JPH10317002A - 低摩擦係数粉末とその焼結体及び焼結体の製造方法 - Google Patents

低摩擦係数粉末とその焼結体及び焼結体の製造方法

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JPH10317002A
JPH10317002A JP14726697A JP14726697A JPH10317002A JP H10317002 A JPH10317002 A JP H10317002A JP 14726697 A JP14726697 A JP 14726697A JP 14726697 A JP14726697 A JP 14726697A JP H10317002 A JPH10317002 A JP H10317002A
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JP
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powder
sintered body
sintering
weight
friction
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JP14726697A
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English (en)
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Takeo Hisada
建男 久田
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Daido Steel Co Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】自動車部品等の機械構造部品に適用した場合に
おいて摩擦係数が低く、メカニックロスの少ない粉末な
いし焼結体を提供する。 【解決手段】粉末の化学組成を、重量%でS:1〜10
%,Mo:3〜25%で1.67S+1≦Mo≦1.6
7S+7を満たし、残部不可避的不純物及びFeからな
る組成とする。その粉末には、必要に応じてC粉末やM
oS2粉末,BN粉末,雲母粉末等の固体潤滑剤粉末或
いは金属炭化物粒子,金属窒化物粒子,金属酸化物粒子
等の耐摩耗粒子の粉末を添加混合し、そしてその粉末を
焼結して低摩擦係数の自動車部品等を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は低摩擦係数粉末と
その焼結体及び焼結体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】各種機
械構造部品、とりわけ自動車部品において、その構成材
の摩擦係数を低減することはメカニックロス(機械損
失)を低減し、エネルギーの有効利用を図る上で有用で
ある。
【0003】機械構造部品の摩擦係数を低減する手段と
して、その構成材中にMoxy型の化合物を微細析出さ
せ、そのMoxyの潤滑作用に基づいて摩擦係数を低減
することが考えられる。
【0004】従来Fe−Mo−S系の鋳造材においてこ
の種Moxy型の化合物の析出が認められており、一部
では摩擦係数の低減が認められている。しかしながらか
かる鋳造材の場合、同時にFeSがネット状(網状)に
析出し、そのネット状に析出したFeSが赤熱脆性の主
原因となって、その後の熱間加工を行うことができず、
実際には工業的に利用されていないのが実情である。
【0005】一方、粉末の焼結体にて自動車部品等の機
械構造部品を構成する場合において、その粉末中にMo
xy型の化合物を析出させた場合、同様に摩擦係数を低
減することができると考えられるが、従来にあっては粉
末を焼結するに際して、MoS2等の固体潤滑剤粉末を
添加混合し、その混合粉を焼結することによって焼結体
中にMoS2を含ませるといったことは知られているも
のの、粉末自体の内部にMoxy型の化合物を微細に析
出させたものは報告されていない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願の発明はこのような
事情を背景としてなされたものである。而して請求項1
の低摩擦係数粉末は、重量%で、S:1〜10%,M
o:3〜25%で1.67S+1≦Mo≦1.67S+
7を満たし、残部不可避的不純物及びFeからなること
を特徴とする。
【0007】請求項2の低摩擦係数粉末は、重量%で、
S:1〜10%,Mo:3〜25%で1.67S+1≦
Mo≦1.67S+7を満たし、且つC:0.10〜
1.2%,Si:≦2.0%,Mn:≦2.0%,残部
不可避的不純物及びFeからなることを特徴とする。
【0008】請求項3の低摩擦係数粉末は、請求項1,
2の何れかにおいて、更にNi,Crの何れか1種又は
2種を重量%で、Ni:≦5.0%,Cr:≦1.50
%を含有することを特徴とする。
【0009】請求項4の低摩擦係数粉末は、請求項1,
2,3の何れかにおいて、更にV,Wの何れか1種又は
2種を重量%で、V:≦3.0%,W:≦1.0%,を
含有することを特徴とする。
【0010】請求項5は焼結体に係るもので、この焼結
体は、請求項1,2,3,4の何れかの粉末を成形し焼
結して成ることを特徴とする。
【0011】請求項6の焼結体は、請求項5において、
炭化物形成及び母相の硬さ向上のためにCの粉末を添加
混合し、Cの合計量を重量%で0.10〜1.2%とし
た混合粉末を成形及び焼結して成ることを特徴とする。
【0012】請求項7の焼結体は、請求項5,6の何れ
かにおいて、更に固体潤滑剤の粉末を重量%且つ合計量
で0.5〜10%添加混合し、該混合粉末を成形及び焼
結して成ることを特徴とする。
【0013】請求項8の焼結体は、請求項7において、
前記固体潤滑剤粉末がMoS2粉末,BN粉末,雲母粉
末の何れか1種又は2種以上から成ることを特徴とす
る。
【0014】請求項9の焼結体は、請求項5,6,7,
8の何れかにおいて、更に耐摩耗粒子の粉末を重量%且
つ合計量で1〜15%の範囲で添加混合し、該混合粉末
を成形及び焼結して成ることを特徴とする。
【0015】請求項10の焼結体は、請求項9におい
て、前記耐摩耗粒子が金属炭化物粒子,金属窒化物粒
子,金属酸化物粒子の何れか1種又は2種以上から成る
ことを特徴とする。
【0016】請求項11の焼結体は、請求項5,6,
7,8,9,10の何れかにおいて、油含浸又はテフロ
ン樹脂含浸処理して成ることを特徴とする。
【0017】請求項12は焼結体の製造方法に係るもの
で、この製造方法は、請求項5,6,7,8,9,1
0,11の何れかの焼結体を製造するに際し、粉末を一
次圧縮及び一次焼結処理した後、再圧縮及び再焼結処理
して最終の焼結体を得ることを特徴とする。
【0018】請求項13の製造方法は、請求項5,6,
7,8,9,10,11の何れかの焼結体を製造するに
際し、一旦ビレット等の一次素材形状に成形及び焼結し
た後、線材,棒材,板材等の二次素材形状を得るための
鍛造,圧延等塑性加工を施すことを特徴とする。
【0019】
【作用及び発明の効果】上記のように本発明は、粉末の
化学組成を、固溶限以上のMoと固溶限を超えたMoの
量に見合った量のSを含有する組成、詳しくは重量%で
Mo:3〜25%,S:1〜10%を含有する組成と
し、且つ1.67S+1≦Mo≦1.67S+7の関係
を満たすようにMoとSの含有量を定めたもので、本発
明の粉末の場合、粉末自体の内部にMoxy型の化合物
(FeMoxy)が微細に析出し、そのMoxyの潤滑
作用に基づいて粉末自体、ひいては粉末焼結体の摩擦係
数を効果的に低減することができる。
【0020】従って本発明の粉末を焼結して機械構造部
品を製造した場合、機械構造部品の摩擦係数を低減して
メカニックロスを効果的に低減することができる。本発
明は、各種の機械構造部品への適用が可能であるが、特
に自動車部品に対して好適に適用することができる。
【0021】ここで1.67S+1≦Mo≦1.67S
+7としているのは、この組成範囲においてMoS2
近い形態の化合物が生成し易いことによる。
【0022】本発明に従って粉末を構成した場合、その
粉末製造に際して溶鋼が急冷されることから、FeSが
粉末中に生成するとしてもかかるFeSは鋳造材のよう
にネット状に析出せず、粉末中に微細に分散した形態で
析出する。従ってかかる粉末の場合、生成したFeSは
特に赤熱脆性の原因とはならず、焼結体を加工する際に
も容易にこれをなすことができ、目的とする形状を得る
ことができる。
【0023】尤も粉末の場合、焼結に際して最終形状な
いしこれに近い形状に焼結することが可能であり、この
場合には赤熱脆性自体が問題とならない。
【0024】本発明においては、粉末の成分元素として
C,Si,MnをそれぞれC:0.10〜1.2%,S
i:≦2.0%,Mn:≦2.0%の範囲で含有させる
ことができる(請求項2)。
【0025】更にはまた必要に応じて焼入れ性を向上
し、また機械的性質を向上させるためにNi,Crの何
れか1種又は2種を、Ni:≦5.0%,Cr:≦1.
50%の範囲で含有させることができる(請求項3)。
【0026】また更に、必要に応じて耐摩耗性を更に向
上させる目的でV,Wの何れか1種又は2種をV:≦
3.0%,W:≦1.0%の範囲で含有させることがで
きる(請求項4)。
【0027】本発明においては、粉末の製造方法として
溶鋼にガスを噴霧して粉末を製造する方法或いは水を噴
霧して粉末を製造する方法或いは回転電極法の何れも用
いることができる。
【0028】本発明に従って粉末を製造し、焼結して成
る焼結体(請求項5)は良好な低摩擦係数特性を有し、
而してこれを最終形状に焼結した場合、従来Fe−Mo
−S系鋳造材において問題となっていた赤熱脆性の問題
を排除でき、或いはまた一旦ビレット等の一次素材形状
に成形及び焼結した後、二次素材形状を得るためにこれ
を熱間等塑性加工する場合においても(請求項13)、
前述した理由によって赤熱脆性の問題を生じず、良好に
加工を行うことができる。
【0029】尚本発明では粉末の焼結方法として各種の
焼結方法を用いることができるが、その一つとして熱間
等方圧プレス(HIP)による焼結方法を用いることが
できる。
【0030】本発明に従って粉末製造し、焼結すること
によって機械構造部品等を製造する場合、低摩擦係数特
性を更に高めたり或いは他の特性を容易に付与できる利
点が得られる。即ち、先ず粉末製造してその焼結により
機械構造部品等を製造する場合、粉末ないし粉末焼結の
利点を最大限に利用して粉末に黒鉛等のCの粉末を添加
混合し、以て焼結体中に炭化物形成及び母相の硬さを向
上させることができる(請求項6)。或いはまたMoS
2粉末,BN粉末,雲母粉末等の固体潤滑剤粉末を所定
量添加することによって、焼結体の摩擦係数を更に一段
と低減することが容易に実現できる(請求項7,請求項
8)。
【0031】更にはまた、金属炭化物粒子,金属窒化物
粒子,金属酸化物粒子等の耐摩耗粒子の粉末を所定量添
加することによって、焼結体の耐摩耗性を効果的に高め
ることが容易に実現でき(請求項9,請求項10)、或
いはまた、焼結体が空孔を有することを利用してそこに
潤滑油を含浸させたりテフロン樹脂等を含浸処理するこ
とで、焼結体の摩擦係数を更に効果的に低減することが
できる(請求項11)。
【0032】尚、本発明においてはCの粉末,固体潤滑
剤粉末,耐摩耗粒子粉末を複合で添加混合することも勿
論可能である。この場合においてCの粉末,固体潤滑剤
粉末,耐摩耗粒子粉末の添加量はそれぞれ上記範囲とし
且つそれらの合計量で添加量が15%以下とするのがよ
い。
【0033】本発明においては、粉末から焼結体を得る
に際し、先ず一次圧縮及び一次焼結を行った後、再圧
縮,再焼結を施すようになすことができ(請求項1
2)、このようにした場合、焼結体の密度をより高くす
ることができ、比摩耗量をより効果的に少なくできるこ
とが確認されている。尚本発明の粉末は、これを用いて
溶射による被覆やPPW(プラズマパウダー溶接)等の
肉盛溶接を行うことも可能である。
【0034】次に本発明における化学成分等の限定理由
を以下に詳述する。 S:1〜10% SはMo硫化物形成に不可欠な成分であり、1%未満で
はMoxy型化合物の量が少なく、摩擦係数の改善効果
が少ない。また10%でその効果が飽和するため、本発
明では上限を10%とする。
【0035】Mo:3〜25% MoはSとともにMo硫化物形成に不可欠な成分であ
り、上記Sの量に対応してその下限を3%,上限を25
%とする。
【0036】1.67S+1≦Mo≦1.67S+7 Mo硫化物を効果的に生成させるためにMoとSの量は
この範囲に限定する必要がある。1.67S+7を超え
てMoを添加すると過剰のMoが脆いFe−Mo化合物
を形成する。また逆にMoが1.67S+1よりも少な
いと過剰のSが脆いFe−S化合物を形成する。
【0037】 C(粉末中含有成分):0.10〜1.2% Cは強度を確保するのに有用な元素である。但し0.1
0%未満では効果が乏しく、逆に過剰添加はMo炭化物
の析出を過度に促進し、Mo硫化物の形成に悪影響を与
えるため上限を1.2%とする。
【0038】Si:≦2.0% Siは溶鋼中の酸素低減に有効で湯流れを改善し、焼結
体の生地を強化する元素である。2.0%でその効果が
飽和するのでこれを上限とする。
【0039】Mn:≦2.0% Mnは鋼の焼入れ性を確保するのに有効な元素である
が、過度の添加は粉末の酸化を促進するため上限を2.
0%とする。
【0040】Ni:≦5.0% Niは焼入れ性を与え、焼入れ・焼戻し後の機械的性質
を向上させる。但し過度の添加は残留オーステナイト生
成の原因となり、硬さを低下させるので上限を5.0%
とする。
【0041】Cr:≦1.50% Crは鋼の焼入れ性を確保するのに有効であるが、過度
の添加はMoと副炭化物を作り、Mo硫化物の生成に悪
影響を与えるので上限を1.50%とする。
【0042】V:≦3.0% Vは単独でVCを形成し、耐摩耗性を与えるのに有効で
ある。但し過度の添加は粉末製造時の注湯ノズル閉塞等
のトラブルの要因となるので上限を3.0%とする。
【0043】W:≦1.0% Wは炭化物を形成して耐摩耗性を与えるのに有効であ
る。但し過度の添加はMoと副炭化物を作り、Mo硫化
物の生成に悪影響を与えるので上限を1.0%とする。
【0044】粉末に添加するC粉量:混合粉全体に占め
る合計量で0.10〜1.2% 焼結体製造に際して粉末に添加するC粉末は焼結体の強
度を確保するのに有効な元素である。但し0.10%未
満では効果が乏しく、逆に過剰添加はMo炭化物の析出
を過度に促進し、Mo硫化物の形成に悪影響を与える。
そこで上限を1.2%とする。
【0045】MoS2,BN,雲母粉末等の固体潤滑剤
粉末の添加量:合計で0.5〜10% これらの固体潤滑剤は潤滑性を得るために0.5%未満
では効果が少なく、逆に10%を超えると混合が難し
く、偏析を起こして焼結体の強度低下を来すため、上限
を10%とする。
【0046】金属炭化物,金属窒化物,金属酸化物粉末
等の耐摩耗粒子粉末の添加量:合計で1〜15% これらの粉末は耐摩耗性を得るために添加するのが望ま
しく、その際1%未満では効果が少ないため1%以上す
る。但し15%を超えると混合が難しく、偏析を起こし
て焼結体の強度低下を来すため上限を15%とする。
【0047】C粉末,固体潤滑剤粉末,耐摩耗粒子粉
末:合計量で≦15% 合計の添加量が15%を超えると混合が難しく、偏析を
起こし焼結体の強度低下を来すため上限を15%とする
のが良い。
【0048】
【実施例】次に本発明の実施例を以下に詳述する。 [実施例1]30kg誘導炉の水噴霧装置でFe−12
%Mo−3.5%Sの粉末を製造した。得られた粉末を
乾燥後60メッシュ以下に分級し、試験に供した。この
粉末に潤滑剤としてZn−St(ステアリン酸亜鉛)を
0.5重量%添加し、10×10×50mmの大きさ
に、金型を用いて7t/cm2の圧力で成形し、その圧
粉体を1200℃×1hr,H2ガス中で焼結し、試験
に供した。
【0049】また比較のために同一成分の鋳造材と市販
のS45Cを用い、削り出しによって同形状の試験片を
得た。そして定荷重,往復運動下における摩擦係数測定
を無潤滑と油塗布(油含浸)の条件下で測定した。ここ
で荷重は10kg/mm2,摩擦係数測定は100往復
後の安定した時点で行った。また油含浸材については、
焼結体の空孔の効果を確認するために室温と300℃の
2つの温度条件下で測定を行った。結果が表1に示して
ある。
【0050】
【表1】
【0051】表1の結果から、本発明材は比較材(S4
5C)よりも摩擦係数が低くなっていることが分かる。
また同一成分の鋳造材と本発明材とは、無潤滑下では同
じ摩擦係数であるものの、油を含浸させた条件下ではそ
の含油効果により、本発明材が鋳造材に比べて摩擦係数
が小さく、特に300℃の下では鋳造材に比べて本発明
材の方が著しく含油効果が高いことが分かる。
【0052】これは、鋳造材の場合にはただ単に表面に
油が塗布されているだけであり、この油は300℃の高
温では揮発して消失するためにその油の効果が消失し或
いは低くなるのに対し、本発明材の場合には空孔内に油
が保持されているため、300℃の高温でも油が揮発せ
ず、含油効果が持続することによる。
【0053】[実施例2]30kg誘導炉の水噴霧装置
で表2の成分の粉末を製造した。得られた粉末を乾燥後
100メッシュ以下に分級し、還元性の雰囲気中で焼鈍
を実施した後、試験に供した。粉末には潤滑剤としてZ
n−Stを0.5重量%添加し、10×10×50mm
の大きさに、金型を用いて7t/cm2の圧力で成形し
て、その圧粉体を1200℃×1hr,H2ガス中で焼
結し、試験に供した。ここで比較材としては表2の成分
の鋳造材を用いた。尚、No.3の試験片はNo.2の
焼結体を7t/cm2で再圧縮した後、1200℃×1
hr,H2ガス中で再焼結を行ったものである。またN
o.1〜5の試験片は850℃で焼入れし、500℃で
焼戻し処理を行った。更にNo.5の試験片は、焼入れ
・焼戻し後にテフロン樹脂の含浸処理を行った。これら
について摩擦係数の測定と耐摩耗性の評価を行ったとこ
ろ、表2に示す結果が得られた。
【0054】尚、摩擦係数の測定と耐摩耗性の評価は次
の条件で行った。即ち摩擦係数の測定は定荷重,往復運
動下における摩擦係数を無潤滑で測定することにより行
った。このときの荷重は10kg/mm2であり、また
摩擦係数は100往復後の安定した時点で測定した。更
に耐摩耗性評価は、相手材SKD11,荷重2kg,摩
擦距離100m,無潤滑の条件で大越式摩耗試験により
行った。
【0055】
【表2】
【0056】表2の結果から、本発明材のNo.1〜4
は比較材であるNo.6に比較して耐摩耗性が改善され
ていることが分かる。またNo.3はNo.2に較べて
再圧縮,再焼結により密度が向上していることから、比
摩耗量が小さくなっていることが分かる。ここで比摩耗
量とは、相手材SKD11から成る直径30mmφ,厚
みt=3mmの円盤を供試材に荷重2kgで押し付けた
状態で円盤を回転させ、供試材表面に生じた窪みの大き
さ(面積)を表わしたものである。更にテフロン樹脂を
含浸処理したNo.5については摩擦係数が著しく小さ
くなっている。
【0057】[実施例3]30kg誘導炉のガス噴霧装
置でFe−21%Mo−9.5%Sの粉末を製造した。
得られた粉末を32メッシュ以下に分級し、試験に供し
た。
【0058】粉末に黒鉛(C)粉末(粒径は1.03μ
m)を0.3%混合し、その混合粉末を外径50mm,
高さ100mmのSUS製容器に充填し、内部のガスを
除去した後溶接により封孔した。その後1100℃×1
hr×1200kgf/cm2でHIP処理した。
【0059】また比較のために鋳造で同一成分,同一寸
法のインゴットを造り、比較材とした。これらを外径3
0mmまで展伸して熱間加工性を調べたところ、HIP
材は問題なく鍛造できたが、鋳造インゴットは最初の圧
下で割れが発生した。
【0060】[実施例4]30kg誘導炉のガス噴霧装
置で表3に示す各種組成の粉末を製造した。得られた粉
末を60メッシュ以下に分級し、試験に供した。
【0061】粉末には表3に示す固体潤滑剤粉末や硬質
粒子粉末を添加し、実施例3と同じ条件でHIP処理
し、試験に供した。また比較材として鋳造のFe−13
%Mo−5%Sを用いた。これらについて摩擦係数の測
定及び摩耗量の評価を実施例2と同じ条件の下で行っ
た。結果が表3に併せて示してある。
【0062】
【表3】
【0063】表3の結果から、固体潤滑剤粉末を添加す
ることによって一段と摩擦係数が小さくなり、また硬質
粒子粉末を添加することで耐摩耗性が著しく向上するこ
とが分かる。
【0064】以上本発明の実施例を詳述したがこれはあ
くまで一例示であり本発明はその主旨を逸脱しない範囲
において種々変更を加えた態様で実施可能である。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、S:1〜10%,Mo:3〜
    25%で1.67S+1≦Mo≦1.67S+7を満た
    し、残部不可避的不純物及びFeからなることを特徴と
    する低摩擦係数粉末。
  2. 【請求項2】 重量%で、S:1〜10%,Mo:3〜
    25%で1.67S+1≦Mo≦1.67S+7を満た
    し、且つ C :0.10〜1.2% Si:≦2.0% Mn:≦2.0% 残部不可避的不純物及びFeからなることを特徴とする
    低摩擦係数粉末。
  3. 【請求項3】 請求項1,2の何れかにおいて、更にN
    i,Crの何れか1種又は2種を重量%で Ni:≦5.0% Cr:≦1.50% を含有することを特徴とする低摩擦係数粉末。
  4. 【請求項4】 請求項1,2,3の何れかにおいて、更
    にV,Wの何れか1種又は2種を重量%で V :≦3.0% W :≦1.0% を含有することを特徴とする低摩擦係数粉末。
  5. 【請求項5】 請求項1,2,3,4の何れかの粉末を
    成形し焼結して成る焼結体。
  6. 【請求項6】 請求項5において、炭化物形成及び母相
    の硬さ向上のためにCの粉末を添加混合し、Cの合計量
    を重量%で0.10〜1.2%とした混合粉末を成形及
    び焼結して成る焼結体。
  7. 【請求項7】 請求項5,6の何れかにおいて、更に固
    体潤滑剤の粉末を重量%且つ合計量で0.5〜10%添
    加混合し、該混合粉末を成形及び焼結して成る焼結体。
  8. 【請求項8】 請求項7において、前記固体潤滑剤粉末
    がMoS2粉末,BN粉末,雲母粉末の何れか1種又は
    2種以上から成ることを特徴とする焼結体。
  9. 【請求項9】 請求項5,6,7,8の何れかにおい
    て、更に耐摩耗粒子の粉末を重量%且つ合計量で1〜1
    5%の範囲で添加混合し、該混合粉末を成形及び焼結し
    て成る焼結体。
  10. 【請求項10】 請求項9において、前記耐摩耗粒子が
    金属炭化物粒子,金属窒化物粒子,金属酸化物粒子の何
    れか1種又は2種以上から成ることを特徴とする焼結
    体。
  11. 【請求項11】 請求項5,6,7,8,9,10の何
    れかにおいて、油含浸又はテフロン樹脂含浸処理して成
    る焼結体。
  12. 【請求項12】 請求項5,6,7,8,9,10,1
    1の何れかの焼結体を製造するに際し、粉末を一次圧縮
    及び一次焼結処理した後、再圧縮及び再焼結処理して最
    終の焼結体を得ることを特徴とする焼結体の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項5,6,7,8,9,10,1
    1の何れかの焼結体を製造するに際し、一旦ビレット等
    の一次素材形状に成形及び焼結した後、線材,棒材,板
    材等の二次素材形状を得るための鍛造,圧延等塑性加工
    を施すことを特徴とする焼結体の製造方法。
JP14726697A 1997-05-20 1997-05-20 低摩擦係数粉末とその焼結体及び焼結体の製造方法 Pending JPH10317002A (ja)

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