JP4178934B2 - 耐熱性積層フィルムおよび金属層付き積層フィルム、ならびにこれらを用いた半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路の実装方法であるテープオートメーテッドボンディング(TAB)方式などに用いられる半導体用耐熱性接着剤、半導体集積回路を実装するフレキシブルプリント基板(以下、FPCと称する)、チップオンフィルム(COF)などに使用される、少なくとも1層以上の有機絶縁フィルム層と接着剤層からなる耐熱性積層フィルム、銅箔などの金属箔を張り付けた金属層付き積層フィルム及びこれを用いた半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型・軽量化の進展が加速している。半導体パッケージも高密度実装化を目的に、接続端子(アウターリード)をパッケージ側面に配列していたQFP(クワッド・フラット・パッケージ)、SOP(スモール・アウトライン・パッケージ)に代わり、パッケージの裏面に接続端子を配列するBGA(ボール・グリッド・アレイ)、CSP(チップ・スケール・パッケージ)、が携帯機器を中心として用いられてきている。
【0003】
BGA、CSPについては、数多くの構造が提案されており、なかでも薄型、軽量に設計しやすい有機絶縁性テープをインターポーザー(基板、リードフレーム)に採用したパッケージが増えてきている。このような流れの中でTAB用テープ、FPC、COFをインターポーザーに用いることは容易に考えられる。
【0004】
通常のTAB用テープ、FPC、COFは、ポリイミドフィルム等の可撓性を有する有機絶縁性フィルム上に、接着剤層を積層し、さらに銅箔などの導電層を持つ3層構造より構成されている。
【0005】
例えばTAB用テープを用いて半導体装置のインターポーザー(基板、リードフレーム)を作成するプロセスは次の通りである。(1)スプロケットおよび半田ボール接続用貫通孔もしくはデバイス孔の穿孔、(2)銅箔との熱ラミネート、(3)パターン形成(レジスト塗布、エッチング、レジスト除去)、(4)スズまたは金−メッキ処理などの加工工程を経てインターポーザーに加工される。
【0006】
図1にパターンテープの形状の一例を示す。有機絶縁性フィルム1上に接着剤2、導体パターン5があり、フィルムを送るためのスプロケット孔3、半導体端子から外部端子の半田ボールに接続するための貫通孔4がある。
【0007】
図2に半導体装置の一態様の断面図を示す。パターンテープのインナーリード部6を、保護膜11を有する半導体集積回路8の金バンプ10に熱圧着(インナーリードボンディング)し、半導体集積回路を搭載する。次いで、封止樹脂9による樹脂封止工程を経て半導体装置が作成される。またインナーリード部を有さず、パターンテープの導体と半導体集積回路の金バンプとの間をワイヤーボンディングで接続する方式も採用されている。このような半導体装置をテープキャリアパッケージ(TCP)型半導体装置と称する。最後に、半導体装置は、他の部品を搭載した回路基板等とアウターリード7を介して接続(アウターリードボンディング)され、電子機器への実装がなされる。
【0008】
上記のいずれのパッケージ形態においても、最終的に半導体装置用耐熱性接着剤フィルムの接着剤層がパッケージ内に残留するため、半導体用耐熱性接着剤には高い絶縁性、耐熱性、接着性等の諸特性を満たすことが要求される。
【0009】
半導体用耐熱性接着剤としては例として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリロニトリル樹脂、ブタジエン樹脂等が挙げられるが、従来、エポキシ樹脂および/またはフェノール樹脂とポリアミド樹脂の混合組成物が主として用いられており(例えば特許文献1、2参照)、さらに芳香族系のポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などが検討されてきた。特に絶縁信頼性、加工性の点から、シロキサン変成芳香族ポリイミド樹脂が検討されており(例えば特許文献3、4参照)、耐熱性、接着性などにおいて問題が無いものの、絶縁性フィルム上に積層したとき、その樹脂が持つ配向性のために反りが大きくなるという問題点があった。
【0010】
【特許文献1】
特開平2−143447号公報
【0011】
【特許文献2】
特開平3−217035号公報
【0012】
【特許文献3】
特開平5−200946号公報(第2−6頁)
【0013】
【特許文献4】
特開2002−264255号公報(第2−6頁)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
近年、導体パターンのさらなる狭ピッチ化が求められており、TABにおいては現在、50μm程度のピッチのものが量産されている。しかし、導体パターンの接合部位がフライングリードとなっているため、狭ピッチ化が進むとリードの細幅化に伴う強度低下や銅箔厚低減の制約から、TABにおいては40μmピッチが限界とされている。したがってこれに代わり、フリップチップ技術を用いたCOFの需要が高まりつつある。
【0015】
COFではリードが絶縁性フィルムに支持されているためリード変形の心配がなく、より薄い銅箔の使用が可能であることから、微細配線の形成が容易で狭ピッチ化に有利な構造と言える。
【0016】
しかし、COFの場合、接合時の熱が直接絶縁性フィルムに伝わるため、従来のエポキシ樹脂および/またはフェノール樹脂とポリアミド樹脂の混合組成物からなる接着剤を接着層に用いた金属層付き積層フィルムでは、接着剤層が接合時の熱により変形し、配線不良を起こすなど問題があった。このため、接着剤層の無いメッキタイプの金属層付き積層フィルムがCOF用に用いられているが、工程が複雑なうえに、接着強度が不十分という問題があるため、広く普及するにはいたっていない。
【0017】
そこで耐熱性接着剤として、特許文献3〜4にある芳香族系のポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などが検討されているが、前記記載のように依然として絶縁性フィルム上に積層したとき、その樹脂が持つ配向性のために反りが大きくなるという問題点があった。
【0018】
そこで本発明は、耐熱性、絶縁信頼性、接着性などの諸特性を満たしながら、反りの小さい耐熱性積層フィルム、及びそれを用いた金属層付き積層フィルム及び信頼性の高い半導体装置を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、耐熱性絶縁フィルムの少なくとも片面に接着剤層を有する耐熱性積層フィルムにおいて、接着剤層の硬化後の複屈折率(△n)の絶対値が0.014以下であり、接着剤層の硬化後の複屈折率(△n)と膜厚(d)の積である△n・dの絶対値が8nm以下であることを特徴とする耐熱性積層フィルム、上記耐熱性積層フィルムに金属層を積層して得られる金属層付き積層フィルム及び該金属層付き積層フィルムを用いた半導体装置である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明における接着剤層の△n・dは、接着剤層の硬化後の複屈折率(△n)と膜厚(d)の積で表されるものであり、複屈折率は以下のように定義される。
nTE :膜のTE方向(膜面と平行な方向)の屈折率
nTM :膜のTM方向(膜面と垂直な方向)の屈折率
複屈折率(Δn)=nTE−nTM。
【0021】
これら屈折率の値は、膜の透過可能な波長における測定値を用いる。例えば、赤色領域の波長では609nm、633nm、緑色領域の波長では539nm、青色領域の波長では430nmの波長光を用いる。透明な膜であれば、どの波長領域を用いても良い。
【0022】
測定に用いる光源はハロゲンランプ、レーザー光などを用いることができる。測定には単一波長の光が好ましいので、レーザー光が好ましく用いられる。ハロゲンランプを光源に用いる場合は干渉フィルターを通して特定の波長、例えば609nm、539nm、430nmの単一波長光をとりだし測定する。
【0023】
膜の屈折率は波長分散するため、一般的に短波長になるほど屈折率が大きくなり、これに伴い複屈折率も大きくなる。したがって、△n・dも赤色領域の波長で測定した値の方が青色領域で測定した値よりも小さくなる。
【0024】
本発明においては、標準的なレーザー光である633nmのレーザー光を用いて測定を行った。
【0025】
一般に高分子膜はその複屈折率が大きいほど、配向性が強い。したがって、支持フィルム上に高分子膜を形成した場合、該高分子膜の配向性が強いほど、残留応力が大きくなり反りが大きくなる傾向にある。また、高分子膜の膜厚も反りに大きく影響するものであり、膜厚が厚いほど反りは大きくなる。反りを小さくするためには、配向性の小さい、つまり複屈折率の小さい高分子膜を用いれば良い。
【0026】
したがって本発明においては、耐熱性絶縁フィルム上に形成した接着剤層の硬化後の複屈折率と、該接着剤層の膜厚の積である△n・dの絶対値が8nm以下、好ましくは6nm以下、さらに好ましくは5nm以下がよく、反りの小さい耐熱性積層フィルムを得ることができる。
【0027】
しかし、膜厚を薄くしすぎると、銅箔などの金属層との接着性が低下するなどの問題があるため、接着剤層の硬化後の複屈折率はできるだけ小さい方が好ましい。本発明における接着剤層の硬化後の複屈折率は0.014以下、好ましくは0.012以下、さらに好ましくは0.01以下であり、反りが小さく、金属層との接着性も良好な耐熱性積層フィルムを得ることができる。
【0028】
本発明における接着剤層の硬化とは、熱処理および/または光照射により行うことができる。例えば、ポリイミド樹脂の場合、その前駆体であるポリアミド酸が加熱処理により閉環してイミド環が形成され、ポリイミドに変換されることにより接着剤層が硬化する。
【0029】
本発明における接着剤層は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリロニトリル樹脂、ブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などを用いることができるが、耐熱性、絶縁信頼性、接着性の点から、ポリイミド樹脂が好ましく用いられる。
【0030】
本発明におけるポリイミドとは、その前駆体であるポリアミド酸またはそのエステル化合物を加熱あるいは適当な触媒により、イミド環や、その他の環状構造を形成したポリマーである。
【0031】
ポリマーの分子量の調節は、テトラカルボン酸成分またはジアミン成分を当モルにする、または、いずれかを過剰にすることにより行われる。テトラカルボン酸成分またはジアミン成分のどちらかを過剰とした場合、ポリマー鎖末端を酸成分またはアミン成分などの末端封止剤で封止することがある。一般的に、酸成分の末端封止剤としてはジカルボン酸またはその無水物が用いられ、アミン成分の末端封止剤としてはモノアミンが用いられる。このとき、酸成分またはアミン成分の末端封止剤を含めたテトラカルボン酸成分の酸当量とジアミン成分のアミン当量を等モルにすることが好ましい。
【0032】
末端封止剤の具体例としては、安息香酸、無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水マレイン酸、アニリンなどが用いられる。
【0033】
上記ジアミン成分としては、ジアミン成分中にシロキサン系ジアミンを含むことにより、接着剤層の複屈折率低減効果が大きいため好ましく用いられる。ジアミン成分中のシロキサンジアミンの量は20モル%以上、好ましくは20〜95モル%、さらに好ましくは40〜90モル%である。
【0034】
上記シロキサン系ジアミンとしては、次の一般式(1)で表されるものが挙げられる。
【0035】
【化1】
【0036】
ただし、式中nは1以上の整数を示す。また、R1およびR2は、それぞれ同一または異なって、低級アルキレン基またはフェニレン基を示し、R3〜R6は、それぞれ同一または異なっていてもよく、低級アルキル基、フェニル基またはフェノキシ基の少なくとも1種を示す。
【0037】
一般式(1)で表されるシロキサン系ジアミンの具体例としては、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(4−アミノフェニル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ビス(4−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(4−アミノフェニル)トリシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(4−アミノブチル)ジシロキサン、1,3−ジメチル−1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(4−アミノブチル)ジシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(2−アミノエチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサエチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサプロピル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサンなどが挙げられる。上記シロキサン系ジアミンは単独でも良く、2種以上を混合しても良い。
【0038】
本発明においてはシロキサン系ジアミンの他にも複屈折率低減効果の大きい脂肪族ジアミン、環状炭化水素を含む脂環式ジアミンを用いることができる。
【0039】
脂環式ジアミンの具体例としては、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、3,3´−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジシクロヘキシルなどが挙げられる。
【0040】
また、複数の芳香族環がエーテル基、スルホン基、メチレン基などで結合されたジアミンも複屈折率低減効果が大きく、好ましく用いることができる。その具体例としては、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられる。
【0041】
上記の複屈折率低減効果のあるジアミンは単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。また、これらのジアミンに複屈折率があまり大きくならない程度に芳香族環又は芳香族複素環を含む芳香族ジアミンなどのジアミンを単独または混合して用いることができる。
【0042】
芳香族ジアミンの具体例としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,3´−ジアミノジフェニルエーテル、3,4´−ジアミノジフェニルエーテル、4,4´−ジアミノジフェニルスルホン、3,3´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノジフェニルサルファイド、2,5−ジアミノトルエン、o−トリジン、3,3´−ジメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、、ジアミノベンズアニリドなどが挙げられる。
【0043】
中でも耐熱性の点から、芳香族ジアミンを用いるのが好ましく、特にp−フェニレンジアミンが好ましく用いられる。このときのp−フェニレンジアミンのジアミン成分中の含有量は5〜60モル%、好ましくは5〜50モル%、さらに好ましくは5〜40モル%である。
【0044】
本発明において、テトラカルボン酸成分としては、テトラカルボン酸二無水物が挙げられ、例えば、環状炭化水素を持つ脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族環又は芳香族複素環を含む芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0045】
脂環式テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,5−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ビシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−C]フラン−1,3−ジオンなどが挙げられる。
【0046】
芳香族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2´,3,3´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2´,3,3´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3´,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3´,4,4´−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルトリフルオロプロパンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3″,4,4″−パラターフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3″,4,4″−メタターフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、4,4´−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物などが挙げられる。
【0047】
中でも耐熱性の点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましく用いられ、さらに、接着剤組成物の安定性の点から、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物がより好ましく用いられる。
【0048】
テトラカルボン酸成分は、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の単独、もしくは、接着剤組成物の安定性を損なわない程度に、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物に加え、その他の上記テトラカルボン酸二無水物を1種以上混合したものであっても良い。耐熱性の点から、特にピロメリット酸二無水物を混合することが好ましい。
【0049】
このときのテトラカルボン酸成分中のベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の含有量は50モル%以上、好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上である。ピロメリット酸二無水物を混合して用いる場合、ピロメリット酸二無水物の含有量は5〜50モル%、好ましくは5〜30モル%、さらに好ましくは5〜20モル%である。
【0050】
本発明において、ポリアミド酸は公知の方法によって合成される。例えば、テトラカルボン酸成分とジアミン成分を選択的に組み合わせ、上記所定のモル比で、溶媒中で0〜80℃で反応させることにより合成することができる。
【0051】
ポリアミド酸合成の溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系極性溶媒、また、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトンなどのラクトン系極性溶媒、他には、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトールなどを挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。
【0052】
ポリアミド酸の濃度としては、通常5〜60重量%が好ましく、さらに好ましくは10〜40重量%である。
【0053】
本発明の接着剤には、その耐熱性、接着性などの諸特性を損なわない程度にその他の樹脂を添加することができる。その他の樹脂としては、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリロニトリル樹脂、ブタジエン樹脂、ポリアミドイミド樹脂などが挙げられる。
【0054】
本発明の接着剤には、粒径1μm以下のフィラーを配合することができる。フィラーの含有量は接着剤の固形分に対し1〜50重量%、好ましくは3〜45重量%、さらに好ましくは5〜40重量%である。フィラーの具体例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、石英粉、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。
【0055】
次に、本発明の耐熱性積層フィルムについて説明する。本発明の耐熱性積層フィルムは、耐熱性絶縁フィルムの少なくとも片面に上記の接着剤からなる層を有するものである。
【0056】
耐熱性絶縁フィルムとしては、芳香族ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂から選択される少なくとも1種からなるものが好ましく挙げられる。
【0057】
上記耐熱性積層フィルムの製造方法の一例を以下に示す。
ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸溶液を芳香族ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂などの厚み20〜400μmの耐熱性絶縁フィルムの少なくとも片面に、硬化後の膜厚が0.5〜30μm、好ましくは1〜20μm、さらに好ましくは1.5〜10μmになるように塗工する。
【0058】
塗工方法としては、バーコーター、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーター、リバースコーター、ドクターブレードフロートコーター、グラビアコーターなどが挙げられる。このとき、耐熱性絶縁フィルム表面が接着性改良のためにプラズマ処理されたものであるとなお良い。
【0059】
次に、上記のように耐熱性絶縁フィルムの上に塗工した溶液の溶媒を60〜180℃程度の温度で連続的または断続的に5〜60分間で加熱除去した後、イミド化するための加熱処理を行う。イミド化するための加熱処理としては200〜350℃の温度範囲で30秒〜10分程度の短時間で加熱処理することが好ましい。
【0060】
上記のようにして得られた耐熱性積層フィルムは、汚染防止、キズ防止などの目的から、厚み15〜60μmのポリエステル、ポリプロピレンなどの保護フィルムを接着剤層上に張り合わせておくことが好ましい。
【0061】
本発明の耐熱性積層フィルムは耐熱性絶縁フィルム同志の積層、金属層との積層などに用いることができる。具体的には、銅箔などの金属箔を積層するフレキシブルプリント基板用途、COF用接着テープ、TAB用キャリアテープなど種々の用途に有効に使用できる。
【0062】
金属箔としては特に限定されないが、通常銅箔、アルミ箔、SUS箔などの5〜150μm厚みのものが一般的に用いられる。また、銅箔などでは電解銅箔、圧延銅箔のどちらでも用いることができ、接着性改良のために片面粗化されていても良い。
【0063】
COF用接着テープに使用する場合、耐熱性積層フィルムを目的の幅にスリットし、接着剤層上の保護フィルムを剥がし、吸着水分を除去後、銅箔などの金属箔を重ね合わせ、ラミネーターで加熱圧着する。接着性向上のためにさらに加熱キュアを施すことが好ましい。
【0064】
本発明の金属層付き積層フィルムは以下の方法で作成することができる。すなわち、上記本発明の耐熱性積層フィルムの接着剤層と銅箔などの金属箔を張り合わせ、加熱ロールラミネーターなどを用いて100〜260℃、好ましくは120〜230℃、さらに好ましくは140〜200℃の温度で加熱圧着する。加熱温度が低すぎると金属箔との接着強度が不十分であり、加熱温度が高いと金属箔との接着強度は高くなるが寸法安定性が悪くなるなど問題が生じる。また、加熱ロールラミネーターの線圧は0.2〜20kg/cm、好ましくは0.5〜16kg/cm、さらに好ましくは1〜12kg/cmである。線圧が高くなると寸法安定性が悪くなるので、できるだけ低い線圧でラミネートするのが好ましい。
【0065】
金属箔を加熱圧着した後、さらに180〜350℃、好ましくは200〜300℃、さらに好ましくは220〜280℃の温度範囲で、1〜48時間加熱キュアを行うことにより高い接着強度を得ることができる。本発明における加熱キュアは、上記の範囲の目標温度まで段階的に上げていく方が好ましい。
【0066】
金属層付き積層フィルムの製造方法は上記のように金属箔をラミネートして作成する以外にも、耐熱性積層フィルムの接着剤層上にスパッタ法および/またはメッキ法を用いて金属層を形成し、金属層付き積層フィルムを作成することができる。
【0067】
本発明においてスパッタ法および/またはメッキ法を用いて金属層付き積層フィルムを作成するには、本発明の耐熱性積層フィルムの接着剤層上にクロム、ニッケル、クロム/ニッケル合金、銅などの金属をスパッタするが、銅などの金属を単独でスパッタしてもよく、クロムやニッケルをスパッタした後に銅をさらにスパッタしても良い。このときの金属薄膜の厚みは特には規定されないが、1〜1000nm、好ましくは2〜600nm、さらに好ましくは4〜400nmである。厚すぎると金属薄膜形成に時間がかかり、薄すぎると欠点が生じて後述のメッキにおいて障害となる。
【0068】
本発明において、金属薄膜の形成方法はスパッタ法に限らず、真空蒸着、イオンプレーティング等の方法もとることができるが、スパッタ法で積層するのが好ましい。
【0069】
上記の如く形成した金属薄膜の上にメッキ法により金属メッキ層を形成する。金属メッキ層は無電解メッキのみで形成しても良いが、無電解メッキと電解メッキを併用して形成しても良く、電解メッキのみで形成しても良い。
【0070】
無電解メッキとしては例えば銅をメッキする場合は、硫酸銅とホルムアルデヒドの組み合わせなどが用いられる。電解メッキとしては例えば銅をメッキする場合、硫酸銅メッキ液、シアン化銅メッキ液、ピロリン酸銅メッキ液などが用いられる。金属メッキ層の厚みは特に規定されないが、1〜40μm、好ましくは3〜35μm、さらに好ましくは5〜18μmである。
【0071】
半導体チップを実装して半導体装置を作成する方法の一例として、フリップチップ技術を用いたCOF方式による作成例を説明する。
【0072】
本発明の耐熱性積層フィルムを250mm、500mmなどの目的の幅にスリットし、銅箔をラミネートする。次に銅箔上にフォトレジスト膜を塗布し、マスク露光で配線パターンを形成した後、銅箔をウエットエッチング処理し、残ったフォトレジスト膜を除去して銅配線パターンを形成した。形成した銅配線パターン上にスズまたは金を0.2〜0.8μmメッキした後、配線パターン上にソルダーレジストを塗布してCOFテープが得られる。
【0073】
上記方法で得られたCOFテープのインナーリードに金バンプを形成した半導体チップをフリップチップ実装で接合、あるいは、ワイヤーボンドで半導体チップ接合部とCOFテープのインナーリードを接合し、樹脂で封止することにより本発明の半導体装置を得ることができる。以上の方法で得られた半導体装置は良好な信頼性を持つ。
【0074】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例の説明に入る前に膜厚、複屈折率、反りの測定方法について述べる。
(1)膜厚
東京精密(株)製 膜厚測定器 ”サ−フコム”1500Aにて測定した。
(2)△n・d
プリズムカプラ測定装置PC−2000(メトリコン社製)で、633nmの波長光で屈折率nTE、nTMを測定し、これらの差から複屈折率が得られ、△n・dを算出した。
nTE :薄膜のTE方向(膜面と平行な方向)の屈折率
nTM :薄膜のTM方向(膜面と垂直な方向)の屈折率
複屈折率(Δn)=nTE−nTM
△n・d=複屈折率(△n)×膜厚(d)
(3)反りの評価
金属箔を積層した後、金属層をエッジングして除去した。サンプルを50mm×50mmにカットして平らな板の上に静置し、4角の反り高さを測定し、その平均値を反りの値とした。
(4)接着強度
金属層を積層した後、金属層を2mmのラインにエッチングし、該2mmの金属層をTOYO BOLDWIN社製”テンシロン”UTM-4-100にて、引っ張り速度50mm/分、90°剥離で測定した。
【0075】
実施例1
温度計、乾燥窒素導入口、温水・冷却水による加熱・冷却装置、および、攪拌装置を付した反応釜に、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン372.8g(1.5mol)、p−フェニレンジアミン54.1g(0.5mol)をN,N−ジメチルアセトアミド3220gと共に仕込み、溶解させた後、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物644.4g(2.0mol)を添加し、60℃で6時間反応させたことにより、25重量%ポリアミド酸接着剤溶液(PA1)を得た。このポリアミド酸接着剤溶液PA1をガラス基板上に製膜し、270℃で熱硬化した後の複屈折率を測定したところ、0.0015であった。
【0076】
実施例2
温度計、乾燥窒素導入口、温水・冷却水による加熱・冷却装置、および、攪拌装置を付した反応釜に、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン248.5g(1.0mol)、p−フェニレンジアミン108.1g(1.0mol)をN,N−ジメチルアセトアミド2970gと共に仕込み、溶解させた後、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物612.2g(1.9mol)、ピロメリット酸二無水物 21.8g(0.1mol)を添加し、60℃で6時間反応させたことにより、25重量%ポリアミド酸接着剤溶液(PA2)を得た。このポリアミド酸接着剤溶液PA2をガラス基板上に製膜し、270℃で熱硬化した後の複屈折率を測定したところ、0.0057であった。
【0077】
実施例3
温度計、乾燥窒素導入口、温水・冷却水による加熱・冷却装置、および、攪拌装置を付した反応釜に、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン397.6g(1.6mol)、4,4’−ジアミノフェニルエーテル80.1g(0.4mol)をN,N−ジメチルアセトアミド3270gと共に仕込み、溶解させた後、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物547.7g(1.7mol)、ピロメリット酸二無水物65.4g(0.3mol)を添加し、60℃で6時間反応させたことにより、25重量%ポリアミド酸接着剤溶液(PA3)を得た。このポリアミド酸接着剤溶液PA3をガラス基板上に製膜し、270℃で熱硬化した後の複屈折率を測定したところ、0.0012であった。
【0078】
実施例4
温度計、乾燥窒素導入口、温水・冷却水による加熱・冷却装置、および、攪拌装置を付した反応釜に、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン372.8g(1.5mol)、p−フェニレンジアミン43.2g(0.4mol)、アニリン18.6g(0.2mol)をN,N−ジメチルアセトアミド3210gと共に仕込み、溶解させた後、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物612.2g(1.9mol)、ピロメリット酸二無水物21.8g(0.1mol)を添加し、60℃で6時間反応させたことにより、25重量%ポリアミド酸接着剤溶液(PA4)を得た。このポリアミド酸接着剤溶液PA4をガラス基板上に製膜し、270℃で熱硬化した後の複屈折率を測定したところ、0.0014であった。
【0079】
実施例5
温度計、乾燥窒素導入口、温水・冷却水による加熱・冷却装置、および、攪拌装置を付した反応釜に、1,3−シクロヘキサンジアミン114.2g(1.0mol)をN,N−ジメチルアセトアミド1310gと共に仕込み、溶解させた後、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物322.2g(1.0mol)を添加し、60℃で6時間反応させたことにより、25重量%ポリアミド酸接着剤溶液(PA5)を得た。このポリアミド酸接着剤溶液PA5をガラス基板上に製膜し、270℃で熱硬化した後の複屈折率を測定したところ、0.003であった。
【0080】
実施例6
温度計、乾燥窒素導入口、温水・冷却水による加熱・冷却装置、および、攪拌装置を付した反応釜に、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)210.4g(1.0mol)をN,N−ジメチルアセトアミド1600gと共に仕込み、溶解させた後、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物322.2g(1.0mol)を添加し、60℃で6時間反応させたことにより、25重量%ポリアミド酸接着剤溶液(PA6)を得た。このポリアミド酸接着剤溶液PA6をガラス基板上に製膜し、270℃で熱硬化した後の複屈折率を測定したところ、0.0064であった。
【0081】
実施例7
温度計、乾燥窒素導入口、温水・冷却水による加熱・冷却装置、および、攪拌装置を付した反応釜に、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン432.5g(1.0mol)をN,N−ジメチルアセトアミド2260gと共に仕込み、溶解させた後、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物322.2g(1.0mol)を添加し、60℃で6時間反応させたことにより、25重量%ポリアミド酸接着剤溶液(PA7)を得た。このポリアミド酸接着剤溶液PA7をガラス基板上に製膜し、270℃で熱硬化した後の複屈折率を測定したところ、0.0047であった。
【0082】
実施例8
温度計、乾燥窒素導入口、温水・冷却水による加熱・冷却装置、および、攪拌装置を付した反応釜に、 1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン12.4g(0.05mol)、4,4’−ジアミノフェニルエーテル190.2g(0.95mol)をN,N−ジメチルアセトアミド1580gと共に仕込み、溶解させた後、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物322.2g(1.0mol)を添加し、60℃で6時間反応させたことにより、25重量%ポリアミド酸接着剤溶液(PA8)を得た。このポリアミド酸接着剤溶液PA8をガラス基板上に製膜し、270℃で熱硬化した後の複屈折率を測定したところ、0.0168であった。
【0083】
実施例9
実施例1で作成したPA1のポリアミド酸接着剤溶液を、あらかじめアルゴン雰囲気中で低温プラズマ処理しておいた厚さ25μmのポリイミドフィルム(”カプトン”100EN)に、乾燥後の膜厚が3μmになるようにリバースコーターで塗工し、80℃で10分、さらに130℃で10分乾燥した。該塗工品を270℃で30分加熱処理を行い、イミド化および残存溶媒の除去を行った。
【0084】
上記作成フィルムを幅70mmにスリットした後、80℃で5分予備乾燥後、厚さ18μmの電解銅箔を表面温度260℃に加熱したロールラミネーターで線圧5kg/cm、速度1m/分で張り合わせ、さらに窒素雰囲気下で加熱ステップキュア[(80℃、30分)+(150℃、1時間)+(270℃、2時間)]を行った後、室温まで除冷し、銅層付き積層フィルムを得た。
【0085】
得られた銅層付き積層フィルムの銅箔を全面エッチングし、接着剤付きフィルムの反りを測定したところ、1mm以下であった。また、銅層との接着強度は12N/cmであった。このときの接着剤層の△n・dは4.5nmであった。
【0086】
実施例10〜16、比較例1〜6
ポリアミド酸接着剤溶液および乾燥後の膜厚を表1の通りに行い、また実施例9と同様の操作を行い、銅層付き積層フィルムを得た。それぞれの実施例、比較例の結果を表1に示す。
【0087】
実施例17
ヘンケルジャパン(株)製のポリアミド樹脂 ”マクロメルト”6030の250gをイソプロピルアルコール350gとクロロベンゼン650gに溶かし、20重量%ポリアミド接着剤溶液を得た。このポリアミド接着剤溶液をガラス基板上に製膜し、160℃で熱硬化した後の複屈折率を測定したところ、0.001であった。
【0088】
得られた接着剤溶液を、あらかじめアルゴン雰囲気中で低温プラズマ処理しておいた厚さ25μmのポリイミドフィルム(”カプトン”100EN)に、乾燥後の膜厚が5μmになるようにリバースコーターで塗工し、80℃で10分、さらに130℃で30分乾燥した。
【0089】
上記作成フィルムを幅70mmにスリットした後、80℃で5分予備乾燥後、厚さ18μmの電解銅箔を表面温度140℃に加熱したロールラミネーターで線圧2kg/cm、速度1m/分で張り合わせ、さらに窒素雰囲気下で加熱ステップキュア[(60℃、30分)+(100℃、1時間)+(160℃、2時間)]を行った後、室温まで除冷し、銅層付き積層フィルムを得た。
【0090】
得られた銅層付き積層フィルムの銅箔を全面エッチングし、接着剤付きフィルムの反りを測定したところ、1mm以下であった。また、銅層との接着強度は8N/cmであった。このときの接着剤層の△n・dは5nmであった。
【0091】
実施例18
ヘンケルジャパン(株)製のポリアミド樹脂 ”マクロメルト”6030の250g(50重量)、油化シェルエポキシ(株)製のエポキシ樹脂 ”エピコート”828の105g(21重量%)、昭和高分子(株)製のフェノール樹脂 CKM−1636の145g(29重量%)をイソプロピルアルコール680gとクロロベンゼン1760gに溶かし、17重量%のポリアミド/エポキシ/フェノール系接着剤溶液を得た。このポリアミド/エポキシ/フェノール系接着剤溶液をガラス基板上に製膜し、160℃で熱硬化した後の複屈折率を測定したところ、0.0012であった。あとは実施例17と同様の操作を行い、銅層付き積層フィルムを得た。結果を表1に示す。
【0092】
比較例7
乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗工した以外は実施例17と同様の操作を行い、銅層付き積層フィルムを得た。結果を表1に示す。
【0093】
比較例8
乾燥後の膜厚が12μmとなるように塗工した以外は実施例18と同様の操作を行い、銅層付き積層フィルムを得た。結果を表1に示す。
【0094】
比較例9、10
ポリアミド酸接着剤溶液および乾燥後の膜厚を表1の通りに行い、また実施例9と同様の操作を行い、銅層付き積層フィルムを得た。それぞれの実施例、比較例の結果を表1に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
実施例19
実施例9で得られた銅層付き積層フィルムの銅箔上にフォトレジスト膜をリバースコーターで乾燥後の膜厚が4μmになるように塗布、乾燥後、マスク露光し、アルカリ現像液で配線パターンを形成後、銅箔を第二塩化鉄水溶液でウエットエッチング処理した。残ったフォトレジスト膜を除去して銅配線パターンを形成した。形成した銅配線パターン上にスズを0.4μm無電解メッキした後、配線パターン上にソルダーレジストを塗布してCOFテープが得られた。COFテープの反りが小さいため、寸法精度の良い配線パターンが得られた。
【0097】
上記方法で得られたCOFテープのインナーリードに、金バンプを形成した半導体チップをフリップチップ実装で接合し、樹脂で封止することにより半導体装置を得た。以上の方法で得られた半導体装置は配線が短絡することもなく、良好な信頼性を示した。
【0098】
実施例20
実施例11で得られた銅層付き積層フィルムを用いた以外は実施例19と同様の操作を行い、半導体装置を作成した。得られた半導体装置は配線が短絡することもなく、良好な信頼性を示した。
【0099】
実施例21
実施例2で作成したPA2のポリアミド酸接着剤溶液を、あらかじめアルゴン雰囲気中で低温プラズマ処理しておいた厚さ25μmのポリイミドフィルム(”カプトン”100EN)に、乾燥後の膜厚が1μmになるようにリバースコーターで塗工し、80℃で10分、さらに130℃で10分乾燥した。該塗工品を270℃で30分加熱処理を行い、イミド化および残存溶媒の除去を行った。
【0100】
上記作製フィルムの接着剤層上にスパッタ装置(日電アネルバ(株)製 SPL−500)を用いて、Ni/Cr(組成比:80/20(wt%))層を厚み8nm設け、次いでその上に銅層を200nmの厚さでスパッタにより積層した。スパッタ後、直ちに硫酸銅浴を用い、電流密度2A/dm2の条件で銅厚みが8μmとなるようにメッキをし、銅層付き積層フィルムを得た。
【0101】
得られた銅層付き積層フィルムの銅層を全面エッチングし、接着剤付きフィルムの反りを測定したところ、2mmであった。また、銅層との接着強度は7N/cmであった。このときの接着剤層の△n・dは5.7nmであった。
【0102】
実施例22〜24、比較例11〜15
ポリアミド酸接着剤溶液および乾燥後の膜厚を表2の通りとし、あとは実施例21と同様の操作を行い銅層付き積層フィルムを得た。それぞれの実施例、比較例の結果を表2に示す。
【0103】
【表2】
【0104】
【発明の効果】
本発明は、耐熱性、絶縁信頼性、接着性などの諸特性を満たしながら、反りの小さい耐熱性積層フィルム、及びそれを用いた金属層付き積層フィルムを提供できる。また、本発明の金属層付き積層フィルムを使用することにより、信頼性の高い半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 パターンテープの形状の一例を示す。
【図2】 半導体装置の一態様の断面図を示す。
【符号の説明】
1 有機絶縁性フィルム
2 接着剤
3 スプロケット孔
4 貫通孔
5 導体パターン
6 インナーリード部
7 アウターリード部
8 半導体集積回路
9 封止樹脂
10 金バンプ
11 保護膜
Claims (7)
- 耐熱性絶縁フィルムの少なくとも片面に接着剤層を有する耐熱性積層フィルムにおいて、接着剤層の硬化後の複屈折率(△n)の絶対値が0.014以下であり、接着剤層の硬化後の複屈折率(△n)と膜厚(d)の積である△n・dの絶対値が8nm以下であることを特徴とする耐熱性積層フィルム。
- 接着剤層が少なくともポリイミド前駆体をイミド化して得たポリイミド及び/またはポリイミド前駆体を含有する樹脂から構成されていることを特徴とする請求項1記載の耐熱性積層フィルム。
- 耐熱性絶縁フィルムが、芳香族ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種からなるものであることを特徴とする請求項1記載の耐熱性積層フィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の耐熱性積層フィルムに金属層を積層して得られる金属層付き積層フィルム。
- 耐熱性積層フィルムの接着剤層上に金属箔を張り合わせることにより得られる請求項4記載の金属層付き積層フィルム。
- 耐熱性積層フィルムの接着剤層上にスパッタおよび/またはメッキにより金属層を積層させる請求項4記載の金属層付き積層フィルム。
- 請求項4〜6のいずれかに記載の金属層付き積層フィルムを用いたことを特徴とする半導体装置。
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