JP2009172941A - 金属層付き積層フィルムおよびこれを用いたフレキシブルプリント回路基板 - Google Patents

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拓生 渡邉
Yasuaki Tanimura
寧昭 谷村
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Abstract

【課題】タック痕などの外観不良が少なく、耐熱性樹脂層と耐熱性絶縁フィルムとの接着性の高い金属層付き積層フィルムの提供。
【解決手段】耐熱性絶縁フィルムの片面に、熱可塑性樹脂層Aを介して金属層を有し、もう片方の面に耐熱性樹脂層Bを有する金属層付き積層フィルムであって、耐熱性樹脂層Bが少なくとも酸二無水物残基とジアミン残基を有するポリイミド系樹脂を含み、該ポリイミド系樹脂が一般式(1)で示される芳香族ジアミンの残基を全ジアミン残基中25〜60モル%含むことを特徴とする金属層付き積層フィルム。
Figure 2009172941

(R〜Rは同じでも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、ハロゲン、水酸基、カルボキシル基、スルホン基、ニトロ基またはシアノ基を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性絶縁フィルムの片面に熱可塑性樹脂層を介して金属層を有する金属層付き積層フィルムに関する。詳しくは、電子工業分野で広く使用されているフレキシブルプリント回路基板(FPC)に好ましく用いられる金属層付き積層フィルムに関する。
FPC用基板としては、片面に銅箔などの金属層を有する片面金属層付き積層フィルム、および両面に金属層を有する両面金属層付き積層フィルムが挙げられる。両面金属層付き積層フィルムは、一般的に厚み方向に対して対称な構成になるため、金属層を全面除去した場合も含め、反りは発生しにくい。一方、片面金属層付き積層フィルムは、厚み方向に対して非対称な構成になるため、特に金属層を全面除去した場合に、反りが発生しやすい。
近年、FPC用基板としては、高い耐熱性、寸法安定性などの要求から、銅箔にポリイミド樹脂を塗工積層したキャスト型や、ポリイミド系接着剤を用いたラミネート型などの「2層品」が多く使われている。これら「2層品」の片面金属層付き積層フィルムでは反りがさらに大きく出ることが課題となっている。そこで、反りを低減するために、ポリイミドフィルムの一方の面に熱可塑性ポリイミドを介して金属箔を積層し、他の一方の面に反り防止のためのポリイミド層を積層した、ラミネート型の片面金属層付き積層フィルム(例えば特許文献1〜3参照)が提案されている。
これらの方法を用いることで反りを改良することは可能であるが、特許文献1または2に開示された方法では、銅箔等の金属箔をラミネートする時に、反り防止のためのポリイミド層がラミネートロール、または保護フィルムなどに熱融着(タック)し、これが剥がれた際にできたと考えられるタック痕が残り、外観不良が発生する課題があった。また、特許文献3に開示された方法では、反りおよび熱融着に起因する外観不良を改良することは可能であるが、ポリイミドフィルムとの接着性が低く、金属層付き積層フィルムの製造工程上、または該金属層付き積層フィルムを用いてFPCを製造する工程上で、反り防止のためのポリイミド層がポリイミドフィルムから剥離する課題があった。
特開平9−148695号公報(第5−6頁) 特開2000−96010号公報(第3−6頁) 特開2005−186274号公報(第10−12頁)
かかる状況に鑑み、本発明の目的は、耐熱性絶縁フィルムの片面に金属層を有し、他の面に耐熱性樹脂層を有する金属層付き積層フィルムにおいて、タック痕などの外観不良が少なく、さらに耐熱性樹脂層と耐熱性絶縁フィルムとの接着性の高い金属層付き積層フィルムを提供することであり、さらにこれを用いたフレキシブル回路基板を提供することである。
すなわち本発明は、耐熱性絶縁フィルムの片面に、熱可塑性樹脂層Aを介して金属層を有し、もう片方の面に耐熱性樹脂層Bを有する金属層付き積層フィルムであって、耐熱性樹脂層Bが少なくとも酸二無水物残基とジアミン残基を有するポリイミド系樹脂を含み、該ポリイミド系樹脂が一般式(1)で示される芳香族ジアミンの残基を全ジアミン残基中25〜60モル%含むことを特徴とする金属層付き積層フィルムである。
Figure 2009172941
〜Rは同じでも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、ハロゲン、水酸基、カルボキシル基、スルホン基、ニトロ基またはシアノ基を示す。
本発明によれば、耐熱性絶縁フィルムの片面に金属層を有し、他の面に耐熱性樹脂層を有する金属層付き積層フィルムにおいて、反りが小さく、タック痕などの外観不良が少なく、さらに耐熱性樹脂層と耐熱性絶縁フィルムとの接着性の高い金属層付き積層フィルムを得ることができる。さらに本発明の金属層付き積層フィルムを用いることにより、反りが小さく外観良好な高品質のフレキシブル回路基板を得ることができる。
本発明の金属層付き積層フィルムは、耐熱性絶縁フィルムの片面に熱可塑性樹脂層Aを介して金属層を有し、もう片方の面に耐熱性樹脂層Bを有する金属層付き積層フィルムである。
本発明において、耐熱性樹脂層Bは、金属層付き積層フィルム、全ての金属層を除去した積層フィルム、および金属層に回路パターンを形成したフレキシブル回路基板のそれぞれの状態において平面性を保つための、反り抑制機能を有する。なお、本発明において耐熱性樹脂層Bで言うところの耐熱性とは、空気中で300℃の温度で1時間暴露しても、化学的な変化がなく、重量減少率が1重量%以下であることである。
耐熱性樹脂層Bは、酸二無水物残基とジアミン残基を有するポリイミド系樹脂を含む。ここで、ポリイミド系樹脂とは、ポリイミド、その異性体であるポリイソイミド、およびその前駆体であるポリアミド酸またはそのエステル化合物である。さらに、アクリル系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ブタジエン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂などの耐熱性樹脂を含んでもかまわない。ポリイミド系樹脂は、テトラカルボン酸二無水物、およびジアミンから重合することができる。
本発明において、耐熱性樹脂層Bに用いられるポリイミド樹脂は、一般式(1)で示される芳香族ジアミンの2つのアミノ基からそれぞれ水素原子1つを除いた残基を含む。一般式(1)で示される芳香族ジアミンの残基の含有量は、全ジアミン残基中25モル%以上であり、好ましくは30モル%以上である。また、60モル%以下であり、好ましくは55モル%以下である。一般式(1)で示される芳香族ジアミンの残基が25モル%未満であると、タック痕などの外観不良が発生する。また、60モル%を超えると、金属層付き積層フィルム、金属層を除去した積層フィルムの反りが大きくなることに加え、耐熱性樹脂層と耐熱性絶縁フィルムとの接着性が低下する。
Figure 2009172941
〜Rは同じでも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、ハロゲン、水酸基、カルボキシル基、スルホン基、ニトロ基またはシアノ基を示す。
一般式(1)で示される芳香族ジアミンの具体例としては、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジアミノベンズアニリド、2−メチル−4,4’−ジアミノベンズアニリド、2−クロロ−4,4’−ジアミノベンズアニリド、2−メトキシ−4,4’−ジアミノベンズアニリド、3−メチル−4,4’−ジアミノベンズアニリド、3−クロロ−4,4’−ジアミノベンズアニリド、3−メトキシ−4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノベンズアニリドなどが挙げられる。これらを2種以上使用してもよい。
本発明において、耐熱性樹脂層Bに用いられるポリイミド樹脂には、反り、タック痕などの外観不良の発生などに影響しない範囲でその他のジアミンを共重合してもよい。その他のジアミンとして、具体的には、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノトルエン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,6−ジアミノ安息香酸、2−メトキシ−1,4−フェニレンジアミン、ベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメメトキシベンジジン、2,4−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノフルオレン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、3,3’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシル、p−アミノベンジルアミン、m−アミノベンジルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルサルファイド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−アミノフェニル)フルオレン、一般式(2)で示されるシロキサン系ジアミンなどが挙げられる。これらを2種以上使用してもよい。
これらの中でも、一般式(2)で示されるシロキサン系ジアミンを用いることにより、耐熱性絶縁フィルムと耐熱性樹脂層Bとの接着性をより向上させることができる。一般式(2)で示されるシロキサン系ジアミンの残基の含有量は、全ジアミン残基に対して0.5モル%以上が好ましく、より好ましくは2モル%以上である。また、15モル%以下が好ましく、より好ましくは12モル%以下である。シロキサン系ジアミンの残基の含有量が上記範囲にあると、タック痕などの外観不良をより低減し、耐熱性絶縁フィルムとの接着性をより向上させることができる。
Figure 2009172941
nは1〜30の範囲を示す。また、RおよびR10は同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜30のアルキレン基またはフェニレン基を示す。R11〜R14はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜30のアルキル基、フェニル基またはフェノキシ基を示す。
一般式(2)で示されるシロキサン系ジアミンの具体例としては、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(4−アミノフェニル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ビス(4−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(4−アミノフェニル)トリシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(4−アミノブチル)ジシロキサン、1,3−ジメチル−1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(4−アミノブチル)ジシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(2−アミノエチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサエチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサプロピル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサンなどが挙げられる。上記シロキサン系ジアミンを2種以上使用してもよい。
本発明において、耐熱性樹脂層Bに用いられるポリイミド樹脂は、テトラカルボン酸二無水物残基として、一般式(3)で示されるテトラカルボン酸二無水物の残基を含むことが好ましい。一般式(3)で示されるテトラカルボン酸二無水物の残基の含有量は、全酸二無水物残基中60モル%以上が好ましく、より好ましくは80モル%以上である。一般式(3)で示されるテトラカルボン酸二無水物を上記範囲で含有すると、耐熱性絶縁フィルムとの接着性をより向上させることができる。
Figure 2009172941
15〜R20は同じでも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、ハロゲン、水酸基、カルボキシル基、スルホン基、ニトロ基またはシアノ基を示す。
一般式(3)で示されるテトラカルボン酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ジメチル−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ジクロロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ジメトキシ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲でその他のテトラカルボン酸二無水物を共重合してもよい。具体例としては、ピロメリット酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−パラターフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−メタターフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルトリフルオロプロパンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,5−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ビシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−C]フラン−1,3−ジオンなどが挙げられる。これらを2種以上使用してもよい。
本発明において、耐熱性樹脂層Bには、本発明の効果を損なわない範囲で充填材を含有してもよい。そ充填材としては、有機あるいは無機からなる微粒子、フィラーなどが挙げられる。微粒子、フィラーの具体例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、石英粉、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、硫酸バリウム、マイカ、タルクなどが挙げられる。
本発明において、耐熱性樹脂層Bの線膨張係数kBは、後述する耐熱性絶縁フィルムの線膨張係数kよりも大きいことが好ましく、30〜200℃における線膨張係数kBは、25ppm/℃以上が好ましい。耐熱性樹脂層Bの線膨張係数kBが上記範囲であると、金属層付き積層フィルムおよびフレキシブル回路基板において、反りをより小さくすることができる。
線膨張係数には熱膨張係数、湿度膨張係数などがあるが、本発明における線膨張係数は熱膨張係数である。線膨張係数は熱機械分析装置を用いた測定法(TMA法)で測定することができる。
本発明における線膨張係数は基準温度から測定温度までの平均線膨張係数であり、計算式(1)から算出されるものである。
平均線膨張係数=(1/L)×[(Lt−L0)/(Tt−T0)] (1)
ここで、T0:基準温度、Tt:設定温度、L:サンプル長、L0:基準温度でのサンプル長、Lt:設定温度でのサンプル長である。本発明においては、基準温度を30℃として、200℃までの線膨張係数を測定する。
本発明において、耐熱性樹脂層Bの厚みは適宜選択することができるが、好ましくは0.2〜15μm、より好ましくは1〜10μmである。
本発明において耐熱性絶縁フィルムで言うところの耐熱性とは、融点が280℃以上、好ましくは300℃以上、より好ましくは350℃以上であること、あるいはJIS C4003(1998)で規定される長時間連続使用の最高許容温度が121℃以上、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃以上のであることのいずれかの条件を満足ことを指す。
本発明に用いられる耐熱性絶縁フィルムは、芳香族ポリイミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂などからなる耐熱性絶縁フィルムが挙げられ、芳香族ポリイミド系樹脂からなるポリイミドフィルムが特に好ましい。ポリイミドフィルムの具体的な製品としては、東レ・デュポン(株)製“カプトン”(登録商標)、宇部興産(株)製“ユーピレックス”(登録商標)、(株)カネカ製“アピカル”(登録商標)などが挙げられる。
耐熱性絶縁フィルムの厚みは特に限定されないが、支持体としての強度の観点から、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上である。また、柔軟性の観点から、好ましくは150μm以下、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。
本発明の耐熱性絶縁フィルムの30〜200℃における線膨張係数kは、20ppm/℃以下、好ましくは5〜18ppm/℃である。耐熱性絶縁フィルムの線膨張係数が上記範囲にあると、寸法安定性の高い金属層付き積層フィルムを得ることができる。ここで、耐熱性絶縁フィルムの線膨張係数kは、耐熱性樹脂層Bの線膨張係数kBの測定方法と同様に求めることができる。このような線膨張係数を有するポリイミドフィルムとしては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から少なくとも1つ選ばれるテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルから少なくとも1つ選ばれるジアミンから得られるポリイミド樹脂からなるポリイミドフィルムが好ましい。このようなポリイミドフィルムとしては、“カプトン”(登録商標)ENタイプ、“ユーピレックス”(登録商標)Sタイプ、“アピカル”(登録商標)NPIタイプ等があるが、接着性、寸法安定性等の点から、“カプトン”(登録商標)ENタイプが特に好ましく用いられる。
耐熱性絶縁フィルムの片面あるいは両面は、目的に応じて接着性改良処理が施されていてもよい。接着改良処理としては、常圧プラズマ処理、コロナ放電処理、低温プラズマ処理などの放電処理が好ましい。
本発明において、熱可塑性樹脂層Aは耐熱性絶縁フィルムと金属層を接着する機能を有する。ここで、本発明において、熱可塑性樹脂層Aで言うところの熱可塑性とは、樹脂の分解温度以下にガラス転移温度を有し、加熱していくとガラス転移温度を境に弾性率が大きく低下する性質を意味する。
本発明において、熱可塑性樹脂層Aを構成する樹脂は、アクリル系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ブタジエン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂などからなる熱可塑性樹脂を挙げることができ、ポリイミド系樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂層Aのガラス転移温度は、好ましくは180〜320℃、より好ましくは200〜280℃である。熱可塑性樹脂層Aのガラス転移温度が上記範囲にあると、銅箔等の金属箔を熱圧着し易く、また、金属箔との接着力が高くなる。本発明における熱可塑性樹脂層のガラス転移温度とは、示差走査熱量分析装置を用いた測定法(DSC法)で昇温速度20℃/分の条件で測定したものをいう。
本発明において、熱可塑性樹脂層Aの厚みは適宜選択することができるが、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは1〜6μmである。
本発明の金属層付き積層フィルムに用いられる金属層としては、銅箔、アルミ箔、SUS箔など金属箔を挙げることができ、通常銅箔が用いられる。銅箔には電解銅箔と圧延銅箔があり、どちらでも用いることができる。銅箔の膜厚は1〜50μm、好ましくは3〜20μmである。銅箔は、変色防止等のために表面が防錆処理されていてもよい。防錆処理は一般的にニッケル、亜鉛、クロム化合物などの薄膜層を銅箔表面に積層することにより施される。また、耐熱性樹脂層等との接着性向上のために、接着面側を粗化処理していてもよく、また、シランカップリング処理を施してもよい。
次に、本発明の金属層付き積層フィルムの製造方法について、具体例を挙げて説明する。
耐熱性樹脂層AまたはBがポリイミド樹脂を含む場合、ポリイミド樹脂またはその前駆体であるポリアミド酸樹脂は、公知の方法で合成することができる。例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを選択的に組み合わせ、溶媒中で0〜80℃で1〜100時間撹拌し、反応させることにより合成することができる。樹脂組成物の粘度特性、得られる金属層付き積層フィルムの接着性等の特性が所望の特性となるように酸過剰、あるいはジアミン過剰のモル比で合成することが好ましい。また、ポリマー鎖末端を封止するために、安息香酸、無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、アニリンなどのジカルボン酸またはその無水物、モノアミンを、テトラカルボン酸二無水物、ジアミンと同時に仕込んで反応させてもよく、また、テトラカルボン酸二無水物、ジアミンを反応させ、重合した後に添加して反応させてもよい。
ポリアミド酸合成の溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系極性溶媒、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトンなどのラクトン系極性溶媒、メチルセロソルブ、メチルセルソルブアセテート、エチルセロソルブ、エチルセルソルブアセテート、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、乳酸エチルなどを挙げることができる。これらを2種以上用いてもよい。ポリアミド酸の濃度は、通常5〜60重量%が好ましく、さらに好ましくは10〜40重量%である。
ポリイミド樹脂を得る場合、前記方法で合成したポリアミド酸樹脂溶液を、120〜300℃の温度で1〜100時間撹拌し、ポリイミドに変換する。また、室温〜200℃で、無水酢酸、トリフルオロ酢酸無水物、p−ヒドロキシフェニル酢酸、ピリジン、ピコリン、イミダゾール、キノリン、トリエチルアミンなどのイミド化触媒を単独あるいは2種以上を組み合わせて添加し、ポリイミドに変換することもできる。イミド化触媒の含有量は、ポリアミド酸樹脂組成物中のポリアミド酸樹脂100重量部に対して、1重量部以上が好ましく、3重量部以上がより好ましい。また、20重量部以下が好ましく、10重量部以下がより好ましい。イミド化触媒の含有量が前記範囲であれば、低温でイミド化を進めることができ、ポリアミド酸組成物の保存安定性および塗工性が良い。
ロール状の、あらかじめ低温プラズマ処理などの接着改良処理を施したポリイミドフィルムなどの耐熱性絶縁フィルムの片面に、前記ポリアミド酸樹脂とイミド化触媒を含む樹脂組成物を、乾燥・硬化後の膜厚が0.2〜15μmの厚みになるように、連続的に塗布し、150〜240℃の温度で連続的または断続的に20秒〜30分間加熱し、溶媒の乾燥とイミド化を同時に進め、耐熱性樹脂層Bを積層する。また、有機溶媒可溶性のポリイミド樹脂を用いて耐熱性樹脂層Bを形成してもよい。
さらに、耐熱性絶縁フィルムの反対側の面に、接着性を有する熱可塑性ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸樹脂とイミド化触媒を含む樹脂組成物を、乾燥・硬化後の膜厚が0.1〜10μmの厚みになるように、連続的に塗布し、150〜240℃の温度で連続的または断続的に20秒〜30分間加熱し、溶媒の乾燥とイミド化を同時に進め、耐熱性樹脂層Aを積層する。また、有機溶媒可溶性のポリイミド樹脂を用いて耐熱性樹脂層Aを形成してもよい。
塗工方法としては、バーコーター、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーター、リバースコーター、ドクターブレードフロートコーター、グラビアコーター、スリットコーターなどが挙げられる。
次に、耐熱性樹脂層Aに銅箔などの金属箔を張り合わせ、熱プレス、加熱ロールラミネータ等を用いて加熱圧着して、金属層付き積層フィルムを製造する。本発明においては、例えば図1〜2に示すような、金属箔を連続的に加熱圧着できる加熱ロールラミネータが、生産性の点から好ましく用いることができる。図1〜2において、金属箔(3)と、耐熱性絶縁フィルムに熱可塑性樹脂層Aと耐熱性樹脂層Bを積層した積層フィルム(4)は、ラミネートロール(1、2)により加熱圧着される。このとき、ラミネートロールと金属箔、積層フィルムとの間に保護フィルム(6)を配してもよい。保護フィルム(6)を用いた場合は、加熱圧着後にこれを剥離して金属層付き積層フィルム(5)を得る。
金属箔(3)を加熱ロールラミネータで加熱圧着する場合、ラミネートロール(1、2)の温度は好ましくは250〜450℃、より好ましくは300〜400℃である。前記温度では、銅箔などの金属箔の酸化を防止するなどの目的で、図2の如く、金属箔(3)および/または積層フィルム(4)とラミネートロール(1、2)の間にポリイミドフィルムなどの耐熱性フィルムを保護フィルム(6)として介在させて加熱圧着することが好ましい。ラミネートロール(1、2)のニップ圧は、好ましくは線圧で1〜150N/mm、より好ましくは5〜90N/mmである。
本発明においては、金属箔を加熱圧着後、必要に応じて熱処理を施してもよい。熱処理方法は、金属層付き積層フィルムをロール巻きにしてのバッチ方式処理、ロールtoロール方式での連続処理、カットシートでの枚葉処理のいずれを用いてもよい。熱処理は好ましくは200〜450℃、より好ましくは260〜380℃の温度範囲で、1〜48時間行うことが好ましく、目標温度まで段階的に上げてもよい。また、金属層の酸化を防止するために真空中または窒素雰囲気中で処理することが好ましい。
本発明の金属層付き積層フィルムを用いて、金属層に配線パターンを形成することによりフレキシブルプリント回路基板(FPC)を製造することができる。配線パターンのピッチは特に限定されないが、好ましくは10〜150μm、より好ましくは15〜100μm、さらに好ましくは20〜80μmの範囲である。
半導体チップ(IC)を実装して半導体装置を作製する方法の一例として、フリップチップ技術を用いたCOF方式による作製例を説明する。
本発明の金属層付き積層フィルムを目的の幅にスリットする。次に金属層上にフォトレジスト膜を塗布し、マスク露光で配線パターンを形成した後、金属層をウエットエッチング処理し、残ったフォトレジスト膜を除去して金属配線パターンを形成する。形成した金属配線パターン上に錫または金を0.2〜0.8μmメッキした後、配線パターン上にソルダーレジストを塗布してCOFテープが得られる。得られたCOFテープのインナーリードに金バンプを形成したICをフリップチップ実装で接合し、樹脂で封止することにより、半導体装置を得ることができる。
ICの実装方法としては、配線とICのバンプをギャングボンディングする金属接合方式、ワイヤーボンドでICの接合部とCOFテープのインナーリードを接合するワイヤーボンディング方式、接着剤層中に導電性フィラーを含有させた接着フィルムを介在させて接合するACF方式、非導電性接着剤を用いて接合するNCP方式がある。ACF、NCP方式は比較的低温で接合することができるが、接続信頼性等の点から金属接合方式、特に金−錫共晶による接合方式が一般的に広く用いられている。
金−錫共晶による接合は、IC側のバンプと配線側の配線の高さばらつきを吸収するために、1バンプあたり20〜30gの荷重をかけることが一般的である。また、金と錫が共晶を形成し、信頼性高く接合するためには280℃以上の温度が必要であるので、一般的に接合面の温度が300〜400℃になるように設定される。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。線膨張係数、ガラス転移温度、反り、外観不良、接着力、寸法変化率の評価方法について説明する。
(1)線膨張係数の測定
各製造例で得られた樹脂溶液を厚さ18μmの電解銅箔の光沢面に所定の厚さになるようにバーコーターで塗布後、80℃で10分、150℃で10分乾燥し、さらに窒素雰囲気下280℃で1時間加熱処理を行い熱硬化させた。次に電解銅箔を塩化第2鉄溶液で全面エッチングし、耐熱性樹脂層または熱可塑性樹脂層の単膜を得た。
ポリイミドフィルム、または、上記で得られた単膜を特定の幅の形状に切り出し、それを筒状にして、熱機械的分析装置 SS−6100(セイコーインスルメンツ(株)製)を用いて、30〜200℃の温度範囲、昇温速度5℃/分で測定した。得られた測定結果から、計算式(2)を用いて30〜200℃の平均線膨張係数を算出した。ここで、L30は30℃でのサンプル長、L200は200℃でのサンプル長である。
平均線膨張係数=(1/L30)×[(L200−L30)/(200−30)] (2)。
(2)ガラス転移温度の測定
各製造例で得られた樹脂溶液を厚さ18μmの電解銅箔の光沢面に所定の厚さになるようにバーコーターで塗布後、80℃で10分、150℃で10分乾燥し、さらに窒素雰囲気下280℃で1時間加熱処理を行い熱硬化させた。次に電解銅箔を塩化第2鉄溶液で全面エッチングし、耐熱性樹脂層または熱可塑性樹脂層の単膜を得た。
得られた単膜約10mgをアルミ製標準容器に詰め、示差走査熱量計 DSC−50(島津製作所(株)製)を用いて測定し(DSC法)、得られたDSC曲線の変曲点からガラス転移温度を計算した。80℃×1時間で予備乾燥した後、昇温速度20℃/分で450℃まで測定を行った。
(3)反りの評価
各実施例で得られた銅層付き積層フィルム、および、銅層付き積層フィルムの銅層をエッチングした積層フィルムを50mm×50mmにカットした後、25℃50%RHの条件下で24時間放置後、平らな板の上に静置し、4角の反り高さを測定し、その平均値を反りの値とした。ここでは、銅層付き積層フィルムでは銅層側への反りを+の反り、銅層をエッチングした積層フィルムでは、熱可塑性樹脂層A側への反りを+の反りとした。
(4)外観不良(タック痕)の評価
各実施例で得られた銅層付きフィルムを200mm×1000mm□に切り出し、耐熱性樹脂層B表面のタック痕の個数を目視観察で数えた。
(5)接着力の評価
各実施例で得られた銅層付き積層フィルムを10×10cm□に切り出し、切り出した銅層付き積層フィルムの耐熱性樹脂層B表面に、接着シート“パイララックス”(登録商標)LF0100(ニッカン工業(株)製)を介して、厚さ12μmの電解銅箔UCLP−SE(日本電解(株)製)を重ね合わせ、175℃、4.3MPaの条件で熱プレスして、接着力測定用サンプルを作製した。
接着力測定用サンプルの耐熱性樹脂層B側に積層した銅層を、塩化第2鉄溶液で2mm幅にエッチングし、2mm幅の銅層をTOYO BOLDWIN社製“テンシロン”UTM−4−100にて引っ張り速度50mm/分、90゜剥離し、ポリイミドフィルムと耐熱性樹脂層B間の接着力を測定した。
(6)寸法変化率の測定
各実施例で得られた銅層付き積層フィルムを30mm×200mmの大きさに切り出し、200mmの間隔(L)でパンチングにより1mmφの穴を開け、測定用サンプルを作製した。測定用サンプルの銅層を塩化第2鉄溶液で全面エッチングした。続いて150℃×30分熱処理し、25℃、湿度50%で24時間放置した後、パンチ穴間の距離を測定し(L)、下記式により寸法変化率(△L)を算出した。
△L(%)=100×(L−L)/L
以下の製造例に示してある酸二無水物、ジアミンの略記号の名称は下記の通りである。
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
SiDA:1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン
DAE :4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
DABA:4,4’−ジアミノベンズアニリド
M−DABA:3−メチル−4,4’−ジアミノベンズアニリド
O−DABA:2−メトキシ−4,4’−ジアミノベンズアニリド
PDA :p−フェニレンジアミン
2−MZ:2−メチルイミダゾール
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド 。
製造例1(耐熱性樹脂層B用ポリアミド酸樹脂組成物の製造)
温度計、乾燥窒素導入口、温水・冷却水による加熱・冷却装置、および、攪拌装置を付した反応釜に、DAE 140.1g(0.70mol)、DABA 68.2g(0.30mol)をDMAc 3642gと共に仕込み、溶解させた後、BPDA 288.3g(0.98mol)を添加し、60℃で6時間反応させた。加熱停止後、室温まで冷却した後、2−MZ 4.0gを添加し、2時間室温で攪拌して12重量%のポリアミド酸樹脂組成物(PA1)を得た。ポリアミド酸樹脂組成物(PA1)をイミド化した樹脂の線膨張係数は35ppm/℃、ガラス転移温度は不明(ガラス転移点無し)であった。
製造例2〜17(耐熱性樹脂層B用ポリアミド酸樹脂組成物の製造)
酸二無水物、ジアミンの種類と仕込量を表1のように変えた以外は製造例1と同様の操作を行い、12重量%ポリアミド酸樹脂組成物(PA2〜17)を得た。ポリアミド酸樹脂組成物(PA2〜17)をイミド化した樹脂の線膨張係数、ガラス転移温度を表1に示した。
製造例18(熱可塑性樹脂層A用ポリアミド酸樹脂組成物の製造)
酸二無水物、ジアミンの種類と仕込量を表1のように変えた以外は製造例1と同様の操作を行い、12重量%ポリアミド酸樹脂組成物(PA18)を得た。ポリアミド酸樹脂組成物(PA18)をイミド化した樹脂の線膨張係数、ガラス転移温度を表1に示した。
Figure 2009172941
実施例1
製造例1で製造したポリアミド酸樹脂組成物(PA1)を、ロール状のあらかじめ酸素雰囲気中で低温プラズマ処理しておいた、厚さ20μm、線膨張係数16ppm/℃のポリイミドフィルム(“カプトン”(登録商標)80EN 東レ・デュポン(株)製)に乾燥・硬化後の厚みが3μmになるようにリバースコーターで塗工し、80℃で2分、さらに200℃で5分乾燥し、耐熱性樹脂層Bを積層した。
次に、製造例18で製造したポリアミド酸樹脂組成物(PA18)を、ポリイミドフィルムの反対面に乾燥・硬化後の厚みが2μmになるようにリバースコーターで塗工し、80℃で2分、さらに200℃で5分乾燥し、熱可塑性樹脂層Aを積層し、積層フィルムを得た。
上記積層フィルムの熱可塑性樹脂層Aに、厚さ12μmの電解銅箔UCLP−SE(日本電解(株)製)の粗化面を張り合わせ、ロールの表面温度を360℃に加熱したロールラミネータで、図2のように保護フィルムとして厚さ125μmのポリイミドフィルム(“カプトン”(登録商標)500H 東レ・デュポン(株)製)を両ロールと銅箔、積層フィルムの間にそれぞれ介在させ、線圧50N/mm、速度1m/分で加熱圧着し、銅層付き積層フィルムを得た。
得られた銅層付き積層フィルム、および銅層を除去した後の積層フィルムの反りは、0mmで、銅層付き積層フィルムの外観不良(タック痕)は4個、ポリイミドフィルムと耐熱性樹脂層Bの接着力は7N/cmであった。寸法変化率の結果を表2に示す。
実施例2〜12
耐熱性樹脂層B用のポリアミド酸樹脂組成物(PA2〜12)を表2の如く変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、銅層付き積層フィルムを得た。得られた銅層付き積層フィルムの反り、外観不良、接着力、寸法変化率の結果を表2にまとめた。
実施例13
ポリイミドフィルムを、厚さ25μmで、線膨張係数27ppm/℃の“カプトン”(登録商標)100H 東レ・デュポン(株)製 に変えた以外は実施例5と同様の操作を行い、銅層付き積層フィルムを得た。得られた銅層付き積層フィルムの反り、外観不良、接着力、寸法変化率の結果を表2にまとめた。
比較例1〜5
耐熱性樹脂層B用のポリアミド酸樹脂組成物(PA13〜17)を表2の如く変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、銅層付き積層フィルムを得た。得られた銅層付き積層フィルムの反り、外観不良、接着力、寸法変化率の結果を表2にまとめた。
Figure 2009172941
上記の如く、本発明の金属層付き積層フィルムは、ポリイミドフィルムと耐熱性樹脂層Bとの接着力が高く、銅層付き積層フィルム、および銅層を除去した後の積層フィルムの反りが小さく、さらには外観不良が少ないものであった。これに対し比較例では接着力、反り、外観不良の特性を全て満足できるものはなかった。
実施例14
実施例5で得られた銅層付き積層フィルムの銅層上にフォトレジスト膜をリバースコーターで乾燥後の膜厚が4μmになるように塗布、乾燥後、マスク露光し、アルカリ現像液で配線パターンを形成後、銅箔を第二塩化鉄水溶液でウエットエッチング処理した。残ったフォトレジスト膜を除去して銅配線パターンを形成した。形成した銅配線パターン上にスズを0.4μm無電解メッキした後、配線パターン上にソルダーレジストを塗布してフレキシブル回路基板を得た。得られたフレキシブル回路基板は反り、外観不良の無いものであった。
本発明で使用できるロールラミネータの一態様を示した概略図 本発明で使用できるロールラミネータの他の態様を示した概略図
符号の説明
1 ラミネートロール(上)
2 ラミネートロール(下)
3 金属箔
4 積層フィルム
5 金属層付き積層フィルム
6 保護フィルム
7 保護フィルム巻取り

Claims (8)

  1. 耐熱性絶縁フィルムの片面に、熱可塑性樹脂層Aを介して金属層を有し、もう片方の面に耐熱性樹脂層Bを有する金属層付き積層フィルムであって、耐熱性樹脂層Bが少なくとも酸二無水物残基とジアミン残基を有するポリイミド系樹脂を含み、該ポリイミド系樹脂が一般式(1)で示される芳香族ジアミンの残基を全ジアミン残基中25〜60モル%含むことを特徴とする金属層付き積層フィルム。
    Figure 2009172941
    (R〜Rは同じでも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、ハロゲン、水酸基、カルボキシル基、スルホン基、ニトロ基またはシアノ基を示す。)
  2. 前記熱可塑性樹脂層Aが、少なくとも熱可塑性ポリイミドを含むことを特徴とする請求項1記載の金属層付き積層フィルム。
  3. 前記耐熱性絶縁フィルムがポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項1または2記載の金属層付き積層フィルム。
  4. 前記ポリイミドフィルムの30〜200℃における線膨張係数kが20ppm/℃以下であることを特徴とする請求項3記載の金属層付き積層フィルム。
  5. 前記耐熱性樹脂層Bの30〜200℃における線膨張係数kBが25ppm/℃以上であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の金属層付き積層フィルム。
  6. 前記耐熱性樹脂層Bに含まれるポリイミド系樹脂が、さらに一般式(2)で示されるシロキサン系ジアミンの残基を全ジアミン残基中0.5〜15モル%含むことを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の金属層付き積層フィルム。
    Figure 2009172941
    (nは1〜30の範囲を示す。また、RおよびR10は同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜30のアルキレン基またはフェニレン基を示す。R11〜R14はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜30のアルキル基、フェニル基またはフェノキシ基を示す。)
  7. 前記耐熱性樹脂層Bに含まれるポリイミド系樹脂が、一般式(3)で示されるテトラカルボン酸二無水物の残基を全酸二無水物残基中60モル%以上含むことを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の金属層付き積層フィルム。
    Figure 2009172941
    (R15〜R20は同じでも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、ハロゲン、水酸基、カルボキシル基、スルホン基、ニトロ基またはシアノ基を示す。)
  8. 請求項1〜7いずれか記載の金属層付き積層フィルムの金属層に配線パターン加工を施したフレキシブルプリント回路基板。
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WO2022113415A1 (ja) * 2020-11-27 2022-06-02 東洋紡株式会社 積層体

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