JP4178615B2 - 熱転写式プリンタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、インクリボンに塗布されたUV(紫外線)コート層の面上剥離の発生を防止することができる熱転写式プリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より知られている熱転写式プリンタは、複数の発熱抵抗体を有するサーマルヘッドと、該サーマルヘッドの下方に配設されたインクリボンと、受像紙およびインクリボンを搬送する搬送手段と、プリンタ各部を制御する制御部とを有している。
【0003】
上記構成において、制御部に印刷データが供給されると、制御部は、搬送部を制御して、受像紙を印刷位置まで搬送するとともに、インクリボンを移動させる。そして、サーマルヘッドが印刷開始位置の直上に位置すると、制御部は、搬送部を制御して受像紙の搬送を停止する。
【0004】
次に、制御部は、供給された印刷データに応じて、サーマルヘッドの発熱抵抗体にパルス電圧を供給する。発熱抵抗体はこのパルス電圧に応じた発熱量の熱を発生し、上記インクリボンに塗布されている3色のインクを順次選択的に加熱して、インクを受像紙に昇華転写する。
【0005】
従来用いられているインクリボン(特開平8−108643号参照)の構成を図4に示す。この図において、インクリボン200は、耐熱性基材上に同図左側よりイエロインクY、マゼンタインクM、シアンインクCおよびUVコート層UCが面順次に塗布されてなる。上記イエロインクY、マゼンタインクM、シアンインクCは、各々昇華系のインクであり、一定温度以上に加熱されることにより昇華するという性質を有している。また、UVコート層は、上記3色を転写した後に、特定の表面性状に表面処理するために転写される。同図に示すQは、UVコート層UCとイエロインクYの間に設けられたマーカであり、制御部がこのマーカを検出し、印刷開始の位置出しを行う。
【0006】
そして、上述のように、インクリボン200に塗布された3色の転写が完了すると、制御部は、搬送部およびサーマルヘッドを制御して、受像紙を印刷開始位置に巻き戻し、UVコート層UCを転写する動作を行う。すなわち、制御部はサーマルヘッドに一定の電圧を供給し、サーマルヘッドの全発熱抵抗体が供給される電圧に応じた発熱量の熱を発生する。この全発熱抵抗体がUVコート材を加熱して昇華転写することによって1ライン分のUVコート層が転写される。
【0007】
以下、制御部は、一定の電圧をサーマルヘッドの全発熱抵抗体へ供給するとともに、搬送部を制御して受像紙を1ライン分づつ順次搬送し、UVコート層の転写を行う。これにより、受像紙において、印刷開始位置から印刷終了位置までの範囲に、UVコート層が転写される。そして、印刷面全面にUVコート層を転写した後に、サーマルヘッド、インクリボンおよび受像紙の離隔動作を行う。サーマルヘッドがUVコート層の転写を行う発熱量の熱はUVコート層が完全に転写し、なおかつ表面が劣化しない発熱量の熱が用いられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の熱転写式プリンタにおいては、受像紙の表面処理を行い、保存性を高める目的で、UVコート層の転写が行われる。しかしながら、従来の熱転写式プリンタにおいては、UVコート層を転写した後に、受像紙とインクリボンの離隔動作を行うときに、UVコート層の終端部において、UVコート層の厚みと剥離強度との関係から受像紙側に移行すべきでない部分がインクリボンから剥がれるという面上剥離現象が発生する。そして、この面上剥離部がプリンタ内部の用紙搬送部に接触して剥がれ落ち、プリンタ内部でゴミとなり、受像紙あるいはインクリボンに付着して印画抜けが発生するという問題があった。
【0009】
この発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、その目的は、UVコート層の面上剥離を防止することができる熱転写式プリンタを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、発明は、複数の発熱抵抗体を有するサーマルヘッドと、昇華性インクが塗布されたインク層およびUVコート層を有し、前記サーマルヘッドによって受像紙に前記インク層およびUVコート層が塗布されるインクリボンと、前記インクリボンと前記受像紙を順次搬送する搬送手段と、プリンタ各部を制御する制御部とを備える熱転写式プリンタにおいて、前記インク層をプリントエリアに転写し、前記UVコート層を当該プリントエリア全面に転写した後に、前記UVコート層転写に必要な発熱量より高い発熱量の熱により、前記UVコート層をさらに当該プリントエリアに続く受像紙のエリアに複数ライン転写することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、複数の発熱抵抗体を有するサーマルヘッドと、昇華性インクが塗布されたインク層およびUVコート層を有し、前記サーマルヘッドによって受像紙に前記インク層およびUVコート層が塗布されるインクリボンと、前記インクリボンと前記受像紙を順次搬送する搬送手段と、プリンタ各部を制御する制御部とを備える熱転写式プリンタにおいて、前記インク層をプリントエリアに転写し、前記UVコート層を当該プリントエリア全面に転写した後に、前記UVコート層の残部を前記プリントエリアに続く受像紙のエリアに転写することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図3を参照してこの発明の実施の形態について説明する。図1は、この発明の一実施形態による熱転写式プリンタの印刷部1の構成を示す概略側面図である。この図において、受像紙2は、用紙ロール3に巻かれており、ペーパフィードローラ13により搬送される。受像紙2を搬送するペーパフィードローラ13は、ギア機構(図示略)を介して、モータ(図示略)に接続されている。ペーパフィードローラ13は、上記モータによりギア機構を介して矢印A1で示す正方向または矢印A2で示す巻き戻し方向へ回転駆動されることにより、用紙ロール3に巻かれている受像紙2を正方向または逆方向へ搬送する。14は、ローラであり、ペーパフィードローラ13の上方に、その外周面がペーパフィードローラ13の外周面に当接するようにして配設されている。
【0013】
プラテンローラ8は、ペーパフィードローラ13の右方に配設され、その回転軸がギア機構を介して、モータ(図示略)に接続されている。このプラテンローラ8は、上記モータが正転駆動したとき矢印A3方向に回転駆動され、逆転駆動されたとき矢印A4方向に回転駆動される。9および11は、印刷用紙2の下方に有り、印刷用紙2に当接するようにして配設された補助ローラである。10および12は、補助ローラであり、補助ローラ9、11の上方に、それぞれ、その外周面が補助ローラ9、11の外周面に当接するようにして配設されており、補助ローラ9、11の回転に連動して回転駆動される。補助ローラ15、16は、ガイド部材17a、17bの左方に配設されており、ガイド部材17a、17bから送出される受像紙2を搬送する。
【0014】
サーマルヘッド6はプラテンローラ8の上方に配設されており、このサーマルヘッド6のプラテンローラ8に対向する面には複数の発熱抵抗体が設けられ、この発熱抵抗体は各々に供給されるパルス電圧の各パルス幅に応じた発熱量の熱を発生する。
【0015】
インクリボン4は、その未使用部分が送り出しリール5に巻回されており、その他端部がプーリ7を介して巻き取りリール18に巻回されている。DCモータ19の回転動力はギア機構20を介して、巻き取りリール18に伝達される。このDCモータ19が巻き取りリール18を矢印A5で示す方向へ回転駆動し、使用済み部分を巻き取りリール18に巻き取る。ギア21は、送り出しリール5の回転軸に接続されており、送り出しリール5の回転を制動する。
【0016】
図2は、本発明の一実施形態による熱転写式プリンタの電気回路50の構成を示すブロック図である。この図において、51は、プリンタ各部を制御するCPU(中央処理装置)である。52は、入力信号である印刷データを処理するデータバッファであり、53は、CPU51の制御によりサーマルヘッド6の各発熱抵抗体を駆動するパルス信号を出力するパルスジェネレータである。54は、パルスモータ55とDCモータ56へ駆動信号を送るモータ駆動回路である。
【0017】
このような構成において、まず、入力信号である印刷データがデータバッファ52に供給される。データバッファ52はこの印刷データを処理し、CPU51へ信号を送る。CPU51はデータバッファ52から送られてきた信号に基づいてモータ駆動回路54へ制御信号を送り、パルスモータ55とDCモータ56を駆動し受像紙の搬送とインクリボン4の搬送を行う。同時に、CPU51はパルスジェネレータ53へ制御信号を送り、この制御信号に応じて、パルスジェネレータ53はパルス電圧をサーマルヘッド6が有する発熱抵抗体へ供給する。
【0018】
以下に、上述した図1および図2を参照して熱転写式プリンタの印刷動作を説明する。図2示すCPU51は、図1に示す受像紙2が印刷開始位置にあることを認識した後に、ペーパフィードローラ13、プラテンローラ8および補助ローラ15の回転を停止する。このとき、サーマルヘッド6は、受像紙2の印刷開始位置の直上に位置している。次に、CPU51は、サーマルヘッド6を移動させ、サーマルヘッド6をインクリボン4および受像紙2を介してプラテンローラ8に圧接させる。
【0019】
そして、CPU51は、印刷データに基づいてインクリボン4のイエローインクYの転写データを生成し、この転写データに応じたパルス信号を発生するようにパルスジェネレータ53を制御する。パルスジェネレータ53は、CPU51の制御信号に応じてパルス電圧をサーマルヘッド6が有する発熱抵抗体に供給する。発熱抵抗体は、パルス信号のパルス幅に応じた発熱量の熱を発生する。この結果、インクリボン4に塗布されているイエローインクYが昇華して、イエローインクYが受像紙上に転写される。そして、CPU51は、サーマルヘッド6を上述したインクリボン4に圧接した状態の位置から離隔した状態へ移動させる。CPU51は、モータ駆動回路54を制御し、ペーパフィードローラ13、プラテンローラ8および補助ローラ15を駆動して1ライン分づつ受像紙を順次搬送し、1頁分のイエローインクYの転写を行う。
【0020】
次に、CPU51は、モータ駆動回路54を制御し、ペーパフィードローラ13、プラテンローラ8および補助ローラ15を逆方向に駆動する。これにより、受像紙2が印刷開始位置に戻り、CPU51は、サーマルヘッド6が受像紙2の印刷開始位置の直上に位置することを確認した後に、モータ駆動回路54を制御し、回転を停止させる。
【0021】
さらに、上述したイエロインクYの印刷動作と同様にして、マゼンタインクMおよびシアンインクCの転写が順次行われる。このようにして、3色のインクが順次転写された後に、CPU51は、上述した制御を行い、受像紙2を印刷開始位置に戻し、受像紙2が印刷開始位置に戻り、サーマルヘッド6が受像紙2の印刷開始位置の直上に位置することを確認した後に、モータ駆動回路54を制御し、回転を停止させる。
【0022】
次に、上述した場合と同様の動作により、3色のインクを転写したプリントエリア全面にUVコート層UCを転写する。さらに、UVコート層UCを転写した後に、CPU51はパルスジェネレータ53を制御し、UVコート層を転写するのに必要な発熱量の熱より高い発熱量の熱を発生するようサーマルヘッド6の発熱抵抗体にパルス信号を供給し、同時に、受像紙2およびインクリボン4をさらに数ライン分移動させる。これにより、プリントエリアに続く受像紙のエリアにUVコート層が強く接着される。そして、インクリボン4の耐熱性基材とUVコート層UCの接着部と非接着部に剥離強度の境界ができる。この剥離強度の境界ができることによって、インクリボン4と受像紙2の剥離動作を行うとき発生する面上剥離を防止することができる。
【0023】
なお、プリントエリアに3色のインクおよびUVコード層を転写した後、UVコート層が冷えるまで一定時間待ち、その後に受像紙2とインクリボン4の剥離を行い、プリント動作を完了するようにしてもよい。これにより、UVコート層の受像紙への接着力を増すことができ、接着部と非接着部の剥離強度の境界が発生し、インクリボンの未接着部の面上剥離を防止することができる。
【0024】
図3は、この発明の他の実施の形態を説明するためのもので、インクリボン4の断面図である。この図において、101は耐熱性基材であり、102は耐熱性基材101の上に設けられた剥離層である。103は剥離層102の上に塗布されたUVコート層である。このインクリボン4を用いて印刷を行う場合に、インクリボン4の上に塗布されたイエローインクY、マゼンタインクMおよびシアンインクCの転写は上述の転写の動作と同様に行われる。前記3色の印刷を行った後に、続いて、UVコート層103の印刷を行う。さらに、プリントエリアのUVコート層103の印刷を完了した後、すなわち、図3に示す符号t0の位置までUVコート層の印刷をした後、続いて、符号t1の位置まで、すなわち、UVコート層の終端部分と剥離層の一部まで転写処理を行い、次いで、インクリボン4と受像紙2の剥離動作を行う。この処理により、UVコート層103と受像紙2の未接着部がなくなり、したがって、面上剥離が発生することがない。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、UVコート層の終端部の面上剥離を防止することができ、これにより、面上剥離片が受像紙あるいはインクリボンに付着して印画抜けが発生するという問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施の形態による熱転写式プリンタの印刷部の構成を示す側面図である。
【図2】 同熱転写式プリンタの電気回路の構成を示すブロック図である。
【図3】 この発明の他の実施の形態を説明するための図であり、インクリボンの断面図である。
【図4】 従来のインクリボンの構成を示す正面図である。
【符号の説明】
1 熱転写式プリンタ
4 インクリボン
5 送り出しリール
6 サーマルヘッド
7 プーリ
8 プラテンローラ
13 ペーパフィードローラ
18 巻き取りリール
50 電気回路
51 CPU
52 データバッファ
53 パルスジェネレータ
54 モータ駆動回路
101 耐熱性基材
102 剥離層
103 UVコート層

Claims (2)

  1. 複数の発熱抵抗体を有するサーマルヘッドと、
    昇華性インクが塗布されたインク層およびUVコート層を有し、前記サーマルヘッドによって受像紙に前記インク層およびUVコート層が塗布されるインクリボンと、前記インクリボンと前記受像紙を順次搬送する搬送手段と、
    プリンタ各部を制御する制御部とを備える熱転写式プリンタにおいて、
    前記インク層をプリントエリアに転写し、前記UVコート層を当該プリントエリア全面に転写した後に、前記UVコート層転写に必要な発熱量より高い発熱量の熱により、前記UVコート層をさらに当該プリントエリアに続く受像紙のエリアに複数ライン転写することを特徴とする熱転写式プリンタ。
  2. 複数の発熱抵抗体を有するサーマルヘッドと、
    昇華性インクが塗布されたインク層およびUVコート層を有し、前記サーマルヘッドによって受像紙に前記インク層およびUVコート層が塗布されるインクリボンと、前記インクリボンと前記受像紙を順次搬送する搬送手段と、
    プリンタ各部を制御する制御部とを備える熱転写式プリンタにおいて、
    前記インク層をプリントエリアに転写し、前記UVコート層を当該プリントエリア全面に転写した後に、前記UVコート層の残部を前記プリントエリアに続く受像紙のエリアに転写することを特徴とする熱転写式プリンタ。
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