JP6898753B2 - イオン生成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、イオン生成装置に関する。
イオン生成装置は、イオン注入装置などのイオンを被処理物に照射する装置に搭載されるイオンソースとして用いられる。そのようなイオン照射装置においては、ある照射プロセスと別の照射プロセスとを異なるレシピ(例えば、異なるイオン種や異なるエネルギーを有する)で処理するために、それらプロセスの合間にイオンビーム条件を切り替えることが一般に行われている。イオンビーム条件の切替はたいてい、イオン生成装置で運用されるイオン生成条件の切替を伴う。
特許第4374487号公報
イオン生成条件の切替直後はイオンビームの品質が必ずしも十分に安定しない。そのため、新たなイオン生成条件の運用開始からしばらくの間、イオンビームの安定を待つ必要がある。イオン照射装置の生産性を向上するうえで、この待ち時間の短縮が望まれる。
本発明のある態様の例示的な目的のひとつは、イオン照射装置の生産性向上に役立つイオン生成装置を提供することにある。
本発明のある態様のイオン生成装置は、プラズマ生成領域を内部に有するアークチャンバと、プラズマ生成領域に向けて熱電子を放出するカソードと、プラズマ生成領域を挟んでカソードと軸方向に対向するリペラーと、アークチャンバの内面とプラズマ生成領域の間の位置において、プラズマ生成領域を部分的に包囲するように配置されるケージと、を備える。
なお、以上の構成要素の任意の組合せや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、イオン照射装置の生産性向上に役立つイオン生成装置およびその制御方法を提供することができる。
実施の形態に係るイオン注入装置を概略的に示す図である。 実施の形態に係るイオン生成装置の構成を概略的に示す断面図である。 ケージの構成を概略的に示す断面図である。 ケージの構成を概略的に示す断面図である。 比較例に係るイオン生成条件切替時のアークチャンバの内壁の状態変化を例示する図である。 実施の形態に係るイオン生成条件切替時のアークチャンバの内壁の状態変化を例示する図である。 イオン生成条件切替時のビーム電流の変化を例示する図である。 イオン生成条件切替時のビーム電流の変化を例示する図である。 図9(a)〜(c)は、変形例に係るケージの構成を概略的に示す断面図である。 変形例に係るケージの構成を概略的に示す断面図である。 変形例に係るケージの構成を概略的に示す断面図である。 図12(a),(b)は、変形例に係るアークチャンバの内部構成を概略的に示す断面図である。 図13(a),(b)は、変形例に係るアークチャンバの内部構成を概略的に示す断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、以下に述べる構成は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
図1は、実施の形態に係るイオン注入装置10を概略的に示す図である。図1の上部はイオン注入装置10の概略構成を示す上面図であり、図1の下部はイオン注入装置10の概略構成を示す側面図である。
イオン注入装置10は、真空空間において被処理物の表面にイオン注入処理をするよう構成されている。被処理物は、例えば基板Wであり、例えば半導体ウエハである。よって以下では説明の便宜のため被処理物を基板Wまたは半導体ウエハと呼ぶことがあるが、これは注入処理の対象を特定の物体に限定することを意図していない。
イオン注入装置10は、ビームスキャン及びメカニカルスキャンの少なくとも一方により基板Wの全面にわたってイオンビームBを照射するよう構成されている。本書では説明の便宜上、設計上のイオンビームBの進行方向をz方向とし、z方向に垂直な面をxy面と定義する。後述するようにイオンビームBを被処理物に対し走査する場合には走査方向をx方向とし、z方向及びx方向に垂直な方向をy方向とする。よって、ビームスキャンはx方向に行われ、メカニカルスキャンはy方向に行われる。
イオン注入装置10は、イオン生成装置12と、ビームライン装置14と、注入処理室16と、を備える。イオン生成装置12は、イオンビームBをビームライン装置14に与えるよう構成されている。ビームライン装置14は、イオン生成装置12から注入処理室16へとイオンを輸送するよう構成されている。また、イオン注入装置10は、イオン生成装置12、ビームライン装置14、及び注入処理室16に所望の真空環境を提供するための真空排気系(図示せず)を備える。
図示されるように、ビームライン装置14は例えば、上流から順に、質量分析磁石装置18、ビーム整形装置20、偏向走査装置22、Pレンズなどのビーム平行化装置24、及び、角度エネルギーフィルター26を備える。なお本書において、上流とはイオン生成装置12に近い側を指し、下流とは注入処理室16に近い側を指す。
質量分析磁石装置18は、イオン生成装置12の下流に設けられており、イオン生成装置12から引き出されたイオンビームBから必要なイオン種を質量分析により選択するよう構成されている。ビーム整形装置20は、Qレンズなどの収束/発散レンズを備えており、イオンビームBを所望の断面形状に整形するよう構成されている。
偏向走査装置22は、ビームスキャンを提供するよう構成されている。偏向走査装置22は、イオンビームBをx方向に走査する。こうして、イオンビームBは、y方向の幅よりも長いx方向の走査範囲にわたって走査される。図1において矢印Cによりビームスキャン及びその走査範囲を例示し、走査範囲の一端及び他端でのイオンビームBをそれぞれ実線及び破線で示す。なお明確化のためにイオンビームBに斜線を付して図示する。
ビーム平行化装置24は、走査されたイオンビームBの進行方向を平行にするよう構成されている。角度エネルギーフィルター26は、イオンビームBのエネルギーを分析し必要なエネルギーのイオンを下方に偏向して注入処理室16に導くよう構成されている。このようにして、ビームライン装置14は、基板Wに照射されるべきイオンビームBを注入処理室16に供給する。
注入処理室16は、1枚又は複数枚の基板Wを保持し、イオンビームBに対する例えばy方向の相対移動(いわゆるメカニカルスキャン)を必要に応じて基板Wに提供するよう構成されている物体保持部(図示せず)を備える。図1において矢印Dによりメカニカルスキャンを例示する。また、注入処理室16は、ビームストッパ28をビームライン終端に備える。イオンビームBの軌道上に基板Wが存在しない場合には、イオンビームBはビームストッパ28に入射する。
ある他の実施の形態においては、イオン注入装置10は、z方向に垂直な一方向に長い断面を有するイオンビームを注入処理室16に与えるよう構成されていてもよい。この場合、イオンビームは例えば、y方向の幅よりも長いx方向の幅を有する。こうした細長断面のイオンビームはリボンビームと呼ばれることもある。あるいは、更なる他の実施の形態においては、イオン注入装置10は、イオンビームを走査することなく、スポット状の断面を有するイオンビームを注入処理室16に与えるよう構成されていてもよい。
図2は、実施の形態に係るイオン生成装置12の構成を概略的に示す断面図である。イオン生成装置12は、傍熱型のイオンソースであり、アークチャンバ30と、熱電子放出部32と、リペラー34と、第1引出電極36と、第2引出電極38と、ケージ72と、各種電源を備える。
アークチャンバ30は、略直方体の箱型形状を有する。アークチャンバ30は一方向に細長い形状を有しており、以下ではこの方向をアークチャンバ30の軸方向と称する。軸方向は、図2の紙面における上下方向である。
アークチャンバ30は、高融点材料、具体的には、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)などの高融点金属やそれらの合金、グラファイト(C)等で構成されている。これにより、アークチャンバ内が比較的高温となる環境下でも、アークチャンバを溶けにくくできる。
アークチャンバ30の軸方向の一方側には熱電子放出部32が設けられている。アークチャンバ30の軸方向の他方側にはリペラー34が設けられている。リペラー34は熱電子放出部32に対向する。以下では説明の便宜上、アークチャンバ30の熱電子放出部32側を上側と称し、アークチャンバ30のリペラー34側を下側と称することがある。
なお、「上側」および「下側」の記載は、単に説明の便宜上なされるものであり、イオン生成装置12の使用時に熱電子放出部32が鉛直上側に配置され、リペラー34が鉛直下側に配置されなければならないことを意味するものではない。イオン生成装置12は、熱電子放出部32が鉛直下側、リペラー34が鉛直上側となるように配置されてもよいし、軸方向が水平方向となるように配置されてもよいし、軸方向が鉛直方向および水平方向に対して斜めとなるように配置されてもよい。
アークチャンバ30の一方の側部には、原料ガスを導入するガス導入口40が設けられている。アークチャンバ30の他方の側部には、イオンビームBが引き出される開口部としてのフロントスリット42が形成されている。
原料ガスには、希ガスや、水素(H)、ホスフィン(PH)、アルシン(AsH)等の水素化物、三フッ化ホウ素(BF)、四フッ化ゲルマニウム(GeF)等のフッ化物、三塩化インジウム(InCl)等の塩化物、等のハロゲン化物が用いられる。また、原料ガスには、二酸化炭素(CO)、一酸化炭素(CO)、酸素(O)などの酸素原子(O)を含む物質も用いられる。
アークチャンバ30は、チャンバ本体44と、スリット部材46と、絶縁部材48とを備える。スリット部材46にはフロントスリット42が形成されている。チャンバ本体44は、一方の側部が開放された箱部材である。スリット部材46は、チャンバ本体44の開放側に取り付けられる蓋であり、絶縁部材48を介してチャンバ本体44に固定される。チャンバ本体44にスリット部材46が取り付けられることにより、イオン生成装置12のプラズマ室が形成される。熱電子放出部32、リペラー34、及びガス導入口40は、チャンバ本体44に設けられている。
スリット部材46は、引出電源60の正極に接続されており、スリット部材46には引出電源60によって正の高電圧が印加される。チャンバ本体44は、チャンバー電源62の負極に接続されており、スリット部材46に対して負の電圧が印加される。チャンバー電源62は、例えば、後述するアーク電源58の1倍〜5倍の電圧をチャンバ本体44に印加するよう構成される。
フロントスリット42は、スリット部材46の上側から下側へと延びる細長スリットである。このような上下長孔は、円形などの小孔に比べて面積が大きいので、イオン生成装置12から引き出されるイオンビーム量を増加することができる。
説明の便宜上、フロントスリット42の延びる方向をスリット長手方向と称する。スリット長手方向は、アークチャンバ30の軸方向に相当する。スリット長手方向は、イオン生成装置12のビーム引出方向に直交する。また、スリット長手方向及びビーム引出方向の双方に直交する方向をスリット幅方向とも称する。よって、図2に示される断面は、スリット長手方向及びビーム引出方向に平行な平面によるフロントスリット42における断面である。図2の紙面上において、スリット長手方向は上下方向であり、ビーム引出方向は左右方向であり、スリット幅方向は紙面に垂直な方向である。
ケージ72は、アークチャンバ30の内部に設けられる。ケージ72は、アークチャンバ30の内面とプラズマPが生成される領域(プラズマ生成領域ともいう)の間に位置し、プラズマ生成領域を部分的に包囲するよう配置される。ケージ72は、軸方向に間隔を空けて並べられる複数の線状部材74を有し、かご状または柵状に形成される。隣り合う線状部材74の間には隙間76が設けられ、ガス導入口40から導入される原料ガスは、ケージ72の隙間76を通じてプラズマ生成領域に流入する。したがって、ケージ72は、軸方向と直交する径方向にケージ72を横切るガスの流れが生じるように構成される。
ケージ72は、アークチャンバ30と同様、高融点材料、具体的には、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)などの高融点金属やそれらの合金、グラファイト(C)等で構成されている。これにより、プラズマPの生成中にケージ72が比較的高温となる環境下においてケージ72を溶けにくくできる。
ケージ72は、チャンバ本体44の三方の側部に沿って設けられ、プラズマ生成領域とチャンバ本体44の内面45との間を仕切るように配置される。ケージ72は、スリット部材46の内面66に固定され、チャンバ本体44の内面45から離れて配置されている。ケージ72には、スリット部材46と同じ正の電圧が印加されており、ケージ72より内側の空間にプラズマPを閉じ込める役割を有する。また、ケージ72は、プラズマPに加熱されて数百℃以上の高温となる。
熱電子放出部32は、アークチャンバ30内に熱電子を放出するものであり、フィラメント50とカソード52を有する。熱電子放出部32は、チャンバ本体44のカソード取付孔に挿入され、アークチャンバ30と絶縁された状態で固定される。また、熱電子放出部32に関連して、フィラメント電源54、カソード電源56、及びアーク電源58が設けられている。
フィラメント50は、フィラメント電源54で加熱され、先端に熱電子を発生させる。フィラメント50で発生した(1次)熱電子は、カソード電源56により形成されるカソード電界で加速される。(1次)熱電子は、カソード52に衝突し、その衝突時に発生する熱でカソード52を加熱する。加熱されたカソード52は(2次)熱電子を発生する。
アーク電源58によってカソード52とケージ72との間にアーク電圧が印加されており、アーク電圧によって(2次)熱電子が加速される。(2次)熱電子は、ガス分子を電離するに十分なエネルギーを持ったビーム電子としてケージ72の内側に放出される。ビーム電子は、磁場Mによってほぼ限定された範囲に存在するのでイオンはその範囲で主に生成される。ビーム電子は、拡散によりアークチャンバ30の内壁、スリット部材46、カソード52、リペラー34、ケージ72に到達し、壁面で失われる。
リペラー34は、リペラープレート68を有する。リペラープレート68は、カソード52と対向してほぼ平行に設けられている。リペラープレート68は、アークチャンバ30内の電子を跳ね返して、プラズマ生成領域に電子を滞留させてイオン生成効率を高める。
ケージ72は、カソード52とリペラー34の間でのビーム電子の往復運動を阻害しないように、プラズマ生成領域とカソード52の間の位置およびプラズマ生成領域とリペラー34の間の位置を避けて配置される。したがって、ケージ72は、軸方向と直交する平面内に構成される仕切りを有しないように形成される。
また、ケージ72は、フロントスリット42からのイオンビームBの引き出しを阻害しないように、プラズマ生成領域とフロントスリット42の間の位置を避けて配置される。したがって、ケージ72は、スリット部材46の内面66に沿って構成される仕切りを有しないように形成される。
イオン生成装置12には磁場発生器70が設けられている。磁場発生器70はアークチャンバ30の外に配置されている。磁場発生器70は一対のソース磁場コイルを備え、その一方がアークチャンバ30の上方にあり、他方がアークチャンバ30の下方にある。磁場発生器70によってアークチャンバ30内に磁場Mが印加される。磁場Mはアークチャンバ30の軸方向に印加される。
カソード52からアークチャンバ30に放出されたビーム電子は磁場Mに沿ってカソード52とリペラー34との間を往復移動する。往復移動するビーム電子は、アークチャンバ30に導入された原料ガス分子と衝突し原料ガス分子を電離させてイオンを発生させ、アークチャンバ30にプラズマPを生成する。アークチャンバ30が縦長であるので、プラズマPも縦長となる。
アークチャンバ30の外側には、冷却装置80が設けられる。冷却装置80は、チャンバ本体44の外側に取り付けられており、プラズマ生成時に高温となるチャンバ本体44を冷却する。冷却装置80を設けることでチャンバ本体44の内面45の温度を下げ、プラズマPの生成に伴って内面45に付着する物質が内面45から再放出されにくい状態にする。逆に言えば、チャンバ本体44の温度を下げることで、チャンバ本体44の内面45に付着する物質が蓄積されやすい状態にする。
第1引出電極36は、アークチャンバ30の外側に隣接して設けられている。第1引出電極36は、スリット部材46からビーム引出方向に隙間を空けて配置されている。第2引出電極38は、スリット部材46と反対側に第1引出電極36に隣接して設けられている。第2引出電極38は、第1引出電極36からビーム引出方向に隙間を空けて配置されている。
第1引出電極36及び第2引出電極38にはそれぞれ、図示されるように、フロントスリット42に対応する開口がイオンビームBを通すために設けられている。これらの開口は、フロントスリット42と同様に上下長孔形状を有する。第1引出電極36及び第2引出電極38は、例えば、ステンレス鋼、グラファイト、モリブデン、またはタングステンで形成されている。
第1引出電極36は、サプレッション電源64に接続されている。サプレッション電源64は、第2引出電極38に対して第1引出電極36に負電位を印加するために設けられている。第2引出電極38は接地されている。第1引出電極36はサプレッション電極とも呼ばれる。第2引出電極38はグランド電極とも呼ばれる。
ビーム引出は、第1引出電極36とスリット部材46との間に印加された電圧に応じてフロントスリット42の近傍に生じる電界によって行われる。この電界により、プラズマからイオンビームBがフロントスリット42を通じて引き出される。イオンビームBは、第1引出電極36及び第2引出電極38の開口を通過し、ビームライン装置14によって注入処理室16に輸送され、基板Wに照射される。
図3は、ケージ72の構成を概略的に示す断面図であり、アークチャンバ30の内部を軸方向に見たときの断面を示す。ケージ72は、図示されるように、軸方向に見てコ字形状(チャネル形状)を有し、チャンバ本体44の三方の側部44a,44b,44cのそれぞれと平行となるように配置されている。ケージ72を構成する線状部材74の両端74a,74bは、スリット部材46の内面66に取り付けられている。
ケージ72は、アークチャンバ30の内部を第1空間82と第2空間84とに仕切るように配置される。第1空間82は、プラズマPが生成されるプラズマ生成領域を含み、フロントスリット42と連通する。第2空間84は、チャンバ本体44の内面45に沿った領域であり、チャンバ本体44の内面45からの距離が所定範囲内となる部分である。
ケージ72は、チャンバ本体44の内面45から離れて設けられる。ケージ72とチャンバ本体44の内面45との間隔dは、電位の異なるケージ72とチャンバ本体44の間の絶縁性が確保される程度に大きいことが必要である。一方で、ある程度の大きさのプラズマ生成領域を確保するため、ケージ72とチャンバ本体44の内面45との間隔dは、可能な限り小さいことが好ましい。ケージ72とチャンバ本体44の内面45との間隔dは、アークチャンバ30の内形寸法dの30%以下とすることが好ましく、例えば、内形寸法dの5%、10%、15%または20%程度とすればよい。ここでいうアークチャンバ30の内形寸法dは、アークチャンバ30の長手方向の寸法ではなく、長手方向と直交するアークチャンバ30の短手方向(スリット幅方向またはビーム引出方向)の寸法である。
図4は、ケージ72の構成を概略的に示す断面図であり、図2の一部に対応する図である。図4では、ケージ72が設けられる軸方向の範囲が詳細に示される。ケージ72は、少なくともフロントスリット42が設けられる軸方向の第1区間C1にわたって設けられる。ケージ72は、フロントスリット42とカソード52の間の第2区間C2の少なくとも一部、および、リペラー34とフロントスリット42の間の第3区間C3の少なくとも一部に位置するように設けられることが好ましい。したがって、ケージ72の軸方向の長さlは、フロントスリット42の軸方向(スリット長手方向)長さlよりも大きい。
ケージ72は、第2区間C2および第3区間C3の一部にのみ位置するよう設けられてもよいし、第2区間C2および第3区間C3の少なくとも一方の全体にわたって位置するように設けられてもよい。ケージ72は、カソード52が位置する第4区間C4の少なくとも一部に位置するように設けられてもよいし、リペラー34が位置する第5区間C5の少なくとも一部に位置するように設けられもよい。ケージ72が第4区間C4に設けられる場合、ケージ72と熱電子放出部32とが接触しないように、熱電子放出部32より径方向外側にケージ72が位置するように配置される。同様に、ケージ72が第5区間C5に設けられる場合、ケージ72とリペラー34とが接触しないように、リペラー34より径方向外側にケージ72が位置するように配置される。また、ケージ72は、チャンバ本体44の上部および下部と接触しないように、チャンバ本体44の上部および下部から離れて配置される。
上述のように、ケージ72とカソード52との間にはアーク電圧が印加されており、ケージ72はプラズマ生成領域に熱電子を供給するためのアノードとして機能する。また、ケージ72は、チャンバ本体44に対して正の電圧が印加されており、ケージ72の内部にプラズマPを閉じ込めてイオン生成効率を高める役割も有する。これらの機能は、ケージ72が生成する電場(ポテンシャル)の壁によって実現されるため、理想的にはケージ72が板状の部材で構成され、隙間76が設けられないことが好ましい。しかしながら、ケージ72に隙間76が設けられないとすると、ケージ72の内部にプラズマPの原料ガスを十分に供給できず、安定的なプラズマ形成が阻害されうる。
以上の観点から、ケージ72を構成する線状部材74のピッチpは、可能な限り小さいことが好ましく、ケージ72の軸方向の長さlの1/5以下、例えば、1/10以下であることが好ましい。したがって、複数の線状部材74は、5本以上、例えば、10本以上設けられることが好ましい。
また、ケージ72の内部に効率的に原料ガスを供給できるよう、ケージ72の隙間76が占める割合、つまり開口率が30%以上であることが好ましい。ここで「開口率」とは、ケージ72を径方向に見たときの平面視における単位面積あたりに隙間76が占める面積割合のことをいう。ケージ72の開口率を30%以上にするには、例えば、線状部材74の幅wと隙間76の幅wとの比をw/w≦2とすればよい。
一方で、ケージ72の開口率を大きくしようとすると、線状部材74の幅wを小さくしなければならず、線状部材74に十分な強度を持たせることが難しくなる。また、線状部材74の幅が小さいと、ケージ72が生成する電場(ポテンシャル)の壁としての機能も低下する。したがって、ケージ72の開口率は91%以下であることが好ましい。ケージ72の開口率を91%以下にするには、例えば、線状部材74の幅wと隙間76の幅wとの比をw/w≧0.1とすればよい。
つづいて、本実施の形態に係るイオン生成装置12が奏する効果について説明する。まず、比較例に係るイオン生成装置においてイオン生成条件を切り替えたときのアークチャンバの内壁の状態変化について示す。比較例では、上述のケージ72および冷却装置80が設けられず、アークチャンバ本体およびスリット部材に同じアーク電圧が印加される。
図5は、比較例に係るイオン生成条件切替時のアークチャンバ130の内壁の状態変化を例示する図である。イオン生成条件とは、イオン生成装置の運転条件であり、使用されるガス種およびその流量、プラズマ励起用の投入電力(例えば、アーク電流、アーク電圧)、印加磁場等のパラメータを含む。イオン生成条件が切り替わるとき、これらのパラメータの少なくとも一つが変更される。以下では説明の便宜上、切替前の条件を、現在運用されているイオン生成条件であることから「現イオン生成条件」と適宜称し、切替後の条件を、次に運用されるイオン生成条件であることから、「新イオン生成条件」と適宜称する。
図5の左上部は、比較例に係るイオン生成装置の運転が現イオン生成条件で十分な時間継続されたときのアークチャンバ130の内壁の状態を示す。また、図5の中央上部は、現イオン生成条件から新イオン生成条件に切り替えた直後のアークチャンバ130の内壁の状態を示し、図5の右上部は、その後新イオン生成条件でイオン生成装置の運転が十分な時間継続されたときのアークチャンバ130の内壁の状態を示す。図5の下部は、現イオン生成条件から新イオン生成条件に切り替えたときのアークチャンバ130の内壁の物質形成量(例えば、物質層の厚さ)の変化を示す。
本発明者の考察によると、アークチャンバ130の内壁にはイオン生成条件に応じて異なる物質が形成されうる。例えば、図5の左上部に示されるように、現イオン生成条件においてはアークチャンバ130に第1プラズマPaが生成され、それにより内壁に第1物質αが形成される。現イオン生成条件から新イオン生成条件に切り替わると、図5の中央上部に示すように、第1プラズマPaとは異なる第2プラズマPbがアークチャンバ130内に生成される。切替直後であるからアークチャンバ130の内壁には依然として第1物質αが残留している。図5の右上部に示されるように、新イオン生成条件の運用開始から十分な時間が経過すると、第2プラズマPbによってアークチャンバ130の内壁に第2物質βが形成される。
このように、イオン生成条件の切替はアークチャンバ130の内壁の状態遷移を伴う。図5の下部に示されるように、現イオン生成条件で形成された第1物質αが徐々に内壁から除去され、新イオン生成条件のもとで第2物質βが徐々に内壁に形成される。内壁から除去された第1物質αはイオンビームとともにアークチャンバ130の外に排出されると考えられる。第2物質βは内壁にある程度形成されると飽和する。
こうした図5の中央部で示されるような遷移状態ではイオン生成装置12から引き出されるイオンビームの品質が十分に安定しない。そのため、新イオン生成条件の運用開始からしばらくの間、イオンビームの安定を待つ必要がある。この待ち時間ΔT1は、現イオン生成条件と新イオン生成条件の組み合わせによっては、かなりの時間を要する。待ち時間ΔT1が終わるまでイオン注入装置10の注入処理を開始できない。そこで、イオン注入装置10の生産性を向上するうえで、イオン生成条件の切替に伴うイオンビーム安定待ち時間の短縮が望まれる。
本発明者らの考察によれば、上述の待ち時間ΔT1が長くかかる理由として、比較例ではアークチャンバ内壁が比較的高温であるために、蓄積物質α,βが蓄積されにくく、再放出されやすい状態にあることが挙げられる。通常、アークチャンバ130はプラズマPに加熱されて数百℃以上の高温となる。しかしながら、イオン生成条件を切り替えるためにアークチャンバ130の内壁の蓄積物質α,βを入れ替えて安定化させる観点では、アークチャンバ130の温度が低いことが好ましい。そこで本発明者らは、アークチャンバ内にケージ72を挿入し、プラズマPを加熱するための比較的高温のケージ72と、蓄積物質を早期に安定化させるための比較的低温のアークチャンバ30とに機能を分離することで、イオン生成条件の切替に伴う待ち時間を短縮できるのではと考えた。
図6は、本実施の形態に係るイオン生成条件切替時のアークチャンバ30の内壁の状態変化を例示する図であり、上述の比較例に係る図5に対応する。本実施の形態では、プラズマとアークチャンバ30の内壁との間にケージ72が設けられており、アークチャンバ30の内壁は、ケージ72と比べて温度が低い状態にある。その結果、比較例の場合よりもアークチャンバ30の内壁に蓄積物質α,βが蓄積されやすく、一度蓄積された物質は再放出されにくい。
本実施の形態においてイオン生成条件を切り替えると、図6の中央上部に示されるように、アークチャンバ30の内壁に蓄積された第1物質αの上に第1物質αと第2物質βの双方が蓄積された状態へ移行する。これは、第1物質αが再放出されにくく、第2物質βが蓄積されやすいために、第1物質αが完全に除去される前に第1物質αの上を第2物質βが覆っていくためである。その結果、図6の右上部に示されるように、アークチャンバ30の内壁上に第1物質αが残留したまま、第2物質βが蓄積されて飽和した状態となる。本実施の形態では、このように第2物質βによって第1物質αが完全に覆われる状態となることで、新イオン生成条件における安定状態が実現される。
本実施の形態では、第1物質αが完全に除去される前に第1物質αが放出されなくなるため、第1物質αが放出されなくなるまでの時間は上述の比較例より短い。また、アークチャンバ30の内壁が比較的低温であることから、第2物質βが内壁に蓄積して飽和状態となるまでの時間も上述の比較例より短い。その結果、図6の下部に示されるように、イオン生成条件を切り替えてから安定化するまでの待ち時間ΔT2は、上述の比較例よりも短い。本実施の形態によれば、このようにしてイオン生成条件切替に伴う待ち時間を短縮化し、イオン注入装置10の生産性を向上させることができる。
図7は、イオン生成条件切替時のビーム電流の変化を例示する図であり、リン(P)イオンの生成条件からアルゴン(Ar)イオンの生成条件に切り替える場合のPビームの電流量の変化を示している。実線は、アークチャンバ30内にケージ72が設けられる実施例を示し、破線は、アークチャンバ内にケージ72が設けられない比較例を示す。図示されるように、比較例に比べて実施例では、イオン生成条件を切り替えてからリン(P)ビームが検出されなくなるまでの時間が短く、また、切替後に出力されるPビームの電流量の時間積分値が小さい。このように、本実施例によれば、イオン生成条件の切替に伴う待ち時間を短縮化することができる。
図8は、イオン生成条件切替時のビーム電流の変化を例示する図であり、図7の場合とは逆に、アルゴン(Ar)イオンの生成条件からリン(P)イオンの生成条件に切り替える場合のPビームの電流量の変化を示している。実線は、アークチャンバ30内にケージ72が設けられる実施例を示し、破線は、アークチャンバ内にケージ72が設けられない比較例を示す。図示されるように、比較例に比べて実施例では、イオン生成条件を切り替えてからPビーム電流が安定化するまでの時間が短い。このように、本実施例によれば、イオン生成条件の切替に伴う待ち時間を短縮化することができる。
(変形例1)
図9(a)〜(c)は、変形例に係るケージ72a,72b,72cの構成を概略的に示す断面図であり、アークチャンバ30の内部を軸方向に見たときの断面を示す。図9(a)は、軸方向に見てU字形状に形成されるケージ72aを示す。図9(b)は、軸方向に見てC字形状に形成されるケージ72aを示す。図9(c)は、軸方向に見てV字形状に形成されるケージ72aを示す。図示される変形例においても、ケージ72a,72b,72cは、プラズマPが生成される領域とアークチャンバ30の内面45の間を仕切るように配置され、スリット部材46に取り付けられている。なお、ケージの形状は図示されるものに限られず、プラズマ生成領域を少なくとも部分的に包囲する形状であれば、任意の形状を採用することができる。
(変形例2)
図10は、変形例に係るケージ72dの構成を概略的に示す断面図であり、アークチャンバ30の内部をスリット幅方向に見たときの断面を示す。本変形例に係るケージ72dは、軸方向に間隔を空けて配置される複数の線状部材(第1線状部材)74に加えて、軸方向に延在する複数の第2線状部材75が設けられる。第2線状部材75は、第1線状部材74が延びる方向に間隔を空けて配置される。本変形例に係るケージ72dは、第1線状部材74および第2線状部材75を組み合わせて用いることにより、メッシュ状に形成される。つまり、ケージ72dは、メッシュ部材を含む。本変形例においても、メッシュの隙間76の開口率が30%以上90%以下となるように構成されることが好ましい。
(変形例3)
図11は、変形例に係るケージ72eの構成を概略的に示す断面図であり、図10と同様、アークチャンバ30の内部をスリット幅方向に見たときの断面を示す。本変形例に係るケージ72eは、複数の開口78が設けられた板状部材77により構成される。ケージ72eは、軸方向に見たときにコ字形状を有し、チャンバ本体44の三方の側部のそれぞれと対向するように配置される三枚の板状部材77を有する。複数の開口78は、板状部材77にアレイ状に形成されており、例えば、三方格子状または四方格子状に並べられる。本変形例においても、複数の開口78の開口率が30%以上90%以下となるように構成されることが好ましい。
(変形例4)
図12(a),(b)は、変形例に係るアークチャンバ30の内部構成を概略的に示す断面図であり、アークチャンバ30の内部を軸方向に見たときの断面を示す。本変形例では、ケージ72fがスリット部材46に固定されるのではなく、チャンバ本体44に固定される点で上述の実施の形態と異なる。ケージ72fは、スリット部材46の内面66から離れて配置され、絶縁部材91,92を介してチャンバ本体44の内面45に取り付けられる。図12(a)に示す変形例では、ケージ72fが絶縁部材91を介してチャンバ本体44のスリット幅方向に対向する二つの側部44a,44cに固定されている。図12(b)に示す変形例では、ケージ72fが絶縁部材92を介してチャンバ本体44のスリット部材46と対向する一つの側部44bに固定されている。
本変形例では、ケージ72fがチャンバ本体44から電気的に絶縁されており、ケージ72fはチャンバ本体44と異なる電位を有する。ケージ72fは、例えば、上述の実施の形態と同様にスリット部材46と同電位となるように構成される。ケージ72fは、スリット部材46からも電気的に絶縁されてもよく、スリット部材46と異なる電位を有してもよい。この場合、ケージ72fには、図2に図示しない別の電源に基づく電圧が印加されてもよい。また、ケージ72fは、浮遊電位となるよう構成されてもよい。
(変形例5)
図13(a),(b)は、変形例に係るアークチャンバ30の内部構成を概略的に示す断面図であり、アークチャンバ30の内部を軸方向に見たときの断面を示す。本変形例では、ケージ72g,72hがチャンバ本体44に固定される点で上述の変形例と共通するが、ケージ72g,72hがチャンバ本体44に直接的に固定される点で上述の変形例と相違する。したがって、本変形例では、ケージ72g,72hがチャンバ本体44と同電位となるように構成される。
図13(a)に示す変形例では、ケージ72gがチャンバ本体44のスリット幅方向に対向する二つの側部44a,44cに固定されている。ケージ72gは、プラズマ生成領域を部分的に包囲するように配置される仕切部94gと、仕切部94gからチャンバ本体44の側部44a,44cに向けて突出する取付部96gとを有する。図13(b)に示す変形例では、ケージ72hがチャンバ本体44のスリット部材46と対向する一つの側部44bに固定されている。ケージ72hは、プラズマ生成領域を部分的に包囲するように配置される仕切部94hと、仕切部94hからチャンバ本体44の側部44bに向けて突出する取付部96hとを有する。
なお、さらなる変形例では、ケージ72がチャンバ本体44の側部ではなく、チャンバ本体44の上部または下部に固定されてもよい。この場合、ケージ72が直接的にチャンバ本体44に固定されてもよいし、絶縁部材を介してチャンバ本体44に固定されてもよい。
以上、本発明を上述の実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
上述の実施の形態では、チャンバ本体44とスリット部材46の間にチャンバー電源62による電圧が印加される場合を示した。さらなる変形例では、チャンバー電源62が設けられず、チャンバ本体44とスリット部材46が同電位となるように構成されてもよい。この場合、ケージ72がチャンバ本体44およびスリット部材46と同電位となるよう構成されてもよいし、ケージ72がチャンバ本体44およびスリット部材46と異なる電位となるよう構成されてもよい。後者の場合、ケージ72がチャンバ本体44およびスリット部材46に対して浮遊電位となるように構成されてもよい。
上記の説明は傍熱型のイオン生成装置を参照して行っているが、本発明はこれに限られず、RFイオン生成装置、マイクロ波イオン生成装置、バーナス型イオン生成装置など、プラズマチャンバに反応性原料ガスが供給されそのプラズマがチャンバ内壁と相互作用するその他の任意のイオン生成装置に適用されてもよい。この場合、上記の説明で言及される「アークチャンバ」との用語は、より一般化された表現として使用される「プラズマチャンバ」との用語に読み替えることができる。
12…イオン生成装置、30…アークチャンバ、34…リペラー、42…フロントスリット、44…チャンバ本体、46…スリット部材、48…絶縁部材、52…カソード、72…ケージ、74…線状部材、76…隙間、77…板状部材、78…開口。

Claims (16)

  1. プラズマ生成領域を内部に有するアークチャンバと、
    前記プラズマ生成領域に向けて熱電子を放出するカソードと、
    前記プラズマ生成領域を挟んで前記カソードと軸方向に対向するリペラーと、
    前記アークチャンバの内面と前記プラズマ生成領域の間の位置において、前記プラズマ生成領域を部分的に包囲するように配置されるケージと、を備え、
    前記ケージは、前記軸方向と直交する径方向に前記ケージを横切るガスの流れが生じるように配置される複数の開口または複数の隙間を有することを特徴とするイオン生成装置。
  2. 前記ケージは、前記径方向の平面視における単位面積あたりに前記複数の開口または前記複数の隙間が占める割合が30%以上90%以下となるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のイオン生成装置。
  3. 前記アークチャンバは、アークチャンバ本体と、前記アークチャンバ外へイオンを引き出すためのフロントスリットが設けられるスリット部材と、を有し、
    前記ケージは、前記プラズマ生成領域と前記フロントスリットの間の位置を避けて配置されることを特徴とする請求項1または2に記載のイオン生成装置。
  4. 前記ケージは、前記スリット部材と同電位となるよう構成されることを特徴とする請求項に記載のイオン生成装置。
  5. 前記ケージは、前記アークチャンバ本体の内面に固定され、前記スリット部材の内面から離れて配置されることを特徴とする請求項3に記載のイオン生成装置。
  6. 前記ケージは、前記アークチャンバ本体と同電位となるよう構成されることを特徴とする請求項に記載のイオン生成装置。
  7. 前記ケージは、絶縁部材を介して前記アークチャンバ本体の内面に固定され、前記アークチャンバ本体と異なる電位となるよう構成されることを特徴とする請求項に記載のイオン生成装置。
  8. 前記スリット部材は、絶縁部材を介して前記アークチャンバ本体に取り付けられ、
    前記アークチャンバ本体は、前記スリット部材の電位に対して負電位となるよう構成されることを特徴とする請求項3からのいずれか一項に記載のイオン生成装置。
  9. 前記スリット部材は、絶縁部材を介して前記アークチャンバ本体に取り付けられ、
    前記アークチャンバ本体は、前記スリット部材の電位に対して浮動電位となるよう構成されることを特徴とする請求項3からのいずれか一項に記載のイオン生成装置。
  10. 前記アークチャンバ本体を冷却する冷却機構をさらに備えることを特徴とする請求項3からのいずれか一項に記載のイオン生成装置。
  11. 前記フロントスリットは、前記軸方向に細長い形状を有し、
    前記ケージは、少なくとも前記フロントスリットが前記軸方向に延在する区間にわたって配置されることを特徴とする請求項3から1のいずれか一項に記載のイオン生成装置。
  12. 前記ケージは、前記軸方向に見て、V字状、U字状、C字状、または、コ字状に形成されることを特徴とする請求項1から1のいずれか一項に記載のイオン生成装置。
  13. 前記ケージは、前記プラズマ生成領域と前記カソードの間の位置および前記プラズマ生成領域と前記リペラーの間の位置を避けて配置されることを特徴とする請求項1から1のいずれか一項に記載のイオン生成装置。
  14. 前記ケージは、前記軸方向に間隔を空けて並べられる複数の線状部材を含むことを特徴とする請求項1から1のいずれか一項に記載のイオン生成装置。
  15. 前記ケージは、メッシュ状部材を含むことを特徴とする請求項1から1のいずれか一項に記載のイオン生成装置。
  16. 前記ケージは、複数の小孔が設けられる板状部材を含むことを特徴とする請求項1から1のいずれか一項に記載のイオン生成装置。
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