JP4175604B2 - イオン源 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、磁界中において、ガスを電子衝撃によって電離させてプラズマを生成する電子衝撃型のイオン源に関し、より具体的には、引き出すイオンビーム中に含まれる多価イオン(2価以上のイオン。以下同じ)の比率を向上させる手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子衝撃型のイオン源には種々の方式のものがある。その一例として、特開平9−35648号公報には、磁界による電子の閉じ込めと反射電極による電子の反射とを併用してプラズマ密度を高めるバーナス型イオン源が記載されている。
【0003】
この種のイオン源から、2価以上の多価イオンを引き出して利用したいという要望がある。これは、多価イオンの場合は、1価イオンに比べて、同じ加速電圧で価数倍(例えば2価イオンの場合は2倍)の加速エネルギーを得ることができるので、高エネルギー化が容易になる等の理由による。
【0004】
この種のイオン源において、多価イオンを多く発生させるためには、通常、プラズマ中の平均電子エネルギーを高める必要があり、そのために、(a)電子閉じ込め磁場を強くする、(b)プラズマ密度を上げる、または(c)電子発生源からの1次電子のエネルギーを高める、という手段が従来から試みられてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記プラズマ中の電子は、電子発生源からの1次電子(そのエネルギーは、通常は数十eV〜数百eV程度)と、当該1次電子が中性ガスと衝突してそれをイオン化する際に放出される2次電子(そのエネルギーは、通常は数eV〜十数eV程度)とから成る。2次電子が更に中性ガスと衝突した際に放出される電子(3次電子およびそれ以降の電子)も、この明細書では一括して2次電子と呼ぶことにする。
【0006】
多価イオンの生成には、高いエネルギーの電子が必要(例えば、2価イオン生成には数十eV以上が必要)であるから、上記2次電子は殆ど寄与せず、殆どは上記1次電子によって多価イオンが生成される。これとは違って、1価イオンの生成には、多価イオン生成ほどには高い電子エネルギーを必要としないので、上記2次電子も大きく寄与する。
【0007】
ところが、上記(a)〜(c)に示した手段では、いずれも、1次電子だけでなく、2次電子も多くなってしまうため、多価イオンを多く生成しようとすると1価イオンも多く生成されてしまい、イオン源から引き出すイオンビーム中に含まれる多価イオンの比率は殆ど向上しない。
【0008】
従って、多価イオンビーム量を多くしようとすると、イオンビーム電流全体を大きくせざるを得なくなる。しかし、イオンビーム電流全体をあまり大きくすると、イオン源の引出し電極系において、空間電荷効果によるビーム電流制限や電極間における放電発生等の不具合が発生するようになる。また、引出し電極系に引出し電圧を供給する引出し電源に流れる電流も大きくなるけれども、引出し電源の容量からそのような大電流を出力することができなくなる。従って、イオンビーム電流全体を大きくするには限界があり、そのような手段では多価イオンの量を増やすことは難しい。
【0009】
そこでこの発明は、プラズマ中ひいてはイオンビーム中に含まれる多価イオンの比率を向上させ、それによって多価イオンの引き出し量を多くすることを可能にすることを主たる目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明のイオン源は、ガスが導入され、内部で当該ガスを電子衝撃によって電離させて内部でプラズマを生成するための容器であって、当該プラズマからイオンビームを引き出すイオン引出し口を有するプラズマ生成容器と、このプラズマ生成容器内へ電子を供給して前記ガスを電子衝撃によって電離させて前記プラズマを生成する電子発生源と、この電子発生源で発生した電子を前記プラズマ生成容器内において閉じ込める磁界を発生させる磁界発生器と、前記プラズマ生成容器内にそれから電気的に絶縁して設けられていて、少なくとも前記磁界に沿う方向の両側および前記イオン引出し口側の合計3箇所に開口部を有する正電極と、この正電極に前記プラズマ生成容器に対して正のバイアス電圧を印加する直流のバイアス電源とを備えており、かつ前記プラズマ生成容器は、前記電子発生源を基準にして正の電圧が印加されて内部で放電を生じさせる陽極を兼ねていることを特徴としている。
【0011】
上記正電極およびバイアス電源を設けたことによる主たる作用効果は、次の(1)および(2)である。
【0012】
(1)正電極によるイオンの押し戻し作用
プラズマ生成容器内で生成されたプラズマ中のイオンは、正電極の開口部以外の壁面では、正電極に印加される正のバイアス電圧によって、同極性であるから、プラズマ側へ押し戻される。この押し戻されたイオンは、主として電子発生源で発生した1次電子の衝突を受けて、その価数が上がる。一般的に、n価(n≧2)のイオン生成確率は、(a)中性ガスからn価イオンへの生成確率よりも、(b)n−1価イオンからn価イオンへの生成確率の方が遙かに大きい。このイオン源では、上記押し戻されたイオン(即ち、既にイオン化しているもの)を利用することによって上記(b)の過程を効果的に利用することができるので、多価イオンを効率良く生成することができる。
【0013】
(2)正電極による2次電子の吸引作用
電子発生源で発生した1次電子は、磁界発生器による磁界に捕捉されて当該磁界に沿って運動をして、その過程で中性ガスと衝突してプラズマを生成する。この1次電子は、前述したようにエネルギーが比較的高いので、1価イオンの生成にも多価イオンの生成にも寄与する。
【0014】
上記のようにして生成されるプラズマの近傍には、バイアス電源から正のバイアス電圧が印加される正電極が存在する。1次電子が中性ガスに衝突してイオン化する際に放出される2次電子は、前述したようにエネルギーが比較的低く、しかも飛び出す方向もばらばらであるので、プラズマの近傍に正電極が存在することによって、正電極付近の2次電子は、異極性の正電極に吸引される。従ってその分、プラズマ中に存在する2次電子の量は少なくなる。ちなみに、電子発生源から発生した1次電子は、指向性も比較的高く、かつ前記磁界に捕捉されて磁界に沿って運動するので、1次電子が正電極に吸引される割合は、2次電子に比べれば遙かに小さい。この割合をより小さくするためには、磁界発生器による磁界をより強くして1次電子を当該磁界によってより強く捕捉するのが好ましい。
【0015】
2次電子は、前述したようにエネルギーが比較的小さいので、多価イオンの生成には殆ど寄与せず、専ら1価イオンの生成にしか寄与せず、このような2次電子の量が正電極の存在によって減ることによって、その分、プラズマ中に生成される1価イオンは減ることになる。これは見方を変えれば、プラズマ中の多価イオンの比率が相対的に高くなることである。
【0016】
上記(1)および(2)の作用によって、プラズマ中の多価イオンの比率を高めることができ、ひいてはイオンビーム中に含まれる多価イオンの比率を向上させることができる。その結果、イオンビーム電流(イオンビーム引き出し量)全体を大きくしなくても、多価イオンの引き出し量を多くすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明に係るイオン源の一例を示す断面図である。図2は、図1の線A−Aに沿う拡大断面図である。図3は、図1中の正電極の斜視図である。
【0018】
このイオン源は、簡単に言えば、公知のバーナス型イオン源と呼ばれるものに、正電極26およびバイアス電源32を付加したことを特徴としている。
【0019】
詳述すると、このイオン源は、例えば直方体状をしていて陽極を兼ねるプラズマ生成容器2を備えており、その内部にはプラズマ14の生成用のガス(蒸気の場合も含む)が導入される。このプラズマ生成容器2のイオンビーム引出し方向Z側の壁面(長辺壁)には、イオンビーム16の引き出し用のイオン引出し口4が設けられている。このイオン引出し口4は、例えばスリット状をしている。
【0020】
プラズマ生成容器2の前記イオンビーム引出し方向Zと直交するX方向の一方側の壁面(短辺壁)内には、プラズマ生成容器2内へ電子(1次電子)7を供給して前記ガスを電子衝撃によって電離させてプラズマ14を生成する電子発生源として、この例ではU字状のフィラメント6が設けられている。このフィラメント6とプラズマ生成容器2との間は、絶縁物8によって電気的に絶縁されている。なお、このX方向およびZ方向と直交する方向をY方向とする。
【0021】
プラズマ生成容器2のX方向の他方側の壁面(短辺壁)内には、フィラメント6と相対向させて、1次電子7を反射する対向反射電極10が設けられている。この対向反射電極10とプラズマ生成容器2との間は、絶縁物12によって電気的に絶縁されている。この対向反射電極10は、この例のようにどこにも接続せずに浮遊電位にする場合と、フィラメント6の一方端(例えば、フィラメント電源22の正極側端)に接続してフィラメント電位にする場合とがある。
【0022】
プラズマ生成容器2の外部には、前記X方向においてプラズマ生成容器2を両側から挟むように、磁界発生器18が設けられている。この磁界発生器18は、フィラメント6で発生した1次電子7を捕捉してプラズマ14の生成・維持の効率を高める磁界20を、プラズマ生成容器2内において前記X方向に沿って発生させる。つまり、フィラメント6と反射電極10との間を結ぶ方向Xに沿って磁界20を発生させる。但し磁界20の向きは、図示例とは逆でも良い。この磁界発生器18は、例えば電磁石である。プラズマ生成容器2内における磁界20の強さは、この発明に係るイオン源ではある程度強いのが好ましく、例えば10mT〜50mT程度にする。
【0023】
フィラメント6には、それを加熱して1次電子7を放出させるために、直流のフィラメント電源22から、直流のフィラメント電圧VF (例えば2〜4V程度)が印加される。
【0024】
フィラメント6の一端とプラズマ生成容器2との間には、両者間でアーク放電を生じさせるために、フィラメント6を負極側にして、直流のアーク電源24からアーク電圧VA (例えば40〜100V程度)が印加される。
【0025】
上記のような構成に加えて更に、このイオン源は、正電極26およびバイアス電源32を備えている。
【0026】
正電極26は、プラズマ生成容器2内に当該プラズマ生成容器2から電気的に絶縁して設けられている。この正電極26は、少なくとも、前記磁界20に沿う方向(X方向)の両側および前記イオン引出し口4側(イオンビーム引出し方向Z側)の合計3箇所に開口部26a〜26c(図3参照)を有している。より具体的には、正電極26はこの例では、X方向の両側およびZ方向の合計3面が開いていて、Y−Z平面における断面が四角形をした四角い筒状、箱状または樋状をしている。この正電極26は、絶縁物28によって電気的に絶縁されてプラズマ生成容器2から支持されている。
【0027】
この正電極26は、上記のような開口部26a〜26cを有しているので、フィラメント6から発生した1次電子7の運動、および、プラズマ14からのイオンビーム16の引き出しを妨げない。即ち、フィラメント6から放出された1次電子7は、X方向の開口部26aおよび26bを通して、フィラメント6と反射電極10との間で磁界20に沿って自由に往復運動させることができ、それによってプラズマ14を効率良く生成することができる。また、イオン引出し口4側の開口部26cを通して、プラズマ14はイオン引出し口4の近傍にまで拡散することができるので、当該プラズマ14からイオン引出し口4を通してイオンビーム16を効率良く引き出すことができる。
【0028】
バイアス電源32は、正電極26に、プラズマ生成容器2に対して(即ちプラズマ生成容器2の電位を基準にして)正のバイアス電圧VB を印加する直流電源である。正電極26へは、この例では導体30(図2参照)を経由してバイアス電圧VB を印加する。このバイアス電圧VB の大きさは、特に制限はないけれども、あまり大きくすると絶縁物28等による電気絶縁が難しくなるので、上は500V程度が現実的である。下は1Vからでも効果はある。従って、バイアス電圧VB の大きさは、1V〜500V程度の範囲内が好ましい。
【0029】
図4に、このイオン源における電位配置の一例を模式的に示す。プラズマ生成容器2内に上記のようなバイアス電圧VB が印加される正電極26を設けると、プラズマ14の電位は、ほぼバイアス電圧VB に相当する電位になる。これは、プラズマは一般的に、当該プラズマに近くて最も電位の高い導体の電位にプラズマ電位が近づく性質を有しており、その導体がこの例では正電極26だからである。
【0030】
従って、このイオン源においては、実質的なアーク電圧VS は、前記アーク電圧VA の向きを図示のようにプラズマ生成容器2側を正にすると、次式で表される。実質的なアーク電圧VS とは、1次電子7がフィラメント6から放出されるときの当該電子7のエネルギーを決定する電圧のことであり、正電極26およびバイアス電源32を有していない公知のイオン源では前記アーク電圧VA になる。なお、フィラメント電圧VF は小さいのでここでは無視している。
【0031】
【数1】
S =VB +VA
【0034】
上記正電極26およびバイアス電源32を設けたことによる主たる作用効果は、次の(1)および(2)である。
【0035】
(1)正電極26によるイオンの押し戻し作用
プラズマ生成容器2内で生成されたプラズマ14中のイオンは、正電極26の開口部26a〜26c以外の壁面では、正電極26に印加される正のバイアス電圧VB によって、同極性であるから、プラズマ14側へ(即ちプラズマ生成容器2の中央側へ)押し戻される。この押し戻されたイオンは、主としてフィラメント6で発生した1次電子7の衝突を受けて、その価数が上がる。一般的に、n価(n≧2)のイオン生成確率は、(a)中性ガスからn価イオンへの生成確率よりも、(b)n−1価イオンからn価イオンへの生成確率の方が遙かに大きい。このイオン源では、上記押し戻されたイオン(即ち、既にイオン化しているもの)を利用することによって上記(b)の過程を効果的に利用することができるので、多価イオンを効率良く生成することができる。
【0036】
(2)正電極26による2次電子の吸引作用
フィラメント6からは磁界20の方向Xに沿う方向に1次電子7が多く放出される。この1次電子7は、磁界発生器18による磁界20に捕捉されて当該磁界20に沿ってX方向に運動して、その過程で中性ガスと衝突してプラズマ14を生成する。この1次電子7は、前述したようにエネルギーが比較的高いので、1価イオンの生成にも多価イオンの生成にも寄与する。
【0037】
上記のようにして生成されるプラズマ14の近傍には、公知のイオン源と違ってこのイオン源では、バイアス電源32から正のバイアス電圧VB が印加される正電極26が存在する。1次電子7が中性ガスに衝突してイオン化する際に放出される2次電子は、前述したようにエネルギーが比較的低く、しかも飛び出す方向もばらばらであるので、プラズマ14の近傍に正電極26が存在することによって、正電極26付近の2次電子は、異極性の正電極26に吸引される。従ってその分、プラズマ14中に存在する2次電子の量は少なくなる。
【0038】
ちなみに、フィラメント6から発生した1次電子7は、指向性も比較的高く、かつ磁界20に捕捉されて磁界20に沿ってX方向に運動(この例では反射電極10があるので往復運動)するので、1次電子7が正電極26に吸引される割合は、2次電子に比べれば遙かに小さい。この割合をより小さくするためには、磁界発生器18による磁界20をより強くして1次電子7を当該磁界20によってより強く捕捉するのが好ましい。例えば前述したように、プラズマ生成容器2内における磁界20の強さを、10mT〜50mT程度にするのが好ましい。
【0039】
2次電子は、前述したようにエネルギーが比較的小さいので、多価イオンの生成には殆ど寄与せず、専ら1価イオンの生成にしか寄与せず、このような2次電子の量が正電極26の存在によって減ることによって、その分、プラズマ14中に生成される1価イオンは減ることになる。これは見方を変えれば、プラズマ14中の多価イオンの比率が相対的に高くなることである。
【0040】
上記(1)および(2)の作用によって、プラズマ14中の多価イオンの比率を高めることができ、ひいてはイオンビーム16中に含まれる多価イオンの比率を向上させることができる。その結果、イオンビーム電流(イオンビーム引き出し量)全体を大きくしなくても、多価イオンの引き出し量を多くすることができる。
【0041】
より具体例を示すと、図1に示すイオン源において、リンの3価イオン(P3+)を引き出す実験を行った。その結果を表1に示す。比較例は、バイアス電源32から出力するバイアス電圧VB を0Vにしたので、正電極26を設けていない公知のイオン源に相当する。実施例は、この発明に従った例である。両者で実質的なアーク電圧VS (前記数1および数2参照)を同じにしたのは、全体として見たプラズマ14の密度を同じにして条件を同じにするためである。そのために実施例では、アーク電源24から出力するアーク電圧VA を0Vにした。この場合は、バイアス電源32が通常言うアーク電源の働きもすることになる。イオンビーム16を引き出すための引出し電圧は40kVとし、イオンビーム16全体のビーム電流を比較例と実施例とで同じになるように運転して、そのイオンビーム16中に含まれるP3+イオンの比率を測定した。磁界20の強さも、両方の例とも約24mTで同じにした。
【0042】
【表1】
Figure 0004175604
【0043】
上記表に示すように、実質的なアーク電圧VS および磁界20の強さが同じであるにも拘わらず、P3+イオンの比率は、実施例の方が比較例に比べて約3倍に高まっている。従って、正電極26を設けてそれに正のバイアス電圧VB を印加することが、イオンビーム16中に含まれる多価イオンの比率を向上させることに大きく寄与していることが分かる。
【0044】
正電極26の形状は、図1〜図3に示したもの以外でも良い。例えば、図5に示す例のように、Y−Z平面における断面が円形をした丸い筒状または樋状でも良い。あるいは同断面は楕円形でも良い。
【0045】
正電極26のイオン引出し口4側の開口部26cは、図1〜図3に示す例のように、イオン引出し口4側の面全体を開放したものでも良いし、例えば図5に示す例のように、開口部26cの幅Wを狭くしても良い。開口部26cの幅Wは、イオン引出し口4の幅程度にまで狭くしても良い。要は、開口部26cおよびイオン引出し口4を通して、プラズマ14からイオンビーム16を引き出すことができれば良いからである。このことは、正電極26の形状を問わず適用される。開口部26cの幅Wを上記のように狭くすると、プラズマ14中からイオンビーム16として引き出すイオン以外のイオンを正電極26によってプラズマ14側へ(即ちプラズマ生成容器2の中央側へ)押し戻す面積が増えてその押し戻す作用を増大させることができるので、前記(1)に示したイオンの押し戻し作用による多価イオンの生成効率をより高めることができる。
【0046】
また、例えば図6に示す例のように、正電極26の上記各開口部26a〜26cを、正電極26の各壁面の全面に設けるのではなく一部分にのみ設けても良い。即ち、各開口部26a〜26cの周りに壁面を残しておいても良い。この場合の開口部26aおよび26bの大きさは、フィラメント6と反射電極10との間で1次電子7が往復運動することができる程度で良い。開口部26cの大きさは、プラズマ14からイオン引出し口4を通してイオンビーム16を引き出すことができる程度で良い。上記のようにすれば、プラズマ14中からイオンビーム16として引き出すイオン以外のイオンを正電極26によってプラズマ14側へ(即ちプラズマ生成容器2の中央側へ)押し戻す面積がより増えてその押し戻す作用をより増大させることができるので、前記(1)に示したイオンの押し戻し作用による多価イオンの生成効率をより一層高めることができる。
【0047】
なお、プラズマ生成容器2内へプラズマ14生成用の電子(1次電子)7を供給する電子発生源は、図1に示した構成(即ち一つのフィラメント6)に限られるものではなく、他の構成の電子発生源を採用しても良い。
【0048】
例えば、反射電極10の代わりに、上記フィラメント6と同様のフィラメント6をもう一つ設けても良い。
【0049】
また、各フィラメント6の背後に、プラズマ生成容器2から電気的に絶縁されていてフィラメント6から放出された電子をプラズマ生成容器2の中央側へ反射する反射電極をそれぞれ設けても良い。
【0050】
あるいは、特開2000−90844号公報に記載されているような、カップ状陰極と、それを加熱して電子を放出させるヒータ(フィラメント)とを備える電子発生源を採用しても良い。
【0051】
あるいは、特開平9−35650号公報に記載されているような、小プラズマ生成室内でプラズマを生成し、そのプラズマから電子を引き出してそれをプラズマ生成容器2内に供給する構成の電子発生源を採用しても良い。
【0052】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、上記正電極およびバイアス電源を設けたことによって、正電極によるプラズマ中のイオンの押し戻し作用と、正電極によるプラズマ中の2次電子の吸引作用とを奏することができ、この両作用によって、プラズマ中の多価イオンの比率を高めることができ、ひいてはイオンビーム中に含まれる多価イオンの比率を向上させることができる。その結果、イオンビーム電流全体を大きくしなくても、多価イオンの引き出し量を多くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るイオン源の一例を示す断面図である。
【図2】図1の線A−Aに沿う拡大断面図である。
【図3】図1中の正電極の斜視図である。
【図4】図1のイオン源における電位配置の一例を模式的に示す図である。
【図5】正電極の他の例を示す斜視図である。
【図6】正電極の更に他の例を示す図であり、(A)は平面図、(B)はそのC−C断面図である。
【符号の説明】
2 プラズマ生成容器
4 イオン引出し口
6 フィラメント(電子発生源)
7 電子(1次電子)
10 反射電極
14 プラズマ
16 イオンビーム
18 磁界発生器
20 磁界
26 正電極
32 バイアス電源

Claims (1)

  1. ガスが導入され、内部で当該ガスを電子衝撃によって電離させて内部でプラズマを生成するための容器であって、当該プラズマからイオンビームを引き出すイオン引出し口を有するプラズマ生成容器と、このプラズマ生成容器内へ電子を供給して前記ガスを電子衝撃によって電離させて前記プラズマを生成する電子発生源と、この電子発生源で発生した電子を前記プラズマ生成容器内において閉じ込める磁界を発生させる磁界発生器と、前記プラズマ生成容器内にそれから電気的に絶縁して設けられていて、少なくとも前記磁界に沿う方向の両側および前記イオン引出し口側の合計3箇所に開口部を有する正電極と、この正電極に前記プラズマ生成容器に対して正のバイアス電圧を印加する直流のバイアス電源とを備えており、かつ前記プラズマ生成容器は、前記電子発生源を基準にして正の電圧が印加されて内部で放電を生じさせる陽極を兼ねていることを特徴とするイオン源。
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