JP4184489B2 - 紙容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液状物あるいは顆粒状物などの内容物を収容する紙容器に関し、さらに詳しくは、前記紙容器に収容された内容物を前記紙容器から注ぎ出すための注出口を容易に形成することができるゲーベルトップ型の紙容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ゲーベルトップ型の紙容器としては、一般的に、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)/紙/LDPE、LDPE/紙/LDPE/アルミ箔/接着剤/2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)/LDPE又は中密度ポリエチレン(MDPE)又は線状低密度ポリエチレン(LLDPE)からなる構成のものが使用されているし、また、上記構成において、アルミ箔とPETとの積層工程を省略した低価格の、LDPE/紙/LDPE/アルミ蒸着層/PET/LDPE、ないしはLDPE/紙/LDPE/シリカ蒸着層/PET/LDPE、ないしはLDPE/紙/LDPE/アルミ箔/LDPEからなる構成のものも使用されている。
【0003】
上記いずれの構成からなる紙容器も、その注出口については▲1▼成形品からなる注出具を取り付けて該注出具を注出口とするもの、▲2▼紙容器に穴をあけて、該穴部を再度密封シートで塞ぎ、該密封シートを剥がすあるいは突き破ることにより注出口とするもの、▲3▼天部熱接着部に抗熱接着剤を塗工して天部熱接着部を開封しやすくし、該天部熱接着部を開封することにより注出口とするもの等が一般的である。
【0004】
しかし、▲1▼の注出口は注出具のコストが高い上に加工工数が増えて加工コストも高くなり、▲2▼の注出口は▲1▼の注出具を用いる注出口より材料コストは安いが、▲1▼の注出口同様に加工工数が増えて加工コストが高くなり、▲3▼の注出口は▲1▼、▲2▼の注出口よりも材料コストは安いが、密封性と開封性の相反する機能を満たさねばならない難しさと開封時の注出口が美観的に好ましくない、といった問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、注出具等の材料コストが不要で、加工コストの増加もなく、密封性と開封性の相反する機能を容易に満たすことができると共に、開封時の美観も良好な注出口を容易に形成することができる紙容器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するために、請求項1記載の発明の紙容器は、紙層からなる基材層と、該基材層の一方の面に内容物保護層と熱接着性樹脂層を有する内層と、他方の面に少なくとも熱接着性樹脂層を有する外層とを備えた積層体からなるゲーベルトップ型の紙容器で、該紙容器から内容物を注ぎ出す際の注出口となるように、前記紙容器に前記内層を残して前記外層と前記基材層に、上側部に非切断部を有する略円形状と該略円形状の下半円弧を下端屈曲部とする略V字形状とを組み合わせた形状からなる切刃が形成されていることを特徴とするものである。このように構成することにより、密封性に優れた紙容器とすることができると共に、紙容器の展開寸法に型抜きするときに注出口となる切刃を同時に形成し、ストローを挿入して吸い出すこともでき、且つ内容物を注ぎ出す注出口とすることができる。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1記載の紙容器において、前記内容物保護層がアルミニウム箔ないしエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ないしポリ塩化ビニリデンからなることを特徴とするものである。このように構成することにより、紙容器としたときに内容物を注ぎ出すための注出口を容易に形成することができる。
【0008】
また、請求項3の発明は、請求項1、2のいずれかに記載の紙容器において、前記熱接着性樹脂層が高圧法低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンのいずれかであることを特徴とするものである。このように構成することにより、容易に熱接着することができ、生産性と密封性に優れた紙容器とすることができる。
【0009】
また、請求項4の発明は、請求項1記載の紙容器において、前記切刃が屋根形状をした斜面に形成されていることを特徴とするものである。このように構成することにより、注出口を紙容器の最良な位置に形成することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について、図面等を用いてさらに詳しく説明する。
まず、本発明の紙容器について説明すると、ゲーベルトツプ型の紙容器であって、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)/紙/LDPE、LDPE/紙/LDPE/アルミ箔/LDPE又は中密度ポリエチレン(MDPE)からなる構成のもの、あるいは、LDPE/紙/LDPE/エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物/LDPE又はMDPEからなる構成のもの、あるいは、LDPE/紙/LDPE/ポリ塩化ビニリデン/LDPE又はMDPEからなる構成のものを使用することができるが、これは本発明のゲーベルトツプ型の紙容器の一例を記載したものであり、要するに紙層より内容物側に位置する前記内層が手指等の押圧により容易に切断することができるものであればよいのであって、これに限るものではないことはいうまでもない。
【0012】
図1は本発明にかかる紙容器の第1の実施形態を示す要部斜視図、図2は図1の紙容器のX−X線の断面図、図3は本発明にかかる紙容器の第2の実施形態の図1に示すX−X線の断面図、図4〜6は切刃の形状を示す平面図であり、図中の1,11は紙容器、2は基材層、3,3’は内層、4は外層、5は接着層、6は内容物保護層、20,21,22,23は切刃、30,31は熱接着性樹脂層をそれぞれ示す。
【0013】
図1は本発明の紙容器の第1の実施形態を示す要部斜視図であって、本発明の第1の実施形態の紙容器1は、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)/紙/LDPE〔内容物側〕から構成され、紙容器1の屋根を形成する斜面に、紙容器1から内容物を注ぎ出す際に注出口となる略V字形状の切刃20が形成されている。この切刃20は、図2に示すように内層3の熱接着性樹脂層30であるLDPEを残し、紙層からなる基材層2とこの外側に設けられた熱接着性樹脂層31であるLDPEからなる外層4を切断するように設けられている。このように構成することにより、内容物は熱接着性樹脂層30により外部と遮断されて使用時まで密封状態で保護されると共に、使用時においては図1で示した前記略V字形状に形成された切刃20で囲まれた部分を手指等で押すことにより、前記熱接着性樹脂層30のLDPEを前記略V字形状に形成された切刃20の形状で容易に切断することができ、紙容器1に略V字形状の注出口を設けることができる。また、本発明の第1の実施形態の紙容器においては、前記内層3の熱接着性樹脂層30の厚さは25〜70μmが適当であり、より好ましくは30〜60μmである。この理由としては、25μmより薄いと、紙容器を取り扱う際に手指等で切刃を設けた部分を誤って押した時などに切刃の部分が切断して内容物が漏れるという可能性があり、また、70μmより厚いと意識的に開封操作を行っても切刃の部分が容易に切断できずに、注出口を設けるのに苦労するためである。
【0014】
図3は本発明の紙容器の第2の実施形態の図1に示すX−X線の断面図であって、本発明の第2の実施形態の紙容器11は、LDPE/紙/LDPE/アルミニウム箔/LDPE〔内容物側〕から構成されて、紙容器11から内容物を注ぎ出す際に注出口となる略V字形状の切刃20が、LDPEからなる接着層5と、アルミニウム箔からなる内容物保護層6とLDPEからなる熱接着性樹脂層30との積層体からなる内層3’とを残し、紙層からなる基材層2とこの外側に設けられた熱接着性樹脂層31であるLDPEからなる外層4を切断するように設けられている。このように構成することにより、内容物はガスバリアー性と密封性に優れたアルミニウム箔等を有する前記内層3’により外部と遮断されて使用時まで密封状態で保護されると共に、使用時には図1で示した前記略V字形状に形成された切刃20で囲まれた部分を手指等で押すことにより、前記LDPEからなる接着層5と、アルミニウム箔からなる内容物保護層6とLDPEからなる熱接着性樹脂層30との積層体からなる前記内層3’とを前記略V字形状に形成された切刃20の形状で容易に切断することができ、紙容器11に略V字形状の注出口を設けることができる。第2の実施形態においては、前記切刃20を前記外層4と前記基材層2とを切断するように設けたが、前記内層3’を残して前記外層4と前記基材層2と前記接着層5とを切断するように設けた切刃(図示せず)であっても構わない。
【0015】
また、本発明の第2の実施形態で示した紙容器11においては、前記内層3’の前記内容物保護層6をアルミニウム箔を用いたもので説明したが、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、あるいは、ポリ塩化ビニリデン等のガスバリアー性があり、手指等の押圧で容易に破断し易いものであれば、アルミニウム箔に代えて適宜用いても構わないことはいうまでもない。また、前記熱接着性樹脂層30に高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)を用いて説明したが、これについても内容物やその他の諸物性を考慮して中密度ポリエチレン(MDPE)を適宜用いても構わない。また、前記内層3’の厚さは、切刃をどこの層まで設けるかによって異なるが、たとえば、切刃を前記内層3’を残して前記外層4と前記基材層2と前記接着層5とを切断するように設けた場合は、前記内層3’の厚みは70μm以下、また、切刃を第2の実施形態で示したように前記外層4と前記基材層2とを切断するように設けた場合は、前記接着層5の厚みも含めて70μm以下が開封性の点で望ましい。
【0016】
次に、本発明の紙容器に設ける切刃の形状について説明する。
図4は本発明の紙容器の屋根を形成する斜面に略円形状の切刃21を形成したものである。この切刃21は、内容物を吸い出すためのストロー挿入口として設けられているものである。この切刃21は、図4において上側部に一部切刃のない部分が設けられ、この切刃21で囲まれた部分からストローを挿入して、たとえば、内層3を切断した時に、この切刃21で囲まれた部分が内容物に混入しないようになっている。
【0017】
図5は本発明の紙容器の屋根を形成する斜面に前記切刃20と前記切刃21との両方を組み合わせた切刃22を設けたものである。このような切刃22を設けることにより、内容物をストローで吸い出すこともできるし、また、本発明の第1、第2の実施形態で示したように、内容物を注ぎ出す注出口とすることもできる。
【0018】
図6は本発明の紙容器の屋根を形成する斜面に略U字形状の切刃23を設けたものである。この使い方は、前記切刃20と同じであり説明は省略する。
【0019】
このように本発明の紙容器に設ける切刃は色々な形状を採ることができ、上記した形状は、その代表的な形状を示したものであって、これに限ることはなく、要するに、ストローや手指等により、内容物を取り出すことができる注出口を容易に形成することができる形状であれば本発明に含まれるものである。
【0020】
なお、本発明の紙容器に設ける切刃は、本発明の紙容器を展開寸法に型抜きする抜き型に一緒にセットすることにより、展開寸法に型抜きすると同時に形成することができる。
【0021】
【発明の効果】
本発明の紙容器は、縷々説明してきたように、注出具等の材料コストが不要で、加工コストの増加もなく、密封性と開封性の相反する機能を容易に満たすことができると共に、開封時の美観も良好な注出口を容易に形成することができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる紙容器の第1の実施形態を示す要部斜視図である。
【図2】図1の紙容器のX−X線の断面図である。
【図3】本発明にかかる紙容器の第2の実施形態の図1に示すX−X線の断面図である。
【図4】、
【図5】、
【図6】切刃の形状を示す平面図である。
【符号の説明】
1,11 紙容器
2 基材層
3,3’ 内層
4 外層
5 接着層
6 内容物保護層
20,21,22,23 切刃
30,31 熱接着性樹脂層
Claims (4)
- 紙層からなる基材層と、該基材層の一方の面に内容物保護層と熱接着性樹脂層を有する内層と、他方の面に少なくとも熱接着性樹脂層を有する外層とを備えた積層体からなるゲーベルトップ型の紙容器で、該紙容器から内容物を注ぎ出す際の注出口となるように、前記紙容器に前記内層を残して前記外層と前記基材層に、上側部に非切断部を有する略円形状と該略円形状の下半円弧を下端屈曲部とする略V字形状とを組み合わせた形状からなる切刃が形成されていることを特徴とする紙容器。
- 前記内容物保護層がアルミニウム箔ないしエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ないしポリ塩化ビニリデンからなることを特徴とする請求項1記載の紙容器。
- 前記熱接着性樹脂層が高圧法低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンのいずれかであることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の紙容器。
- 前記切刃が屋根形状をした斜面に形成されていることを特徴とする請求項1記載の紙容器。
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