JP2704064B2 - 焼結用鉄系粉末およびその製造方法 - Google Patents
焼結用鉄系粉末およびその製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は焼入強度部材、耐摩材な
どを製造するのに適した焼結用鉄系粉末およびその製造
方法に関する。
どを製造するのに適した焼結用鉄系粉末およびその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、焼入強度部材、耐摩材などを製造
するには無炭素又は低炭素(0.03%以下)の鉄系粉
末に黒鉛を添加して均一に混合し、圧粉成形後焼結して
いる。
するには無炭素又は低炭素(0.03%以下)の鉄系粉
末に黒鉛を添加して均一に混合し、圧粉成形後焼結して
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の方法では、
鉄系粉末に黒鉛を混合するのに手間がかかり、しかも均
一に混合することが難しく、焼結後、偏析、空孔欠陥の
原因となり、均一な焼入性が得られなかった。そこで、
本発明は圧粉特性が優れ、かつ、圧縮成形焼結後焼入れ
すると均一な強度と硬度が得られる焼結用鉄系粉末を提
供しようとするものである。
鉄系粉末に黒鉛を混合するのに手間がかかり、しかも均
一に混合することが難しく、焼結後、偏析、空孔欠陥の
原因となり、均一な焼入性が得られなかった。そこで、
本発明は圧粉特性が優れ、かつ、圧縮成形焼結後焼入れ
すると均一な強度と硬度が得られる焼結用鉄系粉末を提
供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、C:0.20
〜2.0%、Si:0.30〜1.5%、Mn:0.0
5〜1.0%あるいはこれにNi:0.5〜4.0%、
Cu:0.5〜4.0%並びにCo:0.5〜10.0
%の内1種又は2種以上を含有し、残部Feおよび不純
物からなる水アトマイズ合金粉末であって、粉末粒子表
面にCの大部分が黒鉛として析出していることを特徴と
する焼結用鉄系合金および上記組成の溶湯を水アトマイ
ズして粉末化し、ついで該粉末を真空焼鈍することを特
徴とする焼結用鉄系粉末の製造方法である。
〜2.0%、Si:0.30〜1.5%、Mn:0.0
5〜1.0%あるいはこれにNi:0.5〜4.0%、
Cu:0.5〜4.0%並びにCo:0.5〜10.0
%の内1種又は2種以上を含有し、残部Feおよび不純
物からなる水アトマイズ合金粉末であって、粉末粒子表
面にCの大部分が黒鉛として析出していることを特徴と
する焼結用鉄系合金および上記組成の溶湯を水アトマイ
ズして粉末化し、ついで該粉末を真空焼鈍することを特
徴とする焼結用鉄系粉末の製造方法である。
【0005】本発明においてCを含む全組成を含有する
溶湯を水アトマイズして、粉末化すると粉末粒子内には
Cを含む全組成が均質に含有されている。又、水アトマ
イズ時に、水と溶湯とが反応して、粉末粒子表面にFe
2O3を主体とした酸化皮膜が生成される。これを真空焼
鈍すると、表面酸化皮膜と粒子内のCとが下記の如く反
応しCOガスを発生する。 Fe2O3+3C→2Fe+3CO↑ この反応の際、粒子内のCは粒子表面に拡散し、粒子内
のCの量は低減し、粒子表層はCが濃化して黒鉛化す
る。したがって、粉末粒子表面で黒鉛の析出が均一とな
る。
溶湯を水アトマイズして、粉末化すると粉末粒子内には
Cを含む全組成が均質に含有されている。又、水アトマ
イズ時に、水と溶湯とが反応して、粉末粒子表面にFe
2O3を主体とした酸化皮膜が生成される。これを真空焼
鈍すると、表面酸化皮膜と粒子内のCとが下記の如く反
応しCOガスを発生する。 Fe2O3+3C→2Fe+3CO↑ この反応の際、粒子内のCは粒子表面に拡散し、粒子内
のCの量は低減し、粒子表層はCが濃化して黒鉛化す
る。したがって、粉末粒子表面で黒鉛の析出が均一とな
る。
【0006】この真空焼鈍は10-2〜10-4Torr、
800〜1000℃で行うとよい。本発明における成分
元素の限定理由は下記のとおりである。
800〜1000℃で行うとよい。本発明における成分
元素の限定理由は下記のとおりである。
【0007】C:Cは焼結後の焼入硬さを得るため0.
20%以上必要で、2.0%を越えると残留オーステナ
イトが生成して所要の硬さが得られない。
20%以上必要で、2.0%を越えると残留オーステナ
イトが生成して所要の硬さが得られない。
【0008】Si:Siは水アトマイズ時の湯流性を保
持するためと黒鉛析出のため必要である。0.30%未
満ではこの効果が十分に発揮されず、又、1.5%を超
えると粉末自体が硬くなり、圧粉性が劣化する。
持するためと黒鉛析出のため必要である。0.30%未
満ではこの効果が十分に発揮されず、又、1.5%を超
えると粉末自体が硬くなり、圧粉性が劣化する。
【0009】Mn:Mnは溶湯の脱酸剤として0.05
〜1.0%添加する。0.05%未満では脱酸効果が得
られない。1.0%を超えると水アトマイズ中粉末が酸
化され易くなり、粉末の酸素含有量が高くなる。
〜1.0%添加する。0.05%未満では脱酸効果が得
られない。1.0%を超えると水アトマイズ中粉末が酸
化され易くなり、粉末の酸素含有量が高くなる。
【0010】Ni:Niは焼入性改善と靭性向上を目的
とするものであるが、0.5%未満ではその効果が十分
でなく、4.0%を超えると焼入時にオーステナイトが
残留し、逆に硬さが低下する。
とするものであるが、0.5%未満ではその効果が十分
でなく、4.0%を超えると焼入時にオーステナイトが
残留し、逆に硬さが低下する。
【0011】Cu:Cuは焼入性改善の効果が得られる
が0.5%未満ではその効果が十分でなく、4.0%を
超えると焼入時にオーステナイトが残留し、逆に硬さが
低下する。
が0.5%未満ではその効果が十分でなく、4.0%を
超えると焼入時にオーステナイトが残留し、逆に硬さが
低下する。
【0012】Co:Coは耐熱性改善の効果が得られ、
0.5%未満ではその効果が十分に得られない。10.
0%を超えるとその効果は飽和し不経済である。
0.5%未満ではその効果が十分に得られない。10.
0%を超えるとその効果は飽和し不経済である。
【0013】
【実施例】本発明の実施例を比較例とともに説明する。
【0014】表1に本発明材と比較例材の組成例を示
す。
す。
【0015】
【表1】
【0016】上記各組成の本発明材並びに比較例材をそ
れぞれ真空焼鈍後、ステアリン酸亜鉛を1%配合して、
6T/cm2のプレス圧で圧粉した。そのときの圧粉密
度とラトラーの値を表2に示す。又、本発明B材の焼鈍
後の断面ミクロ組織を示す電子顕微鏡写真(×400)
を図1に示す。この図1によれば、粉末粒子内部は低炭
素フェライト組織で、その表面に均質黒鉛が析出してい
ることがわかる。
れぞれ真空焼鈍後、ステアリン酸亜鉛を1%配合して、
6T/cm2のプレス圧で圧粉した。そのときの圧粉密
度とラトラーの値を表2に示す。又、本発明B材の焼鈍
後の断面ミクロ組織を示す電子顕微鏡写真(×400)
を図1に示す。この図1によれば、粉末粒子内部は低炭
素フェライト組織で、その表面に均質黒鉛が析出してい
ることがわかる。
【0017】
【表2】
【0018】本発明材は、低炭素の比較例材Hに比べて
圧粉密度が同等である。比較例材Gは黒鉛析出抑制元素
のCrが含有されているため、粒子内に炭素が残留し、
圧粉密度が低い。つぎに上記材料を1100℃で1時間
焼結し、900℃で水冷焼入して、焼結、熱処理特性を
調べた。結果を表3に示す。又、本発明材Bを1100
℃で1時間焼結し、900℃で水焼入したミクロ組織を
示す光学顕微鏡写真(×400)を図2に示す。均質な
マルテンサイト組織になっていることがわかる。
圧粉密度が同等である。比較例材Gは黒鉛析出抑制元素
のCrが含有されているため、粒子内に炭素が残留し、
圧粉密度が低い。つぎに上記材料を1100℃で1時間
焼結し、900℃で水冷焼入して、焼結、熱処理特性を
調べた。結果を表3に示す。又、本発明材Bを1100
℃で1時間焼結し、900℃で水焼入したミクロ組織を
示す光学顕微鏡写真(×400)を図2に示す。均質な
マルテンサイト組織になっていることがわかる。
【0019】
【表3】
【0020】
【発明の効果】本発明の焼結用鉄系粉末は高価な黒鉛粉
を使わなくて済むので、黒鉛混合の手間が省けるばかり
でなく、圧粉性は従来の黒鉛混合低炭素鉄系粉末と変り
がない。そして、焼結体に偏析がなく、均質で健全な焼
入マルテンサイト組織が得られ、かつ、均質な高硬度が
得られる。又、本発明の製造方法によれば、粉末粒子表
面にCの大部分が黒鉛として析出している鉄系粉末を容
易に得ることができる。
を使わなくて済むので、黒鉛混合の手間が省けるばかり
でなく、圧粉性は従来の黒鉛混合低炭素鉄系粉末と変り
がない。そして、焼結体に偏析がなく、均質で健全な焼
入マルテンサイト組織が得られ、かつ、均質な高硬度が
得られる。又、本発明の製造方法によれば、粉末粒子表
面にCの大部分が黒鉛として析出している鉄系粉末を容
易に得ることができる。
【図1】本発明実施例材Bの焼鈍後の金属組織を示す光
学顕微鏡写真である。
学顕微鏡写真である。
【図2】同じく1100℃で1時間焼結し、900℃で
水焼入した金属組織を示す光学顕微鏡写真である。
水焼入した金属組織を示す光学顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/04 C22C 38/04 38/16 38/16
Claims (4)
- 【請求項1】 C:0.20〜2.0%、Si:0.3
0〜1.5%、Mn:0.05〜1.0%、残部Feお
よび不純物からなる水アトマイズ合金粉末であって、粉
末粒子表面にCの大部分が黒鉛として析出していること
を特徴とする焼結用鉄系粉末。 - 【請求項2】 C:0.20〜2.0%、Si:0.3
0〜1.5%、Mn:0.05〜1.0%を基本成分と
し、Ni:0.5〜4.0%並びにCu:0.5〜4.
0%の内1種又は2種を含有し、残部Feおよび不純物
からなる水アトマイズ合金粉末であって、粉末粒子表面
にCの大部分が黒鉛として析出していることを特徴とす
る焼結用鉄系粉末。 - 【請求項3】 C:0.20〜2.0%、Si:0.3
0〜1.5%、Mn:0.05〜1.0%あるいはこれ
にNi:0.5〜4.0%、Cu:0.5〜4.0%並
びにCo:0.5〜10.0%の内1種又は2種以上を
含有し、残部Feおよび不純物からなる組成の溶湯を水
アトマイズして粉末化し、ついで該粉末を真空焼鈍する
ことを特徴とする焼結用鉄系粉末の製造方法。 - 【請求項4】 真空焼鈍を10-2〜10-4Torr、8
00〜1000℃で行う請求項3記載の焼結用鉄系粉末
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3189557A JP2704064B2 (ja) | 1991-07-04 | 1991-07-04 | 焼結用鉄系粉末およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3189557A JP2704064B2 (ja) | 1991-07-04 | 1991-07-04 | 焼結用鉄系粉末およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH059501A JPH059501A (ja) | 1993-01-19 |
JP2704064B2 true JP2704064B2 (ja) | 1998-01-26 |
Family
ID=16243319
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3189557A Expired - Fee Related JP2704064B2 (ja) | 1991-07-04 | 1991-07-04 | 焼結用鉄系粉末およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2704064B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3257212B2 (ja) * | 1993-12-27 | 2002-02-18 | 三菱マテリアル株式会社 | 内燃機関吸気用鉄基焼結合金製バルブシート |
US6358298B1 (en) | 1999-07-30 | 2002-03-19 | Quebec Metal Powders Limited | Iron-graphite composite powders and sintered articles produced therefrom |
US11685982B2 (en) | 2016-10-17 | 2023-06-27 | Tenneco Inc. | Free graphite containing powders |
EP3722021B1 (en) | 2017-12-05 | 2022-09-28 | JFE Steel Corporation | Partially diffusion-alloyed steel powder |
US11441212B2 (en) | 2017-12-05 | 2022-09-13 | Jfe Steel Corporation | Alloyed steel powder |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS589801B2 (ja) * | 1976-02-19 | 1983-02-23 | 川崎製鉄株式会社 | 低酸素、低炭素鉄系粉末の製造方法 |
JPS5983701A (ja) * | 1982-11-04 | 1984-05-15 | Mitsubishi Metal Corp | 焼結性のすぐれた高炭素合金鋼粉末の製造法 |
-
1991
- 1991-07-04 JP JP3189557A patent/JP2704064B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH059501A (ja) | 1993-01-19 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
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