JPH0742541B2 - 超微細黒鉛含有鋳鉄成形体の製造方法 - Google Patents

超微細黒鉛含有鋳鉄成形体の製造方法

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JPH0742541B2
JPH0742541B2 JP4218200A JP21820092A JPH0742541B2 JP H0742541 B2 JPH0742541 B2 JP H0742541B2 JP 4218200 A JP4218200 A JP 4218200A JP 21820092 A JP21820092 A JP 21820092A JP H0742541 B2 JPH0742541 B2 JP H0742541B2
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cast iron
graphite
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powder
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和夫 安江
敏幸 西尾
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工業技術院長
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は超微細黒鉛含有鋳鉄成形
体の製造方法に関するものである。さらに詳しくいえ
ば、本発明は、黒鉛が均一かつ超微細に地組織中に分散
された切削性及び耐摩耗性の良好な鋳鉄の成形体を製造
する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、鋳鉄においては、その中に存在す
る黒鉛を均一かつ微細に分散させると、切削性が向上
し、かつ切削面が平滑となる上、耐摩耗性や引張り強度
が著しく改善されることが知られている。
【0003】エアコン用コンプレッサーシリンダーは、
切削加工段階で、高価な刃物を使用するブローチ加工が
行われるため、切削性はコストと生産性の両面で極めて
重要となる。また、この部品では高い耐摩耗性も同時に
要求される。このような切削性や耐摩耗性が要求される
部材には、これまで共晶黒鉛鋳鉄が用いられてきた。こ
の共晶黒鉛鋳鉄の製造方法としては、通常、熱伝導性の
良好な金型を用い、鋳鉄の凝固時の冷却速度を大きくす
るとともに、ケイ素含有量を2.5〜3.0重量%と一
般の鋳鉄よりも高くして黒鉛を微細化させ、かつチル化
を減少させる方法が用いられている。
【0004】しかしながら、この方法においては、冷却
能の大きい金型を用いるので、完全にチル発生を抑える
ことができず、鋳造後フェライト焼鈍が行われる。ま
た、金型鋳型を用いても鋳鉄の肉厚が大きい場合には、
凝固時に鋳鉄の中心部まで急冷することは不可能で、中
心部の黒鉛は大きく成長する。したがって、中心部まで
共晶黒鉛を得るには、板状の鋳鉄で厚さが20mm、丸
棒で直径25mmが限界といわれている。もちろん黒鉛
微細化能が大きいチタンを合金元素として添加すると、
より肉厚鋳鉄でも共晶状黒鉛となるが、この場合、チタ
ンは硬くて脆い炭化物や窒化物を形成し、切削性がそこ
なわれるため、その添加量には限界がある。また、耐摩
耗性が要求される場合には、地組織をパーライト地とす
ることが望ましいが、ケイ素含有量が普通の鋳鉄よりも
高いため、焼準を行っても耐摩耗性を改善する程のパー
ライト量を得ることは困難な場合が多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の共晶黒鉛鋳鉄における各種問題点を克服し、従来
の共晶黒鉛鋳鉄よりも、黒鉛がさらに均一かつ微細に地
組織中に分散したパーライト地から成る、切削性及び耐
摩耗性に優れた鋳鉄成形体を肉厚に左右されず、効率よ
く製造する方法を提供することを目的としてなされたも
のである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、黒鉛化元素で
あるケイ素の含有量を少なくし、実質上他の黒鉛化元素
を含まず、かつ遊離炭素を含まない程度に急速凝固させ
た所定量の炭素を含有する鋳鉄粉末を、所定の温度で焼
結させると同時に黒鉛化を起こさせることにより、その
目的を達成しうることを見出し、この知見に基づいて本
発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、炭素含有量2〜6重
量%及びケイ素含有量0.8重量%以下の原料鉄融成物
を急速霧化凝固して、実質上、黒鉛及び遊離炭素を含ま
ない鋳鉄粉末を形成させ、次いでこれを所要の形状に成
形したのち、非酸化雰囲気中、800〜1000℃にお
いて1〜3時間焼成することを特徴とする超微細黒鉛含
有鋳鉄成形体の製造方法を提供するものである。
【0008】本発明方法においては、先ず、通常入手さ
れる原料鉄を融解し、ガスアトマイズ法や水アトマイズ
法などによって鋳鉄粉末を調製する。この際に用いる原
料鉄中の炭素含有量は2〜6重量%の範囲で選ばれる。
炭素含有量の上限は、理論的にはFe3 Cの炭素含有量
である6.68重量%まで可能であるが、冷却速度の点
から遊離黒鉛が晶出しないような炭素量でなければなら
ず、本発明においては6重量%を上限とする。また、炭
素含有量が2重量%未満では、黒鉛化後に十分な黒鉛量
が得られず、切削性や耐摩耗性に優れた鋳鉄とならな
い。また、この原料鉄中のケイ素含有量は0.8重量%
以下であることが必要である。ケイ素は黒鉛化元素であ
るため、その含有量が0.8重量%を超えると遊離黒鉛
が生じやすくなる。特にガスアトマイズ法により急速凝
固する場合は冷却速度が遅いためにこの傾向が強い。ま
た、ケイ素以外の他の黒鉛化元素は実質上含有しないこ
とが必要である。ここで、実質上含有しないとは、全く
含有しないか、不純物程度は含有してもよいことを意味
する。
【0009】また、水アトマイズ法により急速凝固する
と、粉末の酸化量が大きく、生成する粉末中に0.7重
量%程度の酸素が含まれるが、後の焼結過程で炭素還元
されるので、ほとんど問題とならない。鋳鉄粉末製造方
法としては、ガスアトマイズ法、水アトマイズ法のいず
れも用いることができるが、水アトマイズ法の方が好適
である。
【0010】次に、前記鋳鉄粉末を適当な金型に入れて
成形を行う。この際、該鋳鉄粉末は金属間化合物Fe3
Cが主成分であるため、通常の鋳鉄粉末に比べて流動性
が悪く、したがって、パラフィン、セチルアルコール、
ステアリン酸亜鉛などの潤滑剤を数重量%程度添加する
のが望ましい。
【0011】次いで、このようにして得られた成形体
を、800〜1000℃の範囲の温度において、真空下
又は不活性雰囲気下で1〜3時間程度焼成を行い、焼結
させると同時に黒鉛化を起こさせる。従来、本発明のよ
うに、ケイ素などの黒鉛化元素をほとんど含有しない場
合、このような短い焼結時間で黒鉛化させることは不可
能であると考えられてきた。例えば、1重量%程度のケ
イ素を含有する可鍛鋳鉄の場合でも、黒鉛化させさらに
パーライト化焼準を完了させるためには、900〜10
00℃の温度で、100時間以上は必要とされている。
【0012】しかしながら、本発明方法において、急速
凝固粉末を用いると、30分程度でほとんどのFe3
は分解し、地組織はパーライトとなり、また、可鍛鋳鉄
のように共析温度付近を徐冷しなくても容易にパーライ
ト地が形成される。さらに、可鍛鋳鉄の熱処理後の金属
組織は、フェライト+黒鉛、あるいはパーライト+黒鉛
となり、黒鉛は100倍の顕微鏡観察でも容易に識別で
きる大きさである。これに対し、本発明による焼結材の
光学顕微鏡による500倍の観察結果では、パーライト
地だけで黒鉛は観察されないにもかかわらず、X線回折
の結果では、黒鉛のピークが認められる。成形、焼結前
の鋳鉄粉末の段階では黒鉛のピークは存在しない。した
がって、本発明方法で得られた鋳鉄においては、黒鉛は
従来の製造方法では得られないほど、地組織中に均一か
つ微細に分散しているということができる。
【0013】前記したように、本発明方法においては、
30分程度で炭化物は分解するが、これでは焼結反応が
不十分であり、多数の空孔が存在するため、密度を上昇
させるにはさらに焼結時間が必要であので、少なくとも
1時間焼結する必要がある。ここで、鋳鉄粉末中にケイ
素などの黒鉛化元素が多量に存在すると黒鉛化が促進さ
れるため、焼結に先だって未焼結部分の粉末粒界に黒鉛
が析出し、焼結が妨げられると同時に、これが黒鉛核と
なって黒鉛の成長が起こる。さらに、未焼結部分の空孔
にも黒鉛が析出して、均一かつ微細分布とすることが困
難となる。したがって、黒鉛化元素はできるだけ少量に
しなければならず、特にケイ素は0.8重量%以下にす
ることが必要である。
【0014】このようにして得られた焼結材は極めて軟
らかく、例えばパーライト地の黒心可鍛鋳鉄の硬度がH
RBで80〜100であるのに対し、本発明による焼結材
ではHRBで20以下であり、冷間での押し出しや圧延な
どが容易にできる。この性質は、黒鉛が均一かつ微細に
分散しているために、粒界すべりが容易になることに基
づくものである。
【0015】以上のように、本発明方法によってまず一
次素材を得、次いでこれに圧延、押し出し、熱処理など
の後加工処理を施せば、通常の鋳造では実現できないよ
うな均一かつ微細な黒鉛を含有する材料の製造が可能と
なる。また、本発明方法によると、製品の肉厚に関係な
く、地組織も完全にパーライトとなる。ただし、焼結時
間3時間を超えると析出した黒鉛は次第に大きくなり、
フェライトの量も増加するので、焼結時間は3時間まで
にする必要がある。
【0016】
【発明の効果】本発明方法によると、黒鉛が均一かつ微
細に地組織中に分散して成る、切削性及び耐摩耗性に優
れ、かつパーライト地が容易に得られる鋳鉄を、肉厚に
関係なく製造することができる。
【0017】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。
【0018】実施例 水アトマイズ法により製造された平均粒径30〜40μ
mの鋳鉄粉末を用いた。このものの化学組成は炭素4.
29重量%、ケイ素0.24重量%、酸素0.72重量
%であった。
【0019】前記鋳鉄粉末にセチルアルコール2重量%
を加えよく混練したのち、成形圧力18kg/cm2
直径8mm、長さ12mmの丸棒を成形した。次いで、
これを真空中にて950℃で1.5時間焼成し、焼結体
を得た。この焼結体は密度が6.8g/cm3 であり、
また500倍で光学顕微鏡観察を行ったところ、地組織
はパーライトであったが、この程度の倍率では黒鉛は観
察されなかった。しかしながら、X線回折を行ったとこ
ろ、黒鉛のピークが明瞭に観察された。なお、成形、焼
結前の粉末自体は黒鉛のピークが観察されなかった。
【0020】このようにして得られた焼結材は、パーラ
イト地であるにもかかわらず、硬度がHRBで15〜20
と極めて軟らく展延性に富んだものであった。また、引
張り強さも10kg/mm2 程度で弱かった。そこで、
20%の冷間圧延を行い、次いで、900℃で0.5時
間保持したのち空冷した。このものの引張り強さとピン
‐ディスク型摩耗性試験機により耐摩耗性を調べたとこ
ろ、引張り強さは38kg/mm2 と大幅に改善され
た。また、摩擦速度2m/sec、接触圧力12kg/
cm2 の乾燥摩耗における耐摩耗性は、FC20程度の
普通鋳鉄に比べ約10倍を示した。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素含有量2〜6重量%及びケイ素含有
    量0.8重量%以下の原料鉄融成物を急速霧化凝固し
    て、実質上、黒鉛及び遊離炭素を含まない鋳鉄粉末を形
    成させ、次いでこれを所要の形状に成形したのち、非酸
    化雰囲気中、800〜1000℃において1〜3時間焼
    成することを特徴とする超微細黒鉛含有鋳鉄成形体の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 原料鉄融成物を水アトマイズ法により急
    速霧化凝固する請求項1記載の製造方法。
JP4218200A 1992-07-24 1992-07-24 超微細黒鉛含有鋳鉄成形体の製造方法 Expired - Lifetime JPH0742541B2 (ja)

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