JP2001158934A - 耐摩耗性鉄系焼結合金の製造方法 - Google Patents

耐摩耗性鉄系焼結合金の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳物材料のような摺動摩擦特性を示すと共に
強度が10%程度高い焼結合金を提供する。 【解決手段】 C:2.5〜5%、Si:0.5〜2
%、残部がFeからなり、組織中に塊状の黒鉛が分散し
析出黒鉛が付着している鋳鉄粉40〜60重量部と、M
o:0.5〜2%、Ni:0.5〜4%、残部がFeか
らなる合金鉄粉60〜40重量部とを混合し、焼結体組
織の鋳鉄粒子部分のマトリックス中にASTM A24
7のIV〜VIに相当する形状の黒鉛が分散しており、
Mo及びNiを含有するマトリックス組織が主にベイナ
イトを示すような加熱温度、加熱時間及び冷却速度で焼
結する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強度が高く摺動摩
擦係数が低い黒鉛分散型耐摩耗性鉄系焼結合金の製法に
関し、比較的高い荷重で使用される摺動部材として利用
される焼結合金を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄基マトリックスに黒鉛が分散した焼結
合金は、黒鉛がもつ固体潤滑作用が得られ、摺動部材に
適している。このような黒鉛分散鉄系焼結合金は、鉄粉
に黒鉛粉を添加した粉末を圧粉、焼結する製法によって
製造したのでは、均質な黒鉛の分散と材料強度が両立す
るようなものが得難い。従って、従来、鋳鉄粉をベース
にした製法が提案されている。
【0003】例えば、特開平6−322470号公報に
は、C:2.5〜5重量%、Si:0.5〜2重量%、
残部がFeであって塊状黒鉛が分散していると共に粉末
表面が析出黒鉛で被覆されている組織の鋳鉄粉、又はこ
の鋳鉄粉に純鉄粉を50重量%以下添加した混合粉末を
圧粉成形し、無酸化ガス雰囲気中で温度1120℃で焼
結する技術が開示されている。
【0004】得られる合金は、鋳鉄粉だけで作られた前
者では、組織がフェライト組織又はフェライトとパーラ
イトの混合組織又はパーライト組織であって、その中に
塊状の黒鉛が分散している。鋳鉄粉と純鉄粉とを混合し
た後者では、前記組織の粒子に加え、純鉄粉で添加した
部分がフェライト組織又はフェライトとパーライトの混
合組織となった鉄−炭素系の粒子が分散したものとな
る。
【0005】これらの焼結体の曲げ強さは、前者では4
21〜637MPa(43〜65kgf/mm2)、後
者では578〜755MPa(59〜77kgf/mm
2)であり、滑り速度3m/secの乾式摩擦における
摩擦係数が、前者では0.37〜0.42、後者で0.
39〜0.45となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような焼結合金
は、摺動面に黒鉛が効率よく存在するため、摩擦係数が
比較的低く、焼付きが起こり難いものではあるが、更に
強度の高いものであれば、焼結合金の用途を拡大するこ
とができる。本発明は摩擦係数が低く強度が高い鋳鉄系
の焼結合金を少ない添加元素で得ることを目的として開
発された。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の耐摩耗性鉄系焼結合金の製造方法は、下記
(A)と(B)の合計100重量部からなる混合粉を圧
縮成形して圧粉体とし、この圧粉体を非酸化性雰囲気中
で下記(C)の条件で加熱冷却することを特徴とする耐
摩耗性鉄系焼結合金の製造方法である。
【0008】記 (A)C:2.5〜5重量%、Si:0.5〜2重量
%、残部がFe及び不可避不純物からなり、断面組織が
フェライト組織またはフェライトとパーライトの混合組
織又はパーライト組織中に塊状の黒鉛が分散し粉末の表
面に析出黒鉛が付着又は被覆されている鋳鉄粉40〜6
0重量部 (B)Mo:0.5〜2重量%、Ni:0.5〜4重量
%、残部がFe及び不可避不純物からなる合金鉄粉又は
前記組成と等量になる鉄モリブデン合金粉とニッケル粉
60〜40重量部 (C)焼結体組織の鋳鉄粒子部分のマトリックスはフェ
ライトとパーライトの混合組織又はパーライト組織を示
し、その中にASTM A247におけるIV〜VIに
相当する形状の黒鉛が分散しており、且つMo及びNi
を含有するほかのマトリックス組織はベイナイト又はベ
イナイト量が多いマルテンサイトとベイナイトとの混合
組織を示すような加熱温度、加熱時間及び冷却速度。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、実験により得た次の知
見に基づいて完成したものである。
【0010】(1)鋳鉄粉としては、鉄合金マトリック
ス中に黒鉛が小さく塊状に析出していて、その粉末表面
にも析出した黒鉛が全面又は断続的に被覆された状態の
鋳鉄粉を用いると、焼結合金の表面に固体潤滑作用のあ
る黒鉛が露出した状態の焼結合金を得ることができ、こ
の焼結合金は耐摩耗性がよい。
【0011】(2)強度を高くするには、鋳鉄粉に鉄粉
又は低合金粉を添加した複合形態とし、添加元素として
は、通常の焼結炉の冷却速度(5〜15℃/min.)
で大部分がベイナイト組織を生成するような、焼入れ性
を向上する作用のあるNiとMoの組合せで添加するの
が効果的である。
【0012】(3)ベイナイト組織は、他の組織に比べ
て耐摩耗性及び摺動性が優れている。
【0013】(4)また、マルテンサイト組織が混在す
ると強度を高めるが、マルテンサイトが支配的になると
耐摩耗性及び摺動性が劣化する。
【0014】(5)黒鉛が分散した鋳鉄系の領域と主に
ベイナイト組織の領域とが混合した斑組織は、互いの性
質が相補って摺動特性と強度を兼ね備えたものとなる。
各領域の比率は1:1前後がよい。
【0015】(6)ベイナイト組織の領域を構成するた
めのNi、Mo及びFeは、(イ)Fe−Ni−Mo合
金粉、(ロ)Fe−Mo合金粉とカーボニルNi粉の組
合せ、(ハ)Mo濃度が高いFe−Mo合金粉とカーボ
ニルNi粉及び純鉄粉の組合せのいずれかを採用するこ
とができる。しかし、(イ)は粉末の圧縮性が僅かに劣
ること( ハ)は焼結でMoがマトリックスに拡散し難
いことから(ロ)の形態が最もよい。
【0016】(7)焼結体の黒鉛分散組織における黒鉛
の形態はできるだけ塊状に近い状態(ASTM A24
7のIV〜VI)が強度と潤滑によい結果を示す。
【0017】(8)焼結体の断面気孔形状もまた円形に
近い状態ほど強度が高く、焼結温度は1140℃前後が
良い結果を示す。
【0018】(9)焼結の進行に及ぼす焼結雰囲気は、
温度と時間を一定としたとき、水素と窒素の混合ガス中
が焼結の進行が最も速く、真空中、炭化水素分解ガス中
の順に比較的遅くなる。
【0019】次に、本発明に用いられる黒鉛が分散した
組織の鋳鉄粉は、特開平6−322470号公報に記載
されているように、C,Siを含有する溶湯をアトマイ
ズした粉末を無酸化ガス雰囲気中で温度900℃程度に
保持した後、毎分10℃程度の速度で冷却して作られ
る。焼鈍した鋳鉄粉は組織がフェライト組織又はフェラ
イトとパーライトの混合組織又はパーライト組織であ
り、塊状に析出した黒鉛が分散していると共に粉末表面
にも析出した黒鉛が全面または断続的に被覆されている
状態になる。
【0020】鋳物粉の炭素量は、2.5重量%未満では
遊離黒鉛量が少なく摺動特性に影響する。5重量%を越
えると焼結性が悪くなり強度が低下する。
【0021】黒鉛化促進元素のSiは、0.5重量%未
満では効果が不完全で摩擦特性が不十分である。2重量
%を越えると粉末が硬くなって圧縮性が低くなるほか、
焼結体強度が低下する。
【0022】析出黒鉛をより球状化させるために0.0
1〜0.5重量%のCeを添加することもできる。ま
た、鋳物粉には通常0.1〜1重量%程度のMn、その
1/10程度のS、微量のP,Mg等が含まれている
が、本発明においてはこれらは含有量の多少による作用
効果の差異は微少であるため、不可避不純物とする。
【0023】一方、主にベイナイト組織のマトリックス
を形成するための鉄基合金の添加元素としてはMo及び
Niが選択される。
【0024】鋼の連続冷却変態(C・C・T)曲線また
は温度時間変態(T・T・T)曲線で説明されるよう
に、ベイナイトの変態はパーライト生成温度とマルテン
サイト生成温度との中間温度範囲で生じる。通常の焼却
冷却速度で主にベイナイト変態するには、焼入れ性を向
上させなければならない。焼入れ性の向上はマルテンサ
イト変態またはベイナイト変態する冷却速度領域を広く
することによって得られる。Moは焼入れ性の向上に極
めて有効でベイナイト化に効果がある。Niは焼入れ性
を向上しマルテンサイト化に効果がある。また、強さや
靱性を増加する効果がある。
【0025】Mo及びNiの含有量は、焼結体の摺動摩
擦係数には影響を及ぼさない。
【0026】Moは、前記鋳鉄粉を除いた鉄合金部分を
100として0.5重量%より少なくても2重量%より
多くても焼結強度が低くなるので0.5〜2重量%とし
た。さらに、1〜1.5重量%のとき最も高い強度を示
す。
【0027】Niも同様な傾向を示し、0.5重量%よ
り少なくても4重量%より多くても焼結強度が低くなり
好ましくない。さらに好適には、2〜3重量%のとき最
も高い強度を示す。
【0028】炭素は黒鉛粉を特別に添加しなくても鋳物
粉に含まれる炭素から供給される。また、焼結雰囲気ガ
スを炭化水素分解ガスにすると雰囲気ガスからも供給す
ることができる。
【0029】次に、代表的な実験データにより本発明を
詳細に説明する。
【0030】準備した原料粉は下記の通りである。 (1)粒度が100メッシュ以下の鋳物粉 Si:1.5重量%一定とし、C:2.1〜5.5重量
%の範囲の5種類の粉末、及びC:3.4重量%一定と
し、Si:0.4〜2.2重量%の範囲の5種類の粉末
を準備した。いずれもアトマイズした粉末を温度900
℃に保持した後、毎分10℃の速度で冷却して作られ
た。この鋳物粉はフェライトとパーライトの混合組織中
及び粉末表面に黒鉛が析出している。 (2)粒度が100メッシュ以下のアトマイズ純鉄粉 不可避の不純物としてMn、Siが含まれている。 (3)粒度が100メッシュ以下のアトマイズ合金鉄粉 Mo含有量が0.4重量%〜2.2重量%の範囲内の5
種類を調製した。不可避の不純物としてMn、Siが含
まれている。 (4)粒度が350メッシュ以下のカーボニルニッケル
粉 (5)ステアリン酸亜鉛粉 各混合粉には0.75重量%のステアリン酸亜鉛が添加
された。
【0031】各混合粉は曲げ強さ試験片及びリングオン
ブロック試験のリング形状に圧粉され、水素と窒素の混
合ガス中で焼結した。焼結温度は鋳物粉に純鉄粉を添加
した比較例は特開平6−322470号公報に記載して
いると同様に1120℃、本発明に係る試料は1140
℃である。
【0032】焼結後の温度冷却速度は、いずれも変態領
域の平均で10℃/minである。
【0033】以下に示す特性値は、いずれも焼結体密度
6.7g/cm3で示されている。
【0034】曲げ強度はスパン1インチの3点曲げによ
る最大荷重である。
【0035】摩擦係数は、リングオンブロック摩擦試験
機により、相手ブロック材がSCM420浸炭熱処理材
で、ギヤオイル中で摩擦荷重147MPa(15kgf
/mm2)、摩擦速度3m/secとした。
【0036】[比較例の特性]鋳鉄粉は、C:3.4重
量%、Si:1.0重量%で、純鉄粉と1:1の割合で
混合した。曲げ強度は745MPaであった。また、摩
擦係数は0.06であった。
【0037】[本発明に係る鋳物粉中のSi量の影響]
鋳物粉の組成は、C:3.4重量%一定としてSi:
0.4〜2.2重量%の範囲の5種類で、この粉末と、
それぞれMo:1.5重量%含有のアトマイズ合金鉄粉
98重量%とNi粉2重量%との混合粉とを1:1の割
合で混合した。
【0038】全体組成では、C:1.7重量%、Si:
0.2〜1.1重量%の範囲、Mo:1.75重量%、
Ni:1.0重量%、残部Fe及び不純物となる。
【0039】各試料の特性は表1に示す通りで、鋳物粉
中のSi量が0.5重量%より少ないと摩擦係数が大き
く、2重量%を越えると摩擦係数は低いが曲げ強さは低
下することが分かる。
【0040】
【表1】
【0041】[本発明に係る鋳物粉中のC量の影響]鋳
物粉の組成は、Si:1.0重量%一定とし、C:2.
1〜5.5重量%の範囲の5種類とした。これらの粉末
と、Mo:1.5重量%含有のアトマイズ合金鉄粉98
重量%とNi粉2重量%との混合粉とを1:1の割合で
混合した。
【0042】全体組成では、C:1.05〜2.75重
量%の範囲、Si:0.5重量%、Mo:0.75重量
%、Ni:1.0重量%、残部Fe及び不純物となる。
【0043】各試料の特性は表2に示す通りで、鋳物粉
中のC量が2.5重量%より少ないと摩擦係数が大き
く、5重量%を越えると摩擦係数は低いが曲げ強さは低
下することが分かる。
【0044】
【表2】
【0045】[本発明に係る鋳物粉を除くマトリックス
中のMo量の影響]鋳物粉としては、Si:1.0重量
%、C:3.4重量%の鋳物粉を用い、この鋳物粉と、
Mo含有量が異なる5種類のアトマイズ合金鉄粉98重
量%にそれぞれNi粉2重量%とで100重量%となる
混合粉とを1:1の割合で混合した。
【0046】各試料は、全体組成では、C:1.7重量
%、Si:0.5重量%、Mo:0.2〜1.1重量%
の範囲、Ni:1.5重量%、残部Fe及び不純物とな
る。
【0047】各試料の特性は表3に示す通りで、合金鉄
粉中のMo量は摩擦係数に影響を及ぼさないが、Mo量
が0.5重量%より少ないと大幅に曲げ強度が低下し、
2重量%を越える場合も曲げ強さが低下することが分か
る。全体組成におけるMo量は0.5〜0.8重量%の
とき強度が高い。
【0048】
【表3】
【0049】[本発明に係る鋳物粉を除くマトリックス
中のNi量の影響]鋳物粉の組成は、Si:1.0重量
%、C:3.4重量%のものを用い、この鋳物粉と、M
o:1.5重量%含有のアトマイズ合金鉄粉とNi粉
0.5〜4.4重量%とで100重量%である混合粉と
を1:1の割合で混合した。
【0050】各試料の全体組成は、C:1.7重量%、
Si:0.5重量%、Mo:0.72〜0.75重量
%、Ni:0.25〜2.2重量%、残部Fe及び不純
物となる。
【0051】各試料の特性は表4に示す通りで、Ni量
は摩擦係数に影響を及ぼさないが、Ni量が0.5重量
%より少なく、4重量%を越える場合は曲げ強さが大幅
に低下することが分かる。全体組成におけるNi量は1
〜1.5重量%のとき強度が高い。
【0052】
【表4】
【0053】[本発明に係る鋳物粉と他方の合金部分の
混合割合の影響]鋳物粉の組成は、Si:1.0重量
%、C:3.4重量%のものを用い、この鋳物粉と、M
o:1.5重量%含有のアトマイズ合金鉄粉98重量%
とNi粉2重量%の混合粉とを、各種組合せ比率(重量
部)を変えて、混合粉100重量部を作成した。
【0054】各試料の特性は表5に示す通りで、鋳物粉
の量が40重量%より少ないと摩擦係数が高く、鋳物粉
の量が増加すると摩擦係数が低下する。一方、曲げ強さ
は、鋳物粉の量が少ないと高く、鋳物粉の量が増加する
につれて低下し、60重量部を越えると著しく低下して
いる。鋳物粉の量は40〜60重量部が良好な特性を示
している。
【0055】
【表5】
【0056】上述したように、本発明方法で作られる焼
結合金は、従来の方法によるものに比べて摩擦係数は僅
かに低く、曲げ強度は約100MPa程度(約13重量
%程度)高くなっている。
【0057】本発明によって作られる焼結合金の断面顕
微鏡組織は、鋳鉄粒子部分はマトリックスがフェライト
とパーライトの混合組織又はパーライトの組織でその中
に黒鉛が分散している。黒鉛の形状は必ずしも画然とし
た形状ではないが、図1に示すようなASTM A24
7におけるIV〜VIに相当する塊状である。
【0058】一方、Ni及びMoを含有する他のマトリ
ックス組織は、ベイナイトまたはベイナイトの量が多い
マルテンサイトとベイナイトとの混合組織をしている。
Fe−Ni−Mo合金粉を用いて作られる合金はマルテ
ンサイト組織が生成しにくいものとなるが、Niをニッ
ケル粉の形で添加して作られる合金は、Niの濃度の高
い部分が形成されると、その部分がマルテンサイト組織
になりやすくなる。
【0059】このような合金組織設計によれば、鋳鉄粒
子部分の比較的柔らかいマトリックスと、黒鉛の固体潤
滑作用と、比較的硬く耐摩耗性及び摺動特性のよいベイ
ナイト組織のマトリックスとの混合組織を得ることがで
き、それぞれの性質が相まって、強度が高く摩擦係数が
低い特性を有する、耐摩耗性鉄系焼結合金を得ることが
できる。
【0060】
【発明の効果】上述したように、この発明による鉄系焼
結合金の製造方法によれば、鋳物材料のような摺動摩擦
特性を示すと共に強度が10%程度高い焼結合金を提供
することができるので、各種機械要素の信頼性を高め鉄
系焼結材料の適用範囲を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ASTM A247(STANDARD ME
THOD FOR EVALUATING THE M
ICROSTRUCTURE OF GRAPHITE
CASTINGS)におけるタイプI〜VIの形状を示
す断面組織模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K018 AA30 AB07 AC10 BA15 BB06 BC12 CA11 DA21 DA29 DA33 KA02

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(A)と(B)の合計100重量部
    からなる混合粉を圧縮成形して圧粉体とし、該圧粉体を
    非酸化性雰囲気中で下記(C)の条件で加熱冷却するこ
    とを特徴とする耐摩耗性鉄系焼結合金の製造方法。 記 (A)C:2.5〜5重量%、Si:0.5〜2重量
    %、残部がFe及び不可避不純物からなり、断面組織が
    フェライト組織またはフェライトとパーライトの混合組
    織又はパーライト組織中に塊状の黒鉛が分散し粉末の表
    面に析出黒鉛が付着又は被覆されている鋳鉄粉40〜6
    0重量部 (B)Mo:0.5〜2重量%、Ni:0.5〜4重量
    %、残部がFe及び不可避不純物からなる合金鉄粉又は
    前記組成と等量になる鉄モリブデン合金粉とニッケル粉
    60〜40重量部 (C)焼結体組織の鋳鉄粒子部分のマトリックスはフェ
    ライトとパーライトの混合組織又はパーライト組織を示
    し、その中にASTM A247におけるIV〜VIに
    相当する形状の黒鉛が分散しており、且つMo及びNi
    を含有するほかのマトリックス組織はベイナイト又はベ
    イナイト量が多いマルテンサイトとベイナイトとの混合
    組織を示すような加熱温度、加熱時間及び冷却速度。
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