JPH06322470A - 粉末冶金用鋳鉄粉及び耐摩耗性鉄系焼結合金 - Google Patents
粉末冶金用鋳鉄粉及び耐摩耗性鉄系焼結合金Info
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- JPH06322470A JPH06322470A JP10821893A JP10821893A JPH06322470A JP H06322470 A JPH06322470 A JP H06322470A JP 10821893 A JP10821893 A JP 10821893A JP 10821893 A JP10821893 A JP 10821893A JP H06322470 A JPH06322470 A JP H06322470A
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- Y02W—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
- Y02W30/00—Technologies for solid waste management
- Y02W30/50—Reuse, recycling or recovery technologies
Abstract
(57)【要約】
【目的】摩擦係数が低く、体焼き付き性に優れた鉄系燒
結合金を得る。 【構成】全体組成が重量比で、Ｃ：２．５〜５％、Ｓ
ｉ：０．５〜２％、残部がＦｅ及び不可避不純物から構
成されており、粉末のマトリックスがフェライト組織ま
たはフェライトとパーライトの混合組織又はパーライト
組織中に塊状の黒鉛が分散しているものであり、かつ粉
末の表面が析出黒鉛で被覆されている鋳鉄粉を燒結す
る。
結合金を得る。 【構成】全体組成が重量比で、Ｃ：２．５〜５％、Ｓ
ｉ：０．５〜２％、残部がＦｅ及び不可避不純物から構
成されており、粉末のマトリックスがフェライト組織ま
たはフェライトとパーライトの混合組織又はパーライト
組織中に塊状の黒鉛が分散しているものであり、かつ粉
末の表面が析出黒鉛で被覆されている鋳鉄粉を燒結す
る。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、黒鉛分散型耐摩耗鉄系
焼結合金及びこの焼結合金製造用の粉末冶金用鋳鉄粉に
関するものである。
焼結合金及びこの焼結合金製造用の粉末冶金用鋳鉄粉に
関するものである。
【０００２】
【従来の技術】鋳鉄のように、鉄マトリックス中に黒鉛
が分散した焼結材料は、黒鉛が持つ固体潤滑作用と、油
着による潤滑作用が得られることから、主に摺動部分を
持つ部材に用いられている。このような焼結材料は、鉄
粉等に多量の黒鉛粉を添加した混合粉を圧粉、焼結する
とか、鋳鉄塊を切削した切粉を圧粉、焼結して作られて
いる。
が分散した焼結材料は、黒鉛が持つ固体潤滑作用と、油
着による潤滑作用が得られることから、主に摺動部分を
持つ部材に用いられている。このような焼結材料は、鉄
粉等に多量の黒鉛粉を添加した混合粉を圧粉、焼結する
とか、鋳鉄塊を切削した切粉を圧粉、焼結して作られて
いる。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】このような燒結材料の
従来の製造方法、すなわち原料混合時に黒鉛粉を添加す
る製造方法では、比重差による偏析を生じることや、焼
結体における黒鉛の存在形態が主原料粉の粒子間に遊離
していることのため、相手材との摩擦時に容易にマトリ
ックスから剥離してしまい、摩耗低減の役割を果たさな
くなる等の問題があった。
従来の製造方法、すなわち原料混合時に黒鉛粉を添加す
る製造方法では、比重差による偏析を生じることや、焼
結体における黒鉛の存在形態が主原料粉の粒子間に遊離
していることのため、相手材との摩擦時に容易にマトリ
ックスから剥離してしまい、摩耗低減の役割を果たさな
くなる等の問題があった。
【０００４】また、一般的な鋳鉄の切屑を粉砕して得た
粉末を主原料とするものでは、粉末製造時に黒鉛が粉砕
され遊離してしまうため、前記の黒鉛の混合の場合と同
様の現象が生じ、所望の摩擦特性が得られていなかっ
た。本発明はこのような事情に鑑み、焼結材料の表面に
存在する黒鉛が均一に露出した焼結合金を得ること、及
びこの焼結合金用の合金鉄粉を得ることを目的として開
発されたものである。
粉末を主原料とするものでは、粉末製造時に黒鉛が粉砕
され遊離してしまうため、前記の黒鉛の混合の場合と同
様の現象が生じ、所望の摩擦特性が得られていなかっ
た。本発明はこのような事情に鑑み、焼結材料の表面に
存在する黒鉛が均一に露出した焼結合金を得ること、及
びこの焼結合金用の合金鉄粉を得ることを目的として開
発されたものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の鋳鉄粉は、全体組成が重量比で、Ｃ：２．５
〜５％、Ｓｉ：０．５〜２％、残部がＦｅ及び不可避不
純物から構成されているか、又は、更にＣｅ：０．５％
以下を含むものであって、、粉末のマトリックスがフェ
ライト組織またはフェライトとパーライトの混合組織又
はパーライト組織中に塊状の黒鉛が分散しているもので
あり、かつ粉末の表面が析出黒鉛で被覆されていること
を特徴とする。
の本発明の鋳鉄粉は、全体組成が重量比で、Ｃ：２．５
〜５％、Ｓｉ：０．５〜２％、残部がＦｅ及び不可避不
純物から構成されているか、又は、更にＣｅ：０．５％
以下を含むものであって、、粉末のマトリックスがフェ
ライト組織またはフェライトとパーライトの混合組織又
はパーライト組織中に塊状の黒鉛が分散しているもので
あり、かつ粉末の表面が析出黒鉛で被覆されていること
を特徴とする。
【０００６】この鋳鉄粉は、所定組成の溶湯を高圧の水
によりアトマイズしてレデブライト組織の粉末を得、こ
の粉末を非酸化性雰囲気中にて温度７００〜１０５０℃
で焼鈍してレデブライト中のセメンタイトの黒鉛化を行
って作ることができる。この時、焼鈍温度が低過ぎると
セメンタイトの黒鉛化が不十分となり、高過ぎると粉末
粒子間の焼結が進行しその後粉砕が困難になる。また、
加熱後の冷却速度は毎分１０℃以下にすることが望まし
い。
によりアトマイズしてレデブライト組織の粉末を得、こ
の粉末を非酸化性雰囲気中にて温度７００〜１０５０℃
で焼鈍してレデブライト中のセメンタイトの黒鉛化を行
って作ることができる。この時、焼鈍温度が低過ぎると
セメンタイトの黒鉛化が不十分となり、高過ぎると粉末
粒子間の焼結が進行しその後粉砕が困難になる。また、
加熱後の冷却速度は毎分１０℃以下にすることが望まし
い。
【０００７】上記鋳鉄粉を用いた本発明に係る耐摩耗性
鉄系焼結合金は、全体組成が重量比でＣ：２．５〜５
％、Ｓｉ：０．５〜２％、残部がＦｅ及び不可避不純物
から構成されるか、又は、更にＣｅ：０．５％以下を含
むものであって、鉄粉粒子内の組織がフェライト組織又
はフェライトとパーライトの混合組織またはパーライト
組織中に塊状の黒鉛が分散しており、かつ微粒子の表面
が黒鉛で被覆されていることを特徴とする。
鉄系焼結合金は、全体組成が重量比でＣ：２．５〜５
％、Ｓｉ：０．５〜２％、残部がＦｅ及び不可避不純物
から構成されるか、又は、更にＣｅ：０．５％以下を含
むものであって、鉄粉粒子内の組織がフェライト組織又
はフェライトとパーライトの混合組織またはパーライト
組織中に塊状の黒鉛が分散しており、かつ微粒子の表面
が黒鉛で被覆されていることを特徴とする。
【０００８】本発明に係る焼結合金は、前記の合金鉄粉
を圧粉成形し、非酸化雰囲気中で焼結することにより得
られる。この場合、燒結合金が材料強度を要する場合に
は、前記合金鉄粉に、純鉄粉を５０％以下を混合すると
よい。すなわち、本発明に係る耐摩耗性鉄系焼結合金
は、全体組成が重量比でＣ：２．５〜５％、Ｓｉ：０．
５〜２％、残部がＦｅ及び不可避不純物からなり、また
は、更にＣｅ：０．５％以下を含み、粉粒子の組織が一
方はフェライト組織又はフェライトとパーライトの混合
組織からなる鉄または鉄−炭素系粒子の５０重量％以下
で、他方はフェライト組織またはフェライトとパーライ
ト混合組織中に塊状の黒鉛が分散していると共に、粉粒
子の表面が黒鉛で被覆されている合金鉄粒子とからなる
混合組織を呈していることを特徴とするものである。
を圧粉成形し、非酸化雰囲気中で焼結することにより得
られる。この場合、燒結合金が材料強度を要する場合に
は、前記合金鉄粉に、純鉄粉を５０％以下を混合すると
よい。すなわち、本発明に係る耐摩耗性鉄系焼結合金
は、全体組成が重量比でＣ：２．５〜５％、Ｓｉ：０．
５〜２％、残部がＦｅ及び不可避不純物からなり、また
は、更にＣｅ：０．５％以下を含み、粉粒子の組織が一
方はフェライト組織又はフェライトとパーライトの混合
組織からなる鉄または鉄−炭素系粒子の５０重量％以下
で、他方はフェライト組織またはフェライトとパーライ
ト混合組織中に塊状の黒鉛が分散していると共に、粉粒
子の表面が黒鉛で被覆されている合金鉄粒子とからなる
混合組織を呈していることを特徴とするものである。
【０００９】
【作用】本発明の焼結合金は、内燃機関のバルブガイ
ド、各種の耐摩耗部品、含油軸受等の材料として優れた
特性を発揮する。本発明の鋳鉄粉は、鉄マトリックス中
に黒鉛が小さく塊状に析出していると共に粉末表面に析
出した黒鉛が粉末の全面又は断続的に被覆されているも
のである。これを用いて作られた焼結合金は、合金表面
に黒鉛が露出した状態が得られるので、耐摩耗性が良好
になる。また、粉末混合の場合のように黒鉛の偏析がな
い。
ド、各種の耐摩耗部品、含油軸受等の材料として優れた
特性を発揮する。本発明の鋳鉄粉は、鉄マトリックス中
に黒鉛が小さく塊状に析出していると共に粉末表面に析
出した黒鉛が粉末の全面又は断続的に被覆されているも
のである。これを用いて作られた焼結合金は、合金表面
に黒鉛が露出した状態が得られるので、耐摩耗性が良好
になる。また、粉末混合の場合のように黒鉛の偏析がな
い。
【００１０】鋳鉄粉の組成の範囲の限定理由は次の通り
である。 Ｃ：２．５％未満では遊離黒鉛量が少なく、耐摩耗性の
改善効果が小さくなる。５％を越えると焼結性が悪くな
り、その結果、耐摩耗性向上も期待できなくなる。 Ｓｉ：黒鉛化促進元素である。０．５％未満ではセメン
タイトの黒鉛化が不完全になる。２％を越えて含有させ
ると粉末の硬さが高くなり、成形性に問題が生ずるこ
と、及び焼結合金にしたときにパーライト組織が得難く
なり、強度及び耐摩耗性を阻害する。
である。 Ｃ：２．５％未満では遊離黒鉛量が少なく、耐摩耗性の
改善効果が小さくなる。５％を越えると焼結性が悪くな
り、その結果、耐摩耗性向上も期待できなくなる。 Ｓｉ：黒鉛化促進元素である。０．５％未満ではセメン
タイトの黒鉛化が不完全になる。２％を越えて含有させ
ると粉末の硬さが高くなり、成形性に問題が生ずるこ
と、及び焼結合金にしたときにパーライト組織が得難く
なり、強度及び耐摩耗性を阻害する。
【００１１】Ｃｅ：黒鉛の球状化を促進する元素であ
る。０．０１％程度の含有で効果が認められ、含有しな
い場合に比べて粉末表面に析出する黒鉛量が増加する。
ただし、０．５％を超えて添加してもそれ以上の効果は
期待できない。また、高価な元素であるため、経済性を
考慮しても０．５％以下に止めるべきである。一方、鉄
材料にはＭｎ、Ｓ、Ｐ、Ｍｇ等が含まれているが、本発
明の黒鉛で被覆された状態の鋳鉄粉においては、含有量
の多少による作用効果は微少であり、不可避の不純物と
する。
る。０．０１％程度の含有で効果が認められ、含有しな
い場合に比べて粉末表面に析出する黒鉛量が増加する。
ただし、０．５％を超えて添加してもそれ以上の効果は
期待できない。また、高価な元素であるため、経済性を
考慮しても０．５％以下に止めるべきである。一方、鉄
材料にはＭｎ、Ｓ、Ｐ、Ｍｇ等が含まれているが、本発
明の黒鉛で被覆された状態の鋳鉄粉においては、含有量
の多少による作用効果は微少であり、不可避の不純物と
する。
【００１２】このうち、Ｍｎは、溶湯の湯流れを悪くす
るＳと結びつき易い元素で、通常０．１〜１％程度含ま
れている。Ｍｎは酸化しやすい性質があり焼結性を阻害
するので、含有量は０．５％程度以下に止めることが望
ましい。また、Ｓは通常、Ｍｎ含有量の約１／１０程度
含有している。Ｃｅを含有する場合は、ＣｅとＳが合金
化してＣｅの作用効果を減少させるので、Ｓ量を少なく
することが好ましい。
るＳと結びつき易い元素で、通常０．１〜１％程度含ま
れている。Ｍｎは酸化しやすい性質があり焼結性を阻害
するので、含有量は０．５％程度以下に止めることが望
ましい。また、Ｓは通常、Ｍｎ含有量の約１／１０程度
含有している。Ｃｅを含有する場合は、ＣｅとＳが合金
化してＣｅの作用効果を減少させるので、Ｓ量を少なく
することが好ましい。
【００１３】その他、Ｍｇは０．１％、Ｐは０．８％以
下で含有している。更に、鋳鉄材料の黒鉛化促進元素と
してＣｕ、Ｎｉ、Ｃｏ、Ａｌ等を添加することができる
が、積極的に添加しなくても本発明の目的を達成するこ
とができる。このような組成のアトマイズされた粉末を
前述した温度及び冷却速度で焼鈍すると、粉末内部及び
表面に黒鉛が析出した粉末が得られる。析出した黒鉛の
粒子径は、約１〜１００μｍ程度になるように焼鈍する
ことが好ましい。
下で含有している。更に、鋳鉄材料の黒鉛化促進元素と
してＣｕ、Ｎｉ、Ｃｏ、Ａｌ等を添加することができる
が、積極的に添加しなくても本発明の目的を達成するこ
とができる。このような組成のアトマイズされた粉末を
前述した温度及び冷却速度で焼鈍すると、粉末内部及び
表面に黒鉛が析出した粉末が得られる。析出した黒鉛の
粒子径は、約１〜１００μｍ程度になるように焼鈍する
ことが好ましい。
【００１４】黒鉛粒子径が１μｍ未満のように小さ過ぎ
ると摩擦摩耗特性が低くなり、１００μｍを越える程に
大き過ぎる場合は、摩擦時に脱落し易くなる傾向が認め
られる。次に、この合金粉末を圧粉、焼結した焼結合金
は、黒鉛が粉末粒子中及び表面に存在しており、焼結合
金部材の表面に黒鉛の薄い被膜を形成した状態となり、
摩擦摩耗特性を良好にする。
ると摩擦摩耗特性が低くなり、１００μｍを越える程に
大き過ぎる場合は、摩擦時に脱落し易くなる傾向が認め
られる。次に、この合金粉末を圧粉、焼結した焼結合金
は、黒鉛が粉末粒子中及び表面に存在しており、焼結合
金部材の表面に黒鉛の薄い被膜を形成した状態となり、
摩擦摩耗特性を良好にする。
【００１５】一方、上記の粉末だけで得られた焼結体
は、粉末の表面に黒鉛が存在するため、高い強度を得難
い。焼結材料の強度が必要な場合は、本発明に係る黒鉛
鋳鉄粉に鉄粉を添加する。鉄粉の添加量が増加すると、
粉末の圧縮性、焼結体強度及び焼結体の摩擦係数が上昇
し、焼付き限界面圧が低下する傾向を示す。また、鉄粉
を５０％を超えて添加すると材料中の遊離黒鉛量が少な
くなるため、摩擦摩耗特性が急に低下するので好ましく
ない。
は、粉末の表面に黒鉛が存在するため、高い強度を得難
い。焼結材料の強度が必要な場合は、本発明に係る黒鉛
鋳鉄粉に鉄粉を添加する。鉄粉の添加量が増加すると、
粉末の圧縮性、焼結体強度及び焼結体の摩擦係数が上昇
し、焼付き限界面圧が低下する傾向を示す。また、鉄粉
を５０％を超えて添加すると材料中の遊離黒鉛量が少な
くなるため、摩擦摩耗特性が急に低下するので好ましく
ない。
【００１６】
【実施例】以下、本発明の実施例をより比較例と対比し
て説明する。まず、Ｃ、Ｓｉ、およびＣｅの含有量を夫
々調整した溶湯を水アトマイズして粉末とし、この粉末
を無酸化ガス雰囲気中で温度９００℃に保持した後、冷
却速度毎分１０℃で冷却した。各試料粉末は１００メッ
シュ以下の粒度とした。標準的な組成の水アトマイズ粉
末の断面組織は、チル化したレデブライト組織を示して
おり、焼鈍した粉末の断面組織は、フェライト組織又は
フェライトとパーライトの混合組織又はパーライト組織
中に塊状の黒鉛が分散しており、かつ粉末の表面は薄く
黒鉛で覆われている。また、Ｃ、Ｓｉ、Ｃｅ以外の含有
成分としては、Ｍｎが０．２〜０．４５％、Ｍｇが０．
００１〜０．１％、Ｓが０．００５〜０．０４５％の範
囲内で含まれていた。
て説明する。まず、Ｃ、Ｓｉ、およびＣｅの含有量を夫
々調整した溶湯を水アトマイズして粉末とし、この粉末
を無酸化ガス雰囲気中で温度９００℃に保持した後、冷
却速度毎分１０℃で冷却した。各試料粉末は１００メッ
シュ以下の粒度とした。標準的な組成の水アトマイズ粉
末の断面組織は、チル化したレデブライト組織を示して
おり、焼鈍した粉末の断面組織は、フェライト組織又は
フェライトとパーライトの混合組織又はパーライト組織
中に塊状の黒鉛が分散しており、かつ粉末の表面は薄く
黒鉛で覆われている。また、Ｃ、Ｓｉ、Ｃｅ以外の含有
成分としては、Ｍｎが０．２〜０．４５％、Ｍｇが０．
００１〜０．１％、Ｓが０．００５〜０．０４５％の範
囲内で含まれていた。
【００１７】この鋳鉄粉末を用いて焼結体を作製し、焼
結体の物理的特性、摺動摩擦係数、焼付き限界面圧を調
べた。表１に、使用した鋳鉄粉末の化学成分とこれらの
物性の測定値を示す。なお、表中の組成にはＣ、Ｓｉ、
Ｃｅだけを表示してある。各粉末にはステアリン酸亜鉛
粉を１％混合し、粉末成形圧力は６トン／ｃｍ2で各々
測定形状に圧粉した。焼結は無酸化ガス雰囲気中で温度
１１２０℃で行った。
結体の物理的特性、摺動摩擦係数、焼付き限界面圧を調
べた。表１に、使用した鋳鉄粉末の化学成分とこれらの
物性の測定値を示す。なお、表中の組成にはＣ、Ｓｉ、
Ｃｅだけを表示してある。各粉末にはステアリン酸亜鉛
粉を１％混合し、粉末成形圧力は６トン／ｃｍ2で各々
測定形状に圧粉した。焼結は無酸化ガス雰囲気中で温度
１１２０℃で行った。
【００１８】また、比較試料として、溶製のＦＣ２００
相当のねずみ鋳鉄、および鉄粉に鋼粉と黒鉛粉を混合し
て通常の方法で作られたＦｅ−１．５％Ｃｕ−０．８％
Ｃのパーライト組織を呈している焼結合金を用意した。
測定項目のうち、硬さの低いものは、ＨＲＦで測定して
ＨＲＢに換算し、カッコを付して示してある。また、摩
擦摩耗特性はピンオンディスク型摩擦試験機を用い、摩
擦条件は乾式で速度３ｍ／ｓｅｃで行った。各焼結材及
び比較材をピンとし、相手材のディスクはＳＣＭ４２０
Ｈ材料（クロムモリブデン鋼熱処理材料）を用いた。
相当のねずみ鋳鉄、および鉄粉に鋼粉と黒鉛粉を混合し
て通常の方法で作られたＦｅ−１．５％Ｃｕ−０．８％
Ｃのパーライト組織を呈している焼結合金を用意した。
測定項目のうち、硬さの低いものは、ＨＲＦで測定して
ＨＲＢに換算し、カッコを付して示してある。また、摩
擦摩耗特性はピンオンディスク型摩擦試験機を用い、摩
擦条件は乾式で速度３ｍ／ｓｅｃで行った。各焼結材及
び比較材をピンとし、相手材のディスクはＳＣＭ４２０
Ｈ材料（クロムモリブデン鋼熱処理材料）を用いた。
【００１９】表１において、試料１〜６はＣ量の及ぼす
影響、試料７〜１１はＳｉ量の及ぼす影響、試料１２〜
１５はＣｅ量の及ぼす影響を示している。試料１〜５に
おいて、Ｃ含有量が増加すると、密度が低くなり、焼結
体の硬さ及び曲げ強さが低くなる。また、摩擦係数も低
くなるが、焼付き限界面圧はＣ量が４％程度までは上昇
し、５％を超えると急に低下する。試料６は、試料５と
同じ粉末を成形圧力を高くして密度を高くしたものであ
るが、その割には硬さ、曲げ強さ、摩擦係数、焼付き限
界面圧ともに特性が向上しない。これらのように、Ｃ量
は２．５％より少ないと摩擦係数が高くて焼付き限界面
圧が低く、５％を超えると焼付き限界面圧が低くなるこ
とがわかる。
影響、試料７〜１１はＳｉ量の及ぼす影響、試料１２〜
１５はＣｅ量の及ぼす影響を示している。試料１〜５に
おいて、Ｃ含有量が増加すると、密度が低くなり、焼結
体の硬さ及び曲げ強さが低くなる。また、摩擦係数も低
くなるが、焼付き限界面圧はＣ量が４％程度までは上昇
し、５％を超えると急に低下する。試料６は、試料５と
同じ粉末を成形圧力を高くして密度を高くしたものであ
るが、その割には硬さ、曲げ強さ、摩擦係数、焼付き限
界面圧ともに特性が向上しない。これらのように、Ｃ量
は２．５％より少ないと摩擦係数が高くて焼付き限界面
圧が低く、５％を超えると焼付き限界面圧が低くなるこ
とがわかる。
【００２０】試料７〜１０において、Ｓｉ含有量が増加
すると、焼結体の物性はＣの場合と同様な傾向を示し、
摩擦係数及び焼付き限界面圧は、Ｓｉ量が０．５％〜２
％のとき良い性質を示すが、この範囲より少なくても多
くても急に特性が悪くなることがわかる。また、試料１
１は、試料１０と同じ粉末を成形圧力を高くして密度を
高くしたものであるが、硬さ及び曲げ強さは高くなる
が、摩擦係数及び焼付き限界面圧ともに特性が向上しな
いことがわかる。
すると、焼結体の物性はＣの場合と同様な傾向を示し、
摩擦係数及び焼付き限界面圧は、Ｓｉ量が０．５％〜２
％のとき良い性質を示すが、この範囲より少なくても多
くても急に特性が悪くなることがわかる。また、試料１
１は、試料１０と同じ粉末を成形圧力を高くして密度を
高くしたものであるが、硬さ及び曲げ強さは高くなる
が、摩擦係数及び焼付き限界面圧ともに特性が向上しな
いことがわかる。
【００２１】試料１２〜１５において、Ｃｅを含有する
ものは、焼結体の物性は僅かに低下するが、摩擦係数及
び焼付き限界面圧は共によい結果を示している。このこ
とは、試料１〜１１と対比すると、Ｃｅの含有によっ
て、特に焼付き限界面圧が向上することが明白である。
試料１６は溶製のねずみ鋳鉄材料、試料１７は歯車等の
機械要素に通常用いられている焼結合金であるが、摩擦
係数が高く、焼付き限界面圧が低いことがわかる。
ものは、焼結体の物性は僅かに低下するが、摩擦係数及
び焼付き限界面圧は共によい結果を示している。このこ
とは、試料１〜１１と対比すると、Ｃｅの含有によっ
て、特に焼付き限界面圧が向上することが明白である。
試料１６は溶製のねずみ鋳鉄材料、試料１７は歯車等の
機械要素に通常用いられている焼結合金であるが、摩擦
係数が高く、焼付き限界面圧が低いことがわかる。
【００２２】次に、参考として試料１２と同じ組織のア
トマイズ粉末を温度６５０℃で焼鈍した粉末は、組織が
未だセメンタイトの状態であった。この粉末を用い、前
述したと同様に成形及び焼結した試料の特性を測定した
ところ、成形密度が５．４ｇ／ｃｍ3 、焼結体の硬さＨ
ＲＢ８、曲げ強さ３９ｋｇｆ／ｍｍ2 、摩擦係数０．５
７、焼付き限界面圧１０であり、粉末が硬く、黒鉛が析
出していないために、特性が悪かった。
トマイズ粉末を温度６５０℃で焼鈍した粉末は、組織が
未だセメンタイトの状態であった。この粉末を用い、前
述したと同様に成形及び焼結した試料の特性を測定した
ところ、成形密度が５．４ｇ／ｃｍ3 、焼結体の硬さＨ
ＲＢ８、曲げ強さ３９ｋｇｆ／ｍｍ2 、摩擦係数０．５
７、焼付き限界面圧１０であり、粉末が硬く、黒鉛が析
出していないために、特性が悪かった。
【００２３】表２は、表１に示した試料３及び試料１３
と同じ鋳鉄粉末に純鉄粉を混合した時の諸特性を示した
ものである。鉄粉の添加により、成形密度が高くなり、
焼結体の物性も向上する。一方、摩擦係数は高くなり、
焼付き限界面圧は低下するが、鉄粉添加量が５０％を越
えると、急に特性が悪くなることがわかる。
と同じ鋳鉄粉末に純鉄粉を混合した時の諸特性を示した
ものである。鉄粉の添加により、成形密度が高くなり、
焼結体の物性も向上する。一方、摩擦係数は高くなり、
焼付き限界面圧は低下するが、鉄粉添加量が５０％を越
えると、急に特性が悪くなることがわかる。
【００２４】
【表１】
【００２５】
【表２】
【００２６】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の粉末
は、フェライト組織又はフェライトとパーライトの混合
組織またはパーライト組織である比較的柔らかいマトリ
ックスであって、その組織中に塊状に黒鉛が分散してお
り、しかも粉末を黒鉛で覆った状態のものであるから、
この粉末を用いて作られる焼結合金は、摺動面に黒鉛が
効率よく存在するため、摩擦係数が低く、耐焼付き性に
優れているものである。本焼結合金によって、摩擦係数
が低く、耐摩耗性の必要な機械要素への適用範囲を拡大
することができる。
は、フェライト組織又はフェライトとパーライトの混合
組織またはパーライト組織である比較的柔らかいマトリ
ックスであって、その組織中に塊状に黒鉛が分散してお
り、しかも粉末を黒鉛で覆った状態のものであるから、
この粉末を用いて作られる焼結合金は、摺動面に黒鉛が
効率よく存在するため、摩擦係数が低く、耐焼付き性に
優れているものである。本焼結合金によって、摩擦係数
が低く、耐摩耗性の必要な機械要素への適用範囲を拡大
することができる。
Claims (6)
- 【請求項１】 全体組成が重量比でＣ：２．５〜５％、
Ｓｉ：０．５〜２％、残部がＦｅ及び不可避不純物から
なり、粉末のマトリックスがフェライト組織またはフェ
ライトとパーライトの混合組織又はパーライト組織中に
塊状の黒鉛が分散しており、かつ粉末の表面が析出黒鉛
で被覆されていることを特徴とする粉末冶金用鋳鉄粉。 - 【請求項２】 全体組成にさらに重量比でＣｅ：０．５
％以下を含むことを特徴とする請求項１記載の粉末冶金
用鋳鉄粉。 - 【請求項３】 全体組成が重量比でＣ：２．５〜５％、
Ｓｉ：０．５〜２％残部がＦｅ及び不可避不純物からな
り、鉄粉粒子内の組織がフェライト組織又はフェライト
とパーライトの混合組織またはパーライト組織中に塊状
の黒鉛が分散しており、かつ微粒子の表面が黒鉛で被覆
されていることを特徴とする耐摩耗性鉄系焼結合金。 - 【請求項４】 全体組成にさらに重量比でＣｅ：０．５
％以下を含むことを特徴とする請求項３記載の耐摩耗性
鉄系焼結合金。 - 【請求項５】 全体組成が重量比でＣ：１．２５〜５
％、Ｓｉ：０．２５〜２％未満、残部がＦｅ及び不可避
不純物からなり、粉粒子内の組織が一方はフェライト組
織又はフェライトとパーライトの混合組織からなる鉄又
は鉄−炭素系の粒子が５０重量％以下で、他方はフェラ
イト組織又はフェライトとパーライトの混合組織又はパ
ーライト組織中に塊状の黒鉛が分散していると共に微粒
子の表面が黒鉛で被覆されている合金鉄粒子とからなる
混合組織を呈していることを特徴とする耐摩耗性鉄系焼
結合金。 - 【請求項６】 全体組成にさらに重量比でＣｅ：０．５
％以下を含むことを特徴とする請求項５記載の耐摩耗性
鉄系焼結合金。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10821893A JPH06322470A (ja) | 1993-05-10 | 1993-05-10 | 粉末冶金用鋳鉄粉及び耐摩耗性鉄系焼結合金 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10821893A JPH06322470A (ja) | 1993-05-10 | 1993-05-10 | 粉末冶金用鋳鉄粉及び耐摩耗性鉄系焼結合金 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH06322470A true JPH06322470A (ja) | 1994-11-22 |
Family
ID=14479034
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP10821893A Pending JPH06322470A (ja) | 1993-05-10 | 1993-05-10 | 粉末冶金用鋳鉄粉及び耐摩耗性鉄系焼結合金 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH06322470A (ja) |
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-
1993
- 1993-05-10 JP JP10821893A patent/JPH06322470A/ja active Pending
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