JP4183837B2 - 歩行形農作物収穫機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は人参や大根等の収穫に使用される歩行形農作物収穫機に関する。
【0002】
【従来の技術】
圃場に植生している野菜等を機体前部で引き抜き機体後部へ搬送するように作動する挟持搬送手段と、機体を支持した走行装置とを備えるほか、機体後部に操縦ハンドルを装設してなる歩行形収穫機は存在している(例えば特開昭60−224409号及び特開昭60−224409号等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の収穫機では次のような問題点がある。
先ず特開昭60−224409号のものに於いては次のとおりである。
【0004】
(a)走行装置が走行車輪となされ、操縦ハンドルが機体に同体に固定されたものであって、収穫中の進路修正が操縦ハンドルを左右へ振る等して行われるものであるため、収穫作業時において細かな進路修正が行えると共に小回りが効く点では優れているが、収穫時の圃場走行に於いて走行車輪が野菜の未収穫位置を踏むように走行することを回避するための対策が積極的に採用されたものとなっていない。
このため、未収穫野菜が走行車輪に踏まれて損傷する虞がある。
【0005】
(b)また収穫した野菜の葉部が操縦ハンドルを操作する作業者の歩行箇所に落下して作業者の歩行の障害をなす虞があると共に、このように落下した葉部の上を、後行程での収穫中に、走行車輪が通過するものとなって、機体の走行安定性が損なわれ、的確な収穫処理が行えない虞がある。
(c)さらには収穫中に根部を人為力によらないでコンテナに収容させるための機構が設けられてないため収穫作業の際の作業者の負担が大きくなるものである。
【0006】
また特開昭60−224409号等のものに於いては次のとおりである。
即ち、走行装置がクローラ式であり、野菜の挟持搬送手段が搬送方向途中で折り曲げられていて、一端側を前後向き部に、そして他端側を横向き部となされ、且つ横向き部の搬送終端が圃場収穫済み面側の機体側部まで到達されたものとなっているため、大きな走行駆動力が得られ、また地上に落下した葉部が機体を操縦する作業者の歩行の障害をなすことはなく、また後行程の収穫中に、走行装置が地面上の葉部を踏むこともなくなるのであるが、走行装置の構造が複雑で重厚なものとなり、また機体の小回りが効かない等、機動性に劣るものとなる。
【0007】
さらに特開昭60−224409号及び特開昭60−224409号に共通する問題点としては次のようなものがある。
(a)走行装置が畝間溝に落ち込んだとき、機体が大きく横傾斜し、このことが機体の操縦を困難となしたり、安定的な収穫処理を損ねる虞がある。
(b)収穫中の野菜の条列に未収穫野菜が残存しているとき、該条列の収穫において走行装置がその未収穫野菜を踏圧して損傷させる虞がある。
(c)収穫した野菜の根部先端の垂下根を収穫中において機械的に除去することができず、また収穫された根部に付着した土が根部と共にコンテナ内に運ばれることが生じる。
【0008】
本発明は上記のような問題点を解消させて合理的に野菜等を収穫し得るものとした歩行形農作物収穫機を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では次のようになす。
即ち、請求項1に記載した発明では、圃場に植生している人参や大根の根菜類を、後上がりに傾斜状に配置された前部で引き抜き機体後部へ搬送する挟持搬送手段と、走行機体を支持した左右一対の走行輪と、同走行機体の後部に位置された操縦ハンドルとを備えた歩行形収穫機において、前記挟持搬送手段の前部を左の走行車輪よりも機体外方側に位置させると共に、根菜類を地中から引き抜く抜き部として機能する前後向き部と、同前後向き部とに連続して形成された横向き部を前記前後向き部の存在しない側の機体側部まで形成し、且つ、前記挟持搬送手段の挟持搬送経路下方の搬送上流側から、根菜類の根部先端部を切断する根部先端根切断手段と、引き抜いた根菜類を一定高さに揃える根部肩揃え手段と、同根部肩揃え手段で肩揃え処理されている根菜類の根部の葉元直近を切り離すための根部切断手段とを順に設け、前記根部先端根切断手段は、縦向き回転中心軸を回転中心とする左右一対の回転刃から構成すると共に、その根部先端根切断手段の上方には、前記左右一対の回転刃の縦向き回転中心軸を回転中心とする一対の回転ブラシからなる根部土落とし手段を設けたことを特徴とする歩行形農作物収穫機を提供するものである。
【0010】
請求項2に記載した発明では、挟持搬送手段により搬送されている根菜類の葉部から根 部を切り離す根部切断手段と同根部切断手段で切り離された根部を走行車輪後方の機体側部下方へ案内する根部案内手段とを装設したこと。
【0011】
請求項3記載した発明では、挟持搬送手段により搬送されている根菜類の葉部から根部を切り離す根部切断手段と、同根部切断手段で切り離された根部を走行車輪の後下方へ案内する根部案内手段と、根部案内手段に案内されて落下する根部を収容する収納部とを装設したこと
【0012】
請求項4記載した発明では、引抜き部から遠い側のチェーンケースに装着した走行車輪を他側の走行車輪とは無関係に畝溝の深さ寸法程度の範囲内で、特定横向き線回りに一定範囲内で動力駆動手段により上下揺動可能としたこと
【0013
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を詳述する。
図1は本発明に係る歩行形農作物収穫機を示す側面図、図2は前記収穫機の平面図、図3は前記収穫機の正面図である。
本発明の歩行形農作物収穫機は走行機体部1と、農作物処理部2からなっている。
走行機体部1は、前後方向へ長い機体フレーム3と、この機体フレーム3の後部に固定されたエンジン4と、このエンジン4の動力を図示しないミッションを介し伝達される下部伝動ケース5と、この伝動ケース5の左右箇所から前斜め下向きへ延出されたチェーンケース6a、6bと、各チェーンケース6a、6bの先端部に横向き車軸7a、7bを介して装着された走行車輪8a、8bと、前記機体フレーム3の後部からエンジン4の後方へ張り出された操縦ハンドル9とを備えている。
【0014
この際、左側のチェーンケース6aは横向き伝動ケース5に対し特定横向き線s回りの位置調整可能に装着するか或いは位置調整不可能に固定する。
右側のチェーンケース6bは特定横向き線s回りの一定範囲内で上下揺動自在に装着すると共に動力駆動手段10により特定横向き線s回りへ揺動駆動されるものとなす。
ここに、動力駆動手段10としては、例えば、電動モータで発生される油圧によりシリンダ機構部が伸縮作動されるものとした電動油圧式駆動装置等が使用される。
【0015
また左右の走行車輪8a、8bは図示例では同一構造となしてあるが、右側の走行車輪8bは他側のもの8aよりも小さな荷重が作用するものとなるため、例えば図3に仮想線kaで示すように他側のもの8aに較べ細巾となす等し、軽量構造となして差し支えない。
操縦ハンドル9にはエンジンと伝動系とを断続させるための図示しない主クラッチレバー、エンジン4から左右の走行車輪8a、8bへの動力伝達を各走行車輪8a、8b毎に断続させる操向クラッチレバー11a、11bや、エンジン4から農作物処理部2への動力伝達を断続させる図示しない作業クラッチレバー等が装着される。
この走行部1において、エンジン4の動力は、横向き伝動ケース5及びチェーンケース6a、6bを経て走行車輪8a、8bに伝達される。
【0016
農作物処理部2は、農作物wの葉部aを分草し引き起こすための前処理部12、
土を膨軟にするための堀起こし刃機構13、農作物wを圃場から引き抜いて特定箇所へ搬送するものとした挟持搬送手段14、機体前部を任意高さに保持するためのゲージ輪装置15、及び、農作物の根部処理部16からなっている。
【0017
上記挟持搬送手段14は図2及び図3に示すように、ゴム質材からなる一対の無端帯17a、17bを機体フレーム3に装設されたもので、機体左右方向の一側に後上り傾斜状に配置され農作物wを引き抜き後方へ搬送するものとした前後向き部c1と、この前後向き部c1に連続してこの農作物wを機体左右方向の他側まで横向き搬送するものとした横向き部c2とを備えている。
【0018
この際、一対の無端帯17a、17bはこれらの長手方向途中で凡そ90度の鈎状に屈曲させて一端側を前後向き部c1となし、他端側を横向き部c2となす。
そして一方の無端帯17aは一端を始端部プーリ18aに、中間部を二つの中間プーリ19a、19bに、そして他端を終端部プーリ20aに掛け回され、また他方の無端帯17bは一端を始端部プーリ18bに、中間部を一つの中間プーリ19cと他方の無端帯17aをも掛け回された前記中間プーリ19bとに掛け回され、他端を終端部プーリ20bに掛け回される。
そして、一対の無端帯17a、17bは前後向き部c1と横向き部c2との外周面部を対向状に近接させた状態となし、これら外周面間を挟持搬送手段14の挟持搬送経路Hとなす。
なお、21は挟持搬送経路Hを形成した各無端帯17a、17bの外周面同士を左右移動可能な状態で押圧するものとした押さえローラである。
【0019
挟持搬送手段14の前後向き部c1は、該部c1の挟持搬送経路Hが左側の走行車輪8aの外方端縁よりも適当距離L(図2参照)だけ機体左外方に位置するように配置されると共に、機体フレーム3の前部から後方へ向け漸次高くなるように傾斜させて左側の走行車輪8aの上方まで及ぶものとなしてあり、またその横向き部c2は凡そ水平状になされると共にエンジン4の上方を経てその搬送終端が右側の走行車輪8bの上方に位置するものとなしてある。
【0020
上記挟持搬送手段14の伝動系について説明すると、エンジン4の動力が図示しない作業クラッチ機構を介して中間プーリ19a、19b、19cに伝達されると共に必要に応じて始端部プーリ18a、18bにも伝達され、これらプーリ19a、19b、19c、18a、18bの回転により各無端帯17a、17bが周回移動されるようになされている。
また前処理部12は挟持搬送手段14の前後向き部c1の左側の無端帯17bの直前方箇所に位置された縦向きタイン分草装置21と、右側の無端帯17aの直前方箇所に位置された横向き引起こし装置22と、この引起こし装置22の直前方箇所に位置された分草板手段23とからなり、これら縦向きタイン分草装置21、横向き引起こし装置22及び分草板手段23は何れも機体フレーム3と同体状に装設されている。
【0021
この際、縦向きタイン分草装置21は現在収穫中の農作物wと未収穫の農作物wとの葉部aの絡みを分離させるためのものであって、
挟持搬送手段14と関連作動される縦向き無端帯24(図1参照)をこれの上部が少し後方へ変位された傾斜状に装設すると共に、この無端帯24を包囲するものとした分草ケース25を備えると共に、縦向き無端帯24の適当間隔箇所毎に突出状に形成されたタイン24aが分草ケース25の前端縁から張り出された状態で地面近傍から斜め上方f1へ連続的に移動するものとなす。
【0022
上記分草板手段23は、板部材23aや棒部材23bを後上がり状に配置したもので、圃場収穫済み面側へ倒れた農作物wの葉部aをこれの前進移動中に掬い上げ斜め上方へ押し上げるように作用するものとなす。
上記横向き引起こし装置22は、分草板手段23が押し上げた葉部aをさらに上方へ引き起こすものであって、挟持搬送手段14と関連作動される横向き無端帯26をこれの上部が縦向きタイン分草装置21と同様に後方へ変位された傾斜状に装設すると共にこの無端帯26を包囲する横向き引起こしケース27を有し、横向き無端帯26の適当間隔箇所毎に突出状に形成された横向きタイン26aが横向き引起こしケース27の側端縁から分草ケース25側へ張り出された状態で地面近傍から斜め上方へ連続的に移動され、この移動中、各タイン26aの先端が分草ケース25の一側面に近接した状態を保持されるものとなす。
【0023
堀起こし刃機構13は、機体フレームに支点軸28を介して揺動自在に装着された堀起こし刃29を有し、この堀起こし刃29の上部に、エンジン4近傍に設けられ且つエンジンにより駆動されるクランク部30の前後移動を伝達し、堀起こし刃29の作用部29aに振動を起こさせるものとなしてある。
この際、堀起こし刃29は、これの作用部29aが挟持搬送手段14の搬送始端部下方に位置するように配置し、好ましくは支点軸28に対する上下位置が適当に切替え変更される構成となす。
【0024
ゲージ輪装置15は、機体フレーム3の前部に斜状に固定された筒形進退駆動ケース31と、この駆動ケース31により進退駆動される支持軸32と、この支持軸32の下端に回転自在に装着されたゲージ輪33と、前記駆動ケース31から操縦ハンドル9まで延長されたゲージ輪操作ハンドル34とからなり、ゲージ輪操作ハンドル34の後端部を回転操作することにより、ゲージ輪33の機体フレーム3に対する上下位置が変化する構成となされている。
【0025
農作物の根部処理部16は、根部先端根切断手段35と、根部土落とし手段36と、根部肩揃え手段37と、葉部支持搬送手段38と、根部切断手段39と、根部案内手段40及び収納部41からなっている。
そして根部先端根切断手段35と、根部土落とし手段36と、根部肩揃え手段37、葉部支持搬送手段38及び根部切断手段39とは挟持搬送手段14の前後向き部c1の挟持搬送経路Hの抜取り部dの後部下方にこの順に設けられる。
そして根部案内手段40は、根部切断手段39の直下から後斜め下方へ延出させてあり、収納部41は走行車輪8aの後方でしかも操縦ハンドル9下方の機体左側へ偏位させて設けてある。
【0026
この際、根部先端根切断手段35は、挟持搬送手段14により搬送されている農作物wの根部先端から垂れ下がっている細根eを切除するためのもので、図3に示すように、挟持搬送手段14の無端帯7a、7bの作動と関連して回転される左右一対の回転中心軸42a、42bを設け、これら回転中心軸42a、42bのそれぞれの下端に円盤回転刃43a、43bをこれらの一部が重なるように固定し、各回転中心軸42a、42bを矢印方向f2へ回転させる構成となす。
土落とし手段36は、左右配置となされた上記各回転中心軸42a、42bを回転軸とした回転ブラシ44a、44bを有し、挟持搬送手段14により搬送された根部bを左右から挟み付けてこれの表面をブラシ毛で摺擦するものとなす。
この際、回転ブラシ44a、44bの前方には図4に示すように平面視ハ字状で後方へ向け漸次狭くなるように配設された左右一対の面案内体g1,g1を設けるのであり、各面案内体g1は棒部材g2とこれから撓み変位自在に吊下されたゴム板g3からなる。
【0027
根部肩揃え手段37は、挟持搬送手段14の挟持搬送経路H特定部分を左右から挟むように二本の案内棒45、45を前後向きのほぼ水平状に並設したもので、挟持搬送手段14により斜め上方へ搬送される農作物wの根部bの肩部を案内棒45、45の下面で押さえ、案内棒45、45の下面高さを保持させつつ後方へ案内するものとなす。
この際、根部肩揃え手段37の根部案内方向f3と挟持搬送手段14の挟持搬送方向f4との前後傾斜角度が異なるため、挟持搬送手段14により挟持搬送される農作物wの葉部aには根部肩揃え手段37により上方変位を規制されることに関連した引張力が作用し、この引張力と挟持搬送手段14の搬送力とにより根部bはその肩部を案内棒45、45の下面に当接された状態で後方へ移動されるものとなる。
葉部支持搬送手段37は、根部肩揃え手段37により案内されている根部bに係る葉部aの案内棒45、45上方直近個所を左右一対の無端帯(チェーン又はゴム材からなる)46、46等からなる挟持手段で挟持することにより根部bの自由移動を規制しつつ後方へ搬送するものとなす。
【0028
根部切断手段39は、挟持搬送手段14の作動に関連して回転される左右一対の回転軸47a、47bと、これら回転軸47a、47bのそれぞれの上端に固定され矢印方向f5へ回転される円盤回転刃48a、48bからなるものであり、この際、左右の円盤回転刃48a、48bはこれらの一部が重なり合うように配置すると共に葉部支持搬送手段37に支持搬送されている過程で根部bの案内棒45、45下面近傍を切り離すものとなす。
【0029
根部案内手段40は板部材を樋状に屈曲させたもので、根部切断手段39の下方箇所から左側の走行車輪8aの後方に及ぶものとなしてある。
そして収納部41は機体フレーム3の機体左側に形成された図示しないコンテナ受け枠と、この受け枠に取り外し可能に載置されたコンテナ49とからなり、この際、コンテナ49は根部案内手段40に案内されて落下する根部bを受け入れるものとなす。
【0030
以上のように構成した本発明の収穫機により圃場に条植えされた農作物(人参)wを収穫する場合の例及びその際の作動について説明する。
作業者はエンジン4を始動させた後、機体後方から操縦ハンドル9を持ち、エンジン4の動力を左右の走行車輪8a、8bに伝達させ機体を走行移動させる。
非収穫時の走行移動においてはゲージ輪操作ハンドル34を必要に応じ回転操作することによりゲージ輪33の機体フレーム3に対する高さを変更させ、堀起こし刃29が地面に接触しない状態とする。
【0031
また収穫時の走行移動においては、先ず挟持搬送経路Hを図2に示すように人参wの植付け条列の真上に合致させた後、機体を前進させつつ、ゲージ輪操作ハンドル34を回転操作することによりゲージ輪33の機体フレーム3に対する高さを適当に上昇させる。
これにより、堀起こし刃29はゲージ輪33の上昇に伴って土中に食い込んでいき、最終的に図1に示すように、その作用部29aが人参wよりも深い位置に達する。
一方、前処理部12はゲージ輪33に支持されて地面上の適当高さに位置するものとなる。
以後は機体を人参wの条列に沿わせて進行させるのであり、この際、必要に応じ操縦ハンドル9を左右に振る等してその進路の微調整を行うようにする。
【0032
収穫処理を開始するには、エンジン4の動力を農作物処理部2に伝達させ、その各部を作動状態とする。
この際の各部の作動について説明すると、機体の最前部で縦向きタイン分草装置21の縦向きタイン24aがその上昇移動により収穫中の条列をなす人参wの葉部aと圃場未収穫側に隣接した条列をなす人参wの葉部aとの絡み付きを掻き分けて分離させるように作用し、また分草板手段23は圃場収穫済み面側へ倒伏した収穫中の植付け条列の人参wの葉部aを機体進行に伴ってその上面で掬い上げ押し上げて地面から浮上させる。
これにより収穫中の人参wの葉部aの大部分が隣接条列の人参wとの絡みを解された状態で横向き引起こし装置22の横向きタイン26a位置に案内される。
【0033
横向き引起こし装置22は機体の前進移動と関連して、これのタイン26a位置に達した人参wの葉部aを横向きタイン26aの上昇移動により引き上げ、さらに高く起立させ、この起立状態を挟持搬送手段14の搬送始端まで維持させる。
従って挟持搬送手段14は、その搬送始端の左右の無端帯7a、7bにより人参wの葉部aの大部分を纏めて挟持するものとなる。
【0034
この後、挟持搬送手段14は一対の無端帯7a、7bの周回移動により、この挟持した葉部aをその前後向き部c1で斜め後上方へ機体進行とほぼ同一速度で搬送するのであり、これによりこの搬送される葉部wは一対の無端帯7a、7bにより上方へ引張される。
一方では、堀起こし刃29がエンジン4の動力で支点軸28回りに振動されつつ、挟持搬送手段14の搬送始端近傍に達した人参wの下方の土中を進行し、その作用部29aの周辺の土を破砕し膨軟にする。
従って、挟持搬送手段14により葉部aを斜め上方へ搬送される人参wの根部bは前記無端帯7a、7bに挟持されたその葉部aに作用する引張力で土中から無理なく引き抜かれる。
【0035
こうして引き抜かれた根部bは、挟持搬送手段14によりさらに連続して後方へ搬送され、左右一対の面案内体g1、g1の間を経て根部先端根切断手段35及び根部土落とし手段36の処理箇所に達する。
ここで、根部土落とし手段36は、左右一対の回転ブラシ44a、44bで根部bをこれら回転ブラシ44a、44b間に掻き込み、そのブラシ毛でその表面を摺擦することにより根部bに付着した土を分離し落下させる。
また根部先端根切断手段35は、左右一対の円盤回転刃43a、43bで根部先端から垂れ下がった細い根を切り離し落下させる。
この円盤回転刃43a、43bによる切断の行われている根部bは左右の回転ブラシ44a、44bに挟まれて起立姿勢を安定化されるのであり、これにより円盤回転刃43a、43bによる垂下根eの切断は円滑且つ確実に行われる。
【0036
この後、根部bは根部肩揃え手段37に達する。
根部肩揃え手段37は左右の案内棒45、45の間に根部bを迎え入れ、案内棒45、45前部箇所では根部bの肩部は案内棒45、45に接しないが、挟持搬送手段14による搬送が進むに伴ってその肩部は案内棒45、45に接近して、やがては案内棒45、45に衝接し、この後、この根部bは挟持搬送手段14により後方へ搬送される。
この搬送中、根部bは案内棒45、45で上方への変位を規制されるのであり、その肩部は案内棒45、45の下面に当接した状態で後方へ向け移動されるようになる。
従って、次々と地面から引き抜かれて根部肩揃え手段37に達する各根部bは肩部の位置を同じ位置及び高さに揃えられるものとなる。
ところで、根部bの肩部が案内棒45、45に衝接した時点の後にはその葉部aは挟持搬送手段14により付与される上方への引張力により緊張されるのであり、葉部支持搬送手段38はこの緊張した葉部aの元部を左右の挟持手段(無端帯46、46)で挟み付け、挟持搬送手段14の搬送速度に同調して案内棒45、45に沿って後方へ搬送する。
【0037
この根部bが案内棒45、45の後端部に達すると、根部切断手段39が左右の円盤回転刃48a、48bでその根部b上端部を案内棒45、45の下面近傍位置で水平向きに切断する。
この切断中、その葉部aは葉部支持搬送手段38で強固に支持されるため、切断されるべき根部bの姿勢は安定化されるのであり、従って根部bはその肩部の直近位置を円滑且つ正確に切断される。
こうして切断された根部bはその葉部aから離れて落下し、根部案内手段40に受け止められる。
根部案内手段40は、その斜面によりこの根部bを重力作用でコンテナ49内に向け滑落させる。
こうしてコンテナ49内には順次、根部bが蓄積されるのであり、この際、根部は大きな衝撃を受けるものとならず傷付くことはない。
【0038
一方、根部切断手段39により根部bを分離された後の葉部aはその後成る可く早く葉部支持搬送手段38による支持搬送を解放されるのであり、この解放された葉部aはさらに挟持搬送手段14の横向き部c2により圃場収穫済み面側へ挟持搬送され右側の走行車輪8bの上方辺りに達した後、解放されて、地面上に落下する。
この落下した葉部aは走行車輪8bの後方側で操縦ハンドル9を操作する作業者の右側に着地するため、機体の走行や作業者の歩行の障害となることはない。
またコンテナ手段16も機体の左側へ偏位させてあるため、作業者の歩行を妨げるものとならない。
【0039
上記収穫作業中、右側の走行車輪8bが図3の仮想線kで示すように畝間の溝m等に落ち込んで機体が大きく横傾斜することがあるが、このような場合は、動力駆動手段10を作動させてチェーンケース6bを特定横向き線s回りの下方へ揺動させ、右側の走行車輪8bを機体フレーム3に対し降下させるようにする。
これにより、機体の横傾斜は解消され収穫作業が可能となる。
【0040
この実施例において、挟持搬送手段14の野菜等引抜き部dを左側の走行車輪8aよりも機体左外方側に位置させたことは、
収穫中の農作物の植付け条列の中の一部の人参wの収穫漏れが生じたときにも走行車輪8aがその収穫漏れの人参wを踏んで損傷させる事態を回避させるものとなる。
【0041
また野菜等引抜き部dから遠い側である右側の走行車輪8bを動力駆動装置10により上下移動可能となしたことは、右側の走行車輪8bの周囲の構成部品の密集度を左側の走行車輪8aの周囲のそれよりも小さくなして動力駆動装置10を装設するための空間を確保することを容易となし、また右側の走行車輪8bに作用する荷重を小さくなして動力駆動装置10の構造を軽量化することを容易に行えるものとなす。
【0042
上記実施例は次のように変形することができる。
即ち、走行車輪8bを左側の走行車輪8aよりもタイヤ巾を大幅に(例えば半分程度)小さくなす等して軽量構造とする。
上記実施例において、右側の走行車輪8bは機体全体の部品の配置状態から左側の走行車輪8aに較べて小さい荷重を支持するものとなるため、大幅に軽量化した走行車輪8aとなしてもその強度の不足は回避されるものとなる。
【0043
また上記実施例では野菜等引抜き部dを左側の走行車輪8aよりも機体左外方側へ位置させたが、これに代えて、野菜等引抜き部dを右側の走行車輪8bよりも機体右外方側へ位置させる等、各部の配置を上記実施例のそれと対称状に配置し逆勝手のものとなすことも差し支えない。
【0044
さらには右側の走行車輪の上下位置を動力駆動装置により変更調整させることに代えて、人力操作装置により変更調整させるようになし、また挟持搬送手段の横向き部c2の搬送終端を右側走行車輪よりもさらに右側へ張り出させることもできる。
【0045】
【発明の効果】
上記した本発明によれば、次のような効果が得られるのである。
即ち、請求項1に記載した発明では、圃場に植生している人参や大根の根菜類を、後上がりに傾斜状に配置された前部で引き抜き機体後部へ搬送する挟持搬送手段と、走行機体を支持した左右一対の走行輪と、同走行機体の後部に位置された操縦ハンドルとを備えた歩行形収穫機において、前記挟持搬送手段の前部を左の走行車輪よりも機体外方側に位置させると共に、根菜類を地中から引き抜く抜き部として機能する前後向き部と、同前後向き部とに連続して形成された横向き部を前記前後向き部の存在しない側の機体側部まで形成し、且つ、前記挟持搬送手段の挟持搬送経路下方の搬送上流側から、根菜類の根部先端部を切断する根部先端根切断手段と、引き抜いた根菜類を一定高さに揃える根部肩揃え手段と、同根部肩揃え手段で肩揃え処理されている根菜類の根部の葉元直近を切り離すための根部切断手段とを順に設け、前記根部先端根切断手段は、縦向き回転中心軸を回転中心とする左右一対の回転刃から構成すると共に、その根部先端根切断手段の上方には、前記左右一対の回転刃の縦向き回転中心軸を回転中心とする一対の回転ブラシからなる根部土落とし手段を設けたことにより、収穫中に圃場から引き抜かれなかった収穫漏れ野菜等が生じたとき、この収穫漏れ野菜等の作物条列の収穫中において、走行車輪がこの収穫漏れ野菜等を踏まないようになるため、作業者はそれを余裕を持って抜き取ることができ、収穫漏れ野菜等の損傷が回避されるのである。
また、収穫中に上記根部先端根切断手段により根部先端から垂下した細根を切り除くことができ、また根部肩揃え手段により根部の上下高さを最適化させ、根部切断手段により根部の上端部を切断することができる。これにより、圃場での抜取り収穫時に、先端根と葉部を機械的に切除された状態の根部を得ることができるのである。
さらに、収穫中に、根部の先端根を切断することができると共に根部に付着した土を根部を傷付けることなく除去することができるのであり、この際、根部を回転ブラシに支持させた状態でその先端根を断切することができ、これにより根部先端根を的確に切除することができる。また根部切断手段の回転中心軸を回転ブラシの回転軸として兼用することにより、根部土落とし手段を簡易に形成することができる。
【0046
請求項2に記載した発明では、挟持搬送手段により搬送されている根菜類の葉部から根部を切り離す根部切断手段と同根部切断手段で切り離された根部を走行車輪後方の機体側部下方へ案内する根部案内手段とを装設したことにより、請求項1に記載したものと同様に、走行車両を構造簡易で軽量となし、収穫機としての機動性を向上させることができるのであり、また葉部から切り離された根部を根部案内手段により、操縦ハンドルを操作する作業者の歩行の障害とならない地上位置まで傷付けることなく移動させることができる。
【0047
請求項3に記載した発明では、挟持搬送手段により搬送されている根菜類の葉部から根部を切り離す根部切断手段と、同根部切断手段で切り離された根部を走行車輪の後下方へ案内する根部案内手段と、根部案内手段に案内されて落下する根部を収容する収納部とを装設したことにより、請求項1に記載したものと同様に、走行車両を構造簡易で軽量となし、収穫機としての機動性を向上させることができるのであり、また葉部から切り離された根部を根部案内手段により、操縦ハンドルを操作する作業者の歩行の障害とならない地上位置まで傷付けることなく移動させることができる。
さらに、根部切断手段により切り離された根部をこれの収穫中に根部案内手段に案内させて、傷付けることなくコンテナ手段に収容させることができ、また操縦ハンドルを操作する作業者の歩行がコンテナ手段により妨げられることのないものとなすことができる。
【0048
請求項4に記載した発明では、引抜き部から遠い側のチェーンケースに装着した走行車輪を他側の走行車輪とは無関係に畝溝の深さ寸法程度の範囲内で、特定横向き線回りに一定範囲内で動力駆動手段により上下揺動可能としたことにより、請求項1に記載したものと同様に、走行機構を構造簡易で軽量なものとなして機体全体の重量を軽減させると共に、収穫機の機動性を向上させることができるものである。また野菜等引抜き部から遠い側の走行車輪が上下することにより、野菜等引抜き部の上下高さの変位を小さく抑えた上で畝間溝等に起因した機体の大きな横傾斜を解消させることができ、従って高畝での収穫も過度の横傾斜を回避して支障なく行えるのである。
また、機体側部に存在する野菜等引抜き部から遠い側の走行車輪を上下させることによ り、野菜等引抜き部の上下高さの変位を小さく抑えた上で畝間溝等に起因した機体の横傾斜を解消させることができ、従って高畝でも支障なく収穫することができるのである。
さらに、上下位置を変更調整されるものとなされた前記走行車輪と挟持搬送手段との間隔を大きく確保できるため、これら両者の干渉を生じ難くなすことが容易に実現できるほか、上下位置を変更調整される走行車輪の変更調整機構を装設するための空間を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る歩行形農作物収穫機を示す側面図である。
【図2】前記収穫機の平面図である。
【図3】前記収穫機の正面図である。
【図4】前記収穫機の根部土落とし手段及び根部先端根切断手段の周辺を示す説明図である。
【図5】前記収穫機の根部肩揃え手段、葉部支持搬送手段及び根部切断手段等を示す説明図である。
【符号の説明】
H 挟持搬送経路
w 農作物(野菜、人参)
c1 前後向き部
c2 横向き部
7a、7b 無端帯
8a、8b 走行車輪
9 操縦ハンドル
14 挟持搬送手段
35 根部先端根切断手段
36 根部土落とし手段
37 根部肩揃え手段
38 葉部支持搬送手段
39 根部切断手段
40 根部案内手段
41 収納部
42a、42b 回転中心軸
43a、43b 回転刃
44a、44b 回転ブラシ

Claims (4)

  1. 圃場に植生している人参や大根の根菜類(w)を、後上がりに傾斜状に配置された前部で引き抜き機体後部へ搬送する挟持搬送手段(14)と、走行機体(1)を支持した左右一対の走行輪(8a、8b)と、同走行機体(1)の後部に位置された操縦ハンドル(9)とを備えた歩行形収穫機において、前記挟持搬送手段(14)の前部を左の走行車輪(8a)よりも機体外方側に位置させると共に、根菜類(W)を地中から引き抜く抜き部(d)として機能する前後向き部(c1)と、同前後向き部(c1)とに連続して形成された横向き部(c2)を前記前後向き部(c1)の存在しない側の機体側部まで形成し、且つ、前記挟持搬送手段(14)の挟持搬送経路(H)下方の搬送上流側から、根菜類(W)の根部(b)先端部を切断する根部先端根切断手段(35)と、引き抜いた根菜類(W)を一定高さに揃える根部肩揃え手段(37)と、同根部肩揃え手段(37)で肩揃え処理されている根菜類(W)の根部(b)の葉元直近を切り離すための根部切断手段(39)とを順に設け、前記根部先端根切断手段(35)は、縦向き回転中心軸(42a) ( 42 b )を回転中心とする左右一対の回転刃(43a、43b)から構成すると共に、その根部先端根切断手段(35)の上方には、前記左右一対の回転刃(43a、43b)の縦向き回転中心軸(42a)(42b)を回転中心とする一対の回転ブラシ(44a)(44b)からなる根部土落とし手段(36)を設けたことを特徴とする歩行形農作物収穫機。
  2. 前記挟持搬送手段(14)により搬送されている根菜類(W)の葉部(a)から根部(b)を切り離す根部切断手段(39)と、同根部切断手段(39)で切り離された根部(b)を走行車輪(8a)後方の機体側部下方へ案内する根部案内手段(40)とを装設したことを特徴とする請求項1記載の歩行形農作物収穫機。
  3. 前記挟持搬送手段(14)により搬送されている根菜類(W)の葉部(a)から根部(b)を切り離す根部切断手段(39)と、同根部切断手段(39)で切り離された根部(b)を走行車輪(8a)の後下方へ案内する根部案内手段(40)と、前記根部案内手段(40)に案内されて落下する根部(b)を収容する収納部(41)とを装設したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の歩行形農作物収穫機。
  4. 前記引抜き部(d)から遠い側のチェーンケース(6b)に装着した走行車輪(8b)を他側の走行車輪(8a)とは無関係に畝溝の深さ寸法程度の範囲内で、特定横向き線(s)回りに一定範囲内で動力駆動手段(10)により上下揺動可能としたことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の歩行形農作物収穫機。
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