JP2002197987A - 負イオン源 - Google Patents

負イオン源

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JP2002197987A
JP2002197987A JP2000394778A JP2000394778A JP2002197987A JP 2002197987 A JP2002197987 A JP 2002197987A JP 2000394778 A JP2000394778 A JP 2000394778A JP 2000394778 A JP2000394778 A JP 2000394778A JP 2002197987 A JP2002197987 A JP 2002197987A
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discharge
ion source
negative ion
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plasma
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Shiro Asano
史朗 浅野
Koji Ichihashi
公嗣 市橋
Toshihisa Okuyama
利久 奥山
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大電流ビームの引き出しを可能にすると共
に、安定した動作と高い信頼性を有するイオン源を提供
する。 【解決手段】 放電プラズマを生成する放電容器と、こ
の放電容器の壁面に配設されたフィラメントと、放電容
器内に放電プラズマを生成させるためのアーク放電電源
と、放電容器の外壁に、その壁面に垂直な方向に着磁さ
れ且つ互いに平行に配置され、隣り合う磁極が異なるよ
うに配設された複数の磁石列と、放電容器を閉塞するよ
うに設けられ、放電容器内の放電プラズマから負イオン
を引き出す引き出し電極と、放電容器と引き出し電極の
間の領域に、放電プラズマ中の電子を捕捉する磁気フィ
ルターを形成する手段を有する負イオン源において、放
電容器を互いに離隔された複数の放電容器によって構成
し、且つ、磁気フィルターを複数の放電容器が共有する
単一の磁気フィルターにより構成することによって、各
放電容器において安定に大電力放電を行い、大面積且つ
大電流ビームの引き出しを可能とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、負イオンビームを
発生する負イオン源に関する。
【0002】
【従来の技術】イオン源のうち数10Aを越えるイオン
ビームを発生させる大電流イオン源は、プラズマ加熱に
高エネルギーの原子ビームを必要とする核融合炉におい
て、中性粒子入射装置(NBI:Neutral Beam Injec
tor)のイオン源として用いられてきている。このNB
Iでは、正又は負のイオンビームを発生させるイオン源
が用いられるが、近年、100keVを超える高エネル
ギー領域において負イオンの中性ビームへの変換効率が
良好である点から、負イオン源が注目されるようになっ
てきている。
【0003】このような負イオン源の従来技術につい
て、図15及び図16を参照して説明する。なお、図1
5は従来の負イオン源を正面から見た時の断面図であ
り、図16は斜めから見た時の断面図である。図におい
て、放電プラズマをその内部に形成する放電容器1は、
上板2と4側面を形成する側壁3とを有し、底面に開口
を有する方形の箱状容器であって、その底面開口は側壁
3に絶縁材19を介して取り付けられた第1の電極4で
閉塞されている。この第1の電極4は放電プラズマから
負イオンを引き出すものであり、この第1の電極4に
は、負イオンの引き出し孔である多数の貫通孔5が設け
られている。さらに、第1の電極4の外側には第2、第
3の電極6、7がそれぞれ絶縁材19を介して離隔して
配置され、第2、第3の電極6、7にも多数の貫通孔
8、9が前記第1の電極4の貫通孔5に対応する位置に
形成されている。
【0004】そして、前記第1の電極4と第2の電極6
の間には、放電容器1内の放電プラズマからH-を引き
出して加速するために、第1の電極4に、第2の電極6
に対して負の電位を印加するための引き出し電源21が
接続され、また、放電プラズマから引き出されたH-
所定のエネルギーに加速するために、第2の電極6に、
第3の電極7に対して負の電位を印加するための加速電
源22が接続されている。
【0005】また、放電容器1の上板2及び側壁3の内
面近傍には、陽極を上板2及び側壁3とするようにして
陰極を形成するフィラメント10が絶縁碍子20を介し
て配設されている。このフィラメント10は、例えばタ
ングステンを素材とするヘアピン形状をしており、図1
6に示すように、その両端にはフィラメント電源23が
接続され、また、フィラメント10の片端と側壁3に
は、フィラメント10が陰極、側壁3が陽極となるよう
にアーク放電電源24が接続されている。
【0006】また、図15に示すように、長辺側の側壁
3aには、放電容器1内に放電ガスを導入するガス導入
口11と、同じく放電容器1内にアルカリ金属蒸気を導
入するアルカリ金属蒸気導入口18が取り付けられてい
る。また、上板2の外面には複数の角棒状の磁石12が
互いに平行となるように配設されている。なお、上記磁
石12は、上板2の外面に直角な方向に着磁され、隣接
する磁石12同士が異なる極性となるように配設されて
いる。
【0007】さらに、側壁3の外面にも複数の角棒状の
磁石13が水平方向にそれぞれ平行となるように、また
同様に側壁3の外面に直角な方向に着磁され、隣接する
ものが交互に異なる極性となるように配設されている。
なお、図16に示したように、短辺側の側壁3bに配設
された磁石13は、その中央部において極性が反転する
永久磁石であり、それぞれ長辺側の側壁3a上に配設さ
れた磁石13の各列と同一面上に配設されている。
【0008】さらに、長辺側の側壁3aの下部の外面に
は、この外面に直角な方向で且つ隣接する磁石13と同
じ方向に着磁されたフィルタ磁石14a、14bが設け
られている。このフィルタ磁石14a、14bは、磁石
13よりも残留磁束密度の大きい磁石であって、対向す
る長辺側の側壁3aで異なる磁極が対向するように配設
されている。
【0009】なお、図中15aは、放電プラズマ閉じ込
め磁界を形成する磁石12、13のつくる磁力線、15
bはフィルタ磁石14a、14bのつくる磁力線であ
り、フィルタ磁石14a、14bによる放電容器1を横
切る磁界によって磁気フィルタが形成される。この磁気
フィルタによって、放電容器1内は上板2側に第一室1
6、第1の電極4側に第二室17が区画される。
【0010】このように構成された負イオン源において
は、いわゆる体積生成法と呼ばれる方法によって負水素
イオン(以下、H-と記す)が生成される。このH-は、
以下に示す2段階の原子反応から生成されるとされてい
る。
【化1】
【0011】上記(1)式で示されるように、水素ガス
分子が数10〜100eVの高温電子との衝突によって
高振動レベルに励起され、(2)式で示されるように、
さらにそれに引き続く1eV以下の低温電子が解離的に
付着することによって、H-が生成される。
【0012】さらに、大電流の負イオンビームを負イオ
ン源から発生させるために、上記の反応に加え、放電容
器内にアルカリ金属の蒸気を導入する表面生成法と呼ば
れる方法を併用する。このように放電容器に導入された
アルカリ金属蒸気は、第1の電極の表面に付着して、電
極表面の仕事関数を下げる働きをすると言われている。
その結果、放電プラズマ中で生成される正水素イオンや
中性水素原子等が第1の電極と衝突して第1の電極から
電子を受け取り、H-が生成されるのである。
【0013】続いて、上記のような構成を有する従来の
負イオン源の動作について説明する。すなわち、図示し
ない真空排気装置によって真空に排気した放電容器1
に、図示しないアルカリ金属オーブンで加熱・蒸気化し
たアルカリ金属をアルカリ金属蒸気導入口18から供給
しておいた状態で、図示しないガス源からガス導入口1
1を通して水素ガスを供給する。そして、フィラメント
電源23によってフィラメント10に通電・加熱した状
態で、アーク放電電源24によってフィラメント10を
陰極、上板2および側壁3を陽極とする直流アーク放電
を発生させ、この放電によって放電容器1の第一室16
内に放電プラズマを生成すると共に、磁石12及び磁石
13によって作られる磁場によって、この放電プラズマ
を放電容器1内に閉じ込める。その後、生成された放電
プラズマは、第二室17の方向に拡散する。
【0014】この放電プラズマが磁気フィルタを横切っ
て通過する際、プラズマ中の電子は磁界中のラーマ半径
が小さいために磁気フィルタに捕捉され、放電容器1内
に存在する水素ガス等と衝突しながらエネルギーを失
い、第二室17に到達する過程で低温の電子になる。一
方、水素イオンの磁界中でのラーマ半径は磁気フィルタ
の厚みに対して大きいため、水素イオンは磁気フィルタ
を通り抜けることができ、そのまま第二室17に移動す
ることができる。
【0015】すなわち、このようにして、第一室16に
は水素分子の励起に適した電子エネルギー分布を持つ高
温プラズマが生成され、第二室17には励起水素分子の
解離性付着反応を起こすのに適した電子エネルギー分布
を持つ低温プラズマが生成される。そして、第一室16
において高エネルギー電子との衝突によって生成された
振動励起水素分子が、第二室17で低温電子との衝突に
よって解離性付着反応を起こし、H-が形成される。ま
た、放電容器に導入されたアルカリ金属蒸気は、第1の
電極4に付着して電極表面の仕事関数を下げているた
め、放電プラズマ中の正水素イオンや中性水素原子等が
第1の電極と衝突した際にもH-が生成される。
【0016】このようにして第二室17に生成されたH
-は、引き出し電源21の作る電界によって第1の電極
4の貫通孔5から引き出されて第2の電極6に到達した
後、貫通孔8を通り、さらに加速電源22の作る電界に
より加速されて第3の電極7の貫通孔9を通ってビーム
として引き出される。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような構成を有する従来の負イオン源においては、以下
に述べるような問題点があった。すなわち、今日一般的
な縦横比の大きい直方体形状の放電容器において、上記
のような方法により数100kWを超えるような大電力
放電を行う場合、放電プラズマが放電容器内に空間的に
均一には生成されず、結果として各フィラメント10が
担うアーク放電電流には著しい偏りが生じることが知ら
れている。
【0018】これらは、フィラメント10から放出され
る熱電子や生成された放電プラズマが、放電容器1に設
置された永久磁石の作る磁場成分によって特定の方向に
ドリフトすること、あるいは何らかの要因によって発生
した初期の不均一なアーク放電が、隣接するフィラメン
トの熱電子の放出を促進する結果、伝播してゆく現象と
考えられている。
【0019】このような不均一が発生した場合、投入放
電電力の多くの部分がアーク放電電流が集中する部分で
消費され、その部分のフィラメントでは過熱によって熱
電子放出が促進され、それがさらにアーク放電電流の集
中を誘起するため、フィラメントの断線や、場合によっ
ては放電容器1の壁面の損傷及び溶融を引き起こすこと
もある。このような例は、Review of Scientific Instr
uments 67(3),1996に示されている。
【0020】このようなアーク放電電流の不均一性を解
決する手段としては、放電容器1に設置されたフィラメ
ント10を複数のグループに分けて、各放電回路に抵抗
を配置し、各放電回路毎にアーク放電電流がほぼ等しい
値となるように抵抗値を調整する方法が採用されるのが
一般的である。
【0021】しかしながら、このような抵抗値を調整す
る方法を適用することによって、アーク放電電流の不均
一性の改善効果は確かに認められるものの、その効果は
顕著なものではなく、放電ガス圧力や投入放電電力の大
きさによって、不均一性の度合いは変化していた。ま
た、ある放電回路の抵抗値を調整することによって、隣
接する他の複数の放電回路に影響が及ぶため、アーク放
電電流値を一定の値に調整することは非常に困難であっ
た。さらに、一般に、イオン源への投入放電電力が大き
くなるにつれてアーク放電電流の不均一性が増大するた
め、大電力のアーク放電自体が困難となり、大電流のイ
オンビームの引き出しが不可能となってしまうという問
題もあった。
【0022】本発明は、上述したような従来技術の問題
点を解決するために提案されたものであり、その目的
は、大電流のイオンビームの引き出しを可能にすると共
に、安定した動作と高い信頼性を有する負イオン源を提
供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明は、内部に導入された放電ガ
スを放電させて放電プラズマを生成する放電容器と、前
記放電容器の壁面に配設されたフィラメントと、前記放
電容器内に放電プラズマを生成させるためのアーク放電
電源と、前記放電容器の外壁に、その壁面に垂直な方向
に着磁され、且つ互いに平行に配置され、隣り合う磁極
が異なるように配設された複数の磁石列と、前記放電容
器を閉塞するように設けられ、前記放電容器内の放電プ
ラズマから負イオンを引き出す引き出し電極と、前記放
電容器と前記引き出し電極の間の領域に、放電プラズマ
中の電子を捕捉する磁気フィルターを形成する手段を有
する負イオン源において、前記放電容器が、互いに離隔
された複数の放電容器によって構成され、且つ、前記磁
気フィルターが、前記複数の放電容器が共有する位置に
配置される単一の磁気フィルターにより構成されている
ことを特徴とするものである。
【0024】このような構成を有する請求項1に記載の
発明によれば、放電容器が離隔した異なる複数の放電容
器によって構成されているため、フィラメントから放出
される熱電子や生成された放電プラズマが放電容器に設
置された永久磁石の作る磁場成分によって特定の方向に
ドリフトしたり、あるいは初期の不均一なアーク放電が
隣接するフィラメントの熱電子放出を促進する結果、伝
播してゆく現象が起こったとしても、不均一性の原因と
考えられるフィラメントからの熱電子及び生成プラズマ
のドリフトや不均一性の伝播が、離隔した各放電容器内
部の領域に限定されるため、発生する不均一性の度合い
を大幅に低減することができる。
【0025】また、磁気フィルターが単一の磁気フィル
ターにより構成されているため、離隔した各放電容器内
部で生成された複数のプラズマが磁気フィルター部に拡
散する過程で結合して大面積の均一なプラズマになるた
め、各放電容器において大電力放電による高密度のプラ
ズマ生成を行うことができる。
【0026】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の負イオン源において、前記複数の放電容器が、その中
心軸を前記引き出し電極に垂直な線に対して所定の角度
だけ外方に傾けて配設されていることを特徴とする。こ
のような構成を有する請求項2に記載の発明によれば、
各放電容器の開口部の面積を小さくすることなく、放電
容器相互の離隔した部分の空間が大きく取れるため、磁
石の組み立てが容易になると共に、大電流ビームの引き
出しが可能となる。
【0027】請求項3に記載の発明は、請求項1又は請
求項2に記載の負イオン源において、前記複数の放電容
器が、角錐台形状とされていることを特徴とする。この
ような構成を有する請求項3に記載の発明によれば、請
求項2に記載の発明と同様に、各放電容器の開口部の面
積を小さくすることなく、放電容器相互の離隔した部分
の空間が大きく取れるため、磁石の組み立てが容易にな
ると共に、大電流ビームの引き出しが可能となる。
【0028】請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請
求項3のいずれか一に記載の負イオン源において、前記
複数の放電容器には、それらの放電容器が共有する側壁
部分が設けられ、各放電容器の外壁に配設された磁石列
のうち、前記磁気フィルターに最も近い磁石列あるいは
その磁石列を含む複数の磁石列が、それぞれ単一の磁石
によって構成され、この単一の磁石によって構成された
磁石列が、前記複数の放電容器が共有する側壁部分に配
設されていることを特徴とする。このような構成を有す
る請求項4に記載の発明によれば、異なる複数の放電容
器のカスプ閉じ込め磁場と単一の磁気フィルターとの磁
力線のつながりの不整合が抑えられ、負イオンビーム生
成の効率を高めることが可能となる。
【0029】請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請
求項4のいずれか一に記載の負イオン源において、前記
磁気フィルターを形成する手段が、前記複数の放電容器
と前記引き出し電極の間の領域に設けられたフランジの
外側に、対向する磁極の極性が互いに異なるように配設
された一対の永久磁石であることを特徴とする。
【0030】また、請求項6に記載の発明は、請求項1
乃至請求項4のいずれか一に記載の負イオン源におい
て、前記磁気フィルターを形成する手段が、前記複数の
放電容器と前記引き出し電極の間の領域に設けられたフ
ランジの外側に、対向する磁極の極性が互いに異なるよ
うに配設された一対の永久磁石と、前記一対の永久磁石
と略同一平面内の放電容器内の空間に設けられ、その磁
極の極性が、対向する前記一対の永久磁石の磁極の極性
と互いに異なるように配設された第2の磁石列とからな
ることを特徴とする。
【0031】このような構成を有する請求項5又は請求
項6に記載の発明によれば、磁気フィルターを放電容器
と引き出し電極の間の領域に局在化させることができる
ため、アーク放電の不均一が抑制され、大電力放電を行
うことが可能となり、大電流ビームを引き出すことがで
きる。
【0032】請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請
求項6のいずれか一に記載の負イオン源において、前記
フィラメントが、前記複数の放電容器の隣り合う外壁に
も配設されていることを特徴とする。このような構成を
有する請求項7に記載の発明によれば、離隔した放電容
器の壁面付近でのプラズマ生成量を大きくできるため、
この領域でのプラズマ密度の減少分が補われ、大面積で
均一な強度のイオンビームを引き出すことが可能とな
る。
【0033】請求項8に記載の発明は、請求項1乃至請
求項6のいずれか一に記載の負イオン源において、前記
複数の放電容器に設置されるフィラメントの単位面積当
たりの設置本数が、複数の放電容器の隣り合う外壁部に
近接した領域において、他の部分よりも多くなっている
ことを特徴とする。このような構成を有する請求項8に
記載の発明によれば、請求項7に記載の発明と同様に、
離隔した放電容器の壁面付近でのプラズマ生成量を大き
くできるため、この領域でのプラズマ密度の減少分が補
われ、大面積で均一な強度のイオンビームを引き出すこ
とが可能となる。
【0034】請求項9に記載の発明は、請求項1乃至請
求項8のいずれか一に記載の負イオン源において、前記
アーク放電電源が、単一の電源から構成されていること
を特徴とする。このような構成を有する請求項9に記載
の発明によれば、複数の放電容器におけるプラズマ生成
を単一の電源によって行えるため、電源構成を簡略にで
き、電源動作の信頼性を高めることができる。
【0035】請求項10に記載の発明は、請求項1乃至
請求項8のいずれか一に記載の負イオン源において、前
記アーク放電電源が、前記複数の放電容器のそれぞれに
対応した複数の電源から構成されていることを特徴とす
る。このような構成を有する請求項10に記載の発明に
よれば、複数の放電容器のそれぞれにおいて、放電投入
パワーの微調整が可能になると共に、電源容量を小さく
でき、電源を安価なものにすることができる。
【0036】請求項11に記載の発明は、請求項9又は
請求項10に記載の負イオン源において、前記アーク放
電電源が、前記フィラメントを陰極、放電容器壁を陽極
とする放電回路内に可変抵抗を有することを特徴とす
る。このような構成を有する請求項11に記載の発明に
よれば、可変抵抗の大きさを調節することにより、アー
ク放電の不均一を抑制して大電力放電を行うことが可能
となり、大電流ビームを引き出すことができる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る負イオン源の
実施の形態について図面を参照して具体的に説明する。
なお、図15及び図16に示した従来型と同一の部材に
は同一の符号を付して、説明は省略する。
【0038】(1)第1実施形態 図1は、本発明に係る負イオン源の第1実施形態の構成
を示す斜視図、図2は、第1実施形態の負イオン源の長
尺方向の断面図、図3は第1実施形態の負イオン源の短
尺方向の断面図である。
【0039】(1−1)構成 本実施形態の負イオン源においては、その内部に放電プ
ラズマを形成する放電容器1が、離隔した異なる2つの
放電容器1a、1bから構成されている。そして、各放
電容器1a、1bは、それぞれ上板2a、2bとそれぞ
れ二面ずつの長辺側側壁3a1、3a2及び短辺側側壁
3b1、3b2を有し、底面に開口を有する方形の箱状
容器であって、その底面開口には磁気フィルターフラン
ジ25が取り付けられている。
【0040】上記磁気フィルターフランジ25には、絶
縁材19を介して第1の電極4が取り付けられ、この第
1の電極4によって上記底面開口が閉塞されている。な
お、この第1の電極4は、放電プラズマから負イオンを
引き出すために設けられ、負イオンの引き出し孔である
多数の貫通孔5が設けられている。また、第1の電極4
の外側には、第2、第3の電極6、7がそれぞれ絶縁材
19を介し離隔して配置され、第2、第3の電極6、7
にも多数の貫通孔8、9が第1の電極4の貫通孔5に対
応する位置に形成されている。
【0041】そして、前記第1の電極4と第2の電極6
の間には、磁気フィルター部に形成された放電プラズマ
からH-を引き出して加速するために、第1の電極4
に、第2の電極6に対して負の電位を印加するための引
き出し電源21が接続され、また、プラズマから引き出
されたH-を所定のエネルギーに加速するために、第2
の電極6に、第3の電極7に対して負の電位を印加する
ための加速電源22が接続されている。
【0042】また、上板2a、2b、長辺側側壁3a
1、3a2及び短辺側側壁3b1、3b2の内面近傍に
は、これらを陽極とするように、陰極を形成するフィラ
メント10が絶縁碍子20を介して配設されている。こ
のフィラメント10は、例えばタングステンを素材とす
るヘアピン形状をしており、その両端にはフィラメント
電源23が接続され、また、フィラメント10の片端と
長辺側側壁3a1、3a2には、フィラメント10が陰
極、上板2a、2b及び長辺側側壁3a1、3a2また
は短辺側側壁3b1、3b2が陽極となるように、アー
ク放電電源24が接続されている。
【0043】また、図3に示したように、2つの放電容
器1a、1bの長辺側側壁3a1、3a2には、各放電
容器1a、1b内に放電ガスを導入するガス導入口11
が取り付けられ、また、2つの放電容器1a、1bの上
板2a、2bには、同じく各放電容器1a、1b内にア
ルカリ金属蒸気を導入するアルカリ金属蒸気導入口18
が取り付けられている。また、上板2a、2bの外面に
は、複数の角棒状の磁石12a、12bが互いに平行と
なるように配設されている。
【0044】なお、磁石12a、12bは、上板2a、
2bの外面に直角な方向に着磁され、隣接するもの同士
が異なる極性となるように配設されている。さらに、長
辺側側壁3a1、3a2及び短辺側側壁3b1、3b2
の外面にも複数の角棒状の磁石13a、13bが水平方
向にそれぞれ平行となるように、また同様に長辺側側壁
3a1、3a2及び短辺側側壁3b1、3b2の外面に
直角な方向に着磁され、隣接するものが交互に異なる極
性となるように配設されている。
【0045】さらに、磁気フィルターフランジ25の長
手方向側面の外面には、この外面に直角な方向で且つ隣
接する磁石13a、13bと同じ方向に着磁された一対
のフィルタ磁石14a、14bが設けられている。この
フィルタ磁石14a、14bは、磁石13a、13bよ
りも残留磁束密度が大きく、対向する長手側面で異なる
磁極が対向するように配設されている。
【0046】なお、図2に示したように、2つの放電容
器1a、1bは、それぞれ第1の放電領域26と第2の
放電領域27の2つの放電領域を形成しており、第1の
放電領域26の周囲を取り囲む磁石12bと13b、及
び第2の放電領域27の周囲を取り囲む磁石12aと1
3aは、それぞれの磁極の極性が同一平面上で相互に同
一となるように配設されている。
【0047】上記のような磁石配置を行うことにより、
第1の放電領域26と第2の放電領域27では、それぞ
れ上板2a、2b及び長辺側側壁3a1、3a2及び短
辺側側壁3b1、3b2上において、放電プラズマを閉
じ込めるマルチカスプ磁場による閉じた磁力線15a、
15bが形成される(図3参照)。
【0048】また、2つの放電容器1a、1bの下部に
配設された磁気フィルターフランジ25の外面に設けら
れた一対のフィルタ磁石14a、14bによる、放電容
器1a、1bを横切る磁界によって単一の磁気フィルタ
が形成され、この単一の磁気フィルタによって、2つの
放電容器1a、1b内は、上板2a、2b側に第一室1
6a、16b、第1の電極4側に第二室17が区画され
る。
【0049】(1−2)作用・効果 続いて、上記のような構成を有する第1実施形態の負イ
オン源の作用・効果について説明する。すなわち、図示
しない真空排気装置によってそれぞれ真空に排気した2
つの放電容器1a、1bに、図示しないアルカリ金属オ
ーブンで加熱・蒸気化したアルカリ金属をアルカリ金属
蒸気導入口18から供給しておいた状態で、図示しない
ガス源からガス導入口11を通して水素ガスを供給す
る。そして、フィラメント電源23によってフィラメン
ト10に通電・加熱した状態で、アーク放電電源24に
よってフィラメント10を陰極、上板2a、2bまたは
長辺側側壁3a1、3a2及び短辺側側壁3b1、3b
2を陽極とする直流アーク放電を発生させ、この放電に
よって放電容器1a、1bの第一室16a、16bにそ
れぞれ放電プラズマを生成すると共に、磁石12aと磁
石13a、磁石12bと磁石13bによって作られる磁
場によって、この放電プラズマを各放電容器1a、1b
内に閉じ込める。
【0050】この場合、本実施形態の負イオン源におい
ては、放電容器1を離隔した異なる2つの放電容器1
a、1bにより構成することにより、放電容器1内が第
1の放電領域26と第2の放電領域27に分割されてい
る。そのため、たとえ、放電容器に設置された永久磁石
の作る磁場成分によって、フィラメント10から放出さ
れる熱電子や生成された放電プラズマの特定の方向への
ドリフト、あるいは初期の不均一なアーク放電が隣接す
るフィラメントの熱電子放出を促進する結果、伝播して
ゆく現象が起こったとしても、不均一性の原因と考えら
れるフィラメントからの熱電子及び生成プラズマのドリ
フトや不均一性の伝播が、離隔した各放電容器内部の領
域に限定されるため、発生する不均一性の度合いを大幅
に低減することができる。
【0051】また、磁気フィルターが単一の磁気フィル
ターにより構成されているため、離隔した各放電容器内
部で生成された複数のプラズマが磁気フィルター部に拡
散する過程で結合して大面積の均一なプラズマになるた
め、各放電容器において大電力放電による高密度のプラ
ズマ生成を行うことができる。
【0052】このように、本実施形態によれば、従来型
のような単一の放電領域からなる放電容器で発生する不
均一なプラズマ生成が抑制されるため、大電力放電が可
能となり、大電流の負イオンビームを引き出すことがで
きると共に、安定な動作と高い信頼性を有する負イオン
源を提供することが可能となる。
【0053】(2)第2実施形態 次に、本発明の第2実施形態について、図4を参照して
具体的に説明する。なお、図4は、第2実施形態の負イ
オン源の構成を示す長尺断面図である。本実施形態の負
イオン源は、上記第1実施形態の変形例であって、離隔
した異なる2つの放電容器1a、1bのそれぞれが、ビ
ーム引き出し孔(貫通孔5等)が穿孔された電極(第1
〜第3の電極)に垂直な線29に対して、各放電容器の
中心軸28a、28bを所定の角度だけ外側に傾けて配
設されている。その他の構成は上記第1実施形態と同様
であるので、説明は省略する。
【0054】このような構成を有する第2実施形態の負
イオン源によれば、各放電容器1a、1bの開口部の面
積を小さくすることなく、放電容器相互の離隔した部分
の空間が大きく取れるため、上記第1実施形態と同様の
作用・効果に加えて、各放電容器1a、1b間に配設さ
れる磁石13a、13bの組み立てが容易になる。
【0055】(3)第3実施形態 次に、本発明の第3実施形態について、図5を参照して
具体的に説明する。なお、図5は、第3実施形態の負イ
オン源の構成を示す長尺断面図である。本実施形態の負
イオン源は、上記第1実施形態の変形例であって、離隔
した異なる2つの放電容器1a、1bが、それぞれ角錐
台形状に構成されている。その他の構成は上記第1実施
形態と同様であるので、説明は省略する。
【0056】このような構成を有する第3実施形態の負
イオン源によれば、上記第2実施形態と同様に、各放電
容器1a、1bの開口部の面積を小さくすることなく、
放電容器相互の離隔した部分の空間が大きく取れるた
め、上記第1実施形態と同様の作用・効果に加えて、各
放電容器1a、1b間に配設される磁石13a、13b
の組み立てが容易になる。
【0057】(4)第4実施形態 次に、本発明の第4実施形態について、図6を参照して
具体的に説明する。なお、図6は、第4実施形態の負イ
オン源の構成を示す長尺断面図である。本実施形態の負
イオン源は、上記第1実施形態の変形例であって、2つ
の放電容器1a、1bと磁気フィルターフランジ25の
接続部に、両放電容器が共有する側壁部分が設けられて
いる。言い換えれば、2つの放電容器1a、1bの隣り
合う短辺側側壁3b1、3b2の高さH1が、2つの放
電容器1a、1bの外側の側壁の高さhより小さくなる
ように構成されている。
【0058】そして、2つの放電容器1a、1bの長辺
側側壁3a1、3a2にそれぞれ複数列配設された磁石
13a、13bのうち、フィルター磁石14a、14b
に最も近い磁石13cを両容器が共有する単一の長尺の
磁石によって構成し、この磁石13cを2つの放電容器
1a、1bが共有する側壁部分に取り付ける。その他の
構成は上記第1実施形態と同様であるので、説明は省略
する。
【0059】このような構成を有する第4実施形態の負
イオン源によれば、磁気フィルターフランジ25に最も
近い位置に配設される磁石13cが、2つの放電容器1
a、1bが共有する単一の長尺の磁石によって構成され
ているので、フィルター磁石14a、14bと磁石13
cとの間に、均一で閉じた磁力線が形成される。すなわ
ち、磁気フィルターフランジ25に最も近い位置に配設
される磁石が、2つの放電容器1a、1bにそれぞれ分
割されて配設されている場合に、その分割された部分に
できる磁気フィルターの磁力線のつながりの不整合を抑
制することができるので、フィルター磁石14a、14
bと磁石13cとの間に、均一で閉じた磁力線が形成さ
れるため、負イオンビームの生成効率をさらに高めるこ
とが可能となる。
【0060】(5)第5実施形態 次に、本発明の第5実施形態について、図7を参照して
具体的に説明する。なお、図7は、第5実施形態の負イ
オン源の構成を示す長尺断面図である。本実施形態の負
イオン源は、上記第4実施形態にさらに改良を施したも
のであって、2つの放電容器1a、1bと磁気フィルタ
ーフランジ25の接続部に設けられる両放電容器が共有
する側壁部分の長さが、第4実施形態より長くなるよう
に構成されている。言い換えれば、2つの放電容器1
a、1bの隣り合う短辺側側壁3b1、3b2の高さH
2が、第4実施形態における側壁の高さH1より小さくな
るように設定されている。
【0061】そして、2つの放電容器1a、1bの長辺
側側壁3a1、3a2にそれぞれ複数列配設された磁石
13a、13bのうち、フィルター磁石14a、14b
に最も近い磁石13cだけでなく、その上段の磁石13
dも磁石13cと同様に、両容器が共有する単一の長尺
の磁石によって構成し、これらの磁石13c、13dを
2つの放電容器1a、1bが共有する側壁部分に取り付
ける。その他の構成は上記第4実施形態と同様であるの
で、説明は省略する。
【0062】このような構成を有する第5実施形態の負
イオン源によれば、磁気フィルターフランジ25に最も
近い位置に配設される磁石13cと、その上段の磁石1
3dが、それぞれ2つの放電容器1a、1bが共有する
単一の長尺の磁石によって構成されているので、フィル
ター磁石14a、14bと磁石13c、13dとの間に
均一で閉じた磁力線が形成される。すなわち、磁気フィ
ルターフランジ25に最も近い位置に配設される2列分
の磁石が、2つの放電容器1a、1bにそれぞれ分割さ
れて配設されている場合に、その分割された部分にでき
る磁気フィルターの磁力線のつながりの不整合を抑制す
ることができるので、フィルター磁石14a、14bと
磁石13c、13dとの間に、均一で閉じた磁力線が形
成されるため、負イオンビームの生成効率をさらに高め
ることが可能となる。
【0063】(6)第6実施形態 次に、本発明の第6実施形態について、図8及び図9を
参照して具体的に説明する。なお、図8は、第6実施形
態の負イオン源の構成を示す斜視断面図、図9は、第6
実施形態の負イオン源の構成を示す短尺断面図である。
【0064】本実施形態の負イオン源は、上記第1実施
形態の変形例であって、上記磁気フィルターフランジ2
5の長辺側側壁の外側に配設された一対のフィルター磁
石14a、14b間の略同一平面上にある放電容器1内
の空間に、中空管30に内蔵された第2の磁石列31
が、前記フィルター磁石14a、14bと平行に配設さ
れている。そして、中空管30と第2の磁石列31との
間隙部には、図示しない循環ポンプにより、気体又は液
体等(例えば、圧縮空気や水)の冷却媒体が供給される
ように構成されている。なお、上記第2の磁石列31の
極性は、互いに対向するフィルター磁石14a、14b
の磁極の極性と互いに異なるように配設されている。そ
の他の構成は上記第1実施形態と同様であるので、説明
は省略する。
【0065】このような構成を有する第6実施形態の負
イオン源によれば、図9に示したように、フィルター磁
石14a、14bの磁極と第2の磁石列31との間に閉
じた磁力線が形成され、フィルター磁石14a、14b
と上板2a、2bに配設された磁石12a、12bの
間、ないしは長辺側側壁3a1、3a2に配設された磁
石13a、13bとの間における磁力線のつながりの形
成が抑えられる。これにより、磁気フィルターを放電容
器1と第1の電極4の間の領域に局在化させることがで
きるため、アーク放電の不均一が抑制され、大電力放電
を行うことが可能となり、大電流ビームを引き出すこと
ができる。
【0066】また、第2の磁石列31及び中空管30は
冷媒によって常時冷却されているため、放電プラズマか
らの輻射や放電プラズマの構成粒子の流入による温度上
昇が抑えられ、第2の磁石列31の磁場性能は健全に保
たれ、中空管30の溶融も発生しない。
【0067】(7)第7実施形態 次に、本発明の第7実施形態について、図10を参照し
て具体的に説明する。なお、図10は、第7実施形態の
負イオン源の構成を示す長尺断面図である。本実施形態
の負イオン源は、上記第1実施形態の変形例であって、
離隔した異なる2つの放電容器1a、1bの長辺側側壁
3a1、3a2に配設したフィラメント10に加えて、
2つの放電容器1a、1bの隣り合う短辺側側壁3b
1、3b2にもフィラメント10a、10bが配設され
ている。そして、これらのフィラメント10、10a、
10bを陰極、放電容器1の壁面を陽極とするアーク放
電により、放電プラズマが生成されるように構成されて
いる。その他の構成は上記第1実施形態と同様であるの
で、説明は省略する。
【0068】このような構成を有する第7実施形態の負
イオン源によれば、壁面への損失増大によるプラズマ密
度の減少が誘起されやすい2つの放電容器1a、1bの
隣り合う短辺側側壁3b1、3b2近傍でのアーク放電
を強めることができ、プラズマ生成量を大きくできるた
め、この領域でのプラズマ密度の減少分が補われ、大面
積で均一な強度のイオンビームを引き出すことが可能と
なる。
【0069】(8)第8実施形態 次に、本発明の第8実施形態について、図11を参照し
て具体的に説明する。なお、図11は、第8実施形態の
負イオン源の構成を示す長尺断面図である。本実施形態
の負イオン源は、上記第1実施形態の変形例であって、
離隔した異なる2つの放電容器1a、1bの長辺側側壁
3a1、3a2に配設されるフィラメント10のうち、
2つの放電容器1a、1bの隣り合う短辺側側壁3b
1、3b2に近接した領域に配設されるフィラメントの
単位面積当たりの設置本数が、他の部分よりも多くなる
ように構成されている。その他の構成は上記第1実施形
態と同様であるので、説明は省略する。
【0070】このような構成を有する第8実施形態の負
イオン源によれば、上記第7実施形態と同様に、壁面へ
の損失増大によるプラズマ密度の減少が誘起されやすい
2つの放電容器1a、1bの隣り合う短辺側側壁3b
1、3b2近傍でのアーク放電を強めることができ、プ
ラズマ生成量を大きくできるため、この領域でのプラズ
マ密度の減少分が補われ、大面積で均一な強度のイオン
ビームを引き出すことが可能となる。
【0071】(9)第9実施形態 次に、本発明の第9実施形態について、図12を参照し
て具体的に説明する。なお、図12は、第9実施形態の
負イオン源の放電電源の構成を示す概略図である。本実
施形態の負イオン源においては、第1の放電領域26と
第2の放電領域27にそれぞれ8本ずつ設置されている
フィラメント10が、それぞれ4本ずつの組にまとめら
れて4系統に分割され、各系統に対応したフィラメント
電源23a〜23dに接続されている。また、フィラメ
ント10の各系統は単一のアーク放電電源24の負端子
に接続され、アーク放電電源24の正端子は、放電容器
1の壁面に接続されている。
【0072】このような構成を有する第9実施形態の負
イオン源によれば、第1の放電領域26と第2の放電領
域27という異なる2つの領域において、単一のアーク
放電電源24によってプラズマを生成することができる
ので、放電電源の構成自体を簡略にでき、電源動作の信
頼性を高めることができる。
【0073】(10)第10実施形態 次に、本発明の第10実施形態について、図13を参照
して具体的に説明する。なお、図13は、第10実施形
態の負イオン源の放電電源の構成を示す概略図である。
本実施形態の負イオン源は、上記第9実施形態の変形例
であって、第9実施形態と同様に、第1の放電領域26
と第2の放電領域27にそれぞれ8本ずつ設置されてい
るフィラメント10が、それぞれ4本ずつの組にまとめ
られて4系統に分割され、各系統に対応したフィラメン
ト電源23a〜23dに接続されている。また、フィラ
メント10の各系統はさらに2系統に分割され、それぞ
れが第1の放電領域26と第2の放電領域27に対応し
たアーク放電電源24a、24bの負端子にそれぞれ接
続され、各アーク放電電源24a、24bの正端子は、
放電容器1の壁面に接続されている。
【0074】このような構成を有する第10実施形態の
負イオン源によれば、第1の放電領域26と第2の放電
領域27という異なる2つの領域に、それぞれに対応し
たアーク放電電源24a、24bによってそれぞれ異な
るアーク放電パワーを投入することができるため、第1
の放電領域26と第2の放電領域27のそれぞれで、独
自にプラズマを生成することができる。また、第1の放
電領域26と第2の放電領域27とにそれぞれ異なるア
ーク放電パワーを投入することができるため、各放電容
器毎の放電投入パワーの微調整が可能になると共に、電
源容量を小さくすることができ、電源を安価なものにす
ることができる。
【0075】(11)第11実施形態 次に、本発明の第11実施形態について、図14を参照
して具体的に説明する。なお、図14は、第11実施形
態の負イオン源の放電電源の構成を示す概略図である。
本実施形態の負イオン源は、上記第9実施形態の変形例
であって、フィラメント10の各系統とアーク放電電源
24との間に、各系統のアーク放電電流を制御するため
の可変抵抗32a〜32dが接続されている。その他の
構成は、図12に示した第9実施形態と同様であるの
で、説明は省略する。
【0076】このような構成を有する第11実施形態の
負イオン源によれば、各放電領域間で生成プラズマに偏
りが生じた場合でも、その偏りは小さく、各可変抵抗3
2a〜32dの大小を調整することによってアーク放電
の不均一を抑制することができるので、大電力放電を行
うことが可能となり、大電流ビームを引き出すことがで
きる。
【0077】(12)他の実施形態 本発明は上述した各実施形態に限定されるものではな
く、以下のような変形例が考えられる。すなわち、上記
の実施形態においては放電容器1を2つの放電容器1
a、1bとから構成したが、複数の放電容器から構成す
ることができることは言うまでもない。
【0078】また、第1実施形態乃至第8実施形態にお
いては、フィラメント10を各放電容器に対応して、長
辺側側壁3a1、3a2の片側にそれぞれ2本から5本
ずつ、計4本から10本、短辺側側壁3b1、3b2に
1本設置しているが、フィラメント10の設置態様は特
に限定されない。例えば、フィラメント10の設置個数
は任意である。また、フィラメント10の設置位置も任
意であり、例えば、長辺側側壁3a1、3a2と短辺側
側壁3b1、3b2の双方、または上板2a、2bと長
辺側側壁3a1、3a2の双方、上板2a、2bと短辺
側側壁3b1、3b2の双方、あるいは長辺側側壁3a
1、3a2と短辺側側壁3b1、3b2と上板2a、2
bのすべてに設置することもできる。
【0079】さらに、第9実施形態乃至第11実施形態
においては、16本のフィラメント10を4本ずつ4系
統に分割し、4個のフィラメント電源23a〜23d及
び2個のアーク放電電源24a、24bと接続している
が、フィラメント10の本数は任意であり、また系統の
数、フィラメント電源23の数、アーク放電電源24の
数(但し、フィラメント10の本数以下)も任意であ
る。
【0080】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、単
一の放電容器構成の場合と比べて、生成プラズマの空間
的な偏りを抑えることができるため、大型のイオン源で
大電力放電を実現できることにより、大電流ビームの引
き出しが可能になると共に、イオン源の動作の安定性と
信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る負イオン源の第1実施形態の構成
を示す斜視図。
【図2】本発明に係る負イオン源の第1実施形態の構成
を示す長尺断面図。
【図3】本発明に係る負イオン源の第1実施形態の構成
を示す短尺断面図。
【図4】本発明に係る負イオン源の第2実施形態の構成
を示す長尺断面図。
【図5】本発明に係る負イオン源の第3実施形態の構成
を示す長尺断面図。
【図6】本発明に係る負イオン源の第4実施形態の構成
を示す長尺断面図。
【図7】本発明に係る負イオン源の第5実施形態の構成
を示す長尺断面図。
【図8】本発明に係る負イオン源の第6実施形態の構成
を示す斜視断面図。
【図9】本発明に係る負イオン源の第6実施形態の構成
を示す短尺断面図。
【図10】本発明に係る負イオン源の第7実施形態の構
成を示す長尺断面図。
【図11】本発明に係る負イオン源の第8実施形態の構
成を示す長尺断面図。
【図12】本発明に係る負イオン源の第9実施形態の放
電電源の構成を示す概略図。
【図13】本発明に係る負イオン源の第10実施形態の
放電電源の構成を示す概略図。
【図14】本発明に係る負イオン源の第11実施形態の
放電電源の構成を示す概略図。
【図15】従来の負イオン源を正面から見た時の断面
図。
【図16】従来の負イオン源を斜めから見た時の断面
図。
【符号の説明】
1、1a、1b…放電容器 2、2a、2b…上板 3…側壁 3a、3a1、3a2…長辺側側壁 3b、3b1、3b2…短辺側側壁 4…第1の電極 5、8、9…貫通孔 6…第2の電極 7…第3の電極 10…フィラメント 11…ガス導入口 12、12a、12b、13、13a、13b、13
c、13d…磁石 14a、14b…フィルタ磁石 15a、15b…磁力線 16、16a、16b…第一室 17…第二室 18…アルカリ金属蒸気導入口 19…絶縁材 20…絶縁碍子 21…引き出し電源 22…加速電源 23…フィラメント電源 24…アーク放電電源 25…磁気フィルターフランジ 26…第1の放電領域 27…第2の放電領域 28a、28b…放電容器の中心線 29…電極の中心線 30…中空管 31…第2の磁石列 32…可変抵抗
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05H 5/00 H05H 5/00 (72)発明者 奥山 利久 神奈川県横浜市鶴見区末広町2丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 Fターム(参考) 2G085 AA01 BA02 BC11 BC20 EA09 5C030 DD05 DD06 DD10 DE02 DG01

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に導入された放電ガスを放電させて
    放電プラズマを生成する放電容器と、前記放電容器の壁
    面に配設されたフィラメントと、前記放電容器内に放電
    プラズマを生成させるためのアーク放電電源と、前記放
    電容器の外壁に、その壁面に垂直な方向に着磁され、且
    つ互いに平行に配置され、隣り合う磁極が異なるように
    配設された複数の磁石列と、前記放電容器を閉塞するよ
    うに設けられ、前記放電容器内の放電プラズマから負イ
    オンを引き出す引き出し電極と、前記放電容器と前記引
    き出し電極の間の領域に、放電プラズマ中の電子を捕捉
    する磁気フィルターを形成する手段を有する負イオン源
    において、 前記放電容器が、互いに離隔された複数の放電容器によ
    って構成され、且つ、前記磁気フィルターが、前記複数
    の放電容器が共有する位置に配置される単一の磁気フィ
    ルターにより構成されていることを特徴とする負イオン
    源。
  2. 【請求項2】 前記複数の放電容器が、その中心軸を、
    前記引き出し電極に垂直な線に対して所定の角度だけ外
    方に傾けて配設されていることを特徴とする請求項1記
    載の負イオン源。
  3. 【請求項3】 前記複数の放電容器が、角錐台形状とさ
    れていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の
    負イオン源。
  4. 【請求項4】 前記複数の放電容器には、それらの放電
    容器が共有する側壁部分が設けられ、 各放電容器の外壁に配設された磁石列のうち、前記磁気
    フィルターに最も近い磁石列あるいはその磁石列を含む
    複数の磁石列が、それぞれ単一の磁石によって構成さ
    れ、 この単一の磁石によって構成された磁石列が、前記複数
    の放電容器が共有する側壁部分に配設されていることを
    特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の
    負イオン源。
  5. 【請求項5】 前記磁気フィルターを形成する手段が、
    前記複数の放電容器と前記引き出し電極の間の領域に設
    けられたフランジの外側に、対向する磁極の極性が互い
    に異なるように配設された一対の永久磁石であることを
    特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載の
    負イオン源。
  6. 【請求項6】 前記磁気フィルターを形成する手段が、
    前記複数の放電容器と前記引き出し電極の間の領域に設
    けられたフランジの外側に、対向する磁極の極性が互い
    に異なるように配設された一対の永久磁石と、 前記一対の永久磁石と略同一平面内の放電容器内の空間
    に設けられ、その磁極の極性が、対向する前記一対の永
    久磁石の磁極の極性と互いに異なるように配設された第
    2の磁石列とからなることを特徴とする請求項1乃至請
    求項4のいずれか一に記載の負イオン源。
  7. 【請求項7】 前記フィラメントが、前記複数の放電容
    器の隣り合う外壁にも配設されていることを特徴とする
    請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載の負イオン
    源。
  8. 【請求項8】 前記複数の放電容器に設置されるフィラ
    メントの単位面積当たりの設置本数が、複数の放電容器
    の隣り合う外壁部に近接した領域において、他の部分よ
    りも多くなっていることを特徴とする請求項1乃至請求
    項6のいずれか一に記載の負イオン源。
  9. 【請求項9】 前記アーク放電電源が、単一の電源から
    構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8
    のいずれか一に記載の負イオン源。
  10. 【請求項10】 前記アーク放電電源が、前記複数の放
    電容器のそれぞれに対応した複数の電源から構成されて
    いることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか
    一に記載の負イオン源。
  11. 【請求項11】 前記アーク放電電源が、前記フィラメ
    ントを陰極、放電容器壁を陽極とする放電回路内に可変
    抵抗を有することを特徴とする請求項9又は請求項10
    に記載の負イオン源。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100743840B1 (ko) 2004-11-03 2007-07-30 주식회사 뉴파워 프라즈마 마그네틱 코어가 내장된 플라즈마 반응 챔버

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