母材中に埋め込まれた構造を有する該可鍛鉄の金属組織学的な微細組織(microstructure)によりもたらされる。しかしながら、可鍛鉄は鋳鉄である。
【0003】
費用がかからず軽量な機械部品に対する要求の高まりから、粉末冶金(P/M)製造技術が従来の製造方法に置き換わりつつある。粉末冶金においては、原料の金属粉体材料は、加圧成形により未処理(未焼結)の圧縮粉を製造したのち焼結に供される。焼結体はさらに圧印加工(coining)、鍛造、熱処理そして場合によっては切断あるいは機械加工に供されて最終金属製品が製造される。例えば、米国特許第5,628,045号には、オーステナイト系および/またはベイナイト系母材(マトリックス)を有する焼結部品を焼結体の選択的冷却(付加的な熱処理)により成形する方法が開示されている。したがって、この方法において用いられる原料金属粉体材料はいくつかの重要な特性を具備しなければならない。該原料金属材料は、プレス成形に適したものでなくてはならず、それゆえ、容認できる硬度と圧縮性とを有しなければならない。粉体の硬度は、その圧縮性に直接影響を与え、より低い硬度はすぐれた圧縮性をもたらす。さらに、原料金属材料から製造された固体金属製品は、機械的強度、靭性および機械加工性の点で有利である。このようにこれらの製品を製造するのに用いられる原料金属材料は、良好な熱処理特性、例えば、焼結性および硬化性をも具備することが求められる。
【0004】
何人かの研究者は、粉末冶金製造において有用であり、かつ、高い黒鉛含有量を有する焼結体を提供する粉体を製造することを試みている。例えば、ヤング(Yang)(粉末冶金および微粒子材料に関する国際会議、1998年6月1日開催)(International Conference on P owder Metallurgy and Particulate Materials,presented June 1,1998)は、粉末冶金(P/M)合金鉄を含有するホウ素および硫黄からなる未処理圧縮粉の黒鉛化により製造される焼結鋼を開示した。該焼結鋼は、黒鉛が焼結体の気孔中に沈殿(析出)しているフェライト状の母材を有していた。該黒鉛は、それが沈殿する気孔の形状に対して製造される黒鉛の形状が依存することから、いわゆる“自由形状(free−form)”の黒鉛であった。
【0005】
ウエノソノ(Uenosono)(粉末冶金および微粒子材料に関する国際会議議事録、1997年6月29日〜7月2日、イリノイ州シカゴ)(Proceedings of the International Conference on Powder Metallurgy and Particulate Materials,June 29−July 2,1997,Chicago,Illinois)は、ヤングのそれと類似しホウ素および硫黄を含有し気孔部位に堆積した黒鉛を有する焼結鋼を開示した。
【0006】
シバナス(Shivanath)(米国特許第5,656,787号)は、焼結体の成形における炭素/鉄混合物の使用について開示した。この場合、該混合物は比較的大きなフェロアロイ粒子により形成される空隙内に分散している比較的小さな炭素粒子からなる。
【0007】
オベコグル(Ovecoglu)(1998年粉末冶金国際ジャーナル)(Intl.J.Powder Metallurgy,1998)は、鉄粉および黒鉛粉の磨砕混練(attrition milling)により鉄−炭素複合合金を形成することを開示している。該鉄−黒鉛粉混合物の長時間にわたる混練(磨砕)は黒鉛が徐々に消失する結果となる。20時間の混合後に得られる該粉のX線回折スペクトルは、該粉体粒子がα−鉄のみを含有することを示している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法では、金属組織学的微細組織あるいは可鍛鉄について所望の特性を有する粉末冶金粉体を製造できない。さらに、これらの方法では、そのような粉体を質的に効率よく製造することができない。したがって、可鍛鉄の利点をもたらすとともに、粉末冶金製造技術を用いて焼結体を製造するのに使用される鉄−黒鉛複合粉を提供することが望まれる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、黒鉛結晶粒集合体を鉄母材中に含有する微細組織を有する新規な鉄−黒鉛複合粉が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、(a)液体鉄を噴霧して微細化鉄粉を形成する工程、(b)該微細化鉄粉を第1段黒鉛化温度まで加熱する工程、および(c)該鉄粉を第1段黒鉛化温度から第2段黒鉛化温度まで冷却する工程を含む上記鉄−黒鉛複合粉の製造方法が提供される。
【0011】
本発明によれば、上記鉄−黒鉛複合粉を焼結する工程を含む方法により製造される焼結体が提供される。さらに、本発明によれば、上記鉄−黒鉛複合粉から製造される後焼結処理が施された焼結体が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の鉄−黒鉛複合粉は、鉄母材中に黒鉛(炭素)結晶粒集合体を含有する微細組織を有する鉄−黒鉛複合粉粒子からなり、該黒鉛結晶粒集合体は、例えば、丸みを帯びた房状あるいは団塊状の部分として、粒子表面に偏在してもよく、あるいは粒子内部に埋め込まれていてもよい。好ましくは、黒鉛結晶粒集合体は焼もどし黒鉛結晶粒集合体である。本発明の好ましい態様においては、鉄−黒鉛複合粉は、黒鉛結晶粒の集合体が鉄母材中に埋め込まれた微細組織を有する複合粉粒子からなる。この場合、複合粉粒子中に存在する黒鉛結晶粒集合体の少なくとも30%が完全に鉄母材中に埋め込まれているのが有利である。即ち、複合粉粒子中に存在する黒鉛結晶粒集合体の70%以下は粒子表面に存在し得る。好ましくは、少なくとも50%の黒鉛結晶粒集合体が完全に鉄母材中に埋め込まれている。より好ましくは、少なくとも60%の黒鉛結晶粒集合体が完全に鉄母材中に埋め込まれている。最も好ましくは、少なくとも70%の黒鉛結晶粒集合体が完全に鉄母材中に埋め込まれている。該複合粉の鉄母材は、フェライト、パーライト、オースフェライト(ausferrite)、ベイナイト、マルテンサイト、オーステナイト、遊離セメンタイト、焼もどしマルテンサイト(tempered martensite)あるいはそれらの混合物により構成されうる。好ましくは、本発明の鉄−黒鉛複合粉は黒鉛結晶粒集合体が実質的にフェライト状の母材(少なくとも60%がフェライト)中に埋め込まれた微細組織を有する。より好ましくは、本発明の鉄−黒鉛複合粉は黒鉛結晶粒集合体がフェライト状母材とパーライト状母材との混合母材(少なくとも80%がフェライト)中に埋め込まれた微細組織を有する。最も好ましくは、本発明の鉄−黒鉛複合粉は黒鉛結晶粒集合体が完全なフェライト状母材中に埋め込まれた微細組織を有する。したがって、本発明の好ましい態様においては、鉄−黒鉛複合粉は可鍛鉄の金属組織学的微細組織を有する。すなわち、該鉄−黒鉛複合粉は、小型化形状の可鍛鉄である。
【0013】
本発明の鉄−黒鉛複合粉は、約2乃至4.5重量%の炭素と約0.05乃至2.5重量%のケイ素とを含有する鉄−炭素−ケイ素合金である。好ましくは、該複合粉は、約3乃至4重量%の炭素と約0.1乃至2重量%のケイ素とを含有する。1つの好ましい態様としては、前記複合粉は約3乃至4重量%の炭素と約0.3乃至2重量%のケイ素とを含有する。黒鉛結晶粒の集合体が鉄母材中に埋め込まれた微細組織を有する本発明にかかる典型的な鉄−黒鉛複合粉は、約3.2乃至3.7重量%の炭素と約0.8乃至1.3重量%のケイ素とを含有する。好ましくは、本発明にかかる鉄−黒鉛複合粉は、黒鉛結晶粒の集合体が鉄母材中に埋め込まれた微細組織を有し、約3.5乃至3.7重量%の炭素および約0.8乃至1.0重量%のケイ素を含有する。本発明の該複合粉および/またはそれを用いて得られる焼結体は当該技術分野において従来から使用されている少なくとも1つの他の合金用元素を含んでもよい。代表的な合金用元素としては、マンガン、ニッケル、モリブデン、銅、クロム、ホウ素、リンあるいはそれらの混合物が挙げられる。本発明の鉄−黒鉛複合粉は、少なくとも1つの合金用元素が微粒化以前に液体鉄中に存在する複合合金粉であってもよい。
【0014】
本発明において有用な液体鉄合金は、少なくとも1つの元素状の合金用元素あるいは合金用元素の少なくとも1つを含む少なくとも1つの合金または化合物を液体鉄と共に溶解することにより調製できる。または、本発明の鉄−黒鉛複合粉は、少なくとも1つの元素状の合金用元素あるいは合金用元素の少なくとも1つを含む少なくとも1つの合金または化合物と黒鉛化複合粉とを混合することによりパウダーブレンドを形成してなる複合パウダーブレンドであってもよい。液体鉄と共に合金にするかあるいは鉄−黒鉛粉と混合することにより上述した粉末状合金あるいはパウダーブレンドを与えるのに有用な元素状合金用元素、合金および/又は化合物は、当該技術分野においてよく知られている。適切な元素状合金用元素(例えば、イオン化していない銅元素(Cu))、適切な合金(例えば、フェロホスホルのようなフェロアロイ)又は所望の合金用元素を含有する適切な化合物(例えば窒化ホウ素)を選択して任意の望ましい元素組成を有する本発明の粉末状合金および/またはパウダーブレンドを提供することは当該技術分野の者の通常の知識の範囲内であると考えられる。
【0015】
本発明の複合鉄粉および/またはそれを用いて得られる焼結体は、約2%未満のマンガン、約4%未満のニッケル、約4%未満のモリブデン、約2%未満のクロム、約0.2%未満のホウ素、約1%未満のリンおよび/または約3%未満の銅を含有してよい。好ましくは、複合粉が銅含有合金であるとき、該合金粉は約1%未満の銅を含有し、また、複合粉が、銅含有パウダーブレンドであるときは、該複合パウダーブレンドは約3%未満の銅を含む。あるいは、複合粉および/または焼結体は、約1%未満のマンガン、約1.5%未満のニッケル、約1.5%未満のモリブデン、約1%未満のクロムおよび/または約0.5%未満のリンを含有してもよい。本発明の複合粉および/または得られる焼結体は、上に列挙した元素のいずれを含んでもよいが、約0.7%未満のマンガンおよび/または約0.15%未満のリンをさらに含んでもよい。別の態様においては、本発明の複合鉄粉および/または焼結体は、上述した元素のいずれかを含むが約1%未満のマンガンを含有している。
【0016】
黒鉛結晶粒集合体が鉄母材中に埋め込まれた微細組織を有する本発明の鉄−黒鉛複合粉は、
(a)液体鉄を噴霧して微粒化鉄粉を形成する工程、
(b)該微粒化鉄粉を第一段黒鉛化温度まで加熱する工程、
および、
(c)該第一段黒鉛化温度から第二段黒鉛化温度まで冷却する工程、
を含む方法により製造される。本発明の製法により調製された鉄−黒鉛複合粉の鉄母材は、フェライト、パーライト、オースフェライト、ベイナイト、マルテンサイト、オーステナイト、遊離セメンタイト、焼もどしマルテンサイトまたはそれらの混合物であってもよい。好ましくは、本発明の方法により製造された鉄−黒鉛複合粉は、実質的に(少なくとも60%の)フェライト状母材中に、より好ましくはフェライト状母材とパーライト状母材との混合母材(少なくとも80%がフェライト)中に、そして最も好ましくは完全なフェライト状母材中に、黒鉛結晶粒集合体が埋め込まれた微細組織を有する。
【0017】
本発明の製造方法の第一工程は、液体鉄を微粒化(アトマイゼーション)して鉄粉を形成する工程からなる。本発明の製法は、各微粒化状態の粒子が均一な化学組成を有する鉄粉を与えるのに有利である。少なくとも炭素およびケイ素を含有する液体鉄合金の微粒化は、各粉体粒子が同一あるいは実質的に同一の炭素およびケイ素濃度を有する鉄粉を与える。微粒化は、水系微粒化技術又はガス系微粒化技術を用いて行われる。好ましくは、水系微粒化技術が用いられ、平均粒径約300ミクロン未満の不規則形状粒子、および、準安定炭化鉄と、オーステナイト、場合によってはさらにマルテンサイトとからなる微細組織を有する鉄粉を提供する。該鉄粉粒子は、微粒化工程における液体鉄の瞬間凝固により生じるオーステナイト母材中の準安定炭化鉄からなる微細組織(構造)を有する。微粒化された粒子の微細組織は化学組成(他のすべての微粒化パラメーターは一定としたとき)に依存する。例えば、炭素濃度が低い鉄粉の微粒化粒子は、典型的により多くのオーステナイトとより少ない堅固な炭化物ネットワークとを有する微細組織を示す。高炭素濃度を有する鉄粉は大量の炭化物ネットワークおよびより少ないオーステナイトを有する微細組織をもつ傾向があり、黒鉛化工程を容易にする。
【0018】
微粒化鉄粉はその後第一段黒鉛化工程と第二段黒鉛化工程とを含む黒鉛化工程に供される。これらの工程においては、2つの異なる変態が生じる。第一の変態は鉄粉中に存在する炭化物の分解および黒鉛(炭素結晶粒集合体)の核生成と成長を含む。第二の変態は鉄粉中の鉄構造の変態と黒鉛結晶粒集合体のさらなる成長とを含む。
【0019】
第一段黒鉛化は加熱工程であり、該工程中、炭化物の分解および過飽和オーステナイト中に存在する過剰炭素により黒鉛(炭素)結晶粒集合体の核生成およびその成長のための炭素が供給される。第一段黒鉛化工程は、鉄粉を約900℃を超えるが該鉄粉の融点よりも低い第一段黒鉛化温度まで加熱する工程を含む。好ましくは、該鉄粉は1000℃を超える第一段黒鉛化温度まで加熱される。この加熱工程は、黒鉛結晶粒集合体の核生成(偏在)が起こる加熱相と、炭化物の分解が完了する随意の保持相とからなる2つの相を含む。得られる粉体粒子中の黒鉛結晶粒集合体の偏在化(すなわち、埋込対表面)の制御は、加熱相中、約650℃から約900℃を超える温度、好ましくは約1000℃を超える温度までの加熱速度を制御することによりなされる。本発明のより好ましい態様においては、鉄−黒鉛複合粉は、約650℃から約900℃を超える温度まで、少なくとも30%の黒鉛結晶粒集合体の核生成が粒子内部で局所的に起こるような、すなわち、複合粉粒子中に生成した少なくとも30%の黒鉛結晶粒集合体が鉄母材中に完全に埋め込まれるような速度で加熱される。好ましくは、鉄−黒鉛複合粉は約650℃から約900℃を超える温度まで、少なくとも50%の黒鉛結晶粒集合体が鉄母材中に完全に埋め込まれる速度で加熱される。より好ましくは、鉄−黒鉛複合粉は約650℃から約900℃を超える温度まで、少なくとも60%の黒鉛結晶粒集合体が鉄母材中に完全に埋め込まれる速度で加熱される。最も好ましくは、鉄−黒鉛複合粉は、少なくとも70%の黒鉛結晶粒集合体が鉄母材中に完全に埋め込まれる速度で加熱される。鉄粉の温度が約850℃と第一段黒鉛化温度との間の温度に達した後、該鉄粉は、該温度範囲内あるいは第一段黒鉛化温度で、鉄粉中に存在する炭化物の分解を行うのに十分な時間保持されるのがよい(保持相)。好ましくは、鉄粉は、炭化物の完全分解が第一段黒鉛化工程中に達成されるように処理される。しかしながら、一定残存量(約10%まで)の炭化物を含有する鉄−黒鉛複合粉は本発明の範囲に包含され、本書において述べる完全にあるいは実質的に完全に緻密な焼結体を製造するのに有用である。いったん所望の炭化物分解の程度が得られると、鉄粉試料は第二段黒鉛化工程に供してよい。
【0020】
好ましくは、上記加熱工程は、鉄−黒鉛複合粉試料の化学組成および粉体の微粒化状態での構造に応じて、該粉が、約650℃から約900℃、好ましくは約1000℃、を超える第一黒鉛化温度まで、該鉄粉粒子のコア中での黒鉛結晶粒集合体の核生成をもたらすのに十分な速度で加熱され、必要に応じて、該粉試料は、約850℃と約900℃(好ましくは約1000℃)を超える温度との間の温度あるいは約900℃(好ましくは約1000℃)を超える温度で、粉体中の炭化物の完全な分解をもたらすのに十分な時間保持されるように調節されるのがよい。例えば、約3.2乃至3.7重量%の炭素および約0.8乃至1.3重量%のケイ素あるいは好ましくは、約3.5乃至3.7重量%の炭素と約0.8乃至1.0重量%のケイ素とを含有する鉄−黒鉛複合粉は、約650℃から約900℃、好ましくは約1000℃、を超える温度まで約30℃/分を超える速度で加熱されることにより、該粉体粒子のコア中で30%を超える黒鉛結晶粒集合体の沈殿/核生成を達成できる。すなわち、約30℃/分を超える速度での加熱は、粉末状粒子中に存在する黒鉛結晶粒集合体のうち30%を超える部分が鉄母材中に完全に埋め込まれた鉄−黒鉛複合粉を与える。そのような粉体にとって、30℃/分未満の加熱速度は、70%を超える黒鉛結晶粒集合体の偏在/核生成が粉体粒子表面で起こる結果となる。鉄粉試料は、約900℃を超える温度、好ましくは1000℃を超える第一段黒鉛化温度に達した後、該第一段黒鉛化温度で約5分乃至約16時間の間保持され、該鉄粉中の炭化物の分解が完了する。
【0021】
第二段黒鉛化工程は、鉄粉中の鉄組織の変態ならびに黒鉛結晶粒集合体の成長のための核生成部位への炭素の拡散が起こる第一段黒鉛化温度から第二段黒鉛化温度への鉄粉の制御冷却工程を含む。具体的には、本発明における第二段黒鉛化処理は、700℃を超える温度から、好ましくは約800℃未満(ただし700℃を超える)の温度から第二段黒鉛化温度への鉄粉の制御冷却工程を含む。本発明の該工程においては、鉄粉は、適切な第二段黒鉛化工程まで、核生成部位への炭素の拡散をもたらし黒鉛結晶粒集合体の成長を確保するのに十分な全体的な速度で冷却され、このようにして、鉄粉中の鉄組織の(例えばオーステナイトからフェライト、オーステナイトからパーライト、およびパーライトからフェライトへの変態を含む実質的にフェライト状の微細組織への)変態をもたらし、黒鉛結晶粒集合体が鉄母材中に埋め込まれた微細組織を有する複合粉を形成する。このようにして形成された複合鉄粉は、室温あるいはその後の取扱い(例えば、焼結品への加工、包装等)に適した任意の温度まで冷却してよい。第二段黒鉛化工程の制御冷却は、連続冷却工程(例えば、コンベヤーベルト上で、鉄粉を、微分加熱炉または連続してより低温側に加熱されるように配置された一連の隣接する炉の中を通過させることにより行われる)あるいは別々の冷却および保持工程からなる段階冷却工程(例えば、単一炉中で鉄粉を保持し段階的に炉の温度を低下させることにより行われる)。上記炉の部分間、炉と炉の間あるいは一つの炉での温度設定の間における温度差は、鉄粉を所望の全体冷却速度より早い速度で一時的に冷却する場合がある。しかしながら、図1に示すように、適切な全体冷却速度は、急速冷却の時間間隔とその後の非冷却の(すなわち、鉄粉を選択温度で保持する)時間間隔とを含む冷却工程により達成できる。例えば、約3.2乃至3.7重量%の炭素および約0.8乃至1.3重量%のケイ素、あるいは好ましくは、約3.5乃至3.7重量%の炭素および約0.8乃至1.0重量%のケイ素を含有する鉄粉は、700℃を超える温度、好ましくは約800℃未満の温度から第二段黒鉛化温度まで、10℃/分未満の全体冷却速度で冷却することにより、粉体粒子中の鉄組織の変態、炭素の拡散および黒鉛結晶粒集合体の成長をもたらすことができる。そのような粉体にとって、約10℃/分を超える速度での冷却は、オーステナイトからフェライトへの変態にとって十分な時間を与えることができない、すなわち、炭素のある部分は鉄母材中に残ってしまい、黒鉛結晶粒集合体の成長は完全なものではない。
【0022】
約600℃を超える温度は第二段黒鉛化温度に適しているが、該温度は複合粉中における合金用元素の有無および/または濃度に依存して変化する。好ましくは、第二段黒鉛化温度は650℃よりも高い方がよく、より好ましくは、約700℃以上である。本発明の複合粉中における合金用元素の有無および/または濃度が、上記制御冷却が行われる温度(第二段黒鉛化温度)だけでなく、第二段黒鉛化温度から室温へ冷却したあとで、制御冷却により得られる複合粉の鉄母材にも影響するかもしれないということは当業者に認識されるであろう。例えば、約3.2乃至3.7重量%の炭素および約0.8乃至1.3重量%のケイ素、あるいは好ましくは、約3.5乃至3.7重量%の炭素および約0.8乃至1.0重量%のケイ素を含有する鉄粉に関し、第二段黒鉛化温度は約700℃を超え、全体冷却速度は10℃/分未満、好ましくは4℃/分未満である。本書における教示内容に鑑みれば、鉄粉中の合金用元素の性質および濃度に応じて上述した第二段黒鉛化温度を変更し、所望の鉄母材中に黒鉛結晶粒集合体が埋め込まれた微細組織を有する複合鉄粉を得ることは当該技術分野の者の通常の知識の範囲内であると考えられる。
【0023】
第二段黒鉛化工程は、第一段黒鉛化工程の直後に行われてもよいし、後で別の工程として行われてもよい。例えば、第二段黒鉛化工程の制御冷却は、約900℃を超える第一段黒鉛化温度から第二段黒鉛化温度まで、鉄粉の温度が直接低下するように行ってもよく、700℃を超える温度、好ましくは約800℃未満の温度から第二段黒鉛化温度への鉄粉の冷却速度は、炭素の核生成部位への拡散をもたらし黒鉛結晶粒集合体の成長を確保するのに十分であり、鉄粉中の鉄組織の変態をもたらす結果となる。あるいは、第二段黒鉛化工程は、鉄粉試料の再加熱からなる別の工程として行ってもよい。例えば、鉄粉試料を、まず約900℃を超える第一段黒鉛化温度まで加熱し、約600℃未満の温度(例えば室温)まで冷却し、少なくとも700℃を超える温度まで再加熱したのち、第二段黒鉛化工程の制御冷却に供してもよく、700℃を超える温度から第二段黒鉛化温度への鉄粉の冷却速度は、炭素の核生成部位への拡散をもたらし黒鉛結晶粒集合体の成長を確保するのに十分であり、結果的に鉄粉中の鉄組織の変態をもたらす。好ましくは、鉄粉は約800℃を超える室温まで再加熱されるのがよく、これによりパーライトからオーステナイトへの急速な変態が確保される。
【0024】
したがって、鉄母材中に黒鉛結晶粒集合体が埋め込まれた微細組織を有する粒子からなる鉄−黒鉛複合粉は、微粒化鉄粉から連続冷却工程を用いて調製することができる。該連続冷却工程は、
(a)微粒化鉄粉を約900℃を超える温度まで加熱する工程と、
(b)約900℃を超える温度から約600℃を超える温度まで該粉を冷却する工程とを含む。
【0025】
この工程においては、鉄粉は、約650℃から約900℃を超える温度まで、粉体粒子のコア中での黒鉛結晶粒集合体の核生成を可能にするのに十分な速度で加熱され、必要に応じて、約850℃および約900℃を超える温度間あるいは約900℃を超える温度で、鉄粉中の炭化物の所望の分解度を達成するのに十分な時間保持される。その後、該鉄粉は、700℃を超える温度、好ましくは約800℃未満(但し、700℃を超える)温度から約600℃を超える温度まで、鉄粉内での鉄組織の変態を達成し、かつ黒鉛結晶粒集合体の成長をもたらすのに十分な速度で冷却される。すなわち、鉄粉は、約650℃から約900℃、好ましくは約1000℃、を超える温度まで、粉体粒子のコア内での黒鉛結晶粒集合体の核生成を可能にするのに十分な速度で加熱され、必要に応じて、約850℃と第一段黒鉛化温度との間の温度あるいは第一段黒鉛化温度で、鉄粉中の炭化物について所望の分解の程度を与えるのに十分な時間保持された後、約900℃、好ましくは約1000℃、を超える第一黒鉛化温度から700℃を超える温度、好ましくは約800℃未満の温度まで冷却され、さらに700℃を超える温度、好ましくは約800℃未満の温度から約600℃を超える第二段黒鉛化温度まで、鉄粉中の鉄組織の変態および核生成部位への炭素の拡散をもたらすのに十分な速度で冷却され、これにより黒鉛結晶粒集合体が鉄母材中に埋め込まれた微細組織を有する複合粉を生成する。例えば、約3.2乃至3.7重量%の炭素および約0.8乃至1.3重量%のケイ素、あるいは好ましくは約3.5乃至3.7重量%の炭素および約0.8乃至1.0重量%のケイ素を含有する粉体にとって、該粉を、約650℃から約1000℃を超える温度まで30℃/分を超える速度で加熱し、約1000℃を超える該温度で約5分乃至16時間の間保持した後、10℃/分未満、好ましくは4℃/分未満の速度で約700℃を超える温度まで冷却することは、黒鉛結晶粒集合体が鉄母材中に埋め込まれた微細組織を有する複合粉を形成するのに十分である。
【0026】
該冷却工程は、さらに、
(1)該粉を約900℃を超える温度から約600℃未満の温度まで冷却する工程と、
(2)該粉を約700℃を超える温度まで再加熱する工程と、
(3)該粉を約700℃を超える温度から約600℃を超える温度まで冷却する工程とを含んでもよい。好ましくは、該粉は800℃を超える温度まで再加熱されたのち、上述したやり方で700℃以上の温度まで冷却される。
【0027】
微粒化鉄粉から鉄−黒鉛複合粉を製造するための本発明の方法の別の態様は、段階冷却および保持工程を含んでおり、該工程は、
(a)微粒化鉄粉を約900℃を超える温度まで加熱する工程と、
(b)約900℃を超える温度から約600℃を超える温度まで該粉を冷却する工程とを含み、該冷却工程においては、
(i)該粉を約900℃を超える温度から約600℃を超える温度まで冷却し、約600℃を超える該温度で保持する工程と、
(ii)必要に応じて該粉を約600℃を超える該温度から約600℃を超える他の温度まで冷却し、該冷却後の約600℃を超える他の温度で保持する工程と、
(iii)必要に応じて該工程(ii)を繰り返す工程とからなる冷却および保持の組み合わせ工程(i)〜(iii)の少なくとも一を行う。本発明の製法のこの態様においては、鉄粉は、約650℃から約900℃を超える温度まで、粉体粒子のコア中での黒鉛結晶粒集合体の核生成を可能にするのに十分な速度で加熱され、必要に応じて、約850℃および約900℃を超える温度間あるいは約900℃を超える温度で、鉄粉中の炭化物の所望の分解度を達成するのに十分な時間保持される。その後、該鉄粉は、約900℃を超える温度から700℃を超える温度まで冷却された後、前記冷却および保持の組合せ工程を用いて、700℃を超える温度から約600℃を超える温度まで、鉄粉内での鉄組織の変態を達成し、黒鉛結晶粒集合体の成長をもたらすのに十分な速度で冷却される。この段階冷却保持工程は、さらに、
(1)該粉を約900℃を超える温度から約600℃未満の温度まで冷却する工程、
(2)該粉を約700℃を超える温度まで再加熱する工程、
(3)該粉を約700℃を超える温度から600℃を超える温度まで冷却する工程、
(4)該粉を約600℃を超える該温度で保持する工程、
および
(5)必要に応じて前記工程(ii)および(iii)を繰り返す工程、
を含んでもよい。好ましくは、該粉は、800℃を超える温度まで再加熱されたのち、700℃以上の温度まで冷却される。上記段階冷却/保持工程は、典型的には2回あるいはそれ以上の冷却および保持の組み合わせ工程の繰り返しからなり、該粉の温度を低下させたのち、該低下後の温度で、鉄粉中の鉄組織の変態および核生成部位への炭素の拡散をもたらすのに十分な時間保持することを特徴としている。
【0028】
後述する実施例1では、3回の冷却/保持のサイクルからなる段階冷却/保持工程について記載しており、約900℃を超える第一段黒鉛化温度から約600℃を超える第二段黒鉛化温度までの全体冷却速度は、2℃/分よりも遅く、700℃を超える温度(例えば、760℃)から600℃を超える温度(例えば、700℃)までの全体冷却速度は、1℃/分よりも遅かった。この実施例においては、上記鉄粉は、少なくとも1.25時間/サイクルで約700℃以上の3つの低下温度レベル(具体的には760℃、730℃および700℃)の各々で保持された。
【0029】
本発明の製造方法においては、鉄粉中のケイ素濃度は、本発明において得られる上記複合粉の微細組織を変更するのに用いることができる。ケイ素は、炭素の核生成部位の形成を促進する。微粒化鉄−黒鉛複合粉中の高濃度のケイ素は、急速な黒鉛の核生成をもたらすより多くの核生成部位を与えるが、より低濃度のケイ素では、核生成部位がより少なくなり、結果的に比較的遅い黒鉛核生成をもたらす。上述した加熱ならびに冷却段階において、これらのケイ素濃度の効果は、その間にわたって製造される鉄−黒鉛複合粉が有する微細組織および所望の微細組織を得るのに要する合計時間にも同様に影響を与える。しかしながら、得られる鉄−黒鉛複合粉の微細組織に対するケイ素の効果は、該複合粉が約3.4%を超える濃度の炭素を含有する時には減少する。
【0030】
該複合粉の鉄組織の変態(例えば、オーステナイトからフェライトへの変態)は、オーステナイト中の炭素の黒鉛結晶粒集合体への急速な拡散(短い拡散路)により、高濃度の核生成部位(高ケイ素濃度、例えば、重量で1%を超えるケイ素)を含有する鉄粉中においては、急速におこりうる。一方、比較的長い冷却時間を必要とする低濃度の核生成部位(低ケイ素濃度、例えば0.5重量%未満のケイ素)を含有する鉄粉中においては、オーステナイトのフェライトへの変態は非常にゆっくりとおこりうる。低ケイ素濃度および低炭素濃度を有する微粒化鉄の黒鉛化は、炭素が黒鉛結晶粒集合体へ拡散するのに長時間(オーステナイト中における炭素の長い拡散路)を要するためゆっくりとしたオーステナイトからパーライトへの変態、さらにはフェライト/パーライト混合物への変態をもたらす結果となる。低ケイ素濃度および高炭素濃度を有する微粒化鉄粉の黒鉛化は、黒鉛結晶粒集合体の核生成の増加(高炭素(C)濃度)がオーステナイト中における核生成部位への炭素の拡散路の短縮をもたらすので、結果としてより急速なオーステナイトのフェライト/パーライト混合物への変態をもたらす。したがって、本発明の方法により製造される複合粉の微細組織は、鉄−黒鉛複合粉中のケイ素および炭素濃度さらには上記冷却工程が行われる時間を変更することによって影響を受けるであろう。
【0031】
さらに、上記工程を実施する雰囲気を、本発明において製造される複合粉の微細組織に影響を与えるのに用いることもできる。例えば、核生成が生じる雰囲気および速度を変更することにより、工程中における鉄−黒鉛複合粉の脱炭素の速度に影響を与えることができる。脱炭素は、炭素と酸素との反応であり、黒鉛結晶粒集合体の生成に利用できる炭素の量を減少させる。したがって、高いケイ素および炭素濃度と約650℃から約1000℃を超える範囲の温度への該複合粉の急速な加熱は、コアとなる黒鉛の核生成を促進するとともに、鉄母材中においてより多くの量の炭素を隔離する機能を果たし、それによって酸素との反応(脱炭素)に利用可能な炭素の量を減少させる。また、実質的に酸素のない雰囲気中で上記黒鉛化工程を行うことは、脱炭素を最小限度にする。実質的に酸素のない雰囲気は、約3.0%未満の酸素、好ましくは約1.0%未満の酸素を含む。該実質的に酸素のない雰囲気は、アルゴン、窒素、ヘリウム、水素、あるいはそれらの混合物の雰囲気であってもかまわない。あるいは、該雰囲気は、絶対圧力として約30mmHg未満の圧力の真空であってもよい。好ましくは、上記工程は、アルゴンあるいは窒素雰囲気中で行われるのがよい。最も好ましくは、上記工程は窒素雰囲気中で実施されるのがよい。
【0032】
雰囲気を変えて上記黒鉛化工程を実施すると、異なる微細組織を有する鉄−黒鉛複合粉を製造することができる。例えば、水素は高い熱伝導率をもつ。したがって、上記冷却工程が水素又は解離アンモニア雰囲気下で行われる時、該粉の急速冷却が生じうる。もし、該冷却工程の全体の冷却速度が非常に速いならば、不完全な黒鉛化部分(実質的にフェライト状母材とはいえない部分、例えば60%未満のフェライト)を有する微細組織をもつ製品が形成されるであろう。粒子表面に存在する黒鉛核生成量は表面に存在する酸素の量に依存する。したがって、上記制御冷却工程は、複合粉組織の実質的なフェライト状母材(たとえば60%のフェライト)への変態および粒子内部での黒鉛結晶粒集合体の成長に十分な時間を与えるように変更されるのがよい。例えば、上記冷却工程は、より長い冷却又は冷却/保持時間を与えることにより約10℃/分未満又は必要であれば約4℃/分未満の全体としての冷却速度となるように変更されうる。そのような雰囲気下において存在する水素(H2)による微粒化の間に形成される表面酸化物の急速な還元は、黒鉛核生成が粒子内部よりもむしろ粒子表面で生じる微細組織(後述する比較例1)をもたらす結果となる。したがって、上記制御冷却工程は、約10%未満の水素を含む実質的に酸素のない雰囲気で実施される。
【0033】
本書における教示内容を考慮すれば、鉄母材中に埋め込まれた黒鉛結晶粒集合体からなる微細組織を有する鉄−黒鉛複合粉を提供するために、鉄粉組成、該粉の加熱温度、加熱速度および所望の炭化物分解レベルを得るための(保持相での)保持時間、さらには冷却の速度および方法を、日常的な実験を通して調整することは当該技術分野の者の通常の知識の範囲内であると考えられる。鉄−黒鉛複合粉試料の微細組織は、従来の手法、すなわち、該粉体試料を適当な媒体に埋め込み、得られる試料を研磨したのち、顕微鏡観察下、粒子の組織を視覚的に検査することによって決定することができる。例えば、粉体試料をエポキシ樹脂マウント(媒体)中に真空含浸法により埋め込み、粒度1200番のSiC(炭化ケイ素)紙および3種類のダイヤモンドペースト(6ミクロン、3ミクロン、1ミクロン)を用い順次研磨する。かかる処理後の粉体試料粒子の断面を転倒光学金属顕微鏡により観察して微細組織を決定できる。粉体試料は、必要に応じて3%のナイタル(nital)(濃硝酸のアルコール溶液)をエッチャントとしてエッチングを行った後に顕微鏡分析に供してもよい。
【0034】
このようにして形成された可鍛鉄の金属組織学的微細組織を有する鉄−黒鉛複合粉は、焼結品、例えば、すぐれた機械加工性、強度および靭性を有する金属部品を製造するための粉末冶金技術において使用されうる。したがって、粉末冶金処理に適するようにするために、本発明の鉄−黒鉛複合粉は約300ミクロン未満の平均粒径を有する。仮に、該複合粉が複合パウダーブレンドであったとすると、配合される成分(基本合金用元素、合金用元素、上述した合金用元素を含有する合金又は化合物)もまた、約300ミクロン未満の平均粒径をもつこととなる。本書において言及する鉄−黒鉛複合粉は、上記鉄−黒鉛複合粉をプレス成形することにより未焼結の圧縮粉(green compact)を形成したのち該圧縮粉を焼結することからなる一般的な従来の製法に従う焼結工程に供される。このようにして形成された焼結体はそれからさらに後焼結処理、例えば、(焼入れ、焼もどしおよびそれらに類する処理のような)熱処理、圧印加工、鍛造および切断あるいは機械加工を施し、最終製品を製造してもよい。このようにして形成された焼結体は、鉄母材中に埋め込まれた黒鉛結晶粒集合体を含む可鍛鉄の金属組織学的微細組織を有しており、該鉄母材は、フェライト、パーライト、オーステナイト、ベイナイト、マルテンサイト、焼もどしマルテンサイトあるいはこれらの混合物でありうる。焼結品中の黒鉛結晶粒集合体の大きさは、該焼結品を製造するのに用いられる粉体の黒鉛結晶粒集合体の大きさと同様である。したがって、鋳造可鍛鉄(可鍛鋳鉄)から製造した製品と比較して、本発明の方法により製造された焼結品は、鉄母材の全体にわたって小型化黒鉛結晶粒集合体が分散した組織を有する。
【0035】
本発明の鉄−黒鉛複合粉の融点が従来の鉄粉の融点よりもかなり低いということに着目するのは重要なことである。例えば、0.94重量%のケイ素と3.29重量%の炭素とを含む本発明の鉄−黒鉛複合粉の融点は約1150℃乃至1225℃である。これに対して、従来の鉄粉は、1400℃という高い温度で何ら融解の形跡を残すことなく焼結されうる。したがって、本発明の鉄−黒鉛複合粉の焼結は、約1140℃を超え約1200℃未満という比較的低い温度で行うことができる。鉄−黒鉛複合粉試料が該粉の液相線温度付近の温度で焼結される時、ある種の液相焼結がおこりうる。この液相焼結の発生は、高密度の焼結体の形成をもたらす。したがって、本発明の鉄−黒鉛複合粉を用いて約1140℃を超え約1200℃未満の温度で製造された焼結体は、十分に稠密なあるいは実質的に十分に稠密な材料を与えることが可能だが、約1140℃未満の温度での焼結は十分に密とはいえない焼結体を与える。例えば、約3.2乃至3.7重量%の炭素と約0.8乃至1.3重量%のケイ素とを含有する本発明の鉄−黒鉛複合粉を用いて製造し、約1155℃の温度で焼結した焼結圧縮粉の光学的な金属組織学により、該焼結体は実質的に無気孔であることが明らかになった。
【0036】
本発明の他の態様は、オーステンパ処理された鋳鉄(austemperedcast iron)の微細組織を有する焼結体に関する。高濃度の炭素およびケイ素を含有するオーステンパ処理された延性鉄は、良好な引張および疲れ強さ、延性、靭性、耐摩耗性および機械加工性を有する。オーステンパ処理鋳鉄はオースフェライトからなり、個々の板状フェライトが炭素に富んだオーステナイト層によって分離されている混合組織を特徴とする。
【0037】
本発明の該オーステンパ処理された焼結体は、焼結体を後焼結用熱処理に供することによって製造される。例えば、オーステンパ処理された焼結体は、
(a)焼結体を約825℃乃至約950℃の範囲の温度まで加熱する工程、
(b)該焼結体を約150℃乃至約450℃の範囲の温度まで冷却する工程、および
(c)該焼結体を約150℃乃至約450℃の範囲の該温度で約15乃至60分間保持する工程を含む製法により焼結体から製造することができる。このように処理された焼結体はその後室温まで冷却される。
【0038】
有利なことに、本発明の鉄−黒鉛複合粉から形成される焼結体はすぐれた機械加工特性を有する。従来においては、良好な機械加工特性をもつ焼結体を提供するために、硫化マンガンや窒化ホウ素のような付加的な化合物が鉄粉に対して添加されていた。本発明の鉄−黒鉛複合粉から製造される焼結体は、これらの添加化合物なしにすぐれた機械加工特性を有する。本発明の製造方法がもたらす結果として、複合粉の黒鉛結晶粒集合体は焼結体の微細組織中において保持され、機械加工中は潤滑剤として機能する。
【0039】
以下の実施例は、本発明における好ましい態様の例として挙げられており、本発明を何ら限定するものではない。
【0040】
<参考例1>
0.94%のケイ素と3.29%の炭素とを含有する液体鉄の水系微粒化(water−atomization)により鉄粉を製造した。該水系微粒化鉄粉を完全に乾燥したのち、リンドバーグ管状炉(Lindberg tubular furnace)中で加熱した。該炉は、セラミック製るつぼ中に入れた10乃至15gの粉体からなる乾燥微粒化粉体試料を導入する前に、高純度アルゴン(純度:99.99%)を用いて5回浄化(パージ)した。黒鉛化は、アルゴン雰囲気(99.99%)中で鉄粉試料一式を1020℃の温度まで、4時間、8時間あるいは16時間加熱して行った。このようにして製造した試料の黒鉛化度は、従来の手法を用いてコンピューター画像解析により決定した。4時間、8時間および16時間加熱した上記鉄粉試料中に生成した黒鉛の体積は、それぞれ、7.9%、8.3%および10.2%であった。
【0041】
<実施例1>
0.94%のケイ素と3.29%の炭素とを含有する液体鉄の水系微粒化により鉄粉を製造した。該水系微粒化鉄粉はその後完全に乾燥した。該鉄粉の5つの試料を、1020℃で真空雰囲気下(約30mmHg(絶対圧力)未満)リンドバーグ管状炉中で連続的に加熱し、該温度で3時間保持した後、約4時間の段階冷却/保持工程において冷却した。具体的には、該試料を、1020℃から約760℃まで冷却したのち該温度で約1.25時間保持し、その後約730℃まで冷却したのち該温度で約1.25時間保持し、さらに約700℃まで冷却したのち該温度で約1.5時間保持した。該試料はその後室温まで冷却した。図1は、本実施例における黒鉛化工程についての時間−温度の関係を示すグラフであり、図2は、この黒鉛化工程により得られた鉄粉試料(5試料の)1つについての最終的な微細組織を示す。該粉の黒鉛化度は参考例1で述べた方法を用いて決定した。得られた5つの鉄−黒鉛複合粉試料は、約10%の平均黒鉛体積を示した。
【0042】
製造した鉄−黒鉛複合粉試料の硬度は、アトメット(ATOMET)(登録商標)29およびアトメット1001(いずれもカナダ国ケベック州トレーシーのケベックメタルパウダーズ社から入手可能)の硬度と比較して評価した。本発明の鉄−黒鉛複合粉、アトメット29およびアトメット1001は、それぞれ硬度値として、100VHN50gf、98VHN50gfおよび83VHN50gfを示した。ここで、“VHN50gf”は、硬度値が、50グラム重の荷重をかけて測定したビッカース硬度であることを意味し、該ビッカース硬度は、ASTM E−384(ビッカース硬度試験)に準拠して測定した値である。
【0043】
<実施例2>
実施例1で述べた水系微粒化鉄粉の1つの試料を、加熱工程を2時間行い段階冷却(保持)工程を約2時間行った以外は実施例1の手順に従い処理した。具体的には、該試料を、1020℃から約760℃まで冷却したのち該温度で約0.5時間保持し、その後約730℃まで冷却したのち該温度で約0.5時間保持し、さらに約700℃まで冷却したのち該温度で約1時間保持した。該試料は、その後室温まで冷却した。図3に示すように、本実施例の黒鉛化工程により得た鉄粉試料の微細組織は、約80%のフェイラトおよび約10%のパーライトとからなるフェライト/パーライト母材と約10%の黒鉛結晶粒集合体としての黒鉛とによって構成されていた。
【0044】
<実施例3>
1.33%のケイ素と3.32%の炭素とを含有する液体鉄の水系微粒化により鉄粉を製造した。該水系微粒化鉄粉は、そのあと完全に乾燥してから、1020℃で真空雰囲気下(約30mmHg(絶対圧力)未満)リンドバーグ管状炉中で加熱し、該温度で0.25時間保持した後、約1時間段階冷却(保持)工程において冷却した。具体的には、該試料を、1020℃から約760℃まで冷却したのち該温度で約0.5時間保持し、さらに約700℃まで冷却したのち該温度で約0.5時間保持した。該試料はその後室温まで冷却した。上記黒鉛化工程を経て得た鉄−黒鉛複合粉試料の微細組織は、黒鉛結晶粒集合体が中に埋め込まれた完全なフェライト母材により構成されていた。
【0045】
<実施例4>
1.33%のケイ素と3.32%の炭素とを含有する液体鉄の水系微粒化により鉄粉を製造した。該水系微粒化鉄粉をそのあと完全に乾燥してから、1020℃で窒素雰囲気下リンドバーグ管状炉中で加熱し、該温度で0.25時間保持した後、約1.25時間段階冷却(保持)工程において冷却した。具体的には、該試料は、1020℃から約760℃まで冷却したのち該温度で約0.25時間保持し、その後約740℃まで冷却したのち該温度で約0.25時間保持し、そして約730℃まで冷却したのち該温度で約0.25時間保持し、さらに約720℃まで冷却したのち該温度で約0.25時間保持し、その後さらに約700℃まで冷却したのち該温度で約0.25時間保持した。該試料をその後室温まで冷却した。上記黒鉛化工程を経て得た鉄−黒鉛複合粉試料は、黒鉛結晶粒集合体が中に埋め込まれた完全なフェライト母材からなる微細組織を示した。
【0046】
<実施例5>
実施例1の手順に従って製造された鉄−黒鉛複合粉の1試料を110,200psiの圧力で圧縮したのち該圧縮粉を1155℃の温度で焼結することにより標準横(方向)破断試料(standard transverse rupture specimen)を製造した。同様に、0.9重量%の黒鉛を混合したアトメット29からなる比較用標準横破断試料を用意した。ASTM B−528−839に準じて行った破断試験において、上記(本発明の)鉄−黒鉛複合粉が焼結横破断強度(sintered traverse rupture strength)として154,553(lb/in2)を示したのに対して、アトメット29(+0.9重量%の黒鉛)比較用試料は119,809(lb/in2)の焼結横破断強度を示した。
【0047】
<比較例1>
1.33%のケイ素と3.32%の炭素とを含有する液体鉄の水系微粒化により鉄粉を製造した。該水系微粒化鉄粉はそのあと完全に乾燥してから、1020℃で解離アンモニア雰囲気下(75%H2/25%N2)リンドバーグ管状炉中で加熱し、該温度で0.25時間保持した後、約1.66時間段階冷却(保持)工程において冷却した。具体的には、該試料を、1020℃から約760℃まで冷却したのち該温度で約0.5時間保持し、その後約740℃まで冷却したのち該温度で約0.33時間保持し、そして約720℃まで冷却したのち該温度で約0.33時間保持し、さらに約700℃まで冷却したのち該温度で約0.5時間保持した。該試料はその後室温まで冷却した。図4に示すように、本比較例の黒鉛化工程を経て得た鉄粉試料の微細組織は、その粉末粒子の表面に黒鉛結晶粒集合体の大部分が偏在するフェライト/パーライト母材により構成されていた。
【0048】
日常的な実験により当業者にとって自明な他の変形または変更も本発明の範囲および教示内容に含まれる。本発明は、前記特許請求の範囲の記載を除き特に限定されるものではない。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、鉄系母材中に黒鉛結晶粒集合体、好ましくは焼もどし黒鉛結晶粒集合体、が埋め込まれた微細組織を有する鉄−黒鉛複合粉粒子からなる鉄−黒鉛複合粉が提供でき、該複合粉を適切に熱処理することにより、すぐれた機械的強度、靭性、機械加工性等を有する焼結体(例えば、金属部品)を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1で利用した黒鉛化工程における時間−温度の関係を示すグラフである。
【図2】本発明の実施例1において真空雰囲気下で行った黒鉛化工程により得た約10%の黒鉛を含有する鉄粉試料のフェライト状微細組織を示す顕微鏡写真である。
【図3】本発明の実施例2において得られた約80%のフェライト、10%の黒鉛および10%のパーライトからなる鉄粉試料の微細組織を示す顕微鏡写真である。
【図4】比較例1における解離アンモニア(N2/H2)雰囲気下で行った不完全な黒鉛化工程を経て得られ、かつ黒鉛結晶粒集合体が粉末粒子の表面上に大部分が存在する鉄粉試料の微細組織を示す顕微鏡写真である。

Claims (72)

  1. 2乃至4.5重量%の炭素および0.05乃至2.5重量%のケイ素を含有し、かつ、焼もどし黒鉛結晶粒集合体が鉄母材中に埋め込まれた微細組織を有する鉄−黒鉛複合粉粒子からなり、該焼もどし黒鉛結晶粒集合体の少なくとも30%が該鉄母材中に完全に埋め込まれており、且つ該焼もどし黒鉛結晶粒集合体は複合粉粒子の表面には散点状にのみ存在し得ることを特徴とする鉄−黒鉛複合粉。
  2. 前記黒鉛結晶粒集合体の少なくとも50%が前記鉄母材中に完全に埋め込まれていることを特徴とする請求項1記載の鉄−黒鉛複合粉。
  3. 前記黒鉛結晶粒集合体の少なくとも70%が前記鉄母材中に完全に埋め込まれていることを特徴とする請求項1記載の鉄−黒鉛複合粉。
  4. 前記黒鉛結晶粒集合体が実質的にフェライト状の母材中に埋め込まれていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の鉄−黒鉛複合粉。
  5. 3乃至4重量%の炭素および0.3乃至2重量%のケイ素を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の鉄−グラファイト複合粉。
  6. 300ミクロン未満の粒径を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の鉄−黒鉛複合粉。
  7. 少なくとも1つの合金用元素を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の鉄−黒鉛複合粉。
  8. 少なくとも1つのマンガン、ニッケル、モリブデン、銅、クロム、ホウ素、リンあるいはそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の鉄−黒鉛複合粉。
  9. 該粉が、マンガン、ニッケル、モリブデン、銅、クロム、ホウ素およびリンの少なくとも1つを含む合金であることを特徴とする請求項8記載の鉄−黒鉛複合粉。
  10. 該粉が、マンガン、ニッケル、モリブデン、銅、クロム、ホウ素およびリンの少なくとも1つを含む混合物であることを特徴とする請求項8記載の鉄−黒鉛複合粉。
  11. 2%未満のマンガンを含有することを特徴とする請求項9記載の鉄−黒鉛複合粉。
  12. 1%未満のマンガンを含有することを特徴とする請求項9記載の鉄−黒鉛複合粉。
  13. 0.7%未満のマンガンを含有することを特徴とする請求項9記載の鉄−黒鉛複合粉。
  14. 0.1%未満のマンガンを含有することを特徴とする請求項9記載の鉄−黒鉛複合粉。
  15. 4%未満のニッケルを含有することを特徴とする請求項9記載の鉄−黒鉛複合粉。
  16. 1.5%未満のニッケルを含有することを特徴とする請求項9記載の鉄−黒鉛複合粉。
  17. 4%未満のモリブデンを含有することを特徴とする請求項9記載の鉄−黒鉛複合粉。
  18. 1.5%未満のモリブデンを含有することを特徴とする請求項9記載の鉄−黒鉛複合粉。
  19. 2%未満のクロムを含有することを特徴とする請求項9記載の鉄−黒鉛複合粉。
  20. 1%未満のクロムを含有することを特徴とする請求項9記載の鉄−黒鉛複合粉。
  21. 3%未満の銅を含有することを特徴とする請求項9記載の鉄−黒鉛複合粉。
  22. 1%未満の銅を含有することを特徴とする請求項10記載の鉄−黒鉛複合粉。
  23. 0.2%未満のホウ素を含有することを特徴とする請求項9記載の鉄−黒鉛複合粉。
  24. 1%未満のリンを含有することを特徴とする請求項9記載の鉄−黒鉛複合粉。
  25. 0.5%未満のリンを含有することを特徴とする請求項9記載の鉄−黒鉛複合粉。
  26. 0.15%未満のリンを含有することを特徴とする請求項9記載の鉄−黒鉛複合粉。
  27. 2乃至4.5重量%の炭素および0.05乃至2.5重量%のケイ素を含有し、かつ、焼もどし黒鉛結晶粒集合体が鉄母材中に埋め込まれた微細組織を有する鉄−黒鉛複合粉粒子からなり、該焼もどし黒鉛結晶粒集合体の少なくとも30%が該鉄母材中に完全に埋め込まれており、且つ該焼もどし黒鉛結晶粒集合体は複合粉粒子の表面には散点状にのみ存在し得る鉄−黒鉛複合粉の製造方法であって、
    (a)液体鉄を噴霧して微粒化鉄粉を形成する工程、
    (b)該微粒化鉄粉を、900℃を超える温度まで加熱する工程、および
    (c)該粉を、900℃を超える温度から600℃を超える温度まで冷却する工程、を含む鉄−黒鉛複合粉の製造方法であって、
    該粉が、650℃から900℃を超える温度まで該粉粒子のコア中における前記黒鉛結晶粒集合体の核生成を可能にするのに十分に高い速度で加熱され、かつ、10℃/分未満の速度で冷却されることを特徴とする鉄−黒鉛複合粉の製造方法。
  28. 上記冷却工程(c)に引き続いて、該粉を600℃を超える上記温度で保持し、更に該温度から600℃を超える別の温度まで冷却するサイクルを少なくとも1サイクル行い、2以上のサイクルにおいては保持温度を次第に低下することを特徴とする請求項27記載の鉄−黒鉛複合粉の製造方法。
  29. 前記黒鉛結晶粒集合体の少なくとも50%が前記鉄母材中に完全に埋め込まれていることを特徴とする請求項27又は28に記載の鉄−黒鉛複合粉の製造方法。
  30. 前記黒鉛結晶粒集合体の少なくとも70%が前記鉄母材中に完全に埋め込まれていることを特徴とする請求項27又は28に記載の鉄−黒鉛複合粉の製造方法。
  31. 該微細化鉄粉が、1000℃を超える温度まで加熱されることを特徴とする請求項27又は28に記載の鉄−黒鉛複合粉の製造方法。
  32. 該粉が、700℃以上の温度まで冷却されることを特徴とする請求項27又は28に記載の鉄−黒鉛複合粉の製造方法。
  33. さらに、前記微細化鉄粉を、850℃と900℃を超える温度との間あるいは900℃を超える温度で、該鉄粉中の炭化物を完全に分解するのに十分な時間保持する工程を含むことを特徴とする請求項27又は28に記載の鉄−黒鉛複合粉の製造方法。
  34. さらに、
    (1)該粉を900℃を超える温度から600℃未満の温度まで冷却する工程、
    (2)該粉を700℃を超える温度まで再加熱する工程、および
    (3)該粉を、700℃を超える温度から600℃を超える温度まで冷却する工程、を含むことを特徴とする請求項28記載の鉄−黒鉛複合粉の製造方法。
  35. 該粉が、800℃を超える温度まで再加熱された後、800℃を超える該温度から700℃以上の温度まで冷却されることを特徴とする請求項34記載の鉄−黒鉛複合粉の製造方法。
  36. さらに、
    (1)該粉を900℃を超える温度から600℃未満の温度まで冷却する工程、
    (2)該粉を700℃を超える温度まで再加熱し、該粉を700℃を超える温度から600℃を超える温度まで冷却するサイクルの少なくとも1サイクル、および
    (3)該粉を600℃を超える該温度で保持する工程、
    を含むことを特徴とする請求項28記載の鉄−黒鉛複合粉の製造方法。
  37. 該粉が、800℃を超える温度まで再加熱された後、800℃を超える該温度から700℃以上の温度まで冷却されることを特徴とする請求項36記載の鉄−黒鉛複合粉の製造方法。
  38. 前記製造工程が、実質的に酸素のない雰囲気中で行われることを特徴とする請求項27又は28に記載の鉄−黒鉛複合粉の製造方法。
  39. 該雰囲気が、アルゴン、窒素、ヘリウム、水素あるいはそれらの混合物からなる雰囲気であることを特徴とする請求項38記載の鉄−黒鉛複合粉の製造方法。
  40. 該雰囲気が10%未満の水素を含むことを特徴とする請求項39記載の鉄−黒鉛複合粉の製造方法。
  41. 該雰囲気が真空雰囲気であることを特徴とする請求項38記載の鉄−黒鉛複合粉の製造方法。
  42. 前記工程(c)の該鉄−黒鉛複合粉が鉄−黒鉛複合合金粉であり、かつ、前記工程(a)の前記液状鉄がマンガン、ニッケル、モリブデン、銅、クロム、ホウ素およびリンの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項27又は28に記載の鉄−黒鉛複合粉の製造方法。
  43. 前記鉄−黒鉛複合粉が鉄−黒鉛複合パウダーブレンドであり、前記工程(c)において形成された前記鉄−黒鉛複合粉が、少なくとも1つの元素状合金用元素、あるいはマンガン、ニッケル、モリブデン、銅、クロム、ホウ素およびリンから選ばれる少なくとも1つの合金用元素を含む合金又は化合物と混合されることを特徴とする請求項27又は28に記載の鉄−黒鉛複合粉の製造方法。
  44. 鉄、炭素およびケイ素を含む複合粉粒子からなる鉄−黒鉛複合粉を焼結する工程を含む方法により製造される焼結体であって、該複合粉粒子が、2乃至4.5重量%の炭素および0.05乃至2.5重量%のケイ素を含有し、かつ、焼もどし黒鉛結晶粒集合体が鉄母材中に埋め込まれた微細組織を有しており、該焼もどし黒鉛結晶粒集合体の少なくとも30%が該鉄母材中に完全に埋め込まれており、且つ該焼もどし黒鉛結晶粒集合体は複合粉粒子の表面には散点状にのみ存在し得ることを特徴とする焼結体。
  45. 鉄、炭素およびケイ素を含む複合粉粒子からなる鉄−黒鉛複合粉を1200℃未満の温度で焼結する工程を含む方法により製造される焼結体であって、該複合粉粒子が、2乃至4.5重量%の炭素および0.05乃至2.5重量%のケイ素を含有し、かつ、焼もどし黒鉛結晶粒集合体が鉄母材中に埋め込まれた微細組織を有しており、該焼もどし黒鉛結晶粒集合体の少なくとも30%が該鉄母材中に完全に埋め込まれており、且つ該焼もどし黒鉛結晶粒集合体は複合粉粒子の表面には散点状にのみ存在し得ることを特徴とする焼結体。
  46. さらに液相焼結工程を含む方法により製造されることを特徴とする請求項44記載の焼結体。
  47. 該焼結体が、フェライト、パーライト、オースフェライト、ベイナイト、マルテンサイト、オーステナイト、焼もどしマルテンサイトあるいはそれらの混合物を含む鉄母材を有することを特徴とする請求項44乃至46のいずれかに記載の焼結体。
  48. オースフェライト母材中に埋め込まれた黒鉛結晶粒集合体からなる微細組織を有しており、前記方法がさらに、
    (a)該焼結体を825℃乃至950℃の範囲内の温度まで加熱する工程、
    (b)該焼結体を150℃乃至450℃の範囲内の温度まで冷却する工程、および
    (c)該焼結体を150℃乃至450℃の範囲内の該温度において15乃至60分間保持する工程を含むことを特徴とする請求項44乃至46のいずれかに記載の焼結体。
  49. マンガン、ニッケル、モリブデン、銅、クロム、ホウ素およびリンの少なくとも1つを含有することを特徴とする請求項44乃至46のいずれかに記載の焼結体。
  50. 2乃至4.5重量%の炭素および0.05乃至2.5重量%のケイ素を含有し、かつ、焼もどし黒鉛結晶粒集合体が鉄母材中に埋め込まれた微細組織を有する複合粉粒子からなり、該焼もどし黒鉛結晶粒集合体の少なくとも30%が該鉄母材中に完全に埋め込まれており、且つ該焼もどし黒鉛結晶粒集合体は複合粉粒子の表面には散点状にのみ存在し得るものであり、
    (a)炭素およびケイ素を含有する液体鉄を噴霧して微粒化鉄粉を形成する工程、
    (b)該微粒化鉄粉を、900℃を超える温度まで加熱する工程、および
    (c)該粉を、900℃を超える該温度から700℃以上の温度まで冷却する工程、を含む方法により製造される鉄−黒鉛複合粉であって、該粉が900℃を超える温度まで該粉粒子のコア中における前記黒鉛結晶粒集合体の核生成を可能にするのに十分な速度で加熱され、かつ、10℃/分未満の速度で冷却されることを特徴とする鉄−黒鉛複合粉。
  51. 前記黒鉛結晶粒集合体の少なくとも50%が前記鉄母材中に完全に埋め込まれていることを特徴とする請求項50記載の鉄−黒鉛複合粉。
  52. 前記黒鉛結晶粒集合体の少なくとも70%が前記鉄母材中に完全に埋め込まれていることを特徴とする請求項50記載の鉄−黒鉛複合粉。
  53. 前記黒鉛結晶粒集合体が実質的にフェライト状の母材中に埋め込まれていることを特徴とする請求項50乃至52のいずれかに記載の鉄−黒鉛複合粉。
  54. 300ミクロン未満の粒径を有することを特徴とする請求項50乃至52のいずれかに記載の鉄−黒鉛複合粉。
  55. 3乃至4重量%の炭素および0.3乃至2重量%のケイ素を含有することを特徴とする請求項50乃至52のいずれかに記載の鉄−黒鉛複合粉。
  56. 前記鉄−黒鉛複合粉粒子が3.2乃至3.7重量%の炭素および0.8乃至1.3重量%のケイ素を含有することを特徴とする請求項50乃至52のいずれかに記載の鉄−黒鉛複合粉。
  57. 3.5乃至3.7重量%の炭素および0.8乃至1.0重量%のケイ素を含有することを特徴とする請求項50乃至52のいずれかに記載の鉄−黒鉛複合粉。
  58. 少なくとも1つの合金用元素を含むことを特徴とする請求項50乃至52のいずれかに記載の鉄−黒鉛複合粉。
  59. 前記液状鉄が、マンガン、ニッケル、モリブデン、銅、クロム、ホウ素およびリンの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項50乃至52のいずれかに記載の鉄−黒鉛複合粉。
  60. 該粉が、前記冷却粉と少なくとも1つの合金粉とを混合する工程をさらに含む前記製造方法により製造されており、該合金粉がマンガン、ニッケル、モリブデン、銅、クロム、ホウ素およびリンから選ばれる合金用元素を含むことを特徴とする請求項50乃至52のいずれかに記載の鉄−黒鉛複合粉。
  61. 3.2乃至3.7重量%の炭素および0.8乃至1.3重量%のケイ素を含有し、かつ焼もどし黒鉛結晶粒集合体が鉄母材中に埋め込まれた微細組織を有する複合粉粒子からなり、該焼もどし黒鉛結晶粒集合体の少なくとも30%が該鉄母材中に完全に埋め込まれており、且つ該焼もどし黒鉛結晶粒集合体は複合粉粒子の表面には散点状にのみ存在し得る鉄−黒鉛複合粉の製造方法であって、
    (a)液体鉄を噴霧して微粒化鉄粉を形成する工程、
    (b)該微粒化鉄粉を、1000℃を超える温度まで加熱する工程、および
    (c)該粉を、1000℃を超える温度から700℃を超える温度まで冷却する工程を含み、
    該粉は、650℃から1000℃を超える温度まで30℃/分を超える速度で加熱され、850℃と1000℃を超える温度との間の温度あるいは1000℃を超える該温度で5分間乃至16時間保持された後、10℃/分未満の速度で冷却されることを特徴とする鉄−黒鉛複合粉の製造方法。
  62. 3.2乃至3.7重量%の炭素および0.8乃至1.3重量%のケイ素を含有し、かつ焼もどし黒鉛結晶粒集合体が鉄母材中に埋め込まれた微細組織を有する粒子からなり、該焼もどし黒鉛結晶粒集合体の少なくとも30%が該鉄母材中に完全に埋め込まれており、且つ該焼もどし黒鉛結晶粒集合体は複合粉粒子の表面には散点状にのみ存在し得る鉄−黒鉛複合粉の製造方法であって、
    (a)液体鉄を噴霧して微粒化鉄粉を形成する工程、
    (b)該微粒化鉄粉を、1000℃を超える温度まで加熱する工程、および
    (c)該粉を、1000℃を超える温度から700℃以上の温度まで冷却する工程を含み、
    上記冷却工程(c)に引き続いて、該粉を700℃を超える上記温度で保持し、更に該温度から700℃を超える別の温度まで冷却するサイクルを少なくとも1サイクル行い、2以上のサイクルにおいては保持温度を次第に低下させ、
    該粉は、650℃から1000℃を超える温度まで30℃/分を超える速度で加熱され、1000℃を超える温度で5分間乃至16時間保持された後、10℃/分未満の速度で冷却されることを特徴とする鉄−黒鉛複合粉の製造方法。
  63. 前記黒鉛結晶粒集合体の少なくとも50%が前記鉄母材中に完全に埋め込まれていることを特徴とする請求項61又は62に記載の鉄−黒鉛複合粉の製造方法。
  64. 前記黒鉛結晶粒集合体の少なくとも70%が前記鉄母材中に完全に埋め込まれていることを特徴とする請求項61又は62に記載の鉄−黒鉛複合粉の製造方法。
  65. さらに、
    (1)該粉を1000℃を超える温度から600℃未満の温度まで冷却する工程、
    (2)該粉を800℃を超える温度まで再加熱する工程、および
    (3)該粉を、800℃を超える温度から700℃以上の温度まで冷却する工程、を含むことを特徴とする請求項61又は62に記載の鉄−黒鉛複合粉の製造方法。
  66. さらに、
    (1)該粉を1000℃を超える温度から600℃未満の温度まで冷却する工程、
    (2)該粉を800℃を超える温度まで再加熱する工程、
    (3)該粉を800℃を超える温度から700℃以上の温度まで冷却する工程、
    (4)該粉を700℃以上の該温度で保持する工程、および
    (5)必要に応じて前記工程(ii)および(iii)を繰り返す工程、を含むことを特徴とする請求項65記載の鉄−黒鉛複合粉の製造方法。
  67. 前記製造工程が、実質的に酸素のない雰囲気中で行われることを特徴とする請求項61又は62に記載の鉄−黒鉛複合粉の製造方法。
  68. 鉄−黒鉛複合粉を焼結する工程を含む請求項61又は62に記載の製造方法により製造される焼結体。
  69. 3.2乃至3.7重量%の炭素および0.8乃至1.3重量%のケイ素を含有し、かつ、焼もどし黒鉛結晶粒集合体が鉄母材中に埋め込まれた微細組織を有する鉄−黒鉛複合粉粒子からなり、該黒鉛結晶粒集合体の少なくとも30%が該鉄母材中に完全に埋め込まれており、
    (a)炭素およびケイ素を含有する液体鉄を噴霧して微粒化鉄粉を形成する工程、
    (b)該微粒化鉄粉を、1000℃を超える温度まで加熱する工程、および
    (c)該粉を、1000℃を超える温度から700℃を超える温度まで冷却する工程を含む方法により製造される鉄−黒鉛複合粉であり、該方法において該粉は、650℃から1000℃を超える温度まで30℃/分を超える速度で加熱され、1000℃を超える該温度で5分間乃至16時間保持された後、10℃/分未満の速度で冷却されていることを特徴とする鉄−黒鉛複合粉。
  70. 前記黒鉛結晶粒集合体の少なくとも50%が前記鉄母材中に完全に埋め込まれていることを特徴とする請求項69記載の鉄−黒鉛複合粉。
  71. 前記黒鉛結晶粒集合体の少なくとも70%が前記鉄母材中に完全に埋め込まれていることを特徴とする請求項69記載の鉄−黒鉛複合粉。
  72. 3.5乃至3.7重量%の炭素および0.8乃至1.0重量%のケイ素を含有することを特徴とする請求項69記載の鉄−黒鉛複合粉。
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